(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-24
(45)【発行日】2022-03-04
(54)【発明の名称】会議支援システム、会議支援方法、および会議支援プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/15 20060101AFI20220225BHJP
H04N 21/231 20110101ALI20220225BHJP
H04M 3/56 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
H04N7/15 150
H04N21/231
H04M3/56 C
(21)【出願番号】P 2021140963
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598138327
【氏名又は名称】株式会社ドワンゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】戀塚 昭彦
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-244522(JP,A)
【文献】特開平11-177962(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0312518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/15
H04N 21/231
H04M 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
オンライン会議の音声を含む会議データを記録し、
前記オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得し、
前記時点以降の時間幅における前記会議データに対応するコンテンツを生成し、
前記オンライン会議の進行中に、前記会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、前記コンテンツを前記ユーザの端末に再生させ
、
前記コンテンツの再生速度および経過時間に基づいて進行状況を算出し、
前記ユーザとは別のユーザの端末に前記進行状況を表示させる、
会議支援システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前
記別のユーザの端末に、前記ユーザが前記コンテンツの再生中であることを示すステータスを表示させる、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記音声の発言者であるユーザを特定するユーザ識別情報を取得し、
前記音声と前記ユーザ識別情報とを対応付けて前記コンテンツを生成し、
前記別のユーザの端末に、前記進行状況に沿って前記ユーザ識別情報を前記ステータスと共に表示させる、
請求項
2に記載の会議支援システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記進行状況として、前記コンテンツの再生が終わるまでの時間を算出する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の会議支援システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記進行状況として、前記コンテンツの再生の進行率を算出する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の会議支援システム。
【請求項6】
前記時間幅の終点が、前記時点が取得された時刻であり、
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ユーザの端末において、前記コンテンツを再生させると共に前記オンライン会議を表示させる、請求項
1~5のいずれか一項に記載の会議支援システム。
【請求項7】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
オンライン会議の音声を含む会議データを記録し、
前記オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得し、
前記時点以降の時間幅に
おいて、前記時点が取得された時刻を前記時間幅の終点として前記会議データに対応するコンテンツを生成し、
前記オンライン会議の進行中に、前記会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、前記コンテンツを前記ユーザの端末に再生させる
と共に、前記ユーザの端末に前記オンライン会議を表示させる、
会議支援システム。
【請求項8】
少なくとも一つのプロセッサを備える会議支援システムによって実行される会議支援方法であって、
オンライン会議の音声を含む会議データを記録するステップと、
前記オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得するステップと、
前記時点以降の時間幅における前記会議データに対応するコンテンツを生成するステップと、
前記オンライン会議の進行中に、前記会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、前記コンテンツを前記ユーザの端末に再生させるステップと
、
前記コンテンツの再生速度および経過時間に基づいて進行状況を算出するステップと、
前記ユーザとは別のユーザの端末に前記進行状況を表示させるステップと
を含む会議支援方法。
【請求項9】
オンライン会議の音声を含む会議データを記録するステップと、
前記オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得するステップと、
前記時点以降の時間幅における前記会議データに対応するコンテンツを生成するステップと、
前記オンライン会議の進行中に、前記会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、前記コンテンツを前記ユーザの端末に再生させるステップと
、
前記コンテンツの再生速度および経過時間に基づいて進行状況を算出するステップと、
前記ユーザとは別のユーザの端末に前記進行状況を表示させるステップと
をコンピュータに実行させる会議支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は会議支援システム、会議支援方法、および会議支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介したオンライン会議において、会議内容の把握を支援する仕組みが知られている。例えば、特許文献1には、会議の進行中に会議情報を記録しておき、会議の途中参加者を検知した場合に、それまでの会議情報の要約を作成し、作成した要約を途中参加者へ個別に提供するネットワーク会議システムが記載されている。特許文献2には、電子会議参加者の発言を聞き逃した場合に、その発言の映像または音声を巻き戻して再生するテレビ会議システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-339033号公報
