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  • 特許-フルボ酸溶液の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】フルボ酸溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/40 20060101AFI20220228BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20220228BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20220228BHJP
【FI】
C12P7/40
B01J3/00 A ZAB
B09B3/00 304Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017210353
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019081150
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】514252430
【氏名又は名称】G-8 INTERNATIONAL TRADING 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】松井 三郎
【審査官】中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】特許第6026631(JP,B2)
【文献】特開2004-269484(JP,A)
【文献】特開2006-151706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279266(US,A1)
【文献】国際公開第2006/126273(WO,A1)
【文献】特許第6285605(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P1/00-41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に閉鎖可能な処理空間を有する密閉容器と、該密閉容器内に高温高圧の蒸気を噴出する蒸気噴出手段と、開閉機構を有し、前記密閉容器内に原料を供給するための供給部と、開閉機構を有し、前記蒸気による原料の処理により生成された処理液を外部に排出するための排出部とを備えた処理装置を準備する装置準備工程、
前記処理装置の密閉容器の処理空間内に、前記供給部から、主原料としてイネ科の植物からなる植物原料を投入する原料投入工程、
温度が100~200℃で、圧力が5~25atmの蒸気を、前記原料が投入されている前記処理空間内に導入しつつ、前記原料を撹拌しながら、原料を亜臨界水反応処理して、フルボ酸とフミン酸とを含有する混合溶液を得る処理工程、および、
取得した混合溶液から、フルボ酸を分離して、フルボ酸溶液を取得するフルボ酸溶液取得工程
を備えていることを特徴とするフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項2】
前記植物原料が、伐採または刈り取り材、または廃材である請求項1のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項3】
前記伐採または刈り取り材が、イネ・コムギ・オオムギ・カラスムギ・ライムギ・キビ・アワ・ヒエ・トウモロコシ・シコクビエ・モロコシ・タケ・マコモ・サトウキビ・ハトムギ・ヨシ・ススキ・ササ・ダンチク・シロガネヨシ・シバのいずれか一種以上によるものである請求項2のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項4】
前記伐採または刈り取り材が、イネわらまたは麦わらである請求項3のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項5】
前記伐採または刈り取り材が、竹材である請求項3のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項6】
前記竹材がチップ状となっている請求項5のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項7】
原料が、使用済みの廃材である請求項1のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項8】
廃材が古くなった畳の床である請求項7のフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項9】
前記処理工程が、3~30分間行われる請求項1~8のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項10】
