(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】電気車両を充電するときの動的相負荷分配のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220228BHJP
B60L 53/00 20190101ALI20220228BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20220228BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20220228BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/00
H02H5/04 180
H02J7/02 F
H02J13/00 301A
H02J13/00 311B
(21)【出願番号】P 2018533671
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2016082419
(87)【国際公開番号】W WO2017109094
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-12-02
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518219136
【氏名又は名称】サプテス・イーピー・アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ストヤノヴィク,ソラン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルミクストール,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーレビョーグ,ヴェガルド
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン,ブラージ・ワー
(72)【発明者】
【氏名】ネーシェ,ヒェティル
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09168839(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0084434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0189456(US,A1)
【文献】特表2012-517788(JP,A)
【文献】特開2003-087977(JP,A)
【文献】国際公開第2010/089396(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 13/00
H02H 5/04
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両、EVを充電するときの利用可能な電力の最適使用のための3相充電組立体であって、
- 各相(L
1in、L
2in、L
3in)のための補助絶縁導体と中性導体(Nin)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルと、
- 少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEであって、各々が、前記3相配電ケーブルの前記補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L
1in、L
2in、L
3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L
1out、L
2out、L
3out)とをもつ内部回路を含む、EVSEと、
- 前記少なくとも1つのEVSEとの間のデータの通信を制御するマスタユニットと
を含み、
各EVSEは、
- 1次リレー(R5、R7、R9)であって、各々が、前記入力における各相(L
1in、L
2in、L
3in)のための前記補助絶縁導体によって出力(L
1out、L
2out、L
3out)に与えられる電力を接続または切断するように構成された1次リレー(R5、R7、R9)と、
- 前記入力における任意の相(L
1in、L
2in、L
3in)への前記出力(L
1out)における1相負荷の再ルーティングを有効にする2次リレー(R11、R13)であって、1つのリレー(R11)が前記入力における相2導体(L
2in)から前記出力における相1導体(L
1out)に接続される一方、他のリレー(R13)が前記入力における相3導体(L
3in)から前記出力における相1導体(L
1out)に接続される前記2次リレーと、
- 通信手段を含む制御システムであって、前記制御システムが、同じ充電組立体内の他のEVSEから受信され、およびそれらに送信された、各相のリレーステータス、電流負荷、容量の情報に基づいて、前記1次リレー(R5、R7、R9)および2次リレー(R11、R13)の各々を接続または切断するように構成される、制御システムと
をさらに含
み、
過電流保護器が、各1次リレー(R5、R7、R9)に直列に接続されており、
更なる2次リレー(R6、R8、R10)が、それぞれ、前記1次リレー(R5、R7、R9)及び前記過電流保護器の各々に並列に接続され、2次リレー(R12)が、前記入力における相2導体(L
2
in)から前記出力における相1導体(L
1
out)に接続され、2次リレー(R14)が、前記入力における相3導体(L
3
in)から前記出力における相1導体(L
1
out)に接続される、3相充電組立体。
【請求項2】
リレー(R15~R16)を有する2つの更なる電気線が、前記出力における中性導体(Nout)から、前記入力における相2導体(L
2in)及び相3導体(L
3in)に接続されている、請求項
1に記載の3相充電組立体。
【請求項3】
各入力相導体(L
1in、L
2in、L
3in)上の電力リレー(R1~R3)をさらに含むことを特徴とする、請求項
1または2に記載の3相充電組立体。
【請求項4】
各入力相導体(L
1in、L
2in、L
3in)上のヒューズをさらに含むことを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
【請求項5】
少なくとも1つのリレー(R4)が、前記EVSEの中性(Nin)入力導体と中性出口(Nout)との間に接続されることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
【請求項6】
各EVSE中に含まれる前記制御システム間のデータの通信を可能にする電力線通信を有効にするための手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
【請求項7】
