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特許7030124容器を充填するためのデバイスを使用及び制御する方法、並びに充填デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】容器を充填するためのデバイスを使用及び制御する方法、並びに充填デバイス
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20220225BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
F04B43/12 T
F04B43/12 C
F04C5/00 341N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019538598
(86)(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018051353
(87)【国際公開番号】W WO2018134375
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】102017000005714
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】594073646
【氏名又は名称】イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マッカニャーニ、マウロ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-092537(JP,A)
【文献】特表2015-508691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0047925(US,A1)
【文献】特表2015-511203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/12
F04C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を充填するサイクルを行うために起動される蠕動ポンプ(10)によって、各容器内へ個別的に送達される所定量の流体(11)で、容器を充填するための方法であって、前記蠕動ポンプ(10)が、可撓性チューブ(14)が中に円周方向に配置された円筒形チャンバ(13)を備えた含有構造(12)を備え、前記可撓性チューブ(14)には、パワー源(15)へ結合可能な入口延長部(20)と、前記流体(11)の送達のための出口を備えた出口延長部(21)とが設けられ、前記可撓性チューブ(14)が、前記入口延長部(20)の少なくとも一部の、前記出口延長部(21)との隣接セグメント(19)を画定するリング状に閉鎖された円周方向セグメント(29)を有し、前記蠕動ポンプ(10)が、所定量の前記流体(11)を個別的に運ぶために、円周方向経路に沿って、望ましい角度値について前記可撓性チューブ(14)を次第に圧縮することができる単一の回転ローラ(22)を備え、前記回転ローラ(22)は前記含有構造(12)の前記円筒形チャンバ(13)の回転軸(30)の周りを回転する、方法において、前記方法が、
前記円周方向経路に関連して及び前記可撓性チューブ(14)の区域(Si)の円周方向位置に依存して、前記隣接セグメント(19)を備える、前記可撓性チューブ(14)の角度の付いた前記区域(Si)を画定することであって、前記区域(Si)は前記回転軸(30)に対して前記回転ローラ(22)によって通過され、前記区域(Si)が角度の付いたセグメントによって順次識別される、前記区域(Si)を画定することと、
前記回転ローラ(22)の初期角度位置を決定することと、
各回転ローラ(22)の初期接触部と、前記出口延長部(21)の前記出口との間に画定された個別の前記区域(Si)の、各々に含まれる前記流体(11)の体積(Vi)を決定することであって、前記体積(Vi)は前記隣接セグメント(19)の個別の前記区域(Si)の流体(11)の体積(Vi)を含む、前記体積(Vi)を決定することと、
送達される前記流体(11)の所定量毎に、前記回転ローラ(22)の円周方向の始動位置及び停止位置を記録することであって、各容器内へ送達される前記所定量が、前記回転ローラ(22)の影響を受ける、いくつかの区域(Si)と、前記区域(Si)の角度の付いた部分とのうちの少なくとも一方に含まれる前記体積(Vi)の和に対応する、前記始動位置及び停止位置を記録することと、
望ましい量の流体(11)を送達するために、その都度特定の角度の付いた位置を決定し、したがって前記回転ローラ(22)の円周方向経路を決定するべく、制御及び命令ユニット(27)にしたがう運動部材(25)によって、制御された厳密なやり方で前記回転ローラ(22)に命令を出すように、前記制御及び命令ユニット(27)によってその都度、前記回転ローラ(22)の位置において前記流体(11)の体積(Vi)を処理することと、
前記回転ローラ(22)の円周方向の始動位置に関して、前記所定量の流体(11)を前記容器内へ連続して送達するために、前記回転ローラ(22)を起動することと、
前記回転ローラ(22)の作用によって次第に送達される、前記流体(11)の瞬間的な量を、センサ(34)によって検出することと、
送達される前記所定量に到達すると前記回転ローラ(22)を停止させるために、前記センサ(34)によって検出された前記瞬間的な量を、送達される前記所定量と比較することで、各容器内へ送達される流体(11)の量を制御することと
を提供することを備え、
