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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】LED発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20220225BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220225BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20220225BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20220225BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/58
H01L33/48
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020525784
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2019024386
(87)【国際公開番号】W WO2019244958
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2018115790
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
(72)【発明者】
【氏名】松村 一輝
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284950(US,A1)
【文献】特開2009-218355(JP,A)
【文献】特開2015-164216(JP,A)
【文献】特開2014-86573(JP,A)
【文献】特開2010-287657(JP,A)
【文献】特開2014-225600(JP,A)
【文献】特開2009-277751(JP,A)
【文献】特開2012-99572(JP,A)
【文献】特開2012-212809(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0228629(US,A1)
【文献】特開2014-187284(JP,A)
【文献】特開2014-135437(JP,A)
【文献】特開2015-130434(JP,A)
【文献】特開2014-130923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
F21K 9/00-9/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
それぞれが、前記基板上に実装され、第1色で発光し、且つ、第1LEDダイと当該第1LEDダイの上面を被覆する第1蛍光樹脂を含む複数の第1微細領域と、
それぞれが、前記基板上に実装され、第2色で発光し、且つ、第2LEDダイを含む複数の第2微細領域と、
前記複数の第1微細領域に含まれる前記第1LEDダイを電気的に直列に接続することによって第1LED列を形成する第1ワイヤと、
前記複数の第2微細領域に含まれる前記第2LEDダイを電気的に直列に接続することによって第2LED列を形成する第2ワイヤと、を備え、
前記複数の第1微細領域及び前記複数の第2微細領域は、前記基板上で互い違いに且つ市松模様を形成するように配置され
前記複数の第1微細領域及び前記複数の第2微細領域は、前記基板上で、第1の方向に互い違いに配置され、前記第1の方向と直交する第2の方向にも互い違いに配置され、
前記第1LEDダイは第1の辺に沿って形成されたアノード及びカソードを有し、
前記第2LEDダイは第2の辺に沿って形成されたアノード及びカソードを有し、
前記第1の方向に配置される前記第1LEDダイの前記第1の辺と、前記第1の方向に配置される前記第2LEDダイの前記第2の辺とは、互い違いに配置され、
前記複数の前記第1LEDダイは、前記第1の辺に沿って形成された前記アノードと前記カソードの位置が逆に配置されている2種類のLEDダイを含み、
前記複数の前記第2LEDダイは、前記第2の辺に沿って形成された前記アノードと前記カソードの位置が逆に配置されている2種類のLEDダイを含み、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記基板を平面視したときに互いに平行になるように配置される、
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記複数の第2微細領域は、前記第2LEDダイの上面を被覆する第2蛍光樹脂を更に含む、請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記第1ワイヤは、複数の前記第1LEDダイをジグザクに接続するように配置され、
前記第2ワイヤは、複数の前記第2LEDダイをジグザクに接続するように配置される、請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記第1ワイヤは、所定の第1LEDダイのアノードと前記所定の第1LEDダイに隣接した別の第1LEDダイのカソードを順次接続するようにして、前記第1LED列に含まれる全ての第1LEDダイを電気的に直列に接続し、
前記第2ワイヤは、所定の第2LEDダイのアノードと前記所定の第2LEDダイに隣接した別の第2LEDダイのカソードを順次接続するようにして、前記第2LED列に含まれる全ての第2LEDダイを電気的に直列に接続し、
前記第1ワイヤは、前記第2LED列に含まれる複数の第2LEDダイの直上を通過しないように配置され、
前記第2ワイヤは、前記第1LED列に含まれる複数の第1LEDダイの真上を通過しないように配置される、
請求項1~の何れか一項に記載のLED発光装置。
【請求項5】
前記第1LED列に含まれる所定の第1LEDダイにおける前記アノードの位置と最も近接した角部と、前記第1LED列に含まれる他の第1LEDダイの前記カソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて前記第1ワイヤによって接続され、
前記第2LED列に含まれる所定の第2LEDダイにおける前記アノードの位置と最も近接した角部と、前記第2LED列に含まれる他の第2LEDダイの前記カソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて前記第2ワイヤによって接続される、
請求項に記載のLED発光装置。
【請求項6】
前記第1LED列を構成する所定の第1LEDダイは、前記第1の方向において、1つの第2LEDダイを間に挟んで、他の第1LEDダイと、前記第1ワイヤによって電気的に接続される、請求項に記載のLED発光装置。
【請求項7】
前記第1ワイヤは、前記第1の方向に隣接する第2LEDダイの表面に配置された前記第2蛍光樹脂の内部を通過して前記第1の方向に隣接する第1LEDダイに接続される、請求項に記載のLED発光装置。
【請求項8】
前記第2LED列を構成する所定の第2LEDダイは、前記第2の方向において、1つの第1LEDダイを間に挟んで、他の第2LEDダイと、前記第2ワイヤによって電気的に接続される、請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項9】
前記第2ワイヤは、前記第1の方向に隣接する第1LEDダイの表面に配置された前記第1蛍光樹脂の内部を通過して前記第1の方向に隣接する第2LEDダイに接続される、請求項に記載のLED発光装置。
【請求項10】
前記第1LEDダイと前記第2LEDダイは、同じLEDダイである、請求項1~の何れか一項に記載のLED発光装置。
【請求項11】
前記複数の第1微細領域に含まれる前記第1LEDダイ及び前記複数の第2微細領域に含まれる前記第2LEDダイの側面を覆う白色反射樹脂を更に備える、請求項1~10の何れか一項に記載のLED発光装置。
【請求項12】
前記白色反射樹脂は、複数の前記第1LEDダイと複数の前記第2LEDダイを前記基板に接着するためのダイボンド材である、請求項11に記載のLED発光装置。
【請求項13】
前記白色反射樹脂は、複数の前記第1LEDダイと複数の前記第2LEDダイとの間隔で前記基板の表面を覆うよう配置されている、請求項11又は12に記載のLED発光装置。
【請求項14】
前記第1蛍光樹脂及び前記第2蛍光樹脂を被覆する透明樹脂を更に備え、
前記透明樹脂は、フィラーを含む、請求項に記載のLED発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一枚の基板上に第1色で発光する複数の微細領域と、第2色で発光する複数の微細領域とを市松模様状に配列したLED発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一枚の基板上に第1色で発光する複数の微細領域と、第2色で発光する複数の微細領域を備えたLED発光装置が知られている。異なる2色で発光する領域を備えたLED発光装置は、2種類の微細領域が偏りなく配置されないと色むらが発生するため、2種類の微細領域を市松模様状に配置することがある。
【0003】
例えば、特開2014―203569号公報の図1には、2種類の微細領域を市松模様状に配置し、色むらの発生が抑制されたLED発光装置が示される。
【0004】
特開2014―203569号公報1の図1図19に引用し、図19に示すLED発光装置100について説明する。図19は、従来例として示すLED発光装置100の平面図である。図19に記載される符号及び構成要素の名称は、特開2014―203569号公報の図1に記載される符号から変更された。
【0005】
図19に示すように、LED発光装置900は、基板907と、複数のLEDダイ905及び906と、ダム910と、コネクタ913を備える。基板907の一面907aに形成された絶縁層908上には、青色で発光するLEDダイ905が直列接続した複数の第1のLED群902と、赤色で発光するLEDダイ906が直列接続した複数の第2のLED群903とが実装される。また、絶縁層908上において、LEDダイ905及び906は、ダム910で囲まれ、黄色蛍光体を含有する透光性樹脂909で被覆される。LED発光装置900は、第1色としてLEDダイ905及び黄色蛍光体を含有する透光性樹脂909により白色発光する微細領域と、第2色としてLEDダイ906により赤色発光する微細領域を備える。
【0006】
LED発光装置900は、絶縁層908上に、接続パターン904、並びに配線パターン911及び912を備える。接続パターン904には、第1のLED群902のアノード及び第2のLED群903のカソードがボンディングワイヤ914で接続される。配線パターン911には、第2のLED群903のアノードが接続され、配線パターン912には、第1のLED群902のカソードが接続される。配線パターン911及び912は、コネクタ913に接続される。すなわち、コネクタ913から電力を供給する際、配線パターン911、第2のLED群903、接続パターン904、第1のLED群902、及び配線パターン912の順で電流が流れ、LEDダイ905及び906が点灯する。
【0007】
LEDダイ905の間を接続するボンディングワイヤ914、及びLEDダイ906の間を接続するボンディングワイヤ914の配線形状はジグザグ形状であり、ボンディングワイヤ914は互いに交差しない。LED発光装置900は、2種類の微細領域を市松模様状に配列し、LEDダイ905と黄色蛍光体により得られた白色光と、LEDダイ906から得られた赤色光とを均一でムラなく混色する。
【発明の概要】
【0008】
図19に示したLED発光装置900では、LEDダイ905とLEDダイ906の間に、LEDダイ906の素子サイズ程度の隙間が存在する。LED発光装置900の発光量単位面積当たりの発光効率は、LEDダイ905とLEDダイ906との間の配置間隔を狭くし、実装するLEDダイ905及び906の数を増加させることで向上される。
【0009】
しかしながら、配線間隔がを狭くなるようにLEDダイ905及び906を実装すると、LEDダイ905及び906を接続するボンディングワイヤが互いに近接又は交差するおそれがある。さらに、ボンディングワイヤ914が、発光領域を跨ぐように配置されるおそれがある。互いに近接又は交差するボンディングワイヤ914の配置は、製造上の障害となり製造コストが上昇するおそれがある。また、発光領域を跨ぐボンディングワイヤ914の配置は、発光効率の低下を招くおそれがある。
【0010】
特許第5357549号公報及び特開2014-135471号公報には、隣接して配置される矩形のLEDダイが、LEDダイの辺の延伸方向の少なくとも一方にずらして配置されるLED発光装置が記載されている。