【文献】特開2008-236553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オンライン会議の参加者が、現在時点より前における会議の内容を把握するための仕組みが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る会議支援システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、オンライン会議の音声を含む会議データを記録し、オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得し、時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツを生成し、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツをユーザの端末に再生させる。
【0006】
このような側面においては、オンライン会議を遡った時点以降の会議データに対応するコンテンツが生成される。そして、当該コンテンツが進行中のオンライン会議に追いつくようにユーザの端末上で高速に再生される。これにより、現在時点より前における会議の内容を把握するための環境を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、現在時点より前における会議の内容を把握するための環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る会議支援システムの適用の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る会議支援システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る会議支援システムに関連する機能構成の一例を示す図である。
【
図5】再生画面の一例を示す図である。
図5の例(a)は、コンテンツの前半を構成する1フレームである再生画面の一例である。
図5の例(b)は、コンテンツの後半を構成する1フレームである再生画面の一例である。
【
図6】実施形態に係る会議支援システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】別の実施形態に係る会議支援システムに関連する機能構成の一例を示す図である。
【
図8】会議画面の別の例を示す図である。
図8の例(a)は、ステータスおよび進行状況を表示する会議画面の一例である。
図8の例(b)は、ステータスおよび進行状況を表示する会議画面の別の例である。
【
図9】別の実施形態に係る会議支援システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[システムの概要]
実施形態に係る会議支援システムは、オンライン会議のユーザを支援するコンピュータシステムである。オンライン会議とは、ネットワークに接続された複数のユーザ端末を介して行われる会議のことをいい、Web会議またはネットワーク会議ともいう。ユーザとは、会議支援システムを利用する人である。ユーザ端末は、一人または複数人のユーザによって用いられるコンピュータである。「ユーザを支援する」とは、現在時点より前におけるオンライン会議の進行をコンテンツとしてユーザに提供することにより行われる。コンテンツとは、人が少なくとも聴覚を通して何らかの情報を認識することができるデータのことをいう。コンテンツは、音声を含む動画像(映像)でもよいし音声のみでもよい。提供とは、ネットワークを介してユーザ端末に情報を送信する処理のことをいう。
【0011】
会議支援システムは、オンライン会議を遡る時点が指定された要求をユーザ端末から取得する。オンライン会議を遡る時点は、コンテンツの再生を開始する時点(以下、「コンテンツ開始時点」という。)である。会議支援システムは、コンテンツ開始時点、およびオンライン会議を記録した電子データに基づいて、コンテンツを示す電子データであるコンテンツデータを生成して、該コンテンツデータをユーザ端末に送信する。ユーザ端末はそのコンテンツデータを受信および処理して、コンテンツの追いかけ再生を高速に実行する。追いかけ再生とは、録音中の音声または録画中の動画像を遅れて再生する機能のことをいう。
【0012】
「現在時点より前における会議(オンライン会議)の内容(進行)」は、コンテンツ開始時点から、該コンテンツ開始時点が指定された時点(言い換えると、追いかけ再生が指示された時点)までの第1範囲における会議の進行を含む。その第1範囲に対応するコンテンツの追いかけ再生が実行される間も、リアルタイムの会議は続く。「現在時点より前における会議(オンライン会議)の内容(進行)」は、コンテンツ開始時点が指定された時点(追いかけ再生が指示された時点)から現在時点までの第2範囲における会議の進行をさらに含み得る。第2範囲における会議の進行は、追いかけ再生中に進行を続ける会議の内容である。
【0013】
図1は会議支援システム1の適用の一例を示す図である。本実施形態では、会議支援システム1はサーバ10を備える。サーバ10は、コンテンツを少なくとも一つのユーザ端末20に送信するコンピュータ(会議支援サーバ)である。サーバ10は通信ネットワークNを介して複数のユーザ端末20と接続する。
図1では5台のユーザ端末20を示すが、ユーザ端末20の個数は限定されない。通信ネットワークNの構成は限定されない。例えば、通信ネットワークNはインターネットを含んで構成されてもよいし、イントラネットを含んで構成されてもよい。
図1に例示するようにユーザ端末20の種類は限定されない。例えば、ユーザ端末20は高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末(例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートグラスなど)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯電話機などの携帯端末でもよい。あるいは、ユーザ端末20はデスクトップ型パーソナルコンピュータなどの据置型端末でもよい。
【0014】
本開示におけるコンテンツは、実写画像と音声とが組み合わされる動画像である。実写画像とは現実世界を映した画像のことをいい、カメラなどの撮像装置によって得られる。会議支援システム1は様々な目的で用いられてよい。例えば、会議支援システム1は、テレビ会議(ビデオ会議)、またはオンラインセミナー等のために用いられてもよい。すなわち、会議支援システム1は複数のユーザ間で動画像を共有するコミュニケーション手段のために用いられてもよい。あるいは、会議支援システム1は音声のみを共有する電話会議等のために用いられてもよい。
