(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータを備えた真空回路断続器およびそれを組み込む真空回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/666 20060101AFI20220225BHJP
H01H 33/664 20060101ALI20220225BHJP
H01H 33/662 20060101ALI20220225BHJP
H01H 33/42 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H01H33/666 Z
H01H33/664 D
H01H33/662 H
H01H33/664 B
H01H33/42 Z
(21)【出願番号】P 2019511801
(86)(22)【出願日】2017-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2017060924
(87)【国際公開番号】W WO2017194471
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518399852
【氏名又は名称】カムリン・テクノロジーズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Camlin Technologies Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ミューア
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/112796(WO,A1)
【文献】米国特許第06294859(US,B1)
【文献】米国特許第04808874(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/60-33/68
H02N 2/00- 2/08
H01L 41/08-41/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉状態と開状態との間で作動可能な真空断続器およびアクチュエータを含む真空回路遮断器であって、
前記アクチュエータは、電気入力信号に応じて拡大軸に沿って拡大および収縮できる圧電駆動
部を含み、
前記アクチュエータは、作動軸に沿って伸長可能で、かつ前記圧電駆動部に機械的に連結される機械的増幅構造体をさらに含み、前記圧電駆動
部の伸長または収縮は、前記機械的増幅構造体を前記作動軸に沿って伸長または収縮させ、前記機械的増幅構造体は、前記の閉状態と開状態との間で前記真空断続器を作動させるために前記真空断続器に連結され
、
前記増幅構造体が、前記圧電駆動部が位置するキャビティを規定するように形作られ寸法決定されたボディを含み、
前記ボディが、前記キャビティの頂部を規定するボディの第1と第2の側部との間に延在する第1のフレキシブル構造体を有し、前記フレキシブル構造体は、前記アクチュエータの伸長および収縮を達成するために前記作動軸の方向にフレキシブルであり、
前記圧電駆動部が、第1のフレキシブル構造体に接近するよりはキャビティの底部に接近するように、作動軸の方向でキャビティにおいてオフセットされる、前記真空回路遮断器。
【請求項2】
前記拡大軸が前記作動軸に垂直である請求項1記載の真空回路遮断器
。
【請求項3】
前記ボディが形状においてスリーブ様である請求項
1または2記載の真空回路遮断器。
【請求項4】
前記ボディが、横断方向に離隔される第1および第2の側部を有し、その間に、圧電駆動部が、拡大軸が前記横断方向になるように位置し、前記圧電駆動部が、前記の両側部と係合する請求項
1~3のいずれか1記載の真空回路遮断器
。
【請求項5】
第1および第2の側部が、前記の横断方向で相互に対して移動可能であり、第1のフレキシブル構造体は、前記の横断方向での前記の側部の相対的な運動に応じて前記作動軸の方向にフレックスするように構成されている請求項
4に記載の真空回路遮断器。
【請求項6】
第1のフレキシブル構造体が、前記アクチュエータの伸長を達成するために、前記キャビティから離れてフレックスするように、第1および第2の側部の離れる移動に応答性を有し、前記アクチュエータの収縮を達成するために前記キャビティの方へフレックスするために、第1および第2の側部の方向の移動に応答性である請求項
5記載の真空回路遮断器。
【請求項7】
第1および第2の側部が、前記
拡大軸に沿った前記圧電駆動部の伸縮により移動可能である、請求項5に従属する請求項
5または
6の真空回路遮断器。
【請求項8】
フレキシブル構造体が、第1および第2の硬いセグメントの少なくとも1のセットを含み、各セグメントは、各ヒンジにより前記の側部のそれぞれの1つに連結した一方の端部を有し、各セグメントのそれぞれの他方の端部は、第1および第2の側部と平行になる軸について、相互に対して第1と第2セグメントとがピボット回転することを可能にする中間セグメントにより一緒に連結される請求項
1~7のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項9】
各ヒンジが、たわみベアリングを含む請求項
8記載の真空回路遮断器。
【請求項10】
中間セグメントが、第1と第2セグメントの各々のそれぞれの端部が、好ましくは、たわみベアリングを含むそれぞれのヒンジにより連結する構造を含む請求項
8または
9記載の真空回路遮断器。
【請求項11】
中間セグメントが、真空断続器の作動のために前記アクチュエータおよび真空断続器間の連結の一部分を形成する請求項
8~10のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項12】
フレキシブル構造体が、前記第1および第2のセグメントの第1および第2のセットを含み、前記セットが、第1のセットが第2のセットおよびキャビティとの間に位置するように積み重ねられる請求項
8~11のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項13】
各セットの各セグメントのそれぞれの他端部が、共通の中間セグメントに連結される請求項
12記載の真空回路遮断器。
【請求項14】
第2のセットのそれぞれの第1および第2のセグメントのそれぞれの一方の端部をそれぞれの第1または第2の側部に連結するそれぞれのヒンジが、第
1のセットの対応するヒンジより硬い請求項
12または
13記載の真空回路遮断器。
【請求項15】
それぞれのヒンジが、それぞれのたわみベアリングを含み、第2のセットのたわみベアリングが、第1のセットのたわみベアリングより厚い請求項
14記載の真空回路遮断器。
【請求項16】
ボディが前記キャビティの底部を規定するボディの第1および第2の側部との間に延在する第2のフレキシブル構造体を有する請求項
1~15のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項17】
第2のフレキシブル構造体が、請求項
1~10または
12~15のいずれか1記載の第1のフレキシブル構造体と同じである請求項
16記載の真空回路遮断器。
【請求項18】
圧電駆動部は、ギャップが前記圧電駆動部と第1のフレキシブル構造体との間で規定されるように前記キャビティに位置する請求項
1~17のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項19】
熱補償要素が、圧電駆動部と係合するための第1および第2の側部の各々にて供される請求項
4~18のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項20】
ハウジングを含み、そのハウジングの中にアクチュエータおよび真空断続器が位置し、ここに、アクチュエータは、アクチュエータと真空断続器との間のハウジングを横切って延在するフレキシブル連結部材により真空断続器に連結され、アクチュエータはフレキシブル部材に連結されて、アクチュエータの伸長および収縮が、フレキシブル部材を前記作動軸に沿って相応してフレックスする請求項1~
19のいずれか1記載の真空回路遮断器。
【請求項21】
フレキシブル連結部材が非弾性である請求項
20記載の真空回路遮断器。
【請求項22】
真空断続器が、第1および第2の電気接点を含み、前記の第1の接点が、開閉状態を達成すべく前記第2の接点に対して移動可能であって、前記フレキシブル連結部材は、第1の接点に電気接続される請求項
