(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】畳床の裁断装置
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220228BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20220228BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20220228BHJP
D05B 23/00 20060101ALI20220228BHJP
B26D 1/04 20060101ALN20220228BHJP
B26D 1/18 20060101ALN20220228BHJP
【FI】
E04F15/02 102T
B26D7/02 B
B26D7/01 C
D05B23/00 C
B26D1/04 A
B26D1/18
(21)【出願番号】P 2018073352
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】久保 朋之
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-250229(JP,A)
【文献】特開2003-71780(JP,A)
【文献】特開平9-216191(JP,A)
【文献】特開2001-314676(JP,A)
【文献】特開2008-200804(JP,A)
【文献】特開昭53-84325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/122098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
B26D 7/02
B26D 7/01
D05B 23/00
B26D 1/04
B26D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳床を裁断するための畳床の裁断装置であって、
前記畳床の裁断装置の裁断装置本体の前方側から挿入された畳床に対して、前記挿入された畳床の後方側に当接するように、前記裁断装置本体の後方側に配置されたストッパーと、
前記挿入された畳床の後方側が、前記ストッパーに当接するように、前記畳床の前方側を押し込むように、前後方向に移動自在な押しつけ部材と、
前記挿入された畳床の左右の幅に合わせて、相互に左右から接離する方向に移動自在な左右一対の裁断ユニットと、
前記裁断ユニットに備えられ、前記挿入された畳床を押さえるために、上下動可能な畳床押さえ部材と、
前記裁断ユニットに備えられ、前記挿入された畳床の左右の端部を裁断する裁断刃と、
前記裁断刃で左右の端部が裁断された畳床に対して、畳床の下方側から、上方向に移動して、前記畳床を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回するように構成した上下動可能な旋回テーブルと、
前記旋回テーブルで旋回された畳床に対して、左右方向から畳床の左右の端部に当接して、畳床の左右の端部を所定裁断位置に移動させる左右一対の旋回自在なアーム部材と、
を備えることを特徴とする畳床の裁断装置。
【請求項2】
前記挿入された畳床の左右の幅に合わせて、左右一対の裁断ユニットを、移動させる裁断ユニット移動ステップと、
前記挿入された畳床の後方側である上前側が、前記ストッパーに当接するように、前記押しつけ部材によって、前記畳床の前方側である下前側を押し込む第1の押しつけステップと、
前記第1の押しつけステップで、所定位置に配置された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が下降して、畳床を押さえる第1の畳床押さえステップと、
前記第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である框側を、前記裁断ユニットの裁断刃によって裁断する第1の裁断ステップと、
前記第1の裁断ステップで框側が裁断された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が上昇して、畳床の押さえを解除する第1の畳床押さえ解除ステップと、
前記畳床押さえ解除ステップで畳床の押さえが解除された畳床に対して、前記旋回テーブルが、畳床の下方側から、上方向に移動して、前記畳床を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回する畳床旋回ステップと、
前記畳床旋回ステップで90°旋回した畳床に対して、アーム部材を左右方向から畳床の左右の端部である上前側と下前側に当接して、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動させる裁断位置調整ステップと、
前記裁断位置調整ステップで畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動された畳床に対して、畳床の後方側である框側が、前記ストッパーに当接するように、前記押しつけ部材によって、前記畳床の前方側である框側を押し込む第2の押しつけステップと、
前記第2の押しつけステップで所定位置に配置された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が下降して、畳床を押さえる第2の畳床押さえステップと、
前記第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である上前側と下前側を、前記裁断ユニットの裁断刃によって裁断する第2の裁断ステップと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の畳床の裁断装置。
【請求項3】
前記第1の裁断ステップの際に、前記挿入された畳床の後方側である上前側から下前側の距離T1を測定する第1の幅測定ステップを備え、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、裁断位置調整ステップにおいて、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定の裁断位置に移動させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の畳床の裁断装置。
【請求項4】
前記アーム部材の先端に、伸縮自在な調整当接部材を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項5】
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の上前側が位置する一方のアーム部材を、畳床の上前側に当接した状態で、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに移動させるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の畳床の裁断装置。
【請求項6】
