(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20220228BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220228BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 100
A61B5/113
(21)【出願番号】P 2018139182
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山西 宏平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳州
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057581(JP,A)
【文献】特開2016-187429(JP,A)
【文献】特開2004-254827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
G08B 21/02
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生体情報を取得する取得部と、
前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測する予測部と、
前記予測部によって予測された、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する通知部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記対象者から非接触で前記生体情報を測定するセンサから前記生体情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記センサは、電波式のドップラーセンサである、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生体情報は、前記対象者の体動を示す体動データと、前記対象者の呼吸を示す呼吸データと、前記対象者の心拍を示す心拍データとを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生体情報を入力値とし、前記対象者が所定時間後に入眠する確率を示す予測値を出力値とし、機械学習により構築された入眠予測モデルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記予測部は、前記生体情報を前記入眠予測モデルに入力することで得られた前記予測値が閾値より大きいか否かを判断し、前記予測値が前記閾値より大きいと判断した場合、前記対象者が所定時間後に入眠すると判断する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象者の過去の入眠時刻の傾向分布に基づいて前記閾値を調整する閾値調整部をさらに備える、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記対象者の過去の入眠時刻のばらつきの大きさが所定の値以下であるか否かを判断し、前記ばらつきの大きさが前記所定の値以下であると判断した場合、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記対象者は、入眠する直前に所定の介助を受ける被介助者であり、
前記通知部は、前記ばらつきの大きさが前記所定の値より大きいと判断した場合、前記対象者に対して前記所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を送信する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象者の生体情報を取得し、
前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測し、
予測された、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する、
情報処理方法。
【請求項10】
対象者の生体情報を取得する取得部と、
前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測する予測部と、
前記予測部によって予測された、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する通知部としてコンピュータを機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者の生体情報を用いて前記対象者が入眠する前に前記対象者が入眠することを予測する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心拍のデータから対象者の睡眠段階を推定する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の睡眠段階推定装置は、心拍の波を示す生体データを取得する取得手段と、心拍の波の中周波成分をパラメータを用いて定義した数式に対し、生体データを用いてパラメータを推定するパラメータ推定手段と、推定されたパラメータを適用した数式に基づき、任意の時点における中周波成分の値から睡眠段階を推定する睡眠段階推定手段とを備えている。そして、パラメータ推定手段は、対象者が就寝するベッドと敷き布団との間に設置された無拘束型センサから取得した生体データから心拍の波の中周波成分を推定する。また、睡眠段階推定手段は、中周波成分の値から睡眠段階を推定する。
【0004】