20または
21記載の真空回路遮断器。
【請求項23】
前記アクチュエータは、フレキシブル部材から電気的に、好ましくは熱的にも分離されている請求項
22記載の真空回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空回路遮断器、真空回路断続器、およびそれらを作動させるためのアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
真空回路遮断器(VCB)は、通常、真空回路断続器、および開状態と閉状態との間で断続器を作動させるためのアクチュエータを含む。従来、そのアクチュエータは、蛇腹により断続器の接点に連結した電磁気装置を含み、電磁アクチュエータおよび蛇腹は、断続器を含む真空エンクロージャー外に位置する。かかるVCBは大きく、作動するのが比較的遅く、正確に制御することが比較的困難である。また、蛇腹は故障し易い。
【0003】
改善された真空回路遮断器、特に、改善された真空断続器およびアクチュエータを供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様は、閉状態と開状態との間で作動可能な真空断続器(vacuum interrupter)およびアクチュエータを含む真空回路遮断器(vacuum circuit breaker)を供し、前記アクチュエータは、電気入力信号に応じて拡大軸に沿って拡大および収縮することができる圧電駆動要素を含み、前記アクチュエータは、作動軸に沿って伸長可能で、かつ前記圧電駆動部に機械的に連結される機械的増幅構造体をさらに含み、前記圧電駆動要素の拡大または収縮は、前記機械的増幅構造体を前記作動軸に沿って伸長または収縮させ、前記機械的増幅構造体は、前記の閉状態と開状態との間で前記真空断続器を作動させるために前記真空断続器に連結される。
【0005】
本発明の第2の態様は、電気入力信号に応じて拡大軸に沿って拡大および収縮することができる圧電駆動要素;および作動軸に沿って伸長可能で、かつ前記圧電駆動部に機械的に連結される機械的増幅構造体であって、前記圧電駆動要素の拡大または収縮が前記機械的増幅構造体を前記作動軸に沿って伸縮させる、を含むアクチュエータを供する。
【0006】
本発明の第3の態様は、第1および第2の電気接点を含む真空断続器を供し、第1の接点は開閉状態を達成するために前記第2の接点に対して移動可能であり、第1および第2の接点の少なくとも1つ、好ましくは双方は、それぞれの電気接点が、接点が閉状態にある場合に、他方の電気接点の接触面と係合する接触面を供し、それぞれの接点アセンブリは、一方の端部にてそれぞれの電気接点を担う接点キャリアをさらに含み、接点キャリアは、電導性材料から形成され、それぞれの接点に電気接続され、中空構造を含む。
【0007】
本発明の第4の態様は、電気入力信号に応じて拡大軸に沿って拡大および収縮することができる圧電駆動要素を含むアクチュエータを供し、少なくとも2つの電極は、前記圧電駆動要素に組み込まれ、圧電効果により前記圧電駆動部で生成されたエネルギーを低下させるための電気的負荷に接続されるか、または接続可能である。
【0008】
本発明の第5の態様は、第1および第2の電気接点を含む真空断続器を供し、ここに、前記第1の接点は、開閉状態を達成するために前記第2の接点に対して移動可能であり、第1および第2の接点の少なくとも1つ、好ましくは、双方は、それぞれの接点アセンブリに組み込まれ、接点アセンブリのそれぞれの電気接点は、接点が閉状態にある場合、他方の電気接点の接触面と係合する接触面を供し、ここに、磁気シールドまたはコンデンサをそのまたは各接点アセンブリの周囲に備える。
【0009】
本発明の第6の態様は、第1および第2の電気接点を含む真空断続器を供し、前記電気接点の少なくとも1つは、一次的(primary)耐火材料および、非蒸発性ゲッタ(getter)として作用できる二次的(secondary)耐火材料、好ましくは、チタンから形成される。
【0010】
好ましくは、前記拡大軸は、前記作動軸に垂直である。
【0011】
好ましくは、増幅構造体が圧電駆動部を位置させるキャビティを規定するように形作られ寸法決定されたボディを含む。前記ボディは、好ましくは、形状においてスリーブ様である。
【0012】
前記ボディは、横断方向に離隔される第1および第2の側部を有し、その間に、圧電駆動部が、拡大軸が前記横断方向になるように位置し、前記圧電駆動部は、前記の両側部と係合する。
【0013】
好ましい具体例において、ボディは、前記キャビティの頂部を規定するボディの第1と第2の側部との間に延在する第1のフレキシブル構造体を有し、前記フレキシブル構造体は、前記アクチュエータの伸長および収縮を達成するために前記作動軸の方向にフレキシブルである。典型的には、第1および第2の側部は、前記の横断方向で相互に対して移動可能であり、第1のフレキシブル構造体は、前記の横断方向での前記の側部の相対的な運動に応じて前記作動軸の方向にフレックスするように構成されている。好ましくは、第1のフレキシブル構造体は、前記アクチュエータの伸長を達成するために、前記キャビティから離れてフレックスする(または、曲がる、撓む、しなる、flex)ように、第1および第2の側部の離れる移動に応答性を有し、前記アクチュエータの収縮を達成するために前記キャビティの方へフレックスするために、第1および第2の側部の方向の移動に応答性である。
【0014】
典型的には、第1および第2の側部は、前記横断軸に沿った前記圧電駆動部の拡大または収縮により移動可能である。
【0015】
好ましい具体例において、フレキシブル構造体は第1および第2の硬いセグメントの少なくとも1のセットを含み、各セグメントは、各ヒンジにより前記側部のそれぞれの1つに連結した1つの端部を有し、各セグメントのそれぞれの他方の端は、第1および第2の側部と平行になる軸について、相互に対して第1と第2セグメントとがピボット回転(または、旋回転、pivot)することを可能にする中間セグメントにより一緒に連結される。各ヒンジは、好ましくはたわみベアリング(flexure bearing)を含む。
【0016】
中間セグメントは、第1と第2セグメントの各々のそれぞれの端が、好ましくは、たわみベアリングを含むそれぞれのヒンジにより連結する構造を好ましくは含む。中間セグメントは、典型的には、真空断続器の作動のために前記アクチュエータおよび真空断続器間の連結の一部分を形成する。
【0017】
好ましくは、フレキシブル構造体は、前記第1および第2のセグメントの第1および第2のセットを含み、前記セットは、第1のセットが第2のセットおよびキャビティとの間に位置するように積み重ねられる。典型的には、各セットの各セグメントのそれぞれの他端部は共通の中間セグメントに連結される。
【0018】
有利には、第2のセットのそれぞれの第1および第2のセグメントのそれぞれの1つの端部をそれぞれの第1または第2の側部に連結するそれぞれのヒンジは、第2のセットの対応するヒンジより硬い。それぞれのヒンジは好ましくは、それぞれのたわみベアリングを含み、第2のセットのたわみベアリングは、第1のセットのたわみベアリングより厚い。
【0019】
好ましい具体例において、ボディが前記キャビティの底部を規定するボディの第1および第2の側部との間に延在する第2のフレキシブル構造体を有する。第2のフレキシブル構造体は好ましくは、第1のフレキシブル構造体と同じである。
【0020】
好ましくは、圧電駆動部は、ギャップが前記圧電駆動部と第1のフレキシブル構造体との間で規定されるように前記キャビティに位置する。
【0021】
有利には、圧電駆動部は、それが第1のフレキシブル構造体に接近するよりはキャビティの底部に接近するように、作動軸の方向でキャビティにおいてオフセット(offset)される。
【0022】
所望により、熱補償要素(thermal compensating component)は、圧電駆動部と係合するための第1および第2の側部の各々にて供される。
【0023】
好ましい具体例において、真空回路遮断器はハウジングを含み、そのハウジングの中にアクチュエータおよび真空断続器が位置し、ここに、アクチュエータは、アクチュエータと真空断続器との間のハウジングを横切って延在するフレキシブル連結部材により真空断続器に連結され、アクチュエータはフレキシブル部材に連結されて、アクチュエータの伸長および収縮が、フレキシブル部材を前記作動軸に沿って相応してフレックスする。好ましくは、フレキシブル連結部材は非弾性である。
【0024】
