(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】パワーアシスト型昇降装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B66F 19/00 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
B66F19/00 J
(21)【出願番号】P 2018063727
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 能孝
(72)【発明者】
【氏名】迫田 典明
(72)【発明者】
【氏名】鴫畑 正
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-091439(JP,A)
【文献】特開平05-163000(JP,A)
【文献】特開2007-314290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 19/00
B66D 3/18
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮することにより、吊り下げられた対象物を昇降させるエアシリンダと、
前記エアシリンダと前記対象物との間に設けられ、その下方に連なる物の荷重を検出する荷重検出器と、
前記エアシリンダへの空気圧供給制御を行う空圧制御装置と、
を備えるパワーアシスト型昇降装置であって、
前記空圧制御装置は、前記エアシリンダへの空気圧供給制御として、
前記荷重検出器が、所定の下限閾値から所定の上限閾値までの範囲内の荷重を検出しているとき、前記エアシリンダが、所定の第1の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より小さい所定の第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より大きい所定の第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給
し、
前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、当該荷重が前記上限閾値以下に設定された所定の下方アシスト解除閾値以下に低下するまでの間、前記エアシリンダが、前記第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、当該荷重が前記下限閾値以上に設定された所定の上方アシスト解除閾値以上に上昇するまでの間、前記エアシリンダが、前記第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給する、
ことを特徴とするパワーアシスト型昇降装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のパワーアシスト型昇降装置において、
前記空圧制御装置は、
前記第1の引き上げ力、前記第2の引き上げ力および前記第3の引き上げ力を所定操作によりそれぞれ設定する引き上げ力設定手段と、
前記下限閾値および前記上限閾値を所定操作によりそれぞれ設定する閾値設定手段と、
を有する、
ことを特徴とするパワーアシスト型昇降装置。
【請求項3】
伸縮することにより、吊り下げられた対象物を昇降させるエアシリンダと、
前記エアシリンダと前記対象物との間に設けられ、その下方に連なる物の荷重を検出する荷重検出器と、
前記エアシリンダへの空気圧供給制御を行う空圧制御装置と、
を備え、
前記空圧制御装置は、前記エアシリンダへの空気圧供給制御として、
前記荷重検出器が、所定の下限閾値から所定の上限閾値までの範囲内の荷重を検出しているとき、前記エアシリンダが、所定の第1の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より小さい所定の第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より大きい所定の第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記空圧制御装置は、
前記第1の引き上げ力、前記第2の引き上げ力および前記第3の引き上げ力を所定操作によりそれぞれ設定する引き上げ力設定手段と、
前記下限閾値および前記上限閾値を所定操作によりそれぞれ設定する閾値設定手段と、
を有する、
パワーアシスト型昇降装置
の使用方法であって、
前記対象物が吊り下げられ、かつ、前記対象物に外力が付与されない状態で前記荷重検出器が検出する荷重を基準荷重と定義し、
前記荷重検出器が前記基準荷重を検出しているときに前記エアシリンダに掛かる下向きの荷重と、前記エアシリンダが発生する前記第1の引き上げ力とが釣り合うように、前記引き上げ力設定手段を使用して前記第1の引き上げ力を設定し、
前記第1の引き上げ力から前記第2の引き上げ力を減算した値と、前記上限閾値から前記基準荷重を減算した値とが略同一になるように、前記引き上げ力設定手段および前記閾値設定手段を使用して、前記第2の引き上げ力および前記上限閾値を設定し、
前記第3の引き上げ力から前記第1の引き上げ力を減算した値と、前記基準荷重から前記下限閾値を減算した値とが略同一になるように、前記引き上げ力設定手段および前記閾値設定手段を使用して、前記第3の引き上げ力および前記下限閾値を設定する、
ことを特徴とするパワーアシスト型昇降装置の使用方法。
【請求項4】
請求項3に記載のパワーアシスト型昇降装置の使用方法であって、
前記空圧制御装置は、
前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、当該荷重が前記上限閾値以下に設定された所定の下方アシスト解除閾値以下に低下するまでの間、前記エアシリンダが、前記第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、
前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、当該荷重が前記下限閾値以上に設定された所定の上方アシスト解除閾値以上に上昇するまでの間、前記エアシリンダが、前記第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給する、
ことを特徴とするパワーアシスト型昇降装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げた重量物等の対象物を作業者が僅かな力で昇降させることができるパワーアシスト型昇降装置およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品を製造する工場では、重量物等の対象物を吊り下げて昇降させるために、各種の昇降装置を使用している。その中でも作業者の僅かな力で吊り下げた対象物を昇降させることができるパワーアシスト型昇降装置が知られている(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