【0011】
隣接して配置される矩形のLEDダイをLEDダイの辺の延伸方向にずらして配置することで、ボンディングワイヤを発光領域を跨ぐように配置することが防止され、発光効率が低下することを防止できる。
【0012】
しかしながら、市松模様状になるように配置されたLEDダイを、LEDダイの辺の延伸方向にずらして配置すると、端部に配置されるLEDダイの混色性が低下するおそれがあり、好ましくない。
【0013】
そこで、本開示は、上記課題に鑑みて為されたものであり、第1色で発光する第1微細領域と、第2色で発光する第2微細領域とを市松模様状に配列させたLED発光装置において、第1微細領域の属するLEDダイと第2微細領域に属するLEDダイ同士を近接させても、製造しやすく、発光効率が良好なLED発光装置を提供することを目的とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本開示のLED発光装置は、基板と、それぞれが、基板上に実装され、第1色で発光し、且つ、第1LEDダイと当該第1LEDダイの上面を被覆する第1蛍光樹脂を含む複数の第1微細領域と、それぞれが、基板上に実装され、第2色で発光し、且つ、第2LEDダイと当該第2LEDダイの上面を被覆する第2蛍光樹脂を含む複数の第2微細領域と、複数の第1微細領域に含まれる第1LEDダイを電気的に直列に接続することによって第1LED列を形成する第1ワイヤと、複数の第2微細領域に含まれる第2LEDダイを電気的に直列に接続することによって第2LED列を形成する第2ワイヤと、を備え、複数の第1微細領域及び複数の第2微細領域は、基板上で互い違いに且つ市松模様を形成するように配置される。
【0015】
また、本開示のLED発光装置では、複数の第1微細領域及び複数の第2微細領域は、基板上で、第1の方向に互い違いに配置され、第1の方向と直交する第2の方向にも互い違いに配置されることが好ましい。
【0016】
また、本開示のLED発光装置では、第1LEDダイは第1の辺に沿って形成されたアノード及びカソードを有し、第2LEDダイは第2の辺に沿って形成されたアノード及びカソードを有し、第1の方向に配置される第1LEDダイの第1の辺と、第1の方向に配置される第2LEDダイの第2の辺とは、互い違いに配置されることが好ましい。
【0017】
また、本開示のLED発光装置では、複数の第1LEDダイは、第1の辺に沿って形成されたアノードとカソードの位置が逆に配置されている2種類のLEDダイを含み、複数の第2LEDダイは、第2の辺に沿って形成されたアノードとカソードの位置が逆に配置されている2種類のLEDダイを含むことが好ましい。
【0018】
また、本開示のLED発光装置では、第1ワイヤは、複数の第1LEDダイをジグザクに接続するように配置され、第2ワイヤは、複数の第2LEDダイをジグザクに接続するように配置されることが好ましい。
【0019】
また、本開示のLED発光装置では、第1ワイヤは、所定の第1LEDダイのアノードと所定の第1LEDダイに隣接した別の第1LEDダイのカソードを順次接続するようにして、第1LED列に含まれる全ての第1LEDダイを電気的に直列に接続し、第2ワイヤは、所定の第2LEDダイのアノードと所定の第2LEDダイに隣接した別の第2LEDダイのカソードを順次接続するようにして、第2LED列に含まれる全ての第2LEDダイを電気的に直列に接続し、第1ワイヤは、第2LED列に含まれる複数の第2LEDダイの直上を通過しないように配置され、第2ワイヤは、第1LED列に含まれる複数の第1LEDダイの真上を通過しないように配置されることが好ましい。
【0020】
また、本開示のLED発光装置では、第1LED列に含まれる所定の第1LEDダイにおけるアノードの位置と最も近接した角部と、第1LED列に含まれる他の第1LEDダイのカソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて第1ワイヤによって接続され、第2LED列に含まれる所定の第2LEDダイにおけるアノードの位置と最も近接した角部と、第2LED列に含まれる他の第2LEDダイのカソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて第2ワイヤによって接続されることが好ましい。
【0021】
また、本開示のLED発光装置では、第1LED列を構成する所定の第1LEDダイは、第1の方向において、1つの第2LEDダイを間に挟んで、他の第1LEDダイと、第1ワイヤによって電気的に接続されることが好ましい。
【0022】
また、本開示のLED発光装置では、第1ワイヤは、第1の方向に隣接する第2LEDダイの表面に配置された第2蛍光樹脂の内部を通過して第1の方向に隣接する第1LEDダイに接続されることが好ましい。
【0023】
また、本開示のLED発光装置では、第2LED列を構成する所定の第2LEDダイは、第2の方向において、1つの第1LEDダイを間に挟んで、他の第2LEDダイと、第2ワイヤによって電気的に接続されることが好ましい。
【0024】
また、本開示のLED発光装置では、第2ワイヤは、第1の方向に隣接する第1LEDダイの表面に配置された第1蛍光樹脂の内部を通過して第1の方向に隣接する第2LEDダイに接続されることが好ましい。
【0025】
また、本開示のLED発光装置では、第1LEDダイと第2LEDダイは、同じLEDダイであることが好ましい。
【0026】
また、本開示のLED発光装置は、複数の第1微細領域に含まれる第1LEDダイ及び複数の第2微細領域に含まれる第2LEDダイの側面を覆う白色反射樹脂を更に備えることが好ましい。
【0027】
また、本開示のLED発光装置では、白色反射樹脂は、複数の第1LEDダイと複数の第2LEDダイを基板に接着するためのダイボンド材であることが好ましい。
【0028】
また、本開示のLED発光装置では、白色反射樹脂は、複数の第1LEDダイと複数の第2LEDダイとの間隔で基板の表面を覆うよう配置されていることが好ましい。
【0029】
また、本開示のLED発光装置は、第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂を被覆する透明樹脂を更に備え、透明樹脂は、フィラーを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本開示のLED発光装置は、第1微細領域の属するLEDダイと第2微細領域に属するLEDダイ同士を近接させても、製造しやすく且つ発光効率を良好できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の第1実施形態に係るLED発光装置の平面図である。
図2図1に示すLED発光装置の発光領域の平面図である。
図3図1に示すLED発光装置の回路図である。
図4図1に示すLED発光装置に含まれるLEDダイ及びLEDダイの間の結線を示す平面図であり、(a)及び(b)は第1LEDダイ及び第2LEDダイに設けられたアノードとカソードの位置関係を示すための平面図であり、(c)は図1に示した第1LEDダイ及び第2LEDダイの配列から4個×4個となる領域を抜き出して描いた平面図である。
図5図1に示すLED発光装置の部分的な断面図である。
図6】本開示の第2実施形態に係るLED発光装置の平面図である。
図7図6に示すLED発光装置の発光領域の平面図である。
図8図6に示すLED発光装置の回路図である。
図9図6に示すLED発光装置に含まれるLEDダイの間の結線を示す平面図である。
図10】(a)は図9のBB´線に沿うLED発光装置の部分断面図であり、(b)は図9のCC´線に沿うLED発光装置の部分断面図である。
図11】本開示の第3実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図12】本開示の第4実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図13】本開示の第5実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図14】本開示の第6実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図15】本開示の第7実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図16】本開示の第8実施形態に係るLED発光装置の部分平面図である。
図17】本開示の第9実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図18】本開示の第10実施形態に係るLED発光装置の部分断面図である。
図19】従来技術として示すLED発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図1~18を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0033】
(第1実施形態)
図1~5を参照して、本開示の第1実施形態に係るLED発光装置10について説明する。図1は、LED発光装置10の平面図である。図1において、第1微細領域11d(図2参照。)に含まれる第1LEDダイ11と、第2微細領域12d(図2参照。)に含まれる第2LEDダイ12は、同一サイズであり且つ同一特性を有する青色発光ダイオードである。しかしながら、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、含まれる微細領域が互いに異なるため、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12を区別できるように、第2LEDダイ12はドットパターンが付される。また、図1では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12並びに第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bによる結線が視認できるように、図5を参照して説明される第1蛍光樹脂37、第2蛍光樹脂38及び透明樹脂36は省略される。図1において、LED発光装置10の一対の辺の延伸方向である第1の方向、及び第1の方向に直交する第2の方向が矢印で示される。
【0034】
図1に示すように、LED発光装置10は、基板13上に、合計で132個の第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12が実装される。第1の方向にジグザグに接続するように配置された第1LEDダイ11は、第1ワイヤ14aによって電気的に直列接続され、第1LED列11cを構成する。第1ワイヤ14aは、複数の第1LEDダイ11をジグザクに接続するように配置される。第1の方向にジグザグに接続するように配置された第2LEDダイ12は、第2ワイヤ14bによって電気的に直列接続され、第2LED列12cを構成する。第2ワイヤ14bは、複数の第2LEDダイ12をジグザクに接続するように配置される。また、基板13の上面には、第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12を取り囲むように、ダム15が設けられる。ダム15の内側の領域では、第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12の隙を埋めるように白色反射樹脂39が充填される。
【0035】
第1ワイヤ14aは、所定の第1LEDダイ11のアノードと所定の第1LEDダイ11に隣接した別の第1LEDダイ11のカソードを順次接続するようにして、第1LED列11cに含まれる全ての第1LEDダイ11を直列接続する。第2ワイヤ14bは、所定の第2LEDダイ12のアノードと所定の第2LEDダイ12に隣接した別の第2LEDダイ12のカソードを順次接続するようにして、第2LED列12cに含まれる全ての第2LEDダイ12を直列接続する。第1ワイヤ14aは、第2LED列12cに含まれる複数の第2LEDダイ12の直上を通過しないように配置され、第2ワイヤ14bは、第1LED列11cに含まれる複数の第1LEDダイ11の真上を通過しないように配置される。
【0036】
第1LED列11cに含まれる所定の第1LEDダイ11におけるアノードの位置と最も近接した角部と、第1LED列11cに含まれる他の第1LEDダイ11のカソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて前記第1ワイヤ14aによって電気的に接続される。第2LED列12cに含まれる所定の第2LEDダイ12におけるアノードの位置と最も近接した角部と、第2LED列12cに含まれる他の第2LEDダイ12のカソードの位置と最も近接した角部とが、近接して配置されて前記第2ワイヤ14bによって電気的に接続される。