典型的には、真空断続器は、第1および第2の電気接点を含み、前記の第1の接点は、開閉状態を達成すべく前記第2の接点に対して移動可能であって、前記フレキシブル連結部材は、第1の接点に電気接続される。好ましくは、前記アクチュエータは、フレキシブル部材から電気的に、好ましくは熱的にも分離されている。
【0025】
好ましい具体例において、前記真空断続器は、第1および第2の電気接点を含み、第1の接点は、開閉状態を達成すべく前記第2の接点に対して移動可能であって、第1および第2の接点の少なくとも1つ、好ましくは、双方は、それぞれの接点アセンブリに組み込まれ、接点が閉状態にある場合に、他方の電気接点の接触面と係合する接触面を供し、それぞれの接点アセンブリは、一方の端部にてそれぞれの電気接点を担う接点キャリアをさらに含み、接点キャリアは、電導性材料から形成され、それぞれの接点に電気接続され、中空構造を含む。
【0026】
好ましくは、中空構造は、接点運動軸に沿って弾性的に圧縮および圧縮解除(または、減圧、decompress)できるスプリング様構造である。中空構造は、好ましくはヘリカル状の構造である。接点キャリアは、接点の係合に際して弾性的に圧縮でき、接点の開状態中に圧縮解除し得る。
【0027】
有利には、磁気集束要素は、前記中空構造の内部に位置し、磁気集束要素は、典型的には強磁性材料のブロックを含む。好ましくは、集束要素は、接点キャリアが比較的非圧縮の状態にある場合に、それ自体とそれぞれの電気接点との間にギャップを残すために、かつ、接点キャリアが比較的圧縮した状態、特に、第1および第2の電気接点の係合により引き起こされた比較的圧縮した状態にある場合に、それぞれの電気接点に接触するために、寸法決定および位置付けされる。接点キャリアは、第1および第2の接点の開状態において、好ましくは、第1および第2の接点が分離される前に、比較的非圧縮の状態を採用するように構成し得る。
【0028】
好ましい具体例において、磁気シールドまたは磁気コンデンサは、そのまたは各接点アセンブリの周囲に供される。好ましくは、シールドは、強磁性材料から形成されたスリーブ様構造を含む。
【0029】
好ましくは、シールドは、そのまたは各接点キャリアの外側表面に隣接するが間隔を空けて位置し、好ましくは、外側表面と平行に延在する。所望により、シールドは、一方または他方の前記電気接点に電気接続される。
【0030】
好ましい具体例において、少なくとも2つの電極は、前記圧電駆動部に組み込まれている。
【0031】
少なくとも2つの電極は、好ましくは、第1および第2の多端子電極を含み、好ましくは、電極端子同士が拡大軸の方向に圧電駆動部の長さに沿って離隔して配置され、好ましくは、第1の電極のそれぞれの端子は、第2の電極の端子と相互配置される。
【0032】
典型的には、少なくとも2つの電極は、前記電気入力信号を前記圧電駆動部に加えるための電源に接続されるか、または接続可能である。
【0033】
有利には、少なくとも2つの電極は、圧電効果により前記圧電駆動部で生成されたエネルギーを低下させるための電気的負荷に接続されるかまたは接続可能である。
【0034】
好都合には、同じ電極が、前記電源または電気的負荷に選択可能に接続可能である。
【0035】
好ましい具体例において、少なくとも2つの電極は、電気的入力電圧を前記電極を介して前記圧電駆動部に印加する第1のモード、および前記電極を介する圧電効果により圧電駆動部に生成されたエネルギーを低下させるための電気的負荷として作用する第2のモードで、動作可能な4象限(four quadrant)電源に接続可能か、または接続される。
【0036】
好ましい具体例において、前記真空断続器は、第1および第2の電気接点を含み、少なくとも1つの前記電気接点は、一次的耐火材料、および非蒸発性ゲッタとして作用できる二次的耐火材料から形成される。二次的耐火材料は、好ましくはチタンを含む。
【0037】
例として、本発明の具体例は、21kAまで電流を耐電および遮断でき、既存のNH2 DINブレードヒューズ位置に適合するようにまだ十分にコンパクトであり、400Aまでの負荷を担うことができる圧電作動断続器を含むこともできる。
【0038】
本発明のさらなる有利な態様は、特定の具体例の以下の記載の概観に際して、および添付図面の参照により、当業者に明確になるであろう。
【0039】
(図面の簡潔な記載)
本発明の具体例は、添付図面を参照して以下にて例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の1つの態様を具体化する真空回路遮断器(VCB)の等角図である。
【
図3】
図3は、本発明のもう一つの態様を具体化し、
図1のVCBに用いるのに適当な真空回路断続器およびアクチュエータアセンブリの側面断面図である。
【
図4】
図4は、本発明のもう一つの態様を具体化し、
図3のアセンブリに用いるのに適当な好ましい圧電アクチュエータの側面断面図である。
【
図6】
図6は、
図4の圧電アクチュエータの増幅機成分の斜視図である。
【
図7】
図7は、伸長状態で示される
図4の圧電アクチュエータの側面断面図である。
【
図8】
図8は、他のアクチュエータで用いるのに適当な真空断続器の具体例の側面断面図である。
【
図9A】
図9Aは、
図4の圧電アクチュエータの圧電素子用の電圧および電流付勢モードを示すグラフである。
【
図9B】
図9Bは、電源モードにおける圧電素子用付勢端子の模式図である。
【
図9C】
図9Cは、電力シンクモードにおける圧電素子用付勢端子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(図面の詳細な記載)
特に図面の
図1~3を参照すると、本発明の1つの態様を具体化する電気回路遮断器装置が示され、10として一般的に示される。好ましい装置10は、(特に、低電圧(LV)での)AC電源の遮断における使用を意図し、したがって、AC回路遮断器といい得る。回路遮断器10は真空断続器11を含み、かくして真空回路遮断器(VCB)と称され得る。本発明のもう一つの態様を具体化する真空断続器11は、真空チャンバ16、すなわち、少なくとも使用中に、密封して密閉され、真空であるチャンバに位置する第1および第2の電気接点12、14を含む。第1の接点12は、開状態と閉状態との間で移動可能であり、それは第2の接点14と電気接続する。接点12の開状態は、真空断続器11、相応して回路遮断器の開状態または遮断状態に対応し、ここに、それは電流フローを中断する。接点12の閉状態は、真空断続器11、相応して回路遮断器の閉、または為される状態に対応し、ここに、電流は、接点12と14との間で流れることができる。
【0042】
その閉状態と開状態との間の接点12の移動は、アクチュエータ18により達成される。さらなる詳細に以下に記載されるごとく、そのアクチュエータは有利には本発明のさらなる態様を具体化する圧電アクチュエータである。
【0043】
真空断続器11、したがって、VCB 10は通常の閉状態、すなわち、閉状態の接点12で作動でき、電流が接点12、14間で流れるのを可能とし、したがって、いずれかの所与の回路中(図示せず)で流れ、ここに、回路遮断器10は使用中に設置される。かかる場合、VCB 10は、障害状態(または、不良状態もしくは欠陥状態、fault condition)の検出に応じて、例えば、電流の過負荷または短絡の検出に応じて、自動的に開き、それが使用中に組み込まれる回路を保護するように構成されている。アクチュエータ18が、障害の検出に応じて、第1の接点12をその開状態に動くことにより、これを達成する。この目的のために、VCB 10は、障害の検出に際して開状態を達成するためのコントローラー(図示せず)を含む。コントローラーは、典型的には、1以上の電流センサー(図示せず)を含むかまたは接続される電気回路および/または電子回路を含む。電流センサーは、使用において、VCB 10のいずれかの好都合の電流コンダクタ、またはVCBが接続される回路に連結される。センサによる閾値を超える電流、より詳しくは、規約電流が検出されると、コントローラーは、VCBを開かせる。好ましい具体例において、これは、圧電アクチュエータ18に印加された電圧の調節により達成される。コントローラーは、典型的には、過電流の検出に際して直ちに接点を開かず、有利には、それは、例えば、シヌソイド電圧シグナル(典型的には50~60Hzの周波数を有する)のゼロ交差点にて、適切な開始瞬間を決定するための電圧および/または位相角をモニターする。
【0044】