特許文献1に開示されたパワーアシスト型昇降装置(同文献では「助力装置システム」と称している。)は、対象物を吊り下げるワイヤーロープと、ワイヤーロープを巻取り巻出す回転ドラムと、回転ドラムを駆動するモータとを2組備え、モータによって回転ドラムを正逆方向に回転させることで対象物を昇降させる。この昇降装置は、モータと回転ドラムとの間に力検出手段を備えており、その力検出手段で回転トルクを検出して対象物の重量および対象物に付与される外力を検出する。吊り下げた対象物に対して作業者が上下方向の力を付与すると、昇降装置は、付与された力を力検出手段で検出し、その力と同じ方向に対象物を移動させるアシスト力を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の昇降装置では、作業者が対象物に対して上下方向に加える力をワイヤーロープおよび回転ドラムを介して検出するため、作業者の僅かな力を正確かつ瞬時に検出することが難しい。このため、作業者が望むアシスト力を適時に発生することが難しく、良好な操作性が得られない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、操作性に優れたパワーアシスト型昇降装置を提供することにある。操作性に優れたパワーアシスト型昇降装置として、作業者が望むアシスト力を適時に発生することができるパワーアシスト型昇降装置を1例として挙げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るパワーアシスト型昇降装置は、伸縮することにより、吊り下げられた対象物を昇降させるエアシリンダと、前記エアシリンダと前記対象物との間に設けられ、その下方に連なる物の荷重を検出する荷重検出器と、前記エアシリンダへの空気圧供給制御を行う空圧制御装置と、を備える。前記空圧制御装置は、前記エアシリンダへの空気圧供給制御として、前記荷重検出器が、所定の下限閾値から所定の上限閾値までの範囲内の荷重を検出しているとき、前記エアシリンダが、所定の第1の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より小さい所定の第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、前記エアシリンダが、前記第1の引き上げ力より大きい所定の第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給する。
【0008】
かかる構成を備えるパワーアシスト型昇降装置によれば、前記第1の引き上げ力、前記第2の引き上げ力、前記第3の引き上げ力、前記下限閾値および前記上限閾値を、それぞれ対象物の重量に適した値にすることで操作性に優れたパワーアシスト型昇降装置が得られる。特に、作業者が対象物に付与する上下方向の力が荷重検出器にて正確かつ瞬時に検出されるため、作業者が望むアシスト力を適時に発生することができる。
【0009】
好ましくは、前記空圧制御装置は、前記荷重検出器が、前記上限閾値を超える荷重を検出したとき、当該荷重が前記上限閾値以下に設定された所定の下方アシスト解除閾値以下に低下するまでの間、前記エアシリンダが、前記第2の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給し、前記荷重検出器が、前記下限閾値に満たない荷重を検出したとき、当該荷重が前記下限閾値以上に設定された所定の上方アシスト解除閾値以上に上昇するまでの間、前記エアシリンダが、前記第3の引き上げ力を発生するように、前記エアシリンダに空気圧を供給する。
【0010】
好ましくは、前記空圧制御装置は、前記第1の引き上げ力、前記第2の引き上げ力および前記第3の引き上げ力を所定操作によりそれぞれ設定する引き上げ力設定手段と、前記下限閾値および前記上限閾値を所定操作によりそれぞれ設定する閾値設定手段と、を有する。
【0011】
本発明の一態様に係るパワーアシスト型昇降装置の使用方法は、前記パワーアシスト型昇降装置の使用方法であって、前記対象物が吊り下げられ、かつ、前記対象物に外力が付与されない状態で前記荷重検出器が検出する荷重を基準荷重と定義する。そして、前記荷重検出器が前記基準荷重を検出しているときに前記エアシリンダに掛かる下向きの荷重と、前記エアシリンダが発生する前記第1の引き上げ力とが釣り合うように、前記引き上げ力設定手段を使用して前記第1の引き上げ力を設定する。また、前記第1の引き上げ力から前記第2の引き上げ力を減算した値と、前記上限閾値から前記基準荷重を減算した値とが略同一になるように、前記引き上げ力設定手段および前記閾値設定手段を使用して、前記第2の引き上げ力および前記上限閾値を設定する。また、前記第3の引き上げ力から前記第1の引き上げ力を減算した値と、前記基準荷重から前記下限閾値を減算した値とが略同一になるように、前記引き上げ力設定手段および前記閾値設定手段を使用して、前記第3の引き上げ力および前記下限閾値を設定する。
【0012】
前記パワーアシスト型昇降装置の使用方法によれば、前記第1の引き上げ力から前記第2の引き上げ力を減算した値と、前記上限閾値から前記基準荷重を減算した値とが略同一となり、かつ、前記第3の引き上げ力から前記第1の引き上げ力を減算した値と、前記基準荷重から前記下限閾値を減算した値とが略同一になるので、作業者が対象物に対して上下方向に加える力の大きさと、アシスト力発生時のアシスト力の大きさとが略同一になるので、作業者は、円滑に対象物を昇降させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作性に優れたパワーアシスト型昇降装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を示す図である。
【
図2】荷検出装置およびその近傍を示す部分断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る空圧制御装置の詳細を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を下方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図5】第1の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を上方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図6】第2の実施形態に係る空圧制御装置の詳細を示す図である。
【
図7】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置に対象物を吊り下げて停止させたときの状態を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を下方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図9】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を下方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図10】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を下方へ移動させた後に下方へのアシストが停止する際の動作説明図である。
【
図11】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を上方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図12】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を上方へ移動させる際の動作説明図である。
