(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】矢印板自動設置・回収装置および矢印板の設置回収方法
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20220228BHJP
B60P 1/44 20060101ALI20220228BHJP
B60P 1/48 20060101ALI20220228BHJP
B65G 47/02 20060101ALI20220228BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20220228BHJP
B65G 59/00 20060101ALI20220228BHJP
B66F 9/065 20060101ALI20220228BHJP
B66F 9/18 20060101ALI20220228BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20220228BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20220228BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20220228BHJP
E01F 9/70 20160101ALI20220228BHJP
【FI】
B60P1/46 A
B60P1/44
B60P1/48
B65G47/02
B65G47/14
B65G59/00
B66F9/065 Z
B66F9/18 D
E01F9/00
E01F9/608
E01F9/688
E01F9/70
(21)【出願番号】P 2018092760
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000191353
【氏名又は名称】新明工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508001431
【氏名又は名称】西日本高速道路メンテナンス九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】木戸 由紀雄
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-154885(JP,A)
【文献】米国特許第6158948(US,A)
【文献】特開昭62-56299(JP,A)
【文献】特開平03-114935(JP,A)
【文献】特開2008-250271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/46
B66F 9/065
B66F 9/18
E01F 9/70
E01F 9/608
E01F 9/688
E01F 9/00
B60P 1/44
B60P 1/48
B65G 47/02
B65G 47/14
B65G 59/00
E01F 9/688
E01F 9/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の矢印板を矢印板収納部から移設待機部まで搬送可能とするコンベア装置と、
移設待機部にある矢印板を一つずつ持ち上げて道路上に設置する設置動作および道路上の矢印板を一つずつ持ち上げて移設待機部に回収する回収動作を行なう矢印板移設装置とを車両に搭載してなり、
前記矢印板移設装置は、矢印板の左右に設けた支持用の縦溝に挿入される左右一対の爪部と、
これらの爪部を左右方向に移動可能に支持し前記縦溝と爪部の位置合わせを行なう左右移動手段と、
前記移設待機部から矢印板を出し入れするときは前記爪部を車両の前方に向け、道路上に矢印板を設置回収するときは前記爪部を車両の後方に向けるように水平旋回させる旋回手段と、
前記爪部の位置を移設待機部の矢印板の位置から道路上の矢印板の位置の間で水平を保った状態で移動可能に支持する左右それぞれ2本の移設アームとを備えることを特徴とする矢印板自動設置・回収装置。
【請求項2】
前記車両は矢印板の位置を計測する位置確認センサを備え、前記左右移動手段は位置確認センサによって計測した矢印板の位置に合せて前記左右移動手段の位置を前記爪部が縦溝の位置に合うように調節する位置自動調節部を備える請求項1に記載の矢印板自動設置・回収装置。
【請求項3】
前記コンベア装置は、矢印板収納部にある矢印板のうち一つを切り分ける切り分け板を備え、この切り分け板によって切り分けられた矢印板のみを移設待機部まで搬送するものである請求項1または請求項2に記載の矢印板自動設置・回収装置。
