(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】蓄電池システムおよび電気車制御システム
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20220228BHJP
B60L 50/53 20190101ALI20220228BHJP
H02J 7/34 20060101ALN20220228BHJP
【FI】
B60L3/00 C
B60L50/53
H02J7/34 A
(21)【出願番号】P 2018071026
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智洋
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友由
(72)【発明者】
【氏名】河野 真也
(72)【発明者】
【氏名】上村 悠介
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-95079(JP,A)
【文献】特開2011-78185(JP,A)
【文献】特開2016-187280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013181(US,A1)
【文献】国際公開第2008/018131(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/046984(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 50/53
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池システム
を備えた電気車制御システムであって、
前記蓄電池システムが、
第1外部接続部と、
第2外部接続部と、
高電圧側端子と低電圧側端子とを備えた一又は複数相の双方向チョッパ回路と、
主回路が前記低電圧側端子と接続される蓄電池装置と、
前記高電圧側端子と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第1接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記低電圧側端子とを電気的に接続する経路に設けられた第2接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第3接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記第2外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第4接触器と、を備え、
前記電気車制御システムが更に、
外部電源と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた遮断器と、
前記遮断器の後段において、前記外部電源に対して前記蓄電池システムと並列に接続される電力変換装置と、
前記遮断器の後段において、前記外部電源と前記電力変換装置とを電気的に接続する経路に設けられた第5接触器と、
前記第2外部接続部と電気的に接続する補助電源装置と、
前記第1乃至第5接触器と前記遮断器との動作を制御可能な制御装置と、
を備えた電気車制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記外部電源からの電力供給が停止し、かつ、非常走行させる指令を受けたときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器とを開いた状態とし前記第3接触器と前記第4接触器と前記第5接触器とを閉じた状態とする、請求項
1記載の電気車制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて前記外部電源から供給された電力により力行運転中であると判断し、走行速度が第1閾値以上であり第2閾値以下であるときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器と前記第5接触器とが閉じた状態であり前記第3接触器と前記第4接触器とを開いた状態とし、前記双方向チョッパ回路を制御して前記蓄電池システムから前記電力変換装置へ電力を供給させる、請求項
1又は請求項
2記載の電気車制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて回生運転中であると判断し、走行速度が第3閾値以上であり第4閾値以下であるときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器
と前記第5接触器とが閉じた状態であり前記第3接触器と前記第4接触器とを開いた状態とし、前記双方向チョッパ回路を制御して前記電力変換装置から前記蓄電池システムへ電力を供給させる、請求項
1乃至請求項
3のいずれか1項記載の電気車制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて力行運転中および回生運転中のいずれでもないと判断し、走行速度がゼロであるときに、前記第3接触器と前記第4接触器と前記第5接触器を開いた状態とし、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器とを閉じた状態として、前記双方向チョッパ回路を制御して前記外部電源から前記蓄電池システムへ電力を供給させる、請求項
1乃至請求項
4のいずれか1項記載の電気車制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池システムおよび電気車制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両内に搭載されている電気車制御システムは、高電圧配線を介して車両外のパンタグラフまたはサードレールと接続され、直流電力が電気車制御システムの電力変換装置に供給される。電力変換装置は、供給された直流電力を車両走行に利用可能な交流電力に変換し、交流電力により主電動機を駆動して車両を走行させる。