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の上前側が位置する一方のアーム部材を、畳床の上前側に当接した状態で、前記一方のアーム部材の調整当接部材を伸張して、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに移動させるように構成したことを特徴とする請求項4に記載の畳床の裁断装置。
【請求項7】
前記上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部から距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であることを特徴とする5から6のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項8】
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の下前側が位置する他方のアーム部材を、畳床の下前側に当接した状態を解除して、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記畳床の下前側が位置する他方の裁断ユニットを、下前側裁断位置Bまで移動させるように構成したことを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【請求項9】
前記下前側裁断位置Bが、裁断前の下前側端部から距離X2だけ離間し位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であることを特徴とする請求項8に記載の畳床の裁断装置。
【請求項10】
前記下前側裁断位置Bが、
前記畳床の縫い目の間の幅をYとして、
前記上前側裁断位置Aから、下前側裁断位置B方向の最初の縫い目との間の距離C1として、
前記下前側裁断位置Bから、上前側裁断位置A方向の最初の縫い目との間の距離C2として、
畳床の上前側から下前側までの仕上げ距離Dとし、
nを1以上の任意の整数として場合に、
D=C1+nY+C2
の関係を満たす位置に設定されていることを特徴とする請求項9に記載の畳床の裁断装置。
【請求項11】
前記挿入された畳床の上前側と框側のなす角度が直角である位置に応じて、前記畳床旋回ステップにおいて、畳床を90°旋回する旋回方向が決定されるように構成したことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の畳床の裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半畳用の縁無し畳の畳に用いられる半畳のサイズの畳床の裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、琉球畳などのように、正方形状の半畳用の縁なし畳などの半畳畳が、室内のインテリア性から、最近では、広範に用いられるようになっている。
【0003】
このような半畳用の縁なし畳などの半畳畳を製造する場合、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床の上前側、下前側、框側を敷き込む部屋の寸法に合致する所定の寸法に裁断している。
【0004】
ところで、従来の畳床の裁断装置として、例えば、特許文献1(特開平9-294886号公報)には、畳製造システムが開示されている。
【0005】
その中で、畳床の框部を裁断する框裁断機と、畳床に畳表を重ねて両框側を縫い付ける畳表張り機と、上前及び下前の平刺し、裁断とを行なう平刺し機が開示されている。
【0006】
この特許文献2(特開平9―250229号公報)には、畳床の框側のくせ取りとともに、所定の寸法に裁断する機構が開示されている。
【0007】
また、特許文献3(特開平4-216901号公報)には、長方形の板状体を、正確に90°旋回させて、長方形の板状体の四方を裁断する板状体の裁断装置が開示されている。
【0008】
すなわち、特許文献3では、前後方向に延びる直線状の搬送用レールの中央部を挟んで、幅方向に対向する1組の切断工具を、それぞれ幅方向に進退自在に設けている。
【0009】
そして、搬送用レールを往復する板状体搬送車に、板状体の中央部を上下に挟持し、かつ、水平に90度旋回するように構成した旋回支持台を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平9-294886号公報
【文献】特開平9―250229号公報
【文献】特開平4-216901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1に開示される畳製造システムを用いて、正方形状の半畳畳用の畳床の四方を裁断する場合には、作業者が、畳床を90°旋回させて、框裁断機で2度裁断する工程が必要となる。
【0012】
また、特許文献2においても、半畳畳用の畳床の四方を裁断する場合には、作業者が、畳床を90°旋回させて、框裁断機で2度裁断する工程が必要となる。
【0013】
従って、特許文献1、特許文献2のいずれの場合においても、人手による畳床の煩雑な旋回作業が必要となり、手間とコストがかかることになる。
【0014】
ところで、
図18に示したように、部屋の敷居が、必ずしも100%正方形または長方形ではないので、畳を敷き詰める場合に、上前側を直線状に仕上げて、上前側とくせのない側の框側のなす角度が、直角となる必要がある。
【0015】
なお、この場合、
図18に示したように、下前側を敷居にぴったり沿うようにくせ取りして畳を仕上げて敷き詰めるため、畳の平面視の形状は、対向する上前側の側辺と下前側の側辺が、くせがある場合には完全な平行ではないことになる。
【0016】
この場合、未仕上げの畳床は、各辺の直線度が不安定であるため、例えば、
図6に示したような2度の裁断作業が必要となる。
【0017】
例えば、
図6(A)に示したように、実線で示したような未仕上げの畳床200から、点線で示したような仕上げの畳床300を裁断する場合について説明する。
【0018】
すなわち、
図6(A)に示したように、仕上げの畳床300の上前側D0に対して、一方の框側D2が直角(くせなし)で、他方の框側D3にくせがあり、上前側D0が框側D3と直角でない場合を示している。
【0019】
この場合、1回目の裁断で、框側D2、D3を裁断した後、
図6(A)の矢印で示したように、時計方向に畳床を90°旋回させて、上前側D0と、下前側D1を裁断する。
【0020】
しかしながら、特許文献1、特許文献2のいずれの場合においても、作業者が、未仕上げ畳床の少なくとも直角を挟む2辺(上前側)(
図6の場合には、上前側D0と框側D2)を判断して、畳床を90°旋回させる必要があるが、旋回方向を間違えるおそれがあった。
【0021】
さらに、特許文献3に開示される、長方形の板状体を、正確に90°旋回させて、長方形の板状体の四方を裁断する板状体の裁断装置を、特許文献1に開示される畳製造システムに適用して、90°旋回させて裁断するように構成する場合、装置の設置スペースが大きくなり、しかも、正確に90°旋回させための精密で複雑な機構が必要となり、装置が大型になるとともに、コストが高くつくことになる。
