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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/30 20060101AFI20220225BHJP
【FI】
A63H33/30 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021115139
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2021-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩越 里子
(72)【発明者】
【氏名】石澤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】市川 敬太
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-55494(JP,A)
【文献】特開2003-135843(JP,A)
【文献】特開2001-187281(JP,A)
【文献】実開昭57-193391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00- 9/20,
9/26-11/00,
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
伸縮リンク機構を有し、前記操作部の操作により伸縮する伸縮部と、
前記伸縮部の先端に配置され、開閉して把持対象を把持する把持部と、
前記伸縮部を短縮させる方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備え、
前記操作部の第1の操作により前記伸縮部が伸長し、前記伸縮部が伸長したときに前記把持部が開状態から閉状態となり、前記把持部が閉状態を保持した状態で前記操作部の第2の操作により前記伸縮部が短縮するように構成され
前記第1の操作では前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記伸縮部が伸長し、前記第2の操作により前記第2の付勢手段が前記伸縮部に付勢力を作用させる、
ことを特徴とする動作玩具。
【請求項2】
操作部と、
伸縮リンク機構を有し、前記操作部の操作により伸縮する伸縮部と、
前記伸縮部の先端に配置され、開閉して把持対象を把持する把持部と、
短縮状態の前記伸縮部及び前記把持部を収容する収容部と、
を備え、
前記操作部の第1の操作により前記伸縮部が伸長し、前記伸縮部が伸長したときに前記把持部が開状態から閉状態となり、前記把持部が閉状態を保持した状態で前記操作部の第2の操作により前記伸縮部が短縮するように構成され、
前記操作部は前記収容部の蓋部である、
ことを特徴とする動作玩具
【請求項3】
前記伸縮部が短縮状態にあるときに、前記操作部の第3の操作により前記把持部を閉状態から開状態にする開動作機構を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動作玩具。
【請求項4】
前記把持部を開状態に保持可能な開状態保持機構を備え、
前記開状態保持機構は、前記開動作機構による前記把持部の開状態を保持し、前記伸縮部が伸長したときに当該保持を解除する、
ことを特徴とする請求項3に記載の動作玩具。
【請求項5】
前記把持部を閉じる方向に付勢する第1の付勢手段を備え、
前記開状態保持機構は、前記第1の付勢手段の付勢力に抗して前記把持部を開状態に保持可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の動作玩具。
【請求項6】
前記伸縮部を短縮させる方向に付勢する第2の付勢手段を備え、
記第1の操作では前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記伸縮部が伸長し、前記第2の操作により前記第2の付勢手段が前記伸縮部に付勢力を作用させる、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の動作玩具。
【請求項7】
短縮状態の前記伸縮部及び前記把持部を収容する収容部を備え、
前記操作部は前記収容部の蓋部である、
ことを特徴とする請求項1、3~5のいずれか一項に記載の動作玩具。
【請求項8】
記第1の操作は、前記蓋部を開く操作であり、
前記第2の操作は、前記第1の操作に続いて前記蓋部をさらに開く操作である、
ことを特徴とする請求項7に記載の動作玩具。
【請求項9】