容積割合で、原料を前記処理空間の90%以下導入する請求項1~9のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項11】
容積割合で、原料を前記処理空間の50~80%導入する請求項1~9のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項12】
前記処理工程における撹拌が、前記処理空間内に配置された回転する撹拌部材により行われる請求項1~11のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【請求項13】
前記原料投入工程において、添加物として、アルカリ性溶液を添加する請求項1~12のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルボ酸溶液の製造方法、およびこの製造方法によって製造されたフルボ酸溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
腐植物質とは、生物の死後、生物体有機物が微生物的・化学的作用を受けて崩壊した「化学構造が特定されない有機物(非生体有機物)」の総称と言われている。この腐植物質についても、機能性を示すものと、機能性を示さないものとがあることが経験的に知られており、これは、その自然界の有機物である生物体有機物が、土へ還ろうとするときの中間生成物が含まれるか否かの影響が大きいものと考えられる。この中間生成物を含むとき、すなわち機能性を示す腐植物質については、腐植前駆物質と呼ばれることがある。(非特許文献1)
【0003】
この腐植物質(または腐植前駆物質)に相当するものは、自然界に存在していたものであり、古くから腐植物質の認識の有無は不明だとしても、作物の生育や、病気・けがへの薬効等の効果を様々な形で利用されてきたものである。一方、近年、発達した化学物質等を積極的に利用しようとする近代的な農業や原料処理方法が広く用いられている。しかしながら、このような近代的な農業や原料処理とは別に、古くから活かされてきたこの腐植物質を用いることが改めて見直され始めており、人工的に製造されたフルボ酸を選択的に高濃度で含む溶液等も一部販売されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、フェノール又は/およびフェノール露出基のある化合物を含む代謝産物を産出するように順養された土壌性通性嫌気性細菌等よりなる細菌群を利用する廃水の処理方法等に関する技術である。この「フェノール又は/およびフェノール露出基のある化合物を含む代謝産物」は、ケイ酸分等と反応することで腐植化の重縮合反応が惹起されるものであり、腐植物を利用する優れた廃水処理方法を開示しようとするものである。
【0005】
特許文献1や非特許文献1にみられるように、腐植前駆物質や腐植物質(腐植物)を利用する技術が検討されている。ここで腐植物には、その成分の腐植化度合(重縮合反応化度合)として、ヒュミンやフルボ酸、フミン酸等が含まれていることが知られている。そして、一般的な腐植物質において、フルボ酸とフミン酸との比率は2:8程度の重量比で含まれている。
【0006】
特許文献1に示されるように、有機性物質を含む廃水の処理工程において、この腐植物質に相当するものを使用するものはあるが、腐植物質におけるフルボ酸、フミン酸等も単純物質ではなく、いずれも複数の有機化合物の群として捉えられていることや、それぞれの分離が困難なことからも、具体的にどの物質がどのような効果を奏するかについては、十分には検討されてこなかった。しかしながら、市販されているフルボ酸を含む溶液は(微)生物活性液としての有効性等も期待されており、さらに農業用などのように大量にできるだけ安価な商品の提供が求められる用途などへの利用を図るためにはフルボ酸を選択的に高濃度で含む製品が求められている。
【0007】
そこで、特開2017-112947号公報(特許文献2)では、腐植物質のうちで(微)生物活性液としての利用が期待されるフルボ酸に関して、一般的な腐植物質の比率と比べて、フミン酸に対してフルボ酸を高比率で含有するフルボ酸高比率含有液の製造方法を提供することを目的として、下記の製造方法が提案された。
【0008】
上記特許文献2で提案されたフルボ酸含有液の製造方法は、有機性物質とフルボ酸馴養汚泥とを混合した有機性物質混合液を溶存酸素濃度を0.1mg-O/L以下として4時間以上培養することで、前記有機性物質混合液の有機物質を嫌気的培養により低減させ嫌気的培養液とする嫌気的培養工程と、前記嫌気的培養液の溶存酸素濃度を0.2mg-O/L以上として6時間以上培養することで、前記嫌気的培養液中にフルボ酸を増加させフルボ酸含有培養液を得る好気的培養工程と、前記好気的培養工程で培養されている培養完了前の培養液を前記嫌気的培養工程へ返送する好気的培養液返送工程と、前記好気的培養工程から得られるフルボ酸含有培養液から、フルボ酸含有液を得ることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特公平5-66199号公報
