(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】同期制御装置および同期制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/242 20110101AFI20220228BHJP
H04H 20/44 20080101ALI20220228BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H04N21/242
H04H20/44
H04L7/00 990
(21)【出願番号】P 2018077398
(22)【出願日】2018-04-13
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】山影 朋夫
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-042019(JP,A)
【文献】特表2017-521941(JP,A)
【文献】国際公開第2017/026248(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04H 20/00 - 20/46
H04L 7/00 - 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送システムまたは配信システムにおける伝送系を構成する各系統において、STCカウンタ値を、TAI(Temps Atomique International:国際原子時)時刻に基づいて同期させる同期制御装置であって、
プロセッサまたは専用の演算回路を備え、
前記プロセッサまたは専用の演算回路は、前記STCカウンタ値がラップする時間長さを決定し、前記TAI時刻に対する前記時間長さの剰余を算出し、前記剰余を、前記STCカウンタ値に変換することによって、前記STCカウンタ値を決定
し、
前記STCカウンタ値は、第1の周波数のbaseと、第2の周波数のextensionとからなるPCR(program clock Reference)値である、同期制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサまたは専用の演算回路は、前記剰余を算出する場合、前記時間長さを整数倍して得られる整数または有限小数の剰余を算出する、請求項1に記載の同期制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサまたは専用の演算回路は、前記整数または有限小数の剰余を算出する場合、前記有限小数で剰余を算出するのであれば、前記有限小数が整数となるように、前記TAI時刻および前記有限小数を10
n倍(nは自然数)する、請求項2に記載の同期制御装置。
【請求項4】
前記各系統は、同一の構成からなる第1の系統と第2の系統とを含み、
前記第1の系統と前記第2の系統はそれぞれ、エンコーダと多重化装置とを含み、
前記第1の系統および前記第2の系統における前記エンコーダに、または前記第1の系統および前記第2の系統における前記多重化装置に、または前記第1の系統および前記第2の系統における前記エンコーダと前記多重化装置との両方に備えられた、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の同期制御装置。
【請求項5】
放送システムまたは配信システムにおける伝送系を構成する各系統において、STCカウンタ値を、TAI(Temps Atomique International:国際原子時)時刻に基づいて同期させる同期制御方法であって、
前記各系統において、
前記STCカウンタ値がラップする時間長さを決定する工程と、
前記TAI時刻に対する前記時間長さの剰余を算出する工程と、
前記剰余を、前記STCカウンタ値に変換することによって、前記STCカウンタ値を決定する工程とを含
み、
前記STCカウンタ値は、第1の周波数のbaseと、第2の周波数のextensionとからなるPCR(program clock Reference)値である、同期制御方法。
【請求項6】
前記剰余を算出する工程は、前記時間長さを整数倍して得られる整数または有限小数の剰余を算出する工程を含む、請求項
5に記載の同期制御方法。
【請求項7】
前記整数または有限小数の剰余を算出する工程は、前記有限小数で剰余を算出する場合、前記有限小数が整数となるように、前記TAI時刻および前記有限小数を10
n倍(nは自然数)する工程を含む、請求項
6に記載の同期制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、地上デジタル放送システム、衛星放送システム、IP再送信システムなど、放送システムや配信システムにおける系統間の同期制御のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地上デジタル放送システム、衛星放送システム、IP再送信システムなどの放送システムや配信システムでは、装置故障や放送中の装置メンテナンスを想定して冗長系統が構築されている。
【0003】
この種の冗長系統において、系統間でシームレスな系統切替を実施するためには、系統間でTS(Transport Stream)(T-STDモデル)のSTC(System Time Clock)カウンタ値を同期させることが必須となる。
【0004】
STCカウンタ値を同期させるためには、まずSTCカウンタ値をサンプリングし、PCR(Program Clock Reference)として、TSのPCRパケット形式で各装置(例えば、MPEGエンコーダ、TS多重化装置)に入力することによって、それぞれの装置内部のSTCカウンタ値を同期させている。