【0037】
第1LED列11cの第1の方向の上端の第1LEDダイ11及び下端の第1LEDダイ11は、それぞれ基板13上に形成された配線電極16a及び配線電極18aに電気的に接続する。第2LED列12cの第1の方向の上端の第2LEDダイ12及び下端の第2LEDダイ12は、それぞれ基板13上に形成された配線電極17a及び配線電極19aに電気的に接続する。配線電極16a、17a、18a、及び19aは、それぞれ電源電極16、17、18、及び19に電気的に接続する。第1LED列11cの数は6列であり、第2LED列12cの数は5列である。
【0038】
第1LEDダイ11は、第1の辺に沿ってワイヤボンディング用のアノード及びカソードが形成され、第2LEDダイ12は、第2の辺に沿ってワイヤボンディング用のアノード及びカソードが形成される。第1の方向では、隣接する第1LEDダイ11のアノード及びカソードが沿う辺と第2LEDダイ12のアノード及びカソードが沿う第1の辺及び第2の辺のそれぞれは、互い違いとなる。すなわち、第2方向では、アノード及びカソードが沿う第1の辺及び第2の辺は同じ方向を向くが、第1の方向では、アノード及びカソードが沿う第1の辺及び第2の辺は、互い違いの方向を向く。例えば、第1の方向の最上段の行では、アノード及びカソードが沿う第1LEDダイ11の第1の辺及び第2LEDダイ12の第2の辺は、すべて電源電極16及び17が形成される左方向に向いて配置される。第1LEDダイ11が最上段に配置される列では、アノード及びカソードが沿う第1LEDダイ11の第1の辺が左方向を向いて配置され、アノード及びカソードが沿う第2LEDダイ12の第2の辺が電源電極18及び19が形成される右方向を向いて配置される。第1LEDダイ11と第2LEDダイ12の間では、アノード及びカソードが沿う第1の辺及び第2の辺の向きが逆向きとなり、アノード及びカソードが沿う第1の辺及び第2の辺が互い違いになるように配置される。また、第1LED列11cを構成する第1LEDダイ11の間を電気的に接続する第1ワイヤ14a、及び第2LED列12cを構成する第2LEDダイ12の間を電気的に接続する第2ワイヤ14bは、ジグザグに接続するように配置される。
【0039】
基板13は、ベース材がアルミナからなる白色のセラミクスである。なお、基板13のベ-ス材は、表面を反射処理した窒化アルミニウムや、表面に絶縁層を備えたアルミニウムであっても良い。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、平面サイズが0.65mm×0.65mmの青色発光ダイオードである。なお、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、同じサイズで同じ特性を有し、アノードとカソードが第1の辺及び第2の辺のそれぞれに沿って配列される。第1LEDダイ11はアノードとカソードの位置が異なる2種類のLEDダイの総称であり、第2LEDダイ12はアノードとカソードの位置が異なる2種類のLEDダイの総称である。ダム15は、白色のシリコーン樹脂により形成され、太さが0.7~1.0mm、高さが0.5~0.8mmである。白色反射樹脂39は、シリコーン樹脂中に酸化チタンの微粒子を混練したものである。基板13の上面に形成した配線電極16a、17a、18a及び19a並びに電源電極16~19は、Cu上にNi,Auを積層した金属膜である。第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは、Auで形成されるボンディングワイヤである。
【0040】
図2は、LED発光装置10の発光領域10aの平面図である。図2に示すように、発光領域10aでは、第1微細領域11dと第2微細領域12dが市松模様状に配列される。複数の第1微細領域11d及び複数の第2微細領域12dは、基板13上で、第1の方向に互い違いに配置され、第1の方向と直交する第2の方向にも互い違いに配置される。第1微細領域11dは、5000K程度の高い色温度で発光する。第2微細領域12dは、3000K程度の低い色温度で発光する。LED発光装置10には、6列の第1LED列11cが配列され、5列の第2LED列12cが配列される。発光領域10aの左右の端部(辺部)は、第2微細領域12dが配列される。発光領域10aの左右の端部に第2微細領域12dを配列することで、LED発光装置10は、ジグザグに結線して第1LED列11c及び第2LED列12cを構成するにもかかわらず、照射光の左右の端部を高い色温度だけで発光させ照射光の対称性を維持する。
【0041】
図3は、LED発光装置10の回路図である。LED発光装置10は、高い色温度で発光する第1回路11eと、低い色温度で発光する第2回路12eを有する。図1に示された部材と図3に示された部品等とは直接的な関係にあるので、配線や端子について図1の用語が使用される。
【0042】
図3に示すように、第1回路11eでは、12個の第1LEDダイ11が直列接続した6個の第1LED列11cが並列接続される。各第1LED列11cに含まれる初段の第1LEDダイ11のアノードは、配線電極16aを介して電源電極16に電気的に接続される。各第1LED列11cに含まれる最終段の第1LEDダイ11のカソードは、配線電極18aを介して電源電極18に電気的に接続される。
【0043】
第2回路12eでは、12個の第2LEDダイ12が直列接続した5個の第2LED列12cが並列接続される。各第2LED列12cに含まれる初段の第2LEDダイ12のアノードは、配線電極17aを介して電源電極17に電気的に接続される。各第2LED列12cに含まれる最終段の第2LEDダイ12のカソードは、配線電極19aを介して電源電極19に電気的に接続される。
【0044】
図4は、第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12の構成及び結線を説明するための平面図である。図4(a)及び4(b)は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12に設けられたアノードとカソードの位置関係を示すための平面図であり、図4(c)は、図1に示した第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の配列から4個×4個となる領域を抜き出して描いた平面図である。なお、図4(c)では、第1LED列11cに含まれる第1LEDダイ11と、第2LED列12cに含まれる第2LEDダイ12とを区別するため、第2LEDダイ12はドットパターンが付される。また、白色反射樹脂39は図示されない。
【0045】
前述したように、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、同一サイズであり且つ同一特性を有するが、2種類の構成(以下「タイプA」及び「タイプB」という)を含む。すなわち、図4(a)は、タイプAの第1LEDダイ11a及び第2LEDダイ12aを示し、図4(b)は、タイプBの第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bを示す。図4(a)に示すように、タイプAの第1LEDダイ11a及び第2LEDダイ12aは、左側の辺に沿って、アノード31とカソード32が配列される。一方、図4(b)に示すように、タイプBの第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、左側の辺に沿って、カソード33とアノード34が配列される。すなわち、タイプAとタイプBとは、ミラー反転した関係にある。複数の第1LEDダイ11aは、第1の辺に沿って形成されたアノードとカソードの位置が逆に配置される2種類のLEDダイを含む。また、複数の第2LEDダイ12aは、第2の辺に沿って形成されたアノードとカソードの位置が逆に配置される2種類のLEDダイを含む。
【0046】
図4(c)に示すように、1段目を含む奇数番目の行では、タイプAの第1LEDダイ11aとタイプAの第2LEDダイ12aが交互に並ぶ。第1LEDダイ11は、タイプAの第1LEDダイ11aとタイプBの第1LEDダイ11bの総称であり、第1LEDダイ11と第1LEDダイ11a及び第1LEDダイ11bとを適宜使い分ける。第2LEDダイ12は、タイプAの第2LEDダイ12aとタイプBの第2LEDダイ12bの総称であり、第2LEDダイ12と第2LEDダイ12a及び第2LEDダイ12bとを適宜使い分ける。2段目を含む偶数番目の行では、1段目の行とともに第1LEDダイ11と第2LEDダイ12に市松模様を形成させるため、第1LEDダイ11bと第2LEDダイ12bが交互に並ぶ。図4(c)では、図4(b)で示した第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bは、180°回転して実装される。図4(c)に示す第1の方向では、アノード及びカソードが沿う1つの第1LED列11cを構成する第1LEDダイ11aと第1LEDダイ11bが、ジグザグに接続するように配置された状態で第1ワイヤ14aにより電気的に接続される。第2LEDダイ12aと第2LEDダイ12bは、第1LEDダイ11aと第1LEDダイ11bと同様に、第2LED列12cを構成する。
【0047】
図5は、図1のCC´線に沿う断面のうち、2つの第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が含まれる範囲を描いたLED発光装置10の断面図である。図5では、第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12のうち、図4(b)の第1LEDダイ11b、及び第2LEDダイ12bが含まれる。
【0048】
図5に示すように、第1微細領域11dは、第2微細領域12dに隣接する。第1微細領域11dにおいて、第1LEDダイ11bは、上面を第1蛍光樹脂37で被覆され、側面を白色反射樹脂39で取り囲まれるとともに、底面に配された接着剤145で基板13に固定(ダイボンド)される。第2微細領域12dにおいて、第2LEDダイ12bは、上面を第2蛍光樹脂38で被覆され、側面を白色反射樹脂39で取り囲まれるとともに、底面に配された接着剤145により基板13に固定される。第1蛍光樹脂37、第2蛍光樹脂38及び白色反射樹脂39は、上面が平坦な透明樹脂36により被覆される。
【0049】
第1蛍光樹脂37は、第1LEDダイ11bが発する青色光の一部を波長変換する。第1微細領域11dは、波長変換された光と、波長変換されなかった青色光が混色し、約5000Kで発光する。第2蛍光樹脂38は、第2LEDダイ12bが発する青色光の一部を波長変換する。第2微細領域12dは、波長変換された光と、波長変換されなかった青色光が混色し、約3000Kで発光する。
【0050】
次に、LED発光装置10の製造方法を説明する。まず、電源電極16~19、配線電極16a、17a、18a及び19aを形成した基板13が準備される。続いて、第1LEDダイ11a及び11b並びに第2LEDダイ12a及び12bは、ピックアップされた後に、底面に接着剤145が塗布され、基板13に所定の方向及び位置に配置される。塗布された接着剤145が硬化された後に、第1ワイヤ14aで第1LEDダイ11a及び11bと配線電極16a及び18aとが電気的に接続されると共に、第2ワイヤ14bで第2LEDダイ12a及び12bと配線電極17a及び19aとが電気的に接続される。続いて、ディスペンサによりダム15が形成される。ダム15が固化されてから、第1LEDダイ11a及び11b、並びに第2LEDダイ12a及び12bの隙間に白色反射樹脂39が充填される。白色反射樹脂39が硬化されてから、第1LEDダイ11a及び11b上に第1蛍光樹脂37がスポット印刷されると共に、第2LEDダイ12a及び12b上に第2蛍光樹脂38がスポット印刷される。第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38が硬化された後に、透明樹脂36が充填される。そして、充填された透明樹脂36が硬化される。
【0051】
次に、図1及び2を参照してLED発光装置10の使用方法を説明する。まず、2つの電流源を準備する。2つの電流源の一方の電流源は、電源電極16から電源電極18に至る経路に電流を流す。2つの電流源の他方の電流源は、電源電極17から電源電極19に至る経路に電流を流す。一方の電流源及び他方の電流源から出入する電流を調整する調光調色によって、LED発光装置10は、所望の発光量及び発光色を有する光を出射する。
【0052】
