IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立成功大学の特許一覧

<>
  • 特許-両面受光型色素増感太陽電池 図1
  • 特許-両面受光型色素増感太陽電池 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】両面受光型色素増感太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
H01G9/20 111B
H01G9/20 111A
H01G9/20 115A
H01G9/20 307
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019204252
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021048380
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】108133238
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504455908
【氏名又は名称】国立成功大学
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】李 玉郎
(72)【発明者】
【氏名】劉 一平
(72)【発明者】
【氏名】卓 育軒
【審査官】原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-222968(JP,A)
【文献】特開2013-101958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面受光型色素増感太陽電池であって、
第1光透過性基板と、
当該第1光透過性基板との間に収容空間が形成される第2光透過性基板と、
当該収容空間に位置するように当該第1光透過性基板に設けられる作用電極と、
当該収容空間に位置するように当該作用電極に設けられ、第1厚さを有するとともに、
第1平均粒径を有する複数の第1半導体粒子を含む第1半導体層と、
当該収容空間に位置するように当該第1半導体層に設けられ、第2厚さを有するとともに、当該第1平均粒径よりも大きい第2平均粒径を有する複数の第2半導体粒子を含む第
2半導体層と、
当該収容空間に位置するように当該第2半導体層に設けられ、当該第1厚さ以上である第3厚さを有するとともに、当該第2平均粒径よりも小さい第3平均粒径を有する複数の第3半導体粒子を含む第3半導体層と、
当該収容空間に位置するように当該第2光透過性基板に設けられる対電極と、
当該収容空間に位置するように当該対電極に設けられる光透過性触媒層と、
当該収容空間に充填される液体電解質と、を含み、
当該第1半導体層及び当該第3半導体層は、光吸収層として使用され、当該第2半導体層は光線の散乱層として使用され、
当該第3平均粒径は、実質的に当該第1平均粒径と同じであり、
当該第3厚さが5~7μmである、両面受光型色素増感太陽電池。
【請求項2】
当該第1厚さが1~6μmである、請求項1に記載の両面受光型色素増感太陽電池。
【請求項3】
当該第2厚さが1~6μmである、請求項1に記載の両面受光型色素増感太陽電池。
【請求項4】
当該第1半導体層、当該第2半導体層及び当該第3半導体層のうちのいずれか一つの材質は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化ニッケル及び酸化亜鉛のうちのいずれか一種を含む、請求項1に記載の両面受光型色素増感太陽電池。
【請求項5】
当該光透過性触媒層の材質は、プラチナ及びポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェンのうちのいずれか一種を含む、請求項1に記載の両面受光型色素増感太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に関し、特に両面受光型色素増感太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近数十年、太陽電池は、進化し続けており、将来石油を代替する主要なエネルギー源の一つである可能性がある。現在、太陽電池は、その種類が非常に多様化している。例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、薄膜、有機、ペロブスカイト構造材料又は色素増感などの太陽電池が挙げられる。
【0003】
色素増感太陽電池を対象とする多くの研究が行われてきた。例えば、2019年9月に、Journal of Power Sourcesで「準固体色素増感太陽電池におけるTiOナノフィラーの役割を解釈する新しいメカニズム(Liu et al;A new mechanism for interpreting the effect of TiO nanofillers in quasi-solid-state dye-sensitized solar cells)」という題名の文章が発表され、また2019年4月に、ACS Sustainable Chemistry and Engineeringで「室内光条件下で効率的で安定した発電のための準固体色素増感太陽電池(Quasi-Solid-State Dye-Sensitized Solar Cells for Efficient and Stable Power Generation Under Room Light Conditions)」という題名の文章などが発表されている。
【0004】
