(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】少なくとも1つの干渉フィルタを含む封入構造部を有する、電磁放射線を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20220228BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20220228BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20220228BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20220228BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
G01J1/02 C
G02B5/28
G01J1/04 B
B81B7/02
B81C1/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017085451
(22)【出願日】2017-04-24
【審査請求日】2020-03-30
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510132347
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】フレイ ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ブータミ サリム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ジャン-ジャック
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-117884(JP,A)
【文献】米国特許第05726805(US,A)
【文献】特開2014-035258(JP,A)
【文献】特開2001-228022(JP,A)
【文献】特表平10-511772(JP,A)
【文献】特表2005-539229(JP,A)
【文献】特開2012-154780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00 - 11/00
G02B 5/20 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)と、
基板上に配置された少なくとも1つの熱検出部(10)と、
熱検出部上に延在する少なくとも1つの薄い封入層(21)を含み、前記熱検出部を収容するキャビティ(3)を基板とともに画定するように配置された封入構造部(20)と
を含む、電磁放射線を検出するための装置(1)であって、
装置(1)は
、熱検出部から離して配置された、少なくとも1つのファブリペロー干渉フィルタ(31)を更に含み、
前記フィルタは、構造化層と呼ばれる層(35)によって互いに分離される第1及び第2の半反射鏡部(32A、32B)により形成され、
各半反射鏡部(32A、32B)は、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率層(33A、33B)を含み、
前記高屈折率層は
λ/4nの倍数に等しい厚さを有し、ここで、λは熱検出部(10)の検出スペクトル領域にある参照波長
であり、nは前記高屈折率層の屈折率であり、
構造化層(35)は、基板の平面と平行な平面において、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率部(36)と、高屈折率部の材料の屈折率よりも小さな屈折率の媒体でできた、いわゆる低屈折率部(37)との交互配置を含み、
1つの前記半反射鏡部(32A)の高屈折率層(33A)は、少なくとも部分的に前記薄い封入層(21)で形成され、
熱検出部(10)上に位置する上部壁(22)と、基板(2)上にある側壁(23)とを形成するために、薄い封入層(21)が熱検出部(10)の周りに連続して延在する、
ことを特徴とする検出装置(1)。
【請求項2】
各半反射鏡部(32A、32B)は単一の高屈折率層(33A、33B)を含み、
前記半反射鏡部の少なくとも1つは、高屈折率層(33A、33B)の材料の屈折率よりも小さな屈折率の媒体でできた、いわゆる低屈折率層(34A、34B)を含み、
前記低屈折率層(34A、34B)は、高屈折率層(33A、33B)と、構造化層(35)との間に位置する
請求項1記載の検出装置(1)。
【請求項3】
高屈折率層(33A、33B)の材料の屈折率と、低屈折率層(34A、34B)の媒体の屈折率との差異は、1.5以上である
請求項2記載の検出装置(1)。
【請求項4】
低屈折率層(34A、34B)及び低屈折率部(37)の媒体は、真空又は気体である
請求項2又は請求項3記載の検出装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記半反射鏡部の高屈折率層(33A、33B)は、異なる材料でできて互いに接触する少なくとも2つの副層(33A.1、33A.2、33A.1、33A.2)のスタックで形成される
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の検出装置(1)。
【請求項6】
構造化層(35)は、30%以上の、高屈折率部(36)の容積率を有する
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の検出装置(1)。
【請求項7】
構造化層(35)は、高屈折率部(36)が上にある連続する層(41)を含む
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の検出装置(1)。
【請求項8】
いわゆる上側の半反射鏡部(32B)の高屈折率層(33B)は、構造化層(35)に面して位置する、いわゆる上部壁(39)と、上部壁(39)のどちらかの側に位置する、いわゆる側壁(40)とを含み、
構造化層(35)は、いわゆる下側の半反射鏡部(32A)の高屈折率層(33A)の上に、側壁(40)により維持される
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の検出装置(1)。
【請求項9】
基板(2)上に配置され、前記薄い封入層(21)が上に延在する、複数の熱検出部(10)と、
封入構造部(30)と同じ高さにそれぞれ配置された、複数のファブリペロー干渉フィルタ(31)と、
いろいろな干渉フィルタ(31)の、1つの前記半反射鏡部(32A)の、複数の高屈折率層(33A)に共通する薄い封入層(21)と
を含む
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の検出装置(1)。
【請求項10】
干渉フィルタ(31)の半反射鏡部(32A、32B)と構造化層(35)とが、1つの干渉フィルタから次の干渉フィルタまで、それぞれ同一平面上にある
請求項9記載の検出装置(1)。
【請求項11】
少なくとも次の工程a~d
a.少なくとも1つの熱検出部(10)を生成し、
b.前記熱検出部を収容するキャビティ(3)を基板(2)とともに画定するように配置され、熱検出部上に延在して、前記熱検出部を覆う犠牲層(26.2)上にある少なくとも1つの薄い封入層(21)を含む、封入構造部(20)を生成し、
c.犠牲層(26.4)が構造化層(35)の高屈折率部(36)の間に位
置する、少なくとも1つのファブリペロー干渉フィルタ(31)を生成し、
d.前記犠牲層(26.2、26.4)を除去する
を含む
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の検出装置(1)を製造するためのプロセス。
【請求項12】
工程cにおいて、犠牲層(26.4)が高屈折率層(33A、33B)と構造化層(35)との間に位置する、
請求項11記載の製造プロセス。
【請求項13】
複数の犠牲層(26.2、26.4)は同一の材料でできており、2つの半反射鏡部(32A、32B)の高屈折率層(33A、33B)はそれぞれ貫通孔(24.1、24.3)を含み、構造化層(35)の低屈折率部(37)は、貫通部分であり、
干渉フィルタ(31)を生成する工程に続いて、複数の犠牲層(26.2、26.4)は同一の工程で除去される
請求項11記載の製造プロセス。
【請求項14】
犠牲層が次の2つの副工程で除去される、
干渉フィルタ(31)を生成する工程の前に実行される、薄い封入層(21)が上にある犠牲層(26.2)を除去する第1副工程であって、薄い封入層(21)は貫通孔(24.1)を含み、貫通孔(24.1)を塞ぐために、次に密閉層(33A.2)が薄い封入層(21)上に成膜される、第1副工程、
構造化層(35)の高屈折率部(36)の間に位置する犠牲層(26.4)を除去する第2副工程であって、上側の半反射鏡部(32B)の高屈折率層(33B)は貫通孔(24.3)を含む、第2副工程、
請求項11記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、少なくとも1つの干渉フィルタが位置するのと同じ高さの封入構造部(encapsulating structure)により少なくとも部分的に形成されるキャビティ(cavity)に封入される少なくとも1つの熱検出部を含む、電磁放射線、特に、赤外線又はテラヘルツ波(terahertz radiation)を検出するための装置のものである。本発明は、特に、マルチスペクトル検出の分野に適用する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射線、例えば、赤外線又はテラヘルツ波を検出するための装置は、各熱検出部が検出される電磁放射線を吸収できる吸収部を含む、いわゆる基本の熱検出部のマトリックスアレイを備えても良い。熱検出部を熱的に絶縁するために、吸収部は、従来、支柱(anchoring pillar)により基板上に懸架される膜の形状を有し、熱的に絶縁する保持アームにより当該基板から熱的に絶縁される。これらの支柱及び絶縁アームは、それらが、懸架された膜を一般的に基板に配置される読出し回路に電気的に接続するときに、更に、電気的な機能を有する。