【0003】
近年、電源として蓄電池を有する電力変換装置の提案がなされている。例えば車両走行時の回生運転中においては、変電所に返しきれない回生電力を蓄電池へ充電して、必要なタイミングで蓄電池に蓄えられたエネルギーを利用することにより、エネルギー利用効率を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
何らかの要因で車両外のパンタグラフまたはサードレールが電力供給を行えなくなったとき、車両は主な電力供給源を失い走行を継続できなくなる。
また、車両に予備の電源として主回路にチョッパ回路を備えた蓄電池が搭載されているとき、蓄電池からのアシスト機能を利用するためにはチョッパ回路を制御しなければならず、蓄電池に蓄えられたエネルギーを最大限利用することが困難であった。
【0006】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、車両のエネルギー利用効率を改善する蓄電池システムおよび電気車制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による蓄電池システムは、第1外部接続部と、第2外部接続部と、高電圧側端子と低電圧側端子とを備えた一又は複数相の双方向チョッパ回路と、主回路が前記低電圧側端子と接続される蓄電池装置と、前記高電圧側端子と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第1接触器と、前記蓄電池装置の前記主回路と前記低電圧側端子とを電気的に接続する経路に設けられた第2接触器と、前記蓄電池装置の前記主回路と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第3接触器と、前記蓄電池装置の前記主回路と前記第2外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第4接触器と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、第4実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、複数の実施形態に共通する構成については同じ符号を付して重複する説明は省略する。また、以下の複数の実施形態は組み合わせることが可能であり、複数の実施形態にて説明する蓄電池システムおよび電気車制御システムのそれぞれは、他の実施形態にて説明した構成を備えていても構わない。
【0010】
図1は、第1実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電気車制御システムは、蓄電池システムBTと、遮断器111と、接触器112と、電力変換装置113と、補助電源装置114と、制御装置1000と、電気車運転台200と、を備えている。なお、遮断器111と接触器112とは、常開型である。
電源100は、電気車制御システムの外部に設けられ、例えば高電圧配線を介して接続されるパンタグラフやサードレールなどを含み得る。
【0011】
蓄電池システムBTは、第1外部接続部CN1と第2外部接続部CN2とを備えている。
電力変換装置113は、接触器112および遮断器111を介して電源100と電気的に接続可能であり、接触器112を介して蓄電池システムBTの第1外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0012】
本実施形態の電気車制御システムにおいて、蓄電池システムBTと電源100とは、電力変換装置113に対して並列に接続している。換言すると、電力変換装置113は、遮断器111の後段(電気車制御システム側)において、電源100に対して蓄電池システムBTと並列に接続される。
接触器(第5接触器)112は、遮断器111の後段(電気車制御システム側)において、電源100と電力変換装置113とを電気的に接続する経路に設けられている。接触器112は、制御装置1000により動作を制御される。
遮断器111は、電源100と電気車制御システムとの間を接続する経路に設けられ、電源100との間の電気的接続を切替える。遮断器111は、制御装置1000により動作を制御される。
【0013】
電力変換装置113は、電源100及び/又は蓄電池システムBTから供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、主電動機(図示せず)を駆動して車両を走行させることができる。また、電力変換装置113は、主電動機(図示せず)から供給される回生電力を所定の直流電力に変換し、電源100及び/又は蓄電池システムBTへ供給可能に構成されている。
【0014】
本実施形態の蓄電池システムBTは、接触器102、103、104、106、109と、抵抗器105と、フィルタコンデンサ107と、チョッパ回路108と、蓄電池装置101と、接地スイッチ110と、を備えている。なお、本実施形態の蓄電池装置101は、例えば、公称電圧が約600[V]であり、接触器102、103、104、106、109は、常開型であり、制御装置1000により開閉動作を制御される。
【0015】
チョッパ回路(双方向チョッパ回路)108は、蓄電池装置101から供給される直流電圧を昇圧して電源100および電力変換装置113側へ出力可能であり、電源100および/又は電力変換装置113から供給される直流電圧を降圧して蓄電池装置101側へ出力可能な、双方向のDC/DCコンバータである。
【0016】
チョッパ回路108は、例えば、高電圧側端子TAと、低電圧側端子TBと、直列に接続した一対のスイッチング素子を各相に備えたn相(nは1以上の整数)の回路である。一対のスイッチング素子の間は、抵抗器を介して低電圧側端子TBと電気的に接続している。一対のスイッチング素子の一端は高電圧側端子TAと電気的に接続し、一対のスイッチング素子の他端は接地スイッチ110を介して接地されている。
【0017】
チョッパ回路108の低電圧側端子TBは、接触器(第2接触器)109を介して蓄電池装置101の主回路と電気的に接続可能である。チョッパ回路108の高電圧側端子TAは、接触器(第1接触器)106を介して第1外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0018】