【0010】
【文献】特開2017-112947号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】内水護「自然と輪廻 土・自然・人間・社会 ベーシック文明論」18-28頁,漫画社,1986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の公開公報に記載されたもの等とは全く異なるフルボ酸溶液の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、下記(1)~(13)の構成の本発明のフルボ酸溶液の製造方法等により達成される。
(1)
内部に閉鎖可能な処理空間を有する密閉容器と、該密閉容器内に高温高圧の蒸気を噴出する蒸気噴出手段と、開閉機構を有し、前記密閉容器内に原料を供給するための供給部と、開閉機構を有し、前記蒸気による原料の処理により生成された処理液を外部に排出するための排出部とを備えた処理装置を準備する装置準備工程、
前記処理装置の密閉容器の処理空間内に、前記供給部から、主原料としてイネ科の植物からなる植物原料を投入する原料投入工程、
温度が100~200℃で、圧力が5~25atmの蒸気を、前記原料が投入されている前記処理空間内に導入しつつ、前記原料を撹拌しながら、原料を亜臨界水反応処理して、フルボ酸とフミン酸とを含有する混合溶液を得る処理工程、および、
取得した混合溶液から、フルボ酸を分離して、フルボ酸溶液を取得するフルボ酸溶液取得工程
を備えていることを特徴とするフルボ酸溶液の製造方法。
(2)
前記植物原料が、伐採または刈り取り材、または廃材である前記(1)のフルボ酸溶液の製造方法。
(3)
前記伐採または刈り取り材が、イネ・コムギ・オオムギ・カラスムギ・ライムギ・キビ・アワ・ヒエ・トウモロコシ・シコクビエ・モロコシ・タケ・マコモ・サトウキビ・ハトムギ・ヨシ・ススキ・ササ・ダンチク・シロガネヨシ・シバのいずれか一種以上によるものである前記(2)のフルボ酸溶液の製造方法。
(4)
前記伐採または刈り取り材が、イネわらまたは麦わらである前記(3)のフルボ酸溶液の製造方法。
(5)
前記伐採または刈り取り材が、竹材である前記(3)のフルボ酸溶液の製造方法。
(6)
前記竹材がチップ状となっている前記(5)のフルボ酸溶液の製造方法。
(7)
原料が、使用済みの廃材である前記(1)のフルボ酸溶液の製造方法。
(8)
廃材が古くなった畳の床である前記(7)のフルボ酸溶液の製造方法。
(9)
前記処理工程が、3~30分間行われる前記(1)~(8)のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
(10)
容積割合で、原料を前記処理空間の90%以下導入する前記(1)~(9)のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
(11)
容積割合で、原料を前記処理空間の50~80%導入する前記(1)~(9)のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
(12)
前記処理工程における撹拌が、前記処理空間内に配置された回転する撹拌部材により行われる前記(1)~(11)のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
(13)
前記原料投入工程において、添加物として、アルカリ性溶液を添加する前記(1)~(12)のいずれかのフルボ酸溶液の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
上記したように、本発明は、イネ科の植物を原料とする全く新しいフルボ酸溶液の製造方法を提供する。
本発明のフルボ酸溶液の製造方法によれば、純度の高いフルボ酸溶液を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態によるフルボ酸溶液の製造方法を実施するための製造装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフルボ酸溶液の製造方法の実施の形態を説明する。
先ず、本発明の実施の形態によるフルボ酸溶液の製造方法を実施するための製造装置(処理装置)10の一例について説明する。
図1は、当該製造装置の断面図である。
【0017】
