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特許7030609巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/22 20060101AFI20220228BHJP
   B65H 54/28 20060101ALI20220228BHJP
   B65H 67/08 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
B65H54/22
B65H54/28 B
B65H67/08 B
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018093660
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2018193250
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】201710341748.1
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シャオビン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フア ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ジアオ
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-078342(JP,A)
【文献】特開2001-158568(JP,A)
【文献】特開昭51-072656(JP,A)
【文献】特開2004-189490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/22
B65H 54/28
B65H 67/08
D01H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置であって、回転可能な吸引手段と、該回転可能な吸引手段にそれぞれ配置された案内手段および切断手段とを有し、前記吸引手段は、糸端部を吸引するために負圧を利用する開放端部を有し、前記案内手段は、糸の1つの区分を保持するために前記開放端部と協働する、捕捉エレメントを有し、前記切断手段は、糸を切断する切断エレメントを有する、補助装置において、前記捕捉エレメント、前記開放端部および前記切断エレメントは、互いに並んで配置されており、前記開放端部は、前記捕捉エレメントと前記切断エレメントとの間に配置されており、前記吸引手段の前記開放端部は、前記切断エレメントおよび前記捕捉エレメントへの方向に沿って延びた溝を有し、該溝は、前記開放端部の横断面を通って延びていることを特徴とする、巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置。
【請求項2】
前記吸引手段は、曲がった吸引管を有し、該吸引管は、鉛直方向セクションと、前記開放端部を備える水平方向セクションとを有し、前記吸引手段は、前記鉛直方向セクションを、前記吸引手段の回転軸として利用していることを特徴とする、請求項1記載の補助装置。
【請求項3】
前記吸引手段は、ステップモータによって回転駆動されることを特徴とする、請求項記載の補助装置。
【請求項4】
前記切断手段は、さらに、前記切断エレメントの一方の側に関連した第1の糸持上げセクションを有し、前記案内手段の前記捕捉エレメントは、さらに、第2の糸持上げセクションを有し、前記第1の糸持上げセクションおよび前記第2の糸持上げセクションは、前記吸引手段の前記開放端部から突出していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の補助装置。
【請求項5】
前記切断手段の前記第1の糸持上げセクションは、糸案内プレートであり、外側に近い前記糸案内プレートの上縁は、外側に近い前記切断エレメントの上縁よりも高く、内側から外側への方向に沿って、前記糸案内プレートの上縁は徐々に下降しており、内側に近い前記糸案内プレートの上縁は、内側に近い前記切断エレメントの上縁よりも低く、内側から外側への方向に沿って、前記切断エレメントの上縁は徐々に下降していることを特徴とする、請求項記載の補助装置。