【0015】
[システムの構成]
図2は会議支援システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図である。一例として、サーバ10はハードウェア構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。
【0016】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。
【0017】
主記憶部102は、サーバ10を機能させるためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
【0018】
補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、少なくとも一つのコンピュータをサーバ10として機能させるためのサーバプログラムP1と各種のデータとを記憶する。本実施形態では、会議支援プログラムはサーバプログラムP1として実装される。
【0019】
通信部104は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0020】
サーバ10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上にサーバプログラムP1を読み込ませてそのプログラムを実行させることで実現される。サーバプログラムP1は、サーバ10の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はサーバプログラムP1に従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。このような処理によりサーバ10の各機能要素が実現される。
【0021】
サーバ10は一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークNを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで、論理的に一つのサーバ10が構成される。
【0022】
一例として、ユーザ端末20はハードウェア構成要素として、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、通信部204、入力インタフェース205、出力インタフェース206、および撮像部207を備える。
【0023】
プロセッサ201は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ201は例えばCPUまたはGPUであり得るが、プロセッサ201の種類はこれらに限定されない。
【0024】
主記憶部202は、ユーザ端末20を機能させるためのプログラム、プロセッサ201から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部202は例えばROMおよびRAMのうちの少なくとも一つにより構成される。
【0025】
補助記憶部203は、一般に主記憶部202よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部203は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部203は、コンピュータをユーザ端末20として機能させるためのクライアントプログラムP2と各種のデータとを記憶する。
【0026】
通信部204は、通信ネットワークNを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部204は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0027】
入力インタフェース205は、ユーザの操作または動作に基づいてデータを受け付ける装置である。例えば、入力インタフェース205は、キーボード、操作ボタン、ポインティングデバイス、マイクロフォン、センサ、およびカメラのうちの少なくとも一つによって構成される。キーボードおよび操作ボタンはタッチパネル上に表示されてもよい。入力インタフェース205の種類が限定されないことに対応して、入力されるデータは限定されない。例えば、入力インタフェース205はキーボード、操作ボタン、またはポインティングデバイスによって入力または選択されたデータを受け付けてもよい。あるいは、入力インタフェース205は、マイクロフォンにより入力された音声データを受け付けてもよい。あるいは、入力インタフェース205はセンサまたはカメラを用いたモーションキャプチャ機能によって検知されたユーザの非言語行動(例えば、視線、ジェスチャ、表情など)を示すデータをモーションデータとして受け付けてもよい。
【0028】
出力インタフェース206は、ユーザ端末20で処理されたデータを出力する装置である。例えば、出力インタフェース206はモニタ、タッチパネル、HMDおよびスピーカのうちの少なくとも一つによって構成される。モニタ、タッチパネル、HMDなどの表示装置は、処理されたデータを画面上に表示する。スピーカは、処理された音声データで示される音声を出力する。
【0029】
撮像部207は、現実世界を映した画像を撮影する装置であり、具体的にはカメラである。撮像部207は動画像(映像)を撮影してもよいし静止画(写真)を撮影してもよい。動画像を撮影する場合には、撮像部207は映像信号を所与のフレームレートに基づいて処理することで、時系列に並ぶ一連のフレーム画像を動画像として取得する。撮像部207は入力インタフェース205としても機能し得る。
【0030】
ユーザ端末20の各機能要素は、プロセッサ201または主記憶部202の上にクライアントプログラムP2を読み込ませてそのプログラムを実行させることで実現される。クライアントプログラムP2は、ユーザ端末20の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ201はクライアントプログラムP2に従って通信部204、入力インタフェース205、出力インタフェース206、または撮像部207を動作させ、主記憶部202または補助記憶部203におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。この処理によりユーザ端末20の各機能要素が実現される。
【0031】
サーバプログラムP1およびクライアントプログラムP2の少なくとも一つは、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、これらのプログラムの少なくとも一つは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークNを介して提供されてもよい。これらのプログラムは別々に提供されてもよいし、一緒に提供されてもよい。
【0032】