以上のように、LED発光装置10は、基板13上に約5000Kで発光する複数の第1微細領域11dと、約3000Kで発光する複数の第2微細領域12dが市松模様状に配列される。第1微細領域11d及び第2微細領域12dには、それぞれ1個の第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が含まれる。平面視したとき正方形又は長方形となる第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12の上面において、アノード31及び34並びにカソード32及び33の対は、特定の一辺に沿って形成される。
【0053】
また、LED発光装置10では、市松模様状の第1LEDダイ11、及び第2LEDダイ12の配列において、アノード31及び34並びにカソード32及び33が沿う辺が行ごとに入れ替わる。第1の方向に直列接続された複数の第1LEDダイ11を含む第1LED列11cは、第1ワイヤ14aがジグザグに配線されるとともに、第1LEDダイ11aと第1LEDダイ11bというミラー反転関係にある2種類の素子が含まれる。第1の方向に直列接続された複数の第2LEDダイ12を含む第2LED列12cは、第2ワイヤ14bがジグザグに配線されるとともに、第2LEDダイ12aと第2LEDダイ12bというミラー反転関係にある2種類の素子が含まれる。
【0054】
LED発光装置10では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12のそれぞれ一辺に沿ってアノード31及び34並びにカソード32及び33が配置され、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を市松模様で配列させる。また、LED発光装置10では、第1LEDダイ11は、第1ワイヤ14aでジグザグに結線されると共に、第2LEDダイ12は、第2ワイヤ14bでジグザグに結線される。LED発光装置10では、一辺に沿ってアノード及びカソードが配置されるLEDダイをワイヤでジグザクに結線することで、LEDダイを結線するワイヤは、近接や交差がなくなるとともに、発光部の周辺に配置される。したがって、LED発光装置10は、異なる色で発光する第1微細領域11d及び第2微細領域12dに含まれる第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を近接させても、製造しやすく、発光効率が良好となる。
【0055】
LED発光装置10は、複数の第1微細領域11dに含まれる第1LEDダイ11及び複数の第2微細領域12dに含まれる第2LEDダイ12の側面を覆う白色反射樹脂39を備えるので、簡単な構造で側面放射光を抑制できる。
【0056】
なお、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12を同一形状及び同一特性でなくても良い。さらに、一群の第1LEDダイ11に含まれる第1LEDダイ11aと第1LEDダイ11bはミラー反転の関係でなくても良く、第2LEDダイ12aと第2LEDダイ12bはミラー反転の関係でなくても良い。しかしながら、LED発光装置10のように、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12を同一形状及び同一特性とすることにより、一群の第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、2種類のLEDダイで形成可能になる。さらに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12に含まれる2種類のLEDダイは、ミラー反転の関係を持たせることで発光特性の管理が容易になる。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態に係るLED発光装置10では、発光領域10aの左右方向の対称性を維持するため、第1LED列11cと第2LED列12cの数が異なる。一方、図6~9を参照して説明される第2実施形態に係るLED発光装置40は、製造しやすく且つ良好な発光効率を有すると共に、第1微細領域11d及び第2微細領域12dが市松模様状の配列を保ちながら、第1LED列と第2LED列の数が等しい。
【0058】
図6は、LED発光装置40の平面図である。図6において、図1と同様に、第2LEDダイ12はドットパターンが付される。また、図6において、第1LEDダイ11、第2LEDダイ12並びに第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bによる結線が分かるように、第1蛍光樹脂37、第2蛍光樹脂38及び透明樹脂36は省略される。図6に示すLED発光装置40と図1に示すLED発光装置10との間の相違点は、発光領域の左右に12個の第2LEDダイ12が追加されること、並びに第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bの結線である。LED発光装置10及び40の相違点を中心に説明し、重複する部分の説明は適宜省略する。
【0059】
図6に示すように、LED発光装置40は、基板13上に、合計で144個の第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が実装される。第1の方向に配列した第1LEDダイ11は、第1ワイヤ14aによって電気的に接続され、第1LED列41cを構成する。第1の方向に配列した第2LEDダイ12は、第2ワイヤ14bによって電気的に接続され、第2LED列42cを構成する。
【0060】
第1LED列41cの第1の方向の上端の第1LEDダイ11及び下端の第1LEDダイ11は、それぞれ基板13上に形成された配線電極16a及び配線電極18aに電気的に接続される。第2LED列42cの第1の方向の上端の第2LEDダイ12及び下端の第2LEDダイ12は、それぞれ基板13上に形成された配線電極17a及び配線電極19aに電気的に接続される。第1の方向において、第1LED列41cを構成する第1LEDダイ11は、1つの第2LEDダイ12aを挟んで隣接する他の第1LEDダイ11aと第1ワイヤ14aによって電気的に接続される。第1の方向において、第2LED列42cを構成する第2LEDダイ12は、1つの第1LEDダイ11aを挟んで隣接する他の第2LEDダイ12aと第2ワイヤ14bによって電気的に接続される。第1LED列41c及び第2LED列42cの数は12列である。
【0061】
図7は、LED発光装置40の発光領域40aの平面図である。図7に示すように、発光領域40aでは、第1微細領域11dと第2微細領域12dが市松模様状に配列される。第1微細領域11dは、5000K程度の高い色温度で発光する。第2微細領域12dは、3000K程度の低い色温度で発光する。図7に示すように、発光領域40aでは、第1微細領域11dと第2微細領域12dは完全な市松模様を形成する。
【0062】
図8は、LED発光装置40の回路図である。LED発光装置40は、高い色温度で発光する第1回路41eと、低い色温度で発光する第2回路42eを有する。なお、図6に示された部材と図8に示された部品等とは直接的な関係にあるので、配線や端子について図6の用語が使用される。
【0063】
図8に示すように、第1回路41eでは、6個の第1LEDダイ11が直列接続した12個の第1LED列41cが並列接続される。各第1LED列41cに含まれる初段の第1LEDダイ11のアノード31及び34は、配線電極16aを介して電源電極16に電気的に接続される。各第1LED列41cに含まれる最終段の第1LEDダイ11のカソード32及び33は、配線電極18aを介して電源電極18に電気的に接続される。
【0064】
第2回路42eでは、6個の第2LEDダイ12が直列接続した12個の第2LED列42cが並列接続される。各第2LED列42cに含まれる初段の第2LEDダイ12のアノード31及び34は、配線電極17aを介して電源電極17に電気的に接続される。各第2LED列42cに含まれる最終段の第2LEDダイ12のカソード32及び33は、配線電極19aを介して電源電極19に電気的に接続される。
【0065】
図9は、LED発光装置40における第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の結線を説明するため、図6に示した第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の配列から4個×4個となる領域を抜き出して描いた平面図である。図9では、第1LED列41cに含まれる第1LEDダイ11と第2LED列42cに含まれる第2LEDダイ12とを区別するため、第2LEDダイ12はドットパターンが付される。また、白色反射樹脂39は図示されない。
【0066】
図9に示すように、第1LED列41cを構成する第1LEDダイ11aは、第1の方向において、第2LEDダイ12bを挟んで隣接する他の第1LEDダイ11aと第1ワイヤ14aによって電気的に接続される。第1LED列41cを構成する第1LEDダイ11bは、第1の方向において、第2LEDダイ12aを挟んで隣接する他の第1LEDダイ11bと第1ワイヤ14aによって電気的に接続される。第2LED列42cを構成する第2LEDダイ12aは、第1の方向において、第1LEDダイ11bを挟んで隣接する他の第2LEDダイ12aと第2ワイヤ14bによって電気的に接続される。第2LED列42cを構成する第2LEDダイ12bは、第1の方向において、第1LEDダイ11aを挟んで隣接する他の第2LEDダイ12bと第2ワイヤ14bによって電気的に接続される。図4(a)及び4(b)で示すように、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12にはタイプAの第1LEDダイ11a及び第2LEDダイ12a並びにタイプBの第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bが含まれる。図9に示した第1LEDダイ11a及び第2LEDダイ12a並びに第1LEDダイ11b及び第2LEDダイ12bの配列は、図4(c)で示したものと同じである。なお、LED発光装置40は、第1LEDダイ11a及び第1LEDダイ11bの何れか一方のみを備えても良く、第2LEDダイ12a及び第2LEDダイ12bの何れか一方のみを備えても良い。
【0067】
図10(a)は図9のBB´線に沿うLED発光装置40の部分断面図であり、図10(b)は図9のCC´線に沿うLED発光装置40の部分断面図である。
【0068】
第1LED列41cを構成する所定の第1LEDダイ11は、第1の方向において、1つの第2LEDダイ12を間に挟んで、他の第1LEDダイ11と、第1ワイヤ14aによって電気的に接続される。第1ワイヤ14aは、第1の方向に隣接する第2LEDダイ12の表面に配置された第2蛍光樹脂38の内部を通過して第1の方向に隣接する第1LEDダイ11に接続される。
【0069】
第2LED列42cを構成する所定の第2LEDダイ12は、第1の方向において、1つの第1LEDダイ11を間に挟んで、他の第2LEDダイ12と、第2ワイヤ14bによって電気的に接続される。第2ワイヤ14bは、第1の方向に隣接する第1LEDダイ11の表面に配置された第2蛍光樹脂38の内部を通過して第1の方向に隣接する第1LEDダイ11に接続される。
【0070】
LED発光装置40の断面構造、製造方法及び使用方法は、LED発光装置10の断面構造、製造方法及び使用方法と等価なので説明は省略する。
【0071】
以上のようにLED発光装置40は、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bの結線方向を第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の配列における列方向とした。これにより、LED発光装置40は、製造しやすく、発光効率の良い状態で、第1微細領域11dと第2微細領域12dが市松模様状の配列を保ちながら、第1LED列41cと第2LED列42cの本数を等しくできる。また、LED発光装置40は、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bが同一方向であるため、検査しやすく且つ工数は短縮される。
【0072】
また、LED発光装置40では、第1ワイヤ14aは第2LEDダイ12の表面に配置された第2蛍光樹脂38の内部を通過すると共に、第2ワイヤ14bは第1LEDダイ11の表面に配置された第1蛍光樹脂37の内部を通過する。Auで形成される第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が発する青色光の反射率が38%程度と低い。第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bを第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を跨ぐように配置すると、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が発する青色光を第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bが吸収して発光効率が低下するおそれがある。