【請求項4】
前記位置確認センサは矢印板にレーザ光を照射する発光部と、矢印板によって反射するレーザ光を受光する受光部と、受光したレーザ光から矢印板の位置を求める処理部とを備える測域センサであり、矢印板の回収時以外は測域センサを車両内部に収容する収容機構を備える請求項2または請求項3の何れかに記載の矢印板自動設置・回収装置。
【請求項5】
前記矢印板移設装置の動作に干渉しない位置において後続車両に対して文字または映像による案内表示を可能とする標識装置を備える請求項1~請求項4の何れかに記載の矢印板自動設置・回収装置。
【請求項6】
一端が前記移設アームに連結されて移設アームにかかる重力と反対方向の力を作用させる弾性体を備える請求項1~請求項5の何れかに記載の何れかに記載の矢印板自動設置・回収装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れかに記載の矢印板自動設置・回収装置を用い、道路を略一定速度で走行しながら、矢印板移設装置の爪部を前方に向けた状態で移設待機部に待機させ、矢印板収納部にある矢印板をコンベア装置によって移設待機部に搬送させた後に、矢印板移設装置を用いて道路上に移動させると共に旋回手段によって爪部を車両の後方に向けさせ、走行に伴って爪部を矢印板の縦溝から引き抜くことにより矢印板を道路上に設置する設置、および、
道路を略一定速度で後退しながら、矢印板移設装置の爪部を後方に向けさせた状態で道路上の矢印板の縦溝に対応する位置に配置させ、車両の後退によって爪部を矢印板の縦溝に挿通させた後に矢印板移設装置を用いて移設待機部に移動させると共に旋回手段によって爪部を車両の前方に向けさせ、移設待機部にある矢印板をコンベア装置によって矢印収容部に搬送させて収容する収集を行なう矢印板の設置回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭乗した状態で複数の矢印板を自動で設置し、回収する矢印板自動設置・回収装置および矢印板の設置回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上で事故車両が発生した場合や道路工事を行なう場合などで車線を規制する際、規制区間内に車両が進入することがないように、道路上に矢印板を作業者により設置作業を行なうことがある。とりわけ高速道路においては道路工事区間は数キロに渡って規制する必要があった。このため、矢印板の設置時は、作業者が車両の荷台上から矢印板を持ち上げて、例えば20m間隔などの設置距離毎に道路上に設置する必要があった。また、矢印板の回収時には、作業者が道路上に設置してある矢印板を持ち上げて車両の荷台上に収容していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、矢印板は軽量で有ればあるほど、風の強い日や高速で通過する車両の風圧などを受けるときに、矢印板が倒れる可能性があるため、矢印板の重量を上げるために作業者は例えば10kgの砂袋などを一緒に設置することがあるが、それだけ作業者に負担がかかることは避けられなかった。
【0005】
加えて、矢印板の設置時や回収時は、車両を高速道路上に停止させて、作業者が車両から降りて高速道路上で作業をしているため、高速道路を走行している車両に対して接触などの十分に注意を払う必要があった。
【0006】
このため、特許文献1に示すように、作業者の安全性の負担を低減させるために矢印板の設置回収を自動で行なうことができる矢印板部材の自動設置撤去装置が提案されている。
【0007】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、車両に搭乗した状態で複数の矢印板を自動で設置し、回収する矢印板自動設置・回収装置および矢印板の設置回収方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、第1発明は、複数の矢印板を矢印板収納部から移設待機部まで搬送可能とするコンベア装置と、移設待機部にある矢印板を一つずつ持ち上げて道路上に設置する設置動作および道路上の矢印板を一つずつ持ち上げて移設待機部に回収する回収動作を行なう矢印板移設装置とを車両に搭載してなり、前記矢印板移設装置は、矢印板の左右に設けた支持用の縦溝に挿入される左右一対の爪部と、これらの爪部を左右方向に移動可能に支持し前記縦溝と爪部の位置合わせを行なう左右移動手段と、前記移設待機部から矢印板を出し入れするときは前記爪部を車両の前方に向け、道路上に矢印板を設置回収するときは前記爪部を車両の後方に向けるように水平旋回させる旋回手段と、前記爪部の位置を移設待機部の矢印板の位置から道路上の矢印板の位置の間で水平を保った状態で移動可能に支持する左右それぞれ2本の移設アームとを備えることを特徴とする矢印板自動設置・回収装置を提供する。(請求項1)