いくつかの具体例において、VCB 10はリセット、すなわち、VCB 10に応じてマニュアルもしくはセミアニュアル(例えば、ユーザコントロール(図示せず)のマニュアル活性化により)および/または自動的に閉じることができ、障害が無くなり、および/または閾値期間後に起動から終了したことを検出する。好ましい具体例において、これは、圧電アクチュエータ18に印加された電圧の調節により達成される。自動的にリセットされた回路遮断器は、再閉鎖器として一般的に知られている。
【0045】
別法として、真空断続器11、したがって、VCB 10は通常の開状態において、すなわち、その開状態の接点12で作動させて、電流が接点12と14との間に流れるのを防止し得る。
【0046】
好ましい具体例において、真空断続器11は、装置10への電源障害の事象において開状態を採用するように構成される。特に、圧電アクチュエータ18に印加される電気入力信号の不存在下、アクチュエータ18は、適用可能な場合に、接点12、14が、開くまたは開くままとさせるように構成される。
【0047】
VCB 10は、それぞれ、第1および第2の内部接点12、14に電気接続される第1および第2の外部電気端子20および22を含み、それにより、VCB 10は、使用において保護することが望ましい回路に電気(および機械)接続し得る。
図2において、端子20および22はブレード型端子(
図1に可視ではない)を含むとして示される。所望により、接点12、14が開かない事象、または開いた場合さえ、接点のスペーシングが電流を中断しない事象において、バックアップ保護を供するために、1以上のヒューズ21が端子20と22との間で接続される。
【0048】
図3を特に参照して、VCB 10は、真空断続器11が位置する真空チャンバ16を規定するハウジング24を含む。ハウジング24は、いずれかの適当な材料から形成し得る。
【0049】
また、有利には、圧電アクチュエータ18はハウジング24内に位置する。好ましい具体例において、アクチュエータ18は真空チャンバ16に位置する。別法の具体例(図示せず)において、アクチュエータ18は、真空チャンバ16から分離され、かつ真空にあってもなくてもよいチャンバに位置し得る。いずれの場合も、アクチュエータ18は、その閉状態と開状態との間の第1の接点12を移動させるために真空断続器11に機械的に連結される。第1の接点12は、好ましい具体例においてVCB 10の縦軸に対応する軸Aに沿って移動可能である。アクチュエータ18は、作動軸に沿って伸長および収縮するように作動可能であり(
図3に矢印Bにより示される)、好ましくは、作動軸が軸Aと整列する(好ましくは、作動軸および軸Aは同じ軸であるが、それらは代替的に相互に平行であり得る)ように好ましくは配置される。アクチュエータ18の伸長および収縮は、接点12を軸Aに沿って閉および開状態間で移動させる。好ましい配置は、その作動軸に沿ったアクチュエータ18の伸長が接点12に伝動して閉状態の方向および閉状態に接点12を移動させるようなものである。その作動軸に沿ったアクチュエータ18の収縮を接点12に伝動して、閉状態外のその開状態に軸Aに沿って接点12を移動させる。別法の具体例において、配置は、アクチュエータの伸長が接点を開かせ、一方でアクチュエータの収縮がそれらを閉じさせるようなものであり得る。この配置は、アクチュエータと移動可能な接点との間の機械的連結の適切な配置により実行し得る。
【0050】
第1の接点12は、VCB 10の第1の端子20に電気接続される。第2の接点14は、VCB 10の第2の端子22に電気接続される。端子20、22は、ハウジング24の対向端部にて好都合に供され、ブレード型端子(
図3に示さず)またはブレード型端子用の取付け(mounting)を各々含み得る。
【0051】
好ましい具体例において、アクチュエータ18と真空断続器11との間の機械的連結は、アクチュエータ18と真空断続器11との間のハウジング24の内部を横切って延在するフレキシブル連結部材26を含む。好ましいフレキシブル部材26は、形態が平面であり、例えば、シート、プレートまたは膜を含むが、それは別法として他の形態を取り得、例えば、バー、ストリップまたはロッドを含む。例示的な具体例において、フレキシブル部材26は、ハウジング24の内部を第1のチャンバ16と第2のチャンバ16’とに分けている。真空断続器11は、第1のチャンバ16にあり、アクチュエータ18は他方にある。双方のチャンバ16、16’は真空であり得るが、典型的には、それらの間に圧力差が存在する。フレキシブル部材26の端部28、29はいずれの好都合の方法でもハウジング24の対向面に固定され得る。
【0052】
アクチュエータ18は、
図3に見られるごとく、アクチュエータ18の伸長および収縮がフレキシブル部材26を相応して上方および下方へ撓ませる(または、曲げる、flex)ようにフレキシブル部材26に連結する。好ましくは、フレキシブル部材26は非弾性であり、例えば、実質的に弾性または低弾性を有さず、撓むことに対してほとんどまたは全く抵抗を供しない。これは、フレキシブル部材26を作製する材料および/またはその厚さおよび/またはその形状の適切な選択により達成し得る。接点12は、その撓みが軸Aに沿って接点12の対応する移動に伝動されるように、フレキシブル部材26に連結される。
【0053】
好ましい具体例において、フレキシブル部材26は、第1の接点12およびVCB 210の第1の端子20に電気接続され、使用中に第1の接点12と電気端子20との間の電流を担うための導電体として機能する。この目的のために、フレキシブル部材26は、電導性材料から全体的または部分的に形成されるか、または導電体を含み得る。例えば、フレキシブル部材26は、金属、例えば、銅、シート、膜、ストリップであり得る。また、例示的な具体例において、チャンバ16の1以上の壁部25は電導性材料から形成されるか、またはフレキシブル部材26へおよびからの電流を運ぶための導電体を含む。この例において、電気的接続は、壁部25を介して第1のヒューズ端子部29とフレキシブル部材25との間で為される。それぞれのヒューズ21は、第1のヒューズ端子部21と第2のヒューズ端子部23との間で接続されて、接点12をヒューズ21、壁部25およびフレキシブル部材26を介して、端子20と電気接続する。電気的分離成分27、例えば、アイソレータ環(isolator ring)は、チャンバ16、16’間で配置され、チャンバ16’の壁とチャンバ16の壁とを分離する。
【0054】
アクチュエータ18は、フレキシブル部材26から電気的に、好ましくは熱的にも分離される。好ましい具体例において、電気的および熱的アイソレータ30はフレキシブル部材26にアクチュエータ18を連結し、例えば、電気的および/または熱的分離材料の1以上のブロックまたは層を含み得る。
【0055】
図4~7を特に参照して、好ましい圧電アクチュエータ18を説明する。アクチュエータ18は、圧電駆動要素32および増幅機40を含む。圧電素子32は、圧電材料、例えば、圧電性結晶のブロックを含み、それは電気的電圧の印加に応じて拡大軸EA(時々、d
33軸という)に沿って拡大できる(expandable)。好ましい圧電駆動部32は、圧電材料の層(d
33軸に沿った層)のスタックを含む。いずれの適切な従来の圧電材料、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、例えば、PZT-5H海軍型VIまたはPIC 252(PI)を用い得る。好ましい具体例において、スタックは1以上の共焼成多層セラミックスを含む。また、圧電駆動部32はバイポーラまたはセミバイポーラ方式で作動可能であることがさらに好ましい。そのため、圧電駆動部32は、1つの極性の電圧(例えば、この例における正電圧)の印加に応じて拡大軸EAに沿って拡大(expand)し、逆極性の電圧(例えば、この例における負電圧)の印加に応じて拡大軸EAに沿って収縮する(contract)。典型的には、圧電駆動部32は、印加電圧の不存在下、それが採用する平衡長(軸EAの方向の平衡長、equilibrium length)を有し、関連する極性の電圧の印加に応じてこの長さを増加させ、かかる電圧の不存在下、平衡長に戻る。好ましい圧電駆動部32は、逆極性の電圧の印加に際して、平衡長から収縮し、かかる電圧の不存在下、平衡長に戻る。有利には、圧電駆動部32が平衡長に戻る速度は、適用可能ならば、それを拡大または収縮させる逆極性の電圧を印加することにより増大できる。例えば、本例において、正電圧の印加は圧電駆動部32を軸EAに沿って伸長させ、拡大状態にある場合、負極性電圧の印加は駆動部32をまさに電圧の不存在よりも速く収縮させる。いずれの事象においても、圧電駆動部32に印加された電圧の調節により、拡大軸EAに沿ってそれを伸長および収縮させることもでき、ここに、電圧調節は印加電圧の大きさおよび/または極性を調節することを含み得ることが理解されるであろう。
