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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】自動壁紙糊付機
(51)【国際特許分類】
   B44C 7/04 20060101AFI20220228BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
B44C7/04
B05C11/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018039294
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019151060
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山根 将司
(72)【発明者】
【氏名】清水 保博
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-73026(JP,A)
【文献】特開2018-17508(JP,A)
【文献】特開平8-196967(JP,A)
【文献】特開2002-301416(JP,A)
【文献】特開平10-290943(JP,A)
【文献】実開昭58-182547(JP,U)
【文献】実開昭63-162773(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 7/04
B05C 11/00
B05C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁紙原反に挿通する芯棒と、前記芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、前記芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を前記側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
前記壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
前記壁紙保持用リールの前記側板に、壁紙原反の残量の下限を示す目盛りを設け、前記側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
前記カメラモジュールにより撮影した画像データ中に前記目盛りが存在した時点で、前記壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達したと判定することを特徴とする自動壁紙糊付機。
【請求項2】
壁紙原反に挿通する芯棒と、前記芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、前記芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を前記側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
前記壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
前記壁紙保持用リールの側板に、前記芯棒挿通穴の中心からの距離が既知である目盛りを設け、前記側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
前記カメラモジュールにより撮影した画像データ中の、壁紙原反の端部と前記目盛りの間の画素数を計数することにより、壁紙を所定の長さ搬送する毎に壁紙原反の半径を算出し、
所定の長さを搬送する前の壁紙原反の半径と、所定の長さを搬送した後の壁紙原反の半径との差と、所定の長さ搬送した壁紙の長さから、壁紙の厚みを求め、前記壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量を算出することを特徴とする自動壁紙糊付機。
【請求項3】
