(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】調光電源装置および光源装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/165 20200101AFI20220228BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20220228BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/17
(21)【出願番号】P 2020530163
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2019026946
(87)【国際公開番号】W WO2020013110
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018132171
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【氏名又は名称】藤河 恒生
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【氏名又は名称】三雲 悟志
(72)【発明者】
【氏名】椎原 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】竹森 雅光
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊博
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-005476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/165
H05B 47/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内から外に露出するように複数個の端子が配置されたトリガー入力用コネクタと、
前記筐体内に配置され、前記複数個の端子のうち少なくとも一の端子に入力された信号が入力されるトリガー入力回路と、
前記筐体内に配置され、前記複数個の端子のうち少なくとも前記一の端子に入力された信号が入力されるFPGA書き込み可能化回路と、
前記筐体内に配置され、FPGA書き込みモードでは前記FPGA書き込み可能化回路の出力信号を入力して回路構成が書き換えられ、調光モードでは前記トリガー入力回路の出力信号をトリガーとして入力して光源を調光する調光用FPGAを備えることを特徴とする調光電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調光電源装置において、
前記トリガー入力回路に前記一の端子に入力された信号が入力されるフォトカプラを備えたことを特徴とする調光電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の調光電源装置において、
前記トリガー入力用コネクタは、前記FPGA書き込みモードと前記調光モードの切り替えのための切り替え用端子を有することを特徴とする調光電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の調光電源装置において、
前記FPGA書き込み可能化回路はトライステートバッファを含み、
前記切り換え用端子から前記トライステートバッファに所定信号が入力されることで、前記FPGA書き込みモードになることを特徴とする調光電源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の調光電源装置と、
前記調光電源装置に接続され、前記調光用FPGAによって調光される光源を備えることを特徴とする光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光用FPGA(Field Programmable Gate Array)を備えた調光電源装置およびその調光電源装置を備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDなどを調光する調光電源装置に調光用FPGAが備えられているものが存在する(下記特許文献1参照)。この調光電源装置は、記憶部に記憶された制御プログラムを変更することで回路構成を変更することができるため、求められる調光態様にあわせて制御プログラムを設計し、製造時に記憶部に書き込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2014/045647(段落0032、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、調光電源装置の製造後に制御プログラムを書き換えたい場合がある。調光用FPGAに書き換え用のコントローラを接続するために、調光電源装置を覆う筐体の蓋を開けたり筐体自体を取り外したりする必要がある。そのため、制御プログラムの書き換えの作業性が低下する。
【0005】
本発明の目的は、容易に調光用FPGAの書き換えが可能な調光電源装置およびその調光電源装置を備えた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調光電源装置は、筐体、トリガー入力用コネクタ、フォトカプラ、FPGA書き込み可能化回路、および調光用FPGAを備える。トリガー入力用コネクタは、筐体内から外に露出するように複数個の端子が配置されている。フォトカプラは、複数個の端子のうち少なくとも一の端子に入力された信号が入力される。FPGA書き込み可能化回路は、フォトカプラに接続された一の端子に接続されている。調光用FPGAは、FPGA書き込みモードではFPGA書き込み可能化回路の出力信号を入力して回路構成が書き換えられ、調光モードではフォトカプラの出力信号をトリガーとして入力して光源を調光する。
【0007】
トリガー入力用コネクタは、FPGA書き込みモードと調光モードの切り替えのための切り替え用端子を有する。FPGA書き込み可能化回路はトライステートバッファを含み、切り換え用端子からトライステートバッファに所定信号が入力されることで、FPGA書き込みモードになる。
【0008】
