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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】バーナヘッド装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/22 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
F23D14/22 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021537090
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2021016578
【審査請求日】2021-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513284782
【氏名又は名称】株式会社旭製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】池田 靖之
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 隆己
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-104909(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104791798(CN,A)
【文献】特開2014-029256(JP,A)
【文献】米国特許第02911035(US,A)
【文献】米国特許第03204682(US,A)
【文献】米国特許第05112219(US,A)
【文献】特開昭56-157706(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102022732(CN,A)
【文献】特開平10-281416(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104279561(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と側面と背面を有するブロック体からなる石英ガラス製のバーナヘッド
バーナヘッドの背面に設けられ燃焼ガスまたは可燃ガスのいずれかが導入されるガス導入口であってすべての導入口がいずれかのガスのみを導入するものであり多数設けられた背面側の第1ガス導入口群と、
バーナへッドの側面に設けられ第1のガス導入口群の多数のガス導入口から導入されるガスとは異なるガスである燃焼ガスまたは可燃ガスのいずれかが導入されるガス導入口であってすべての導入口がいずれかのガスのみを導入するものであり多数設けられた側面側の第2ガス導入口群と、
背面側の多数のガスのすべての導入口と共有する空間を有する第1バッファ室と、
側面側の多数のガスのすべての導入口と共有する空間を有する第2バッファ室と、を含み、
バーナヘッド自体に設けられ、前記背面側及び側面側の多数のガスの導入口にそれぞれ一端が連通し他端が前面側に開口して設けられた多数のガス通路であって、バーナヘッド自体に孔を穿孔してバーナヘッド内部に形成した多数のガス通路と、
バーナヘッドの前面に設けられ多数のガスの通路の他端側にそれぞれ連通し多数のガスの通路を介して供給される燃焼ガスまたは可燃ガスを前面から噴き出す多数のガスの噴出し口と、を含み、
第1バッファ室は、内側にバッファ空間を形成しつつ背面側の第1ガス導入口群のすべてのガス導入口を内包するバッファフレームをバーナヘッドの背面又は側面に溶接接合させて設けられ、
第2バッファ室は、内側にバッファ空間を形成しつつ側面側の第2ガス導入口群のすべてのガス導入口を内包するバッファフレームをバーナヘッドの側面に溶接接合させて設けられていることを特徴とするバーナヘッド装置。
【請求項2】
第1バッファ室を形成するバッファフレームは、背面側の第1ガス導入口群のすべてのガス導入口を内包しかつバーナヘッドの背面全体及び側面の一部を外部から覆うようにバーナヘッドの側面に溶接接合させて設けられていることを特徴とする請求項1記載のバーナヘッド装置。
【請求項3】
第1バッファ室と、第2バッファ室とは室内どうしが連通しないように隔壁で仕切られた状態でバーナヘッドを内側に包み込むようにバッファフレームを接合一体化して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のバーナヘッド装置。
【請求項4】
バーナヘッドは、前面が一方向に長い噴出し面を形成する横長の矩形六面体であることを特徴とする請求項1又は3のいずれかに記載のバーナヘッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体燃料、霧状液体燃料等に空気を適量混合して燃焼させるバーナに関し、特に、ガラス製品製造、加工等に用いられるバーナヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナは、コンロ等の家庭用調理器具から材料の品質保持のための工業用の工業炉まで幅広く用いられる燃焼装置である。近時、半導体プロセス用の素材加工、科学研究・開発用品、クリーンルーム、実験・研究用器具等の加工用のバーナの需要が大きく伸長しており、特に、ガラス製品加工等のための石英製バーナの開発が盛んに行われている。
