(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】マグネット房掛け
(51)【国際特許分類】
A47H 19/00 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A47H19/00
(21)【出願番号】P 2018158236
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】596027771
【氏名又は名称】株式会社フルネス
(73)【特許権者】
【識別番号】502194388
【氏名又は名称】株式会社サクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】相原 宏有紀
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130130(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172522(JP,U)
【文献】特開平1-135313(JP,A)
【文献】独国実用新案第202011001422(DE,U1)
【文献】中国実用新案第202173226(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 19/00
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンを束ねて保持するためのタッセルの一方側端に取り付けられる第1本体部と、当該タッセルの他方側端に取り付けられる第2本体
部を備え、
前記第1本体部には前記タッセルの
一方の端部を掛止する
第1掛止部が、
前記第2本体部には前記タッセルの他方の端部を掛止する第2掛止部が設けられ、
前記第1本体部と前記第2本体
部の対向する面側には、磁力によって当該第1本体部と当該第2本体
部を一体に保持するマグネットがそれぞれ設けられ、
前記タッセルで前記カーテンを束ねた状態で前記第1本体部と前記第2本体
部を前記マグネットの磁力で一体に保持しつつ、前記タッセルに所定の力が加わった場合には前記第1本体部と前記第2本体
部が離脱するようにされたことを特徴とするマグネット房掛け。
【請求項2】
請求項1に記載のマグネット房掛けにおいて、
前記
第1掛止部及び第2係止部には、掛止した前記タッセルの端部が容易に外れないよう脱落防止手段が設けられていることを特徴とするマグネット房掛け。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマグネット房掛けにおいて、
前記第1本体部に設けられた第1掛止部と前記第2本体部に設けられた第2掛止部は、互いに位置をずらして配置されていることを特徴とするマグネット房掛け。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、
前記第1掛止部又は前記第2掛止部の少なくとも一方側には、他方側である第2掛止部又は前記第1掛止部の移動を案内する案内部が設けられていることを特徴とするマグネット房掛け。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、
前記第1本体部又は前記第2本体
部のいずれか一方には、相手方となる第2本体
部又は第1本体部が所定の位置に保持されるように位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とするマグネット房掛け。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、
前記第1掛止部及び/又は前記第2掛止部の互いに向かい合う面側の角部にはアールが設けられていることを特徴とするマグネット房掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネット房掛けに関し、さらに詳しくは、カーテンを束ねた状態に保持するためのタッセルに取り付けられ、当該タッセルに必要以上の荷重が加わった場合にタッセルが外れるようにされたマグネット房掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の窓等に取り付けられているカーテン1を開いた場合には、
図7に示すように、タッセル(tassel:房飾り)2によって束ねられ、壁等に取り付けられた房掛け3に掛止されて保持される。そして、カーテン1を束ねるためのタッセル2は、一般に帯状のものやロープ状のものが使用される。
【0003】
房掛け3は、金属製又は樹脂製、或いは木製等の各種の材料によって形成されており、一般的な房掛け3としては、例えば
図7に示すように、窓際の壁に取り付けられる縦長形状の本体3aと、本体3aから突設するようにして固定される略L字形状をした引掛部材3cとを備え、本体3aの上下には壁面にネジ等で固定するための一対のネジ孔3bを有して構成されている。
