(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】核酸のデリバリーのための新規脂質および脂質ナノ粒子製剤
(51)【国際特許分類】
C07C 219/06 20060101AFI20220228BHJP
C07C 255/24 20060101ALI20220228BHJP
C07C 229/16 20060101ALI20220228BHJP
C07C 233/36 20060101ALI20220228BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220228BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20220228BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220228BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20220228BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220228BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20220228BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20220228BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220228BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C07C219/06 CSP
C07C255/24
C07C229/16
C07C233/36
A61K31/7105
A61K9/127
A61K9/14
A61K47/54
A61K47/10
A61K47/28
A61K47/24
A61K47/18
A61K9/50
(21)【出願番号】P 2018521205
(86)(22)【出願日】2016-10-28
(86)【国際出願番号】 US2016059575
(87)【国際公開番号】W WO2017075531
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-10-25
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518137896
【氏名又は名称】アキィタス・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acuitas Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エム・アンセル
(72)【発明者】
【氏名】シンヤオ・ドゥ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-338416(JP,A)
【文献】特開2013-095755(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136368(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0062044(US,A1)
【文献】特表2018-532721(JP,A)
【文献】特表2019-519511(JP,A)
【文献】Journal of the American Chemical Sciety,2007年,129(37),11408-11420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 219/06
C07C 229/16
C07C 255/24
C07C 233/36
A61K 31/7105
A61K 9/127
A61K 9/14
A61K 47/54
A61K 47/10
A61K 47/28
A61K 47/24
A61K 47/18
A61K 9/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式(IG):
【化1】
(IG)
[式中、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、C
6-C
24アルキルまたはC
6-C
24アルケニルである;
R
3は、OR
5、CN、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NR
5C(=O)R
4である;
R
4は、C
1-C
12アルキルである;
R
5は、HまたはC
1-C
6アルキルである;
R
6は、出現するごとに、Hである;
nは、2~12の整数である;および
yおよびzはそれぞれ独立して、6~10の整数である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩、もしくは立体異性体。
【請求項2】
yおよびzがそれぞれ独立して、6~9の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが、3、4、5または6である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1またはR
2、あるいは両方が、C
6-C
24アルケニルである、請求項1~3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R
1またはR
2、あるいは両方が、C
6-C
24アルキルである、請求項1~3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R
1およびR
2がそれぞれ独立して、以下の構造式:
【化2】
[式中、
R
7aおよびR
7bは、出現するごとに独立して、HまたはC
1-C
12アルキルである;および
aは、2~12の整数である;
ここで、R
7a、R
7bおよびaはそれぞれ、R
1およびR
2がそれぞれ独立して、6~20個の炭素原子を含むように選択される]
で示される、請求項1~5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
aが、8~12の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
7aの少なくとも1つの存在が、Hである、請求項6~7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R
7aが、出現するごとに、Hである、請求項6~7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R
7bの少なくとも1つの存在が、C
1-C
8アルキルである、請求項6~9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
C
1-C
8アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシルまたはn-オクチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R
1またはR
2、あるいは両方が、以下の構造式:
【化3】
の1つで示される、請求項5~11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
R
3が、OHである、請求項1~12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
R
3が、CNである、請求項1~12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
R
3が、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NHC(=O)R
4である、請求項1~12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
R
4が、メチルまたはエチルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
以下の構造式:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
の1つで示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1つに記載の化合物および治療薬を含む組成物。
【請求項19】
中性脂質、ステロイドおよびポリマー複合脂質から選択される1つ以上の賦形剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
中性脂質が、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPEおよびSMから選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
中性脂質が、DSPCである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
中性脂質に対する化合物のモル比が、2:1~8:1の範囲である、請求項
19~21のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項23】
ステロイドが、コレステロールである、請求項19~22のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
コレステロールに対する化合物のモル比は、5:1~1:1の範囲である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
ポリマー複合脂質が、ペグ化脂質である、請求項19~24のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項26】
化合物のペグ化脂質に対するモル比が、100:1~20:1の範囲である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
ペグ化脂質が、PEG-DAG、PEG-PE、PEG-S-DAG、PEG-cerまたはPEGジアルコキシプロピルカルバメートである、請求項25または26のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項28】
ペグ化脂質が、以下の構造式(II):
【化12】
(II)
[式中、
R
8およびR
9はそれぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和アルキル鎖であり、ここで、アルキル鎖は、1つ以上のエステル結合によって任意に中断される;および
wは、30~60の範囲の平均値を有する]
で示される、請求項25または26のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項29】
R
8およびR
9がそれぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含む直鎖の、飽和アルキル鎖である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
平均wが、49である、請求項28または29のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項31】
治療薬が、核酸を含む、請求項18~30のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項32】
核酸が、アンチセンスRNAおよびメッセンジャーRNAから選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1~17のいずれか1つに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項34】
請求項1~17のいずれか1つに記載の化合物を含む、脂質ナノ粒子。
【請求項35】
さらに核酸を含む、請求項34に記載の脂質ナノ粒子。
【請求項36】
核酸がmRNAを含む、請求項35に記載の脂質ナノ粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インビトロおよびインビボの両方で、中性脂質、コレステロールおよびポリマー複合脂質などの他の脂質成分と組み合わせて、オリゴヌクレオチドと脂質ナノ粒子を形成し、治療用核酸(たとえば、オリゴヌクレオチド 、メッセンジャーRNAなど)の細胞内デリバリーを促進するための新規なカチオン性脂質に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
生物系における所望の応答に影響を及ぼす核酸のデリバリーには多くの課題がある。核酸ベースの治療薬は莫大な可能性を秘めているが、この可能性を実現するためには、細胞または生物体内の適切な部位に核酸をより効果的にデリバリーする必要性が依然として存在する。治療用核酸として、たとえば、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、DNAザイム、プラスミド、免疫刺激核酸、アンタゴミル(antagomir)、アンチミル(antimir)、模倣物、スーパーミル(supermir)およびアプタマーが挙げられる。いくつかの核酸、たとえば、mRNAまたはプラスミドは、たとえば、タンパク質または酵素の欠乏に関連する疾患の治療に有用であるように、特定の細胞産物の発現を達成させるために使用されうる。翻訳可能なヌクレオチドデリバリーの治療的応用は、系に固有であるか否かにかかわらず、任意の選択されたタンパク質配列を産生するように構築物を合成することができるので、極めて広い。核酸の発現産物は、既存のタンパク質レベルを増大させることができ、タンパク質の欠損または非機能バージョンを置き換えることができ、または細胞または生物に新しいタンパク質および関連する機能性を導入することができる。
【0003】
miRNA阻害剤などのいくつかの核酸は、たとえば、タンパク質または酵素の欠乏に関連する疾患の治療に有用であるような、miRNAによって調節される特定の細胞産物の発現を達成するために使用されうる。mRNA産物の発現を順番に調節する1つ以上のmiRNAを阻害するために構築物を合成することができるので、miRNA阻害の治療的適用は極めて広いものである。内在性miRNAの阻害は、その下流の標的内因性タンパク質発現を増大させ、特定のmiRNAまたはmiRNAの群に関連する疾患を治療する手段として、細胞または生物において適切な機能を回復させることができる。
【0004】
他の核酸は、特定のmRNAの細胞内レベルをダウンレギュレートすることができ、結果として、RNA干渉(RNAi)またはアンチセンスRNAの相補的結合などのプロセスを介して対応するタンパク質の合成をダウンレギュレートすることができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNAiの治療的適用はまた、オリゴヌクレオチド構築物が標的mRNAに対して向けられた任意のヌクレオチド配列で合成されうるので、非常に広い。標的は、正常細胞由来のmRNA、癌などの疾患状態に関連するmRNA、およびウイルスなどの感染性因子のmRNAを含みうる。今日まで、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物は、インビトロおよびインビボモデルの両方において同族mRNAの分解を介して標的タンパク質を特異的にダウンレギュレートする能力を示している。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物は、現在、臨床研究において評価されている。
【0005】
しかしながら、2つの問題が、現在、治療的状況においてオリゴヌクレオチドの使用に直面している。第1に、遊離RNAは、血漿中でヌクレアーゼ消化を受けやすい。第2に、遊離RNAは、関連する翻訳機構が存在する細胞内区画へのアクセスを制限された能力しか有さない。中性脂質、コレステロール、PEG、PEG化脂質、およびオリゴヌクレオチドなどの他の脂質成分とカチオン性脂質から形成された脂質ナノ粒子は、血漿中のRNAの分解をブロックし、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進するために使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オリゴヌクレオチドのデリバリーのための改善されたカチオン性脂質および脂質ナノ粒子が必要とされている。好ましくは、これらの脂質ナノ粒子は、最適な薬物:脂質比を提供し、血清中の分解およびクリアランスから核酸を保護し、全身または局所デリバリーに適し、核酸の細胞内デリバリーを提供する。さらに、これらの脂質-核酸粒子は、核酸の有効用量での患者の治療が、許容できない毒性および/または患者に対するリスクと関連しないように、十分に許容され、適切な治療指数を提供するべきである。本発明は、これらの利点および関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
要約すると、本発明は、その立体異性体、薬学的に許容される塩または互変異性体を含む、脂質化合物を提供し、それらは、単独で、または中性脂質、荷電脂質、ステロイド(たとえば、すべてのステロールを含む)および/またはそれらの類縁体などの他の脂質成分、および/またはポリマー複合脂質と組み合わせて使用して、治療薬のデリバリーのための脂質ナノ粒子を形成することができる。いくつかの例では、脂質ナノ粒子は、アンチセンスおよび/またはメッセンジャーRNAなどの核酸をデリバリーするために使用される。感染性実体および/またはタンパク質の不足により引き起こされるような、さまざまな疾患または状態の治療のためのこのような脂質ナノ粒子の使用方法もまた提供される。
【0008】
1つの実施態様では、以下の構造式(I):
【化1】
(I)
[式中、R
1、R
2、R
3、L
1、L
2、G
1、G
2およびG
3は、本明細書で定義される通りである]
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体が、提供される。
【0009】
構造式(I)の前記化合物の1つ以上を含む医薬組成物および治療薬もまた提供される。いくつかの実施態様では、医薬組成物はさらに、中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよびポリマー複合脂質から選択される1つ以上の成分を含む。そのような組成物は、治療薬のデリバリーのための脂質ナノ粒子の形成に有用である。
【0010】
他の実施態様では、本発明は、それを必要とする患者に治療薬を投与する方法であって、構造式(I)の化合物および治療薬を含む脂質ナノ粒子の組成物を調製し、組成物を患者にデリバリーすることを含む方法を提供する。
【0011】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0012】
図面のいくつかの見解の簡単な説明
図面において、同じ参照番号は、同様の要素を示す。図面中の要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、これらの要素のいくつかは、図の判読性を改善するために任意に拡大され配置される。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を伝達することを意図するものではなく、図面の認識を容易にするためにのみ選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】マウス肝臓におけるルシフェラーゼ発現の経時変化を示す。
【
図2】開示された脂質に関連する代表例としてのMC3のpKaの計算を示す。
【
図3】選択された脂質に関する比較ルシフェラーゼ活性データを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な記載
以下の説明において、ある特定の詳細は、本発明のさまざまな実施態様の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの詳細なしに実施されうることを理解するであろう。
【0015】