さらに、特許文献1には、推定した睡眠段階を利用して、介護施設入居者の睡眠モニタリングを行うことが記載されている。例えば、入居者の睡眠が深いときにおむつ交換をすることで、入居者にあまり気づかれずに交換することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、入眠後の対象者の睡眠段階を推定することができるが、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することはできず、更なる改善が必要とされていた。
【0007】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、対象者の生体情報を取得する取得部と、前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測する予測部と、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る入眠予測システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る入眠予測装置の全体的な動作を説明するための第1のフローチャートである。
【
図3】本実施の形態に係る入眠予測装置の全体的な動作を説明するための第2のフローチャートである。
【
図4】本実施の形態における体動データ、呼吸データ及び心拍データの一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態において、記憶部に記録された体動データ、心拍データ及び呼吸データの波形の一例を示す図である。
【
図6】本実施の形態において、18時00分以降に生体データに対して入眠予測モデルが出力した予測値の変化の一例を示す図である。
【
図7】
図2のステップS7における閾値調整処理について説明するためのフローチャートである。
【
図8】本実施の形態で用いる入眠時刻傾向分布の一例を示す図である。
【
図9】
図3のステップS11における通知処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
特許文献1では、おむつ交換は入居者の睡眠中に行われることを前提としているが、入居者に対する他の介助としては、歯磨きなどの睡眠中ではなく入眠する直前に行われる介助が存在する。本開示では、歯磨き、着替え及び投薬などの入眠する直前に行われる介助を入眠介助と呼ぶ。実際に、介助者は、入居者が入眠するタイミングが分からず、入居者が入眠した後に介助に向かうことで入居者を起こしてしまうことがある。特許文献1では、対象者の入眠後に睡眠段階が推定されるので、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することはできない。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理装置は、対象者の生体情報を取得する取得部と、前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測する予測部と、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する通知部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、対象者の生体情報を用いて、対象者が所定時間後に入眠することが予測され、対象者が所定時間後に入眠することが通知されるので、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができる。例えば、対象者が被介助者であり、対象者が所定時間後に入眠することが通知された介助者は、対象者が入眠する前に、対象者に対して所定の介助を行うことができる。
【0014】
また、上記の情報処理装置において、前記取得部は、前記対象者から非接触で前記生体情報を測定するセンサから前記生体情報を取得してもよい。
【0015】
この構成によれば、対象者から非接触で生体情報を測定するセンサから生体情報が取得されるので、対象者はセンサを身につける必要がなく、対象者の動きを妨げることなく、生体情報を取得することができる。
【0016】
また、上記の情報処理装置において、前記センサは、電波式のドップラーセンサであってもよい。この構成によれば、電波式のドップラーセンサにより、非接触で生体情報を測定することができる。
【0017】
また、上記の情報処理装置において、前記生体情報は、前記対象者の体動を示す体動データと、前記対象者の呼吸を示す呼吸データと、前記対象者の心拍を示す心拍データとを含んでもよい。
【0018】
この構成によれば、対象者の体動を示す体動データと、対象者の呼吸を示す呼吸データと、対象者の心拍を示す心拍データとを用いて、対象者が所定時間後に入眠することをより正確に予測することができる。
【0019】
また、上記の情報処理装置において、前記生体情報を入力値とし、前記対象者が所定時間後に入眠する確率を示す予測値を出力値とし、機械学習により構築された入眠予測モデルを記憶する記憶部をさらに備え、前記予測部は、前記生体情報を前記入眠予測モデルに入力することで得られた前記予測値が閾値より大きいか否かを判断し、前記予測値が前記閾値より大きいと判断した場合、前記対象者が所定時間後に入眠すると判断してもよい。
【0020】
この構成によれば、機械学習により構築された入眠予測モデルに生体情報を入力することで、対象者が所定時間後に入眠する確率を示す予測値を容易に得ることができ、予測値と閾値とを比較することで、対象者が所定時間後に入眠することを容易に予測することができる。
【0021】
また、上記の情報処理装置において、前記対象者の過去の入眠時刻の傾向分布に基づいて前記閾値を調整する閾値調整部をさらに備えてもよい。
【0022】