【0073】
LED発光装置40では、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bが第2蛍光樹脂38及び第1蛍光樹脂37の内部をそれぞれ通過するので、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bに入射する光は、青色光ではなく青色光から波長変換された光である。LED発光装置40では、青色光から波長変換された光が第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bに入射するので、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bによる青色光の吸収に起因する発光効率の低下を抑制することができる。
【0074】
(第3実施形態)
第1実施形態に係るLED発光装置10では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、側面が白色反射樹脂39で取り囲まれるとともに、底面に配された接着剤145で基板13に固定される。第1実施形態に係るLED発光装置10では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を取り囲む白色反射樹脂39と、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を基板13に接着する接着剤145とは別部材である。第3実施形態に係るLED発光装置は、単一の部材によりLEDダイを取り囲むとともに基板に接着することで、部材の種類を削減して製造コストを低減する。
【0075】
図11を参照して説明される第3実施形態に係るLED発光装置50は、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12を接着するダイボンド材23を備えると共に、白色反射樹脂39を備えない。また、LED発光装置50は、第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58を第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38の代わりに備える。LED発光装置50は、ダイボンド材23、第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58を備えると共に、白色反射樹脂39を備えないこと以外は、LED発光装置10と同一部材、同一構造となる。LED発光装置50の説明では、図1~4及び図6~10が参照されるとともに、図11において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0076】
図11は、図1のCC´線に沿うLED発光装置50の部分断面図である。図11には、第1微細領域51dと第2微細領域52dがそれぞれ2つずつ示される。図11では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0077】
図11に示すように、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12の底面は、基板13の上面にダイボンド材23で接着される。さらに、ダイボンド材23は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面を覆うとともに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙を覆う。ダイボンド材23の厚さは、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の高さの半分の位置で例えば30~50μmであり、側面放射光が十分に遮光される。
【0078】
第1蛍光樹脂57は、第1LEDダイ11の上面及び側面の上部を覆い、ダイボンド材23とともに、第1LEDダイ11の側面から放射される第1LEDダイ11の発光を抑制する。第2蛍光樹脂58は、第2LEDダイ12の上面及び側面の上部を覆い、ダイボンド材23とともに、第2LEDダイ12の側面から放射される第2LEDダイ12の発光を抑制する。第1蛍光樹脂57は、第2蛍光樹脂58より基板13の法線方向の上下方向に厚い。
【0079】
第1蛍光樹脂57は、厚さが0.5mm程度であり、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有する。第1微細領域51dの発光色は、第1LEDダイ11が発する青色光と第1蛍光樹脂57の発光により3000K程度の色温度になる。第2蛍光樹脂58は、厚さが0.3mm程度で、緑色で発光する蛍光体(例えばLu3Al512:Ce)と赤色で発光する蛍光体(例えばCaAlSiN3:Eu)とを含有するが、第1蛍光樹脂57とは蛍光体の濃度及び比率が異なる。第2微細領域52dの発光色は、第2LEDダイ12が発する青色光と第2蛍光樹脂58の発光により5000K程度の色温度になる。
【0080】
LED発光装置50では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面に白色のダイボンド材23を這い上がらせることで、ダイボンド材23は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から出射する側面放射光を遮る。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から出射される側面放射光は、第1蛍光樹脂57を通って上方に向かう第1LEDダイ11の発光と、第1蛍光樹脂57の発光とが混色した第1微細領域51dの発光とは相違する。また、側面放射光は、第2蛍光樹脂58を通って上方に向かう第2LEDダイ12の発光と、第2蛍光樹脂58の発光とが混色した第2微細領域52dの発光とは相違する。側面放射光は、第1微細領域51dの発光及び第2微細領域52dの発光の何れとも相違するため、ノイズ光となる。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面を遮光することで、ノイズ光である側面放射光が大幅に低減し、LED発光装置50の発光色の制御及び管理が容易になる。
【0081】
また、LED発光装置50では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙において、ダイボンド材23は、基板13の表面を覆う。LED発光装置50では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙に白色のダイボンド材23を配置することで、基板13の上面の反射処理膜の有無にかかわらず、発光部の反射効率が向上し、LED発光装置50の発光効率が高くなる。
【0082】
図11に示すように、LED発光装置50は、基板13上に第1色で発光する第1微細領域51d及び第2色で発光する第2微細領域52dを備え、第1微細領域51dと第2微細領域52dが市松模様状に配列される。LED発光装置50は、基板13に実装された複数の第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を備える。第1微細領域51dは、第1LEDダイ11及び第1蛍光樹脂57を含み、第2微細領域52dは、第2LEDダイ12及び第2蛍光樹脂58を含む。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、同じ青色発光ダイオードである。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面は、白色のダイボンド材23で遮光されるとともに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙では、基板13の上面が白色のダイボンド材23により被覆される。
【0083】
LED発光装置50では、基板13上に、一種類のLEDダイである第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12がマトリクス状に配列される。LED発光装置50は、第1微細領域51d及び第2微細領域52dが市松模様を形成するように第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58が第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上部に個別に塗布される。LED発光装置50では、基板13上で、第1色で発光する複数の微細な第1微細領域51dと、第2色で発光する複数の微細な第2微細領域52dとが市松模様状に配列される。
【0084】
さらに、LED発光装置50では、ダイボンド時に各LEDダイ底面からはみ出した白色のダイボンド材23が、各LEDダイの側面に這い上がって側面放射光を遮るとともに、反射層としても機能する。LED発光装置50は、簡単な構造で側面放射光を抑制しながら発光効率を高い状態で維持できる。
【0085】
LED発光装置50では、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12は同一サイズであり且つ同一特性を有するLEDダイであった。しかしながら、所望の発光色が、蛍光樹脂の調整により達成されない場合がある。例えば、第2微細領域52dの発光色である第2色が、第2蛍光樹脂58の調整により達成できないとき、第2LEDダイ12は、近紫外発光LED等の第1LED11と異なる発光特性を有しても良い。第2LEDダイ12が近紫外発光LEDであるとき、第2蛍光樹脂58が青色発光の蛍光体を含み、LED発光装置50が発する光は、青色光のスペクトルが太くなって自然光に近くなる。
【0086】
(第4実施形態)
第3実施形態に係るLED発光装置50は、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12との間隙において、基板13の上面が白色のダイボンド材23で覆われていた。しかしながら、基板13の上面に反射性があれば、発光効率を高く維持するうえで、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12との間隙において反射性の表面を露出させれば良く、基板13の上面を全て白色のダイボンド材23で覆う必要はない。また、LED発光装置50は、透明樹脂21で一体的に第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58並びに第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14b等を封止していた。しかしながら、透過率が大きく低減しなければ、透明樹脂21は、拡散性のある樹脂に置き換えることができる。
【0087】
図12を参照して説明される第4実施形態に係るLED発光装置60は、反射性のある基板13と拡散性のある封止樹脂64を備える。LED発光装置60は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙に反射性の露出部61aがあること、並びに封止樹脂64に拡散性があること以外は、LED発光装置50と同一部材、同一構造となる。LED発光装置60の説明では、図1~4及び図6~10が参照されるとともに、図12において共通の部材には共通の符号が用いられる。図1では、LED発光装置60を平面視すると、ダム15の内側の領域で封止樹脂64が視認される。
【0088】
図12は、図1のCC´線に沿うLED発光装置60の部分断面図である。図12には、第1微細領域61dと第2微細領域62dがそれぞれ2つずつ示される。図12では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0089】
図12に示すように、基板13の上面には、銀層61が形成される。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、ダイボンド材63により、底面が銀層61に接着されるとともに、側面が被覆される。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙には銀層61の露出部61aが存在し、露出部61aではダイボンド材63から銀層61が露出する。
【0090】