本発明は、部分的には、哺乳類の細胞への核酸などの活性剤または治療薬のインビボデリバリーのために脂質ナノ粒子に使用される場合に利点を提供する新規カチオン性(アミノ)脂質の発見に基づく。特に、本発明の実施態様は、インビボでの核酸の活性の増大および組成物の耐容性の改善を提供し、以前に記載された核酸-脂質ナノ粒子組成物と比較して、治療指数の有意な増加をもたらす、本明細書に記載の1つ以上の新規なカチオン性脂質を含む核酸-脂質ナノ粒子組成物を提供する。
【0016】
特定の実施態様では、本発明は、mRNAおよび/または他のオリゴヌクレオチドのインビトロおよびインビボデリバリーのための改良された組成物の製剤を可能にする新規なカチオン性脂質を提供する。いくつかの実施態様では、これらの改良された脂質ナノ粒子組成物は、mRNAによってコードされるタンパク質の発現のために有用である。他の実施態様では、これらの改良された脂質ナノ粒子組成物は、1つの特定のmiRNAまたは1つの標的mRNAまたは数個のmRNAを制御するmiRNAの群を標的とするmiRNA阻害剤をデリバリーすることによって、内因性タンパク質発現のアップレギュレーションに有用である。他の実施態様では、これらの改良された脂質ナノ粒子組成物は、標的遺伝子のタンパク質レベルおよび/またはmRNAレベルをダウンレギュレーション(たとえば、サイレンシング)するために有用である。いくつかの他の実施態様では、脂質ナノ粒子は、導入遺伝子の発現のためのmRNAおよびプラスミドのデリバリーにも有用である。さらに他の実施態様では、脂質ナノ粒子組成物は、適切なエリスロポエチンmRNAのデリバリーによる赤血球の産生の増加、または適切な抗原または抗体をコードするmRNAのデリバリーによる感染に対する保護などの、タンパク質の発現から生じる薬理学的効果を誘導するために有用である。
【0017】
本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、インビトロおよびインビボの両方において、細胞への核酸などの封入または結合(associated)(たとえば、複合)治療薬のデリバリーを含む、さまざまな目的に使用することができる。したがって、本発明の実施態様は、それを必要とする対象における疾患または障害を治療または予防する方法であって、対象を、適切な治療薬を封入するか、またはそれと結合した脂質ナノ粒子と接触させることによる方法であり、該脂質ナノ粒子が、本明細書に記載の1つ以上の新規なカチオン性脂質を含む、方法。
【0018】
本明細書中に記載されるように、本発明の脂質ナノ粒子の実施態様は、たとえば、mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミドDNA、マイクロRNA(miRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル/アンチミル)、メッセンジャーRNA干渉性相補RNA(micRNA)、DNA、多価RNA、ダイサー基質RNA、相補DNA(cDNA)などの核酸のデリバリーに特に有用である。したがって、本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、本明細書に記載の1つ以上の新規カチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子と細胞を接触させることによって、インビトロおよびインビボの両方で、所望のタンパク質の発現を誘導するために使用されることができ、ここで、脂質ナノ粒子は、所望のタンパク質を産生するために発現される核酸(たとえば、所望のタンパク質をコードするメッセンジャーRNAまたはプラスミド)か、またはmRNAの発現を終結させるプロセスを阻害するために発現される核酸(たとえば、miRNA阻害剤)を封入または結合する。あるいは、本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、本明細書に記載の1つ以上の新規なカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子と細胞を接触させることによって、インビトロおよびインビボの両方で標的遺伝子およびタンパク質の発現を低下させるために使用されることができ、ここで、脂質ナノ粒子は、標的遺伝子発現を減少させる核酸(たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは低分子干渉RNA(siRNA))を封入または結合する。本発明の脂質ナノ粒子および組成物は、異なる核酸(たとえば、適切な遺伝子修飾酵素をコードするmRNAおよび宿主ゲノムに組み込むためのDNAセグメント)の共局在化を必要とする効果を提供するために有用であり得るように、異なる核酸(たとえば、mRNAおよびプラスミドDNA)の共送達のために別々にまたは組み合わせて使用され得る。
【0019】
本発明で使用するための核酸は、任意の利用可能な技術に従って調製されうる。mRNAについては、調製の主な方法論は、これに限定されないが、現在、長い配列特異的mRNAを生成する最も効率的な方法を代表する酵素合成(インビトロ転写とも呼ばれる)である。インビトロ転写は、対象の遺伝子をコードする下流配列に連結された上流バクテリオファージプロモーター配列を含む操作されたDNA鋳型(たとえば、T7、T3およびSP6コリファージ由来のものを含むが、これに限定されない)からのRNA分子の鋳型指向性合成のプロセスを記載する。鋳型DNAは、プラスミドDNAおよびポリメラーゼ連鎖反応増幅(これに限定されない)などの当技術分野で周知の適切な技術を用いて、多くの供給源からインビトロ転写用に調製されうる(Linpinsel、J.L and Conn、G.L.、General protocols for preparation of plasmid DNA template and Bowman、J.C.、Azizi、B.、Lenz、T.K.、Ray、P.、and Williams、L.D. in RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods v. 941 Conn G.L. (ed)、New York、N.Y. Humana Press、2012を参照)。
【0020】
得られたmRNA転写物の潜在的分解を最小限に抑えながら、ポリメラーゼ活性を支持する条件下で、対応するRNAポリメラーゼおよびアデノシン、グアノシン、ウリジンおよびシチジンリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)の存在下で、線状化DNA鋳型を用いてRNAの転写をインビトロで行う。インビトロ転写は、RiboMax Large Scale RNA Production System(Promega)、MegaScript転写キット(Life Technologies)を含むが、これに限定されないさまざまな市販のキット、ならびにRNAポリメラーゼおよびrNTPなどの市販の試薬を用いて行われうる。mRNAのインビトロ転写のための方法論は、当技術分野において周知である。(たとえば、Losick、R.、1972、In vitro transcription、Ann Rev Biochem v.41 409-46; Kamakaka、R. T. and Kraus、W. L. 2001. In Vitro Transcription. Current Protocols in Cell Biology. 2:11.6:11.6.1-11.6.17;Beckert、B. And Masquida、B.,(2010) Synthesis of RNA by In Vitro Transcription in RNA in Methods in Molecular Biology v. 703 (Neilson、H. Ed)、New York、N.Y. Humana Press、 2010;Brunelle、J.L. and Green、R.、2013、 Chapter Five-In vitro transcription from plasmid or PCR-amplified DNA、Methods in Enzymology v. 530、101-114; all of which are incorporated herein by referenceを参照)。
【0021】
次いで、所望のインビトロで転写されたmRNAを、転写または関連する反応の望ましくない成分(組み込まれなかったrNTP、タンパク質酵素、塩、短いRNAオリゴなど)から精製する。mRNA転写物の単離のための技術は、当技術分野で周知である。よく知られている手順として、フェノール/クロロホルム抽出または一価のカチオンまたは塩化リチウムの存在下でのアルコール(エタノール、イソプロパノール)のいずれかによる沈殿が挙げられる。使用することができる精製手順のさらなる非限定的な例として、サイズ排除クロマトグラフィー(Lukavsky、P.J. and Puglisi、J.D.、2004、Large-scale preparation and purification of polyacrylamide-free RNA oligonucleotides、RNA v.10、889-893)、シリカ系親和性クロマトグラフィーおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(Bowman、J.C.、Azizi、B.、Lenz、T.K.、Ray、P.、and Williams、L.D. in RNA in vitro transcription and RNA purification by denaturing PAGE in Recombinant and in vitro RNA syntheses Methods v. 941 Conn G.L. (ed)、New York、N.Y. Humana Press、2012)が挙げられる。精製は、SV Total Isolation System(Promega)およびIn Vitro Transcription Cleanup and Concentration Kit(Norgen Biotek)を含むが、これらに限定されないさまざまな市販のキットを用いて行われうる。
【0022】
さらに、逆転写は大量のmRNAを産生することができるが、産物は、全長mRNA調製物から除去される必要がありうる望ましくないポリメラーゼ活性に関連する多数の異常なRNA不純物を含みうる。これらは、不完全な転写開始に起因する短いRNAならびにRNA依存性RNAポリメラーゼ活性によって生成される二本鎖RNA(dsRNA)、RNA鋳型からのRNA開始転写(RNA-primed transcription)および自己相補的3'伸長を含む。dsRNA構造を有するこれらの汚染物質は、特定の核酸構造を認識し、強力な免疫応答を誘導するように機能する真核細胞内のさまざまな自然免疫センサーとの相互作用を介して、望ましくない免疫賦活活性をもたらし得ることが実証されている。このことは、次に、先天性細胞性免疫応答の間にタンパク質合成が減少するため、mRNA翻訳を劇的に減少させうる。したがって、これらのdsRNA混入物を除去するためのさらなる技術が開発されており、これに限定されないが、スケールアップ可能なHPLC精製などが当技術分野で知られている(たとえば、Kariko、K.、Muramatsu、H.、Ludwig、J. And Weissman、D.、2011、Generating the optimal mRNA for therapy: HPLC purification eliminates immune activation and improves translation of nucleoside-modified、protein-encoding mRNA、Nucl Acid Res、v. 39 e142;Weissman、D.、Pardi、N.、Muramatsu、H.、and Kariko、K.、HPLC Purification of in vitro transcribed long RNA in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology v.969 (Rabinovich、P.H. Ed)、2013を参照)。HPLC精製されたmRNAは、特に初代細胞およびインビボで、はるかに高いレベルで翻訳されることが報告されている。
【0023】
インビトロで転写されたmRNAの特異的特性を改変し、その有用性を改善するために使用される有意なさまざまな修飾が当技術分野で記載されている。これらには、mRNAの5'および3'末端の修飾が含まれるが、これに限定されない。内因性真核生物mRNAは、典型的には、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)の結合を媒介する上で重要な役割を果たす成熟分子の5'末端にキャップ構造を含み、これは、次に、細胞におけるmRNA安定性およびmRNA翻訳の効率を高めることに関与する。したがって、最高レベルのタンパク質発現は、キャップmRNA転写物で達成される。5'キャップは、最も5'のヌクレオチド(5'-most nucleotide)とグアニンヌクレオチドとの間に5'-5'-三リン酸結合を含む。複合されたグアニンヌクレオチドはN7位でメチル化される。さらなる修飾として、2'-ヒドロキシル基上の最終および最後から2番目の最も5'のヌクレオチドのメチル化が挙げられる。
【0024】
インビトロで転写された合成mRNAの5'キャップを生成するために、複数の異なるキャップ構造を使用することができる。合成mRNAの5'キャッピングは、化学的キャップアナログ(すなわち、インビトロ転写中のキャッピング)と共転写的に行われうる。たとえば、アンチリバースキャップアナログ(Anti-Reverse Cap Analog)(ARCA)キャップは、1つのグアニンがN7メチル基ならびに3'-O-メチル基を含む5'-5'-三リン酸グアニン-グアニン結合を含む。しかしながら、この共転写プロセス中、最高20%の転写産物がキャップされないままであり、合成キャップアナログは真正細胞mRNAの5'キャップ構造と同一ではなく、潜在的に翻訳能力および細胞安定性を低下させる。あるいは、合成mRNA分子は、転写後に酵素的にキャップされてもよい。これらは、構造的または機能的のいずれかで、より密接に類似したより真正な5'キャップ構造を生成することができ、キャップ結合タンパク質の増強された結合を有する内因性5'-capは、半減期を増加させ、5'エンドヌクレアーゼへの感受性を減少させ、および/または5'脱キャッピングを減少させる。多数の合成5'キャップアナログが開発されており、mRNA安定性および翻訳能力を向上させることが当技術分野において知られている(たとえば、Grudzien-Nogalska、E.、Kowalska、J.、Su、W.、Kuhn、A.N.、Slepenkov、S.V.、Darynkiewicz、E.、Sahin、U.、Jemielity、J.、and Rhoads、R.E.、Synthetic mRNAs with superior translation and stability properties in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology v.969 (Rabinovich、P.H. Ed)、2013を参照)。
【0025】
3'末端では、通常、RNAプロセシング中に、長鎖のアデニンヌクレオチド(ポリAテール)がmRNA分子に付加される。転写の直後に、転写物の3'末端が切断されて、ポリアデニル化と呼ばれる過程においてポリAポリメラーゼがアデニンヌクレオチドの鎖をRNAに付加する3'ヒドロキシルを遊離する。ポリAテールは、mRNAの翻訳効率および安定性の両方を高めることが広範に示されている(Bernstein、P. and Ross、J.、1989、Poly (A)、poly (A) binding protein and the regulation of mRNA stability、Trends Bio Sci v. 14 373-377;Guhaniyogi、J. And Brewer、G.、2001、Regulation of mRNA stability in mammalian cells、Gene、v. 265、11-23;Dreyfus、M. And Regnier、P.、2002、The poly (A) tail of mRNAs:Bodyguard in eukaryotes、scavenger in bacteria、Cell、v.111、611-613を参照)。
【0026】
インビトロで転写されたmRNAのポリ(A)テーリングは、ポリ(T)トラクトのDNA鋳型へのクローニング、またはポリ(A)ポリメラーゼを用いた転写後の付加を含むが、これらに限定されないさまざまなアプローチを用いて達成されうる。第1の場合は、ポリ(T)トラクトのサイズに依存して、定義された長さのポリ(A)テールを有するmRNAのインビトロ転写を可能にするが、鋳型のさらなる操作を必要とする。後者の場合は、DNA鋳型のさらなる操作を必要としないが、異種の長さのポリ(A)テールを有するmRNAを生じる、RNAの3 '末端へのアデニン残基の取り込みを触媒するポリ(A)ポリメラーゼを使用してインビトロで転写されたmRNAにポリ(A)テールを酵素的に付加することを含む。ポリ(A)ポリメラーゼテーリングキット(EpiCenter)、mMESSAGE mMACHINE T7ウルトラキットおよびポリ(A)テーリングキット(Life Technologies)などを含むがこれに限定されないさまざまな市販のキット、ならびに市販の試薬、さまざまなARCAキャップ、ポリ(A)ポリメラーゼなどを用いて、5'-キャッピングおよび3'-ポリ(A)テーリングを行うことができる。
【0027】
5'キャップおよび3'ポリアデニル化に加えて、インビトロ転写物の他の修飾が、翻訳および安定性の効率に関連する利益を提供することが報告されている。病原性DNAおよびRNAは、真核生物内のさまざまなセンサーによって認識され、強力な自然免疫応答を誘発することが当技術分野において周知である。天然源由来の核酸のほとんどが修飾ヌクレオシドを含むので、病原性および自己DNAおよびRNAを区別する能力が、構造およびヌクレオシド修飾に少なくとも部分的に基づいていることが示されている。対照的に、インビトロで合成されたRNAは、これらの修飾を欠いており、したがって、免疫刺激性となり、上で概説したように効果的なmRNA翻訳を阻害することができる。インビトロで転写されたmRNAへの修飾されたヌクレオシドの導入は、RNAセンサーの認識および活性化を防止し、したがってこの望ましくない免疫賦活活性を緩和し、翻訳能力を高めるために使用されうる(たとえば、Kariko、K. And Weissman、D. 2007、Naturally occurring nucleoside modifications suppress the immunostimulatory activity of RNA: implication for therapeutic RNA development、Curr Opin Drug Discov Devel、v.10 523-532;Pardi、N.、Muramatsu、H.、Weissman、D.、Kariko、K.、In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology v.969 (Rabinovich、P.H. Ed)、2013);Kariko、K.、Muramatsu、H.、Welsh、F.A.、Ludwig、J.、Kato、H.、Akira、S.、Weissman、D.、2008、Incorporation of Pseudouridine Into mRNA Yields Superior Nonimmunogenic Vector With Increased Translational Capacity and Biological Stability、Mol Ther v.16、1833-1840を参照)。修飾RNAの合成に使用される修飾されたヌクレオシドおよびヌクレオチドは、当技術分野で公知の一般的な方法および手順を用いてモニターされ、利用されうる。単独でまたは他の修飾ヌクレオシドと組み合わせてインビトロで転写されたmRNAにある程度組み込まれていてもよい多種多様なヌクレオシド修飾が利用可能である(たとえば、US2012/0251618を参照)。ヌクレオシド修飾されたmRNAのインビトロ合成は、免疫センサーを活性化する能力が低下し、付随する増強された翻訳能力を有することが報告されている。
【0028】
