(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220225BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02M7/12 B
(21)【出願番号】P 2019000331
(22)【出願日】2019-01-04
【審査請求日】2019-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517374708
【氏名又は名称】協欣電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊緯
(72)【発明者】
【氏名】白 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】張 建綱
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-238481(JP,A)
【文献】特開2000-262070(JP,A)
【文献】特開2001-157441(JP,A)
【文献】特開2010-063329(JP,A)
【文献】特開2007-274825(JP,A)
【文献】特開2005-253262(JP,A)
【文献】特開2013-038894(JP,A)
【文献】特開2007-082291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42~ 7/98
H02M 5/40~ 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の正端子に接続される交流電力入力バスと、
負荷の一端に接続される交流電力出力バスと、
両端がそれぞれ、前記交流電源の負端子と前記負荷の他端に接続される中性バスと、
両端がそれぞれ、前記交流電力入力バスと前記中性バスとに接続された第1のコンデンサと、
前記交流電力入力バスと前記交流電力出力バスとの間に設置される第1のバスバーと、第2のバスバーと、
両端がそれぞれ、前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとに接続された第2のコンデンサと、
前記第1のバスバーに接続された第1のスイッチと、前記第1のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第2のスイッチとを含み、前記交流電力入力バスが前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続されて構成される第1のハーフブリッジ回路と、
前記第1のバスバーに接続された第3のスイッチと、前記第3のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第4のスイッチとを含み、前記交流電力出力バスが前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間に接続されて構成される第2のハーフブリッジ回路と、
前記第1のバスバーに接続された第5のスイッチと、前記第5のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第6のスイッチとを含み、前記中性バスが前記第5のスイッチと前記第6のスイッチとの間に接続されて構成される第3のハーフブリッジ回路と、
前記交流電力入力バスと前記第1のハーフブリッジ回路との間に設置され、一端が前記交流電力入力バスに直列に接続され、他端が前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続される、第1のインダクタと、
前記中性バスと前記第3のハーフブリッジ回路との間に設置され、一端が前記第5のスイッチと前記第6のスイッチとの間に接続され、他端が前記中性バスに接続される第2のインダクタと、
前記第1のハーフブリッジ回路に第1制御信号を提供し、前記第2のハーフブリッジ回路に第2制御信号を提供し、前記第3のハーフブリッジ回路に第3制御信号を提供するコントローラであって、前記第3のハーフブリッジ回路に提供する前記第3制御信号は、混合した正弦波と高周波三角波キャリアとを比較して発生されるものであり、前記混合した正弦波は第1低周波正弦波に前記第1低周波正弦波の第3高調波を混合して発生されるものであり、前記第1のハーフブリッジ回路に提供する前記第1制御信号及び前記第2のハーフブリッジ回路に提供する前記第2制御信号は、第2低周波正弦波の変調により発生されるものであり、前記第2低周波正弦波の位相は前記第1低周波正弦波と逆であるコントローラとを含むことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
第3のインダクタと第3のコンデンサを含み、
前記第3のインダクタは、前記第2のハーフブリッジ回路と前記交流電力出力バスとの間に設置され、一端が前記交流電力出力バスに接続され、他端が前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間に接続され、
