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  • 特許-おむつ交換台用のマット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】おむつ交換台用のマット
(51)【国際特許分類】
   A47D 7/00 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A47D7/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018196179
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020062224
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-10-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 眞弓
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幸男
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大介
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064049(JP,A)
【文献】特開2015-023963(JP,A)
【文献】特開2005-124639(JP,A)
【文献】特開2002-253393(JP,A)
【文献】水上金属株式会社,2018年度版 みんなの想いを omoio 製品カタログ,日本,2018年09月27日,p.16-19,https://www.omoio.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/11/omoio-catalog-2018.pdf,https://www.omoio.jp/%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%82%A4%E3%82%AA%E7%B7%8F%E5%90%88%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%
【文献】公益社団法人 全国私立保育連盟,トイレのこだわり・ハンガリー,保育のこだわり,2013年05月07日,http://www.zenshihoren.or.jp/specialized/feature/article.html?id=58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 7/00
A47C 17/38
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体と、該マット本体上において前記マット本体の縁部又は該縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部であって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児の前記マット本体の手前側への滑りを規制する第1規制部と、前記縁部以外の前記マット本体の縁部に設けられた側壁部と、を具備し、
前記側壁部が、当該おむつ交換台用のマットが配置されるおむつ交換台の交換台本体の上端部よりも上方に延びるように構成され
前記第1規制部が、円柱を縦に割った半体の形状であることを特徴とするおむつ交換台用のマット。
【請求項2】
マット本体と、該マット本体上において前記マット本体の縁部又は該縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部であって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児の前記マット本体の手前側への滑りを規制する第1規制部と、前記縁部以外の前記マット本体の縁部に設けられた側壁部と、を具備し、
前記マット本体上において、乳幼児の左右方向の移動を規制する突起状の複数の第2規制部をさらに具備し、
前記複数の第2規制部間には乳幼児を固定する固定ベルトが設けられており、
前記第1規制部が、円柱を縦に割った半体の形状であることを特徴とするおむつ交換台用のマット。
【請求項3】
前記第1規制部及び前記第2規制部は、前記マット本体と一体的に設けられている請求項2に記載のおむつ交換台用のマット。
【請求項4】
前記第1規制部は、前記半体の形状の長手方向が前記マット本体の一辺と平行になるように設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のおむつ交換台用のマット。
【請求項5】
交換台本体とマットとを有し、
前記交換台本体は、2つの側板と、該2つの側板間に設けられた天板と、前記2つの側板間に設けられた背板と、前記天板上に設けられた分割板とを有し、
前記マットは、マット本体と、該マット本体上において前記マット本体の縁部又は該縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部であって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児の前記マット本体の手前側への滑りを規制する第1規制部と、前記縁部以外の前記マット本体の縁部に設けられた側壁部を有し、
前記マットは、前記分割板によって隔てられた前記天板上の一方のスペースに対して、嵌合するように構成されているおむつ交換台。
【請求項6】
前記第1規制部が、円柱を縦に割った半体の形状である請求項5に記載のおむつ交換台。
【請求項7】
前記第1規制部は、前記半体の形状の長手方向が前記マット本体の一辺と平行になるように設けられている請求項6に記載のおむつ交換台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ交換台用のマットに関する。
【背景技術】
【0002】