フィルタコンデンサ107の一端は、チョッパ回路108の高電圧側端子TAと電気的に接続している。フィルタコンデンサ107の他端は、接地スイッチ110を介して接地されている。すなわち、フィルタコンデンサ107は、チョッパ回路108の高圧側において、チョッパ回路108の一対のスイッチング素子と並列に接続している。
【0019】
蓄電池装置101は、蓄電池と、蓄電池と主回路との電気的接続状態を切替え可能な遮断器と、電池制御部と、を備えている。遮断器は、例えば電気的に開閉を制御可能であり、電池制御部により動作を制御される。
【0020】
蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第2接触器)109を介してチョッパ回路108と電気的に接続可能である。また、蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第3接触器)103を介して第1外部接続部CN1と電気的に接続可能である。また、蓄電池装置101の高電位側の主回路は、接触器(第4接触器)102を介して第2外部接続部CN2と電気的に接続可能である。蓄電池装置101の低電位側の主回路は、接地スイッチ110を介して接地される。
【0021】
電池制御部は、例えば、蓄電池に含まれる複数の電池セルの電圧や蓄電池の温度を検出し、電池セルの電圧や蓄電池の充放電電流の値に基づいて、蓄電池のSOC(state of charge)を演算することができる。また、電池制御部は、外部と通信可能に構成され、蓄電池の情報(SOCなど)を外部へ出力可能であるとともに、制御装置1000からの制御指令に基づいて遮断器の動作など蓄電池装置101を制御することができる。
【0022】
接触器104および抵抗器105は、接触器106と並列に接続している。接触器104と抵抗器105とは、互いに直列に接続している。したがって、チョッパ回路108の高電圧側端子TAは、接触器106を介する経路と、接触器104および抵抗器105を介する経路とにより第1外部接続部CN1と電気的に接続可能である。
【0023】
補助電源装置114は、例えばSIV(static inverter)であり、電源100または蓄電池装置101から供給された直流電力を交流電力に変換し、車両の照明機器、空調機器、制御機器、メータなどを作動させる電源を供給することができる。
【0024】
電気車運転台200は、電気車の運転手による操作に基づいて、車両の制御指令を制御装置1000へ出力する。本実施形態の電気車制御システムでは、電気車運転台200は非常走行スイッチ1001を備えている。
【0025】
非常走行スイッチ1001は、例えば、車両の通常走行中に非常走行へ切替えるときに運転手により操作され得る。運転手が非常走行スイッチ1001を操作すると、電気車運転台200から制御装置1000へ非常走行指令が出力される。
【0026】
制御装置1000は、車両に含まれる構成が協調して動作するように、車両に含まれる構成を制御可能である。制御装置1000に含まれる制御ブロックは、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。制御装置1000は、例えば、MPU(micro processing unit)やCPU(central processing unit)などのプロセッサを1つ以上と、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えていてもよい。
【0027】
制御装置1000は、接触器投入論理生成部1002と、接触器投入指令部1003、1004と、を備えている。制御装置1000は、例えば補助電源装置114から電源を供給される。
接触器投入論理生成部1002は、電源100から電力変換装置113へ電力が供給されているか否かを監視するとともに、非常走行スイッチ1001からの非常走行指令を受信可能である。接触器投入論理生成部1002は、例えば、電力変換装置113と電源100とが電気的に接続するポイントの電圧値(若しくは電圧に相当する値)を周期的に取得し、取得した値に基づいて電源100から電力が供給されているか否かを判断することができる。
【0028】
接触器投入論理生成部1002は、電源100から電力変換装置113への電力供給が停止し、かつ、非常走行スイッチ1001から非常走行指令を受信したときに、接触器投入指令部1003、1004から接触器102、103へ投入指令を出力させる。
【0029】
なお、本実施形態の電気車制御システムにおいて、接触器投入論理生成部1002は、電源100からの電力供給が停止したことを検出したことのみ、および、非常走行指令を受信したことのみに基づいて、非常走行への切り換えを行わない。これは、電源100からの電力供給が停止した場合であっても、運転手が車両を走行させる必要がないと判断したときには非常走行を行わず、蓄電池装置101に蓄えられたエネルギーを必要な場合にのみ利用する為である。また、電源100から電力供給が行われているときに運転手が誤って非常走行スイッチ1001を操作した場合に、非常走行への切り換えを行うことを回避することができる。
【0030】
接触器投入指令部1003は、接触器投入論理生成部1002から投入指令を受信したときに、接触器102を閉じる。
接触器投入指令部1004は、接触器投入論理生成部1002から投入指令を受信したときに、接触器103を閉じる。
【0031】
なお、本実施形態では、制御装置1000は、通常走行時において、電源100から供給される電力のみで車両を走行させることができる。電源100からの電力のみによる通常走行時は、例えば、遮断器111および接触器112が閉じた状態であり、接触器102、103、104、106、109は開いた状態である。
また、制御装置1000は、通常走行時において、電源100から供給される電力と、蓄電池システムBTから供給される電力とを利用して車両を走行(力行運転および回生運転)させることができる。このとき、例えば、遮断器111および接触器112、106、109が閉じた状態であり、接触器102、103、104は開いた状態である。
