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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20220228BHJP
   H02B 13/025 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H02B1/30 F
H02B13/025 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017175903
(22)【出願日】2017-09-13
(65)【公開番号】P2019054589
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 俊之
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-125504(JP,U)
【文献】実開昭63-097304(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/30
H02B 13/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記筐体内を仕切った仕切部材と、
前記仕切部材に設けられた引掛部と、
前記筐体に固定され、前記引掛部が引っ掛けられ前記引掛部を介して前記仕切部材を支持した支持部と、
を備え、
前記支持部には、前記引掛部の一部が入れられた開口部が設けられ、
前記開口部は、前記筐体の上下方向に延び下端部が前記支持部に塞がれた第一部分と、前記第一部分から前記上下方向と交差する方向に延び前記第一部分とは反対側に開口した第二部分と、を含み、
前記支持部は、前記開口部に面した鉤状部を有した、スイッチギヤ。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記筐体内を仕切り、互いに重ねられた複数の仕切部材と、
前記仕切部材に設けられた引掛部と、
前記筐体に固定され、前記引掛部が引っ掛けられ前記引掛部を介して前記仕切部材を支持した支持部と、
を備えた、スイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体と、筐体内を仕切る仕切部材と、を備えたスイッチギヤが、知られている。このような構成のスイッチギヤでは、例えば、筐体内で発生した高温や高圧のガスの流動が仕切部材によって抑制されるので、仕切部材に面した筐体の外壁がガスによって変形されるのが抑制されやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-121227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のスイッチギヤでは、例えば、仕切部材の取り付けがしやすい新規な構成が得られれば、好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチギヤは、例えば、筐体と、仕切部材と、引掛部と、支持部と、を備えている。前記仕切部材は、前記筐体内に設けられ、前記筐体内を仕切っている。前記引掛部は、前記仕切部材に設けられている。前記支持部は、前記筐体に固定され、前記引掛部が引っ掛けられ前記引掛部を介して前記仕切部材を支持している。前記支持部には、前記引掛部の一部が入れられた開口部が設けられている。前記開口部は、前記筐体の上下方向に延び下端部が前記支持部に塞がれた第一部分と、前記第一部分から前記上下方向と交差する方向に延び前記第一部分とは反対側に開口した第二部分と、を含む。前記支持部は、前記開口部に面した鉤状部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態のスイッチギヤの例示的かつ模式的な側面図である。
図2図2は、第1実施形態のスイッチギヤの例示的かつ模式的な斜視図であって、背面扉が開かれた状態での図である。
図3図3は、第1実施形態のスイッチギヤの仕切部材および仕切部材の取付構造の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
図4図4は、第2実施形態のスイッチギヤの例示的かつ模式的な斜視図であって、背面扉が開かれた状態での図である。
図5図5は、第2実施形態のスイッチギヤの仕切部材および仕切部材の取付構造の例示的かつ模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0008】
また、以下に開示される複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、筐体2の前後方向に沿い、Y方向は、筐体2の幅方向に沿い、Z方向は、筐体2の高さ方向(上下方向)に沿う。また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0009】
<第1実施形態>
図1,2に示されるスイッチギヤ1は、例えば、建物の電気室等に設置される。スイッチギヤ1は、筐体2を備えている。スイッチギヤ1は、不図示の遮断器や保護継電器等の収容部品(収容物)が金属製の筐体2内に収容された、所謂金属閉鎖形スイッチギヤである。筐体2内には複数の室Rが設けられており、複数の収容部品が複数の室Rに分散して配置されている。筐体2には、例えば、遮断器、計器用変成器等を有し主に電力を受電する受電盤や、遮断器、変流器、零相変流器等を介して負荷供給用のケーブルが引き出されるフィーダ盤、主母線を系統毎に遮断器によって切り分ける母線連絡盤等が含まれる。筐体2は、盤や、閉鎖箱等とも称されうる。