【
図13】第2の実施形態に係るパワーアシスト型昇降装置を使用して対象物を上方へ移動させた後に上方へのアシストが停止する際の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係るパワーアシスト型昇降装置(以下、単に「昇降装置」という。)について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る昇降装置1は、スライドフレーム2、エアシリンダ3、荷重検出器4、荷検出装置5、操作装置6、空圧制御装置7等を備えている。
【0017】
スライドフレーム2は、後述するエアシリンダ3のピストンロッド3aの振れを抑制するために設けられており、2本のガイド軸9、上端横架材10、下端横架材11等で構成されている。2本のガイド軸9は、互いに平行に鉛直方向に配設されている。各ガイド軸9は、2つのリニア軸受12を介して後述する移動体13に支持されている。上端横架材10は、2本のガイド軸9の上端部に架設され、下端横架材11は、2本のガイド軸9の下端部に架設されている。本実施形態では、建屋の所定高さ位置に一対の案内レール14が平行に架設され、その一対の案内レール14に対して、直角方向に延びた走行案内レール18が移動可能に架設されている。上記移動体13は、上記走行案内レール18に沿って移動可能に設けられている。
【0018】
エアシリンダ3は、ピストンロッド3aが下側に、シリンダチューブ3bが上側に配され、伸縮方向を鉛直方向に向けた状態で移動体13に支持されている。本実施形態では、エアシリンダ3のシリンダチューブ3bが移動体13に固定されている。エアシリンダ3のピストンロッド3aの下端部はスライドフレーム2の下端横架材11に固定されている。エアシリンダ3のシリンダチューブ3bは、スライドフレーム2の上端横架材10に形成された貫通穴10aを貫通している。すなわち、スライドフレーム2はシリンダチューブ3bに対して上下移動可能になっている。なお、エアシリンダ3にエア漏れ、エア切れ等が生じた際に対象物が落下することがないように、落下防止用のブレーキユニット36がエアシリンダ3に付設されている。
【0019】
荷重検出器4は、エアシリンダ3と、昇降させる対象物との間に設けられ、当該荷重検出器4の下方に連なる物の荷重を検出する。検出された荷重はスライドフレーム2に取付けられた荷重モニタ8に表示される。本実施形態では、荷重検出器4は、下端横架材11の下に固設された荷検出装置5の下方に連結具15を介して連結されている。また、荷重検出器4の下方には、フック16が連結されている。荷重検出器4は、フック16の重量と、フック16に掛かる荷重を足し合せた荷重を検出する。フック16に掛かる荷重の大きさは、フック16に掛けられたスリングの重量と、吊り下げられた対象物の重量と、作業者が対象物に加える上下方向の外力とを足し合せた値となる。なお、スリングと対象物との間に何らかの部材が介在する場合は、当然に、その部材の重量もフック16に掛かる荷重に含まれる。
【0020】
荷検出装置5は、フック16に一定以上の荷重が負荷された場合に、それを検出する。この荷検出装置5は、例えば
図2に示すように、ボックス17内で上下に移動可能に設けられた可動部材19と、可動部材19とボックス17の底部17aとの間に設けられて可動部材19を上位置に付勢するコイルスプリング20と、可動部材19が下位置にある場合に、それを検出する可動部材検出器21(本実施形態ではリミットスイッチ)と、を備えている。また、可動部材19には、連結具15が取り付けられており、一定以上の重さの対象物がフック16に吊り下げられたり、一定以上の何らかの荷重が掛かると、その荷重が、荷重検出器4および連結具15を介して可動部材19に伝達される。その結果、可動部材19は、ばね20の付勢力に抗して上位置(
図2(a)参照)から下位置(
図2(b)参照)に移動する。可動部材19が下位置に移動すると、可動部材検出器21から空圧制御装置7に対して、対象物が吊り下げられていることを示す信号が送出される。
【0021】
操作装置6は、作業者が昇降装置1に対して各種の操作を行うためのものであり、本実施形態では、無線通信型のペンダントスイッチが用いられる。操作装置6を使用して作業者が各種の操作を行うと、各種操作に対応した信号が空圧制御装置7の無線受信機22を介してバルブ制御装置30に送信される。
【0022】
空圧制御装置7は、荷検出器4、荷重検出器5、操作装置6等から受信する情報に基づいて、エアシリンダ3等に供給する空気圧を制御する。本実施形態では、空圧制御装置7は、
図3に示すバルブ類、バルブ制御装置30、無線受信機22等で構成されている。以下、空圧制御装置7の詳細について説明する。
【0023】
図3に示す空圧回路では、空気供給源31に、レバー操作弁32を介してメイン供給路24が接続されている。メイン供給路24には、上流側から順に、ブレーキ圧供給路37、第5調圧路38、第4調圧路39、第3調圧路40、第2調圧路43、第1調圧路41が分岐して形成されている。
【0024】
ブレーキ圧供給路37は、メイン供給路24からエアシリンダ3に付設されたブレーキユニット36に空気圧を供給する。ブレーキ圧供給路37の途中部には、電磁切換弁SV1Dが設けられており、この電磁切換弁SV1Dが非励磁状態のとき(
図3に示す右位置bのとき)は、ブレーキユニット36内の空気が排気され、ピストンロッド3aが落下しないように制動される。また、電磁切換弁SV1Dが励磁状態のとき(
図3に示す左位置aのとき)は、ブレーキユニット36内に空気圧が供給され、ピストンロッド3aは制動されることなく、自由に動作可能となる。
【0025】
第5調圧路38は、メイン供給路24と電磁切換弁SV1Fの第1ポートとを接続している。第5調圧路38の途中部には、第5圧力調整弁R5が設けられている。
【0026】
第4調圧路39は、メイン供給路24と電磁切換弁SV1Fの第2ポートとを接続している。第4調圧路39の途中部には、第4圧力調整弁R4が設けられている。
【0027】
第3調圧路40は、メイン供給路24と電磁切換弁SV1Eの第1ポートとを接続している。第3調圧路40の途中部には、第3圧力調整弁R3が設けられている。なお、電磁切換弁SV1Eの第2ポートと電気切換弁SV1Fの第3ポートとは、第1中間路42を介して接続されている。
【0028】
第2調圧路43は、メイン供給路24と電磁切換弁SV1Cの第2ポートとを接続している。第2調圧路43の途中部には、第2圧力調整弁R2が設けられている。なお、電磁切換弁SV1Cの第1ポートと電磁切換弁SV1Eの第3ポートは、第2中間路44を介して接続されている。
【0029】
電磁切換弁SV1Cの第4ポートと電磁切換弁SV1Bの第2ポートは、第3中間路45を介して接続されている。
【0030】
電磁切換弁SV1Bの第1ポートには、サイレンサ46が接続されている。電磁切換弁SV1Bの第4ポートは、エアシリンダ3のロッド側ポートとロッド側供給路48を介して接続されている。ロッド側供給路48の途中部には、エアシリンダ3の作動速度を調整するための速度制御弁SC1が設けられている。また、速度制御弁SC1と電磁切換弁SV1Bとの間の圧力を検出するために圧力スイッチPS1が設けられている。圧力スイッチPS1が一定以下の異常圧力を検出すると、後述するバルブ制御装置30によって、電磁切換弁SV1Dが右位置bに切換えられる。これにより、ブレーキユニット36内の空気が排気され、ピストンロッド3aが落下しないように制動される。