翻訳可能性および安定性の点で利益を提供するように修飾されうるmRNAの他の成分として、5'および3'非翻訳領域(UTR)が挙げられる。両方または独立してのいずれかにおける、UTR(好都合な5'および3'UTRを、細胞またはウイルスのRNAから得ることができる)の最適化が、インビトロで転写されたmRNAのmRNA安定性および翻訳効率を増加させることが示されている(たとえば、Pardi、N.、Muramatsu、H.、Weissman、D.、Kariko、K.、In vitro transcription of long RNA containing modified nucleosides in Synthetic Messenger RNA and Cell Metabolism Modulation in Methods in Molecular Biology v.969 (Rabinovich、P.H. Ed)、2013を参照)。
【0029】
mRNAに加えて、他の核酸ペイロードも本発明に使用されうる。オリゴヌクレオチドについては、調製方法には、これらに限定されないが、化学合成およびより長い前駆体の酵素的、化学的切断、上記のインビトロ転写などが含まれる。DNAおよびRNAヌクレオチドを合成する方法は広く使用されており、当技術分野で周知である(たとえば、Gait、M. J. (ed.) Oligonucleotide synthesis:a practical approach、Oxford [Oxfordshire]、Washington、D.C.:IRL Press、1984;and Herdewijn、P. (ed.) Oligonucleotide synthesis:methods and applications、Methods in Molecular Biology、v. 288 (Clifton、N.J.) Totowa、N.J.:Humana Press、2005;both of which are incorporated herein by referenceを参照)。
【0030】
プラスミドDNAに関しては、本発明での使用のための調製は、一般に、目的のプラスミドを含有する細菌の液体培養物中でのインビトロでのプラスミドDNAの伸張および単離を利用するが、これに限定されない。特定の抗生物質(ペニシリン、カナマイシンなど)に対する耐性をコードする対象のプラスミド中の遺伝子の存在は、対象のプラスミドを含む細菌が抗生物質含有培養物中で選択的に増殖することを可能にする。プラスミドDNAを単離する方法は広く使用されており、当技術分野で周知である(たとえば、Heilig、J.、Elbing、K. L. and Brent、R (2001) Large-Scale Preparation of Plasmid DNA. Current Protocols in Molecular Biology. 41:II:1.7:1.7.1-1.7.16; Rozkov、A.、Larsson、B.、Gillstroem、S.、Bjoernestedt、R. and Schmidt、S. R. (2008)、Large-scale production of endotoxin-free plasmids for transient expression in mammalian cell culture. Biotechnol. Bioeng.、99:557-566; and US6197553B1を参照)。Plasmid Plus(Qiagen)、GenJETプラスミドMaxiPrep(Thermo)およびPureYield MaxiPrep(Promega)キットを含むが、これらに限定されない様々な市販のキットならびに市販の試薬を用いてプラスミド単離を行うことができる。
【0031】
本発明のカチオン性脂質、脂質ナノ粒子およびそれを含む組成物ならびに遺伝子およびタンパク質発現を調節するための核酸などの活性物質(たとえば、治療薬)をデリバリーするためのそれらの使用のさまざまな例示的な実施態様を、以下でさらに詳細に記載する。
【0032】
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、他に特定されない限り、それらに付与された意味を有する。
【0033】
文脈上別段の定めがない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」などの「含む(comprise)」という単語およびそれらの変形は、「包含するが、限定されない」という包括的な意味で解釈されるべきである。
【0034】
本明細書を通して「1つの実施態様」または「実施態様」という表現は、実施態様に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書のさまざまな箇所における「1つの実施態様では」または「実施態様では」という表現の出現は、必ずしもすべて同じ実施態様を示しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性を、1つ以上の実施態様において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0035】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に指示されない限り、複数の参照を含む。
【0036】
「所望のタンパク質の発現を誘導する」という語句は、所望のタンパク質の発現を増加させる核酸の能力を意味する。タンパク質発現の程度を調べるために、試験サンプル(たとえば、所望のタンパク質を発現する培養細胞のサンプル)または試験哺乳動物(たとえば、ヒト、または齧歯類(たとえば、マウス)もしくは非ヒト霊長類(たとえば、サル)モデルなどの動物モデルなどの哺乳動物)を、核酸(たとえば、本発明の脂質と組み合わせた核酸)と接触させる。試験サンプルまたは試験動物における所望のタンパク質の発現を、核酸と接触させていないか、または核酸を投与されていない、対照サンプル(たとえば、所望のタンパク質を発現する培養細胞のサンプル)または対照哺乳動物(たとえば、ヒト、または齧歯類(たとえば、マウス)もしくは非ヒト霊長類(たとえば、サル)モデルなどの動物モデルなどの哺乳動物)における所望のタンパク質の発現と比較する。所望のタンパク質が、対照サンプルまたは対照哺乳動物に存在する場合、対照サンプルまたは対照哺乳動物における所望のタンパク質の発現に1.0の値を割り当てることができる。特定の実施態様では、対照サンプルまたは対照哺乳動物における所望のタンパク質発現のレベルに対する、試験サンプルまたは試験哺乳動物における所望のタンパク質発現の比が1より大きい、たとえば約1.1、1.5、2.0. 5.0または10.0である場合に、所望のタンパク質の発現を誘導することが達成される。所望のタンパク質が対照サンプルまたは対照哺乳動物に存在しない場合、試験サンプルまたは試験哺乳動物における所望のタンパク質の測定可能なレベルが検出された場合に、所望のタンパク質の発現の誘導が達成される。当業者であれば、たとえば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、および表現型アッセイ、または適切な条件下で蛍光または発光を生じうるレポータータンパク質に基づくアッセイなどの、サンプル中のタンパク質発現のレベルを決定するための適切なアッセイを理解するであろう。
【0037】
「標的遺伝子の発現を阻害する」という語句は、核酸が標的遺伝子の発現を抑制、減少、または阻害する能力を示す。遺伝子サイレンシングの程度を調べるために、試験サンプル(たとえば、標的遺伝子を発現する培養細胞のサンプル)または試験哺乳動物(たとえば、ヒト、または齧歯類(たとえば、マウス)もしくは非ヒト霊長類(たとえば、サル)モデルなどの動物モデルなどの哺乳動物)を、標的遺伝子の発現を抑制、減少、または阻害する核酸と接触させる。試験サンプルまたは試験動物における標的遺伝子の発現を、核酸と接触させていないか、または核酸を投与されていない、対照サンプル(たとえば、標的遺伝子を発現する培養細胞のサンプル)または対照哺乳動物(たとえば、ヒト、または齧歯類(たとえば、マウス)もしくは非ヒト霊長類(たとえば、サル)モデルなどの動物モデルなどの哺乳動物)における標的遺伝子の発現と比較する。対照サンプルまたは対照哺乳動物における標的遺伝子の発現に100%の値を割り当てることができる。特定の実施態様では、対照サンプルまたは対照哺乳動物における標的遺伝子発現のレベルに対する、試験サンプルまたは試験哺乳動物における標的遺伝子発現のレベルが約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合に、標的遺伝子の発現を抑制、減少、または阻害することが達成される。言い換えれば、核酸は、核酸と接触させないか、または核酸を投与されない対照サンプルまたは対照哺乳動物における標的遺伝子発現のレベルに対して、試験サンプルまたは試験哺乳動物において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%まで標的遺伝子の発現を抑制、減少、または阻害することができる。標的遺伝子発現のレベルを決定するための適切なアッセイとして、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、ならびに当業者に公知の表現型アッセイなどの当業者に公知の技術を用いたタンパク質またはmRNAレベルの検査が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
治療用核酸などの活性薬剤または治療薬の「有効量」または「治療有効量」は、核酸の非存在下で検出された正常発現レベルと比較した標的配列の発現の増加または阻害などの所望の効果を生み出すのに十分な量である。核酸の不在下では存在しない発現産物の場合、標的配列の発現の増加は、測定可能なレベルが検出された場合に達成される。発現産物が核酸との接触前にあるレベルで存在する場合、
対照と比較したmRNAなどの核酸を用いて得られた値の倍率の増加が約1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.75、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、250、500、750、1000、5000、10000またはそれ以上である場合に、発現の増加が達成される。標的遺伝子または標的配列の発現の阻害は、対照に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの核酸を用いて得られる値が、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合に達成される。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するための適切なアッセイとして、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能、適切なレポータータンパク質の蛍光または発光、ならびに当業者に公知の表現型アッセイなどの当業者に公知の技術を用いたタンパク質またはmRNAレベルの検査が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖の形態の少なくとも2つのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含むポリマーを意味し、DNA、RNA、およびそれらのハイブリッドを含む。DNAは、アンチセンス分子、プラスミドDNA、cDNA、PCR産物、またはベクターの形態でありうる。RNAは、小さなヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスRNA、miRNA、micRNA、多価RNA、ダイサー基質RNAまたはウイルスRNA(vRNA)、およびそれらの組み合わせの形態でありうる。核酸には、既知のヌクレオチドアナログまたは修飾された主鎖残基もしくは結合を含む核酸が含まれ、これらは、合成、天然および非天然であり、参照核酸と同様の結合特性を有する。このようなアナログの例として、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2'-O-メチルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が挙げられるが、これらに限定されない。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有する天然ヌクレオチドの既知のアナログを含む核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列はまた、その保存的に修飾された改変体(たとえば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、一塩基多型、および相補的配列ならびに明示的に示される配列を非明示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの第3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって達成されうる(Batzer et al.、Nucleic Acid Res.、19:5081 (1991);Ohtsuka et al.、J. Biol. Chem.、260:2605-2608 (1985);Rossolini et al.、Mol. Cell. Probes、8:91-98 (1994))。「ヌクレオチド」は、糖デオキシリボース(DNA)またはリボース(RNA)、塩基、およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは、リン酸基を介して一緒に連結される。「塩基」には、天然化合物のアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、プリンおよびピリミジンの天然アナログおよび合成誘導体がさらに含まれる、プリンおよびピリミジンが含まれ、限定されないが、アミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、およびアルキルハライドなどの新しい反応基を置く修飾が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
用語「遺伝子」は、ポリペプチドまたは前駆体ポリペプチドの産生に必要な部分長または全長コード配列を含む核酸(たとえば、DNAまたはRNA)配列を示す。
【0041】
本明細書で用いられる「遺伝子産物」とは、RNA転写物またはポリペプチドなどの遺伝子の産物を示す。
【0042】
「脂質」という用語は、限定的ではないが、脂肪酸のエステルを含み、一般に水に難溶性であるが、多くの有機溶媒に可溶であることを特徴とする有機化合物の群を示す。それらは通常、少なくとも3つのクラスに分けられる:(1)油脂ならびにワックスを含む「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む「複合脂質」;および(3)ステロイドなどの「誘導脂質」。
【0043】
「ステロイド」は、以下の炭素骨格:
【化2】
を含む化合物である。ステロイドの非限定的な例には、コレステロールなどが含まれる。
【0044】
「カチオン性脂質」とは、正に荷電し得る脂質を示す。例示的なカチオン性脂質は、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。好ましいカチオン性脂質は、pHに依存して、正に荷電した形態または中性の形態で存在し得るようにイオン化可能である。カチオン性脂質のイオン化は、異なるpH条件下で脂質ナノ粒子の表面電荷に影響を及ぼす。この電荷状態は、血漿タンパク質の吸収、血液クリアランスおよび組織分布(Semple、S.C.、et al.、Adv. Drug Deliv Rev 32:3-17 (1998))ならびに細胞内の核酸のデリバリーにとって重要なエンドソーム溶解性の非二重層構造を形成する能力(Hafez、I.M.、et al.、Gene Ther 8:1188-1196 (2001))に影響を及ぼしうる。
【0045】
用語「ポリマー複合脂質」は、脂質部分およびポリマー部分の両方を含む分子を示す。ポリマー複合脂質の例は、ペグ化脂質である。「ペグ化脂質」という用語は、脂質部分とポリエチレングリコール部分の両方を含む分子を示す。PEG化脂質は当技術分野において公知であり、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)などが挙げられる。
【0046】
「中性脂質」という用語は、選択されたpHで非荷電または中性の双性イオン形態のいずれかで存在する多くの脂質種のいずれかを示す。生理学的pHにおいて、そのような脂質として、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)などのホスファチジルコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)などのホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン(SM)、セラミド、ステロールおよびその誘導体などのステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。中性脂質は、合成であっても天然由来であってもよい。
【0047】
用語「荷電した脂質」は、たとえば、pH~3からpH~9までなどの有用な生理学的範囲内のpHとは無関係に、正に荷電した形態または負に荷電した形態のいずれかで存在する多くの脂質種のいずれかを示す。荷電した脂質は、合成であっても天然由来であってもよい。荷電した脂質の例として、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ステロールヘミサクシネート、ジアルキルトリメチルアンモニウム-プロパン(たとえば、DOTAP、DOTMA)、ジアルキルジメチルアミノプロパン、エチルホスホコリン、ジメチルアミノエタンカルバモイルステロール(たとえば、DC-Chol)が挙げられる。
【0048】
「脂質ナノ粒子」という用語は、構造式(I)の化合物または他の特定のカチオン性脂質の1つ以上を含む、ナノメートルオーダー(たとえば、1~1000nm)の少なくとも1つの寸法を有する粒子を示す。いくつかの実施態様では、脂質ナノ粒子は、目的の標的部位(たとえば、細胞、組織、器官、腫瘍など)に核酸(たとえば、mRNA)などの活性剤または治療薬を送達するために使用されうる製剤に包含される。いくつかの実施態様では、本発明の脂質ナノ粒子は、核酸を含む。そのような脂質ナノ粒子は、典型的には、構造式(I)の化合物および中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよびポリマー複合脂質から選択される1つ以上の賦形剤を含む。いくつかの実施態様では、核酸などの活性剤または治療薬は、脂質ナノ粒子の脂質部分、または脂質ナノ粒子の脂質部分の一部または全部によって包まれた水性空間に封入されてもよく、それによって、有害な免疫応答などの宿主生物または細胞の機構によって誘導される酵素分解または他の望ましくない作用から活性剤または治療薬が保護される。
【0049】
さまざまな実施態様では、脂質ナノ粒子は、約30nm~約150nm、約40nm~約150nm、約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、約70nm~約100nm、約80nm~約100nm、約90nm~約100nm、約70~約90nm、約80nm~約90nm、約70nm~約80nm、または約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。特定の実施態様では、核酸は、脂質ナノ粒子中に存在する場合、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して耐性である。核酸を含む脂質ナノ粒子およびその調製方法は、たとえば、米国特許公報第2004/0142025号、第2007/0042031号および国際公開公報WO 2013/016058およびWO 2013/086373に開示されており、これらの全開示は、すべての目的に対して全体を参照することにより本願に組み込まれる。
【0050】
本明細書で使用される「脂質封入」とは、完全な封入、部分封入、またはその両方による核酸(たとえば、mRNA)などの活性剤または治療薬を提供する脂質ナノ粒子を示す。1つの実施態様では、核酸(たとえば、mRNA)は、脂質ナノ粒子に完全に封入される。
【0051】
本明細書において使用される用語「水溶液」とは、水を含む組成物を意味する。
【0052】
