(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】飛行管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20220228BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220228BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220228BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220228BHJP
B64D 25/00 20060101ALI20220228BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220228BHJP
B64D 47/02 20060101ALI20220228BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G08G1/16 A
G08G1/09 F
B64C39/02
B64D25/00
B64D27/24
B64D47/02
G08B31/00 Z
(21)【出願番号】P 2018045743
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2020-03-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】立岩 正之
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/043284(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068832(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/006421(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221560(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355469(US,A1)
【文献】国際公開第2017/033976(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/081898(WO,A1)
【文献】特開2016-210302(JP,A)
【文献】特許第6288901(JP,B2)
【文献】特許第6020872(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/04
G08G 1/16
G08G 1/09
B64C 39/02
B64D 25/00
B64D 27/24
B64D 47/02
G08B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路上を飛行する飛行装置と、前記飛行装置を管理する飛行管理装置と、を備える飛行管理システムであって、
前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する特定部と、
前記飛行装置が落下する可能性がある場合に、前記飛行装置が飛行中の位置に対応する位置を走行中の前記車両に対して警報情報を送信するよう制御する通知部と、
を有し、
前記通知部は、前記飛行装置の落下後にも継続して前記警報情報を送信するよう制御する飛行管理システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記飛行装置が落下する前に送信する前記警報情報と、前記飛行装置が落下した後に送信する前記警報情報とを異なる情報にする、
請求項
1に記載の飛行管理システム。
【請求項3】
前記飛行装置は、前記飛行装置が落下する可能性がある場合に、飛行中の位置を示す位置情報とともに、落下する可能性があることを示す通知情報を前記飛行管理装置に送信する通信部を有し、
前記飛行管理装置は前記通知部を有し、
前記通知部は、受信した前記通知情報に含まれる前記位置情報に対応する位置を走行中の前記車両に対して警報情報を送信するよう制御する、
請求項
1又は
2に記載の飛行管理システム。
【請求項4】
前記特定部は、風速及び風の向きに基づいて、前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の飛行管理システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記飛行装置が落下する可能性がある道路を管理する機関を介して前記警報情報を送信する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の飛行管理システム。
【請求項6】
前記通知部は、前記飛行装置に電波が届く可能性がある携帯電話網の基地局を介して前
記車両に対して前記警報情報を送信する、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の飛行管理システム。
【請求項7】
前記飛行管理装置は、前記飛行装置が落下する蓋然性の高さごとに異なる態様の画像を地図に重畳して表示部に表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の飛行管理システム。
【請求項8】
前記特定部は、前記飛行装置を駆動させるための電力を供給する電池の残量に基づいて前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する、
請求項1