【0031】
第1調圧路41は、メイン供給路24と電磁切換弁SV1Aの第2ポートとを接続している。第1調圧路41の途中部には、第1圧力調整弁R1が設けられている。電磁切換弁SV1Aの第1ポートにはサイレンサ46が取り付けられている。電磁切換弁SV1Aの第4ポートは、ヘッド側供給路51を介してエアシリンダ3のヘッド側ポートと接続されている。
【0032】
なお、電磁切換弁SV1A,SV1E,SV1F等には、メイン供給路24からパイロット圧が供給されている。
【0033】
バルブ制御装置30は、荷重検出器4、荷検出装置5(可動部材検出器21)、圧力スイッチPS1および操作装置6から送られてくる信号等の情報に基づいて、電磁切換弁SV1A~SV1FのソレノイドSOL1a~SOL1fを励磁状態又は非励磁状態にする。これにより、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3へ供給する空気圧を制御する。なお、バルブ制御装置30は、例えばPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)などを用いて構成することができる。
【0034】
次に、各圧力調整弁R1~R5の設定圧力の設定方法について説明する。
【0035】
<第1および第2圧力調整弁の設定圧力について>
第1圧力調整弁R1は、エアシリンダ3のヘッド側に供給する空気圧を設定するものである。すなわち、
図3に示す状態において、メイン供給路24から第1調圧路41に供給された圧縮空気は、第1圧力調整弁R1にて設定圧力R1pに減圧されて、電磁切換弁SV1Aを介してエアシリンダ3のヘッド側に供給される。これにより、エアシリンダ3のヘッド側の空気圧が上記設定圧力R1pと同じ圧力になる。
【0036】
第2圧力調整弁R2は、荷検出装置5が荷を検出していないときに、エアシリンダ3のロッド側に供給する空気圧を設定するものである。すなわち、バルブ制御装置30は、荷検出装置5が荷を検出していない場合、
図3に示すように電磁切換弁SV1Bおよび電磁切換弁SV1Cを何れも右位置bとする。これにより、メイン供給路24から第2調圧路43に供給された圧縮空気は、第2圧力調整弁R2にて設定圧力R2pに減圧されてエアシリンダ3のロッド側に供給され、エアシリンダ3のロッド側の空気圧を上記設定圧力R2pと同じ圧力にする。
【0037】
設定圧力R1pおよび設定圧力R2pは、フック16に対象物が吊り下げられていないときに(フック16に荷重が掛かっていないときに)、エアシリンダ3のピストンロッド3aに掛かる上下方向の力が釣り合うように設定される。すなわち、ピストンロッド3aの上向きの推力をT0とし、フック16に対象物が吊り下げられていないときにピストンロッド3aに掛かる下向きの力をFd1とした場合、次式(1)の関係を満たす。
T0=Fd1・・・(1)
エアシリンダ3のヘッド側室の有効断面積をShとし、エアシリンダ3のロッド側室の有効断面積をSrとした場合、上向きの推力T0は次式(2)で表すことができる。
T0=R2p×Sr-R1p×Sh・・・(2)
式(1)および式(2)より上向きの推力T0を消去すると次式(3)が成立する。
R2p×Sr-R1p×Sh=Fd1・・・(3)
そして、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd1は、ピストンの重量、ピストンロッド3aの重量およびピストンロッド3aに掛かる各部材の重量等から求めることができ、エアシリンダ3の有効断面積Sh,Srは定数であることから、設定圧力R1pの値を決めれば自ずと、設定圧力R2pの値も決まる。
設定圧力R1pとしては、任意の値を設定することが可能である。しかし、対象物が吊り下げられていないときに、ピストンロッド3aを高速で昇降させることができるように(この昇降動作は後に説明する。)、設定圧力R1pをある程度大きな圧力に設定することが望ましい。例えば、設定圧力R1pとしては、ゲージ圧で0.1Mpa程度の圧力値を設定することができる。
【0038】
<第3圧力調整弁の設定圧力について>
第3圧力調整弁R3は、荷重検出器4が、所定の下限閾値Wlowから所定の上限閾値Whiまでの範囲内の荷重を検出しているときに、エアシリンダ3のロッド側に供給する空気圧を設定するものである。すなわち、バルブ制御装置30は、荷重検出器4が上記範囲内の荷重を検出しているとき、
図3に示す状態から、電磁切換弁SV1Bを右位置bにしたまま、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換え、電磁切換弁SV1Eを左位置aに切換える。これにより、メイン供給路24から第3調圧路40に供給された圧縮空気は、第3圧力調整弁R3にて設定圧力R3pに減圧されてエアシリンダ3のロッド側に供給され、エアシリンダ3のロッド側の空気圧が設定圧力R3pと同じ圧力になる。
【0039】
上記設定圧力R3pの好ましい値は、次のようにして求めることができる。すなわち、エアシリンダ3のロッド側の空気圧を設定圧力R3pとし、エアシリンダ3のヘッド側の空気圧を設定圧力R1pとした場合に、これらの差圧によりエアシリンダ3に発生する上向きの推力T1(第1の引き上げ力)と、フック16に対象物(外力が付与されていない対象物)を吊り下げたとき(以下、このときの状態を「基準状態」ともいう。)のピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2とが釣り合うように、設定圧力R3pを求める。そのような設定圧力R3pは、次式(4)で表すことできる。
T1=R3p×Sr-R1p×Sh=Fd2・・・・・(4)
そして、対象物の重量が定まれば、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2は、ピストンの重量、ピストンロッド3aの重量およびピストンロッド3aに掛かる各部材の重量(対象物の重量を含む)から定めることができ、エアシリンダ3の有効断面積Sr,Rhも定まっており、設定圧力R1pの値も既述した手順により定めることができることから、式(4)を用いて設定圧力R3pの値を求めることができる。
【0040】
<第4圧力調整弁の設定圧力について>
第4圧力調整弁R4は、荷重検出器4が、上限閾値Whiを超える荷重を検出したときに、当該荷重が所定の下方アシスト解除閾値Wda以下に低下するまでの間、エアシリンダ3のロッド側に供給する空気圧を設定するものである。すなわち、バルブ制御装置30は、荷重検出器4が上限閾値Whiを超える荷重を検出したときに、
図3に示す状態から、電磁切換弁SV1Bを右位置bとしたまま、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換え、電磁切換弁SV1Eおよび電磁切換弁SV1Fを右位置bのままとする。これにより、メイン供給路24から第4調圧路39に供給された圧縮空気は、第4圧力調整弁R4にて設定圧力R4pに減圧されてエアシリンダ3のロッド側に供給され、エアシリンダ3のロッド側の空気圧が設定圧力R4pと同じ圧力になる。その後、荷重検出器4が検出する荷重が下方アシスト解除閾値Wda以下になると、バルブ制御装置30は、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換えてエアシリンダ3のロッド側に設定圧力R2pの空気圧を供給する。なお、下方アシスト解除閾値Wdaは、上限閾値Whi以下、後述する基準荷重Wref以上の範囲で設定可能である。ここで、基準荷重Wrefは、前述した「基準状態」において、荷重検出器4が検出する荷重である。