【0056】
電極は、圧電駆動部32(
図4に示さず)に電気入力信号を印加するために供される。典型的には、少なくとも2つの電極(少なくとも1つの正および1つの負の)が供される。
図9Bおよび9Cは、圧電駆動部32に電圧を印加するために用い得る第1の多端子電極34および第2の多端子電極36の模式図を供する。電極は圧電材料に組み込まれているが、別法としていずれかの他の好都合の方法で駆動部32に電気接続し得ることは好ましい。多端子電極が用いられる好ましい具体例において、端子は、圧電駆動部(好ましくは拡大軸EAの方向の)の長さに沿って離隔されることが好ましく、双方の電極34、36が多数の端子を有する場合、それぞれの端子は、相互に相互配置される(例えば、
図9Bおよび9Cに示されるごとく)ことが好ましい。使用において、駆動部32への電圧の印加は、圧電材料に適用された電場を変更し、今度は材料の相対的な伸長または収縮を決定する。
【0057】
例として、典型的な具体例において、圧電駆動部32は、長さ約65mm(方向EAでの)、高さ約33mmおよび幅約20mmを有し得る。印加電圧に依存して、駆動部32はその長さの約0.1%以内だけEA軸に沿って伸長または収縮し得る。印加電圧範囲は、例えば、-125V~+500Vであり得る。かかる例において、最大伸長のピーク電界強度は約+2kVmm-1であり得る。セミバイポーラの作動が支持される場合、最大収縮のピーク電界強度は約-500Vmm-1であり得る。典型的には、圧電性電気層の厚さは約250μmであり得る。圧電ブロック32は、典型的には、形状において実質的に立方形状であるが、具体例に適するように、他の形状を取り得る。
【0058】
圧電駆動部32を用いることの有利さは、その拡大および収縮が、例えば、従来の電磁アクチュエータに比較した制御できる速度および精度である。しかしながら、圧電駆動部32が伸長および収縮する量は、そのサイズにつき比較的小さい。増幅機40の目的は、アクチュエータ18により達成された置換が駆動部32の伸長/収縮より大きくなるように、圧電駆動部32の伸長/収縮を機械的に増幅することである。これは、例えば、ある範囲の印加に適当であるVCBに用いるのに圧電アクチュエータ18が十分に小さいことを可能にする。有利には、機械的増幅機40は、駆動部32の速度および精度がアクチュエータ18自体の特性として維持されることを可能にする。
【0059】
増幅機40は、圧電駆動部32を受け入れるためにキャビティ44を規定するように形成され寸法決定されたボディ42を含む。ボディ42は、第1および第2の離隔される側部46、48を含む。第1のフレキシブル構造体50は、側部46および48間で伸長し、それらにより支持される。好ましくはフレキシブル構造体である第2の構造52は、第1の構造50から離隔される側部46および48間で伸長する。その配置は、キャビティ44が側部46および48間で、第1および第2の構造体50、52間に位置するようなものである。第1のフレキシブル構造体50は、キャビティの頂部または最高部を形成するといい得る。第2の構造体52は、キャビティの底部を供するといい得る。ボディ42は、好ましくは、ボディ42が形状がスリーブ様であるように好ましくは開口する第1および第2の端部54、56(可視ではない)を有する。開口端部54、56は、側部46、48および構造体50、52のそれぞれの端部により規定される。典型的な具体例において、ボディ42は、縦および横の断面図において実質的に矩形である。
【0060】
ボディ42は、側部46から側部48に及ぶ横断軸Tを有する。第1のフレキシブル構造体50は、軸Tに垂直であり(およびボディの末端間方向に垂直であり)、かつアクチュエータ18の作動軸に相当する方向Fにフレキシブルである。また、好ましい具体例において、第2の構造体52は方向Fにフレキシブルであるが、別法の具体例において、第2の構造体はフレキシブルでなくてもよい。
【0061】
圧電駆動部32がキャビティ44に位置する場合、その拡大軸EAがボディの左右に及ぶように、すなわち、実質的に軸Tに沿ってそれは配置される。圧電駆動部32がその大きさが駆動部32の伸長/収縮の相対的状態に依存するボディ42の側部46、48に力を働かせるように寸法決定される。特に、駆動部32の伸長は、側部46、48に対する力を増加させ、一方、収縮は、側部46、48の力を低下させる。第1および第2のフレキシブル構造体50、52は軸Tに沿って、すなわち、相互方向および相互に離れて、側部46、48の移動を可能とする。したがって、圧電駆動部32が伸長する場合の側部46、48への力の適用は、相互に離れて側部46、48を移動させるかまたは移動させる傾向がある。例えば、
図4に示されるように、ボディ42は、駆動部32により適用されるいずれかの力の不存在下(およびそれが停止中であると仮定する)採用する平衡状態を有する。駆動部32が伸長する場合、側部46、48は別々に移動する。より詳細に後記されるごとく、これは、フレキシブル構造体50を方向Fに駆動部32から離れるようにフレックスする(例えば、
図7に示される)。駆動部32により適用された力が低下して、側部46、48がそれらの均衡位置の方向に戻り移動するのを可能にする場合、フレキシブル構造体50は駆動部32の方向に向かって方向Fでフレックスする。好ましい具体例において、第2のフレキシブル構造体52は、同じ方法で駆動部から離れて、駆動部方向にフレックスする。
【0062】
圧電駆動部32の方向でそれから離れたフレキシブル構造体50および52のフレックス性は、その作動軸に沿ってアクチュエータ18の各々、伸長および収縮を達成する。真空断続器11に連結した場合、これは、前記のごとく、その閉および開状態間で接点12を移動させる。圧電駆動部32が伸長する場合、フレキシブル構造体50、52がそれらの均衡位置から離れて移動する距離は、側部46、48がそれらの均衡位置から移動する距離より大きく、すなわち、駆動部32の伸長は、増幅機40により機械的に増幅される。増幅量は、フレキシブル構造体50、52の長さ、および軸EAに対するそれらの傾きに部分的に依存する。
【0063】
好ましい具体例において、フレキシブル構造体50は少なくとも1のセットの第1および第2のセグメント58、58’;60、60’を含み、各セグメントは、それぞれのヒンジ66、66’;68、68’により側部46、48のそれぞれに連結する端部62、62’;64、64’を有する。各ヒンジ66、66’;68、68’は、好ましくは、たわみベアリング、特に、リビングヒンジを含み、すなわち、側部46、48、およびセグメント58、58’;60、60’で全体に作成される。いずれかの事象において、ヒンジ66、66’;68、68’は、それぞれのセグメント58、58’;60、60’が側部と平行になり、すなわち、横断軸Tおよび撓み軸Fの双方に垂直な軸についてピボット回転する。セグメント58、58’;60、60のそれぞれの他端部67,67’;69、69’は、セグメント58、58’;60、60’が側部と平行になり、すなわち、横断軸Tおよび撓み軸Fの双方に垂直である軸について相互に対してピボット回転するのを可能にする中間セグメント70により一緒に連結される。これは、
図4および7に見られるように中間セグメント70が上下に、すなわち、使用中に圧電駆動部32から離れて、およびその方向に移動することを可能にする効果を有する。
【0064】
好ましい具体例において、中間セグメント70は、第1および第2の各セグメント58、58’;60、60’の各端部67、67’;69、69’が各ヒンジ72、72’;74、74’により連結された構造を含む。各ヒンジ72、72’;74、74’は、好ましくは、たわみベアリング、特に、リビングヒンジを含み、すなわち、中間セグメント70およびそれぞれの第1または第2のセグメント58、58’;60、60’で全体に作製される。ヒンジ72、72’;74、74’は、それぞれのセグメント58、58’;60、60’が、側部と平行になり、すなわち、横断軸Tおよび撓み軸Fの双方に垂直である軸について中間部分70に対してピボット回転するのを可能にする。好都合には、中間セグメント70を用いて、作動させることが望ましいすべての場合アクチュエータ18により生じた移動を与え得る。本具体例において、これは接点12であり、したがって、中間セグメント70はアイソレータ30およびフレキシブル連結部材26を介して接点12に連結される。好ましくは、この例において、アイソレータ30と係合する橋台表面76を含む。