EVSE中の制御システムが、EVSEまたは同じ3相充電組立体中に含まれる他の通信手段との間のデータの前記通信を制御するマスタユニットとして動作するように構成されたことを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
【請求項8】
前記マスタユニットが、前記同じ3相充電組立体中に含まれるEVSEの前記入力における任意の相(L
1in、L
2in、L
3in)への、前記出力(L
1out)における1相負荷の前記再ルーティング、並びに、前記同じ3相充電組立体中に含まれるEVSEの負荷の相固有の切断を制御するように構成されたことを特徴とする、請求項
7に記載の3相充電組立体。
【請求項9】
前記3相配電ケーブル
の各相上で電流負荷を測定するための手段を含み、この電流負荷の情報が、利用可能な電力の最適な負荷分散および利用を提供するための基礎を形成することを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
【請求項10】
前記マスタユニットが、EVSEに電力を与える同じ3相配電ケーブルに接続された、および前記同じ3相配電ケーブルから電力を引き出す、他のデバイスから負荷データを受信するように構成され、前記負荷データが、各相(L
1in、L
2in、L
3in)から利用可能な最大充電電力を定義することを特徴とする、請求項
7から9の何れかに記載の3相充電組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相充電組立体(3-phase charging assembly)に関し、より詳細には、電気車両のためのバッテリーを充電するときの動的相負荷分配に基づく利用可能な電力の最適使用のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両(EV)のための一般的な従来技術の3相充電組立体では、充電ステーションの出口に電力を与える電気車両給電機器(EVSE:electric vehicle supply equipment)が特定の相に永続的に接続され、4つ以上のEVが充電しているときの不平衡によるエラーのリスクを生じる。規制は、ヒューズの過負荷を回避するように構成された専用構成の不在下では、回路が、利用可能な最大電力が使用されるときに配電線からのEVSEの切断を可能にすべきであることを要求する。実際には、EVSEの大部分の電気技師は、EVSEユニットの数に対応する充電スポットの数を制限するか、または各EVSEユニットのための最大充電電力を制限するか、または充電のために利用可能な電力をアップグレードするかしなければならない。
【0003】
図1は、変更するために利用可能な最大電力を定義するヒューズをもつヒューズボックスを介してグリッドに接続された3相ネットワークを介して充電されている4つのEVを含む従来技術システムの一例を示す。図は、共通のレールまたは配電ケーブルを介して3相ネットワークに接続された合計12個のEVSEユニットを示している。ワーストケースシナリオでは、EVSEユニットの各々が同じ相に固定して接続される。32Aの定格電流をもつ230Vネットワークでは、
図1に示されているワークケースシナリオは、わずか7.4kWのEV配電電力を与えることになる。したがって、あらゆるEVは、約1800Wを超えるいかなる負荷もヒューズを作動させるので、約1800Wの最大充電電力を受け得る。したがって、固定負荷分配により、回路中のすべての相によって与えられるすべての潜在的容量が利用されるとは限らない。
【0004】
図2は、3相ネットワークの1つの相(1相)に接続されたいくつかのEVSEユニットの代替セットアップを示す。
図1のセットアップとは対照的に、EVSEが接続されたいくつかの並列1相配電線に分割する3相ネットワークを含む3相充電組立体。そのような構成は、ケーブルの必要の増加、ならびに各ユニットについての最大充電レベルの顕著な制限の両方を生じる。後者は、完全な理論負荷をサポートするために幹線給電から十分な電力を与えることの要件に関係する上述の規制の結果である。
【0005】
3相ネットワーク上で1相負荷を動的に分配することの原理が知られている。WO2012/175332 A1はこれの一例を説明しており、デバイスが、電気的構成要素に電力を供給するために、任意の相を選択するためのスイッチを制御するように構成される。選択される相は、3相エネルギーネットワークにおける各相のそれぞれの負荷に依存する。
【0006】
しかしながら、従来技術の解決策は、利用可能な電力の最適な負荷分散および使用のための、同じ3相配電ケーブルを介した1相負荷と3相負荷との自動的でシームレスなルーティングが欠如しており、これは、3相配電ケーブル上の総負荷、各相上の負荷、充電のために利用可能な総電力、接続されたEVの充電に必要な電力および時間などのような、異なる情報に基づく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、少ないEVが接続されるとき、急速充電のために利用可能な余剰電力があることと、多くのEVが接続されるとき、引き出される最大電力が利用可能な最大電力を下回り、したがって、低いリスクまたはリスクなしを表すこととを保証することによって、3相充電組立体における利用可能な電力の配電および負荷分散をより効果的でシームレスにするシステムを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、同じ3相電源に接続されたデバイスの特定の必要、および/あるいは、たとえば、電力不足、変換器における過熱、ローカルな技術的問題などにより、ローカルまたは領域ネットワーク事業者によって定義される他の電力要件に優先度を付けるために、3相充電組立体における利用可能な電力を自動的に再ルーティングすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、主請求項に記載され、それを特徴とし、従属請求項は、本発明の他の特徴について説明する。
特に、本発明は、電気車両、EVを充電するときの利用可能な電力の最適使用のための3相充電組立体であって、
- 各相(L1in、L2in、L3in)のための補助絶縁導体と中性導体(Nin)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルと、
- 少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEであって、各々が、前記3相配電ケーブルの補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路をもつ、EVSEと
を含み、各EVSEは、
- 入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)と、
