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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】混合方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/375 20190101AFI20220228BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20220228BHJP
   B29C 48/385 20190101ALI20220228BHJP
   B29C 48/39 20190101ALI20220228BHJP
   B29C 48/295 20190101ALI20220228BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20220228BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20220228BHJP
   B29C 44/50 20060101ALI20220228BHJP
   B29C 44/22 20060101ALI20220228BHJP
   B01F 23/40 20220101ALI20220228BHJP
   B01F 27/72 20220101ALI20220228BHJP
【FI】
B29C48/375
C08J9/12
B29C48/385
B29C48/39
B29C48/295
B29C48/285
B29C44/00 E
B29C44/50
B29C44/22
B01F3/08 Z
B01F7/08 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020187395
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】109129971
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517262450
【氏名又は名称】欧特捷実業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】OTRAJET INC.
【住所又は居所原語表記】No.6, Gongyequ 33th Rd., Xitun Dist., Taichung City 407, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】葉良輝
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104725(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129659(WO,A1)
【文献】特開昭49-059866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 7/00- 7/94
B29C 48/00-48/96
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を第1体積流量で流動させることができる第1流路と、
流体を第2体積流量で流動させることができる第2流路を含み、且つ前記第2体積流量は前記第1体積流量よりも大きくさせており、
固体の高分子原料は前記第1流路において溶解されて流動可能な溶融原料流体となり、
前記溶融原料流体は前記第1体積流量で前記第1流路を離れて前記第2流路内に進入し、同時又は別時に発泡剤流体を前記第2流路内へ導入し、前記溶融原料流体と前記発泡剤を互いに混合させて混合物とし、前記混合物が前記第2体積流量で前記第2流路内を流動するようにさせ、
第1配管部材と、
前記第1配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができる第1スクリュをさらに含み、
前記第1スクリュの側面と前記第1配管部材の内壁との間のスペースによって前記第1流路が構成され、
第2配管部材と、
前記第2配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができる第2スクリュをさらに含み、
前記第2スクリュの側面と前記第2配管部材の内壁との間のスペースによって前記第2流路が構成され、
前記第2スクリュの回転数は前記第1スクリュの回転数よりも大きい、混合システム。
【請求項2】
流体を第1体積流量で流動させることができる第1流路と、
流体を第2体積流量で流動させることができる第2流路を含み、且つ前記第2体積流量は前記第1体積流量よりも大きくさせており、
固体の高分子原料は前記第1流路において溶解されて流動可能な溶融原料流体となり、
前記溶融原料流体は前記第1体積流量で前記第1流路を離れて前記第2流路内に進入し、同時又は別時に発泡剤流体を前記第2流路内へ導入し、前記溶融原料流体と前記発泡剤を互いに混合させて混合物とし、前記混合物が前記第2体積流量で前記第2流路内を流動するようにさせ、
第1配管部材と、
前記第1配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができる第1スクリュをさらに含み、
前記第1スクリュの側面と前記第1配管部材の内壁との間のスペースによって前記第1流路が構成され、
第2配管部材と、
前記第2配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができる第2スクリュをさらに含み、