本発明の光源装置は、上記調光電源装置、および調光長電源装置に接続され、調光用FPGAによって調光される光源を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全に調光用FPGAの書き換えが可能な調光電源装置およびその調光電源装置を備えた光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本願の調光電源装置のトリガー入力回路の構成を示す図である。
【
図3】本願の調光電源装置のFPGA書き換え可能化回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る調光電源装置および光源装置について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す本願の調光電源装置10は、筐体12、調光用FPGA14、複数個の端子P1~P9が配置されたトリガー入力用コネクタ16、トリガー入力用コネクタ16と調光用FPGA14の間に接続されるトリガー入力回路18、トリガー入力用コネクタ16と調光用FPGA14の間に接続されるFPGA書き込み可能化回路20、および光源ドライバー22を備える。
【0013】
筐体12は、例えば、直方体状になっており、調光用FPGA14、トリガー入力回路18、FPGA書き込み可能化回路20、光源ドライバー22などの電子回路や部品を収納する箱体である。筐体12は、調光電源装置10を操作するためのボタンや必要情報を表示するためのディスプレイを備えてもよい。
【0014】
調光用FPGA14は、演算回路24と記憶部26を備える。記憶部26は、制御プログラムを記憶している。演算回路24が、記憶部26に記憶された制御プログラムを参照し、光源32に印加する電圧を調節するための信号を光源ドライバー22に出力する。調光用FPGA14は、制御プログラムを変更することで調光用FPGA14の回路構成を変更することができ、光源32の調光態様を変更することができる。
【0015】
調光用FPGA14は、光源32を調光する調光モードと制御プログラムを変更するFPGA書き込みモードで動作する。同時に2つの動作モードで調光用FPGA14が駆動することは無く、いずれかの動作モードに切り替えて調光用FPGA14が駆動する。
【0016】
トリガー入力用コネクタ16は、複数個の端子P1~P9が筐体12の内部から外部に露出するように設けられている。トリガー入力用コネクタ16は、筐体12の内部でトリガー入力回路18とFPGA書き込み可能化回路20に接続され、筐体12の外部で2種類の装置に接続される得るものである。その2種類の装置の1つはトリガーを入力するための装置であり、他の1つは調光用FPGA14を書き換えるための信号を入力するための装置である。それぞれの装置は、従来から使用されている調光するためにトリガーを出力する装置や制御プログラムを書き換えるコントローラを使用することができ、コンピュータやPLC(Programmable Logic Controller)などが含まれる。
【0017】
トリガー入力用コネクタ16と調光用FPGA14の間にトリガー入力回路18とFPGA書き込み可能化回路20が並列に接続されている。複数の端子P1~P9の中のある端子にトリガー入力回路18とFPGA書き込み可能化回路20のそれぞれの入力端側が接続されている。
図1においては、その端子は端子P3~P6の4つである。調光用FPGA14はいずれか一方の回路18、20の出力端側からの出力信号で光源32の調光または制御プログラムの書き換えをおこなう。
【0018】
トリガー入力用コネクタ16は、複数個の端子P1~P9の中に調光用FPGA14のモードを切り替えるために使用される切り換え用端子が含まれる。この切り換え用端子は、上記端子P3~P6とは異なる端子を使用する。本実施形態では、端子P9が切り換え用端子である。FPGA書き込み可能化回路20の入力端側が端子P9に接続されている。端子P9に入力される信号によって、FPGA書き込み可能化回路20の起動と停止が切り換えられる。FPGA書き込み可能化回路20が起動すると、FPGA書き込み可能化回路20から調光用FPGA14に信号が入力され、調光用FPGA14はFPGA書き込みモードになる。調光用FPGA14が書き込みモードになると、トリガー入力用回路16からの信号を受信しないまたは受信してもキャンセルする。FPGA書き込み可能化回路20から調光用FPGA14に信号が入力されていないときは、調光用FPGA14は調光モードであり、光源32を調光する。
【0019】
トリガー入力回路16は、トリガーが端子P3~P6に入力されたとき、調光用FPGA14に所定の電圧でトリガー入力し、調光用FPGA14を駆動させる回路である。トリガー入力を4チャンネルで行うとすると、
図2に示すように、トリガー入力回路18は同一の回路を4つ使用する。その回路は、フォトカプラPCとバッファB1を備える。各回路のフォトカプラPCは、端子P2を共通端子とし、さらに端子P3~6のいずれかに接続されている。
図2のフォトカプラPCは、2つの発光ダイオードを逆並列接続しているが、1つの発光ダイオードを使用したフォトカプラであってもよい。
【0020】
図2のトリガー入力回路18は、トリガーが入力されるとフォトカプラPCがオンになり、バッファB1に入力される電位がグランドレベルになる。なお、所定電位のパルスをトリガーとして使用する。また、トリガーが未入力の時はバッファB1に入力される電位が電源V1からの電位になる。この電位の変化によってバッファB1の出力が変化し、調光用FPGA14にトリガー入力をおこなう。本実施形態は、4チャンネルのトリガー入力により、調光用FPGA14が光源32の調光方法を変更する。
【0021】
トリガー入力回路18は、フォトカプラPCを使用して絶縁することで、トリガー入力回路18と他の回路とのグランドレベルの違いによる誤動作を防止している。また、バッファB1を使用することで、バッファB1の上流側と下流側の相互の影響を無くしている。なお、
図2において4つのバッファB1があるが、1つまたは2つのICに集積されていてもよい。
【0022】
FPGA書き込み可能化回路20は、筐体12の外部にある制御プログラムを書き換えるための装置を調光用FPGA14に接続するための回路である。そのため、FPGA書き込み可能化回路20は、JTAG(Joint Test Action Group)のインターフェースである。