- 入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への出力導体の各々の再ルーティングを有効にするためにリレーマトリックスにおいて構成された複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)と、
- 通信手段を含む制御システムであって、制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することと、他のEVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成された、制御システムと
を含む、3相充電組立体によって規定される。
【0010】
3相充電組立体のいくつかの有利な実施形態が従属請求項において規定される。
本発明はまた、利用可能な電力の最適利用を用いて、電気車両、EVを充電するための方法であって、
- 各相(L1in、L2in、L3in)のための補助絶縁導体と中性導体(Nin)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルを与えるステップと、
- 少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEを与えるステップであって、各々が、前記3相配電ケーブルの補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路をもつ、与えるステップと
を含み、方法は、
- 各EVSEに、入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)を与えるステップと、
- 各EVSEに、入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への、出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングを有効にするためにリレーマトリックスにおいて構成された複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)を与えるステップと、
- 各EVSEに、通信手段を含む制御システムを与えるステップであって、制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することと、他のEVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成された、与えるステップと、
- 少なくとも1つのEVSEの出力導体(L1out、L2out、L3out)に少なくとも1つのEVを接続するステップと
をさらに含む、方法によって規定される。
【0011】
以下の説明では、請求されるシステムおよび方法の実施形態の完全な理解を与えるために多数の具体的な詳細が導入される。しかしながら、当業者は、これらの実施形態が、具体的な詳細のうちの1つまたは複数なしに、または他の構成要素、システムなどとともに実施され得ることを認識するであろう。いくつかの事例では、開示される実施形態の態様を不明瞭にしないように、よく知られている構造または動作が示されないか、または詳細に説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】いくつかのEVSEが、共通の32Aヒューズを共有する単一の配電ケーブルに接続され、共通の32Aヒューズが3相ネットワークグリッドのメインヒューズに接続される、従来技術の3相充電組立体を示す概略図である。
【
図2】いくつかのEVSEが別個の16Aヒューズを介して3相ネットワークのメインヒューズに並列様式で接続される、従来技術の3相充電組立体の概略図である。
【
図3】いくつかのEVSEが、共通の32Aヒューズを共有する単一の配電ケーブルに沿って接続され、共通の32Aヒューズが3相ネットワークグリッドのメインヒューズに接続される、本発明による3相充電組立体の概略図である。
【
図4】最高15個のEVSE(Z)のグループが、共通の32Aヒューズを共有する複数の配電ケーブルの各々に接続され、複数の共通の32Aヒューズが3相ネットワークグリッドのメインヒューズに並列様式で接続される、本発明による3相充電組立体の概略図である。
【
図5】幹線給電からの相固有接続および切断を保証する、リレー構成を有する3相ネットワークの回路図である。
【
図6】幹線給電からの相固有接続および切断、ならびにITシステムとTNシステムとTTシステムとの間での再構成の両方を保証する、リレー構成を有する3相ネットワークの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1と
図3の両方に示されているように、いくつかのEVSEユニットが、共通配電ケーブルを介して同じ3相ネットワークに接続される。ただし、
図1に示されている従来技術の解決策とは対照的に、
図3に示されているEVは、本発明によるインテリジェント相配電システムを含むEVSEユニットに接続される。EVSEユニットの各々内の3相電力測定と、ある時間期間内の各EVSEユニット間の、この情報を含むデータの交換とに基づいて、最も効率的な方法で3相の各相を利用することが可能である。
【0014】
一例として、
図3中の4つのEVのうちの第1のEVは、そのEVも接続されるEVSEによって測定される利用可能な最高容量を有する相に接続される。同等の電力測定が、残りのEVSEによって実行され、各EVは、接続の時間において最良の容量を与える相に接続される。
【0015】
電力測定の機能が各EVSEに組み込まれ、この電力情報を含む、各EVSE間の情報フローが、以下でさらに説明されるエネルギー分配アルゴリズムにおいて使用される。これは、ネットワーク(たとえばワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN))に接続された電力線通信(PLC)システムまたはそれの任意の変形形態など、制御ユニットによって制御され、監視される。これは、さらに、エネルギー分配の遠隔制御を保証するインターネットに接続され得る。PLCシステムは、EVSEユニットを論理的に相互接続するために使用され得る。PLCの代わりに、従来の電力線に平行に走る別個の通信回線が使用され得る。本発明に従ってEVSEを実装し、使用することが、3相充電組立体における電力分配のための基礎である。
【0016】
情報を交換した後に、各EVSEは、3相電力線の特定の相上で検出された容量および電流負荷に従って、その相にEVを接続する。目的は、3相システムの各相の容量の最適使用である。
【0017】
3相システムの容量の最適使用の一例は、第1のEVが相1において32Aを受け、第2のEVが相2において32Aを受け、第3および第4のEVが相3において16Aを受け、その結果、22kW(230V×32A×3)の総電力が、接続されたEVに分配されるときである。したがって、本発明のネットワークは、
