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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】EGFR阻害剤化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/04 20060101AFI20220225BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220225BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20220225BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220225BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20220225BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
C07D403/04
A61P35/00
C07D403/14
A61K31/506
A61K31/53
A61P43/00 111
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2018561695
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017034163
(87)【国際公開番号】W WO2017205459
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/342,141
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ペーター チンホワ
(72)【発明者】
【氏名】エイブラハム,サニー
(72)【発明者】
【氏名】ピンチマン,ジョセフ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,チャド ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スリー,デボラ ヘレン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/054987(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/060443(WO,A2)
【文献】国際公開第2016/070816(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/004492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/00
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩であって、
【化1】
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ及び非置換されたC1~4アルコキシから選択され、
が、
【化2】
又は
【化3】
であって、R 2A 及びR 2B が、独立して、置換された又は非置換された二環式[1.1.1]ペンチルであって、前記二環式[1.1.1]ペンチルが置換されているとき、前記二環式[1.1.1]ペンチルは、ハロゲン及びシアノから選択される1つ以上の置換基により置換されたものであり、
が、-(CR 6A 6B NR 7A 7B により置換された、置換されたC1~4アルキルであり、
、Nであり、
が、水素及び非置換されたC1~4アルキルから選択され、
6A及びR6Bが、それぞれ水素であり、
7A及びR7Bが、水素及び非置換されたC1~4アルキルから独立して選択され、
が、CRであり、
が、水素、ハロゲン及びシアノから選択され、
mが0又は1であり、かつ
nが0、1又は2である、構造を有する式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項2】
が、
【化4】
であって、 置換された二環式[1.1.1]ペンチルである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項3】
が、
【化5】
であって、R 2A が、フルオロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、クロロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、又はシアノ置換二環式[1.1.1]ペンチルである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項4】
が、
【化6】
であって、R 2B が、非置換された二環式[1.1.1]ペンチルである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項5】
が、
【化7】
であって、R 2B が、フルオロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、クロロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、又はシアノ置換二環式[1.1.1]ペンチルである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項6】
mが0である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項7】
mが1である、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項8】
が水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項9】
が、置換されたC1~4アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項10】
が、メチルである、請求項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項11】
nが0である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項12】
nが1である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項13】
nが2である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項14】
7A が水素であり、及びR7B置換されたC1~4アルキルである、請求項11~13のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項15】
7A及びR7Bが、それぞれ置換されたC1~4アルキルである、請求項11~13のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項16】
前記置換されたC1~4アルキルが、メチルである、請求項15に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項17】
前記 が、非置換されたC1~4アルコキシである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項18】
前記非置換されたC1~4アルコキシがメトキシである、請求項17に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項19】
がヒドロキシである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項20】
が水素である、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項21】
が、ハロゲンである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項22】
前記ハロゲンが、フルオロ又はクロロである、請求項21に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項23】
が、シアノである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項24】
式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩であって、前記化合物が、
【化8】

から選択される、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項25】
【化9】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項26】
【化10】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項27】
【化11】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項28】
【化12】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項29】
【化13】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項30】
【化14】
又はその薬剤として許容される塩である、請求項24に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項31】
【化15】
らなる群から選択される化合物、又は薬剤として許容されるその塩
【請求項32】
癌の緩和又は治療するための、請求項1~30のいずれか一項に記載の有効量の化合物、又は薬剤として許容されるその塩を含む医薬組成物であって、前記癌が、肺癌、膵臓癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、卵巣癌、脳腫瘍及び腎臓癌から選択される、医薬組成物。
【請求項33】
悪性腫瘍又は腫瘍を緩和又は治療するための、請求項1~30のいずれか一項に記載の有効量の化合物、又は薬剤として許容されるその塩を含む医薬組成物であって、前記悪性腫瘍又は腫瘍の原因が、肺癌、膵臓癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌、卵巣癌、脳腫瘍及び腎臓癌から選択される癌である、医薬組成物。
【請求項34】
EGFRの活性を阻害するための、請求項1~30のいずれか一項に記載の有効量の化合物、又は薬剤として許容されるその塩を含む医薬組成物であって、前記EGFRが、エ
クソン19における欠損、エクソン20における挿入、L858Rにおける突然変異、及び獲得性のEGFR T790M突然変異から選択される1つ以上を有する、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願を参照することによる組み込み
外国又は国内優先権の主張が確認される任意の及び全ての出願が、例えば、本出願と共に出願される出願データシート又は請願書において、37CFR1.57並びに規約4.18及び20.6に基づき、参考として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化学、生化学、及び医薬に関する。より詳細には、医薬組成物と共に、EGFR阻害剤化合物、及びその合成方法が本明細書にて開示される。本明細書にて記載された1種以上の化合物を用いた、癌の緩和及び/又は治療方法もまた、本明細書にて開示される。
【背景技術】
【0003】
EGFR遺伝子の過剰発現は、頭部及び頸部、脳、乳房、結腸及び肺を含む、種々の癌において確認されてきた。過剰発現に加えて、EGFR活性化突然変異は、非小細胞肺癌(NSCLCs)腫瘍のサブセットにおいて、検出されてきた。第1及び第2世代EGFR阻害剤に対する反応が良好な患者の大部分は、最終的には、これらの阻害剤への抵抗力を発達させる。最も一般的な抵抗メカニズムは、EGFR遺伝子におけるスレオニン対メチオニン(T790M)の獲得性ゲートキーパ突然変異である。EGFRの過剰発現又は活性化、及び獲得性のEGFR T790M突然変異は、ヒト癌において観察され、かつ高い率の癌細胞増殖及び薬剤耐性を伴う。
【発明の概要】
【0004】
本明細書にて開示されたいくつかの実施形態は、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩に関する。
【0005】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、有効量の式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩を含み得る、医薬組成物に関する。
【0006】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を投与することを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。
【0007】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物により腫瘍又は腫に接触することを含み得る、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための方法に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因であ
る。本明細書に記載されたその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。
【0008】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫を、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に接触させることを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療のための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫に接触することを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫に接触することを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。
【0009】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための方法に関し、これは本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、本明細書に記載された癌からの癌細胞を含むサンプルへと提供することを含み得る。本明細書に記載されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴う
EGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。
【0010】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を使用して、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療ための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことにより本明細書に記載された癌を緩和する又は治療するための、薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことによる、本明細書に記載された癌の緩和及び治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
EGFRの阻害は、癌の治療における治療的効果を有し得る。腫瘍の成長中に、EGFRが突然変異して活性化され得ることが示されている。上皮成長因子受容体(EGFR)は、細胞外リガンド結合領域、膜貫通部及び細胞内チロシンキナーゼ、並びに制御領域を有する。特定のリガンドの結合の際に、EGFRが立体配座的に変化して、細胞内領域のリン酸化反応が生じ、細胞増殖を制御する下流シグナル伝達をもたらす。構成型のEGFRの活性化は、最終的に細胞増殖、脈管形成、侵襲及び/又は転移をもたらす、細胞内経路の活性を増大させる。
【0012】
EGFR遺伝子の過剰発現は、頭部及び頸部、脳、乳房、結腸及び肺を含む、種々の癌において確認されてきた。非小細胞肺癌においては、EGFR過剰発現の頻度は40%~80%であると結論付けられてきた。過剰発現に加えて、EGFR活性化突然変異は、全てのNSCLCsの10%~30%に相当する、非小細胞肺癌(NSCLCs)腫瘍のサ
ブセットにおいて検出されてきた。本突然変異は、EGFR遺伝子のチロシンキナーゼ領域のエクソン18、19、20及び21において生じる。エキソン21中の突然変異の大部分が点突然変異であるのに対して、エクソン19は、ほとんど完全にインフレーム欠損から構成される。このL858R点突然変異及びエクソン19における欠損(A740~A750など)は、86%までのEGFR突然変異の原因となる。また、EGFRエクソン20の挿入は、全てのEGFR突然変異型肺癌の約4~9.2%を含む(ArcilaらのMol Cancer Ther,(2013年),12(2):220~229、MitsudomiらのFEBS J,(2010),277(2):301~308、及びOxnardらのJ Thorac Oncol(2013)8(2):179~184)。これらの変異は、成長因子の不存在化下で、EGF受容体のキナーゼ活性の増大をもたらす。EGF受容体中の前述の変異は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に反応して、効能の予測バイオマーカーであることが示された。これらの発見は、EGFR突然変異活性化を伴うNSCLC患者のための治療法として、EGFR阻害剤が使用される方法に、革命をもたらしてきた。EGFR阻害剤、エルロチニブ及びゲフィチニブ(第1世代EGFR阻害剤とみなす)は、第2次治療法として、アメリカ合衆国で最初に認可された。しかし、第1世代EGFR阻害剤(ゲフィチニブ)及び第2世代EGFR阻害剤(アファチニブ)を含むEGFR阻害剤の後続の臨床試験は、EGFR活性突然変異を伴うNSCLC患者の、第一線の設定値での全体の反応率における著しい向上を実証した。
【0013】
しかし、第1及び第2世代EGFR阻害剤に対する反応が良好な患者の大部分は、最終的には、これらの阻害剤への抵抗力を発達させる。約50%の患者において観察される最も一般的な抵抗メカニズムは、EGFR遺伝子におけるスレオニン対メチオニン(T790M)の獲得性ゲートキーパ突然変異である。本突然変異は、ATPに対する受容体の生体親和性を増大させ、かつ第1世代EGFR阻害剤の有効性を減少させる。従って、第1及び第2世代EGFR阻害剤において難治性であるNSCLC患者は、T790M突然変異と関係した獲得抵抗性を克服することができる新規の治療法を必要としている。
【0014】
EGFRのキナーゼ活性を阻害することができる化合物を、本明細書で提供する。EGFR阻害剤として、本明細書に記載される化合物を、非小細胞肺癌、頭部及び頸部、脳、乳房並びに大腸の癌などの種々の癌の緩和及び/又は治療に使用することができる(獲得性EGFR T790M突然変異、L858Rにおける突然変異、エクソン19における欠損(A740~A750など)を伴うようなものを含み、エクソン20における挿入によりEGFRの活性化を阻害し、広範な種類のEGFRの活性、及び/又はEGFRが過剰発現する、又は活性化することを阻害する)。
【0015】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に指示しない限り、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に指示しない限り、この節にある定義が優先される。
【0016】
ある基が「任意に置換」されていると記載される場合にはいつでも、その基は、非置換であっても、又は指示された置換基のうちの1つ以上で置換されてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載される場合には、置換の場合は、置換基(複数可)が指示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、D(ジュウテリウム)、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~4アルコキシ、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1~6ハロアルキル、シアノ、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロ
シクリル(アルキル)、アシル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-チオアミド、N-チオアミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルコキシ、アミノ、モノ置換アミノ基、及びジ置換アミノ基から個々に、かつ独立して選択された1つ以上の基(複数可)で置換されてもよいことを意味する。
【0017】
本発明で使用する場合、「a」及び「b」が整数である「C~C」は、基における炭素原子の数を指す。指示された基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。従って、例えば、「C~Cアルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、つまり、CH-、CHCH-、CHCHCH-、(CHCH-、CHCHCHCH-、CHCHCH(CH)-、及び(CHC-を指す。「a」及び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0018】
2つの「R」基が「一緒になって」いると記載される場合、R基及びそれらが付着する原子は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形成することができる。例えば、限定することなく、NR基のR及びRが「共に」示される場合には、間接的に中間原子を介して、又は直接互いに対して、のどちらかで、それらが共有結合して環を形成することを意味する。
【化1】
【0019】
本発明で使用する場合、用語「アルキル」は、完全に飽和した脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖又は直鎖であってもよい。分枝鎖アルキル基の例としては、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-へキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有してもよい(それが本明細書で見られるときはいつでも、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などから最大30個(30個を含む)の炭素原子からなってもよいことを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の存在も含む)。アルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有する中型アルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は、置換又は非置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用する用語「アルケニル」とは、1つ以上の炭素二重結合を含む、一価の直鎖又は分岐鎖ラジカルを意味する。アルケニル基は、2~30個の炭素原子、2~12個の炭素原子、又は2~6個の炭素原子を有してよい。アルケニルの例としては、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0021】