前記壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達した場合に、壁紙の搬送を所定の速度に減速、または停止することを特徴とする前記請求項1、または請求項2記載の自動壁紙糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井や壁面に貼る壁紙に糊を塗布するための自動壁紙糊付機である。詳しくは、糊付けを実行しつつ、壁紙保持用リールに保持された壁紙原反の残量を算出し、残量が下限に達した場合に、糊付け実行速度を所定の速度に減速することにより、壁紙の残量がなくなった時に壁紙保持用リールが原反受けから外れて跳ね上がることを防止する機能を有する自動壁紙糊付機である。
【背景技術】
【0002】
図6に本発明の自動壁紙糊付機(101)を示す。図6は糊を塗布する壁紙Aの壁紙原反Bを保持する壁紙保持用リールを装着する側(自動壁紙糊付機の後方)から見た図である。
壁紙保持用リールは従来から具現化されており、壁紙保持用リールを構成するものとして、原反芯棒(109)と側板(110)が備えられており、壁紙原反Bの巻き芯D(紙管)に原反芯棒(109)を挿通させて、壁紙原反Bの左右外側から、側板(110)の芯棒挿通穴を挿通させて挟み込んで、側板固定ネジ(111)により側板(110)を原反芯棒(109)に固定することにより、壁紙原反Bが左右にずれないように保持するものである。左右同形状の側板(110)を用いる。
また、壁紙原反Bの中心の巻き芯D(紙管)が変形している場合には、矯正用コア(11)が用いられている。また、矯正用コア(111)は、壁紙原反Bの中心の巻き芯Dの空洞部に対し、原反芯棒(109)が細い場合に、壁紙原反Bが偏芯して回転することを防止したい時にも使用されている。
このようにして、壁紙原反Bが保持された壁紙保持用リールは、原反受け(108)の先端の凹状の切り欠きに乗せられる。
【0003】
従来技術の自動壁紙糊付機(101)は、脚(102)と下部フレーム(103)と上部フレーム(図示せず)とスリッター(104)と制御装置(105)で構成されており、
下部フレーム(103)には、送り出しローラー(107)、やドクターローラー(図示せず)、糊付けローラー(図示せず)などの複数のローラーが配設されており、また、糊箱(図示せず)とスリッター(104)と制御装置(105)が脱着自在に装着される。
【0004】
上部フレーム(図示せず)には、検尺ローラー(106)や押さえローラー(図示せず)などの複数のローラーが配設されている。
【0005】
これら、下部フレーム(103)と上部フレーム(図示せず)に配設されている複数のローラーは、制御装置(105)に配設されたモーター(116)の出力軸に設けられたモーター歯車(図示せず)など複数の歯車(図示せず)により回転駆動される。また、検尺ローラー(106)にはモーター(116)の駆動力は伝達されておらず、搬送される壁紙に従動して回転する構成である。
【0006】
このような構成の自動壁紙糊付機(101)において、糊が塗布される壁紙Aは、作業者により、図柄や材質の異なる色々な種類の壁紙Aの中から、今から内装施工をする部屋の
壁紙原反Bが選択され、壁紙保持用リールに保持され、壁紙原反Bから引き出された壁紙Aは、テンションバー(112)に通され、スリッター(104)のスリッター入り口ステー(113)から、送り出しローラー(107)と検尺ローラー(106)の隙間を通されてセットされる。
【0007】
続いて、作業者により、糊を塗布する壁紙Aの長さと枚数が、表示操作部(115)から入力される。例えば、「設定糊付け長さ」=280cm、「設定枚数」=1枚として入力され、
糊付け実行が指示されると、送り出しローラー(107)など複数のローラーが回転し、搬送される壁紙Aに従動回転する検尺ローラー(106)により検尺信号が生成され、
排出される壁紙Aの「実行糊付け長さ」が逐次算出されて表示され、「実行糊付け長さ」が「設定糊付け長さ」に達したらローラーの回転が停止し、1枚目の壁紙Aの糊付けが終わる。
続いて、同様の操作が行われ2枚目の壁紙Aの糊付けを実行する。
【0008】
そして、内装施工を行う家屋が同一であっても部屋が代わり、別の図柄や材質の壁紙Aを用いる場合は、壁紙保持用リールを原反受け(108)から外して、壁紙原反Bを別の種類のものに交換して、再び壁紙保持用リールを原反受け(108)に装着する。
この時、壁紙保持用リールから外された壁紙原反Bにまだ残量があり、別の部屋でも使用する場合には一時保管しておく。
そして、一時保管されていた壁紙原反Bを使って糊付けを実行する場合に、一時保管されていた壁紙原反Bの残量(残りの長さ)を、作業者が残量カウンタの初期値として制御装置(105)に入力し、検尺ローラー(106)によるクロス検尺のパルスを用いて演算により残量を算出する自動壁紙糊付機は具現化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平8-196967号