図1を参照しながら前に説明された従来技術の3相ネットワークにおいて利用可能な電力の約3倍である総電力を送出し得る。
【0018】
図2と
図4は両方とも、いくつかのヒューズがメインヒューズに並列様式で接続されるネットワークを示す。ただし、
図2に示されている従来技術の解決策とは対照的に、
図4に示されている様々なEVに分配される電力は、
図3を参照しながら上記で説明されたのと同様の方法で、エネルギー分配アルゴリズムによって制御され、最適化される。
【0019】
所望の相固有負荷分配を達成するために、本発明による新しいシステムが、以下のうちの1つまたは複数を採用し得る。
- 従来のネットワークと比較して増加された数の集積電力スイッチ、すなわち、リレーおよび関連する制御電子回路、
- 同じヒューズを共有する同じ回路/サブ回路に接続された大部分またはすべてのEVSEユニットを論理的に相互接続する制御システム、
- 同じ回路/サブ回路への新しいEVSEの接続を自動的に識別するための手段、
- EVSEの交換を自動的に識別するための手段、
- 接続されたEVの各々のエネルギー貯蔵容量および現在の充電レベルを読み取るための手段。
【0020】
新しいEVSEの接続を自動的に識別するための手段の例は、事前登録されたRFID(無線周波数識別)、または物体にリンクされたタグを自動的に識別し、追跡するための任意の他の手段に基づき得る。
【0021】
さらに、EVSEの交換を自動的に識別するための手段は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、あるいは専用プラグまたは電力点に適合された同様のシステムであり得る。
【0022】
最後に、接続されたEVの各々のエネルギー貯蔵容量および現在の充電レベルを読み取るための手段は、PLCシステムあるいはWiFi/Bluetooth(登録商標)あるいはGPRS(汎用パケット無線サービス)または他のパケット指向モバイルデータサービスを介してEVにログオンすることであり得る。後者は、ユーザのオンラインプロファイル中でユーザ名およびパスワードが利用可能にされる場合、それを使用してEVにログオンすることによって達成され得る。
【0023】
これは、異なるEVSE間の情報フローの一部であり、特定のEVをどの相に接続すべきかについての基礎である。
エネルギー貯蔵容量および充電レベルに関する情報はまた、充電プロシージャ中に特定の必要を識別するための援助であり得、したがって、上述のエネルギー分配アルゴリズムにおいて優先度ルールをセットアップするときのパラメータである。
【0024】
図5および
図6は、3相ネットワークシステムの幹線給電からの相固有の切断を可能にし、それによりEVの1相充電および/または3相充電の両方を可能にする、本発明による回路構成の特定の実施形態を示す。相固有の切断は、1つまたは複数のリレーを動作させることによる、3相ネットワークシステムからの1または3相負荷のユーザ制御されたまたは自動的な切断を暗示する。図中の点刻された枠内の回路および構成要素が、好ましくはEVSEユニットに組み込まれる。図に示されているようにリレーをマトリックスに分配することによって、ランダムに位置するEV間の利用可能な電力の動的分配が3相充電と1相充電の両方について可能である。さらに、3相充電システムは、グリッド内の利用可能な電力に応じて、EVが1相上で充電すべきであるのか、3相上で充電すべきであるのかを決定し得る。電力の動的分配の利点のうちの1つは、一般的なEVが、相の数とは無関係に、6Aよりも小さい電流を用いて充電することが可能でないことである。3相充電のためのEVごとの最小電力は、6Aよりも著しく多く、したがって、同時EV充電の数を制限する。必要とされる電流が、本発明による3相システムにおける相のうちの1つ上で利用可能であるとき、EVSEのうちの1つに接続されたEVが、その相に自動的に接続される。
【0025】
本発明は、EVを充電するときの利用可能な電力の最適使用のための3相充電組立体によって規定される。組立体は、各相(L1in、L2in、L3in)のための補助絶縁導体と中性導体(Nin)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルを含む。それは、少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEであって、各々が、前記3相配電ケーブルの補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路をもつ、EVSEをさらに含む。
【0026】
各EVSEは、入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)を含む。
【0027】
各EVSEは、入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への、出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングを有効にするためにリレーマトリックスにおいて構成された複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)をさらに含む。
【0028】
1次リレー(R5、R7、R9)は、好ましくは非ラッチングリレーであり、2次リレー(R6、R8、R10~R16)はラッチングリレーである。
各EVSEは、通信手段を含む制御システムであって、制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することと、他のEVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成された、制御システムをさらに含む。この情報は、各EVSE間で、少なくとも、同じ1相補助回路に接続されたEVSE間で、および/またはインターネットに接続されたデバイスを介して通信され得る。
【0029】
本発明による、利用可能な電力の最適利用を用いて、電気車両、EVを充電するための方法は、いくつかのステップを含む。第1のステップは、各相(L1in、L2in、L3in)のための補助絶縁導体と中性導体(Nin)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルを与えることである。さらに、少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEを与えることであって、各々が、前記幹線3相配電ケーブルの補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路をもつ、与えること。
【0030】
