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特許7030704二重特異性シグナル伝達物質およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】二重特異性シグナル伝達物質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20220228BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 14/46 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/115 20100101ALI20220228BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 14/56 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 14/545 20060101ALI20220228BHJP
   C07K 14/525 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/25 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/28 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/21 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220228BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20220228BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220228BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20220228BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K16/30
C07K16/28
C07K14/46
C12N15/115 Z
C07K16/46
C07K14/56
C07K14/545
C07K14/525
C12N15/25
C12N15/28
C12N15/21
C12N15/13
C12N15/10 200Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K47/62
A61K47/68
A61K47/65
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 G
A61K39/395 U
A61K38/16
A61K38/20
A61K38/21
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/04
A61P37/06
A61P9/00
A61P17/02
A61P9/10
A61P25/28
A61P3/00
A61P13/10
A61P19/08
A61P25/00
A61P15/00
A61P1/04
A61P1/00
A61P1/02
A61P13/12
A61P27/02
A61P1/16
A61P1/18
A61P13/08
A61P5/14
A61P35/02
A61P37/02
A61P29/00 101
A61P33/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018541357
(86)(22)【出願日】2017-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2017052550
(87)【国際公開番号】W WO2017134305
(87)【国際公開日】2017-08-10
【審査請求日】2020-02-06
(31)【優先権主張番号】62/291,769
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,772
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,774
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,776
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,779
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/335,880
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/335,965
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/335,968
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/335,979
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/336,030
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/353,607
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/411,805
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518268352
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ ビーブイ
(73)【特許権者】
【識別番号】518275408
【氏名又は名称】ブイアイビー ブイゼットダブリュー
(73)【特許権者】
【識別番号】516003702
【氏名又は名称】ユニバーシテイト ヘント
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】タベルニエル,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン リント,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】カウウェルズ,アンジェ
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515453(JP,A)
【文献】特表2013-503184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0274658(US,A1)
【文献】国際公開第2016/065409(WO,A1)
【文献】Nature Communications,2014年01月08日,Vol.5,Article number: 3016,DOI: 10.1038/ncomms4016
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/WPIDS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号336と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列であって位置R149に変異を有するアミノ酸配列を含む変異型ヒトインターフェロンα2(IFNα2)である、修飾されたシグナル伝達物質と、
(b)目的の第1の抗原または受容体に特異的に結合する単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)またはFabから選択される認識ドメインを含む、第1の標的化部分と、
(c)目的の第2の抗原または受容体に特異的に結合する単一ドメイン抗体(sdAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)またはFabから選択される認識ドメインを含む、第2の標的化部分と、
を含むキメラタンパク質であって、
前記変異型ヒトIFNα2は、野生型ヒトIFNα2と比較して、その受容体に対する親和性もしくは活性が低下しており、前記変異型ヒトIFNα2の、その受容体に対する親和性もしくは活性の低下は、前記標的化部分の1つ以上の連結によって回復可能であり、
前記第1の標的化部分は、前記第2の標的化部分に連結されており、前記第2の標的化部分は、前記修飾されたシグナル伝達物質に連結されている
キメラタンパク質。
【請求項2】
前記単一ドメイン抗体が、組換えの重鎖のみの抗体(VHH)、またはヒト化VHHである、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
前記認識ドメインが、(a)目的の前記抗原または受容体を機能的にモジュレートする、あるいは(b)目的の前記抗原または受容体を機能的にモジュレートしない、請求項1または2に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
目的の第1または第2の抗原または受容体が、Clec9A(C-type lectin domain family 9 member A)、PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)、CD8(Cluster of Differentiation 8)、CD3(Cluster of Differentiation 3)、CD20(Cluster of Differentiation 20)、Sirp1α(Signal Regulatory Protein Alpha)、またはDNAM(DNAX Accessory Molecule)である、請求項1~3のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
目的の第1の抗原または受容体がPD-L1であり、目的の第2の受容体がCD20、Clec9A、CD8、Sirp1α、またはDNAMである、請求項4に記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
前記ヒトIFNα2が、位置L153またはM148に1つ以上の変異をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
目的の第1の抗原または受容体がClec9Aであり、目的の第2の抗原または受容体がCD20である、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
目的の第1の抗原または受容体がPD-L1であり、目的の第2の抗原または受容体がClec9Aである、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項9】
目的の第1の抗原または受容体がCD20であり、目的の第2の抗原または受容体がCD3である、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
前記変異がR149Aである、請求項に記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
前記変異がM148Aである、請求項6に記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
前記変異がL153Aである、請求項6に記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
癌の処置のための医薬の調製のための、請求項1~12のいずれか1項に記載のキメラタンパク質の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月5日出願の米国特許仮出願第62/291,769号;2016年5月13日出願の同第62/335,880号;2016年10月24日出願の同第62/411,805号;2016年2月5日出願の同第62/291,772号;2016年2月5日出願の同第62/291,774号;2016年5月13日出願の同第62/335,965号;2016年2月5日出願の同第62/291,776号;2016年5月13日出願の同第62/335,968号;2016年5月13日出願の同第62/335,979号;2016年5月13日出願の同第62/336,030号;2016年6月23日出願の同第62/353,607号;および2016年2月5日出願の同第62/291,779号の利益を主張するものであり、それら全出願の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
分野
本発明は、一部として、有益な効果を提供するために、エフェクター細胞を動員してシグナル伝達を送達することが可能なキメラタンパク質に関する。
【0003】
電子メールで提出されたテキストファイルの記載
本明細書と共に電子メールで提出されたテキストファイルの内容は、全体として参照により本明細書に組み入れられる:「配列表のコンピュータ解読可能なフォーマットのコピー(A computer readable format copy of the Sequence Listing)」(ファイル名:ORN-009PC_Sequence_listing;記録日:2017年2月3日;ファイルサイズ:386KB)。
【背景技術】
【0004】
背景
癌は、世界全体で1年あたりほぼ700万名の死亡原因とされ、今日までに、医学の大規模な発展にもかかわらず大部分が処置不能であることが立証されている、地球全体の健康問題である。悔しいことに癌は、免疫検出および破壊を逃れ、それにより疾患に対する身体の主な防御をかわす戦略を開発するようである。
【0005】
近年の免疫療法の多くは、身体の免疫系を癌に再度方向づけるよう開発されている。免疫療法は、化学療法および放射線療法などの他の処置モダリティーに欠如する細胞特異性の利点を提供する。そのため、免疫に基づく治療の有効性を増強するための方法は、臨床的に有益であり得る。例えば、共刺激および共阻害分子は、T細胞免疫応答の調節において中心的役割を担う。しかし、例えばYERVOY、KEYTRUDAおよびOPDIVOの認可を導いた臨床試験を含む、これらの共刺激および共阻害分子を標的とする薬剤への印象的な患者の応答にもかかわらず、チェックポイント阻害療法は、依然として患者の圧倒的多数で不能である。
【0006】
さらに、免疫療法を含むほとんどの癌処置は、様々な薬剤の複雑なレジメンを必要とし、薬剤のそれぞれは典型的に、複雑なパターンの副作用をもたらし、それが処置のための患者の治療濃度域を狭め、かつ患者を他の疾患により罹り易くする。
【0007】
それゆえ、免疫系を多機能的様式で効果的にモジュレートし得るものを含む、改善された免疫療法剤が、依然として求められている。
【発明の概要】
【0008】
概要
幾つかの態様において、本発明は、様々な標的細胞法に用途を見出すキメラタンパク質に関する。幾つかの態様において、本発明は、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメイン(例えば、非限定的に、単一ドメイン抗体を含む、様々な抗体形式などの抗原認識ドメイン)を有する2つ以上の標的部分を有するキメラタンパク質に関する。キメラタンパク質は、修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質(例えば、免疫調整剤)をさらに含み、修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質は、非修飾の(例えば、野生型の)シグナル伝達物質に比較して、改善された安全性を提供する1つまたは複数の修飾(例えば、突然変異)を有する。標的部分および修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質は、場合により1つまたは複数のリンカーによって連結される。
【0009】
様々な実施形態において、標的部分は、1つまたは複数の免疫細胞上で見出されるものを含む、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有し、免疫細胞としては、T細胞、細胞障害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、好中球、B細胞、および樹状細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合し、より多くの免疫細胞の1つを効果的に動員する。幾つかの実施形態において、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、1つまたは複数の腫瘍細胞上で見出され得る。これらの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫細胞、例えば腫瘍細胞を殺傷および/または抑制し得る免疫細胞を、作用の部位(非限定的例として、腫瘍微細環境など)に動員し得る。
【0010】
さらに、本発明のキメラタンパク質は、有益な効果、例えば抗腫瘍効果、の可能性を高める細胞を直接的または間接的に動員し得るだけでなく、シグナル伝達物質を介して(例えば、インターフェロン、インターロイキン、TNF、EPOなどの1つまたは複数を介して)細胞に重要なシグナル伝達を送達し得る。さらに、そのようなシグナル伝達物質は、シグナル伝達が制御され改善された安全性を提供するように(例えば、全身毒性を代償としないように)、変異され得る。さらに、様々な実施形態において、本発明は、シグナル伝達物質への様々な突然変異を提供し、例えば治療作用の部位(例えば、治療受容体)で活性を加減し、非治療受容体ではオフターゲット結合を減少または排除することもできる。即ち、幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、低減された受容体無差別性(receptor promiscuity)および制御されたオンターゲット作用を有する。
【0011】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、標的部分により標的にされる1つまたは複数の細胞(例えば、疾患細胞および/またはエフェクター細胞などの、動員される細胞)をモジュレートし得る。例えば、シグナル伝達物質は、標的細胞がシグナル伝達物質に対する受容体を発現するか否かに応じて、標的細胞の1つまたは両方をモジュレートし得る(かつ標的細胞は、エフェクター細胞および/または疾患細胞であり得る)。
【0012】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、癌、感染、免疫障害、貧血、自己免疫性疾患、心臓血管疾患、創傷治癒、虚血関連疾患、神経変性疾患、代謝性疾患ならびに他の多くの疾患および障害などの、様々な疾患または障害の処置に用途を見出し、本発明は、様々な処置方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パネルAでは、C57BL/6マウスに、B16mCD20cl1黒色腫細胞6×10個(50μl)を皮下接種したことを示す。カリパスによる測定で腫瘍が±10mmのサイズに達したら、抗PD-L1 VHH(120μl)、またはヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体への抗PD-L1 VHHの融合体120μgによる病変周囲の処置を開始した。曲線は、処置タイプを同定した図の説明と同じ順序(上から下へ)である(例えば、PBSは、上の曲線であり、抗PD-L1は、中央の曲線であり、下の曲線は、ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体への抗PD-L1 VHHの融合体である)。パネルB:C57BL/6同腹仔に、B16mCD20cl1黒色腫細胞6×10個(50μl)を皮下接種した。カリパスによる測定で腫瘍が±10mmのサイズに達したら、示された構築物(100μl)30μgでの病変周囲の処置を開始した。黒い矢印は、処置計画を示す。曲線は、処置タイプを同定した図の説明と同じ順序(上から下へ)である(例えば、上の曲線は、PBSであり、中央の曲線は、ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体への抗CD20 VHHの融合体であり、下の曲線は、二重特異性構築物:抗CD20 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体-抗PD-L1 VHHである)。
図2】C57BL/6マウスに、B16mCD20cl1黒色腫細胞6×10個(50μl)を皮下接種した実験を示す。カリパスによる測定で腫瘍が±10mmのサイズに達したら、指示されたキメラ(100μl)30μgでの病変周辺の処置を開始した。上の矢印は、処置計画を示す。下の矢印は、抗PD-L1 VHH(120μl)120μgの病変周囲の注射を示す。曲線は、処置タイプを同定した図の説明と同じ順序(上から下へ)である。「PD-L1 Q124R」は、ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体への抗PD-L1 VHHの融合体であり;「Clec9A-Q124R」は、ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体への抗Clec9A VHHの融合体であり、「Clec9A-Q124R-PD-L1」は、二重特異性構築物:抗Clec9A VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体-抗PD-L1 VHHである。
図3】二重特異性mCD20-Q124R-PD-L1キメラの様々な安全性パラメータを示す。パネルB~Gにおいて、ヒストグラムの順序は、左から右に向かって、PBS、ヒトIFNアルファ Q124R突然変異体への抗CD20 VHHの融合体である「CD20-Q124R」、および抗CD20 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体-抗PD-L1 VHHの二重特異性物質(「CD20-Q124R-PD-L1」)である。
図4】二重特異性Clec9A-Q124R-PD-L1キメラの様々な安全性パラメータを示す。パネルB~Gにおいて、ヒストグラムの順序は、左から右に向かって、PBS、抗PD-L1、ヒトIFNアルファ Q124R突然変異体への抗Clec9A VHHの融合体である「Clec9A-Q124R」、抗Clec9A VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体-抗PD-L1 VHHの二重特異性物質(「Clec9A-Q124R-PD-L1」)、およびヒトIFNアルファ Q124R突然変異体への抗PD-L1 VHHの融合体「PD-L1-Q124R」である。