前記方法は、流体(11)の流量の変動を決定及び定量化するべく前記制御及び命令ユニット(27)によって実施された処理によって、前記回転ローラ(22)角速度を制御するべく、前記運動部材(25)によって前記回転ローラ(22)に命令を出すことによって、前記隣接セグメント(19)の個々の区域(Si)における決定された流体(11)の体積(Vi)に基づき、前記回転ローラ(22)が前記隣接セグメント(19)において作動する過渡部において決められた、出口での流体(11)の流量の変動を補償することを備える
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記回転ローラ(22)の角速度が、一定であることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転ローラ(22)の角速度が、連続的に可変であるか、又は或る送達と次の送達との間で可変であることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記体積(Vi)の前記決定は、前記流体(11)の1つ又は複数の化学的-物理的特徴を前記蠕動ポンプ(10)の1つ又は複数の構造上の特徴と組み合わせる、機能的関係を適用することによって得られ、
前記流体(11)の1つ又は複数の化学的-物理的特徴は、粘度、圧縮への反応、表面への接着の特性、及び前記可撓性チューブ(14)内部の摺動特性を含む群から選択され、
前記蠕動ポンプ(10)の1つ又は複数の構造上の特徴は、前記可撓性チューブ(14)の前記圧縮への反応、前記円筒形チャンバ(13)におけるその配置、その壁の厚さ、及び前記流体(11)が通過するチャネル(26)の直径を含む群から選択されることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各容器内へ個別的に送達される所定量の流体(11)で、容器を充填するためのデバイスであって、前記デバイスが、容器を充填するサイクルを行うために起動される蠕動ポンプ(10)を備え、前記蠕動ポンプ(10)が、可撓性チューブ(14)が中に円周方向に配置された円筒形チャンバ(13)を備えた含有構造(12)を備え、前記可撓性チューブ(14)にはパワー源(15)へ結合可能な入口延長部(20)と、前記流体(11)の送達のための出口を備えた出口延長部(21)とが設けられ、前記可撓性チューブ(14)が、前記入口延長部(20)の少なくとも一部の、前記出口延長部(21)との隣接セグメント(19)を画定するリング状に閉鎖された円周方向セグメント(29)を有し、前記蠕動ポンプ(10)が、所定量の前記流体(11)を個別的に運ぶために、円周方向経路に沿って、望ましい角度値について前記可撓性チューブ(14)を次第に圧縮することができる単一の回転ローラ(22)を備え、前記回転ローラ(22)は前記含有構造(12)の前記円筒形チャンバ(13)の回転軸(30)の周りを回転する、前記デバイスにおいて、前記デバイスが、
前記回転ローラ(22)の角度位置を決定するための検出要素(31)と、
前記可撓性チューブ(14)の角度の付いたセグメント同士によって順次画定された角度の付いた区域(Si)に含まれる、前記流体(11)の体積(Vi)を決定するように構成された処理ユニット(32)であって、前記角度の付いたセグメント同士は、前記回転ローラ(22)の初期接触部と、前記出口延長部(21)の前記出口との間で前記隣接セグメント(19)を備え、前記区域(Si)は前記回転軸(30)に対して前記回転ローラ(22)によって通過され、前記体積(Vi)は前記隣接セグメント(19)の個別の前記区域(Si)の流体(11)の体積(Vi)を含む、前記処理ユニット(32)と、
送達される前記流体(11)の所定量毎に、前記回転ローラ(22)の円周方向の始動位置及び停止位置を記録するように構成された記憶ユニット(33)であって、各容器内へ送達される前記所定量が、前記回転ローラ(22)の影響を受ける、いくつかの区域(Si)と、前記区域(Si)の角度の付いた部分とのうちの少なくとも一方に含まれる前記体積(Vi)の和に対応する、前記記憶ユニット(33)と、
送達される前記流体(11)の瞬間的な量を検出するための少なくとも1つのセンサ(34)と、
望ましい量の流体(11)を送達するために、その都度特定の角度の付いた位置を決定し、したがって前記回転ローラ(22)の円周方向経路を決定するべく、制御及び命令ユニット(27)にしたがう運動部材(25)によって、制御された厳密なやり方で前記回転ローラ(22)に命令を出すように、前記制御及び命令ユニット(27)によってその都度、前記回転ローラ(22)の位置において前記流体(11)の体積(Vi)を処理するように構成された制御及び命令ユニット(27)であって、前記回転ローラ(22)の前記円周方向の始動位置に関して、前記所定量の流体(11)を前記容器内へ連続して送達するために、前記回転ローラ(22)を起動するように構成された前記制御及び命令ユニット(27)であって、前記制御及び命令ユニット(27)が、送達される前記所定量に到達すると前記回転ローラ(22)を停止させるために、前記センサ(34)によって検出された前記瞬間的な量を送達される前記所定量と比較することで、各容器内へ送達される流体(11)の量を制御するように構成される、前記制御及び命令ユニット(27)であって、流体(11)の流量の変動を決定及び定量化するべく前記制御及び命令ユニット(27)によって実施された処理によって、前記回転ローラ(22)角速度を制御するべく、前記運動部材(25)によって前記回転ローラ(22)に命令を出すことによって、前記隣接セグメント(19)の個々の区域(Si)における決定された流体(11)の体積(Vi)に基づき、前記回転ローラ(22)が前記隣接セグメント(19)において作動する過渡部において決められた、出口での流体(11)の流量の変動を補償する、前記制御及び命令ユニット(27)と