【0003】
マルチスペクトル検出を成し遂げる、すなわち、熱検出部の検出範囲において波長を選別する目的のために、検出装置は、1つの熱検出部とそれぞれ関連付けられる複数の干渉フィルタを含んでも良い。この点に関して、
図1は、特許文献1に記載されるようなマルチスペクトル検出装置の例を示す。検出装置1は、吸収膜11上に直接あるMIM(metal-insulator-metal)フィルタ5をそれぞれ含むマイクロボロメータのマトリックスアレイを含む。各MIMフィルタ5は、絶縁層5.2により互いに分離される2つの金属層5.1、5.3のスタックで形成され、スタック5は、横方向の大きさがフィルタの共鳴波長の値を定義するパッドを構成する。このように、スペクトル検出領域の複数の異なる波長の同時検出を可能にするように、検出装置は、互いに異なる複数のMIMフィルタを含み、当該フィルタの1つは、吸収膜のそれぞれに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、少なくとも1つの熱検出部と、少なくとも1つの干渉フィルタとを含み、熱検出部の特性の少なくともいくつかが干渉フィルタにより影響されない、電磁放射線を検出するための装置についての要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の問題を少なくとも部分的に改善することであって、特に、
基板と、
基板上に配置された、少なくとも1つの熱検出部と、
当該熱検出部を収容するキャビティを、基板とともに画定するように配置されて、熱検出部上に延在する少なくとも1つの薄い封入層を含む封入構造部と
を含む、電磁放射線を検出するための装置を提案することである。
【0007】
本発明によれば、それは更に、
封入構造部と同じ高さで、熱検出部から離して配置される少なくとも1つのファブリペロー干渉フィルタを含み、当該フィルタは、構造化層(structured layer)と呼ばれる層
により互いに分離される第1及び第2の半反射鏡部により形成され、
半反射鏡部のそれぞれは、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率層を含み、当該層は、その屈折率の4倍分の、熱検出部の検出スペクトル領域にある参照波長の割合の倍数に等しい厚さを有し、
構造化層は、基板の平面に平行な平面において、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率部と、高屈折率部の材料の屈折率よりも小さい屈折率の媒体でできた、いわゆる低屈折率部との交互配置を含み、
1つの当該半反射鏡部の高屈折率層は、少なくとも部分的に当該薄い封入層で形成される。
【0008】
次のものは、電磁放射線を検出するためのこの装置の、ある好ましい、しかし、何も限定しない側面である。
【0009】
各半反射鏡部は単一の高屈折率層を含んでも良く、少なくとも1つの当該半反射鏡部は、高屈折率層の材料の屈折率よりも小さい屈折率の媒体でできて、高屈折率層と構造化層との間に位置する、いわゆる低屈折率層を含んでも良い。
【0010】
高屈折率層の材料の屈折率と、低屈折率層の媒体の屈折率との差異は、1.5以上であっても良い。
【0011】
低屈折率層及び低屈折率部の媒体は、真空又は気体であっても良い。
【0012】
少なくとも1つの当該半反射鏡部の高屈折率層は、互いに接触し、また、異なる材料でできた少なくとも2つの副層(sublayer)のスタックで形成されても良い。
【0013】
構造化層は、30%以上の、高屈折率部の容積率(proportion by volume)を有しても良い。
【0014】
構造化層は、高屈折率部が上にある連続する層を含んでも良い。
【0015】
いわゆる上側の半反射鏡部の高屈折率層は、構造化層に面して位置するいわゆる上部壁、及び、上部壁のいずれかの側に位置するいわゆる側壁を含んでも良く、構造化層は、側壁により、いわゆる下側の半反射鏡部の高屈折率層上に維持される。
【0016】
薄い封入層は、熱検出部上に位置する上部壁、及び、基板上にある側壁を形成するように、熱検出部の周りに連続して延在しても良い。
【0017】
検出装置は、
基板上に位置し、当該薄い封入層が上に延在する、複数の熱検出部と、
封入構造部と同じ高さにそれぞれ位置する、複数のファブリペロー干渉フィルタとを含み、
薄い封入層は、いろいろな干渉フィルタの、1つの当該半反射鏡部の、複数の高屈折率層に共通する。
【0018】
干渉フィルタの半反射鏡部及び構造化層は、1つの干渉フィルタから次の干渉フィルタまで、それぞれ同一平面上にあっても良い。
【0019】
本発明は、更に、前述の特徴のいずれか1つに係る検出装置を製造するためのプロセスに関し、当該プロセスは、少なくとも次の工程、
a.少なくとも1つの熱検出部を生成し、
b.当該熱検出部を収容するキャビティを基板とともに画定するように配置され、熱検出部上に延在して当該熱検出部を覆う犠牲層上にある少なくとも1つの薄い封入層を含む、封入構造部を生成し、
c.犠牲層が、構造化層の高屈折率部の間、任意には、高屈折率層及び構造化層の間に位置する、少なくとも1つのファブリペロー干渉フィルタを生成し、
d.当該犠牲層を除去する
を含む。
【0020】
干渉フィルタを生成する工程に続けて、犠牲層が、同一の工程で除去されても良く、犠牲層は同一の材料ででき、2つの半反射鏡部の高屈折率層はそれぞれ貫通孔を含み、構造化層の低屈折率部は貫通部(through-section)である。
【0021】
干渉フィルタを生成する工程の前に実行される、薄い封入層が上にある犠牲層を除去する第1副工程(sub-step)であって、薄い封入層は貫通孔を含み、貫通孔を塞ぐために、密閉層が、薄い封入層の上に次に成膜される、第1副工程と、
構造化層の高屈折率部の間に位置する犠牲層を除去する第2副工程であって、上側の反射鏡部の高屈折率層は貫通孔を含む、第2副工程と
の2つの副工程で、犠牲層は除去されても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の他の側面、目的、利点、特徴は、添付された図面を参照して、何も限定しない例として記載が与えられる好ましい実施の形態の以下の詳細な記載を読むことにより、よりはっきりと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】既に説明された、先行技術の例に係る、マルチスペクトル検出装置の概略図である。
【
図2】
図2(a)は、第1実施の形態に係る、電磁放射線を検出するための装置の概略断面図であり、
図2(b)は、構造化層の基本モチーフ(motif)の例の平面図であり、
図2(c)は、構造化層の充填率(fill factor)のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度(spectral response)を示す。
【
図3】
図3(a)は干渉フィルタの第1変形例の概略図であり、
図3(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図4】
図4(a)は干渉フィルタの第2変形例の概略図であり、
図4(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図5】
図5(a)は干渉フィルタの第3変形例の概略図であり、
図5(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図6】
図6(a)は干渉フィルタの第4変形例の概略図であり、
図6(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図7】
図7(a)は干渉フィルタの第5変形例の概略図であり、
図7(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図8】
図8(a)は干渉フィルタの第6変形例の概略図であり、
図8(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するそのような検出装置の分光感度を示す。
【
図9】マルチスペクトル検出に適した、第2実施の形態に係る電磁放射線を検出するための装置の概略断面図である。
【
図10】第3実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【
図11】第3実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【
図12】第3実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【
図13】第4実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【
図14】第5実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【
図15】第5実施の形態に係る検出装置を製造するための方法のいろいろな工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面及び残りの記載において、同じ参照番号は、同一又は同様の構成要素を参照するために用いられる。加えて、図面の明瞭性のために、いろいろな構成要素は縮尺通りに示されない。その上、いろいろな実施の形態及びいろいろな変形例は、互いに排他的ではなく、一緒に結合されても良い。他に示されていなければ、用語「実質的に(substantially)」、「約(about)」、「おおよそ(of the order of)」は、10%以内を意味する。