【0003】
従来、石英ガラス製バーナとして、特許文献1の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3222840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の石英ガラス製バーナは、一体の石英ガラスロッドに背面側から前面側に貫通するガス体の流通通路を複数形成してそれぞれ支燃性ガスと燃料性ガスの通路とした石英ガラス製バーナヘッドを設け、各通路の背面縁にそれぞれのガスの供給用石英ガラスチューブの端部をガスの導入管として溶接接続したものである。しかしながら、特許文献1の装置によれば、バーナヘッドの背面側で各流通通路の導入口に石英ガラスチューブの端部を溶接する作業を多数行う必要があり作業工数が多く製作に時間がかかり製品コストが高価である。また、数ミリ単位の各孔位置に合わせて溶接する作業であり溶接誤差を生じて完成品の精度バラツキを生じやすい。また、バーナヘッドの前面から中心軸方向前方位置に火炎焦点を設定したものであるから、バーナの火炎による加工領域を広く設定したい場合や一方向に長い長方形状等の加工領域を設定することができない、等の問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、製作工程が比較的簡単であり、かつ製品精度を良好に保持し、コストを安価に維持しつつ製作可能なバーナヘッド装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、バーナの火炎による加工領域を広く設定でき、また、任意の加工領域形状に対応したバーナとすることのできるバーナヘッド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、前面1Fと側面3F-1~3F-4と背面2Fを有するブロック体からなる石英ガラス製のバーナヘッド8と、バーナヘッド8の背面2Fに設けられ燃焼ガス1Gまたは可燃ガス2Gのいずれかが導入されるガス導入口11aであってすべての導入口がいずれかのガスのみを導入するものであり多数設けられた背面側の第1ガス導入口群と、バーナへッド8の側面3F-1~3F-4に設けられ第1のガス導入口群の多数のガス導入口11aから導入されるガスとは異なるガスである燃焼ガスまたは可燃ガスのいずれかが導入されるガス導入口12a-1~12a-4であってすべての導入口がいずれかのガスのみを導入するものであり多数設けられた側面側の第2ガス導入口群と、背面側のすべてのガスの導入口11aと共有する空間を有する第1バッファ室15と、側面側のすべてのガスの導入口12a-1~12a-4と共有する空間を有する第2バッファ室16と、を含み、バーナヘッド8自体に設けられ、前記背面2F側及び側面3F-1~3F-4側の多数のガスの導入口11a、12a-1~12a-4にそれぞれ一端が連通し他端が前面1F側に開口して設けられた多数のガス通路であって、バーナヘッド8自体に孔を穿孔してバーナヘッド内部に形成した多数のガス通路31、41と、バーナヘッド8の前面1Fに設けられ多数のガスの通路31、41の他端側にそれぞれ連通し多数のガスの通路を介して供給される燃焼ガス1Gまたは可燃ガス2Gを前面1Fから噴き出す多数のガスの噴出し口21b、22b-1~22b-4と、を含み、第1バッファ室15は、内側にバッファ空間15Sを形成しつつ背面側の第1ガス導入口群のすべてのガス導入口11aを内包するバッファフレーム60(60-1)をバーナヘッド8の背面2F又は側面3F-1~3F-4に溶接接合させて設けられ、第2バッファ室16は、内側にバッファ空間16Sを形成しつつ側面側の第2ガス導入口群のすべてのガス導入口12a-1~12a-4を内包するバッファフレーム60(60-2)をバーナヘッド8の側面3F-1~3F-4に溶接接合させて設けられたバーナヘッド装置10から構成される。
【0008】
その際、第1バッファ室15を形成するバッファフレーム60(60-1)は、背面側の第1ガス導入口群のすべてのガス導入口11aを内包しかつバーナヘッド8の背面1F全体及び側面3F-1~3F-4の一部を外部から覆うようにバーナヘッド8の側面に溶接接合させて設けられていることとするとよい。
【0009】
また、第1バッファ室15と、第2バッファ室16とは室内どうしが連通しないように隔壁90で仕切られた状態でバーナヘッドを内側に包み込むようにバッファフレーム60(60-1)、60(60-2)を接合一体化して設けられていることとするとよい。
【0010】
さらに、バーナヘッド8は、前面1Fが一方向に長い噴出し面を形成する横長の矩形六面体であることとするとなおよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバーナヘッド装置によれば、基本的にはバーナヘッドと第1、第2チャンバとを溶接して一体化するだけで装置を構成できるので製作工程が簡単で良好な仕上がり精度で高品質のバーナヘッド装置を得ることができる。また、製作が容易で製作時間も従来に比較して飛躍的に短時間でよくコストを大幅に低減することができる。さらに、バーナの火炎による加工領域を広く設定できると共に、任意の加工領域形状や大きな領域の火炎加工領域を形成し得るバーナヘッド装置を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)、(b)は、本発明のバーナヘッド装置の原理構成斜視説明図である。