前記伸縮部が短縮状態にあるときに、前記操作部の第3の操作により前記把持部が開状態となり、
前記第3の操作は前記蓋部を閉じる操作である、
ことを特徴とする請求項8に記載の動作玩具。
【請求項10】
前記蓋部は、閉塞状態から前記第1の操作に移行するまでの回動に遊びを有する、
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の動作玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮部を備える動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伸縮部を伸縮させて遊ぶマジックハンド等の動作玩具が知られている。
例えば特許文献1には、アーム部とハンド部を有する玩具において、ユーザが持つグリップ部に、アーム部を伸縮させる第1スイッチと、ハンド部を開閉させる第2スイッチを設けることが記載されている。各スイッチとその動作対象は、紐やモータ等を含む機構を介して連動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-187281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、アーム部を動作させる機構が煩雑であり、小型化や低コスト化が難しい。
そこで、本発明は、簡便な構成で伸縮部を動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、動作玩具であって、
操作部と、
伸縮リンク機構を有し、前記操作部の操作により伸縮する伸縮部と、
前記伸縮部の先端に配置され、開閉して把持対象を把持する把持部と、
前記伸縮部を短縮させる方向に付勢する第2の付勢手段と、
を備え、
前記操作部の第1の操作により前記伸縮部が伸長し、前記伸縮部が伸長したときに前記把持部が開状態から閉状態となり、前記把持部が閉状態を保持した状態で前記操作部の第2の操作により前記伸縮部が短縮するように構成され
前記第1の操作では前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記伸縮部が伸長し、前記第2の操作により前記第2の付勢手段が前記伸縮部に付勢力を作用させることを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、動作玩具であって、
操作部と、
伸縮リンク機構を有し、前記操作部の操作により伸縮する伸縮部と、
前記伸縮部の先端に配置され、開閉して把持対象を把持する把持部と、
短縮状態の前記伸縮部及び前記把持部を収容する収容部と、
を備え、
前記操作部の第1の操作により前記伸縮部が伸長し、前記伸縮部が伸長したときに前記把持部が開状態から閉状態となり、前記把持部が閉状態を保持した状態で前記操作部の第2の操作により前記伸縮部が短縮するように構成され、
前記操作部は前記収容部の蓋部であることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、
前記伸縮部が短縮状態にあるときに、前記操作部の第3の操作により前記把持部を閉状態から開状態にする開動作機構を備えることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段において、
前記把持部を開状態に保持可能な開状態保持機構を備え、
前記開状態保持機構は、前記開動作機構による前記把持部の開状態を保持し、前記伸縮部が伸長したときに当該保持を解除することを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段において、
前記把持部を閉じる方向に付勢する第1の付勢手段を備え、
前記開状態保持機構は、前記第1の付勢手段の付勢力に抗して前記把持部を開状態に保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第2~第5の手段のいずれかにおいて、
前記伸縮部を短縮させる方向に付勢する第2の付勢手段を備え、
記第1の操作では前記第2の付勢手段の付勢力に抗して前記伸縮部が伸長し、前記第2の操作により前記第2の付勢手段が前記伸縮部に付勢力を作用させることを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1、第3~第5の手段のいずれかにおいて、
短縮状態の前記伸縮部及び前記把持部を収容する収容部を備え、
前記操作部は前記収容部の蓋部であることを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第7の手段において、