から7のいずれか一項に記載の飛行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置を管理するための飛行管理システム及び飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行装置が落下回避領域に接近している場合に、飛行装置の飛行速度を上昇させるように制御することで、落下回避領域に落下する確率を下げる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を用いることで飛行装置が落下する確率を下げることができるとしても、落下しないとは限らない。飛行装置が道路上を飛行している間に落下すると、道路を走行中の車両が破壊されたり、車両内の人が死傷したりするおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、飛行装置が車両に落下する確率を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の飛行管理システムは、車両が走行する道路上を飛行する飛行装置と、前記飛行装置を管理する飛行管理装置と、を備え、前記飛行装置は、前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する特定部と、前記飛行装置が落下する可能性がある場合に、飛行中の位置を示す位置情報とともに、落下する可能性があることを示す通知情報を前記飛行管理装置に送信する通信部と、を有し、前記飛行管理装置は、前記通知情報を受信した場合に、前記位置情報に対応する位置を走行中の前記車両に対して警報情報を送信する通知部を有する。
【0007】
前記特定部は、例えば、前記飛行装置を駆動させるための電力を供給する電池の残量に基づいて前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する。前記特定部は、風速及び風の向きに基づいて、前記飛行装置が落下する可能性があることを特定してもよい。
【0008】
前記飛行管理装置は、前記飛行装置の飛行速度と飛行方向とに基づいて、前記飛行装置が落下する可能性がある要注意エリアを推定する飛行管理装置推定部をさらに有し、前記通知部は、前記飛行管理装置推定部が推定した前記要注意エリア内を走行中の前記車両に対して前記警報情報を送信してもよい。
【0009】
前記飛行装置は、前記飛行装置の飛行速度と飛行方向とに基づいて、前記飛行装置が落下する可能性がある要注意エリアを推定する飛行装置推定部をさらに有し、前記通信部は、前記要注意エリアを示すエリア情報を含む通知情報を飛行管理装置に送信し、前記通知部は、前記エリア情報が示す前記要注意エリア内を走行中の前記車両に対して前記警報情報を送信してもよい。
【0010】
前記通知部は、前記飛行装置が落下する可能性がある道路を管理する機関に前記警報情報を送信してもよい。前記通知部は、前記飛行装置に電波が届く可能性がある携帯電話網の基地局を介して前記車両に対して前記警報情報を送信してもよい。前記通知部は、前記飛行装置の落下後にも継続して前記警報情報を送信してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様の飛行装置は、車両が走行する道路上を飛行する飛行装置であって、前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する特定部と、前記飛行装置が落下する可能性がある場合に、前記道路を走行する前記車両に向けて警報情報を出力する出力部と、を有する。
【0012】
前記特定部は、例えば、前記飛行装置を駆動させるための電力を供給する電池の残量に基づいて前記飛行装置が落下する可能性があることを特定する。前記特定部は、風速及び風の向きに基づいて前記飛行装置が落下する可能性があることを特定してもよい。
【0013】
前記飛行装置が落下する可能性がある要注意エリアを推定する推定部をさらに有し、前記出力部は、前記要注意エリアを走行中の前記車両に向けて警報情報を出力してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記警報情報として、前記要注意エリアを走行中の前記車両に向けて光を照射してもよい。前記出力部は、前記警報情報として、前記飛行装置が落下する蓋然性の高さに応じた大きさの信号を出力してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飛行装置が車両に落下する確率を低減させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】飛行管理システムの概要を説明するための図である。
【
図4】飛行管理システムにおける処理シーケンスを示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る飛行装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
[飛行管理システムSの概要]
図1は、飛行管理システムSの概要を説明するための図である。飛行管理システムSは、飛行装置1が落下する可能性がある場合に、飛行装置1が落下する可能性があるエリア内の道路を走行中の車両に対して警告するためのシステムである。飛行装置1は、例えば無人で飛行が可能なドローンである。
【0018】
飛行管理システムSは、飛行装置1と、飛行管理装置2とを備える。飛行管理装置2は、飛行装置1の飛行方向及び飛行速度等を管理するためのサーバであり、飛行装置1の飛行を管理する事業者により使用される。道路情報提供装置3は、道路を管理する事業者が使用するサーバであり、道路情報提供装置3は、道路に設置されている道路情報発信装置5を介して車両に各種の情報を送信する。
【0019】
飛行装置1は、例えば携帯電話網の基地局4を介して、定期的に飛行位置を示す位置情報を飛行管理装置2に送信する。飛行装置1は、自身が落下する蓋然性の高さを監視し、落下する蓋然性が所定の値以上であると判定した場合に、落下する可能性があることを示す通知情報を飛行管理装置2に送信する。