図5】C57BL/6マウスにB16黒色腫細胞6×10個(50μl)を皮下接種した、マウスの腫瘍成長試験を示す。カリパスによる測定で腫瘍が±10mmのサイズに達したら、指示された処置剤(100μl)30μgでの病変周辺の処置を開始した。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図6】C57BL/6マウスにB16黒色腫細胞を皮下接種した、マウスの腫瘍成長試験を示す。カリパスによる測定で腫瘍が特定のサイズに達したら、指示された処置剤での病変周辺の処置を開始した。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図7】交差提示樹状細胞が欠如するBatf3ノックアウトマウスにB16黒色腫細胞を皮下接種した、マウスの腫瘍成長試験を示す。カリパスによる測定で腫瘍が特定のサイズに達したら、指示された処置剤での病変周辺の処置を開始した。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図8】パネルA~Cは、マウスに4T1乳房腫瘍細胞を接種した、マウスの腫瘍成長試験を示す。マウスは、指示された薬剤で処置された。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図9】マウスにB16黒色腫細胞(パネルA)または4T1乳房腫瘍細胞(パネルBおよびC)のいずれかを接種した、マウス腫瘍成長試験を示す。マウスはその後、ドキソルビシンを伴って、または伴わずに、指示された薬剤で処置された。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図10】マウスに4T1乳房腫瘍細胞を接種した、マウス腫瘍成長試験を示す。図9のパネルBの腫瘍を含まないマウスに、4T1細胞10個を再チャレンジし、腫瘍の成長をモニタリングした。グラフは、指示された時間にわたる腫瘍サイズの発展を示す。
図11】実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いた二重特異性キメラの有効性を示す。パネルAは、実験計画の略図を示す。パネルBは、100IUの指示された薬剤で処置されたマウスの臨床スコアを示す。パネルCは、1000IUの指示された薬剤で処置されたマウスの臨床スコアを示す。パネルDは、Clec9A-CD20-hIFNa2-Q124R二重特異性キメラが安全でありリンパ球減少症を誘発しなかったことを示す。ヒストグラムのバーは、左から右に向かって、PBS、修飾されたヒトIFNアルファ Q124Rへの抗Clec9Aの一重特異性融合体、修飾されたヒトIFNアルファ Q124Rへの抗mCD20の一重特異性融合体、修飾されたヒトIFNアルファ Q124Rへの抗Bcll10の一重特異性融合体、野生型IFN、修飾されたヒトIFNアルファ Q124Rへの抗Clec9Aの一重特異性融合体と修飾されたヒトIFNアルファ Q124Rへの抗mCD20の一重特異性融合体との組み合わせ、Clec9A-hIFNa2-Q124R-CD20二重特異性キメラ、およびClec9A-CD20-hIFNa2-Q124R二重特異性キメラでの処置を表す。パネルEは、100IUおよび1000IU投与量でClec9A-hIFNa2-Q124R-CD20二重特異性キメラの有効性を比較する。パネルFは、100IUおよび1000IU投与量でClec9A-CD20-hIFNa2-Q124R二重特異性キメラの有効性を比較する。
図12】5000IU投与量でのClec9A-CD20-hIFNa2-Q124R二重特異性キメラの有効性を示す。パネルAは、臨床スコアに及ぼす二重特異性キメラの影響を示す。パネルBは、重量に及ぼす二重特異性キメラの影響を示す。パネルCは、罹病率および発病に及ぼす二重特異性キメラの影響を示す。
図13】抗腫瘍免疫の誘導における2つの主要臓器:腫瘍流入リンパ節(パネルAおよびB)および脾臓(パネルCおよびD)の両方における腫瘍抗原特異性CD8 T細胞増殖および活性化の評価を示す。B16-OVA担持マウスに、PBS、抗Clec9A VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124Rの二重特異性キメラ、またはドキソルビシンと組み合わせた同じ二重特異性キメラを、B16-OVA腫瘍細胞上に存在するモデル抗原オボアルブミン(OVA)を認識するCD8 TCRを含むCFSE標識CD8 OT-I細胞の養子移入の1日後に1回注射した。CFSE標識CD8 OT-I細胞の増殖および活性化を、4日後にフローサイトメトリーにより評価し、PBSの病変周囲への注射に比較して、抗Clec9A VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124Rの二重特異性キメラ、またはドキソルビシンと組み合わせた同じ二重特異性キメラを受けたマウスでの、増殖した細胞の増殖および活性化状態の増進を示す(パネルAおよびC)。データは、少なくとも1回の分裂を受けたOT-I CD8細胞の割合%を示す。1つの代表的なフローサイトメトリープロファイルが含まれる。加えて、パネルBおよびDに示される通り、CD44およびCD62L発現のフローサイトメトリー分析をCD8 CFSE T細胞で実施し、単独でまたはドキソルビシンとの組み合わせのいずれかで抗Clec9A VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124Rの二重特異性キメラの送達による活性化されたメモリーT細胞表現型を示す。ダネット多重比較検定を含む一元配置分散分析によるPBS処置動物との比較でP<0.05、**P<0.01、***P<0.001および****P<0.0001。
図14】100ng/mlキメラで刺激し(または刺激しないまま)、phospho STAT1について染色されたB16細胞を示す。データを平均蛍光強度としてプロットする。分析されたキメラは、抗Sirp1α VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R、抗DNAM VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R、および修飾されたヒトIFNアルファQ124Rへの抗Bcll10 VHHの一重特異性融合体(非特異的対照)である。
図15】パネルA、BおよびCにおいて、一重特異性キメラ(抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R149A)のヒトCD8標的化を示す。刺激されたPBMCのpSTAT1染色に対比させたCD8のシマウマ状のプロットを、パネルAに示す。パネルBおよびC:CD8陽性(パネルB)またはCD8陰性(パネルC)細胞のpSTAT1染色の平均蛍光強度(MFI)をプロットする。図15は、パネルD、EおよびFにおいて、二重キメラ(抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A)のヒトCD8標的化を示す。
図16】MDA-MB-321細胞をキメラの系列希釈で刺激して、phospho STAT1について染色した実験を示す。データは、平均蛍光強度(MFI)としてプロットされる。試験されたキメラは、抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A;抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120R;抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A;抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120R;および抗ヒトBcl10 VHH/ヒトIFN R149Aであった。参考までに、これは、X軸上の4ng/mlポイントで観察する場合の、上から下へ、図16での構築物の順である。
図17】Daudi、JurkatおよびWish細胞を、系列希釈されたscFvキメラで刺激して、phospho STAT1について染色した。データを、平均蛍光強度(MFI)としてプロットする。試験されたキメラは、抗ヒトCD20 scFv/抗ヒトCD3 scFv/IFN R149Aであった。X軸上の1000ポイントでグラフを観察する場合、曲線の順序は、Jurkat、Daudi、およびWish細胞である。
図18】ヒト化マウス中で成長したヒト腫瘍(RL)に対する抗ヒトClec9a VHH/抗ヒトPDL1 VHH/ヒトIFN-R149A二重特異性キメラの抗腫瘍効果を示す。X軸上の18日目を参照すると、試験された構築物は、上から下に向かって、PBS(対照);抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラ;および抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラ+FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)であった。
図19】ヒト樹状細胞pSTAT1シグナル伝達アッセイを示す。試験されたキメラは、抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149Aおよび抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120Rであった。2つの用量:100ng/mlおよび500ng/mlの薬剤を試験した。PBSは対照であり、データをpSTAT1樹状細胞の割合%の倍率変化として表す(データは、3データからなるデータセットの平均である)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な記載
本発明は、一部として、治療的に有益な突然変異を担持するシグナル伝達物質を有する二重特異性キメラタンパク質が有益な治療特性および低減された副作用を提供する、という驚くべき発見に基づく。様々な実施形態において、これらのキメラタンパク質は、二重標的部分を介して適当な細胞(例えば、免疫細胞)を治療作用が必要な部位(例えば、腫瘍細胞)に動員することができ、加えて、治療性シグナルを実行する1つまたは複数の重要なシグナルを送達できる(例えば、1つまたは複数の修飾されたシグナル伝達物質を介して)。本発明は、キメラタンパク質を含む医薬組成物、および様々な疾患の処置におけるそれらの使用を提供する。本発明のキメラタンパク質および医薬組成物の投与は、野生型可溶性物質に比較して有意に低減された副作用を実現する。
【0015】
キメラタンパク質
様々な実施形態において、本発明は、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有し、場合により関連の細胞を直接的または間接的に動員し、そして/または動員された細胞の機能をモジュレートする2つ以上の標的部分と、最小限の副作用(例えば、特に、最小限のサイトカインストーム様の影響、インフルエンザ様症状、自殺念慮、オフターゲット副作用)を有し医薬的使用に適したシグナル伝達物質にする1つまたは複数の突然変異を担持する修飾されたシグナル伝達物質と、を有する二重特異性または多機能性キメラタンパク質に関する。
【0016】
様々な実施形態において、キメラタンパク質は、特徴のうち特に、例えば標的部分を介して、1種または複数のエフェクター細胞を疾患細胞に直接的または間接的に動員し、さらにシグナルをエフェクター細胞に送達して、疾患細胞を治療に関連する様式でモジュレートする。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、特徴のうち特に、例えば標的部分を介して、1種または複数のエフェクター細胞を疾患細胞に直接的または間接的に動員し、さらにシグナルを疾患細胞に送達して、エフェクター細胞を治療に関連する様式でモジュレートする。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、特徴のうち特に、例えば標的部分を介して、1種または複数のエフェクター細胞を疾患細胞に直接的または間接的に動員し、さらにシグナルをエフェクター細胞に送達して、エフェクター細胞を治療に関連する様式でモジュレートする。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、特徴のうち特に、例えば標的部分を介して、1種または複数のエフェクター細胞を疾患細胞に直接的または間接的に動員し、さらにシグナルを疾患細胞に送達して、疾患細胞を治療に関連する様式でモジュレートする。幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、エフェクター細胞および/または疾患細胞に影響を及ぼす。
【0017】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、医学的に使用される時に、少なくとも2つの治療上の利益を提供する。例えば、本発明のキメラタンパク質は、適当な細胞を、必要とされる治療の部位に(非限定的例として、免疫エフェクター細胞を腫瘍、例えば腫瘍微細環境に)効果的に動員し、1つまたは複数のシグナルを細胞、例えば免疫エフェクター細胞および/または腫瘍細胞、に送達して、癌の減少または排除効果を促進する(例えば、シグナル伝達物質からの免疫細胞刺激を提供する、標的ドメインを介する免疫共刺激シグナルを提供する、標的ドメインを介する免疫共刺激シグナルの減少もしくはサイレンシングを提供するなど)。したがって本明細書に記載される通り、本発明のキメラタンパク質は、非限定的に癌の処置を含む、免疫系を介する疾患の効果的処置のための治療的に関連する選択の基盤を提供する。
【0018】
さらに、本発明のキメラタンパク質は、様々な実施形態において、薬力学的および薬物動態的性質を有し、それにより治療における使用に特に適する。例えば、より小さな抗体に基づく形式が標的化に用いられる実施形態(本明細書の他の箇所に記載)を含む、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腎臓排出の回避を可能にする分子量を有し、低用量での治療効果を可能にする(例えば、腎臓を介する治療薬の損失なしに)。例えば、本発明のキメラタンパク質は、様々な実施形態において、約50kDa、または約60kDa、または約70kDa、または約80kDa、または約90kDa、または約100kDaの分子量を有するように操作される。様々な実施形態において、本発明の構築物は、外部からの半減期延長方法を必要としないように腎臓濾過を逃れる。
【0019】
様々な実施形態において、各キメラタンパク質のそれぞれは別の薬剤とコンジュゲートおよび/または融合されて、半減期を延長させ得る、または他の方法で薬力学的および薬物動態的性質を改善し得る。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどの1つまたは複数と融合またはコンジュゲートされ得る。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、抗体またはFcフラグメントなどの抗体フラグメントと融合またはコンジュゲートされ得る。例えば、キメラタンパク質は、ヒト免疫グロブリン(Ig)GのFcドメインのN-末端またはC-末端のいずれかに融合され得る。様々な実施形態において、各キメラタンパク質のそれぞれは、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるBioDrugs(2015)29:215-239に記載される物質の1つまたは複数に融合される。
【0020】
本明細書に記載される通り、本発明のキメラタンパク質は、複数の修飾、例えば突然変異の1つにより、改善された安全性を有し得る。様々な実施形態において、改善された安全性は、本発明のキメラタンパク質がより低い毒性(例えば、全身毒性および/または組織/臓器関連毒性);および/または低下もしくは実質的に排除された副作用;および/または高い耐容性、低下もしくは実質的に排除された有害作用;および/または低減もしくは実質的に排除されたオフターゲット効果;および/または上昇された治療濃度域を提供することを意味する。
【0021】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、タンパク質の一般的毒性を低減すること、および標的細胞または組織に及ぼすタンパク質の選択的影響を維持するまたは増加させることにより、任意のタンパク質治療薬(例えば、天然由来または操作されたタンパク質またはそれらのフラグメントに基づく)の治療指数を上昇させる(例えば、約2倍、約5倍、約10倍、約25倍、約50倍、約100倍、約200倍、またはより大きく)。例えば、治療指数のこの上昇(例えば、約2倍、約5倍、約10倍、約25倍、約50倍、約100倍、約200倍、またはより大きい)は、修飾されたシグナル伝達物質のものであり得る(例えば、野生型シグナル伝達物質に対して、またはシグナル標的部分を有する融合タンパク質という状況で野生型シグナル伝達物質に対して、または1つより多くの標的部分を有する融合タンパク質という状況で野生型シグナル伝達物質に対して)。
【0022】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、それらの受容体への、標的部分およびシグナル伝達物質の効率的な結合を可能にする。例えば、幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、同じ細胞上の受容体(例えば、異なる受容体)への、標的部分およびシグナル伝達物質の一方の効率的な結合、ならびに別の細胞への他の標的部分の効率的な結合を可能にする。本明細書の他の箇所に記載される通り、様々な実施形態において、シグナル伝達物質は弱化された活性を提供するように突然変異されており、同じ細胞上の受容体への標的部分およびシグナル伝達物質の効率的な結合が連続であり、例えば標的部分/受容体の結合がシグナル伝達物質/受容体の結合に先行する。例えば、幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質それ自体は、その突然変異形態で顕著に活性がより低く(例えば、野生型に対して)、なぜならそれはその受容体(複数可)に効率的に結合できないからである。したがって本発明のキメラタンパク質は、非標的細胞上の天然の受容体へのシグナル伝達物質の結合により引き起こされる望まない副作用を回避するのに有用である。しかし、標的部分(複数可)が実質的な活性化に必要とされる不足するまたは不充分な結合(例えば、限定なしにおよび/または結合活性)を補填するため、シグナル伝達物質は、標的細胞上で活性である。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質が、身体を通る治療活性の部位への途中では不活性であり、かつ望ましくない副作用を大きく低減する特異的に標的にされる細胞型上で実質的に効果を有するようにする、修飾された(例えば、突然変異体の)シグナル伝達物質を有する。
【0023】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)に向けられるが、標的にされない細胞(例えば、正常細胞、非腫瘍細胞)には向けられない選択的生物活性、例えば治療関連の生物活性を有する。
【0024】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、相乗的な活性および/または治療効果を提供する。そのような実施形態において、キメラタンパク質の活性および/または治療効果は、単独で、または共投与により組み合わせて投与される個々の成分(即ち、標的部分およびシグナル伝達物質)の治療効果よりも、改善された治療効果、例えば相乗的に大きな治療効果を有する。
【0025】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、異なる構成を介して互いに結合される2つ以上の標的部分およびシグナル伝達物質を有する。一実施形態において、標的部分の1つは、シグナル伝達物質のアミノ末端に連結され、別の標的部分は、シグナル伝達物質のカルボキシ末端に連結される。別の実施形態において、両方の標的部分は、シグナル伝達物質のアミノ末端に連結される。例えば、シグナル伝達物質のアミノ末端は、標的部分の1つのカルボキシ末端に連結され得、標的部分が、順次、他の標的部分に連結される(例えば、アミノ末端を介して)。さらなる実施形態において、両方の標的部分は、シグナル伝達物質のカルボキシ末端に連結される。例えば、シグナル伝達物質のカルボキシ末端は、標的部分の1つのアミノ末端に連結され得、標的部分が、順次、他の標的部分に連結される(例えば、カルボキシ末端を介して)。
【0026】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される成分を有する融合タンパク質の形態である。
【0027】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、異なる抗原または受容体を標的とする2つ以上の標的部分を有し、1つの標的部分は、その抗原または受容体に対して弱化され得、例えば標的部分は、低い親和性または結合活性で抗原または受容体を結合する(例えば、他の標的部分がその抗原または受容体に向ける親和性または結合活性よりも低い親和性または結合活性でなど、例えば結合親和性の差は、約10倍、または約25倍、または約50倍、または約100倍、または約300倍、または約500倍、または約1000倍、または約5000倍であり得;例えばより低い親和性または結合活性の標的部分は、中~高nMまたは低~中μMの範囲のKでその抗原または受容体を結合し得るが、より高い親和性または結合活性の標的部分は、中~高pMまたは低~中nMの範囲のKで抗原または受容体を結合し得る)。例えば、幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、無差別な抗原または受容体に対する弱化された標的部分を含み、これは目的の細胞への標的を改善し得(例えば、他の標的部分を介して)、かつ治療のための標的にされないものを含む、複数の細胞型にわたる影響を予防し得る(例えば、これらの実施形態で提供されるものより高い親和性で無差別な抗原または受容体に結合することにより)。
【0028】
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるキメラタンパク質をコードする単離された核酸を提供する。
【0029】
標的部分の細胞動員