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項6】
前記センサ(34)が、重量センサであることを特徴とする、
請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記回転ローラ(22)が、一定の角速度で前進するように構成されることを特徴とする、
請求項5又は6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記回転ローラ(22)が、連続的に可変である角速度か、又は或る送達と次の送達との間で可変である角速度で前進するように構成されることを特徴とする、
請求項5又は6に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蠕動ポンプを備える充填デバイスに関して、容器内への所定量の流体の厳密で正確な送達を明確に定める方法に関する。
【0002】
本発明はまた、容器を充填するために、厳密で正確な量の流体の連続した送達を使用及び制御するために、前記方法を使用する充填デバイスに関する。
【0003】
本発明による充填デバイスは、医薬又は健康部門において、及び明確に定められ制御された量の流体製品が、最小値であっても、好適な容器内へ、有利には連続して送達される場合には、状況の如何にかかわらずいずれの場合においても特に適用されるがこれに限定されない。
【背景技術】
【0004】
蠕動ポンプを採用する適用分野の中には、それら蠕動ポンプが扱う流体のタイプ及びその厳密な送り先に関して、厳密及び正確に、時には極めて正確に、明確に定められた量の流体を送達する必要性があるものがある。
【0005】
適用分野によっては、患者への液体の形の薬の投与のための連続的な送達が提供される。
【0006】
例えば、特許文献1(US’168)は、可撓性チューブであってその入口及び出口端部の隣接セグメントを備えた可撓性チューブがある単一ローラ蠕動ポンプが設けられた、液状の薬の一定流量の連続的な送達のための送達器を説明している。
【0007】
したがって、この解決策は、限られた量の薬の、一定流量での患者における送達を管理することが意図されている。
【0008】
しかしながら、少量であっても、好適な容器の所定量の流体での連続的な充填において高い精度が求められる医薬、化学、健康、又は他の製品の製造において、この解決策は連続して厳密な送達を得るのに好適ではない。実際、特許文献1において説明された送達器は、充填容器との関連において求められる連続での送達の厳密な繰り返し性を得ることを意図されていない。
【0009】
特許文献1は、隣接セグメントと、蠕動ポンプの駆動及び停止の過渡部(the drive and stop transients)とに関連する特定の問題を考慮すると、複数回の連続しての厳密な送達を得ることを可能にし得る送達器を使用するいかなる方法も示唆していない。
【0010】
特許文献1において説明された送達器は、ローラが隣接セグメントに作用するときにローラの回転速度を上げることを提供するが、その理由は、いくつかの特定の状態において、すなわち、過渡部(transients)から遠く離れると、ローラの回転速度の上昇は、或る量の薬を一定流量で連続的に送達することを可能にするからである。
【0011】
特許文献1において説明された解決策は、少量の送達には、又はローラの始動期間中のいずれの場合においても、非効率である。
【0012】
特許文献1において説明された既知の解決策を適用すると、ローラの小さい回転によって、又はローラの始動中に送達される量の傾向への効果は無い。このことは、特にローラが隣接セグメントにおいて始動される場合、この既知の解決策は、ローラの繰り返される始動及び停止で個別的に送達される量で容器を充填するためには不十分であることを意味する。したがって、特許文献1の解決策は、連続して及び厳密なやり方において望ましい量の液体で容器を充填することを可能にせず、その理由としてはこれは、隣接セグメントにおいて変位される液体の異なる体積によって、且つまた、ローラが駆動されるとき、すなわち、ローラの始動及び停止の過渡部にある間の液体の制御不能な送達によって、影響を受けるからである。
【0013】
液体製品で容器を連続的に充填する部門において、通常は、送達は、望ましい又は調整された間隔で連続的に繰り返される。
【0014】
送達されるコンポーネントの高度の精度が求められ、数千の用量であっても極めて高い製造速度で作られる医薬、化学、健康、又は他の製品の製造において使用される液体の場合、このことはいっそう差し迫っている。
【0015】
既知の蠕動ポンプは、通常は、可撓性チューブであって、押圧要素、通常は同じ軸の周りを回転する遊星ローラを備える円筒形の含有構造に挿入された可撓性チューブを有する。軸は、円筒形の含有構造の中心であり、それ自体の軸で回転する押圧要素は円筒形の含有構造の内周の少なくとも一部に配置された可撓性チューブを圧迫し、可撓性チューブの内部には送達される流体がある。円筒形の含有構造からの可撓性チューブの入口及び出口は、通常はU字型の配置に従う。例えば、先行技術文献の特許文献2及び特許文献3は、複数の遊星ローラを備えたU字型の可撓性チューブを有する2つの蠕動ポンプを説明する。
【0016】
そのような既知の蠕動ポンプにおいて、押圧要素によってその回転中に可撓性チューブへかけられる漸進的で連続的な圧縮作用は、連続的に、及び明確に定められた量だけ、入口端部から送達端部へ流体を変位させる。
【0017】