【0005】
このPCRパケット信号はDVB-ASIインターフェース(同軸ケーブル)によって各装置へ分配される。また、映像・音声・補助信号が、別途SDIインターフェース(同軸ケーブル)によって装置間を移動する。
【0006】
近年、Media over IP(以下、「MoIP」)と略す)と称するIPパケット(イーサネット(登録商標))を用いた映像音声伝送方式の規格化が進められている。これに関連してSMPTEでは、映像・音声・補助情報の伝送(SMPTE ST 2022、2110)に加え、時刻情報であるPTPを用いた同期信号の生成(SMPTE ST 2059)も規格化されている。
【0007】
TSを用いて冗長系統を構築するためには、前述したように系統間でのSTCカウンタ値のクロック同期が必要である。PTP(Picture Transfer Protocol)から再生した時刻情報から、STCカウンタを動作させるクロックを同期させる手法が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際特許出願WO2017/026248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1で開示される従来の手法では、STCカウンタを動作させるクロックを同期させるものであり、TSの冗長切替に必要なSTCカウンタ値を同期させることができない。そのため、従来型の地上デジタル放送システム映像音声伝送はIP(MoIP)、STCカウンタ値は同軸ケーブルによる伝送としなければ、TSの冗長切替ができなかった。
【0010】
従って、TSを用いて冗長系統が構築された放送システム(CATV等を含む)や配信システムでは、全てのインターフェースをIP化すること(IPパケットを用いてインターフェースを構築すること)ができず、同軸ケーブルによる信号配分が残るという問題がある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、インターフェースがIP化された放送システムまたは配信システムにおける系統間のシームレスな切替の実現のために、STCカウンタ値を同期させることが可能な同期制御装置および同期制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態の同期制御装置は、放送システムまたは配信システムにおける伝送系を構成する各系統において、STCカウンタ値を、TAI(Temps Atomique International:国際原子時)時刻に基づいて同期させる同期制御装置であって、プロセッサまたは専用の演算回路等を備え、プロセッサまたは専用の演算回路等は、STCカウンタ値がラップする時間長さを決定し、TAI時刻に対する時間長さの剰余を算出し、剰余を、STCカウンタ値に変換することによって、STCカウンタ値を決定し、STCカウンタ値は、第1の周波数のbaseと、第2の周波数のextensionとからなるPCR(program clock Reference)値である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される圧縮多重系制御装置の一例を示す構成図である。
【
図2】第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される圧縮多重系制御装置の別の一例を示す構成図である。
【
図3】第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用されるエンコーダの構成例を示す概念図である。
【
図4】第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される多重化装置の構成例を示す概念図である。
【
図5】第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用されるエンコーダの構成例を示す概念図である。
【
図6】第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される多重化装置の構成例を示す概念図である。
【
図7】第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が実現されるSTCカウンタ部と時刻再生部との詳細構成例を示す機能ブロック図である。
【
図8】時刻再生部の後段に設けられた音声フレーム番号算出部、映像フィールド番号算出部、および映像フレーム番号算出部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施形態の同期制御方法および同期制御装置を、図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置について説明する。
【0016】
(圧縮多重系制御装置)
図1は、第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される圧縮多重系制御装置の一例を示す構成図である。
【0017】
図1に示す圧縮多重系制御装置10は、例えば地上デジタル放送システム、衛星放送システム、IP再送信システムなど、放送システムまたは配信システムに備えられる装置であって、映像音声およびPTPパケットを圧縮符号化し、地上デジタル放送方式に準拠した放送TS信号を生成し、送信設備へ出力する装置である。
【0018】