記第1の操作は、前記蓋部を開く操作であり、
前記第2の操作は、前記第1の操作に続いて前記蓋部をさらに開く操作であることを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第8の手段において、
前記伸縮部が短縮状態にあるときに、前記操作部の第3の操作により前記把持部が開状態となり、
前記第3の操作は前記蓋部を閉じる操作であることを特徴とする。
【0014】
第10の手段は、第7~第9のいずれかの手段において、
前記蓋部は、閉塞状態から前記第1の操作に移行するまでの回動に遊びを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段によれば、伸縮リンク機構を有する伸縮部が操作部の第1の操作により伸長し、伸縮部が伸長したときにその先端の把持部が開状態から閉状態となり、把持部が閉状態を保持した状態で伸縮部が短縮する。
これにより、紐やモータ等を用いていた従来と比べ、伸縮リンク機構を有するだけの簡便な構成として伸縮部を動作させることができる。ひいては小型化・低コスト化等を図ることができる。
また、伸縮部が伸長したときに把持部が閉状態となり、この閉状態が保持されたまま伸縮部が短縮するので、伸長したときに把持部で捕らえた把持対象を好適に手元に引き寄せることができる。
【0016】
第3の手段によれば、伸縮部が短縮状態にあるときに、操作部の第3の操作により把持部が閉状態から開状態になるので、把持部を簡便に元の状態(伸縮部を伸長させる前の状態)に復帰させることができる。ひいては、連続的に繰り返して遊ぶことが容易であり、例えば把持対象を捕らえることに失敗したとしても連続的に挑戦することができる。
【0017】
第5の手段によれば、開状態保持機構は、把持部を閉じる方向に付勢する第1の付勢手段の付勢力に抗して把持部を開状態に保持可能である。
これにより、伸縮部が伸長したときに開状態保持機構による把持部の開状態の保持を解除することで、第1の付勢手段により好適に把持部を閉状態にし、この状態を保持することができる。
【0018】
第6の手段によれば、第2の操作により第2の付勢手段の付勢力を作用させて伸縮部を短縮させるので、第2の付勢手段の付勢力により勢いよく把持部を手元に引き戻すことができる。
【0019】
第7の手段によれば、操作部は、短縮状態の伸縮部及び把持部を収容する収容部の蓋部であるので、伸縮部を伸縮させるための操作を、蓋部を開けて収容部内に伸縮部等を収容するための操作と兼ねることができる。
【0020】
第8の手段によれば、第1の操作は蓋部を開く操作であり、第2の操作は第1の操作に続いて蓋部をさらに開く操作であるので、蓋部を開くだけの単一の操作により、伸縮部の伸長と短縮を連続的に行うことができる。
【0021】
第9の手段によれば、伸縮部が短縮状態にあるときに把持部を開状態とするための第3の操作が蓋部を閉じる操作であるので、蓋部を開閉する操作だけで、伸縮部と把持部に一連の動作を行わせることができる。
【0022】
第10の手段によれば、蓋部は、閉塞状態から第1の操作に移行するまでの回動に遊びを有するので、この遊びの回動範囲内で蓋部を開けて、伸縮部を伸長させることなく収容部内に収容した把持対象を取り出すことなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る動作玩具の斜視図である。
図2】実施形態に係る動作玩具の分解斜視図である。
図3】実施形態に係るハンド開放レバーの動作を説明するための図である。
図4】実施形態に係る伸縮アームの連結構造を説明するための図である。
図5】実施形態に係るアームユニットの部分斜視図である。
図6】実施形態に係るハンド部の分解斜視図である。
図7】実施形態に係る動作玩具の動作を説明するための図であって、動作玩具の外観の状態変化を示した図である。
図8】実施形態に係る動作玩具の動作を説明するための図であって、動作玩具の外観の状態変化を示した図である。
図9】実施形態に係る動作玩具の動作を説明するための図であって、主にフックレバー、摺動部材、アームユニットの動作を示した図である。
図10】実施形態に係る動作玩具の動作を説明するための図であって、主にフックレバー、摺動部材、アームユニットの動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る動作玩具の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
《動作玩具の全体構成》
図1は、本実施形態に係る動作玩具1の斜視図であり、図2は、動作玩具1の分解斜視図である。