【請求項6】
前記吸引手段は、曲がった吸引管を有し、該吸引管は、鉛直方向セクションと、前記開放端部を備える水平方向セクションとを有し、前記吸引手段は、前記鉛直方向セクションを、前記吸引手段の回転軸として利用しており、前記案内手段の前記捕捉エレメントは、前記吸引管の前記水平方向セクションに対して平行な方向に沿った板状異形材として配置されており、前記捕捉エレメントは、糸を引っ掛けることができる前記板状異形材の内方へ凹んだ部分を有し、前記第2の糸持上げセクションは、前記内方へ凹んだ部分の外側に配置された、内側から外側への方向に沿って下降する糸案内スロープであることを特徴とする、請求項記載の補助装置。
【請求項7】
前記案内手段および前記切断手段は、前記吸引手段の前記開放端部に対して所定の距離でキャリヤに固定されており、該キャリヤは前記吸引手段に接続されていることを特徴とする、請求項1記載の補助装置。
【請求項8】
前記切断エレメントは、V字形配置で配置された、上側カッタおよび下側カッタを有することを特徴とする、請求項1記載の補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、繊維機械の巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置に関する。
【0002】
背景技術
巻取装置において、ボビン交換操作をサポートするための補助装置は、糸を保持するために糸を吸引するための吸引手段と、完全なボビンが独立するように糸を切断するための切断手段とを有さなければならない。
【0003】
概して2つのタイプの補助装置が存在することが既存の技術において知られている。第1のものは、いわゆる“バックタイプ”であり、この場合、吸引手段および切断手段は後側に配置されており、その場合、例えば、中国特許第1094462号明細書(CN1094462C)によって公開された特許によって開示された内容に従って、摩擦ローラが後側と糸入口側との間に挟まれている。他方のものは、いわゆる“フロントタイプ”であり、この場合、欧州特許第0659674号明細書(EP0659674B1)によって公開された特許によって開示された内容に従って、吸引手段および切断手段は、糸入口側と同じ側である前側に配置されている。“前側”と比較した“後側”の欠点は、後側が操作スペースから離れていることにより、“後側”補助装置は、メンテナンスのためにアクセスしにくいということである。
【0004】
欧州特許第0659674号明細書(EP0659674B1)の開示された内容によれば、ボビン交換操作の実施は、吸引手段、案内手段および切断手段それぞれの存在を必要とし、これらはそれぞれ摩擦ローラの前方に配置されている。切断手段は、巻取装置の1つの締付けディスクの近くに配置されている。吸引手段は、摩擦ローラから離れて配置されている。回転可能に配置された案内手段は、巻取装置の他方の締付けディスクの近くに配置された回転軸を有する。案内手段はロッドを有しており、ロッドの一方の端部は回転軸に接続されており、他方の端部には糸ガイドが設けられている。回転軸の回転時、ロッドは、回転するように移動することができ、これにより、糸を、ロッドが巻取管に対して垂直になる位置と、ロッドが巻取管に対して平行になる位置との間で案内する。
【0005】
吸引手段、案内手段および切断手段が、分散された形式で分配されていることにより、別々のメンテナンスが必要とされる。それと同時に、複雑な分散構造は、時間のかかる組立ておよび分解操作につながる。
【0006】
発明の内容
既存の技術における前記欠陥を考慮して、本発明によって解決されるべき技術的問題は、前記欠陥を回避することができる、巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置を提供することである。この目的は、以下の技術的ソリューションによって達成される。
【0007】