【0010】
【文献】実開平6-60466号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、一時保管されていた壁紙原反Bの残量を作業者が忘れている場合がおおいので、
残量の初期値を入力することができない。
この場合、壁紙原反Bの直径や外周を測定して算出する方法もあるが、壁紙Aには、分厚くて柔らかい材質のものや、薄くて固いものがあり、残量長さが同じでも巻きの堅さや厚みの相違により壁紙原反Bの直径は異なるので正確に算出することが困難である。
残量がわからない状態で糊付けを実行している最中に壁紙Aが無くなった場合、
壁紙原反Bに巻かれている壁紙Aの末端は巻き芯Dに接着されているので、送り出しローラー(107)が壁紙Aを引っ張る力に対し、原反受け(108)が壁紙保持用リールを保持する力が抵抗となり逆らい、糊付け実行速度(壁紙Aの搬送速度)が最高速近くの約18m/分付近に設定されていると、壁紙Aが強い力で引っ張られてピンと張った状態から原反受け(108)から外れて、勢いよく飛び跳ねてスリッター(4)に衝突するので危険であり、また、自動壁紙糊付機(101)の歯車が破損する場合もある。制御装置(105)により、モーター(116)のロックが検出されて停止されるのは衝突の直後となる。
壁紙保持用リールが飛び跳ねる方向と強さは、テンションバー(112)をセットしているか、いないかにより変わる。
このような背景から、壁紙原反Bの残量初期値が未知の場合でも、壁紙Aの厚みが未知の場合でも、壁紙原反の残量を算出する機能を有する自動壁紙糊付機が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
壁紙原反に挿通する芯棒と、芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
壁紙保持用リールの側板に、壁紙原反の残量の下限を示す目盛りを設け、側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
カメラモジュールにより撮影した画像データ中に目盛りが存在した時点で、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達したと判定することを特徴とする。
【0013】
壁紙原反に挿通する芯棒と、芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
壁紙保持用リールの側板に、芯棒挿通穴の中心からの距離が既知である目盛りを設け、
側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
カメラモジュールにより撮影した画像データ中の、壁紙原反の端部と目盛りの間の画素数を計数することにより、壁紙を所定の長さ搬送する毎に壁紙原反の半径を算出し、所定の長さを搬送する前の壁紙原反の半径と、所定の長さを搬送した後の壁紙原反の半径との差と、所定の長さ搬送した壁紙の長さから、壁紙の厚みを求め、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量を算出することを特徴とする。
【0014】
壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達した場合に、壁紙の搬送を所定の速度に減速、または停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
壁紙原反に挿通する芯棒と、芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
壁紙保持用リールの側板に、壁紙原反の残量の下限を示す目盛りを設け、側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
カメラモジュールにより撮影した画像データ中に目盛りが存在した時点で、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達したと判定することを特徴とするので、
壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達したことを検知できる。
【0016】