前記製造装置10は、内部にイネ科の植物(脱穀後のイネわら、タケの伐採材等)やそれを原料とする廃材(畳床の古くなったもの等)である原料を収容する閉鎖空間S1を有する密閉容器12と、密閉容器12内に、亜臨界水である高温高圧の蒸気を噴出する蒸気噴出手段14と、密閉容器12の底側に設けられ開閉機構26を有する排出口16と、排出口16からの直接排出操作のみで処理された原料と液体とを分離して回収する分離回収手段18と、を備えている。密閉容器12の形状は、例えば、矩形箱形、立体多角筒形、円筒形、樽型、ドラム型等その他任意形状でよいが、下面側に設けられている排出口16から重力を利用して排出されるような形状が好ましい。密閉容器の下面が排出口へ向けて下り傾斜に設けられていると好適である。
【0018】
分離回収手段18は、密閉容器12の閉鎖空間S1とは異なる他の閉鎖空間S2を有し、排出口16を介して該密閉容器12内部に連通する液体の回収部50と、密閉容器12内の液体のみを排出口16を介して自然流下により回収部50へ回収させる自然流下回収機構52と、を有することとしてもよい。排出口16付近で処理された固形分としての原料は密閉容器12内にそのまま残り、液体のみが重力を利用して回収部50へ自然流下することにより、原料と液体とを分離回収できる。回収部50の構成は、例えば、金属製タンクや立体多角形状の箱体、管状体等、液体を回収する閉鎖空間S2を有するものであれば任意のものでもよい。収容部を複数個形成してもよい。
【0019】
自然流下回収機構52は、液体の回収操作前に、密閉容器12の閉鎖空間S1と回収部50の閉鎖空間S1とを同圧にさせる同圧形成手段62を含むこととしてもよい。密閉容器12と回収部50とを常時同圧にさせる構成とすると、処理後に液体の回収作業を直ちに行え、作業時間の短縮が図れる。
なお、上の例では、分離手段を処理装置に組み込んだ例について説明したが、処理装置自体には、分離手段を設けること無く、別体で設けてもよい。
【0020】
また、前記密閉容器12の閉鎖空間S1と回収部50の閉鎖空間S2を同圧にするための同圧形成手段62を設けてもよい。この同圧形成手段62は、排出口16を介した液体の回収経路と異なる別の経路で密閉容器12の閉鎖空間S1と回収部50の閉鎖空間S2とを連通させる同圧連通管64を有することとしてもよい。この同圧連通管64は、前記閉鎖空間S1と閉鎖空間S2と常時連通させて、密閉容器12内と回収部50内とを常時同圧状態にしておいてもよい。なお、同圧連通管64は、少なくとも液体の回収操作前に密閉容器12と回収部50とを連通させて同圧にすればよく、該同圧連通管を連通・遮断するための開閉機構が設けられていても良い。
【0021】
また、別の経路を形成する同圧連通管64と密閉容器50との連通は、密閉容器12の上端側に設定された連通接続部68を介して行なわれることとしてもよい。
【0022】
また、自然流下回収機構52は、密閉容器12の排出口16と回収部50とを連通接続する液体回収流路54を含み、該液体回収流路54は排出口16との連通側から回収部50側に向けて、水平又は下り傾斜状に設けられたこととしてもよい。
【0023】
また、処理された原料の排出口16からの排出経路R1途中に開閉機構26が設けられ、開閉機構26よりも排出上流側に液体回収流路54の液体導入口58が連通接続されていることとしてもよい。
【0024】
また、液体回収流路54には、密閉容器12内での原料の処理中には流路を遮断するとともに、処理後に液体のみを回収する際には流路を連通させるように連通状態を選択的に切り替える開閉機構60が設けられていてもよい。
【0025】
また、回収部50の閉鎖空間S2の底面が密閉容器12の排出口16の位置より低く設けられたこととしてもよい。
【0026】
また、回収部50は、その閉鎖空間S2内に回収した液体の液面WLが常に排出口16より低くなるように設けられたこととしてもよい。
【0027】
密閉容器12内には、原料を撹拌する撹拌手段30を有することとしてもよい。
【0028】
また、密閉容器12は、左右中央部の底側に排出口16が設けられつつ、径が左右中央部から左右両端側に向けて次第に縮径された横倒し樽型形状に形成され、撹拌手段30は、密閉容器12内に横長に設けられて回転自在に軸支された回転軸49と、回転軸49に取り付けられ同回転軸49の周方向に広がる部位を有する撹拌羽根48と、を有し、撹拌羽根48の回転軸49から羽根先端までの長さは、密閉容器12の横倒し樽型形状に対応して、回転軸49の長手方向の中央位置で長く、両端側に行くにしたがって次第に短くなるように形成されたこととしてもよい。
【0029】
また、蒸気噴出手段14は、回転軸49を中空管とし、該中空管の周面に複数個の蒸気噴出孔44を形成して構成された回転軸兼蒸気噴出管28を含むこととしてもよい。
【0030】
