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  • 特許-ヒートポンプ式空調機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式空調機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20220225BHJP
   F24F 1/029 20190101ALI20220225BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F1/029
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020190202
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000244958
【氏名又は名称】木村工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浦野 勝博
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴之
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031168(JP,A)
【文献】特開2020-003176(JP,A)
【文献】実開昭52-096949(JP,U)
【文献】実公昭54-042121(JP,Y2)
【文献】特開2010-203726(JP,A)
【文献】特開2002-310496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/46
F24F 1/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気熱源のヒートポンプ(1)と、ケーシング(2)と、熱源用ファン(4)と、制御装置(5)と、を備えた一体形のヒートポンプ式空調機であって、
前記ケーシング(2)は、空調用空気が通過する給気用ブロック(11)と、熱源用空気として外気が通過する複数の熱源用ブロック(12)と、を備えかつ並列させた複数の前記熱源用ブロック(12)を前記給気用ブロック(11)の上に積むようにして構成し、
前記ヒートポンプ(1)は、前記給気用ブロック(11)に配置されて前記空調用空気を熱交換する前記給気用熱交換器(6)と、前記熱源用ブロック(12)に配置されて前記熱源用空気を熱交換する熱源用熱交換器(7)と、圧縮機(8)と、を備え、
前記熱源用ブロック(12)毎に、前記ヒートポンプ(1)の前記圧縮機(8)と、前記熱源用空気を前記熱源用熱交換器(7)に通過させて屋外に排気する前記熱源用ファン(4)と、を対で配置し、
前記制御装置(5)は、空調負荷に応じて複数の前記ヒートポンプ(1)のうちの空調運転に不要な前記ヒートポンプ(1)の前記圧縮機(8)とこれと前記対の前記熱源用ファン(4)とを同時に停止させる空調制御部(15)と、複数の前記ヒートポンプ(1)をローテーションさせて前記熱源用熱交換器(7)の除霜を行う交替制御部(16)と、を備えたことを特徴とするヒートポンプ式空調機。
【請求項2】
前記給気用熱交換器(6)及び前記熱源用熱交換器(7)の伝熱管を楕円管にて構成した請求項1記載のヒートポンプ式空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ式空調機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のヒートポンプを備えた空調機として、特許文献1のものが知られている。これはヒートポンプの熱源用熱交換器を共用させて給気用熱交換器との間で冷媒が循環するように配管接続した構造であった。このような構造では、空調運転に不要なヒートポンプを完全停止することができず、ヒートポンプの最小限界出力が大きくならざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-52881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、中間期などの低空調負荷時に、それに見合った冷暖房能力に制御できずに冷暖房が効き過ぎたり効きが悪かったりし、快適性と省エネ性を損なう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、給気用熱交換器と熱源用熱交換器を有する空気熱源のヒートポンプと、空調用空気が通過する給気用ブロックと熱源用空気が通過する複数の熱源用ブロックとを有するケーシングと、制御装置と、を備え、前記給気用ブロックに、複数の前記ヒートポンプで共用しかつ前記空調用空気を熱交換する前記給気用熱交換器を配置し、前記熱源用ブロック毎に、前記熱源用空気を熱交換する前記熱源用熱交換器を配置し、前記制御装置が、空調負荷の増減に応じて前記ヒートポンプを始動及び停止させる第1の運転パターンと前記ヒートポンプの出力を増減調整する第2の運転パターンとを行う空調制御部を、備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、空調運転に不要なヒートポンプを完全停止させ、低空調負荷に見合った冷暖房能力に制御でき、無駄なエネルギー消費もなくなって、快適性と省エネ性が向上する。万一1つのヒートポンプが故障しても、残りのヒートポンプで応急空調運転ができる。ヒートポンプの圧縮機と熱源用ファンとを同時に停止するので省エネとなり、夜間の騒音低減効果に優れる。暖房運転時に複数のヒートポンプを全て同時に停止させることなくローテーションで除霜させて暖房能力の低下を抑制でき、機器の長寿命化を図れる。縦にブロックを積んでケーシングを構成しているので、床面積が小さく、設置場所の制限が少なくて済む。