【0041】
上記設定圧力R4pの値は、作業者が対象物に対して下方に所定の力(例えば30N)を加えた時に、その力の大きさと略同じ大きさの力で対象物が降下し始めるように設定することが望ましい。そのような設定圧力R4pの値は、次のようにして求めることができる。
先ず、エアシリンダ3のロッド側の空気圧を設定圧力R4pとし、エアシリンダ3のヘッド側の空気圧を設定圧力R1pとした場合に、これらの差圧によりエアシリンダ3に発生する上向きの推力T2(第2の引き上げ力)を次式(5)で表す。
T2=R4p×Sr-R1p×Sh・・・(5)
また、推力T1から推力T2を差し引いた減算値Vm1を次式(6)で表す。但しT1>T2。
Vm1=T1-T2・・・(6)
そして、作業者が対象物に対して下方に所定の大きさの力を加えた時に、その力の大きさと同じ力の大きさで対象物が降下し始めるようにする場合、上限閾値Whiから基準荷重Wrefを減算した減算値Vm2と、上記減算値Vm1とが一致することになるため、次式(7)が成立する。
Vm2=Whi-Wref=Vm1・・・(7)
上限閾値Whiとしては、任意の値を設定することが可能であるが、減算値Vm2(上限閾値Whi-基準荷重Wref)を30N程度することで、比較的違和感なく対象物を下降させることができる。
そして、減算値Vm2が定まれば、式(7)より、減算値Vm1も定まり、T1、R1pも定まっているため、式(5)を式(6)に代入してT2を消去した次式(8)から設定圧力R4pを求めることができる。
Vm1=T1-(R4p×Sr-R1p×Sh)・・・(8)
【0042】
<第5圧力調整弁の設定圧力について>
第5圧力調整弁R5は、荷重検出器4が、下限閾値Wlowに満たない荷重を検出したときに、当該荷重が所定の上方アシスト解除閾値Waa以上に上昇するまでの間、エアシリンダ3のロッド側に供給する空気圧を設定するものである。すなわち、バルブ制御装置30は、荷重検出器4が下限閾値Wlowに満たない荷重を検出したときに、
図3に示す状態から、電磁切換弁SV1Bを右位置bとしたまま、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換え、電磁切換弁SV1Eを右位置bとしたまま、電磁切換弁SV1Fを左位置aに切換える。これにより、メイン供給路24から第5調圧路38に供給された圧縮空気は、第5圧力調整弁R5にて設定圧力R5pに減圧されてエアシリンダ3のロッド側に供給され、エアシリンダ3のロッド側の空気圧が設定圧力R5pと同じ圧力になる。その後、荷重検出器4が検出する荷重が上方アシスト解除閾値Waa以上になると、バルブ制御装置30は、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換えてエアシリンダ3のロッド側に設定圧力R2pの空気圧を供給する。なお、上方アシスト解除閾値Waaは、下限閾値Wlow以上、基準荷重Wref以下の範囲で設定可能である。
【0043】
上記設定圧力R5pの値は、作業者が対象物に対して上方に所定の力(例えば30Nの力)を加えた時に、その力の大きさと同じ大きさの力で対象物が上昇し始めるように設定することが望ましい。そのような設定圧力R5pの値は、次のようにして求めることができる。
先ず、エアシリンダ3のロッド側の空気圧を設定圧力R5pとし、エアシリンダ3のヘッド側の空気圧を設定圧力R1pとした場合に、これらの差圧によりエアシリンダ3に発生する上向きの推力T3(第3の引き上げ力)を次式(9)で表す。
T3=R5p×Sr-R1p×Sh・・・(9)
また、推力T3から推力T1を差し引いた減算値Vm3を次式(10)で表す。但しT3>T1。
Vm3=T3-T1・・・(10)
そして、作業者が対象物に対して上方に所定の大きさの力を加えた時に、その力の大きさと同じ力の大きさで対象物が上昇し始めるようにする場合、基準荷重Wrefから下限閾値Wlowを減算した減算値Vm4と、上記減算値Vm3とが一致することになるため、次式(11)が成立する。
Vm3=Wref-Wlow=Vm4・・・(11)
下限閾値Wlowとしては、任意の値を設定することが可能であるが、減算値Vm3(基準荷重Wref-下限閾値low)を30N程度にすることで、比較的違和感なく対象物を上昇させることができる。
そして、減算値Vm3が定まれば、式(11)より、減算値Vm4も定まり、T1、R1p、Sr、Shも定まっているため、式(9)を式(10)に代入してT3を消去した次式(12)から設定圧力R5pを求めることができる。
Vm4=(R5p×Sr-R1p×Sh)-T1・・・(12)
【0044】
なお、既述した上限閾値Whi、下限閾値Wlow、上方アシスト解除閾値Waaおよび下方アシスト解除閾値Wdaは、バルブ制御装置30における所定操作により設定することができるようになっている(閾値設定手段)。また、各圧力調整弁R1~R5の設定圧力は、各圧力調整弁R1~R5における所定操作により設定することができるようになっている(第1~第3の引き上げ力設定手段)。
【0045】
次に、昇降装置1に対象物を吊り下げて使用する場合について説明する。
【0046】
先ず昇降装置1に吊り下げる対象物とその他の物(対象物とフック16と繋ぐスリング等)の荷重を特定し、その荷重を基準荷重Wrefとする。なお、本実施形態では、基準荷重Wref=1000Nと仮定して説明する。
【0047】
次に、基準荷重Wrefに対して所定の値(本実施形態では30N)を加算して得られる値(本実施形態では1030N)を上限閾値Whiとし、この上限閾値Whiを所定操作によりバルブ制御装置30に設定する。また、基準荷重Wrefに対して所定の値(本実施形態では30N)を減算して得られる値(本実施形態では970N)を下限閾値Wlowとし、この下限閾値Wlowも所定操作にてバルブ制御装置30に設定する。また、基準荷重Wrefに対して所定の値(本実施形態では5N)を加算して得られる値(本実施形態では1005N)を下方アシスト解除閾値Wdaとし、この下方アシスト解除閾値Wdaを所定操作によりバルブ制御装置30に設定する。また、基準荷重Wrefに対して所定の値(本実施形態では5N)を減算して得られる値(本実施形態では995N)を上方アシスト解除閾値Waaとし、この上方アシスト解除閾値Waaを所定操作によりバルブ制御装置30に設定する。なお、基準荷重Wrefに対して上限閾値Whiおよび下限閾値Wlowを±30N程度に設定すると扱い易い昇降装置1になる。なお、本願出願人の従業員である作業者は、実際に基準荷重Wrefに対して上限閾値Whiおよび下限閾値Wlowを±30N程度に設定した場合が最も扱い易くなることを体験済である。
【0048】
次に、既述した設定圧力R1p~R5pの決定方法により得られた第1圧力調整弁R1~第5圧力調整弁R5の設定圧力R1p~R5pを、各第1圧力調整弁R1~第5圧力調整弁R5に対して設定する。
【0049】
以上のようにして、各種設定値および各種閾値が設定された昇降装置1が稼働状態になると、空気供給源31からメイン供給路24に所定の空気圧が供給され、