図2】(a)は、図1の装置のバーナヘッドのみの斜視説明図である。(b)は、図1の装置の正面説明図である。(c)は、図1の装置の背面説明図である。
図3】実施形態に係るバーナヘッド装置の正面図である。
図4図3のバーナヘッド装置のバーナヘッド以外の部分のみの図1A-A‘線断面図である。
図5図3のバーナヘッド装置の底面から見てバーナヘッド以外の部分のみをハッチングで示した図である。
図6図3のバーナヘッド装置のバーナヘッドのみの背面図である。
図7図3のバーナヘッドの斜視説明図である。
図8図3のバーナヘッドの斜視説明図である。
図9】(a)は、図8の7A線断面図、(b)は、図8の7B線断面図、(c)は、図8の7C線断面図である。
図10】(a)、(b)は、図3のバーナヘッド装置の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しつつ本発明のバーナヘッド装置の実施形態について説明する。
【0014】
本発明のバーナヘッド装置は、ガスや燃焼流体を用いて生じた火炎により種々の物品や物体を火炎加工する装置であり、例えばビーカーやフラスコなど理化学用途や光ファイバー製造用部品の製造などに用いられる。
【0015】
図1(a)、(b)は、本発明の原理構成説明図である。本発明のバーナヘッド装置は、金属材料又は非金属の無機材料で構成される。バーナは火炎加工の設備である点から、その中でも耐熱性、耐食性を有する材料が好適に用いられる。中でも、非金属無機材料であるガラス、耐火物、ファインセラミックス等が有利に用いられる。原理的には、耐熱性、耐食性、透明性に優れる石英ガラスが特に有利に用いられる。そして、これらの材料を加工したガスの噴射ノズルを利用し、広い火炎加工領域や任意の範囲の火炎加工領域を形成して火炎加工作業効率の向上、加工精度向上を図るものである。
【0016】
図の原理構成例では、例えば石英ガラスを加工したソリッドブロック体のバーナヘッド8の1つの面をガスの噴出し面1Fとし、該噴出し面1Fに多数のガスの噴出し口21b、22b-1~22b-4が設けられている。噴出し面1F以外の表面部分に燃焼ガス供給用と可燃ガス供給用の導入口群11a,12a-1~12a-4を設け、各導入口と噴出し面1Fの各噴出し口とが1対1で連通するようにバーナヘッド8の内部にガス通流用の通路31、41を設けている。さらに、燃焼ガス供給用の各導入口に接する空間を気密閉鎖するようにバッファフレーム60をバーナヘッド8の表面に接合させて少なくとも2つのバッファ室15,16を設ける。1つのバッファ室15は燃焼ガスとしての例えば酸素ガスの一時貯留用であり、他のバッファ室16は可燃ガスとしての例えば水素ガス貯留用である。これによって、供給管等から供給を受けたガスは各バッファ室に一時貯留されてほぼ同時に各導入口からガス通路31,41に入り、通流して噴出し面1Fから噴出され空気中で両ガスが接する火炎領域で加工対象物に対して火炎加工を行う。バーナヘッドの外形形状やサイズ等を変更、調整して多数のガスの噴出し口群の配置形状や広がり等を変更することで自在の火炎加工領域を生成することができる。
【0017】
すなわち、本発明の原理構成例によるバーナヘッド装置200によれば、ガスの噴出し面1Fを有するソリッド状ブロック体のバーナヘッド8であり、多数のガス通路31、41を内部に形成すると共に多数のガス通路31、41に連通する多数のガスの噴出し口21b、22bを設けた噴出し面1Fから燃焼ガス1Gと可燃ガス2Gを噴き出すバーナヘッド8と、噴出し面1F以外のバーナヘッド8の部分(XF)に設けられた燃焼ガス供給用の多数のガス導入口を含む第1導入口群11aと、噴出し面以外のバーナヘッド8の部分XFに設けられた可燃ガス供給用の多数のガスの導入口を含む第2導入口群(12a―1~12a―4)と、燃焼ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第1バッファ室15と、可燃ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第2バッファ室16と、を含む。バーナヘッド内の多数のガスの通路は燃焼及び可燃ガスが接触しなければどのような通路の経路で通流してもよい。また、ガスの導入口並びに噴出し口の配置や個数は燃焼及び可燃ガスが接触しなければ任意に設定できる。バッファ室のうちバーナヘッド8の周側面側に配置するバッファ室は周方向の一部のみに設けるようにしてもよいし、全周にわたってバッファ室を形成し周側面全体からガスをバーナヘッド内に導入し、噴出し面から噴出させるようにしてもよい。
【0018】
本発明の原理構成例によるバーナヘッド装置によれば、バーナヘッド8の形状は1つの噴出し面(1F)を有する形状であれば、四角柱体、円柱体、その他の立体多角形、不定形状立体その他任意形状のブロック体を用いることができる。噴出し面の噴出し口の孔の配置、数、孔径、導入口の孔の配置、数、孔径等は任意に設定可能である。バッファ室は3個以上設けてもよい。バッファ室はバーナヘッド全体を内側に被覆するようにバーナヘッドを囲周して一体接合させてもよいし、導入口の設置位置に応じてバーナヘッドの一部のみでバーナヘッドとバッファ室形成用のバッファフレームとが接合されている図1のような接合形態でもよい。また、ガスの供給管は石英ガラスではなくとも耐熱仕様等の可撓性チューブ等を用いてもよい。