図3は会議支援システム1に関連する機能構成の一例を示す図である。サーバ10は、機能要素として会議制御部11、記録部12、要求受信部13、コンテンツ生成部14および出力部15を備える。会議制御部11は、ユーザ端末20上のオンライン会議の表示を制御する機能要素である。記録部12は、オンライン会議の音声を含む会議データを記録する機能要素である。要求受信部13は、コンテンツ開始時点を含むコンテンツの生成要求をユーザ端末20から受信する機能要素である。コンテンツ生成部14は、コンテンツ開始時点および会議データに基づいてコンテンツデータを生成する機能要素である。コンテンツデータは、コンテンツ開始時点からリアルタイムの会議に追いつくまでの時間幅を有する。コンテンツデータは、例えばストリーミング形式の一つ以上のデータである。出力部15は、コンテンツデータをユーザ端末20に送信する機能要素である。
【0033】
ユーザ端末20は、機能要素として会議表示部21、要求送信部22およびコンテンツ再生部23を備える。会議表示部21は、サーバ10の会議制御部11と連携して、オンライン会議を表示する機能要素である。要求送信部22は、コンテンツの生成要求をサーバ10に送信する機能要素である。コンテンツ再生部23は、サーバ10から受信したコンテンツデータを再生する機能要素である。
【0034】
会議データベース30は、オンライン会議の電子データである会議データを記憶する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。本開示における会議データはオンライン会議の音声を含む動画像である。会議データは、音声の発言者であるユーザを特定するユーザ識別情報をさらに含んでもよい。
【0035】
[システムの動作]
図4は会議画面300の一例を示す図である。会議画面300は、進行中のオンライン会議をリアルタイムに表示する画面である。会議画面300は、オンライン会議に参加する各ユーザのユーザ端末20上に表示される。例えば、会議画面300は4人のユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザCおよびユーザD)の各ユーザ端末20上に表示される。会議画面300は、例えば表示領域301~304、名前表示欄301A~304A、時点入力欄305および追いかけ再生ボタン306を備える。
【0036】
表示領域301~304は、ユーザの動画像を表示する画面領域である。ユーザの動画像は、ユーザ端末20によってユーザを撮影した動画像である。表示領域301~304の数はユーザの数に対応している。例えば、4つの表示領域301~304は4人のユーザの動画像をそれぞれ表示する。ユーザの数が増減すると、当該表示領域も増減する。表示領域301~304は、動画像を構成する一つのフレーム画像を表示してもよいし、1枚の静止画を表示してもよい。表示領域301~304には、表示されたユーザが発言中であるときに強調表示等が施されてもよい。
【0037】
名前表示欄301A~304Aは、オンライン会議に参加しているユーザの名前を表示する画面領域である。ユーザの名前は、オンライン会議への参加時にユーザ入力を受け付けることで設定されてもよい。また、ユーザの名前は、ユーザ識別情報として会議データベース30に記録されてもよい。名前表示欄301A~304Aは、それぞれが表示領域301~304と一対一に対応している。例えば、ユーザAの動画像が表示領域301に表示されると共に、ユーザAの名前が名前表示欄301Aに表示される。
【0038】
時点入力欄305は、コンテンツ開始時点に関するユーザ入力を受け付けるための画面要素である。時点入力欄305は、例えば5分前等のコンテンツ開始時点の入力操作または選択操作を受け付ける。追いかけ再生ボタン306は、時点入力欄305に入力されたコンテンツ開始時点から追いかけ再生を行うための画面要素である。時点入力欄305および追いかけ再生ボタン306の態様はこれに限られず、例えばコンテンツ開始時点を固定値として追いかけ再生ボタン306が単独で表示されていてもよい。
【0039】
会議画面300の表示は、サーバ10の会議制御部11およびユーザ端末20の会議表示部21が連携することによって制御される。例えば、会議表示部21はユーザの動画像を撮影し、動画像およびユーザ識別情報をサーバ10に送信する。会議制御部11は、複数のユーザ端末20から受信した動画像およびユーザ識別情報を基に会議画面300を生成し、会議画面300を各ユーザのユーザ端末20に送信する。会議表示部21は、受信した会議画面300を処理して表示装置上に表示する。
【0040】
図5は再生画面400の一例を示す図である。再生画面400は、過去におけるオンライン会議の進行を表示する画面である。より詳細には、再生画面400は、コンテンツ開始時点からリアルタイムの進行に追いつくまでの間に記録された、過去のオンライン会議の進行を表示する画面である。再生画面400は、例えば会議画面300の追いかけ再生ボタン306の押下をトリガとして、ユーザ端末20上に表示される。ユーザは、例えば離席または通信ネットワークNの通信不良等の様々な理由によって、会議内容を聞き逃す場合または単に会議内容を聞き直したい場合があり得る。このような場合に、ユーザはコンテンツを追いかけ再生することによって会議内容を確認する。例えば、会議を一時的に離席したユーザDは、席に戻った後に、離席した時点からの追いかけ再生を行う。この場合、コンテンツの前半はユーザDが不在の場面を映しており、コンテンツの後半は席に戻ったユーザDがコンテンツを追いかけ再生している場面を映している。以下、再生画面400が、会議を一時的に離席したユーザDのユーザ端末20上に表示されていることを前提とする。
【0041】
図5の例(a)は、再生画面400の一例として、コンテンツの前半を構成する1フレームである再生画面400Aを示す。再生画面400Aは、過ぎた時間における会議の内容を把握するための画面である。再生画面400Aは、表示領域401~404、名前表示欄401A~404A、再生速度欄405、操作インタフェース406、再生時間欄407およびプログレスバー408を備える。
【0042】
表示領域401~404および名前表示欄401A~404Aは、それぞれが会議画面300の表示領域301~304および名前表示欄301A~304Aと対応している。表示領域401には二重枠による強調表示が施されており、表示領域404にはユーザDの姿が表示されていない。すなわち、再生画面400Aは、ユーザAが発言中であること、およびユーザDが離席中であることを示す。
【0043】
再生速度欄405は、コンテンツの再生速度を表示する画面要素である。コンテンツの再生速度は、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度である。元の再生速度とは、会議データの再生速度が変更されていないことをいう。コンテンツの再生速度は、例えば元の再生速度のn倍速(n>1.0)である。一例では、コンテンツの再生速度は2.0倍速である。再生速度欄405は、コンテンツの再生速度の変更に関するユーザ入力を受け付けてもよい。