遊星ローラによって可撓性チューブへかけられる複数回の圧縮の結果、可撓性チューブは一方では、摩耗する傾向があり、他方で、それは押圧側で予想されるよりも早く老化する傾向があり、さらには、変形し得る、及び/又は、不可逆的に損傷を受け得ることから、蠕動ポンプは頻繁な補修管理を必要とすることが既知である。
【0018】
可撓性チューブが、U字型である代わりに「γ」(ギリシャ文字ガンマ)のような形である、既知の蠕動ポンプもまた存在する。この形態において、可撓性チューブは、入口及び出口延長部の一部が実質的に隣接して互いに反対側に位置する隣接セグメントを有する。
【0019】
特許文献3において説明された蠕動ポンプは、繰り返し毎に、蠕動ポンプが同じ初期構成から始まって望ましい量の流体を送達し得るように、蠕動ポンプの初期構成を得るために、ローラが各送達でその都度初期位置に再配置されることを求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】米国特許出願公開第2015/0037168号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0047925号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0013825号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
これは、しかしながら、システムをより複雑にするだけでなく、補修管理、及び三方バルブに接続されたチューブに沿った液体の停滞という他の問題の原因となる、三方バルブの存在を必然的に伴う。
【0022】
既知の蠕動ポンプは、ローラ、2つの反対側ローラ、環状の丸い突出部などからなり得る、押圧要素を有する。
【0023】
既知の蠕動ポンプは、少なくとも体積が制御される必要のある液体を移動させる機能のために使用される場合、正確な制御に関して多くの困難を生み出す。
【0024】
実際、隣接セグメントにおいて、押圧要素は、可撓性チューブの両延長部で同時に、場合によって不均一に作動し、このとき押圧要素はまた、均一ではなく可撓性チューブの残りの部品の特徴に対応していない、入口及び出口の過渡部を備えた可撓性チューブの隣接セグメントにおいて作動する。
【0025】
この挙動は、押圧要素が隣接セグメントに沿って完全に又は部分的に移行することを、送達される量が必要とする場合、送達される流体の量の正確で望ましい制御を得ることを困難にする。
【0026】
実際には、繰り返される送達の場合、押圧要素は何であれ、任意の角度位置において一時的に、またランダムに停止し、そこでは、蠕動ポンプが或る量の流体を順番に、しかし均一ではなく、送達することができなければならない。
【0027】
したがって、現況技術の欠点の少なくとも1つを克服する充填デバイスを使用及び制御する方法を、完全なものにするとともに利用可能にする必要がある。
【0028】
本発明の目的は、蠕動ポンプを備える充填デバイスを使用及び制御する方法であって、チューブの入口及び出口延長部の隣接セグメントがあり、送達される量の正確な制御が求められ、前記量が繰り返されるとともに経時的に又は厳密な頻度で変化することができる、方法を得ることである。
【0029】
本方法は、最小限であっても厳密で正確な量の流体を送達することを可能にし、経時的に、且つまた押圧要素が隣接セグメントに作用しているときの過渡部(the transient)にある間に送達される、流体の体積の一貫性を確保する。
【0030】
本発明の別の目的は、明確に定められた厳密な量の流体を送達する、及びまた容器を連続して充填する制御方法を使用する、充填デバイスを提供することである。
【0031】
本出願人は、本発明が現況技術の欠点を克服するように、並びにこれらの及び他の目的及び利点を獲得するように、考案、試験及び実現した。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、独立請求項において定められるとともに特徴付けられ、一方で、従属請求項は、本発明の他の特徴又は主たる発明のアイデアに対する変形形態を説明する。
【0033】
上記目的によると、本発明は、容器を充填するサイクルを行うために選択的に起動される蠕動ポンプによって、所定量の流体が各容器内へ個別的に送達される、容器を充填するためのデバイスを使用及び制御する方法に関する。
【0034】
蠕動ポンプは、可撓性チューブが中に円周方向に配置された円筒形チャンバを備えた含有構造を備え得て、可撓性チューブには、パワー源(power source)へ結合可能な入口延長部と、流体の送達のための出口を備えた出口延長部とが設けられ得る。
【0035】
可撓性チューブは、入口延長部の少なくとも一部の、出口延長部との隣接セグメントを画定する円周方向セグメントを有する。
【0036】
蠕動ポンプは、所定量の流体を個別的に運ぶために、円周方向経路に沿って、望ましい角度値について可撓性チューブを次第に圧縮することができる単一の回転ローラを備え得る。
【0037】
個別的にという用語によって、本発明者らは、望ましい量で充填させられることになっている各容器について、蠕動ポンプが選択的に始動及び停止させられることを意味する。
【0038】
可撓性チューブは、その入口及び出口延長部の少なくとも一部の隣接セグメントを有し、ガンマの形「γ」として構成される。
【0039】
可撓性チューブは、明確に定められた厳密な量の流体を、可撓性チューブ自体の入口端部から送達端部へ移動させるために、予期される流量によって決められた望ましい円周方向経路について、可撓性チューブを次第に連続的に圧縮することができる押圧要素と機能的に関連している。
【0040】
この蠕動ポンプの使用の可能な実施形態によると、押圧要素は、可撓性チューブの一部、又は可撓性チューブの1つ又は複数の回路、さらには不完全なもの、及び/又は隣接セグメントの一部を通じて、必要とされる量の流体を送達し得る。