【0009】
前記コンベア装置を用いることにより、矢印板を矢印板収納部と移設待機部の間で搬送することができ、移設待機部にある矢印板は左右一対の爪部によって安定して持ち上げることができ、矢印板移設装置によって一つずつ持ち上げて道路上に設置できる。他方、道路上の矢印板を爪部によって持ち上げて移設待機部に回収することができる。
【0010】
設置時には、前記移設アームは左右それぞれ2本あり、水平を保った状態で移動可能に構成されているので、爪部によって支持されている矢印板を落とすことなく移動させることができ、旋回手段によって爪部を車両の前方に向け、矢印板収納部に収納した矢印板を移動待機部に搬送させると同時に爪部に矢印板の縦溝に挿通させ、移設アームによって移設待機部から道路上に移動させることができる。また、前記移設アームによる移動の間に旋回手段によって爪部を車両の後方に向けることにより、道路上に移動させた矢印板を車両の走行に伴って爪部から引き抜くことができる。前記左右移動手段によって爪部の位置を任意に調節可能である。
【0011】
回収時には、前記旋回手段によって爪部を車両の後方に向けた状態で、移設アームを道路上に位置させ、車両を後退させながら左右移動手段によって爪部の位置を調節することにより爪部を矢印板の縦溝に挿通させることができる。この状態で移設アームを用いて矢印板を移設待機部に移動させることができる。同時に、旋回手段によって爪部を車両の前方に向けることにより移設待機部に移動させた矢印板をコンベア装置を用いて矢印板収納部に収納することができる。
【0012】
従って、車両から作業者が降りることなく車両の矢印板収納部に収納した複数の矢印板を一つずつ持ち上げて、道路上に設置させることができ、また、道路上の矢印板を回収し、コンベア装置の矢印板収納部に格納することができるので、長い距離に渡る道路に対して矢印板の設置回収を安全に行なうことができる。加えて、車両を走行させながら矢印板の設置回収を行なうことができるので作業時間の短縮を図ることが出来る。
【0013】
前記矢印板は、道路上に設置された状態で風によって倒れることがない程度の自重を備えるものであり、かつ、前後の路面に接するように平面視略ハ字状に配置された左右一対の棒状の脚部をそなえるものであることが好ましく、これによって、道路を走行する車両の風圧などによって矢印板が倒れることを防止することが出来る。また、矢印板は道路の走行車両に対して案内を行なう矢印の形状に設けられた発光部と、この発光部に供給する電力を制御することにより発光部の点灯および消灯を制御可能とする制御部と、無線通信により発光部の点滅制御信号を受信可能とする受信部と、この通信部に点滅制御信号を送信する送信部とを備えることにより夜間の視認性を高め、長距離に渡って設置された各矢印板の発光部を一括して点灯または消灯できるものであることが好ましい。
【0014】
前記爪部は左右一対備えるので、矢印板をその左右両側において水平状態を保った状態で安定して支持することができる。略水平方向に延設させたブレードと、このブレードの先端部に設けた突部と、前記ブレードが矢印板の縦溝に挿通した状態を検出する近接センサとを備え、また、爪部はその先端部において爪部によって矢印板を支持した状態でブレードから矢印板が外れることを防止するフックを備えるものであることが好ましい。
【0015】
前記旋回手段は、爪部の基端部に連結する基部を回動自在に支持する回転軸と、この回転軸に回転力を供給する旋回モータと、この回転軸が旋回範囲の限界位置にある状態を検知する旋回角センサと、前記回転軸に連結された当接片と、この当接片に当接することにより回転軸の旋回範囲の限界を定める弾性体とを備えるものであることにより、旋回モータによって例えば180度の回転範囲で爪部を回転させることができ、かつ、回転角センサによって爪部が車両の前方を向いているか後方を向いているかを判別することができる。
【0016】
前記左右移動手段は、前記旋回手段を左右方向に摺動自在に支持する摺動支持部と、この摺動支持部に一部が連結された環状ベルトと、この環状ベルトを巻回させる少なくとも左右一対のプーリーと、これらのプーリーに巻回した環状ベルトに巻回する一つのプーリーに回転力を供給する駆動モータと、爪部が左右移動手段の左右移動範囲の限界および中央にある状態を検知する摺動位置センサとを備えるものであることにより、駆動モータの回転によって摺動範囲内で爪部を左右方向に移動させることができ、摺動位置センサによって爪部の位置を確認することができる。