【0044】
操作インタフェース406は、コンテンツの再生に関する種々の操作を行うためのユーザインタフェースである。操作インタフェース406は、例えば再生または一時停止の切替、頭出し等に関するユーザからの操作を受け付ける。
【0045】
再生時間欄407は、コンテンツの再生開始からの経過時間を表示する画面要素である。プログレスバー408は、コンテンツの時間幅における進行率を表示する画面要素である。すなわち、再生時間欄407およびプログレスバー408は、コンテンツの再生位置を示す。
【0046】
図5の例(b)は、再生画面400の一例として、コンテンツの後半を構成する1フレームである再生画面400Bを示す。再生画面400Bは、追いかけ再生中に進行を続ける会議の内容を把握するための画面である。再生画面400Bは、再生時間欄407およびプログレスバー408により示される再生位置が再生画面400Aよりも後である。すなわち、再生画面400Bは、再生画面400Aよりも時間が経過していることを示す。表示領域404にはユーザDの動画像が表示されている。これはユーザDが席に戻ってきた後であることを示す。再生画面400Bは、ユーザDがコンテンツを再生中のオンライン会議の様子を示す。すなわち、再生画面400Bは、ユーザA、ユーザBおよびユーザCによってオンライン会議が行われている一方で、コンテンツを再生中のユーザDが会議に参加していない様子を示す。
【0047】
図6を参照しながら会議支援システム1の動作を説明するとともに、本実施形態に係る会議支援方法について説明する。
図6は、会議支援システム1の動作を処理フローS1として示すシーケンス図である。以下では、4人のユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザCおよびユーザD)がオンライン会議の参加者であることを前提とする。サーバ10の会議制御部11およびユーザ端末20の会議表示部21は、連携して会議画面300(
図4参照)を4人のユーザの各ユーザ端末20上に表示させる。
【0048】
ステップS11では、サーバ10の記録部12がオンライン会議の音声を含む動画像を会議データとして会議データベース30に記録する。記録部12は、オンライン会議の進行に併せて、継続して会議データを記録する。
【0049】
会議データはユーザ識別情報をさらに含んでもよい。サーバ10は、同じ時間に撮影された動画像を各ユーザのユーザ端末20から受信する。したがって、記録部12は、ある時点の音声とユーザ識別情報との対応関係を特定できる。記録部12は、この対応関係と会議データとを時系列で関連付けて会議データベース30に記録する。
【0050】
ステップS12以降では、ユーザ端末20が追いかけ再生を行おうとするユーザ(
図5の例ではユーザD)の端末であるとして説明する。ステップS12では、ユーザ端末20の会議表示部21が、コンテンツ開始時点に関するユーザ入力を受け付ける。例えば、会議表示部21は、会議画面300の時点入力欄305を介してコンテンツ開始時点に関するユーザ入力を受け付ける。一例では、会議表示部21はコンテンツ開始時点を5分前とするユーザ入力を受け付ける。
【0051】
ステップS13では、ユーザ端末20の要求送信部22が、コンテンツ開始時点(オンライン会議を遡る時点)を含むコンテンツ生成要求をサーバ10に送信する。例えば、要求送信部22は、追いかけ再生ボタン306の押下をトリガとして、時点入力欄305に入力されたコンテンツ開始時点を取得する。要求送信部22はコンテンツ開始時点を含むコンテンツ生成要求を生成し、該コンテンツ生成要求をサーバ10に送信する。サーバ10の要求受信部13はコンテンツ生成要求を受信することによって、コンテンツ開始時点を取得する。
【0052】
ステップS14では、サーバ10のコンテンツ生成部14が、コンテンツ開始時点以降の時間幅における会議データを会議データベース30から読み出し、その会議データに対応するコンテンツデータを生成する。一例では、コンテンツ生成部14は5分前以降の会議データに対応するコンテンツデータを生成する。コンテンツデータの生成方法およびデータ構造は限定されない。例えば、コンテンツ生成部14は、音声の発言者とユーザ識別情報とを対応付けてコンテンツデータを生成してもよい。コンテンツ生成部14は、ユーザ端末20上におけるコンテンツの再生がリアルタイムのオンライン会議に追いつくまでの間、コンテンツデータの生成を継続する。したがって、時間幅の終点は、例えばコンテンツの再生速度またはコンテンツの再生時間の長さ等によって変動し得る。
【0053】
ステップS15では、サーバ10の出力部15が、コンテンツデータをユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20ではコンテンツ再生部23がそのコンテンツデータを受信する。
【0054】
ステップS16では、コンテンツ再生部23が、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツを再生する。コンテンツ再生部23は、サーバ10から受信したコンテンツデータを処理して、コンテンツを表示装置上に表示する。サーバ10側でコンテンツのレンダリングが実行されていない場合には、コンテンツ再生部23がコンテンツデータに基づくレンダリングを実行することでコンテンツを表示する。コンテンツデータがコンテンツそのものを示す場合には、コンテンツ再生部23はそのコンテンツをそのまま表示する。ユーザ端末20は、コンテンツの表示に合わせて音声をスピーカから出力する。このようにして、コンテンツ再生部23は、再生画面400(
図5の例(a)および例(b)参照)をユーザ端末20上に表示する。
【0055】
コンテンツの再生速度は、会議データの元の再生速度よりも速い速度であればよい。例えば、コンテンツの再生速度は2.0倍速であってもよい。コンテンツ再生部23は、オンライン会議の進行中に、コンテンツを高速に再生する。コンテンツの再生速度は、コンテンツ生成部14またはコンテンツ再生部23により決定され得る。コンテンツの再生がリアルタイムのオンライン会議に追いつくと、コンテンツ再生部23はコンテンツの再生を終了する。そして、会議表示部21は、会議画面300を再びユーザ端末20上に表示させる。このようにして、ユーザ端末20上では、再生画面400から会議画面300に表示が切り替わる。
【0056】
ステップS14に関連して、時間幅の終点が定まっていてもよい。例えば時間幅の終点は、コンテンツ開始時点が取得された取得時刻であってもよい。取得時刻は、サーバ10がコンテンツ生成要求を受信した時刻、または追いかけ再生ボタン306の押下に関するユーザ操作時刻等であってもよい。この場合、コンテンツ開始時点から時間幅の終点を示す時刻までのコンテンツデータが生成され、ユーザ端末20に送信される。そして、ステップS16では、コンテンツ再生部23がコンテンツを再生させると共に、会議表示部21がオンライン会議を表示させてもよい。換言すると、コンテンツの再生とリアルタイムのオンライン会議の表示とが並列に実行されてもよい。コンテンツの再生が時間幅の終点に至ると、コンテンツ再生部23はコンテンツの再生を終了する。一方、会議表示部21はオンライン会議の表示を継続する。