この構成によれば、対象者の過去の入眠時刻の傾向分布に基づいて閾値が調整されるので、所定時間後の時刻が過去に対象者の入眠する確率が高い時刻であれば閾値を低く調整し、所定時間後の時刻が過去に対象者の入眠する確率が低い時刻であれば閾値を高く調整することにより、対象者が所定時間後に入眠することを高い精度で予測することができる。
【0023】
また、上記の情報処理装置において、前記通知部は、前記対象者の過去の入眠時刻のばらつきの大きさが所定の値以下であるか否かを判断し、前記ばらつきの大きさが前記所定の値以下であると判断した場合、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知してもよい。
【0024】
この構成によれば、対象者の過去の入眠時刻のばらつきの大きさが所定の値以下であると判断された場合、対象者が所定時間後に入眠することが通知されるので、対象者が所定時間後に入眠することを高い精度で通知することができる。
【0025】
また、上記の情報処理装置において、前記対象者は、入眠する直前に所定の介助を受ける被介助者であり、前記通知部は、前記ばらつきの大きさが前記所定の値より大きいと判断した場合、前記対象者に対して前記所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を送信してもよい。
【0026】
この構成によれば、対象者は、入眠する直前に所定の介助を受ける被介助者である。ばらつきの大きさが所定の値より大きいと判断された場合、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報が送信される。
【0027】
過去の入眠時刻が一定ではない場合、対象者が所定時間後に入眠するという予測結果が誤っている可能性が高くなる。しかしながら、過去の入眠時刻が一定ではない場合に、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認することにより、対象者が所定時間後に入眠することを正確に通知することができる。
【0028】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、対象者の生体情報を取得し、前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測し、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する。
【0029】
この構成によれば、対象者の生体情報を用いて、対象者が所定時間後に入眠することが予測され、対象者が所定時間後に入眠することが通知されるので、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができる。例えば、対象者が被介助者であり、対象者が所定時間後に入眠することが通知された介助者は、対象者が入眠する前に、対象者に対して所定の介助を行うことができる。
【0030】
本開示の他の態様に係る情報処理プログラムは、対象者の生体情報を取得する取得部と、前記生体情報を用いて、前記対象者が所定時間後に入眠することを予測する予測部と、前記対象者が所定時間後に入眠することを通知する通知部としてコンピュータを機能させる。
【0031】
この構成によれば、対象者の生体情報を用いて、対象者が所定時間後に入眠することが予測され、対象者が所定時間後に入眠することが通知されるので、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができる。例えば、対象者が被介助者であり、対象者が所定時間後に入眠することが通知された介助者は、対象者が入眠する前に、対象者に対して所定の介助を行うことができる。
【0032】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0033】
(実施の形態)
図1は、本開示の実施の形態に係る入眠予測システムの構成を示す図である。
【0034】
図1に示す入眠予測システムは、入眠予測装置1、測定装置2及び介助予告装置3を備える。
【0035】
入眠予測装置1は、対象領域に存在する人の入眠を予測する。本実施の形態において、対象領域は、例えば、介護施設又はサービス付き高齢者向け住宅等の施設に設けられて、予測対象者によって使用される個室内の領域である。対象領域が、介護施設又はサービス付き高齢者向け住宅の個室内の領域であれば、予測対象者は、個室に居住する被介助者である。また、対象領域が、病院の病室内の領域であれば、予測対象者は、治療等のために病室に入院している患者である。例えば、介護施設又はサービス付き高齢者向け住宅では、歯磨き、着替え及び投薬等の入眠前の介助が必要な被介助者が存在する。すでに寝てしまった被介助者を起こすようなことなくスムーズに入眠介助を行うために、被介助者の入眠のタイミングを事前に知りたいという介助者からの要望がある。本実施の形態の入眠予測装置1は、対象者の入眠を予測し、事前に介助者に通知する。
【0036】
入眠予測装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ又はタブレット型コンピュータであり、対象者を介助する介助者によって使用される。
【0037】
介助予告装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット型コンピュータであり、対象者によって使用される。
【0038】
入眠予測装置1は、ネットワークを介して介助予告装置3と互いに通信可能に接続されている。なお、ネットワークは、例えば、インターネットである。
【0039】
測定装置2は、対象領域における人の存否及び動作に応じて値が変化する物理量を測定する。本実施の形態では、測定装置2は、対象領域における人の存否及び動作に応じて値が変化する物理量を非接触で測定する。測定装置2は、対象者から非接触で生体データ(生体情報)を測定するセンサを含む。測定装置2は、測定した生体データを入眠予測装置1へ送信する。