核酸-脂質ナノ粒子に関連する「血清安定性」は、遊離DNAまたはRNAを有意に分解する血清またはヌクレアーゼアッセイに暴露した後にヌクレオチドが有意に分解されないことを意味する。適切なアッセイとして、たとえば、標準血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される「全身性デリバリー」は、生物内の活性薬剤で広範な曝露をもたらすことができる治療用製品のデリバリーを意味する。投与の技術のいくつかは、特定の薬剤の全身性デリバリーをもたらしうるが、他の薬剤ではもたらさない。全身性デリバリーは、有用な、好ましくは治療上有用な量の薬剤が身体のほとんどの部分に曝露されることを意味する。脂質ナノ粒子の全身性デリバリーは、たとえば、静脈内、動脈内、皮下、および腹腔内デリバリーなどの当技術分野で公知の任意の手段によって行なわれうる。いくつかの実施態様では、脂質ナノ粒子の全身性デリバリーは、静脈内デリバリーによって行われる。
【0054】
本明細書で使用される「局所デリバリー」は、生物内の標的部位への活性薬剤の直接デリバリーを意味する。たとえば、薬剤を、腫瘍などの疾患部位、炎症部位などの他の標的部位、または肝臓、心臓、膵臓、腎臓などの標的臓器への直接注射によって局所的にデリバリーすることができる。局所デリバリーは、局所適用または筋肉内注射、皮下注射または皮内注射などの局所注射技術を含むこともできる。局所デリバリーは、全身性薬理学的効果を除外するものではない。
【0055】
「アルキル」は、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどの、たとえば、1~24個の炭素原子(C1-C24アルキル)、4~20個の炭素原子(C4-C20アルキル)、6~16個の炭素原子(C6-C16アルキル)、6~9個の炭素原子(C6-C9アルキル)、1~15個の炭素原子(C1-C15アルキル)、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C1-C8アルキル)または1~6個の炭素原子(C1-C6アルキル)を有し、単結合によって分子の残りに結合された、飽和または不飽和の(すなわち、1つ以上の二重(アルケニル)および/または三重結合(アルキニル)を含む)、炭素および水素原子のみからなる直鎖または分枝鎖炭化水素鎖ラジカルを意味する。本明細書において特に明記されない限り、アルキル基は、任意に置換される。
【0056】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、たとえば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなどの、たとえば、1~24個の炭素原子(C1-C24アルキレン)、1~15個の炭素原子(C1-C15アルキレン)、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキレン)、1~8個の炭素原子(C1-C8アルキレン)、1~6個の炭素原子(C1-C6アルキレン)、2~4個の炭素原子(C2-C4アルキレン)、1~2個の炭素原子(C1-C2アルキレン)を有する、飽和または不飽和の(すなわち、1つ以上の二重(アルケニル)および/または三重結合(アルキニル)を含む)、炭素および水素原子のみからなる、分子の残りをラジカル基に結合している直鎖または分枝鎖二価炭化水素鎖を意味する。アルキレン鎖は、単結合または二重結合を介して分子の残りに結合し、単結合または二重結合を介してラジカル基に結合する。分子の残りおよびラジカル基へのアルキレン鎖の結合点は、鎖内の1つの炭素または任意の2つの炭素を介することができる。本明細書中で特に断りのない限り、アルキレン鎖は任意に置換されてもよい。
【0057】
「シクロアルキル」または「炭素環式環」とは、炭素原子および水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素ラジカルを意味し、3~15個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子を有する縮合または架橋した環系を含むことができ、飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残りに結合する。単環式基として、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。多環式基として、たとえば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書中で特に断りのない限り、シクロアルキル基は任意に置換されてもよい。
【0058】
「シクロアルキレン」は、二価のシクロアルキル基である。本明細書中で特に断らない限り、シクロアルキレン基は置換されてもよい。
【0059】
本明細書で使用される「置換された」という用語は、少なくとも1つの水素原子が、これらに限定されないが、以下の非水素原子への結合によって置換されている上記の基(たとえば、アルキル、アルキレン、シクロアルキルまたはシクロアルキレン)のいずれかを意味する:F、Cl、Br、またはIなどのハロゲン原子;酸素基(=O);ヒドロキシル基(-OH);C1-C12アルキル基;シクロアルキル基;-(C=O)OR';-O(C=O)R';-C(=O)R';-OR';-S(O)xR';-S-SR';-C(=O)SR';-SC(=O)R';-NR'R';-NR'C(=O)R';-C(=O)NR'R';-NR'C(=O)NR'R';-OC(=O)NR'R';-NR'C(=O)OR';-NR'S(O)xNR'R';-NR'S(O)xR';および-S(O)xNR'R'など、ここで:R'は、出現するごとに独立して、H、C1-C15アルキルまたはシクロアルキルであり、xは、0、1または2である。いくつかの実施態様では、置換基は、C1-C12アルキル基である。他の実施態様では、置換基は、シクロアルキル基である。他の実施態様では、置換基は、フルオロなどのハロ基である。他の実施態様では、置換基は、オキソ基である。他の実施態様では、置換基は、ヒドロキシル基である。他の実施態様では、置換基は、アルコキシ基(-OR')である。他の実施態様では、置換基は、カルボキシル基である。他の実施態様では、置換基は、アミン基(-NR'R')である。
【0060】
「任意の」または「任意に」(たとえば、任意に置換されてもよい)とは、後に説明される状況の事象が起こっても起こらなくてもよく、その記載には、前記事象または状況が起こる場合および起こらない場合が含まれることを意味する。たとえば、「任意に置換されたアルキル」は、アルキルラジカルが置換されても、されなくてもよいことを意味し、記載が、置換アルキルラジカルおよび置換されていないアルキルラジカルの両方を含むことを意味する。
【0061】
「プロドラッグ」は、生理的条件下で、または加溶媒分解によって本発明の生物学的に活性な化合物に変換されうる化合物を示すことを意味する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容される本発明の化合物の代謝前駆体を意味する。プロドラッグは、それを必要とする被験者に投与されたときに不活性であってもよいが、インビボで本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは、典型的には、インビボで迅速に変換されて、たとえば、血液中の加水分解によって、本発明の親化合物を生じる。プロドラッグ化合物は、しばしば、哺乳類生物において、溶解性、組織適合性または遅延放出という利点を提供する(Bundgard、H.、Design of Prodrugs (1985)、pp. 7-9、21-24 (Elsevier、Amsterdam)を参照)。プロドラッグの議論は、Higuchi、T.、et al.、A.C.S. Symposium Series、Vol. 14、and in Bioreversible Carriers in Drug Design、Ed. Edward B. Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に提供される。
【0062】
用語「プロドラッグ」はまた、そのようなプロドラッグが、哺乳動物被験体に投与された場合に、本発明の活性化合物をインビボで放出する共有結合した担体を含むことを意味する。本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の化合物に存在する官能基を、通常の操作またはインビボのいずれかで修飾が切断されて本発明の親化合物になるように修飾することによって調製されうる。プロドラッグとして、本発明の化合物のプロドラッグが哺乳動物対象に投与される場合に、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が、開裂して遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基をそれぞれ形成するいずれかの基に結合している本発明の化合物が挙げられる。プロドラッグの例として、本発明の化合物中のアミン官能基のアルコールまたはアミド誘導体の酢酸塩、ギ酸塩および安息香酸塩誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書に開示される発明はまた、異なる原子質量または質量数を有する原子で置換された1つ以上の原子を有することによって同位体標識されている構造式(I)の化合物の薬学的に許容される全ての化合物を包含することを意味する。開示された化合物に取り込まれうる同位体の例として、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、または125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体が挙げられる。これらの放射性標識化合物は、たとえば、作用部位または作用様式、または薬理学的に重要な作用部位への結合親和性を特徴付けることによって、化合物の有効性を決定または測定するのを助けるのに有用でありうる。構造式(I)または(II)のある種の同位体標識された化合物、たとえば、放射性同位体を組み込んでいる化合物は、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位元素トリチウム、すなわち、3H、および炭素-14、すなわち、14Cは、組み込みの容易さおよび検出の容易な手段の観点から、この目的に特に有用である。
【0064】
重水素、すなわち、2Hなどのより重い同位体による置換が、より大きな代謝安定性、たとえば、インビボ半減期の増加または用量要件の減少に起因する特定の治療上の利点を提供し、したがって、場合によっては好ましいことがある。
【0065】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用でありうる。構造式(I)の同位体標識された化合物は、一般に、当業者に公知の慣用の技術によるか、または以前に使用された標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用する以下に示す調製および実施例に記載されたものと類似の方法によって調製されうる。
【0066】
本明細書中に開示される本発明はまた、開示される化合物のインビボ代謝産物を包含することを意味する。そのような生成物は、主に酵素的プロセスに起因して、たとえば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから得られる。したがって、本発明は、本発明の化合物を、哺乳動物に、その代謝産物を産生するのに十分な期間投与することを含む方法によって産生される化合物を含む。そのような生成物は、典型的には、ラット、マウス、モルモット、サル、またはヒトなどの動物に、検出可能な用量で本発明の放射性標識化合物を投与すること、代謝が起こるのに十分な時間を与えること、およびその変換産物を尿、血液または他の生物学的サンプルから単離することによって同定される。
【0067】
「安定化合物」および「安定構造」は、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分に頑強な化合物を示すことを意味する。
【0068】
「哺乳動物」は、ヒトおよび実験動物および家庭のペットなどの家畜(たとえば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)および野生動物などの非家畜の両方を包含する。
【0069】
「薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」として、米国食品医薬品局によってヒトまたは家畜での使用が許容されると承認されている、アジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、または乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「薬学的に許容される塩」には、酸付加塩および塩基付加塩の両方が含まれる。
【0071】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、生物学的に有効でないかまたは他の点で望ましくない遊離塩基の生物学的有効性および性質を保持し、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸(これらに限定されない)および酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸(これらに限定されない)と形成される塩を意味する。
【0072】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、生物学的にまたは他の点で望ましくない遊離酸の生物学的有効性および性質を保持する塩を意味する。これらの塩は、遊離酸に無機塩基または有機塩基を付加することにより調製される。無機塩基から誘導される塩として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。有機塩基から誘導される塩としては、限定されないが、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンなどの置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂などの塩が挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0073】
しばしば、結晶化は、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、1つ以上の本発明の化合物の分子と1つ以上の溶媒分子とを含む凝集体を示す。溶媒は水であってもよく、この場合、溶媒和物は水和物であってもよい。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物など、ならびに対応する溶媒和形態を含む水和物として存在しうる。本発明の化合物は真の溶媒和物であってもよく、他の場合には、本発明の化合物は単に偶発水(adventitious water)を保持してもよく、あるいは水と偶発溶媒(adventitious solvent)の混合物であってもよい。
【0074】
「医薬組成物」とは、本発明の化合物と、生物学的に活性な化合物の、哺乳動物、たとえば、ヒトへのデリバリーのための当技術分野で一般的に受け入れられている媒体を含む製剤を意味する。そのような媒体には、薬学的に許容される全ての担体、希釈剤または賦形剤が含まれる。
【0075】
「有効量」または「治療有効量」とは、哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合に、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて治療を達成するのに十分である本発明の化合物の量を意味する。「治療有効量」を構成する本発明の脂質ナノ粒子の量は、化合物、状態およびその重篤度、投与様式、および治療される哺乳動物の年齢に依存して変化するが、当業者により、自身の知識およびこの開示を考慮して日常的に決定されうる。
【0076】
本明細書で使用される「治療する」または「治療」は、対象の疾患または状態を有する哺乳動物、好ましくはヒトにおける疾患または状態の治療を意味し、以下を包含する:
(i)特に、このような哺乳動物がその状態に罹りやすいがまだそれを有すると診断されていない場合に、その疾患または状態が哺乳動物において起こるのを防止すること;
(ii)疾患または状態を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること;
(iii)疾患または状態を緩和すること、すなわち疾患または状態を退行させること;または
(iv)疾患または状態に起因する症状を緩和すること、すなわち、根底にある疾患または状態に対処することなく疼痛を緩和すること。本明細書中で使用される場合、用語「疾患」および「状態」は互換的に使用されうるか、または特定の疾病または状態が、既知の原因物質を有さず(病因がまだ解明されていない)、したがって、疾患として認識されておらず、臨床医によって多かれ少なかれ特異的な症状のセットが特定されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されるという点で異なる可能性がある。
【0077】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、絶対立体化学の観点から、(R)-または(S)-、またはアミノ酸については(D)-または(L)-と定義されうるエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じうる。本発明は、全てのそのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミおよび光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製されうるか、または、たとえば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化などの従来技術を用いて分割される。個々のエナンチオマーの調製/単離のための従来の技術として、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、またはたとえば、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたラセミ体(または塩または誘導体のラセミ体)の分割が挙げられる。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合または他の幾何学的非対称中心を含む場合であって、他に特定されない限り、化合物は、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性体も含まれることが意図される。
【0078】
「立体異性体」とは、同一の結合によって結合した同じ原子で構成されているが、異なる3次元構造を有し、互換性がない化合物を意味する。本発明は、さまざまな立体異性体およびそれらの混合物を意図し、それらの分子が互いに重なり合わない鏡像である2つの立体異性体を示す「鏡像異性体」を含む。
【0079】
「互変異性体」は、分子の1つの原子から同じ分子の別の原子へのプロトンシフトを意味する。本発明は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。
【0080】
化合物
1つの態様では、本発明は、中性脂質、荷電脂質、ステロイドおよび/またはポリマー複合脂質などの他の脂質成分と組み合わせてオリゴヌクレオチドと脂質ナノ粒子を形成することができる新規脂質化合物を提供する。理論に縛られることを望むものではないが、これらの脂質ナノ粒子は、オリゴヌクレオチドを血清中の分解から遮蔽し、インビトロおよびインビボで細胞にオリゴヌクレオチドの効果的なデリバリーを提供すると考えられる。
【0081】
1つの実施態様では、化合物は、以下の構造式(I):
【化3】
I
[式中、
L
1またはL
2の一方は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-または-NR
aC(=O)O-であり、L
1またはL
2の他方は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x-、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、,NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-または-NR