【0025】
一般に、本発明は、有利には密閉したキャビティ内に位置する、少なくとも1つの熱検出部を含む、電磁放射線を検出するための装置に関する。好ましくは、検出装置は、1つ以上のキャビティ内に、単独で又は2つ以上の数で位置する熱検出部のマトリックスアレイを含む。
【0026】
残りの記載において、熱検出部は、吸収膜が基板上に懸架されるボロメータである。膜は、電気伝導性が膜の温度に応じて変化するサーミスタ材料を含む。しかしながら、この例は例示として与えられ、決して限定的ではない。どのような他のタイプの熱検出部が、例えば、焦電検出部、強誘電体検出部、更には、熱電対列が用いられても良い。
【0027】
検出装置は、1つ以上の熱検出部が位置するキャビティを基板とともに画定する封入構造部を含む。封入構造部は、1つ以上の熱検出部上に、より正確には、1つ以上の吸収膜上に延在する薄い封入膜を含む。それは、検出される放射線を透過する材料ででき、おおよそ数百ナノメートルから数ミクロンの厚さを有する。下で述べられるように、薄い封入膜は、1つ以上の熱検出部の周りに延在しても良く、すなわち、それはキャビティの周縁を画定しても良い。それは更に、複数の熱検出部上に連続して延在しても良い。「薄い層」によって意味されるものは、電子光学において用いられる材料成膜技術により成膜される層であって、その厚さは好ましくは10μmよりも小さい。
【0028】
検出装置は、更に、ファブリペロー干渉フィルタを含む。そのようなフィルタは、厚さd、平均屈折率ncsのいわゆる構造化層により互いに分離される2つの半反射鏡部で形成される。半反射鏡部は、それが熱検出部の方を向いた構造化層側に位置するときは、「下側の」と呼ばれ、構造化層の反対側に位置するときは、「上側の」と呼ばれる。干渉フィルタは、1つ以上の波長で透過される入射光を除いて、熱検出部の検出範囲の波長の入射光を反射する。フィルタの分光感度の透過ピークの中心波長は、構造化層の光学的厚さncs・dに特に依存する。
【0029】
このように、干渉フィルタは、検出装置が電磁放射線を選択的に検出することを可能にするが、このことは、いわゆる検出スペクトル領域、すなわち、熱検出部により検出されることができるスペクトル領域内部にある波長の入射放射線を選別することにより達成される。検出スペクトル領域は、残りの記載において、(8~14μmの間にある波長の)LWIR赤外線帯域であるが、検出装置は、THz、(3~5μmの間の)MWIR、又は、(1~3μmの間の)SWIRの範囲のような、熱検出部が感度を有する他の赤外スペクトル領域で用いられても良い。検出された信号の処理を簡略化するために、干渉フィルタは、ここでは、通過帯域(passband)内で高い透過率を有し、通過帯域外の波長で高い阻止率を有する狭帯域フィルタであることが好ましい。
【0030】
下で詳細に説明されるように、各半反射鏡部は、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、少なくとも1つのいわゆる高屈折率層と、有利には、屈折率又は光学指数(optical index)が高屈折率層の材料のものよりも小さい媒体でできた、1つのいわゆる低屈折率層とを含む。好ましくは、各半反射鏡部は、有利には低屈折率層により構造化層から分離された単一の高屈折率層だけを含む。高屈折率層は、1つの所与の材料からできていても良く、又は、異なる材料の副層のスタックからできていても良い。高屈折率層は、その屈折率の4倍分の、熱検出部のスペクトル検出範囲にある参照波長の割合の倍数に等しい厚さを有する。厚さは、ここでは、基板の平面に直交する方向での、熱検出部に面して位置する高屈折率層の平均的な大きさとして定義される。参照波長は、スペクトル検出領域にある所定の波長である。例えば、参照波長は、LWIRに関して10μmに等しくても良い。このように、高屈折率層は、それが参照波長において4分の1波長板又は半波長板を形成するように、光学的機能を有する。高屈折率層の屈折率は、その絶縁材料又は半導体材料の屈折率であり、それが複数の異なる材料を含むときには、平均の屈折率である。
【0031】
構造化層は実質的に一定の厚さを有し、半反射鏡部に平行な平面において、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率部と、高屈折率部の材料及び高屈折率層の材料の屈折率よりも小さな屈折率の媒体でできた、いわゆる低屈折率部との交互配置で形成される。吸収膜に面して位置する領域、すなわち、吸収膜に垂直な領域における、構造化層の全容積に対する高屈折率部の容積率は、構造化層の充填率と同等である。このように、充填率が1であることは、高屈折率部の材料でできた連続する層に対応する。構造化層の平均屈折率ncsは、充填率により重みをかけられた、高屈折率部の材料及び低屈折率部の媒体の屈折率に基づいて定義されても良い。フィルタのXY主平面における、高屈折率部及び低屈折率部の横方向の大きさは、干渉フィルタの分光感度の透過ピークの中心波長の定義に関わる。
【0032】
本発明によれば、干渉フィルタの半反射鏡部の1つ、好ましくは、下側の半反射鏡部の高屈折率層は、少なくとも部分的に薄い封入層で形成される。言い換えると、下で説明されるように、高屈折率層は、薄い封入層だけを含んでも良く、それゆえ、薄い封入層で構成されても良く、又は、複数の副層のうちの1つが薄い封入層に対応するような複数の副層のスタックで形成されても良い。このように、干渉フィルタは、それが吸収膜と接触していないという意味で、吸収膜上にはない。このように、吸収膜の特性は、フィルタと吸収膜との起こり得る接触に関するいかなる劣化からも保護される。加えて、薄い封入層は更にその厚さが高屈折率層の4分の1波長板又は半波長板の形成に関わる限りにおいて、光学的な機能を有する。
【0033】
検出装置は、有利にはマルチスペクトル検出に用いられても良い。この点に関して、検出装置は、吸収膜の特性により定義される所与のスペクトル検出領域にある電磁放射線を検出するのに適した熱検出部のマトリックスアレイを含む。干渉フィルタのマトリックスアレイは、検出マトリックスに面して位置し、1つの干渉フィルタは、各検出部に面して位置する。薄い封入層は、有利には、検出部のマトリックスアレイを収容する1つ以上のキャビティに共通し、それゆえ、同一の薄い封入層は、各熱検出部上に延在する。それは、各干渉フィルタの1つの半反射鏡部の、高屈折率層又は1つの副層を形成する。好ましくは、いろいろな干渉フィルタの、半反射鏡部及び構造化層は、それぞれ同一平面上にある。言い換えると、いろいろなフィルタの構造化層は好ましくは同一平面上にあり、上側の鏡部は好ましくは同一平面上にあり、下側の鏡部は好ましくは同一平面上にある。干渉フィルタは、構造化層の高屈折率部及び低屈折率部の横方向の大きさにおいて、それゆえ、各干渉フィルタの分光感度の中心波長を定義する充填率において、本質的に互いに異なる。
【0034】
図2(a)は、第1実施の形態に係る、電磁放射線を検出するための装置の概略断面図である。
【0035】
ここでは、残りの記載のために、XYZ3次元直交座標系が定義され、そこでは、XY平面は検出装置1の基板の平面に実質的に平行であり、Z軸は基板2の平面に実質的に直交する方向に向けられる。このように、用語「垂直な」及び「垂直に」は、Z軸に沿う向きに対応すると理解され、用語「下側の」及び「上側の」はZ軸に沿って基板2から距離が増加する順番の位置に対応すると理解される。
【0036】
電磁放射線を検出するための装置は、赤外線又はテラヘルツ波を検出するのに適している。それは、少なくとも1つの熱検出部を含み、好ましくは、読出し回路に電気的に接続される熱検出部のマトリックスアレイを含む。
図2は、検出装置1の部分図であり、単一の熱検出部だけを示す。
【0037】
検出装置1は、CMOS技術で生成された電子読出し回路(図示せず)を有するシリコン系基板2を備え、電子読出し回路は、制御信号が熱検出部に加えられ、対象の電磁放射線の検出に対応して熱検出部により生成された検出信号が読み出されることを可能にする。読出し回路は、読出し回路のいろいろな電子的機能を実行するのに適した、例えば、トランジスタ、ダイオード、キャパシタなどのMOS型電子素子で形成される下部(lower portion)を含んでも良い。それは更に、いろいろなMOS素子と熱検出部とを電気的に接続し、読出し回路と、検出装置の外部に接続できる少なくとも1つの電気パッドとを電気的に接続する、複数の電気的相互接続面(electrical interconnect level)を含む。
【0038】
基板2上には、スペクトル検出領域で検出される放射線を吸収するのに適した膜11を含むマイクロボロメータ10がある。熱的に絶縁するアーム(図示せず)と関連付けられた支柱12のような、保持して熱的に絶縁する構成要素により、吸収膜11は基板2から熱的に絶縁され、基板2上に懸架される。検出部が、LWIRにある赤外線を検出するように設計されるときに、吸収膜11は、典型的には1~5μmの間にある、好ましくは2μmの距離により、基板2から隔てられる。反射部13は基板2上に位置し、吸収膜11に面して配置される。
【0039】