【0065】
別法の具体例(図示せず)において、中間セグメントは、第1および第2のセグメントの端部67、67’;69、69’を一緒に連結するまさにヒンジを含み得る。ヒンジは、好ましくはたわみベアリング、特に、リビングヒンジを含み、すなわち、全体に第1および第2のセグメント58、58’;60、60’で形成される。
【0066】
好ましい具体例において、中間セグメント70は側部46、48との間で中途で位置して、それぞれの46,48から中間セグメント70への第1および第2のセグメント58、58’;60、60’の長さが実質的に同じである。好ましい配置は、フレキシブル構造体50が、撓み軸Fについて対称的であるようなものである。
【0067】
好ましい具体例において、第1および第2の各セグメント58、58’;60、60’は、それぞれ、各46、48および中間部分70に対して対向側に沿って決められた平面またはプレート様の構造を含む。典型的には、第1および第2のセグメント58、58’;60、60’は、ボディ42の端部54から端部56に伸長するように寸法決定される。中間部分70は、典型的にはボディ56の端部54から端部56に延在する延長構造を含み得る。例えば、好ましい具体例(図示される)において、中間部分70はビームを含むが、別法の具体例において、中間部分70はヒンジからまさになり得る。典型的には、第1のフレキシブル構造体50は、キャビティ44を真下に備えた、側部46および48間に延在するボディ42の面(例示的な例における頂部面)を供する。
【0068】
別法の例(図示されず)において、第1および第2のセグメント58、58’;60、60’は、他の形態を取ることもでき、例えば、側部46、48と中間部分との間に延在する1以上のバーまたはビームを含む。
【0069】
第1および第2のセグメント58、58’;60、60’は、少なくともそれぞれの側部46、48と中間セグメント70との間の固定長を有する範囲まで剛性である。平行ヒンジ(各セグメント58、58’;60、60’につき、それぞれの側部46、48でのものおよび中間セグメント70でのもの)と組み合わせたこの剛性は、中間セグメント70を、側部46、48が離れて移動する場合には、キャビティ44から離れて移動させ(図面において上方に見られる)、側部46、48が相互の方向に移動する場合には、キャビティ44の方向へ移動させる(図面において下方に見られる)。また、剛性は、中間セグメント70への駆動部32移動の効率的な伝達を促進する。
【0070】
好ましい具体例において、フレキシブル構造体50は、前記の第1および第2のセグメント58、58’;60、60’の第1および第2のセットS1およびS2を含む。第1のセットS1が第2のセットS2の真下に位置するように、すなわち、第1のセットS1が第2のセットS2とキャビティ44との間に位置するように、これらのセットは積み重ねられる(しかし、好ましくは、相互に接していることに対立させて離隔される)。好ましい配置は、各セットS1、S2のそれぞれの第1および第2のセグメントおよびヒンジがアキシアル方向Fで相互にレジスタにあるような(例えば、各セットの対応するヒンジが方向Fでレジスタで有利に相互に平行になるような)ものである。好都合には、各セットS1、S1は、共通の中間セクション70に連結されるが、別法の具体例において、それぞれの中間セクションは各セットに供し得る。いずれの事象においても、配置は、相互の方向または相互に離れる側部46、48の移動に応じて、前記のごとくセットS1、S2が同時にフレックスするようなものである。多重に積み重ねたセットの提供は、構造体50の撓み移動を過度に危険にさらさずに、高速にて高い力を生成する場合に生じる比較的高い応力および歪みに耐えるフレキシブル構造体50の能力を改善する。
【0071】
第1のセットS1についての各側部46、48でのそれぞれのヒンジ66および68は、第2のセットS2の対応するヒンジ66’、68’からの方向Fで離隔される。有利には、第2のセットS2のヒンジ66’、68’は、第1のセットS1の対応するヒンジ66、68より硬い(すなわち、それぞれの第1および第2のセグメントの移動の旋回により抵抗性である)。ヒンジがたわみベアリングを含む好ましい具体例において、これは、第1のセットS1のヒンジ66、68より厚い第2のセットS2のヒンジ66’、68’を作製することにより達成される。これは、圧電駆動部32の伸長/収縮に対するその応答性を過度に含むことなく、応力と歪みに耐えるフレキシブル構造体50の能力を改善する。
【0072】
好ましくは、方向Fでの対応するヒンジ66、66’、68、68’のスペーシングは、それぞれ対応する第1および第2のセグメント58、58’;60、60’間にギャップを規定するようなものである。
【0073】
典型的には、各セットのそれぞれの第1および第2のセグメントは、実質的にすべて、同じ厚さである。典型的には、第1および第2のセグメントを中間セグメント70に連結するそれぞれのヒンジ72、72’;74、74’は、同じ厚さ(または剛性)である。第1および第2のセグメントおよびヒンジの厚さは、応力/歪みを扱うその能力に対する、フレキシブル構造体50の応答性を釣り合わせるために適用に典型的に適するように選択し得る。
【0074】
別法の具体例において、フレキシブル構造体50は、第1および第2のセグメントおよび関連するヒンジの、まさに1セット、または2を超える積み重ねられたセットを含み得る。
【0075】
好ましい具体例において、第2のフレキシブル構造体52は、第1のフレキシブル構造体と同じかまたは実質的に同じであり、特記しない限りは、前記に供された同一記載が適用される。したがって、好ましい第2の第2のフレキシブル構造体52は、少なくとも1つのセットの第1および第2のセグメント158、158’;160、160’を含み、各セグメントは、それぞれのヒンジ166、166’;168、168’によりそれぞれ1つの側部46,48に、およびそれぞれのヒンジ172、172’;174、174’により中間セグメント170に連結したある端部162、162’;162、162’を有する。典型的には、中間セグメント170はベース171に固定され、それは、使用において、固定位置にある(例えば、本例においてハウジング24に固定される)。第2のフレキシブル構造体52は、圧電駆動部32が伸長および収縮するにつれて、第1のフレキシブル構造体50の中間セクション70が移動可能である全距離に寄与する。別法の具体例において、ボディ42のより低い(見られる)面は、フレキシブル構造体52以外のいくらかの他の構造体により好ましくは形成でき、好ましくは、相互の方向および相互に離れて側部46、48の移動を可能にするものである。
【0076】
好ましい具体例において、ボディ42、または少なくとも側部46、48およびフレキシブル構造体50、52は、同じ材料、例えば、鋼、チタン、または例えば、放電加工を用いる他の金属または合金から形成される。
【0077】
所望により、熱補償要素78は、圧電駆動部32と係合するキャビティ44内にボディ42の各横46、48に供され、すなわち、駆動部32が係合するキャビティ44の各側部に表面を供する。熱補償要素78は、比較的高い熱伸長率(CTE)を有する材料、例えば、アルミニウムから形成され、末端間断面積において好ましくは三角形である。それは、増幅機ボディ42の残りとは異なる材料から形成され、比較的低いCTE材料から典型的に形成される。駆動部32、および熱伸長の結果として発生できるボディ42の移動は、補償成分78においてCTE材料を用いることにより補われ、好ましい具体例における拡大軸EAに沿った駆動部32の高CTEと、増幅機40の残りに典型的に用いられる低CTE材料との平衡を保つ。
【0078】
好ましい具体例において、圧電駆動部32は、少なくともその拡大軸EAの方向に、すなわち、側部46から48に、キャビティ44を実質的に満たし、駆動部32は、平衡状態で駆動部32が伸長および収縮もする場合、側部46、48との接触を維持する。圧電駆動部32は、例えば、UHVエポキシを用いて、側部46、46に結合し得る。
【0079】