圧縮多重系制御装置10は、冗長化のために、同一の構成をしている現用系システム20Aと予備系システム20Bとを備えており、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれが、複数のエンコーダ22(#1)~(#4)と、多重化装置24と、スクランブラ25とを備えている。
【0019】
現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間でのシームレスな系統切替のために、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24同士で、STCカウンタ値を同期させる必要がある。このため、本実施形態の同期制御装置は、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24に組み込まれ、両システム20A、20Bにおけるエンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24において本実施形態の同期制御方法が実施される。なお、エンコーダ22(#1)~(#4)および多重化装置24において実施される同期制御の詳細については、後述するエンコーダ22および多重化装置24に関する詳細説明において説明する。
【0020】
圧縮多重系制御装置10はまた、現用系システム20Aと予備系システム20Bとに共通して設けられたフレーム切替装置30を備えている。
【0021】
圧縮多重系制御装置10はさらに、圧縮多重系制御装置10の外部に設けられたPTPサーバ60から提供されたPTPパケットを、複数のエンコーダ22(#1)~(#4)、多重化装置24、およびフレーム切替装置30へ分配するPTP分配装置40を備えている。
【0022】
圧縮多重系制御装置10はさらにまた、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)フレーム同期信号を生成し、生成したISDB-Tフレーム同期信号を多重化装置24へ出力するフレーム同期信号生成装置50を備えている。なお、ここではISDB-Tを例としているが、ISDB-S、ATSC(Advanced Television Systems Committee standards)やDVB(Digital Video Broadcasting)方式などのTSを用いた放送方式に適用することができる。
【0023】
エンコーダ22(#1)(HDエンコーダ)、エンコーダ22(#2)(SD1エンコーダ)、エンコーダ22(#3)(SD2エンコーダ)、およびエンコーダ22(#4)(ワンセグエンコーダ)はそれぞれ、PTP分配装置40から分配されたPTPパケット用いて、映像音声を圧縮符号化し、圧縮符号化された映像音声を多重化装置24へ出力する。
【0024】
映像信号およびPTPパケットは、各エンコーダ22(#1)~(#4)それぞれへ、1本のイーサネットケーブルによって入力されて良い。あるいは、エンコーダ22(#1)~(#4)が1つの筐体に集約されている場合には、これらすべてのエンコーダ22(#1)~(#4)へ、1本の共通したイーサネットケーブルによって、各映像信号およびPTPパケットを入力するようにしても良い。なお、
図1は、4つのエンコーダ22を図示しているが、エンコーダ22の数は、4つに限定されず、3つ以下、あるいは、5つ以上であっても良い。
【0025】
多重化装置24は、各エンコーダ22(#1)~(#4)によって圧縮符号化された映像音声を、PTP分配装置40から出力されたPTPパケットと、フレーム同期信号生成装置50から出力されたISDB-Tフレームとを用いて、ISDB-Tフレーム構成を有する放送TS信号に多重化し、スクランブラ25へ出力する。
【0026】
スクランブラ25は、多重化装置24から出力された放送TS信号に対して、スクランブル処理を施し、スクランブル処理された放送TS信号を、フレーム切替装置30へ出力する。
【0027】
フレーム切替装置30は、スクランブラ25から出力された放送TS信号に対して、PTP分配装置40から分配されたPTPパケットを用いて、フレーム位相調整を行い、フレーム位相調整された放送TS信号を、STL伝送装置、OFDM変調器等の送信設備へ出力する。
【0028】
図2は、第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される圧縮多重系制御装置の別の一例を示す構成図である。
【0029】
図2に示す圧縮多重系制御装置10’は、
図1に示す圧縮多重系制御装置10の変形例であり、圧縮多重系制御装置10’は、PTP分配装置40を備えておらず、代わりに、圧縮多重系制御装置10’の外部に、
図1に示すPTPサーバ60と分配装置40とが一体化されたPTPサーバ/分配装置70が設けられている。
【0030】
PTPサーバ/分配装置70は、エンコーダ22(#1)~(#4)、多重化装置24、およびフレーム切替装置30へPTPパケットを出力する。
【0031】
(エンコーダ)
図3は、第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用されるエンコーダ22の構成例を示す概念図である。
【0032】
エンコーダ22は、図示しないプロセッサおよびプログラムメモリを有し、本実施形態を実施するために必要な制御機能として、時刻再生部22a、TAI/STC変換部22b、TSパケット生成タイミング制御部22c、ビデオ/オーディオ/字幕分離部22d(以下、単に「分離部22d」と称する)、ビデオエンコーダ22e1、オーディオエンコーダ22e2、およびTSパケット生成部22fを備えている。なお、これらの制御機能はいずれも上記プログラムメモリに格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0033】