しかしながら、従来の太陽電池の光電変換効率は依然として明らかに不十分である。したがって、従来技術に存在する問題を解決するために、両面受光型色素増感太陽電池を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的の一つは、主に特定の作用電極構造(それぞれが特定の厚さ及び特定の平均粒径を有する3つの半導体層を含む)を用いることにより、従来の太陽電池の光電変換効率を改善するための両面受光型色素増感太陽電池を提供することにある。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、第1光透過性基板と、第2光透過性基板と、作用電極と、第1半導体層と、第2半導体層と、第3半導体層と、対電極と、光透過性触媒層と、液体電解質と、を含む両面受光型色素増感太陽電池を提供する。当該第2光透過性基板と当該第1光透過性基板との間には、収容空間が形成される。当該作用電極は、当該収容空間に位置するように当該第1光透過性基板に設けられる。当該第1半導体層は、当該収容空間に位置するように当該作用電極に設けられ、第1厚さを有するとともに、第1平均粒径を有する複数の第1半導体粒子を含む。当該第2半導体層は、当該収容空間に位置するように当該第1半導体層に設けられ、第2厚さを有するとともに、当該第1平均粒径よりも大きい第2平均粒径を有する複数の第2半導体粒子を含む。当該第3半導体層は、当該収容空間に位置するように当該第2半導体層に設けられ、当該第1厚さ以上である第3厚さを有するとともに、当該第2平均粒径よりも小さい第3平均粒径を有する複数の第3半導体粒子を含む。当該対電極は、当該収容空間に位置するように当該第2光透過性基板に設けられる。当該光透過性触媒層は、当該収容空間に位置するように当該対電極に設けられる。当該液体電解質は、当該収容空間に充填される。
【0007】
本発明の実施例では、当該第1平均粒径が15~25nmである。
【0008】
本発明の実施例では、当該第2平均粒径が350~450nmである。
【0009】
本発明の実施例では、当該第3平均粒径が15~25nmである。
【0010】
本発明の実施例では、当該第1厚さが1~6μmである。
【0011】
本発明の実施例では、当該第2厚さが1~6μmである。
【0012】
本発明の実施例では、当該第3厚さが1~12μmである。
【0013】
本発明の実施例では、当該第3厚さが5~7μmである。
【0014】
本発明の実施例では、当該第1半導体層、当該第2半導体層及び当該第3半導体層のうちのいずれか一つの材質は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化ニッケル及び酸化亜鉛のうちのいずれか一種を含む。
【0015】
本発明の実施例では、当該光透過性触媒層の材質は、プラチナ及びポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェンのうちのいずれか一種を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池の概略断面図である。
図2】異なる場合における第2光透過性基板の光透過率の分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点をより明白かつ理解可能にするために、以下、本発明の好適実施例を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。また、例えば上、下、頂、底、前、後、左、右、内、外、側面、周囲、中央、水平、横方向、垂直、縦方向、軸方向、径方向、最上層又は最下層などの本発明で言及される方向用語は、添付図面の方向を参照するに過ぎない。したがって、使用される方向用語は、本発明を説明及び理解するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0018】
図1を参照して、本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10は、第1光透過性基板11と、第2光透過性基板12と、作用電極13と、第1半導体層14と、第2半導体層15と、第3半導体層16と、対電極17と、光透過性触媒層18と、液体電解質19と、を含む。実施例では、当該第1光透過性基板11は、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板である。実施例では、当該第2光透過性基板12は、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板である。なお、本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10は、当該第1光透過性基板11及び当該第2光透過性基板12からそれぞれ光線を収集し、光線を電力に変換するためのものである。一方、当該第2光透過性基板12と当該第1光透過性基板11との間には、収容空間12Aが形成され、当該収容空間は、主に、当該作用電極13、当該第1半導体層14、当該第2半導体層15、当該第3半導体層16、当該対電極17、当該光透過性触媒層18及び当該液体電解質19を収容するためのものである。実施例では、当該第1光透過性基板11と当該第2光透過性基板12との間に接着剤(不図示)が設けられる。接着剤は、当該収容空間12Aを密閉するように当該収容空間12Aを取り囲む。
【0019】
本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の作用電極13は、当該収容空間12Aに位置するように当該第1光透過性基板11に設けられる。当該作用電極13は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの各種の適切な光透過性導電材質から選択してもよい。
【0020】