本明細書で使用する用語「アルキニル」とは、1つ以上の炭素三重結合を含む、一価の直鎖又は分岐鎖ラジカルを意味する。アルキニル基は、2~30個の炭素原子、2~12個の炭素原子、又は2~6個の炭素原子を有してよい。アルケニルの例としては、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル等が挙げられるが、これらに限定されない。アル
キニル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0022】
本発明で使用する場合、「シクロアルキル」とは、完全に飽和した(二重又は三重結合なし)単環式又は多環式炭化水素環系を意味する。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。シクロアルキル基は、環(複数可)中に3~30個の原子、環(複数可)中に3~20個の原子、環(複数可)中に3~10個の原子、環(複数可)中に3~8個の原子、又は環(複数可)中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0023】
本発明で使用する場合、用語「縮合した」とは、2つの環の間での結合性を意味し、少なくとも1つの結合(飽和又は不飽和)を共有する2つの隣接した原子が環に対して一般的である。例えば、以下の構造では、環A及びBは縮合している
【化2】
縮合環状構造の例としては、1H-インドール、キノロン、クロマン、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、及び6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アンヌレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明で使用する場合、用語「架橋した」とは、3つ以上の原子が2つの環の間で共有される結合性を意味する。以下の構造
【化3】
は、示された原子が少なくとも2つの環の間で共有する故に、「架橋した」環の例である。架橋した環状構造の例としては、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、2-オキサビシクロ[1.1.1]ペンタン、5-アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、アダマンタン及びノルボルナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明で使用する場合、用語「スピロ」とは、一般に、環が1個のみの原子を有する2つの環の間の結合性を意味する。例えば、構造
【化4】
では、環C、Dはスピロ結合により結合している。スピロ結合した環状構造の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[4.5]デカン、及び2,6-ジオキサスピロ[3.3]ヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明で使用する場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指すが、1つ以上が存在する場合
、二重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。シクロアルケニル基は、環(複数可)中に3~30個の原子、環(複数可)中に3~20個の原子、環(複数可)中に3~10個の原子、環(複数可)中に3~8個の原子、又は環(複数可)中に3~6個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。シクロアルケニル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0027】
本発明で使用する場合、「シクロアルキニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の三重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を意味する。1つ以上の三重結合が存在する場合、三重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない。シクロアルキニル基は、環(複数可)中に8~30個の原子、環(複数可)中に8~20個の原子、又は環(複数可)中に8~10個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。シクロアルキニル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0028】
本発明で使用する場合、「アリール」とは、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(全てが炭素の)単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を意味する。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C~C14アリール基、C~C10アリール基、又はCアリール基であり得る。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換又は非置換であってもよい。
【0029】
本発明で使用する場合、「ヘテロアリール」とは、1個以上のヘテロ原子(例えば、1個、2個、3個、4個又は5個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるがこれらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式、二環式、及び三環式芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を意味する。ヘテロアリール基の環(複数可)中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環(複数可)中に4~14個の原子、環(複数可)中に5~10個の原子、又は環(複数可)中に5~6個の原子を含有することができる。なお、用語「ヘテロアリール」は、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換又は非置換であってもよい。
【0030】
本発明で使用する場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、炭素原子と1~5個のヘテロ原子が一緒に前述の環系を構成する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意に含有してもよいが、完全に非局在化したπ電子系は、全ての環全体にわたって発生しない。ヘテロ原子(複数可)は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又
はスピロ様式で一緒に結合されてよい。加えて、ヘテロ脂環式環中の任意の窒素は、四級化されてよい。ヘテロシクリル又はヘテロ脂環式基は、置換又は非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。架橋複素環式化合物の例としては、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び1,4-ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ結合複素環式化合物の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、及び2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明で使用する場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアリール基を意味する。アラルキルの低級アルキレン及びアリール基は、置換又は非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明で使用する場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」とは、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるヘテロアリール基を意味する。ヘテロアラルキルの低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換又は非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、及びイミダゾリルアルキル、並びにそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合される複素環式又はヘテロ脂環式基を指す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換又は非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
「低級アルキレン基」は、直鎖-CH-連結基であり、それらの末端炭素原子を介して分子断片を連結するように結合を形成する。例としては、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、及びブチレン(-CHCHCHCH-)が挙げられるが、これらに限定されない。低級アルキレン基は、シクロアルキル基(例えば、
【化5】
)で、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、かつ/又は同じ炭素上の両方の水素を置換することによって置換され得る。
【0035】
本発明で使用する場合、用語「ヒドロキシ」とは、-OH基を意味する。
【0036】
本発明で使用する場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。アルコキシの非限定的な系列は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換又は非置換であってもよい。
【0037】
本発明で使用する場合、「アシル」とは、カルボニル基を介して置換基として連結される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、及びヘテロシクリル(アルキル)を意味する。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが挙げられる。アシルは、置換又は非置換であってもよい。
【0038】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0039】
本発明で使用する場合、用語「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭化物、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0040】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を意味し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってよい。チオカルボニルは、置換又は非置換であってもよい。
【0041】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(R)」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。O-カルバミルは、置換又は非置換であってもよい。
【0042】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(R)-」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-カルバミルは、置換又は非置換であってもよい。
【0043】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(R)」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(
アルキル)であってよい。O-チオカルバミルは、置換又は非置換であってもよい。
【0044】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(R)-」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-チオカルバミルは、置換又は非置換であってもよい。
【0045】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(R)」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。C-アミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0046】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(R)-」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-アミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0047】
「C-チオアミド」基は、「-C(=S)N(R)」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。C-チオアミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0048】
「N-アミド」基は、「RC(=S)N(R)-」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-チオアミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0049】
「S-スルホンアミド」基は、「-SON(R)」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。S-スルホンアミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0050】
「N-スルホンアミド」基は、「RSON(R)-」基を意味し、式中、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-スルホンアミドは、置換又は非置換であってもよい。
【0051】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を意味し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。O-カルボキシは、置換又は非置換であってもよい。
【0052】
用語「エステル」及び「C-カルボキシ」とは、「-C(=O)OR」基を意味し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってよい。エステル及びC-カルボキシは、置換又は非置換であってもよい。
【0053】
「オキソ」基は、「=O」基を意味する。
【0054】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を意味し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換又は非置換であってもよい。
【0055】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を意味し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってよい。スルフィニルは、置換又は非置換であってもよい。
【0056】
「スルホニル」基は、「SOR」基を意味し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってよい。スルホニルは、置換又は非置換であってもよい。
【0057】
本発明で使用する場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられる、アルキル基を意味する(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、及びトリ-ハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、及び2-フルオロイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換又は非置換であってもよい。
【0058】
本発明で使用する場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられる、アルコキシ基を意味する(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換又は非置換であってもよい。
【0059】
本発明で使用する場合、用語「アミノ」とは、-NH基を意味する。
【0060】
「モノ置換アミン」基は、「-NHR」基を意味し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。モノ置換アミノは、置換又は非置換であってもよい。モノ置換アミノ基の例としては、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「ジ置換アミン」基は、「-NR」基を意味し、式中、R及びRは独立して、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。ジ置換アミノは、置換又は非置換であってもよい。ジ置換アミノ基の例としては、-N(メチル)、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでよい。別の例として、「C~Cアルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでよい。
【0063】
本発明で使用する場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合され得るような、単一の不対電子を有する種を示す。従って、これに関して、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。用語「ラジカル」は、用語「基」と互換的に使用され得る。
【0064】
用語「薬剤として許容される塩」とは、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を意味する。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素リン酸塩など)と反応させることによって得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C~Cアルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。式(I)の化合物に関して、当業者は、塩が窒素ベースの基(例えば、NH)のプロトン化によって形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NHがNH になり得)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Clなど)によってバランスがとられ得ることを理解している。
【0065】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載された任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってよい、と理解されている。従って、本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に豊富な、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な、ジアステレオマー的に豊富な、又は立体異性混合物であってよい。なお、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合(複数可)を有する、本明細書に記載された任意の化合物において、各二重結合が独立して、E若しくはZ、又はこれらの混合物であってよい、と理解されている。
【0066】
記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図される、と理解されている。例えば、次のものは互変異性体である:
【化6】
【0067】
本明細書にて開示された化合物が満たされていない原子価を有する場合、その原子価が
、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で満たされることを理解すべきである。
【0068】
本明細書に記載された化合物が、同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、前述の元素の任意の同位体を含んでよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってよい。従って、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0069】
本明細書に記載された方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含む、と理解されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。その他の実施形態では、本明細書に記載された化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。なお、本明細書で提供される化合物は、非溶媒和並びに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であると見なされる。
【0070】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含される、と理解されている。
【0071】
本出願で使用される用語及び語句並びにその変形形態、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明示的に指示しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む」は、「限定することなく含む」、「含むが、これらに限定されない」等を意味するよう解釈されるべきである。本発明で使用する場合、用語「備える」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきである。用語「含む」は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。用語「例」は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。なお、用語「備える」は、「少なくとも有する」又は「少なくとも含む」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、用語「備える」とは、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。同様に、接続詞「及び」で連結された項目の群は、それらの項目の1つ1つが群に存在することを要求するものと解釈されるべきではなく、むしろ、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、「及び/又は」と解釈されるべきである。同様に、接続詞「又は」で連結された項目の群は、その群中の相互排他性を要求するものと解釈されるべきではなく、むしろ、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、「及び/又は」と解釈されるべきである。
【0072】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。種々の単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一の処理装置又はその他のユニットは、請求項に詳述されたいくつかの項目の機能を満たし得る。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができない、ということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0073】