図3に示すように、端子P3がTCK(Test Clock)、端子P4がTMS(Test Mode Select)、端子P5がTDI(Test Data In)、端子P6がTDO(Test Data Out)の信号の端子になっており、それらにFPGA書き込み可能化回路20の入力端側が接続されている。
【0023】
各端子P3~P6にダイオード(ショットキーバリアダイオードを含む)D1とトライステートバッファ(tri state buffer)B2の直列回路が接続されている。ダイオードD1のカソードが端子P3~P6に接続されており、アノードがトライステートバッファB2に接続されている。端子P3~P5に信号が入力されると、信号の電位レベルに応じてトライステートバッファB2に入力される電位が変化する。本実施形態において、端子P3~P5に入力される電位は0~正電位とすると、トライステートバッファB2に入力される電位は0または電源V2からの電位である。この電位変化に応じてトライステートバッファB2の出力が変化し、調光用FPGA14に制御プログラムを書き換えるための信号を入力することができる。また、端子P6はTDOであるため、他のトライステートバッファB2とは入出力の向きが逆になっており、ダイオードD1とトライステートバッファB2の間に電源V2の電位が入力されることもない。なお、
図3のFPGA書き込み可能化回路20における4つのトライステートバッファB2は1つのICに集積されていてもよい。
【0024】
トライステートバッファB2に端子P9および電源V2が接続されている。トライステートバッファB2に電源V2の電位が入力されているときは、トライステートバッファB2はオフになっている。この状態でFPGA書き込み可能化回路20は動作せず、制御プログラムの書き換えはできない。トライステートバッファB2に端子P9から所定の信号、本実施形態においてはグランドレベルの信号が入力されるとトライステートバッファB2がオンになり、FPGA書き込み可能化回路20が駆動する。FPGA書き込み可能化回路20から調光用FPGA14に信号が入力されると調光用FPGA14は書き換えモードになる。そのため、この端子P9はモードの切り替え用の端子となっている。
【0025】
トリガー入力用コネクタ16の端子P1~P9はトリガー入力用の装置に接続するものである。そのため、制御プログラムを書き換えるための装置がトリガー入力用コネクタ16の端子P1~P9に直接接続できない場合、アダプター回路を介して接続する。この場合、トリガー入力用コネクタ16に入力できる電圧レベルに変換できるレベルシフターをアダプター回路の中に含める。これによって異なる装置を1つの端子P1~P9に接続し、端子数が増加するのを防止している。
【0026】
トリガー入力用コネクタ16の各端子P1~P9について表1にまとめる。上述したように、端子P3~P6にトリガー入力回路16とFPGA書き込み可能化回路20の両方が接続されている。端子P9がグランドレベルか否かよって調光モードとFPGA書き込みモードが切り換えられる。なお、端子P1は電源V0の電圧が入力され、端子P7、P8は電源V0または筐体内部のグランドレベルに接続される。端子P2は調光モードのときに各チャネルCH1~CH4の共通端子COMとして利用される。トリガー入力の時は端子P9が未接続になり、制御プログラムの書き換え時は端子P2が未接続になる。
【0027】
【0028】
光源ドライバー22は、調光用FPGA14の出力に応じて光源32に所定の電圧を印加するための回路である。光源ドライバー22と光源32との間に端子28を設け、それらを接続する。
【0029】
本願の光源装置30は、上記調光電源装置10の光源ドライバー22に光源32が接続されており、調光電源装置10によって光源32が調光される。
図4に示すように、複数の発光ダイオードを直並列に並べた回路で光源32を構成することができる。
【0030】
次に本実施形態の調光電源装置10の動作について説明する。トリガー入力をするための装置がトリガー入力用コネクタ16に接続された場合、端子P3~P6にトリガーが入力される。そして、トリガー入力回路18から調光用FPGA14にトリガー入力され、調光用FPGA14によって光源32が調光される。トリガー入力用コネクタ16に制御プログラムを書き換えるため装置が接続されると端子P9がグランドレベルになり、FPGA書き換え可能化回路20のトライステートバッファB2が起動する。トライステートバッファB2が起動した状態で端子P3~P5に制御プログラム書き換えるための信号を入力することで調光用FPGA14に信号が出力され、FPGA書き換えモードになる。調光用FPGA14は書き換え用の信号によって制御プラグラムが書き換えられる。
【0031】
以上のように、本発明の調光用電源装置10は、筐体12を開けずに調光用FPGA14の制御プログラムを書き換えることができるため、制御プログラムの書き換えの作業性が良い。端子P1~P9は、筐体12の外部に露出しているが、FPGA書き換え可能化回路20を起動させるための信号が入力されない限り調光用FPGA14の回路構成を誤って変更されにくい。従来あるトリガーを入力するための端子P3~P6は、制御プログラムを書き換えるためにも使用されているため、装置構成が複雑になりにくい。
【0032】
本願は上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、トリガーは4チャンネル入力であったが、8チャンネル入力や16チャンネル入力であってもよい。チャンネル数に応じてトリガー入力用コネクタ16の端子数を変更する。
【0033】
FPGA書き換え可能化回路20の回路構成によっては、端子P3~P6に入力する信号レベルを変更してもよい。たとえば、0~正電圧以外に負電圧~0や負電圧から正電圧の信号を端子P3~P6に入力してもよい。
【0034】
以上、本発明の実施形態に係る調光電源装置および光源装置について説明したが、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0035】
10:調光電源装置
12:筐体
14:調光用FPGA
16:トリガー入力用コネクタ
18:トリガー入力回路
20:FPGA書き換え可能化回路
22:光源ドライバー
24:演算回路
26:記憶部
28:端子
30:光源装置
32:光源
P1~P9:端子
V0、V1、V2:電源
PC:フォトカプラ
B1、B2:バッファ
D1:ダイオード