本方法の次のステップは、各EVSEに、入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)を与えることである。さらに、各EVSEに、入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への、出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングを有効にするために、リレーマトリックスにおいて構成された、複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)を与えることと、各EVSEに、通信手段を含む制御システムを与えることであって、制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することと、他のEVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成された、与えること。
【0031】
本発明の方法の最後の有効にするステップは、少なくとも1つのEVSEの出力導体(L1out、L2out、L3out)に少なくとも1つのEVを接続することである。一実施形態では、いくつかのEVが複数のEVSEに接続される。
【0032】
本発明の3相充電組立体は、EVSE設置より前に、専用プラグ/電力点を取り付け、それの品質を保証し、それを登録し、それを関連するRFID暗号化の場合はアクティブ化するための方法をさらに採用する。これは、好ましくは、認定された人員によって実行されるべきであり、その結果は、インターネットアクセスをもつデバイス上にインストールされたコンピュータプログラム、たとえば、モバイルアプリを使用して報告され、インターネット日付、GPS位置特定、設置契約者の名前およびリレー値(たとえば32A、64Aなど)など、情報を含み得る。
【0033】
本発明の一実施形態では、ネットワークシステムは、高いフレキシビリティを保証するために、それぞれ、230Vおよび400Vの相間電圧を有するITネットワークとTNネットワークの両方のために動作する。さらに、230V ITネットワークから400V TNネットワークにネットワークをアップグレードすることが有益であるとしばしば考えられる。同様の方法で、TTネットワークを含む構成も実現可能である。
【0034】
図5は、3相システムの電気線を表す、3相ネットワークシステムの各相導体(L
1in、L
2in、L
3in)と1相または3相電源出口との間に接続された、少なくとも1つの1次リレー(R5、R7、R9)と少なくとも1つの過電流保護器、たとえば、NTCなどのサイリスタとを含む電気回路を用いた本発明の一実施形態を示す。さらに、少なくとも1つのリレー(R4)をもつ導体が、電気線の中性入力導体(Nin)と中性出口(Nout)との間に接続される。この構成は、すべてのタイプの充電器システムが3相システムに接続され得ることを保証する。
【0035】
ネットワークシステムからのユーザ制御されたまたは自動的な接続および切断を有効にするために、リレーをもつ追加電気線が追加され得る。より詳細には、関連する2次リレー(R6、R8、R10~R16)をもつ9つの追加電気線が、
図5に示されているように相導体(L
1in、L
2in、L
3in)に接続される。追加電気線のうちの3つ(R6、R8、R10)が、幹線給電の相導体(L
1in、L
2in、L
3in)の各々から、それらのリレー(R5、R7、R9)を分路する電気線の対応する相導体に接続される。
【0036】
2つの追加電気線(R11~R12)が、相2導体(L2in)から、それらのリレーを分路する、それぞれ、電気線の相1と追加電気線の相1とに接続される。2つの追加電気線(R13~R14)が、相3導体(L3in)から、それらのリレーを分路する、それぞれ、相1電気線と相1追加電気線とに接続される。2つの追加電気線(R15~R16)が、中性導体のリレーを分路する、それぞれ、相2導体(L2in)および相3導体(L3in)から中性導体に接続される。
【0037】
図6は、
図5に関して上記で説明されたような、幹線給電からの負荷の、各相導体(L
1in、L
2in、L
3in)上の電力リレー(R1~R3)によって与えられる3相切断と、1相切断の両方を可能にする回路構成の一例を用いた本発明の別の実施形態を示す。回路構成は、さらに、1相接続または切断中およびその後の負荷分散をサポートする。回路構成は
図5の回路構成と同様であるが、回路は、さらに、すべての接地システム、すなわちTT、TN、およびITをサポートする。ヒューズが、さらに、各入力相導体(L
1in、L
2in、L
3in)上に与えられる。少なくとも1つのリレー(R4)をもつ電気線が、EVSEの中性(Nin)入力導体と中性出口(Nout)との間に接続される。過電流保護器が、少なくとも1つの1次リレー(R5、R7、R9)と直列に接続される。図は、従来の電力線に平行に走る、EVSEと通信するための別個の通信線(PEin、PEout)をも示す。
【0038】
すべての必要なリレー、ならびに過電流保護器など、3相充電組立体の一部でない他の電気的構成要素が、好ましくは、それぞれのEVSEに組み込まれる。上述のように、リレーは、従来の非ラッチングリレーとラッチングリレーとの組合せであり得、後者は、これらのタイプが、たとえば電気インパルスによって所望の位置に設定されると電力を使用しないので、回路構成のマトリックス部分にとって有利である。EVSEユニットは、好ましくは、安全規制の履行により非ラッチングリレーを使用すべきであることに留意されたい。
【0039】
多くの管轄では、EVSEユニットは、電力が利用可能でないときも、電源から迅速に切断することが可能でなければならない。これらの場合、ラッチングリレーはそれらの状態を変更するために電力を必要とするので、非ラッチングリレーが好ましい選択肢である。
【0040】
ラッチングリレーは、通常、設定位置にリレーのスイッチを保持する(1つまたは複数の)内部磁石を有する。ある状態から別の状態に、たとえばオンからオフにラッチングリレーを切り替えるために、短いパルスが必要であるにすぎず、それにより、連続的に電力供給されるコイルを必要としないことによってエネルギーを節約する。いくつかのラッチングリレーは、2つのコイルを有し、設定するために1つと再設定するために1つとを有し、いくつかは、1つのコイルのみを有し、リレーを設定し、再設定するために、電力極性反転に依拠する。ラッチングリレーは、作動された後にそれの状態を維持する。ラッチングリレーは、デフォルト位置を有せず、駆動電流が流れることを停止したとき、それの最後の設定された位置にとどまり、それによりエネルギーを低減する。
【0041】
本発明によれば、3相充電組立体において電気車両を充電するときに最適および動的負荷分配を有効にする1つの主要な要素は、各EVSEと制御ユニットとの間のデータのシームレスなフローを有効にするEVSE中に含まれる通信手段をもつ制御システムである。測定された負荷データに基づいて、EVSEにおける制御システムは、3相電源の各相間の最良の可能な負荷分散が達成されるように、(R5~R16)への1次および2次リレーの接続または切断を制御する。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、3相電力充電組立体は、EVSEの各々中に含まれる制御システム間のデータの外部通信を可能にする外部通信手段をさらに含む。