本発明の第1の技術的ソリューションに基づいて、巻取装置におけるボビン交換をサポートするための補助装置は、回転可能な吸引手段と、回転可能な吸引手段にそれぞれ配置された案内手段および切断手段とを有し、吸引手段は、糸端部を吸引するために負圧を利用する開放端部を有し、案内手段は、糸の1つの区分を保持するために開放端部と協働する、捕捉エレメントを有し、切断手段は、糸を切断する切断エレメントを有し、捕捉エレメント、開放端部および切断エレメントは、互いに並んで配置されており、開放端部は、捕捉エレメントと切断エレメントとの間に配置されている。
【0008】
第1の技術的ソリューションは、糸の吸引、切断および案内が、コンパクト構造の装置において行われ、これは、吸引、切断および案内のための手段の分散した分配によって生ぜしめられる、メンテナンスおよび操作中の不便を回避する。吸引管の開放端部が切断エレメントと捕捉エレメントとの間に配置されているので、糸を、切断した後に吸引管によって有効に吸引し、吸引管および捕捉エレメントによってまとめて保持することができることが保証される。
【0009】
本発明の第2の技術的ソリューションに基づき、吸引手段の開放端部は、切断エレメントおよび捕捉エレメントへの方向に沿って延びた溝を有し、溝は、開放端部の横断面を通って延びている。
【0010】
糸から開放端部までの距離は、糸が切断された後に糸端部が吸引管によって吸引される成功率を決定する。溝の配置によって、糸は、溝と完全に接触することができ、したがって、糸端部が吸引される成功率を顕著に高めることができる。
【0011】
本発明の第3の技術的ソリューションに基づき、吸引手段は、曲がった吸引管を有し、吸引管は、鉛直方向セクションと、開放端部を備える水平方向セクションとを有し、吸引手段は、鉛直方向セクションを、吸引手段の回転軸として用いる。
【0012】
吸引管は、その鉛直方向セクションを回転軸として用い、それによって、切断手段および案内手段が共に回転する。これにより、付加的な回転軸の必要性がなく、補助装置の構造が単純化される。
【0013】
本発明の第4の技術的ソリューションに基づき、吸引手段は、ステップモータによって、回転するように駆動される。
【0014】
加工プロセス全体の間、補助装置は、約180度の全角度だけ回転する必要がある。ステップモータは、任意の角度だけ回転するという利点を有するので、ステップモータによって駆動される補助装置は、糸に対して有効な処理を行うための所定の角度だけ柔軟に回転することができる。
【0015】
本発明の第5の技術的ソリューションに基づき、案内手段および切断手段は、開口端部に近くなるような形式で吸引管に配置されている。
【0016】
これにより、本発明の補助装置は、比較的コンパクトな構造を有する。
【0017】
本発明の第6の技術的ソリューションに基づき、切断手段は、さらに、切断エレメントの一方の側に関連した第1の糸持上げセクションを有し、案内手段の捕捉エレメントは、第2の糸持上げセクションを有し、第1の糸持上げセクションおよび第2の糸持上げセクションは、吸引手段の開放端部から突出している。
【0018】
第1の糸持上げセクションの配置により、糸は、即座に切断されるのではなく、切断エレメントによって切断される前に第1の糸持上げセクションにおいて持ち上げられることができ、したがって、糸は、開放端部および捕捉エレメントと完全に接触することができる。第2の糸持上げセクションにより、糸は、元の高さから突き上げられることができる。
【0019】
本発明の第7の技術的ソリューションに基づき、切断手段の第1の糸持上げセクションは、糸案内プレートであり、外側に近い糸案内プレートの上縁は、外側に近い切断エレメントの上縁よりも高く、内側から外側への方向に沿って、糸案内プレートの上縁は徐々に下降しており、内側に近い糸案内プレートの上縁は、内側に近い切断エレメントの上縁よりも低く、内側から外側への方向に沿って、切断エレメントの上縁は徐々に下降している。
【0020】
第1の糸持上げセクションと切断エレメントとの高さ関係に応じて、糸が、切断されるために切断エレメントと接触する前に、糸は、第1の糸持上げセクションにおいて上方へ移動することができ、これは、糸と開放端部との完全な接触を保証する。