壁紙原反に挿通する芯棒と、芯棒に挿通するための芯棒挿通穴が設けられた側板で構成され、芯棒を挿通させた壁紙原反の左右端を側板により挟み込んで保持する壁紙保持用リールを備え、搬送した壁紙の長さを算出するための検尺部を有し、
壁紙保持用リールに保持された壁紙原反から壁紙を引きだして糊付けを実行しつつ、搬送した壁紙の長さを算出する自動壁紙糊付機であって、
壁紙保持用リールの側板に、芯棒挿通穴の中心からの距離が既知である目盛りを設け、
側板と壁紙原反の端部を撮影するカメラモジュールを設け、
カメラモジュールにより撮影した画像データ中の、壁紙原反の端部と目盛りの間の画素数を計数することにより、壁紙を所定の長さ搬送する毎に壁紙原反の半径を算出し、所定の長さを搬送する前の壁紙原反の半径と、所定の長さを搬送した後の壁紙原反の半径との差と、所定の長さ搬送した壁紙の長さから、壁紙の厚みを求め、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量を算出することを特徴とするので、
壁紙保持用リールに保持されている壁紙原反の初期値が未知で厚みが未知の場合でも、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量を算出できる。
【0017】
壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が下限に達した場合に、壁紙の搬送を所定の速度に減速、または停止することを特徴とするので、
壁紙保持用リールが原反受けから外れることを防止でき、もし外れた場合でも、スリッターなどへの衝突の勢いを軽減することができる。また、自動壁紙糊付機の歯車が破損することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の自動壁紙糊付機の構成を説明するための図であり、壁紙保持用リールを装着する側から見た図である。
図2図2は、本発明の自動壁紙糊付機の機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の自動壁紙糊付機の壁紙保持用リールの側板の図であり、図3(a)は側板の側面図であり、図3(b)は断面図である。
図4図4は、本発明の自動壁紙糊付機の演算部が糊付けを実行しつつ、壁紙原反Bの残量を算出するシーケンスのフローチャートである。
図5図5(a)、図5(b)は、本発明の自動壁紙糊付機の演算部が壁紙原反の残量を算出する式を説明するための図である。
図6図6は、従来技術の自動壁紙糊付機の構成を説明するための図であり、壁紙保持用リールを装着する側から見た図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に本発明の自動壁紙糊付機(1)を示す。図1は壁紙保持用リールを装着する側(自動壁紙糊付機の後方)から見た図である。
自動壁紙糊付機(1)は、脚(2)と下部フレーム(3)と上部フレーム(図示せず)とスリッター(4)と制御装置(5)で構成されている。
スリッター(4)のスリッター上部フレーム(25)には、カメラモジュール(23)が、脱着自在に取り付けられ、カメラモジュール(23)の焦点は、図1の矢印Cに示すように壁紙原反Bの左側を押さえている側板(10)の内側と壁紙原反Bの端部が一画面に撮影できるように調整されている。
下部フレーム(3)には、送り出しローラー(7)、やドクターローラー(図示せず)、糊付けローラー(図示せず)などの複数のローラーが配設されており、また、糊箱(図示せず)とスリッター(4)と制御装置(5)が脱着自在に装着されている。
【0020】
上部フレーム(図示せず)には、検尺ローラー(6)や押さえローラー(図示せず)などの複数のローラーが配設されている。
【0021】
下部フレーム(3)と上部フレーム(図示せず)に配設されている複数のローラーは、
制御装置(5)に配設されたモーター(16)の出力軸に設けられたモーター歯車(図示せず)など複数の歯車(図示せず)により回転駆動される。また、検尺ローラー(6)にはモーター(16)の駆動力は伝達されておらず、搬送される壁紙に従動して回転する構成である。
【0022】
また、本発明の自動壁紙糊付機(1)は糊を塗布する壁紙Aの壁紙原反Bを壁紙保持用リールを用いてセットする方式であり、脚(2)には壁紙保持用リールを装着するための原反受け(8)が設けられており、壁紙保持用リールを構成するものとして、原反芯棒(9)と側板(10)が備えられており、壁紙原反Bの巻き芯D(紙管)に原反芯棒(9)を挿通させて、壁紙原反Bの左右外側から、側板(10)の芯棒挿通穴(26)を挿通させて挟み込んで、側板固定ネジ(11)により側板(10)を原反芯棒(9)に固定することにより、壁紙原反Bが左右にずれないようにする。左右には同形状の側板(10)を用いる。
