(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】燃料電池システムおよび燃料電池システムの電流遮断方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220228BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20220228BHJP
H01M 8/04955 20160101ALI20220228BHJP
H01M 8/04664 20160101ALI20220228BHJP
H02H 3/16 20060101ALI20220228BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20220228BHJP
【FI】
H01M8/04 H
H01M8/04537
H01M8/04955
H01M8/04664
H02H3/16 B
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2017223457
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊介
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 正徳
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-005707(JP,A)
【文献】特開2010-010018(JP,A)
【文献】特開2013-106483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
H02J 3/38
H02H 3/16
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給される電力供給線の入出力電流に基づき、漏電電流を検出する漏電検出部と、
漏電検出部が検出した漏電電流に基づき、電流の遮断を行う判断を行う制御部と、
前記制御部により、電流の遮断を行うと判断された場合に、電流を遮断する開閉部と、
前記開閉部を介し、前記電力供給線に接続された燃料電池部と、
前記燃料電池部及び前記制御部に接続される配電盤と、を有し、
前記制御部には、前記開閉
部による電流遮断後も前記配電盤から電源電圧の供給が行われる燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池システムは、ブレーカーを介して電源系統に接続されており、
前記制御部により、電流の遮断を行うと判断される漏電電流は、前記ブレーカーが電流の遮断を行う、漏電電流より小さい電流である、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記開閉部は、燃料電池部の発電部からの出力電流、燃料電池部の発電周辺部への供給電流のうち、少なくとも一方を遮断する、
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御部により、電流の遮断を行うと判断された時に警報を出力する警報部を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
復帰コマンドが前記制御部に入力された場合、前記制御部は、前記開閉部を導通状態とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記開閉部が遮断された日時、導通状態とされた日時を累積して記憶する記憶部を有する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
電力が供給される電力供給線の入出力電流に基づき、漏電検出部で漏電電流を検出するステップと、
前記漏電電流に基づき、制御部で電流遮断の判断を行うステップと、
電流遮断を行うと判断された場合に燃料電池部への電流を遮断するステップと、
前記燃料電池部への電流遮断後も前記制御部への電源電圧の供給を、前記燃料電池部及び前記制御部に接続される配電盤から行うステップと、
を有する燃料電池システムの電流遮断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、燃料電池システムおよび燃料電池システムの電流遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、都市ガスやプロパンガス等の燃料から取り出した水素と空気中の酸素とを用いた電気化学反応によって、燃料の化学エネルギーから、電気エネルギーを取り出すシステムである。燃料電池システムは、電気を使う場所で発電するので、送電で発生する無駄が少ない。また、燃料電池システムは、発電時の熱を利用した給湯を行うことができ、給湯用のボイラーや貯湯用のタンクなどと組み合わせ、コージェネレーションシステムとして用いられる。