【0010】
筐体2は、例えば、直方体状の箱型に構成されている。筐体2は、外壁部としての複数の壁部2a~2fを有している。
【0011】
壁部2aおよび壁部2bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部2aは、天壁部や上壁部等と称され、壁部2bは、底壁部や下壁部等とも称される。
【0012】
また、壁部2cおよび壁部2eは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。また、壁部2dおよび壁部2fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部2cは、前壁部等と称され、壁部2eは、後壁部、背面壁部等とも称される。また、壁部2c~2fは、側壁部や周壁部等とも称されうる。
【0013】
また、図2に示されるように、筐体2には、X方向に向けて開放され、背面扉8によって開閉可能に覆われた作業用の開口部2gが設けられている。背面扉8は、壁部2eの少なくとも一部を構成している。背面扉8は、筐体2に、背面扉8のY方向の反対方向の端部(Z方向)に沿って延びる回転軸を有したヒンジ部(不図示)を介して、回転可能に支持されている。背面扉8は、回転軸回りに回転することで、開口部2gを閉じる閉位置(図1)と、開口部2gを開放する開位置(図2)との間で、移動可能である。背面扉8は、扉の一例である。
【0014】
図1に示されるように、筐体2内には、複数の仕切壁部2hが設けられている。これらの複数の仕切壁部2hが、筐体2内を複数の室Rに仕切っている。複数の仕切壁部2hは、X方向に壁部2eと面した仕切壁部2h1を含む。
【0015】
図1,2に示されるように、仕切壁部2h1には、仕切部材3が設けられている。仕切部材3は、仕切壁部2h1の少なくとも一部を構成している。すなわち、仕切部材3は、筐体2内を仕切っている。
【0016】
図2,3に示されるように、仕切部材3は、厚さ方向がX方向に沿う四角の板状に構成されている。仕切部材3には、複数の開口部3aが設けられている。開口部3aは、仕切部材3の厚さ方向に仕切部材3を貫通した貫通孔である。
【0017】
仕切部材3は、引掛部4および支持部5を介して、筐体2に取り付けられている。本実施形態では、仕切部材3は、ボルト等の締結具を介さずに、支持部5に対する引掛部4の引っ掛けによって、支持部5に取り付けられている。
【0018】
図3に示されるように、引掛部4は、仕切部材3のY方向の端部3b(辺部)およびY方向の反対方向の端部3c(辺部)のそれぞれに設けられている。端部3bに設けられた引掛部4と端部3cに設けられた引掛部4とは、互いの間に位置されるXZ平面に関して対称形状である。
【0019】
引掛部4は、二つの壁部4a,4bを有し、Z方向に沿って見た場合に略L字状に構成されている。壁部4a,4bは、いずれも、長手方向が筐体2の高さ方向すなわちZ方向に沿う帯状に構成されている。壁部4aは、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びている。壁部4aは、端部3b,3cに固定され、端部3b,3cからX方向に延びている。壁部4bは、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。壁部4bは、壁部4aのX方向の端部から筐体2の幅方向外側に延びている。すなわち、端部3bに設けられた引掛部4の壁部4bは、壁部4aからY方向に延び、端部3cに設けられた引掛部4の壁部4bは、壁部4aからY方向の反対方向に延びている。壁部4a,4bは、板部とも称されうる。
【0020】
また、壁部4bには、複数の開口部4cが設けられている。複数の開口部4cは、筐体2の高さ方向、すなわちZ方向に互いに間隔を空けて一列に並べられている。複数の開口部4cは、壁部4bの厚さ方向、すなわちX方向に壁部4bを貫通している。開口部4cは、筐体2の高さ方向すなわちZ方向に長い長孔状に構成されている。開口部4cは、貫通孔とも称されうる。
【0021】
支持部5は、二つの引掛部4のそれぞれに対して設けられている。すなわち、二つの支持部5が設けられている。二つの支持部5は、Y方向に互いに間隔を空けて配置されている。支持部5は、筐体2に固定されている。筐体2に対する支持部5の固定は、例えばボルト等の結合具によってなされうる。なお、筐体2に対する支持部5の固定は、これに限られない。支持部5は、ベースとも称されうる。
【0022】
二つの支持部5は、互いの間に位置されるXZ平面に関して対称形状である。支持部5は、三つの壁部5a~5cを有し、Z方向に沿って見た場合に略U字状に構成されている。壁部5a~5cは、いずれも、長手方向が筐体2の高さ方向すなわちZ方向に沿う帯状に構成されている。壁部5aは、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。壁部5b,5cは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。壁部5bは、筐体2の幅方向における壁部5aの内側の端部から、筐体2の正面側すなわちX方向の反対方向に延びている。壁部5cは、筐体2の幅方向における壁部5aの外側の端部から、筐体2の正面側すなわちX方向の反対方向に延びている。壁部5a~5cは、板部とも称されうる。
【0023】