電車の駅等の公共施設のトイレ等の壁面に設けられた、乳幼児のおむつを交換するための台であるおむつ交換台が公知である(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のおむつ交換台は、平板状の交換台本体と、交換台本体上に設けられ且つ乳幼児を寝かせるマットと、壁面に固定され且つ交換台本体を回動可能に支持するベースとを有する、いわゆる折り畳み式おむつ交換台である。したがって、おむつ交換台は、交換台本体が壁面に平行に配置された未使用状態と、交換台本体が壁面に対して垂直、すなわち水平に配置された使用状態とを切り替え可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-23963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるようなおむつ交換台用のマットにおいて、乳幼児を寝かせる面は、一般的に、作業者が乳幼児をマットに速やかに且つ適切に配置できるように、凹凸が少なく滑らかに形成されている。そのため、乳幼児が、激しく動いて足の方向に移動した場合、マットから滑り落ちてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、乳幼児がマットから落下することを防止可能なおむつ交換台用のマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、マット本体と、該マット本体上において前記マット本体の縁部又は該縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部であって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児の前記マット本体の外方への滑りを規制する第1規制部と、前記マット本体の前記縁部以外の縁部に設けられた側壁部と、を具備することを特徴とするおむつ交換台用のマットが提供される。
【0007】
前記第1規制部が、円柱を縦に割った半体の形状であってもよい。前記マット本体上において、配置される乳幼児の体側近傍に相当する位置に設けられた突起状の第2規制部であって、乳幼児の左右方向の移動を規制する第2規制部をさらに具備してもよい。前記側壁部が、当該おむつ交換台用のマットが配置されるおむつ交換台の交換台本体の上端部よりも上方に延びるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、乳幼児がマットから落下することを防止可能なおむつ交換台用のマットを提供するという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、おむつ交換台の斜視図である。
図2図2は、図1のおむつ交換台の平面図である。
図3図3は、別のおむつ交換台の斜視図である。
図4図4は、図3のおむつ交換台の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0011】
図1は、おむつ交換台1の斜視図であり、図2は、図1のおむつ交換台1の平面図である。
【0012】
おむつ交換台1は、交換台本体2とマット3とを有している。交換台本体2は、2つの側板21と、2つの側板21間に設けられた天板22と、2つの側板21間に設けられた背板23と、天板上22上に設けられた分割板24とを有している。分割板24は、天板22上のスペースを、乳幼児を配置するスペースと荷物等の物品を配置するスペースとに分割する。側板21の上端部と背板23の上端部と分割板24の上端部とは、同じか又はほぼ同じ高さとなるように構成されている。なお、背板23は省略してもよい。また、背板23に代えて、2つの側板21間に梁等の支持部材を配置してもよい。
【0013】
おむつの交換作業の際には、図2及び後述する図4において、上側に頭部が配置され且つ下側に足部が配置されるように、乳幼児をマット3に寝かせる。おむつを交換する作業者は、おむつ交換台1に対して図2及び図4における下方に立ち、おむつの交換作業を行う。
【0014】
マット3は、平板状且つ矩形状のマット本体31と、マット本体31の対向する2辺の縁部の各々に設けられた2つの側壁部32と、マット本体31の残りの一方の一辺の縁部に設けられた背壁部33とを有している。また、マット3は、マット本体31上においてマット本体31の残りの他方の一辺の縁部又は縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部34を有している。さらに、マット3は、マット本体31上において、配置される乳幼児の体側近傍に相当する位置に設けられた突起状の2つの第2規制部35を有している。2つの第2規制部35間には、おむつの交換作業を容易に行うことができるように、マット本体31に対して乳幼児を固定する固定ベルト36が配置されている。固定ベルト36は、バックルによって容易に締結及び締結解除をすることができる。
【0015】
第1規制部34は、円柱を縦に割った半体の形状であり、円柱の長手方向がマット本体31の一辺と平行となるように、設けられている。第1規制部34は、マット本体31の一辺の長さに亘り設けられている。マット3が第1規制部34を有することによって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児のマット本体31の外方への滑り、すなわち作業者にとって手前側への乳幼児の移動を規制することができる。
【0016】
詳細には、おむつの交換作業の際に乳幼児をマット3に寝かせるが、このとき、乳幼児の臀部は、マット本体31上であって第1規制部34よりも内側に配置される。したがって、乳幼児が手前側に移動しようとしたとしても、臀部が第1規制部34と係止し、乳幼児の移動が規制されることから、乳幼児がマット3から落下することを防止することができる。
【0017】
また、おむつ交換台1は、おむつの交換作業のみならず、乳幼児又は幼児(以下、「乳幼児等」という。)を着座させた状態で、靴又は靴下を脱がせたり又は履かせたりするための作業台として使用することもできる。また、作業者自身の作業のため、一時的に乳幼児等を着座させておく台として使用することもできる。
【0018】
詳細には、乳幼児等をマット3のマット本体31上に着座させると、臀部は第1規制部34よりも内側に配置される。したがって、乳幼児等の脚は、第1規制部34上に大腿部が配置された状態で、足部がマット本体31の縁部から下方に垂らされる。そのため、作業者は、乳幼児等の足部に対して靴又は靴下を着脱させることを容易に行うことができる。このとき、乳幼児等が手前側に移動しようとしたとしても、臀部が第1規制部34と係止し、乳幼児等の移動が規制されることから、乳幼児等がマット3から落下することを防止することができる。
【0019】
第2規制部35は、半円形状の突起である。マット3が2つの第2規制部35を有することによって、乳幼児の左右方向の移動を規制することができる。詳細には、おむつの交換作業の際に乳幼児をマット3に寝かせるが、乳幼児が左右方向に移動しようとしたとしても、第2規制部35が障害物となって、横ずれや寝返りの動作がし難くなる。したがって、作業者は、おむつの交換作業を容易に行うことができる。また、乳幼児は、第2規制部35によって左右方向の移動が規制されていることから、作業者は、必要に応じて乳幼児を固定ベルト36で容易に固定することができ、より安全且つ確実におむつの交換作業を行うことができる。