【0004】
房掛け3は、本体3aがカーテン1の高さ方向の略中間の高さ位置の窓の両側の壁面のそれぞれに図示しないネジによって固定されている。そして、使用者はカーテン1を片側端へ、あるいはカーテン1が両開きの場合は両側端へ集め、房掛け3の引掛部材3cにタッセル2の一端を掛止すると共に束ねられたカーテン1を取り巻くようにぐるりと沿わせようにしてタッセル2の他端を引掛部材3cに係着させる。この状態が
図7である。
【0005】
ところで、
図7の状態において、カーテン1の近くで小さな子供が遊んでいた場合、タッセル2が子供の首に巻き付くなどして思わぬ事故を招くおそれがある。このような事故に対処できるようにした房掛金具としては、例えば特許文献1が提案されている。この特許文献1に示す房掛金具は、引掛部材を固定側金具に対して回動できるようにしておき、引掛部材はカーテンの房の一端が頭部側に係着し、他端が底部側に係着する構成とし、その引掛頭部が房によって水平方向に強く引っ張られた際、引掛頭部及び引掛部材が回動して房の係着部が引掛頭部から外れて自由になり、引張力が引掛部材に加わらなくなった時点で引掛部材が元の位置に復帰するようにしたものである。
【0006】
また、
図8(a),(b)に示す「チャイルドセーフティータッセル」や
図9に示す「チャイルドセーフティー房掛」も市販されている。
図8のタッセル及び
図9に示す房掛けは、いずれも立川ブラインド工業株式会社から販売されている(2014年4月のカタログに掲載)。
図8のチャイルドセーフティータッセル4は、同図(a)に示すようにロープ4a,4aの両端に球状体4c,4cを設け、それぞれにマグネット4b,4bを内蔵して構成されたアクセサリー部40を備え、タッセル2が水平方向に強い引張力(例えば、6kgの力)が加わった場合に、同図(b)に示すようにマグネット4b,4bの磁力によって引き寄せられていた球状体4c,4cが開いてロープ4a,4aの両端が自由になるというものである。
【0007】
さらに、
図9のチャイルドセーフティー房掛5は、縦長形状の本体5aと、本体5aに対して上下方向に回動可能に下端が軸支された可動部材5bによって構成されている。このチャイルドセーフティー房掛5においては矢印A方向に強い引張力(荷重)が加わると、可動部材5bが矢印B方向に回動し、タッセル2の一端が可動部材5bから解放される。そしてタッセル2が外れると、内蔵されているスプリングの付勢力によって可動部材5bは元の縦位置に復帰し、本来のチャイルドセーフティー房掛5の形状になるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の房掛金具は構成が複雑になり見栄えの面で劣る可能性がある。また、
図8に示す「チャイルドセーフティータッセル」は、
図7に示す従来構成の房掛け3をそのまま利用するものであり、引掛部材3cが子供の体に接触して怪我する虞がある。さらに、
図9に示す「チャイルドセーフティー房掛」によると、タッセルが引っ張られて可動部材5bが横倒しになると内蔵されているスプリングの弾性力で可動部材5bが縦位置に復帰するが、その際に子供等の顔や手等の人体に接触した場合には思わぬ怪我を招くおそれがある。また、
図7に示す房掛け3又は
図8に示す「チャイルドセーフティータッセル」をはじめとする従来の房掛けは、基本的には壁面に固定されたL字状の引掛部材3cに上からループ状の紐(タッセル2の一端又はロープ4)を上から引っ掛けているに過ぎないので、子供等の体重が掛かるような危険な状況でなかったとしても、下側から持ち上げるだけで簡単に当該ループ状の紐(タッセル2の一端又はロープ4)を房掛けから外すことができ、例えば掃除中に掃除機がカーテン1の裾に触れるなどした場合に誤って外れることもあり、カーテン1を束ねるという房掛け本来の機能は必ずしも高くはなかった。さらに
図8に示す「チャイルドセーフティータッセル」は、カーテン1に附属するタッセル2の代わりにカーテン1とは別途に用意されたロープ4を使用するので、カーテン1のデザイナーが意図していた当初の統一感が損なわれる虞があった。