【0019】
次に、本発明の具体的な実施形態について説明する。本実施形態のバーナヘッド装置は、耐食性、耐熱性、透明性に優れた石英(SiO2)製のガスバーナヘッド装置で構成されている。図3は、本発明の実施形態に係るバーナヘッド装置10の正面図、図4は、バーナヘッド装置のバーナヘッド以外の部分のみの図3A-A‘線断面図であり、図において、バーナヘッド装置10は、前面1Fから燃焼ガス1Gと、可燃ガス2Gを噴き出すバーナヘッド8に燃焼ガス及び可燃性ガスの供給管を接続させて構成されている。
【0020】
即ち、本発明の実施形態に係るバーナヘッド装置10は、前面1Fから燃焼ガス1Gと、可燃ガス2Gを噴き出すバーナヘッド8と、バーナヘッド8に設けた多数のガスの導入口を有するガス導入口群11a、12a-1、12a-2、12-a3、12a-4と、第1バッファ室15と、第2バッファ室16と、を含む。ガス導入口群11a、12a-1、12a-2、12-a3、12a-4は多数のガスの導入口(以下、図示省略)11a1,11a2、11a3...、12a-11,12a-12,12a―13...、12a-21、12a-22、12a-23...、12a-31、12a-32、12a33...、12a-41、12a-42、12a-43...(以上、図示省略)を含む。
【0021】
バーナヘッド8は、前面1Fと、背面2Fを少なくとも有する立体のブロック体からなり、立体形状自体は立方体、直方体、三角柱体、四角柱体、五角柱体、その他の多角柱体、立体台形、その他変形立体形状、不定形立体形状でもよい。バーナヘッド8は、その内部に多数のガス通路(31、41)を有しており、特に本実施形態では石英製の一体の塊からなる横長直方体形状ブロックに超音波加工等により直接に貫通する孔を穿孔して通路を形成している。さらに、バーナヘッド8は、前面1Fに複数又は多数のガスの噴出し口を含むガスの噴出し口群21b、22b-1、22b-2、22b-3、22b-4を設けている。
【0022】
実施形態において、バーナヘッド8は、図8に主に示す六面体の立体形状の石英の一体ブロック体であり、前面1F、背面2Fの他に4つの側面3F-1、3F-2、3F-3、3F-4を含む。なお、図8実施形態では小径の孔口がすべて酸素ガス1Gの噴出し口であり、大径の孔口がすべて水素ガス2Gの噴出し口である。
【0023】
実施形態において、ガスの導入口群11a、12a-1、12a-2、12a-3、12a-4は、図4,5,6,8に示すように、背面2Fと、全ての側面3F-1、3F-2、3F-3、3F-4とに設けられている。一方、前面1Fのみに多数のガス噴出し口を含むガス噴出し口群21b、22b-1、22b-2、22b-3、22-b4が設けられており、前面1Fがガスの噴出し面とされる。なお、前面にのみ噴出し口を設けることなく、側面や他の部位からガスを噴き出させるようにすることも可能である。バーナヘッド8は、前面1Fが一方向に長い噴出し面として形成されている。なお、前面1F全体にガス噴出し口を設ける必要はなく、全体の一部にのみ偏在したり、あるいは全体に散在していてもよい。
【0024】
実施形態において、背面2Fのガス導入口群11aは、図6に示すように、例えば直径0.6mmの口径の導入口の孔が縦7個(列)×横33個(行)で整列位置で穿孔されている。実施形態において、背面2Fのガス導入口には燃焼ガスとしての酸素(O2)のみが供給される。
【0025】
一方、図4、5、8、9、10に示すように、バーナヘッド8の周面としての4側面(図3のバーナヘッド8の平面、底面及び左右両側面)にもそれぞれガスの導入口が設けられている。図3の正面図から見て平面及び底面(図5)すなわち、図3の上下の側面側には、バーナヘッド8の底面となる横長第1側面3F-1、バーナヘッド8の平面となる横長対向第2側面3F-3が設けられている。そして、それぞれの側面3F-1、3F-3のそれぞれ短辺側幅の略中央位置に横長方向一列に65個のガス導入口を含む側面横長ガス導入口群12a-1、対向側面横長ガス導入口群12a-2が形成されている。また、面が狭い右小第1側面、左小対向第2側面3F-2、3F-4にはそれぞれ横長側面3F-1、3F-3の短辺側幅と同じ幅の略中央位置一列に5個のガス導入口12-a3、12a-4が穿孔されている。すなわち、側面側のガス導入口は直方体形状のバーナヘッドの周側面を一周するようにそれぞれ短辺側幅の略中央位置で設けられている。バーナヘッド8の4側面3F-1、3F-2、3F-3、3F-4に設けられた導入口群12a-1、12a-2、12a-3、12a-4の各導入口はそれぞれ例えば1mmの口径に設定されており、実施形態においては、これらの導入口群のそれぞれの導入口には可燃ガスとしての水素(H2)が供給される。なお、燃焼及び可燃のいずれのガスの導入口を背面側とするか側面側とするかは実施形態構成に限定されるものではなく、装置の製造しやすさやガス流通の効率、その他の条件から任意に設定することができる。また、燃焼ガスや可燃ガスの導入口の数や配置構成もこの実施態様構成に限定されることなく、任意に設定することができる。
【0026】
バーナヘッド8の内部に設けられた多数のガス通路31中、酸素ガスを通流させるガス通路は、第1ガス通路群31aを形成している。酸素ガス通路31は、図8,9,10に示すように、背面2Fのガス導入口群11aの各ガス導入口に一端が連通し他端が前面1Fの噴出し口群21bのガス噴出し口にそれぞれ連通する内部通路であり、実施形態において、それぞれ直径0.6mm径の孔として背面側から前面に向けて直線状に貫通して設けられている。実施形態において、ガス通路31は、ガスの導入口(11a)からバーナヘッド8に供給された燃焼用の酸素ガスO2をバーナヘッド8の前面の噴出し口(21b)から加工対象物に向けて噴出す。