化合物
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、一般に、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩に関し、式(I)は次の構造を有する。
【化7】
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC1~4アルコキシ、及び任意に置換されたC1~4ハロアルコキシから選択することができ、Rは、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルであることができ、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1個~4個のヘテロ原子を独立して含有することができ、Rは、水素、ハロゲン、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択することができ、置換される場合、Rは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4アルキル、任意に置換されたアリール、-C(O)R5A、-SO5B、-NHC(O)R5C、及び-(CR6A6BNR7A7Bから選択される、1つ以上の置換基により置換され得、Xは、O(酸素)、S(硫黄)又はNRであり得る。Rは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから選択することができ、R5A、R5B及びR5Cは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから独立して選択することができ、R6A及びR6Bは、水素、ハロゲン、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから独立して選択することができ、R7A及びR7Bは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから独立して選択することができ、Aは、N(窒素)又はCRであり得る。Rは、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから選択することができ、mは、0又は1であり得る、及びnは0、1、2又は3であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換された6員~15員のヘテロアリールであり得る。その他の実施形態では、R2は、任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルであり得る。種々のヘテロ原子は、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルの、1つ以上の環中に存在し得る。ヘテロ原子の数もまた、変化させることができる。いくつかの実施形態では、1つのヘテロ原子は、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルの、1つ以上の環中に存在し得る。その他の実施形態では、2つのヘテロ原子は、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルの、1つ以上の環中に存在し得る。依然としてその他の実施形態では、3つのヘテロ原子は、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルの、1つ以上の環中に存在し得る。更に依然としてその他の実施形態では、4つのヘテロ原子は、任意に置換された6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルの、1つ以上の環中に存在し得る。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子(複数可)は、N(窒素)、O(酸素)及びS(硫黄)から独立して選択することができる。
【0075】
6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルにおける環の数を、変更することができる。いくつかの実施形態では、6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルは、単環式であり得る。その他の実施形態では、6員~15員のヘテロアリール、及び/又は任意に置換された6員~15員のヘテロシクリルは、二環式であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換された5員又は6員の単環式ヘテロアリールであり得る。その他の実施形態では、Rは、任意に置換された9員又は10員の二環式ヘテロアリールであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換された5員又は6員の単環式ヘテロシクリルであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換された9員又は10員の二環式ヘテロシクリルであり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたインドリルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたインダゾールであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換された4,5,6,7-テトラヒドロインダゾリルであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換された
【化8】
であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換された
【化9】
であり得る。任意に置換されたインドリル、任意に置換されたインダゾリル、任意に置換された4,5,6,7-テトラヒドロインダゾリル、任意に置換された
【化10】
及び任意に置換された
【化11】
は、任意の好適な位置にて、式(I)の
【化12】
に結合することができる。いくつかの実施形態では、Rは、炭素原子を介して
【化13】
に結合することができる。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換された
【化14】
任意に置換された
【化15】
任意に置換された
【化16】
任意に置換された
【化17】
又は任意に置換された
【化18】
であり得る。いくつかの実施形態では、R2A、R2B及びR2Cは、独立して、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC1~4アルコキシ、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、非置換された単一置換アミン、及び非置換された二置換アミンであり得る。いくつかの実施形態では、R2A、R2B及び/又はR2Cは、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、例えば、任意に置換された二環式[1.1.1]ペンチルにより、置換され得る。R2A、R2B及び/又はR2Cが置換されている場合、可能な置換基としては、ハロゲン(フルオロ及び/又はクロロなど)、シアノ及び任意に置換されたC1~4アルキル(例えば、置換若しくは非置換のメチル、置換若しくは非置換のエチル、置換若しくは非置換のn-プロピル、置換若しくは非置換のイソ-プロピル、置換若しくは非置換のn-ブチル、置換若しくは非置換のイソ-ブチル、又は置換若しくは非置換のtert-ブチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
が置換されている場合には種々の置換基が存在することができ、かつ置換基の数もまた変更することができる。いくつかの実施形態では、Rが置換される場合、Rは、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC1~4アルコキシ、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、非置換された単一置換アミン、及び非置換された二置換アミンから選択される1つ以上の置換基により、置換され得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたC3~8シクロアルキルにより置換され得る。例えば、Rは、任意に置換された二環式[1.1.1]ペンチルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換された二環式[1.1.1]ペンチルであり得る。その他の実施形態では、Rは、置換された二環式[1.1.1]ペンチルであり得る。置換された二環式[1.1.1]ペンチル部分の例としては、フルオロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、クロロ置換二環式[1.1.1]ペンチル、及びシアノ置換二環式[1.1.1]ペンチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたC1~4アルキルにより置換され得る。一例として、Rは、非置換されたC1~4アルキルにより置換され得る。C1~4アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、mは0であり得、これにより、Rが、式(I)に示すフェニル環に直接結合させられる。その他の実施形態では、mは1であり得、また、Rが、Xを介して式(I)に示すフェニル環に結合させられる。いくつかの実施形態では、XはO(酸素)であり得る。その他の実施形態では、XはS(硫黄)であり得る。依然としてその他の実施形態では、Xは-NHであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Xは-N(任意に置換されたC1~4アルキル)であり得る。いくつかの実施形態では、Xは-N(非置換されたC1~4アルキル)であり得る。一例として、Xは-N(CH)であり得る。いくつかの実施形態では、Xは-N(任意に置換されたC1~4ハロアルキル)であり得る。いくつかの実施形態では、Xは、N(CF)などの-N(非置換されたC1~4ハロアルキル)であり得る。いくつかの実施形態では、Xは-N(任意に置換されたC3~8シクロアルキル)であり得る。いくつかの実施形態では、Xは-N(非置換されたC3~8シクロアルキル)であり得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたC1~4アルキルであり得る。好適な任意に置換されたC1~4アルキルの例を、本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC3~8シクロアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたC3~8シクロアルキルであり得る。非限定的な例として、Rは、任意に置換された二環式[1.1.1]ペンチルなどの、任意に置換されたCシクロアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたフェニルなどの、置換されたアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたフェニルなどの、非置換されたアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたヘテロアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたヘテロアリールであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたヘテロシクリルであり得る。
【0080】
が任意に置換されたヘテロアリール又は任意に置換されたヘテロシクリルである場合、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルは、単環式若しくは二環式であり得る。例えば、任意に置換されたヘテロアリール及び/又は任意に置換されたヘテロシクリルは、任意に置換された4員単環式ヘテロアリール、任意に置換された4員単環式ヘテロシクリル、任意に置換された5員単環式ヘテロアリール、任意に置換された5員単環式ヘテロシクリル、任意に置換された6員単環式ヘテロアリール、任意に置換された6員単環式ヘテロシクリル、任意に置換された9員二環式ヘテロアリール、任意に置換された9員二環式ヘテロシクリル、任意に置換された10員二環式ヘテロアリール、又は任意に置換された10員二環式ヘテロシクリルであり得る。
【0081】
本明細書に記載されたように、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルは、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルの環(複数可)において、1つ以上のヘテロ原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、Rは、1個のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロアリールであり得る。その他の実施形態では、Rは、1個のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロシクリルであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、2個のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロアリールであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rは、2個のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、3個以上のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロアリールであり得る。その他の実施形態では、Rは、3個以上のへテロ原子を含有する、任意に置換されたヘテロシクリルであり得る。種々のヘテロ原子は、Rの任意に置換されたヘテロアリール及び/又は任意に置換されたヘテロシクリル中に存在し得る。好適なヘテロ原子の例としては、N(窒素)、O(酸素)、及びS(硫黄)が挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換された4員の窒素含有ヘテロシクリルであり得る。その他の実施形態では、Rは、任意に置換された5員の窒素含有ヘテロシクリルであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換された6員の窒素含有ヘテロシクリルであり得る。下記は、好適な窒素含有単環式ヘテロシクリルの例である。任意に置換されたアゼチジニル、任意に置換されたピロリジニル、及び任意に置換されたピペラジニル。
【0083】
任意に置換されたヘテロアリール及び/又は任意に置換されたヘテロシクリルを、Xへと、又は示された式(I)のフェニル環へと、任意の好適な位置にて連結させることができる。いくつかの実施形態では、任意に置換されたヘテロアリール及び/又は任意に置換されたヘテロシクリルは、炭素を介して、Xへと、又は示された式(I)のフェニル環へと、連結させることができる。その他の実施形態では、任意に置換されたヘテロアリール及び/又は任意に置換されたヘテロシクリルは、窒素を介して、Xへと、又は示された式(I)のフェニル環へと、連結させることができる。いくつかの実施形態では、Rは下記のうち1つであり得て、示された部分のいずれかが、置換された
【化19】
であり得る。
【0084】
が置換されている場合には、多様かつ数多くの置換基を存在させることができる。いくつかの実施形態では、Rは、1つの置換基により置換され得る。その他の実施形態では、Rは、2つの置換基により置換され得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、3つ以上の置換基により置換され得る。1つ以上の置換基がR上に存在する場合、置換基(複数可)は、別の置換基(複数可)と同一であり得る、又は別の置換基(複数可)と異なり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、Rは、フルオロ及び/又はクロロなどのハロゲンにより置換され得る。いくつかの実施形態では、Rは、シアノにより置換され得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたC1~4アルキルにより置換され得る。非置換されたC1~4アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたフェニル及び/又は任意に置換されたナフチルなどの、任意に置換されたアリールにより置換され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアシルにより置換され得る。任意に置換されたアリールは、式-C(O)R5Aを有することができ、式中、R5Aは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、又は任意に置換されたヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、C(O)-(任意に置換されたC1~4アルキル)により置換され得る。好適な任意に置換されたC1~4アルキルを、本明細書に記載する。いくつかの実施形態では、R5Aは、非置換されたC1~4アルキルであり得る。R5Aが非置換されたC1~4アルキルの場合、R上で置換され得るアシル基の一例は-C(O)CHである。その他の実施形態では、R5Aは、置換されたC1~4アルキルであり得る。例えば、R5Aは、モノアルキル置換アミン及び/又はジアルキル置換アミンにより置換されるC1~
アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、-C(O)CHN(CHにより置換され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、Rは、モノアルキル置換アミン及び/又はジアルキル置換アミンにより置換可能である、任意に置換されたC1~4アルキルにより置換され得る。モノアルキル置換アミン及び/又はジアルキル置換アミン上で存在することができる本アルキル基(複数可)は、非置換されたC1~4アルキルを含む。いくつかの実施形態では、ジアルキル置換アミンで置換されている、任意に置換されたC1~4アルキルは、-(CHN(CH構造を有することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、Rは、-SO5Bにより置換され得、R5Bは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択することができる。いくつかの実施形態では、Rは、-NHC(O)R5Cにより置換され得、R5Cは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、任意に置換されたC3~8シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CR6A6BNR7A7Bにより置換され得、R6A及びR6Bは、水素、ハロゲン、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから独立して選択することができ、R7A及びR7Bは、水素、任意に置換されたC1~4アルキル、任意に置換されたC1~4ハロアルキル、及び任意に置換されたC3~8シクロアルキルから独立して選択することができ、nは0、1、2又は3であり得る。いくつかの実施形態では、nは0であり得る。その他の実施形態では、nは1であり得る。依然としてその他の実施形態では、nは2であり得る。更に依然としてその他の実施形態では、nは3であり得る。いくつかの実施形態では、各R6A及び各R6Bは、独立して水素、ハロゲン又は非置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、各R6A及び各R6Bは、独立して水素、又は非置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、R6A及びR6Bのうち少なくとも1つは、水素であり得る。いくつかの実施形態では、各R6A及び各R6Bは、水素であり得る。いくつかの実施形態では、R7A及びR7Bは、独立して水素、又は任意に置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、R7A及びR7Bのうち少なくとも1つは、水素であり得る。いくつかの実施形態では、R7A及びR7Bは、各任意に置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、R7A及びR7Bは、各非置換されたC1~4アルキルであり得る。Rが、-(CR6A6BNR7A7Bにより置換される場合、-(CR6A6BNR7A7Bは、-N(CH、-(CH)N(CH、又は-(CHN(CHであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、低級アルキレン-(モノ-置換アルキルアミン)であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、低級アルキレン-(ジ-置換アルキルアミン)であり得る。
【0090】
部分の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【化20】
任意に置換された
【化21】
(例えば、
【化22】
)、任意に置換された
【化23】
(例えば、
【化24】
)、並びに任意に置換された
【化25】
(例えば、
【化26】
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは、水素であり得る。その他の実施形態では、Rは、ハロゲンであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、ヒドロキシであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rはシアノであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC1~4アルキルであり得る。その他の実施形態では、Rは、非置換されたC1~4アルキルであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、置換されたC1~4ハロアルキルであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rは、非置換されたC1~4ハロアルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC1~4アルコキシであり得る。その他の実施形態では、Rは、非置換されたC1~4アルコキシであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、置換されたC1~4ハロアルコキシであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、R
は、非置換されたC1~4ハロアルコキシであり得る。好適なRの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。クロロ、フルオロ、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、-CF、-CHF、-CHF、-CHCF、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、tert-ブトキシ、-OCF、-OCHF、-OCHF、及び-OCHCF
【0092】
いくつかの実施形態では、AはN(窒素)であり得、これにより、式(I)に示す環が構造
【化27】
を有する。いくつかの実施形態では、AはCRであり得、これにより、式(I)に示す環が構造