前記第3のコンデンサは、両端がそれぞれ、前記交流電力出力バスと前記中性バスとに接続され、前記第3のインダクタとフィルタ回路を構成することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1低周波正弦波と前記第2低周波正弦波の周波数は、前記電力変換装置に入力される入力交流電力の周波数、又は、前記電力変換装置によって出力される出力交流電力の周波数と同じであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コントローラが前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとに提供する前記第1制御信号、及び前記コントローラが前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとに提供する前記第2制御信号は、それぞれ前記第2低周波正弦波と前記高周波三角波キャリアとを比較して発生されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
第1の差動アンプと、第2の差動アンプと、第3の差動アンプと、一端が前記交流電力入力バスに接続され、他端が前記第1のインダクタの一端に接続され且つ前記コントローラに入力電流信号を出力する第1の電流検出素子と、前記第2のハーフブリッジ回路と前記交流電力出力バスとの間に設置され、一端が前記交流電力出力バスに直列に接続され、他端が前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間とに直列に接続された第3のインダクタと、一端が前記第3のインダクタの一端に接続され、他端が前記交流電力出力バスに接続されて前記コントローラに出力電流信号を出力する第2の電流検出素子と、一端が前記第2の電流検出素子と前記第3のインダクタとの間に接続され、他端が前記中性バスに接続され且つ前記第3のインダクタとフィルタ回路を構成する第3のコンデンサと、一端が前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間に接続され、他端が前記第3のインダクタの他端に接続されて前記コントローラに転流電流信号を出力する第3の電流検出素子とを含み、
前記第1の差動アンプは前記交流電力入力バスに接続された第1の入力端子と、前記中性バスに接続された第2の入力端子と、前記コントローラに入力電圧信号を提供する第1の出力端子とを含み、前記第2の差動アンプは前記交流電力出力バスに接続された第3の入力端子と、前記中性バスに接続された第4の入力端子と、前記コントローラに出力電圧信号を提供する第2の出力端子とを含み、前記第3の差動アンプは前記第1のバスバーに接続された第5の入力端子と、前記第2のバスバーに接続された第6の入力端子と、前記コントローラにバスバー電圧信号を提供する第3の出力端子とを含み、前記コントローラは前記入力電流信号と、前記入力電圧信号と、前記バスバー電圧信号とに基づいて前記第1のハーフブリッジ回路に出力する
前記第1制御信号を調整し、且つ前記出力電流信号と、前記出力電圧信号と、前記転流電流信号とに基づいて前記第2のハーフブリッジ回路に出力する
前記第2制御信号を調整することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の入力端子と、前記第2の入力端子と、前記第3の入力端子と、前記第4の入力端子と、前記第5の入力端子と、前記第6の入力端子とには、少なくとも2つの抵抗を含む直列接続分圧抵抗がそれぞれ設けられることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとに接続された直流電力変換回路を有することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に制御信号を用いて、位相変換後の電流が連続せず、出力された交流電力の全高調波歪(THD)が大きいという問題を緩和する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国登録特許第US6310787号、米国登録特許第US6181581号、欧州登録特許第EP1969694号等の特許は、電力変換装置を開示している。これらの電力変換装置は、電力の制御を行うものであるか、出力された交流電力は位相変換後の電流が連続せず、出力された交流電力の全高調波歪が大きいという問題を抱えていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の回路において出力された交流電力は位相変換後の電流が連続せず、全高調波歪が大きいという問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明は、電力変換装置を提供する。交流電力入力バスと、交流電力出力バスと、中性バスと、前記交流電力入力バスと前記中性バスとに接続された第1のコンデンサと、前記交流電力入力バスに接続された第1のインダクタと、第1のバスバーと、第2のバスバーと、前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとに接続された第2のコンデンサと、第1のハーフブリッジ回路と、第2のハーフブリッジ回路と、第3のハーフブリッジ回路と、第2のインダクタと、コントローラとを含む。