図3に示す状態から、バルブ制御装置30によって、電磁切換弁SV1Dが左位置aに切換えられてブレーキユニット36による制動が解放される。フック16に対象物が吊り下げられていない状態では、バルブ制御装置30は、荷検出装置5の出力信号からそのことを判別し、その間、操作装置6で所定操作が行われることにより、ビストンロッド3aを比較的高速で昇降させることができる。すなわち、作業者が操作装置6において所定操作をすることで、電磁切換弁SV1Bが右位置bのまま、電磁切換弁SV1Aが左位置aに切換り、シリンダ3のヘッド側の空気が排気されてシリンダロッド3aが比較的高速で上昇する。また、作業者が操作装置6において別の所定操作をすることで、電磁切換弁SV1Aが右位置bのまま、電磁切換弁SV1Bが左位置aに切換り、シリンダ3のロッド側の空気が排気されてシリンダロッド3aが比較的高速で下降する。このように高速でピストンロッド3aを昇降させる機能は、対象物をフック13に吊り下げていないときに有効活用することができる。
【0050】
次に、対象物をフック13に吊り下げて作業者が対象物に上下方向の力を加える場合における昇降装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では電磁切換弁SV1Dは左位置aにあり、ブレーキユニット36による制動が解放されているものとして説明する。
【0051】
まず、
図4(a)に示すように、昇降装置1のフック13に対象物Wが吊り下げられると、荷重検出器4は、フック16に吊り下げられた対象物Wおよびスリング23の合計荷重(1000N)を検出する。この荷重検出器4が検出する荷重(1000N)は、下限閾値Wlow(970N)から上限閾値Whi(1030N)までの範囲内にあるため、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3が第1の引き上げ力(推力T1)を発生するように当該エアシリンダ3に対して空気圧を供給する。具体的には、
図3に示す状態から、電磁切換弁SV1Bを右位置bにしたまま、電磁切換弁SV1Cを左位置aに切換え、電磁切換弁SV1Eを左位置aに切換えた状態(以下「アシスト無しバルブ状態」ともいう。)を形成する。その結果、
図4(a)に示すように、エアシリンダ3が発生する上向きの推力T1(1000N+αN)と、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(1000N+α)とが釣り合い、対象物Wは昇降することなくその場で停止した状態を維持する。なお、αNは、ピストンロッド3aに掛かる荷重から、荷重検出器4が検出する荷重を差し引いた値であり、スライドフレーム2、ピストンロッド3a、ピストン、荷検出装置、荷重モニタ8等の重量に相当する。
【0052】
次に、
図4(b)に示すように、作業者が対象物Wに対する下向きの力を加えることにより、荷重検出器4が検出する荷重が、上限閾値Whi(1030N)を超えると、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3が第2の引き上げ力(推力T2)を発生するように、当該エアシリンダ3に対して空気圧を供給する。具体的には、上記「アシスト無しバルブ状態」から、電磁切換弁SV1Eを右位置bに切換えた状態(以下「下方アシストバルブ状態」ともいう。)を形成する。その結果、エアシリンダ3は、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(1000N+α)より小さい上向きの推力T2(970N+αN)を発生するようになり、対象物Wは30Nの力により下降する。つまり、作業者は、対象物Wを下方へ移動させる力をアシストされる。
【0053】
その後、
図4(c)に示すように、荷重検出器4が検出する荷重が上限閾値Whi(1030N)より多少小さくなっても、下方アシスト解除閾値Wda(1005N)を超える値を検出している限り、エアシリンダ3は、引き続き上向きの推力T2を維持するため、対象物Wを下方へ移動させる力が引き続きアシストされる。
【0054】
その後、作業者が対象物Wに対する下向きの力を緩めたり、作業者が対象物Wから手を放すなどして、荷重検出器4が下方アシスト解除閾値Wda(1005N)以下の荷重を検出した場合、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3が再び第1の引き上げ力(推力T1)を発生するように、当該エアシリンダ3に対して空気圧を供給する。具体的には、上記「下方アシストバルブ状態」から電磁切換弁SV1Eを左位置aに切換えることで再び「アシスト無しバルブ状態」を形成する。その結果、
図4(d)に示すように、エアシリンダ3は、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(1000N+α)と釣り合う上向きの推力T1(1000N+αN)を再び発生し、アシスト力がゼロになる。
【0055】
一方、
図5(a)に示す状態から、
図5(b)に示すように、作業者が対象物Wに対して上向きの外力を加えることにより、荷重検出器4が検出する荷重が、下限閾値Wlow(970N)に満たない値になると、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3が第3の引き上げ力(推力T3)を発生するように、当該エアシリンダ3に対して空気圧を供給する。具体的には、上記「アシスト無しバルブ状態」から、電磁切換弁SV1Eを右位置bに切換えるとともに、電磁切換弁SV1Fを左位置aに切換えた状態(以下「上方アシストバルブ状態」ともいう。)を形成する。その結果、エアシリンダ3は、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(1000N+α)より大きい上向きの推力T3(1030N+αN)を発生するようになり、対象物Wは30Nの力により上昇する。つまり、作業者は、対象物Wを上方へ移動させる力をアシストされる。
【0056】
その後、
図5(c)に示すように、荷重検出器4が検出する荷重が下限閾値Wlow(970N)より多少大きくなっても、上方アシスト解除閾値Waa(995N)に満たない値を検出している限り、エアシリンダ3が引き続き推力T3を維持することにより対象物Wを上方へ移動させる力が引き続きアシストされる。
【0057】
その後、作業者が対象物Wに対する上向きの力を緩めたり、作業者が対象物Wから手を放すなどして、荷重検出器4が上方アシスト解除閾値Waa(995N)以上の荷重を検出した場合、バルブ制御装置30は、エアシリンダ3が再び第1の引き上げ力(推力T1)を発生するように、当該エアシリンダ3に対して空気圧を供給する。具体的には、上記「上方アシストバルブ状態」から電磁切換弁SV1Eを左位置aに切換えるとともに、電磁切換弁SV1Fを右位置bに切換えることで再び「アシスト無しバルブ状態」を形成する。その結果、
図5(d)に示すように、エアシリンダ3は、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(1000N+α)と釣り合う上向きの推力T1(1000N+αN)を再び発生し、アシスト力がゼロになる。
【0058】