本例では、密閉容器12は、支持脚13で地面からある程度の高さに配置されるように支持されている。密閉容器12は、その径が左右方向中央部から左右両端側の端壁12a側に向けて次第に縮径された横倒し樽型形状に形成されている。密閉容器12は、例えば、耐熱耐圧性を有するように金属板を加工して形成され、原料を約2m収容できる程度の大きさで設けられている。密閉容器12には、中央部の上方に投入部20が、中央部の底側に排出部22がそれぞれ設けられており、それぞれ開閉機構24,26により開閉されるように設けられている。密閉容器12の閉鎖空間S1内には、蒸気噴出手段14を構成している蒸気噴出管28と、原料を撹拌する撹拌手段30と、が配置されている。なお、密閉容器12には、内部圧力が設定値よりも高くなると内部蒸気を開放させる、例えば設定圧を調整可能な安全弁32が設けられている。また、安全弁32に接続された排気用管の途中には、消音・消臭装置34が設けられており、安全弁32を介して排気される蒸気は消音消臭されて、外気側に排出される。
【0031】
排出口16は、図に示すように、密閉容器12の左右方向中央部の底面側に開口されており、原料の排出方向を下方にして設けられている。排出口16の径は、例えば、300mm程度に設けられている。排出口16には、下方に突設された排出筒36が接続されて処理された原料の排出経路R1を形成しているとともに、該排出経路R1の途中に設けられて排出口16を開閉する開閉機構26が設けられている。すなわち、排出部22は、排出口16と、排出筒36と、開閉機構26と、を含む構成となっている。密閉容器12が横倒し樽型形状に形成されているから、重力により内部の原料は排出口16が設けられている中央部に向けて集まりやすく、開閉機構26を開くだけで簡便に原料を排出口16から排出させることができる。
【0032】
投入部20には、密閉容器12に上側に投入口42が開口されており、投入口42には上方へ突設された投入筒43が取り付けられ、投入筒43内を開閉するように例えばボールバルブ等の開閉機構24が設けられている。開閉機構24を介して、投入口42を開いて原料を密閉容器内に投入でき、処理時には閉鎖して密閉容器12内の閉鎖空間S1の閉鎖状態を維持する。
【0033】
蒸気噴出手段14は、密閉容器12内に高温高圧の蒸気を噴出するとともに、該密閉容器12内を高温高圧状態とし、原料を蒸気を介して処理させる。図1に示すように、蒸気噴出手段14は、密閉容器12内に配置され周面側に多数の蒸気噴出孔44が形成された中空管からなる蒸気噴出管28と、ボイラー等の蒸気発生装置46と、蒸気発生装置46から蒸気噴出管28内に蒸気を供給する蒸気送管47と、を含む。蒸気噴出手段14から密閉容器12内に噴出される蒸気は、原料を適正に処理するため、亜臨界水であるような高温高圧に設定される。例えば、蒸気噴出管28から噴出される蒸気は、温度が100~200℃、圧力が5~25atm程度に設定されている。そして、密閉容器12内を、温度100~200℃、圧力5~25atm程度にするようになっている。蒸気噴出管28は、密閉容器12の上下方向略中央位置で横方向に長く配置され、密閉容器の両端壁12aに設けられた軸受45を介して回転自在に軸支されている。すなわち、蒸気噴出管28は、横軸周りに回転しながら放射状に蒸気を噴出しつつ蒸気を原料に直接に当てるようになっている。なお、蒸気噴出管28は、モータ等の回転駆動装置51からチェーン等を介して回転駆動力を得て回転するようになっている。さらに、蒸気噴出管28には、撹拌手段を構成する撹拌羽根48が取り付けられており、蒸気噴出管28が撹拌手段の回転軸49を兼用している。すなわち、本実施形態では、蒸気噴出手段14は、撹拌手段の回転軸49を中空管とし、該中空管の周面に複数個の蒸気噴出孔を形成して構成された回転軸兼蒸気噴出管28を含む。なお、蒸気噴出手段は、この形態の構成に限らず、例えば、密閉容器内に差し込んだ管の先端から蒸気を噴出する構成、複数の蒸気噴出管を配置させた構成等、その他任意の構成でもよい。
【0034】
撹拌手段30は、密閉容器内で処理される原料を撹拌する手段であり、原料をむらなく、早期に処理できる。撹拌手段30は、上記の蒸気噴出管28からなる回転軸49と、該回転軸49に取り付けられ同回転軸の周方向に広がる部位を有する撹拌羽根48と、を含む。本実施形態では、撹拌羽根48は、回転軸49の軸方向略中央位置で互いに逆巻きに設けられた、右巻き螺旋羽根48aと、左巻き螺旋羽根48bと、で形成されている。撹拌羽根48は、回転軸から羽根先端までの長さが左右中央部から両端側に向けて次第に縮径されるように設けられている。これにより密閉容器12の横倒し樽型形状に対応して原料を確実に撹拌できる。さらに、羽根先端と密閉容器12の内壁との間にある程度の隙間Hを形成するように設けられている。螺旋羽根48a、48bは、原料を中央部から両端壁側に向けて搬送しつつ、固形状の原料を破砕しながら原料を撹拌する。撹拌羽根48により両端壁12a側に搬送された原料は、該端壁12a側で後から搬送されてくる原料によって押送され、密閉容器12の内壁に沿いつつ隙間Hを介してから中央に戻るように搬送される。なお、撹拌手段30は、上記の構成のものに限らず、その他任意の構成でもよい。
【0035】
分離回収手段18は、排出口からの直接操作のみで、蒸気処理後の密閉容器12内の処理された原料と液体とを分離して回収する分離回収手段である。分離回収手段18は、図1に示すように、排出口16を介して密閉容器12内部に連通する液体の回収部50と、排出口16を介して液体を自然流下により回収部50に回収させる自然流下回収機構52と、を有する。