前記第1のハーフブリッジ回路は前記第1のバスバーに接続された第1のスイッチと、前記第1のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第2のスイッチとを含み、前記第1のインダクタが前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続され、前記第2のハーフブリッジ回路は前記第1のバスバーに接続された第3のスイッチと、前記第3のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第4のスイッチとを含み、前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間に前記交流電力出力バスが接続され、前記第3のハーフブリッジ回路は前記第1のバスバーに接続された第5のスイッチと、前記第5のスイッチに直列に接続され且つ前記第2のバスバーに接続された第6のスイッチとを含み、前記第2のインダクタの一端が前記第5のスイッチと前記第6のスイッチとの間に接続され、他端が前記中性バスに接続される。前記コントローラは前記第1のスイッチと、前記第2のスイッチと、前記第3のスイッチと、前記第4のスイッチと、前記第5のスイッチと、前記第6のスイッチとに制御信号を提供する。前記コントローラが前記第2のハーフブリッジ回路又は前記第3のハーフブリッジ回路に提供する前記制御信号は、混合した正弦波(以下、混合正弦波という)と高周波三角波キャリアとを比較して発生されるものであり、前記混合正弦波は低周波正弦波に前記低周波正弦波の第3高調波を混合して発生されるものであり、前記第1のハーフブリッジ回路及び前記第2のハーフブリッジ回路にて変調させる前記制御信号における前記低周波正弦波の位相は前記第3のハーフブリッジ回路にて変調させる前記制御信号における前記低周波正弦波と逆である。
【0005】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記電力変換装置は、前記交流電力出力バスと、前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間とに接続された第3のインダクタと、前記交流電力出力バスと前記中性バスとの間に接続され且つ前記第3のインダクタとフィルタ回路を構成する第3のコンデンサとを含む。
【0006】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記低周波正弦波の周波数は、前記電力変換装置に入力されるか、又は、前記電力変換装置によって出力される出力交流電力の周波数と同じである。
【0007】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記コントローラが前記第1のスイッチと、前記第2のスイッチと、前記第3のスイッチと、前記第4のスイッチとに提供する前記制御信号はそれぞれ前記低周波正弦波と前記高周波三角波キャリアとを比較して発生されるものである。
【0008】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記電力変換装置は第1の差動アンプと、第2の差動アンプと、第3の差動アンプと、前記交流電力入力バスと前記第1のインダクタとに直列に接続され且つ前記コントローラに入力電流信号を出力する第1の電流検出素子と、前記交流電力出力バスに直列に接続され且つ前記コントローラに出力電流信号を出力する第2の電流検出素子と、前記交流電力出力バスと、前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間とに接続された第3のインダクタと、前記交流電力出力バスと前記中性バスとの間に接続され且つ前記第3のインダクタとフィルタ回路を構成する第3のコンデンサと、前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間に接続され且つ前記第3のインダクタに直列に接続されて前記コントローラに転流電流信号を出力する第3の電流検出素子とを含む。前記第1の差動アンプは前記交流電力入力バスに接続された第1の入力端子と、前記中性バスに接続された第2の入力端子と、前記コントローラに入力電圧信号を提供する第1の出力端子とを含み、前記第2の差動アンプは前記交流電力出力バスに接続された第3の入力端子と、前記中性バスに接続された第4の入力端子と、前記コントローラに出力電圧信号を提供する第2の出力端子とを含み、前記第3の差動アンプは前記第1のバスバーに接続された第5の入力端子と、前記第2のバスバーに接続された第6の入力端子と、前記コントローラにバスバー電圧信号を提供する第3の出力端子とを含み、前記コントローラは前記入力電流信号と、前記入力電圧信号と、前記バスバー電圧信号とに基づいて前記第1のハーフブリッジ回路に出力する制御信号を調整し、且つ前記出力電流信号と、前記出力電圧信号と、前記転流電流信号とに基づいて前記第2のハーフブリッジ回路に出力する制御信号を調整する。
【0009】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記第1の入力端子と、前記第2の入力端子と、前記第3の入力端子と、前記第4の入力端子と、前記第5の入力端子と、前記第6の入力端子とには、直列接続分圧抵抗がそれぞれ設けられ、各前記直列接続分圧抵抗は少なくとも2つの抵抗からなる。
【0010】