以上に説明した第1の実施の形態に係る昇降装置1によれば、第1の引き上げ力T1(1000N+αN)から第2の引き上げ力T2(970N+αN)を減算して得られる値(30N)と、上限閾値(1030N)から基準荷重(970N)を減算して得られる値(30N)とが同じであり、また、第3の引き上げ力(1030N+αN)から第1の引き上げ力(1000N+αN)を減算して得られる値(30N)と、基準荷重(1000N)から下限閾値(970N)を減算して得られる値(30N)とが同じであるため、作業者が対象物Wに対して上下方向に加える力の大きさと、アシスト力発生時のアシスト力の大きさとが同一となる。このため、作業者は、円滑に対象物Wを昇降させることができる。
【0059】
また、作業者が対象物Wに対して上下方向に加える力は、荷重検出器4にて正確かつ瞬時に検出されるため、作業者が望むアシスト力を瞬時に発生させることができる。これにより、応答性に優れた扱い易い昇降装置1となる。
【0060】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施の形態に係る昇降装置について、図面を参照しつつ説明する。
図6に示すように、第2の実施の形態に係る昇降装置1Aは、第1の実施形態で説明したエアシリンダ3およびこのエアシリンダ3に付随する荷重検出器4、荷検出器5等を2組備えており、空圧制御装置7Aは、各エアシリンダ3毎(組毎)に第1の実施形態で説明した空気圧供給制御を行う。
【0061】
空気圧制御装置7Aの内部構成も第1の実施形態に係る空気圧制御装置7を実質的に2組備えたものとなっている。但し、バルブ制御装置30Aは、1台に纏められている。バルブ制御装置30Aは、各荷重検出器4、各荷検出装置5および各圧力スイッチPS1,PS2および操作装置6から、送られてくる情報に基づいて、2つのエアシリンダ3に対して格別に第1の実施形態で説明した空気圧供給制御を行う。なお、
図6の空圧回路図が示すように、電磁切換弁SV1A~SV1Fと電磁切換弁SV2A~SV2Fはそれぞれ同じものであり、第3圧力調整弁R3~第5圧力調整弁R5と第6圧力調整弁R6~第8圧力調整弁R8も、設定圧力を除いて、それぞれ同じものである。
【0062】
次に、昇降装置1Aの2つのエアシリンダ3A,3Bに1つの対象物を吊り下げて使用する場合について説明する。
【0063】
先ず、
図7に示すように、対象物Wにおける所定の2箇所を各エアシリンダ3A,3Bに吊り下げて、各エアシリンダ3A,3Bに設けられた荷重検出器4A,4Bが検出する値を特定し、その値を各エアシリンダ3A,3Bに関する基準荷重WrefA、WrefBとする。本実施形態では、一方のエアシリンダ3A側の基準荷重WrefAを400Nと仮定し、もう一方のエアシリンダ3B側の基準荷重WrefBを600Nと仮定して説明する。
【0064】
次に、一方のエアシリンダ3Aに係る基準荷重WrefAに対して所定の値(本実施形態では30N)を加算して得られる値(本実施形態では430N)を上限閾値WhiAとし、この上限閾値WhiAを所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。また、基準荷重WrefAに対して所定の値(本実施形態では30N)を減算してえられる値(本実施形態では370N)を下限閾値WlowAとし、この下限閾値WlowAも所定操作にてバルブ制御装置30Aに設定する。さらに、基準荷重WrefAに対して所定の値(本実施形態では5N)を加算して得られる値(本実施形態では405N)を下方アシスト解除閾値WdaAとし、この下方アシスト解除閾値WdaAも所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。また、基準荷重WrefAに対して所定の値(本実施形態では5N)を減算して得られる値(本実施形態では395N)を上方アシスト解除閾値WaaAとし、この上方アシスト解除閾値WaaAも所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。
【0065】
次に、他方のエアシリンダ3Bに係る基準荷重WrefBに対して所定の値(本実施形態では30N)を加算して得られる値(本実施形態では630N)を上限閾値WhiBとし、この上限閾値WhiBを所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。また、基準荷重WrefBに対して所定の値(本実施形態では30N)を減算して得られる値(本実施形態では570N)を下限閾値WlowBとし、この下限閾値WlowBも所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。また、基準荷重WrefBに対して所定の値(本実施形態では5N)を加算して得られる値(本実施形態では605N)を下方アシスト解除閾値WdaBとし、この下方アシスト解除閾値WdaBも所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。また、基準荷重WrefBに対して所定の値(本実施形態では5N)を減算して得られる値(本実施形態では595N)を上方アシスト解除閾値WaaBとし、この上方アシスト解除閾値WaaBを所定操作によりバルブ制御装置30Aに設定する。
【0066】
次に、第1の実施形態で説明した設定圧力R1p~R5pの決定方法により得られる第1圧力調整弁R1~第5圧力調整弁R5の設定圧力R1p~R5pを、各第1圧力調整弁R1~第5圧力調整弁R5に対して設定する。また、第6圧力調整弁R6~第8圧力調整弁R8については、これらのバルブに対応する第3圧力調整弁R3~第5圧力調整弁R5の設定圧力R3p~R5pの決定方法と同じ要領で設定圧力R6p~R8pを得て、得られた値をそれぞれ第6圧力調整弁R6~第8圧力調整弁R8に対して設定する。
【0067】
以下、各種設定値および閾値が設定された昇降装置1Aの2つのエアシリンダ3A,3Bに1つの対象物を吊り下げ、その対象物に作業者が上下方向の力を加える場合における昇降装置1Aの動作について説明する。なお、以下の説明では電磁切換弁SV1D,SV2Dは何れも左位置aにあり、ブレーキユニット36による制動が解放されているものとして説明する。また、本実施形態の対象物Wは、重心位置が一方に偏った長尺物である。
【0068】
図7に示すように、2つのエアシリンダ3のフック13に対象物Wが吊り下げられると、一方の荷重検出器4Aは、フック16に吊り下げられた対象物Wの一部およびスリング23の合計荷重(400N)を検出する。もう一方の荷重検出器4Bは、フック16に吊り下げられた対象物Wの余部およびスリング23の合計荷重(600N)を検出する。一方の荷重検出器4Aが検出する荷重(400N)は、下限閾値WlowA(370N)から上限閾値WhiA(530N)までの範囲内にあるため、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Aが第1の引き上げ力T1(400N+αN)を発生するように当該エアシリンダ3Aに対して空気圧を供給する。もう一方の荷重検出器4Bが検出する荷重(600N)も、下限閾値WlowB(570N)から上限閾値WhiB(630N)までの範囲内にあるため、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Bが第1の引き上げ力T1(600N+αN)を発生するように当該エアシリンダ3Bに対して空気圧を供給する。具体的には、