【0017】
前記車両は矢印板の位置を計測する位置確認センサを備え、前記左右移動手段は位置確認センサによって計測した矢印板の位置に合せて前記左右移動手段の位置を前記爪部が縦溝の位置に合うように調節する位置自動調節部を備える場合(請求項2)には、位置確認センサが計測した矢印板の位置に合わせて位置自動調節部が爪部の位置を調節するので、車両の運転者は矢印板の配置時のみならず回収時にも運転に集中することができ、それだけ、安全を確保しながら作業を行なうことができる。
【0018】
なお、位置確認センサは任意のものが考えられ、例えばレーザ光を走査させて反射光から物品の配置を計測する測域センサ、車両後退時における映像を撮像して得られた画像の画像処理によって矢印板の位置を確認する画像認識を用いたセンサなど、種々の非接触センサを用いる構成が考えられることはいうまでもない。加えて、位置確認センサの取り付け位置についても、車両の後端部中央であって前記移設アームが爪部を最も下げた位置よりも下部に配置させることにより矢印板の位置を常に確認出来るため好ましいが、2つの爪部の間に配置して爪部により矢印板の係合状態を確認するセンサを兼用させる構成など種々の変形が考えられる。
【0019】
前記位置確認センサを車両の後端部中央部に設ける場合は、位置確認センサをセンサ収容部に収容させるセンサ収容機構を設けて、収容状態の位置確認センサを保護することが好ましい。矢印板の位置をより正確に確認するために矢印板側に反射部を設けてある場合には、位置確認センサは矢印板の反射部によって反射しやすい波長の光を選択的に用いるものであることが好ましい。
【0020】
前記コンベア装置は、矢印板収納部にある矢印板のうち一つを切り分ける切り分け板を備え、この切り分け板によって切り分けられた矢印板のみを移設待機部まで搬送するものである場合(請求項3)には、確実に一つの矢印板のみを移設待機部に配置させることができるので、爪部による移設を確実に行なうことができる。なお、切り分け板で切り分けられた残りの矢印板は切り分け板で抑えられることによりコンベア装置との間で滑って矢印板収納部に留まることができる。前記コンベア装置は複数の矢印板をコンベア装置の矢印板収納部に収納した状態で矢印板の脚部を乗せるコンベアベルトを備えるが、コンベアの搬送能力はコンベア装置と矢印板収容部に収容されるすべての矢印板の当接部分の動摩擦力の合計よりも強くなるようにする。なお、矢印板の脚部を滑りの良い合成樹脂によって形成することにより、コンベア装置の搬送能力を抑えてエネルギーの損失を抑えてられるように構成してもよい。
【0021】
前記位置確認センサは矢印板にレーザ光を照射する発光部と、矢印板によって反射するレーザ光を受光する受光部と、受光したレーザ光から矢印板の位置を求める処理部とを備える測域センサであり、矢印板の回収時以外は測域センサを車両内部に収容する収容機構を備える場合(請求項4)には、比較的安価な構成でレーザ光を用いた確実な位置確認を行うことができると共に、画像処理のような複雑な演算処理を行わなくても矢印板の位置を正確に測定することができる。
【0022】
前記矢印板移設装置の動作に干渉しない位置において後続車両に対して文字または映像による案内表示を可能とする標識装置を備える場合(請求項5)には、矢印板を設置した後の矢印板自動設置・回収装置をそのまま道路上に停車させて、走行車両に対して標識装置に案内表示を行なうことが可能となり、万が一矢印板で規制された車線内に車が進入することがあったとしても矢印板自動設置・回収装置が規制車線内に侵入した車両を食い止めることができる。なお、この矢印板自動設置・回収装置の後端部には、万一車両が衝突したときの衝撃を緩和する緩衝材を設けることが好ましい。
【0023】
一端が前記移設アームに連結されて移設アームにかかる重力と反対方向の力を作用させる弾性体を備える場合(請求項6)には、移設アームを傾斜させるときに作用する重力の影響を弾性体の作用によって小さくすることができ、それだけ、エネルギー消費を小さくすることができるので好ましい。
【0024】
第2発明は、前記矢印板自動設置・回収装置を用い、道路を略一定速度で走行しながら、矢印板移設装置の爪部を前方に向けた状態で移設待機部に待機させ、矢印板収納部にある矢印板をコンベア装置によって移設待機部に搬送させた後に、矢印板移設装置を用いて道路上に移動させると共に旋回手段によって爪部を車両の後方に向けさせ、走行に伴って爪部を矢印板の縦溝から引き抜くことにより矢印板を道路上に設置する設置動作、および、道路を略一定速度で後退しながら、矢印板移設装置の爪部を後方に向けさせた状態で道路上の矢印板の縦溝に対応する位置に配置させ、車両の後退によって爪部を矢印板の縦溝に挿通させた後に矢印板移設装置を用いて移設待機部に移動させると共に旋回手段によって爪部を車両の前方に向けさせ、移設待機部にある矢印板をコンベア装置によって矢印収容部に搬送させて収容する収集動作を行なう矢印板の設置回収方法を提供する。(請求項7)