検出装置1は、熱検出部10が内部に位置する、有利には密閉したキャビティ3を基板2とともに画定する封入構造部20又はカプセル部(capsule)を含む。封入構造部20は、懸架された膜11から0ではない距離で、例えば、0.5~5μmの間にある、好ましくは1.5μmの距離で検出部10上に延在する実質的に平坦な上部壁(upper wall)22を含むように成膜された薄い封入層21で形成される。それゆえ、それは、XY平面で熱検出部を囲うように、上部壁22から延在して基板2上にある、任意の周囲の側壁23を含む。それゆえ、この例では、薄い封入層21は、基板2とともにキャビティ3を画定するように、熱検出部上で熱検出部の周りに連続的に延在する。下で述べられるように、薄い封入層21が、排出口を形成する貫通孔を含むような場合には、封入構造部20は、排出口を塞ぎ、キャビティの密閉性を確保するように薄い封入層21を覆う、少なくとも1つの密閉層を含んでも良い。このように、封入構造部は、1つ以上の熱検出部を収容するキャビティを画定する。
【0040】
検出装置は、少なくとも1つのファブリペロー干渉フィルタ31を含む、任意のフィルタ構造部30を有する。干渉フィルタ31は、封入構造部30の高さで熱検出部10に面して、より正確には吸収膜11に面して位置し、それゆえ、吸収膜11とは接触しない。干渉フィルタ31は、検出スペクトル領域にある単一のスペクトル帯域を透過することができる。熱検出部のマトリックスアレイの場合には、光学フィルタ素子30は、例えば、1つのフィルタ31が各検出部10に面して位置するような、熱検出部に面して位置する複数のファブリペロー干渉フィルタ31を含む。フィルタ31は、分光感度の中心波長が互いに異なるように構成される。
【0041】
干渉フィルタ31は、構造化層35により互いに分離される、下側の半反射鏡部32Aと上側の半反射鏡部32Bとを形成する層のスタックを含む。各半反射鏡部32A、32Bは少なくとも1つのいわゆる高屈折率層を含み、
図2に示されるように、高屈折率層と構造化層との間に位置する、いわゆる低屈折率層を含んでも良い。干渉フィルタの分光感度が十分に細い透過ピークと良い阻止率(rejection ratio)とを有するように、好ましくは、少なくとも1つの半反射鏡部は、そのような低屈折率層を含む。
【0042】
高屈折率層33A、33Bは、例えば、アモルファスであっても良いシリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム合金SixGe1-x、及び、炭化ケイ素SixC1-xから選択されても良い少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできている。それらの厚さは、各高屈折率層33A、33Bが有利には検出スペクトル領域にある、例えば、10μmの参照波長に対応する4分の1波長板を形成するような厚さである。例として、LWIRに対応する検出スペクトル領域において、高屈折率層33A、33Bの厚さは、光学指数3.5のアモルファスシリコンに対して約0.73μmであっても良い。下で述べられるように、各高屈折率層33A、33Bは、互いに接触する、いろいろな材料の複数の副層のスタックで形成されても良い。材料は、光学経路に関して、副層のスタックが単一の高屈折率層と光学的に同等であるように選択され、平均屈折率は、副層の各材料に固有の屈折率に依存する。
【0043】
ここでは、各半反射鏡部32A、32Bは、高屈折率層33A、33Bの屈折率よりも小さな屈折率層を有する媒体でできた低屈折率層34A、34Bを含み、屈折率の差異は好ましくは1.5よりも大きい。この媒体は、絶縁材料又は半導体材料、気体又は真空から選択されても良い。気体又は真空の場合には、低屈折率層34A、34Bは、構造化層35と高屈折率層33A、33Bとの間の、実質的に一定の厚さの、気体又は真空で満たされた領域に相当する。低屈折率層34A、34Bの厚さは、各層34A、34Bが有利には参照波長に対応する4分の1波長板を形成するような厚さである。例として、LWIRに対応する検出スペクトル領域において、低屈折率層の厚さは、空気に関して約2.5μmであっても良い。
【0044】
高屈折率層33A、33Bの屈折率と、屈折率層34A、34Bの屈折率との間の好ましくは1.5以上の大きな屈折率の差異は、中心波長に中心を置く細い透過ピークが得られることを可能にし、検出スペクトル領域の外側で、次元をファブリペロー共振器(Fabry-Perot cavity)の1次元よりも大きくする。
【0045】
2つの半反射鏡部32A、32Bの間には、ファブリペロー共振器のスペーサを形成する構造化層35が延在する。それは、少なくとも1つの絶縁材料又は半導体材料でできた、いわゆる高屈折率部36と、高屈折率部の材料の屈折率よりも小さな屈折率の媒体でできた低屈折率部37とを含む。高屈折率部36及び低屈折率部37は、フィルタのXY平面、すなわち、半反射鏡部の平面に平行な平面において交互に存在する。それらは、もしかすると周期的に繰り返されたり、そうでなかったりするモチーフ又はデザインを形成するように配置される。このように、部分36、37が交互に存在するように互いに配置されるために、第1媒体の各部分は、フィルタのXY平面において、第2媒体の2つの部分の間に位置する。それゆえ、それは、Z軸に沿って2つの異なる媒体の層が重なるという問題ではない。
【0046】
高屈折率部36の材料は、絶縁材料又は半導体材料であっても良く、好ましくは、半反射鏡部の高屈折率層の材料と同一である。このように、それは、シリコン、例えば、アモルファスシリコン、又は、ゲルマニウムの問題であっても良い。低屈折率部の媒体は好ましくは気体又は真空であるが、絶縁材料又は半導体材料であっても良い。高屈折率材料の屈折率と低屈折率媒体の屈折率との差異は、好ましくは1.5以上である。このように、干渉フィルタは、赤外線又はテラヘルツ波の検出に影響を与えるような金属材料を含んでいない。
【0047】
構造化層35は実質的に一定の厚さを有し、それゆえに、高屈折率部36及び低屈折率部37は、実質的に同一の厚さを有する。マルチスペクトル検出装置の動作範囲における望ましくない共鳴を制限するために、厚さは、おおよそ2μmであっても良い。
【0048】
XY平面において、1つ又は2つの軸に沿って周期的に、任意に繰り返す基本モチーフを形成するために、高屈折率部36及び低屈折率部37は相互に配置される。モチーフは2次元において周期的であっても良いし、とりわけ、4角又は丸であっても良いパッドのどのようなタイプの配置の形状を有しても良い。それらは、非偏光(unpolarized light)、又は、2つの偏光(polarization)を有する光をフィルタリングするのに適している。モチーフは、1つの次元だけにおいて周期的であって、スリットの形状を有しても良い。それらは、単一の偏光を有する光を選別するのに適している。
【0049】
干渉フィルタ31の分光感度の透過ピークの中心波長は、構造化層35の大きさのパラメータ、すなわち、高屈折率部36及び低屈折率部37の横方向の大きさ、モチーフの配置の周期、これらの媒体の屈折率の値に特に依存する。構造化層35のXY主平面において、周期及び横方向の大きさに関して、構造化層35のモチーフの大きさは、フィルタの1次の分光感度の透過ピークの中心波長の値よりも小さくても良い。
【0050】
封入構造部20の薄い封入層21は、ここでは、1つの当該半反射鏡部、ここでは、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層33Aを形成する。干渉フィルタ31は、吸収膜11上に直接なく、それから離れている。それゆえ、干渉フィルタ31の存在は、熱検出部の性能、特に、上で述べられた先行技術の例のように、干渉フィルタが膜の上に直接あるときに劣化する吸収膜の熱慣性(thermal inertia)に特に依存する検出部の反応時間に、影響を与えない。
【0051】
半反射鏡部32A、32Bの1つ又は両方にとって、単一の高屈折率層33A、33Bだけを含み、従来の多層絶縁鏡部の場合のような低屈折率層と交互配置された複数の高屈折率層を含まないことは有利である。特に、下で説明されるように、製造プロセスは簡略化され、それにもかかわらず、高いスペクトル選択性と高い阻止率とを有する干渉フィルタが得られる。
【0052】
図2(b)は、構造化層の高屈折率部及び低屈折率部により形成される基本モチーフの例の平面図であり、
図2(c)は、構造化層の充填率のいろいろな値に対するフィルタの分光感度を示す。
【0053】
上で言及されたように、充填率は、構造化層35、特に、吸収膜に面して位置する、すなわち、吸収膜に垂直な構造化層の領域の全容積に対する、高屈折率部36により占められる容積の比率として定義される。その上、ここでは、分光感度は、対応する検出スペクトル領域、ここでは、LWIR(8~14μm)における透過ピークの半値全幅による、そして、阻止率による入射放射線の波長に応じたフィルタの透過率の値により特徴付けられる。阻止率は、ここでは、問題の検出スペクトル領域内の通過帯域の外側の最小透過率値に対する、フィルタの通過帯域内の最大透過率値の割合として定義される。
【0054】
図2(b)の例では、構造化層35の高屈折率部36及び低屈折率部37により形成される基本モチーフは、XY平面において高屈折率部36で囲われた、辺「a」の矩断面(square cross section)の貫通孔37の形状を有する。このように、構造化層35は、高屈折率部の材料でできた格子の形状を有し、格子内では貫通孔が低屈折率部37を形成し、低屈折率部37は互いに周期Pにより離れている。上で言及されるように、貫通孔はXY平面において、断面がいろいろな形状であっても良い。
【0055】
各半反射鏡部32A、32Bは、10μmの参照波長に関して、ともに4分の1波長板を形成する約0.8μmの厚さのアモルファスシリコンでできた高屈折率層33A、33Bと、2.5μmの厚さの真空の低屈折率層34A、34Bとを含む。構造化層35は、約1.9μmの厚さを有し、アモルファスシリコンでできた高屈折率部36と、真空の低屈折率部37とで形成される。
図2(c)は、低屈折率部37の横方向の大きさ「a」のいろいろな値に対する干渉フィルタの分光感度を示し、下の表は、透過ピークの中心波長の対応する値を示す。
【表1】
【0056】