TSパケット生成部22fはさらに、PCRパケット生成部22f1、ビデオパケット生成部22f2、オーディオパケット生成部22f3、字幕パケット生成部22f4、および選択部22f5を備えている。
【0034】
前述したように、エンコーダ22には、映像音声とPTPパケットが入力される。映像音声とPTPパケットは、IPパケットの形式で入力される。また、映像音声は一例として、MoIPパケットである。
【0035】
時刻再生部22aは、入力されたIPパケットに含まれるPTPパケットを受信し、PTPパケット受信時にTAI時刻をサンプリングし、サンプリングしたTAI時刻を、TAI/STC変換部22bへ出力する。TAI時刻は、1970年1月1日を時刻の基準とする時刻である。
【0036】
TAI/STC変換部22bは、時刻再生部22aから出力されたTAI時刻を、STCカウンタ値(PCR値、PTS値、DTS値)に変換する。これらSTCカウンタ値は、系統間での同期制御のために使用される。
【0037】
従って、TAI/STC変換部22bは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれ対応するエンコーダ22において、本実施形態の同期制御方法が実施される同期制御装置として動作する。
【0038】
TAI時刻は一例として、整数秒48bit、小数秒32bitの合計80bitで表現される。現在主流である64bitのCPUでは、80bitを扱う演算を単純に行うことができない。また、TAI時刻では、2のべき乗で正確に表現できない小数(循環小数等)を取り扱うため、マッピング方法が一意になるようにしなければ、異なる機器間でSTCカウンタ値への変換時に誤差が生じる。変換前に一定の規則(例えばミリ秒精度となるよう四捨五入)によりTAI時刻小数部を丸めることにより、64bit演算で扱うことができる。しかし、ミリ秒精度ではSTCカウンタ値で要求される27MHz精度(1クロックが約37ナノ秒)は得られないため、適用するシステムによっては支障を生じる。そこで、本実施形態では、より高い精度でTAI時刻をSTCカウンタ値に変換する方法を示す。各エンコーダ22(#1)~(#4)のTAI/STC変換部22bが、以下に例示するように、64bit演算で計算できる範囲で扱う値の範囲を狭める処理を繰り返し、最後のステップのみで誤差を発生させるようにする。
【0039】
すなわち、この処理では、STCカウンタ値がラップする時間長さ(例えば、233/90,000秒)を決定し、TAI時刻に対する時間長さ(例えば、233/90,000秒)の剰余を算出する。つまり、剰余を算出するために、STCカウンタ値がラップする時間長さ(例えば、233/90,000秒)を整数倍して得られる整数または有限小数の剰余を算出する。ただし、有限小数で剰余を算出する場合、一旦、有限小数が整数となるように、TAI時刻および有限小数を10n倍(nは自然数)する。
【0040】
次に、算出された剰余を、STCカウンタ値(例えば、90kHzのbaseと、27kHzのextensionとからなるPCR値)に変換する。つまり、第1の周波数のbaseと、第2の周波数のextensionとからなるPCR値として、STCカウンタ値を決定する。
【0041】
上記処理の具体例を以下に示す。
【0042】
ここで、TAI時刻は、整数秒は48bit(2進数)であり、小数秒は32bit(0~999,999,999*10-9)であり、実質30bitである。
【0043】
整数秒(48bit)
1234 5678 9ABC(16進表記)
20,015,998,343,868(10進表記)
小数秒(32bit、0~0.999 999 999 (10進表記)の範囲なので実質30bit)
1234 5678(16進表記)
0.305 419 896(10進表記)
10進数表記で、20,015,998,343,868.305 419 896秒を例にして、説明を続ける。
【0044】
この時点で、78(=48+30)bitの精度が必要となり、64bit演算では精度が足りない。
【0045】
233clock@90kHz=95443.7176888888・・・秒は無限小数であるため、5625倍して整数化する。これによって、95,443.7176888888・・・×5,625=536,870,912秒となる。すなわち、536,870,912秒で233clock@90kHzが5,625回ラップ(周回)する。ラップした後は0から再度カウントするため、必要な情報はラップ後の剰余(modulo)となる。
【0046】
これより、536,870,912秒のmoduloを求めて、整数秒のダイナミックレンジを縮小する。
20,015,998,343,868%536,870,912=377,002,684秒
これにより、整数秒部分は0~536,870,911(0x1FFF FFFF)までの29bit幅に削減され、小数部分と併せて59(=29+30)bitの精度となる。余りの秒と小数秒を合わせると、536,870,912.305 419 896秒となる(1)。
【0047】
この段階で、27MHzでのサイクル数を求めると、536,870,912.305 419 896/(1/27,000,000)=1.449 551 463 224 633e+16となる。すなわち、演算精度は64bit必要になる。
【0048】
STCカウンタ値の90kHz部分(base)と27MHz部分(extension)に分離するため、baseは300で割った値(整数)を、extensionは300のmoduloを求めると、
base=(1.449551463224633×1016)/300=48,318,382,107,487