【0057】
図7は会議支援システム1Aに関連する機能構成の一例を示す図である。会議支援システム1Aは、サーバ10が機能要素として状況判定部16をさらに備える点、およびユーザ端末20が機能要素として共有部24をさらに備える点で会議支援システム1と異なる。状況判定部16は、ユーザのステータスおよびコンテンツの再生の進行状況を判定する機能要素である。ステータスとは会議におけるユーザの参加状態をいう。進行状況とはコンテンツの再生に関する進み具合をいう。共有部24は、サーバ10の状況判定部16と連携して、ユーザのステータスおよびコンテンツの再生の進行状況を共有する機能要素である。
【0058】
図8は会議画面300の別の例を示す図である。
図8の例(a)は、ステータスおよび進行状況を表示する会議画面300Aを示す。
図8の例(a)では、ユーザDがコンテンツを再生中であることを前提とする。会議画面300Aは、時間表示欄304Bおよびステータスメッセージ307を備える。時間表示欄304Bは、コンテンツの再生が終わるまでの時間を表示する画面要素である。時間表示欄304Bは、コンテンツを再生中のユーザの動画像が表示される表示領域内に表示されてもよい。例えば、時間表示欄304Bは、ユーザDの動画像が表示される表示領域304内に表示されてもよい。時間表示欄304Bは、例えば「残り:0分30秒」等のように残り時間を表示する。ステータスメッセージ307は、ユーザがコンテンツの再生中であることをステータスとして表示する画面要素である。ステータスメッセージ307は、例えば「ユーザDは追いかけ再生中です。」等のように、どのユーザがコンテンツの再生中であるかを示す情報を表示する。時間表示欄304Bおよびステータスメッセージ307の態様はこれに限られず、例えば時間表示欄304Bとステータスメッセージ307とが一体となって表示されてもよい。
【0059】
図8の例(b)は、ステータスおよび進行状況を表示する会議画面300Bを示す。
図8の例(b)では、ユーザDがコンテンツを再生中であることを前提とする。会議画面300Bは、インジケータ304Cおよびステータスメッセージ308を備える。インジケータ304Cは、コンテンツの再生の進行率を表示する画面要素である。インジケータ304Cは、コンテンツを再生中のユーザの動画像が表示される表示領域内に表示されてもよい。例えば、インジケータ304Cは、ユーザDの動画像が表示される表示領域304内に表示されてもよい。インジケータ304Cは、コンテンツの時間幅における進行率を表示する。例えば、インジケータ304Cはプログレスバーまたはパーセンテージ等によって進行率を表示する。ステータスメッセージ308は、コンテンツの再生の進行状況に沿って、音声の発言者をステータスと共に表示する画面要素である。ステータスメッセージ308は、ユーザ識別情報を表示する埋込部309を有する。ステータスメッセージ308は、例えば「ユーザDは、“発言者”の発言を再生中です。」等のような情報を表示する。ここで、“発言者”は埋込部309に対応する。埋込部309には、コンテンツの再生の進行状況に沿って、ユーザ識別情報が表示され得る。一例では、「ユーザDは、“ユーザA”の発言を再生中です。」等のように埋込部309にユーザAというユーザ識別情報が表示される。インジケータ304Cおよびステータスメッセージ308の態様はこれに限られず、例えばインジケータ304Cとステータスメッセージ308とが一体となって表示されてもよい。
【0060】
上述した時間表示欄304B、インジケータ304Cおよびステータスメッセージ307,308は、表示されなくてもよいし、それぞれが単独で表示されてもよいし、任意の組合せで表示されてもよい。
【0061】
図9を参照しながら会議支援システム1Aの動作を説明する。
図9は、会議支援システム1Aの動作を処理フローS2として示すシーケンス図である。以下では、4人のユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザCおよびユーザD)がオンライン会議の参加者であることを前提とする。サーバ10の会議制御部11およびユーザ端末20の会議表示部21は、連携して会議画面300(
図4参照)を4人のユーザの各ユーザ端末20上に表示させる。また、コンテンツを再生するユーザのユーザ端末20を第1ユーザ端末と記載し、該ユーザとは異なるユーザのユーザ端末20を第2ユーザ端末と記載する。
【0062】
ステップS21~S26は、それぞれが処理フローS1のステップS11~S16と同様であるため説明を省略する。
【0063】
ステップS27では、第1ユーザ端末の共有部24が、コンテンツの再生速度をサーバ10に通知する。例えば、共有部24はコンテンツの再生をトリガとして、再生速度欄405に表示されたコンテンツの再生速度を取得する。共有部24は、再生速度をサーバ10に通知する。状況判定部16は、第1ユーザ端末から再生速度の通知を受信することによって、該第1ユーザ端末のユーザがコンテンツの再生中であると判定してもよい。ステップS27の処理は、例えばコンテンツの再生速度の変更、またはコンテンツの頭出し等をトリガとしてさらに実行されてもよい。
【0064】
ステップS28では、サーバ10の状況判定部16が、コンテンツの再生速度および経過時間に基づいて進行状況を算出する。一例では、状況判定部16は、コンテンツの再生速度と経過時間とを掛け合わせることによって、コンテンツの再生時間の長さにおける再生位置を進行状況として算出する。経過時間は、例えば第1ユーザ端末から取得してもよいし、ステップS27の処理で再生速度の通知を受信した時刻を開始時刻として計測してもよい。状況判定部16は、進行状況としてコンテンツの再生が終わるまでの時間を算出してもよい。あるいは、状況判定部16は、進行状況としてコンテンツの再生の進行率を算出してもよい。
【0065】
ステップS29では、会議制御部11が、第2ユーザ端末に対して会議表示制御を行う。例えば、会議制御部11は、ステータスおよび進行状況を第2ユーザ端末に送信する。第2ユーザ端末では、会議表示部21が進行状況およびステータスを取得する。
【0066】
ステップS30では、会議表示部21が進行状況およびステータスを表示する。例えば、ユーザA,BおよびCのユーザ端末20の会議表示部21は、会議画面300A(
図8の例(a)参照)を表示装置上に表示する。会議画面300Aの時間表示欄304Bおよびステータスメッセージ307の表示によって、ユーザA,BおよびCに、ユーザDのステータスとコンテンツの再生の進行状況とが共有される。
【0067】
ステップS27に関連して、サーバ10側でコンテンツの再生速度が決定されている場合、共有部24は再生速度を通知しなくてもよい。