【0003】
このような燃料電池システムは、スタック、インバータ等により構成された発電部と、燃料改質装置、空気供給装置、排熱回収装置等により構成された発電周辺部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような燃料電池システムは、電力会社等から電力が供給される電力供給線に接続され使用される。一般家庭において、燃料電池システムは、電力会社等から受電を行う配電盤において、ブレーカーを介し電力供給線に接続される。燃料電池システムは、ブレーカーを介し電力供給線に、発電した電力の供給を行う。
【0006】
従来の燃料電池システムは、燃料電池システムに漏電または過電流があった場合、配電盤のブレーカーが漏電または過電流を検出し開路状態となり、電力供給線から電気的に遮断される。
【0007】
燃料電池システムの漏電や過電流発生時には、基本的には配電盤のブレーカーにより、燃料電池システムが電力供給線から電気的に遮断される。しかしながら、配電盤のブレーカーによる遮断では、電力供給線に接続された負荷または電力会社等から供給される電力に、燃料電池システムの漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れがあった。
【0008】
つまり、ブレーカーの検出電流や応答速度により、配電盤に設置された他のブレーカーが遮断状態となり、家庭内で使用中の負荷への給電が中断されることが懸念された。また、電力会社等から供給される電力に高調波やノイズ等を混入させることが懸念された。このように、電力供給線に接続された負荷または電力供給側へ、燃料電池システムの漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れがあることは望ましくない。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、電力供給線に接続された負荷または電力供給側へ、燃料電池システムの漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れを軽減することができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの電流遮断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の燃料電池システムは、次のような構成要素を有することを特徴とする。
(1)電力が供給される電力供給線の入出力電流に基づき、漏電電流を検出する漏電検出部。
(2)漏電検出部が検出した漏電電流に基づき、電流の遮断を行う判断を行う制御部。
(3)前記制御部により、電流の遮断を行うと判断された場合に、電流を遮断する開閉部。
(4)前記開閉部を介し、電源系統に接続された燃料電池部。
(5)外部から商用電源が供給される配電盤。
(6)前記制御部には、前記開閉部による電流遮断後も前記配電盤から電源電圧の供給が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態にかかる燃料電池システムを示す図
【
図2】第1実施形態にかかる燃料電池システムの制御部の構成を示す図
【
図3】第1実施形態にかかる燃料電池システムの燃料電池部の構成を示す図
【
図4】第1実施形態にかかる燃料電池システムの制御部のプログラムフローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の燃料電池システムおよび燃料電池システムの電流遮断方法にかかる実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1~3を参照して本実施形態の一例としての燃料電池システム1について説明する。
【0013】
(1)燃料電池システム1の構成
本燃料電池システム1は、漏電検出部2、制御部3、開閉部4、燃料電池部5、警報部6を有する。燃料電池システム1は、外部に設置された温水器11に接続される。温水器11は、燃料電池部5の発電時の熱により加熱された水が蓄えられる。燃料電池システム1は、配電盤9に接続される。
【0014】
本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
【0015】
燃料電池システム1において、以下の信号が、入力、出力、送受信または記憶される。
差分電流値a1
復帰コマンドb1
開路を指示する信号c1x(開閉器41aに対する信号)
閉路を指示する信号c1y(開閉器41aに対する信号)
開路を指示する信号c2x(開閉器41bに対する信号)
閉路を指示する信号c2y(開閉器41bに対する信号)
開閉器41aを開路状態、閉路状態とした日時d1
開閉器41bを開路状態、閉路状態とした日時d2