【0027】
バーナヘッド8の内部に設けられた他の多数のガス通路41は、バーナヘッド8の側面3F-1、3F-2、3F-3、3F-4に設けたガス導入口12a-1、12a-2、12a-3、12a-4と、前面1Fに設けたガス噴出し口22b-1、22b-2、22b-3、22-b4を連通接続する通路であり、実施形態において、可燃ガスとしての水素H2をヘッドの側面から導入させ前面の噴出し面から噴出させる。水素ガス通流用の多数のガス通路は第2ガス通路群41aを形成している。
【0028】
一方、図3,8に戻ってバーナヘッド8の前面1Fのガス噴出し口は、燃焼用ガスとしての酸素ガス噴出し口21bと、可燃ガスとしての水素ガス噴出し口22b-1~22b-4を含む。図において小径の孔口は酸素ガス噴出し口21bであり、大径の孔口は水素ガス噴出し口22b-1~22b-4に設定されている。小径孔口21bと大径孔口22b-1~22b-4はそれぞれの孔の周囲に異なる径の孔が配置されるように縦横に交互に小径孔と大径孔を配置させている。例えば、図8において、バーナヘッド8の長手方向一端には、所要の間隔を空けて縦に5個の大径孔口としてのガス噴出し口群(22b-3)のガス噴出し口が設けられている。そして、それに隣接する左隣りに中央7個を縦に所要間隔を空けて酸素噴出し用としての小径孔口21bが一列に設けられ、その両端に1個ずつの水素噴出し用としての大径孔口(22b-1)を配置している。この縦に7個一列の小径孔口としての酸素噴出し口群と両端1個ずつの水素噴出し口孔との混合噴出し口孔群xと、さらにその隣に縦に5個配置された大径孔口yとの並びを交互に繰り返してバーナヘッドの横長方向にわたって設けられている。このとき、縦5個一列の水素噴出し口群yの大径孔口どうしの中心間隔は例えば2.25mm、混合噴出し口孔群yの小径孔口どうしの中心間隔は例えば1.5mmに設定されている。これらの大径孔口、小径孔口の配置形態や孔径、孔口どうしの間隔は任意に設定できる。
【0029】
図8において、バーナヘッド8の右小第1側面3F-2には、短辺方向である幅方向に5個の大径孔口としての小側面ガス導入口(12a-3)が所要間隔を空けて一列に設けられている。そして、これらの小側面ガス導入口(12a-3)は、前面1Fの長手方向一端側の縦5個の大径孔口ガス噴出し口(22b-3)に連通接続されている。すなわち、実施形態において、水素ガス通路41は、L字状に導入口と噴出し口を連通接続させるL字通路として形成されている。すなわち、第2ガス通路群41aは、バーナヘッド8の側面側ガス導入口12a-1~12a-4から前面側ガス噴出し口22b-1~22b-4に連通する直通及び/又は屈曲ガス通路を含む。これによって、バーナヘッドの周側面側から前面の噴出し面側に具体的に通路を設けることができる。
【0030】
さらに、バーナヘッド8の前面1Fの最も平面(横長対向第2側面3F-3)及び底面(横長第1側面3F-1)寄りに設けられたそれぞれ33個の水素ガス噴出し口としての大径孔口22b-1~22b-4は、それぞれ横長第1側面3F-1と横長対向第2側面3F-3の幅方向中央位置に間隔を空けて一列状に設けられたそれぞれ65個の横並びの水素ガス導入口13a-1~13a-65のうちの33個の水素ガス導入口にL字接続されている。さらに、横長第1側面3F-1と横長対向第2側面3F-3の幅方向中央位置に間隔を空けて一列状に設けられた65個の横並びの水素ガス導入口のうちの残りの32個が前面1Fの水素ガス噴出し口としての大径孔口22b-1~22b-4のいずれかにL字連通接続されている。横長第1、第2側面3F-1、3F-3に設けた65個の一列の大径口孔はそれぞれ交互に前面1Fの5個一列の大径孔口としての水素噴出し口群yと、混合噴出し口孔群xに連通接続するように設けられている。
【0031】
実施形態において、図9(b)に示すように混合噴出し口孔群xは中央に間隔を空けて7個の酸素ガス通路31が配置され、その両端に側面3F-1、3F-2から水素ガスを供給させ前面1Fの水素ガス噴出し口(22b-1、22b-2)から水素を噴き出すL字通路41が対称位置に設けられている。これより、酸素ガス1Gと水素ガス2Gが同時に前面1Fから噴出される。また、図9(c)に示すように、水素噴出し口群yのラインでは水素ガス通路41は、側面横長導入口のガス噴出し口22b-1、と対向側面横長導入口のガス噴出し口22b-2を直線状に連通するように、一側面から他の側面を貫通するように設けられた貫通孔51と、前面1Fの5個一列に設けられた噴出し口22b-1、22b-2とこの貫通路51とを直角状に連通接続する枝通路52と、で形成されている。したがって、水素噴出し口群yのラインではこれに接続される水素ガス導入口12a―1、12a-2から導入されるガスは直通されたいずれの側面方向にも相互に流通するとともに、貫通孔51から枝通路52を経由してそれぞれ前面1Fの5個の噴出し口に分かれて噴出される。
【0032】
図3ないし図7において、実施形態のバーナヘッド装置10は、バーナヘッド8と、該バーナヘッドの噴出し面を露出させつつバーナヘッドを内包して一体化したバッファフレーム60と、バッファフレーム60を介してバーナヘッド8のガス導入口群に燃焼及び可燃ガスを供給するガス供給管80と、を備えている。