前記第2スクリュの側面と前記第2配管部材の内壁との間のスペースによって前記第2流路が構成され、前記第2配管部材の内径は前記第1配管部材の内径よりも大きい、混合システム。
【請求項3】
前記第2流路の断面積は前記第1流路の断面積よりも大きい、請求項1又は2に記載の混合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子加工技術に関し、特に高分子発泡弾性体の製造プロセス中、物理発泡剤である超臨界流体を溶解した高分子流体と混合する混合方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超臨界状態の不活性ガス又は二酸化炭素を発泡剤とし、溶解させた高分子原料流体と混合した後、温度又は圧力を制御することで、発泡剤が高分子内で核となって気泡が形成され、成形された高分子内に多数の空孔が存在するようにさせるなどの発泡技術は、高分子加工技術分野において既に開示されている技術内容である。
【0003】
発泡剤と原料流体を完全に混合して単相溶液とすることができるように、従来技術では、固体原料の溶解を行う押出バレルが備えるスクリュが利用されており、発泡剤を押出バレル内に注入して、スクリュの攪拌により混合し、発泡剤と原料流体を混合させることで単相溶液にしている。
【0004】
従来の押出バレルは、高分子原料を固体から流体に溶解させるための技術であるため、発泡剤をバレルに注入する際、バレル内部の原料流体に余分な圧力が発生し、原料流体が逆流する現象を生じさせてしまう。
【0005】
逆流の発生を防ぐために、特許文献1では、バレル内部の原料流が発泡剤入口の上流方向に対応し、逆止弁の技術により原料の逆流を防ぐ手段が開示されている。
【0006】
しかし、逆流防止を提供する制限要素をスクリュに加味する技術は、メンテナンスが不便になるだけでなく、追加された構造部材が製造における難易度を高め、スクリュの動作にも影響が出てしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6322347号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに鑑み、本発明は、超臨界状態の発泡剤と溶解された原料流を混合させる際に、原料流の流動に対して影響を与えず、原料流の逆流発生を防ぐことができる混合方法及びそのシステムを提供することを主な目的としている。
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明が提供する混合方法は、固体の高分子原料を溶解させて流動可能な溶融原料流体とした後、第1体積流量で混合スペースに流入させ、且つ原料流体が混合スペースに進入すると同時か又は別時に流体形態の発泡剤を混合スペースへ導入し、発泡剤と溶融原料流体を混合スペースにおいて混合して混合物とし、混合物は混合スペース内を第2体積流量で流動し、第2体積流量は第1体積流量よりも大きく、これにより、原料流が混合スペースを流動する過程中、混合スペースにおける比較的大きな体積流量で流動する環境又は条件によって、原料流を定常的又は断続的に一方方向へ流動させることができ、逆止効果が達成されるというものである。
【0010】
本発明が提供する混合システム中には、流体を第1体積流量で流動させることができる第1流路と、流体を第2体積流量で流動させることができる第2流路が含まれ、且つ第2体積流量は第1体積流量よりも大きく、これにより、固体の高分子原料が第1流路において溶解されて流動可能な溶融原料流体となった後、第1体積流量で第1流路を離れて第2流路内に進入し、同時又は別時に発泡剤を第2流路内へ導入し、溶融原料流体と発泡剤を互いに混合させて混合物とし、混合物が第2体積流量で第2流路内を流動するようにさせる。
【0011】
第1流路を形成するために、混合システムはさらに第1配管部材と第1スクリュを含み、そのうち、第1スクリュは第1配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができ、第1スクリュの側面と第1配管部材の内壁との間のスペースによって第1流路が構成されている。
【0012】
これに対して、第2流路を形成するために、混合システムは第2配管部材と第2スクリュを含み、そのうち、第2スクリュは第2配管部材中に同軸で穿伸し、且つ自身のシャフト軸を回転軸にして回転することができ、第2スクリュの側面と第2配管部材の内壁との間のスペースによって第2流路が構成されている。
【0013】
具体的な流路の構成中、体積流量の差別化を実現するために、配管部材の内径、スクリュの直径、スクリュのピッチ、ねじ山の高さ、ねじ山の角度又はフライト厚さなどを変える手段によって流路の断面積を変えるか、又は断面積が同じか若しくは異なる流路において異なるスクリュ回転数により体積流量の差異を実現することなどが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好ましい実施例の立体図である。
図2】本発明の好ましい実施例における図1中の切断線2-2に沿った部分断面図である。
図3】本発明の別の好ましい実施例の立体図である。
図4】本発明の別の好ましい実施例における図3中の切断線4-4に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
図1及び図2を参照して、本発明の好ましい実施例において提供する混合システム(10)は、押出ユニット(20)、混合ユニット(30)及び発泡剤供給ユニット(40)を含む。
【0016】