図1に示すように、動作玩具1は、略球状の収容部20と、その後側に配置された矩形箱状の本体部30とを備えており、収容部20内から伸縮アーム92を伸ばしてその先端のハンド部93で人形F等の把持対象を捕らえる玩具である。
なお、以下の説明において、上下、前後及び左右は、図中に示した方向をいう。
【0026】
具体的には、図1及び図2に示すように、動作玩具1は、操作レバー2、下部ケース3、後側上部ケース41及び前側上部ケース42を備える。
【0027】
操作レバー2は、略半球状に形成された収容部20の蓋部21と、蓋部21の後部に突設された支持部22とを有する。
蓋部21は、下部ケース3の収容部下部31と係脱可能に嵌合して収容部20を構成する。蓋部21は、下側斜め後方に開口した前傾状態で収容部下部31と係合する。
支持部22は、左右方向に沿った回動軸Ax(図9等参照)回りに回動可能なように後側上部ケース41に支持されている。
支持部22の後部には、後述の摺動部材7を移動させるためのフックレバー23が取り付けられている。フックレバー23は、操作レバー2の回動に伴って回動軸Ax回りに回動し、その下端が後述の摺動部材7の前端壁71に当接することで当該摺動部材7を前方に移動させる(図9等参照)。フックレバー23と摺動部材7の動作関係の詳細については後述する。
【0028】
下部ケース3は、前半部の収容部下部31と、後半部の下側本体ケース32とを有する。
収容部下部31は、収容部20の下側部分であり、操作レバー2の蓋部21と係脱可能に嵌合して収容部20を構成する。収容部下部31は、上側斜め前方に開口する略半球状に形成されている。
下側本体ケース32は、本体部30の下側ケースであり、上方に開口している。
【0029】
後側上部ケース41及び前側上部ケース42は、本体部30の上側ケースである。後側上部ケース41及び前側上部ケース42は、互いに前後に係合した状態で、下部ケース3後半部の下側本体ケース32と上下に篏合する。
【0030】
前側上部ケース42には、収容部20内でハンド部93を開くためのレバー部材5が支持されている。
レバー部材5は、左右に脚部51を有する門形状に形成されており、上下に移動可能に前側上部ケース42に支持されている。
レバー部材5の各脚部51には、下方に開口するガイド孔52が形成されている。ガイド孔52は、前後に貫通するとともに、下端から上側に向かって、左右中央側(内側)から左右外側に傾斜した後に上下に沿うように形成されている。ガイド孔52の傾斜部分は、下方斜め左右外側を向いた上側テーパ面52aと、上方斜め左右内側を向いた下側テーパ面52bとを有している。このガイド孔52は、後述するように、収容部20内でハンド部93を開くための一対のハンド開放レバー8をガイドして開閉する。
レバー部材5の上部両側面には、前後に沿った溝53が形成されている。溝53は、操作レバー2の支持部22の左右内側面に立設された円柱状の突起24と摺動可能に係合している。突起24は、支持部22のうち回動軸Axよりも前側に配置されている。そのため、操作レバー2を回動軸Ax回りに回動させると、突起24が溝53内を摺動しつつレバー部材5を上下に押す結果、レバー部材5が上下に移動する。具体的には、操作レバー2を上げる(蓋部21を開く)とレバー部材5が上方に移動し、操作レバー2を下げる(蓋部21を閉じる)とレバー部材5が下方に移動する。
【0031】
本体部30の内部、すなわち下部ケース3と後側上部ケース41及び前側上部ケース42との内部には、略平板状の支持台6が収容されている。
支持台6は、本体部30内を上下に仕切るように配置されている。
支持台6の後半部には、左右一対の弧状孔61が形成されている。弧状孔61は、左右外側に膨らむように設けられており、後述のアーム基部レバー91のスライドピン911をガイドする。
【0032】
本体部30の内部のうち支持台6よりも上側には、摺動部材7と、左右一対のハンド開放レバー8とが収容されている。
摺動部材7は、前後に移動可能に支持台6に支持されている。
摺動部材7の前端には前端壁71が立設されている。前端壁71は、その上方に位置するフックレバー23の下端が後方から当接するように設けられている。そのため、摺動部材7は、フックレバー23の回動に伴って、当該フックレバー23の下端が前端壁71に当接して前方に押されることにより前方に移動する(図9等参照)。フックレバー23と摺動部材7の動作関係の詳細については後述する。