【0041】
本発明の一態様によると、使用及び制御方法は、
円周方向経路に関連して及び可撓性チューブの区域の円周方向位置に依存して、隣接セグメントを備える可撓性チューブの区域を画定することであって、前記区域が角度の付いたセグメント(angular segments)によって順次識別される、前記可撓性チューブの区域を画定することと、
回転ローラの初期角度位置を決定することと、
回転ローラの初期接触部と出口延長部の出口との間に画定された個別の区域に含まれる流体の体積を決定することと、
送達される流体の所定量毎に、回転ローラの円周方向の始動位置及び停止位置を記録することであって、各容器内へ送達される所定量が、いくつかの区域に含まれる体積の和と、回転ローラの影響を受ける、いくつかの区域の角度の付いた部分(angular portions)に含まれる体積の和とのうちの少なくとも一方に対応する、前記始動位置及び停止位置を記録することと、
回転ローラの円周方向の始動位置に関して、所定量の流体を容器内へ連続して送達するために回転ローラを選択的に起動することと、
回転ローラの作用によって次第に送達される流体の瞬間的な量を検出することと、
送達される所定量に到達すると回転ローラを停止させるために、瞬間的な量を送達される所定量と比較することで、各容器内へ送達される流体の量を制御することと
を提供する。
【0042】
回転ローラの始動角度位置及び特定の個別の区域に含まれる流体の体積は既知であることから、厳密な量の流体を好適な容器内へ連続して送達することが可能である。
【0043】
この態様は、蠕動ポンプによって実際に送達される量の効率的で連続的な制御を達成し、このことは、各容器内へ送達される体積に到達するまで、蠕動ポンプの機能を管理することを可能にする。
【0044】
可能な実施形態によると、検出は、センサ、例えば重量センサ、レベルセンサ、存在センサ、又は送達された流体の瞬間的な量を検出するのに好適な他のセンサによって実施され得る。
【0045】
可能な実施形態によると、使用及び制御方法は、回転ローラの始動位置に関して送達される流体の総体積を処理することと、送達される流体の特定の総体積に対応する回転ローラの始動位置及び停止位置間に画定された円周方向経路に沿って回転ローラに命令を出すこととを提供し得る。
【0046】
可能な実施形態によると、区域は均一又は異なっていることができ、また、送達される流体の量に関して且つ絶対的に認められた最小公差に従って大きさを決められ得る。
【0047】
可能な実施形態によると、使用及び制御方法は、流体の体積に関して区域の一部が完了されたともみなして、或る量の流体を送達することを可能にする。
【0048】
可能な実施形態によると、本方法は、回転ローラの特定の角度位置をその都度明確に定めるために、制御及び命令ユニットに従う運動部材によって回転ローラを駆動することを提供し得る。
【0049】
可能な実施形態によると、回転ローラの角速度は一定であり得る。
【0050】
可能な実施形態によると、回転ローラの角速度は、連続的に可変であるか、又は或る送達と次の送達との間で可変であり得る。
【0051】
可能な実施形態によると、体積の決定は、流体の1つ又は複数の化学的-物理的特徴を、蠕動ポンプの1つ又は複数の構造上の特徴と組み合わせる機能的関係を適用することによって得られ得て、流体の1つ又は複数の化学的-物理的特徴は、粘度、圧縮への反応、表面への接着の特性、及び可撓性チューブ内部の摺動特性を含む群から選択され、蠕動ポンプの1つ又は複数の構造上の特徴は、可撓性チューブの圧縮への反応、円筒形チャンバにおけるその配置、その壁の厚さ、及び流体が通過するチャネルの直径を含む群から選択される。
【0052】
可能な明確な記述によると、本発明は、容器を充填するサイクルを行うために選択的に起動される蠕動ポンプを備える、各容器内へ個別的に送達される所定量の流体で容器を充填するための蠕動ポンプの充填デバイスに関する。
【0053】
蠕動ポンプは、可撓性チューブが円周方向に配置された円筒形チャンバを備えた含有構造を備えることができ、可撓性チューブには、パワー源(power source)へ結合可能な入口延長部と、流体の送達のための出口を備えた出口延長部とが設けられ、可撓性チューブは、入口延長部の少なくとも一部の、出口延長部との隣接セグメントを画定する円周方向セグメントを有し、前記蠕動ポンプは、所定量の流体を個別的に運ぶために、円周方向経路に沿って、望ましい角度値について可撓性チューブを次第に圧縮することができる単一の回転ローラを備える。
【0054】
本発明の一態様によると、充填デバイスは、
回転ローラの角度位置を決定するための検出要素と、
可撓性チューブの角度の付いたセグメントによって順次画定された区域に含まれる流体の体積を決定するように構成された処理ユニットであって、可撓性チューブは回転ローラの初期接触部と、出口延長部の出口との間の隣接セグメントを備える、前記処理ユニットと、
送達される流体の所定量毎に、回転ローラの円周方向の始動位置及び停止位置を記録するように構成された記憶ユニットであって、各容器内へ送達される所定量が、いくつかの区域に含まれる体積の和と、回転ローラの影響を受ける、いくつかの区域の角度の付いた部分に含まれる体積の和とのうちの少なくとも一方に対応する、記憶ユニットと、
送達される流体の瞬間的な量を検出するための少なくとも1つのセンサと、
回転ローラの円周方向の始動位置に関して、所定量の流体を容器内へ連続して送達するために、回転ローラを選択的に起動するように構成された制御及び命令ユニットであって、制御及び命令ユニットが、送達される所定量に到達すると回転ローラを停止させるために、センサによって検出された瞬間的な量を、送達される所定量と比較することで、各容器内へ送達される流体の量を制御するように構成される、制御及び命令ユニットと