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的部分を有する。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、異なる細胞(例えば、シナプスを生成するため)または同じ細胞(例えば、より集中したシグナル伝達物質または治療効果を得るため)を標的とする1つまたは複数の標的部分を有する。目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、非限定的にT細胞、細胞障害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、樹状細胞、またはそのサブセットを包含し得る、1つまたは複数の免疫細胞上で見出され得る。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合し、直接的または間接的により多くの免疫細胞の1つを効果的に動員する。幾つかの実施形態において、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、1つまたは複数の腫瘍細胞上で見出され得る。これらの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫細胞を、例えば幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)へ、直接的または間接的に動員し得る。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫細胞、例えば腫瘍細胞を殺傷および/または抑制し得る免疫細胞を、作用の部位(非限定的例として、腫瘍微細環境など)へ直接的または間接的に動員し得る。
【0030】
様々な実施形態において、キメラタンパク質は、非細胞構造の一部である標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的部分を有する。幾つかの実施形態において、抗原または受容体は、インタクト細胞または細胞構造の不可欠な成分ではない。幾つかの実施形態において、抗原または受容体は、細胞外抗原または受容体である。幾つかの実施形態において、標的は、非限定的に、DNAまたはRNAを含む核酸、例えば壊死性腫瘍細胞から放出されたDNA、またはコレステロールなどの細胞外堆積物を含む、非タンパク質性の非細胞性マーカーである。
【0031】
幾つかの実施形態において、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、間質または細胞外マトリックス(ECM)の非細胞成分の一部、またはそれらに関連するマーカーである。本明細書で用いられる間質は、組織または臓器の結合および支持的フレームワークを指す。間質は、線維芽細胞/筋線維芽細胞、膠細胞、上皮細胞、脂肪細胞、免疫細胞、血管細胞、平滑筋細胞、および免疫細胞などの細胞と、細胞外マトリックス(ECM)および細胞外分子の編集物を包含し得る。様々な実施形態において、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、細胞外マトリックスおよび細胞外分子などの間質の非細胞成分の一部である。本明細書で用いられるECMは、全ての組織および臓器の中に存在する非細胞成分を指す。ECMは、非限定的にタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカンおよび多糖類を含む生化学的に異なる成分の大きな集合体で構成される。ECMのこれらの成分は通常、隣接する細胞により産生され、エキソサイトーシスを介してECMに分泌される。ECM成分は多くの場合、分泌されると凝集して、巨大分子の複雑なネットワークを形成する。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ECMの任意の成分上に存在する標的(例えば、抗原または受容体または非タンパク質性分子)を認識する標的部分を含む。ECMの例示的な成分としては、プロテオグリカン、非プロテオグリカンの多糖類、線維、および他のECMタンパク質またはECM非タンパク質、例えば多糖類および/もしくは脂質、またはECM関連分子(例えば、タンパク質または非タンパク質、例えば多糖類、核酸および/または脂質)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
幾つかの実施形態において、標的部分は、ECMプロテオグリカン上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。プロテオグリカンは、グリコシル化タンパク質である。基本のプロテオグリカン単位は、1つまたは複数の共有結合で付着されるグリコサミノグリカン(GAG)鎖を有するコアタンパク質を含む。プロテオグリカンは、正電荷ナトリウムイオン(Na+)を引き寄せる正味の負電荷を有し、これは浸透圧により水分子を引き寄せて、ECMおよび常在細胞を水和状態に保つ。プロテオグリカンはまた、ECM内の成長因子の捕捉および貯蔵を支援し得る。本発明のキメラタンパク質により標的にされ得る例示的なプロテオグリカンとしては、ヘパラン硫酸塩、コンドロイチン硫酸塩、およびケラタン硫酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、標的部分は、ヒアルロン酸などの非プロテオグリカン多糖類上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。
【0033】
幾つかの実施形態において、標的部分は、ECM線維上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。ECM線維は、コラーゲン線維およびエラスチン線維を含む。幾つかの実施形態において、標的部分は、コラーゲンまたはコラーゲン線維上の1つまたは複数のエピトープを認識する。コラーゲンは、ECM中で最も豊富なタンパク質である。コラーゲンは、原線維タンパク質としてECM中に存在し、常在細胞に構造的支持を提供する。1つまたは複数の実施形態において、標的部分は、非限定的に原線維コラーゲン(I、II、III、V、XI型)、FACITコラーゲン(IX、XII、XIV型)、単鎖コラーゲン(VIII、X型)、基底膜コラーゲン(IV型)、および/またはVI、VII、もしくはXIII型コラーゲンを含む、ECM内に存在する様々な型のコラーゲンを認識し、それに結合する。エラスチン線維は、組織に弾性を提供し、必要に応じてそれらを緊張させ、その後、本来の状態に戻す。幾つかの実施形態において、標的部分は、エラスチンまたはエラスチン線維上の1つまたは複数のエピトープを認識する。
【0034】
幾つかの実施形態において、標的部分は、非限定的にテネイシン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、またはニドゲン/エンタクチンを含む、1種または複数のECMタンパク質を認識する。
【0035】
一実施形態において、標的部分は、テネイシンを認識し、それに結合する。糖タンパク質のテネイシン(TN)ファミリーは、少なくとも4種のメンバー:テネイシン-C、テネイシン-R、テネイシン-X、およびテネイシンWを含む。テネイシンタンパク質の一次構造は、同じ連続配列で並べられる複数の共通モチーフ:アミノ末端ヘプタドリピート、上皮成長因子(EGF)様リピート、フィブロネクチンIII型ドメインリピート、およびカルボキシル末端フィブリノーゲン様球状ドメインを含む。各タンパク質メンバーは、EGF様およびフィブロネクチンIII型リピートの数および性質における典型的な変動と関連する。アイソフォームバリアントもまた、特にテネイシン-Cに関連して存在する。テネイシン-Cの27を超えるスプライスバリアントおよび/またはアイソフォームが、公知である。特別な実施形態において、標的部分は、テネイシン-CA1を認識し、それに結合する。同様に、テネイシン-Rもまた、様々なスプライスバリアントおよびアイソフォームを有する。テネイシン-Rは通常、二量体または三量体として存在する。テネイシン-Xは、テネイシンファミリーの最大のメンバーであり、三量体として存在することが知られている。テネイシン-Wは、三量体として存在する。幾つかの実施形態において、標的部分は、テネイシンタンパク質上の1つまたは複数のエピトープを認識する。幾つかの実施形態において、標的部分は、テネイシンタンパク質の単量体および/または二量体および/または三量体および/または六量体形態を認識する。
【0036】
一実施形態において、標的部分は、フィブロネクチンを認識し、それに結合する。フィブロネクチンは、ECM中で細胞をコラーゲン線維と連結させて、ECMを通して細胞を移動させる糖タンパク質である。インテグリンへの結合により、フィブロネクチンは、フォールディングを解いて機能的二量体を形成する。幾つかの実施形態において、標的部分は、フィブロネクチンの単量体および/または二量体形態を認識する。幾つかの実施形態において、標的部分は、フィブロネクチン上の1つまたは複数のエピトープを認識する。例示的実施形態において、標的部分は、フィブロネクチン細胞外ドメインA(EDA)またはフィブロネクチン細胞外ドメインB(EDB)を認識する。高レベルのEDAは、乾癬、関節リウマチ、糖尿病、および癌を含む様々な疾患および障害に関連する。幾つかの実施形態において、標的部分は、EDAアイソフォームを含むフィブロネクチンを認識し、キメラタンパク質に、癌細胞を含む疾患細胞を標的化させるために用いられ得る。幾つかの実施形態において、標的部分は、EDBアイソフォームを含むフィブロネクチンを認識する。様々な実施形態において、そのような標的部分は、キメラタンパク質に、腫瘍新生血管構造を含む腫瘍細胞を標的化させるために用いられ得る。
【0037】
一実施形態において、標的部分は、フィブリンを認識し、それに結合する。フィブリンは、ECMのマトリックス網の中で見出されることの多い別のタンパク質物質である。フィブリンは、フィブリンを重合させるフィブリノーゲンに対するプロテアーゼトロンビンの作用により形成される。幾つかの実施形態において、標的部分は、フィブリン上の1つまたは複数のエピトープを認識する。幾つかの実施形態において、標的部分は、フィブリンの単量体形態および重合形態を認識する。
【0038】
一実施形態において、標的部分は、ラミニンを認識し、それに結合する。ラミニンは、細胞および臓器のタンパク質網の基礎である基底板の主成分である。ラミニンは、α鎖、β鎖、およびγ鎖を含むヘテロ三量体タンパク質である。幾つかの実施形態において、標的部分は、ラミニン上の1つまたは複数のエピトープを認識する。幾つかの実施形態において、標的部分は、ラミニンの単量体、二量体および三量体形態を認識する。
【0039】
一実施形態において、標的部分は、ニドゲンまたはエンタクチンを認識し、それに結合する。ニドゲン/エンタクチンは、高度に保存された硫酸化糖タンパク質のファミリーである。それらは、基底膜の主な構造成分を構成し、基底膜中のラミニンおよびコラーゲンIV型ネットワークを結び付けるよう機能する。このファミリーのメンバーとしては、ニドゲン-1およびニドゲン-2が挙げられる。様々な実施形態において、標的部分は、ニドゲン-1および/またはニドゲン-2上のエピトープを認識する。
【0040】
様々な実施形態において、標的部分は、本明細書に記載される標的(例えば、ECMタンパク質)のいずれかに存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを含む。一実施形態において、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1つまたは複数の線形エピトープを認識する。本明細書で用いられる線形エピトープは、タンパク質上に存在するアミノ酸の任意の連続配列を指す。別の実施形態において、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1つまたは複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書で用いられる立体構造エピトープは、抗原認識ドメインにより認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を有する三次元表面を形成するアミノ酸の1つまたは複数の区分(それは不連続であり得る)を指す。
【0041】
様々な実施形態において、標的部分は、本明細書に記載される標的(例えば、ECMタンパク質)のいずれかの完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来もしくは合成類似体、バリアント、もしくは突然変異体に結合し得る。様々な実施形態において、標的部分は、単量体、二量体、三量体、四量体、ヘテロ二量体、多量体および関連の形態を含む、本明細書に記載されるタンパク質の任意の形態に結合し得る。様々な実施形態において、標的部分は、グリコシル化および/またはリン酸化形態などの、本明細書に記載されるタンパク質の任意の翻訳後修飾形態に結合し得る。
【0042】
様々な実施形態において、標的部分は、DNAなどの細胞外分子を認識する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、標的部分は、DNAを認識する抗原認識ドメインを含む。一実施形態において、DNAは、壊死性またはアポトーシス性腫瘍細胞または他の疾患細胞から細胞外空間に放出される。
【0043】
様々な実施形態において、標的部分は、アテローム斑に関連する1つまたは複数の非細胞構造を認識する抗原認識ドメインを含む。2つの型のアテローム斑が、公知である。線維・脂質(線維・脂肪)斑は、動脈の内膜の直下の脂質沈着細胞の蓄積を特徴とする。内皮の直下に、プラークのアテローム性の核を覆う線維性被膜が存在する。この核は、多量の組織コレステロールおよびコレステロールエステル、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、ならびに細胞破片を有する脂質沈着細胞(マクロファージおよび平滑筋細胞)を含む。進行したプラークでは、プラークの中心核は通常、細胞外コレステロール沈着(死亡細胞から放出)を含み、それが空洞の針状裂隙のあるコレステロール結晶のエリアを形成する。プラークの周辺には、より若い泡沫細胞および毛細血管がある。線維斑もまた、動脈壁内の内膜下に存在し、壁の肥厚および拡大を生じ、時には、筋肉層のいくらかの萎縮を有する管腔のまだらな局所的狭窄を生じる。線維斑は、コラーゲン線維(好酸球性)、カルシウムの沈降物(好ヘマトキシリン性)および脂質沈着細胞を含有する。幾つかの実施形態において、標的部分は、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、細胞破片、およびカルシウムまたは他の鉱物性沈着物もしくは沈降物などの、これらのプラークの非細胞成分の1種または複数を認識し、それに結合する。幾つかの実施形態において、細胞破片は、死細胞から放出される核酸、例えばDNAまたはRNAである。
【0044】
様々な実施形態において、標的部分は、神経変性疾患に関連する脳のプラーク中で見出される1種または複数の非細胞構造を認識する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、標的部分は、アルツハイマー病患者の脳中に見出されるアミロイド斑の中に存在する1種または複数の非細胞構造を認識し、それに結合する。例えば、標的部分は、アミロイド斑の主成分であるペプチドアミロイドベータを認識してそれに結合できる。幾つかの実施形態において、標的部分は、ハンチントン病患者に見出される脳のプラーク中に存在する1種または複数の非細胞構造を認識し、それに結合する。様々な実施形態において、標的部分は、レビー小体型認知症および封入体筋炎などの他の神経変性または筋骨格疾患に関連するプラーク中に見出される1種または複数の非細胞構造を認識し、それに結合する。
【0045】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、非細胞構造に結合する2つ以上の標的部分を有し得る。幾つかの実施形態において、2つの標的部分が存在し、一方は細胞を標的とし、他方は非細胞構造を標的とする。様々な実施形態において、標的部分は、疾患細胞および/またはエフェクター細胞などの細胞を直接的または間接的に動員し得る。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、標的部分により標的とされる1つまたは複数の細胞(例えば、疾患細胞および/またはエフェクター細胞などの、動員される細胞)をモジュレートし得る。例えば、シグナル伝達物質は、標的細胞がシグナル伝達物質の受容体を発現するか否かに応じて、標的細胞の一方または両方をモジュレートし得る(および標的細胞は、エフェクターおよび/または疾患細胞であり得る)。
【0046】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫細胞のバランスを腫瘍の免疫攻撃に偏るようにシフトでき、またはシフトすることを含む方法で用途を見出す。例えば、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍を殺傷および/または抑制し得る細胞(例えば、T細胞、細胞障害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、樹状細胞、またはそれらのサブセット)に偏るように、かつ腫瘍を保護する細胞(例えば、骨髄由来免疫サプレッサ細胞(MDSC)、調節性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、またはそれらのサブセット)に対抗するように、臨床的に重要な部位で免疫細胞の比率をシフトし得る。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、調節性T細胞に対するエフェクターT細胞の比率を上昇させることが可能である。
【0047】
例えば幾つかの実施形態において、標的部分は、T細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、標的部分は、T細胞を直接的または間接的に動員する抗原認識ドメインを含む。一実施形態において、標的部分は、エフェクターT細胞に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、標的部分は、エフェクターT細胞を、例えば幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つもしくは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する抗原認識ドメインを含む。例示的なエフェクターT細胞としては、細胞障害性T細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD8、CD45RO);CD4エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4、CCR7、CD62Lhi、IL-7R/CD127);CD8エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD8、CCR7、CD62Lhi、IL-7R/CD127);エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62Llow、CD44、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R、CCR7low);セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7、CD62L、CD27;またはCCR7hi、CD44、CD62Lhi、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R);CD62LエフェクターT細胞;初期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)および後期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)(それぞれTemEおよびTemL)を含むCD8エフェクターメモリーT細胞(TEM);CD127()CD25(low/-)エフェクターT細胞;CD127()CD25()エフェクターT細胞;CD8幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(low)CD62L(high)CD122(high)sca());TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3、CXCR6およびCCR5;またはαβTCR、CD3、CD4、IL-12R、IFNγR、CXCR3)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3、CCR4およびCCR8;またはαβTCR、CD3、CD4、IL-4R、IL-33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2);TH9エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4);TH17エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4、IL-23R、CCR6、IL-1R);CD4CD45ROCCR7エフェクターT細胞、ICOSエフェクターT細胞;CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞;ならびにIL-2、IL-4および/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が挙げられる。
【0048】
例示的な目的のT細胞抗原としては、例えばCD8、CD3、SLAMF4、IL-2Rα、4-1BB/TNFRSF9、IL-2 Rβ、ALCAM、B7-1、IL-4 R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL-6 R、CCR3、IL-7 Rα、CCR4、CXCRl/IL-S RA、CCR5、CCR6、IL-10 Rα、CCR 7、IL-10 Rβ、CCRS、IL-12 Rβ1、CCR9、IL-12 Rβ2、CD2、IL-13 Rα1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、インテグリン(Iutegrin)α 4/CD49d、CDS、インテグリンα E/CD103、CD6、インテグリンα M/CD 11b、CDS、インテグリンα X/CD11c、インテグリンβ 2/CD1S、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40リガンド/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、共通γ鎖/IL-2 Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、SLAMF7(CS1)、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、CXCR3、SIRP β1、CXCR4、SLAM、CXCR6、TCCR/WSX-1、DNAM-1、チモポエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、Fcγ RIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュライシン、TNF RIII/TNFRSF1B、TRAIL RL/TNFRSFLOA、ICAM-1/CD54、TRAIL R2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-γR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γ R2、TSLP、IL-1 R1 およびTSLP R(および適宜、細胞外ドメインを含む)が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的T細胞抗原の1つまたは複数を結合する。