【0022】
また、畳床200には、一定間隔離間して、畳床の縫い目Fが形成されているが、上前側D0を切断する上前側切断ラインの位置によっては、この切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なって、縫い糸を切断するとともに、縫い穴に重なってしまう。
【0023】
なお、この問題は、例えば、
図18に示したように、部屋の中央部分のように、くせのない正方形の畳床の場合に、下前側の下前側切断ラインにおいても、同様な問題がある。
【0024】
その結果、上前側D0の表面、側面にギザギザの凹凸が生じて、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側D0が凸凹になり、見栄えが悪くなったり、上前側の直線性が悪くなり、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くことにもなる。
【0025】
本発明は、このような現状に鑑み、半畳用の縁なし畳などの半畳畳を製造する場合、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床の上前側、下前側、框側を敷き込む部屋の寸法に合致する所定の寸法に裁断することができる畳床の裁断装置を提供することを目的とする。
【0026】
また、本発明は、人手による畳床の煩雑な旋回作業が不要となり、作業工程が少なく、手間とコストがかかることなく、しかも、旋回方向を間違えるおそれがなく、仕上げ寸法が正確で、装置が大型化することもない畳床の裁断装置を提供することを目的とする。
【0027】
また、本発明は、上前側切断ライン、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない畳床の裁断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の畳床の裁断装置は、
畳床を裁断するための畳床の裁断装置であって、
前記畳床の裁断装置の裁断装置本体の前方側から挿入された畳床に対して、前記挿入された畳床の後方側に当接するように、前記裁断装置本体の後方側に配置されたストッパーと、
前記挿入された畳床の後方側が、前記ストッパーに当接するように、前記畳床の前方側を押し込むように、前後方向に移動自在な押しつけ部材と、
前記挿入された畳床の左右の幅に合わせて、相互に左右から接離する方向に移動自在な左右一対の裁断ユニットと、
前記裁断ユニットに備えられ、前記挿入された畳床を押さえるために、上下動可能な畳床押さえ部材と、
前記裁断ユニットに備えられ、前記挿入された畳床の左右の端部を裁断する裁断刃と、
前記裁断刃で左右の端部が裁断された畳床に対して、畳床の下方側から、上方向に移動して、前記畳床を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回するように構成した上下動可能な旋回テーブルと、
前記旋回テーブルで旋回された畳床に対して、左右方向から畳床の左右の端部に当接して、畳床の左右の端部を所定裁断位置に移動させる左右一対の旋回自在なアーム部材と、
を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記挿入された畳床の左右の幅に合わせて、左右一対の裁断ユニットを、移動させる裁断ユニット移動ステップと、
前記挿入された畳床の後方側である上前側が、前記ストッパーに当接するように、前記押しつけ部材によって、前記畳床の前方側である下前側を押し込む第1の押しつけステップと、
前記第1の押しつけステップで、所定位置に配置された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が下降して、畳床を押さえる第1の畳床押さえステップと、
前記第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である框側を、前記裁断ユニットの裁断刃によって裁断する第1の裁断ステップと、
前記第1の裁断ステップで框側が裁断された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が上昇して、畳床の押さえを解除する第1の畳床押さえ解除ステップと、
前記畳床押さえ解除ステップで畳床の押さえが解除された畳床に対して、前記旋回テーブルが、畳床の下方側から、上方向に移動して、前記畳床を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回する畳床旋回ステップと、
前記畳床旋回ステップで90°旋回した畳床に対して、アーム部材を左右方向から畳床の左右の端部である上前側と下前側に当接して、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動させる裁断位置調整ステップと、
前記裁断位置調整ステップで畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動された畳床に対して、畳床の後方側である框側が、前記ストッパーに当接するように、前記押しつけ部材によって、前記畳床の前方側である框側を押し込む第2の押しつけステップと、
前記第2の押しつけステップで所定位置に配置された畳床に対して、前記裁断ユニットの畳床押さえ部材が下降して、畳床を押さえる第2の畳床押さえステップと、
前記第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である上前側と下前側を、前記裁断ユニットの裁断刃によって裁断する第2の裁断ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0030】
このように構成することによって、第1の押しつけステップで、挿入された畳床の後方側である上前側が、ストッパーに当接するように、押しつけ部材によって、畳床の前方側である下前側が押し込まれる。
【0031】
この状態で、第1の裁断ステップにおいて、第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である框側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0032】
そして、裁断位置調整ステップにおいて、畳床旋回ステップで90°旋回した畳床に対して、アーム部材を左右方向から畳床の左右の端部である上前側と下前側に当接して、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動させることができる。
【0033】
この状態で、第2の押しつけステップで、裁断位置調整ステップで畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動された畳床に対して、畳床の後方側である框側が、ストッパーに当接するように押し込まれるので、畳床を所定位置に配置することができる。
【0034】