【0020】
飛行管理装置2は、飛行装置1が落下する可能性があるということを特定した場合に、道路情報提供装置3を介して警報情報を車両に通知する。例えば、飛行管理装置2は、飛行装置1から通知情報を受信すると、飛行装置1が落下する可能性があることを示す警報情報を道路情報提供装置3に送信する。飛行管理装置2は、例えば、飛行装置1が落下する可能性がある位置、及び各位置に飛行装置1が落下する蓋然性の高さを含む警報情報を道路情報提供装置3に通知する。
【0021】
道路情報提供装置3は、飛行管理装置2から警報情報を受信すると、落下する可能性がある位置を走行している車両に対して警報情報を通知する。警報情報の通知を受けた車両においては、警報情報を含む音声を出力したり、カーナビゲーション装置に表示したりすることにより、運転手に警告する。車両が自動運転機能を有する場合、警報情報を受けた車両は、他の自動運転車両と連動して、飛行装置1が落下する蓋然性が高い位置から離れるように進路を変更する。
【0022】
飛行管理システムSは、このように、飛行装置1が落下する可能性があるエリアを走行している車両に対して警報情報を通知するので、飛行装置1が落下した場合に、飛行装置1が車両に衝突してしまい車両及び車両内の乗員に被害が及ぶことを防止することができる。
以下、飛行装置1及び飛行管理装置2の構成について詳細に説明する。
【0023】
[飛行装置1の構成]
図2は、飛行装置1の構成を示す図である。飛行装置1は、位置検出部10と、電池11と、風速計12と、通信部13と、飛行機構14と、記憶部15と、制御部16とを有する。制御部16は、飛行制御部161と、特定部162と、通信制御部163とを有する。
【0024】
位置検出部10は、飛行装置1の位置を検出する。位置検出部10は、例えばGPS(Global Positioning System)衛星が送信する電波を受信し、受信した電波に基づいて飛行装置1の緯度・経度を特定する。位置検出部10は、特定した緯度・経度を示す位置情報を特定部162に通知する。
【0025】
電池11は、飛行装置1を駆動させるための電力を供給する。電池11は、充電可能な電池であり、例えばリチウムイオン電池である。電池11は、飛行装置1の各部に電力を供給する。電池11が出力する電圧は特定部162により監視される。
【0026】
風速計12は、周辺の風の強さ及び風の向きを計測する。風速計12は、計測した風の強さ及び風の向きを示す情報を特定部162に通知する。風速計12は、計測した風の強さ及び風の向きを示す情報を飛行制御部161に通知してもよい。
【0027】
通信部13は、基地局4を介して飛行管理装置2との間でデータを送受信するための通信インターフェースである。通信部13は、携帯電話網の無線通信回線にアクセスするための無線通信コントローラを有する。
【0028】
飛行機構14は、プロペラ、プロペラを回転させるモーター及び方向舵等を含む。飛行機構14は、飛行制御部161の制御に基づいてこれらの機構を動作させることで、飛行速度及び飛行方向を変化させることができる。
【0029】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部15は、制御部16が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部15は、制御部16のワークメモリとして使用され、例えば電池11の電圧の履歴を示す情報、及び風速計12が計測した風の強さ及び向きに関する情報を一時的に記憶する。
【0030】
制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部16は、記憶部15に記憶されたプログラムを実行することにより、飛行制御部161、特定部162及び通信制御部163として機能する。
【0031】
飛行制御部161は、飛行機構14を動作させることにより、飛行装置1の飛行方向及び飛行速度を制御する。飛行制御部161は、例えば風速計12から取得した風の強さ及び向きに基づいて飛行機構14を制御することにより飛行方向及び飛行速度を変化させる。
【0032】
特定部162は、飛行装置1が落下する可能性があることを特定する。特定部162は、例えば、飛行装置1を駆動させるための電力を供給する電池の残量に基づいて、飛行装置1が落下する可能性があることを特定する。特定部162は、例えば、記憶部15に記憶された電池11の出力電圧と電池残量との関係を参照することにより、電池11の出力電圧に基づいて電池11の残量を特定する。特定部162は、現時点での消費電力を測定し、電池11の残量と消費電力との関係に基づいて飛行可能時間を算出する。電池11は、飛行可能時間が、飛行装置1が着陸可能な場所に到達するまでに要する時間未満である場合に、落下する可能性があると判定する。
【0033】
特定部162は、風速及び風の向きに基づいて、飛行装置1が落下する可能性があることを特定してもよい。特定部162は、記憶部15に記憶された、飛行可能な風速及び風の向きを示す情報を参照し、風速計12から入力された現在の風速及び風の向きが、飛行装置1が飛行可能な風速及び風の向きの範囲に入っていない場合に、飛行装置1が落下する可能性があることを特定する。特定部162は、飛行装置1が落下する可能性があることを特定した場合に、飛行装置1が落下する可能性があることを通信制御部163に通知する。なお、飛行管理装置2が気象情報配信サービスから定期的に風速及び風の向きを示す情報を取得して、飛行装置1の現在位置における風速及び風の向きを予測し、特定部162は、飛行管理装置2が予測した風速及び風の向きを示す情報を取得し、取得した情報に基づいて、飛行装置1が落下する可能性があることを特定してもよい。
【0034】