【0049】
模範的な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、CD8に対する標的部分を含む。様々な実施形態において、CD8に対する標的部分は、CD8の機能的モジュレーション(例えば、部分的または完全な中和)を行わずにCD8に特異的に結合可能なタンパク質系物質である。CD8はヘテロ二量体I型膜貫通糖タンパク質であり、そのαおよびβ鎖が両者とも、延長したO-グリコシル化ストークによって一回膜貫通ドメインおよび短い細胞質テールに連結される免疫グロブリン(Ig)様細胞外ドメインで構成される(Li et al.,2013)。α鎖の細胞質領域は、srcチロシンキナーゼp56lck(Lck)のためのドッキング部位として働く2つのシステインモチーフを含む。対照的に、このLck結合ドメインはβ鎖から欠如しているようであり、CD8 β鎖が下流のシグナル伝達に関与しないことを示唆する(Artyomov et al.,2010)。CD8は、T細胞受容体のための共受容体として機能し、その根本的役割は、MHCへの共受容体に続くTCR-pMHC複合体へのLckの動員である(Turner et al.,1990、Veillette et al.,1988)。このキナーゼの局所濃度の上昇がシグナル伝達カスケードを活性化し、それがζ鎖関連プロテインキナーゼ70(ZAP-70)を動員および活性化し、続いてT細胞活性化シグナルの増幅または増進を導く(Purbhoo et al.,2001、Laugel et al.,2007a)。
【0050】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、CD8 αおよび/またはβ鎖上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、抗原認識ドメインは、CD8 αおよび/またはβ鎖上の1つまたは複数の線形エピトープを認識する。本明細書で用いられる線形エピトープは、CD8 αおよび/またはβ鎖上に存在するアミノ酸の任意の連続配列を指す。別の実施形態において、抗原認識ドメインは、CD8 αおよび/またはβ鎖上に存在する1つまたは複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書で用いられる立体構造エピトープは、抗原認識ドメインにより認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を有する三次元表面を形成するアミノ酸の1つまたは複数の区分(それは不連続であり得る)を指す。
【0051】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトCD8 αおよび/またはβ鎖の完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来のもしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体に結合し得る標的部分を含み得る。様々な実施形態において、CD8に対する標的部分は、単量体、二量体、ヘテロ二量体、多量体および関連の形態を含む、ヒトCD8 αおよび/またはβ鎖の任意の形態に結合し得る。一実施形態において、CD8に対する標的部分は、CD8 α鎖またはCD8 β鎖の一量体形態に結合し得る。別の実施形態において、CD8に対する標的部分は、2つのCD8 α鎖または2つのCD8 β鎖で構成されるホモ二量体形態に結合し得る。別の実施形態において、CD8に対する標的部分は、1つのCD8 α鎖および1つのCD8 β鎖で構成されるヘテロ二量体形態に結合し得る。
【0052】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトCD8 α鎖上に存在する1つまたは複数のエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、ヒトCD8 α鎖は、
アイソフォーム1(配列番号1)
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV
のアミノ酸配列を含む。
【0053】
一実施形態において、ヒトCD8 α鎖は、
アイソフォーム2(配列番号2)
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAGNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV
のアミノ酸配列を含む。
【0054】
一実施形態において、ヒトCD8 α鎖は、
アイソフォーム3(配列番号3)
MRNQAPGRPKGATFPPRRPTGSRAPPLAPELRAKQRPGERVMALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV
のアミノ酸配列を含む。
【0055】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトCD8 β鎖上に存在する1つまたは複数のエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム1(配列番号4)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGPLCSPITLGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCCRRRRARLRFMKQFYK
のアミノ酸配列を含む。
【0056】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム2(配列番号5)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGPLCSPITLGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCCRRRRARLRFMKQLRLHPLEKCSRMDY
のアミノ酸配列を含む。
【0057】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム3(配列番号6)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGRRRRARLRFMKQPQGEGISGTFVPQCLHGYYSNTTTSQKLLNPWILKT
のアミノ酸配列を含む。
【0058】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム4(配列番号7)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGPLCSPITLGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCCRRRRARLRFMKQKFNIVCLKISGFTTCCCFQILQISREYGFGVLLQKDIGQ
のアミノ酸配列を含む。
【0059】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム5(配列番号8)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGPLCSPITLGLLVAGVLVLLVSLGVAIHLCCRRRRARLRFMKQPQGEGISGTFVPQCLHGYYSNTTTSQKLLNPWILKT
のアミノ酸配列を含む。
【0060】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム6(配列番号9)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGRRRRARLRFMKQFYK
のアミノ酸配列を含む。
【0061】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム7(配列番号10)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKDFTNKQRIGFWCPATKRHRSVMSTMWKNERRDTFNPGEFNGC
のアミノ酸配列を含む。
【0062】
一実施形態において、ヒトCD8 β鎖は、
アイソフォーム8(配列番号11)
MRPRLWLLLAAQLTVLHGNSVLQQTPAYIKVQTNKMVMLSCEAKISLSNMRIYWLRQRQAPSSDSHHEFLALWDSAKGTIHGEEVEQEKIAVFRDASRFILNLTSVKPEDSGIYFCMIVGSPELTFGKGTQLSVVDFLPTTAQPTKKSTLKKRVCRLPRPETQKGLKGKVYQEPLSPNACMDTTAILQPHRSCLTHGS
のアミノ酸配列を含む。
【0063】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、特異的な結合ができる標的部分を含む。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、抗体またはその誘導体などの抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、CD8結合剤は、抗体である標的部分を含む。様々な実施形態において、抗体は、本明細書の他の箇所に記載される通り1つの重鎖および2つの軽鎖を含む完全長の多量体タンパク質である。幾つかの実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。
【0064】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、VHHなどの、単一ドメイン抗体であるCD8に対する標的部分を含む。VHHは、例えばラクダ、サメなどのVHH抗体を生成する生物体に由来してよく、またはVHHは、設計されたVHHであり得る。VHHは、天然由来重鎖抗体の特有の構造的および機能的特性を含む抗体由来の治療性タンパク質である。VHH技術は、軽鎖が欠如するラクダ由来の完全に機能的な抗体に基づく。これらの重鎖抗体は、単一可変ドメイン(VH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。VHHは、商標:NANOBODYまたはNANOBODIESとして市販される。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、VHHを含む。
【0065】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、4つの「フレームワーク領域」またはFRと、3つの「相補性決定領域」またはCDRと、を有する単一アミノ酸鎖を含むVHHであるCD8に対する標的部分を含む。本明細書で用いられる「フレームワーク領域」または「FR」は、CDRの間に位置する可変ドメイン中の一領域を指す。本明細書で用いられる「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合可能なアミノ酸配列を含むVHH中の可変領域を指す。
【0066】
様々な実施形態において、CD8に対する標的部分は、少なくとも1つのCDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含む可変ドメインを有するVHHを含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、CDR1配列は、
GFTFDDYAMS(配列番号12)または
GFTFDDYAIG(配列番号13)
から選択される。
【0068】
幾つかの実施形態において、CDR2配列は、
TINWNGGSAEYAEPVKG(配列番号14)または
CIRVSDGSTYYADPVKG(配列番号15)
から選択される。
【0069】
幾つかの実施形態において、CDR3配列は、
KDADLVWYNLS(配列番号16)または
KDADLVWYNLR(配列番号17)または
AGSLYTCVQSIVVVPARPYYDMDY(配列番号18)
から選択される。
【0070】
様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号14、および配列番号16を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号14、および配列番号17を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号14、および配列番号18を含む。
【0071】
様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号15、および配列番号16を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号15、および配列番号17を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号12、配列番号15、および配列番号18を含む。
【0072】
様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号14、および配列番号16を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号14、および配列番号17を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号14、および配列番号18を含む。
【0073】
様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号15、および配列番号16を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号15、および配列番号17を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、配列番号13、配列番号15、および配列番号18を含む。
【0074】
様々な実施形態において、CD8標的部分は、以下の配列:
R3HCD27(配列番号19)
QVQLQESGGGSVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSTINWNGGSAEYAEPVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKLEDTAVYYCAKDADLVWYNLSTGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGS
または
R3HCD129(配列番号20)
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYAMSWVRQVPGKGLEWVSTINWNGGSAEYAEPVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKLEDTAVYYCAKDADLVWYNLRTGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGS
または
R2HCD26(配列番号21)
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGFTFDDYAIGWFRQAPGKEREGVSCIRVSDGSTYYADPVKGRFTISSDNAKNTVYLQMNSLKPEDAAVYYCAAGSLYTCVQSIVVVPARPYYDMDYWGKGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGS
から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0075】
様々な実施形態において、標的部分は、内容全体が参照により組み入れられる米国特許出願公開第2014/0271462号に記載されるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、内容全体が参照により組み入れられる米国特許出願公開第2014/0271462号の表0.1、表0.2、表0.3、および/または図1A~12Iに記載されるアミノ酸配列を含む。様々な実施形態において、CD8標的部分は、以下に提供される通り、配列番号22もしくは23のHCDR1であるHCDR1、および/または配列番号22もしくは23のHCDR1であるHCDR2、および/または配列番号22もしくは23のHCDR1であるHCDR3、および/または配列番号24のLCDR1であるLCDR1、および/または配列番号24のLCDR1であるLCDR2、および/または配列番号24のLCDR1であるLCDR3を含む。
配列番号22:
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Asn Ile Lys Asp Thr Tyr Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val Ala Arg Ile Asp Pro Ala Asn Asp Asn Thr Leu Tyr Ala Ser Lys Phe Gln Gly Arg Ala Thr Ile Ser Ala Asp Thr Ser Lys Asn Thr Ala Tyr Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Gly Arg Gly Tyr Gly Tyr Tyr Val Phe Asp His Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser。
配列番号23:
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala Thr Val Lys Ile Ser Cys Lys Val Ser Gly Phe Asn Ile Lys Asp Thr Tyr Ile His Trp Val Gln Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Met Gly Arg Ile Asp Pro Ala Asn Asp Asn Thr Leu Tyr Ala Ser Lys Phe Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Thr Ser Thr Asp Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg Gly Tyr Gly Tyr Tyr Val Phe Asp His Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser。
配列番号24:
Asp Val Gln Ile Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Thr Ser Arg Ser Ile Ser Gln Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Val Pro Lys Leu Leu Ile Tyr Ser Gly Ser Thr Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro Glu Asp Val Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln His Asn Glu Asn Pro Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys。
【0076】
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載される通り、CD8に対する標的部分の任意の天然または合成の類似体、突然変異体、バリアント、対立遺伝子、相同体および相同分子種(本明細書では集合的に「類似体」と称する)の使用を企図する。様々な実施形態において、CD8を標的とする標的部分のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、または他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0077】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される配列の任意の1つと少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である(例えば、本明細書に開示される配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%、または約100%の配列同一性)、CD8を標的とするアミノ酸配列を含み得る。
【0078】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、CD8に特異的に結合する本発明のCD8標的部分の能力を実質的に低減しない1つまたは複数の突然変異を含む。様々な実施形態において、突然変異は、CD8を機能的にモジュレートせずに、CD8に特異的に結合する標的部分の能力を実質的に低減しない。
【0079】
様々な実施形態において、ヒトCD8 αおよび/またはβ鎖の完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来のもしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体(単量体、二量体、ヘテロ二量体、多量体および/または関連の形態を含む)に対するCD8標的部分の結合親和性は、平衡解離定数(K)により記載され得る。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、約1uM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満のKで、ヒトCD8 αおよび/またはβ鎖の完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来のもしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体(単量体、二量体、ヘテロ二量体、多量体および/または関連の形態を含む)に結合する標的部分を含む。