好ましくは、圧電駆動部32は、ギャップ80が駆動部32と第1のフレキシブル構造体50との間で規定されるように、配置し寸法決定される。ギャップ80は、その均衡位置に対する駆動部32の方向へフレキシブル構造体50の移動、特に、使用中に駆動部32の方向への移動につれて、第1のフレキシブル構造体50の運動量により惹起し得る移動を促進する。ギャップ80は、これは不可欠ではないが、フレキシブル構造体50が駆動部32に衝撃を与えるのを防止するように十分に広いものであり得る。圧電駆動部32は、第2のフレキシブル構造体52(またはキャビティ44の底部を規定する、他のより底部の構造体)に基づき得る。別法として、ギャップ(示さず)が駆動部32と第2のフレキシブル構造体52(または他の底部の構造体)との間で規定され、かかるギャップはギャップ80より好ましくは狭いように、圧電駆動部32は配置し寸法決定される。したがって、好ましい具体例において、駆動部32は、それが第1のフレキシブル構造体50に対するものよりキャビティ44の底部に接近するように、アキシアル方向Fでキャビティ44にオフセットされる。
【0080】
好ましい具体例において、アクチュエータ18の配置は、電圧が圧電駆動部32に印加されない場合、例えば、装置10の障害の場合には、駆動部32は、接点12を開状態にさせる相応した収縮状態を増幅機40に採用させる比較的収縮した開状態を採用するようなものである。さらに、通常の使用中に、接点12、14を開くためのアクチュエータ18の作動は、接点12、14を閉じるために適用された逆の極性である極性の駆動部32に対する電圧を印加することを含むことが好ましい。逆極性電圧は、駆動部32を電圧が印加されない場合より多く収縮させ、これは、装置10の障害の事象においてよりも逆バイアス下で接点12、14間のギャップを広くさせ、したがって、断続器の遮断能力を改善する。
【0081】
好ましい増幅機40は、以下の特徴による、比較的高い力、速度、正確さおよび再現性で作動する:
【0082】
1.2つのセットS1、S2のたわみベアリング66、66’;68、68’の不均一の厚さ(したがって、剛性)は、フレキシブル構造体50(好ましくは、フレキシブル構造体52も)の設計を積み重ねて、応力を再分配し置換を最大化する。これは、増幅機40のサイズおよび重量を最小化しつつ、接触速度および接触力を高く維持する。
【0083】
2.圧電駆動部32を増幅機40のボディ42の内部にオフセットして、(慣性効果により生じた)増幅機の個々のセクションの運動の差を補う。それは、駆動部32との接触の効果を回避または低減しつつ中間セクション70が移動するためのスペースを供するが、それは、たわみベアリング66、66’;68、68’を圧電駆動部32に比較的近接することを保つことによりトルクを最小限にし、エネルギー移動効率に寄与する。
【0084】
3.熱伸長によるドリフトは、三角形状の高CTE材料を用いることにより補われて、駆動部32のd33軸の負のCTEと、増幅機自体の低CTE材料の平衡を保つ。
【0085】
典型的な具体例において、前記特徴は、増幅機40が(例えば、遮断中)約2ms-1にて約1.2mmだけ接点12を移動することを可能とし、何千もの作動に対して約10μsの繰返し精度を持つ。
【0086】
今や特に
図3を参照して、好ましい真空断続器11はより詳細に記載される。第1および第2の接点12、14の少なくとも1つ、好ましくは双方は、それぞれの接点アセンブリ82、84に組み込まれ、そのそれぞれの接点12、14は接点12、14が閉じている場合、他の接触面と係合する接触面を供する。典型的には、接点12、14は、いずれかの適当な電導体材料、通常、金属または合金のディスクまたはプレートを含む。好ましい具体例において、接点12、14または少なくとも接触面は、主として炭化タングステンから形成される。例えば、接点12、14は、約30mmの幅または直径、および約2mmの厚さを有し得る。
【0087】
接点アセンブリ82、84は、一方の端部にてそれぞれの接点12、14を担う接点キャリア86、88をさらに含む。接点キャリア86、88は、電導性材料、好ましくは銅または銅合金、例えば、銅クロムジルコニウムから形成され、使用において、それがそれぞれの接点の一部分を形成するように、それぞれの接点12、14に電気接続される。
【0088】
キャリア86、88は、接触運動軸Aに沿って弾性的に圧縮および圧縮解除できるスプリング様構造体である。この目的のために、キャリア86、88は好ましくはヘリカル状の構造体を含む。ヘリカル状の構造体は連続的弾性ヘリックスを含み得るが、好ましい具体例において、ボディがスプリングとして機能することを可能にするような螺旋形のスロットが形成されるボディを含む。いずれの事象においても、キャリア86、88は、圧縮バネとして働き、それによって接点12、14の係合に際してそれが弾性的に圧縮し、接点12、14の開状態中に圧縮解除する。好ましい具体例において、キャリア86、88は、接点の閉作用をオーバーダンプ(over-damp)する剛性を有するが、他の具体例において、いくらかの圧縮解除も、接点系がダンプされる方法に依存して閉られる場合に生じ得る。接点12、14が閉られる場合、キャリア86、88の圧縮性は接点跳動を縮小または消失させ、これは断続器11の寿命および信頼性を増加させる。さらに、その配置は、キャリア86、88が圧縮状態に保持されるが、接点12、14が閉られるようなものであり、したがって、接点12、14が開く場合、キャリア86、88の弾性は接点12、14を別々に促し、これは接点開速度を増加させる。キャリア86、88の好ましい螺旋形特性は、接点12、14が開閉される場合、接点12、14を軸Aについて(わずかに)回転させる。この回転運動は、それが接点間に生し得るいずれの接合点の破壊も促進するので、接点12、14が開く場合、特に有利である。
【0089】
キャリア86、88は中空であり、電気的にエネルギーを与えられた場合、接点アセンブリの領域、特に、接点12、14において軸状磁束密度を増加させる軸状磁束場を生成する。これは、断続器11の遮断容量を改善する。
【0090】
好ましい具体例において、軸状磁束密度を集中させるために、磁気集束要素90、92は、キャリア86、88の内部に配置する。磁気集束要素90、92は、典型的には強磁性材料、例えば、鋼、好ましくは、ケイ素鋼(FeSi鋼)、または他の鉄鋼材料のブロックを含む。集束要素90、92は、キャリア86、88が比較的非圧縮の状態にある場合、それ自体と接点12、14との間にギャップを残すが、キャリア86、88が比較的圧縮した状態である場合、特に、接点12、14が閉られる場合、接点12、14の後部と接触させるように寸法決定および配置する。集束要素90、92が接点12、14に接触している場合、接点を通って流れる電流は、集束要素90、92とキャリア86、88との間で分割される(典型的な具体例において、キャリアおよび集束要素が作製されているものに依存するが、約30%の電流が、集束要素90、92を通って流れる)。接点12、14の開状態中に、キャリア86、88は圧縮解除され、集束要素90、92間の接触は壊され、もはや電流は集束要素90、92を通って流れない(代わりに、すべてがキャリア86、88を通って流れる)。有利には、その配置は、接点12、14が接点開状態中に相互に依然として接触している間に集束要素90、92との間の接触が壊されるようなものである。これは、キャリアおよび集束要素(特に、アキシアル方向Aで)相対的な寸法ならびにキャリアの剛性の設計を介して達成でき、これは圧縮解除する時点の速度を決定する。したがって、接点12、14が分離する瞬間にて、接点12、14を通って流れる電流のすべてがキャリア86、88を通って流れ、分離中のキャリア86、88により生成された軸状磁束密度を最大化する。
【0091】
集束要素90、92は、接点12、14の領域内のキャリア86、88により生成された軸状磁界を増幅し、それにより、断続器11の遮断容量をさらに改善する。
【0092】
集束要素90、92が接点12、14に接触している場合、集束要素90、92に流れる電流の効果は、集束要素90、92を含めた鉄成分による誘導エネルギー損失(コアロス)を低減することである。
【0093】
好ましい具体例において、磁気シールド94は接点アセンブリ82、84の周囲に供される。シールド94は、好ましくは、軸Aの周囲、接点アセンブリ82、84の全周囲近くで伸長し、典型的にはスリーブ様構造体を含む。シールド94はキャリア86、88の外側表面に隣接するが、接触せず位置し、好ましくは、キャリア86、88の外側表面と平行して伸長する。シールド94は、例えば、強磁性材料、例えば、鋼、好ましくは低炭素鋼またはケイ素鋼(Fe-Si鋼)、または他の鉄鋼材料から形成される。
冷間圧延穀物指向(CRGO、Cold rolled grain oriented)3%Fe-Si鋼が好ましい。
【0094】