【0021】
本発明の第8の技術的ソリューションに基づき、案内手段の捕捉エレメントは、吸引管の水平方向セクションに対して平行な方向に沿った板状異形材として配置されており、捕捉エレメントは、糸を吊すことができる板状異形材の内方へ凹んだ部分を有し、内側から外側への方向から、第2の糸持上げセクションは、内方へ凹んだ部分の外側に配置された、下降する糸案内スロープである。
【0022】
内方へ凹んだ部分および第2の糸持上げセクションは、比較的単純な構造の案内手段を得るために一体的に構成されている。
【0023】
本発明の第9の技術的ソリューションに基づき、案内手段および切断手段は、吸引手段の開放端部に対して所定の距離でキャリヤに固定されており、キャリヤは吸引手段に接続されている。
【0024】
この配置により、案内手段および切断手段は、取外し可能な形式で配置されている。
【0025】
本発明の第10の技術的ソリューションに基づき、切断エレメントは、V字形配置で配置された、上側カッタおよび下側カッタを有する。
【0026】
上側カッタおよび下側カッタの交差する配置は、180度よりも大幅に大きな切断角度を形成し、これにより、糸を切断する成功率が高まる。
【0027】
本発明の第11の技術的ソリューションに基づき、切断エレメントは、開放端部に対して側部後方位置にあり、捕捉エレメントは、開放端部に対して側部前方位置にある。
【0028】
補助装置が、初期位置から、三角形の領域の境界まで回転すると、捕捉エレメントの第2の糸持上げセクションは、まず糸と接触し、次いで、開放端部が糸と接触し、最後に、糸を切断するために切断エレメントが糸と接触する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】補助装置が初期位置に位置決めされているときの本発明の平面図である。
図2】補助装置の部分的な正面図である。
図2.1】補助装置の切断手段の側面図である。
図2.2】補助装置の案内手段の側面図である。
図3】補助装置が初期位置に位置決めされているときの本発明の側面図である。
図4】糸が切断手段によって切断される前の本発明の側面図である。
図5】糸が切断手段によって切断された後、糸が、開放端部および捕捉エレメントによってまとめて保持されているときの本発明の側面図である。
図6】補助装置が締付けディスクの位置を回転させるときの、本発明の締付けディスクおよび補助装置の部分的な概略図である。
図7】締付けディスクから離れるように反対方向へ補助装置が回転するときの、本発明の締付けディスクおよび補助装置の部分的な概略図である。
【0030】
発明を実施するための態様
繊維機械において、巻取装置は、糸を特別な形状、すなわち、円筒形または円錐形のボビンに規則的に巻き取るために使用される。巻取りの継続性を保証するために、満巻になったボビンを取り外し、次いで、新たな巻取管を巻取装置に装填し、新たな巻取りサイクルを開始するために使用されるための、自動ボビン交換装置が現在では利用可能である。ボビン交換プロセスの間、補助装置は、糸を切断、吸引および保持し、さらに、保持された糸を新たな巻取管へ引き渡すために必要とされる。以下は、本発明の補助装置についての詳細な説明である。次のことに注意する必要がある:“下流側”および“上流側”は、糸進行方向に関して説明され、案内手段および切断手段を説明するとき、“内側”は、案内手段および切断手段が糸に接近するときに糸とより遅く接触する側をいい、“外側”は、“内側”に対して、糸と早期に接触する側をいう。このように考えることにより、例えば、内方へ凹んだ部分は、第2の糸持上げセクションに対して内側に位置決めされており、第2の糸持上げセクションは、内方へ凹んだ部分に対して外側に位置決めされている。なぜならば、案内手段が糸へ接近するとき、第2の糸持上げセクションが、まず糸と接触するからである。
【0031】