さらに、この状態で、第2の裁断ステップにおいて、第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である上前側と下前側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0035】
従って、半畳用の縁なし畳などの半畳畳を製造する場合、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床の上前側、下前側、框側を敷き込む部屋の寸法に合致する所定の寸法に裁断することができる。
【0036】
また、人手による畳床の煩雑な旋回作業が不要となり、作業工程が少なく、手間とコストがかかることなく、しかも、旋回方向を間違えるおそれがなく、仕上げ寸法が正確で、装置が大型化することもない。
【0037】
また、上前側切断ライン、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0038】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記第1の裁断ステップの際に、前記挿入された畳床の後方側である上前側から下前側の距離T1を測定する第1の幅測定ステップを備え、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、裁断位置調整ステップにおいて、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定の裁断位置に移動させるように構成したことを特徴とする。
【0039】
このように構成することによって、第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、裁断位置調整ステップにおいて、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定の裁断位置に移動させることができ、正確に畳床を裁断することができる。
【0040】
また、本発明の畳床の裁断装置は、前記アーム部材の先端に、伸縮自在な調整当接部材を備えることを特徴とする。
【0041】
このように構成することによって、裁断位置調整ステップにおいて、アーム部材の先端に設けた伸縮自在な調整当接部材を伸縮させることによって、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定の裁断位置により正確に移動させることができ、正確に畳床を裁断することができる。
【0042】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の上前側が位置する一方のアーム部材を、畳床の上前側に当接した状態で、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに移動させるように構成したことを特徴とする。
【0043】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の上前側が位置する一方のアーム部材を、畳床の上前側に当接した状態で、前記一方のアーム部材の調整当接部材を伸張して、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに移動させるように構成したことを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、裁断位置調整ステップにおいて、畳床の上前側が位置する一方のアーム部材を、畳床の上前側に当接した状態で、一方のアーム部材の調整当接部材を伸張して、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに正確に移動させることができ、正確に畳床の上前側を裁断することができる。
【0045】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部から距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であることを特徴とする。
【0046】
このように構成することによって、上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部から距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であるので、上前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0047】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記裁断位置調整ステップにおいて、
前記畳床の下前側が位置する他方のアーム部材を、畳床の下前側に当接した状態を解除して、
前記第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、前記畳床の下前側が位置する他方の裁断ユニットを、下前側裁断位置Bまで移動させるように構成したことを特徴とする。
【0048】
このように構成することによって、畳床の下前側が位置する他方のアーム部材を、畳床の下前側に当接した状態を解除して、畳床の下前側が位置する他方の裁断ユニットを、下前側裁断位置Bまで移動させることができ、畳床の下前側を下前側切断ラインに沿って正確に裁断することができる。
【0049】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記下前側裁断位置Bが、裁断前の下前側端部から距離X2だけ離間し位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であることを特徴とする。
【0050】
このように構成することによって、下前側裁断位置Bが、裁断前の下前側端部から距離X2だけ離間し位置であって、畳床の縫い目から外れる位置であるので、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、下前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0051】
また、本発明の畳床の裁断装置は、
前記下前側裁断位置Bが、
前記畳床の縫い目の間の幅をYとして、
前記上前側裁断位置Aから、下前側裁断位置B方向の最初の縫い目との間の距離C1として、
前記下前側裁断位置Bから、上前側裁断位置A方向の最初の縫い目との間の距離C2として、
畳床の上前側から下前側までの仕上げ距離Dとし、
nを1以上の任意の整数として場合に、
D=C1+nY+C2
の関係を満たす位置に設定されていることを特徴とする。
【0052】
このように構成することによって、上前側裁断位置A、下前側裁断位置Bが、畳床の縫い目から外れる位置であるので、上前側切断ライン、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側、下前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0053】