【0025】
前記矢印板の設置回収方法を行なうことにより、矢印板の設置時にも回収時にも作業者が車両を降りて作業をする必要が無く、それだけ、安全に矢印板の設置回収を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る矢印板自動設置・回収装置を透過して示す側面図である。
【
図2】
図1の矢印板自動設置・回収装置を透過して示す平面図である。
【
図3】前記矢印板自動設置・回収装置を後方から見た図である。
【
図4】前記矢印板自動設置・回収装置の斜視図である。
【
図5】前記矢印板自動設置・回収装置の透過斜視図である。
【
図6】矢印板移設装置の詳細な構成および動作を説明する側面図である。
【
図7】前記矢印板移設装置の更に詳細な構成を示す側面図である。
【
図8】位置確認センサ周辺の詳細な構成を説明する図である。
【
図10】前記左右移動手段の構成を示す正面図である。
【
図12】前記旋回手段および左右移動手段の構成を示す側面図である。
【
図16】前記爪部と矢印板の関係を示す正面図である。
【
図17】本発明の矢印板の設置回収方法を説明する図である。
【
図18】前記矢印板の設置回収方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~
図5は、本発明に係る矢印板自動設置・回収装置1の実施形態の全体構成を示す図であり、複数の矢印板2を矢印板収納部3Aから移設待機部3Bまで搬送可能とするコンベア装置3と、移設待機部3Bにある矢印板2を一つずつ持ち上げて道路4上に設置する設置動作および道路4上の矢印板2を一つずつ持ち上げて移設待機部3Bに回収する回収動作を行なう矢印板移設装置5とを車両6に搭載してなり、前記矢印板移設装置5は、矢印板2の左右に設けた支持用の縦溝2Aに挿入される左右一対の爪部7と、これらの爪部7を左右方向に移動可能に支持し前記縦溝2Aと爪部7の位置合わせを行なう左右移動手段8と、前記移設待機部3Aから矢印板2を出し入れするときは前記爪部7を車両6の前方6Fに向け、道路上に矢印板2を設置回収するときは前記爪部7を車両6の後方6Rに向けるように水平旋回させる旋回手段9とを備える。
【0028】
図6、
図7は矢印板移設装置5の構成および動作を説明する図である。
図6、
図7に示すように、矢印板移設装置5は、前記爪部7の位置を移設待機部3Aの矢印板2の位置から道路4上の矢印板2の位置の間で水平を保った状態で移動可能に支持する左右それぞれ2本の移設アーム10A,10Bと、一方の移設アーム10Aの回転軸に回転力を供給させて移設アーム10A,10Bを回動させる駆動モータ10Cとを備える。なお、以下の説明において移設アーム10A,10Bを区別する必要が無い場合には単に移設アーム10と表現する。
【0029】
前記移設アーム10A,10Bは基端部の離れた2箇所において車体6側に回動自在に支持されており、かつ、移設アーム10A,10Bの遊端部においては同じ距離だけ離れた位置において、左右移動手段8に回動自在に支持されることにより、左右移動手段8、旋回手段9、爪部7を平行を保った状態で移動させることができる。
【0030】
図6に示すように、前記移設アーム10Aの回動範囲は、コンベア装置3上の移設待機部3Bに位置する矢印板2の縦溝2Aに爪部7を抜き差し可能とする位置に配置させる第1角度θ1と、爪部7を最も引き上げた第2角度θ2と、搬送中間位置にある題3角度θ3と、矢印板2を道路4の上に浮かせた状態で支持させる第4角度θ4と、矢印板2を道路4上においた状態で爪部7を縦溝2Aから引き抜くことができる高さに配置させる第5角度θ5の間に設定されており、移設アーム10はその回転角が各角度θ1,θ3~θ5の位置にあることを検知する回転角センサ10D(
図3のみに図示)を備える。
【0031】
前記車両6はその最後端の左右方向中央下端に、前記矢印板2の位置を計測する位置確認センサ11を備えており、前記矢印板移設装置5は位置確認センサ11によって計測した矢印板2の位置に合せて前記左右移動手段8の位置を前記爪部7が縦溝2Aの位置に合うように調節する位置自動調節部12(
図9,
図10参照)を備える。なお、6Aは車両6の後端部に取付けられて後続車両が万一衝突したときの衝撃を和らげる緩衝体である。