図1は、巻取装置の補助装置が初期位置にあるときの本発明の平面図を概略的に示している。図3は、巻取装置の補助装置が初期位置にあるときの本発明の側面図である。図6は、補助装置が締付けディスクの位置に対して回転させられたときの、締付けディスクおよび補助装置の部分的な概略図である。以下は、図1図3および図6の組み合わせを用いた本発明の構造の説明である。図1および図3によって示されているように、巻取装置は、糸入口側5と、補助装置1と、往復する糸案内装置4と、摩擦ローラ3と、クレードル2とを有する。糸入口側5は、糸6が巻取装置へ進入する側である。クレードル2の一方の端部には、巻取管7をクランプすることができる一対の締付けディスク2.1が設けられているのに対し、他方の端部は、回転軸2.2を有する。クレードル2は、クランプされた巻取管7が摩擦ローラ3へ近づくようにまたは摩擦ローラ3から離れるように移動することができるように、回転軸2.2を中心に回転することができる。往復する糸案内装置4は、糸ガイド4.1と、案内ベルト4.2と、案内ベルト4.2を駆動する駆動モータ4.3とを有する。駆動モータ4.3の回転方向が反転することによって、案内ベルト4.2は、方向を反転させながら移動するように駆動される。糸ガイド4.1は案内ベルト4.2に配置されており、したがって、糸ガイド4.1は、方向を反転させながら移動することができ、巻取管7の軸に沿って往復する。図示されていない駆動源によって直接的に駆動される摩擦ローラ3は、巻取管と接触しており、摩擦力によって巻取管7を回転させる。糸ガイド4.1は、摩擦ローラ3の上流側に位置決めされており、補助装置1は、糸ガイド4.1の上流側に位置決めされている。糸ガイド4.1および補助装置1は、それぞれ摩擦ローラ3の一方の側に位置決めされている。通常の巻取りプロセスの間、糸6は糸入口側5に進入した後、糸ガイド4.1を通過する。糸ガイド4.1は、糸を、巻取管7の軸方向に沿って往復移動するように案内する。糸は、次いで、巻取管7と摩擦ローラ3との間の接触点に進入し、最後に、巻取管7上のボビン10に巻き取られる。
【0032】
図6の部分的な概略図から分かるように、締付けディスク2.1の周縁にはフックエレメント8が設けられている。フックエレメント8は、糸の巻取りが開始する前に、糸が締付けディスク2.1へ引き渡されるときに糸を引っ掛けるものであり、その目的は、糸が、巻取管7に巻き取られることを可能にすることである。締付けディスク2.1の後側には、カッタ9が設けられている。カッタ9は、糸がフックエレメント8によって引っ掛けられた後、フックエレメント8と、吸引管11の開放端部11.3とによってまとめて保持された糸の区分を切断することができる。
【0033】
図1によって示されているように、補助装置1は、吸引手段14と、案内手段15と、切断手段13とを有する。
【0034】
図3によってさらに示されているように、吸引手段14は、鉛直方向セクション11.2および水平方向セクション11.1から成る、L字形に曲がった吸引管11として構成されている。糸吸引の機能を実現するために、鉛直方向セクション11.2の一方の端部は、図示されていない負圧源に接続されており、水平方向セクション11.1の一方の端部は、糸を吸引するための開放端部11.3である。負圧源が吸引管11と接続されると、吸引管の開放端部11.3に吸引効果が生ずる。開放端部11.3の近くで糸が切断された後の糸端部は、開放端部11.3によって吸引され、それにより、糸6は、開放端部11.3において所定の糸張力を持って保持される。吸引手段の回転を実現するために、吸引手段14の吸引管11は、駆動装置に接続されている。好適には、駆動装置は、ステップモータ12を採用している。吸引管11の鉛直方向セクション11.2における歯車と、ステップモータ12の出力軸における歯車との噛み合いによって、変速装置を構成することができる。ステップモータ12の駆動および歯車の噛み合いにより、吸引管11は、鉛直方向セクション11.2を中心に回転することができる。
【0035】