【0080】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、目的の抗原、即ちCD8を結合するが機能的にモジュレートしない標的部分を含む。例えば、様々な実施形態において、標的部分は、抗原を単に標的にするが、抗原を実質的に機能的にモジュレートせず、例えばそれは、抗原が有する生物学的効果を実質的に阻害、低減または中和しない。様々な実施形態において、標的部分の物質は、その生物活性に重要である抗原部位(例えば、抗原活性部位)から物理的に離れたエピトープを結合する。
【0081】
結合をそのように非機能的にモジュレートすること(例えば、非中和)は、本発明のキメラタンパク質がエフェクター抗原を介して必要な部位に活性免疫細胞を直接的または間接的に動員するために用いられる方法を含む、本発明の様々な実施形態で用途を見出す。例えば、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍を低減または排除する方法において、腫瘍細胞にCD8を介して細胞障害性T細胞を直接的または間接的に動員するために用いられ得る(例えば、キメラタンパク質は、抗CD8抗原認識ドメインを有する標的部分と、腫瘍抗原または受容体に対する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する標的部分と、を含み得る)。そのような実施形態において、CD8を発現する細胞障害性T細胞を直接的または間接的に動員するが、CD8活性を中和しないことが、望ましい。これらの実施形態において、CD8シグナル伝達は、腫瘍の低減または排除効果の重要な部分である。
【0082】
非限定的例として、様々な実施形態において、本発明は、T細胞上で発現されるチェックポインマーカー、例えばPD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、CD27、CD40L、TIM3、およびA2aRの1つまたは複数に対する標的部分を有する。
【0083】
例えば幾つかの実施形態において、標的部分は、B細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、B細胞を、例えば、幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する。例示的な目的のB細胞抗原としては、例えばCD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD38、CD39、CD40、CD70、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD78、CD79a/b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD89、CD98、CD126、CD127、CDw130、CD138、CDw150、およびB細胞突然変異抗原(BCMA)が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的なB細胞抗原の1つまたは複数を結合する。
【0084】
さらなる例として、幾つかの実施形態において、標的部分は、ナチュラルキラー細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、ナチュラルキラー細胞を、例えば、幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する。例示的な目的のナチュラルキラー細胞抗原としては、例えばTIGIT、2B4/SLAMF4、KIR2DS4、CD155/PVR、KIR3DL1、CD94、LMIR1/CD300A、CD69、LMIR2/CD300c、CRACC/SLAMF7、LMIR3/CD300LF、Kir1アルファ、DNAM-1、LMIR5/CD300LB、Fc-イプシロン RII、LMIR6/CD300LE、Fc-γ Rl/CD64、MICA、Fc-γ RIIB/CD32b、MICB、Fc-γ RIIC/CD32c、MULT-1、Fc-γ RIIA/CD32a、ネクチン-2/CD112、FC-γ RIII/CD16、NKG2A、FcRH1/IRTA5、NKG2C、FcRH2/IRTA4、NKG2D、FcRH4/IRTA1、NKp30、FcRH5/IRTA2、NKp44、Fc受容体様3/CD16-2、NKp46/NCR1、NKp80/KLRF1、NTB-A/SLAMF6、Rae-1、Rae-1 α、Rae-1 β、Rae-1 デルタ、H60、Rae-1 イプシロン、ILT2/CD85j、Rae-1 γ、ILT3/CD85k、TREM-1、ILT4/CD85d、TREM-2、ILT5/CD85a、TREM-3、KIR/CD158、TREML1/TLT-1、KIR2DL1、ULBP-1、KIR2DL3、ULBP-2、KIR2DL4/CD158dおよびULBP-3が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的なNK細胞抗原の1つまたは複数を結合する。
【0085】
同じく幾つかの実施形態において、標的部分は、マクロファージ/単球に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、マクロファージ/単球を、例えば、幾つかの実施形態において治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する。例示的な目的のマクロファージ/単球抗原としては、例えばSIRP1a、B7-1/CD80、ILT4/CD85d、B7-H1、ILT5/CD85a、共通β鎖、インテグリンα 4/CD49d、BLAME/SLAMF8、インテグリンα X/CD11c、CCL6/C10、インテグリンβ 2/CD18、CD155/PVR、インテグリンβ 3/CD61、CD31/PECAM-1、ラテキシン(Latexin)、CD36/SR-B3、ロイコトリエン B4 R1、CD40/TNFRSF5、LIMPIIISR-B2、CD43、LMIR1/CD300A、CD45、LMIR2/CD300c、CD68、LMIR3/CD300LF、CD84/SLAMF5、LMIR5/CD300LB、CD97、LMIR6/CD300LE、CD163、LRP-1、CD2F-10/SLAMF9、MARCO、CRACC/SLAMF7、MD-1、ECF-L、MD-2、EMMPRIN/CD147、MGL2、エンドグリン/CD105、オステオアクチビン/GPNMB、Fc-γ RI/CD64、オステオポンチン、Fc-γ RIIB/CD32b、PD-L2、Fc-γ RIIC/CD32c、シグレック-3/CD33、Fc-γ RIIA/CD32a、SIGNR1/CD209、Fc-γ RIII/CD16、SLAM、GM-CSF Rα、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TLR3、IFN-γ RI、TLR4、IFN-ガンマ R2、TREM-l、IL-l RII、TREM-2、ILT2/CD85j、TREM-3、ILT3/CD85k、TREML1/TLT-1、2B4/SLAMF 4、IL-10 Rα、ALCAM、IL-10 Rβ、アミノペプチダーゼN/ANPEP、ILT2/CD85j、共通β鎖、ILT3/CD85k、Clq R1/CD93、ILT4/CD85d、CCR1、ILT5/CD85a、CCR2、インテグリンα 4/CD49d、CCR5、インテグリンα M/CDll b、CCR8、インテグリンα X/CDllc、CD155/PVR、インテグリンβ 2/CD18、CD14、インテグリンβ 3/CD61、CD36/SR-B3、LAIR1、CD43、LAIR2、CD45、ロイコトリエン B4-R1、CD68、LIMPIIISR-B2、CD84/SLAMF5、LMIR1/CD300A、CD97、LMIR2/CD300c、CD163、LMIR3/CD300LF、凝固因子III/組織因子、LMIR5/CD300LB、CX3CR1、CX3CL1、LMIR6/CD300LE、CXCR4、LRP-1、CXCR6、M-CSF R、DEP-1/CD148、MD-1、DNAM-1、MD-2、EMMPRIN/CD147、MMR、エンドグリン/CD105、NCAM-L1、Fc-γ RI/CD64、PSGL-1、Fc-γ RIIIICD16、RP105、G-CSF R、L-セレクチン、GM-CSF Rα、シグレック-3/CD33、HVEM/TNFRSF14、SLAM、ICAM-1/CD54、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TREM-l、IL-6 R、TREM-2、CXCRl/IL-8 RA、TREM-3およびTREML1/TLT-1が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的なマクロファージ/単球の1つまたは複数を結合する。
【0086】
同じく幾つかの実施形態において、標的部分は、樹状細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、樹状細胞を、例えば、幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する。例示的な目的の樹状細胞抗原としては、例えばCLEC9A、XCR1、RANK、CD36/SRB3、LOX-1/SR-E1、CD68、MARCO、CD163、SR-A1/MSR、CD5L、SREC-1、CL-Pl/COLEC12、SREC-II、LIMPIIISRB2、RP105、TLR4、TLR1、TLR5、TLR2、TLR6、TLR3、TLR9、4-IBBリガンド/TNFSF9、IL-12/IL-23 p40、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、ILT2/CD85j、CCL21/6Ckine、ILT3/CD85k、8-オキソ-dG、ILT4/CD85d、8D6A、ILT5/CD85a、A2B5、インテグリンα 4/CD49d、Aag、インテグリンβ 2/CD18、AMICA、ランゲリン、B7-2/CD86、ロイコトリエン B4 Rl、B7-H3、LMIRl/CD300A、BLAME/SLAMF8、LMIR2/CD300c、Clq R1/CD93、LMIR3/CD300LF、CCR6、LMIR5/CD300LB CCR7、LMIR6/CD300LE、CD40/TNFRSF5、MAG/シグレック-4-a、CD43、MCAM、CD45、MD-1、CD68、MD-2、CD83、MDL-1/CLEC5A、CD84/SLAMF5、MMR、CD97、NCAMLl、CD2F-10/SLAMF9、オステオアクチビン GPNMB、Chern23、PD-L2、CLEC-1、RP105、CLEC-2、CLEC-8、シグレック-2/CD22、CRACC/SLAMF7、シグレック-3/CD33、DC-SIGN、シグレック-5、DC-SIGNR/CD299、シグレック-6、DCAR、シグレック-7、DCIR/CLEC4A、シグレック-9、DEC-205、シグレック-10、デクチン-1/CLEC7A、シグレック-F、デクチン-2/CLEC6A、SIGNR1/CD209、DEP-1/CD148、SIGNR4、DLEC、SLAM、EMMPRIN/CD147、TCCR/WSX-1、Fc-γ R1/CD64、TLR3、Fc-γ RIIB/CD32b、TREM-1、Fc-γ RIIC/CD32c、TREM-2、Fc-γ RIIA/CD32a、TREM-3、Fc-γ RIII/CD16、TREML1/TLT-1、ICAM-2/CD102、DEC205、およびバニロイド R1が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的なDC抗原の1つまたは複数を結合する。
【0087】
模範的な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、Clec9Aに対する標的部分を含む。様々な実施形態において、Clec9Aに対する標的部分は、Clec9Aに特異的に結合可能なタンパク質系物質である。様々な実施形態において、標的部分は、Clec9Aの中和なしにClec9Aに特異的に結合可能なタンパク質系物質である。Clec9Aは、死細胞からの物質の取り込みおよび処理に特化された樹状細胞のサブセット(即ち、BDCA+樹状細胞)の表面で発現されるV群のC型レクチン様受容体(CTLR)である。Clec9Aは、細胞膜が損傷されると露出される核化および非核化細胞内の保存された成分を認識する。CLEC9Aは、細胞表面でグリコシル化二量体として発現され、ファゴサイトーシスではなくエンドサイトーシスを媒介し得る。CLEC9Aは、Sykキナーゼを動員し炎症促進性サイトカインの産生を誘導できる細胞質免疫受容体活性化チロシンモチーフを有する(Huysamen et al.(2008),JBC,283:16693-701参照)。
【0088】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、Clec9A上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、抗原認識ドメインは、Clec9A上に存在する1つまたは複数の線形エピトープを認識する。本明細書で用いられる線形エピトープは、Clec9A上に存在するアミノ酸の任意の連続配列を指す。別の実施形態において、抗原認識ドメインは、Clec9A上の1つまたは複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書で用いられる立体構造エピトープは、抗原認識ドメインにより認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を有する三次元表面を形成するアミノ酸の1つまたは複数の区分(それは不連続であり得る)を指す。
【0089】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトClec9Aの完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来のもしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体に結合し得る標的部分を含む。様々な実施形態において、標的部分は、単量体、二量体、ヘテロ二量体、多量体および関連の形態を含む、ヒトClec9Aの任意の形態に結合し得る。一実施形態において、標的部分は、Clec9Aの単量体形態に結合する。別の実施形態において、標的部分は、Clec9Aの二量体形態に結合する。さらなる実施形態において、標的部分は、単量体または二量体のいずれかであり得る、Clec9Aのグリコシル化形態に結合する。
【0090】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ヒトClec9A上に存在する1つまたは複数のエピトープを認識する抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、ヒトClec9Aは、
MHEEEIYTSLQWDSPAPDTYQKCLSSNKCSGACCLVMVISCVFCMGLLTASIFLGVKLLQVSTIAMQQQEKLIQQERALLNFTEWKRSCALQMKYCQAFMQNSLSSAHNSSPCPNNWIQNRESCYYVSEIWSIWHTSQENCLKEGSTLLQIESKEEMDFITGSLRKIKGSYDYWVGLSQDGHSGRWLWQDGSSPSPGLLPAERSQSANQVCGYVKSNSLLSSNCSTWKYFICEKYALRSSV(配列番号25)
のアミノ酸配列を含む。
【0091】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、特異的結合が可能な標的部分を含む。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、抗体またはその誘導体などの抗原認識ドメインを有する標的部分を含む。一実施形態において、キメラタンパク質は、抗体である標的部分を含む。様々な実施形態において、抗体は、本明細書の他の箇所に記載される通り、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む完全長の多量体タンパク質である。幾つかの実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。
【0092】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、他の箇所に記載される通り、VHH(商標:NANOBODIESとして市販)などの、単一ドメイン抗体である標的部分を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、VHHを含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、4つの「フレームワーク領域」またはFRと、3つの「相補性決定領域」またはCDRと、を有する単一アミノ酸鎖を含むVHHである標的部分を含む。本明細書で用いられる「フレームワーク領域」または「FR」は、CDRの間に位置する可変ドメインの中の一領域を指す。本明細書で用いられる「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合可能なアミノ酸配列を含むVHH中の可変領域を指す。
【0094】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、少なくとも1つのCDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含む可変ドメインを有するVHHを含む。
【0095】
幾つかの実施形態において、CDR1配列は、
GSISSINVMG(配列番号26);
GSFSSINVMG(配列番号27);
GSISSINIMG(配列番号28);
GSISSINIMG(配列番号29);
VSIFSINAMG(配列番号30);
GSIFSLNAMG(配列番号31);
GRTISNYDMA(配列番号32);
GRTFTTSLMQ(配列番号33);
ERNLRIYDMA(配列番号34);
ERNLRSYDMA(配列番号35);
GLTFSNYHMG(配列番号36);
GLTFSSYHMG(配列番号37);
GLTFSRYHMG(配列番号38);
GLTLSSYYIA(配列番号39);
GLTFSSYYTG(配列番号40);
GLTLSSYHMG(配列番号41);
GRTSSPYVTG(配列番号42);
GFTFSGYVMS(配列番号43);
GFTFSGYVMT(配列番号44);または
GFTFSGYLMS(配列番号45)
から選択される。
【0096】
幾つかの実施形態において、CDR2配列は、
RITNLGLPNYADWLKD(配列番号46);
RITNLGLPNYADSVTG(配列番号47);
RITNIGLPNYADSVKG(配列番号48);
RITNLGLPNYADSVEG(配列番号49);
AITSGGRVVYSDSVKG(配列番号50);
AITSGGRTAYADSVKG(配列番号51);
HITSDGRIVYADPVKG(配列番号52);
RISGSGDRTDYADSVKG(配列番号53);
SITWSTGNTHYADSVKG(配列番号54);
VISSSGDSTHYSDFVKG(配列番号55);
VITSSGDSTHYSDFVKG(配列番号56);
QITWSDASIYYAGSVKG(配列番号57);
QITWSDTSIYYAGSVKG(配列番号58);
QITWSDGTTYYPGSVKG(配列番号59);
QIRWSDDSTYYPGSVKG(配列番号60);
QISWSDDSTYYADSVKG(配列番号61);
TVSWGGVTYYADSVKG(配列番号62);
SIGSGGGYPSYTDSVEG(配列番号63);
SIGSGGGYPSYTGSVEG(配列番号64);
HIGSGGGYPSYTDSVQG(配列番号65);
HIGSGGGHATYTDSVEG(配列番号66);または
TIGSGGGITSYADSVKG(配列番号67)
から選択される。
【0097】
幾つかの実施形態において、CDR3配列は、
VALSAEY(配列番号68);
VALKAEY(配列番号69);
VGLKAEY(配列番号70);
KTKSAVLFGGMDY(配列番号71);
YIRGEDY(配列番号72);
KHYASNY(配列番号73);
QDFGSPSF(配列番号74);
QDFRSPDF(配列番号75);
QIFGSPNF(配列番号76);
LAIHGDY(配列番号77);
NQIRQWP(配列番号78);
NSIRQWP(配列番号79);
NAIRQWP(配列番号80);
RKVGGPDY(配列番号81);
NTFGNVY(配列番号82);
LGR;または
VIK
から選択される。
【0098】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号26、配列番号46、および配列番号68を含む。
【0099】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号27、配列番号47、および配列番号69を含む。
【0100】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号28、配列番号48、および配列番号69を含む。
【0101】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号26、配列番号49、および配列番号70を含む。
【0102】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号29、配列番号50、および配列番号71を含む。
【0103】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号30、配列番号51、および配列番号72を含む。
【0104】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号31、配列番号52、および配列番号73を含む。
【0105】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号32、配列番号53、および配列番号74を含む。
【0106】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号32、配列番号53、および配列番号75を含む。
【0107】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号32、配列番号53、および配列番号76を含む。
【0108】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号33、配列番号54、および配列番号77を含む。
【0109】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号34、配列番号55、および配列番号78を含む。
【0110】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号34、配列番号55、および配列番号79を含む。