また、壁紙原反Bの中心の巻き芯D(紙管)が変形している場合に真円にするための矯正用コア(11)が設けられており、この矯正用コア(14)は壁紙原反Bの中心の巻き芯(紙管)の空洞部よりも、原反芯棒(9)が細い場合に、壁紙原反Bが偏芯して回転することを防止したい時にも使用する。
このようにして、壁紙原反Bが保持された壁紙保持用リールは、原反受け(8)の先端の凹状の切り欠きに乗せられる。
【0023】
そして、壁紙原反Bから引き出された壁紙Aは、テンションバー(12)に通され適切なテンションがかけられて、スリッター(4)のスリッター入り口ステー(13)から、送り出しローラー(7)と検尺ローラー(6)の隙間を通されてセットされる。
【0024】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)の制御装置(5)の機能ブロックを図2に示す。
制御装置(5)には、液晶表示器とLEDにより構成される表示操作部(15)が設けられており、作業者が設定した「設定糊付け長さ」や「設定枚数」や「糊付け実行速度」などの、糊付けを実行するための作動条件や、補助機能の設定内容や、高電圧や糊残量などの警告や、糊を塗布して排出した壁紙Aの長さである「実行糊付け長さ」などを表示する。
表示操作部(15)には、自動壁紙糊付機(1)を操作するための複数のキースイッチ(図示せず)が設けられている。また、操作音や通知音を発生するブザー(図示せず)が設けられている。
【0025】
モーター(16)はDCブラシレスモーターであり、内部に実装されたホール素子によりローターの位置を検出して回転方向と回転速度に比例した信号を出力する機能を有している。
【0026】
モーター制御部(17)はモーター(16)から出力される回転方向や回転速度に比例した信号によりモーター(16)を速度制御するもので、壁紙Aの搬送速度を約18m/分から約1m/分までの範囲で加減速を行う。
また、モーター(16)の回転のロックを検知する機能を有し、ロックした場合は直ちにモーター(16)を停止させる機能を有している。
【0027】
記憶部(18)は、演算部(19)が処理を実行する為に必要な変数や、作動条件などのデータや糊付実行レコード等のデーターを記憶するためのRAMとROMである。
【0028】
検尺部(20)は、搬送される壁紙に従動回転する検尺ローラー(6)の回転に比例する検尺信号(21)を生成し、搬送された壁紙Aの長さLを、生成された検尺信号(21)のパルスの数を変数tとして計数し、演算式 L=t×P (Pは1パルスの壁紙移動長=2.5mm)により算出する。
検尺信号(21)は、検尺ローラー(6)に設けられたスリット板(図示せず)とフォトマイクロセンサ(図示せず)により生成され、演算は、制御装置(5)の演算部(19)が行う。
本発明の自動壁紙糊付機(1)では、検尺ローラー(6)が1回転すれば、検尺信号(21)は48パルス生成され、壁紙Aが2.5mm移動すると1パルス発生するように検尺ローラー(6)の外径を定めている。
演算部(19)は、糊付けを実行しつつ、演算により求めた長さLを「実行糊付け長さ」として、表示操作部(15)に表示する。
【0029】
クロス検知部(22)は壁紙Aの有無を検知する。反射式の光電センサ(図示せず)により構成されており、壁紙搬送経路内に壁紙Aが存在する場合には、光電センサ(図示せず)が照射した光線が壁紙Aにより反射されて光電センサ(図示せず)に入射し、光電センサ(図示せず)の出力はONとなり、壁紙Aが存在しない場合はOFFとなるように、自動壁紙糊付機(1)の壁紙搬送経路内に配置されており、出力がONからOFFに変化した時点が壁紙Aの末端であると判定するものである。
【0030】
カメラモジュール(23)は、解像度が1600×1200(200万画素)で、
画素サイズは2.2×2.2μmで、焦点距離は変更可能で、画像の大きさ(センサ幅)は1600×2.2μm=3.52mmの仕様であり、画像データ中の1画素は0.04mmである。
また、カメラモジュール(23)は、システムクロックと垂直同期信号と水平同期信号などに同期して、撮影している画像データを外部に送信する機能を有するものであり、画像信号ケーブル(24)により演算部(19)と接続されている。