を備える。
【0055】
可能な実施形態によると、センサは、重量センサ、例えばロードセルなどであり得る。
【0056】
可能な実施形態によると、回転ローラの始動位置と、送達される流体の体積とは既知であることから、制御及び命令ユニットは、送達される流体の特定の総体積に対応する、回転ローラの始動位置及び停止位置の間に画定された円周方向経路を決定するように構成され得る。
【0057】
可能な実施形態によると、回転ローラは、一定の角速度で前進するように構成され得る。
【0058】
可能な実施形態によると、回転ローラは、連続的に可変である角速度か、又は或る送達と次の送達との間で可変である角速度で前進するように構成され得る。
【0059】
制御及び命令ユニットは、その都度送達されるその明確に定められた正確な体積で、調整されたやり方で、押圧要素にその位置に関して命令を出すことを意図される。
【0060】
本発明のこれらの及び他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられるいくつかの実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明の可能な実施形態による、蠕動ポンプを概略的に示す。
図2】押圧要素が、可撓性チューブの隣接セグメントの初期位置において作動している図1の詳細を示す。
図3】押圧要素が、可撓性チューブの隣接セグメントの最終位置において作動している図1の詳細を示す。
図4】隣接セグメントの区域で重複している図2及び図3を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
理解を円滑にするために、図面における同一の要素を特定するために、可能な場合、同じ参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴は、他の釈明無しに他の実施形態へ都合よくは組み込まれ得ることが理解される。
【0063】
本発明の実施形態は、望ましい量の流体11を、厳密で正確で制御されたやり方で送達するように構成された蠕動ポンプ10を制御する方法に関する。
【0064】
本発明は、異なる物質を備え、様々な化学的-物理的特徴を有する場合であっても、性質の如何にかかわらず流体11の制御された送達を可能にすることに留意されなければならない。
【0065】
流体11とは、一例として、任意の液体であって、その使用の特定の必要性に関して化学的-物理的特徴が既知である任意の流体を指すことが考慮されなければならない。
【0066】
非限定的な例として、化学的-物理的特徴は、粘度、圧縮への反応、表面への接着の特性、又は可撓性チューブ内部の流体のフローに関連する他の特性であり得る。
【0067】
特に検討されるのは、明確に定められた厳密な量で、同様に極めて限られている可能性がある公差を容認して、その都度送達されなければならない、液体又は半液体の形の医薬又は健康製品である。送達は、その都度明確に定められ得るか、又は明確に定められたか若しくは明確に定められ得る回数繰り返され得る。
【0068】
図1を使用して説明された可能な実施形態は、容器の充填サイクルを実施するために選択的に起動され得る蠕動ポンプ10を備えるとともに、所定量の流体11が個別的に各容器内へ送達される、容器のための充填デバイス100に関する。
【0069】
蠕動ポンプ10は、中に可撓性チューブ14が円周方向に配置された円筒形チャンバ13を有する含有構造12を備える。可撓性チューブ14は、一方でパワー源(power source)15に、他方で送達ユーザデバイス16に接続される。
【0070】
可能な実施形態によると、含有構造12は、可撓性チューブ14が出入りする開口部に関して、可撓性チューブ14をパワー源15へ、及び/又は送達ユーザデバイス16へ可能なチューブ又は接続手段18を通じて流体接続するように構成された好適な接続部17を備え得る。
【0071】
非限定的な例として、パワー源15は、送達器、容器、又は、蠕動ポンプ10へ流体接続された開口部28が設けられた別のタイプの流体11源を備え得る。
【0072】
送達ユーザデバイス16は、一例として、流体11の送達器又は、1つ若しくは複数の望ましい量の流体11を容器内へ連続的に及び/若しくは順次送達することができる他の同様の要素などを備え得る。
【0073】
可撓性チューブ14は、ちょうど構成要素材料の特徴が既知であるように、任意の標準的であるが既知の値の内径を有し得る。可撓性チューブ14は、流体11を運ぶように構成されるとともに、リング状に閉鎖された円周方向セグメント29を有し、その入口延長部20の少なくとも一部の、その出口延長部21との隣接セグメント19を得る。
【0074】
可撓性チューブ14は、明確に定められた厳密な量の流体11を、可撓性チューブ14自体の入力端部23から送達端部24へ移動させるために、押圧要素22に、機能的に関連し、押圧要素22は、次第に作用するとともに、予期される流量によって決められた円周方向経路に沿って、望ましい角度値によって可撓性チューブ14を連続的に圧縮する。
【0075】
図示の例において、押圧要素22は、目的に好適なローラである。
【0076】
可能な実施形態によると、押圧要素22は、したがって、単一の回転ローラを備え得る。
【0077】
他の実施形態によると、押圧要素22は、複数の回転ローラ、又は環状の丸い突出部などを備え得る。
【0078】