通信制御部163は、通信部13を介して、飛行管理装置2との間で各種の情報を送受信する。通信制御部163は、位置検出部10から通知された飛行装置1の位置を示す位置情報とともに、落下する可能性があることを示す通知情報を飛行管理装置2に送信する。通信制御部163は、飛行装置1に搭載されているカメラ(不図示)が生成した撮像画像を飛行管理装置2に送信してもよい。
【0035】
[飛行管理装置2の構成]
図3は、飛行管理装置2の構成を示す図である。飛行管理装置2は、通信部21と、表示部22と、操作部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。制御部25は、推定部251と、表示制御部252と、警報情報作成部253と、通知部254とを有する。
【0036】
通信部21は、基地局4を介して飛行装置1との間で通信するための通信インターフェースである。通信部21は、例えばインターネットに接続するためのLAN(Local Area Network)コントローラを有する。
【0037】
表示部22は、各種の情報を表示するディスプレイである。表示部22は、例えば飛行装置1から受信した撮像画像を表示したり、飛行装置1が飛行中の位置を地図に表示したりする。
【0038】
操作部23は、飛行管理装置2を用いて飛行装置1を管理する事業者の担当者からの操作を受け付ける操作用デバイスであり、例えばキーボード、マウス又はタッチパネルである。操作部23は、操作内容に基づく信号を警報情報作成部253に入力する。
【0039】
記憶部24は、ROM、RAM及びハードディスクを含む記憶媒体である。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部24は、制御部25のワークメモリとして使用され、例えば飛行管理装置2から受信した撮像画像及び位置情報を一時的に記憶する。また、記憶部24は、飛行装置1が落下する可能性がある場合に車両に通知する警報情報を記憶している。
【0040】
制御部25は、例えばCPUであり、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、推定部251、表示制御部252、警報情報作成部253及び通知部254として機能する。
【0041】
推定部251は、通信部21を介して飛行管理装置2から通知された飛行装置1の飛行速度と飛行方向とに基づいて、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを推定する。推定部251は、例えば、落下する可能性があることを示す通知情報を受信した時点における飛行位置を基準として、現在の飛行速度で飛行を継続した場合に高度がゼロになると想定される位置を、落下の蓋然性が最も高い位置として推定する。そして、推定部251は、落下の蓋然性が最も高い位置から離れるにつれて、落下の蓋然性を低くする。推定部251は、現在の飛行速度から徐々に速度が低下すると仮定して、低下した速度に基づいて、飛行装置1の高度がゼロになると想定される位置を推定してもよい。
【0042】
推定部251は、飛行管理装置2から受信した電池の残量に基づいて飛行を継続できる時間を推定し、現在の飛行速度で推定した時間だけ飛行を継続した場合に到達可能な位置を、落下の蓋然性が最も高い位置と推定してもよい。推定部251は、飛行管理装置2から受信した飛行可能時間、飛行速度及び飛行方向に基づいて、落下の蓋然性が最も高い位置を推定してもよい。
【0043】
表示制御部252は、推定部251が推定した結果を表示部22に表示させる。表示制御部252は、例えば、飛行装置1が落下する位置であると推定部251が推定した位置を地図に重畳して表示部22に表示させる。表示制御部252は、飛行装置1が落下する蓋然性の高さごとに異なる態様の画像を地図に重畳して表示部22に表示させてもよい。飛行管理装置2を使用する飛行装置1の管理者は、表示部22に表示された画像を視認することで、飛行装置1が落下する可能性がある位置を把握することができる。
【0044】
警報情報作成部253は、車両に通知する警報情報を作成する。警報情報作成部253は、例えば、飛行管理装置2から落下の可能性がある旨の通知を受けた時点で、記憶部24に記憶された警報情報を読み出して、読み出した警報情報を通知部254に通知する。警報情報作成部253は、推定部251が推定した要注意エリアを示す情報を含む警報情報を作成したり、推定部251が推定した蓋然性の高さを位置に関連付けた警報情報を作成したりしてもよい。
【0045】
通知部254は、通信部21が、飛行装置1が落下する可能性があることを示す通知情報を飛行装置1から受信した場合に、飛行装置1から受信した位置情報に対応する位置を走行中の車両に対して警報情報を送信する。飛行装置1から受信した位置情報に対応する位置は、当該位置の周辺を飛行中の飛行装置1が落下する可能性がある位置である。警報情報を送信する対象とする車両の位置は、推定部251が推定した、飛行装置1が落下する蓋然性が予め管理者により設定された確率よりも高い位置であってもよい。通知部254は、例えば、推定部251が推定した要注意エリア内を走行中の車両に対して警報情報を送信する。
【0046】
通知部254は、外部装置を介して警報情報を送信してもよい。通知部254は、例えば、飛行装置1が上空を飛行中の道路を管理する機関が使用する道路情報提供装置3に警報情報を送信する。道路情報提供装置3は、例えば、飛行装置1から受信した位置情報に対応する道路を走行中の車両に各種の情報を提供するサーバである。道路情報提供装置3は、例えばFM多重放送、高速道路に設置されたビーコン(電波ビーコン又は光ビーコン)発信装置等の道路情報発信装置5から、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを走行中の車両が受信可能な警報情報を送信する。