図2は、補助装置1の正面図である。図2.2は、補助装置1の案内手段15の側面図であり、案内手段15の外形は、図3に示されている。図2図2.2および図3によれば、糸6を案内するために、案内手段15は捕捉エレメント16を有する。捕捉エレメント16は、開放端部11.3によって吸引された糸6を保持するために吸引管11の開放端部11.3と協働することができ、これによって、保持された糸は、補助装置の回転時に、フックエレメント8によって容易に引っ掛けられるように、締付け端部2.1へ移送される。好適には、捕捉エレメント16は、吸引管11の水平方向セクション11.1に対して平行な方向に沿って延びる板状異形材として配置されている。板状異形材は、内方へ凹んだ部分16.1を有する。糸6は、図2.2によって示されているように、内方へ凹んだ部分16.1を通って横方向に走行することができる。
【0036】
図2.1は、補助装置1の切断手段13の側面図である。図2.1によれば、糸6を切断するために、切断手段13は切断エレメント17を有する。好適には、切断エレメントはカッタである。カッタの切刃は、糸に面しており、これは、切刃の対面方向が、開放端部11.3の開放方向と概して同じであることも意味する。好適には、切断エレメント17は、V字形に配置された上側カッタおよび下側カッタを有する。上側カッタ17.1および下側カッタ17.2の切刃の交差する配置は、180度よりも大幅に大きな切断角度を形成する。したがって、このような配置は、糸切断の成功率を高めることができる。
【0037】
切断エレメント17および捕捉エレメント16は、吸引管11の開放端部11.3の2つの側に並んで配置されている。切断エレメント17、捕捉エレメント16および開放端部11.3は、コンパクト構造として配置されている。図2によって示されているように、切断エレメント17は、比較的近い距離で開放端部11.3の一方の側に配置されている。同様に、捕捉エレメント16は、比較的近い距離で開放端部11.3の他方の側に配置されている。“一方の側”および“他方の側”とは、ここでは、開放端部11.3の左側および右側を意味する。切断手段13および案内手段15はそれぞれ、吸引手段14の吸引管11の水平方向セクション11.1に配置されており、したがって、切断手段13および案内手段15は、吸引管11の回転と共に回転することができる。好適には、切断手段13および案内手段15は、吸引管11の水平方向セクション11.1に接続されたキャリヤ18に配置されている。もちろん、切断手段13および案内手段15は一体化された構造であることも可能である。一体化された構造は、溶接手段によってまたは通常はボルトおよびナットの固定によって吸引管11に接続することができる。
【0038】
図2および図2.1によれば、切断手段13は、さらに、第1の糸持上げセクション19を有する。第1の糸持上げセクション19は、切断エレメント17の一方の側に関連した糸案内プレートである。第1の糸持上げセクション19と、切断エレメント17の下側カッタ17.2との位置的関係は以下の通りである。外側に近い糸案内プレートの上縁19.1は、外側に近い下側カッタ17.2の上縁17.3よりも高く、内側から外側への方向に沿って、糸案内プレート19の上縁19.1は徐々に下降している。内側に近い糸案内プレート19の上縁19.1は、内側に近い下側カッタ17.2の上縁17.3よりも低く、内側から外側への方向に沿って、下側カッタ17.2の上縁17.3は徐々に下降している。したがって、切断手段13が糸6に接近すると、第1の糸持上げセクション19の上縁19.1が、まず糸6と接触する。次いで、糸6は、徐々に上昇する上縁19.1に沿って内側に向かって移動する。所定の距離だけ移動した後、糸6は、下側カッタ17.2と接触し、切断される。
【0039】
図2および図3によれば、案内手段15の捕捉エレメント16は、第2の糸持上げセクション16.2を有する。板状異形材の一部としての第2の糸持上げセクション16.2は、内方へ凹んだ部分16.1の外側に配置された糸案内スロープである。内側から外側への方向に沿って、糸案内スロープは、徐々に下降している。したがって、糸6が、内方へ凹んだ部分16.1に落ち込む前に、糸6は、まず第2の糸持上げセクション16.2に沿って上昇移動する。
【0040】