摺動部材7の後端部には、左右両側に突設されたガイド部72が設けられている。各ガイド部72の下面には、左右に長尺な溝(図示省略)が形成されている。この溝には、後述のアーム基部レバー91のスライドピン911が摺動可能に係合する。そのため、摺動部材7が前後に移動すると、ガイド部72がアーム基部レバー91のスライドピン911を左右にガイドしつつ前後に移動させる。
摺動部材7の内部には、当該摺動部材7を後方に付勢する引きばね73が配置されている。引きばね73は、本発明に係る第2の付勢手段の一例であり、摺動部材7を介して伸縮アーム92を短縮させる方向に付勢する。具体的に、引きばね73は、摺動部材7の下面前端に突設された係止突起74と、後側上部ケース41の下面に突設された係止突起41aとの間に係止されている(図9等参照)。摺動部材7は、フックレバー23に当接していない常態においては、引きばね73に付勢されてその移動範囲の後端に位置している。
【0033】
一対のハンド開放レバー8は、支持台6上の前半部に配置されている。
各ハンド開放レバー8は、前後に略沿って長尺な形状に形成され、その後端が上下に沿った軸回りに回動可能に支持台6に支持されている。
各ハンド開放レバー8は、前後方向の中程の位置に、前後に沿った円柱部81を有している。円柱部81は、レバー部材5のガイド孔52に嵌っている。そのため、図2及び図3に示すように、レバー部材5が上下に移動するに伴って、円柱部81がガイド孔52にガイドされて、ハンド開放レバー8が所定の回動範囲で左右に回動する。具体的には、レバー部材5が下方に移動すると、ガイド孔52の上側テーパ面52aが上方から円柱部81を押して、ハンド開放レバー8が左右外側に回動する。一方、レバー部材5が上方に移動すると、ガイド孔52の下側テーパ面52bが下方から円柱部81を押して、ハンド開放レバー8が左右内側に回動する。
各ハンド開放レバー8の前部は、下方に段付き状に屈曲しており、支持台6の前側から当該支持台6の下方に延出している。各ハンド開放レバー8の前端部には、ハンド部93を開くための押圧部82が設けられている。ハンド開放レバー8が左右外側に回動するに伴って押圧部82が後述の爪部94の立設部942を押して、爪部94(ハンド部93)を左右外側に開く。本発明に係る開動作機構は、伸縮アーム92が短縮状態にあるときに操作レバー2の操作によりハンド部93を閉状態から開状態にするものであり、レバー部材5と一対のハンド開放レバー8を含む。
【0034】
《アームユニットの構成》
図2に示すように、収容部20と本体部30の内部のうち、支持台6よりも下側には、アームユニット9が収容されている。
アームユニット9は、左右一対のアーム基部レバー91、伸縮アーム92、ハンド部93を備える。
【0035】
一対のアーム基部レバー91は、摺動部材7と伸縮アーム92を連結する。
各アーム基部レバー91は、左右内側の端部が、支持台6の下面に立設された回動軸(図示省略)に軸支されており、当該端部を中心に回動する。
各アーム基部レバー91の左右外側の端部は、伸縮アーム92の最後端のリンク棒921の端部に回動可能に連結されている。
各アーム基部レバー91の長手方向の中央部には、スライドピン911が立設されている。スライドピン911は、支持台6の弧状孔61に挿通された状態で、摺動部材7のガイド部72の溝に摺動可能に係合している。そのため、摺動部材7が前後に移動すると、スライドピン911がガイド部72の溝内で左右に摺動しつつ弧状孔61にガイドされながら前後に押される結果、各アーム基部レバー91が左右内側の端部を中心に回動する。具体的には、摺動部材7が前方に移動すると、各アーム基部レバー91の左右外側が前方に移動するように回動し、摺動部材7が後方に移動すると、各アーム基部レバー91の左右外側が後方に移動するように回動する。摺動部材7が移動範囲の後端に位置する常態(図2の状態)では、各アーム基部レバー91は左右方向に略沿った状態となっている。
【0036】
図4は、伸縮アーム92の連結構造を説明するための図である。
図4(a)に示すように、伸縮アーム92は、複数のリンク棒921が略中央のヒンジ部922と両端のヒンジ部923とで連結されたクロスリンク(レージトング)機構を有するものである。伸縮アーム92は、最後端の一対のリンク棒921の端部に一対のアーム基部レバー91の端部が連結されており(図2参照)、一対のアーム基部レバー91の回動に伴って、追従側(前側)のリンク棒921が前後に移動するように伸縮する。
なお、伸縮アーム92が有する伸縮リンク機構はクロスリンク機構に限定されない。また、伸縮アーム92は本発明に係る伸縮部の一例であるが、本発明に係る伸縮部にはアーム基部レバー91や後述のハンド基部レバー95を含んでもよい。
【0037】