本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の第1半導体層14は、当該作用電極13に設けられるものであって、第1厚さ14Aを有するとともに複数の第1半導体粒子141を含み、複数の第1半導体粒子141は、第1平均粒径を有する。当該第1半導体層14は、主に光吸収層として使用される。実施例では、当該第1厚さは1~6μmである。一例として、当該第1厚さは、例えば、2、3、4又は5μmである。他の実施例では、当該第1平均粒径は15~25nmである。一例として、当該第1平均粒径は、例えば、16、18、20、21、22、23又は24nmである。ここで、当該第1半導体層14は、主に複数の第1半導体粒子141を積層してなされたものであり、当該第1半導体層14を形成するために用いられる各種の補助剤(図示しない)を含んでもよい。例えば、当該第1半導体層14は、スクリーン印刷により当該第1光透過性基板11上に形成され、当該スクリーン印刷を実施する過程で各種の補助剤を使用してもよい。さらに、別の実施例では、当該第1半導体層14の材質は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化ニッケル及び酸化亜鉛のうちのいずれか一種を含む。
【0021】
当該第2半導体層15は、当該第1半導体層14に設けられるものであって、第2厚さ15Aを有するとともに複数の第2半導体粒子151を含み、複数の第2半導体粒子151は、当該第1平均粒径よりも大きい第2平均粒径を有する。ここで、当該第2平均粒径が当該第1平均粒径よりも大きいため、当該第2半導体層15は、主に光線の散乱層として使用され、光電効果が発生しなかった光線を再び散乱させて当該第1半導体層14(又は後述の第3半導体層16)に戻すことにより、光電変換効率を改善することができる。実施例では、当該第2厚さは1~6μmである。一例として、当該第2厚さは、例えば、2、3、4又は5μmである。他の実施例では、当該第2平均粒径は350~450nmである。一例として、当該第1平均粒径は、例えば、360、380、400、410、420、430又は440nmである。ここで、当該第2半導体層15は、主に複数の第2半導体粒子151を積層してなされたものであり、当該第2半導体層15を形成するために用いられる各種の補助剤(図示しない)を含んでもよい。例えば、当該第2半導体層15は、スクリーン印刷により当該第1半導体層14上に形成され、当該スクリーン印刷を実施する過程で各種の補助剤を使用してもよい。さらに、別の実施例では、当該第2半導体層15の材質は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化ニッケル及び酸化亜鉛のうちのいずれか一種を含む。
【0022】
当該第3半導体層16は、当該第2半導体層15に設けられるものであって、第3厚さ16Aを有するとともに複数の第3半導体粒子161を含み、複数の第3半導体粒子161は、第3平均粒径を有し、当該第2平均粒径は、当該第3平均粒径よりも大きい。当該第3半導体層16は、主に光吸収層として使用される。実施例では、当該第3厚さは1~12μmである。一例として、当該第3厚さは、例えば、2、3、5、7、9、10又は11μmである。他の実施例では、当該第3厚さは5~7μmである。当該第3平均粒径は15~25nmである。一例として、当該第3平均粒径は、例えば、16、18、20、21、22、23又は24nmである。ここで、当該第3半導体層16は、主に複数の第3半導体粒子161を積層してなされたものであり、当該第3半導体層16を形成するために用いられる各種の補助剤(図示しない)を含んでもよい。例えば、当該第3半導体層16は、スクリーン印刷により当該第2半導体層15上に形成され、当該スクリーン印刷を実施する過程で各種の補助剤を使用してもよい。さらに、別の実施例では、当該第3半導体層16の材質は、二酸化チタン、二酸化スズ、酸化ニッケル及び酸化亜鉛のうちのいずれか一種を含む。
【0023】
実施例では、当該第1半導体層14、当該第2半導体層15及び当該第3半導体層16は、例えば多孔質のものであり、光増感色素を吸着してもよい。
【0024】
実施例では、当該第2平均粒径は、当該第1平均粒径及び当該第3平均粒径よりも明らかに大きい。例えば、当該第2平均粒径の数値は、当該第1平均粒径の数値の15~27倍であり、当該第2平均粒径の数値は、当該第3平均粒径の数値の15~27倍である。
【0025】
本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の対電極17は、当該収容空間12Aに位置するように当該第2光透過性基板12に設けられる。実施例では、当該対電極17は、酸化インジウムスズ(ITO)又はフッ素ドープ酸化スズ(FTO)など、各種の適切な光透過性導電材質から選択してもよい。
【0026】
本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の液体電解質19は、当該収容空間12Aに充填される。実施例では、液体電解質19は、太陽電池に有用であることが知られる任意の液体電解質を採用してもよい。
【0027】
実施例では、当該両面受光型色素増感太陽電池10は、当該収容空間12Aに位置するように当該対電極17に設けられる光透過性触媒層18をさらに含む。実施例では、当該光透過性触媒層の材質は、プラチナ及びポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)のうちのいずれか一種を含む。一例として、当該光透過性触媒層の厚さは、例えば、5~200nmである。ここで、当該光透過性触媒層の材質としてプラチナを使用する場合、プラチナの厚さは、光透過性を達成する必要があり、例えば、5~15nmである。
【0028】