【0040】
入眠予測装置1は、生体データ取得部11、記憶部12、プロセッサ13、表示部14及び通信部15を備える。
【0041】
プロセッサ13は、入眠予測部101、閾値調整部102及び通知処理部103を備える。
【0042】
生体データ取得部11は、対象者の生体データ(生体情報)を取得する。生体データ取得部11は、測定装置2から対象者の体動、心拍及び呼吸に関する生体データを取得する。生体データは、対象者の体動を示す体動データと、対象者の呼吸を示す呼吸データと、対象者の心拍を示す心拍データとを含む。
【0043】
記憶部12は、生体データ取得部11によって取得された生体データを記憶する。また、記憶部12は、プログラム又はパラメータ等のデータも必要に応じて記憶している。
【0044】
入眠予測部101は、記憶部12に記憶された生体データを用いて、対象者の入眠を予測する。入眠予測部101は、生体データ取得部11によって取得された生体データを用いて、対象者が所定時間後に入眠することを予測する。所定時間は、例えば、30分である。すなわち、入眠予測部101は、生体データ取得部11によって取得された生体データを用いて、対象者が30分後に入眠することを予測する。なお、所定時間は30分に限定されない。
【0045】
また、記憶部12は、生体データを入力値とし、対象者が所定時間後に入眠する確率を示す予測値を出力値とし、機械学習により構築された入眠予測モデルを記憶する。入眠予測部101は、生体データを入眠予測モデルに入力することで得られた予測値が閾値より大きいか否かを判断し、予測値が閾値より大きいと判断した場合、対象者が所定時間後に入眠すると判断する。なお、本実施の形態において、対象者は、入眠する直前に所定の介助を受ける被介助者である。
【0046】
閾値調整部102は、対象者の過去の入眠時刻の傾向分布に基づいて、入眠予測部101で用いる閾値を調整する。
【0047】
通知処理部103は、入眠予測部101によって対象者が所定時間後に入眠することが検知されたときに、対象者又は介助者への通知処理を行う。通知処理部103は、対象者が所定時間後に入眠することを通知する。
【0048】
より具体的に、通知処理部103は、対象者の過去の入眠時刻のばらつきの大きさが所定の値以下であるか否かを判断する。通知処理部103は、ばらつきの大きさが所定の値以下であると判断した場合、対象者が所定時間後に入眠することを通知するための通知情報を生成し、生成した通知情報を表示部14へ出力する。また、通知処理部103は、ばらつきの大きさが所定の値より大きいと判断した場合、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を生成し、生成した確認情報を介助予告装置3へ送信する。
【0049】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイであり、通知処理部103によって生成された通知情報を表示する。介助者は、表示部14に表示された通知情報を見ることで、対象者が所定時間後に入眠することを認識する。そして、介助者は、対象者が入眠する前に所定の介助を行う。
【0050】
通信部15は、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を介助予告装置3へ送信する。また、通信部15は、対象者が所定の介助を受けるか否かを示す応答情報を介助予告装置3から受信する。
【0051】
すなわち、入眠予測装置1は、測定装置2から取得される生体データに基づいて、対象者の入眠の予兆を検知し通知することによって、介助者の入眠介助を行うための補助的役割を果たす。
【0052】
なお、本実施の形態では、表示部14が、対象者が所定時間後に入眠することを表示しているが、本開示は特にこれに限定されず、入眠予測装置1がスピーカを備えてもよく、スピーカが、対象者が所定時間後に入眠することを音声により通知してもよい。
【0053】
介助予告装置3は、通信部31、プロセッサ32、表示部33及び入力部34を備える。
【0054】
通信部31は、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を入眠予測装置1から受信する。
【0055】
プロセッサ32は、介助確認処理部301を備える。介助確認処理部301は、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認画面を生成し、生成した確認画面を表示部33に表示させる。
【0056】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイであり、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認画面を表示する。
【0057】
入力部34は、例えばタッチパネルであり、所定の介助を受けるか否かの対象者による入力を受け付ける。例えば、確認画面には、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認する文章が表示されるとともに、所定の介助を受ける場合に押下される第1ボタンと、所定の介助を受けない場合に押下される第2ボタンとが表示される。対象者は、所定の介助を受ける場合に第1ボタンを押下し、所定の介助を受けない場合に第2ボタンを押下する。
【0058】
介助確認処理部301は、入力部34によって入力された所定の介助を受けるか否かを示す情報に基づいて、対象者が所定の介助を受けるか否かを示す応答情報を生成し、生成した応答情報を入眠予測装置1へ送信する。通信部31は、対象者が所定の介助を受けるか否かを示す応答情報を入眠予測装置1へ送信する。