警報信号e1
【0016】
(漏電検出部2)
漏電検出部2は、電流トランスおよびアナログディジタル変換器により構成される。漏電検出部2の電流トランスは、配電盤9を電気的に接続する電力供給線8に配置される。
【0017】
漏電検出部2は、燃料電池システム1と配電盤9を電気的に接続する電力供給線8に流れる入出力電流の差分電流を電流トランスにて検出し、その差分電流の電流値をアナログディジタル変換器によりディジタル値に変換し、差分電流値a1として制御部3に送信する。差分電流値a1が大きい場合、漏電電流が大きいと考えられる。
【0018】
(開閉部4)
開閉部4は、開閉器41a、開閉器41bにより構成される。開閉器41aは、コンタクタ、リレーまたはパワーエレクトロニクス半導体素子のような開閉素子により構成される。開閉器41aは、一方が燃料電池部5の発電部51に、他方が配電盤9を結ぶ電力供給線8に接続される。開閉器41aは、燃料電池部5の発電部51と配電盤9の間を、電気的に導通または遮断する。開閉器41aは、制御部3から出力された開路を指示する信号c1x、閉路を指示する信号c1yが入力される。開閉器41aは、制御部3により遮断または導通を制御され、開路状態または閉路状態となる。
【0019】
開閉器41bは、コンタクタ、リレーまたはパワーエレクトロニクス半導体素子のような開閉素子により構成される。開閉器41bは、一方が燃料電池部5の発電周辺部55に、他方が配電盤9を結ぶ電力供給線8に接続される。開閉器41aは、燃料電池部5の発電周辺部55と配電盤9の間を、電気的に導通または遮断する。開閉器41bは、制御部3から出力された開路を指示する信号c2x、閉路を指示する信号c2yが入力される。開閉器41bは、制御部3により遮断または導通を制御され、開路状態または閉路状態となる。
【0020】
(制御部3)
制御部3は、マイクロコンピュータおよび周辺回路により構成される。制御部3は、入力側が漏電検出部2に、出力側が開閉部4、燃料電池部5、警報部6に接続される。
図2に示すように制御部3は電源部31、入力部32、受信部33、指示部34、記憶部35、警報出力部36、演算部37、出力部38を有する。
【0021】
電源部31は、スイッチング方式またはドロッパ方式による電源回路により構成される。電源部31は、制御部3内の入力部32、受信部33、指示部34、記憶部35、警報出力部36、演算部37、出力部38へ電源電圧の給電を行う。電源部31は、漏電検出部2の差分電流値a1に基づき制御部3が、漏電があり開閉部4の電流の遮断を行う判断をした場合であっても、電源部31は、制御部3内の上記各部への電源電圧の給電を継続する。
【0022】
入力部32は、ディジタル信号の入力回路により構成される。入力部32は、入力側が漏電検出部2に、出力側が演算部37に接続される。入力部32は、漏電検出部2から以下の信号を受信し、演算部37に出力する。
差分電流値a1
【0023】
受信部33は、シリアル信号の受信回路により構成される。受信部33は、入力側が外部の伝送線に、出力側が演算部37に接続される。受信部33は、外部の伝送線から以下の信号を受信し、演算部37に出力する。
復帰コマンドb1
【0024】
指示部34は、ディジタル信号の出力回路により構成される。指示部34は、入力側が演算部37に、出力側が開閉部4に接続される。指示部34は、演算部37に制御され、開閉器41aに対し以下の信号を出力する。
開路を指示する信号c1x
閉路を指示する信号c1y
また、指示部34は、演算部37に制御され、開閉器41bに対し以下の信号を出力する。
開路を指示する信号c2x
閉路を指示する信号c2y
【0025】
記憶部35は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部35は、以下のデータを記憶する。
開閉器41aを開路状態、閉路状態とした日時d1
開閉器41bを開路状態、閉路状態とした日時d2
記憶部35は、演算部37により、データの記憶、読出しが制御される。
【0026】
警報出力部36は、ディジタル信号の出力回路により構成される。警報出力部36は、入力側が演算部37に、出力側が警報部6に接続される。警報出力部36は、演算部37に制御され、警報部36に以下の信号を出力する。
e1.警報信号
【0027】
出力部38は、ディジタル信号の出力回路により構成される。出力部38は、入力側が演算部37に、出力側が燃料電池部5の発電周辺部55に接続される。出力部38は、演算部37に制御され、燃料電池部5の発電周辺部55の各部を制御する信号を出力する。
【0028】
演算部37は、後述するコンピュータプログラムを内蔵する。演算部37は、入力部32、受信部33、指示部34、記憶部35、警報出力部36、出力部38に接続される。制御部3の演算部37は、以下の演算および制御を行う。
【0029】
(A)入力部32に対する制御