開放端部11.3の対面方向が“前方”として規定されるのに対し、“前方”に対して反対方向が“後方”である。図1によって示されているように、より良い糸吸引および糸切断効果を達成するために、捕捉エレメント16、切断エレメント17および開放端部11.3は、特定の位置的関係を有する。つまり、切断エレメント17は、開放端部11.3に対して側部後方位置にあり、捕捉エレメント16は、開放端部11.3に対して側部前方位置にある。このような関係に基づき、補助装置が、糸6と接触するために初期位置から回転し始めると、捕捉エレメント16の第2の糸持上げ端部16.2がまず糸6と接触し、切断エレメント17は糸6と接触しない。糸6が開放端部11.3および捕捉エレメント16の内方へ凹んだ部分16.1と接触するまで補助装置1がさらに回転すると、糸6は、切断エレメント17と接触し、切断される。平面図で見ると、吸引管11の水平方向セクション11.1と、開放端部11.3、切断エレメントおよび内方へ凹んだ部分16.1の接続線との間に形成される角度は、90°ではない。
【0041】
以下は、図1図3図7の組み合わせを用いた補助装置1の加工プロセスの詳細な説明である。
【0042】
図1および図3はそれぞれ、補助装置1が初期位置にあるときの本発明の平面図および側面図である。上流においてプロセス装置によって処理された後、糸6は、巻取装置に進入する前に、上昇および下降糸ガイド20を通過する。シリンダ20.1の作用により、上昇および下降糸ガイド20は、低い位置と高い位置との間で上昇および下降することができる。上昇および下降糸ガイド20を通過した後、糸6は、横方向に往復する糸ガイド4.1を通過し、次いで、摩擦ローラ3とボビン10との接触間隙に進入する。糸ガイド4.1は、加工中に巻取管7の軸方向に沿った往復移動を維持し、したがって、上昇および下降糸ガイド20から糸ガイド4.1への糸の移動軌道は、図1に斜線領域によって示された三角形の領域6.1をカバーする。通常の糸巻取りを妨害することを回避するために、補助装置1は、補助装置1の作動が不要であるときは、三角形の領域6.1の外側に位置決めされる。好適には、吸引管11の水平方向セクション11.1は、水平方向セクション11.1が巻取管7に対して概して垂直となり、ボビン10から離れるような位置にある。同時に、通常の糸6の巻取りの間、上昇および下降糸ガイド20は、図3によって示されているように、低い位置にある。
【0043】
ボビン10が所定のパラメータ値(すなわち、ボビン直径、巻取り継続時間)に達すると、ボビン10は巻取りを完了し、これは、ボビン10を新たな巻取管と交換することができることを意味する。上昇および下降糸ガイド20を駆動するためのシリンダは、図4から分かるように、上昇および下降糸ガイド20を高い位置へ持ち上げるための信号を受信する。高い位置における三角形の領域6.1は、低い位置における三角形の領域よりも高く、これにより、糸6は、補助装置と同じ高さとなる。補助装置1を駆動するためのステップモータ12は、回転信号を受信する。同時に、吸引管11は負圧源と接続させられる。ステップモータ12の回転駆動により、吸引管11の鉛直方向セクション11.2が回転し、したがって、水平方向セクション11.1が同期して回転し、三角形の領域6.1に接近する。水平方向セクション11.1が、三角形の領域6.1の境界まで回転すると、補助装置1は糸6と接触し始める。捕捉エレメント16、切断エレメント17および開放端部11.3の特定の位置関係により、糸6は、まず案内手段15の第2の糸持上げセクション16.2と接触する。同じ方向への補助装置のさらなる回転により、糸6は、内方へ凹んだ部分16.1に落ち込むまで第2の糸持上げセクション16.2に沿って持ち上げられる。補助装置1がさらに回転すると、糸6は、次いで、吸引管11の開放端部11.3と接触し、その場合、糸6は、図4から分かるように、開放端部11.3および内方へ凹んだ部分16.1の両方と接触する。引き続き、糸6は、切断手段13の第1の糸持上げセクション19と接触する。補助装置1のさらなる回転により、糸6は、切断エレメント17と接触して切断されるまで、第1の糸持上げセクション19に沿って持ち上げられる。この場合、糸6は2つの糸端部において切断される。一方の糸端部はボビン10側の糸にあり、他方の糸端部は、開放端部11.3および吸引管11によって吸引および保持される。その結果、糸の1つの区分は、図5によって示されているように、開放端部11.3および内方へ凹んだ部分16.1により保持される。