LED発光装置60では、LED発光装置50と同様に、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上部は、それぞれ第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58により覆われる。さらに、LED発光装置60では、銀層61の露出部61a、ダイボンド材63の表面並びに第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58の表面は、保護層62により覆われる。封止樹脂64は、透明樹脂64aとフィラー65により形成され、保護層62を介して、第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58並びに図示されない第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14b等を封止する。
【0091】
図示されない第1LEDダイ11の上面に接続する第1ワイヤ14aは、第1蛍光樹脂57を出て、封止樹脂64を抜け、図示されない他の第1蛍光樹脂37に入り、図示されない他の第1LEDダイ11の上面と接続する。第2LEDダイ12の間を電気的に接続する第2ワイヤ14bも同様に接続される。LED発光装置60では、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは、保護層62を構成する材料が付着するため、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bが単独で設けられるよりも強度が増加する。
【0092】
基板13は、上面に銀層61が形成された平板基材と、上面に電源電極16~19及び配線電極16a~19aが形成され、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12を実装する部分が開口したプリント基板とを備える。基板13は、平板基材とプリント基板とを貼り合わせて構成する。保護層62は、SiO及びシリコーン樹脂を使用できる。保護層62にSiOが使用されるとき、ワイヤボンド工程、ダム形成工程並びに第1及び第2蛍光樹脂塗布工程の後、スパッタ法により、数10nmの厚さでSiO膜を保護層62として形成する。保護層62にシリコーンが使用されるとき、ワイヤボンド工程、ダム形成工程並びに第1及び第2蛍光樹脂塗布工程の後、噴霧又は塗布により、保護層62として10μmの厚さでシリコーン膜を形成する。フィラー65は、例えば、直径が6μm程度の球状の酸化チタンとする。
【0093】
露出部61aにおける銀層61は、保護層62により硫化等が抑えられるため、良好な反射特性を維持し続け、LED発光装置60の発光効率向上に寄与する。すなわち、反射性の露出部61aを備えるLED発光装置60は、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12の間隔が大きいときに有利になる。また、封止樹脂64が含有するフィラー65は、拡散により第1微細領域51d及び第2微細領域52dの境界がぼやかすため、LED発光装置50に比べLED発光装置60の混色性を向上させる。
【0094】
LED発光装置50及び60は、ダム15を備えるが、透明樹脂21及び封止樹脂64の粘度を所定の粘土に調整することで、ダム15を省くことが出来る。さらに、透明樹脂21及び36又は封止樹脂64は省いても良い。透明樹脂21又は封止樹脂64が省かれるとき、第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bの一部が露出するが、LED発光装置60のように第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bに保護層62と同じ材料が付着する場合、透明樹脂21又は封止樹脂64を省きやすくなる。
【0095】
(第5実施形態)
第3実施形態に係るLED発光装置50及び第4実施形態に係るLED発光装置60では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上部側面は、それぞれ第1蛍光樹脂57及び第2蛍光樹脂58で覆われる。しかしながら、上部側面における第1蛍光樹脂57又は第2蛍光樹脂58の被覆部分の面積が狭い場合、及びダイボンド材23の這い上がり量が少ない場合に、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面放射光を充分に遮れない場合がある。
【0096】
図13を参照して説明される第5実施形態に係るLED発光装置70は、側面放射光を確実に遮ることが可能である。LED発光装置70は、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78並びにダイボンド材73の断面形状が異なること以外はLED発光装置50と同一部材、同一構造となる。LED発光装置70の説明では、図1~4及び図6~10が参照さるとともに、図13において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0097】
図13は、図1のCC´線に沿うLED発光装置70の部分断面図である。図13には、第1微細領域71dと第2微細領域72dがそれぞれ2つずつ示される。図13では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0098】
図13に示すように、ダイボンド材73は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面を這い上がることで、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間で傾斜面を形成する。LED発光装置70で使用されるダイボンド材73の量は、LED発光装置50で使用されるダイボンド材23の量よりも多くなる。第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面を覆うとともにダイボンド材73の斜面の一部を覆う。第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78とダイボンド材73との間の接触角は、45°程度である。
【0099】
以上のように、LED発光装置70は、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78がダイボンド材73の傾斜面の一部を覆うことにより、側面放射光を確実に遮る。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間に基板13の露出部があるLED発光装置60において、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78は、ダイボンド材73の斜面の一部を覆うように配置されてもよい。
【0100】
(第6実施形態)
第5実施形態に係るLED発光装置70は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面上部において第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78の厚さを充分に確保するため、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78とダイボンド材73との間の接触角は45°と大きい。しかしながら、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78とダイボンド材73との間の接触角が大きくなると、第1蛍光樹脂77及び第2蛍光樹脂78とダイボンド材73の接着力が弱くなる。
【0101】
図14を参照して説明される第6実施形態に係るLED発光装置80は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面上部において第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88の厚さを充分に確保しながら、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88とダイボンド材83との接着が改善される。LED発光装置80は、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88並びにダイボンド材73の断面形状がLED発光装置70と異なる。LED発光装置80の説明では、図1~4及び図6~10が参照され、図14において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0102】
図14は、図1のCC´線に沿うLED発光装置80の部分断面図である。図14には、第1微細領域81dと第2微細領域82dがそれぞれ2つずつ示される。図14では、図11と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0103】
図14に示すように、LED発光装置80のダイボンド材83は、LED発光装置70のダイボンド材73に比べ、這い上がりが少なく、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間の断面における湾曲は小さい。第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88は、ダイボンド材83との接触部でフィレットを形成する。LED発光装置80において、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88は、LED発光装置70に比べ、塗布時の粘性・チクソ性が低く調整され、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上側角部で若干薄くなる。しかしながら、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88は、側面中間部では厚くなっており、全体的に十分な厚さを確保できる。
【0104】
以上のように、LED発光装置80は、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88がフィレットを形成することにより、側面における第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88の厚さを充分に確保しながら、接着を良好な状態にできる。
【0105】
LED発光装置80において、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88は、フィレットを備える。しかしながら、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88の少なくとも一方がフィレットを備えても良い。例えば、厚く塗布される第1蛍光樹脂87には、強く接着するためフィレットを形成し、薄く塗布される第2蛍光樹脂88には、LED発光装置70に含まれる第2蛍光樹脂78のようにフィレットを形成しなくても良い。
【0106】
(第7実施形態)
第6実施形態に係るLED発光装置80は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上側角部において、第1蛍光樹脂87及び第2蛍光樹脂88が側面中間部に比べ薄くなっていた。LED発光装置80は、蛍光樹脂がLEDダイの上側角部で薄いため、第1LED11及び第2LED12の上側角部から放射される青色光が充分に波長変換されず、方位角による色むらが生じることがある。
【0107】
図15を参照して説明される第7実施形態に係るLED発光装置90は、方位角による色むらを軽減できる。LED発光装置90は、第1蛍光樹脂97及び第2蛍光樹脂98並びにダイボンド材93の断面形状がLED発光装置80と異なる。LED発光装置90の説明では、図1~4及び図6~10が参照され、図15において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0108】
図15は、図1のCC´線に沿うLED発光装置90の部分断面図である。図15には、第1微細領域91dと第2微細領域92dがそれぞれ2つずつ示される。図15では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0109】
図15に示すように、LED発光装置90のダイボンド材93は、上面が第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面と一致する。さらに、第1蛍光樹脂97及び第2蛍光樹脂98は、ダイボンド材93との接触部でフィレットを形成する。すなわち、LED発光装置90において、第1蛍光樹脂97及び第2蛍光樹脂98は、LED発光装置80に比べ、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上側角部で充分な厚さを確保する。