LWIRに対応する検出スペクトル領域において、各分光感度は、フィルタの通過帯域の外側で、高い阻止率の細い透過ピークを有する。
【0057】
図3(a)は、第1実施の形態の第1変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図3(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられる分光感度を示す。
【0058】
この例では、各半反射鏡部32A、32Bが空気又は真空以外の絶縁材料又は半導体材料でできた低屈折率層34A、34Bを含む点で、干渉フィルタ31は
図2(a)に示されたものとは本質的に異なる。各半反射鏡部の高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差異は、このように、
図2(a)の鏡部のものと比べて削減される。このように、例示として、低屈折率層34A、34Bは、8~14μmの検出スペクトル領域で屈折率が2,2の硫化亜鉛ZnSで形成されても良い。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅「a」のいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。
【表2】
【0059】
特に、1次よりも大きいファブリペロー共振器の次元により特に引き起こされる、2次透過ピークの存在のために、透過ピークは広がり、阻止率は低下する。透過ピーク幅と阻止率とに関して、正しい分光感度を維持するために、半反射鏡部の高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差異は、有利には、1.5以上であり、好ましくは、できるだけ高く選ばれる。
【0060】
図4(a)は、第1実施の形態の第2変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図4(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられた分光感度を示す。
【0061】
この例では、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層が、異なる材料でできた少なくとも2つの副層33A.1、33A.2のZ軸に沿ったスタックで形成されている点で、干渉フィルタ31は
図2(a)に示されたものとは本質的に異なり、これらの材料は誘電体(dielectrics)又は半導体であり、構造化層の低屈折率層34A、34Bの媒体及び低屈折率部37の媒体の光学指数よりも大きな光学指数を有する。第2副層33A.2は、ここでは薄い封入層21である第1副層33A.1を覆い、そして接触する。そして、複数の高屈折率材料で形成された高屈折率層は、単一の高屈折率層と光学的に同等である。高屈折率層の厚さは、有利には、それが4分の3波長層を形成するような厚さである。このように、フィルタは選択的な分光感度と、高い阻止率とを有する。
【0062】
例示として、下側の高屈折率層は、厚さが約1.25μmのゲルマニウムの副層33A.2で覆われた、厚さが約0.73μmのアモルファスシリコンの副層33A.1で形成され、上側の高屈折率層33Bは、厚さが約0.73μmのアモルファスシリコンででき、高屈折率層は、厚さが約2.5μmの空気の低屈折率層34A、34Bにより構造化層35から分離される。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅aのいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。
【表3】
【0063】
図2(c)に示される分光感度に関して、透過ピークは細いままであり、阻止率は高い。低屈折率部の幅aが0に近いか、0に等しい(充填率が1に近いか、1に等しい)ときに、透過レベルだけがわずかに減少する。
【0064】
図5(a)は、第1実施の形態の第3変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図5(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられた分光感度を示す。
【0065】
この例では、上側の半反射鏡部32Bの高屈折率層だけが、異なる材料でできた少なくとも2つの副層33B.1、33B.2のZ軸に沿ったスタックで形成され、下側の鏡部32Aがもはやそうではない点で、干渉フィルタ31は
図4(a)に示されるものとは本質的に異なり、これらの材料は誘電体又は半導体であり、構造化層の低屈折率層34Bの媒体及び低屈折率部37の媒体の光学指数よりも大きな光学指数を有する。薄い封入層21は、ここでは、下側の鏡部32Aの単一の高屈折率層33Aを形成する。このように、例示として、上側の高屈折率層は、厚さが約1.25μmのゲルマニウムの副層33B.2で覆われた、厚さが約0.73μmのアモルファスシリコンの副層33B.1で形成され、下側の高屈折率層33Aは、厚さが約0.73μmのアモルファスシリコンででき、高屈折率層は、厚さが2.5μmの空気の低屈折率層34A、34Bにより構造化層35から分離される。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅aのいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。
【表4】
【0066】
図4(b)に示される分光感度に関して、透過ピークは細いままであり、阻止率は高い。低屈折率部の幅aが0に近いか、0に等しい(充填率が1に近いか、1に等しい)ときに、透過ピークは、減少した最大値と、減少した半値全幅とを有する。
【0067】
図6(a)は、第1実施の形態の第4変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図6(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられた分光感度を示す。
【0068】
この例では、下側及び上側の半反射鏡部32A、32Bの高屈折率層が両方とも、異なる材料でできた少なくとも2つの副層のZ軸に沿ったスタックで形成される点で、干渉フィルタ31は
図4(a)及び
図5(a)に示されるものとは本質的に異なり、これらの材料は誘電体又は半導体であり、構造化層の任意の低屈折率層の媒体及び低屈折率部の媒体の光学指数よりも大きな光学指数を有する。薄い封入層21は、下側の鏡部32Aの第1高屈折率副層33A.1を形成する。このように、例示として、半反射鏡部32A、32Bの高屈折率層は、厚さが約1.25μmのゲルマニウムの第2副層33A.2、33B.2で覆われた、厚さが約0.73μmのアモルファスシリコンでできた第1副層33A.1、33B.1でそれぞれ形成される。それらは、厚さが2.5μmの空気の低屈折率層34A、34Bにより構造化層35から分離される。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅aのいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。
【表5】
【0069】
図4(b)、5(b)に示される分光感度に関して、透過ピークは細いままであるが、特に、8~14μmの検出スペクトル領域の範囲で現れる屈折の存在により、阻止率は減少する。
【0070】
一般に、高屈折率層及び低屈折率層にとって、それらが4分の1波長板、又は、多数の一様ではない4分の1波長板を形成するような厚さを有することは有利である。このように、検出スペクトル領域において、単一の透過ピークが得られ、その中心検出波長の値は、構造化層の横方向の大きさを修正することにより修正されても良い。
【0071】
高屈折率層の1つ又は両方は、更に、それらが半波長板又は多数の一様な半波長板を形成するような厚さを有しても良い。このように、構造化層の高屈折率部及び低屈折率部の横方向の大きさに依存して、検出スペクトル領域において、透過ピーク又は広い透過帯域が得られる。ここでは、透過ピークは、約1ミクロン以下の半値全幅を有し、広い透過帯域は、1ミクロンよりも大きい、例えば、2ミクロン、更には3ミクロンに等しい半値全幅を有する。
【0072】
低屈折率層の1つ又は両方は、更に、それらが半波長板又は多数の一様な半波長板を形成するような厚さを有しても良い。このように、検出スペクトル領域において分離し、高い阻止率を有する、複数の透過ピークが得られる。
【0073】
図7(a)は、第1実施の形態の第5変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図7(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられた分光感度を示す。
【0074】
この例では、構造化層35の高屈折率部36が、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層33A上にある点で、干渉フィルタ31は
図2(a)に示されたものとは本質的に異なる。そして、下側の半反射鏡部32Aは低屈折率層を含まず、上側の半反射鏡部32Bは低屈折率層34Bを含む。
【0075】