【0032】
また、本実施形態では、非常走行時において、制御装置1000は、蓄電池システムBTから供給される電力のみで車両を走行させることができる。非常走行時は、例えば、接触器112、102、103が閉じた状態であり、接触器104、106、109は開いた状態である。なお、制御装置1000は、非常走行時は、安全の為に遮断器111を開いた状態とし、電源100からの電力供給が再開して通常走行に切り換わるときに遮断器111を閉じてもよい。
【0033】
次に、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。ここでは、車両が通常走行から非常走行へと切り替わる際の動作の一例について説明する。
制御装置1000の接触器投入論理生成部1002は、電源100から電力変換装置113への電力供給が停止したと判断し、かつ、電気車運転台200からの非常走行指令を受信したとき、接触器投入指令部1003、1004へ投入指令を送信する。このとき、制御装置1000は、遮断器111を開いた状態としてもよい。なお、接触器投入論理生成部1002は、例えば、電力変換装置113と電源100とが電気的に接続するポイントの電圧に基づいて、電源100からの電力供給が停止したか否かを判断することができる。
【0034】
接触器投入指令部1003は、接触器投入論理生成部1002から投入指令を受信すると、接触器103を閉じる。接触器103が投入されると、蓄電池装置101の主回路が接触器103、112を介して電力変換装置113と電気的に接続され、蓄電池装置101から電力変換装置113へ電力が供給される。
【0035】
接触器投入指令部1004は、接触器投入論理生成部1002から投入指令を受信すると、接触器102を閉じる。接触器102が投入されると、蓄電池装置101の主回路が接触器102を介して補助電源装置114と電気的に接続され、蓄電池装置101から補助電源装置114へ電力が供給される。
【0036】
上記のように、電源100から電力が供給されないときは、蓄電池装置101から接触器102を介して補助電源装置114へ、接触器103を介して電力変換装置113へ電力を供給することが可能となる。このことにより、制御装置1000へ補助電源装置114から電源が供給され、電力変換装置113へ蓄電池システムBTから電力が供給されて、制御装置1000の制御により車両の走行を行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、車両の非常走行時において、蓄電池装置101から供給される電力はチョッパ回路108を介さずに電力変換装置113へ供給されるため、制御装置1000はチョッパ回路108による電力制御を行う必要がない。したがって、蓄電池装置101から出力される電力を効率よく車両の走行に利用することができる。
すなわち、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムによれば、車両のエネルギー利用効率を改善することができる。
【0038】
次に、第2実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図2は、第2実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【0039】
本実施形態の電気車制御システムは、蓄電池システムと、接触器102と、遮断器111と、接触器112と、電力変換装置113と、補助電源装置114と、速度発電機300と、制御装置1000と、を備えている。
【0040】
本実施形態の電気車制御システムは、速度発電機300を備える点と、制御装置1000の構成とが上述の第1実施形態と異なっている。
速度発電機300は、例えば車両の車軸(図示せず)に取り付けられ、車両の走行速度に応じた電力を出力する。
【0041】
制御装置1000は、力行指令部2000と、速度信号出力部2001と、速度判定部2002と、チョッパゲート生成部2003と、ゲート指令部2004と、を備えている。
力行指令部2000は、電力変換装置113の動作に基づいて車両が力行しているか否かを監視し、車両が力行運転しているときに力行指令を出力する。なお、力行指令部2000は、例えば、電力変換装置113の出力電流に基づいて車両が力行運転しているか否かを判断してもよく、また、電力変換装置113に供給されるトルク指令値などの制御指令の値に基づいて、車両が力行運転しているか否かを判断してもよい。
【0042】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両速度に応じた電力を受信し、車両の速度信号を生成して出力する。
速度判定部2002は、速度信号出力部2001から速度信号を受信し、車両速度が所定の範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果を出力する。速度判定部2002は、例えば、車両速度が第1閾値T1以上第2閾値T2以下の範囲に含まれるか判定し、所定の範囲に含まれる場合に第1レベル(例えば「1」)の信号を出力し、所定の範囲に含まれない場合に第2レベル(例えば「0」)の信号を出力する。
【0043】
ここで、第1閾値T1と第2閾値T2とは、車両が力行運転をしているときに蓄電池システムから供給されるエネルギーを用いてアシストすることにより、車両全体としてエネルギー利用効率が改善される速度範囲である。例えば、車両が力行運転中であって速度が低いときは、車両が停止した状態から走行を開始した所定期間など、大きなエネルギーが必要であるときを含む。また、車両を運転する際には、最高速度が制限されている場合もある。これらの事を考慮して、例えば、第1閾値T1は5[km/h]程度、第2閾値T2は40[km/h]程度としてもよい。
【0044】