【0033】
実施形態において、バッファフレーム60は、石英ガラスを加工して内部が中空の横長矩形立体形状として形成されている。図3ないし図5に示すように、バッファフレーム60は、例えば数ミリメール程度の厚さの横長矩形立体状のガラス成型体からなり、バーナヘッド8を内側に包み込むようにバーナヘッド8の周側面に一部を接合して一体化されている。バッファフレーム60は、内部に中空のバッファ室15,16を形成するように成型した気密のフレーム壁体を有しており、実施形態においてはバーナヘッド8の外形の半分以上の部分でバーナヘッド8の外周面との間にバッファ室15,16を形成する状態でバーナヘッド8に接合されている。
【0034】
すなわち、図4,5、7に示すように、本実施形態ではバッファフレーム60は、バーナヘッド8の背面2F(図6)に縦横に整列配置状態で設けられた背面ガス導入口群11aの多数のガス導入口を覆い、間に空間15Sを設ける形態で第1フレーム壁体60-1で被覆するように第1バッファ室15を形成している。第1バッファ室15は、ガス供給管80から供給される燃焼ガスとしての酸素ガスのみを受け入れて一時貯留する酸素ガスのバッファリング手段であり、ガス供給管80により供給されるガスを一時貯留してほぼ同時にバーナヘッド8のガス導入口群11aの各ガス導入口に酸素ガスを供給する。バッファフレーム60の第1フレーム壁は内部に中空部としての第1バッファ空間15Sを形成しつつ、フレーム壁端をバーナヘッドの周壁部に環状に気密溶融接合させ酸素ガス供給管80との連通開口部分以外の空間15Sを気密閉鎖している。ここにおいて、第1バッファ室15は、バーナヘッド8の背面2Fに設けた多数のガス導入口(11a)のそれぞれに連通するバッファ空間15Sを有しており、したがって、バーナヘッドの8の背面2Fの多数のガス導入口(11a)全体が空間15Sを共有しそれぞれが該空間15Sに連通している。
【0035】
そして、酸素ガス供給管80は、図4、5,7に示すように、直管状の本管部85と、接続部86を介して二股に分岐して延長した分岐管87、87を有しており、それぞれの分岐管87の端部がバッファフレーム60の第1バッファ室15に形成した開口88において連通接合されており、これによって、酸素ガスがバーナヘッド8の背面2F側に設けたバッファフレームの第1フレーム壁体60-1から第1バッファ室15内に供給される。酸素ガス供給管80は、バーナヘッド8の背面に接合して第1バッファ室15を形成するバッファフレーム60に接合することで、バーナヘッド8の背面側を支持している。
【0036】
一方、図4,5に示すように、本実施形態ではバッファフレーム60は、バーナヘッド8の周壁面3F-1~3F-4に孔が周回するように設けられた側面ガス導入口12a-1~12a-4部分を、間に空間16Sを設ける形態で第2フレーム壁体60-2で被覆し第2バッファ室16を形成している。
【0037】
実施形態において、第2バッファ室16は、ガス供給管70から供給する可燃性ガスとしての水素ガスのみを受け入れて一時貯留する水素ガスのバッファリング手段であり、ガス供給管70により供給されるガスを一時貯留してほぼ同時にバーナヘッド8のガス導入口群12a-1~12a-4の各ガス導入口に水素ガスを供給する。第2バッファ室16は、バーナヘッド8の周側部を間に第2バッファ室16を介在させてバーナヘッド8の外形より大きな外形のフレーム壁体60-2によりバーナヘッド8の周側面に接する空間を袋状に取り囲んで設けられている。なお、いずれのバッファ室15,16に燃焼又は可燃のいずれのガス1G,2Gを供給するかは限定的なものではなく、諸種の条件、仕様に則して任意に変更できる。
【0038】
第2バッファ室16は、バーナヘッド8の周側面全体に連通する空間16Sを有しており、したがって、バーナヘッドの8の周側面の短辺方向幅の中間位置に一列状に周回形成された側面ガス導入口12a-1~12a-4全体が空間16Sを共有しそれぞれが該空間16Sに連通している。
【0039】
一方、水素ガス供給管70は、図4、7に示すように、直管状の本管部75と、接続部76を介して二股に分岐して延長した分岐管77、77を有しており、それぞれの分岐管77の端部がバッファフレーム60の第2バッファ室16に設けた開口78に接続され、これによって水素ガス供給管70と第2バッファ室16とは連通接合されている。これによって、水素ガスがバッファフレームの横長周壁の2か所から第2バッファ室16内に供給される。
【0040】
図4、5,7に示すように第1バッファ室15と、第2バッファ室16とはそれぞれがバーナヘッド8に気密に一体接合されて、それぞれのバッファ室から異なるガスをバーナヘッド8の各ガス導入口(11a、12a-1~12a-4)に導入させている。それと同時に本実施形態では、第1バッファ室15と第2バッファ室16の室内どうしが連通しない状態で相互に溶融接合されている。すなわち、実施形態において、第1バッファ室15と第2バッファ室16を画成する第1、第2フレーム壁体60-1、60-2が中間に隔壁90を設けた状態で相互に溶融接合されている。これによって、バッファフレーム60全体とバーナヘッド8が物理的に一体化し強度を保持している。
【0041】