【0068】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係る会議支援システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、オンライン会議の音声を含む会議データを記録し、オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得し、時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツを生成し、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツをユーザの端末に再生させる。
【0069】
本開示の一側面に係る会議支援方法は、少なくとも一つのプロセッサを備える会議支援システムによって実行される。会議支援方法は、オンライン会議の音声を含む会議データを記録するステップと、オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得するステップと、時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツを生成するステップと、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツをユーザの端末に再生させるステップとを含む。
【0070】
本開示の一側面に係る会議支援プログラムは、オンライン会議の音声を含む会議データを記録するステップと、オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得するステップと、時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツを生成するステップと、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツをユーザの端末に再生させるステップとをコンピュータに実行させる。
【0071】
このような側面においては、オンライン会議を遡った時点以降の会議データに対応するコンテンツが生成される。そして、当該コンテンツが進行中のオンライン会議に追いつくようにユーザの端末上で高速に再生される。これにより、現在時点より前における会議の内容を把握するための環境を提供することができる。
【0072】
上記の特許文献1には、会議の進行中に会議情報を記録しておき、会議の途中参加者を検知した場合に、それまでの会議情報の要約を作成し、作成した要約を途中参加者へ個別に提供するネットワーク会議システムが記載されている。しかし、特許文献1の技術は、会議参加中に聞き逃した会議内容を追いかけ再生する技術ではない。また、特許文献1の技術は、要約の作成によって会議内容の欠落が発生し得る。
【0073】
上記の特許文献2には、電子会議参加者の発言を聞き逃した場合に、その発言の映像または音声を巻き戻して再生するテレビ会議システムが記載されている。しかし、特許文献2に記載の技術は、巻戻し時に音声または映像を高速に再生する技術ではない。したがって、参加者は会議内容の前後の繋がりを迅速に把握することができない。
【0074】
これに対して、本開示の上記側面においては、オンライン会議を遡った時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツが高速に再生される。したがって、会議参加中に聞き逃した会議内容を欠落することなく追いかけ再生することができる。また、コンテンツが高速に再生されることにより、ユーザは会議内容の前後の繋がりを迅速に把握することができる。
【0075】
他の側面に係る会議支援システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、ユーザとは別のユーザの端末に、ユーザがコンテンツの再生中であることを示すステータスを表示させてもよい。この場合、オンライン会議に参加しているユーザ間で、コンテンツを再生しているユーザのステータスが共有される。別のユーザがステータスを把握できるため、オンライン会議を円滑に進行できる。
【0076】
他の側面に係る会議支援システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、コンテンツの再生速度および経過時間に基づいて進行状況を算出し、別のユーザの端末に進行状況を表示させてもよい。この場合、オンライン会議に参加しているユーザ間で、コンテンツを再生しているユーザの進行状況が共有される。別のユーザが進行状況を把握できるため、オンライン会議を円滑に進行できる。
【0077】
他の側面に係る会議支援システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、音声の発言者であるユーザを特定するユーザ識別情報を取得し、音声とユーザ識別情報とを対応付けてコンテンツを生成し、別のユーザの端末に、進行状況に沿ってユーザ識別情報をステータスと共に表示させてもよい。この場合、オンライン会議に参加しているユーザ間で、コンテンツを再生しているユーザが誰の発言を聞いているかが共有される。これにより、別のユーザが進行状況の詳細を把握することができる。
【0078】
他の側面に係る会議支援システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、進行状況として、コンテンツの再生が終わるまでの時間を算出してもよい。この場合、コンテンツの再生が終わるまでの時間が別のユーザに共有される。これにより、別のユーザが進行状況を正確に把握することができる。
【0079】
他の側面に係る会議支援システムでは、少なくとも一つのプロセッサが、進行状況として、コンテンツの再生の進行率を算出してもよい。この場合、コンテンツの再生の進行率が別のユーザに共有される。これにより、別のユーザが進行状況を直感的に把握することができる。
【0080】
他の側面に係る会議支援システムでは、時間幅の終点が、時点が取得された時刻であってもよい。少なくとも一つのプロセッサは、ユーザの端末において、コンテンツを再生させると共にオンライン会議を表示させてもよい。この場合、遡る時点から該時点が取得された時刻までのコンテンツが高速に再生されると共に、該時点が取得された時刻以降のオンライン会議がリアルタイムで表示される。これにより、コンテンツの再生に要する時間を抑制することができる。
【0081】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0082】
コンテンツ生成部14は、会議データに対し音声認識を実行することによって、テキストデータ形式のコンテンツデータを生成してもよい。例えば、コンテンツ生成部14は少なくともユーザの発話をテキスト化したコンテンツデータを生成してもよい。コンテンツ生成部14は、テキストデータ形式のみによって構成されるコンテンツデータを生成してもよいし、テキストデータ形式と音声または動画像との組合せによって構成されるコンテンツデータを生成してもよい。コンテンツ生成部14は、ユーザ識別情報とテキストデータとを対応付けて、音声ごとの発言者を特定するコンテンツデータを生成してもよい。コンテンツ再生部23は、テキストデータ形式のコンテンツデータを表示装置上に表示してもよい。この場合、会議内容を迅速に把握する環境を提供することができる。