【0010】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、カーテンを束ねるという房掛けの本来の機能が高く、しかも見栄えの良さ及び安全性を確保することのできるマグネット房掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、カーテンを束ねて保持するためのタッセルの一方側端に取り付けられる第1本体部と、当該タッセルの他方側端に取り付けられる第2本体部を備え、前記第1本体部には前記タッセルの一方の端部を掛止する第1掛止部が、前記第2本体部には前記タッセルの他方の端部を掛止する第2掛止部が設けられ、前記第1本体部と前記第2本体部の対向する面側には、磁力によって当該第1本体部と当該第2本体部を一体に保持するマグネットがそれぞれ設けられ、前記タッセルで前記カーテンを束ねた状態で前記第1本体部と前記第2本体部を前記マグネットの磁力で一体に保持しつつ、前記タッセルに所定の力が加わった場合には前記第1本体部と前記第2本体部が離脱するようにされたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のマグネット房掛けにおいて、前記第1掛止部及び第2係止部には、掛止した前記タッセルの端部が容易に外れないよう脱落防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のマグネット房掛けにおいて、前記第1本体部に設けられた第1掛止部と前記第2本体部に設けられた第2掛止部は、互いに位置をずらして配置されていることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、前記第1掛止部又は前記第2掛止部の少なくとも一方側には、他方側である第2掛止部又は前記第1掛止部の移動を案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、前記第1本体部又は前記第2本体部のいずれか一方には、相手方となる第2本体部又は第1本体部が所定の位置に保持されるように位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のマグネット房掛けにおいて、前記第1掛止部及び/又は前記第2掛止部の互いに向かい合う面側の角部にはアールが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
先ず、本発明に係るマグネット房掛けの使用に当たり、第1本体部及び第2本体部の一方(ここでは第1本体部と仮定する。)は壁面に固定され、当該第1本体部の第1掛止部にタッセルの一端が掛止され、当該タッセルの他端に第2本体部の第2掛止部が掛止される。
【0018】
次に、カーテンをタッセルで束ねるに当たり、使用者は第2本体部を手でつまんでタッセルでカーテンを取り巻くようにしてから当該第2本体部を壁側の第1本体部へ磁力で接着させる。この磁力によって、カーテンを束ねた状態は容易に維持される。また、束ねる際に第2本体部は磁力によって第1本体部の側へ引き寄せされるので、第2本体部と第1本体部との位置合わせ(装着)は容易である。
【0019】
そして、カーテンをタッセルで束ねた状態では、第1本体部と第2本体部との対向する面に第1掛止部及び第2掛止部が位置するので、第1掛止部及び第2掛止部のいずれかが人の衣服が引っ掛かったり子供の顔や手等が接触したりする事故を防ぐことができる。またタッセルに所定の荷重(例えば、カーテンを束ねるために必要な荷重を超過した、いわゆる必要以上の荷重)がかかると第1本体部と第2本体部とが容易に分離されるので、タッセルが子供の首に巻き付いても安全を維持できる。
【0020】
また、カーテンをタッセルで束ねていない状態では、第1本体部及び第2本体部における
第1掛止部及び第2掛止部の形成面が露出する可能性もあるが、
第1掛止部及び第2掛止部からタッセルを外す必要は基本的にないので、
図7の引掛部材のように
第1掛止部及び第2掛止部を突出させる必要がない。このため露出した
第1掛止部及び第2掛止部へ子供が接触するなどして怪我する可能性も容易に抑えられる。
【0021】
また、本発明に係るマグネット房掛けは、タッセルの代わりに用いられるのではなく、あくまでもタッセルに外付けするものなので、例えばカーテンと共布で構成されたタッセルや、カーテンの雰囲気に合ったタッセルなどを有効利用することができ、カーテンとタッセルの統一感を損なうことがない。
【0022】
従って、本発明に係るマグネット房掛けによれば、カーテンを束ねるという房掛けの本来の機能が高く、しかも見栄えの良さ及び安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るマグネット房掛けをタッセルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、第1本体部を壁面に固定した状態におけるマグネット房掛けの断面図、
図2(b)は、第1本体部を壁面に固定した状態におけるマグネット房掛けの正面図である。
【
図3】
図3(a)は、カーテンを束ねる直前におけるマグネット房掛けの断面図、
図3(b)は、カーテンを束ねた状態におけるマグネット房掛けの断面図である。
【
図4】
図4(a)は、第1本体部の斜視図、
図4(b)は第2本体部6Bの斜視図、