また、本発明の畳床の裁断装置は、前記挿入された畳床の上前側と框側のなす角度が直角である位置に応じて、前記畳床旋回ステップにおいて、畳床を90°旋回する旋回方向が決定されるように構成したことを特徴とする。
【0054】
このように構成することによって、入力された畳床の上前側と框側のなす角度が直角である位置に応じて、前記畳床旋回ステップにおいて、畳床を90°旋回する旋回方向が決定されるので、人手による畳床の煩雑な旋回作業が不要となり、作業工程が少なく、手間とコストがかかることなく、しかも、旋回方向を間違えるおそれがなく、仕上げ寸法が正確で、装置が大型化することもない。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、第1の押しつけステップで、挿入された畳床の後方側である上前側が、ストッパーに当接するように、押しつけ部材によって、記畳床の前方側である下前側を押し込まれる。
【0056】
この状態で、第1の裁断ステップにおいて、第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である框側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0057】
そして、裁断位置調整ステップにおいて、畳床旋回ステップで90°旋回した畳床に対して、アーム部材を左右方向から畳床の左右の端部である上前側と下前側に当接して、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動させることができる。
【0058】
この状態で、第2の押しつけステップで、裁断位置調整ステップで畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動された畳床に対して、畳床の後方側である框側が、ストッパーに当接するように押し込まれるので、畳床を所定位置に配置することができる。
【0059】
さらに、この状態で、第2の裁断ステップにおいて、第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である上前側と下前側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0060】
従って、半畳用の縁なし畳などの半畳畳を製造する場合、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床の上前側、下前側、框側を敷き込む部屋の寸法に合致する所定の寸法に裁断することができる。
【0061】
また、人手による畳床の煩雑な旋回作業が不要となり、作業工程が少なく、手間とコストがかかることなく、しかも、旋回方向を間違えるおそれがなく、仕上げ寸法が正確で、装置が大型化することもない。
【0062】
また、上前側切断ライン、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】
図1は、本発明の畳床の裁断装置の正面図である。
【
図3】
図3は、
図1の畳床の裁断装置のI方向の側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の畳床の裁断装置の押しつけ機構18の部分拡大図である。
【
図5】
図5は、本発明の畳床の裁断装置の作動を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図13】
図13は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図14】
図14は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図15】
図15は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図16】
図16は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図17】
図17は、本発明の別の実施例の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【
図18】
図18は、半畳畳を敷き詰める場合を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0065】
図1は、本発明の畳床の裁断装置の正面図、
図2は、
図1の畳床の裁断装置の上面図、
図3は、
図1の畳床の裁断装置のI方向の側面図、
図4は、
図1の畳床の裁断装置の押しつけ機構18の部分拡大図、
図5は、本発明の畳床の裁断装置の作動を説明するフローチャート、
図6~
図16は、本発明の畳床の裁断装置の作動を模式的に説明する概略図である。
【0066】
図1~
図4において、符号10は、全体で本発明の畳床の裁断装置を示している。
【0067】
本発明の畳床の裁断装置10は、裁断装置本体12を備えている。この裁断装置本体12は、架台フレーム14を備えており、架台フレーム14上には、前方側架台フレーム14aと後方側フレーム14bとの間に、その中央部分に配設された中央フレーム14cが配置されている。
【0068】
そして、
図1~
図2に示したように、後述する裁断ユニット32の内側側方の後方にそれぞれ、1個のストッパー16が配置されている。
【0069】
このストッパー16は、後述するように、畳床200を挿入する際には、
図3に示したように、既に、図示しない駆動機構によって、後方側(奥側)に移動した状態で、所定の準備位置に位置しており、裁断装置本体12の前方側から挿入された畳床200に対して、挿入された畳床200の後方側に当接するように構成されている。
【0070】
そして、このストッパー16の前方側(手前側)に、押しつけ機構18が配置されている。
【0071】
この押しつけ機構18は、移動用駆動シリンダー20によって、中央フレーム14c上を、案内レール22に沿って、裁断装置本体12の前方側から後方側に、前後方向に移動可能な押しつけ装置24を備えている。
【0072】
また、押しつけ装置24には、駆動シリンダー26の伸縮によって、押し付け位置(
図4の実線)から、待避位置(
図4の点線の間で、
図3、
図4の矢印Eで示したように、リンク部材28の作動により傾動可能な押しつけ部材30を備えている。
【0073】
この押しつけ部材30は、挿入された畳床200の後方側が、ストッパー16に当接するように、畳床200の前方側を、押し付け位置(
図4の実線)の状態で、
図4の矢印Cの方向に前後方向に移動して、畳床200を押し込むように構成されている。
【0074】
また、裁断装置本体12は、
図1、
図2に示したように、挿入された畳床200の左右の幅に合わせて、相互に左右から接離する方向に、移動自在な左右一対の裁断ユニット32を備えている。
【0075】
すなわち、
図1に示したように、これらの裁断ユニット32は、前方側架台フレーム14aと後方側フレーム14bに設けられた案内レール14d、14eに沿って、駆動モーター、シリンダー機構などから構成される図示しない駆動機構によって、
図1、
図2の矢印Aで示したように、相互に左右から接離する方向に、移動自在に構成されている。