【化28】
を有する。いくつかの実施形態では、Rは、水素であり得る。その他の実施形態では、Rは、ハロゲンであり得る。例えば、Rは、クロロ又はフルオロであり得る。依然としてその他の実施形態では、Rは、シアノであり得る。更に依然としてその他の実施形態では、Rは、任意に置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたC1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、Rは、非置換されたC1~4ハロアルキル、又は置換されたC1~4ハロアルキルであり得る。好適なC1~4ハロアルキルの一例は、CFである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたC3~8シクロアルキルであり得る。任意に置換されたC3~8シクロアルキルの例が本明細書に記載され、かつ例としては、任意に置換されたシクロプロピル、任意に置換されたシクロブチル、任意に置換されたシクロペンチル、任意に置換された二環式[1.1.1]ペンチル、任意に置換されたシクロヘキシル、任意に置換されたシクロヘプチル、及び任意に置換されたシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
式(I)の化合物の例は、以下を含む。
【化29】
【化30】
又は前述のいずれかの薬剤として許容される塩。
【0094】
いくつかの実施形態では、Rは、二環式[1.1.1]ペンチルにより置換可能である。いくつかの実施形態では、Rは、置換された二環式[1.1.1]ペンチルであり得る。
【0095】
合成
式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩、及び本明細書に記載されたようなものを、種々の方法にて調製してよい。式(I)のいくつかの化合物類、又は薬剤とし
て許容されるその塩は、既知の合成方法を利用して得ることができる。式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩に対する一般的な合成ルート、及び式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩を合成するために使用される出発材料のいくつかの例を示し、かつ本明細書に記載する。スキーム1にて、一例を以下に示す。示されかつ本明細書に記載されたルートは例示目的のみであり、かついかなる任意の方法においても、本請求項の範囲を限定することを意図するものではなく、また本請求項の範囲を限定してそれらを解釈することを意図するものでもない。当業者は、本開示の合成の変更を認識することが可能であり、かつ本明細書の開示に基づいて代替的なルートを案出することが可能であり、このような変更ルート及び代替ルートの全てが、本請求項の範囲内である。
【化31】
【0096】
医薬組成物
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の1つ以上の本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物、又はその薬剤的に許容される塩)と、薬剤的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又はこれらの組み合わせとを含むことができる、医薬組成物に関する。
【0097】
用語「医薬組成物」とは、本明細書にて開示された1つ以上の化合物及び/又は塩と、希釈剤又は担体などのその他の化学構成成分との混合物を意味する。医薬組成物は、生物への化合物の投与を促進する。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることにより、得ることができる。医薬組成物は、一般に、特定の意図した投与経路へと調整される。
【0098】
用語「生理学的に許容される」とは、生物活性及び化合物の特性を無効にすることも、組成物の送達が意図される動物に相当な損傷又は負傷を引き起こすこともしない、担体、希釈剤、又は賦形剤を定義する。
【0099】
本明細書で使用する場合、「担体」とは、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を意味する。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0100】
本明細書で使用する場合、「希釈剤」とは、相当な薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさを増加させるために使用されてもよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物の溶解のための液体であってもよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、ヒト血液のpH及び等張性を模倣するリン酸緩衝生理食塩水などであるが、これに限定されない緩衝水溶液である。
【0101】
本明細書で使用する場合、「賦形剤」は、限定することなく、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される本質的に不活性の物質を指す。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0102】
本明細書に記載された医薬組成物は、ヒト患者自体に投与される、あるいは医薬組成物が併用療法としてのその他の活性成分、若しくは担体、希釈剤、賦形剤、又はこれらの組み合わせと混合される医薬組成物にて投与され得る。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載された化合物の製剤化及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0103】
本明細書にて開示された医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスにより、それ自体が既知である様式で製造され得る。加えて、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書にて開示された薬剤の組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
【0104】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。
【0105】
また、全身的よりも局所的に、例えば、多くの場合、デポー又は持続放出製剤中で化合物を患部に直接注射又は埋め込むことにより、化合物を投与し得る。更に、標的薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソーム中で化合物を投与し得る。リポソームは、臓器によって選択的に標的化され、かつ取り込まれる。例えば、呼吸器感染症を標的化するための鼻腔内又は肺内送達が望ましい場合がある。
【0106】
本明細書に記載されたように、式(I)の化合物又はその薬剤として許容されるその塩は、種々な方法により投与され得る。本明細書に記載された方法のいくつかでは、投与は、1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間以上、又は任意の介在時間の経過にわたって、注射、注入及び/又は静脈内投与により可能である。本明細書に記載されたその他の方法は、例えば、被検体に対してEGFR阻害剤に反応性の本明細書に記載された癌を治療するために、それを必要とする被験体への経口、静脈内及び/又は腹腔内投与を含むことができる。
【0107】
組成物は、望ましい場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属又はプラスチック箔を含んでもよい。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する説明書が添付されていてよい。パック又はディスペンサはまた、薬剤の製造、使用、又は販売を規制する行政機関により規定された形式の、容器に関連する注意書きが添付されていてもよく、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。このような注意書きは、例えば、処方薬に関するアメリカ合衆国Food and Drug Administrationにより承認されたラベル、又
は承認された製品添付文書であってよい。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載された化合物を含むことができる組成物はまた、指示された病態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、かつラベル付けされてよい。
【0108】
使用方法
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を投与することを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、本明細書に記載された癌の緩和及び/又は治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。
【0109】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物により腫瘍又は腫に接触することを含み得る、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための方法に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書に記載されたその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫の複製を阻害するための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。
【0110】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫を、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に接触させることを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療のための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫に接触することを含み得る、癌の緩和又は治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、悪性腫瘍又は悪性腫に接触することを含み得る、癌の緩和又は治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。
【0111】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための方法に関し、これは本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、本明細書に記載された癌からの癌細胞を含むサンプルへと提供することを含み得る。本明細書に記載されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための方法に関し、これは本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、本明細書に記載された癌からの癌細胞へと提供することを含み得る。本明細書に記載されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ための方法に関し、これは、本明細書に記載された癌からの癌細胞を、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、本明細書に記載された癌からの癌細胞へと接触させることを含み得て、これにより、EGFRの活性を阻害する。
【0112】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を使用して、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことを含み得る、本明細書に記載された癌の緩和又は治療ための方法に関する。本明細書に記載されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことにより本明細書に記載された癌を緩和する又は治療するための、薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関する。本明細書に記載された依然としてその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害する(例えば、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害すること、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害すること、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害すること、野生型EGFRの活性を阻害すること、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化するのを阻害する)ことによる、本明細書に記載された癌の緩和及び治療のための、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関する。本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に、癌細胞を接触させることを含む、本明細書に記載された癌の緩和又は治療のための方法に関し、本化合物は、EGFRの活性を阻害する(例えば、本明細書に記載された化合物は、獲得性のEGFR T790M突然変異を伴うEGFRの活性を阻害し、エキソン19における遺伝子欠失(A740~A750など)を伴うEGFRの活性を阻害し、エキソン20における挿入を伴うEGFRの活性を阻害し、L858Rにおける突然変異を伴うEGFRの活性を阻害し、野生型EGFRの活性を阻害し、及び/又はEGFRが過剰発現する又は活性化することを阻害する。
【0113】
本明細書に開示されたいくつかの実施形態は、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、被験体、又は肺癌細胞、膵臓癌細胞、大腸癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、頭頚部癌細胞、卵巣癌細胞、脳腫瘍癌細胞、及び腎癌細胞から選択される癌細胞を有するサンプルへと提供することを含み得る、EGFRの活性を阻害する方法に関し、またEGFRは、エクソン19における欠損、エクソン20における挿入、L858Rにおける突然変異、及び獲得性のEGFR T790M突然変異から選択される1つ以上を有し得る。本明細書にて開示されたその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害することであって、EGFRが、エクソン19における欠損、エクソン20における挿入、L858Rにおける突然変異、及び獲得性のEGFR T790M突然変異から選択される1つ
以上を有し得る、薬剤の製造における、本明細書に記載された有効量の化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物の使用に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。本明細書にて開示された依然としてその他の実施形態は、EGFRの活性を阻害することであって、EGFRが、エクソン19における欠損、エクソン20における挿入、L858Rにおける突然変異、及び獲得性のEGFR T790M突然変異から選択される1つ以上を有し得る、本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物に関し、悪性腫瘍又は悪性腫は本明細書に記載された癌が原因である。
【0114】
好適な癌の例としては、肺癌(例えば、肺腺癌及び非小細胞肺癌)、膵臓癌(例えば、外分泌膵性臓癌などの膵臓癌)、大腸癌(例えば、結腸腺癌及び結腸腺腫などの結腸直腸癌)、乳癌、前立腺癌、頭頸部癌(例えば、頭部および頸部の扁平上皮細胞癌)、卵巣癌、脳腫瘍(例えば、多形性膠芽腫などの神経膠腫)、及び腎臓癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本明細書に記載されたように、癌は、1種以上の抗癌剤に対する耐性を有し得るようになる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)、又は本明細書に記載された化合物(式(I)の化合物、若しくは薬剤として許容されるその塩)を含む医薬組成物を、1種以上の抗癌剤(1種以上のEGFR阻害剤など)に対して耐性を有し得るようになる癌の治療及び/又は緩和に使用することができる。被験体が発達した耐性を有する場合がある抗癌剤の例としては、第1世代EGFR阻害剤(ゲフィチニブ及びエルロチニブなど)、及び第2世代EGFR阻害剤(例えば、アファチニブ)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1種以上の抗ガン剤に対して耐性を有するようになった癌は、本明細書に記載された癌であり得る。
【0116】
いくつかの既知のEGFR阻害剤は、治療を施される被験体において、1種以上の望ましくない副作用を引き起こし得る。これらの副作用の2つの例は、高血糖症及び発疹である。この発疹は、軽いかさぶた、吹出物、粗さ、圧迫感、痒み及び/又は炎症を特徴とすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された化合物(例えば、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩)は、既知のEGFR阻害剤に関連した1種以上の副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩は、既知のEGFR阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ、及び/又はアファチニブなど)を受ける被験体により経験される同様の副作用の重症度と比較して、25%未満の副作用(本明細書に記載されたようなもののうち1つ)の重症度をもたらし得る。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩は、既知のEGFR阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、及び/又はアファチニブ)を受ける被験体により経験される副作用の数と比較して、25%未満の副作用の数をもたらす。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩は、既知のEGFR阻害剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ、及び/又はアファチニブなど)を受ける被験体により経験される同様の副作用の重症度と比較して、約10%~約30%の範囲においてより少ない副作用(本明細書に記載されたようなもののうち1つなど)の重症度をもたらす。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩は、既知のEGFR阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、及び/又はアファチニブ)を受ける被験体により経験される副作用の数と比較して、約10%~約30%の範囲未満の副作用の数をもたらす。
【0117】
EGFR活性の阻害に有益である、癌増殖の治療、緩和及び/又は阻害に使用され得る、1種以上の、式(I)の化合物、又は薬剤として許容されるその塩は、項目表題:「化合物」下において、段落[0073]~[0094]にて記載される任意の実施形態にて提供される。
【0118】
本発明で使用する場合、「被験体」とは、治療、観察又は実験の対象体である動物を意味する。「動物」としては、魚類、甲殻類、爬虫類、及び、特に、哺乳類などの、冷血脊椎動物及び温血脊椎動物、並びに冷血無脊椎動物及び温血無脊椎動物が挙げられる。「哺乳類」としては、限定することなく、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、サルと、チンパンジー、及びエイプ、並びに、特にヒトなどの、霊長類が挙げられる。いくつかの実施形態では、被検体はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、被験者は、子供及び/又は幼児、例えば、発熱を有する子供又は幼児であり得る。その他の実施形態では、被検体は大人であり得る。
【0119】
本発明で使用する場合、用語「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」とは、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾病又は病態の任意の望ましくない兆候又は症状の任意の程度の任意の軽減が、治療及び/又は療法と見なされ得る。なお、治療は、望ましくないと考えられ得る、疾病のその他の態様における又は無関係な器官系における影響を有ししつつ、被検体の全体的な健全的感覚又は外見を悪化させ得、かつ1種以上の疾病の症状又は態様に積極的な影響を及ぼし得る作用を含む。
【0120】
用語「治療有効量」及び「有効量」とは、指示された生物学的又は医学的反応を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、治療的有効量の化合物は、疾病の1種以上の症状若しくは病態を治療、緩和、又は改善する、又は治療される被検体の生存を延長させるために必要とされる量であり得る。本反応は、組織、器官系、動物又はヒトにおいて発生し得、また治療される疾病の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供の開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。
【0121】
例えば、有効量の化合物、又は放射線は、(a)癌により引き起こされる1種以上の症状の減少、緩和、又は消失、(b)腫瘍のサイズの減少、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患の安定化(増殖の制止)をもたらす量である。肺癌(例えば、非小細胞肺癌など)の治療においては、治療的有効量は、咳、息切れ及び/若しくは疼痛を緩和又は解消する、治療有効量である。別の例として、有効量、又は治療上有効な量のEGFR阻害剤は、EGFR活性及び/又はリン酸化反応の低下をもたらす量である。EGFR活性の低下は当業者に既知であり、またEGFR固有のキナーゼ活性及び下流基質リン酸化反応の分析により、決定することができる。
【0122】
用量として必要とされる本明細書にて開示された化合物の治療的有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性に依存する。用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろうその他の要因などの要因に依存する。
【0123】
癌を治療するための方法の有効性を決定するための種々の指標が、当業者に知られている。好適な指標の例としては、癌により引き起こされる1種以上の症状の減少、緩和、又は消失、腫瘍のサイズの減少、腫瘍の除去、及び/又は腫瘍の長期疾患の安定化(増殖の制止)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
当業者に容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投与量及び特定の投与
方法は、年齢、体重、苦痛の重症度、及び治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、並びにこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて異なる。有効な投与量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投与量レベルの決定は、日常的な方法、例えば、ヒト臨床試験、及びインビトロ研究を使用して、当業者により達成され得る。