【0111】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号35、配列番号56、および配列番号80を含む。
【0112】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号36、配列番号57、および配列番号81を含む。
【0113】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号37、配列番号58、および配列番号81を含む。
【0114】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号38、配列番号59、および配列番号81を含む。
【0115】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号39、配列番号60、および配列番号81を含む。
【0116】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号40、配列番号61、および配列番号81を含む。
【0117】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号41、配列番号61、および配列番号81を含む。
【0118】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号42、配列番号62、および配列番号82を含む。
【0119】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号43、配列番号63、およびLGRを含む。
【0120】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号43、配列番号64、およびLGRを含む。
【0121】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号43、配列番号65、およびLGRを含む。
【0122】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号44、配列番号66、およびLGRを含む。
【0123】
幾つかの実施形態において、Clec9A標的部分は、配列番号45、配列番号67、およびVIKを含む。
【0124】
様々な実施形態において、Clec9A標的部分は、以下の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:
R2CHCL8(配列番号83)
QVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCAASGSISSINVMGWYRQAPGKERELVARITNLGLPNYADWLKDRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYLVALSAEYWGQGTQVTVSS;
R1CHCL50(配列番号84)
QVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCAASGSFSSINVMGWYRQAPGKERELVARITNLGLPNYADSVTGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCYLVALKAEYWGQGTQVTVSS;
R1CHCL21(配列番号85)
QVQLVESGGGLVHRGGSLRLSCAASGSISSINIMGWYRQAPGKERELVARITNIGLPNYADSVKGRFTISRDNAKSTVYLQMNSLNAEDTAVYYCYLVALKAEYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL87(配列番号86)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSISSINVMGWYRQAPGKERELVARITNLGLPNYADSVEGRFTISRDKDENTVYLEMNTLKPEDTAVYYCYLVGLKAEYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL24(配列番号87)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSSDSINAMGWYRQAPGKERELVAAITSGGRVVYSDSVKGRGTISRDNAKNTVYLQIASLKPEDTAVYYCNVKTKSAVLFGGMDYWGKGTQVTVSS;
R2CHCL38(配列番号88)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASVSIFSINAMGWYRQAPGKERELVAAITSGGRTAYADSVKGRFTISRDNSKNTVYLQMDSLKPEDTDVYYCKAYIRGEDYWGKGTQVTVSS;
R1CHCL16(配列番号89)
DVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSIFSLNAMGWYRQAPGKERELVAHITSDGRIVYADPVKGRFTISRVDGKNMVTLQMNSLKPEDTAVYYCNAKHYASNYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL10(配列番号90)
QVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCAASGRTISNYDMAWSRQAPGKEREFVARISGSGDRTDYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCQIQDFGSPSFSGQGTQVTVSS;
R1CHCL34(配列番号91)
DVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCAASGRTISNYDMAWSRQAPGKEREFVARISGSGDRTDYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCQIQDFRSPDFWSQGTQVTVSS;
R1CHCL82(配列番号92)
QVQLVESGGESVQAGGSLRLSCAASGRTISNYDMAWSRQAPGKEREFVARISGSGDRTDYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYNCQTQIFGSPNFSGQGTQVTVSS;
R2CHCL3(配列番号93)
QVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFTTSLMQWHRQAPGKEREFVASITWSTGNTHYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQMNSLKPEDTAIYTCRVLAIHGDYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL69 (配列番号 94)
DVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCAASERNLRIYDMAWYRQAPGKEREYVAVISSSGDSTHYSDFVKGRFTISRDNAKNTVSLQMDSLKPEDTAFYYCNVNQIRQWPWGQGTQVTVSS;
R1CHCL56(配列番号95)
QVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCAASERNLRIYDMAWYRQAPGKEREYVAVISSSGDSTHYSDFVKGRFTISRDNAKNTVSLQMDSLKPEDTAFYYCNVNSIRQWPWGQGTQVTVSS;
R2CHCL32(配列番号96)
QVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCTASERNLRSYDMAWWRQAPGKEREYVAVITSSGDSTHYSDFVKGRFTISRDNAKNTVSLQMDSLKPEDTASYYCNVNAIRQWPWGQGTQVTVSS;
R2CHCL49(配列番号97)
DVQLVESGGGSVQAGGSLRLSCAISGLTFSNYHMGWYRQAPGREREFVAQITWSDASIYYAGSVKGRFTISRDNVKNIVYLQIDNLKPEDTAIYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL53(配列番号98)
QVQLVESGGGLVQAGGSLTLSCAISGLTFSSYHMGWYRQAPGREREFVAQITWSDTSIYYAGSVKGRFTISRDNVKNIVYLQIDNLKPEDTAIYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL22(配列番号99)
DVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAISGLTFSRYHMGWYRQAPGREREFVAQITWSDGTTYYPGSVKGRFTISRDNARNTVYLQIDNLKPEDTAIYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL25(配列番号100)
QVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCATSGLTLSSYYIAWYRQAPGREREFVAQIRWSDDSTYYPGSVKGRFTISRDNARNTVYLRMDNLKPEDTARYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL18(配列番号101)
DVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCATSGLTFSSYYTGWYRQAPGREREFVAQISWSDDSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQMNNLKPGDTAIYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R1CHCL23(配列番号102)
DVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCATSGLTLSSYHMGWYRQAPGREREFVAQISWSDDSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQMNNLKPEDTAIYYCDARKVGGPDYWGQGTQVTVSS;
R1CHCL27(配列番号103)
DVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTSSPYVTGWYRQTPGKEREPVATVSWGGVTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNALKPEDTAIYYCNVNTFGNVYWGQGTQVTVSS;
R2CHCL13(配列番号104)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYVMSWVRQAPGKGLEWVASIGSGGGYPSYTDSVEGRFTISRDNAKNTLYLLMDNLKPDDTAVYYCEMLGRRGQGTQVTVSS;
R2CHCL14(配列番号:105)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYVMSWVRQAPGKGLEWVASIGSGGGYPSYTDSVEGRFTISRDNAKNTLYLQMNNLKPDDTAVYYCEMLGRRGQGTQVTVSS;
R2CHCL42(配列番号:106)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYVMSWVRQAPGKGLEWVASIGSGGGYPSYTGSVEGRFTISRDNAKNTLYLLMNNLKPDDTAVYYCEMLGRRGQGTQVTVSS;
R2CHCL41(配列番号:107)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYVMSWVRQAPGKGLEWVAHIGSGGGYPSYTDSVQGRFTISRDNAKNTLYLQMNNLKPEDTAVYYCEMLGRRGQGTQVTVSS;
R2CHCL94(配列番号108)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYVMTWVRQAPGKGLEWVAHIGSGGGHATYTDSVEGRFTISRDNAKNTLYLQMNNLKAEDTAVYYCEFLGRRGQGTQVTVSS;または
R2CHCL27(配列番号109)
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSGYLMSWVRQAPGKGLEWVATIGSGGGITSYADSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNNLKHEDTAVYYCETVIKRGQGTQVTVSS。
【0125】
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載される通り、Clec9Aに対する標的部分の任意の天然または合成の類似体、突然変異体、対立遺伝子、相同体および相同分子種(本明細書では集合的に「類似体」と称する)の使用を企図する。様々な実施形態において、Clec9Aに対する標的部分のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、または他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0126】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に開示される配列の任意の1つと少なくとも約60%同一であるアミノ酸配列を含む標的部分を含む。例えばキメラタンパク質は、本明細書に開示される配列の任意の1つと少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である(例えば、本明細書に開示された配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%、または約100%の配列同一性)、アミノ酸配列を含む標的部分を含み得る。
【0127】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、Clec9Aに特異的に結合する本発明のClec9A標的部分の能力を実質的に低減しない1つまたは複数の突然変異を含む。様々な実施形態において、突然変異は、Clec9Aを中和せずにClec9Aに特異的に結合する標的部分の能力を実質的に低減しない。
【0128】
様々な実施形態において、ヒトClec9Aの完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または単量体形態および/または二量体形態および/または任意の他の天然由来もしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体(単量体および/または二量体形態を含む)に対するClec9A標的部分の結合親和性は、平衡解離定数(K)により記載され得る。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、約1uM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満のKで、ヒトClec9Aの完全長および/または成熟形態および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然由来もしくは合成の類似体、バリアントもしくは突然変異体(単量体および/または二量体形態を含む)に結合する標的部分を含む。
【0129】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、目的の抗原、例えばClec9Aを結合するが機能的にモジュレートしない標的部分を含む。例えば様々な実施形態において、Clec9A標的部分は、抗原を単に標的にするが、抗原が有する生物学的効果を実質的に機能的にモジュレートしない(例えば、実質的に阻害、低減または中和しない)。様々な実施形態において、Clec9A標的部分は、生物活性に重要である抗原部位(例えば、抗原活性部位)から物理的に離れたエピトープを結合する。
【0130】
有意な機能的モジュレーションを有さないそのような結合は、本発明のキメラタンパク質がエフェクター抗原を介して必要な部位に活性免疫細胞を直接的または間接的に動員するために用いられる方法を含む、本発明の様々な実施形態で用途を見出す。例えば、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍を低減または排除する方法において、腫瘍細胞にClec9Aを介して樹状細胞を直接的または間接的に動員するために用いられ得る(例えば、キメラタンパク質は、抗Clec9A抗原認識ドメインを有する標的部分と、腫瘍抗原または受容体に対する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する標的部分と、を含み得る)。そのような実施形態において、樹状細胞を直接的または間接的に動員するがClec9A活性を機能的にモジュレートしないことが、望ましい。これらの実施形態において、Clec9Aシグナル伝達は、腫瘍の低減または排除効果の重要な部分である。
【0131】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞による抗原提示を増強する。例えば、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍細胞にClec9Aを介して樹状細胞を直接的または間接的に動員し、腫瘍抗原が続いてエンドサイトーシスされ、強力な液性および細胞障害性T細胞応答の誘導のために樹状細胞上に提示される。
【0132】
幾つかの実施形態において、標的部分は、非限定的に巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはそれらのサブセットから選択される免疫細胞上の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはそれらのサブセットを、例えば、幾つかの実施形態において、治療部位(例えば、1つまたは複数の疾患細胞、または治療効果のためにモジュレートされる細胞を有する位置)に、直接的または間接的に動員する。
【0133】
幾つかの実施形態において、標的部分は、巨核球および/または血小板に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の巨核球および/または血小板抗原としては、例えばGP IIb/IIIa、GPIb、vWF、PF4、およびTSPが挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的な巨核球および/または血小板抗原の1つまたは複数を結合する。
【0134】
幾つかの実施形態において、標的部分は、赤血球に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の赤血球抗原としては、例えばCD34、CD36、CD38、CD41a(血小板糖タンパク質IIb/IIIa)、CD41b(GPIIb)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD105、グリコフォリンA、グリコフォリンC、c-kit、HLA-DR、H2(MHC-II)、およびアカゲザル抗原が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの例示的な赤血球抗原の1つまたは複数を結合する。
【0135】
幾つかの実施形態において、標的部分は、肥満細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の肥満細胞抗原としては、例えばSCFR/CD117、FcεRI、CD2、CD25、CD35、CD88、CD203c、C5R1、CMAl、FCERlA、FCER2、TPSABlが挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの肥満細胞抗原の1つまたは複数を結合する。
【0136】
幾つかの実施形態において、標的部分は、好塩基球に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の好塩基球抗原としては、例えばFcεRI、CD203c、CD123、CD13、CD107a、CD107b、およびCD164が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの好塩基球抗原の1つまたは複数を結合する。
【0137】
幾つかの実施形態において、標的部分は、好中球に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の好中球抗原としては、例えば7D5、CD10/CALLA、CD13、CD16(FcRIII)、CD18タンパク質(LFA-1、CR3、およびp150、95)、CD45、CD67、およびCD177が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの好中球抗原の1つまたは複数を結合する。
【0138】
幾つかの実施形態において、標的部分は、好酸球に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを含む。例示的な目的の好酸球抗原としては、例えばCD35、CD44およびCD69が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの好酸球抗原の1つまたは複数を結合する。
【0139】
様々な実施形態において、標的部分は、当業者に公知の任意の適当な標的、抗原、受容体、または細胞表面マーカーに結合し得る抗原認識ドメインを含み得る。幾つかの実施形態において、抗原または細胞表面マーカーは、組織特異的マーカーである。例示的な組織特異的マーカーとしては、ACE、CD14、CD34、CDH5、ENG、ICAM2、MCAM、NOS3、PECAMl、PROCR、SELE、SELP、TEK、THBD、VCAMl、VWFなどの内皮細胞表面マーカー;ACTA2、MYHlO、MYHl 1、MYH9、MYOCDなどの平滑筋細胞表面マーカー;ALCAM、CD34、COLlAl、COL1A2、COL3A1、FAP、PH-4などの線維芽細胞(間質)細胞表面マーカー;CDID、K6IRS2、KRTlO、KRT13、KRT17、KRT18、KRT19、KRT4、KRT5、KRT8、MUCl、TACSTDlなどの上皮細胞表面マーカー;CD13、TFNA、アルファ-v ベータ-3(αβ)、E-セレクチンなどの新生血管構造マーカー;ならびにADIPOQ、FABP4、およびRETNなどの脂肪細胞表面マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの抗原の1つまたは複数を結合する。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの抗原を有する細胞の1つまたは複数を結合する。