【0031】
演算部(19)は、主にワンチップマイコンからなり、予め定められたシーケンスを実行することにより、自動壁紙糊付機(1)を制御するものであり、検尺部(20)により生成される検尺信号(21)を計数して搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。また、表示操作部(15)やモーター制御部(17)などを制御する機能を有している。
また、カメラモジュール(23)を制御し、カメラモジュール(23)の画像データーを受信する機能を有している。
【0032】
続いて、図3を用いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)の壁紙保持用リールの側板(10)に設けられた目盛りを説明する。
側板(10)には、円形の、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)が設けらており、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)の円の中心は、芯棒挿通穴(26)の中心と同一である。
また、目盛り(27a)は芯棒挿通穴(26)の中心からの半径は90mmである。
また、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)の間隔は10mmである。
本発明では、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)の、芯棒挿通穴(26)の中心からの半径を記憶部(18)に記憶させている。
【0033】
続いて、本発明の自動壁紙糊付機(1)の演算部(19)が、壁紙保持用リールに保持された壁紙原反Bから壁紙Aを引き出して糊付けを実行しつつ、壁紙原反Bの残量を算出するシーケンスを図4のフローチャートを用いて説明する。
処理MTP1では、作業者により、表示操作部(15)の複数のキースイッチ(図示せず)から、これから糊を付ける壁紙Aの「設定糊付け長さ」や「設定枚数」や「糊付け実行速度(糊付け実行中に壁紙Aを搬送する速度)」などの作動条件が設定され、演算部(19)は、「設定糊付け長さ」を変数Jに記憶する。
スタートスイッチ(図示せず)が押されると、演算部(19)は処理を実行するために必要なパラメータの初期化を行い、処理MTP3で使用するパラメータである、パラメータt、パラメータL、パラメータs、パラメータMも初期化する。
【0034】
糊付けを1枚以上行っていて、処理MTP7を実行済みで、残量LZの算出が行われている場合は、残量LZと「設定糊付け長さ」を比較し、残量LZ<「設定糊付け長さ」であれば表示操作部(15)から作業者に対し警告を発する。
【0035】
また、処理MTP1では、カメラモジュール(23)の初期設定を行う。壁紙原反Bには幅の異なるものあり、壁紙保持用リールに中央基準にセットされるので、セットされる壁紙原反Bの幅の相違により側板(10)のセット位置が異なるので、カメラモジュール(51)の焦点や撮影する画像データのキャリブレーション(更正)を実行する。
【0036】
処理MTP2では、演算部(19)は、糊付け実行中の壁紙Aを搬送する速度が、作業者により設定された「糊付け実行速度(糊付け実行中に壁紙Aを搬送する速度)」になる速度でモーター(16)を回転させ、壁紙Aを搬送して糊付けを開始する。
【0037】
処理MTP3では、演算部(19)は、検尺部(20)が生成する検尺信号(21)を計数し、糊を付けて搬送した壁紙Aの「実行糊付け長さ」を算出する。
第1のカウンタとしての、
パラメータtを、t←t+1として、検尺信号(21)を1つ計数する毎に加算し、
「実行糊付け長さ」Lを、L=t×P、(Pは検尺信号(21)を1つ計数した場合の壁紙Aの移動距離(検尺ローラー(6)の直径に基づき定めている定数))として求める。
また、残量LZを算出するタイミングを定めるための、第2のカウンタとしての、
パラメータsを、s←s+1として、検尺信号(21)を1つ計数する毎に加算し、第2のカウンタsに対応する長さMを、 M=s×Pとして求める。
【0038】
処理MTP4では、演算部(19)は、長さMが所定の長さに到達しているかどうかを判定する。長さMが100cm以上であれば処理MTP7を実行し、長さMが100cm以下であれば処理MTP5を実行する。本発明の自動壁紙糊付機(1)では、長さMを100cmと定めており、壁紙Aを100cm搬送する毎に壁紙原反Bの外径を算出するようにしている。