チョッパゲート生成部2003は、力行指令部2000から力行指令を受信し、かつ、速度判定部2002から車両速度が所定の範囲に含まれるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信したときに、チョッパ回路108を介して蓄電池システムから供給される電力により、車両走行のアシストを行うようにゲート指令部2004へ制御指令を出力する。チョッパゲート生成部2003は、例えば、車両走行のアシストに必要な蓄電池システムの出力値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。なお、蓄電池システムから供給される電力により車両走行をアシストする場合には、チョッパゲート生成部2003は、ゲート指令部2004へ制御指令を出力するタイミングと同期して、接触器106、109を投入してもよい。
【0045】
なお、例えば、チョッパゲート生成部2003は、蓄電池装置101の電池制御部から蓄電池のSOCを取得し、蓄電池のSOCの値に基づいて、車両走行のアシストを行うか停止するかを判断してもよい。例えば、蓄電池のSOCが放電可能な範囲に含まれない場合には、チョッパゲート生成部2003は、車両走行のアシストを行わない(若しくは停止する)と判断することができる。
【0046】
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給される制御指令に基づいて、チョッパ回路108のスイッチング素子を切替えるゲート指令を生成し、チョッパ回路108へ出力する。例えば、ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給された蓄電池システムの出力値を実現するゲート指令を生成して、生成したゲート指令によりチョッパ回路108を動作させる。
本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムは、上記の構成以外は上述の第1実施形態と同様である。
【0047】
次に、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
ここでは、車両が力行しているときの蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
車両が、蓄電池システムからのアシスト無しで力行しているときには、例えば、遮断器111および接触器112が閉じた状態であり、接触器102、103、104、106、109は開いた状態である。
【0048】
制御装置1000の力行指令部2000は、電力変換装置113の動作(例えば出力電流)に基づいて、車両が力行運転していると判断したときに力行指令を出力する。力行指令部2000は、例えば、電力変換装置113の出力電流が正(電力変換装置113から負荷へ向かう方向)であるときに車両が力行運転中であり、出力電流が負(負荷から電力変換装置113へ向かう方向)であるときに車両が回生運転中であり、出力電流が略ゼロであるときに車両が停止又は惰行運転中であると判断することができる。
【0049】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両の速度に対応する電力を受信し、受信した電力から把握される車両速度を出力する。
速度判定部2002は、速度信号出力部2001から受信した車両速度が所定の速度範囲(第1閾値T1以上第2閾値T2以下)に含まれているか否かを判断し、車両速度が所定の速度範囲に含まれているときに第1レベルの信号を出力し、車両速度が所定の速度範囲に含まれていないときに第2レベルの信号を出力する。
【0050】
チョッパゲート生成部2003は、力行指令部2000から力行指令を受信し、かつ、速度判定部2002から車両速度が所定の範囲に含まれるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信したときに、車両走行のアシストに必要な蓄電池システムの出力値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。
制御装置1000は、例えば、チョッパゲート生成部2003からゲート指令部2004へ制御指令が出力されるタイミングと同期して、接触器106、109を投入してもよい。
【0051】
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から受信した必要な蓄電池システムの出力値に応じてゲート指令を生成し、チョッパ回路108のスイッチング素子の動作を制御する。
【0052】
この結果、蓄電池装置101からチョッパ回路108を介して電力変換装置113への電力供給が可能となり、車両の力行運転のアシストを行うことができる。したがって、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムは、非常時以外も蓄電池システムに蓄えられたエネルギーを車両の走行に利用することが可能である。
すなわち、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムによれば、車両のエネルギー利用効率を改善することができる。
【0053】
次に、第3実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図3は、第3実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【0054】
本実施形態の電気車制御システムは、蓄電池システムと、接触器102と、遮断器111と、接触器112と、電力変換装置113と、補助電源装置114と、速度発電機300と、制御装置1000と、を備えている。
【0055】
本実施形態の電気車制御システムは、速度発電機300を備える点と、制御装置1000の構成とが上述の第1実施形態と異なっている。
速度発電機300は、例えば車両の車軸(図示せず)に取り付けられ、車両の走行速度に応じた電力を出力する。
【0056】
制御装置1000は、回生指令部3000と、速度信号出力部2001と、速度判定部2002と、チョッパゲート生成部2003と、ゲート指令部2004と、を備えている。
回生指令部3000は、電力変換装置113の動作に基づいて車両が回生運転しているか否かを監視し、車両が回生運転しているときに回生指令を出力する。
【0057】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両速度に応じた電力を受信し、車両の速度信号を生成して出力する。