【0059】
以下、本実施の形態に係る入眠予測システムの詳細について説明する。
【0060】
以下では、対象空間がサービス付き高齢者住宅の個室内に設定されている場合を例に説明する。この場合の対象者は、個室の入居者である。
【0061】
入眠予測装置1は、対象者の入眠を予測し、介助者等に通知する。
【0062】
測定装置2は、例えば、電波式のドップラーセンサと、信号処理部とを備える。ドップラーセンサは、例えば、所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で、マイクロ波帯の電波を対象領域に送信する。ドップラーセンサは、対象領域に存在する人などで反射された反射波を受信する。測定装置2の信号処理部は、ドップラーセンサが受信した反射波を信号処理して、対象領域に存在する人の体動を示す体動データを生成する。また、測定装置2の信号処理部は、人の体動を示す体動データをフィルタリングし、心拍によって発生する体動の周波数成分を抽出することで、心拍によって発生する体動を示す心拍データを生成する。また、測定装置2の信号処理部は、人の体動を示す体動データをフィルタリングし、呼吸によって発生する体動の周波数成分を抽出することで、呼吸によって発生する体動を示す呼吸データを生成する。
【0063】
測定装置2は、対象領域に存在する人の体動を示す体動データと、心拍によって発生する体動を示す心拍データと、呼吸によって発生する体動を示す呼吸データとを入眠予測装置1に出力する。なお、測定装置2は、例えば、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線通信部を備え、測定した生体データを入眠予測装置1に無線送信する。
【0064】
また、測定装置2が備えるセンサは、電波式のドップラーセンサに限定されず、超音波を送信する超音波式のドップラーセンサであってもよい。また、測定装置2と入眠予測装置1との間の通信は無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。また、測定装置2は、体動データなどの生体データを非接触で測定しているので、人の動きを妨げることがない。
【0065】
なお、測定装置2は、例えば、腕に装着可能なウエアラブルなセンサを備えてもよく、対象者に接触した状態で生体データを測定してもよい。
【0066】
本実施の形態では、入眠予測装置1は、例えば、介護施設又はサービス付き高齢者住宅等の施設において、介助者などの詰め所に設けられたパーソナルコンピュータによって実現される。
【0067】
生体データ取得部11は、例えば、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線通信部を含む。生体データ取得部11は、測定装置2との間で定期的又は不定期的に無線通信を行うことによって、測定装置2から体動データと心拍データと呼吸データとを取得する。生体データ取得部11は、測定装置2から体動データ、心拍データ及び呼吸データを取得すると、取得した体動データ、心拍データ及び呼吸データを記憶部12に出力する。
【0068】
記憶部12は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。記憶部12は、生体データ取得部11によって取得された体動データ、心拍データ及び呼吸データ等を記憶する。
【0069】
プロセッサ13が所定のプログラムを実行することにより、入眠予測部101、閾値調整部102及び通知処理部103の機能が実現される。プログラムは、メモリ又は記憶部12に予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0070】
記憶部12は、入眠予測モデルを記憶している。入眠予測モデルは、所定のタイミング以前で取得された生体データを用いて、予測値を出力する。本実施の形態では、一例として、予測値は、0以上1以下の実数で表され、対象者が現時点から30分以内に入眠する確率を表す指標である。また、本実施の形態では、入眠予測モデルは、過去に記録されている入眠時刻の30分前から入眠直前の時刻までの期間における生体データと、午後18時から入眠時刻の30分前の時刻までの期間における生体データとを入力データとして用いた機械学習によって予め構築されている。本実施の形態では、対象者が入眠する30分以内の時刻における入力データを、入眠予兆がある陽性データと呼び、対象者が入眠する30分前の時刻以前の時刻における入力データを、入眠予兆が無い陰性データと呼ぶ。
【0071】
入眠予測部101は、生体データ取得部11によって取得された生体データを入眠予測モデルに入力し、入眠予測モデルから出力される予測値を得る。
【0072】
閾値調整部102は、入眠予測モデルによって出力された予測値と比較するための閾値を算出する。閾値調整部102は、第1閾値TH1、第2閾値TH2及び入眠時刻傾向分布を用いて、後述の入眠予測処理に用いる閾値を算出する。
【0073】
本実施の形態では、入眠予測部101の判定結果として、予測値が閾値を上回る場合を陽性と呼び、予測値が閾値を下回る場合を陰性と呼ぶ。また、陽性データを入力したときに誤って陰性と判定することを偽陰性と呼び、陰性データを入力したときに誤って陽性と判定することを偽陽性と呼ぶ。偽陰性率(False Negative Rate)は全陽性データのうち陰性と判定された割合であり、偽陽性率(False Positive Rate)は全陰性データのうち陽性と判定された割合である。
【0074】
第1閾値TH1は、入眠予測モデルの偽陰性率を一定以下に抑えることを目的とした閾値である。第2閾値TH2は、入眠予測モデルの偽陽性率を一定以下に抑えることを目的とした閾値であり、第1閾値TH1より大きい値である。第1閾値TH1及び第2閾値TH2は、機械学習で入眠予測モデルを構築する際に様々な閾値を用いた交差検証を行うことで付加的に取得可能な数値である。本実施の形態では、記憶部12が、第1閾値TH1及び第2閾値TH2を予め記憶している。