外部通信は、一実施形態では、少なくとも1つのEVSEの各々中に含まれる制御システムと外部デバイスとの間のデータの通信を可能にする電力線通信(PLC)によって実行され得る。EVSEと外部デバイスとの間の通信は、当分野において知られている方法を使用することによって、ワイヤレスにまたはワイヤによって実行され得る。外部データ処理デバイスは、たとえば関連する1相ヒューズを通して、各EVSEが複数の1相補助回路のうちのどれに接続されるかを識別する事前登録された情報を含んでいることがある。外部データ処理デバイスは、各EVSEの物理的ロケーション、各EVSEを設置する人の識別、および設置の日付のうちの少なくとも1つに関係する情報をさらに含んでいることがある。
【0043】
本発明に従って完全な3相充電組立体を設定するとき、個々のEVSEと制御ユニットとの間の通信に関する以下の詳細が考慮に入れられるべきである。
- EVSEのうちの1つまたは複数は、好ましくは、特に、近くのEVSEが同じサブ回路に位置し、すなわち同じヒューズを共有する場合、近くのEVSEと通信するための手段を含む。
【0044】
- 通信は、たとえば、専用マスタの使用によって、および/またはインターネットを介して、EVSE間でローカルに実行され得る。後者の通信は、最も好ましく考えられ、関連する結合および制御システムを用いたクラウドベース識別を伴い得る。
【0045】
- 通信がインターネットベースである場合、充電組立体は、好ましくは、サブ回路およびそれの関連するヒューズ値に応じてEVSEの位置の各々のためのあらかじめ定義されたデータを含んでいる。このようにして、制御システムは、任意の時間に、組立体の電気的および物理的構成の知識を有し得る。
【0046】
- 起こり得るシステム保守、および/または承認目的のための認定/再認定に鑑みて、各EVSEの厳密な物理的位置を記録すること、ならびにサービス技術者ID、日付などを登録することも有用である。
【0047】
- 充電組立体は、好ましくは、たとえばローカルグリッド供給電力が、低減された量の利用可能な電力を有するとき、またはメインヒューズが過負荷をかけられた場合、オーバーライドする(すなわち電力消費を変更する)可能性を有するべきである。これは、インターネットおよび/またはローカルネットワークを介して、グリッド内でまたはヒューズボックス内でデバイスを監視することによって自動的に行われ得る。監視することは、自動電力消費測定のためのシステム(AMSシステム)など、知られている技術を適用し得る。
【0048】
- 通信は、電力線通信(PLC)、シリアル通信回線(RS485、RS422またはRS232など)、および/またはワイヤレスに、たとえばWiFi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Zig-Bee、Z-waveなどによって実行され得る。
【0049】
本発明の一実施形態では特定のEVSEが、他の通信手段との間のデータの通信を制御するマスタユニットとして動作するように構成される。同じ電力配電ケーブルに接続された他の識別されたEVSEからの、少なくともリレーステータスを含む受信データに基づいて、マスタユニットは、データを処理し、他のEVSEの各々中の制御システムに特定の命令を送る。処理されたデータの結果に基づいて、マスタユニットは、前記EVSEによって電気車両を充電するとき、利用可能な電力の最適使用を決定する。各EVSEにおける制御システムは、命令を受信し、関連する場合、出力コネクタの1つまたは複数の相を入力コネクタにおける任意の相に再ルーティングし、すなわち、1つまたは複数の出力導体(L1out、L2out、L3out)が、EVSE中の前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することによって、EVSEの入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)に接続される。
【0050】
本発明の別の実施形態では、EVSE以外の外部デバイスは、少なくとも1つのEVSEとの間のデータの通信を制御するためのマスタユニットとして動作し得る。
一実施形態では、各EVSEは、3相電力消費および電流負荷を測定するための手段を含み、この情報をそれのリレーステータスおよびIDとともに送信するように構成される。この情報は、マスタユニットに送られ、3相電源の任意の相(L1in、L2in、L3in)への、少なくとも1つのEVSEにおける出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングのための基礎を与える。同じ組立体中に含まれるすべてのEVSEからの電流負荷情報が、マスタユニットに送信され、マスタユニットによって査定され、3相電源の各相からの利用可能な電力の最適な負荷分散および利用のための基礎を与える。
【0051】
本発明の一実施形態では、電流負荷を測定するための手段が、少なくとも1つのEVSEに電力を送出する配電ケーブルに取り付けられ、この情報が、外部通信手段または電力線通信手段中に含まれるマスタユニットから少なくとも1つのEVSEに送信される。
【0052】
この構成は、本発明による3相充電組立体において1つのEVSEのみが使用されるときに好都合である。これは、3相幹線電源を有する個人宅設置における場合であり得る。家屋中の異なる電気器具が電源の異なる相に接続され、1日のうちの異なる時間において異なるように相に負荷をかけ得る。したがって、EVを充電するための特定の相のために利用可能な電力は、充電が行われるべきであるときに制限され得る。EVが、電力が特定の相からすでに引き出されたことを知らずにその相に接続された場合、メインヒューズが飛び得る。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、各相中で流れる瞬時電流を測定するための、メインヒューズの後に設置された電流計が、相のうちのどれがそのときに最良の容量を有するかに関する情報を与える。これはAMSメーターによって実行され得る。測定データは、EVSEにおける制御システムに送信され、どの相に接続すべきかについての基礎を与える。データは、電力線通信によってまたはワイヤレスにEVSEに送信され得る。これは、EVSEが最良の容量を有する相に常に接続されることを保証する動的プロセスであり得る。
【0054】
これは、たとえば、電気車両を充電するときの利用可能な電力の最適な使用を与えるために、たとえば個人家屋、キャビン、または小規模会社において、1つのEVSEのみが設置される、本発明による設置の一例である。
【0055】