【0110】
以上のように、LED発光装置90は、ダイボンド材93の上面を第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面と一致させることにより、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上側角部において、第1蛍光樹脂97及び第2蛍光樹脂98の厚さを充分に確保する。LED発光装置90は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上側角部において、第1蛍光樹脂97及び第2蛍光樹脂98の厚さを充分に確保することで、上側角部から放射される青色光を適切に波長変換できるようになり、方位角によって生じる色むらを軽減できる。
【0111】
なお、ダイボンド材93の上面を第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面と一致させるには、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間の距離を狭くすることが効果的である。LED発光装置90では、ダイサイズは650μmであり、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間の距離は400μmである。方位角によって生じる色むらは、ダイボンド材93の上面において、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面と概ね一致させれることで軽減されるとともに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間で概ね平坦にすることで軽減される。
【0112】
(第8実施形態)
第1実施形態に係るLED発光装置10では、第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38の2つの蛍光樹脂に加えて透明樹脂36が配置されるため、製造工程が複雑になるおそれがある。第8実施形態に係るLED発光装置は、使用する樹脂の種類を削減して製造工程を簡明化する。
【0113】
図16を参照して説明される第8実施形態に係るLED発光装置110は、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12を接着するダイボンド材123を備えると共に、透明樹脂36を備えない。また、LED発光装置50は、第1蛍光樹脂117及び第2蛍光樹脂118を第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38の代わりに備える。LED発光装置50は、ダイボンド材123、第1蛍光樹脂117及び第2蛍光樹脂118を備えると共に、透明樹脂36を備えないこと以外は、LED発光装置10と同一部材、同一構造となる。LED発光装置110の説明では、図1~4及び図6~10が参照されるとともに、図16において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0114】
図16は、図1のCC´線に沿うLED発光装置110の部分断面図である。図16には、第1微細領域111dと第2微細領域112dがそれぞれ2つずつ示される。図16に示すように、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12の底面は、基板13の上面にダイボンド材123で接着される。ダイボンド材123は、白色であり、酸化Ti等からなる反射性微粒子を含有し、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面を覆うとともに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙で基板13の上面を覆う。なお、図16では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0115】
図16に示すように、第1LEDダイ11は、第1蛍光樹脂117により上面が覆われる。さらに、ダイボンド材123とともに第1LEDダイ11の側面から第1LEDダイ11の発光が直接的に漏れ出さないように、第1蛍光樹脂117は、第1LEDダイ11の側面上部を覆う。第2LEDダイ12は、上面が第2蛍光樹脂118で覆う。第2蛍光樹脂118は、第2LEDダイ12の上面を一括して一様に覆うとともに、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙を埋め、さらに第1蛍光樹脂117を覆う。
【0116】
図16に示すように、第1微細領域111dは、第1LEDダイ11の直上部及び第1LEDダイ11の直上部の近傍である。第1LEDダイ11は、直上部に多くの発光が集中するため、第1LEDダイ11の発光により励起されて発光する第1蛍光樹脂117の発光が等方的であっても、直上部及び直上部の近傍が、第1LEDダイ11の発光と第1蛍光樹脂117の発光の混合光の強度が強い領域として認識される。第1LEDダイ11は、混合光の強度が強い領域として認識される第1LEDダイ11の直上部及び第1LEDダイ11の直上部の近傍に限られる。第2微細領域112dは、第2LEDダイ12の直上部及び第2LEDダイ12の近傍に限られる。
【0117】
以上、図16に示すように、LED発光装置110は、一枚の基板13上に第1色で発光する第1微細領域111d及び第2色で発光する第2微細領域112dを備え、第1微細領域111dと第2微細領域112dが市松模様状に配列される。LED発光装置110は、基板13に実装された複数の第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12と、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の集合を取り囲むダム15とを備える。LED発光装置110は、第1LEDダイ11の間を電気的に接続する第1ワイヤ14a及び前記第2LEDダイ12の間を電気的に接続する第2ワイヤ14bと、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面をそれぞれ覆う第1蛍光樹脂117及び第2蛍光樹脂118とを更に備える。第1微細領域111dは、第1LEDダイ11及び第1蛍光樹脂117を含み、第2微細領域112dは、第2LEDダイ12及び第2蛍光樹脂118を含み、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は同じ青色発光ダイオードである。
【0118】
LED発光装置110は、一枚の基板13上に、第1色で発光する複数の微細な第1微細領域111dと、第2色で発光する複数の微細な第2微細領域112dとを市松模様状に配列させるときに、一種類のLEDダイを有する。LED発光装置110は、第1微細領域111dに含まれる第1LEDダイ11を第1蛍光樹脂117で個別に被覆する一方、第2微細領域112dに含まれる第2LEDダイ12を第2蛍光樹脂118で一括して被覆するので、製造工程が複雑にならない。
【0119】
LED発光装置110は、ダム15を備えるが、第2蛍光樹脂118の粘度を適宜調整することでダム15を省くことが出来る。しかしながら、LED発光装置110がダム15を有することで、第2蛍光樹脂118の厚さを均一にできるのでLED発光装置110は取扱い易くなる。
【0120】
また、LED発光装置110は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面に白色のダイボンド材123を這い上がらせ、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から出射する光を遮る。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から光が出射しても、第1色及び第2色の混色性は確保できる。しかしながら、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面が遮光されると、ノイズとなる光が大幅に低減する。例えば、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面の遮光により、第2LEDダイ12の発光により第1蛍光樹脂117を励起することがなくなる。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面がダイボンド材123で遮光されることで、LED発光装置110は、発光色の管理が容易になる。
【0121】
また、LED発光装置110では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙において、ダイボンド材123によって基板13の表面が覆われる。LED発光装置110では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間の領域で基板13の上面を露出させても良い。しかしながら、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の間隙に白色のダイボンド材123を配置することで、基板13の上面の反射処理膜の有無にかかわらず、基板13の反射効率が向上し、LED発光装置110の発光効率が高くなる。
【0122】
(第9実施形態)
第8実施形態に係るLED発光装置110は、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から出射しようとする光をダイボンド材123で遮光し、管理容易な発光色を得ていた。しかしながら、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12が発する光の遮光は、発光効率の低下を招くことがある。
【0123】
図17を参照して説明される第9実施形態に係るLED発光装置120は、発光色の管理容易性より発光効率を優先する。LED発光装置120は、平面形状、素子及び素子配置、ワイヤの結線並びに回路がLED発光装置10と略等しいので、LED発光装置120の説明では、図1~4及び図6~10は同等の図を示さず適宜参照され、共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0124】
図17は、図1のCC´線に沿うLED発光装置120の部分断面図である。図17には、第1微細領域121dと第2微細領域122dがそれぞれ2つずつ示される。図17に示すように、第1LEDダイ11と第2LEDダイ12の底面は、基板13の上面にダイボンド材125で接着される。なお、図17では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0125】
図17に示すように、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の上面には、それぞれ、第1蛍光樹脂127及び第2蛍光樹脂128が被覆される。しかしながら、第1蛍光樹脂127は、第1LEDダイ11の上面をそれぞれ個別に覆う一方、第2蛍光樹脂128は、第2LEDダイ12の上面並びに第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面を含め、ダム15の内側の領域全体に亘って一様に覆う。
【0126】
LED発光装置120では、第1微細領域121d及び第2微細領域122dは、それぞれ、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の直上部、並びに第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の直上部の近傍である。第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、直上部に多くの発光が集中するため、第1蛍光樹脂127及び第2蛍光樹脂128の発光が等方的であっても、直上部及び直上部の近傍が混合光の強度が強い領域として認識される。第1微細領域121d及び第2微細領域122dは、混合光の強度が強い領域として認識される第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の直上部、並びに第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の直上部の近傍に限られる。
【0127】