シールド94は、キャリア86、88により生成された軸状磁束にリターンパスを供し、リターンパスは、比較的低い磁気抵抗、すなわち、シールドの不存在下にあるものと比較して低減される磁気抵抗を有する。低磁気抵抗は、接点12、14の周囲の遮断領域中の磁束密度を増加させ、それにより、断続器11の遮断容量をさらに改善する。したがって、シールド94は磁界コンデンサとして作用するといい得る。
【0095】
好ましい具体例において、シールド94は、第2の接点14に電気接続される。接点と同じ電位のシールド94を有することは、接触が壊される場合に、接点12、14付近の電場を制御するのを助ける。
【0096】
典型的な具体例において、接点12、14、キャリア86、88、集束要素90、92、およびシールド94は、縦の断面積において環状である。別法として、いずれかの1以上のこれらの成分は、好都合な場合、他の形状を取り得る。
【0097】
いずれかの1以上の接点12、14、集束要素90、92、またはシールド94は、渦電流の低減のための1以上のスロットを有し得る。
【0098】
好ましい具体例において、断続器11は、サイズや重量を増加させることなく、軸状磁束を集中させ、加えて、低磁気抵抗リターンパス(磁気コンデンサシールド94)を加えて、遮断領域中の流れを増加させる(典型的には、約2.2倍だけ)ことにより、遮断効率をかなり押し上げる。有利には、シールド94により供されるゲインは、冷間圧延穀物指向(CRGO)3%Fe-Si鋼を用いて、放射状流れにおける最小ゲインで(柱状アークのアンペリック運動を引き起こすであろう)軸の流れだけを増幅することにより、選択的である。加えて、CRGO鋼は、通常対のBフィールドを生成する渦電流を抑制する。
【0099】
前記のごとく、接点12、14が閉られる場合に、接点跳動を縮小または消失させることが望ましい。例えば、障害状態で接点が閉られる場合の最大の問題の1つは、接点跳動に起因する接点溶接であり;接点が高速で衝突するにつれて、それらの硬さは接触面のアーキングおよび融解に導きかねないリンギング(ringing)(小さな断続的な分離)を生じさせる。この問題はスプリング様キャリア86、88により好ましい具体例において軽減される。別法としてまたは加えて、接点跳動は電気的負荷への接点係合中の駆動部32中の歪みおよび/または応力の結果として、圧電駆動部32に生成された機械的エネルギーを低下させることにより軽減することができる。したがって、所望により、電極は、圧電駆動部42に接続でき、好ましくはその中に組み込まれ、電気的負荷に接続し得る(示さず)。典型的には、少なくとも2つの電極、好ましくは、多端子電極が供される。多端子電極が用いられる好ましい具体例において、端子は、圧電駆動部の長さに沿って(好ましくは拡大軸EAの方向の)離隔されることが好ましく、双方の電極が複数端子を有する場合、それぞれの端子が相互に相互配置されることが好ましい(例えば、
図9Bおよび9Cに示される)。
【0100】
また、好都合には、圧電駆動部32に電圧を印加するために用いられる電極34および36を用いて、過剰な機械的エネルギーを低下し得る。これは、電源(示さず)または電気的負荷(示さず)に選択的にそれらを接続できるスイッチング装置(示さず)への電極34、36の接続により達成し得る。スイッチング装置を(いずれかの従来のコントローラー(示さず)により)作動させ、接点12を移動させるためにアクチュエータ18を作動させることが望ましい場合に、電極34、36を電源に接続して、圧電駆動部32に適切な電圧を供給し、および接点跳動を軽減するために圧電駆動部32からのエネルギーを低下させることが望ましい場合に、電極34、36を電気的負荷に接続する。
【0101】
好ましい具体例において、これは、電源(ソース)または負荷(シンク)のいずれかとして作用できる電源に電極34、36を接続することにより達成される。好都合には、バイポーラまたは4象限の電源はこの目的に用いられ、それはその出力端子で正または負の電圧のいずれかを生成することができる。
図9Aに示されるごとく、バイポーラまたは4象限の電源は、その端子で電圧および電流の極性により決定された4象限のいずれか1つにおいて作動することができる。象限IおよびIIIにおいて、バイポーラ供給は、ソース電力であり:電流は、より正の電圧端子外に流れる。象限IIおよびIVにおいて、バイポーラ供給は(負荷として作用する)消費電力であり:電流は、より正電圧の端子に流れる。したがって、バイポーラ電源は、接点12を移動させるかまたは駆動部32からのエネルギーを低下させて、接点跳動を軽減するようにアクチュエータ18を作動させることが望ましいかに依存して、電源または負荷として作用するコントローラーにより作動させる。
【0102】
したがって、好ましい具体例において、圧電駆動部32は、4象限電源を用いて必要な場合に電流を供給および低下させることにより接点跳動を軽減する。
図9Bは、接点を閉るための電源として作用する場合の電源の作動を示し:電圧を圧電駆動部32に印加して、駆動部32を逆圧電効果によりその拡大軸d33に沿って収縮させ、それにより、増幅機40に接点を閉じる。引き続いて、
図9Cに示すごとく、電源を作動させて、駆動部32におけるエネルギーを低下させ:圧電駆動部32の長さよりかなり短い波長を持つ応力波は、接点12のインパクト表面でのその発生から、増幅機40を通って駆動部32へ移動する。一旦、それが圧電駆動部32の内部にあれば、圧電材料はこの応力歪エネルギーを電位に変換し(圧電効果により)、それは電極34、36により抽出される。典型的な具体例において、この目的のための圧電材料に組み込まれた何百もの電極端子が存在し得る。圧電駆動部32の長さが圧縮波の波長(断続器に必要な大きな置換を生成するのに必要とされる)より相当に長いので、それは非常に高い連結効率を有する。4象限供給は、このエネルギーが電流として抽出でき、オーム加熱(I
2R)により消散することができる手段を供する。
【0103】
好ましい具体例において、少なくとも1つの接点12、14(好ましくは、移動可能な接点12)は、一次的耐火材料(例えば、好ましい具体例において炭化タングステン銅)、および非蒸発性ゲッタとして機能する二次的耐火材料から形成される。一次的耐火材料は、いずれかの従来方法を用いて二次的耐火材料で被覆でき、またはそれと組み合わせ、例えば、混合し得る。例えば、粉末形態の二次的耐火材料は、一次的耐火材料との焼結物ミックスに加えることもでき、この焼結物ミックスを用いて、いずれかの従来の焼結法による接点を形成する。二次的耐火材料は、真空チャンバ16内のゲッタとして作用するいずれかの材料であり得る。好ましい具体例において、二次的耐火材料はチタンを含むが、他の金属、特に、不揮発性金属、例えば、クロムを代わりにまたは加えて用い得る。二次的耐火材料は、その接点または各接点を形成する材料の約5%~20%、好ましくは、約10%にて存在し得る。
【0104】
例として、好ましい具体例において、粉末チタンを一次的耐火材料との焼結物ミックス、典型的には、銅または銀のごとき溶浸金属に加える。例えば、接点12、14は、加圧焼結物浸潤または加圧焼結物プレスプロセスを用いて形成し得る。
【0105】
遮断プロセス、すなわち、接点12、14を開状態中に接触面は除去され、二次的耐火材料を含む多量の材料を、接触面から除去し、真空チャンバにおいて他の表面(例えば、他の接点14、12、好ましい具体例において、シールド94の内部表面)に析出させる。ゲッタとして作用する、析出した二次的耐火材料は、断続器11の作動の結果として真空チャンバ16中に存在するガスと化学結合するかまたはガスを吸収する反応性材料である。そのようにすると、析出した二次的耐火材料は、チャンバ16に真空を維持するのを助け、それにより、断続器の作動上の寿命を延ばす。
【0106】
今や
図8を参照して、本発明の1つの態様を具体化する真空断続器は、圧電アクチュエータ18と共に必ずではなく、他の適用において用いることができることが注目される。真空断続器111は真空断続器11と同様であり、同一番号を用いて、同様のパーツおよび当業者に明確であるのと同一または同様の記載の適用を示す。真空断続器111は、蛇腹連結装置(図示せず)を含むいずれかの従来のアクチュエータ、例えば、電磁アクチュエータに連結し得る。所望により、断続器111のハウジング24は、蛇腹部25により圧縮可能であり、例えば、接点14に対しての接点12の移動を促進する。
【0107】
本発明は本明細書に記載された具体例に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正または変更することができる。