本発明に係る装置の一つの実施形態において、前記電力変換装置は前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとに接続された直流電力変換回路を有する。
【発明の効果】
【0011】
上述した内容より、本発明は従来技術に比べて以下の利点を有することが明らかになる。本発明に係る電力変換装置において、第1のハーフブリッジ回路、第2のハーフブリッジ回路及び第3のハーフブリッジ回路はいずれも高周波切替制御を採用し、且つ第3のハーフブリッジ回路を制御する制御信号が混合正弦波と高周波三角波キャリアとを比較して発生され、混合正弦波が低周波正弦波に低周波正弦波の第3高調波を混合して発生されるように構成することにより、出力交流電力が位相を変換する時(すなわち位相角が355~5度である時又は位相角が175~185度である時)の出力電流が連続し、且つ安定的な位相変換を実現できるという利点を有する。また、本発明による装置は、出力交流電力の全高調波歪が大きいという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による電力変換装置の回路構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電力変換装置においてコントローラが制御信号を発生することを概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電力変換装置における各制御信号の発生を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電力変換装置における各制御信号と出力交流電力との波形を比較する図である。
【
図5】本発明のもう一つの実施形態による電力変換装置においてコントローラが制御信号を発生することを概略的に示す図である。
【
図6】本発明のもう一つの実施形態による電力変換装置における各制御信号と出力交流電力との波形を比較する図である。
【
図7】本発明のさらにもう一つの実施形態による電力変換装置の回路構成を概略的に示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による電力変換装置の第1の差動アンプを概略的に示す図である。
【
図9】本発明のさらにもう一つの実施形態による電力変換装置の回路構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下各図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1~
図4に示すように、本発明は電力変換装置100を提供する。電力変換装置100は、無停電電源装置又は通信機器に設置され、且つ当該装置を並列に接続することにより複数を具備するように実施してもよい。電力変換装置100は、交流電力入力バス11と、交流電力出力バス12と、中性バス13と、交流電力入力バス11と中性バス13とに接続された第1のコンデンサ14と、交流電力入力バス11に接続された第1のインダクタ15と、第1のバスバー16と、第2のバスバー17と、第1のバスバー16と第2のバスバー17とに接続された第2のコンデンサ18と、第1のハーフブリッジ回路19と、第2のハーフブリッジ回路20と、第3のハーフブリッジ回路21と、第2のインダクタ22と、コントローラ23とを含む。交流電力入力バス11及び中性バス13が交流電源50の正端子、負端子にそれぞれ接続され、交流電力出力バス12及び中性バス13は、負荷51の一端にそれぞれ接続されて負荷51に出力交流電力52を提供する。第1のハーフブリッジ回路19は、第1のバスバー16に接続された第1のスイッチ191と、第1のスイッチ191に直列に接続され且つ第2のバスバー17に接続された第2のスイッチ192とを含み、第1のインダクタ15が第1のスイッチ191と第2のスイッチ192との間に接続される。第2のハーフブリッジ回路20は第1のバスバー16に接続された第3のスイッチ201と、第3のスイッチ201に直列に接続され且つ第2のバスバー17に接続された第4のスイッチ202とを含み、第3のスイッチ201と第4のスイッチ202との間に交流電力出力バス12が接続される。第3のハーフブリッジ回路21は第1のバスバー16に接続された第5のスイッチ211と、第5のスイッチ211に直列に接続され且つ第2のバスバー17に接続された第6のスイッチ212とを含み、第2のインダクタ22の一端が第5のスイッチ211と第6のスイッチ212との間に接続され、他端が中性バス13に接続される。さらに、第1のスイッチ191、第2のスイッチ192、第3のスイッチ201、第4のスイッチ202、第5のスイッチ211及び第6のスイッチ212はそれぞれMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってもよい。さらに、本発明に係る電力変換装置100において、第1のコンデンサ14と、第1のインダクタ15と、第2のインダクタ22と、第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第5のスイッチ211と、第6のスイッチ212とにより整流回路40を構成し、また、第2のインダクタ22と、第3のインダクタ29と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202と、第5のスイッチ211と、第6のスイッチ212とによりコンバータ回路41を構成する。整流回路40は、交流電力を直流電力に変換し、コンバータ回路41は直流電力を交流電力に変換する。