【0083】
コンテンツ再生部23は、コンテンツの一部を飛ばすスキップ再生を実行してもよい。スキップ再生は、例えばプログレスバー408の再生位置の変更、または操作インタフェース406の頭出し操作等をトリガとして実行されてもよい。スキップ再生により、コンテンツの再生に要する時間を抑制することができる。
【0084】
コンテンツには一つまたは複数のラベル付けが行われてもよい。例えば、コンテンツ生成部14は、会議データの音量または発言者の数を時系列で検出し、該検出した値が所定の閾値以上であるかどうかを判定してもよい。コンテンツ生成部14は、閾値以上である時間について「会議が活発である」等のラベル付けを行ったコンテンツデータを生成してもよい。ラベル付けの別の例としては、「会議が静かである」、「特定のユーザが発言中」、「発言者が切り替わる」等が挙げられる。コンテンツ再生部23は、ラベルを頭出し位置としてスキップ再生を実行してもよい。頭出しは、ユーザ操作をトリガとして行われてもよいし、ユーザ操作を受け付けることなく自動的に行われてもよい。一例では、コンテンツ再生部23は、ラベルが示す時間幅のコンテンツのみを再生するように、自動的な頭出しによるスキップ再生を実行してもよい。会議が活発であった箇所等の再生を可能とすることにより、ユーザの利便性が向上する。
【0085】
上記実施形態ではオンライン会議が動画像を共有する会議形式として説明したが、音声のみによる会議形式であってもよい。また、上記実施形態では、状況判定部16が進行状況を算出すると説明したが、第1ユーザ端末から第2ユーザ端末に進行状況を共有してもよい。その他の例として、第2ユーザ端末から第1ユーザ端末に対し、コンテンツの再生を中断する中断要求を送信してもよい。中断要求を受信した第1ユーザ端末の会議表示部21は、会議画面300を表示してもよい。
【0086】
上記実施形態では会議支援システム1,1Aがサーバ10を用いて構成されたが、会議支援システムは、サーバ10を用いないユーザ端末20間のオンライン会議に適用されてもよい。この場合には、サーバ10の各機能要素は、いずれかのユーザ端末に実装されてもよく、複数のユーザ端末に分かれて実装されてもよい。これに関連して、会議支援プログラムはクライアントプログラムとして実現されてもよい。会議支援システムはサーバを用いて構成されてもよいし、サーバを用いることなく構成されてもよい。すなわち、会議支援システムは、クライアント-サーバ方式の態様であってもよく、クライアント-クライアント方式であるP2P(Peer to Peer)またはE2E(End to End)暗号化の態様であってもよい。クライアント-クライアント方式では、オンライン会議の秘匿性が向上する。一例では、会議支援システムは、ユーザ端末20間のオンライン会議をE2E暗号化することによって、オンライン会議の音声等が第三者に漏洩することを防止できる。
【0087】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念である。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念である。
【0088】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0089】
本明細書で述べた各機能部の任意の一部または全部がプログラムによって実現されてもよい。本明細書で言及したプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録して頒布されてもよいし、インターネットなどの通信回線(無線通信も含む)を介して頒布されてもよいし、任意の端末にインストールされた状態で頒布されてもよい。
【0090】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本開示についての追加の効果または種々の変形例を想到できるかもしれないが、本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨とを逸脱しない範囲で、種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0091】
例えば、本明細書において1台の装置(あるいは部材。以下同じ)として説明される構成(これは、図面において1台の装置として描かれている構成を含む)が、複数の装置によって実現されもよい。あるいは、本明細書において複数の装置として説明される構成(これは、図面において複数の装置として描かれている構成を含む)が1台の装置によって実現されてもよい。あるいは、或る装置(例えばサーバ)に含まれる手段または機能の一部または全部が、他の装置(例えばユーザ端末)に含まれてもよい。
【0092】
本明細書に記載された事項のすべてが必須の要件というわけではない。例えば、本明細書に記載されているが特許請求の範囲に記載されていない事項は、任意の付加的事項ということができる。
【0093】
本出願人は本明細書の「先行技術文献」欄に記載された公知技術を知っているにすぎない。本開示は必ずしもその公知技術における課題を解決することを目的とするものではないことにも留意されたい。本開示において解決しようとする課題は、本明細書の全体を考慮して認定されるべきものである。例えば、本明細書において、特定の構成によって所定の効果を奏する旨の記載がある場合、当該所定の効果に対応する課題が解決されるということもできる。しかし、その効果に関する記載は必ずしも、そのような特定の構成を必須の要件とする趣旨ではない。
【符号の説明】
【0094】
1,1A…会議支援システム、10…サーバ、11…会議制御部、12…記録部、13…要求受信部、14…コンテンツ生成部、15…出力部、16…状況判定部、20…ユーザ端末、21…会議表示部、22…要求送信部、23…コンテンツ再生部、24…共有部、30…会議データベース、300,300A,300B…会議画面、304B…時間表示欄、304C…インジケータ、307,308…ステータスメッセージ、309…埋込部、400,400A,400B…再生画面、P1…サーバプログラム、P2…クライアントプログラム。
【要約】
【課題】現在時点より前における会議の内容を把握するための環境を提供すること。
【解決手段】本開示の一側面に係る会議支援システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、オンライン会議の音声を含む会議データを記録し、オンライン会議を遡る時点をユーザの端末から取得し、時点以降の時間幅における会議データに対応するコンテンツを生成し、オンライン会議の進行中に、会議データの元の再生速度よりも速い再生速度で、コンテンツをユーザの端末に再生させる。
【選択図】
図5