可能な実施形態によると、押圧要素22は、押圧要素22が円周方向セクション29に沿って制御されたやり方で作動することを可能にするように構成された運動部材25に作用する、モータ部材(図示せず)によって駆動される。運動部材25は、特定の角度位置及びしたがって押圧要素22の円周方向経路をその都度画定するために、制御及び命令ユニット27に従う。
【0079】
押圧要素22の回転運動は、エンコーダシステム、又は、押圧要素22が隣接セグメント19において動作するときの過渡部においても押圧要素22の角度位置を正確に認識することができるようにする類似のシステムに関連する、制御及び命令ユニット27によって角度的に制御される。
【0080】
可能な実施形態によると、押圧要素22が単一のローラからなる場合、それは含有構造12の円筒形チャンバ13の回転軸30の周りを回転する。
【0081】
可撓性チューブ14は、押圧要素22によって次第に及び連続的に圧縮され、その結果、可撓性チューブ14は徐々に及び連続的に圧迫され、流体11を下流へ前進させるとともに流体11を上流へ吸引させる。
【0082】
押圧要素22は、可撓性チューブ14の一部、又はそれを通る1つ若しくは複数の回路、同様に隣接セグメント19の全体ではない部分及び/又は一部分を通過することによって必要とされる量の、流体11を送達し得る。
【0083】
押圧要素22が可撓性チューブ14の隣接セグメント19と協働するとき、流体11の量は変化するとともに、もはや望ましい精度で正しく制御可能ではなくなることが明らかである。
【0084】
したがって、押圧要素22が隣接セグメント19の延長部の一部又は全てと協働する場合であっても、送達の厳密な制御を得るという問題が生じる。
【0085】
しかしながら、次第に圧迫される可撓性チューブ14の典型的な挙動を理由として、押圧要素22が隣接セグメント19との直接相関関係を持つようになる直前に、既に量は変化していることが思い出されるべきである。
【0086】
したがって、本発明のアイデアは、可撓性チューブ14の隣接セグメント19への、押圧要素22によって作り出される摂動の開始ポイント及び終了ポイントを特定することを提供する。
【0087】
移動した可撓性チューブ14のセグメントにおける、及び/又は隣接セグメント19における押圧要素22の送達における摂動は既知であることから、隣接セグメント19を備える画定されたセグメントSiへと可撓性チューブ14を分割することが可能である。
【0088】
区域Siは、流体11のフローにおいて必要とされる精度に相関し得る。
【0089】
区域Siは、作動上の必要性によって均一、又は異なり得る。区域Siは、送達される流体11の量に関して認められた最小公差に従った大きさにされ得る。
【0090】
過渡部の下位区分並びに押圧要素22の送達の始まりでの円周方向位置、及び送達の終わりでの位置は既知であることから、送達された流体11の量は、厳密に明確に定められ得る。
【0091】
可能な実施形態によると、この定義は理論的及び/又は実際的である。
【0092】
可能な実施形態によると、充填デバイス100のための使用及び制御方法は、
区域Siの円周方向位置によって、均一又は異なっている円周方向経路に関連して区域Siを画定することであって、前記区域Siが角度の付いたセグメントによって順次識別される、前記区域Siを画定することと、
特定の円周方向位置について及び可撓性チューブ14に関連して、個別の区域Siの各々に含まれる液体の厳密な体積Viを決定することと、
押圧要素22の、可撓性チューブ14の隣接セグメント19との初期接触部と、対応する端部出口との間に画定された区域Siを、定量化するとともに円周方向に位置付けることと、
押圧要素22の始動角度位置を記憶することと、
送達される流体11の各総体積について、押圧要素22の円周方向の始動位置及び停止位置を記録することと、
円周方向位置に対する区域Siの位置に関して、及び押圧要素22の円周方向経路に関して、厳密な個別の区域Siにおける流体11の個別の体積Viを処理することと
を提供し得る。
【0093】
添え字iは、i番目の体積(V1、V2、V3、...)が含まれる、i番目の区域(S1、S2、S3、...)を指す。
【0094】
可能な実施形態によると、その都度変位される流体11の総体積を、送達される流体11の体積と比較するために、及び、送達される流体の明確に定められた厳密な体積に到達すると、押圧要素22に停止するよう命令を出すために、使用及び制御方法は、押圧要素22によって次第に影響を及ぼされる区域Siの体積Viの和に関連して、流体11の体積を連続的に検出することを提供し得る。
【0095】
可能な実施形態によると、使用及び制御方法は、押圧要素22の始動位置に関して送達される流体11の総体積を処理すること、並びに、始動位置によって、及びしたがって送達される流体の明確に定められた厳密な体積によって、厳密な円周方向経路に沿って押圧要素22に命令を出すことを提供し得る。
【0096】
送達された流体11の量の検出は、予め、又は、適切なセンサ及びこの目的に好適なデバイスを使用することで、送達端部24に対応して実施され得ることが明らかである。
【0097】
可能な実施形態によると、使用及び制御方法は、区域Siの一部に含まれる流体11の体積に応じて、区域Siの一部からも、或る量の流体11を送達することを可能にする。
【0098】
可能な実施形態によると、押圧要素22は必要とされる量の流体11を、円周方向経路の少なくとも一部に沿って送達し得る。
【0099】
可能な実施形態によると、複数の区域Siは、可撓性チューブ14及び押圧要素22によって、その都度探索される円周方向経路に関して決められ得る。経路は場合によって可撓性チューブ14の隣接部分19を備え得、そこでは出口での流体11の流量は、適切に制御されなかった場合に変化する。
【0100】