【0075】
入眠時刻傾向分布は、対象者の過去の活動/睡眠情報又は対象者を介助する介助者の私見などに基づいて作成される、どの時刻帯にどの程度の確率で入眠するかを表す。入眠時刻傾向分布は、例えば単純に過去一定期間における入眠時刻の分布に基づいた度数分布又は確率分布であってもよく、また、日中の体動データ、心拍データ及び呼吸データを入眠予測モデルとは異なる入眠時刻傾向分布予測モデルに入力して得た確率分布であってもよい。入眠時刻傾向分布予測モデルは、機械学習により生成され、予め記憶部12に記憶される。なお、本実施の形態において、記憶部12は、入眠時刻傾向分布を予め記憶していてもよい。
【0076】
入眠予測部101は、入眠予測モデルによって出力された予測値が、閾値調整部102によって算出された閾値より大きい場合、対象者の入眠の予兆を検知した、すなわち対象者が所定時間後に入眠すると判定する。
【0077】
通知処理部103は、入眠予測部101によって対象者の入眠予兆が検知された場合、対象者又は介助者への通知処理を行う。
【0078】
なお、本実施の形態において、入眠予測装置1が測定装置2を備えてもよい。この場合、入眠予測装置1は対象者がいる部屋に配置され、介助者がいる部屋に配置された端末装置が表示部14の機能を有する。また、本実施の形態において、入眠予測装置1がサーバであってもよい。この場合、介助者がいる部屋に配置された端末装置が表示部14の機能を有する。
【0079】
続いて、本実施の形態に係る入眠予測装置1の全体的な動作について
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0080】
図2は、本実施の形態に係る入眠予測装置の全体的な動作を説明するための第1のフローチャートであり、
図3は、本実施の形態に係る入眠予測装置の全体的な動作を説明するための第2のフローチャートである。
【0081】
まず、生体データ取得部11は、定期的に又は不定期的に、生体データを測定装置2から取得する(ステップS1)。本実施の形態では、一例として、生体データ取得部11は、1秒ごとに、体動データ、心拍データ及び呼吸データを測定装置2から取得する。
【0082】
次に、生体データ取得部11は、取得した生体データを記憶部12に記憶する(ステップS2)。本実施の形態では、一例として、生体データ取得部11は、1分ごとに、体動データ、心拍データ及び呼吸データの1分間の平均値を記憶部12に記憶する。
【0083】
入眠予測部101は、現在時刻が所定の時刻に到達したか否かを判断する(ステップS3)。なお、所定の時刻は、例えば、施設が設定した夕食の終了時刻である。所定の時刻は、例えば、18時である。上記の所定の時刻は一例であり、対象者に応じて適切な時刻が設定される。ここで、現在時刻が所定の時刻に到達していないと判断された場合(ステップS3でNO)、ステップS1に処理が戻る。
【0084】
一方、現在時刻が所定の時刻に到達したと判断された場合(ステップS3でYES)、閾値調整部102は、対象者の入眠時刻傾向分布を作成する(ステップS4)。閾値調整部102は、例えば午前7時から午後18時までの日中の体動データ、心拍データ及び呼吸データを入眠時刻傾向分布予測モデルに入力し、入眠時刻傾向分布予測モデルから出力される入眠時刻傾向分布を得ることにより、入眠時刻傾向分布を作成する。閾値調整部102は、作成した入眠時刻傾向分布を記憶部12に記憶する。なお、記憶部12が入眠時刻傾向分布を予め記憶している場合、ステップS4の処理は省略される。
【0085】
次に、生体データ取得部11は、生体データを測定装置2から取得する(ステップS1)。本実施の形態では、一例として、生体データ取得部11は、1秒ごとに、体動データ、心拍データ及び呼吸データを測定装置2から取得する。
【0086】
次に、生体データ取得部11は、取得した生体データを記憶部12に記憶する(ステップS2)。本実施の形態では、一例として、生体データ取得部11は、1分ごとに、体動データ、心拍データ及び呼吸データの1分間の平均値を記憶部12に記憶する。
【0087】
次に、閾値調整部102は、所定のタイミング(例えば1分間隔)で、現在時刻において入眠予測処理に用いる閾値を算出する閾値調整処理を行う(ステップS7)。なお、閾値調整処理については、後述する。
【0088】
次に、入眠予測部101は、現在時刻から所定の時間分の過去の生体データを記憶部12から取得する(ステップS8)。例えば、入眠予測部101は、現在時刻から1時間分の過去の体動データ、心拍データ及び呼吸データを記憶部12から取得する。
【0089】
次に、入眠予測部101は、取得した生体データを入眠予測モデルに入力し、入眠予測モデルから出力された予測値を得ることにより、予測値を算出する(ステップS9)。
【0090】
なお、閾値調整部102により閾値設定処理が行われる時間間隔は、入眠予測部101により予測値が算出される時間間隔と同じであってもよいし、予測値が算出される時間間隔よりも長くてもよい。すなわち、例えば、閾値設定処理が行われる時間間隔は、予測値が算出される時間間隔と同じ1分間隔であってもよいし、予測値が算出される時間間隔よりも長い30分間隔であってもよい。
【0091】
また、閾値調整部102は、1日に1回だけ所定時刻(例えば、18時)に閾値設定処理を行い、18時以降の所定時間毎(例えば、1分毎)の閾値を算出し、算出した所定時間毎の閾値を記憶部12に記憶してもよい。
【0092】
ここで、入眠予測部101が予測値を算出する処理についてより具体的に説明する。
【0093】