【0125】
投与量は広範囲であってよく、所望の効果及び治療的効能に依存する。あるいは、投与量は、当業者により理解されているように、患者の表面積に基づいて計算されてよい。薬物別に正確な投与量が決定され得るにもかかわらず、ほとんどの場合、投与量に関して若干の汎化がなされ得る。成人ヒト患者のための日常投与量レジメンは、例えば、各有効成分の0.01mg~3000mgの間の経口用量、好ましくは1mg~700mg、例えば5~200mgであってよい。投与量は、被検体により必要とされるような、1日又はそれ以上の日にちのうちに所与される、単一投与量又は2つ以上の一連の投与量であってよい。いくつかの実施形態では、当該化合物は継続的な療法期間の間、例えば1週間以上、又は数か月若しくは数年間、投与され得る。
【0126】
少なくともいくつかの条件で、化合物に関するヒトへの投与が確立されている場合、これらの同一の投与量が使用されてよい、又は約0.1%~500%の間の投与量、より好ましくは、約25%~250%の確立されたヒトへの投与量が使用されてよい。ヒトへの投与量が確立されていない場合で、新たに発見された医薬組成物に関する事例となり得る際には、動物での毒性研究及び効能研究により適格となるような、ED50若しくはID50値、又はインビトロ研究若しくはインビボ研究から誘導されるその他の適切な値から、好適なヒトへの投与量が推定される。
【0127】
薬剤として許容される塩の投与の場合、投与量は、遊離塩基として計算され得る。当業者により理解されるように、ある特定の状況では、特に侵攻性の疾病又は感染症を効果的かつ積極的に治療するために、上記の好適な投与量範囲を超える、又ははるかに超える量で、本明細書にて開示された化合物を投与することが必要である場合がある。
【0128】
投与量及び間隔は、調節作用又は最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分である活性部分の血漿レベルを提供するように、個々に調節されてよい。MECは、各化合物に関して異なるが、インビトロデータから推定され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴及び投与経路に依存する。しかし、HPLCアッセイ又はバイオアッセイが、血漿濃度を決定するために使用され得る。投与間隔もまたMEC値を使用して決定され得る。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%、また最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して、投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関連しない場合がある。
【0129】
主治医が、毒性又は臓器機能不全により、投与をどのように及びいつ終了、中断、又は調節するのかを知ることに留意されたい。反対に、主治医は、臨床反応が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも知っている。対象となる疾患の管理において投与される用量の規模は、治療される病態の重症度並びに投与経路により変化する。病態の重症度は、例えば、部分的に標準的な予後評価方法により評価されてよい。更に、用量及び恐らく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び反応によっても変化する。上記で考察されるものに匹敵するプログラムが、獣医学で使用されてもよい。
【0130】
本明細書にて開示された化合物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットの毒物学は、哺乳動物、好ましくはヒト細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を決
定することにより確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して決定されてよい。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、及び/又は養生法を選択するための最先端の技術によって導かれ得る。
【実施例
【0131】
更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示され、それらは、特許請求の範囲を決して限定するものではない。
【0132】
中間体1
1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン-2-オン
【化32】
工程1:0℃におけるDCM(400mL)中の2-(2-ブロモフェニル)酢酸(22.0g、102.32mmol)のA溶液を、ヒューニッヒ塩基(53.47mL、306.97mmol)で処理し、続いてN1-((エチルアミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(29.42g、153.48mmol)、HOBt(21.41g、153.48mmol)、及び二環式[1.1.1]ペンタン-1-アミン塩酸塩(14.6g、122.78mmol)で処理した。本反応を室温(RT)まで加温して、一晩攪拌した。本反応を減圧下で濃縮し、シリカに吸着させて、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO2、ヘキサン/EtOAc)、N-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(2-ブロモフェニル)アセトアミド(23.0g、80%)を白色固体として提供した。LC/MS(APCI)m/z280.0[M+H]
【0133】
工程2:撹拌バーを伴うフレーム乾燥バイアル瓶へと、化合物N-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(2-ブロモフェニル)アセトアミド(5.0g、17.92mmol)を添加し、続いてPd(OAc)(1.2g、1.79mmol)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(1.03g、3.58mmol)、及びCsCO(8.75g、26.88mmol)を添加した。反応バイアル瓶をArでパージして、脱気させたトルエン(180mL)を添加した。本混合物を100℃で4時間加熱した。本反応を室温まで冷却して減圧下で濃縮し、粗生成物を提供した。カラムクロマトグラフィーによる粗生成物の精製(SiO、ヘキサン/EtOAc)により、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン-2-オン(2.88g、81%)を黄色固体として得た。H-NMR(400MHz、CDCl)δ7.26~7.19(m、2H)、7.09(d、J=8.0Hz、1H)、7.01(t、J=7.6、1H)、3.46(s、2H)、2.59(s、1H)、2.46(s、6H)、LC/MS(APCI)m/z200.1[M+H]
【0134】
中間体2
1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン
【化33】
工程1:フレーム乾燥圧力チューブに、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン(15g、50.5mmol)及びジブチルエーテル(15mL)を充填した。反応を-45℃まで冷却して、PhLi(ジブチルエーテル中で53.2mL、101mmol、1.8M)を、注射器によりゆっくりと添加した。同一温度にて5分間、本混合物を撹拌した。反応温度を0℃まで加温することが許容され、かつ反応が室温までもたらされて粗製[1.1.1]プロペランの溶液を提供する点にて、氷浴内で2時間撹拌した。
【0135】
工程2:別々のフラスコ内で、ジブチルエーテル(15mL)中のインドリンの溶液(11.4mL、101mmol)を、室温にて滴下漏斗を介してiPrMgCl・LiCl(THF中で92mL、102mmol、1.11M)で処理した。室温で2時間撹拌した後、部分様式で、溶液を上述の粗製[1.1.1]プロペラン溶液へと添加した。反応容器を、テフロン(Teflon)(登録商標)圧力キャップで封をした。本反応を油浴に移して、60℃にて16時間攪拌した。反応を次に、油浴から取り出し、氷浴内で冷却して、sat水溶液NHClを用いてゆっくりと急冷した。反応を、次にEtOAcで希釈して、分離漏斗内へと移動させた。層を分離させて、NaSOを用いて合一させた有機層を乾燥させ、濾過し、かつ減圧下にて濃縮させた。減圧下にて残留溶媒を除去して、カラムクロマトグラフィーにより粗製材料を精製(SiO、ヘキサン/EtOAc)し、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン(2.20g、23%)を黄色の油として提供した。H-NMR(400MHz、CDCl)δ7.13~6.89(m、2H)、6.76(d、J=7.8Hz、1H)、6.67(dt、J=7.4、0.9Hz、1H)、3.36(t、J=8.4Hz、2H)、2.93(t、J=8.4Hz、2H)、2.48(s、1H)、2.10(s、6H)。
【0136】
中間体3
1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール
【化34】
方法A
1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン-2-オン(3.6g、18.09mmol)を、0℃まで冷却して、水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中で1M、20.3mL、32.6mmol)を滴下して処理した。本反応を室温まで温めて、2時間撹拌した。混合物を0℃まで冷却して、MeOH(10mL)で急冷した。混合物を、ジクロロメタンを用いてセライトパッドに通して濾過し、NaSOにわたって乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーにより残留物を精製(SiO、ヘキサン/EtOAc)して、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(1.98g、60%)を淡黄色の油として提供した。H-NMR(400MHz、CDCl)δ7.62(d、J=7.8Hz、1H)、7.56(d、J=8.2Hz、1H)、7.22~7.18(m、1H)、7.13~7.08(m、1H)、7.07(d、J=3.2Hz、1H)、6.46(d、J=3.2Hz
、1H)、2.67(s、1H)、2.42(s、6H)、LC/MS(APCI)m/z184.1[M+H]
【0137】
方法B
CHCl(5mL)中の化合物1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン(100mg、0.54mmol)の溶液を、MnOで処理して、室温にて攪拌した。20時間後、セライトにわたって反応を濾過し、かつCHClを用いてセライトを洗浄した。混ぜ合わせた濾液を、減圧下にて濃縮して、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(79mg、80%)を茶色の油として得た。
【0138】
実施例1
N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド
【化35】
工程1:DME(10mL)中の、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(580mg、3.27mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、2,4-ジクロロピリミジン(430mg、3.27mmol)及び塩化アルミニウム(654mg、4.90mmol)を添加した。本反応を80℃まで加熱して、16時間攪拌した。混合物を、次に、氷冷水(100mL)中に注ぎ込んで、沈殿物を濾過により収集し、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1H-インドール(500mg、1.69mmol、53%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(ESI)m/z296.1[M+H]
【0139】
工程2:2-ペンタノール(20mL)中の、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1H-インドール(525mg、1.77mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(331mg、1.77mmol)及びp-トルエンスルホン酸(33mg、0.17mmol)を添加した。本反応を80℃まで加熱して、16時間攪拌した。混合物を、次に、氷冷水(100mL)中に注ぎ込んで、沈殿物を濾過により収集し、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ピリミジン-2-アミン(400mg、0.89mmol、80%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(ESI)m/z446.1[M+H]
【0140】
工程3:DMA(15mL)中の、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ピリミジン-2-アミン(420mg、0.943mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、N1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(0.2mL、1.42mmol)及びDIPEA(0.3mL、1.22mmol)を添加した。
本混合物を90℃まで温めた。5時間後、本反応を室温まで冷却し、水(40mL)で希釈して、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合一させた有機層を水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、N1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N4-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-2-メトキシ-N4-メチル-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(350mg、0.66mmol、70%)を明るい赤色の固体として得た。LC/MS(ESI)m/z528.1[M+H]
【0141】
工程4:THF中のN1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N4-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-2-メトキシ-N4-メチル-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(380mg、0.72mmol)の攪拌した溶液へと、EtOAc(1:1、10mL)を10%のPd/C(150mg)にて添加し、かつ本反応を室温にて水素(1atm)下で2時間撹拌した。混合物をセライトに通して濾過して、減圧下で濃縮して、N4-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N1-(2-ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミン(350mg、0.70mmol、96%)をオフホワイト色の固体として得た。LC/MS(ESI)m/z498.4[M+H]
【0142】
工程5:THF及び水(1:1、10mL)中の、N4-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N1-(2-ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミン(200mg、0.40mmol)の攪拌した溶液へと、0℃にて、DIPEA(0.2mL、0.80mmol)を添加し、続いて塩化アクリロイル(0.05mL、0.60mmol)を添加した。30分後、本反応を水(30mL)で希釈して、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合一させた有機層を水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。30%の水性のギ酸(0.1%)を使用して、アセトニトリル中で、得られた残留物をReveleris C-18逆相カラムにより精製して、N-(5-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド(70mg、0.12mmol、35%)をオフホワイト色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO-d)δ10.1(s、1H)、8.84(s、1H)、8.32~8.16(m、3H)、7.99(s、1H)、7.66(d、J=8.4Hz、1H)、7.26(d、J=5.4Hz、1H)、7.19(dd、J=7.2、7.2Hz、1H)、7.09(dd、J=7.2、7.8Hz、1H)、7.01(s、1H)、6.44~6.35(m、1H)、6.19(dd、J=1.8、16.8Hz、1H)、5.70(dd、J=1.8、10.2Hz、1H)、3.80(s、3H)、2.88(t、J=5.4Hz、2H)、2.70(s、3H)、2.69(s、1H)、2.43(s、6H)、2.32(t、J=5.4Hz、2H)、2.21(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z552.5[M+H]
【0143】
中間体4
3-(1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル
【化36】
工程1:DCM(18.14mL)中で、2-(2-ブロモフェニル)酢酸(1.17g、5.44mmol)の溶液へと、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.369mL、13.60mmol)を添加して、続いてN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド(1.267g、8.16mmol)及びHOBt(一水和物)(1.250g、8.16mmol)を添加した。本混合物に、メチル3-アミノ二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート塩酸塩(0.966g、5.44mmol)を添加した。本混合物を室温で一晩撹拌した。LCMSが、生成物の形成を示した。本反応を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離して、塩化アンモニウムのsat水溶液を用いて洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、ヘキサン/EtOAc)、メチル3-(2-(2-ブロモフェニル)アセトアミド)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(1.51g、4.46mmol、82%)を得た。LC/MS(ESI)m/z338.0[M+H]
【0144】
工程2:3-(2-(2-ブロモフェニル)アセトアミド)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(1.58g、4.67mmol)、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、99%(0.271g、0.934mmol)、パラジウム(II)アセテート(0.105g、0.467mmol)及び炭酸セシウム(1.352g、7.01mmol)の混合物へと、トルエン(23.36mL)を添加した。本混合物を、数分間Nと重ねて、次に100℃にて4時間加熱した。混合物を、次にセライトのパッドに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、セライト上に吸着させて、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、ヘキサン/EtOAc)、メチル3-(2-(2-オキソインドリン-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(639mg、2.484mmol、53.2%)を得た。LC/MS(ESI)m/z258.1[M+H]
【0145】
工程3:THF(24.88mL)中で、メチル3-(2-(2-オキソインドリン-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(1.28g、4.98mmol)の溶液へと、0℃にて、水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(THF中で1M、29.9mL、29.9mmol)を添加した。本反応を緩やかに室温まで温め、1時間攪拌した本反応をMeOH(6mL)で急冷し、次に、酢酸エチル及び塩化アンモニウムのsat水溶液で希釈した。エマルジョンが形成されて、セライトパッドを貫通した。濾液を収集して、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、ヘキサン/EtOAc)、(3-(1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)メタノール(720mg、3.38mmol、67%)を得た。LC/MS(ESI)m/z214.1[M+H]
【0146】
工程4:アセトニトリル(1407μl)及び水(156μl)中で、(3-(1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)メタノール(100mg、0.469mmol)の溶液へと、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシ(7.33mg、0.047mmol)及び酢酸アンモニウム(181mg、2.344mmol)を添加した。次に、ヨードソベンゼンI,I-ジアセテート(332mg、1.032mmol)を添加した。本混合物を室温で2時間撹拌し、次に減圧下で濃
縮した。本粗生成物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離して、チオ硫酸ナトリウムのsat水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、ヘキサン/EtOAc)、3-(1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(21mg、0.101mmol、21%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.65~7.60(m、1H)、7.42~7.40(m、1H)、7.26~7.25(m、1H)、7.16~7.14(m、1H)、6.97(s、1H)、6.50(s、1H)、2.87(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z209.1[M+H]
【0147】
実施例2
N-(5-((4-(1-(3-シアノ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド
【化37】
工程1:DME(3201μL)中で、2,4-ジクロロピリミジン(172mg、1.152mmol)の溶液へと、3-(1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(200mg、0.960mmol)及び三塩化アルミニウム(192mg、1.441mmol)を添加した。本混合物を80℃まで加熱して10時間攪拌した。混合物を酢酸エチル及び水で希釈して、次にセライトパッドに貫通させた。収集した濾液からの有機層を分離して、NaSO上で乾燥させて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、ヘキサン/EtOAc)、3-(3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(168mg、0.524mmol、54%)を得た。LC/MS(ESI)m/z321.1[M+H]