extension=(1.449551463224633×1016)%300=234となる。
【0049】
base部分を16進数で表現すると、0x2BF2 0000 6B5Fであり、33bitを超える部分を捨てる(ラップさせる)と、0x0 0000 6B5F(10進数で27,487)となる。これを、(結果1)とする。
【0050】
なお、一般的な浮動小数の表現は、仮数部が52bit、指数部が11bit、符号が1bitなので、浮動小数点演算を行う時点で、64bit精度の整数を扱うには丸め誤差が生じる。
【0051】
次に、27MHzでのサイクル数を求める前に、更にダイナミックレンジを縮小した場合を示す。
【0052】
前述した(1)をナノ秒で表記すると、536,870,912,305,419,896ナノ秒となる。95443.7176888888・・・ 秒を9倍すると、858,993.4592秒、すなわち858,993,459,200,000ナノ秒となる。ナノ秒を単位として考えると、modulo演算の除数の下5桁が0である。したがって、10万ナノ秒を単位としてmodulo演算を行い、ダイナミックレンジをさらに縮小する。これにより、0~95443.7176888888のレンジになるため、47(=17+30)bitの精度となる。
【0053】
536,870,912,305,4%858,993,459,2(桁区切りのカンマは意図的にナノ秒表記の位置としている)
=5,368,709,123,054%8,589,934,592
=3,054
=305,4(10万ナノ秒)
上記のmoduloと、modulo算出時に無視した下位5桁を併せると、305,419,896ナノ秒となる。この上位6桁は305,419マイクロ秒となる。STCカウンタ値は27MHzでカウントするため(1マイクロ秒で27サイクルをカウント)、そのカウント値は8,246,313サイクルとなる。
【0054】
一方、下位3桁は0.896マイクロ秒なので、0.896×27=24.192サイクルとなり、四捨五入すると24サイクルとなる。これを上記と加算し、8,246,337サイクル@27MHzとなる。
【0055】
STCカウンタ値の90kHz部分(base)と27MHz部分(extension)に分離するため、baseは300で割った値(整数)を、extensionは300のmoduloを求めると、
base=8,246,337/300=27,487
extension = 8,246,337 300=237
となる。
【0056】
ここで、仮に、baseが233を超える値の場合、2進数で表現した下位33bitをbaseとするが、上記の演算結果ではラップ処理は不要である。これを(結果2)とする。
【0057】
(結果1)と(結果2)を比較すると、以下のように、27MHz精度で3クロックのずれがある。
(結果1) 27,487(base)、234(extension)
(結果2) 27,487(base)、237(extension)
映像・音声の復号・提示タイミング(DTS・PTS)の制御は90kHzの精度で良いため、以上の結果より、(結果1)の手法、および(結果2)の手法のどちらを用いても問題ないと考えることができる。
【0058】
しかし、システムクロック(STC(PCR))は27MHzの精度が期待される。したがって、あるシステムを構築する場合、関連するすべての装置で演算方法(精度)を統一することが望ましい。演算精度を機器間で統一することの難易度を考慮すると、(結果1)よりも(結果2)の手法の方が好適な場合がある。
【0059】
特に(結果1)の手法の場合、単なる手順だけでなく、浮動小数点演算部分も統一しておく必要があり、様々なベンダーやプラットフォームで構成されるシステムを考慮すると避けるべきである。
【0060】
TAI/STC変換部22bは、上記の様にして算出されたPCR値をPCRパケット生成部22f1へ、PTS値およびDTS値をビデオパケット生成部22f2へ、PTS値をオーディオパケット生成部22f3へ、PTS値を字幕パケット生成部22f4へそれぞれ出力する。
【0061】
一方、分離部22dは、入力されたIPパケットに含まれる、例えばMoIPパケットのような映像音声から、ビデオデータと、オーディオデータと、字幕データ22e3とを分離し、ビデオデータをビデオエンコーダ22e1へ、オーディオデータをオーディオエンコーダ22e2へ、字幕データ22e3を、字幕パケット生成部22f4へそれぞれ出力する。
【0062】
ビデオエンコーダ22e1は、ビデオデータをエンコードし、エンコードされたビデオデータをビデオパケット生成部22f2へ出力する。
【0063】
オーディオエンコーダ22e2は、オーディオデータをエンコードし、エンコードされたオーディオデータをオーディオパケット生成部22f3へ出力する。
【0064】
PCRパケット生成部22f1は、TSパケット生成タイミング制御部22cによる制御にしたがって、PCRパケットを生成し、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPCR値を付加して、選択部22f5へ出力する。
【0065】
ビデオパケット生成部22f2は、TSパケット生成タイミング制御部22cによる制御にしたがって、ビデオエンコーダ22e1から出力されたビデオデータからビデオパケットを生成し、生成したビデオパケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPTS値および必要に応じてDTS値を付加して、選択部22f5へ出力する。
【0066】