【0047】
通知部254は、飛行装置1に電波が届く可能性がある携帯電話網の基地局4を介して車両に対して警報情報を送信してもよい。通知部254は、例えば携帯電話事業者のサーバに対して、要注意エリアの位置を示す情報を送信し、携帯電話事業者のサーバが、要注意エリアに届く電波を送信する基地局4に警報情報を送信させる。携帯電話事業者のサーバは、要注意エリアに滞在する携帯端末を指定して警報情報を送信してもよい。
【0048】
通知部254は、要注意エリアを示す情報と、各要注意エリアに飛行装置1が落下する蓋然性を示す情報とを関連付けて、道路情報提供装置3又は携帯電話事業者のサーバ等の外部装置に送信してもよい。この場合、外部装置は、要注意エリアに対応する落下の蓋然性の高さによって異なる内容の警報情報を送信することにより、落下の蓋然性が高いエリアを走行中の車両の運転手が、落下の蓋然性が低いエリアを走行中の車両の運転手よりも危険性を認識しやすくなるようにしてもよい。
【0049】
なお、通知部254は、飛行装置1が落下する可能性がある間だけでなく、飛行装置1が落下した後にも継続して警報情報を送信してもよい。このようにすることで、落下した飛行装置1に車両が衝突する確率を低減することができる。通知部254は、飛行装置1が落下する前に送信する警報情報と、飛行装置1が落下した後に送信する警報情報とを異なる情報にしてもよい。このようにすることで、飛行装置1が落下する前か飛行装置1が落下した後かに応じて、車両又は車両の運転手が最適な対応をできるようにすることが可能になる。
【0050】
[飛行管理システムSにおける処理シーケンス]
図4は、飛行管理システムSにおける処理シーケンスを示す図である。
図4に示すシーケンス図は、飛行装置1が、落下する可能性があることを特定した時点から開始している(S1)。飛行装置1は、落下する可能性があることを特定すると、飛行管理装置2に対して、落下する可能性があることを示す通知情報を送信する。
【0051】
飛行管理装置2の推定部251は、通知情報を受信すると、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを推定する。続いて、警報情報作成部253は、要注意エリアを走行中の車両に対する警報情報を作成し(S3)、通知部254は警報情報を道路情報提供装置3に送信する。道路情報提供装置3は、要注意エリアを走行中の車両に対して警報情報を送信する。
【0052】
[変形例]
上記の説明においては、推定部251が、飛行装置1の飛行速度と飛行方向とに基づいて、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを推定したが、飛行装置1の特定部162が推定部として機能して、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを推定してもよい。この場合、通信制御部163は、通信部13を介して、要注意エリアを示すエリア情報を含む通知情報を飛行管理装置2に送信する。
【0053】
また、上記の説明においては、飛行装置1の特定部162が、落下の可能性があることを特定したが、飛行管理装置2が、飛行装置1が落下する可能性があることを特定してもよい。例えば、飛行管理装置2は、飛行装置1から電池の残量を示す情報、又は飛行速度若しくは飛行高度等のように飛行状態を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて落下の可能性があることを特定してもよい。
【0054】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る飛行装置100の構成を示す図である。飛行装置100は、出力部17及び出力制御部164を有する点で飛行装置1と異なる。出力部17は、飛行装置1が落下する可能性がある要注意エリアを走行中の車両又は車両の運転手に対して警報情報を発する。出力部17は、例えば、警報情報を表示するディスプレイ、警報情報を含む電波を送信する送信機、警報情報を含む音声を出力するスピーカー、又は警報情報としての光を発する発光機等の少なくともいずれかを含む。出力部17は、例えば、警報情報として、要注意エリアを走行中の車両に向けて光を照射することにより、車両の運転手に注意を促す。
【0055】
出力部17は、警報情報として所定の周波数の警報信号(例えば無線信号)を出力してもよい。所定の周波数は、警報情報を受信するための周波数として予め定められた、車両が常時受信することができる周波数である。出力部17は、飛行装置1が落下する蓋然性の高さに応じた大きさの警報信号を出力してもよい。このようにすることで、落下する可能性が高い飛行装置1が車両に近づいている場合に、車両又は車両の運転手の携帯端末が大きな警報信号を受けることができるので、車両又は車両の運転手が、落下する蓋然性が高い飛行装置1が近づいていることを認識することができる。
【0056】
このように、飛行装置100が落下する可能性がある場合に、飛行管理装置2が警報情報を送信するのではなく、飛行装置100が直接警報情報を出力することで、飛行管理装置2との間の通信回線の状態が悪い場合であっても、飛行装置100が落下する可能性があることを速やかに車両に通知することができる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0058】
1 飛行装置
2 飛行管理装置
3 道路情報提供装置
4 基地局
5 道路情報発信装置
10 位置検出部
11 電池
12 風速計
13 通信部
14 飛行機構
15 記憶部
16 制御部
17 出力部
21 通信部
22 表示部
23 操作部
24 記憶部
25 制御部
100 飛行装置
161 飛行制御部
162 特定部
163 通信制御部
164 出力制御部
251 推定部
252 表示制御部
253 警報情報作成部
254 通知部