【0148】
工程2:2-プロパノール(5.23mL)中で、3-(3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(168mg、0.524mmol)の溶液へと、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(97mg、0.524mmol)を添加し、続いて4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(19.92mg、0.105mmol)を添加した。本混合物を80℃にて10時間加熱した。追加の4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(19.4mg、0.104mmol)及び2-プロパノール(2mL)を、反応に添加し、かつ混合物を80℃にて3時間加熱した。反応を室温まで冷却して、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離して、重炭酸ナトリウムのsat水溶液及び食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮させた。得られた残留物を、ジエチルエーテルを用いて粉砕して、3-(3-(2-((4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(182mg、0.387mmol、73%)を得た。LC/MS(ESI)m/z471.1[M+H]
【0149】
工程3:DMA(3826μL)中で、3-(3-(2-((4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(180mg、0.383mmol)の溶液へと、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(133μL、0.765mmol)を添加し、続いてN1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(58.6mg、0.574mmol)を添加した。本混合物を70℃にて2時間加熱した。混合物を、次に冷水中に注ぎ込んで、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合一させた有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮させた。本粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、CHCl/MeOH)、3-(3-(2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(120mg、0.217mmol、56%)を得た。LC/MS(ESI)m/z553.3[M+H]
【0150】
工程4:6N水溶液中で、3-(3-(2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル(50mg、0.090mmol)の溶液へと添加した。HCL(1.81mL)にIron(50.5mg、0.905mmol)を添加した。本混合物を60℃で45分間加熱した。本反応を、次に室温まで冷却して濾過した。溶剤を蒸発させて、エーテルを用いて残留物を粉砕した。形成された沈殿物を濾過して乾燥させ、3-(3-(2-((5-アミノ-4-((2-ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル塩酸塩(50mg、0.089mmol、99%)を得て、更なる精製無しに次の工程に使用した。LC/MS(ESI)m/z523.3[M+H]
【0151】
工程5:THF(1.72mL)及びDMF(0.52mL)中で、3-(3-(2-((5-アミノ-4-((2-ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-インドール-1-イル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボニトリル塩酸塩(50mg、0.089mmol)の溶液へと、0℃にて、DIPEA(156μl、0.894mmol)を添加した。THF(0.2mL)中で、本混合物へと、塩化アクリロイル(8.09mg、0.089mmol)を添加した。本混合物を0℃にて10分間撹拌して、次に酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させて濃縮させた。HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により粗生成物を精製して、N-(5-((4-(1-(3-シアノ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド(6mg、10.40μmol、11%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ10.05(s、1H)、8.81(s、1H)、8.40~8.30(m、3H)、8.19(s、1H)、7.72~7.70(m、1H)、7.33~7.31(m、2H)、7.29~7.27(m、1H)、7.06(s、1H)、6.55~6.47(m、1H)、5.81~5.78(m、1H)、3.87(s、3H)、3.02~3.01(m、8H)、2.75(s、3H)、2.60~2.28(m、9H)、LC/MS(ESI)m/z577.3[M+H]
【0152】
実施例3
N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-5-シアノピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメ
チルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド
【化38】
工程1:ジメトキシエタン(14.4mL)中での、2,4-ジクロロピリミジン-5-カルボニトリル(500mg、2.87mmol)の溶液へと、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(実施例1の工程-3から、527mg、2.87mmol)及び三塩化アルミニウム(575mg、4.31mmol)を添加した。本混合物を80℃にて2時間加熱して、酢酸エチル/水で希釈した。有機層を分離して、NaSO上で乾燥させて濃縮し、ヘキサン中で0~20%の酢酸エチルを使用してカラムクロマトグラフィーにより精製し、不純生成物を得た(ジアルキル化生成物と共に溶出した)。不純化合物を、再度シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し(SiO、ヘキサン/EtOAc)、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-クロロピリミジン-5-カルボニトリル(195mg、0.608mmol、21%)を得た。LC/MS(ESI)m/z321.1[M+H]
【0153】
工程2:2-プロパノール(0.623mL)中で、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-クロロピリミジン-5-カルボニトリル(20mg、0.062mmol)の溶液へと、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(11.61mg、0.062mmol)を添加し、続いて4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(2.372mg、0.012mmol)を添加した。本混合物を80℃で6時間撹拌した。本反応を室温まで冷却した。得られた残留物を濾過して、2-プロパノールを用いて洗浄して乾燥させて、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-((4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(21mg、0.045mmol、71%)を得て、精製無しに次の工程に使用した。LC/MS(ESI)m/z471.2[M+H]
【0154】
工程3:DMA(3mL)中で、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-((4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(100mg、0.213mmol)の溶液へと、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.074mL、0.425mmol)を添加し、次にDMA(0.2mL)中で、N1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(21.72mg、0.213mmol)を添加した。本混合物を70℃で1時間加熱した。混合物を、次に室温まで冷却して、冷水中に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出した。合一させた有機層を食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、CHCl/MeOH)、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(78mg、0.141mmol、66%)を得た。LC/MS(ESI)m/z553.1[M+H]
【0155】
工程4:水溶液中で、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(50mg、0.090mmol)の溶液へと添加した。HCL(2mL、12.0mmol)にIron(50mg、0.895mmol)を添加した。本混合物を70℃まで加熱した。30分後、反応を室温まで冷却した。反応を減圧下で濃縮して、エーテルを用いて得られた残留物を粉砕した。沈殿物を収集して乾燥させ、2-((5-アミノ-4-((2-ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボニトリル塩酸塩(50mg、0.089mmol、99%)を得て、更なる精製無しに次の工程に使用した。LC/MS(ESI)m/z523.1[M+H]
【0156】
工程5:テトラヒドロフラン(4mL)中で、2-((5-アミノ-4-((2-ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボニトリル(47mg、0.090mmol)の溶液へと、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.078mL、0.450mmol)を0℃にて添加し、続いてTHF(0.2mL)中で、塩化アクリロイル(8.14mg、0.090mmol)を添加した。本混合物を0℃にて10分間撹拌し、この時点で追加の塩化アクリロイル(1.62mg、0.018mmol)を0℃にて添加した。10分後、本反応を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮し、HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により精製して、N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-5-シアノピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド(15mg、0.026mmol、28.9%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ10.08(s、1H)、9.47(s、1H)、8.70(s、1H)、8.38~8.35(m、2H)、7.71~7.69(m、1H)、7.23~7.20(m、1H)、7.07~7.05(m、1H)、6.43~6.39(m、1H)、6.20~6.16(m、1H)、5.74~5.71(m、1H)、3.73(s、3H)、2.93~2.92(m、2H)、2.76(s、3H)、2.75(s、1H)、2.49(s、6H)、2.48~2.38(m、2H)、2.21(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z577.3[M+H]
【0157】
中間体5
3-((ジメチルアミノ)メチル)-N-メチル二環式[1.1.1]ペンタン-1-アミン
【化39】
工程1:3-(メトキシカルボニル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(5g、29.4mmol)の溶液へと、0℃にて、塩化オキサリル(7.57mL、88mmol)及びジメチルホルムアミド(0.023mL、0.294mmol)を添加した。本混合物を室温で2時間撹拌した。溶剤を蒸発させた。粗製をジクロロメタン(50mL)中に溶解させて、ジクロロメタン(50mL)中で、0℃にて、ジメチルアミンの溶液(MeOH中で2M、29.4mL、58.8mmol)を添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、続いてDCM/水との間で分画した。有機層を分離し、NaSO
上で乾燥させて減圧下で濃縮し、メチル3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(5.67g、28.7mmol、98%)をオフホワイトの固体として得た。LC/MS(APCI)m/z198.1[M+H]
【0158】
工程2:テトラヒドロフラン(40.0mL)及びHO(13.3mL)中で、メチル3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(5.67g、28.7mmol)の溶液へと、0℃にて、水酸化リチウム一水和物(1.810g、43.1mmol)を添加した。本混合物を室温まで温めて、2日にわたって撹拌した。有機溶剤を減圧下で除去して、本反応を水で希釈した。本混合物へと、Dowex(登録商標)Marathon(商標)C水素形態(60g)を添加して、本反応を1時間撹拌した。本反応を濾過し、かつ濾液を濃縮して、3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(5.1g、27.8mmol、97%)を白色の固体としてを得た。LC/MS(APCI)m/z184.1[M+H]
【0159】
工程3:tBuOH(9.0mL)中で、3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(331mg、1.81mmol)の溶液へと、3Aモレキュラーシーブ(400mg)を添加し、続いてトリエチルアミン(0.504mL、3.61mmol)及びジフェニルホスホラジデート(0.466mL、2.17mmol)を添加した。混合物を30℃で2時間撹拌し、次いで85℃まで一晩加熱した。本反応を減圧下で濃縮して、カラムクロマトグラフィーにより精製して(SiO、DCM/MeOH)、tert-ブチル(3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(160mg、1.81mmol、35%)を得た。LC/MS(APCI)m/z155.1[C1322-C+H]
【0160】
工程4:THF(6.9mL)中で、tert-ブチル(3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(350mg、1.38mmol)の溶液を0℃まで冷却して、NaH(鉱油中で60%の分散、83mg、2.06mmol)で処理した。10分後、ヨードメタン(258μL、4.1mmol)を添加した。16時間後、追加のヨードメタン(258μL、4.1mmol)を添加した。2時間後、水の追加により反応を急冷した。混合物をEtOAc及びHOで希釈し、かつEtOAcで抽出した。合一させた有機層をNaSO上で乾燥させて、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、DCM/MeOH)により精製された粗生成物を得て、tert-ブチル(3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)カルバメート(209.4mg、57%)を無色の油として得た。LC/MS(APCI)m/z169.1[C1424-C+H]
【0161】
工程5:THF(3.1mL)中で、tert-ブチル(3-(ジメチルカルバモイル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)カルバメート(209.0mg、1.38mmol)の溶液を0℃まで冷却して、次にBH・THF(THF中で1M、3.12mL、3.12mmol)で処理した。本反応を35℃まで温めて3時間撹拌し、次に45℃にて4日間撹拌した。本反応を、MeOHの追加により0℃にて急冷した。本混合物を減圧下で濃縮して、MeOHで希釈して、再濃縮(3回)した。水中で20~60%のアセトニトリルを使用して、逆相HPLCにより粗生成物を精製して、tert-ブチル(3-(ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)カルバメート(196mg、99%)を無色の油として得た。LC/MS(APCI)m/z255.2[M+H]
【0162】
工程6:EtOAc(3.89mL)中で、tert-ブチル(3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)カルバメート(198mg、0.778mmol)の溶液を0℃まで冷却して、塩化水素(ジオキサン中で4M、1.95mL、7.78mmol)で処理した。本混合物を室温で2時間撹拌した。本反応を次に濃縮して、3-((ジメチルアミノ)メチル)-N-メチル二環式[1.1.1]ペンタン-1-アミンジヒドロクロリド(170mg、96%)をオフホワイト色の固体として提供した。LC/MS(APCI)m/z155.2[M+H]
【0163】
実施例4
N-(2-((3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)アミノ)-4-メトキシ-5-((4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド
【化40】
工程1:実施例1からの工程1に記載されているような同一手順に従って、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドールの代わりに1-メチル-1H-インドールを反応させることにより、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドールを合成して、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドール(15%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ8.43(d、J=5.2Hz、1H、)、8.31~8.30(m、1H)、7.92(s、1H)、7.46(d、J=5.2Hz、1H、)、7.40~7.32(m、3H)、3.86(s、3H)。
【0164】
工程2:イソプロピルアルコール(10mL)中で、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドール(50mg、0.205mmol)、及び4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(40mg、0.215mmol)の溶液へと、4-メチルベンゼンスルホン酸(45mg、0.261mmol)を添加した。得られた混合物を105℃で2.5時間加熱した。本混合物を室温まで冷却した。沈殿物を濾過により収集し、2-ペンタノール(50mL)で洗浄して、減圧下にて乾燥させて、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンを、黄色の固体(51mg、62%)として得た。LC/MS(ESI)m/z394.1[M+H]
【0165】
工程3:ジメチルスルホキシド(4mL)中で、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(200mg、0.508mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.328mg、2.54mmol)の溶液へと、3-((ジメチルアミノ)メチル)-N-メチル二環式[1.1.1]ペンタン-1-アミン(117mg、0.762mmol)を添加した。本混合物を100℃で24時間加熱した。混合物を室温まで冷却して、ジクロロメタン及び水で希釈した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させて減圧下で濃縮した。粗生成物を、HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により精製し、N1-(3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1
.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(140mg、52%)を得た。LC/MS(ESI)m/z528.6[M+H]
【0166】
工程4:酢酸(1mL)中で、アルゴン下にて、N1-(3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(50mg、0.095mmol)の溶液へと、鉄粉(27mg、0.475mmol)を添加した。本混合物を50℃で1時間撹拌した。混合物を、次に室温まで冷却して濾過し、酢酸中の溶液として、N1-(3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4-トリアミンを得て、更なる精製無しに次の工程に使用した。LC/MS(ESI)m/z498.7[M+H]
【0167】
工程5:酢酸(工程4から得られた)中で、N1-(3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4-トリアミンの溶液へと、0℃にて、DCM(0.2mL)中で、塩化アクリロイル(8.59mg、0.095mmol)を添加した。15分後、本反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させて濃縮し、HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により精製して、N-(2-((3-((ジメチルアミノ)メチル)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)アミノ)-4-メトキシ-5-((4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド(20mg、42%)を得た。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ9.38(s、1H)、9.20(s、1H)、8.97(s、1H)、8.69(s、1H)、8.32(d、J=5.6Hz、1H)、8.25(m、1H)、7.54(d、J=8.4Hz、1H)、7.29~7.24(m、2H)、7.17(t、J=7.2Hz、1H)、6.92(s、1H)、6.80~6.73(m、1H)、6.24(dd、J=16.8、1.6Hz、1H)、5.73(d、J=10.0Hz、1H)、3.92(s、3H)、3.86(s、3H)、3.29(d、J=4.8Hz、2H)、2.73(s、9H)、1.87(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z552.6[M+H]
【0168】
実施例5
N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド
【化41】