このように、例示として、下側の半反射鏡部32Aは、厚さ0.8μmのアモルファスシリコンでできた単一の高屈折率層33Aで形成され、当該層上に、アモルファスシリコンでできた高屈折率部36で形成された構造化層35、及び、空気の低屈折率部37があり、当該部は、高屈折率層33Aと接触する。上側の鏡部32Bは、空気の低屈折率層34Bと、アモルファスシリコンでできた高屈折率層33Bとで形成される。ここでは、高屈折率層33Bが厚さ0.45μmであり、低屈折率層34Bが厚さ1.70μmであるように、上側の鏡部32Bの厚さは削減されても良い。構造化層35はここでは1.27μmの厚さを有している。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅aのいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。この例では、他の部36からピッチPで周期的に離れる、横方向の大きさ「a」の矩断面の高屈折率パッド36の形状を構造化層35が有する限りにおいて、P=2μm、a=1.3μmの配置は、他の配置とは異なる。
【表6】
【0076】
分光感度は、最も短い波長に関して減少する、約0.8~約1の間にある透過レベルの透過ピークを拡げる。この例では、反射部と吸収膜11との間の距離は、ここでは、1.8μmから約1μmにまで削減され、これにより、透過帯域の幅が削減され、透過レベルが25%に及ぶ量にまで増加されることを可能にする。
【0077】
半反射鏡部が低屈折率層を含まず、構造化層が高屈折率層と接触するときに、分光感度の品質の点で、この鏡部が下側の鏡部であって、上側の鏡部でないことは有利である。その上、変形例(図示せず)として、下側の鏡部は、高屈折率層を構造化層から分離する低屈折率層を含んでも良く、構造化層が上側の鏡部の高屈折率層と接触するように、上側の鏡部は低屈折率層を含まなくとも良い。
【0078】
図8(a)は、第1実施の形態の第6変形例に係る、干渉フィルタを含む検出装置を示し、
図8(b)は、構造化層の充填率のいろいろな値と関連付けられた分光感度を示す。
【0079】
この例では、下側の半反射鏡部32Aは、互いに異なる材料でできた2つの副層、ここでは、厚さ1.45μmのゲルマニウムの第2副層33A.2により覆われる厚さ0.73μmのアモルファスシリコンの副層33A.1で形成された高屈折率層と、厚さ2.37μmの空気の低屈折率層34Aとを含む。構造化層35は、厚さ約1.36μmのアモルファスシリコンの高屈折率部36と、空気の低屈折率部37との交互配置を含み、高屈折率部36が、ここでは、厚さ0.73μmのアモルファスシリコンの連続する高屈折率層41上にあるように、低屈折率部は貫通部ではない。最後に、上側の鏡部32Bは、単一の材料、ここでは、厚さ0.73μmのアモルファスシリコンでできた高屈折率層33Bと、ここでは、厚さ2.37μmの空気の低屈折率層34Bとを含む。モチーフの所与の周期Pと、低屈折率部の幅aのいろいろな値とに関して、中心波長の値が下の表に示されるフィルタが得られる。この例では、他の部からピッチPで周期的に離れる、横方向の大きさ「a」の矩断面の高屈折率パッドの形状を構造化層が有する限りにおいて、P=2μm、a=1.2μm(f=0.36)及びP=2μm、a=1.5μm(f=0.56)の配置は、他の配置とは異なる。
【表7】
【0080】
各透過ピークが細く、透過レベルと阻止品質とがともに高い限りにおいて、この配置は有利である。
【0081】
図9は、密閉キャビティ内に単独で、又は、2以上の数で位置する熱検出部のマトリックスアレイと、ファブリペロー干渉フィルタのそれぞれが1つの熱検出部に面して配置される、ファブリペロー干渉フィルタのマトリックスアレイとを含む、マルチスペクトル検出装置の概略断面図である。複数の熱検出部は、同一の検出スペクトル領域、ここではLWIR内で動作するように設計され、いろいろな吸収膜は、実質的に同一の光電子特性を有する。
【0082】
フィルタ31.1、31.2は、分光感度の中心波長λc1、λc2が互いに異なるようなフィルタである。2つの異なるフィルタ31.1、31.2は、ここでは例として示されているが、検出スペクトル領域の異なる分光感度の数に依存して、フィルタがフィルタの1つのセットと次のセットとで異なる、1つ以上の同一フィルタの複数のセットを、検出装置が含んでも良い。
【0083】
干渉フィルタ31.1、31.2は互いに隣接し、実質的に互いに同一平面上にある。特に、下側の高屈折率層33Aと上側の高屈折率層33Bとはそれぞれ1つのフィルタから次のフィルタまでそれぞれ同一平面上にあり、好ましくは、全てのフィルタに対して共通である。薄い封入層21は、好ましくは全てのフィルタ31.1、31.2に対して共通である。構造化層35.1、35.2は、低屈折率層34A、34Bと同様に、ここでは同一平面上にあって、実質的に同一の厚さを有する。
【0084】
各分光感度の中心波長λc1、λc2の値を定義する、構造化層35.1、35.2の高屈折率部36.1、36.2及び低屈折率部37.1、37.2の横方向の大きさに関して、干渉フィルタ31.1、31.2は本質的に互いに異なる。
【0085】
複数の熱検出部が同一の密閉キャビティ3に位置するこの例では、薄い封入層21、特に、その上部壁22は、当該検出部上に連続して延在する。薄い封入層、特に、その上部壁22は、ここでは、干渉フィルタ31.1、31.2の下側の高屈折率層33A、又は、その副層の1つを形成する。
【0086】
隣接する画素間でのクロストークを防ぐために、すなわち、干渉フィルタを透過した放射線が、問題のフィルタに面して位置する検出部の隣の熱検出部により検出されることを防ぐために、各フィルタ31.1、31.2は、好ましくは、面する検出部の吸収膜11から、画素(熱検出部のXY平面での領域)の横方向の大きさよりも小さな距離に位置する。
【0087】
図10(a)~(c)、
図11(d)~(f)、
図12(g)、(h)は、第3実施の形態に係る装置を製造するためのプロセスのいろいろな工程を示す。この例では、薄い封入層21は、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層33Aを形成し、上側の半反射鏡部32Bの高屈折率層33Bは密閉層33B.2を含む。
【0088】
図10(a)を参照すると、熱検出部10のマトリックスアレイが基板2上に生成される。熱検出部10は、検出部に電力を供給し、検出部によりもたらされる信号を測定するために設けられる電子回路(例えば、CMOS回路)にそれぞれ接続される。熱検出部10は、例えば、検出される放射線を吸収することができる膜11をそれぞれ含むマイクロボロメータであり、当該膜は基板2上に懸架され、支柱12及び熱的に絶縁する保持アーム(図示せず)により、基板から熱的に絶縁される。懸架された膜11は、従来は、プロセスの最後に除去される第1犠牲層26.1上に吸収膜11を生成する表面マイクロマシニング技術により得られる。各吸収膜11は、更に、加熱される吸収要素と、例えば、支柱12に設けられて、電気接続によりCMOS電子回路に接続されるサーミスタの形状を有する、結果としての温度上昇を測定する測温要素とを含む。その上、反射層13は基板2の上表面、すなわち、吸収膜11に面して位置する表面上にある。接続部(tie section)、例えば、薄い封入層21の側壁が上にあることが予定される接続部14.1、と、支柱12が上にある接続部14.2とが、更に、基板2の上表面の上にある。
【0089】
図10(b)を参照すると、好ましくは第1犠牲層と同様の性質の第2犠牲層26.2が成膜される。当該層は、例えば、ディスペンス及びスピンコートにより得られるポリイミドでできている。犠牲層26.2は、犠牲層26.1、吸収膜11及び支柱12を覆う。次に、従来のホトリソグラフィ技術により、犠牲層26.1、26.2は接続部14.1まで局所的にエッチングされる。エッチングされた領域は、1つ以上の熱検出部10を囲む、連続する閉じた境界のトレンチ27の形状を有しても良いし、複数の検出部の間に位置する溝の形状を有しても良い。次に、第2犠牲層26.2の上表面及びトレンチ27の側面の両方を覆うように、ここではアモルファスシリコンの、第1の薄い高屈折率層21が、例えば、化学気相蒸着法(CVD)により成膜される。10μmの4分の1波長板に対応するために、アモルファスシリコンでできた高屈折率層21の厚さは、約0.73μmである。高屈折率層は、封入構造部の薄い封入層21と、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層33Aとを形成することが予定される。それは、吸収膜11上に、吸収膜11から離れて延在し、ここでは、XY平面において、1つ以上の熱検出部10を連続して囲う。
【0090】
この工程では、エッチング停止層として、及び/又は、設けられる位置において、マルチスペクトル干渉フィルタのマトリックスアレイの支持要素を固定するための接着層として、もしかしたら用いられる、基材(base material)の部分14.3を成膜し、局所的にエッチングすることが有利である。基材のこれらの部分を生成するか否かと、(該当する場合の)基材の性質との選択は、存在する他の材料、特に、犠牲層及び支持要素の性質に依存して判断される。犠牲層がポリイミドででき、支持構造がシリコンでできる今回の場合には、基部14.3は、例として、酸化シリコン、窒化シリコン、チタン又はアルミニウムでできていても良い。
【0091】
次に、薄い封入層21を介して少なくとも1つの第1排出口24.1を生成するために、薄い封入層21が局所的にエッチングされる。
【0092】
図10(c)を参照すると、次に、以下のものが連続して成膜される。ここではポリイミドでできて薄い封入層21と基部14.3とを覆う第3犠牲層26.3。そして、犠牲層26.3上の、ここではアモルファスシリコンでできた第2高屈折率層。ここでは10μmの参照波長に関して、自由空間又は空気の4分の1波長光学距離に有利に対応するために、犠牲層26.3の厚さは、ここでは、約2.5μmである。第2高屈折率層は、構造化層35の高屈折率部36を形成することが予定される。その光学厚さは、マルチスペクトル検出装置の動作範囲における望ましくない共鳴を生成しないように、ここでは、約2μmである。第2高屈折率層は、成膜される厚さの良い制御を可能にするCVD成膜技術により成膜されても良い。
【0093】