図4(c)は、カーテンを束ねた状態におけるマグネット房掛けの斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るマグネット房掛けの使用状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るマグネット房掛けの変形例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、従来の房掛けの使用状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、安全性を考慮した従来のタッセルの構成例を示す正面図、
図8(b)はその使用状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、安全性を考慮した従来の房掛けの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[マグネット房掛けの構成]
以下、本発明に係るマグネット房掛けについて、好ましい一実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係るマグネット房掛けをタッセルに取り付けた状態を示す斜視図、
図2(a)は第1本体部を壁面に固定した状態におけるマグネット房掛けの断面図、
図2(b)は第1本体部を壁面に固定した状態におけるマグネット房掛けの正面図、
図3(a)はカーテンを束ねる直前におけるマグネット房掛けの断面図、
図3(b)はカーテンを束ねた状態におけるマグネット房掛けの断面図、
図4(a)は第1本体部の斜視図、
図4(b)は第2本体部6Bの斜視図、
図4(c)はカーテンを束ねた状態におけるマグネット房掛けの斜視図、
図5は本実施形態に係るマグネット房掛けの使用状態を示す斜視図である。
【0025】
[マグネット房掛けの構成]
先ず、マグネット房掛け6の構成について説明する。図示されるとおりマグネット房掛け6は、概略として、カーテン1を束ねて保持するためのタッセル2の一方側端に取り付けられる第1本体部6Aと、当該タッセル2の他方側端に取り付けられる第2本体部6Bとを備える。これらの第1本体部6A及び第2本体部6Bの材質は例えばABS等の樹脂であって、第1本体部6A及び第2本体部6Bは弾力を有した部材である必要はない。
【0026】
第1本体部6Aのうち第2本体部6Bと対向する面側には、磁力によって当該第1本体部6Aと当該第2本体部6Bを一体に保持するマグネット7Aと、タッセル2の端部2Aを掛止する第1掛止部8Aとが設けられる。タッセル2の端部2Aは、タッセル2の一端に縫い込まれたループ状の紐であり、第1掛止部8Aはループ状の端部2Aを掛止できるように概略L字状の断面を有している。
【0027】
第2本体部6Bのうち第1本体部6Aと対向する面側には、磁力によって当該第1本体部6Aと当該第2本体部6Bを一体に保持するマグネット7Bと、前記タッセル2の他方の端部2Bを掛止する第2掛止部8Bとが設けられる。タッセル2の端部2Bは、タッセル2の他端に縫い込まれたループ状の紐であり、第2掛止部8Bはループ状の端部2Bを掛止できるように概略L字状の断面を有している。
【0028】
このマグネット房掛け6は、
図5に示されるとおりタッセル2でカーテン1を束ねた状態で第1本体部6Aと第2本体部
6Bをマグネット7A、7Bの磁力で一体に保持しつつ、タッセル2に所定の力(子供の体重相当)が加わった場合には第1本体部6Aと第2本体部
6Bが離脱するようにされている。
【0029】
[壁面へのマグネット房掛けの固定方法]
次に、マグネット房掛け6の固定方法について説明する。本実施形態ではマグネット房掛け6の使用に先立ち、第1本体部6Aは
図2、
図3、
図5等に示されるとおり壁面に対してネジや両面粘着テープなどで予め固定される。このようにして固定された第1本体部6Aに鉛直下向きに5~6kg重程度の力がかかった場合であっても、第1本体部6Aが壁面から剥がれることはない。しかしながら、
図3(b)に示されるように第1本体部6Aに対して第2本体部6Bを装着した状態において、第2本体部6Bが1kg重以上の力で鉛直下向き又はその近傍の角度(30°以内の角度)で引っ張られた場合には、第1本体部6Aから第2本体部6Bが離脱する。このような作用は、第1本体部6Aのマグネット7A及び第2本体部6Bのマグネット7Bの磁力を適切に設定するだけで確実に得ることができる。
【0030】
[タッセルへのマグネット房掛けの装着方法]
次に、マグネット房掛け6の装着方法について説明する。本実施形態のマグネット房掛け6において、タッセル2のループ状の端部2A、2Bを掛止するための
第1掛止部8A、
第2掛止部8Bには、掛止したタッセル2の端部2A、2Bが容易に外れないよう脱落防止手段である返し9A、9Bが設けられている。よって、例えば、第1本体部6Aから第2本体部6Bが離脱した場合であっても、タッセル2の端部2Aに第1本体部6Aは取り付けられたままであり、タッセル2の端部2Bに第2本体部6Bは取り付けられたままである(