aC(=O)O-または直接結合である;
G
1およびG
2はそれぞれ独立して、非置換C
1-C
12アルキレンまたはC
1-C
12アルケニレンである;
G
3は、C
1-C
24アルキレン、C
1-C
24アルケニレン、C
3-C
8シクロアルキレン、C
3-C
8シクロアルケニレンである;
R
aは、HまたはC
1-C
12アルキルである;
R
1およびR
2はそれぞれ独立して、C
6-C
24アルキルまたはC
6-C
24アルケニルである;
R
3は、H、OR
5、CN、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NR
5C(=O)R
4である;
R
4は、C
1-C
12アルキルである;
R
5は、HまたはC
1-C
6アルキルである;および
xは、0、1または2である]
を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体である。
【0082】
前述の実施態様のいくつかでは、化合物は、以下の構造式(IA)または(IB):
【化4】
(IA)
または
【化5】
(IB)
[式中、
Aは、3~8員のシクロアルキルまたはシクロアルキレン環である;
R
6は、出現するごとに独立して、H、OHまたはC
1-C
24アルキルである;
nは、1~15の整数である]
の1つを有する。
【0083】
前述の実施態様のいくつかでは、化合物は、構造式(IA)を有し、他の実施態様では、化合物は、構造式(IB)を有する。
【0084】
前述の実施態様のいくつかでは、化合物は、以下の構造式(IC)または(ID):
【化6】
(IC)
または
【化7】
(ID)
[式中、
yおよびzはそれぞれ独立して、1~12の整数である]
の1つを有する。
【0085】
前述の実施態様のいずれかでは、L1またはL2 の一方は、-O(C=O)-である。たとえば、いくつかの実施態様では、L1およびL2のそれぞれは、-O(C=O)-である。前述のいずれかのいくつかの異なる実施態様では、L1およびL2はそれぞれ独立して、-(C=O)O-または-O(C=O)-である。たとえば、いくつかの実施態様では、L1およびL2は、-(C=O)O-である。
【0086】
前述のいくつかの異なる実施態様では、化合物は、以下の構造式(IE)または(IF):
【化8】
(IE)
または
【化9】
(IF)
の1つを有する。
【0087】
前述の実施態様のいくつかでは、化合物は、以下の構造式(IG)、(IH)、(II)、または(IJ):
【化10】
(IG);
【化11】
(IH);
【化12】
(II)
または
【化13】
(IJ)
の1つを有する。
【0088】
前述の実施態様のいくつかでは、nは、2~12、たとえば、2~8または2~4の整数である。たとえば、いくつかの実施態様では、nは、3、4、5または6である。いくつかの実施態様では、nは、3である。いくつかの実施態様では、nは、4である。いくつかの実施態様では、nは、5である。いくつかの実施態様では、nは、6である。
【0089】
前述の実施態様のいくつかの他のものでは、yおよびzはそれぞれ独立して、2~10の整数である。たとえば、いくつかの実施態様では、yおよびzはそれぞれ独立して、4~9または4~6の整数である。
【0090】
前述の実施態様のいくつかでは、R6は、Hである。前述の実施態様の他のものでは、R6は、C1-C24アルキルである。他の実施態様では、R6は、OHである。
【0091】
いくつかの実施態様では、G3は、置換されていない。他の実施態様では、G3は、置換される。さまざまな異なる実施態様では、G3は、直鎖C1-C24アルキレンまたは直鎖C1-C24アルケニレンである。
【0092】
いくつかの他の前述の実施態様では、R
1またはR
2、あるいは両方は、C
6-C
24アルケニルである。たとえば、いくつかの実施態様では、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、以下の構造式:
【化14】
[式中、
R
7aおよびR
7bは、出現するごとに独立して、HまたはC
1-C
12アルキルである;および
aは、2~12の整数である;
ここで、R
7a、R
7bおよびaはそれぞれ、R
1およびR
2がそれぞれ独立して、6~20個の炭素原子を含むように選択される]
を有する。たとえば、いくつかの実施態様では、aは、5~9または8~12の整数である。
【0093】
前述の実施態様のいくつかでは、R7aの少なくとも1つの存在は、Hである。たとえば、いくつかの実施態様では、R7aは、出現するごとに、Hである。前述の他の異なる実施態様では、R7bの少なくとも1つの存在は、C1-C8アルキルである。たとえば、いくつかの実施態様では、C1-C8アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチルである。
【0094】
異なる実施態様では、R
1またはR
2、あるいは両方は、以下の構造式:
【化15】
の1つを有する。
【0095】
前述の実施態様のいくつかでは、R3は、OH、CN、-C(=O)OR4、-OC(=O)R4または-NHC(=O)R4である。いくつかの実施態様では、R4は、メチルまたはエチルである。
【0096】
さまざまな異なる実施態様では、化合物は、以下の第1表に示す構造の1つを有する。
【0097】
第1表
代表的化合物
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0098】
上記のような構造式(I)の化合物の任意の実施態様、および上記構造式(I)の化合物における任意の特定の置換基および/または変数を、独立して、他の実施態様および/または構造式(I)の化合物における置換基および/または変数と組み合わせて、上記に具体的に記載されていない発明の実施態様を形成しうることが理解される。さらに、特定の実施態様および/または請求項において、任意の特定のR基、L基、G基、A基、または変数a、n、x、yまたはzのための置換基および/または変数のリストが列挙される場合、各個別の置換基および/または変数は、特定の実施態様および/または請求項から削除されてもよく、そして、置換基および/または変数の残りのリストが、本発明の範囲内にあるとみなされることが理解される。
【0099】
本記載において、示された式の置換基および/または変数の組合せは、そのような寄与が安定な化合物をもたらす場合にのみ許容されることが理解される。
【0100】
いくつかの実施態様では、構造式(I)の化合物のいずれかの1つ以上および治療薬を含む組成物が提供される。たとえば、いくつかの実施態様では、組成物は構造式(I)の化合物のいずれかおよび治療薬および中性脂質、ステロイドおよびポリマー複合脂質から選択される1つ以上の賦形剤を含む。他の薬学的に許容される賦形剤および/または担体も、組成物のさまざまな実施態様に含まれる。
【0101】
いくつかの実施態様では、中性脂質は、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPEおよびSMから選択される。いくつかの実施態様では、中性脂質は、DSPCである。さまざまな実施態様では、中性脂質に対する化合物のモル比は、約2:1~約8:1の範囲である。
【0102】
さまざまな実施態様では、組成物は、ステロイドまたはステロイドアナログをさらに含む。特定の実施態様では、ステロイドまたはステロイドアナログは、コレステロールである。これらの実施態様のいくつかでは、コレステロールに対する化合物のモル比は、約5:1~1:1の範囲である。
【0103】
さまざまな実施態様では、ポリマー複合脂質は、PEG化脂質である。たとえば、いくつかの実施態様は、1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、PEG化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)などのPEG化ジアシルグリセロール(PEG-DAG)、4-O-(2',3'-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-1-O-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオアート(PEG-S-DMG)、PEG化セラミド((PEG-cer)などのPEGコハク酸ジアシルグリセロール(PEG-S-DAG)、またはω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル-N-(2,3-ジ(テトラデカノキシ)プロピル)カルバメートまたは2,3-ジ(テトラデカノキシ)プロピル-N-(ω-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)カルバメートなどのPEGジアルコキシプロピルカルバメートを包含する。さまざまな実施態様では、化合物のPEG化脂質に対するモル比は、約100:1~約20:1の範囲である。
【0104】
いくつかの実施態様では、組成物は、以下の構造式(II):
【化16】
(II)
[式中、
R
8およびR
9はそれぞれ独立して、10~30個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和アルキル鎖であり、ここで、アルキル鎖は、1つ以上のエステル結合によって任意に中断される;および
wは、30~60の範囲の平均値を有する]
を有するPEG化脂質、またはその医薬的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を含む。
【0105】
いくつかの実施態様では、R8およびR9はそれぞれ独立して、12~16個の炭素原子を含む直鎖の、飽和アルキル鎖である。いくつかの実施態様では、wは、43~53の範囲の平均値を有する。他の実施態様では、平均wは、約45である。他の異なる実施態様では、平均wは、約49である。
【0106】
上記組成物のいくつかの実施態様では、治療薬は、核酸を含む。たとえば、いくつかの実施態様では、核酸は、アンチセンスRNAおよびメッセンジャーRNAから選択される。
【0107】
他の異なる実施態様では、本発明は、それを必要とする患者に治療薬を投与する方法であって、前記組成物のいずれかを調製または準備すること、および該組成物を患者に投与することを含む方法に関する。
【0108】
投与の目的のために、本発明の化合物(典型的には、治療薬と組み合わせた脂質ナノ粒子の形態で)は、未加工の化学物質として投与されてもよく、あるいは医薬組成物として製剤されてもよい。本発明の医薬組成物は、構造式(I)の化合物および1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。構造式(I)の化合物は、脂質ナノ粒子を形成し、たとえば、対象の状態である特定の疾患を治療するための治療薬を送達するのに有効な量で、組成物中に存在する。適切な濃度および用量は、当業者によって容易に決定されうる。
【0109】
本発明の組成物の投与は、同様の有用性を果たすための薬剤の許容された投与様式のいずれかを介して行なわれうる。本発明の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、溶液剤、懸濁液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイロスフェア、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体形態の製剤に製剤化されうる。そのような医薬組成物を投与する典型的な経路としては、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、膣および鼻腔内が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、皮内、胸骨内注射または輸液技術が含まれる。本発明の医薬組成物は、患者に組成物を投与すると、そこに含有される有効成分が生体利用可能となるように製剤される。被験者に投与される組成物は、1つ以上の投与単位の形態をとり、たとえば、錠剤が、単一の投薬単位であってもよく、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器が、複数の投薬単位を保持してもよい。そのような投薬剤形を調製する実際の方法は、当業者には公知であるか、または明らかであろう;たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science、2000)を参照。投与される組成物は、いずれの場合にも、本発明の教示に従って、対象の疾患または状態の治療のために、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有するであろう。
【0110】
本発明の医薬組成物は、固体または液体であってもよい。1つの態様では、組成物が、たとえば、粉末形態であるように、担体は粒子状である。担体は、液体であってもよく、組成物は、たとえば、経口シロップ、注射液またはエアロゾルであり、たとえば、吸入投与に有用である。
【0111】
経口投与を意図する場合、医薬組成物は、好ましくは、固体または液体のいずれかであり、半固体、半液体、懸濁液およびゲルの形態は、固体または液体のいずれかと本明細書でみなされる形態内に含まれる。
【0112】
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物は、散剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウエハースなどの形態に製剤化されてもよい。そのような固体組成物は、典型的には、1種以上の不活性希釈剤または食用担体を含む。さらに、以下の1つ以上が存在してもよい:カルボキシメチルセルロース、エテルセルロース、微晶質セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトースまたはデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックス(Sterotex)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーのなどの香味剤;および着色剤。
【0113】
医薬組成物がカプセル、たとえば、ゼラチンカプセルの形態である場合、これは、上記タイプの材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含みうる。
【0114】
医薬組成物は、液体、たとえば、エリキシル剤、シロップ剤、溶液剤、乳濁剤または懸濁剤の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用または注射によるデリバリー用でありうる。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味料、保存剤、色素/着色剤および風味増強剤の1つ以上を含む。注射によって投与されることが意図された組成物において、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤および等張剤の1つ以上が含まれうる。
【0115】
本発明の液体医薬組成物は、溶液、懸濁液または他の同様の形態であっても、以下のアジュバントの1つ以上を含みうる:注射用水、生理食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒体となることができる合成モノまたはジグリセリドなどの不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調整剤;スクロースまたはトレハロースのなどの凍結保護剤として作用する薬剤。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与用バイアルに封入されうる。生理食塩水が好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は、無菌であるのが好ましい。
【0116】
非経口投与または経口投与のいずれかを目的とする本発明の液体医薬組成物は、適切な投与量が得られるような量の本発明の化合物を含有すべきである。
【0117】
本発明の医薬組成物は、局所投与を意図することができ、その場合、担体は、溶液、エマルジョン、軟膏またはゲル基材を適切に含むことができる。たとえば、基材は、以下の1つ以上を含むことができる:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱物油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤。増粘剤は、局所投与のための医薬組成物中に存在してもよい。経皮投与が意図される場合、組成物は、経皮パッチまたはイオントフォレシス装置を含みうる。
【0118】
本発明の医薬組成物は、直腸内で融解し、薬物を放出する、たとえば、坐剤の形態の直腸投与を意図されうる。直腸投与のための組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有してもよい。そのような基材としては、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本発明の医薬組成物は、固体または液体投与単位の物理的形態を改変するさまざまな物質を含みうる。たとえば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する材料を含むことができる。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、たとえば、糖、シェラック、および他の腸溶コーティング剤から選択されうる。あるいは、活性成分をゼラチンカプセルに入れてもよい。
【0120】
固体または液体形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、それにより化合物のデリバリーを助ける薬剤を含むことができる。この能力において作用しうる適切な薬剤には、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、またはタンパク質が含まれる。
【0121】
本発明の医薬組成物は、エアロゾルとして投与することができる投与単位からなることができる。用語エアロゾルは、コロイド性のものから加圧パッケージからなるシステムまでの範囲のさまざまなシステムを示すのに使用される。デリバリーは、液化または圧縮されたガス、または有効成分を分注する適切なポンプシステムによるものであってもよい。本発明の化合物のエアロゾルは、活性成分をデリバリーするために、単相、二相または三相系でデリバリーされうる。エアロゾルのデリバリーには、一緒にキットを形成しうる、必要なコンテナ、活性化剤、バルブ、サブコンテナなどが含まれる。当業者であれば、過度の実験をすることなく、好ましいエアロゾルを決定することができる。
【0122】
本発明の医薬組成物は、医薬分野で周知の方法論によって調製されうる。たとえば、注射によって投与されることが意図された医薬組成物は、本発明の脂質ナノ粒子を滅菌蒸留水または他の担体と組み合わせて溶液を形成することによって調製されうる。均質な溶液または懸濁液の形成を容易にするために、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤は、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用して、水性デリバリー系における化合物の溶解または均一な懸濁を促進する化合物である。
【0123】
本発明の組成物またはその薬学的に許容される塩は、使用される特定の治療薬の活性を含むさまざまな以因子:治療剤の代謝安定性および作用の長さ;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;投与の様式および時間;排出速度;薬物の組み合わせ;特定の障害または状態の重篤度;および治療を受けている対象者;に依存して変化するであろう治療有効量で投与される:。
【0124】
本発明の組成物を、1つ以上の他の治療剤の投与と同時に、投与の前に、または投与後に投与することもできる。そのような併用療法には、本発明の組成物の単一の医薬投与製剤および1つ以上の追加の活性薬剤の投与、ならびに本発明の組成物およびそれ自体の別の医薬投与製剤中の各活性薬剤の投与が含まれる。たとえば、本発明の組成物および他の活性薬剤を、錠剤またはカプセルなどの単一の経口投与組成物中で一緒に患者に投与することができ、または別々の経口投与製剤中の各薬剤として投与することができる。別個の投与製剤が使用される場合、本発明の化合物および1つ以上の追加の活性薬剤は、本質的に同じ時点で、すなわち同時に、または別々に交互に、すなわち逐次的に投与されうる;併用療法は、これらの投与計画のすべてを含むと理解される。