【0036】
回収部50は、密閉容器12の閉鎖空間S1とは異なる他の閉鎖空間S2を内部に有した第2の閉鎖容器である。回収部50は、例えば、耐熱耐圧性を有する金属製の円筒形状の密閉タンクからなる。回収部50は、例えば金属製管部材等から形成される液体回収流路54を介して密閉容器12の排出口16と連通接続されている。回収部50は、その閉鎖空間S2の底面が密閉容器12の排出口16の位置より低く設けられているとともに、閉鎖空間S2内に回収した液体の液面WLが常に排出口16より低くなるように設けられており、排出口側の液体が回収部側へスムーズに自然流下しやすいようになっている。なお、回収部50には、回収した液体の取出ドレン56が設けられており、開閉弁により開閉するように設けられている。
【0037】
自然流下回収機構52は、密閉容器12内に溜まる液体の重力による自然流下により、液体のみを排出口から回収部50へ流下させる自然流下回収手段である。自然流下回収機構52は、液体回収流路54を含む構成であり、液体回収流路54はその液体導入口58を排出口16に連通接続させて、処理された原料の排出経路R1から分岐した液体の回収経路R2を形成している。本実施形態では、液体回収流路54は、例えば、その内径が6mm程度の金属製管で設けられている。液体回収流路54には、流路の連通状態を選択的に切り替える開閉機構60が設けられている。開閉機構60は、密閉容器内での原料の処理中には流路を遮断するとともに、処理後に液体のみを分離回収する際には流路を連通させるように切り替えられる。これにより、原料と同時に原料中に含まれる水分や蒸気が液化して原料中の細菌や悪臭成分等を含んで状態の液体は、高温高圧の蒸気で処理させることができる。そして、処理後に分離回収される液体は、殺菌や、悪臭・有害成分の分解等された状態で回収することができ、分離回収した液体を二次処理する必要がなく、労力がかからず、時間短縮を図ることができる。
【0038】
液体回収流路54は、液体導入口58が開閉機構26よりも排出上流側の位置に連通接続されている。よって、排出口16の開閉機構26を閉じた状態で、液体回収流路54の開閉機構60を開いて流路を連通状態にすることにより、排出口から液体を分離して回収させる。液体回収流路54は排出筒36と直交方向に接続されており、液体の回収経路R2が原料の排出経路R1に対して直交方向に設けられている。すなわち、開閉機構26の閉鎖状態では、密閉容器内の原料の堆積圧がかかる方向に対して交差方向に液体が流れるようになっている。これにより、簡単な構造で、液体導入口58に原料が入りにくい構造となり、液体のみを液体回収路54に自然流下させて、液体の分離回収を良好に行なうことができる。なお、密閉容器12内の液体が液体導入口56へ流れる勢いが強すぎると、液体の流れの力によって原料がともに流れされるおそれがあるので、好適には、処理された原料を流し運ばない程度の緩やかな流れになるように、液体回収路や液体導入口等の接続構成が設定される。液体回収流路54は、排出口16との連通側(液体導入口側)から回収部側に向けて全体的に水平に設けられている。これにより、液体回収流路での液体の流れはスムーズに行われ、排出口から回収部へ自然流下される。液体回収流路54を回収部側に向けて下り傾斜状に設けて、液体回収路54内で液体の流れがよりスムーズに行くようにしてもよい。この際、例えば、液体導入口58側をある程度の長さまで水平に設けて、その後下り傾斜に設けることとしてもよい。また、液体導入口58には、必要に応じてフィルタ等を設けることとしてもよい。
【0039】
さらに、図1に示すように、自然流下機構52は、液体の回収操作前に、密閉容器12の閉鎖空間S1と回収部50の閉鎖空間S2とを同圧に形成させる同圧形成手段62を含む。通常では、処理後の密閉容器12内は高圧であるから、液体回収流路では、密閉容器内に比べて低圧である回収部の閉鎖空間S2に向けて圧力差による圧送力が働く。このような圧送力が働くと液体と原料とがともに液体回収流路54に流れこむこととなり、液体と原料との分離回収が困難となるとともに、原料が液体回収流路内に詰まるおそれが高い。同圧形成手段62により、液体の回収操作前に密閉容器12と回収部50との2つの閉鎖空間S1,S2を同圧にしておくことにより、該2つの閉鎖空間S1、S2の気圧の差により生じる原料が圧送されるのを防止でき、液体の自然流下作用を利用して、原料と分離しながら良好に回収部に回収できる。また、処理後の密閉容器内の高圧状態でも分離回収作業を行えるので、作業時間を短縮できる。
【0040】