さらに、図7に示すように、実施形態において、水素及び酸素ガス供給管70,80の本管部75、85どうしは平行に配置されるように収束されてグリップ部92においてグリップ管とそれぞれのガス供給管が相互に接合連結されおり、該グリップ部92部分を加工用アクチュエータのチャックに把持させた状態で火炎加工する。
【0042】
次に、本発明の実施形態のバーナヘッド装置10の作用について、説明すると、図4,8、9、10にも示すようにガス噴射用スイッチをオンにすると、ガス供給管70、80から同時に燃焼用ガスとしての酸素ガスと、可燃ガスとしての水素ガスがそれぞれの供給管に案内されてそれぞれ、第1、第2バッファ室15,16内に供給される。
【0043】
酸素ガスは、酸素ガス供給管80からバーナヘッド8の背面2Fに気密接合される第1バッファ室15に進入し背面ガス導入口群11aの各ガス導入口から酸素ガス通路31を直線状にまっすぐに通流してそのまま前面1Fのガス噴出し口群21bの各吹き出し口からバーナヘッド前面の前方に向けて噴出される。このとき、噴出される酸素ガスは、図2、4,5,6に示すように横長矩形状の噴出し領域と噴出し先領域を形成するように噴出される。
【0044】
一方、水素ガスは、水素ガス供給管70からバーナヘッド8の周側面を囲繞するバッファフレーム60の第2フレーム壁体60-2の第2バッファ室16内に進入しさらに側面ガス導入口群12a-1~12a-4の各ガス導入口から水素ガス通路41内を通流してバーナヘッド8の前面1Fのガス噴出し口群21b、22b-1~22b-4の各ガス噴出し口から水素ガスを噴き出す。この時、水素ガスの一部は図9(a),(b)のようにバーナヘッド8の側面3F-1~3F-4から進入して通路をL字状に屈曲案内されて前面1Fから噴き出す。また、他の水素ガスの一部は、図9(c)のように、貫通孔51から進入し、これに連通しつつそれぞれL字状に5つに分岐された枝通路52を経由して前面1Fから噴き出す。実施形態では、第1バッファ室15から導入されバーナヘッド8内を直進しその前面から噴出されるガスは燃焼ガス1Gであり、第2バッファ室16から導入されバーナヘッド8内を経由してその前面から噴出されるガスは可燃ガス2Gであることにより、燃焼ガスと可燃ガスが接触しないように完全に遮断しつつガスの種類ごとに通流するルートを異ならせて管理やメンテナンスを容易にさせることができる。
【0045】
バーナヘッド8の前面1Fの噴出し口群21b、22b-1~22b4は、バーナヘッド8のソリッド体の形状に応じて略横長四角形状に集中して口孔が形成されており、これによって、燃焼ガス及び可燃ガスが同時に横長四角形状の広域な加炎加工領域を形成し、加工領域を広く確保して加工時間短縮、所望の加工形状に則した火炎加工の実施、加工精度の確保を実現することができる。
【0046】
本発明のバーナヘッド装置10は、上記した実施形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、背面、周側面のガス導入孔の直径サイズや前面のガス噴出し口孔の直径サイズは実施例のサイズに限定されるものではなく、ガスの供給側の流速その他の条件に応じて任意サイズに設定することができる。また、前面や周側面における孔の配置や孔の数も実施例構成に限定されるものではない。また、バーナヘッド8の内部のガス通路の配置構成やL字その他のルート構成も実施例構成に限定されない。例えば、直角L字でなく屈曲が90度より浅い、あるいはさらに深い屈曲構成としてもよい。また、第1バッファ室15と第2バッファ室16とは必ずしも連結している必要はない。例えば、バッファフレーム60の第1、第2フレーム壁体60-1,60-2を切り離しそれぞれ個別にのみ第2バッファ室16が周側面側のガス導入口群12a-1~12a-4の多数のガス導入口に空間を共有されるように第2フレーム壁をバーナヘッド8に連結接合させ、第1バッファ室15が背面側のガス導入口群11aの多数のガス導入口に空間を共有されるように第1フレーム壁をバーナヘッド8に連結接合させてもよい。また、バーナヘッドの構成材料は、石英ガラスに限定されるものではなく、その他のガラス、耐火物、ファインセラミックス等の非金属無機材料、耐熱性、耐食性を有する金属、合金材料等を用いることができる。
【0047】
上記の実施形態による例で実現されるバーナヘッド装置10は、ガスの噴出し面1Fを有するブロック体のバーナヘッド8であり、多数のガス通路31、41を内部に形成すると共に多数のガス通路31、41に連通する多数のガスの噴出し口21b、22bを設けた噴出し面1Fから燃焼ガス1Gと可燃ガス2Gを噴き出すバーナヘッド8と、噴出し面1F以外のバーナヘッド8の部分(XF)に設けられた燃焼ガス供給用の多数のガス導入口を含む第1導入口群11aと、噴出し面以外のバーナヘッド8の部分XFに設けられた可燃ガス供給用の多数のガスの導入口を含む第2導入口群(12a―1~12a―4)と、燃焼ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第1バッファ室15と、可燃ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第2バッファ室16と、を含むことにより、バーナヘッドの外形形状やサイズ等を変更、調整して多数のガスの噴出し口群の配置形状や広がり等を変更することで自在の火炎加工領域を生成することができる。例えば、横長にしたい場合や広い加工領域を得たい場合にも対応できる。この結果、火炎加工対象物の範囲が広くなり、加工分野、加工精度も大幅に向上させることが可能である。