図1参照)。よって、本実施形態では、マグネット房掛け6の第1本体部6Aから第2本体部6Bが安全のために離脱した場合(
図2(a))であっても、壁面から第1本体部6A及びタッセル2を経て第2本体部6Bに至る連結状態(
図2)は何ら解消されることはなく、これらの部品が床へ落下することはない。また、タッセル2の端部2Aに装着された樹脂製の第2本体部6Bは小型化及び軽量化が可能なので、これがタッセル2の端部2Aに常に装着されたままぶら下がっていても(
図2)、タッセル2の見た目や機能が大幅に損なわれるようなことはない。すなわち、樹脂製である第2本体部6Bの重量は軽いので、カーテン1を束ねる際に使用者はタッセル2のループ状の端部2Bを手指でつかむ代わりに第2本体部6Bを手指でつかめばよいだけであって、第2本体部6Bのサイズは小さいので、これがタッセル2の端部2Bに取り付けられたままであってもタッセル2の見た目を害する可能性は低い。
【0031】
[マグネット房掛けのサイズについて]
次に、マグネット房掛け6のサイズについて説明する。本実施形態のマグネット房掛け6において、第1本体部6Aに設けられた第1掛止部8Aと第2本体部6Bに設けられた第2掛止部8Bは、互いに位置をずらして配置されている。例えば第1本体部6Aに第2本体部6Bが装着された状態(
図3(b))において、第2第1掛止部8Bが第1掛止部8Aより上側に位置するように、第1本体部6Aにおける第1掛止部8Aの位置よりも、第2本体部6Bにおける第2第1掛止部8Bの位置の方が上側にずらされている。このため、第1本体部6Aに第2本体部6Bを装着した状態(
図3(b))において第1掛止部8Aと第2掛止部8Bとが重ならず、マグネット房掛け6の全体の厚みを小さくすることができる。例えば第1本体部6Aと第2本体部6Bとを装着した状態におけるマグネット房掛け6の上下方向の長さは70mm、横幅は20mm、厚みは15mm程度である。したがって、カーテン1を束ねた状態のマグネット房掛け6、すなわち壁面に取り付けられた状態のマグネット房掛け6はコンパクトであり、窓際の雰囲気を害する虞もない(
図5)。
【0032】
[マグネット房掛けの外観について]
次に、マグネット房掛け6の外観について説明する。本実施形態においては、マグネット房掛け6のカラーバリエーションを増やし、窓際の雰囲気に合わせて使用者がマグネット房掛け6のカラーを自由に選択できるようにしてもよい。また、マグネット房掛け6の塗装をメタリック調にし、金属製の窓枠と似た雰囲気のマグネット房掛け6を使用者が選択できるようにしてもよい。したがって、使用者はマグネット房掛け6を適切に選択するだけで窓際の統一感を確保することができる。
【0033】
[マグネット房掛けの安全性について]
次に、マグネット房掛け6の安全性を高めるための構成について説明する。本実施形態のマグネット房掛け6において、第1掛止部8A又は第2掛止部8Bの少なくとも一方側には、他方側である第2掛止部8B又は第1掛止部8Aの移動を案内する案内部が設けられている。例えば第2掛止部8Bのタッセル側の端部には傾斜状(テーパ状)の案内部10が形成されているので、第1本体部6Aに第2本体部6Bが装着されているとき(
図3(b))に鉛直下向きの荷重がタッセル2にかかった場合、タッセル2を介して鉛直下向きに引っ張られる第2本体部6Bの第2掛止部8Bが第1掛止部8Aに引っかかるのを防いでいる。具体的に、第1本体部6Aに第2本体部6Bが装着されているとき(
図3(b))に第2本体部6Bが1kg重以上の力で鉛直下向き又はその近傍の角度(30°以内の角度)で引っ張られた場合には、第2掛止部8Bが第1掛止部8Aを容易に乗り越えて、第1本体部6Aから第2本体部6Bが確実に離脱できるようになっている。
【0034】
[マグネット房掛けの利便性について]
次に、マグネット房掛け6の利便性を高めるための構成について説明する。本実施形態のマグネット房掛け6において、第1本体部6A又は第2本体部
6Bのいずれか一方には、相手方となる第2本体部
6B又は第1本体部6Aが所定の位置に保持されるように位置決めする位置決め部が設けられている。例えば
図4(a)に示されるとおり第1本体部6Aの左右端には位置決め部としての凹部11Aが設けられており、
図4(b)に示されるとおり第2本体部6Bの左右端には当該凹部11Aに嵌合するフランジ11Bが位置決め部として設けられている。これらの凹部11A及びフランジ11Bによれば、カーテン1を束ねる際に、第2本体部6Bを手指でつまんだ使用者が、第1本体部6Aに対して第2本体部6Bを上側からスライドさせつつ装着し、第1本体部6Aのマグネット7Aに第2本体部6Bのマグネット7Bを容易に正対させることができる(
図3(a)、
図3(b))。
【0035】