例えば、隣接セグメント19が、円筒形チャンバ13における回転軸30に対する押圧要素22の角度位置によって画定される場合、区域Siは、押圧要素22によって探索される角度の付いた区域として、画定され得る。
【0101】
流体11の体積Viの決定は、流体11の化学的-物理的特徴と、蠕動ポンプ10の構造上の特徴、すなわち可撓性チューブ14及びそれが円筒形チャンバ13においてどのように配置されるかの特徴とに基づく機能的関係を適用することによって得られ、隣接セグメント19の個別の区域Siに含まれる流体11の量を、厳密に決定することを可能にする。
【0102】
機能的関係は、流体11の1つ又は複数の化学的-物理的特徴を、蠕動ポンプ10の1つ又は複数の構造上の特徴と組み合わせ、流体11の1つ又は複数の化学的-物理的特徴は、粘度、圧縮への反応、表面への接着の特性、及び可撓性チューブ14内部での摺動特性を含む群から選択され、蠕動ポンプ10の1つ又は複数の構造上の特徴は、可撓性チューブ14の圧縮への反応、円筒形チャンバ13における可撓性チューブ14の配置、可撓性チューブ14の壁の厚さ、及び可撓性チューブ14のチャネル26の直径を含む群から選択される。
【0103】
押圧要素22の位置は、例えば検出要素31、例えば、運動部材25の回転軸30での、例えば検出要素31に関連するエンコーダなどによって検出され得る。エンコーダは、制御及び命令ユニット27に含められ得る。
【0104】
流体11の体積Viを押圧要素22の瞬間的な位置で処理することによって、望ましい量の流体11を送達するために、運動部材25によって、制御された厳密なやり方で押圧要素22に命令を出すことが可能となる。
【0105】
隣接セグメント19の個別の区域Siにおける流体11の体積Viは既知であることから、押圧要素22が隣接セグメント19において作動する過渡部において決められた、出口での流体11の流量の変動を補償することが可能である。
【0106】
実際、本発明によると、流体11の流量の変動を決定及び定量化した、実施された処理によって押圧要素22がその角速度を変化させるように、運動部材25によって押圧要素22に命令を出すことが可能である。
【0107】
送達要件に依存して、押圧要素22の角速度は一定、又は連続的に若しくはその都度可変であり得る。
【0108】
本発明によると、これらの作動は、制御及び命令ユニット27によって実施、制御及び管理される。
【0109】
制御及び命令ユニット27は、マイクロプロセッサ、又は、制御及び命令ユニット27自体がそのために構成された個別の作動を実施するために、場合によって、専用部品又はそのサブユニットによって説明された作動の1つ又は複数を実施することができる他の電気及び/若しくは電子デバイスであり得る。
【0110】
充填デバイス100は、
回転ローラ22の角度位置を決定するための検出要素31と、
処理ユニット32であって、可撓性チューブ14の角度の付いたセグメントによって順次画定された区域Siに含まれる流体11の体積Viを決定するように構成された処理ユニット32であって、可撓性チューブ14は、回転ローラ22の初期接触部と、出口延長部21の出口との間の隣接セグメント19を備える、前記処理ユニット32と、
送達される流体11の各所定量について、回転ローラ22の円周方向の始動位置及び停止位置を記録するように構成された記憶ユニット33であって、各容器内へ送達される所定量が、いくつかの区域Siに含まれる体積Viの和と、回転ローラ22の影響を受ける、いくつかの区域Siの角度の付いた部分に含まれる体積Viの和とのうちの少なくとも一方に対応する、記憶ユニット33と、
送達された流体11の瞬間的な量を検出するための少なくとも1つのセンサ34と、
回転ローラ22の円周方向の始動位置に関して、所定量の流体11を容器内へ連続して送達するために、回転ローラ22を選択的に起動するように構成された制御及び命令ユニット27であって、送達される所定量に到達すると回転ローラ22を停止させるために、前記制御及び命令ユニット27が、センサ34によって検出された瞬間的な量を、送達される所定量と比較するように構成された、制御及び命令ユニット27と
を備え得る。
【0111】
制御及び命令ユニット27は、円周方向経路に関して順番に、押圧要素22の影響を受ける個別の区域Siに関連して流体11の体積Viを処理するために、その都度押圧要素22の位置を決定するように構成され得る。可能な実施形態によると、制御及び命令ユニット27は、その都度変位される流体11の体積を、送達される流体11の体積と連続的に比較するように、及び、送達される流体11の明確に定められた厳密な体積に達すると、押圧要素22に停止するように命令を出すように構成される。
【0112】
押圧要素22の始動位置、及び送達される流体11の体積は既知であることから、制御及び命令ユニット27は、送達される流体11の明確に定められた厳密な体積を送達するために、押圧要素22が行わなければならない円周方向経路を決定するように構成され得る。
【0113】
本発明の明確な記述はまた、厳密で正確な量の流体を送達するために、制御及び命令ユニット27を備える蠕動ポンプ10を提供する。
【0114】
部品の修正及び/又は追加が、本発明の分野及び範囲から逸脱すること無しに、蠕動ポンプ10を使用及び制御する方法、並びにこれまで説明されたとおりの前記方法を使用する対応する蠕動ポンプ10になされ得ることは明らかである。
【0115】
本発明はいくつかの特定の例に言及して説明されたが、当業者であれば当然、特許請求の範囲において定められた特徴、したがってそれによって定義された保護の分野に該当する全てを有する、蠕動ポンプ10を使用及び制御する方法並びに前記方法を使用する対応する蠕動ポンプ10の多くの他の均等な形態を達成することができることもまた明らかである。
図1
図2
図3
図4