【0020】
第1規制部34は、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児のマット本体31の外方への滑りを規制することができる限りにおいて、任意の形状又は配置とすることができる。例えば、第1規制部として、複数の円形状の突起を、マット本体31の一辺に沿って配置するようにしてもよい。第1規制部34は、マット本体31と一体的に設けてもよく、マット本体31と別体に設けてもよい。マット本体31と第1規制部34とは、連続的な平面又は曲面として形成又は接続されていないことが好ましい。
【0021】
第2規制部35は、乳幼児の左右方向の移動を規制することができる限りにおいて、任意の形状又は配置とすることができる。例えば、第2規制部として、半円形状ではなく、円形状又は半球状の突起としてもよい。第2規制部35は、マット本体31と一体的に設けてもよく、マット本体31と別体に設けてもよい。マット本体31と第2規制部35とは、連続的な平面又は曲面として形成又は接続されていないことが好ましい。
【0022】
マット3は、分割板24によって隔てられた天板22上の一方のスペースに対して、嵌合するように構成されている。すなわち、マット3のマット本体31と一方の側壁部32と背壁部33と他方の側壁部32とは、交換台本体2の天板22と一方の側板21と背板23と分割板24に対して、それぞれ密着して配置される。マット本体31は、天板22を超えて外方へ、すなわち手前側へ延び、天板22の手前側の端面を覆うように形成されている。マット3において露出している部分はすべて、クッション性のあるクッション部材によって覆われている。
【0023】
さらに、マット3の側壁部32と背壁部33とは、マット3が配置されるおむつ交換台1の交換台本体2の上端部、すなわち側板21、背板23及び分割板24のいずれの上端部よりも上方に延びるように構成されている。したがって、マット3に配置された乳幼児の四肢や頭部は、硬質な交換台本体2の側板21、背板23及び分割板24に当たる前に、クッション性のあるマット3の側壁部32及び背壁部33に当たることから、乳幼児の怪我を防止することができる。
【0024】
なお、マット3は、全体として矩形であったが、矩形以外、例えば円形であってもよい。すなわち、マットは、マット本体と、マット本体上においてマット本体の縁部又は縁部の近傍に設けられた突起状の第1規制部であって、乳幼児の臀部又は足部と係止して乳幼児のマット本体の外方への滑りを規制する第1規制部と、マット本体の前記縁部以外の縁部に設けられた側壁部とを有する限りにおいて、任意に構成することができる。おむつ交換台1は、いわゆる折り畳み式のおむつ交換台ではないが、マット3を折り畳み式のおむつ交換台に適用してもよい。
【0025】
分割板24によって分割された天板22上のスペースのうち、マット3が配置されている側とは反対側のスペースは、荷物等の物品を配置することができる。分割板24があることによって、マット3に寝ている乳幼児に対して、鞄等の物品が倒れることを防止することができ、乳幼児の怪我を防止することができる。また、側板21の上端部と背板23の上端部と分割板24の上端部とが、同じか又はほぼ同じ高さとなるように構成されていることによって、物品を配置するスペースが全体として壁に囲まれることとなり、乳幼児に対して倒れることのみならず、天板22からの物品の落下を防止することもできる。
【0026】
天板22を基準とした分割板24の高さ、さらには側板21及び背板23の高さは、例えば15cmである。また、上述したように、マット3の側壁部32と背壁部33とは、マット3が配置されるおむつ交換台1の交換台本体2の上端部、すなわち側板21、背板23及び分割板24のいずれの上端部よりも上方に延びるように構成されている。天板22を基準としたマット3の側壁部32及び背壁部33の高さは、例えば18cmである。
【0027】
おむつ交換台1は、物品を配置するスペースを有していることから、おむつを交換する作業者が、交換作業の間に一時的に鞄等の荷物を置くための棚として、別体の荷物台を併設する必要がない。すなわち、おむつ交換台1は、おむつ交換台と荷物台とを別々で製造した場合に比べて、低コストで製造可能であるにもかかわらず、荷物を配置可能である。
【0028】
詳細には、おむつ交換台と荷物台とを別々で製造し且つそれらを設置スペースにおいて併設した場合には、おむつ交換台と荷物台とは、全体として少なくとも4つの側板を有している。さらにそのうちの2つの側板は、隣接し又は当接していることから、おむつ交換台及び荷物台が自立するための部材として、余剰である。
【0029】
他方、上述したおむつ交換台1は、2つの側板21と、2つの側板21間に設けられた天板22と、天板22上に設けられた分割板24を有することから、最小限の構成で、自立することができ、且つ、乳幼児を配置するスペースと物品を配置するスペースとを同時に確保することができる。このことから、原材料費を抑えることも可能となる。さらに、1つの天板22上に配置された分割板24によって、天板22上のスペースを2つに分割していることから、2つの側板21間に挟まれた天板22の下のスペースを広く確保することができる。天板22の下のスペースは、例えば、荷物や乳母車等を置くこともでき、設置スペースを有効に活用することができる。
【0030】
図3は、別のおむつ交換台4の斜視図であり、図4は、図3のおむつ交換台4の斜視図である。
【0031】
おむつ交換台4は、交換台本体5と上述したマット3とを有している。交換台本体5は、2つの側板51と、2つの側板51間に設けられた天板52と、2つの側板51間に設けられた背板53とを有している。側板51の上端部と背板53の上端部とは、同じか又はほぼ同じ高さとなるように構成されている。なお、背板53は省略してもよい。また、背板53に代えて、2つの側板51間に梁等の支持部材を配置してもよい。
【0032】
おむつ交換台4は、図1のおむつ交換台1と比べて物品を配置するスペースを有さない点で異なることから、図1のおむつ交換台1と比べて、よりコンパクトであり、スペースが限られた場所に設置するのに適している。
【符号の説明】
【0033】
1 おむつ交換台
2 交換台本体
21 側板
22 天板
23 背板
24 分割板
3 マット
31 マット本体
32 側壁部
33 背壁部
34 第1規制部
35 第2規制部
図1
図2
図3
図4