ホトリソグラフィ及びエッチングにより、第2アモルファスシリコン層は、次に、XY平面において、アモルファスシリコンでできた高屈折率部36と、低屈折率部37との交互配置を生成するために構造化される。このようにして、例えば、2μmのピッチの周期的な開口を有する格子を形成することができる。XY平面における高屈折率部36の横方向の大きさは、所定の平均光学指数の構造化層35を得るために、そして、設定された中心波長に中心を有する透過帯域の形状を有する分光感度を得るために、適正化される。構造化層35が低屈折率部37を有さない連続する層である特別な場合において、第2アモルファスシリコン層はそれにもかかわらず局所的にエッチングされて、下の犠牲層26.1、26.2、26.3を除去するために必要とされるであろう第2排出口を形成する。20μm又は50μmものピッチで繰り返される0.5μm幅の排出口は、フィルタの分光感度を著しく混乱させることなしに、望ましい結果が得られることを可能にする。
【0094】
この段階で、検出装置がマルチスペクトル検出のために用いられるときに、構造化層35の部分36、37の横方向の大きさが複数の熱検出部で異なるように準備がなされ、それによって、基本の検出部に各干渉フィルタの構造化層の横方向の大きさによって定義される周波数選択性が授けられることを可能にする。干渉フィルタの、それゆえ、問題の熱検出部の分光感度を広げるために、モチーフが、すなわち、部分36、37により形成されるモチーフが所与の基本の検出部上に非周期的に配置される構造化層を提供することができる。
【0095】
図11(d)を参照すると、ここではポリイミドでできた、好ましくは、例えば、2μm、3μmよりも大きな厚さの、第1厚さの第4犠牲層26.4が成膜される。そして、例えば適切なホトレジストである平坦化層28がディスペンス及びスピンコートにより成膜される。スピンコートの後に、犠牲層26.4の上面の残りの起伏が完全に満たされるように、平坦化層28の厚さ及びレジストの流動性は選択される。例えば、酸素プラズマ中でのドライケミカルエッチング工程は、平坦化層28及び犠牲層26.4が両方の材料に関して実質的に同一のエッチングレートで同時にエッチングされることを可能にし、これにより、本質的に平坦なエッチング面が導かれる。エッチング工程は、エッチング面が構造化層35の高屈折率部36の上面を露出した瞬間に停止される。この瞬間は、エンドポイント検出装置により、例えば、光学発光分光分析法を介して、自動的に検出されても良い。この段階で構造化層35が得られ、その高屈折率部36はそれぞれ他のどのような材料によっても実質的に覆われていない上表面を有し、XY平面におけるその切れ目は、犠牲層26.4により満たされている。
【0096】
同様の結果は、化学的機械的研磨(CMP)処理により得られても良いが、そのような化学的機械的研磨処理は、ここではポリイミドでできた犠牲層の有機的な性質に対して適用されなくてはならないであろう。無機犠牲層、例えば、第4実施の形態に関して下で説明されるような酸化シリコンでできた層が用いられる場合には、CMP処理は特に有利であろう。
【0097】
図11(e)を参照すると、ここではポリイミドでできた第2厚さの第4犠牲層26.4が成膜され、これの厚さは約2.5μmである。ホトリソグラフィ及びエッチングにより、犠牲層26.4、高屈折率部36と同じ高さの構造化層35、及び、犠牲層26.3を、有利にはエッチング停止層として働く基部14.3まで連続してエッチングすることにより、連続する周辺の、又は、局所的な不連続のトレンチ38が生成される。連続するエッチングは、有利には、高屈折率部36の一部分を露出して、当該一部分がトレンチ38の内部に突出するように、ポリイミドでできた犠牲層26.3、26.4が等方的にエッチングされる工程を含む。これらの突出部分は、光学フィルタ素子の支持壁40とともに、構造化層35の機械的維持を促進する。
【0098】
図11(f)を参照すると、ここではアモルファスシリコンでできた第3高屈折率層が成膜され、その厚さは、10μmの参照波長の4分の1波長板に対応するために、約0.73μmである。例えばCVDによる、コンフォーマル成膜は、第3高屈折率層がトレンチ38の側面を覆うことを可能にする限りにおいて、特に有利である。エッチングされた側面の良いカバレッジは、所与の高屈折率層とともに、次の両方が生成されることを可能にする。上側の半反射鏡部32Bの高屈折率層33Bの上部壁39。封入構造部上の光学フィルタ素子を支持するための(任意には周辺の)側壁40。有利には、側壁40は、トレンチ38内で露出された、高屈折率部36の突出部分と接触し、それによって、構造化層35が光学フィルタ構造にしっかりと固定されることを可能にする。エッチング工程は、排出口24.2が高屈折率層33Bの上部壁39を介して生成されることを可能にする。
【0099】
図12(g)を参照すると、例えば、熱検出部の吸収膜11を自由にするために、そして、下側の鏡部32A及び上側の鏡部32Bの低屈折率層34A、34Bと、構造化層35の低屈折率部37とを得るために、いろいろな排出口24.1、24.2を介して、また、低屈折率部37を形成するであろう、高屈折率部36の切れ目を介して、任意には更にN
2及びCF
4を含む酸素プラズマ中のドライエッチングにより、いろいろな犠牲層26.1、26.2、26.3、26.4が除去される。このように、2つの半反射鏡部32A、32Bの間に懸架された構造化層35を含む大きな屈折率差の干渉フィルタが得られる。
【0100】
1つの変形例によれば、このようにして得られた検出装置は、次に、真空又は低圧雰囲気を含む密閉キャビティ内に、例えば、装置の基板2が内部に配置された密閉パッケージ内に集積される。排出口24.1、24.2を介してパッケージを排気することは真空を生成し、それゆえ、真空によって熱的に絶縁された膜を有する熱検出部と、高屈折率材料(n=3.5)としてアモルファスシリコンを用い、低屈折率媒体(n=1)として真空を用いる大きな屈折率差の干渉フィルタとが同時に得られる。
【0101】
図12(h)に示される他の変形例によれば、犠牲層26.1、26.2、26.3、26.4を除去する工程に続いて、検出装置が排気され、密閉層33B.2が、排出口24.2を塞ぐために、上側の鏡部32Bのアモルファスシリコン層33B.1上に成膜される。キャビティ3は真空下にあり、密閉層33B.2により密閉とされる。密閉層33B.2は、例えば、ゲルマニウムのような、すなわち、その屈折率が低屈折率層34A、34Bの媒体の屈折率よりも、そして、低屈折率部37の媒体の屈折率よりも大きな、高屈折率材料でできている。例えば、ここでは1.2μmであるその厚さは、アモルファスシリコンの副層33B.1と、ゲルマニウムの副層33B.2とのスタックが、10μmの参照波長に関して4分の3波長板を形成するように適正化される。
【0102】
他の変形例(図示せず)によれば、犠牲層26.1、26.2、26.3、26.4を除去する工程に続いて、検出装置は排気され、次に真空を含むキャビティ3を密閉して封じるために、密閉材料のパッドが、排出口24.2と同じ高さで成膜される。そして、上側の半反射鏡部32Bの高屈折率層33Bはアモルファスシリコン層だけを含む。
【0103】
このように、犠牲層26.1、26.2、26.3、26.4が同一の材料、ここでは、ポリイミドでできているために、そして、排出口24.1、24.2と高屈折率部36の間の切れ目とがあるために、いろいろな犠牲層を単一の工程で除去することができ、それゆえ、懸架された膜11と構造化層35とを同時に自由にすることができる。製造プロセスはそれゆえ大いに簡略化される。
【0104】
このことは、次の事実によって更に強調される。すなわち、半反射鏡部はそれぞれ単一の高屈折率層、及び、有利には、高屈折率層と構造化層との間に位置する1つの低屈折率層だけを含み、多層絶縁鏡部の従来の場合のような低屈折率層により互いに分離される複数の高屈折率層の重ね合わせを含まない。
【0105】
このように、プロセスは、透過選択性及び阻止品質の点で、フィルタの分光感度の品質への影響なしに、構造化層が簡単に急に自由にされ、少なくとも1つの低屈折率層が形成されることを可能にする。
【0106】
このように、半反射鏡部の1つ以上の低屈折率層は、マイクロボロメータの製造で用いられる犠牲層除去処理により得られても良い。それぞれの鏡部のスタックは、単一の高屈折率層に制限されるという事実は、ファブリペロー干渉フィルタ共振器中の犠牲層の数を2だけに限定し、それによって、これらの2つの層が単一工程で自由にされることを可能にする。このように、フィルタのマトリックスアレイを生成するプロセスは、成膜される複数の層と、単一の自由にする工程と、単一の構造化工程とを有して、特に単純である。この簡略化された干渉フィルタ構造と、マイクロボロメータの製造プロセスに匹敵する単純な製造プロセスとを用いて、透過ピークの細さの点で、また、阻止率の点で、選択的であり続ける分光感度を得ることができることは、驚きである。
【0107】
図13(a)~(c)は、第4実施の形態に係る装置を製造するためのプロセスのいろいろな工程を示す。この例では、下側の鏡部32Aだけが、キャビティ3を密閉にする密閉副層33A.2を含む。
【0108】