速度判定部2002は、速度信号出力部2001から速度信号を受信し、車両速度が所定の範囲に含まれるか否かを判定し、判定結果を出力する。速度判定部2002は、例えば、車両速度が第3閾値T3以上第4閾値T4以下の範囲に含まれるか判定し、所定の範囲に含まれる場合に第1レベル(例えば「1」)の信号を出力し、所定の範囲に含まれない場合に第2レベル(例えば「0」)の信号を出力する。
【0058】
ここで、第3閾値T3と第4閾値T4とは、車両が回生運転をしているときに蓄電池システムへ回生エネルギーを供給して蓄電池を充電することにより、車両全体としてエネルギー利用効率が改善される速度範囲である。例えば、車両が回生運転中であって速度が低いときは、回生エネルギーが小さい状態であり、電源100へ返すことができない電力が略ないものと考えられる。また、車両を運転する際には、最高速度が制限されている場合もある。これらの事を考慮して、例えば、第1閾値T1は20[km/h]程度、第2閾値T2は70[km/h]程度としてもよい。
【0059】
チョッパゲート生成部2003は、回生指令部3000から回生指令を受信し、かつ、速度判定部2002から車両速度が所定の範囲に含まれるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信したときに、チョッパ回路108を介して電力変換装置113から供給される電力により、蓄電池システムの蓄電池を充電する。チョッパゲート生成部2003は、例えば、蓄電池の充電に必要な充電電流値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。電力変換装置からの回生エネルギーにより蓄電池を充電する場合には、チョッパゲート生成部2003は、ゲート指令部2004へ制御指令を出力するタイミングと同期して、接触器106、109を投入してもよい。
【0060】
なお、例えば、チョッパゲート生成部2003は、蓄電池装置101の電池制御部から蓄電池のSOCを取得し、蓄電池のSOCの値に基づいて、蓄電池を充電するか否かを判断してもよい。例えば、蓄電池のSOCが充電可能な範囲に含まれない場合には、チョッパゲート生成部2003は、蓄電池の充電を行わない(若しくは停止する)と判断することができる。
【0061】
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給される制御指令に基づいて、チョッパ回路108のスイッチング素子を切替えるゲート指令を生成し、チョッパ回路108へ出力する。例えば、ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給された蓄電池の充電電流値を実現するゲート指令を生成して、生成したゲート指令によりチョッパ回路108を動作させる。
本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムは、上記の構成以外は上述の第1実施形態と同様である。
【0062】
次に、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
ここでは、車両が回生運転しているときの蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
車両が、蓄電池システムへの充電を行わずに回生運転しているときには、例えば、遮断器111および接触器112が閉じた状態であり、接触器102、103、104、106、109は開いた状態である。
【0063】
制御装置1000の回生指令部3000は、電力変換装置113の動作(例えば出力電流)に基づいて、車両が回生していると判断したときに回生指令を出力する。回生指令部3000は、例えば、電力変換装置113の出力電流が正(電力変換装置113から負荷へ向かう方向)であるときに車両が力行運転中であり、出力電流が負(負荷から電力変換装置113へ向かう方向)であるときに車両が回生運転中であり、出力電流が略ゼロであるときに車両が停止又は惰行運転中であると判断することができる。
【0064】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両の速度に対応する電力を受信し、受信した電力から把握される車両速度を出力する。
速度判定部2002は、速度信号出力部2001から受信した車両速度が所定の速度範囲(第3閾値T3以上第4閾値T4以下)に含まれているか否かを判断し、車両速度が所定の速度範囲に含まれているときに第1レベルの信号を出力し、車両速度が所定の速度範囲に含まれていないときに第2レベルの信号を出力する。
【0065】
チョッパゲート生成部2003は、回生指令部3000から回生指令を受信し、かつ、速度判定部2002から車両速度が所定の範囲に含まれるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信したときに、蓄電池装置101の充電に必要な充電電流値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。
制御装置1000(例えばチョッパゲート生成部2003は)は、例えば、チョッパゲート生成部2003からゲート指令部2004へ制御指令が出力されるタイミングと同期して、接触器106、109を投入してもよい。
【0066】
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から受信した必要な充電電流値に応じてゲート指令を生成し、チョッパ回路108のスイッチング素子の動作を制御する。
【0067】
この結果、電力変換装置113からチョッパ回路108を介して蓄電池装置101への電力供給が可能となり、回生エネルギーを利用して蓄電池を充電することができる。例えば、車両から電源100へ回生エネルギーを返しきれないときには、従来、余剰のエネルギーが損失となっていた。これに対し、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムは、電源100へ返しきれない回生エネルギーが発生したときでも、余剰のエネルギーを利用して蓄電池を充電し、非常走行時に蓄電池システムに蓄えられたエネルギーを車両の走行に利用することが可能となる。