演算部37は、入力部32を介し漏電検出部2から以下の信号を受信する。
差分電流値a1
【0030】
(B)受信部33に対する制御
演算部37は、受信部33を介し、外部の伝送線から電文にて入力される以下の信号を受信する。
復帰コマンドb1
【0031】
(C)指示部34に対する制御
演算部37は、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合、指示部34を介し、開閉器41aに対し以下の信号を出力する。
開路を指示する信号c1x
演算部37は、受信部33を介し、復帰コマンドb1が外部の伝送線から入力された場合、指示部34を介し、開閉器41aに対し以下の信号を出力する。
閉路を指示する信号c1y
【0032】
演算部37は、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合、指示部34を介し、開閉器41bに対し以下の信号を出力する。
開路を指示する信号c2x
演算部37は、受信部33を介し、復帰コマンドb1が外部の伝送線から入力された場合、指示部34を介し、開閉器41bに対し以下の信号を出力する。
閉路を指示する信号c2y
【0033】
(D)記憶部35に対する制御
演算部37は、記憶部35に以下のデータを記憶させる。また、演算部37は、記憶部35から以下のデータを読み出す。
開閉器41aを開路状態、閉路状態とした日時d1
開閉器41bを開路状態、閉路状態とした日時d2
【0034】
(E)警報出力部36に対する制御
演算部37は、警報出力部36を介し警報部6に以下の信号を出力する。
警報信号e1
【0035】
(F)出力部38に対する制御
演算部37は、出力部38を介し燃料電池部5の発電周辺部55の各部を制御する信号を出力する。
【0036】
(G)開閉部4の開閉器41a、開閉器41bを開路状態とするかの判断
演算部37は、入力部32を介し漏電検出部2から受信した差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいかの判断を行う。演算部37は、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合、指示部34を介し、開閉器41aに開路を指示する信号c1xを、開閉器41bに開路を指示する信号c2xを出力する。予め設定された電流値s1は、配電盤9のブレーカー91aが遮断を行う漏電電流より小さい電流値であることが望ましい。
【0037】
(燃料電池部5)
燃料電池部5は、発電部51、発電周辺部55により構成される。発電部51は、開閉器41aを介し、発電部51にて発電された電力を出力する。発電周辺部55は、開閉器41bを介し、燃料電池部5の発電周辺部55が動作するための電源用の電力の供給を受け、発電部51を制御する。
【0038】
発電部51は、PEFCスタック部52、インバータ部53を有する。発電周辺部55は、燃料改質部56、空気供給部57、排熱回収部58、ダミー負荷59を有する。
【0039】
燃料改質部56は、外部から供給された都市ガスやプロパンガスから水素を抽出し、PEFCスタック部52に供給する。燃料改質部56は、開閉器41bを介し供給される電力にて動作するヒーター、電磁弁等の部材を有する。
【0040】
空気供給部57は、外部から供給された空気を、PEFCスタック部52に供給する。空気供給部57は、開閉器41bを介し供給される電力にて動作するブロア、電磁弁等の部材を有する。
【0041】
PEFCスタック部52は、燃料改質部56により抽出された水素、空気供給部57により供給された空気中の酸素を、化学反応させ直流の電力を発電する。PEFCスタック部52は、直流の電力を発電し、インバータ部53に供給する。
【0042】
インバータ部53は、PEFCスタック部52から供給された直流電力を交流電力に変換し出力する。インバータ部53により交流に変換された電力が、開閉器41aを介し、発電部51にて発電された電力として配電盤9に供給される。
【0043】
排熱回収部58は、PEFCスタック部52による発電時に発生した排熱を回収し、温水器11内の水を加熱する。排熱回収部58は、開閉器41bを介し供給される電力にて動作するポンプ等の部材を有する。
【0044】
ダミー負荷59は、インバータ部53から出力される電力の負荷が軽負荷である時に、負荷として接続される疑似的な負荷である。
【0045】
(警報部6)
警報部6は、液晶等の表示器、警報ランプまたはスピーカにより構成される。警報部6は、制御部3により、電流の遮断を行うと判断された時に、エラーコード、警告灯の点灯、または音声にて警報を出力する。警報部6は、燃料電池システム1に配置されていてもよいが、温水器11に配置されるようにしてもよい。
【0046】
(スイッチ7)