また、第1掛止部8A及び/又は第2掛止部8Bの互いに向かい合う面側の角部にはアールが設けられている。例えば、第1掛止部8A第2掛止部8Bの互いに向かい合う面側の全ての角部にはアール13が設けられている。これによって第1本体部6Aに第2本体部6Bを装着する際に、第1本体部6Aの第1掛止部8Aの角部と第2本体部6Bの第2掛止部8Bの角部とがぶつかり合う可能性を抑え、第1本体部6Aに第2本体部6Bをスムーズにスライドさせて装着することができる。その結果、両者を正しい位置できちんと一体にすることができる。また、第1本体部6Aから第2本体部6Bをスライドさせて離脱するのもスムーズである。
【0036】
従って、使用者は、カーテン1を束ねる際に、第2本体部6Bを手指でつかみ、壁面に固定された第1本体部6Aへ容易に装着することが可能であり、カーテン1を拡げる際に、第2本体部6Bを手指でつかみ、壁面に固定された第1本体部6Aから容易に離脱させることができる。
【0037】
[実施形態の効果]
次に、マグネット房掛け6の作用効果について説明する。先ず、前述したとおりマグネット房掛け6の使用に当たり第1本体部6Aは壁面に予めネジや両面粘着テープ等によって固定される。また当該第1本体部6Aの第1掛止部8Aにタッセル2の一端が掛止され、当該タッセル2の他端に第2本体部6Bの第2掛止部8Bが掛止される。
【0038】
次に、カーテン1をタッセル2で束ねるに当たり、使用者は第2本体部6Bを手指でつまんでタッセル2でカーテン1を取り巻くようにしてから当該第2本体部6Bを壁側の第1本体部6Aへ磁力で接着させる。この磁力によって、カーテン1を束ねた状態は容易に維持される。また、束ねる際に第2本体部6Bは磁力によって第1本体部6Aの側へ引き寄せされるので、第2本体部6Bと第1本体部6Aとの位置合わせ(装着)は容易である。
【0039】
そして、カーテン1をタッセル2で束ねた状態では、第1本体部6Aと第2本体部6Bとの対向する面に第1掛止部8Aと第2掛止部8Bが位置するので、第1掛止部8Aと第2掛止部8Bの少なくとも一方に人の衣服が引っ掛かったり子供の顔や手等が接触したりする事故を防ぐことができる。またタッセル2に磁力を超える荷重がかかると第1本体部6Aと第2本体部6Bとが容易に分離されるので、タッセル2が子供の首に巻き付いても安全を維持できる。
【0040】
また、カーテン1をタッセル2で束ねていない状態では、第1本体部6A及び第2本体部6Bにおける
第1掛止部8A及び第2掛止部8Bの形成面が露出する可能性もあるが、
第1掛止部8A及び第2掛止部8Bからタッセル2を外す必要は基本的にないので、
図7の引掛部材のように掛止部を突出させる必要がない。このため露出した
第1掛止部8A及び第2掛止部8Bへ子供が接触するなどして怪我する可能性も容易に抑えられる。
【0041】
また、本実施形態に係るマグネット房掛け6は、タッセル2の代わりに用いられるのではなく、あくまでもタッセル2に外付けするものなので、例えばカーテン1と共布で構成されたタッセル2や、カーテン1の雰囲気に合ったタッセル2などを有効利用することができ、カーテン1とタッセル2の統一感を損なうことがない。
【0042】
従って、本実施形態に係るマグネット房掛け6によれば、カーテン1を束ねるという房掛けの本来の機能が高く、しかも見栄えの良さ及び安全性を確保することができるという効果がある。
【0043】
[変形例]
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【0044】
例えば、第1本体部6A及び第2本体部6Bの互いに正対する部分にテーパ、アールの少なくとも一方を設けることで、第1本体部6Aに対する第2本体部6Bのスライド装着や第1本体部6Aから第2本体部6Bのスライド離脱をスムーズにしてもよい。また、第1本体部6A及び第2本体部6Bの互いに互いに正対する部分の一方を台形状断面の凹部、他方を台形状断面の凸部とすることで両者の装着/離脱を容易にしてもよい。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、第1本体部6A及び第2本体部6Bのうち前者を壁側に固定したが、後者を壁側に固定してもよい。
【0046】
例えば、マグネット房掛け6の第2本体部6Bの胴部に
図6に矢印で示されるようなくびれを設け、使用者が第2本体部6Bを手指でつまみやすくしてもよい。
【0047】
例えば、上述した各図においてはマグネット房掛け6の輪郭に丸みを設けたが、丸みの程度(アール半径)は様々に変更することが可能である。アール半径を小さくすれば、マグネット房掛け6の全体的な印象をシャープにすることができ、アール半径を大きくすれば、マグネット房掛け6の全体的な印象を軟らかくすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 カーテン
2 タッセル
6 マグネット房掛け
6A 第1本体部
6B 第2本体部6B
7A マグネット
7B マグネット
8A 第1掛止部
8B 第2掛止部
9A 返し
9B 返し
10 案内部
11A 凹部
11B フランジ
13 アール