【0068】
すなわち、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムによれば、車両のエネルギー利用効率を改善することができる。
【0069】
次に、第4実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図4は、第4実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【0070】
本実施形態の電気車制御システムは、蓄電池システムと、接触器102と、遮断器111と、接触器112と、電力変換装置113と、補助電源装置114と、速度発電機300と、制御装置1000と、を備えている。
【0071】
本実施形態の電気車制御システムは、速度発電機300を備える点と、制御装置1000の構成とが上述の第1実施形態と異なっている。
速度発電機300は、例えば車両の車軸(図示せず)に取り付けられ、車両の走行速度に応じた電力を出力する。
【0072】
制御装置1000は、力行/回生指令部4000と、速度信号出力部2001と、速度判定部4001と、チョッパゲート生成部2003と、ゲート指令部2004と、を備えている。
【0073】
力行/回生指令部4000は、電力変換装置113の動作に基づいて、車両が力行運転しているか否か、および、車両が回生運転しているか否かを監視し、車両が力行運転しているときに力行指令を出力し、車両が回生運転しているときに回生指令を出力する。
【0074】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両速度に応じた電力を受信し、車両の速度信号を生成して出力する。
速度判定部4001は、速度信号出力部2001から速度信号を受信し、車両の速度がゼロであるか否かを判定し、判定結果を出力する。速度判定部2002は、車両速度がゼロである場合に第1レベル(例えば「1」)の信号を出力し、所定の範囲に含まれない場合に第2レベル(例えば「0」)の信号を出力する。
【0075】
チョッパゲート生成部2003は、力行/回生指令部4000から力行指令と回生指令とのいずれも受信せず、速度判定部2002から車両速度がゼロであるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信し、かつ、蓄電池装置101から取得した蓄電池のSOCが所定の閾値以下であるときに、ゲート指令部2004へ制御指令を出力して、チョッパ回路108を介して電力変換装置113から供給される電力により、蓄電池システムの蓄電池を充電する。チョッパゲート生成部2003は、例えば、蓄電池の充電に必要な充電電流値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。
なお、蓄電池を充電する場合には、例えばチョッパゲート生成部2003は、ゲート指令部2004へ制御指令を出力するタイミングと同期して、接触器106、109を投入してもよい。
【0076】
また、例えば、チョッパゲート生成部2003は、蓄電池装置101の電池制御部から蓄電池のSOCを取得し、蓄電池のSOCの値に基づいて、蓄電池を充電する(および充電を継続する)か否かを判断してもよい。例えば、蓄電池のSOCが充電可能な範囲に含まれない場合には、チョッパゲート生成部2003は、蓄電池の充電を行わない(若しくは停止する)と判断することができる。
【0077】
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給される制御指令に基づいて、チョッパ回路108のスイッチング素子を切替えるゲート指令を生成し、チョッパ回路108を制御する。例えば、ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から供給された蓄電池の充電電流値を実現するゲート指令を生成して、生成したゲート指令によりチョッパ回路108を動作させる。
本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムは、上記の構成以外は上述の第1実施形態と同様である。
【0078】
次に、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
ここでは、車両が停車しているときの蓄電池システムおよび電気車制御システムの動作の一例について説明する。
車両が、停車しているときには、例えば、遮断器111および接触器112、102、103、104、106、109は開いた状態である。蓄電池装置101および制御装置1000には、補助電源装置114から電源が供給されている。補助電源装置114には電源100から電源が供給されている。
【0079】
制御装置1000の力行/回生指令部4000は、電力変換装置113の動作(例えば出力電流)に基づいて、車両が力行していると判断したときに力行指令を出力し、車両が回生していると判断したときに回生指令を出力する。力行/回生指令部4000は、例えば、電力変換装置113の出力電流が正(電力変換装置113から負荷へ向かう方向)であるときに車両が力行運転中であり、出力電流が負(負荷から電力変換装置113へ向かう方向)であるときに車両が回生運転中であり、出力電流が略ゼロであるときに車両が停止又は惰行運転中であると判断することができる。
【0080】
速度信号出力部2001は、速度発電機300から車両の速度に対応する電力を受信し、受信した電力から把握される車両速度を出力する。
【0081】
速度判定部4001は、速度信号出力部2001から受信した車両速度がゼロであるか否かを判断し、車両速度がゼロであるときに第1レベルの信号を出力し、車両速度がゼロでないときに第2レベルの信号を出力する。
【0082】
チョッパゲート生成部2003は、力行/回生指令部4000から力行指令および回生指令のいずれも受信せず、速度判定部2002から車両速度がゼロであるとの判定結果(例えば第1レベルの信号)を受信し、蓄電池装置101のSOCが所定の閾値以下であるときに、蓄電池装置101の充電に必要な充電電流値を制御指令として、ゲート指令部2004に供給する。