【0039】
処理MTP5では、演算部(19)は、「実行糊付け長さ」Lが「設定糊付け長さ」Jに達したかどうかを判定し、L=Jであれば、処理MTP6を実行する。
【0040】
処理MTP6では、演算部(19)はモーター(16)を停止し、1枚の壁紙Aの糊付け実行を終える。
【0041】
処理MTP7では、演算部(19)は、後述する演算式により壁紙Aの残量を算出する。壁紙Aを100cm搬送した分の、壁紙原反Bの半径の減少を、画像データから求めて、壁紙Aの残量を算出する。
また、壁紙原反Bの外径が目盛り(27a)よりも大きくて、いずれの目盛りも認識できない場合は、壁紙Aの残量が十分にあるという意味で、残量LZ=50mとして処理MTP8へ進む。
【0042】
処理MTP8では、残量LZは所定の範囲内であるか否かを判定し、
残量LZ<=2.0mの場合は、演算部(19)は「糊付け実行速度(糊付け実行中に壁紙Aを搬送する速度)」を約4m/分の速度まで減速し、処理MTP5へ進む。ただし、作業者により設定された「糊付け実行速度」が約4m/分以下であれば「糊付け実行速度」の変更は行わない。
残量LZ>2.0mの場合は、演算部(19)は「糊付け実行速度」の変更は行わず、処理MTP5へ進む。
残量LZ=0mの場合は、演算部(19)を処理MTP6へ進み、モーター(16)を停止させる。
【0043】
また、処理MTP1から処理MTP8の、いずれを実行中でも、演算部(19)はモーター(16)のロックを検知した場合には直ちにモーター(16)を停止させる。
【0044】
本発明では、残量LZの算出に誤差が生じ、算出した残量LZがまだ0mにはなっていないのに、実際の壁紙Aの残量が0である場合もあり得るので、壁紙保持用リールに保持されている壁紙の残量が予め定めた所定の長さに達した場合に、壁紙の搬送速度を所定の速度に減速するようにしている。
例えば、算出した残量LZ<=2.0mとなれば、「糊付け実行速度」を約4m/分の速度まで減速するようにしている。「糊付け実行速度」が、約4m/分程度であれば、壁紙保持用リールが原反受け(8)から外れることを防止でき、演算部(19)がモーター(16)のロックを検知して停止させることができる。もし外れた場合でも、スリッター(4)などへの衝突の勢いを軽減することができる。
【0045】
処理MTP7で行う壁紙Aの残量算出の式を図5を用いて説明する。処理MTP7は、M=100cm毎に実行されるので、壁紙Aの残量は、壁紙Aを所定の長さ100cm搬送した分の、壁紙原反Bの半径の減少を、画像データから求めて算出する。
壁紙原反Bの半径の減少した面積は、壁紙Aを100cm搬送した壁紙の厚みの面積と等しいので、式(1)に表す。
壁紙原反Bの半径をR(M)、壁紙Aの残量をG(M)、壁紙の厚みをa、
壁紙Aを搬送する前をM=0、壁紙Aを100cm搬送した後をM=1とすると、
壁紙原反Bの半径の減少した面積=壁紙Aを100cm搬送した壁紙の厚みの面積より
πR(0)-πR(1)=(G(0)-G(1))×a ・・・(1)
実行糊付け長さ(G(0)-G(1))を100cm=1.0mとし、
画像データ中の、側板10の目盛27aと壁紙原反の端部の間の計数した画素数に0.04mmをかけることにより(1画素は0.04mmとなるようにカメラモジュール(23)を配置)、
R(0)=0.1400m、R(1)=0.1388mを求め、
壁紙の厚みaを計算する。
π×0.1400-π×0.1388=1.0×a
a=0.001m=1.0mm。
壁紙の厚みaが分かると、壁紙原反Bの半径R(M)と紙管Dの半径を使って、壁紙Aの残量を式(2)で求めることができる。
残量LZ×a= πR(M)-πd より
残量LZ= πR(M)-πd となる。・・・(2)

紙管の半径を0.75inch=0.75×25.4×10-3mとすると
残量LZ=πR(M)-π(0.75×25.4×10-3)
0.001
となり、
R(0)は所定の長さを搬送する前の壁紙原反の半径であり、R(1)は所定の長さを搬送した後の壁紙原反の半径であり、G(0)-G(1)は、所定の長さ搬送した壁紙の長さであるから、壁紙原反Bの半径を画像データにより、残量を算出することはできる。
【0046】
また、本発明の自動壁紙糊付機(1)では、処理MTP8で判定する残量LZの下限の初期設定値として、残量LZ<=2.0mの場合に、搬送速度を約4m/分の速度まで減速するようにしているが、判定する残量LZの下限と減速する搬送速度は、表示操作部(15)から変更できるものである。