オーディオパケット生成部22f3は、TSデータTSパケット生成タイミング制御部22cによる制御にしたがって、オーディオエンコーダ22e2から出力されたオーディオデータからオーディオパケットを生成し、生成したオーディオパケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPTS値を付加して、選択部22f5へ出力する。
【0067】
字幕パケット生成部22f4は、TSデータTSパケット生成タイミング制御部22cによる制御にしたがって、分離部22dから出力された字幕データ22e3から字幕パケットを生成し、生成した字幕パケットに、TAI/STC変換部22bから出力されたPTS値を付加して、選択部22f5へ出力する。
【0068】
選択部22f5は、PCRパケット生成部22f1から出力されたPCRパケット、ビデオパケット生成部22f2から出力されたビデオパケット、オーディオパケット生成部22f3から出力されたオーディオパケット、および字幕パケット生成部22f4から出力された字幕パケットの何れかを選択して、TSパケットとして出力する。
【0069】
(多重化装置)
図4は、第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される多重化装置24の構成例を示す概念図である。
【0070】
多重化装置24は、図示しないプロセッサおよびプログラムメモリを有し、本実施形態を実施するために必要な制御機能として、時刻再生部24a、TAI/STC変換部24b、PCRパケット生成タイミング制御部24c、PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EGP分離部24d(以下、単に「分離部24d」と称する)、およびTSパケット生成部24fを備えている。なお、これらの制御機能はいずれも上記プログラムメモリに格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0071】
TSパケット生成部24fはさらに、PCRパケット生成部24f1および多重化部24f2を備えている。
【0072】
多重化装置24には、PTPサーバ60やエンコーダ22からのIPパケットが、
図1および
図2に図示されていないIP-SW23を経由して入力される。なお、IPパケットは、PTPサーバ60やエンコーダ22から出力されるものには限定されず、
図1および
図2に図示されていないSI・EPG26から出力されるものが含まれていても良い。
【0073】
時刻再生部24aは、時刻再生部22aと同様の構成をしており、入力されたIPパケットに含まれるPTPパケットを受信し、PTPパケット受信時にTAI時刻をサンプリングし、サンプリングしたTAI時刻を、TAI/STC変換部24bへ出力する。
【0074】
TAI/STC変換部24bは、TAI/STC変換部22bと同様の構成をしており、時刻再生部24aから出力されたTAI時刻を、系統間での同期制御のために使用されるSTCカウンタ値(PCR値)に変換する。このようなSTCカウンタ値は、系統間での同期制御のために使用される。
【0075】
従って、TAI/STC変換部24bは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれ対応する多重化装置24において、本実施形態の同期制御方法が実施される同期制御装置として動作する。
【0076】
TAI/STC変換部24bにおけるPCR値の算出手順は、TAI/STC変換部22bにおける算出手順と同様であるので、重複説明を避ける。
【0077】
TAI/STC変換部24bは、算出されたPCR値をPCRパケット生成部24f1へ出力する。
【0078】
一方、分離部24dは、入力されたIPパケットに含まれる、例えばTS over IPパケットのような映像音声から、PCRパケット24e1、ビデオパケット24e2、オーディオパケット24e3、字幕パケット24e4、PCRパケット24e5、ビデオパケット24e6、オーディオパケット24e7、字幕パケット24e8、およびSI・EPGパケット24e9を抽出し、多重化部24f2へ出力する。
【0079】
PCRパケット生成部24f1は、PCRパケット生成タイミング制御部24cによる制御にしたがって、PCRパケットを生成し、生成したPCRパケットに、TAI/STC変換部24bから出力されたPCR値を付加して、多重化部24f2へ出力する。
【0080】
多重化部24f2は、PCRパケット生成部24f1から出力されたPCRパケット、PCRパケット24e1、ビデオパケット24e2、オーディオパケット24e3、字幕パケット24e4、PCRパケット24e5、ビデオパケット24e6、オーディオパケット24e7、字幕パケット24e8、およびSI・EPGパケット24e9を多重化して、出力する。
【0081】
以上説明したように、圧縮多重系制御装置10および同期制御装置10’は、時刻再生部22a、24aおよびTAI/STC変換部22b、24bを、エンコーダ22および多重化装置24に備えることによって、イーサネットだけで機器間を接続することを可能としながら、STCカウンタ値を同期させることが可能となる。
【0082】
イーサネットでは、IPデータフローを分類できることから、1本のケーブルで、論理的に複数の伝送路を形成することができるので、圧縮多重系制御装置10は、同軸ケーブルの使用から解放される。これにより、複数の同軸ケーブル(SDI、DVB-ASI)で信号を分配することも不要となる。
【0083】