しかしながら、LED発光装置120では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12の側面から放射される青色光が、第2蛍光樹脂128に入り込み、ほとんどすべて波長変換される。波長変換された光は、第1微細領域121d及び第2微細領域122dの発光に対しバイアス成分となる。バイアス成分となった光は、第1微細領域121d又は第2微細領域122dの発光の色度をシフトさせるが、明るさ(発光効率)を向上させる効果を奏する。
【0128】
LED発光装置120は、高い発光効率を有する。また、LED発光装置120は、ダム15の内側の領域に第2蛍光樹脂128を充填することにより、発光効率の向上及び製造工程の短縮を図ることができる。
【0129】
(第10実施形態)
第1実施形態に係るLED発光装置10では、第1LEDダイ11及び第2LEDダイ12は、側面が白色反射樹脂39で取り囲まれることで、第1LEDダイ11及び第2LEDダイび12の側面から放射される側面放射光を抑制して発光色の制御を容易にする。しかしながら、第1実施形態に係るLED発光装置10では、第1LEDダイ11から出射された光が第2蛍光樹脂38を、第2LEDダイ12から出射された光が第1蛍光樹脂37を励起するおそれがある。第10実施形態に係るLED発光装置130は、LEDダイから出射された光が隣の素子上の蛍光樹脂を励起するおそれを低くすることができる。
【0130】
図18を参照して説明される第10実施形態に係るLED発光装置130は、LED発光装置130は、白色反射樹脂139を白色反射樹脂39の代わりに備える。LED発光装置50は、白色反射樹脂139を白色反射樹脂39の代わりに備えること以外は、LED発光装置10と同一部材、同一構造となる。LED発光装置130の説明では、図1~4及び図6~10が参照されるとともに、図18において共通の部材には共通の符号が用いられる。
【0131】
図18は、図1のCC´線に沿うLED発光装置130の部分断面図である。図18には、第1微細領域131dと第2微細領域132dがそれぞれ2つずつ示される。図18では、図5と同様に第1ワイヤ14a及び第2ワイヤ14bは図示されない。
【0132】
白色反射樹脂139は、第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38の頂部よりも頂部が高くなるように形成される。LED発光装置130では、白色反射樹脂139の頂部が、第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38の頂部よりも高くなるので、第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38は、隣接するLEDダイから出射した光の影響する可能性が低くなる。第1LEDダイ11から出射した光が第2蛍光樹脂38に影響する可能性が低くなるとともに、第2LEDダイ12から出射した光が第1蛍光樹脂37に影響する可能性が低くなる。
【0133】
LED発光装置130では、第1蛍光樹脂37及び第2蛍光樹脂38は、隣接するLEDダイから出射した光の影響する可能性が低くなるので、LED発光装置130の発光色の制御及び管理が容易になる。
【0134】
なお、説明されたLED発光装置では、2つの微細領域が市松模様状に配列されるが、実施形態に係るLED発光装置では、3つ以上の微細領域が市松模様状に配列されてもよい。例えば、実施形態に係るLED発光装置は、白色光を発する蛍光樹脂に加えて緑色光及び赤色光等の他の光を発する蛍光樹脂を被覆することで、3つ以上の微細領域が市松模様状に配列してもよい。ただし、3つ以上の微細領域の場合には、配線が複雑になるために、実施形態に係るLED発光装置は、LEDダイの上面を被覆する蛍光樹脂の種類を、黄色蛍光樹脂と緑色蛍光樹脂との混合樹脂、黄色蛍光樹脂と赤色蛍光樹脂のように複数混ざった蛍光樹脂を採用することで、2つの微細領域が市松模様状に配列しても3つ以上の微細領域の場合と同等の高演色性を得ることが出来る。
【0135】
本開示に係るLED発光装置は、以下の態様であってもよい。
〔態様1-1〕
第1色で発光する第1微細領域と、第2色で発光する第2微細領域とを備え、前記第1微細領域と前記第2微細領域が市松模様状の配列をしたLED発光装置において、
前記第1微細領域に含まれる第1LEDダイと、
前記第2微細領域に含まれる第2LEDダイと、
前記第1LEDダイが直列接続した第1LED列と、
前記第2LEDダイが直列接続した第2LED列と
を備え、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、それぞれ1つの辺に沿ってアノード及びカソードが形成され、
前記配列の1つの方向で隣接する前記第1LEDダイの前記辺と前記第2LEDダイの前記辺は、互い違いに設けられている
ことを特徴とするLED発光装置。
〔態様1-2〕
前記第1LED列を構成する第1LEDダイ同士、及び前記第2LED列を構成する第2LEDダイ同士を接続するボンディングワイヤが、ジグザグ配列している
ことを特徴とする態様1-1に記載のLED発光装置。
〔態様1-3〕
前記第1LED列を構成する第1LEDダイは、前記1つの方向において、前記第2LEDダイを挟んで隣接する他の第1LEDダイとボンディングワイヤによって接続されている
ことを特徴とする態様1-1に記載のLED発光装置。
〔態様1-4〕
複数の前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、ミラー反転した2種類のLEDダイを含んでいる
ことを特徴とする態様1-1から1-3のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様2-1〕
基板上に、第1色で発光する複数の第1発光領域と、第2色で発光する複数の第2発光領域とが市松模様状に配列したLED発光装置において、
前記第1発光領域及び前記第2発光領域にそれぞれ含まれる第1LEDダイ及び第2LEDダイと、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの上面をそれぞれ個別に覆う第1蛍光樹脂及び第2蛍光樹脂と
を備え、
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、直上部がそれぞれ前記第1発光領域及び前記第2発光領域となり、底面が前記基板に白色のダイボンド材で接着されるとともに、側面が前記ダイボンド材により被覆されている
ことを特徴とするLED発光装置。
〔態様2-2〕
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイは、同一特性である
ことを特徴とする態様2-1に記載のLED発光装置。
〔態様2-3〕
前記ダイボンド材は、前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙で前記基板の表面を覆っている
ことを特徴とする態様2-1又は2-2に記載のLED発光装置。
〔態様2-4〕
前記基板は、表面に銀層を備え、
前記銀層は、前記第1LEDダイと前記第2LEDダイとの間隙で前記ダイボンド材から露出し、
前記銀層の露出した部分は、前記第1蛍光樹脂、第2蛍光樹脂及び前記ダイボンド材の表面とともに保護層により被覆されている
ことを特徴とする態様2-1又は2-2に記載のLED発光装置。
〔態様2-5〕
前記第1蛍光樹脂及び前記第2蛍光樹脂は、透明樹脂で被覆され、
前記透明樹脂は、フィラーを含有している
ことを特徴とする態様2-1から2-4のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様2-6〕
前記第1蛍光樹脂及び前記第2蛍光樹脂は、高さが互いに異なる
ことを特徴とする態様2-1から2-5のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様2-7〕
前記第1蛍光樹脂と前記第2蛍光樹脂のうちの少なくとも一方は、前記ダイボンド材の斜面の一部を覆っている
ことを特徴とする態様2-1から2-6のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様2-8〕
前記第1蛍光樹脂と前記第2蛍光樹脂のうちの少なくとも一方は、前記ダイボンド材との接触部においてフィレットを形成している
ことを特徴とする態様2-7に記載のLED発光装置。
〔態様2-9〕
前記ダイボンド材は、上面が前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの上面と一致している
ことを特徴とする態様2-8に記載のLED発光装置。
〔態様3-1〕
基板上に、第1色で発光する複数の第1発光領域と、第2色で発光する複数の第2発光領域とが市松模様状に配列したLED発光装置において、
複数の第1LEDダイと、
複数の第2LEDダイと、
前記第1LEDダイに積層する第1蛍光樹脂と、
前記第2LEDダイに積層する第2蛍光樹脂と
を備え、
前記第1LEDと前記第2LEDは、発光特性が等しく、前記基板上で市松模様状に配列し、
前記第1蛍光樹脂は、前記第1LEDの上面をそれぞれ個別に覆い、
前記第2蛍光樹脂は、前記第2LEDダイの上面並びに前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの間隙を一様に覆い、
前記第1発光領域及び前記第2発光領域は、それぞれ前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの直上部及びその近傍である
ことを特徴とするLED発光装置。
〔態様3-2〕
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイを囲み、前記第2蛍光樹脂を堰き止めるダムを備えている
ことを特徴とする態様3-1に記載のLED発光装置。
〔態様3-3〕
前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイを前記基板の上面に接着するダイボンド材を備え、
前記ダイボンディング材は、反射性微粒子を含有し、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの側面を覆っている
ことを特徴とする態様3-1又は3-2に記載のLED発光装置。
〔態様3-4〕
前記ダイボンディング材は、前記第1LEDダイ及び前記第2LEDダイの間隙において前記基板の上面を覆っている
ことを特徴とする態様3-1から3-3のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様3-5〕
前記第1LED同士を接続する第1ワイヤと、前記第2LED同士を接続する第2ワイヤとを備え、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤのうちの少なくとも一方は、被膜により補強されている
ことを特徴とする態様3-1から3-4のいずれか一つに記載のLED発光装置。
〔態様3-6〕
基板上に、第1色で発光する第1発光領域及び第2色で発光する第2発光領域を備え、前記第1発光領域と前記第2発光領域とが市松模様状に配列したLED発光装置の製造方法において、
前記基板及び発光特性の等しい複数のLEDダイを準備する準備工程と、
前記基板に前記LEDダイをダイボンド材により接着するダイボンド工程と、
前記LEDダイ同士をワイヤで接続するワイヤボンド工程と、前記LEDダイの集合の周りにダムを形成するダム形成工程と、
前記LEDダイの集合に対して市松模様状に、前記LEDダイの上部に第1蛍光樹脂を塗布する第1蛍光樹脂塗布工程と、
第1蛍光樹脂が塗布されていない前記LEDダイの上部を覆うように、前記ダムの内側の領域に第2蛍光樹脂を充填する第2蛍光樹脂充填工程と
を備えている
ことを特徴とするLED発光装置の製造方法。
〔態様3-7〕
前記ダイボンド工程において、前記ダイボンド材を前記LEDダイの側面に這い上がらせている
ことを特徴とする態様3-6に記載のLED発光装置の製造方法。
〔態様3-8〕
前記ワイヤボンド工程の後に前記第1蛍光樹脂塗布工程、前記第1蛍光樹脂塗布工程の後に前記ダム形成工程、前記ダム形成工程の後に前記第2蛍光樹脂充填工程を備えていている
ことを特徴とする態様3-6又は3-7に記載のLED発光装置の製造方法。
〔態様3-9〕
前記第1蛍光樹脂塗布工程の後に、前記ワイヤに保護樹脂膜を形成する保護樹脂膜形成工程を備えている
ことを特徴とする態様3-6から3-8のいずれか一つに記載のLED発光装置の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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