【0032】
さらに、前記コンベア装置3は、駆動モータ3Cに連動可能に連結された前後の回転軸3D,3Eと、この回転軸3D,3Eに設けた左右それぞれ1対のスプロケットに巻回された4本のコンベアチェーンをガイドする4本のガイド溝3Fと、矢印板収納部3Aにある矢印板2のうち一つを切り分ける切り分け板13A,13Bと、これらの切り分け板13A,13Bを上下に進退駆動するシリンダ14A,14Bと、前記切り分け板13A,13Bの間および両側に矢印板2があるかどうかを検知する近接センサ14Sと、矢印板切り出し制御部(図示していない)とをそれぞれを備え、これらの切り分け板13A,13Bによって切り分けられた一つの矢印板2のみを移設待機部3Bまで搬送可能とするものである。
【0033】
また、矢印板収納部3Aには25枚の矢印板2を重ねて収容することができるように構成されており、4本のコンベアチェーンによって矢印板2を安定して載置できると共に搬送することができるように構成している。
【0034】
図8は位置確認センサ11の取付位置の構成を示す図である。
図7に示すように、前記位置確認センサ11は矢印板2にレーザ光を走査しながら照射する発光部11Aと、矢印板2によって各走査角において反射するレーザ光を受光する受光部11Bと、受光した各走査角におけるレーザ光を用いて矢印板2の位置を求める処理部とを備える測域センサ(以下、測域センサ11という)である。
【0035】
なお、測域センサ11は、車両を後退させるとき以外は保護のために収容して保護するためのセンサ収容機構11Cを備えることが好ましい。なお、このセンサ収容機構11Cは測域センサ11を傾倒自在に支持するアーム11Dと、測域センサ11を保護する保護ケース11Eと、このアーム11Dに連結されて測域センサ11を保護ケース11E内に収容させた状態から測域を行う状態の切替を行なう進退シリンダ11Fと、保護ケース11内への測域センサ11の収容状態を検知する近接センサ11Gとを備える。
【0036】
測域状態の測域センサ11の位置は、移設アーム5が爪部7を道路4上に配置させた下げた位置よりも下部に位置させる。これにより、
図1に矢印Fに示すように、爪部7に視界が遮られることなく、矢印板2の位置を常に確認できる。
【0037】
図1、
図3~
図5に示すように、前記車両6は、前記矢印板移設装置5の動作に干渉しない位置において後続車両に対して文字または映像による案内表示を可能とする標識装置16を備える。なお、本実施形態の標識装置16は矢印板の設置回収装置1の上端部において表示状態と収納状態を切り替え可能に取り付けられている。
【0038】
再び、
図6、
図7に示すように、前記矢印板移設装置5は、一端が前記移設アーム10Aに連結されて移設アーム10A,10Bにかかる重力と反対方向の力を作用させる弾性体としてのガススプリング17と、このガススプリング17のロッドの先端部に回動自在に取り付けられたスプロケット18、車両6側に回動自在に取り付けられたスプロケット19と、これらのスプロケット18,19に巻回されると共に一端を車体側に固定した端を前記移設アーム10Bの回動中心から離れた位置に傾倒可能に取り付けられたチェーン20とを備える。スプロケット19は、前記移設アーム10Aは第2角度θ2の位置であるときにスプロケット19に巻回されるチェーン20のほぼ延長線上に移設アーム10Aの回転軸が来る位置に配置されることにより、ガススプリング17が伸張する方向に加える力をチェーン20を介して移設アーム10Aに加えることができると共に、この移設アーム10Aにかかる力を重力と反対方向に作用させて移設アームの回転に必要な力をできるだけ小さくできるように構成している。
【0039】
図9は左右移動手段8の詳細な構成を説明する平面図、
図10は正面図である。
図9,
図10に示すように、前記左右移動手段8は前記移設アーム10A,10Bの遊端部を回動自在に支持する回動連結部21A,21Bを備える平面視略コ字状のフレーム21と、このフレーム21に取付けられて前記爪部7に連結する旋回手段9を左右方向に摺動可能に支持する直線運動部22と、フレーム21の左右両端部に回動自在にそれぞれ取付けられた左右一対のプーリ23と、中央部に設けたモータ24と、このモータ24に連結するプーリ25と、これらのプーリ23,25に巻回されて旋回手段9に連結するベルト26と、このベルト26にかかる張力を調節するプーリ27と、前記旋回手段9が左右の両端部および中間部に位置する状態を検知する近接センサ28と、これらの近接センサ28を含む信号線をガイドする配線フレキシブルチューブ29と、前記測域センサ11に接続されて備える。
【0040】