図6に示す状態から、電磁切換弁SV1B,SV2Bを右位置bにしたまま、電磁切換弁SV1C,SV2Cを左位置aに切換え、電磁切換弁SV1E,SV2Eを左位置aに切換えた状態(以下「アシスト無しバルブ状態A」ともいう。)を形成する。その結果、エアシリンダ3Aが発生する第1の引き上げ力T1(400N+αN)と、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(400N+α)とが釣り合うとともに、エアシリンダ3Bが発生する第1の引き上げ力T1(600N+αN)と、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(600N+α)とが釣り合い、対象物Wは昇降することなくその場で停止した状態を維持する。なお、αNは、第1の実施形態で説明した値と同様の値である。
【0069】
上記の状態において、
図8に示すように、作業者が対象物Wの特定の位置に対して下向きの外力を加えると、上記外力の一部の荷重が、一方の荷重検出器4Aが検出する荷重に追加され、上記外力の余部の荷重がもう一方の荷重検出器4Bが検出する荷重に追加される。一方の荷重検出器4Aが検出する荷重が、上限閾値WhiA(430N)を超えると、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Aが第2の引き上げ力T2を発生するように、当該エアシリンダ3Aに対して空気圧を供給する。また、もう一方の荷重検出器4Bが検出する荷重が、上限閾値WhiB(630N)を超えると、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Bが第2の引き上げ力T2を発生するように、当該エアシリンダ3Bに対して空気圧を供給する。例えば、両方の荷重検出器4A,4Bが検出する荷重が、何れも上限閾値WhiA,WhiBを超えると、バルブ制御装置30Aは、上記「アシスト無しバルブ状態A」から、電磁切換弁SV1E,SV2Eを右位置bに切換えた状態(以下「下方アシストバルブ状態B」ともいう。)を形成する。その結果、
図8に示すように、2つのエアシリンダ3A,3Bは、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(400N+αN、600N+αN)より小さい第2の引き上げ力T2(370N+αN、570N+αN)を発生するようになり、対象物Wは60Nの力により下降する。つまり、作業者は、対象物Wを下方へ移動させる力をアシストされる。その後、
図9に示すように、荷重検出器4A,4Bが検出する荷重が上限閾値WhiA(430N),WhiB(630N)より多少小さくなっても、下方アシスト解除閾値WdaA(405N),WdaB(605N)を超える値をそれぞれ検出している限り、エアシリンダ3A,3Bは引き続き上向きの推力T2を維持して対象物Wを下方へ移動させる力がアシストされる。
【0070】
その後、作業者が対象物Wを下方へ押す力を緩めたり、対象物Wから手を放すなどして、
図10に示すように、荷重検出器4A,4Bが下方アシスト解除閾値WdaA(405N),WdaB(605N)以下の荷重を検出した場合、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3A,3Bが再び第1の引き上げ力(推力T1)を発生するように、当該エアシリンダ3A,3Bに対して空気圧を供給する。具体的には、上記「下方アシストバルブ状態A」から電磁切換弁SV1E,SV2Eを左位置aに切換えることで再び「アシスト無しバルブ状態A」を形成する。その結果、エアシリンダ3A,3Bは、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(400N+αN,600N+αN)と釣り合う第1の引き上げ力T1(400N+αN,600N+αN)を再び発生し、アシスト力がゼロになる。
【0071】
一方、
図11に示すように、作業者が対象物Wの特定の位置に対して上向きの外力を加えることにより、上記外力の一部の荷重が、一方の荷重検出器4Aが検出する荷重に追加され、上記外力の余部の荷重が、もう一方の荷重検出器4Bが検出する荷重に追加される。これにより、一方の荷重検出器4Aが検出する荷重が、下限閾値WlowA(370N)に満たない値になると、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Aが第3の引き上げ力T3を発生するように、当該エアシリンダ3Aに対して空気圧を供給する。また、もう一方の荷重検出器4Bが検出する荷重が、下限閾値WlowB(570N)に満たない値になると、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3Bが第3の引き上げ力T3を発生するように、当該エアシリンダ3Bに対して空気圧を供給する。例えば、両方の荷重検出器4A,4Bが検出する荷重が、何れも下限閾値WlowA,WlowBに満たない値になると、バルブ制御装置30Aは、上記「アシスト無しバルブ状態A」から、電磁切換弁SV1E,SV2Eを右位置bに切換えるとともに、電磁切換弁SV1F,SV2Fを左位置aに切換えた状態(以下「上方アシストバルブ状態A」ともいう。)を形成する。その結果、
図12に示すように、2つのエアシリンダ3A,3Bは、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(400N+αN、600N+αN)より大きい第3の引き上げ力T3(430N+αN、630N+αN)を発生するようになり、対象物Wは60Nの力により上昇する。つまり、作業者は、対象物Wを上方へ移動させる力をアシストされる。
【0072】
その後、
図13に示すように、荷重検出器4A,4Bが検出する荷重が下限閾値WlowA(370N),WlowB(570N)より多少大きくなっても、上方アシスト解除閾値WaaA(395N),WaaB(595N)に満たない値を検出している限り、エアシリンダ3A,3Bは、引き続き第3の引き上げ力T3を維持し、継続して対象物Wを上方へ移動させる力がアシストされる。
【0073】
その後、作業者が対象物Wに対する上向きの力を緩めたり、対象物Wから手を放すなどして、荷重検出器4A,4Bが上方アシスト解除閾値WaaA(385N),WaaB(585N)以上の荷重を検出した場合、バルブ制御装置30Aは、エアシリンダ3A,3Bが再び第1の引き上げ力T1を発生するように、当該エアシリンダ3A,3Bに対して空気圧を供給する。具体的には、上記「上方アシストバルブ状態A」から電磁切換弁SV1E,SV2Eを左位置aに切換えるとともに、電磁切換弁SV1F,SV2Fを右位置bに切換えることで再び「アシスト無しバルブ状態A」を形成する。その結果、エアシリンダ3A,3Bは、ピストンロッド3aに掛かる下向きの力Fd2(400N+αN、600N+αN)と釣り合う上向きの推力T1(400N+αN,600N+αN)を再び発生し、アシスト力がゼロになる。
。
【0074】
以上に説明した第2の実施形態に係る昇降装置1Aによれば、対象物Wが長尺物であっても、使用することができ、第1の実施形態と同様の作用効果も奏される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、吊り下げた重量物を作業者が僅かな力で昇降させることができるパワーアシスト型昇降装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
W 対象物
1,1A パワーアシスト型昇降装置
3 エアシリンダ
3a ピストンロッド
4 荷重検出器
7 空圧制御装置