【0076】
また、
図1、
図3に示したように、これらの裁断ユニット32には、挿入された畳床を押さえるために、シリンダー駆動機構36によって、上下動可能で前後方向に延びる畳床押さえ部材38が備えられている。
【0077】
さらに、これらの裁断ユニット32には、
図1、
図3に示したように、前後方向に延びるガイドレール40に沿って、駆動モーターなどから構成される駆動機構41によって、前後方向(
図3の矢印D方向)に移動自在で、挿入された畳床200の左右の端部を裁断する裁断機構42が備えられている。
【0078】
この裁断機構42には、駆動モーター44で回転する裁断刃46を備えている。この実施例の場合には、裁断刃46は、
図3に示したように、二つの裁断刃から、構成されている。
【0079】
すなわち、駆動モーター44aにより回転する、例えば、チップソーから構成され、垂直裁断刃を構成する小径の上流側裁断刃46aと、駆動モーター44bにより回転する、例えば、回転円形刃からなる傾斜裁断刃を構成する下流側の大径の下流側裁断刃46bを用いて裁断するようになっている。
【0080】
なお、この上流側裁断刃46aと、下流側裁断刃46bの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、チップソー、八角刃、円形刃など適宜組み合わせて使用すれば良い。
【0081】
また、この場合、駆動機構41は、畳床押さえ部材38のシリンダー駆動機構36の作動によって、畳床押さえ部材38とともに、上下動するように構成されている。
【0082】
さらに、
図1~
図4に示したように、中央フレーム14cには、裁断刃46で左右の端部が裁断された畳床200に対して、畳床200の下方側から、図示しない駆動機構によって、上方向に移動して、畳床200を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回するように構成した上下動可能な旋回テーブル48が備えられている。
【0083】
この場合、旋回テーブル48は、
図4の矢印Fで示したように、前後方向にも移動できるようになっており、畳床200の中央部分に移動して、畳床200を載置し易い位置に移動するように構成されている。
【0084】
なお、この畳床200を載置した状態で90°旋回する際には、ストッパー16、押しつけ部材30は、待避位置に移動されている。
【0085】
また、
図1の矢印Bに示したように、旋回テーブル48で旋回された畳床200に対して、左右方向から畳床の左右の端部に当接して、畳床の左右の端部を所定裁断位置に移動させる左右一対の旋回自在なアーム機構50が備えられている。
【0086】
これらのアーム機構50には、駆動機構51によって、回動軸52を中心に回動するアーム部材54を備えている。さらに、このアーム部材54の先端に、伸縮自在な調整当接部材56を備えている。
【0087】
さらに、
図1に示したように、本発明の畳床の裁断装置10は、裁断装置本体12の側方に、例えば、仕上げ寸法などの数値を入力するための操作入力画面を備えた制御装置60を備えている。
【0088】
このように構成される本発明の畳床の裁断装置10は、制御装置60の制御によって、
図5のフローチャート、
図4、
図6~
図16の概略図に示したように作動されるようになっている。
【0089】
なお、一例として、
図18に示したJ部分の畳床を裁断する場合であって、
図6(A)に示したように、実線で示したような未仕上げの畳床200から、点線で示したような仕上げの畳床300を裁断する場合について説明する。
【0090】
すなわち、
図6(A)に示したように、仕上げの畳床300の上前側D0に対して、一方の框側D2が直角(くせなし)で、他方の框側D3にくせがあり、上前側D0が框側D3と直角でない場合を示している。
【0091】
先ず、作業員が、畳床の裁断装置10の裁断装置本体12の前方側から、未仕上げの畳床200を挿入する。
【0092】
そして、ステップS1において、先ず、制御装置60の操作入力画面に、例えば、仕上げの畳床300の仕上げ寸法などの数値を入力するとともに、開始ボタンを押す入力ステップが行われる。
なお、この場合、もちろん仕上げ寸法などの数値の入力は、例えば、LAN、無線LANなどの通信手段を用いて、例えば、スマートフォンなどの携帯端末、パソコンなどから、自動的に入力するようにしてもかまわない。
【0093】
次に、ステップS2において、ステップS1で入力された入力データーに基づいて、挿入された畳床200の左右の幅に合わせて、左右一対の裁断ユニット32を、移動させる裁断ユニット移動ステップが行われる。
【0094】
そして、ステップS3において、
図4、
図7に示したように、挿入された畳床200の後方側(奥側)である上前側202が、ストッパー16に当接するように、押しつけ部材によって、畳床の前方側(手前側)である下前側204を押し込む第1の押しつけステップが行われる。
【0095】
すなわち、押しつけ装置24の押しつけ部材30を、駆動シリンダー26の伸縮によって、待避位置(
図4の点線)から、押し付け位置(
図4の実線)に傾動させる。
【0096】
そして、この押しつけ部材30は、挿入された畳床200の後方側である上前側202が、ストッパー16に当接するように、畳床200の前方側である下前側204を、押し付け位置(
図4の点線)の状態となるように、
図4の矢印C方向に後方方向に移動させて、畳床200を押し込む。
【0097】
次に、ステップS4において、ステップS3の第1の押しつけステップで、所定位置に配置された畳床200に対して、シリンダー駆動機構36によって、裁断ユニット32の畳床押さえ部材38が下降して、畳床を押さえる第1の畳床押さえステップが行われる。
【0098】
そして、ステップS5において、
図8の矢印Hで示したように、ステップS4の第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床200の左右の端部である框側206、208を、裁断ユニット32の裁断刃46によって裁断する第1の裁断ステップが行われる。
【0099】
すなわち、駆動モーターなどから構成される駆動機構41を作動して、
図1、
図3に示したように、前後方向に延びるガイドレール40に沿って、駆動モーター44によって、回転する裁断刃46を、後ろ方向(
図8の矢印H)に移動させて、畳床200の左右の端部である框側206、208を裁断する。
【0100】
これにより、
図6(A)に示したように、仕上げの畳床300の上前側D0に対して、直角である一方の框側D2と、くせを有する他方の框側D3が形成される。
【0101】
また、
図9に示したように、ステップS6において、ステップS5の第1の裁断ステップの際に、挿入された畳床200の後方側である上前側202から、畳床200の前方側である下前側204の距離T1を測定する第1の幅測定ステップが行われる。
【0102】