【0015】
さらに、
図1~
図4に示すように、コントローラ23はマイクロコントローラ(MCU)であり、コントローラ23は、第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202と、第5のスイッチ211と、第6のスイッチ212とにそれぞれ接続され、且つ起動した後に第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202と、第5のスイッチ211と、第6のスイッチ212とにそれぞれ制御信号(60、61、62、63、64、65)を出力し、各制御信号(60、61、62、63、64、65)がそれぞれパルス幅変調(PWM)により発生され、第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202と、第5のスイッチ211と、第6のスイッチ212とが制御信号(60、61、62、63、64、65)の一つを受信するとオン状態又はオフ状態になるように構成される。さらに、本発明に係る装置の一つの実施形態において、出力交流電力52の全高調波歪を解消して、出力電流が連続しないという問題を解決するために、コントローラ23が第3のハーフブリッジ回路21に提供する制御信号64、65は、混合正弦波70と高周波三角波キャリア71とを比較して発生され、混合正弦波70は、低周波正弦波72に低周波正弦波72の第3高調波(図中73)を混合して発生されるものである。第3高調波73は正弦波であり、且つその周波数が低周波正弦波72より高い。第5のスイッチ211及び第6のスイッチ212が受信した制御信号64、65は逆の位相である。すなわち、第5のスイッチ211がオンした時に、第6のスイッチ212がオフし、第5のスイッチ211がオフした時に、第6のスイッチ212がオンするように設定されてもよい。低周波正弦波72の周波数は、電力変換装置100に入力されるか、又は、電力変換装置100によって出力される出力交流電力52の周波数と同じである。例えば、出力交流電力52の周波数が50Hzであれば、低周波正弦波72の周波数は50Hzである。また、コントローラ23が第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202とに提供する制御信号(60、61、62、63)は、別の低周波正弦波74と高周波三角波キャリア71とを比較して発生されるものである。なお、本発明の各実施形態に係る電力変換装置において、第1のハーフブリッジ回路19及び第2のハーフブリッジ回路20にて変調させる制御信号(60、61、62、63)における低周波正弦波74の位相は、第3のハーフブリッジ回路21にて変調させる制御信号64、65の低周波正弦波と逆である。
図3(A)、
図3(C)は第1のハーフブリッジ回路19及び第2のハーフブリッジ回路20に制御信号60、61、62、63を出力して変調させることを概略的に示し、
図3(B)は第3のハーフブリッジ回路21に制御信号64、65を出力して変調させることを概略的に示している。なお、第1のスイッチ191及び第2のスイッチ192が受信した制御信号60、61は、逆の位相に設定されてもよい。第3のスイッチ201及び第4のスイッチ202が受信した制御信号62、63は、逆の位相に設定されてもよい。このように設定するのは、ハーフブリッジ回路に短絡が生じることを避けるためであり、これについては当業者にとって自明であるため、詳細な説明を省略する。
【0016】
図5に示すように、上記形態で実施する以外に、コントローラ23が第3のハーフブリッジ回路21に提供する制御信号64、65は、前記信号の変調方式を採用しなくてもよい。すなわち、制御信号64、65を発生させる時に混合正弦波70を使用しないように実施してもよい。当該実施形態に係る装置において、コントローラ23が第2のハーフブリッジ回路20に提供する制御信号62、63は、混合正弦波75と高周波三角波キャリア71とを比較して発生され、混合正弦波75は同じく、低周波正弦波74に低周波正弦波74の第3高調波(図中76)を混合して発生されるものである。なお、当該実施形態に係る装置において、第1のハーフブリッジ回路19を制御する制御信号60、61は、高周波制御信号であってもよく、第3のハーフブリッジ回路21を制御する制御信号64、65は、実施時の要件に応じて、高周波制御信号又は低周波制御信号であってもよい。さらに
図6に示すように、本発明に係る装置の一つの実施形態において、制御信号64、65は基本的に低周波数であり、制御信号64、65の制御電位を切り替える時点は、出力交流電力52の位相角が175~185度又は355~5度にある時に対応し、前記2つの区間で制御信号64、65を高周波数にして実施する。
【0017】