スイッチ7は、コンタクタまたはパワーエレクトロニクス半導体素子のような開閉素子により構成された開閉器である。スイッチ7は、一方が燃料電池システム1の内部に接続され、作業者により操作されることにより開路状態または閉路状態となる。スイッチ7が、作業者により操作されることにより、燃料電池システム1は、配電盤9と電気的に導通または非導通となる。
【0047】
(2)燃料電池システム1外部の構成
(温水器11)
温水器11は、加熱された水を蓄えるタンクにより構成される。温水器11は、燃料電池システム1に隣接して一般家庭等に設置される。温水器11は、燃料電池部5の発電時の熱により加熱された水を蓄える。温水器11に蓄えられた加熱された水は、作業者により風呂の湯等に使用される。
【0048】
(配電盤9)
配電盤9は、外部から供給された商用電源を、家庭等の内部に配電するための配電部材である。配電盤9は一般家庭等の受電端である台所等に設置される。配電盤9は、ブレーカー91a、91b、91c、91d、91eを有する。ブレーカー91a、91b、91c、91d、91eは、ブスバー92を介し相互に電気的に接続される。ブレーカー91a、91b、91c、91d、91eは、漏電または過電流を検出し開路状態となる。
【0049】
ブレーカー91aは、一方が屋内配線に接続されたブスバー92に、他方が燃料電池システム1に接続される。ブレーカー91bは、一方がブスバー92に、他方が電力会社等により供給される商用電源に接続される。商用電源が請求項における他の電源に相当する。
【0050】
ブレーカー91c、91d、91eは、一方が屋内配線に接続されたブスバー92に、他方が家庭等で使用される家電機器等の負荷に接続される。
【0051】
燃料電池システム1にて発電された電力は、ブレーカー91a、ブスバー92、ブレーカー91c、91d、91eを介し、家庭等で使用される家電機器等の負荷に供給される。
【0052】
[1-2.作用]
次に、本実施形態の燃料電池システム1の作用を、
図1~
図4に基づき説明する。
【0053】
燃料電池システム1の制御部3は、
図4に示すプログラムに従って動作を行う。以下に燃料電池システム1の制御部3の動作を
図4に示すプログラムに沿って説明する。
図4に示すプログラムは、制御部3の演算部37に内蔵される。
図4に示すプログラムは、制御部3の演算部37により、繰り返し実行される。
【0054】
(ステップS01:漏電検出部2から差分電流値a1を受信する)
演算部37は、入力部32を介し、漏電検出部2から差分電流値a1を受信する。漏電検出部2は、燃料電池システム1と配電盤9を電気的に接続する電力供給線8に流れる入出力電流の差分電流を検出し、差分電流の電流値をディジタル値に変換し、差分電流値として制御部3に送信している。差分電流値a1は常時、漏電検出部2から制御部3の入力部32に送信される。
【0055】
(ステップS02:差分電流値a1が、電流値s1より大きいかの判断を行う)
演算部37は、入力部32を介し漏電検出部2から受信した差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいかの判断を行う。差分電流値a1が大きい場合、漏電電流が大きいと考えられる。
【0056】
予め設定された電流値s1は、配電盤9のブレーカー91aが遮断を行う漏電電流より小さい電流値であることが望ましい。配電盤9のブレーカー91aが漏電を検出するより前に、燃料電池システム1内の漏電を検出し、配電盤9のブレーカー91aが遮断することを避けるためである。予め設定された電流値s1が、請求項における「電流の遮断を行うと判断される漏電電流」に相当する。
【0057】
演算部37は、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合、(ステップS02のYES)、ステップS03に移行する。差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断しない場合(ステップS02のNO)、ステップS01に移行し、継続して漏電検出部2から差分電流値a1を受信する。
【0058】
(ステップS03:開路を指示する信号c1xを出力し、開閉器41aに開路を指示する)
ステップS02にて差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断された場合、演算部37は、指示部34を介し開路を指示する信号c1xを出力し、開閉器41aに開路を指示する。開路を指示する信号c1xが入力された開閉器41aは、開路状態となる。これにより燃料電池部5の発電部51と配電盤9との間は、電気的に非導通状態となり、燃料電池部5の発電部51にて発電された電流の配電盤9への供給が遮断される。
【0059】
(ステップS04:開路を指示する信号c2xを出力し、開閉器41bに開路を指示する)