図13(a)を参照すると、CMOS電子回路と、1つ以上の熱検出部が内部に位置する密閉キャビティ3を基板2とともに形成する封入構造部とを含む基板2上に、熱検出部のマトリックスアレイが生成される。ここでは、排出口24.1が密閉される、すなわち、塞がれることを確保するのに十分な厚さで、密閉層33A.2が薄い封入層21上に成膜される。薄い封入層21は、下側の半反射鏡部32Aの高屈折率層33Aの副層33A.1を更に形成し、一方で、密閉層33A.2は高屈折率層33Aの第2副層を形成する。薄い封入層21は、例えば、0.73μmの厚さのアモルファスシリコンでできた第1層であっても良い。密閉層33A.2は更に赤外線を透過し、例えば、好ましくは、電子ビーム物理的気相成長法(EBPVD)のような薄膜真空成長技術により、成膜されるゲルマニウムの層であっても良い。このように、真空又は低圧雰囲気を含み、検出部のマトリックスアレイが収容される密閉キャビティ3が得られる。仏国特許出願第1551487号が説明するように、排出口24.1の平均横幅Xは、成膜される密閉層の厚さeに依存して、実際に密閉性を確保する密閉層33A.2の厚さBの割合に依存して、また、密閉層33A.2の成長角度αに依存して、関係式X=2.e.(1-B).tan(α)を用いて選択されても良い。例として、密閉層33A.2を成膜するために用いられる成膜技術が蒸着であるときに、角度αは典型的にはおおよそ15°~20°である。
【0109】
0.73μmのアモルファスシリコンでできた薄い封入層21の厚さについては、10μmの参照波長のための4分の3波長板を形成する高屈折率層33Aを得るために、1.25μmの厚さのゲルマニウムでできた密閉層33A.2を準備することが有利であり、それによって、8~14μmの検出スペクトル領域において単一の透過ピークを有する干渉フィルタが得られることが可能になる。もしも、キャビティ3の密閉性を確保するために、密閉層の3分の2、すなわち、0.83μmのゲルマニウムが好ましいのであれば、好ましくは、平均横幅Xが0.22~0.3μmの間にある排出口が得られる。
【0110】
図13(b)を参照すると、真空又は低圧雰囲気を含み、1つ以上の熱検出部が内部に収容される密閉キャビティ3上に、構造化層35及び高屈折率層33Bが生成されること以外は、上で説明されたような工程において、構造化層35及び高屈折率層33Bは犠牲層26.3、26.4上に生成される。このように、封入構造部によって形成される1つ以上の密閉キャビティ3の中に、単独で、又は、2以上の数で収容される検出部のマトリックスアレイが得られ、光学フィルタ構造は、当該封入構造部上にある1つの熱検出部にそれぞれが面して位置する、フィルタのマトリックスアレイを含む。密閉キャビティ3はどのような犠牲層も有しておらず、一方で、フィルタは、高屈折率層33A.1、33A.2と高屈折率層33Bとの間に、構造化層35と同じ高さで犠牲層26.3、26.4を含む。
【0111】
図13(c)を参照すると、アモルファスシリコンでできた高屈折率部36と、低屈折率空気部とを備える構造化層35を含む、大きな屈折率差の干渉フィルタを形成するために、排出口24.2及び高屈折率部36の割れ目を介して第3及び第4の犠牲層26.3、26.4が除去され、当該構造化層は、半反射鏡部32A、32Bの高屈折率層33A.1、33A.2と、高屈折率層33Aとの間に懸架され、半反射鏡部32A、32Bのそれぞれは、対応する高屈折率層を構造化層から分離する低屈折率層34A、34Bを更に含む。この実施の形態において、第3及び第4の犠牲層26.3、26.4は、第1及び第2の犠牲層26.1、26.2が除去される工程とは異なる工程で除去される。このように、犠牲層のこれらの2つの組は、異なる材料でできていても良く、第3及び第4の犠牲層26.3、26.4は、例えば、HF蒸気中で化学エッチングにより除去されても良い、酸化シリコンでおそらくできている。ポリイミドに代えて酸化シリコンを用いることは、CMP技術が好ましくは用いられても良い、第4犠牲層26.4の第1厚さの平坦化の工程を簡略化しても良い。気相HFエッチングに対抗するために、基層14.3は例えばおそらくアルミニウムでできているであろう。
【0112】
変形例(図示せず)として、例えば、ゲルマニウム層又はアモルファスシリコン層のような、赤外線を透過する薄い層を成膜することにより、排出口24.2を塞ぐことは有利かもしれない。この追加の密閉副層は、アモルファスシリコン副層とともに、10μmの参照波長のための4分の3波長板を形成するために設けられても良く、それによって、8~14μmの検出スペクトル領域の単一の透過ピークを有する干渉フィルタが得られることを可能にする。この点に関して、厚さ1.5μmのアモルファスシリコンでできた密閉層、又は、厚さ1.25μmのゲルマニウム層は、厚さ0.73μmのアモルファスシリコンの層33B上に成膜されても良い。排出口24.2を塞ぐことの利点は、フィルタの機械的強度を劣化させやすい外部因子が、干渉フィルタの内部に入り込むのを防ぐことにある。この追加の密閉層にとって、干渉フィルタのキャビティを真空下に保つ機能を有することは必要ではなく、それゆえ、成膜工程を短縮する利点をもって中圧成膜技術(例えば、陰極スパッタ、CVD)が用いられても良く、それによって、検出装置の製造コストの削減に寄与する。有利には、8~14μmの検出スペクトル領域の2つの端部における阻止率を改善するために、(例えば、ZnSでできた4分の1波長層、又は、Siでできたテクスチャ加工層のような)反射防止層がスタックの上部に成膜されても良い。
【0113】
図14(a)~(c)、
図15(d)、(e)は、第5実施の形態に係る装置を製造するプロセスのいろいろな工程を示す。この例では、下側の半反射鏡部32Aは密閉副層33A.2を含み、構造化層35は、高屈折率部36と低屈折率部37との交互配置が上にある、連続する高屈折率層41を含む。
【0114】
図14(a)は
図13(a)と同一又は同様であって、それゆえ、詳細に説明されない。熱検出部10のマトリックスアレイが基板2上にあって、薄い封入層21と、ここでは密閉副層33A.2とで形成される封入構造部は、基板2とともに、1つ以上の熱検出部10をそれぞれ収容する1つ以上の密閉キャビティ3を画定する。
【0115】
図14(b)を参照すると、上で説明されたものと同一又は同様で、任意の、次の基部14.3が生成され、基部14.3及び密閉層33A.2を覆うために、例えば、酸化シリコンでできた第3犠牲層26.3が成膜される。例として、第3犠牲層26.3及び第4犠牲層26.4はここでは酸化シリコンでできているが、ポリイミドが用いられることもできる。
【0116】
次に、以下のものが成膜される。犠牲層26.3を覆うための、例えば、厚さ0.73μmの、ここではアモルファスシリコンでできた高屈折率層41。そして、10~200μmの間、例えば、30~50μmの間にある範囲に厚さを有し、犠牲層26.3、26.4とともに除去されるための、好ましくは、酸化シリコンでできた薄いエッチング停止層43。エッチング停止層43のホトリソグラフィ及びエッチングにより、ここでは、下層41上で開く孔の形状を有する開口部が生成される。1つの変形例(図示せず)では、層41上に配置されるパッドだけが残るように、エッチング停止層43はエッチングされても良い。その後、ここではアモルファスシリコンででき、例えば、厚さが1.36μmの高屈折率層42が成膜される。マルチスペクトル検出装置の動作範囲における望ましくない共鳴を制限するために、好ましくは、高屈折率層41は、層41、42の合計厚さの約60%よりも小さい厚さを有する。
【0117】
図14(c)を参照すると、次に、高屈折率層42のホトリソグラフィ及びエッチングにより、高屈折率部36のネットワークが生成される。このように、各高屈折率部36は、初期の層42の厚さと実質的に等しい厚さを有し、下にある連続する高屈折率層41と接触する。
【0118】
図15(d)、(e)を参照すると、上で説明されたような工程が実行されるが、この場合には、酸化シリコンでできた犠牲層26.3、26.4が除去されるのと同時に、エッチング停止層43の除去がなされる。これらの層26.3、43、26.4は、構造化層35の連続する層41と、上側の鏡部32Bの高屈折率層33とにそれぞれ設けられた第2排出口24.2及び第3排出口24.3を介して、HF気相酸エッチング法により除去される。このようにして、高屈折率部36が上にある、連続する高屈折率層41を含む構造化層を備える干渉フィルタが得られる。構造化層35の機械的堅ろう性を確保するために、連続する層41は側壁40と接触する。
【0119】
この実施の形態において、第2排出口24.2はいくつかの段階、つまり、連続する層41が成膜された後、又は、層43のエッチングと犠牲層26.4の成膜との間(この第2選択肢が選ばれた場合には、酸化シリコン及びアモルファスシリコンで連続して作られた2層がともにエッチングされる)(この第2選択肢は、第2排出口を生成するための専用のマスク面(mask level)とエッチング工程とを必要とする)、又は、第3排出口24.3が生成されるのと同時、のいずれにおいて開いていても良い。他の取り組み方法も可能である。任意には、上で説明されたように、赤外線を透過する、例えば、ゲルマニウムでできた薄い密閉層、又は、更にZnSでできた反射防止層を成膜することにより、第3排出口24.3は塞がれることができる。
【0120】
図16(a)~(c)は、電磁放射線を検出するための装置のいろいろな変形例を示し、それらは、光学フィルタ構造が基板2にある方法において、互いに本質的に異なる。
【0121】
図16(a)は、今まで説明されたような、マルチスペクトル干渉フィルタのマトリックスアレイを支持するための要素40が、封入構造部の上面にある、概略断面図を示す。
【0122】
図16(b)は、マルチスペクトル干渉フィルタのマトリックスアレイを支持する壁40が、基板2の上面にある、概略断面図を示す。封入構造部は、それゆえ、光学フィルタ構造の機械的な維持を確保しない。
【0123】
図16(c)は、支持壁40が、基板2の上面の上にあって、マルチスペクトル干渉フィルタのマトリックスアレイ、及び、熱検出部の薄い封入層の両方を支持する、概略断面図を示す。
【0124】
特別な実施の形態が今まで説明されてきた。いろいろな変形例及び修正例は当業者にとって明らかであろう。特に、光学フィルタ構造では、熱検出部毎に複数の干渉フィルタを含むことが可能であって、フィルタはZ軸に沿って互いの上部に重ね合わされる。