前記モータ24の回転は測域センサ11に測定される矢印板2の位置に合わせて位置自動調節部12の制御によって回転することにより、爪部7の位置を矢印板2の縦溝2Aの位置に合わせて左右方向に位置を自動調節することができる。
【0041】
図11~
図13は旋回手段9の詳細な構成を示す図であって、
図11は正面図、
図12は側面図、
図13は平面図である。
図11~13に示すように、旋回手段9は前記直線移動部22に連結されるフレーム31と、このフレーム31の下部に基部が回動自在に支持される回転軸32とこの回転軸32に回転力を供給する旋回モータ33と、前記回転軸32の上端部に連接されて回転軸32と共に回転する略L字状のアングル34Aおよびアングル34Aからなる旋回範囲の限界位置にある状態を検知する近接センサ34B,34Cからなる旋回角センサ34と、回転軸32に連結された当接片35と、この当接片35に当接することにより180度の旋回範囲の限界位置において当接片35が当接する合成樹脂製の当り部36とを備える。
【0042】
従って、前記旋回角センサ34は限界位置として、爪部7を車両6の前方に向けた状態から、車両6の後方に向けた状態までの180度の回転範囲において、爪部7がどちらの方向に向いているかを判別するものであり、前記当接片35と当り部36によって前記角度範囲において旋回範囲の規制を行なうものである。
【0043】
図14~
図16は前記爪部7の詳細な構成を示す図であって、
図14は平面図、
図15は側面図、
図16は矢印板2との関係を示す正面図である。
図14~
図16に示すように、爪部7は矢印板2の左右両側に設けた縦溝2Aの間隔に合せた間隔で配置され、矢印板2を支持する十分な強度を備える金属板からなる一対のブレード40と、このブレード40に連結された略棒状のベースを支持する基端部41と、前記ブレード40の外側に取付けられて矢印板2が当接する当接面42とを備える。
【0044】
また、ブレード40にはその上面を覆う合成樹脂からなる緩衝部43Aと、その先端部に矢印板2を支持した状態で矢印体2が外れることを防止するフック43Bとを形成する樹脂カバー43を備える。また、前記当接面42にも矢印板2が当接する部分において矢印板2に当接する部分を覆う合成樹脂からなる樹脂カバー44を備える。さらに、45は基端部41の矢印板2との距離を測定する距離センサである。
【0045】
一方、矢印板2は道路4上に設置されて道路走行車両に対して案内を行なう矢印部50が形成された略矩形板状の本体部51と、この本体部51の左右両側の下端部に設けた略棒状体であり本体前後の路面に接することにより本体部51を道路に対して略垂直に支持する平面視略ハ字状に配置された脚部52とを備えるものである。また、前記縦溝2Aの上端部には略逆V字状の係止位置決め部53を形成してあることにより、爪部7によって矢印板2を持ち上げた状態で矢印板2の位置を安定させるように構成している。
【0046】
図17,
図18は上記構成の矢印板2の設置回収装置1を用いた矢印板の設置回収方法を示す図であって、
図17は矢印板の設置方法を説明し、
図18は矢印板2の回収方法を説明する。
【0047】
図17に示すように、前記道路4を略一定速度で走行させながら、矢印板移設装置5の爪部7を前方に向けた状態で移設待機部3Bに待機させることにより、爪部7に対する矢印板2の移設待機を行なうことができる。(ステップS1)
【0048】
次いで、矢印板収納部3Aにある矢印板2をコンベア装置3によって移設待機部3Bに搬送させる。(ステップS2)
【0049】
ここで、前記シリンダ14Aを用いて切り分け板13Aを突出させ、コンベア装置3による搬送を行なうことにより、切り分け板13Aに当接するまですべての矢印板2を移設待機部3B側に搬送することができる。また、切り分け板13Aへの矢印板2の当接状態を近接センサ14Sによって検知できると、シリンダ14Bを用いて切り分け板13Bを突出させた後、シリンダ14Aを用いて切り分け板13Aを退縮させ、さらにコンベア装置3による搬送を行なうことにより、1つの矢印板2のみを移設待機部3Bに搬送させることができる。
【0050】
この時点で、近接センサ14Sによって矢印板2が検出されない場合には、矢印板収納部3Aに矢印板2が残っていないことを検知して、例えばアラームや表示などによって残り矢印板2が無くなったことを知らせることができる。
【0051】
コンベア装置3によって矢印板2が移設待機部3Bに搬送されると、この矢印板2の縦溝2Aに前記爪部7が挿通し、前記爪部7に設けた距離センサ45は矢印板2の挿通状体を検知し、これによってコンベア装置3による搬送を停止させる。
【0052】