同圧形成手段62は、排出口16を介した液体の回収経路R2(液体回収流路54)とは異なる別の経路R3で密閉容器12の閉鎖空間S1と回収部50の閉鎖空間S2とを連通させる同圧連通管64を含む。同圧連通管64は、例えば、金属製管からなり、簡単な構造でしかも効率的に2つの閉鎖空間S1,S2を同圧にできる。図1では、同圧連通管64は、一端側が密閉容器12の左右中央部の上端側に連通接続され、他端側を回収部50の上端側に連通接続されている。別の経路R3を形成する同圧連通管64と密閉容器12との連通は、密閉容器12の上端側に設定された連通接続部68を介して行なわれるようになっている。連通接続部68の密閉容器との接続口が下方に向けて設定されている。これにより、同圧連通管64内に密閉容器12内で堆積している原料が管内に入りにくくなっており、原料が管内に詰まるのを防止して同圧連通管の連通状態を保持し、密閉容器12と回収部50とを確実に同圧にさせることができる。同圧連通管64は、常時連通状態となっており、液体回収流路54の開閉機構60を閉じた状態では、密閉容器12内、回収部50、液体回収流路54内が同じ圧力状態になる。これにより、液体回収流路54の開閉機構60を開いた直後にも排出口16の液体導入口58側で圧力差による原料の圧送を防止できる。さらに、開閉機構60を開いて液体が回収する際にも、密閉容器12内と回収部50内は常時同圧状態が保持される。したがって、回収前から回収終了後まで同圧状態となり、良好に液体のみを排出口16から自然流下させて分離回収することができる。なお、同圧形成手段62は、この形態の構成に限らず任意の構成でよい。例えば、同圧形成手段62は、回収部内を高圧にする他の高圧形成装置を設け、密閉容器内の圧力をセンサーで監視しながら回収部内の圧力を調整して、密閉容器内の圧力と同圧にするようにしてもよい。また、密閉容器内を減圧することとしてもよい。
【0041】
次に、以上説明した製造装置10を用いての本発明の実施の形態によるフルボ酸溶液の製造方法について説明する。
本発明の実施の形態によるフルボ酸溶液の製造方法は、前記のような処理装置を準備する装置準備工程、
前記処理装置の密閉容器の処理空間内に、前記供給部(投入口)から、主材としてイネ科の植物を含有する原料を投入する原料投入工程、
温度が100~200℃で、圧力が5~25atmの蒸気を、前記原料が投入されている処理空間内に導入しつつ、前記原料を攪拌して、前記原料を水熱反応処理して、フルボ酸とフミン酸を含有する混合溶液(原料の破片も懸濁)を得る処理工程、および、
取得した混合溶液から、フルボ酸を分離して、フルボ酸溶液を取得するフルボ酸溶液取得工程
を備えている。
【0042】
以下、上記した各工程について詳細に説明する。
《装置準備工程》
図を参照しつつ、上で説明したような製造装置(処理装置)を準備する。
【0043】
《原料投入工程》
原料は、イネ科の植物の茎(捍)、枝、米・小麦等にあっては籾殻、葉等等を破断したもの、タケ、笹等にあっては、茎、葉を破断したものである破断材を主原料とする。破断材の長さは、400mm以下、特に50mm~200mmとするのが好ましい。前記範囲を超えて長いと、処理空間内に投入しにくくなったり、撹拌部材に絡みついたりして、生産能力が低下する。前記範囲未満の長さであっても、フルボ酸生産の処理には差し支えがないが、破断に手間が掛かる。副材もしくは添加物としては、より多くのフルボ酸を効率よく生成するために、アルカリ性溶液を添加することができる。アルカリ性溶液を添加する場合の蒸気の圧力、温度は、添加しない場合と同様であって良い。
【0044】
前記植物材料としては、畳の床等の古くなったものであってもよい。
【0045】
イネ科の植物としては、イネ・コムギ・オオムギ・カラスムギ・ライムギ・キビ・アワ・ヒエ・トウモロコシ・シコクビエ・モロコシ・タケ・マコモ・サトウキビ・ハトムギ・ヨシ・ススキ・ササ・ダンチク・シロガネヨシ・シバ等が挙げられる。
【0046】
以上説明したような原料を、処理空間に投入するが、原料の量は、密閉容器12の閉鎖空間S1すなわち処理空間の90%以下、特に、50~80%であることが好ましい。原料の投入量がこの範囲より低い場合には、処理効率が悪く、越える場合には、蒸気が原料に上手く作用できず、フルボ酸の生成が十分でなくなるおそれがある。
【0047】
《処理工程》
この工程においては、前記原料が投入されている処理空間内に蒸気を導入する。この蒸気は、温度が100~200℃で、圧力が5~25atmとする。蒸気の導入量は、処理空間の容積、処理する原料の量にもよるが、余剰空間(処理空間から投入された原料の容積を減算した値の空間)に完全に充填される量とするのが好ましい。
【0048】
この処理工程では、上記のように、原料が投入された処理空間に蒸気を導入しつつ、前記原料を攪拌して、前記原料を亜臨界水反により処理を行う。
処理工程の時間(温度・圧力の保持工程)は、3~30分が好ましい。処理温度、圧力の値によって変動するが、処理時間が上記の範囲より短い場合には、反応時間が十分でなく、すなわち、フルボ酸の生成が十分でなく、相当量のフルボ酸が原料中に残留してしまい、上記範囲を超えると、原料か炭化してしまい、農畜産用有用物で無くなってしまう。