ただし、本発明の最大限の可能性は、いくつかのEVSEが本発明による設置に含まれるときに実現される。
充電のために利用可能な電力、3相電源の異なる相の電流負荷、充電が実行され得る時間フレーム、充電されているEVの電力消費などを含む、すべてのデータが、各EVSEがどのように制御されるか、すなわち、EVSEがいつ充電のために使用され得るか、どれくらいの電力が利用可能であるか、どの相に接続すべきかなどについての基礎を作るエネルギー分配アルゴリズムにおいて定義される。
【0056】
上記で説明された3相充電システムは、好ましくは、利用可能な情報、EVを充電すべきか否か、ならびにたとえば出発の前に、どのEVが加熱および除霜のための追加の電力を受けるべきか、および/またはこの特定の目的に必要とされる利用可能な電力の分配および優先度付けを与えるべきかに基づいて、充電の自動処理を可能にし得る。
【0057】
特に、多くのEVの充電中に最大電力がネットワークから引き出されるとき、タイムシェアリングプロトコルを使用することが有利であり得る。これらのプロトコルは、接続されたEVの数が、EVごとの最小許容充電電力に比例する考えられるEVの最大数を超える場合、自動的にアクティブ化され得る。
【0058】
充電より前におよび/または充電中に抵抗性電流と無効電流の両方を測定することによって、3相充電組立体は、充電を開始するより前に、EVが、通常最小充電電流を超える充電電流を有するべきか否かの自動推定を可能にする。
【0059】
EVの「フィンガープリント」が、以下のうちの少なくとも1つに基づいて登録され得る。
- リレーの影響の前の時間、
- 充電自体の開始の前の時間、充電電力が達成されるまでのランプアップ時間、
- 電力レベルの変化中の(たとえばEVへのPWM信号の変化からの)応答時間、
- 異なる充電電力における無効電流、および
- 1相充電における、および関連する場合は3相充電における無効電流の差。
【0060】
「フィンガープリント」が登録されると、さらに、接続されたEVのタイプおよびモデルを査定し、さらには決定することが可能であり、したがって、充電進行の技術的調整を可能にする。
【0061】
ヒューズ値に従ってローカルに、またはローカルAMSゲージからの値に調整されてのいずれかでの、あるいはそれらの組合せでの、利用可能な電力に応じた電力消費の監視が、クラウドストレージを使用する解決策によって可能である。
【0062】
3相充電組立体はまた、好ましくは、手動または自動クラウドストレージサービスによって、EVSEの一部または全部の間での充電電力の減少または増加を可能にする。充電電力のそのような調整は、EVSEのサプライヤ、電気プラント、建築物の管理人など、任意の当事者によって実行され得る。調整は、グリッドに沿ってさらに進んだところ、たとえば変電所などにおいて、過充電を回避し、および/または建築物、駐車場などに供給されるネットワーク充電または最大電力に関して調節する、効率的な方法を表す。
【0063】
本発明によれば、負荷分散を与えるための必要とされる安全機能と位相分配の両方が十分に実現される。
本発明によるEVSEを与えられた追加の充電ステーションが、いかなる必要とされる変更もなしに既存の充電ステーションの3相電源に追加され、システムのコスト効率を高め、システムをフレキシブルにし得る。いくつかの電気車両を充電するとき、利用可能な電力の最適使用をセットアップおよび維持するために、人間の対話が必要とされない。実際には、充電されるために異なる電力および時間期間を必要とする異なる車両が、3相配電ケーブル/ラインに接続され、それから切断されることになる。本発明の充電組立体は、自動的におよびシームレスに、本組立体中に含まれる各EVSEにおける制御システムに、特定の相に接続するかまたはそれに切り替えるように指示し、それがその相からどれくらいの電力を引き得るかなどを指示する。これは、3相電源の異なる相上の電流負荷、時刻、そのときに複数のEVSEに与えられる割り振られた電力などの査定に基づいて連続的に実行される。
【0064】
上記の説明では、本発明による組立体の様々な態様が、例示的な実施形態を参照しながら説明された。説明の目的で、装置および装置の働きの完全な理解を与えるために、具体的な数、システムおよび構成が記載された。しかしながら、この説明は、限定的な意味に解釈されるものではない。例示的な実施形態の様々な修正および変形、ならびに開示された主題が関係する当業者に明らかである装置の他の実施形態が、本発明の範囲内にあると見なされる。
[形態1]
電気車両、EVを充電するときの利用可能な電力の最適使用のための3相充電組立体であって、
- 各相(L1、L2、L3)のための補助絶縁導体と中性導体(N)とによって電力を供給する3相配電ケーブルと、
- 少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEであって、各々が、前記3相配電ケーブルの前記補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路を含む、EVSEと、
- 前記少なくとも1つのEVSEとの間のデータの通信を制御するマスタユニットと
を含み、
各EVSEは、
- 前記入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための前記導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)と、
- 前記入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への1相負荷の再ルーティングを有効にするためにリレーマトリックスにおいて構成された複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)と、
- 通信手段を含む制御システムであって、前記制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々の電力を接続または切断することと、他のEVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成され、これが、前記マスタユニットによって制御される、制御システムと
をさらに含むことを特徴とする、3相充電組立体。
[形態2]
前記2次リレー(R6、R8、R10)のうちの少なくとも1つが、前記1次リレー(R5、R7、R9)のうちの少なくとも1つと並列に接続され、2つの2次リレー(R11~R12)が、相2導体(L2in)から、それらのリレーを分路する、それぞれ、前記配電ケーブル線の相1と追加電気線の相1とに接続され、2つの追加電気線(R13~R14)が、相3導体(L3in)から、それらのリレーを分路する、それぞれ、相1電気線と相1追加電気線とに接続され、2つの追加電気線(R15~R16)が、それぞれ、相2導体(L2in)と相3導体(L3in)とから前記中性導体に接続されることを特徴とする、形態1に記載の3相充電組立体。