また、伸縮アーム92では、各ヒンジ部を滑らかに動かすために、その軸と穴の嵌合にクリアランスが必要となる。しかし、このクリアランスを単純に設けた場合、図4(a)に示すように、操作側(後側)のリンク棒921を最大まで広げても追従側(前側)のリンク棒921が完全には追従できず、前側のリンク棒921の間に遊びが生じる。このとき、伸縮アーム92先端に負荷等があると、伸縮アーム92先端が所望の位置まで後退できないおそれがある。
そこで、本実施形態の伸縮アーム92では、図4(b)に示すように、中央のヒンジ部922の中心から前側のヒンジ部923の中心までの長さL1を、中央のヒンジ部922の中心から後側のヒンジ部923の中心までの長さL2よりも少しだけ長く設定している。
これにより、後側のリンク棒921よりも前側のリンク棒921の方がより縮むリンク構造となる。そのため、ヒンジ部にクリアランスを設けた場合でも、クリアランスに前後長さの違いを合わせることで、図4(c)に示すように、操作側のリンク棒921を最大まで広げたときに追従側のリンク棒921間に遊びが生じない状態となる。したがって、伸縮アーム92先端を所望の位置まで好適に後退させることができる。
【0038】
図5は、アームユニット9の部分斜視図であり、図6は、ハンド部93の分解斜視図である。
これらの図に示すように、ハンド部93は、本発明に係る把持部の一例であり、伸縮アーム92の前端(先端)に連結され、開閉して把持対象を把持する。
具体的に、ハンド部93は、左右一対の爪部94と、左右一対のハンド基部レバー95と、上部カバー96と、下部カバー97とを有する。
【0039】
一対の爪部94は、開閉して把持対象を把持する部分であり、各々が基端部(後端部)の上下に略沿った軸を中心に回動可能に上部カバー96及び下部カバー97に支持されている。
各爪部94の基端部には、互いに噛合するギヤ94aが設けられている。
各爪部94の基端部であって回動中心よりも前側には、互いを左右中央側(一対の爪部94が閉じる方向)に付勢する第1コイルばね941が取り付けられている。第1コイルばね941は、本発明に係る第1の付勢手段の一例である。
各爪部94の基端部上面には立設部942が立設されている。立設部942は、上部カバー96の孔部96aに挿通されてその上方に突出しており、上述のハンド開放レバー8が左右外側に回動したときにその前端の押圧部82が立設部942を押すことにより、爪部94が左右外側に開く(図3参照)。
【0040】
一対のハンド基部レバー95は、前端部が一対の爪部94の後端部の直下に位置するように配置されている。一対のハンド基部レバー95は、各々の前端部が、一対の爪部94と同じ回動中心回りに回動可能に上部カバー96及び下部カバー97に支持されている。
各ハンド基部レバー95の前端部には、互いに噛合するギヤ95aが設けられている。
一対のハンド基部レバー95は、後端部が伸縮アーム92の最前端の一対のリンク棒921にそれぞれ連結されている。そのため、伸縮アーム92と連動して同様に開閉(前後に伸縮)する。
【0041】
上部カバー96及び下部カバー97は、一対の爪部94の後端部と一対のハンド基部レバー95の前端部を上下に挟持しつつ、これらを回動可能に支持している。
下部カバー97内には、一対の爪部94に係脱可能な係合部材98が配置されている。係合部材98は、一対のハンド基部レバー95の前端部の下側に配置され、上下に移動可能に下部カバー97に支持されている。
係合部材98は、後部の左右中央に、上方に開口する凹状のフック部98aを有している。フック部98aは、係合部材98が上方に移動したときに、一対の爪部94の後端部に設けられた2つの係止部94bに左右両側から挟むように係合することにより、一対の爪部94を開状態に保持する。
係合部材98は、下部カバー97内に配置された第2コイルばね971により、上方に付勢されている。一対の爪部94が開いている状態で、係合部材98が第2コイルばね971に付勢されて上方に移動することにより、フック部98aが一対の爪部94の2つの係止部94bに係合し、一対の爪部94(ハンド部93)が第1コイルばね941の付勢力に抗して開状態に保持される。本発明に係る開状態保持機構は、係合部材98と第2コイルばね971を含む。
係合部材98の後端部には、左右外側斜め上方を向いた左右一対のテーパ面98bが設けられている。一対のハンド基部レバー95は、一対のテーパ面98bに対応して斜め下方を向いたテーパ状の押圧面95bをそれぞれ有している。そして、一対のハンド基部レバー95が前端部回りに閉じてきたとき(つまり、伸縮アーム92が伸びてきたとき)に、ハンド基部レバー95の押圧面95bがテーパ面98bに当接して係合部材98を下方に移動させる。これにより、係合部材98のフック部98aと一対の爪部94の2つの係止部94bとの係合が解除され、一対の爪部94が第1コイルばね941の付勢力により閉状態となる。なお、伸縮アーム92がどの程度伸びたときに一対の爪部94が開状態となる(開状態の保持が解除される)かは、適宜調整可能である。