【0125】
上記の化合物および組成物の調製方法は、本明細書において後述され、および/または、当該分野で公知である。
【0126】
本明細書に記載の方法において、中間体化合物の官能基を適切な保護基で保護する必要がありうることは、当業者には理解されるであろう。そのような官能基として、ヒドロキシ、アミノ、メルカプトおよびカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシのための適切な保護基として、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(たとえば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが挙げられる。アミノ、アミジノおよびグアニジノのための適切な保護基として、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。メルカプトのための適切な保護基として、-C(O)-R"(式中、R"は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが挙げられる。カルボン酸のための適切な保護基として、アルキル、アリールまたはアリールアルキルエステルが挙げられる。保護基は、当業者に知られており、本明細書に記載の標準的な技術にしたがって付加または除去されうる。保護基の使用は、Green、T.W. and P.G.M. Wutz、Protective Groups in Organic Synthesis (1999)、3rd Ed.、Wileyに記載される。当業者には理解されるように、保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂または2-クロロトリチルクロリド樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
【0127】
また、当業者には理解されるであろうが、本発明の化合物のこのような保護された誘導体は、それ自体が薬理学的活性を有さなくてもよいが、それらは哺乳動物に投与され、その後体内で代謝されて薬理学的に活性な本発明の化合物を形成することができる。したがって、そのような誘導体を、「プロドラッグ」と記載することができる。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0128】
さらに、遊離塩基または酸の形態で存在する本発明の全ての化合物を、当業者に知られている方法により、適切な無機または有機塩基または酸で処理することによって、その薬学的に許容される塩に変換することができる。本発明の化合物の塩を、標準的な技術によってその遊離塩基または酸の形態に変換することができる。
【0129】
以下の一般的反応スキーム1は、本発明の化合物、すなわち、構造式(I):
【化17】
(I)
[式中、R
1、R
2、R
3、L
1、L
2、G
1、G
2およびG
3は、本明細書で定義される通りである]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、互変異性体もしくは立体異性体を製造する方法を説明する。当業者は、類似の方法によって、または当業者に公知の他の方法を組み合わせて、これらの化合物を製造することができると理解される。また、当業者が、以下に説明するものと同様の方法で、適切な出発成分を使用し、必要に応じて合成のパラメーターを変更することにより、以下に具体的に示されていない構造式(I)の他の化合物を製造することができるであろうことも理解される。一般に、出発成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis、Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、およびFluorochem USAなどの供給元から得ることができるか、または当業者に公知の情報源(たとえば、Advanced Organic Chemistry:Reactions、Mechanisms、and Structure、5th edition (Wiley、December 2000)を参照)に従って合成されるか、または本発明に記載のように調製されうる。
【0130】
【0131】
一般的な反応スキーム1は、構造式(I)の化合物の調製のための例示的な方法を提供する。一般的な反応スキーム1におけるG1、G3、R1およびR3は、本明細書に定義されるとおりであり、G1'は、G1の1炭素短いホモログを意味する。構造式A-1の化合物は、購入または当技術分野で公知の方法にしたがって調製される。適切な縮合条件(たとえば、DCC)下でのA-1とジオールA-2との反応は、エステル/アルコールA-3を生成し、次いで、これは、アルデヒドA-4に酸化されうる(たとえば、PCC)。還元的アミノ化条件下でのA-4とアミンA-4との反応は、構造式(I)の化合物を生じる。
【0132】
構造式(I)の化合物の調製のためのさまざまな代替方策が、当業者に利用可能であることに留意すべきである。たとえば、L1およびL2がエステル以外の構造式(I)の他の化合物を、適切な出発物質を用いて類似の方法に従って調製することができる。さらに、一般的反応スキーム1は、G1およびG2が同じである構造式(I)の化合物の調製を示す;しかしながら、これは本発明の必要な態様ではなく、G1およびG2が異なる化合物を得るための上記反応スキームの改変が可能である。必要に応じて保護基を使用すること、および上記の一般的反応スキームに対して他の改変を行うことは、当業者には容易に明らかであろう。
【0133】
以下の実施例は、例示のために提供されるものであって、限定を意図するものではない。
【実施例1】
【0134】
脂質ナノ粒子組成物を用いるルシフェラーゼMRNAインビボ評価
カチオン性脂質、DSPC、コレステロールおよびPEG-脂質を、50:10:38.5:1.5または47.5:10:40.8:1.7のモル比でエタノールに可溶化した。約10:1~30:1の総脂質対mRNA重量比で、脂質ナノ粒子(LNP)を調製した。簡潔に述べると、mRNAを10~50mMのクエン酸緩衝液、pH4中で、0.2mg/mLに希釈した。シリンジポンプを使用して、15ml/分を超える全流速で、約1:5~1:3(vol/vol)の比でエタノール性脂質溶液をmRNA水溶液と混合した。次いで、エタノールを除去し、透析により外部緩衝液をPBSで置換した。最後に、脂質ナノ粒子を0.2μm細孔無菌フィルターを通して濾過した。脂質ナノ粒子の粒子サイズは、Malvern Zetasizer Nano ZS(Malvern、UK)を用いる準弾性光散乱によって測定した場合、直径約55~95nm、場合によっては約70~90nmであった。
【0135】
施設動物管理委員会(ACC)およびカナダ動物衛生協議会(CCAC)によって制定されたガイドラインにしたがって、6~8週齢の雌性C57BL/6マウス(Charles River)および8~10週齢のCD-1(Harlan)マウス(Charles River)で研究を行った。mRNA-脂質ナノ粒子の用量を変化させて、尾静脈注射により全身投与し、動物を投与後の特定の時点(たとえば、4時間)で安楽死させた。肝臓および脾臓を予め秤量したチューブに採取し、重量を測定し、すぐに液体窒素中で急速凍結し、分析のための処理まで-80℃で保存した。
【0136】
肝臓については、約50mgを2mLのFastPrepチューブ(MP Biomedicals、Solon OH)中で分析のために切断した。各チューブに1/4インチセラミック球(MP Biomedicals)を加え、室温に平衡化した500μLのGlo Lysis Buffer-GLB(Promega、Madison WI)を肝臓組織に添加した。FastPrep24装置(MP Biomedicals)を用いて、肝臓組織を2×6.0m/秒で15秒間ホモジナイズした。ホモジネートを室温で5分間インキュベートした後、GLB中で1:4に希釈し、SteadyGloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて評価した。具体的には、50μLの希釈した組織ホモジネートを50μLのSteadyGlo基質と反応させ、10秒間振とうした後、5分間インキュベートし、次いで、CentroXS3 LB 960照度計(Berthold Technologies、Germany)を用いて定量した。アッセイしたタンパク質の量を、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford IL)を用いて決定した。次いで、相対発光単位(RLU)を、アッセイした全タンパクμgに対して正規化した。RLUをngルシフェラーゼに変換するために、QuantiLum Recombinant Luciferase(Promega)を用いて標準曲線を作成した。
図1に示すデータに基づいて、4時間の時点を脂質製剤の有効性評価のために選択した。
【0137】
Trilink BiotechnologiesからのFLuc mRNA(L-6107)は、もともとホタルPhotinus pyralisから単離されたルシフェラーゼタンパク質を発現する。FLucは、遺伝子発現および細胞生存度の両方を測定するために、哺乳動物細胞培養において一般的に使用される。それは、基質ルシフェリンの存在下で生物発光を発する。このキャップおよびポリアデニル化mRNAは、5-メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全に置換される。
【実施例2】
【0138】
製剤された脂質のPK
a
の決定
他のところで説明されているように、製剤されたカチオン性脂質のpKaは、核酸のデリバリーに対するLNPの有効性と相関する(Jayaraman et al、Angewandte Chemie、International Edition (2012)、51(34)、8529-8533;Semple et al、Nature Biotechnology 28、172-176 (2010)を参照)。pK
aの好ましい範囲は~5から~7である。各カチオン性脂質のpK
aは、2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(TNS)の蛍光に基づくアッセイを用いて脂質ナノ粒子中で測定された。総脂質0.4mMの濃度のPBS中のカチオン性脂質/DSPC/コレステロール/PEG-脂質(50/10/38.5/1.5mol%)を含む脂質ナノ粒子を、実施例1に記載のインラインプロセスを用いて調製する。TNSは、蒸留水中の100μMストック溶液として調製された。小胞を、10mMのHEPES、10mMのMES、10mMの酢酸アンモニウム、130mMのNaClを含有する2mLの緩衝溶液(ここで、pHは2.5~11の範囲であった)中で24μMの脂質に希釈した。TNS溶液のアリコートを加えて1μMの最終濃度とし、ボルテックス混合後、321nmおよび445nmの励起および発光波長を用いて、SLM Aminco Series 2発光分光光度計で室温にて蛍光強度を測定した。S字状の最良適合分析を蛍光データに適用し、pK
aを最大蛍光強度の半分を生じるpHとして測定した(
図2参照)。
【実施例3】
【0139】
インビボルシフェラーゼMRNA発現げっ歯類モデルを用いた、さまざまなカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤の有効性の決定
第2表に示されたカチオン性脂質は、以前に核酸で試験されている。比較目的のために、実施例1およびPCT/US10/22614(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、これらの脂質を用い、インライン混合法を用いてFLuc mRNA(L-6107)を含有する脂質ナノ粒子を製剤化した。50%カチオン性脂質/ 10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5% PEG脂質のモル比を用いて、脂質ナノ粒子を製剤した(「PEG-DMG」、すなわち、平均PEG分子量2000の(1-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール)。相対活性を、実施例1に記載したように、尾静脈注射による投与の4時間後に肝臓におけるルシフェラーゼ発現を測定することによって決定した。活性は、0.3および1.0mg mRNA/kgの用量で比較し、実施例1に記載したように、投与4時間後に測定したルシフェラーゼng/肝臓gとして表した。
【0140】
第2表
mRNAを用いた活性を示す比較脂質
【表8】
【0141】
第3表に示される本発明の代表的な化合物は、以下のモル比を用いて製剤された:A)50%カチオン性脂質/10%ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)/38.5%コレステロール/1.5%PEG脂質(「PEG-DMA」、2-[2-(ω-メトキシ(ポリエチレングリコール
2000)エトキシ]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド)、またはB)47.5%カチオン性脂質/10%DSPC/40.8%コレステロール/1.7%PEG脂質。相対活性を、実施例1に記載したように、尾静脈注射による投与の4時間後に肝臓におけるルシフェラーゼ発現を測定することによって決定した。活性は、0.3および1.0mg mRNA/kgの用量で比較し、実施例1に記載したように、投与4時間後に測定したルシフェラーゼng/肝臓gとして表した。選択したデータのプロットを
図3に示す(上から下へ:三角=化合物3;円=化合物2;十字=化合物1;四角=MC3)
【0142】
第3表
新規カチオン性脂質および関連活性
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【実施例4】
【0143】
6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アールの合成
塩化メチレン(475mL)中のヘキサン-1,6-ジオール(27.6g)の溶液を、2-ヘキシルデカン酸(19.8g)、DCC(18.2g)およびDMAP(11.3g)で処理した。溶液を3日間撹拌した。反応混合物を濾過し、ヘキサン(500mL)を濾液に加えた。混合物を撹拌し、沈殿を沈降させた。上清をデカントし、希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して30gの粗生成物を得た。
【0144】
粗生成物を塩化メチレン(200mL)に溶解し、ピリジニウムクロロクロメート(15g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(600mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液を、シリカゲルプラグを通して濾過し、溶媒を除去した。残渣を溶離液としてヘキサン、続いて塩化メチレンを用いてシリカゲルカラム(80g)に通した。6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(24g)を無色油状物として得た。
【実施例5】
【0145】
4-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ブタン-1-アールの合成
塩化メチレン(200ML)中のブタン-1,4-ジオール(12.5G)の溶液を、2-ヘキシルデカン酸(9.2G)、DCC(8.8G)およびDMAP(4.9G)で処理した。溶液を一晩攪拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣を塩化メチレンに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲル床で濾過し、溶媒を除去した。
【0146】
粗生成物を塩化メチレン(150mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(6g)で1時間処理した。ジエチルエーテル(450mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、4-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ブタン-1-アール(11g)を無色油状物として得た。
【実施例6】
【0147】
化合物1の合成
塩化メチレン(50mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(3.0g)、酢酸(0.21g)およびエタノールアミン(0.14g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4g)で一晩処理した。溶液を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物1を無色油状物(0.63g)として得た。
【実施例7】
【0148】
化合物2の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(3.0g)、酢酸(0.33g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.17g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で1時間処理した。溶液を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物2を無色油状物(1.1g)として得た。
【実施例8】
【0149】
化合物3の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.33g)および4-アミノブタン-1-オール(0.17g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物3を無色油状物(0.4g)として得た。
【実施例9】
【0150】
化合物4の合成
塩化メチレン(20mL)中の4-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ブタン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.30g)および4-アミノブタン-1-オール(0.22g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通した。酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-10/98-90%)勾配を使用して、部分精製画分を第2カラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物4を無色油状物(0.9g)として得た。
【実施例10】
【0151】
化合物5の合成
塩化メチレン(20mL)中の4-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ブタン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.31g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.17g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4g)で1時間処理した。溶液を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通した。酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用して、部分精製画分を第2カラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物5を無色油状物(0.57g)として得た。
【実施例11】
【0152】
化合物6の合成