入眠予測部101は、記憶部12に記録されている体動データ、心拍データ及び呼吸データから、対象者の入眠予兆を判定する処理を行う。
【0094】
図4は、本実施の形態における体動データ、呼吸データ及び心拍データの一例を示す図である。本実施の形態において、入力に用いられる体動データ、心拍データ及び呼吸データは
図4に示すように、各測定データが2次元の値を持ち、6次元の生体データが1分毎に記録される。すなわち、測定装置2のドップラーセンサから出力された体動信号は、信号処理の1つであるI/Q検波により、体動I信号及び体動Q信号に分けられ、さらに、体動I信号及び体動Q信号がフィルタリングされることにより、呼吸I信号、呼吸Q信号、心拍I信号及び心拍Q信号が計測される。
【0095】
入眠予測部101は、所定のタイミングで現在時刻から1時間分の生体データを記憶部12から取得し、入眠予測モデルへ入力して予測値を得る。
【0096】
例えば、現在時刻が19時00分の場合、入眠予測部101は、18時00分~18時59分における生体データを記憶部12から取得し、入眠予測モデルへ入力する。入眠予測モデルは、入力に対し、0以上1以下の実数値で表され、現在時刻から30分以内に入眠する確率を示す予測値を出力する。
【0097】
図5は、本実施の形態において、記憶部12に記録された体動データ、心拍データ及び呼吸データの波形の一例を示す図であり、
図6は、本実施の形態において、18時00分以降に生体データに対して入眠予測モデルが出力した予測値の変化の一例を示す図である。なお、
図5において、体動データは、体動I信号及び体動Q信号の平均値を表し、心拍データは、心拍I信号及び心拍Q信号の平均値を表し、呼吸データは、呼吸I信号及び呼吸Q信号の平均値を表す。
【0098】
図5に示す波形によれば、対象者は19時00分頃に入室し、21時30分頃より活動が穏やかになり、およそ22時30分~23時00分の間に入眠したと考えられる。また、
図6に示すように、入眠予測モデルが出力する予測値は、対象者の活動が穏やかになった後の22時00分頃から徐々に上昇していき、22時30分頃にピークを迎えていることがわかる。
【0099】
図3に戻り、次に、入眠予測部101は、算出した予測値が、閾値調整部102によって算出された閾値より大きいか否かを判断する(ステップS10)。ここで、予測値が閾値以下であると判断された場合(ステップS10でNO)、ステップS5に処理が戻る。
【0100】
一方、予測値が閾値より大きいと判断された場合(ステップS10でYES)、通知処理部103は、対象者が所定時間後に入眠することを介助者に通知する、又は入眠介助を受けるか否かを対象者に確認する通知処理を行う(ステップS11)。
【0101】
次に、通知処理部103は、対象者が所定時間後に入眠することを介助者に通知したか否かを判断する(ステップS12)。ここで、対象者が所定時間後に入眠することを介助者に通知していないと判断された場合(ステップS12でNO)、ステップS5に処理が戻る。
【0102】
一方、対象者が所定時間後に入眠することを介助者に通知したと判断された場合(ステップS12でYES)、ステップS1に処理が戻る。
【0103】
続いて、閾値調整部102が行う閾値調整処理について
図4を参照して説明する。閾値調整処理において、閾値調整部102は、第1閾値TH1、第2閾値TH2及び入眠時刻傾向分布を用いて、入眠予測処理に用いる閾値を設定する。
【0104】
図7は、
図2のステップS7における閾値調整処理について説明するためのフローチャートである。
【0105】
まず、閾値調整部102は、第1閾値TH1及び第2閾値TH2を記憶部12から取得する(ステップS21)。
【0106】
次に、閾値調整部102は、入眠時刻傾向分布を記憶部12から取得する(ステップS22)。
【0107】
図8は、本実施の形態で用いる入眠時刻傾向分布の一例を示す図である。入眠時刻傾向分布は、対象者の過去の入眠時刻の分布を示すヒストグラム、又は対象者の過去の入眠時刻からカーネル密度推定により生成した確率密度関数f(t)であり、閾値調整処理を行うタイミングの間隔に応じてどちらを用いてもよい。
図8ではヒストグラムの横軸の範囲を18時~24時としているが、当該範囲は、対象者の入眠時刻の傾向に合わせて変更してもよい。また、入眠時刻の傾向を示すものであれば、別の方法により生成した分布を用いてもよい。
【0108】
図7に戻り、次に、閾値調整部102は、現在時刻tに対応する閾値TH
tを算出する(ステップS23)。閾値調整部102は、現在時刻tが入眠する傾向がある時刻であるほど第1閾値TH1に近くなり、現在時刻tが入眠する傾向がない時刻であるほど第2閾値TH2に近くなる閾値TH
tを算出する。閾値調整部102は、入眠時刻傾向分布に
図8の確率密度関数f(t)を用いる場合、各時刻tに対応する閾値TH
tを、以下の式(1)により算出する。なお、式(1)において、max(f)は関数fの最大値を表す。
【0109】
【0110】
ここで、関数をf(t+0.5)としているのは、入眠予測モデルが現在時刻から30分以内に入眠する確率を出力するように設計されているためであり、入眠予測モデルの設計に応じて変更してもよい。分母のmax(f)についても、関数fが最大値であるときにTHt=TH1とするための一例であり、適宜変更可能である。上記の式(1)を用いて閾値THtを算出することにより、閾値THtは、30分後の時刻が過去に対象者の入眠する確率が高い時刻であれば第1閾値TH1に近い低い値となり、30分後の時刻が過去に対象者の入眠する確率が低い時刻であれば第2閾値TH2に近い高い値となる。
【0111】
次に、閾値調整部102は、後述する通知処理において対象者から介助不要の指示が同日中にあったか否かを判断する(ステップS24)。ここで、介助不要の指示が同日中になかったと判断された場合(ステップS24でNO)、閾値調整処理が終了する。