また、STCカウンタ値の同期は、特に、時刻再生部22a、24aおよびTAI/STC変換部22b、24bを備えられたエンコーダ22および多重化装置24において、時刻情報(PTP)から再生した時計から実現させる。これによって、現用系システム20Aにおけるエンコーダ22と、予備系システム20Bにおける対応するエンコーダ22とをそれぞれ、同一のSTCカウンタ値に揃え、同期化することが可能となる。同様に、現用系システム20Aにおける多重化装置24と、予備系システム20Bにおける多重化装置24もまた、同一のSTCカウンタ値に揃え、同期化することが可能となる。これによって、現用系システム20Aと予備系システム20Bとの間のシームレスな系統切替を実現することが可能となる。
【0084】
このように、第1の実施形態の同期制御方法および同期制御装置によれば、PTP(IPパケット/イーサネット)を用いて各装置の時刻同期精度を向上し、さらに、PTPから再生した時刻情報に基づいて装置間のSTCカウンタ値を同期させることができるので、イーサネットケーブルの接続だけで、シームレスな系統切替を実現することが可能となる。
【0085】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置について説明する。
【0086】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、ここでは、第1の実施形態で説明した部位と同一の構成については、第1の実施形態で使用したものと同一の符号によって示すことにより重複説明を避け、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0087】
図5は、第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用されるエンコーダの構成例を示す概念図であり、
図6は、第2の実施形態の同期制御方法および同期制御装置が適用される多重化装置の構成例を示す概念図である。
【0088】
図5に示すエンコーダ22’は、図示しないプロセッサまたは専用の演算回路が、
図3に示すエンコーダ22におけるTAI/STC変換部22bの代わりに、STCカウンタ部22gを実現する点が異なる。
【0089】
また、
図6に示す多重化装置24’は、図示しないプロセッサまたは専用の演算回路が、
図4に示す多重化装置24におけるTAI/STC変換部22bの代わりに、STCカウンタ部24gを実現する点が異なる。
【0090】
STCカウンタ部22gは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれ対応するエンコーダ22’において、本実施形態の同期制御方法が実施される同期制御装置として動作する。
【0091】
STCカウンタ部24gは、現用系システム20Aと予備系システム20Bとのそれぞれ対応する多重化装置24’において、本実施形態の同期制御方法が実施される同期制御装置として動作する。
【0092】
STCカウンタ部22gおよびSTCカウンタ部24gの構成は同一であるので、以下では、
図7を用いて、代表的に、STCカウンタ部22gの構成について説明する。
【0093】
図7は、本実施形態の同期制御装置が実現されるSTCカウンタ部22gとその前段にある時刻再生部22aとの詳細構成例を示す機能ブロック図である。
【0094】
時刻再生部22aは、位相比較器22a1、ループフィルタ22a2、VCO(Voltage-controlled oscillator)22a3、およびTAI時刻カウンタ22a4を備えている。
【0095】
STCカウンタ部22gは、TAI/STC変換部22g1、位相比較器22g2、ループフィルタ22g3、VCO22g4、27MHzカウンタ22g5、およびSTCカウンタ22g6を備えている。
【0096】
STCカウンタ部22gは、TAI時刻の小数部がゼロになった時、27MHzカウンタ22g5を初期リセットする。
【0097】
27MHzカウンタ22g5は、VCO22g4(27MHz±αの精度)が発生するクロックでカウントアップし、27Mサイクルを経過すると0に戻る。
【0098】
時刻再生部22aのTAI時刻カウンタ22a4において、TAI時刻の整数秒がカウントアップする時(もしくはSTCカウンタ部22gの27MHzカウンタ22g5が0に戻る時)、位相比較器22g2で(例えば1秒毎に)両者の位相を比較し、27MHzカウンタ22g5が進んでいる場合は、ループフィルタ22g3を介してVCO22g4の発振周波数を下げ、遅れている場合は上げるように制御する。これは、一般的なPLLの動作と同様である。
【0099】
位相比較器22g2の差が特定の値以下になった時点で、PLLがロック状態になったとみなし、TAI/STC変換部22g1は、TAI時刻をサンプリングしてSTCカウンタ値に変換し、STCカウンタ値の初期値としてロードする。なお、この場合、変換に要する遅延時間を考慮して、初期値を補正することが望ましい。以降、STCカウンタ22g6は、TAI時刻とロックした27MHzで動作する。
【0100】
以降は、STCカウンタ22g6を独立させて動作させるようにし、TAIからSTCカウンタ値の初期値を求めてSTCカウンタ22g6にロードする。STCカウンタ22g6は27MHzで動作するが、TAI時刻カウンタ22a4において、TAI時刻を求めるために、PTPパケットから再生したTAIカウント用クロック(1GHzやその分周)にPLLでロックさせる。
【0101】
STCカウンタ22g6は、90kHz動作のbaseが33bitで、27MHz動作のextensionが9bit(値は0~299)であり、取り扱いが容易ではない。このため、例えば、別途27Mサイクルで周回するカウンタを用意し、1秒毎(秒のカウントアップ毎)に位相比較を行い、VCO22g4(27MHz±αの精度)を制御してロックさせる。