塩化メチレン(20mL)中の4-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ブタン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.30g)およびエタノールアミン(0.14g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-10/100-90%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通した。酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-9/98-92%)勾配を使用して、部分精製画分を第2カラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物6を無色油状物(0.2g)として得た。
【実施例12】
【0153】
化合物7の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.14g)および5-アミノペンタン-1-オール(0.24g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物7を無色油状物(0.5g)として得た。
【実施例13】
【0154】
化合物8の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.17g)および6-アミノヘキサン-1-オール(0.26g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物8を無色油状物(0.5g)として得た。
【実施例14】
【0155】
化合物9の合成
塩化メチレン(10mL)/テトラヒドロフラン(10mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)およびトランス-2-アミノシクロヘキサノール塩酸塩(0.35g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で1.5時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣をメタノール/塩化メチレン(0-8/100-92%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通し、化合物9を無色油状物(0.6g)として得た。
【実施例15】
【0156】
化合物10の合成
無水THF(15mL)中の2-アミノエタノール(106mg、1.75mmol)の溶液に、6-ブロモヘキサン酸2-オクチルドデシル(2当量、1.66g、3.5mmol)、炭酸カリウム(2当量、3.5mmol、477mg)および炭酸セシウム(0.3当量、0.525mmol、171mg)を加え、63℃(油浴)で16時間加熱した。痕跡量のテトラブチルアンモニウムヨウ化物を混合物に加え、混合物をさらに4日間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をヘキサンおよび酢酸エチル(約9:1)の混合物に取り、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて油状物(1.6g)を得た。残渣(1.6g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~4%)により精製した。これにより、化合物10を無色油状物(700mg、0.82mmol、47%)として得た。
【実施例16】
【0157】
化合物11の合成
無水THF(15mL)中の2-アミノエタノール(116mg、1.9mmol、115 μL)の溶液に、6-ブロモヘキサン酸2-ヘキシルデシル(1.9当量、1.52g、3.62mmol)、炭酸カリウム(1.9当量、3.62mmol、500mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.57mmol、186mg)およびヨウ化ナトリウム(10mg)を加え、アルゴン下で6日間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をヘキサンに取り、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて無色油状物を得た。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~4%)で精製して、化合物11を無色油状物(936mg、1.27mmol、70%)として得た。
【実施例17】
【0158】
化合物12の合成
化合物12を、化合物11の手順と類似の方法で調製して、538mgの無色油状物、0.86mmol、57%を得た。
【実施例18】
【0159】
化合物13の合成
無水THF(30mL)中の2-アミノエタノール(171mg、2.81mmol、169μL)の溶液に、4-ブロモ酪酸2-オクチルドデシル(1.9 当量、2.386g、5.33mmol)、炭酸カリウム(1.9当量、5.33mmol、736mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.84mmol、275mg)およびヨウ化ナトリウム(10mg)を加え、アルゴン下で16時間加熱還流した。TLC(ヘキサン/酢酸エチル=9:1、CHCl3/MeOH=19:1)は、有意な量の2-オクチル-1-ドデカノールが生成されることを示した。混合物を冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣を2-オクチル-1-ドデカノール(2.1g)に溶解した。4Åモレキュラーシーブの数個のビーズおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.9当量、5.33mmol、683mg、0.92mL)を添加した。混合物を密封し、62℃でさらに4日間加熱した。反応混合物を冷却した。ヘキサンを添加した。ヘキサン溶液をデカントし、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~4%)により精製して、化合物13を無色油状物(282mg、0.35mmol、13%)として得た。
【実施例19】
【0160】
化合物14の合成
無水THF(15mL)中のヘプタデカン-9-イル6-ブロモヘキサノエート(2当量、1.13g、2.61mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2当量、2.61mmol、361mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.39mmol、128mg)およびヨウ化ナトリウム(6mg)を加えた。混合物をアルゴン下で7日間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチル(約10%)に取り、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて無色油状物(1g)を得た。残渣(1g)をシリカゲルの重力カラムクロマトグラフィー(DCM中のMeOH、0~4%)により精製した。これにより、化合物14を無色油状物(757mg、0.99mmol、76%)として得た。
【実施例20】
【0161】
化合物15の合成
無水THF(15mL)(開封2ヶ月)中の5-ブロモペンタン酸2-ヘキシルデシル(2当量、1.22g、3mmol)の溶液に、炭酸カリウム(2当量、3ミリモル、415mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.45ミリモル、146mg)およびヨウ化ナトリウム(6mg)、4-アミノ-1-ブタノール(1当量1.5ミリモル、0.134mg、139μL)を加えた。混合物をアルゴン下で6日間加熱還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(約10%)に取り、水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて無色油状物(1.12g)を得た。残渣(1g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~5%)により精製した。これにより、化合物15を無色油状物(487mg、0.66mmol、44%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:5.99 (s、1H)、3.98 (d、5.8 Hz、4H)、3.56 (t-様、4.8 Hz、2H)、2.48-2.41 (m、6H)、2.33 (t、7.4 Hz、4H)、1.70-1.57 (m、10H)、1.55-1.47 (m、4H)、1.35-1.21 (48H)、0.89 (t-様、6.8 Hz、12H)。
【実施例21】
【0162】
化合物16の合成
無水アセトニトリル(15mL)中の3-アミノ-1-プロパノール(0.37mmol、28mg)の溶液に、6-ブロモヘキサン酸2-ヘキシルデシル(1.9当量、294mg、0.7mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2当量、0.74mmol、96mg)およびヨウ化ナトリウム(5mg)を加え、混合物(2層)を圧力フラスコ内で59℃(油浴)にて3日間加熱した。混合物を濃縮し、残渣をヘキサンと酢酸エチルの混合物(約5:1、100mL)に取り、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。わずかに黄色の油状物(約300mg)が得られた。粗生成物(300mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~4.4%)で精製した。これにより、化合物16を無色油状物(95mg、0.13mmol、36%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:5.61-5.44 (br. s、1H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、3.80 (t-様、5.1 Hz、2H)、2.63 (t-様、5.6 Hz、2H)、2.43-2.39 (m、4H)、2.32 (t、7.5 Hz、4H)、1.70-1.59 (m、8H)、1.55-1.45 (m、4H)、1.36-1.21 (52H)、0.89 (t-様、6.8 Hz、12H)。
【実施例22】
【0163】
化合物17の合成
15mlの無水THF中の6-ブロモヘキサン酸2-ヘキシルデシル(2当量、1.32g、3.14mmol)の溶液に、4-アミノ-1-ブタノール(1当量、1.57mmol、140mg、145μL)、炭酸カリウム(2当量、3.14mmol、434mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.47mmol、153mg)およびヨウ化ナトリウム(6mg)を加えた。この混合物を、圧力丸底フラスコ中、75℃(油浴)にてアルゴン下で6日間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮した。残留物をヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(約9:1)に溶解し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した(1.28gの無色油状物)。粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~5%)により精製した。これにより、化合物17を無色油状物(581mg、0.76mmol、48%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:6.43-6.17 (br. s、1H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、3.55 (t-様、4.7 Hz、2H)、2.46-2.40 (m、6H)、2.31 (t、7.5 Hz、4H)、1.70-1.59 (m、10H)、1.55-1.45 (m、4H)、1.36-1.21 (52H)、0.89 (t-様、6.7 Hz、12H)。
【実施例23】
【0164】
化合物20の合成
30mlの無水THF中の8-ブロモオクタン酸2-ヘキシルデシル(2当量、3.09g、6.9mmol)の溶液に、4-アミノ-1-ブタノール(1当量、3.45mmol、308mg)、炭酸カリウム(2当量、6.9mmol、954mg)、炭酸セシウム(0.3当量、1.04mmol、337mg)およびヨウ化ナトリウム(10mg)を加えた。アルゴン下、圧力丸底フラスコ中の混合物を、64-70℃(油浴)で6日間加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。残渣をヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(9:1)に取り、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した(無色油状物)。粗生成物をシリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のMeOH、0~4.2%)で精製した。これにより、化合物20を無色油状物(1.28 g、1.56mmol、45%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:6.64-6.45 (br. s、1H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、3.62-3.51 (br. 2H)、3.07-2.34 (br. 6H)、2.30 (t、7.5 Hz、4H)、1.71-1.40 (m、14H)、1.39-1.19 (m、60H)、0.89 (t-様、6.8 Hz、12H)。
【実施例24】
【0165】
9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-アールの合成
塩化メチレン(150mL)中のノナン-1,9-ジオール(10.1g)の溶液を2-エチルヘキサン酸(9.0g)、DCC(14.3g)およびDMAP(9.1g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(0-8%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-オールを油状物(7.2g)として得た。
【0166】
9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-オールを塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(7.5g)で1時間処理した。ヘキサン(400mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-アールを無色油状物(6g)として得た。
【実施例25】
【0167】
9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-アールの合成
塩化メチレン(150mL)中のノナン-1,9-ジオール(12.0g)の溶液を、2-ブチルオクタン酸(5.0g)、DCC(7.7g)およびDMAP(4.5g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(0~4%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-オールを油状物(6g)として得た。
【0168】
9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-オールを塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(3.8g)で一晩処理した。ヘキサン(300mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-アールを無色油状物(3.1g)として得た。
【実施例26】
【0169】
6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-アールの合成
塩化メチレン(150mL)中のヘキサン-1,6-ジオール(9.4g)の溶液を、2-ブチルオクタン酸(5.0g)、DCC(7.6g)およびDMAP(4.8g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(0~4%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを油状物(4.5g)として得た。
【0170】
6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(4.8g)で一晩処理した。ヘキサン(300mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-アールを無色油状物(3.9g)として得た。
【実施例27】
【0171】
6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アールの合成
塩化メチレン(150mL)/THF(20mL)中のヘキサン-1,6-ジオール(11.5g)の溶液を、2-オクチルドデカン酸(9.9g)、DCC(7.5g)およびDMAP(4.7g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(0~4%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを油状物(7.4g)として得た。
【0172】
6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(4.0g)で2時間処理した。ジエチルエーテル(300mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アールを無色油状物(5.3g)として得た。
【実施例28】
【0173】
6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アールの合成
塩化メチレン(150mL)中のヘキサン-1,6-ジオール(9.6g)の溶液を、2-デシルテトラデカン酸(6.1g)、DCC(4.9g)およびDMAP(3.1g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(0~4%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを油状物(4.6g)として得た。
【0174】
6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-オールを塩化メチレン(100mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(3.2g)で2時間処理した。ヘキサン(300mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた生成物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アールを無色油状物(4.2g)として得た。
【実施例29】
【0175】
12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-アールの合成
塩化メチレン(300mL)/THF(100mL)中のドデカン-1,6-ジオール(25.0g)の溶液を、2-ヘキシルドデカン酸(10.6g)、DCC(10.2g)およびDMAP(7.5g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を水で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、ヘキサン、次いで、塩化メチレンを用いてシリカゲルカラムに通し、12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-オールを油状物(7.9g)として生成した。
【0176】