【0112】
一方、介助不要の指示が同日中にあったと判断された場合(ステップS24でYES)、閾値調整部102は、対象者により介助不要が指示された介助不要時刻から現在時刻までの時間に応じて閾値THtを補正する(ステップS25)。閾値調整部102は、介助不要時刻から現在時刻までの時間が短いほど、閾値THtを増加させるように補正する。これにより、介助不要時刻に近い時刻に余計な介助予告が発生する頻度を抑えることができる。補正方法としては、例えば、関数fの値が変更され、閾値調整部102は、介助不要時刻から30分以内は関数fを0とし、介助不要時刻の30分後から60分後までは関数fを半減することで閾値THtを増加させる。また、閾値調整部102が閾値THtを増加させるかわりに、介助不要時刻から一定時間(例えば30分)以内は、入眠予測部101が入眠の予測自体を行わないようにしてもよい。
【0113】
続いて、通知処理部103が行う通知処理について
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0114】
図9は、
図3のステップS11における通知処理について説明するためのフローチャートである。
【0115】
まず、通知処理部103は、対象者の入眠時刻傾向分布を記憶部12から取得する(ステップS41)。
【0116】
次に、通知処理部103は、取得した入眠時刻傾向分布から入眠時刻の分散σ2を算出する(ステップS42)。
【0117】
次に、通知処理部103は、分散σ2が所定の値以下であるか否かを判断する(ステップS43)。入眠時刻の分散σ2は、入眠時刻のばらつきの大きさを表す。そのため、分散σ2が小さければ、入眠時刻が一定であり、毎日ほぼ同じ時刻に入眠していることになる。一方、分散σ2が大きければ、入眠時刻が一定ではなく、入眠時刻にばらつきが多いことになる。ここで、分散σ2が所定の値以下であると判断した場合(ステップS43でYES)、通知処理部103は、対象者が所定時間後に入眠することを通知するための通知情報を表示部14に表示する(ステップS44)。通知情報が表示されることで、対象者が所定時間後に入眠することが介助者に通知される。介助者は、表示部14に表示された通知情報を確認することで、対象者が入眠する前に所定の介助を行う。
【0118】
一方、分散σ2が所定の値より大きいと判断した場合(ステップS43でNO)、通知処理部103は、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認情報を介助予告装置3へ送信する(ステップS45)。介助予告装置3の通信部31は、確認情報を受信する。介助確認処理部301は、対象者に対して所定の介助を受けるか否かを確認するための確認画面を生成し、生成した確認画面を表示部33に表示させる。なお、介助確認処理部301は、音声により確認情報を出力してもよい。そして、入力部34は、所定の介助を受けるか否かの対象者による入力を受け付ける。通信部31は、対象者が所定の介助を受けるか否かを示す応答情報を入眠予測装置1へ送信する。
【0119】
次に、通信部15は、介助予告装置3によって送信された応答情報を受信する(ステップS46)。
【0120】
次に、通知処理部103は、受信された応答情報に基づいて、対象者が所定の介助を受けるか否かを判断する(ステップS47)。ここで、対象者が所定の介助を受けると判断した場合(ステップS47でYES)、ステップS44に処理が移行し、通知処理部103は、対象者が所定時間後に入眠することを通知するための通知情報を表示部14に表示する。
【0121】
一方、対象者が所定の介助を受けないと判断された場合、すなわち介助不要の指示があったと判断された場合(ステップS47でNO)、通知処理部103は、現在時刻を、介助不要が指示された介助不要時刻として記憶部12に記憶する(ステップS48)。記憶部12に記憶された介助不要時刻は、上記したように、閾値調整部102による閾値の補正に用いられる。
【0122】
なお、ステップS46において、所定の時間が経過しても応答情報が受信されない場合、すなわち、対象者による所定の介助を受けるか否かの回答がない場合、ステップS48の処理が行われてもよい。
【0123】
また、本実施の形態では、入眠時刻の分散σ2により入眠時刻のばらつきの大きさを表しているが、本開示は特にこれに限定されず、入眠時刻の標準偏差により入眠時刻のばらつきの大きさを表してもよい。
【0124】
また、認知機能の障害等により所定の介助を受けるか否かに対する回答が困難又は不可能な対象者に対しては、事前に設定することで、確認情報を送信することなく、無条件に表示部14に通知情報を表示してもよい。
【0125】
また、介助予告装置3により確認情報が表示される前に、対象者が能動的に所定の介助を要求する操作を入力部34に対して行い、通信部31が、所定の介助を要求する情報を入眠予測装置1へ送信し、入眠予測装置1の表示部14は、所定の介助を要求する情報を表示してもよい。
【0126】
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
【0127】
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムは、入眠前に対象者がいつ入眠するかを予測することができるので、対象者が入眠する前に前記対象者が入眠することを予測する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0129】
1 入眠予測装置
2 測定装置
3 介助予告装置
11 生体データ取得部
12 記憶部
13 プロセッサ
14 表示部
15 通信部
31 通信部
32 プロセッサ
33 表示部
34 入力部
101 入眠予測部
102 閾値調整部
103 通知処理部
301 介助確認処理部