【0042】
《動作玩具の動作》
続いて、動作玩具1で遊ぶときの動作について説明する。
図7図10は動作玩具1の動作を説明するための図であり、このうち図7及び図8が動作玩具1の外観の状態変化を示したもの、図9及び図10が主にフックレバー23、摺動部材7、アームユニット9の動作を示したものである。
【0043】
まず、ユーザ(遊戯者)は、動作玩具1を捕捉対象(把持対象)の人形Fに向けた状態で当該人形Fから適度な距離に配置する(図7(a))。
このとき、アームユニット9は収容部20(及び本体部30)内に収容され、操作レバー2(蓋部21)は閉じられた状態となっている。また、アームユニット9ではハンド部93(一対の爪部94)が開状態に保持されている。
【0044】
次に、ユーザが操作レバー2(蓋部21)を開く操作(第1の操作)を行うと、操作レバー2とともに回動するフックレバー23が摺動部材7に当接し、摺動部材7が引きばね73の付勢力に抗して前方に移動する(図9(a)、(b))。これにより、操作レバー2の開き具合に応じて一対のアーム基部レバー91が回動し、伸縮アーム92が前方に伸長する(図7(b))。
【0045】
すると、伸縮アーム92とともに伸長(回動)するハンド基部レバー95が係合部材98を押し下げ、係合部材98による一対の爪部94(ハンド部93)の開状態の保持が解除され、一対の爪部94が第1コイルばね941の付勢力により閉状態となる(図6参照)。これにより、ハンド部93が人形Fを把持する(図7(c))。
【0046】
次に、ユーザが、第1の操作に続いて操作レバー2をさらに開く操作(第2の操作)を行うと、フックレバー23の下端が摺動部材7の前端壁71から外れてその係止が解除される(図10(a))。すると、摺動部材7が引きばね73の付勢力により後方に移動する(図10(b))。これにより、ハンド部93が閉状態を保持して人形Fを把持した状態で伸縮アーム92が短縮し、収容部20及び本体部30内に収容される(図8(a))。
【0047】
次に、ユーザが操作レバー2を閉じる操作(第3の操作)を行うと、レバー部材5が下方に移動して一対のハンド開放レバー8が左右外側に回動し(図3参照)、一対の爪部94(ハンド部93)が閉状態から開状態になる(図8(b))。これにより、収容部20内で人形Fがハンド部93から解放される。
なお、次に操作レバー2を開くときには、レバー部材5が上方に移動して一対のハンド開放レバー8を閉じた状態に復帰させるため、当該ハンド開放レバー8がアームユニット9の動作を妨げることはない。
【0048】
このとき、操作レバー2の第3の操作に伴ってフックレバー23が摺動部材7の前端壁71を乗り越えて回動し、操作レバー2(蓋部21)を閉じきった閉塞状態では、フックレバー23が摺動部材7の前端壁71との間に所定の距離(回動範囲)を有する状態となる(図10(c))。つまり、操作レバー2は、図10(c)に示す閉塞状態から、図9(a)に示す第1の操作(の開始状態)に移行するまでの回動に、遊び(遊間)を有している。
そのため、この遊びの回動範囲内で操作レバー2を開くことにより、伸縮アーム92を伸長させることなく、収容部20を開いて内部の人形Fを取り出すことができる(図8(c))。
【0049】
こうして、アームユニット9が収容部20(及び本体部30)内に収容され、ハンド部93が開状態となり、操作レバー2(蓋部21)が閉じられた状態となる。すなわち、動作開始時と同じ状態に復帰する。したがって、操作レバー2の開閉操作以外に特殊な操作を必要とすることなく、連続的に繰り返して遊ぶことができる。
【0050】
《本実施形態の技術的効果》
以上のように、本実施形態によれば、伸縮リンク機構を有する伸縮アーム92が操作レバー2の第1の操作により伸長し、伸縮アーム92が伸長したときにその先端のハンド部93が開状態から閉状態となり、ハンド部93が閉状態を保持した状態で伸縮アーム92が短縮する。
これにより、紐やモータ等を用いていた従来と比べ、伸縮リンク機構を有するだけの簡便な構成として伸縮アーム92を動作させることができる。ひいては小型化・低コスト化等を図ることができる。