ここで、本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の一つの特徴は、少なくとも三つの半導体層(第1半導体層14、第2半導体層15及び第3半導体層16)を有する作用電極13により、従来の太陽電池の光電変換効率を改善することにある。より具体的に、当該第1半導体層14及び当該第3半導体層16は、主に光吸収層として使用され、それぞれ当該第1光透過性基板11及び当該第2光透過性基板12から入射される光線を吸収することができる。また、当該第2半導体層15は、主に散乱層として使用され、吸収されない光線をそれぞれ散乱させて当該第1半導体層14及び当該第3半導体層16に戻すことにより、光電変換効率を改善することができる。
【0029】
また、本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池10の他の特徴は、光電変換効率をさらに改善するために、当該第3半導体層16の第3厚さを5~7μmとすることにある。
【0030】
本発明の実施例に係る両面受光型色素増感太陽電池によれば、光電変換効率を確実に改善できることを説明するために、いくつかの実施例及び一つの比較例を以下に示す。
【0031】
実施例1
作用電極としてフッ素ドープ酸化スズを第1ガラス基板上に形成する。次に、各半導体層の材質として二酸化チタンを採用し、第1半導体層、第2半導体層及び第3半導体層をスクリーン印刷により順次形成する。当該第1半導体層の第1厚さは約2.73μmであり、当該第1半導体層は、複数の第1半導体粒子を含み、これらの第1半導体粒子の第1平均粒径は約20nmである。当該第2半導体層の第2厚さは約2.73μmであり、当該第2半導体層は、複数の第2半導体粒子を含み、これらの第2半導体粒子の第2平均粒径は約400nmである。当該第3半導体層の第3厚さは約2.73μmであり、当該第3半導体層は、複数の第3半導体粒子を含み、これらの第3半導体粒子の第3平均粒径は約20nmである。
【0032】
次に、当該第1半導体層、当該第2半導体層及び当該第3半導体層に光増感色素を吸着させる。それから、対電極としてフッ素ドープ酸化スズを第2ガラス基板上に形成する。その後、光透過性触媒層として光透過性プラチナ層を当該対電極上に形成するとともに、当該第1ガラス基板と当該第2ガラス基板との間に形成された収容空間に液体電解質を充填し、当該光透過性プラチナ層の厚さは約10nmである。最後に、当該収容空間を密閉し、実施例1の両面受光型色素増感太陽電池を完成させる。
【0033】
実施例2
実施例2の製造方法は、実施例2の光透過性触媒層の材質にポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を採用し、当該PEDOT触媒層の厚さが約100nmであることを除いて、実施例1とほぼ同じである。
【0034】
実施例3~4
実施例3~4の製造方法は、実施例3~4においてそれぞれ二回及び三回のスクリーン印刷により異なる厚さ(6.51μm及び9.5μm)を有する第3半導体層を形成することを除いて、実施例1とほぼ同じである。
【0035】
比較例1
比較例1の製造方法は、比較例において第3半導体層を含まないことを除いて、実施例1とほぼ同じである。
【0036】
次に、市販の機器を用いて実施例1及び2と比較例1とを分析して比較するとともに、空気品質(AM)1.5Gスペクトルの標準太陽光の下で太陽電池の正面(第1光透過性基板11から入射される光線)及び背面(第2光透過性基板12から入射される光線)から各データを測定し、測定した結果を以下の表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
上記の表からわかるように、3層半導体構造を使用することにより、太陽電池の背面受光方向の変換効率を改善ことができる。また、PEDOTを対電極の触媒材質として使用すると、背面受光方向の変換効率をさらに改善することができる。これは、PEDOTが液体電解質に対して触媒特性を有するだけでなく、極めて高い光透過率をさらに有するためである。図2は対電極の光透過率の分析結果を示す図である。ここでは、Bare FTOは、第2光透過性基板にFTO(すなわち、FTO基板)が設けられることを指し、図2のPEDOTは、FTO基板に触媒材質がPEDOTである対電極(すなわち、実施例2)が設けられることを指し、図2のPtは、FTO基板に触媒材質がプラチナである対電極(すなわち、実施例1)が設けられることを指す。図2からわかるように、プラチナ材質の対電極に対して、PEDOTの対電極は高い光透過率をさらに有する。
【0039】
一方、実施例1、3、4及び比較例1からわかるように、第3半導体層を用いて背面の変換効率を高めることができる。一方、実施例1、3及び4からわかるように、第3厚さが5~7μmであると、背面は、最高の変換効率を有する。一般的に、正面に位置する光吸収層の厚さが小さいほど、変換効率が優れる。しかしながら、実施例3からわかるように、好ましい変換効率を有するためには、背面の光吸収層の厚さ(第3厚さ)を特定の範囲にする必要がある。
【0040】
本発明は、好適実施例によって開示されているが、本発明を制限することを意図するものではない。この技術に精通している人なら誰でも、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0041】
10:太陽電池
11:第1光透過性基板
12:第2光透過性基板
12A:収容空間
13:作用電極
14:第1半導体層
14A:第1厚さ
15:第2半導体層
15A:第2厚さ
16:第3半導体層
16A:第3厚さ
17:対電極
18:光透過性触媒層
19:液体電解質
141:第1半導体粒子
151:第2半導体粒子
161:第3半導体粒子

図1
図2