工程1:水素化ナトリウム(鉱油中で60%の分散、598mg、14.94mmol)を、4-クロロ-2-メチルチオピリミジン(1.45mL、12.45mmol)、2-フルオロ-ベンズアルデヒド(1.57mL、14.94mmol)及び1,3-ジメチルイミダゾリウムヨウ化物(4.15mmol)の撹拌溶液へと添加した。得られた混合物を還流状態にて4時間加熱した。混合物を室温まで冷却して、次に酢酸エチル及び水との間で分画した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させて濾過して、減圧下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2-フルオロフェニル)-(2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-メタノンを、淡黄色の固体(2g、64%)として得た。LC/MS(ESI)m/z249.2[M+H]
【0169】
工程2:ジメチルアセトアミド(3mL)中で、(2-フルオロフェニル)-(2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-メタノン(50mg、0.2mmol)、二環式[1.1.1]ペンタン-1-イルヒドラジン(23.5mg、0.24mmol)、及び炭酸セシウム(282.25mg、0.8mmol)の混合物を、150℃にて8時間加熱した。本混合物を、次にジクロロメタン(50mL)で希釈して、水(2×20mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により精製し、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-(メチルチオ)ピリミジン-4-イル)-1H-インダゾールを、赤色の油(30mg、0.097mmol、48%)として得た。LC/MS(ESI)m/z309.4[M+H]
【0170】
工程3:ジクロロメタン(10mL)中で、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-(メチルチオ)ピリミジン-4-イル)-1H-インダゾール(1.2g、3.89mmol)の溶液へと、2-クロロ安息香酸(1.21g、7.78mmol)を添加した。本混合物を室温で一晩撹拌した。得られた懸濁液を濾過して、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を濃縮して、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-(メチルスルフォニル)ピリミジン-4-イル)-1H-インダゾールを、淡黄色の固体(1.25g、3.68mmol、94%)として得た。LC/MS(ESI)m/z341.4[M+H]
【0171】
工程4:無水THF(5mL)中で、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-3-(2-(メチルスルフォニル)ピリミジン-4-イル)-1H-インダゾール(340mg、1.0mmol)及び4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロ-フェニルアミン(223.2mg、1.2mmol)の溶液へと、水素化ナトリウム(60mg、1.5mmol、鉱油中で60%の分散)を添加した。本混合物を60℃で一晩撹拌した。本混合物を、次に水で希釈してDCMで洗浄した。有機層を、NaSO上で乾燥させて濃縮した。HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により残留物を精製して、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ピリミジン-2-アミン(98mg、0.22mmol、22%)を得た。LC/MS(ESI)m/z447.5[M+H]
【0172】
工程5:ジメチルアセトアミド(3mL)中で、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)-N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ピリミジン-2-アミン(100mg、0.224mmol)の溶液へと、N,N,N-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(45.7mL、0.448mmol)を添加した。本混合物を100℃で2時間撹拌し、次いで室温へと冷却した。本混合物を水で希釈して、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合
一させた有機層を、NaSO上で乾燥させて濃縮させた。HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により残留物を精製して、N1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N4-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-2-メトキシ-N4-メチル-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(60mg、0.114mmol、50%)を得た。LC/MS(ESI)m/z529.3[M+H]
【0173】
工程6:酢酸(2mL)中で、N1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N4-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-2-メトキシ-N4-メチル-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(60mg、0.114mmol)した溶液へと、Ar下にて、鉄粉(31mg、0.57mmol)を添加した。本混合物を60℃で1時間撹拌した。混合物を、次に室温へと冷却して濾過した。本混合物を、酢酸中で、N4-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミンの溶液として直接使用した。LC/MS(ESI)m/z499.7[M+H]
【0174】
工程7:工程6(実施例5)にて得られた酢酸中で、N4-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-N1-(2-ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミンの溶液へとジクロロメタン(0.2mL)中で、塩化アクリロイル(12.32mg、0.137mmol)を添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。本混合物を次に濾過して、濾液を濃縮させた。残留物を、HPLC(10:90~80:20 0.1%のHCOH(水溶液):MeCN)により精製し、N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インダゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドを、茶色様の固体(20mg、0.036mmol、2つの工程にわたって31%)として得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ9.61(s、1H)、8.58(s、1H)、8.47~8.44(m、2H)、8.34(s、1H)、7.83(d、J=8.4Hz、1H)、7.46~7.43(m、2H)、7.21~7.18(m、1H)、7.02(s、1H)、6.68~6.60(m、1H)、6.28(d、J=16.8Hz、1H)、5.78(d、J=10.0Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.33~3.27(m、4H)、2.82~2.81(m、6H)、2.76(s、1H)、2.52(s、3H)、2.51(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z553.4[M+H]
【0175】
実施例6
N-(2-((3-((ジメチルアミノ))二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)アミノ)-4-メトキシ-5-((4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド
【化42】
工程1:ジメトキシエタン(30mL)中で、2,4-ジクロロピリミジン(2.637g、20.13mmol)の撹拌した懸濁液へと、三塩化アルミニウム(2.67g、20.134mmol)を10℃にて添加した。混合物を10℃で15分間撹拌した。1-メチル-1H-インドール(3.0g、20.13mmol)を添加して、本混合物を還流下で2時間加熱した。本混合物を室温まで冷却して、水(30mL)中に注ぎ込み、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合一させた有機層を水(30mL)及び食塩水(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドール(3.0g、12.34mmol、61%)を得た。LC/MS(ESI)m/z244.3[M+H]
【0176】
工程2:2-ペンタノール(40mL)中で、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドール(4g、16.46mmolの撹拌した溶液へと、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(3.06g、16.46mmol)及びp-トルエンスルホン酸(0.312g、1.65mmol)を添加した。本反応を80℃まで加熱した。16時間後、本混合物を室温まで冷却して、水(40mL)で希釈した。得られた固体を濾過して乾燥させ、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(4.0g、10.18mmol、62%)を得た。LC/MS(ESI)m/z394.20[M+H]
【0177】
工程3:ジメチルスルホキシド(50mL)中で、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(1.0g、2.54mmol)の撹拌した溶液へと、N1,N1,N3-トリメチル二環式[1.1.1]ペンタン-1,3-ジアミン塩酸塩(0.537g、3.05mmol、中間体1、工程-10)及び炭酸カリウム(0.701g、5.08mmol)を添加した。本混合物を65℃で16時間加熱した。混合物を、次に室温まで冷却して、水(20mL)中に注ぎ込み、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合一させた有機層を水(20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、N1-(5-メトキシ-4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-2-ニトロフェニル)-N1,N3,N3-トリメチル二環式[1.1.1]ペンタン-1,3-ジアミン(0.420g、0.818mmol、32%)を得た。LC/MS(ESI)m/z514.1[M+H]
【0178】
工程4:酢酸エチル中で、N1-(5-メトキシ-4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-2-ニトロフェニル)-N1,N3,N3-トリメチル二環式[1.1.1]ペンタン-1,3-ジアミン(0.400g、0.779mmol)の撹拌した溶液へと、テトラヒドロフラン(10mL)を10%の湿性のPd/C(100mg)にて添加した。本反応を、室温にて水素雰囲気下(60psi)で6時間攪拌した。混合物をセライトに通して濾過し、有機画分を濃縮して、N1-(3-(ジメチルアミノ)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキ
シ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4-トリアミン(260g、0.538mmol、69%)を得た。LC/MS(ESI)m/z484.1[M+H]
【0179】
工程5:テトラヒドロフラン:水(25mL)中で、N1-(3-((ジメチルアミノ)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4-トリアミン(0.270g、0.559mmol)の撹拌した懸濁液へと、3-クロロプロパノール塩化物(7.10mg、0.559mmol)を添加した。本反応を5℃で15分間撹拌した。本混合物に水酸化ナトリウム(89.0mg、2.236mmol)を添加して、本混合物を室温で16時間攪拌した。混合物を水(5mL)中に注ぎ込み、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合一させた有機層を水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、N-(2-((3-(ジメチルアミノ)二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)(メチル)アミノ)-4-メトキシ-5-((4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド(0.110g、0.204mmol、37%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)δ9.86(s、1H)、9.07(s、1H)、8.78(s、1H)、8.38(d、J=5.6Hz、1H)、8.14~8.04(m、2H)、7.81(s、1H)、7.40(d、J=7.2Hz、1H)、7.28~7.26(m、1H)、7.22(d、J=5.2Hz、1H)、6.71(s、1H)、6.45~6.37(m、2H)、5.77(dd、J=7.2、2.0Hz、1H)、4.0(s、3H)、3.88(s、3H)、2.70(s、3H)、2.27(s、6H)、1.82(s、6H)、LC/MS(ESI)m/z538.5[M+H]
【0180】
中間体6
1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール
【化43】
工程1:CHCL(40mL)中で、2-(2-ブロモフェニル)酢酸(2.0g、9.30mmol)の溶液へと、0℃にて、ヒューニッヒ塩基(4.8mL、27.90mmol)、N1-((エチルアミノ)メチレン)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(2.67g、13.95mmol)、及びHOBt(2.1g、13.90mmol)を添加し、続いて二環式[1.1.1]ペンタン-1-アミン塩酸塩(1.52g、11.16mmol)を添加した。本混合物を室温で16時間攪拌した。反応終了後、混合物を減圧下にて濃縮し、SiO(100~200メッシュ、溶出液:石油エーテル中の15%の酢酸エチル)にてクロマトグラフィーにより精製された残留物を得て、2-(2-ブロモフェニル)-N-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミドを、白色固体(1.2g、43%)として得た。MS(ESI)m/z298.11[M+H]
【0181】
工程2:撹拌バーを伴うフレーム乾燥バイアル瓶へと、2-(2-ブロモフェニル)-N-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(0.85g、2.86mmol)を添加し、続いてPd(OAc)(0.19g、0.28mmol)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.16g、0
.57mmol)、及びCsCO(1.39g、4.29mmol)を添加した。反応バイアルを、アルゴンでパージした。脱気させたトルエン(30mL)を加え、100℃で4時間加熱した。反応終了後に(TLC)、セライトのパッドに通して本混合物を濾過し、EtOAc(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下にて濃縮して、SiO(100~200メッシュ、溶出液:石油エーテル中の5%の酢酸エチル)にてクロマトグラフィーにより精製された残留物を得て、1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン-2-オンを、オフホワイト色の固体(0.37g、60%)として得た。MS(ESI)m/z218.32[M+H]
【0182】
工程3:THF(10mL)中で、1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)インドリン-2-オン(0.5g、2.48mmol)の溶液へと、-78℃にて、DIBAL-H(1Mのトルエン、6.2mL、6.21mmol)を滴下して添加した。本混合物を-78℃で2時間攪拌した。反応終了後(TLC)、混合物を0℃まで冷却して、MeOH(10mL)で急冷した。本混合物を、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAc(30mL)を用いて洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下にて濃縮した。得られた残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:石油エーテル中の2%の酢酸エチル)にてクロマトグラフィーにより精製して、1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1Hインドールを、淡黄色の液体(0.27g、58%)として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.61(d、J=7.6Hz、1H)、7.42(d、J=7.6Hz、1H)、7.21(t、J=8.0Hz、1H)、7.13(t、J=8.0Hz、1H)、6.98(d、J=3.6Hz、1H)、6.50(d、J=3.6Hz、1H)、2.73(s、6H)、MS(ESI)m/z202.1[M+H]
【0183】
実施例7
N-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-5-((4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド
【化44】
工程1:DME(1.6mL)中で、1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(100mg、0.49mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、2,4-ジクロロピリミジン(74mg、0.49mmol)を添加し、続いてAlCl(99mg、0.74mmol)を添加した。本混合物を80℃で16時間撹拌した。反応終了後に(TLC)、混合物を、ジクロロメタン(5mL)で希釈し、水で洗浄し、続いて食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下にて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:石油エーテル中の10%の酢酸エチル)にてクロマトグラフィーにより精製して、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドールを、淡黄色の固体(80mg、51%)として得た。MS(ESI)m/z313.92[M+H]
【0184】
工程2:2-ペンタノール(8mL)中で、3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール(180mg、0.57mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリン(107mg、0.57mmol)及びPTSA(10mg、0.05mmol)を添加した。本混合物を80℃で16時間撹拌した。反応終了後に、混合物を、EtOAc(5mL)で希釈し、HO(2×5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下にて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:石油エーテル中の20%の酢酸エチル)にてクロマトグラフィーにより精製して、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンを、濃緑色の固体(160mg、60%)として得た。MS(ESI)m/z464.01[M+H]
【0185】
工程3:DMA(6mL)中で、N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(160mg、0.34mmol)の撹拌した溶液へと、室温にて、N1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(0.06mL、0.51mmol)を添加し、続いてDIPEA(0.08mL、0.44mmol)を添加した。本混合物を85℃で5時間撹拌した。反応終了後に、混合物を、EtOAc(10mL)で希釈し、氷冷HO(10mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:ジクロロメタン中の5%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、160mg(85%)のN-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミンを、明るい赤色の固体として得た。MS(ESI)m/z546.09[M+H]
【0186】
工程4:THF:EtOAc(1:1、10mL)中で、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N4-(4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-5-メトキシ-N1-メチル-2-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(160mg、0.294mmol)の撹拌した溶液へと、Pd/C(10%w/w、湿性、80mg)を添加した。本混合物を、室温にてH(1原子)下で2時間撹拌した。反応終了後、混合物を、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAc(50mL)で洗浄して、減圧下にて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:ジクロロメタン中の15%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N4-(4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミンを、淡茶色の固体(140mg、92%)として得た。MS(ESI)m/z516.43[M+H]
【0187】
工程5:THF(10mL)中で、N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N4-(4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-5-メトキシ-N1-メチルベンゼン-1,2,4-トリアミン(140mg、0.26mmol)の撹拌した溶液へと、DIPEA(0.14mL、0.89mmol)を添加し、続いて塩化アクリロイル(0.02mL、0.26mmol)を添加した。本混合物を0℃で10分間撹拌した。反応終了時に、反応を水(30mL)で急冷して、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合一させた有機層を水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下で濃縮させた。水中(0.05%のギ酸を含有する)で、アセトニトリル(0.