押出ユニット(20)は、熱エネルギーにより固体高分子原料を溶融流体などのように溶解して流動可能にするための従来の技術内容であり、構造上に第1配管部材(21)及び第1配管部材(21)内に同軸で穿伸する第1スクリュ(22)を有しており、第1スクリュ(22)の側面と第1配管部材(21)の内側管壁との間は、高分子原料の通過に供され得る第1流路(23)スペースと定義される。
【0017】
混合ユニット(30)は、第2配管部材(31)及び第2配管部材(31)内に同軸で穿伸する第2スクリュ(32)を有しており、第2配管部材(31)の管孔スペースにおいて第2スクリュ(32)に占有されていない部分は、高分子原料の通過に供され得る第2流路(33)スペースと定義され、そのうち、第2配管部材(31)は第1配管部材(21)に同軸で連結されている。
【0018】
発泡剤供給ユニット(40)の具体的な技術内容は、流体の通過を制御するのに用い得る弁であり、混合ユニット(30)に設置されて、外部の超臨界状態で存在する不活性ガス又は二酸化炭素などの流体を第2流路(33)へ導入するのに用いられる。
【0019】
混合システム(10)の実施においては、固体の高分子原料をホッパーから第1流路(23)内に入れて、モータ(M1)などの外部動力により、第1スクリュ(22)の第1配管部材(21)内における自身のシャフト軸を軸にした自転運動を駆動して、高分子が第1流路(23)を所定の単一方向に沿って流動するようにさせ、熱エネルギーの作用下で、高分子原料が固体から溶解して流動可能な溶融原料流体となり、下流方向へ定常的に流動して、第1体積流量で第1配管部材(21)の外へ流れ出る。
【0020】
第1配管部材(21)から第1体積流量で流れ出た溶融原料流体は、すぐに第2流路(23)内へ進入し、発泡剤供給ユニット(40)から第2流路(23)内へ進入した超臨界流体と混合されて混合物となる。
【0021】
これに伴い、第2スクリュ(32)がモータ(M2)の外部動力による駆動を受けて、第2配管部材(31)内における自身のシャフト軸を軸に自転運動を行い、混合物が第2流路(33)内を第2体積流量で流動し、且つ第2スクリュ(32)の撹拌を定常的に受け、第2流路(33)が混合スペースとなって混合が行われ、混合物を単相の溶液にすることができる。
【0022】
混合物の単相溶液は、混合ユニット(30)に接続された排出部(50)により所定の金型キャビティ空間内へ移送され、超臨界流体を発泡剤としてキャビティ空間内で核生成、発泡が行われ、これにより、内部に多数の空孔が存在する高分子発泡弾性体を得る。
【0023】
ここで特に説明すべき点として、第2体積流量は第1体積流量よりも大きく、これにより溶融原料流体が第2流路に進入する際、原料流の上流圧力が下流圧力よりも大きいか又は同程度となるため、原料流の流動が阻害されることで圧力が上昇して逆流が生じる現象が回避されるが、ここで、第2体積流量を第1体積流量よりも大きくさせる技術手段は、本実施例では第2スクリュ(32)の回転数を第1スクリュ(22)の回転数よりも大きくし、流体の第2流路(33)内における体積流量を高めることで上述の効果を達成している。
【実施例2】
【0024】
図3及び図4を参照して、本発明の別の好ましい実施例において提供する混合システム(10')の主な技術的特徴は、上述の実施例で開示したものと同じであり、原料流を発泡剤と混合させる際に上流に位置する第1体積流量が、下流に位置する第2体積流量よりも小さく、これにより、原料流の逆流現象の発生回避を達成している。
【0025】
本実施例と上述の実施例の相違点は、物品上の違いにあり、具体的には、本実施例中、第2配管部材(31')は第1配管部材(21')と直角に結合された状態であり、第2スクリュ(32')の側面と第2配管部材(31')の内側管壁との間のスペースが第2流路(33')と定義されるが、これらの違いは本発明が訴求する目的や効果の達成に影響しない。
【0026】
またさらに強調すべきは、原料流を発泡剤と混合させる際の上流体積流量と下流体積流量との相違を実現するのに用いる技術手段は、上述の2つの実施例における回転数の例以外に、流路の断面積を変える手段によっても実現可能であり、例えば配管部材の内径、スクリュの直径を変えたり、スクリュのピッチ、ねじ山の高さを変えたり、ねじ山の角度を変化させるか又はフライト厚さを調整するなどは、いずれも採用可能な技術手段であり、いずれも本発明の保護範囲とされるべきである。
【符号の説明】
【0027】
10、10' 混合システム
20 押出ユニット
21、21' 第1配管部材
22 第1スクリュ
23 第1流路
30 混合ユニット
31、31' 第2配管部材
32、32'第2スクリュ
33、33'第2流路
40 発泡剤供給ユニット
50 排出部
M1、M2 モータ
【要約】
【課題】 本発明は混合方法及びそのシステムを得ることにある。
【解決手段】 本発明が提供する混合方法は、固体の高分子原料を溶解させて流動可能な溶融原料流体とした後、第1体積流量で混合スペースに流入させ、且つ原料流体が混合スペースに進入すると同時か又は別の時に流体形態の発泡剤を混合スペースに導入し、発泡剤と溶融原料流体を混合スペースにおいて混合して混合物とし、混合物は混合スペース内を第2体積流量で流動し、第2体積流量は第1体積流量よりも大きく、これにより、原料流が混合スペースを流動する過程中、混合スペースにおける比較的大きな体積流量で流動する環境又は条件によって、原料流を定常的又は断続的に一方方向へ流動させることができ、逆止効果が達成されるというものである。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4