また、本発明の自動壁紙糊付機(1)の残量LZの下限とは、実際の壁紙Aの残量が無くなる少し前の状態(余長を残した状態)であり、制御の目安とする値である。
【0047】
また、本発明の自動壁紙糊付機(1)は、糊付けを実行しつつ、演算により算出した残量LZを表示操作部(15)に表示することにより作業者に知らせ、また、残量LZよりも長い「設定糊付け長さ」が設定された場合には警告を発する機能を有しており、1枚の壁紙Aの糊付け途中で壁紙Aが無くなって、やり直すことを防止することができるものである。
【0048】
本発明の図3に示す目盛りは円形の目盛りであるが、これを途切れた円弧状の目盛りとした場合でも、点状の目盛りとした場合で同様の効果は得られるが、この場合、回転している側板から目盛りを注出することになるので画像処理のソフトに負荷がかかり、また、作業者が目視した時に認識し難いものとなる。
【0049】
また、本発明の自動壁紙糊付機(1)では、演算による残量の算出を行わず、壁紙原反Bの残量がほとんど無くなってきていることだけを検知する方法で糊付けを実行することもできる。
この方法で用いる側板(図示せず)は、図3に示す側板(10)の目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)を削除し、その代わりに、壁紙原反Bの残量の下限を示す目盛りとして、残量が無くなる時の壁紙原反Bの太さの位置に、点状の目盛りを1つ設けるものである。
この下限を示す目盛りは、壁紙原反Bの残量が十分にある時には隠れているのでカメラモジュール(23)が撮影した画像データ中には存在しないが、糊付けを実行し、壁紙原反Bが細くなってくると存在するので、存在した時点で残量LZ=0と近似する方法である。この方法の場合でも残量が下限に達したと判定でき、搬送速度を減速させ、壁紙保持用リールがスリッター(4)に衝突することを防止、あるいは衝突の勢いを軽減する効果は得られる。また、自動壁紙糊付機(1)の歯車が破損することを防止できる。
【0050】
半径約30mm離れた位置に、下限を示す目盛りを設ける理由は、巻き芯Dは標準的には1.5インチサイズが使用されており、標準的な厚みの壁紙Aの残量が約2mの時の壁紙原反Bの巻きの太さは、半径が約30mmとなるので、この目盛りが画像データ中に存在すれば、壁紙原反Bの巻き残量はほとんど無い状態であるからである。
【0051】
また、図3に示す側板(10)の目盛り(27d)を芯棒挿通穴(26)の中心からの半径が約30mmの円とし、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)を削除した側板(図示せず)を用いても効果は得られる。
【0052】
また、壁紙原反Bの残量が下限に達した時に搬送を停止させる方法でも、壁紙保持用リールがスリッター(4)に衝突することを防止できる。本発明の自動壁紙糊付機(1)では、壁紙Aの節約のため壁紙原反Bの最後まで使いきりたいので、停止させないで減速させて最後まで使いきるようにしている。
【0053】
図3に示す側板(10)は白色の樹脂で作られ、目盛り(27a)と目盛り(27b)と目盛り(27c)と目盛り(27d)の部分は溝部に黒色インクで描いたものである。
【符号の説明】
【0054】
1 自動壁紙糊付機
2 脚
3 下部フレーム
4 スリッター
5 制御装置
6 検尺ローラー
7 送り出しローラー
8 原反受け
9 原反芯棒
10 側板
11 側板固定ネジ
12 テンションバー
13 スリッター入り口ステー
14 矯正用コア
15 表示操作部
16 モーター
17 モーター制御部
18 記憶部
19 演算部
20 検尺部
21 検尺信号
22 クロス検知部
23 カメラモジュール
24 画像信号ケーブル
25 スリッター上部フレーム
26 芯棒挿通穴
27a目盛り
27b目盛り
27c目盛り
27d目盛り

101 自動壁紙糊付機
102 脚
103 下部フレーム
104 スリッター
105 制御装置
106 検尺ローラー
107 送り出しローラー
108 原反受け
109 原反芯棒
110 側板
111 側板固定ネジ
112 テンションバー
113 スリッター入り口ステー
114 矯正用コア
115 表示操作部
116 モーター
125 スリッター上部フレーム

A 壁紙
B 壁紙原反
C カメラモジュール焦点光軸
D 巻き芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6