05%のギ酸を含有する)を使用して、残留物をHPLCにより精製して、N-(2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-5-((4-(1-(3-フルオロ二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドを、オフホワイト色の固体(13mg、8.4%)として得た。H NMR(300MHz、DMSO-d)δ10.14(s、1H)、8.87(s、1H)、8.39~8.30(m、2H)、8.27(s、1H)、8.04(s、1H)、7.66(d、J=7.8Hz、1H)、7.28(d、J=5.4Hz、1H)、7.24(d、J=7.5Hz、1H)、7.13(t、J=7.5Hz、1H)、7.03(s、1H)、6.41(dd、J=16.8、10.2Hz、1H)、6.19(dd、J=16.8、2.0Hz、1H)、5.74(dd、J=10.2、2.0Hz、1H)、3.82(s、3H)、2.94~2.81(m、8H)、2.73(s、3H)、2.36~2.26(m、2H)、2.21(s、6H)、MS(ESI)m/z570.43[M+H]
【0188】
実施例8
N-(5-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-(メチル(2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)アクリルアミド
【化45】
工程1:DMA(100mL)中で、4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)-N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)ピリミジン-2-アミン(3.0g、6.73mmol)の攪拌した溶液へと、室温にて、N1,N2-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(1.09mL、10.09mmol)及びDIPEA(1.45mL、8.75mmol)を添加した。本混合物を85℃で5時間撹拌して、混合物を、EtOAc(300mL)で希釈し、氷冷HO(100mL)及び食塩水(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下にて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:CHCl中の5%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、N1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メトキシ-N4-メチル-N4-(2-(メチルアミノ)エチル)-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(1.9g、55%)を、明るい赤色の固体として得た。MS(ESI)m/z514.14[M+H]
【0189】
工程2:THF(50mL)中で、N1-(4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-2-メトキシ-N4-メチル-N4-(2-(メチルアミノ)エチル)-5-ニトロベンゼン-1,4-ジアミン(1.9g、3.69mmol)の撹拌した溶液へと、EtN(1.56mL、11.08mmol)、(Boc)O(0.85mL、3.69mmol)及びDMAP(45mg、0.36mmol)を添加した。本混合物を70℃で8時間撹拌して、混合物を室温まで冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、HO(25mL)及
び食塩水(25mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:CHCl中の5%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-((4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシ-2-ニトロフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(1.4g、61%)を、淡黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z614.10[M+H]
【0190】
工程3:THF:EtOAc(1:1の比、40mL)中で、tert-ブチル(2-((4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシ-2-ニトロフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(1.4g、2.28mmol)の撹拌した溶液へと、Pd/C(10%w/w、湿性、400mg)を添加した。室温にてH(1原子)下で8時間撹拌した後、混合物を、セライトのパッドに通して濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄して、減圧下にて濃縮した。残留物を、SiO(100~200メッシュ、溶出液:ジクロロメタン中の15%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-((2-アミノ-4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(1.0g、75%)を、淡黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z584.08[M+H]
【0191】
工程4:THF(100mL)中で、tert-ブチル(2-((2-アミノ-4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(400mg、0.68mmol)の撹拌した溶液へと、DIPEA(0.36mL、2.05mmol)及び塩化アクリロイル(0.044mL、0.54mmol)を添加した。0℃で10分間撹拌した後、水(50mL)により本反応を急冷して、本混合物をEtOAc(5×20mL)で抽出した。合一させた有機層を水(30mL)及び食塩水(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下で濃縮させた。残留物を、SiO(グレースノーマルフェース、溶出液:CHCl中の10%のメタノール)にてクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-((2-アクリルアミド-4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(360mg、82%)を、オフホワイト色の固体として得た。MS(ESI)m/z638.11[M+H]
【0192】
工程5:CHCl(5mL)中で、tert-ブチル(2-((2-アクリルアミド-4-((4-(1-(二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)エチル)(メチル)カルバメート(260mg、0.407mmol)の撹拌した溶液へと、0℃にて、TFA(0.3mL、4.07mmol)を添加した。0℃で1時間撹拌した後、sat水溶液により本反応物を急冷した。NaHCO溶液(5mL)及び本混合物を、CHOH:CHCl(10:1の比、3×10mL)で抽出した。合一させた有機層を水(10mL)及び食塩水(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、減圧下で濃縮させた。HPLC[移動相:(A)水が0.1%のギ酸を含有する、(B)アセトニトリルが0.1%のギ酸を含有する。流れ:19mL/分、勾配-(T/%B):0/10、0.1/25、11/25、11、1/98、13/98、13、1/10、15/10、溶解度:ACN+HO+THF、使用されるカラム:Sy
mmetry C18(300×19)mm 7u]により残留物を精製して、N-(5-((4-(1-二環式[1.1.1]ペンタン-1-イル)-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-(メチル(2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)フェニル)アクリルアミド(51mg、23%)を、オフホワイト色の固体として得た。H NMR(300MHz、DMSO-d)δ10.12(s、1H)、8.8(s、1H)、8.4~8.2(m、4H)、8.02(s、1H)、7.68(d、J=8.1Hz、1H)、7.28(d、J=5.4Hz、1H)、7.21(t、J=7.2Hz、1H)、7.11(t、J=7.2Hz、1H)、6.96(s、1H)、6.7~6.58(m、1H)、6.19(d、J=16.2Hz、1H)、5.71(d、J=12.0Hz、1H)、3.83(s、3H)、3.02~2.94(m、2H)、2.8~2.72(m、2H)、2.71(s、1H)、2.67(s、3H)、2.45(s、6H)、2.42(s、3H)。MS(ESI)m/z538.17[M+H]
【0193】
式(I)の化合物を調製するための一般的な方法及び条件、又は薬剤として許容されるその塩が、本明細書に記載される。本明細書に記載された1種以上の方法を使用して調製することができる、式(I)の追加の化合物、又は薬剤として許容されるその塩としては、以下が挙げられる。
【化46】
【0194】
実施例A
EGFRの生化学的酵素アッセイプロトコル:
EGFR(T790M/L858R)に対する化合物の阻害活性を、CisBio HTRF(相同時間分解蛍光)KinEASE TK(#62TKOPEC)を用いて同定した。酵素反応は、組換え型N-末端GST-標的ヒトEGFR(T790M/L858R)を含有し、HTRFチロシンキナーゼビオチン化基質を加燐酸反応させた。
【0195】
基質の配列は、CisBioに関して専売特許である。Echo 555(Labcyte)からblack Coring 1536-ウェルアッセイプレートへと音響的に分配する前に、試験化合物を100%(v/v)DMSOにて逐次希釈した。ウェル当たり3μLの総反応容積にて、キナーゼ活性アッセイを実施した。1.5μLの反応が、1.6nMのEGFR(T970M/L858R)、1mMのDTT、及び10mMのMgClで構成された。1.5μLの基質混合物が、1nMのTK基質、30μMのATP、1mMのDTT、及び10mMのMgClで構成された。50分の培養に続いて、キット検出緩衝液中で希釈される250nMのStrep-XL665及びTK Ab-クリプテートで構成される、3μLの抑制混合物を添加した。標準HTRF設定を使用してPherastar上で読み取る前に、プレートを1時間培養した。T790M突然変異及びL858R突然変異を含有するアミノ酸696-末端を伴うN-末端GST-標的組換え型ヒトEGF因子を、ミリポアから入手した。
【0196】
式(I)の化合物は、表1にて提供される本アッセイにおいて活性物質であり、A=IC50≦10nMであり、B=IC50>10nM及び<100nMであり、またC=IC50≧100nMである。
【表1】
【0197】
実施例B
p-EGFR:標的関与アッセイ(細胞系ホスホ-EGFRアッセイ)ウェスタンブロット
使用される細胞株は以下の通りである:A431(WT)、H1975(L858R/T790M)、PC9(E746~A750欠損):12-ウェルプレート内で細胞を90%のコンフルエントまで増殖させて、次に低血清(0.1%のFBS)培地中で16~18時間培養した。細胞を、次に試験化合物の濃度を変化させる(5、1.25、0.31、0.078、0.020μM)ことにより処理する、又は0.5%のDMSOを用いて低血清(0.1%のFBS)培地中で1時間にて処理した。A431細胞に、次に50ng/mLのEGFを用いて15分間刺激を与えた。処理後、冷却したPBSを用いて細胞の単一層を洗浄して、完全な蛋白質分解酵素抑制剤及び脱リン酸化酵素阻害薬を追加した50μLの冷却した細胞抽出緩衝液へと擦過させることにより、直ちに溶解した。ライ
セートタンパク質の濃度はBCAアッセイにより決定され、またニトロセルロース膜へ転写されかつ特定の抗体によりプローブされた、4~12%の勾配(溶出)SDS-PAGEにより、約50μgの各ライセートを分離した。リンタンパク質シグナルは、ウェスタンブロット検出システムにより目視可能となる、又はオデッセイ赤外線イメージング(Li-Cor Biosciences,Lindoln,NE)を使用して定量化される。リン酸シグナル伝達を評価するために、リン酸並びにEGFRのための総抗体(Y1068)、AKT、pS6RP、及びErk1/2により、ブロットが免疫ブロットされる。各バイオメーカーに関して、リン酸シグナルを総タンパク質発現へと正規化する。結果は、DMSO制御%として示される。正規化されたデータは、変更可能なHill勾配を伴うS字状曲線分析プログラム(グラフパッドプリズムバージョン5)を使用して適合され、EC50値を決定する。
【0198】
抗体:全ての一次抗体は、Cell Signaling(マサチューセッツ州ダンバーズ)から入手でき、1:1000にて使用される。二次抗体は、1:20,000にて使用される。ヤギの抗マウスIgG IRDye 800CW抗体は、LiCor Biosciences(Lincoln,NE)から入手でき、またヤギの抗ウサギIgG
Alexa Fluor 680は、Invitrogen(Carlsbad,カリフォルニア州)から入手できる。
【0199】
実施例C
EGFR細胞増殖アッセイ
細胞株:A431(WT)、H1975(L858R/T790M)、PC9(E746~A750欠損):A431細胞株は、10%のFBS(HyClone,South
Logan,UT)及び1%のペニシリン-ストレプトマイシン(P/S,Lonza,Walkersville,MD)を追加した、DMEM(Invitrogen,Carlsbad,カリフォルニア州)中で増殖した。H1975細胞は、10%のFBS及び1%のP/Sを追加した、RPMI 1640(Invitrogen)中で増殖した。Culture Collection(Manassas,VA)、及びPC-9は日本から入手した。加湿した5%のCO培養器内で37℃にて、全細胞が維持され、かつ単一層培養物として伝搬された。推奨基準に従って、全ての細胞を培養した。
【0200】
種々の腫瘍発生細胞株におけるEGFR阻害剤の効果をプロファイルするために、異なるEGFR突然変異状態を示す細胞増殖アッセイにおいて、細胞株を試験した。CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存性アッセイを使用して、細胞増殖を測定した。アッセイは、単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)の、血清追加培地内で培養された細胞への直接的な添加を伴う。アッセイは、一段階追加に使用されて細胞リーシスを生じさせ、かつ存在するATPの量に比例して発光シグナルを発生させ、培地内に存在する代謝的活性細胞の数に直接比例する。
【0201】
評価される各化合物を、DMSO原液(10mM)として調製した。11-点段階希釈曲線(1:3希釈)を用いて、各プレート上で、化合物を複製して試験した。化合物処理(50μL)を、化合物希釈プレートから細胞プレートへと添加した。最も高い化合物濃度は、0.3%の最終DMSO(#D-5879,Sigma,ミズーリ州セントルイス)を伴う1又は10μM(最終)であった。プレートを、次に、37℃にて、5%のCOで培養した。化合物処理の3~5日後に、2つの方法のうち1つにて、CellTiter-Glo(登録商標)試薬(#G7573,Promega,ウィスコンシン州マディソン)を調製した。CellTiter-Glo(登録商標)試薬の冷凍アリコートを解凍する場合、光から保護するよう維持しつつ、アリコートを解凍して、使用に先立って室温へと平衡化させた。あるいは、CellTiter-Glo(登録商標)緩衝液及びCellTiter-Glo(登録商標)基質の新しいボトルを解凍して、使用に先立っ
て室温へと平衡化させた。CellTiter-Glo(登録商標)緩衝液(100mL)を、CellTiter-Glo(登録商標)基質を含有する褐色瓶内へと移動させて、凍結乾燥した酵素/基質混合物を復元させて、CellTiter-Glo(登録商標)試薬を形成した。内容物を緩やかに反転させることにより復元した試薬を混合して均一溶液を得て、1分未満で容易に溶液を作成した。あらゆる未使用の復元したCellTiter-Glo(登録商標)試薬を直ちにアリコートして、-20℃にて冷凍させ、かつ光から保護した。室温にて、約30分間、細胞プレートを平衡させた。等しい容積量のCellTiter-Glo(登録商標)緩衝液(100mL)を、各ウェルに添加した。オービタルシェーカーにてプレートを2分間混合して、細胞リーシスを生じさせ、また次に、室温にて、10分間培養させて、発光シグナルを安定させた。発光検出のための終点読み取りに使用される、パーキンエルマーEnVision Excite Multilabel Reader(マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、発光を記録した。Microsoftエクセルの4つのパラメータ適合を使用して、データを分析した。
【0202】
式(I)の化合物は、表2にて提供される本アッセイにおいて活性物質であり、A=IC50≦50nMであり、B=IC50>50nM及び<300nMであり、またC=IC50≧300nMである。
【表2】
【0203】
実施例D
マウスラット、イヌ及びヒトの肝細胞における代謝産物同定
十分な培養培地中で肝細胞を懸濁して、~1.5×10の細胞/mLを得た。生存可能な肝細胞又は煮沸した肝細胞199μLを、96ウェル非被覆プレートの各ウェル内へと、ピペットで移した。プレートを、オービタルシェーカー上の培養器内に定置させて、肝細胞を10分間暖めることを可能にした。2mMの試験化合物1μLを、96ウェル非被覆プレートの各ウェル内へとピペットで移して、最終濃度10μLにて反応を開始させた。プレートを培養器へと戻して、オービタルシェーカー上に定置させた。振盪機上における500rpmでの振盪により、37℃にて、5%のCO及び90~95%の相対湿度にて240分間、培養した。培養後、各ウェルから400μLの冷却メタノールを含むチューブへと培地を移動させて、200μLの冷却メタノールを用いてウェルを洗浄し、次に培地を対応するチューブへと移動させた。16,000gにて、チューブを10分間遠心分離にかけた。200μLのアリコートの上澄みを、200μLの純水と混合させて、LC-MS/MS分析のために使用した。プローブを取り付けたDionex UltiMate 3000 UHPLCシステム(Thermo Fisher Scientific、USA)、及びThermo Scientific Q Exactive(Thermo Fisher Scientific、USA)を使用して、UHP
LC-MS/MS分析を実施した。Xcaliur(登録商標)v3.0ソフトウエア(Thermo Fisher Scientific)を使用してデータを取得して、Xcaliur(登録商標)v3.0ソフトウエア(Thermo Fisher Scientific)及びMetworks(登録商標)v1.3ソフトウエア(Thermo Fisher Scientific)を使用して処理し、かつMass Frontier(登録商標)v7.0予測フラグメンテーションソフトウエア(Thermo Fisher Scientific)により代謝産物を明らかにした。
【0204】
表3の結果により示されるように、実施例1の化合物は、ヒト肝細胞におけるより少ない選択的代謝産物AZ5104の形成をもたさなかった。
【表3】
【0205】
野生型EGFR(WT EGFR)の阻害により、発疹及び下痢などの副作用が引き起こされる、ということがわかってきている。AZ5104、主要なヒトのAZD9291の代謝産物が、インビトロ及びインビボの両方にて観察される。AZ5104は、表4のデータにより実証されるように、AZD9291と比較して、より強力なWT EGFRの阻害剤である。AZD9291とAZ5104との間の潜在能におけるこの差は、AZD9291の治療に観察される臨床的副作用である、下痢(42%)及び発疹(41%)の原因となる、及び/又はこれらに寄与する、と考えられている。AZ5104が、実施例1の化合物の代謝産物として観察されない際には、式(I)の化合物、及び薬剤として許容されるその塩は、若干の副作用(例えば、発疹及び/若しくは下痢)を有する、並びに/又は副作用(複数可)の重症度の度合が低下する。
【表4】
【0206】
なお、明瞭性及び理解のために、実例及び実施例として、前述でいくつかの詳細に記載されてきたにもかかわらず、本開示の趣旨を逸脱することなく、多数の、及び種々の変更を行うことができる、と当業者には理解されるであろう。従って、本明細書にて開示された形態は例示のみとして示され、かつ本開示の範囲を制限することを目的としていないが、むしろ、同様に、本発明の真の範囲及び趣旨に付属する全ての変更及び代替に及ぶ、と明瞭に理解すべきである。