次に、矢印板移設装置5を用いて道路4上に移動させると共に旋回手段9によって爪部7を車両6の後方に向けさせる。(ステップS3)
【0053】
すなわち、前記駆動モータ10Cを用いて移設アーム10A,10Bを回転させてその角度を第1角度θ1から第3角度θ3まで回転させることにより、回転角センサ10Dがこれを検出し、前記旋回手段9を用いて爪部7を車両6の後方に向けさせることにより、矢印板2を道路4上に降ろす準備を行ない、さらに駆動モータ10Cを用いて移設アーム10A,10Bを第4角度θ4まで回転させることにより、道路4から僅かに浮かせた状態で走行することができる。
【0054】
この状態で車両6が走行させることにより、例えば20m間隔などの所定の距離だけ走行するまでこの位置に矢印板2を支持させた状態で、走行を継続することができる。なお、図示は省略するが、この状態で作業者が図示していない入力部を走査して前記週移動手段8を用いて矢印板2を配置する位置を調節するようにしてもよい。
【0055】
次いで、走行に伴って爪部7を矢印板2の縦溝2Aから引き抜くことにより矢印板2を道路4上に設置する。(ステップS4)
【0056】
すなわち、車両6が前記所定の距離だけ走行した時点で、駆動モータ10Cを用いて移設アーム10A,10Bをさらに回転させて、その角度を第5角度θ5まで回転させることにより、矢印板2を道路4に設置すると同時に爪部7を矢印板2から引き抜くことができ、距離センサ45は矢印板2が爪部7から離間したことを検知して矢印板2の設置を確認することができる。
【0057】
このステップS4の処理が完了すると、再びステップS1に戻って、次の矢印板2の移設の準備を行なうことができる。
【0058】
図18に示すように、道路4を略一定速度で後退させると、矢印板移設装置5の爪部7を後方に向けさせた状態で道路4上の矢印板2の縦溝2Aに対応する位置に配置させることができる。(ステップS5)
【0059】
すなわち、車両6を後退させると、前記測域センサ11を突出させ、これを用いて車両6の後方にある矢印板2の配置を確認し、位置自動調節部12が測域センサ11の出力を用いて矢印板2の位置に合せて爪部7の位置を自動調節することができる。
【0060】
次に、車両6をさらに後退させることによって爪部7を矢印板2の縦溝2Aに挿通させた後に矢印板移設装置5を用いて移設待機部3Bに移動させると共に旋回手段9によって爪部7を車両6の前方に向けさせる。(ステップS6)
【0061】
すなわち、車両6の後退に伴って爪部7が矢印板2の縦溝2Aに挿通されると、距離センサ45は矢印板2に爪部7を挿通させた状態を検知し、これによって駆動モータ10Cを用いて移設アーム10A,10Bをその角度が第5角度θ5から第3角度θ3まで回転させることにより、回転角センサ10Dがこれを検出し、前記旋回手段9を用いて爪部7を車両6の前方に向けさせ、さらに、駆動モータ10Cを用いて移設アーム10A,10Bをその角度が第1角度θ1まで回転させることにより、矢印板2を移設待機部3Bに移動させて収容するための準備を行なうことができる。
【0062】
次いで、移設待機部3Bにある矢印板2をコンベア装置3によって矢印収容部に搬送させて収容する。(ステップS7)
【0063】
すなわち、旋回角センサ34によって移設アーム10が第1角度θ1の位置にあることを検知すると、前記コンベア装置3を用いて矢印板2を矢印板収容部3Aの方向に搬送することによって、収容させることができる。
【0064】
このステップS7の処理が完了すると、再びステップS5に戻って、次の矢印板2の回収の準備を行なうことができる。
【0065】
上述の例においては、位置確認センサ11としてレーザ光を走査させて照射し、矢印板2の位置を測位するものである測域センサを用いる例を示しているが、この測域センサに代えてレーザ光以外の物理量を用いて矢印板2の位置を確認するものであってもよい。また、撮像カメラと画像処理を組合わせたものであってもよい。なお、位置確認センサ11を距離センサ45の位置に取り付けて距離センサ45を省略してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 矢印板自動設置・回収装置
2 矢印板
2A 縦溝
3 コンベア装置
3A 矢印板収納部
3B 移設待機部
4 道路
5 矢印板移設装置
6 車両
7 爪部
8 左右移動手段
9 旋回手段
10 移設アーム
10A,10B 移設アーム
10C 駆動モータ
10D 回転角センサ
11 測域センサ(位置確認センサ)
11C 収容機構
12 位置自動調節部
13A,13B 切り分け板
14 シリンダ
16 標識装置