請求項の発明によれば、通風抵抗が小さくて圧力損失が減少し、かつ、熱交換器と通風空気との接触面積(伝熱面積)が増して、一層熱交換効率が良好となり省エネ性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
図2図1の平面図である。
図3図2のA―A断面図である。
図4】全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1から図4は、本発明のヒートポンプ式空調機の一実施例を示している。このヒートポンプ式空調機は、複数の空気熱源のヒートポンプ1、ケーシング2、給気用ファン3、熱源用ファン4及び制御装置5を備えた一体形で、冷風による冷房運転と温風による暖房運転の切換えができるようになっている。各図の太い点線矢印は空気の流れる方向を示す。
【0009】
ヒートポンプ1は、冷媒に対して圧縮・凝縮・膨張・蒸発の工程順を繰返し、この冷媒と熱交換する空気に対して冷媒蒸発工程で吸熱を冷媒凝縮工程で放熱を各々行うものである。ヒートポンプ1は、冷媒の蒸発工程と凝縮工程であって互いに異なる工程を担う給気用熱交換器6及び熱源用熱交換器7と、冷媒を圧縮して搬送する圧縮機8と、冷媒を膨張させる膨張弁等の減圧機構9と、給気用熱交換器6及び熱源用熱交換器7の蒸発工程と凝縮工程を切換えるバルブ等の切換機構10と、を少なくとも備え、これらを冷媒が循環するように配管接続して成る。
【0010】
ケーシング2は、空調用空気が通過する給気用ブロック11と、外気などの熱源用空気が通過する複数の熱源用ブロック12と、を備え、給気用ブロック11の上に並列させた複数の熱源用ブロック12を積むようにして構成する。給気用ブロック11には、空調用空気の出入口を設け、複数(図例では2台)のヒートポンプ1、1で共用しかつ空調用空気を熱交換して冷却又は加熱する給気用熱交換器6と、空調用空気を給気用熱交換器6に通過させて冷風又は温風にして被空調空間に供給する給気用ファン3と、空調用空気を加湿する加湿器13と、を配置する。
【0011】
熱源用ブロック12には、熱源用空気の出入口を設け、熱源用空気を熱交換する熱源用熱交換器7と、熱源用空気を熱源用熱交換器7に通過させて屋外などに排気する熱源用ファン4と、ヒートポンプ1の圧縮機8と、を対にして熱源用ブロック12毎に配置する。熱源用ブロック12の熱源用空気の入口には、空気が通る間をあけてプレート14を設ける。
【0012】
図示省略するが、給気用熱交換器6及び熱源用熱交換器7は、公知のプレートフィンコイルと同様に、空気が通過する多数のプレート状の伝熱板の群と、伝熱板群に接続された多数の冷媒流通用伝熱管の群と、を備える。この伝熱管群内を流れる冷媒と通過空気が伝熱管群及び伝熱板群を介して熱交換する。給気用熱交換器6は、異なるヒートポンプ1の冷媒が混合せずに独立して流れるようにして共用する。伝熱管は、楕円管で構成するのが好ましいが円菅でもよい。
【0013】
制御装置5は、空調制御部15及び交替制御部16を備え、マイクロプロセッサや各種センサー等にて構成する。空調制御部15は、空調負荷の増減に応じて、熱源用ブロック12の対の熱源用ファン4と熱源用熱交換器7を有する1つのヒートポンプ1の圧縮機8とを、同時に始動及び停止させる第1の運転パターンと、ヒートポンプ1の圧縮機8の出力を増減調整する第2の運転パターンと、を切換え又は組合わせて行う。
【0014】
このように1台の空調機で必要な冷暖房能力を、複数のヒートポンプ1で分配してまかなうので、空調機全体の最小限界出力を、ヒートポンプひとつ分に抑えることができる。また、ヒートポンプ1の圧縮機8と熱源用ファン4を同時に停止するので省エネとなり、夜間の騒音低減効果に優れる。
【0015】
交替制御部16は、空調負荷の増減と、熱源用熱交換器7の除霜要否と、の一方又は両方に応じて第1の運転パターンをヒートポンプ1をローテーションさせて行う。空調負荷の増減と除霜要否はセンサー等で検知する。ローテーションさせるヒートポンプ1は、ランダムでもよいが、圧縮機8の稼働時間が平均化されるよう選択するのが機器寿命の点から望ましい。
【0016】
なお、本発明は上述の実施例に限定されない。例えば、ヒートポンプ1の数は2以上とするも自由で、給気用熱交換器6及び熱源用熱交換器7以外のヒートポンプ1の機器は、給気用ブロック11と熱源用ブロック12のどちらに設けてもよい。1つの熱源用ブロック12に配置する熱源用熱交換器7の数の増減も自由である。
【符号の説明】
【0017】
1 ヒートポンプ
2 ケーシング
5 制御装置
6 給気用熱交換器
7 熱源用熱交換器
11 給気用ブロック
12 熱源用ブロック
15 空調制御部
16 交替制御部
【要約】
【課題】 快適性と省エネ性が向上するヒートポンプ式空調機を得る。
【解決手段】 給気用熱交換器(6)と熱源用熱交換器(7)を有する空気熱源のヒートポンプ(1)を備える。給気用ブロック(11)に複数のヒートポンプ(1)で共用する給気用熱交換器(6)を配置し、熱源用ブロック(12)毎に熱源用熱交換器(7)を配置する。制御装置(5)が、空調負荷の増減に応じてヒートポンプ(1)を始動及び停止させる第1の運転パターンと、ヒートポンプ(1)の出力を増減調整する第2の運転パターンと、を行う空調制御部(15)を、備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4