【0083】
制御装置1000(例えばチョッパゲート生成部2003)は、例えば、チョッパゲート生成部2003からゲート指令部2004へ制御指令が出力されるタイミングと同期して、遮断器111、および、接触器106、109を投入してもよい。
ゲート指令部2004は、チョッパゲート生成部2003から受信した必要な充電電流値に応じてゲート指令を生成し、チョッパ回路108のスイッチング素子の動作を制御する。
【0084】
この結果、電源100からチョッパ回路108を介して蓄電池装置101への電力供給が可能となり、車両が停止中に蓄電池を充電することができる。したがって、非常走行や蓄電池装置101からのアシストを行うときに備えて、蓄電池に十分なエネルギーを蓄えることが可能となる。
【0085】
すなわち、本実施形態の蓄電池システムおよび電気車制御システムによれば、車両のエネルギー利用効率を改善することができる。
【0086】
上記のように、第1乃至第4実施形態によれば、何らかの要因で車両外の電源100(パンタグラフまたはサードレール)が電力供給を行えなくなったとき、蓄電池を接触器103経由で電力変換装置に接続し、非常走行を行うことができる。また、チョッパ回路108を接触器106経由で電力変換装置113に接続し、車両の力行運転時に蓄電池システムから電力をアシストすることが可能であり、車両の回生運転時に電源100に返しきれない回生電力を蓄電池システムに充電することが可能である。さらに、例えば車両の非常走行時に備えて、車両が停車しているときに予め蓄電池装置101を充電することが可能である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
第1外部接続部と、
第2外部接続部と、
高電圧側端子と低電圧側端子とを備えた一又は複数相の双方向チョッパ回路と、
主回路が前記低電圧側端子と接続される蓄電池装置と、
前記高電圧側端子と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第1接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記低電圧側端子とを電気的に接続する経路に設けられた第2接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第3接触器と、
前記蓄電池装置の前記主回路と前記第2外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた第4接触器と、を備えた蓄電池システム。
[C2]
C1記載の蓄電池システムと、
外部電源と前記第1外部接続部とを電気的に接続する経路に設けられた遮断器と、
前記遮断器の後段において、前記外部電源に対して前記蓄電池システムと並列に接続される電力変換装置と、
前記遮断器の後段において、前記外部電源と前記電力変換装置とを電気的に接続する経路に設けられた第5接触器と、
前記第2外部接続部と電気的に接続する補助電源装置と、
前記第1乃至第5接触器と前記遮断器との動作を制御可能な制御装置と、
を備えた電気車制御システム。
[C3]
前記制御装置は、前記外部電源からの電力供給が停止し、かつ、非常走行させる指令を受けたときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器とを開いた状態とし前記第3接触器と前記第4接触器と前記第5接触器とを閉じた状態とする、C2記載の電気車制御システム。
[C4]
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて前記外部電源から供給された電力により力行運転中であると判断し、走行速度が第1閾値以上であり第2閾値以下であるときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器と前記第5接触器とが閉じた状態であり前記第3接触器と前記第4接触器とを開いた状態とし、前記双方向チョッパ回路を制御して前記蓄電池システムから前記電力変換装置へ電力を供給させる、C2又はC3記載の電気車制御システム。
[C5]
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて回生運転中であると判断し、走行速度が第3閾値以上であり第4閾値以下であるときに、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器前記第5接触器とが閉じた状態であり前記第3接触器と前記第4接触器とを開いた状態とし、前記双方向チョッパ回路を制御して前記電力変換装置から前記蓄電池システムへ電力を供給させる、C2乃至C4のいずれか1項記載の電気車制御システム。
[C6]
前記制御装置は、前記電力変換装置の動作に基づいて力行運転中および回生運転中のいずれでもないと判断し、走行速度がゼロであるときに、前記第3接触器と前記第4接触器と前記第5接触器を開いた状態とし、前記遮断器と前記第1接触器と前記第2接触器とを閉じた状態として、前記双方向チョッパ回路を制御して前記外部電源から前記蓄電池システムへ電力を供給させる、C2乃至C5のいずれか1項記載の電気車制御システム。
【符号の説明】
【0088】
100…電源(外部電源)、101…蓄電池装置、102…接触器(第4接触器)、103…接触器(第3接触器)、104…接触器、105…抵抗器、106…接触器(第1接触器)、107…フィルタコンデンサ、108…チョッパ回路(双方向チョッパ回路)、109…接触器(第2接触器)、110…接地スイッチ、111…遮断器、112…接触器(第5接触器)、113…電力変換装置、114…補助電源装置、200…電気車運転台、300…速度発電機、1000…制御装置、1001…非常走行スイッチ、1002…接触器投入理論生成部、1003…接触器投入指令部、1004…接触器投入指令部、2000…力行指令部、2001…速度信号出力部、2002…速度判定部、2003…チョッパゲート生成部、2004…ゲート指令部、3000…回生指令部、4000…力行/回生指令部、4001…速度判定部、CN1…第1外部接続部、CN2…第2外部接続部