図7に示すように、本発明に係る装置の一つの実施形態において、電力変換装置100は、第1の差動アンプ24と、第2の差動アンプ25と、第3の差動アンプ26と、交流電力入力バス11と第1のインダクタ15とに直列に接続され且つコントローラ23に入力電流信号80を出力する第1の電流検出素子27と、交流電力出力バス12に直列に接続され且つコントローラ23に出力電流信号81を出力する第2の電流検出素子28とを含む。第1の差動アンプ24は、交流電力入力バス11に接続された第1の入力端子241と、中性バス13に接続された第2の入力端子242と、コントローラ23に入力電圧信号82を提供する第1の出力端子243とを含む。第2の差動アンプ25は、交流電力出力バス12に接続された第3の入力端子251と、中性バス13に接続された第4の入力端子252と、コントローラ23に出力電圧信号83を提供する第2の出力端子253とを含む。第3の差動アンプ26は、第1のバスバー16に接続された第5の入力端子261と、第2のバスバー17に接続された第6の入力端子262と、コントローラ23にバスバー電圧信号84を提供する第3の出力端子263とを含む。このように構成することにより、コントローラ23は、動作状態に応じて、第1のスイッチ191と、第2のスイッチ192と、第3のスイッチ201と、第4のスイッチ202とに対する制御を調整して、補償を行うことができる。
図8に示すように、本発明に係る装置の一つの実施形態において、第1の入力端子241、第2の入力端子242には、直列接続分圧抵抗244、245がそれぞれ設けられ、各直列接続分圧抵抗244(245)は少なくとも2つの抵抗からなる。関連する図には第1の入力端子241及び第2の入力端子242に直列接続分圧抵抗244、245が設けられた形態を示しているが、本発明に係る装置を実施する際に、第3の入力端子251と、第4の入力端子252と、第5の入力端子261と、第6の入力端子262とにも、図示していない前記直列接続分圧抵抗を設けてもよい。このように構成することにより、直列接続分圧抵抗244、245によって、入力された電圧又は電流を分担することができる。
【0018】
図1~
図5を参照すると、前述したように、電力変換装置100は、交流電力出力バス12と、第3のスイッチ201と第4のスイッチ202との間に接続された第3のインダクタ29と、交流電力出力バス12と中性バス13との間に接続され且つ第3のインダクタ29とフィルタ回路42を構成する第3のコンデンサ30とをさらに含む。このように構成することにより、コンバータ回路41におけるノイズをフィルタリングして除去することができる。さらに、当該実施形態に係る装置において、電力変換装置100は、第3のスイッチ201と第4のスイッチ202との間に接続され且つ第3のインダクタ29に直列に接続されてコントローラ23に転流電流信号85を出力する第3の電流検出素子31をさらに含む。コントローラ23は、入力電流信号80と、入力電圧信号82と、バスバー電圧信号84とに基づいて第1のハーフブリッジ回路19に出力する制御信号60、61を調整し、且つ出力電流信号81と、出力電圧信号83と、転流電流信号85とに基づいて第2のハーフブリッジ回路20に出力する制御信号62、63を調整する。
【0019】
図9に示すように、本発明に係る装置の一つの実施形態において、電力変換装置100は、第1のバスバー16と第2のバスバー17とに接続された直流電力変換回路32をさらに含む。直流電力変換回路32は、直流電力の変調のために用いるか、又はそれに含まれるエネルギー貯蔵素子で充電することにより、電力変換装置100の予備電源として用いることができる。前記エネルギー貯蔵素子は、バッテリ又は電気二重層コンデンサなどである。
【0020】
上述した内容より分かるように、本発明に係る電力変換装置は、第2のハーフブリッジ回路20又は第3のハーフブリッジ回路21の制御信号62、63、64、65が混合正弦波70(又は75)と高周波三角波キャリア71とを比較して発生されるように構成することにより、出力交流電力52が位相を変換する時(すなわち位相角が355~5度で時又は位相角が175~185である時)の出力電流が連続し、安定的な位相変換を実現できるという利点を有し、また、出力交流電力52の全高調波歪を低減することができる。
【符号の説明】
【0021】
100 電力変換装置
11 交流電力入力バス
12 交流電力出力バス
13 中性バス
14 第1のコンデンサ
15 第1のインダクタ
16 第1のバスバー
17 第2のバスバー
18 第2のコンデンサ
19 第1のハーフブリッジ回路
191 第1のスイッチ
192 第2のスイッチ
20 第2のハーフブリッジ回路
201 第3のスイッチ
202 第4のスイッチ
21 第3のハーフブリッジ回路
211 第5のスイッチ
212 第6のスイッチ
22 第2のインダクタ
23 コントローラ
24 第1の差動アンプ
241 第1の入力端子
242 第2の入力端子
243 第1の出力端子
244、245 各直列接続分圧抵抗
25 第2の差動アンプ
251 第3の入力端子
252 第4の入力端子
253 第2の出力端子
26 第3の差動アンプ
261 第5の入力端子
262 第6の入力端子
263 第3の出力端子
27 第1の電流検出素子
28 第2の電流検出素子
29 第3のインダクタ
30 第3のコンデンサ
31 第3の電流検出素子
32 直流電力変換回路
40 整流回路
41 コンバータ回路
42 フィルタ回路
50 交流電源
51 負荷
52 交流電力
60、61、62、63、64、65 制御信号
70 混合正弦波
71 高周波三角波キャリア
72 低周波正弦波
73 第3高調波
74 低周波正弦波
75 混合正弦波
76 第3高調波
80 入力電流信号
81 出力電流信号
82 入力電圧信号
83 出力電圧信号
84 バスバー電圧信号
85 転流電流信号