また、壁部5bには、複数の開口部5dが設けられている。複数の開口部5dは、筐体2の高さ方向すなわちZ方向に互いに間隔を空けて一列に並べられている。複数の開口部5dは、壁部5bの厚さ方向すなわちY方向に壁部5bを貫通している。開口部5dは、第一部分5eと、第一部分5eと通じた第二部分5fと、を含み、略L字状に構成されている。第一部分5eと第二部分5fとは、連続している。第一部分5eは、筐体2の上下方向(Z方向)に延びている。第一部分5eの下端部5gは、支持部5、具体的には開口部5dに面した壁部5bの面によって塞がれている。第二部分5fは、第一部分5eの上端部から、筐体2の正面側すなわちX方向の反対方向に延び、第一部分5eとは反対側に開口している。すなわち、第二部分5fは、X方向の反対方向に開口している。X方向の反対方向は、筐体2の上下方向と交差する方向の一例である。
【0024】
また、壁部5bは、複数の鉤状部5iを有している。複数の鉤状部5iは、筐体2の高さ方向、すなわちZ方向に互いに間隔を空けて一列に並べられている。鉤状部5iは、壁部5bにおける、各開口部5dの下側の部分、によって構成されている。すなわち、鉤状部5iは、開口部5dに面している。鉤状部5iは、突起部とも称されうる。
【0025】
上記構成では、引掛部4を支持部5の鉤状部5iに引っ掛けることにより、仕切部材3が支持部5(筐体2)に取り付けられ、仕切部材3が筐体2に支持される。支持部5に対して引掛部4を引っ掛ける際には、引掛部4における開口部4cの上側の部分である挿入部4dを、支持部5の開口部5dの第二部分5f内に入れて、X方向に移動させる。次に、挿入部4dを、第二部分5fから第一部分5eに入れ、Z方向の反対方向、すなわち下方に移動させて、鉤状部5iに引っ掛ける。これにより、引掛部4の開口部4c内に支持部5の一部(鉤状部5i)が入れられ、支持部5の開口部5d内に引掛部4の一部(挿入部4d)が入れられた状態となる。
【0026】
また、上記構成では、例えば、異常等によって筐体2内で高温や高圧のガスが生じた場合、当該ガスの流動が仕切壁部2hによって抑制されるので、仕切壁部2hに面した筐体2の外壁(壁部2a~2f)が当該ガスによって変形されるのが抑制されやすい。一例として、仕切壁部2h1を構成する仕切部材3は、仕切部材3における背面扉8とは反対側の室R1内で高温や高圧のガスが生じた場合、当該ガスが背面扉8に向かって流動するのを抑制する。これにより、ガスによって背面扉8が変形することが抑制される。室R1から仕切部材3の開口部3aを通って室R1外に流出したガスは、例えば、壁部2a等に設けられた開口部から筐体2外へ排出される。また、室R1以外の室R内で発生したガスも、壁部2a等に設けられた開口部から筐体2外へ排出される。
【0027】
以上のように、本実施形態では、スイッチギヤ1は、筐体2と、仕切部材3と、引掛部4と、支持部5と、を備えている。仕切部材3は、筐体2内に設けられ、筐体2内を仕切っている。また、引掛部4は、仕切部材3に設けられている。また、支持部5は、筐体2に固定され、引掛部4が引っ掛けられ引掛部4を介して仕切部材3を支持している。よって、本実施形態によれば、例えば、仕切部材3の取り付けの際には、引掛部4を支持部5に引っ掛けることにより、仕切部材3を筐体2に取り付けることができる。よって、例えば、工具が必要なボルト等の締結部材によって、仕切部材3を支持部5に取り付ける構成に比べて、仕切部材3の取り付けがしやすい。
【0028】
<第2実施形態>
図4,5に示される本実施形態のスイッチギヤ1Aは、上記第1実施形態のスイッチギヤ1と同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の結果(効果)が得られる。
【0029】
ただし、本実施形態では、例えば、図4に示されるように、仕切壁部2hに複数(一例として、二つ)の仕切部材3が設けられている。二つの仕切部材3は、X方向に互いに重ねられている。具体的には、二つの仕切部材3は、X方向に間隔を空けて互いに重ねられている。なお、二つの仕切部材3は、X方向に間隔を空けずに互いに接触した状態で重ねられていてもよい。
【0030】
各仕切部材3には、第1実施形態と同様に、二つの引掛部4が設けられている。これら二つの仕切部材3は、二つの支持部5に一緒に取り付けられている。
【0031】
図5に示されるように、支持部5の壁部5bの開口部5dは、複数(一例として、二つ)の第一部分5eと、一つの第二部分5fと、を含んでいる。二つの第一部分5eは、X方向に互いに間隔を空けて並べられている。第二部分5fは、二つの第一部分5eの上端部に通じている。
【0032】
また、壁部5bは、複数の鉤状部5iを有している。複数の鉤状部5iは、筐体2の高さ方向、すなわちZ方向に互いに間隔を空けて二列に並べられている。
【0033】
以上のように、本実施形態では、複数の仕切部材3が互いに重ねられている。よって、一例として、室R1内で高温や高圧のガスが生じた場合、当該ガスが背面扉8に向かって流動するのが、より抑制される。これにより、ガスによって背面扉8が変形することがより抑制される。また、複数の仕切部材3が互いに重ねられているので、筐体2内の限られたスペースに、複数の仕切部材3を配置しやすい。
【0034】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本発明は、上記実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成(技術的特徴)によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
1,1A…スイッチギヤ、2…筐体、3…仕切部材、4…引掛部、5…支持部、5d…開口部、5e…第一部分、5f…第二部分、5g…下端部、5i…鉤状部。
図1
図2
図3
図4
図5