【0044】
ボビン10が巻取りを完了した後、図示されていないシリンダの作用を受けるクレードル2が、回転軸2.2を中心に回転し、これにより、ボビン10が持ち上げられ、摩擦ローラ3から分離させられる。完全なボビン10は締付けディスクから取り出され、新たな巻取管7が締付けディスク2.1の間に装着される。次いで、クレードル2は反対方向に回転し、これにより、新たな巻取管7が摩擦ローラ3と接触し、回転させられる。同様に、締付けディスク2.1は再び巻取管7と共に回転する。
【0045】
その開口端部11.3および内方へ凹んだ部分16.2が糸の1つの区分をまとめて保持している補助装置1は、ステップモータ12の駆動により当初の方向に沿って回転を継続する。糸の前記区分が、締付けディスク2.1の近く、すなわち、引渡し位置に位置決めされると、補助装置1は、回転を停止させるための信号を受信する。図6から分かるように、補助装置1が引渡し位置にあるとき、保持された糸の前記区分は、締付けディスク2.1が位置決めされた平面と交差する。突出した形式で締付けディスク2.1の周囲に配置されたフックエレメント8は、糸16と接触するまで回転し、これにより、糸16がフックエレメント8によって引っ掛けられる。次いで、糸は、巻取りのために巻取管7へ送られる。糸6がフックエレメント8によって引っ掛けられた直後、開放端部11.3およびフックエレメント8によってまとめて保持された糸の区分は、締付けディスク2.1の後側に配置されたカッタ9と衝突し、切断される。巻取管7における糸の糸端部は、ボビンの糸端部となり、他方の糸端部は吸引管11によって吸引される。この瞬間、糸6は、上側流れプロセス装置から間断なく供給され、巻取管に巻き取られる前に捕捉エレメント16の内方へ凹んだ部分16.1に引っ掛けられている。補助装置1の捕捉エレメント16が、引渡し位置において不動のままとどまることにより、糸6は、巻取管の端部における一箇所において巻取りを繰り返し、いわゆるテールヤーン21を形成する。
【0046】
引き続き、補助装置1は、当初の回転方向とは反対方向に回転するように信号命令を受信する。反対方向の回転の間、捕捉エレメント16の内方へ凹んだ部分16.1に引っ掛けられた糸6は、内方へ凹んだ部分16.1から分離され、糸ガイド4.1と同じ高さへ落ち込む。次いで、糸6は、図7に示されているように、糸ガイド4.1によって捕捉される。
【0047】
補助装置1が反対方向へ回転する前に、上昇および下降糸ガイド20を駆動するためのシリンダは、上昇および下降糸ガイド20を低い位置へ駆動するための信号を受信するということに注意すべきである。これによって、補助装置1の反対方向への回転が通常の糸巻取りを妨害しないことが保証される。
【0048】
次いで、補助装置1は、初期位置に到達するまで、反対方向の回転を継続し、次のボビン交換のために待機する。
【0049】
糸吸引の成功率を高めるために、吸引手段14の開放端部11.3は、溝11.4を有する。溝11.4は、切断エレメント17および捕捉エレメント16への方向に沿って延びておりかつ開放端部11.3の横断面を通って延びている。補助装置1の上述の加工プロセスにおいて、ボビン10が所定のパラメータ値に達した後、上昇および下降糸ガイド20の持上げは、糸6が、補助装置1によってアクセス可能な高さに位置決めされることを可能にする。補助装置1は、糸6と接触するように、三角形の領域6.1まで回転する。糸6が切断エレメント17によって切断される前に、糸6は、まず、吸引管11の開放端部11.3および捕捉エレメント16の内方へ凹んだ部分16.1と接触する。この瞬間における糸6から開放端部11.3までの距離は、糸6が切断された後に糸端部が吸引管11によって吸引される成功率を決定する。したがって、溝11.4の配列によって、糸6は、開放端部11.3と完全に接触することができる。言い換えれば、糸6は、開放端部11.3へ完全に押し付けられることができる。糸6が切断エレメント17によって切断されると、開放端部11.3は常に失敗することなく糸端部を吸引することができる。
図1
図2
図2.1】
図2.2】
図3
図4
図5
図6
図7