12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-オールを塩化メチレン(150mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(4.0g)で3時間処理した。ヘキサン(300mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた油状物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-アールを無色油状物(3.9g)として得た。
【実施例30】
【0177】
9-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-アールの合成
塩化メチレン(600mL)中のノナン-1,9-ジオール(46.8g)の溶液を、2-ヘキシルデカン酸(25.0g)、DCC(22.0g)およびDMAP(15.0g)で処理した。溶液を一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を除去した。残渣をヘキサンに懸濁させ、濾過した。濾液を希塩酸で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、シリカゲル床を通して濾過し、溶媒を除去した。粗生成物を、ヘキサン、次いで、メタノール/塩化メチレン(0~8%)勾配を用いてシリカゲルカラムに通して、9-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-オールを油状物(22g)として得た。
【0178】
9-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-オール(5.0g)を塩化メチレン(50mL)に溶解し、クロロクロム酸ピリジニウム(2.7g)で1時間処理した。ヘキサン(200mL)を添加し、上清をシリカゲル床に通して濾過した。濾液から溶媒を除去し、得られた生成物をヘキサンに溶解した。懸濁液をシリカゲル床に通して濾過し、溶媒を除去して、9-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-アールを無色油状物(3.6g)として得た。
【実施例31】
【0179】
化合物22の合成
塩化メチレン(20mL)中の9-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ノナン-1-アール(2.2g)、酢酸(0.15g)および4-アミノブタン-1-オール(0.20g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.30g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物22を無色油状物(0.93g)として得た。
【実施例32】
【0180】
化合物23の合成
塩化メチレン(20mL)中の12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-アール(2.0g)、酢酸(0.09g)および4-アミノブタン-1-オール(0.14g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.71g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物23を無色油状物(1.0g)として得た。
【実施例33】
【0181】
化合物24の合成
塩化メチレン(50mL)中の9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-アール(3.0g)、酢酸(0.11g)および4-アミノブタン-1-オール(0.17g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.89g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-10/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物24を無色油状物(0.69g)として得た。
【実施例34】
【0182】
化合物25の合成
塩化メチレン(50mL)中の9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-アール(2.6g)、酢酸(0.20g)および4-アミノブタン-1-オール(0.26g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.42g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物25を無色油状物(0.82g)として得た。
【実施例35】
【0183】
化合物26の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.7g)、酢酸(0.20g)および4-アミノブタン-1-オール(0.20g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.30g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物26を無色油状物(0.21g)として得た。
【実施例36】
【0184】
化合物27の合成
塩化メチレン(30mL)中の6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.1g)、酢酸(0.11g)および4-アミノブタン-1-オール(0.13g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.70g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物27を無色油状物(0.90g)として得た。
【実施例37】
【0185】
化合物28の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.0g)、酢酸(0.13g)および4-アミノブタン-1-オール(0.13g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.0g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物28を無色油状物(0.77g)として得た。
【実施例38】
【0186】
化合物30の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.15g)および3-アミノプロパン-1,2-ジオール(0.21g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.76g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物30を無色油状物(0.60g)として得た。
【実施例39】
【0187】
化合物31の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.15g)および2-アミノブタン-1-オール(0.20g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.1g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-4/98-96%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物31を無色油状物(0.31g)として得た。
【実施例40】
【0188】
化合物37の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-オクチルドデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.7g)、酢酸(0.20g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.17g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-12/98-88%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物37を無色油状物(0.22g)として得た。
【実施例41】
【0189】
化合物38の合成
塩化メチレン(10mL)中の12-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ドデカン-1-アール(1.8g)、酢酸(0.08g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.11g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.64g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-10/98-90%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物38を無色油状物(0.83g)として得た。
【実施例42】
【0190】
化合物39の合成
無水アセトニトリル(15mL)中の4-アミノ酪酸エチル塩酸塩(1.28mmol、214mg)、6-ブロモヘキサン酸2-ヘキシルデシル(1.9当量、2.43mmol、1.02g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.5当量、4.48mmol、579mg)およびヨウ化ナトリウム(5mg)の混合物を、圧力フラスコ中で60℃にて2日間加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。残渣をヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(約5:1、100mL)に溶解し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。褐色の油状物(約1.04g)が得られた。粗生成物を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中のMeOH、0~3.5%)により精製した。これにより、化合物39を無色油状物(334mg、0.41mmol、43%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:4.13 (q、7.1 Hz、2H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、2.43-2.34 (m、6H)、2.33-2.28 (m、6H)、1.73 (quintet、7.3 Hz、2H)、1.68-1.58 (m、6H)、1.47-1.37 (m、4H)、1.36-1.20 (54H)、0.89 (t-様、6.8 Hz、12H)。
【実施例43】
【0191】
化合物40の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.15g)および1-アミノブタン-2-オール(0.10g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.8g)で2時間処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物40を無色油状物(0.85g)として得た。
【実施例44】
【0192】
化合物41の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.4g)、酢酸(0.19g)および1-アミノブタン-2-オール(0.21g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.8g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物41を無色油状物(0.77g)として得た。
【実施例45】
【0193】
化合物42の合成
塩化メチレン(20mL)中の6-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.0g)、酢酸(0.13g)および4-アミノブタン-2-オール(0.20g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.03g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物42を無色油状物(0.54g)として得た。
【実施例46】
【0194】
化合物43の合成
塩化メチレン(50mL)中の9-(2'-エチルヘキサノイルオキシ)ノナン-1-アール(3.0g)、酢酸(0.11g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.14g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.91g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-6/98-94%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物43を無色油状物(1.01g)として得た。
【実施例47】
【0195】
化合物44の合成
塩化メチレン(30mL)中の6-(2'-デシルテトラデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(2.1g)、酢酸(0.11g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.11g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.71g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-96%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物44を無色油状物(1.07g)として得た。
【実施例48】
【0196】
化合物45の合成
塩化メチレン(50mL)中の9-(2'-ブチルオクタノイルオキシ)ノナン-1-アール(2.6g)、酢酸(0.17g)および3-アミノプロパン-1-オール(0.21g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.34g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-96%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物45を無色油状物(1.1g)として得た。
【実施例49】
【0197】
化合物46の合成
15mlの2-プロパノール中の2-アミノエタノール(96.5mg、1.58mmol、95.4μL、MW 61.08、d 1.012)の溶液に、8-ブロモオクタン酸2-ヘキシルデシル(1.8当量、1.27g、2.84mmol)、炭酸カリウム(1.9当量、3mmol、414mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.47mmol、154mg)およびヨウ化ナトリウム(10mg)を加え、3日間加熱した(油浴60℃)。混合物を濃縮し、残渣をTHF(10mL)に取った。この混合物に、さらにアミノエタノール(80mg、1.3mmol)を添加した。加熱を70℃でさらに3日間続けた。合計6日後、反応混合物を冷却し、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュドライカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のメタノール、1~4.2%)で精製した。これにより、化合物46を無色油状物(334mg、0.42mmol、30%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:4.09-4.06 (m、2H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、3.39-3.36 (m、2H)、3.31-3.23 (m、4H)、2.31 (t、7.5 Hz、4H)、1.88-1.56 (m、12H)、1.43-1.19 (59H)、0.89 (t-様、6.8 Hz、12H)。
【実施例50】
【0198】
化合物47の合成
塩化メチレン(30mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(3.0g)、酢酸(0.20g)および3-アミノプロピオニトリル(0.21g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.3g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-6/98-94%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物47を無色油状物(0.29g)として得た。
【実施例51】
【0199】
化合物48の合成
塩化メチレン(30mL)中の6-(2'-ヘキシルデカノイルオキシ)ヘキサン-1-アール(3.0g)および4-アミノ酪酸エチル塩酸塩(0.46g)の溶液を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4g)で一晩処理した。溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、酢酸/メタノール/塩化メチレン(2-0/0-8/98-92%)勾配を使用してシリカゲルカラムに通した。純粋な画分を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、化合物48を無色油状物(0.80g)として得た。
【実施例52】
【0200】
化合物49の合成
20mlの無水THF中の8-ブロモオクタン酸2-ブチルオクチル(2当量、1.877g、4.8mmol)の溶液に、4-アミノ-1-ブタノール(1当量2.4mmol、214mg、221μl)、炭酸カリウム(2当量、4.8mmol、664mg)、炭酸セシウム(0.3当量、0.72mmol、234mg)およびヨウ化ナトリウム(約5mg)を加えた。圧力丸底フラスコ中の混合物を6日間加熱(油浴、80℃)した。反応混合物を冷却し、濃縮した。残渣をヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(約5:1)に溶解し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(クロロホルム中のメタノール、1~4%)で精製した。これにより、化合物49を無色油状物(857mg、1.21mmol、50%)として得た。1HNMR (400 MHz、CDCl3) δ:6.55 (br. s、1H)、3.97 (d、5.8 Hz、4H)、3.55 (not well resolved triplet、2H)、2.45-2.40 (m. 6H)、2.30 (t、7.5 Hz、4H)、1.71-1.58 (m、10 H)、1.51-1.42 (m、4H)、1.39-1.19 (m、44H)、0.93-0.87 (m、12H)。
【0201】
上述の様々な実施態様を、さらなる実施態様を提供するために組み合わせることができる。本明細書における特定の教示および定義と矛盾しない限り、本明細書で言及されかつ/または出願データシートに列挙された米国特許出願第62/247,616号(出願日:2015年10月28日)および同第62/328,244号(出願日:2016年4月27日);すべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許公報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施態様の態様は、さらに別の実施態様を提供するために、必要に応じて、さまざまな特許、特許出願および特許公開の概念を使用するように変更することができる。これらの変更および他の変更を、上記の詳細な説明に照らして実施態様に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施態様に限定するものと解釈されるべきではなく、すべての可能な実施態様およびそのような請求項が権利を与えられる等価物の全範囲を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって制限されない。