【0102】
STCカウンタ22g6は、PCR、PTS、DTSを載せるパケットを生成する際、STCカウンタ値をサンプリングして用いる。
【0103】
このように、第1の実施形態におけるTAI/STC変換部22b、24bに代えて、STCカウンタ部22g、24gを設け、TAI時刻からSTCカウンタ値の初期値を設定し、STCカウンタを自走させる構成としても、第1の実施形態と同様に、PTPから再生した時刻情報に基づいてSTCカウンタ値を一意に決定することができるので、イーサネットケーブルの接続だけで装置間のSTCカウンタ値を同期させ、もって、シームレスな系統切替を実現することが可能となる。
【0104】
[変形例]
変形例として、TAI時刻に基づいて、音声フレーム番号、映像フィールド番号、および映像フレーム番号を算出する機能を付加したエンコーダ22および多重化装置24について説明する。
【0105】
図8は、時刻再生部22aと、時刻再生部22aに接続された音声フレーム番号算出部22h、映像フィールド番号算出部22i、および映像フレーム番号算出部22jの構成例を示すブロック図である。
【0106】
図8に示す音声フレーム番号算出部22h、映像フィールド番号算出部22i、および映像フレーム番号算出部22jは、時刻再生部22aにそれぞれ並列に接続されており、エンコーダ22に備えられるが、同様に時刻再生部24aに接続されることによって、多重化装置24に備えられても良い。
【0107】
音声フレーム番号算出部22h、映像フィールド番号算出部22i、および映像フレーム番号算出部22jは、それぞれ除算器22h1、22i1、22j1と、整数化部22h2、22i2、22j2とを備えている。除算器22h1、22i1、22j1は、時刻再生部22aのTAI時刻カウンタ22a4によって出力されたTAI時刻を各期間で除し、整数化部22h2、22i2、22j2は、対応する除算器22h1、22i1、22j1によって除された商の整数部を、それぞれ音声フレーム番号、映像フィールド番号、映像フレーム番号とする。この場合、例えば、音声フレーム番号算出部22hについては、48kHz Fsの場合、1音声フレーム期間を1024/48000秒とし、映像フィールド番号算出部22iについては、59.94i信号の場合、1映像フィールド期間を1000/(30*1001)秒とし、映像フレーム番号算出部22jについては、59.94i信号の場合、1映像フレーム期間を1000/(30*1001)秒とするように、演算精度を考慮して各算出部を構成しても良い。
【0108】
また、映像に関しては、SMPTE ST 2059に基づいて生成したB.B.(Black Burst)信号で整数化のタイミングを制御することで、演算精度が低い実装における誤差を抑制することができる。例えば、除算結果の小数部が0.9~0.999・・・の時に、B.B.に基づくVsync(垂直同期信号)がアクティブになった場合は、整数化時に値を切り上げる。また、除算結果が1.0以上になっても、Vsyncがアクティブになるまでは、整数化時に値を更新しないという具合である。
【0109】
このように、音声フレーム番号算出部22h、映像フィールド番号算出部22i、および映像フレーム番号算出部22jを適宜設けることによって、TAI時刻に基づいて、音声フレーム番号、映像フィールド番号、および映像フレーム番号を算出することも可能となる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
10・・圧縮多重系制御装置、10’・・圧縮多重系制御装置、20A・・現用系システム、20B・・予備系システム、22・・エンコーダ、22’・・エンコーダ、22a・・時刻再生部、22a1・・位相比較器、22a2・・ループフィルタ、22a3・・VCO、22a4・・TAI時刻カウンタ、22b・・TAI/STC変換部、22c・・TSパケット生成タイミング制御部、22d・・ビデオ/オーディオ/字幕分離部、22e1・・ビデオエンコーダ、22e2・・オーディオエンコーダ、22e3・・字幕データ、22f・・TSパケット生成部、22f1・・PCRパケット生成部、22f2・・ビデオパケット生成部、22f3・・オーディオパケット生成部、22f4・・字幕パケット生成部、22f5・・選択部、22g・・STCカウンタ部、22g1・・TAI/STC変換部、22g2・・位相比較器、22g3・・ループフィルタ、22g4・・VCO、22g5・・27MHzカウンタ、22g6・・STCカウンタ、22h・・音声フレーム番号算出部、22h1・・除算器、22h2・・整数化部、22i・・映像フィールド番号算出部、22i1・・除算器、22i2・・整数化部、22j・・映像フレーム番号算出部、22j1・・除算器、22j2・・整数化部、23・・IP-SW、24・・多重化装置、24’・・多重化装置、24a・・時刻再生部、24b・・TAI/STC変換部、24c・・PCRパケット生成タイミング制御部、24d・・PCR/ビデオ/オーディオ/字幕/SI・EGP分離部、24e1・・PCRパケット、24e2・・ビデオパケット、24e3・・オーディオパケット、24e4・・字幕パケット、24e5・・PCRパケット、24e6・・ビデオパケット、24e7・・オーディオパケット、24e8・・字幕パケット、24e9・・SI・EPGパケット、24f・・TSパケット生成部、24f1・・PCRパケット生成部、24f2・・多重化部、24g・・STCカウンタ部、25・・スクランブラ、26・・SI・EPG、30・・フレーム切替装置、40・・PTP分配装置、50・・フレーム同期信号生成装置、60・・PTPサーバ、70・・PTPサーバ/分配装置。