すなわち、例えば、図示しない光センサーなどの検知センサーを用いて、挿入された畳床200の端面を、ストッパー16と押しつけ部材30で挟んでいるか否かについての検知と、押しつけ部材30の移動量に基づいて、ストッパー16と押しつけ部材30との間の距離を測定することによって、畳床200の後方側である上前側202から、畳床200の前方側である下前側204の距離T1を測定するようになっている。
【0103】
次に、ステップS7において、ステップS5の第1の裁断ステップで畳床200の左右の端部である框側206、208が裁断された畳床200に対して、裁断ユニット32の畳床押さえ部材38が上昇して、畳床200の押さえを解除する第1の畳床押さえ解除ステップが行われる。
【0104】
そして、
図10に示したように、ステップS8において、ステップ6において第1の畳床押さえ解除ステップで畳床200の押さえが解除された畳床200に対して、旋回テーブル48が、畳床200の下方側から、上方向に移動して、畳床200を載置した状態で90°旋回して、畳床を90°旋回する畳床旋回ステップが行われる。
【0105】
なお、この場合、旋回テーブル48の中心Pは、ステップS6(第1の幅測定ステップ)において計測された挿入された畳床200の後方側である上前側202から、畳床200の前方側である下前側204の距離T1の略中間位置(T1/2の位置)に位置するように予め移動されている。
【0106】
この場合、制御装置60の制御によって、ステップS1で入力された入力データーに基づいて、挿入された畳床200の上前側202と框側のなす角度が直角である位置に応じて、ステップS8の畳床旋回ステップにおいて、畳床を90°旋回する旋回方向が決定されるように構成されている。
【0107】
すなわち、この実施例では、
図6(A)に示したように、仕上げの畳床300の上前側D0に対して、一方の框側D2が直角(くせなし)で、他方の框側D3にくせがあるので、
図6(A)の矢印Gで示したように、時計方向に90°旋回して、仕上げの畳床300の上前側D0(すなわち、畳床200の上前側202)が、右側に位置するように旋回される。
【0108】
この状態では、
図6(B)に示したように、仕上げの畳床300の一方の框側D2が、ストッパー16側に位置することになる。
【0109】
従って、仕上げの畳床300の上前側D0(すなわち、畳床200の上前側202)と、ストッパー16側に位置する方の框側D2との間のなす角度が直角である。
【0110】
この状態で、ステップS9において、
図11に示したように、ステップS8の畳床旋回ステップで90°旋回した畳床200に対して、アーム部材54を左右方向から畳床200の左右の端部である、右側に位置する畳床200の上前側202、左側に位置する畳床200の下前側204に当接して、畳床200の左右の端部である上前側202と下前側204を所定裁断位置に移動させる裁断位置調整ステップが行われる。
【0111】
すなわち、この実施例では、第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、裁断位置調整ステップにおいて、畳床200の上前側202が位置する一方のアーム部材54(この実施例では、右側のアーム部材54)を、畳床200の上前側202に当接した状態で、畳床200の一方の端部である上前側202を、裁断刃46が位置する上前側裁断位置Aに移動させるようになっている。
【0112】
また、この場合、
図12に示したように、畳床200の上前側202が位置する一方のアーム部材54(この実施例では、右側のアーム部材54)を、畳床200の上前側202に当接した状態で、右側のアーム部材54の調整当接部材56を伸張して、畳床200の一方の端部である上前側202を上前側裁断位置Aに移動させるように構成されている。
【0113】
このように構成することによって、裁断位置調整ステップにおいて、畳床200の上前側202が位置する一方のアーム部材54を、畳床200の上前側202に当接した状態で、一方のアーム部材54の調整当接部材56を伸張して、畳床の一方の端部である上前側を上前側裁断位置Aに正確に移動させることができ、正確に畳床200の上前側202を裁断することができる。
【0114】
この場合、
図13に示したように、上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部202aから距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目Fから外れる位置であるように設定されている。
【0115】
このように構成することによって、上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部202aから距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目Fから外れる位置であるので、上前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがない。
【0116】
しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0117】
なお、図示しないが、同様に、畳床200の下前側204が位置する他方のアーム部材54(この実施例では、左側のアーム部材54)を、畳床200の下前側204に当接した状態で、左側のアーム部材54の調整当接部材56を伸張して、畳床200の他方の端部である下前側204を移動させるように構成されている。
【0118】
なお、
図14に示したように、この裁断位置調整ステップにおいて、いったん、左側のアーム部材54を回動して、畳床200の下前側204に当接した状態から解除するようになっている。そして、第1の裁断ステップにおいて測定された距離T1に応じて、畳床200の下前側204が位置する他方の裁断ユニット32を、下前側裁断位置Bまで移動させるように構成されている。
【0119】
次に、この状態で、ステップS10において、
図15に示したように、ステップS9において、裁断位置調整ステップで畳床200の左右の端部である上前側202と下前側204を所定裁断位置に移動された畳床200に対して、畳床200の後方側である框側206(一方の框側D2)が、ストッパー16に当接するように、押しつけ部材30によって、畳床200の前方側である框側(他方の框側D2)を押し込む第2の押しつけステップが行われる(
図6(B))。
【0120】
なお、この場合、
図15に示したように、予め入力されたデーターに基づいて、押しつけ部材30と当接する框側D3(畳床200の框側208)の傾斜角度(くせ)に合わせて、押しつけ部材30を傾斜させて当接するようにすれば良い。
【0121】
さらに、ステップS11において、図示しないが、ステップS10の第2の押しつけステップで所定位置に配置された畳床200に対して、裁断ユニット32の畳床押さえ部材38が下降して、畳床200を押さえる第2の畳床押さえステップが行われる。
【0122】
次に、ステップS12において、
図16の矢印Hに示したように、ステップS11の第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床200の左右の端部である上前側202と下前側204を、裁断ユニット32の裁断刃46によって裁断する第2の裁断ステップが行われる。