次に演算部37は、指示部34を介し開路を指示する信号c2xを出力し、開閉器41bに開路を指示する。開路を指示する信号c2xが入力された開閉器41bは、開路状態となる。これにより燃料電池部5の発電周辺部55と配電盤9との間は、電気的に非導通状態となり、配電盤9から燃料電池部5の発電周辺部55への電流の供給が遮断される。
【0060】
(ステップS05:警報部6に警報信号e1を出力する)
次に演算部37は、警報出力部36を介し警報部6に警報信号e1を出力する。警報信号e1は、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きく、演算部37が燃料電池システム1内に漏電があると判断したことを示す信号である。
【0061】
警報信号e1が入力された警報部6は、エラーコード、警告灯の点灯、または音声にて警報を出力する。
【0062】
(ステップS06:記憶部35にデータd1、d2を記憶させる)
次に演算部37は、記憶部35に、開閉器41aを開路状態、閉路状態とした日時d1、開閉器41bを開路状態、閉路状態とした日時d2のデータを記憶させる。これらのデータd1、d2は、蓄積して記憶される。また、データd1、d2は、ネット回線または専用回線を利用して読み出される。または、データd1、d2は、警報部6に表示される。
【0063】
(ステップS07:復帰コマンドb1を受信したかの判断を行う)
次に演算部37は、受信部33を介し復帰コマンドb1を受信したかの判断を行う。復帰コマンドb1は、開閉器41aおよび開閉器41bの閉路を指示するコマンドである。作業者により燃料電池システム1の漏電が除去された後に、復帰コマンドb1は、ハンディターミナル等の装置から外部の伝送線を介し電文にて入力される。
【0064】
復帰コマンドb1を受信したと判断した場合(ステップS07のYES)、演算部37は、ステップS08に移行する。復帰コマンドb1を受信したと判断しない場合(ステップS08のNO)、繰り返しステップS07を実行し、復帰コマンドb1の受信待ち状態となる。
【0065】
(ステップS08:閉路を指示する信号c1yを出力し、開閉器41aに閉路を指示する)
ステップS07にて復帰コマンドb1を受信したと判断された場合、演算部37は、指示部34を介し閉路を指示する信号c1yを出力し、開閉器41aに閉路を指示する。閉路を指示する信号c1yが入力された開閉器41aは、閉路状態となる。これにより燃料電池部5の発電部51と配電盤9との間は、電気的に導通状態となり、燃料電池部5の発電部51にて発電された電流の配電盤9への供給が行われる。
【0066】
(ステップS09:閉路を指示する信号c2yを出力し、開閉器41bに閉路を指示する)
次に演算部37は、指示部34を介し閉路を指示する信号c2yを出力し、開閉器41bに閉路を指示する。閉路を指示する信号c2yが入力された開閉器41bは、閉路状態となる。これにより燃料電池部5の発電周辺部55と配電盤9との間は、電気的に導通状態となり、配電盤9から燃料電池部5の発電周辺部55への電流の供給が行われる。演算部37は、ステップS09にかかる処理の後、一連のプログラムを終了する。
【0067】
上記のようにステップS02において、漏電検出部2から受信した差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと、演算部37により判断された場合、ステップS03およびS04にて、開閉器41aおよび開閉器41bが開路状態となる。予め設定された電流値s1を、配電盤9のブレーカー91aが遮断を行う漏電電流より小さい電流値としておく。これにより、配電盤9のブレーカー91aが漏電を検出するより前に、燃料電池システム1内の漏電を検出し、配電盤9のブレーカー91aが遮断することを避ける。以上が、本実施形態にかかる燃料電池システム1の動作である。
【0068】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、燃料電池システム1は、他の電源に接続された電力供給線8の入出力電流に基づき、漏電電流を検出する漏電検出部2と、漏電検出部2が検出した漏電電流に基づき、電流の遮断を行う判断を行う制御部3と、制御部3により、電流の遮断を行うと判断された場合に、電流を遮断する開閉部4と、開閉部4を介し、電力供給線8に接続された燃料電池部5と、を備えるので、電力供給線8に接続された負荷または電力供給側へ、燃料電池システム1の漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れを軽減することができる。
【0069】
(2)本実施形態によれば、燃料電池システム1は、ブレーカー91aを介して電源系統に接続されており、制御部3により、電流の遮断を行うと判断される漏電電流である「予め設定された電流値s1」は、ブレーカー91aが電流の遮断を行う漏電電流より小さい電流であるので、配電盤9のブレーカー91aが漏電を検出するより前に、燃料電池システム1内の漏電を検出し、配電盤9のブレーカー91aが遮断することを避けることができる。これにより、電力供給線に接続された負荷または電力供給側へ、燃料電池システムの漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れを軽減することができる。