また、伸縮アーム92が伸長したときにハンド部93が閉状態となり、この閉状態が保持されたまま伸縮アーム92が短縮するので、伸長したときにハンド部93で捕らえた人形F等の把持対象を好適に手元に引き寄せることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、伸縮アーム92が短縮状態にあるときに、操作レバー2の第3の操作によりハンド部93が閉状態から開状態になるので、ハンド部93を簡便に元の状態(伸縮アーム92を伸長させる前の状態)に復帰させることができる。ひいては、連続的に繰り返して遊ぶことが容易であり、例えば人形F等の把持対象を捕らえることに失敗したとしても連続的に挑戦することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、係合部材98は第1コイルばね941の付勢力に抗してハンド部93を開状態に保持可能である。
これにより、伸縮アーム92が伸長したときに係合部材98によるハンド部93の開状態の保持を解除することで、第1コイルばね941により好適にハンド部93を閉状態にし、この状態を保持することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第2の操作により引きばね73の付勢力を作用させて伸縮アーム92を短縮させるので、引きばね73の付勢力により勢いよくハンド部93を手元に引き戻すことができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、操作レバー2は、短縮状態の伸縮アーム92及びハンド部93を収容する収容部20の蓋部21を有するので、伸縮アーム92を伸縮させるための操作を、蓋部21を開けて収容部20内に伸縮アーム92等を収容するための操作と兼ねることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、第1の操作は蓋部21を開く操作であり、第2の操作は第1の操作に続いて蓋部21をさらに開く操作であるので、蓋部21を開くだけの単一の操作により、伸縮アーム92の伸長と短縮を連続的に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、伸縮アーム92が短縮状態にあるときにハンド部93を開状態とするための第3の操作が蓋部21を閉じる操作であるので、蓋部21を開閉する操作だけで、伸縮アーム92とハンド部93に一連の動作を行わせることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、蓋部21は、閉塞状態から第1の操作に移行するまでの回動に遊びを有するので、この遊びの回動範囲内で蓋部21を開けて、伸縮アーム92を伸長させることなく収容部20内に収容した人形F等の把持対象を取り出すことなどができる。
【0058】
《その他》
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば上記実施形態では、操作レバー2の第1の操作により伸縮アーム92が伸長し、その後の操作レバー2の第2の操作により伸縮アーム92が短縮することとしたが、第2の操作は無くてもよい。つまり、第1の操作により伸長した伸縮アーム92が、第2の操作を受ける必要なく引きばね73の付勢力により短縮するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 動作玩具
20 収容部
30 本体部
2 操作レバー(操作部)
21 蓋部
23 フックレバー
3 下部ケース
5 レバー部材
52 ガイド孔
52a 上側テーパ面
52b 下側テーパ面
6 支持台
7 摺動部材
71 前端壁
72 ガイド部
73 引きばね(第2の付勢手段)
8 ハンド開放レバー
81 円柱部
82 押圧部
9 アームユニット
91 アーム基部レバー
92 伸縮アーム(伸縮部)
93 ハンド部(把持部)
94 爪部
94b 係止部
941 第1コイルばね(第1の付勢手段)
942 立設部
95 ハンド基部レバー
95b 押圧面
971 第2コイルばね
98 係合部材
98a フック部
98b テーパ面
Ax 回動軸
F 人形
【要約】
【課題】簡便な構成で伸縮部を動作させる。
【解決手段】動作玩具1は、操作レバー2と、伸縮リンク機構を有し、操作レバー2の操作により伸縮する伸縮アーム92と、伸縮アーム92の先端に配置され、開閉して把持対象を把持するハンド部93とを備え、操作レバー2の第1の操作により伸縮アーム92が伸長し、伸縮アーム92が伸長したときにハンド部93が開状態から閉状態となり、ハンド部93が閉状態を保持した状態で伸縮アーム92が短縮するように構成されている。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10