【0123】
これにより、畳床200の左右の端部である上前側202と下前側204が、
図6(B)に示したように裁断されて、仕上げの畳床300の上前側D0(すなわち、畳床200の上前側202)、仕上げの畳床300の下前側D1(すなわち、畳床200の下前側204)が形成されることになる。
【0124】
以上のステップが、仕上げの畳床300を取り出して、新しい別の畳床200を裁断する際に、繰り返し行われるようになっている。
【0125】
このように構成される本発明の畳床の裁断装置10によれば、第1の押しつけステップで、挿入された畳床の後方側である上前側が、ストッパーに当接するように、押しつけ部材によって、畳床の前方側である下前側が押し込まれる。
【0126】
この状態で、第1の裁断ステップにおいて、第1の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である框側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0127】
そして、裁断位置調整ステップにおいて、畳床旋回ステップで90°旋回した畳床に対して、アーム部材を左右方向から畳床の左右の端部である上前側と下前側に当接して、畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動させることができる。
【0128】
この状態で、第2の押しつけステップで、裁断位置調整ステップで畳床の左右の端部である上前側と下前側を所定裁断位置に移動された畳床に対して、畳床の後方側である框側が、ストッパーに当接するように押し込まれるので、畳床を所定位置に配置することができる。
【0129】
さらに、この状態で、第2の裁断ステップにおいて、第2の畳床押さえステップで押さえられた畳床の左右の端部である上前側と下前側を、裁断ユニットの裁断刃によって裁断することができる。
【0130】
従って、半畳用の縁なし畳などの半畳畳を製造する場合、畳表を縫い付ける前、または、畳表を張り付ける前に、畳床の裁断装置によって、畳床の上前側、下前側、框側を敷き込む部屋の寸法に合致する所定の寸法に裁断することができる。
【0131】
また、人手による畳床の煩雑な旋回作業が不要となり、作業工程が少なく、手間とコストがかかることなく、しかも、旋回方向を間違えるおそれがなく、仕上げ寸法が正確で、装置が大型化することもない。
【0132】
また、上前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
(実施例2)
【0133】
図17は、本発明の別の実施例の畳床の裁断装置の作動を説明する概略図である。
【0134】
実施例1と同じ構成部材については、同じ参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0135】
実施例1のように、本発明の畳床の裁断装置10において、一例として、
図18に示したJ部分の畳床を裁断する場合、または、その他の配置位置の畳床を裁断する場合には、上前側裁断位置Aが、裁断前の上前側端部202aから距離X1だけ離間した位置であって、畳床の縫い目Fから外れる位置であるが、仕上げの畳床300の下前側D1(すなわち、畳床200の下前側204)はくせがあるので、下前側裁断位置Bは、畳床の縫い目Fと重なってしまう場合がある。
【0136】
この実施例の畳床の裁断装置10では、
図18に示したH部分の四隅が直角である畳床200を裁断する場合について、説明する。
【0137】
図17に示したように、下前側裁断位置Bが、裁断前の下前側端部204aから距離X2だけ離間した位置であって、畳床200の縫い目Fから外れる位置であるように構成されている。
【0138】
このように構成することによって、下前側裁断位置Bが、裁断前の下前側端部204aから距離X2だけ離間した位置であって、畳床200の縫い目Fから外れる位置であるので、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、下前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0139】
具体的には、
図17に示したように、下前側裁断位置Bが、
畳床200の縫い目の間の幅をYとして、
上前側裁断位置Aから、下前側裁断位置B方向の最初の縫い目F1との間の距離C1として、
下前側裁断位置Bから、上前側裁断位置A方向の最初の縫い目F2との間の距離C2として、
畳床200の上前側202から下前側204までの仕上げ距離Dとし、
nを1以上の任意の整数として場合に、
D=C1+nY+C2
の関係を満たす位置に設定されている。
【0140】
このように構成することによって、上前側裁断位置A、下前側裁断位置Bが、畳床の縫い目から外れる位置であるので、上前側切断ライン、下前側切断ラインが、畳床の縫い目Fと重なることがなく、縫い糸を切断することがなく、縫い穴に重なってしまうことがなく、しかも、畳表を仕上がった畳床の表面に畳表を縫い付け、または、張り付けた際に、上前側、下前側が凸凹にならず、見栄えが良好で、上前側、下前側の直線性も良好で、畳を敷き詰めた際に、隙間が空くこともない。
【0141】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、畳床の裁断装置10において、ステップS6において、ステップS5の第1の裁断ステップの際に、挿入された畳床200の後方側である上前側202から、畳床200の前方側である下前側204の距離T1を測定する第1の幅測定ステップが行われるようにしている。
【0142】
しかしながら、ステップS3の第1の押しつけステップの際に、挿入された畳床200の後方側である上前側202から、畳床200の前方側である下前側204の距離T1を測定する様にしても良いなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、例えば、半畳用の縁無し畳の畳に用いられる半畳のサイズの畳床の裁断装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0144】
10 裁断装置
12 裁断装置本体
14 架台フレーム
14a 前方側架台フレーム
14b 後方側フレーム
14c 中央フレーム
14d、14e 案内レール
16 ストッパー
18 押しつけ機構
20 移動用駆動シリンダー
22 案内レール
26 駆動シリンダー
28 リンク部材
30 部押しつけ材
32 裁断ユニット
36 シリンダー駆動機構
38 畳床押さえ部材
40 ガイドレール
42 裁断機構
44 駆動モーター
44a 駆動モーター
44b 駆動モーター
46 裁断刃
46a 上流側裁断刃
46b 下流側裁断刃
48 旋回テーブル
50 アーム機構
51 駆動機構
52 回動軸
54 アーム部材
56 調整当接部材
60 制御装置
100 畳床
200 畳床
202 上前側
204 下前側
204a 下前側端部
206 框側
206、208 框側
300 畳床
A 上前側裁断位置
B 下前側裁断位置
P 中心