【0048】
また、前面と側面と背面を有するブロック体からなるバーナヘッドであり、多数のガス通路を内部に形成すると共に多数のガス通路に連通する多数のガスの噴出し口を設けた前面から燃焼ガスと可燃ガスを噴き出すバーナヘッドと、バーナヘッドの背面に設けられた多数のガスの導入口と、バーナへッドの側面に設けられた多数のガスの導入口と、背面側の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第1バッファ室と、側面側の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第2バッファ室と、を含むことにより、火炎加工領域を自在に変更でき、火炎加工対象物の範囲が広くなり、加工分野、加工精度も大幅に向上させ得るバーナヘッド装置を具体的に製作することができる。
【0049】
また、第1バッファ室と、第2バッファ室と、をフレーム壁により形成するバッファフレームが設けられており、バーナヘッドとバッファフレームは石英ガラス製であり、少なくとも第1バッファ室と、第2バッファ室それぞれがバーナヘッドの多数のガスの導入口に連通するように、バッファフレームは、バーナヘッドに接合されて一体化されていることにより、バーナヘッドと第1、第2バッファ室を構成材料で一体化することにより、精密加工仕上がり精度が良好で故障が少なく耐久性が高い共に、火炎加工用バーナとして取扱いが容易である上に、石英ガラスを素材とすることにより耐熱性、耐食性に優れる。
【0050】
また、第1バッファ室と、第2バッファ室とは室内どうしが連通しないように隔壁で分離された状態でバーナヘッドを内側に包み込むようにバーナヘッドと接合一体化されていることにより、加工用バーナとしての作業上の取扱いが簡単で管理、メンテナンスも容易であるとともに、バーナヘッドと両バッファ室が一体化されることで装置全体の強度が高くなり、アクチュエータのチャッキング操作などに耐え得る耐久性を保持し得る。
【0051】
バーナヘッドは、前面が一方向に長い噴出し面であることとすることにより、例えば横長い加工領域を有する対象物に対しても横長の火炎加工領域を確実に形成することができ、加工時間短縮、加工精度向上に資する。
【0052】
また、バーナヘッドは、背面側のガス導入口に連通しつつ前面側のいくつかのガス噴出し口に直通する第1ガス通路群と、側面側のガス導入口に連通しつつ前面側のいくつかのガス噴出し口に連通する第2ガス通路群と、を含むことにより、燃焼ガスと可燃ガスとの接触を確実に防止しつつガス通路の管理、メンテナンスを容易に行える。
【0053】
また、第2ガス通路群は、バーナヘッドの側面側ガス導入口から前面側ガス噴出し口に連通する直通及び/又は屈曲ガス通路を含むことにより、バーナヘッドの側面側から前面側にガスの通路を具体的に形成させることができる。
【0054】
また、第1バッファ室から導入されバーナヘッド内を直進しその前面から噴出されるガスは燃焼ガスであり、第2バッファ室から導入されバーナヘッド内を経由してその前面から噴出されるガスは可燃ガスであることにより、燃焼ガスと可燃ガスとの接触を確実に防止しつつガス通路の管理、メンテナンスを容易に行える。
【0055】
以上のように、本発明のバーナヘッド装置によれば、ピンポイント等の従来の火炎加工領域を大幅に広げるとともに任意の加工領域形状の加工範囲を形成できるから、被加工物の対象範囲を大幅に大きくでき、さらに、加工時間短縮、加工精度向上等を実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のバーナヘッド装置は、家庭用調理器具、半導体プロセス用の素材加工、科学研究・開発用品、クリーンルーム、実験・研究用器具等の加工用途、その他火炎加工の幅広い分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1F 前面(噴出し面)
2F 背面
3F-1~3F-4 側面
1G 燃焼ガス
2G 可燃ガス
8 バーナヘッド
10 バーナヘッド装置
11a 背面ガス導入口群
12a-1~12a-4 側面ガス導入口群
21 前面ガス噴出し口群
22b-1~22b-4 側面ガス噴出し口群
15 第1バッファ室
15S バッファ空間
16 第2バッファ室
16S バッファ空間
31 酸素ガス通路
31a 第1ガス通路群
41 水素ガス通路
41a 第2ガス通路群
60 バッファフレーム
70 水素ガス供給管
80 酸素ガス供給管
【要約】
【課題】任意の火炎加工領域形状、範囲を生成可能なバーナヘッド装置を提供する。
【解決手段】
ガスの噴出し面1Fを有するバーナヘッド8と、噴出し面1F以外のバーナヘッド8の部分(XF)に設けられた燃焼ガス供給用の多数のガス導入口を含む第1導入口群11aと、噴出し面以外のバーナヘッド8の部分XFに設けられた可燃ガス供給用の多数のガスの導入口を含む第2導入口群(12a―1~12a―4)と、燃焼ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第1バッファ室15と、可燃ガス供給用の多数のガスの導入口と共有する空間を有する第2バッファ室16と、を含む。バーナヘッドを加工して内部にガス通路を設けかつ異なるガスそれぞれのバッファ室を設けることで実現する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10