この処理工程における処理空間内の温度は、用いる原料の種類、状態によっても異なるが、100~200℃で、圧力が5~25atmに保たれるようにする。
この処理工程において、原料は、亜臨界水反応処理され、フルボ酸とフミン酸が、溶液中に含有される。この溶液は、また、原料植物の破片等の懸濁物を含有する。すなわち、フルボ酸と、フミン酸と、原料植物の破片の懸濁物を含有する混合溶液が得られる。
この工程で取得した混合溶液中には、フルボ酸とフミン酸の総量(固形分量中)のうち、フルボ酸が、全体の2~10%含まれる。
【0049】
《冷却工程》
前記処理工程の後に、冷却工程を行っても良い。この冷却工程では、上記処理空間内を冷却し、すなわち、前記蒸気を冷却して、フルボ酸とフミン酸を含有する溶液を得る。この冷却は、通常、自然冷却で行われる。
【0050】
《フルボ酸溶液取得工程》
この工程では、前の処理工程(後に冷却工程が続く場合がある)で取得した混合溶液から、フミン酸とフルボ酸を分離処理して、フルボ酸溶液を取得する。
前記フルボ酸溶液取得工程におけるフミン酸とフルボ酸を分離処理は、溶液のpH酸性にして、フミン酸を沈殿分離、あるいは濾過分離による。
溶液のpHは、2~3とするのが好ましい。
【0051】
[実施例]
先ず、密閉容器中の処理空間の容積が2mの、図1に示すような構造の処理装置を準備した。
前記処理空間中に、原料としてイネわらの破断材(実施例1)、タケ材の破断材(実施例2)を用いてそれぞれ、フルボ酸溶液の製造の実験を行った。
破断材の大きさは、両者ともに長辺が平均10cm程度であった。
投入量は、両者ともに、同じで、1.6m(処理空間の容積の80%)とした。イネ、タケともに乾燥したものを用いたため、それぞれ原料と共に、適量の水を導入した。
この原料の投入後、処理空間内に、温度がイネ、タケ共に180℃、圧力がイネの場合7atm、タケの場合12atmの蒸気を導入しつつ、撹拌手段で撹拌して、原料の蒸気による亜臨界水反応処理を行った。処理時間は、原料としてイネを用いたもので10分とし、タケを用いたもので25分とした。
この処理工程における処理空間内の状態は、処理工程の保持工程において、温度がイネ、タケ共に180℃、圧力がイネの場合7atm、タケの場合12atmとした。
処理後、処理空間を大気と導通して、処理空間内を大気圧力とし、この後、処理装置から混合溶液のみを取り出した。
【0052】
その後、それらの混合溶液を、下記の方法により分析し、フルボ酸の存在等の確認を行った。
分析項目
全有機炭素(TOC):JIS K 0102(2016) 22.1 燃焼酸化-赤外線式TOC分析法
腐植物質(フルボ酸、フミン酸の定量):三次元分光蛍光光度法

分析方法
1)アルカリ可溶分の抽出
試料を遠沈管に入れ、3000rpmで10分間、遠心分離した。上澄みをNaOHを用いて中和後、更に0.1M-NaOH溶液相当になるようNaOH溶液を加えアルカリ可溶分を抽出した。この溶液をGF/Fフィルターでろ過し、ろ液を検液とした。

2)フルボ酸、フミン酸の分画
1)で調整した検液について以下の定義に基づき、分画を行った

<腐植物質分画の定義>
実施例1および2の試料をNaOH溶液でアルカリ性とし、ろ過した溶液に塩酸を加えて酸性化して沈殿したものをフミン酸、溶存したままのものをフルボ酸と定義する。

TOCの測定
1)で抽出した検液および、2)で分画したフルボ酸の溶液についてTOCを測定した。

三次元蛍光スペクトルの測定
1)で抽出した検液および、2)で分画したフルボ酸の溶液について三次元蛍光スペクトルを測定した。励起波長(Ex)200~500nm、蛍光波長(Em)210~550nm間を測定し、得られた三次元蛍光スペクトルより、腐植物質が蛍光を示す波長域の蛍光強度の総和を元に、段戸フルボ酸、段戸フミン酸(日本腐植物質学会頒布)を用いて、規格化し定量値とした。
【0053】
分析結果
アルカリ可溶分のTOCはイネの破断材が30000mg/L、タケの破断材が32000mg/Lであり、フルボ酸分画後のTOCは、イネの破断材が28000mg/L、タケの破断材が31000mg/Lとほぼ全量がフルボ酸分画であった。
また、両者のフルボ酸分画の三次元蛍光測定結果から、それらは確かにフルボ酸であることが確認された。
すなわち、得られたフルボ酸溶液と目される溶液のほぼ全量が、フルボ酸溶液であった。
以上により、本発明の効果が明らかである。
【0054】
また、イネ、タケ以外のイネ科の植物、例えば小麦、トウモロコシ等について、前記と同様の条件で試験を行った。全て、同程度かやや低い量のフルボ酸が得られた。
【符号の説明】
【0055】
10 有機系廃棄物の処理装置
12 密閉容器
14 蒸気噴出手段
16 排出口
18 分離回収手段
26 開閉機構
30 撹拌手段
50 回収部
52 自然流下回収機構
54 液体回収流路
58 液体導入口
60 開閉機構
62 同圧形成手段
64 同圧連通管
図1