[形態3]
各入力相導体(L1in、L2in、L3in)が電力リレー(R1~R3)を与えられることを特徴とする、形態2に記載の3相充電組立体。
[形態4]
各入力相導体(L1in、L2in、L3in)上のヒューズをさらに含むことを特徴とする、形態1から3のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態5]
少なくとも1つのリレー(R4)をもつ電気線が、前記EVSEの中性(Nin)入力導体と中性出口(Nout)との間に接続されることを特徴とする、形態1から4のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態6]
前記1次リレー(R5、R7、R9)が非ラッチングリレーであり、前記2次リレー(R6、R8、R10~R16)がラッチングリレーであることを特徴とする、形態1から5のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態7]
少なくとも1つの過電流保護器が、少なくとも1つの1次リレー(R5、R7、R9)と直列に接続されることを特徴とする、形態1から6のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態8]
前記充電組立体中に含まれる前記少なくとも1つのEVSE中に含まれる前記制御システム間のデータの通信を制御するマスタコントローラとして動作する外部通信手段をさらに含むことを特徴とする、形態1から7のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態9]
各EVSEに含まれる前記制御システム間のデータの通信を可能にする電力線通信システムをさらに含むことを特徴とする、形態1から7のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態10]
EVSEが、EVSEまたは同じ3相充電組立体中に含まれる他の通信手段との間のデータの前記通信を制御するマスタユニットを含むことを特徴とする、形態1から9のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態11]
前記外部通信手段または前記電力線通信システムが、前記少なくとも1つのEVSEとの間のデータの通信を制御するマスタユニットとして動作するように構成されたことを特徴とする、形態8または9に記載の3相充電組立体。
[形態12]
前記マスタユニットが、前記同じ3相充電組立体中に含まれるEVSEの前記入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への、前記出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の前記再ルーティングを制御するように構成されたことを特徴とする、形態10または11に記載の3相充電組立体。
[形態13]
前記3相配電ケーブルの前記電気線の各相上で電流負荷を測定するための手段を含み、この情報が、利用可能な電力の最適な負荷分散および利用のために、3相電源の任意の相(L1in、L2in、L3in)への、前記少なくとも1つのEVSE中の前記出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングのための基礎を形成することを特徴とする、形態1から12のいずれか一項に記載の3相充電組立体。
[形態14]
電流負荷を測定するための前記手段が、前記少なくとも1つのEVSEに電力を送出する前記3相配電ケーブルに取り付けられ、この情報が、外部通信手段または電力線通信手段中に含まれるマスタユニットから前記少なくとも1つのEVSEに送信されることを特徴とする、形態13に記載の3相充電組立体。
[形態15]
前記少なくとも1つのEVSEが、その電気入力線(L1in、L2in、L3in)の各相上の電流負荷を測定するための手段を含むことを特徴とする、形態13に記載の3相充電組立体。
[形態16]
前記マスタユニットが、EVSEに電力を与える同じ配電ケーブルに接続された、および前記同じAC幹線ケーブルから電力を引き出す、他のデバイスから負荷データを受信するように構成され、前記負荷データが、各相(L1in、L2in、L3in)から利用可能な最大充電電力を定義することを特徴とする、形態10または11に記載の3相充電組立体。
[形態17]
利用可能な電力の最適利用を用いて、電気車両、EVを充電するための方法であって、
- 各相(L1、L2、L3)のための補助絶縁導体と中性導体(N)とによって、電力を供給する3相配電ケーブルを与えるステップと、
- 少なくとも1つの電気車両給電機器、EVSEを与えるステップであって、各々が、前記3相配電ケーブルの前記補助絶縁導体のうちの1つまたは複数に電気的に接続された入力(L1in、L2in、L3in)と、充電のための電力を与えるために少なくとも1つのEVに電気的に接続可能な出力(L1out、L2out、L3out)とをもつ内部回路を含む、与えるステップと
を含み、
前記方法は、
- 各EVSEに、前記入力における各相(L1in、L2in、L3in)のための前記導体によって与えられる電力を接続または切断するように構成された複数の1次リレー(R5、R7、R9)を与えるステップと、
- 各EVSEに、前記入力における任意の相(L1in、L2in、L3in)への、前記出力導体(L1out、L2out、L3out)の各々の再ルーティングを有効にするためにリレーマトリックスにおいて構成された複数の2次リレー(R6、R8、R10~R16)を与えるステップと、
- 各EVSEに、通信手段を含む制御システムを与えるステップであって、前記制御システムが、前記1次および2次リレー(R5~R16)の各々を接続または切断することと、前記EVSEとの間でリレーステータス情報を送信および受信することとを行うように構成された、与えるステップと、
- 前記複数のEVSEのうちの1つの前記出力導体(L1out、L2out、L3out)に少なくとも1つのEVを接続するステップと
をさらに含むことを特徴とする、方法。
[形態18]
前記方法が、
- 前記3相配電ケーブルに、その導体の各相(L1、L2、L3)上の電流負荷を測定するための手段を与えるステップと、
- 前記少なくとも1つのEVSE中に含まれる前記制御システムのためのルーティング決定基礎として前記少なくとも1つのEVSEに電流負荷データを送信するステップと
をさらに含むことを特徴とする、形態17に記載の方法。
[形態19]
前記方法が、
- 前記少なくとも1つのEVSEに、その電気入力線(L1in、L2in、L3in)の各相上の電流負荷を測定するための手段を与えるステップと、
- 前記少なくとも1つのEVSE中に含まれる前記制御システムのためのルーティング決定基礎として電流負荷データを与えるステップと
をさらに含むことを特徴とする、形態17に記載の方法。