【0070】
(3)本実施形態によれば、開閉部4は、燃料電池部5の発電部51からの出力電流、燃料電池部5の発電周辺部55への供給電流のうち、少なくとも一方を遮断するので、燃料電池システム1の漏電の状況に応じ遮断する電流をフレキシブルに選択することができる。また、開閉部4が遮断された後も、制御部3への電源電圧の供給は遮断されず、配電盤9から行われる。これにより、復帰コマンドb1が制御部3に入力された場合、制御部3は、開閉部4を導通状態とすることができる。また、制御部3は、開閉部4が遮断された日時、導通状態とされた日時を累積して記憶することができる。
【0071】
(4)本実施形態によれば、制御部3により、電流の遮断を行うと判断された時に警報を出力する警報部6を有するので、作業者は、開閉部4が遮断されたことを容易に認識することができる。
【0072】
(5)本実施形態によれば、警報部6は、燃料電池部5により加熱された水が蓄えられる温水器11に配置されるので、作業者は、警報部6により出力された警報を容易に認識することができる。
【0073】
(6)本実施形態によれば、復帰コマンドb1が制御部3に入力された場合、制御部3は、開閉部4を導通状態とするので、作業者は、燃料電池システム1の内部回路に触れることなく、安全に開閉部4を導通状態とすることができる。
【0074】
(7)本実施形態によれば、開閉部4が遮断された日時、導通状態とされた日時を累積して記憶する記憶部35を有するので、作業者は、容易に燃料電池システム1の漏電の経緯を知ることができる。
【0075】
[2.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0076】
(1)上記実施形態では、燃料電池システムは単相2線式(100V系)の給電方式に対応するものとしたが、単相3線式(200V系)に対応するものであってもよい。
【0077】
(2)上記実施形態では、復帰コマンドb1は、シリアル信号にて受信部33にて受信されるものとしたが、受信部33にて受信される復帰コマンドb1は、シリアル信号に限られない。復帰コマンドb1は、スイッチ入力によるONOFF信号や、パルス信号であってもよい。ONOFF信号や、パルス信号による復帰コマンドb1が、受信部33にて受信されるようにしてもよい。
【0078】
(3)上記実施形態では、警報信号e1は、警報部6にエラーコード、警告灯の点灯、または音声にて警報を出力させるための信号であるとしたが、警報信号e1は、これに限られない。警報信号e1は、例えば通信電部であってもよく、ネット回線または専用回線用の信号、無線電波にて出力されるものであってもよい。
【0079】
(4)上記実施形態では、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合に、開閉器41a、開閉器41bに対し開路を指示する信号c1x、c2xが出力されるものとしたが、開閉器41a、開閉器41bごとに異なる差分電流値にて開路を指示する信号が出力されるようにしてもよい。例えば、差分電流値a1が、予め設定された電流値s1より大きいと判断した場合に、開閉器41aに対し開路を指示する信号c1xが出力され、差分電流値a1が、予め設定された電流値s2より大きいと判断した場合に、開閉器41bに対し開路を指示する信号c2xが出力されるようにしてもよい。
【0080】
(5)上記実施形態では、スイッチ7は、作業者により操作される開閉器であるものとしたが、スイッチ7は、これに限られない。スイッチ7は、ブレーカーであってもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電力供給線に接続された負荷または電力供給側へ、燃料電池システムの漏電、過電流に起因する電気的な障害が波及する恐れを軽減することができる。
【符号の説明】
【0081】
1・・・燃料電池システム、2・・・漏電検出部、3・・・制御部、4・・・開閉部、5・・・燃料電池部、6・・・警報部、7・・・スイッチ、8・・・電力供給線、9・・・配電盤、11・・・温水器、31・・・電源部、32・・・入力部、33・・・受信部、34・・・指示部、35・・・記憶部、36・・・警報出力部、37・・・演算部、41a,41b・・・開閉器、51・・・発電部、52・・・PEFCスタック部、53・・・インバータ部、55・・・発電周辺部、56・・・燃料改質部、57・・・空気供給部、58・・・排熱回収部、59・・・ダミー負荷、91a,91b,91c,91d,91e・・・ブレーカー、92・・・ブスバー