【0140】
幾つかの実施形態において、認識ドメインは、腫瘍細胞に関連する標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する。幾つかの実施形態において、認識ドメインは、腫瘍細胞を直接的または間接的に動員する。例えば、幾つかの実施形態において、腫瘍細胞の直接的または間接的な動員は、腫瘍細胞を殺傷および/または抑制し得る1つまたは複数のエフェクター細胞(例えば、本明細書に記載される免疫細胞)へである。
【0141】
腫瘍細胞または癌細胞は、身体の臓器および系の正常な機能を妨害する、細胞もしくは組織の非制御的成長および/または細胞生存の異常な増進および/またはアポトーシスの阻害を指す。例えば腫瘍細胞は、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、および休眠状態の腫瘍または微小転移を包含する。例示的な腫瘍細胞としては、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、大腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(gastric cancer)(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、ヘパトーマ、上皮内腫瘍、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺の扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口および咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系の癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃癌(stomach cancer)、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰部癌、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫に加え、B細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、およびワルデンストレームマクログロブリン血症を含むリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、および他の癌腫および肉腫、ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、およびメイグス症候群に関連する異常な血管増殖の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
腫瘍細胞または癌細胞としては、癌腫(例えば、腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、および移行細胞癌を含む様々なサブタイプ)、肉腫(例えば、骨および軟組織など)、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ球性およびヘアリー細胞)、リンパ腫および骨髄腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、軽鎖型、非分泌型、MGUS、および形質細胞腫)、ならびに中枢神経系癌(例えば、脳(例えば、神経膠腫(例えば、星細胞腫、乏突起神経膠腫、および上皮腫)、髄膜腫、脳下垂体腺癌、および神経腫、脊髄腫瘍(例えば、髄膜腫および神経線維腫))も挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
例示的な腫瘍抗原としては、MART-1/Melan-A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、大腸癌関連抗原(Colorectal associated antigen)(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP-1およびCAP-2、etv6、aml1、前立腺特異性抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA-1、PSA-2、およびPSA-3、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3-ゼータ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α-フェトタンパク質、E-カドヘリン、α-カテニン、β-およびγ-カテニン、p120ctn、gp100 Pmel117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネクチン37、Igイディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルス産物などのウイルス産物、腫瘍抗原のSmadファミリー、Imp-1、NA、EBVコード化核抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1 CT-7、c-erbB-2、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、PD-L2、PMSA、およびBCMA(TNFRSF17)が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的部分は、これらの腫瘍抗原の1つまたは複数を結合する。
【0144】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、またはそれらのサブセットから選択される免疫細胞に対する標的部分の1つまたは複数と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分の1つまたは複数を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)T細胞(非限定的にエフェクターT細胞を含む)に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)B細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)マクロファージに対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0145】
非限定的例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えば、CD8、SLAMF4、IL-2 Rα、4-1BB/TNFRSF9、IL-2 Rβ、ALCAM、B7-1、IL-4 R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL-6 R、CCR3、IL-7 Rα、CCR4、CXCRl/IL-S RA、CCR5、CCR6、IL-10 Rα、CCR7、IL-l0 Rβ、CCRS、IL-12 Rβ1、CCR9、IL-12 Rβ2、CD2、IL-13 Rα1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、インテグリンα 4/CD49d、CDS、インテグリンα E/CD103、CD6、インテグリンα M/CD11b、CDS、インテグリンα X/CD11c、インテグリンβ 2/CDlS、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40リガンド/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、共通γ鎖/IL-2 Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、CXCR3、SIRP β1、CXCR4、SLAM、CXCR6、TCCR/WSX-1、DNAM-1、チモポエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、Fcγ RIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュライシン、TNF RIII/TNFRSF1B、TRAIL Rl/TNFRSFlOA、ICAM-1/CD54、TRAIL R2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-γR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γ R2、TSLP、IL-1 R1、またはTSLP Rへの標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と;(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0146】
非限定的例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異した)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)T細胞上で発現されるチェックポイントマーカー、例えばPD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、CD27、CD40L、TIM3、およびA2aRの1つまたは複数と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0147】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、PD-1に対する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PD-1ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PD-1ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質を含む。
【0148】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(MK-3475、KEYTRUDAとしても公知)、またはそのフラグメントを含む。ペムブロリズマブおよび他のヒト化抗PD-1抗体は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、Hamid,et al.(2013) New England Journal of Medicine 369(2):134-44、US8,354,509およびWO2009/114335に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのペムブロリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGVEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYYMYWVRQAPGQGLEWMGGINPSNGGTNF NEKFKNRVTLTTDSSTTTAYMELKSLQFDDTAVYYCARRDYRFDMGFDYWGQGTTVTVSS ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS GLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSV FLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTY RVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTK NQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEG NVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号110)、
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASKGVSTSGYSYLHWYQQKPGQAPRLLIYLASYLES GVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSRDLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVF IFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLS STLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号111)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0149】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-1抗体ニボルマブ(BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、OPDIVOとしても公知)、またはそのフラグメントを含む。ニボルマブ(クローン5C4)およびPD-1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、US8,008,449およびWO2006/121168に開示される。例示的な実施形態において、ニボルマブまたはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVESGGG VVQPGRSLRL DCKASGITFS NSGMHWVRQA PGKGLEWVAV IWYDGSKRYY
ADSVKGRFTI SRDNSKNTLF LQMNSLRAED TAVYYCATND DYWGQGTLVT VSSASTKGPS
VFPLAPCSRS TSESTAALGC LVKDYFPEPV TVSWNSGALT SGVHTFPAVL QSSGLYSLSS
VVTVPSSSLG TKTYTCNVDH KPSNTKVDKR VESKYGPPCP PCPAPEFLGG PSVFLFPPKP
KDTLMISRTP EVTCVVVDVS QEDPEVQFNW YVDGVEVHNA KTKPREEQFN STYRVVSVLT
VLHQDWLNGK EYKCKVSNKG LPSSIEKTIS KAKGQPREPQ VYTLPPSQEE MTKNQVSLTC
LVKGFYPSDI AVEWESNGQP ENNYKTTPPV LDSDGSFFLY SRLTVDKSRW QEGNVFSCSV
MHEALHNHYT QKSLSLSLGK(配列番号112)
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASQSVS SYLAWYQQKP GQAPRLLIYD ASNRATGIPA
RFSGSGSGTD FTLTISSLEP EDFAVYYCQQ SSNWPRTFGQ GTKVEIKRTV AAPSVFIFPP
SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT
LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC(配列番号113)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0150】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-1抗体ピジリズマブ(CT-011、hBATまたはhBAT-1としても公知)、またはそのフラグメントを含む。ピジリズマブおよび他のヒト化抗PD-Iモノクローナル抗体は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、US2008/0025980およびWO2009/101611に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2008/0025980の配列番号15~18:
US2008/0025980の配列番号15(配列番号114):
EIVLTQSPSSLSASVGDRVTITCSARSSVSYMHWYQQKPGKAPKLLIYRTSNLASGVPSR
FSGSGSGTDFTLTINSLQPEDFATYYCQQRSSFPLTFGGGTKLEIK;
US2008/0025980の配列番号16(配列番号115):
EIVLTQSPSSLSASVGDRVTITCSARSSVSYMHWFQQKPGKAPKLWIYRTSNLASGVPSR
FSGSGSGTDYTLTINSLQPEDFATYYCQQRSSFPLTFGGGTKLEIK;
US2008/0025980の配列番号17(配列番号116):
EIVLTQSPSSLSASVGDRVTITCSARSSVSYMHWFQQKPGKAPKLWIYRTSNLASGVPSR
FSGSGSGTDYCLTINSLQPEDFATYYCQQRSSFPLTFGGGTKLEIK;
US2008/0025980の配列番号18(配列番号117):
EIVLTQSPSSLSASVGDRVTITCSARSSVSYMHWFQQKPGKAPKLWIYRTSNLASGVPSR
FSGSGSGTSYCLTINSLQPEDFATYYCQQRSSFPLTFGGGTKLEIK;
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および/または
US2008/0025980の配列番号20~24:
US2008/0025980の配列番号20(配列番号118):
QVQLVQSGSELKKPGASVKISCKASGYSFSNYGMNWVRQAPGQGLQWMGWINTDSGESTY
AEEFKGRFVFSLDTSVSTAYLQITSLTAEDTGMYFCAKVGYDALDYWGQGTLVTVSS;
US2008/0025980の配列番号21(配列番号119):
QVQLVQSGSELKKPGASVKISCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLQWMGWINTDSGESTY
AEEFKGRFVFSLDTSVSTAYLQITSLTAEDTGMYFCAKVGYDALDYWGQGTLVTVSS;
US2008/0025980の配列番号22(配列番号120):
QVQLVQSGSELKKPGASVKISCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLQWMGWINTDSGESTY
AEEFKGRFVFSLDTSVNTAYLQITSLTAEDTGMYFCVRVGYDALDYWGQGTLVTVSS;
US2008/0025980の配列番号23(配列番号121):
QIQLVQSGSELKKPGASVKISCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLQWMGWINTDSGESTY
AEEFKGRFVFSLDTSVNTAYLQITSLTAEDTGMYFCVRVGYDALDYWGQGTLVTVSS;
US2008/0025980の配列番号24(配列番号122):
QIQLVQSGSELKKPGASVKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTDSGESTY
AEEFKGRFAFSLDTSVNTAYLQITSLNAEDTGMYFCVRVGYDALDYWGQGTLVTVSS
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、
を含む。
【0151】
一実施形態において、標的部分は、US2008/0025980の配列番号18を含む軽鎖とUS2008/0025980の配列番号22を含む重鎖とを含む。
【0152】
一実施形態において、標的部分は、AMP-514(MEDI-0680としても公知)を含む。
【0153】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2010/027827およびWO2011/066342に開示されるPD-L2-Fc融合タンパク質AMP-224を含む。そのような実施形態において、標的部分は、WO2010/027827の配列番号4(配列番号123):
LFTVTVPKELYIIEHGSNVTLECNFDTGSHVNLGAITASLQKVENDTSPHRERATLLEEQ
LPLGKASFHIPQVQVRDEGQYQCIIIYGVAWDYKYLTLKVKASYRKINTHILKVPETDEV
ELTCQATGYPLAEVSWPNVSVPANTSHSRTPEGLYQVTSVLRLKPPPGRNFSCVFWNTHV
RELTLASIDLQSQMEPRTHPTWLLHIFIPFCIIAFIFIATVIALRKQLCQKLYSSKDTTK
RPVTTTKREVNSAI
を含む標的化ドメイン、および/または
WO2010/027827の配列番号83(配列番号124):
MIFLLLMLSLELQLHQIAALFTVTVPKELYIIEHGSNVTLECNFDTGSHVNLGAITASLQ
KVENDTSPHRERATLLEEQLPLGKASFHIPQVQVRDEGQYQCIIIYGVAWDYKYLTLKVK
ASYRKINTHILKVPETDEVELTCQATGYPLAEVSWPNVSVPANTSHSRTPEGLYQVTSVL
RLKPPPGRNFSCVFWNTHVRELTLASIDLQSQMEPRTHPTWEPKSCDKTHTCPPCPAPEL
LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREE
QYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPS
RDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDK
SRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
を含むB7-DC融合タンパク質
を含み得る。
【0154】
一実施形態において、標的部分は、ペプチドAUNP12またはUS2011/0318373もしくは同8,907,053に開示される他のペプチドのいずれかを含む。例えば、標的部分は、配列番号125:
SNTSESFK (SNTSESF)FRVTQLAPKAQIKE-NH2
【化1】
の配列を有するAUNP12(即ち、US2011/0318373の化合物8または配列番号49)を含み得る。
【0155】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-1抗体1E3またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための1E3またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLQQSGPV LVKPGASVKM SCKASGYTFT DYYMNWVKQS HGKSLEWIGN
INPYNGGTTY NQKFKGKATL TVDKSSRTAY MEINSLTSED SAVYYCARGR
IYDGSLDYWG QGTALTVSS(配列番号126)
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIQMTQFPSS LCASQGGKVT VTCKASQDIN NYMAWYQHKP GKGPRLLIHY
TSTLLSGIPS RFSGSGSGRD YSFSISNLEP EDIATYYCLQ YDNLWTFGGG
TKLEIK(配列番号127)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0156】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-1抗体1E8またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための1E8またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLQQSGAE LAKPGASVRL SCKASGYTFT NYWMHWVKQR PGQGLEWIGH
INPSSGFTTY NQNFKDKATL TADKSSNTAY MQLSSLTYED SAVYFCARED
YDVDYWGQGT TLTVSS(配列番号128);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIVMTQSQKF MSTSVGDRVS VTCKASQSVD TNVAWYQQKP GQSPKALIFS
ASYRYSGVPD RFTGSGSGTD FTLTINSVQS EDLAEYFCQQ YNSYPYTFGS
GTKLEIK(配列番号129)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0157】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-1抗体1H3、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための1H3またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLVESGGG LVKPGGSLKL SCAASGFTFS DYGMHWVRQA PEKGLEWVAY
ISSGSYTIYY TDTVKGRFTI SRDNAKNTLF LQMTSLRSED TAMYYCARRG
YGSFYEYYFD YWGQGTTLTV SS(配列番号130);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
QIVLTQSPAL MSASPGEKVT MTCSASSSVS YMYWYQQKPR SSPKPWIYLT
SNLASGVPAR FSGSGSGTSY SLTISSMEAE DAATYYCQQW SSNPFTFGSG
TKLEIK(配列番号131)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0158】
一実施形態において、標的部分は、例えば開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS8,907,065およびWO2008/071447、に開示されるPD-1に対するVHHを含む。例示的な実施形態において、PD-1に対するVHHは、
US8,907,065の配列番号347~351:
US8,907,065の配列番号347(配列番号132):
EVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCAASGSIFSIHAMGWFRQAPGKEREFVAA
ITWSGGITYYEDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCAADR
AESSWYDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号348(配列番号133):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIASIHAMGWFRQAPGKEREFVAV
ITWSGGITYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCAGDK
HQSSWYDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号349(配列番号134):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSISSIHAMGWFRQAPGKEREFVAA
ITWSGGITYYADSLKGRFTISRDNAKNTGYLQMNSLKPEDTAIYYCAADR
AQSSWYDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号350(配列番号135):
EVQLVESGGGLVQAGGSLGLSCAASGSIFSINAMAWFRQAPGKEREFVAL
ISWSGGSTYYEDSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAIYYCAADR
VDSNWYDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号351(配列番号136):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRAFSSGTMGWFRRAPGKEREFVA
SIPWSGGRIYYADSVKGRFTISRDNAQNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAVK
ERSTGWDFASWGQCTQVTVSS
を含む。
【0159】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2011/0271358およびWO2010/036959に開示される抗PD-1抗体、またはそのフラグメントの任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2011/0271358の配列番号25~29:
US2011/0271358の配列番号25(配列番号137):
QVQLVQSGAELKQPGASVKMSCKASGYSFTSSWIHWVKQAPGQGLEWIGYIYPSTGFTEY
NQKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDSAVYYCARWRDSSGYHAMDYWGQGTSVTVS
S;
US2011/0271358の配列番号26(配列番号138):
QVQLVQSGAEVKQPGASVKMSCKASGYSFTSSWIHWVKQAPGQGLEWIGYIYPSTGFTEY
NQKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYY3/d10CARWRDSSGYHAMDYWGQGTSVTVS
S;
US2011/0271358の配列番号27(配列番号139):
QVQLVQSGHEVKQPGASVKMSCKASGYSFTSSWIHWVKQAPGQGLEWIGYIYPSTGFTEY
NQKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARWRDSSGYHAMDYWGQGTLVTVS
S;
US2011/0271358の配列番号28(配列番号140):
QVQLVQSGHEVKQPGASVKMSCKASGYSFTSSWIHWVRQAPGQGLEWIGYIYPSTGFTEY
NQKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARWRDSSGYHAMDYWGQGTLVTVS
S;
US2011/0271358の配列番号29(配列番号141):
QVQLVQSGHEVKQPGASVKVSCKASGYSFTSSWIHWVRQAPGQGLEWIGYIYPSTGFTEY
NQKFKDRATITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARWRDSSGYHAMDYWGQGTLVTVS

から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2011/0271358の配列番号30~33:
US2011/0271358の配列番号30(配列番号142):
DIVLTQSPASLTLSPGQRLTISCRASQSVSTSGYSYMHWYQQKPDQSPKLLIKFGSNLES
GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEEEDFATYYCQHSWEIPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号31(配列番号143):
DIVLTQSPATLSLSPGQRLTISCRASQSVSTSGYSYMHWYQQKPDQSPKLLIKFGSNLES
GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFATYYCQHSWEIPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号32(配列番号144):
EIVLTQSPATLSLSPGQRLTISCRASQSVSTSGYSYMHWYQQKPDQSPKLLIKFGSNLES
GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFATYYCQHSWEIPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号33(配列番号145):
DIVLTQSPATLSLSPGQRLTISCRASQSVSTSGYSYMHWYQQKPDQSPKLLIKFGSNLES
GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQHSWEIPYTFGQGTKLEIK.
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0160】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、TSR-042(Tesaro,Inc.)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)、PDR001(Novartis Pharmaceuticals)、およびBGB-A317(BeiGene Ltd.)から選択されるPD-1に対する1つまたは複数の抗体、またはその抗体断片を含む。
【0161】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、PD-L1に対する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PD-L1ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PD-L1ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質を含む。
【0162】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-1抗体MEDI4736(デュルバルマブとしても公知)、またはそのフラグメントを含む。MEDI4736は、PD-L1に選択的であり、PD-1およびCD80受容体へのPD-L1の結合を遮断する。本明細書で提供される方法における使用のためのMEDI4736および抗原結合フラグメントは、重鎖と軽鎖、または重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む。MEDI4736の配列は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO/2016/06272に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのMEDI4736またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS RYWMSWVRQA PGKGLEWVAN
IKQDGSEKYY VDSVKGRFTI SRDNAKNSLY LQMNSLRAED TAVYYCAREG
GWFGELAFDY WGQGTLVTVS SASTKGPSVF PLAPSSKSTS GGTAALGCLV
KDYFPEPVTV SWNSGALTSG VHTFPAVLQS SGLYSLSSVV TVPSSSLGTQ
TYICNVNHKP SNTKVDKRVE PKSCDKTHTC PPCPAPEFEG GPSVFLFPPK
PKDTLMISRT PEVTCVVVDV SHEDPEVKFN WYVDGVEVHN AKTKPREEQY
NSTYRVVSVL TVLHQDWLNG KEYKCKVSNK ALPASIEKTI SKAKGQPREP
QVYTLPPSRE EMTKNQVSLT CLVKGFYPSD IAVEWESNGQ PENNYKTTPP
VLDSDGSFFL YSKLTVDKSR WQQGNVFSCS VMHEALHNHY TQKSLSLSPG
K(配列番号146);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
EIVLTQSPGT LSLSPGERAT LSCRASQRVS SSYLAWYQQK PGQAPRLLIY
DASSRATGIP DRFSGSGSGT DFTLTISRLE PEDFAVYYCQ QYGSLPWTFG
QGTKVEIKRT VAAPSVFIFP PSDEQLKSGT ASVVCLLNNF YPREAKVQWK
VDNALQSGNS QESVTEQDSK DSTYSLSSTL TLSKADYEKH KVYACEVTHQ
GLSSPVTKSF NRGEC(配列番号147)
のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0163】
例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのMEDI4736またはその抗原結合フラグメントは、
WO/2016/06272の配列番号4(配列番号148):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYY
VDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGGWFGELAFDYWGQGTLVTVS
S;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO/2016/06272の配列番号3(配列番号149):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQRVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSLPWTFGQGTKVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0164】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(MPDL3280A、RG7446としても公知)、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのアテゾリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号150);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号151)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0165】
一実施形態において、標的部分は、抗PD-L1抗体アベルマブ(MSB0010718Cとしても公知)、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのアベルマブまたはその抗原結合フラグメントは、
EVQLLESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS SYIMMWVRQA PGKGLEWVSS
IYPSGGITFY ADTVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARIK
LGTVTTVDYW GQGTLVTVSS ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK
DYFPEPVTVS WNSGALTSGV HTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSSLGTQT
YICNVNHKPS NTKVDKKVEP KSCDKTHTCP PCPAPELLGG PSVFLFPPKP
KDTLMISRTP EVTCVVVDVS HEDPEVKFNW YVDGVEVHNA KTKPREEQYN
STYRVVSVLT VLHQDWLNGK EYKCKVSNKA LPAPIEKTIS KAKGQPREPQ
VYTLPPSRDE LTKNQVSLTC LVKGFYPSDI AVEWESNGQP ENNYKTTPPV
LDSDGSFFLY SKLTVDKSRW QQGNVFSCSV MHEALHNHYT QKSLSLSPGK(配列番号152);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
QSALTQPASV SGSPGQSITI SCTGTSSDVG GYNYVSWYQQ HPGKAPKLMI
YDVSNRPSGV SNRFSGSKSG NTASLTISGL QAEDEADYYC SSYTSSSTRV
FGTGTKVTVL GQPKANPTVT LFPPSSEELQ ANKATLVCLI SDFYPGAVTV
AWKADGSPVK AGVETTKPSK QSNNKYAASS YLSLTPEQWK SHRSYSCQVT
HEGSTVEKTV APTECS(配列番号153)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0166】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体BMS-936559(12A4、MDX-1105としても公知)、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のためのBMS-936559またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSTYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHY
AQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVT
VSS(配列番号154);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK(配列番号155)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0167】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体3G10、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための3G10またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYGFSWVRQAPGQGLEWMGWITAYNGNTNY
AQKLQGRVTMTTDTSTSTVYMELRSLRSDDTAVYYCARDYFYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号156)
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLVWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPRTFGQGTKVEIK(配列番号157)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0168】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体10A5、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための10A5またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYDVHWVRQAPGQRLEWMGWLHADTGITKF
SQKFQGRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARERIQLWFDYWGQGTLVTVSS(配列番号158);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPYTFGQGTKLEIK(配列番号159)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0169】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体5F8、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための5F8またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKVSGGIFSTYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANH
AQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDQGIAAALFDYWGQGTLVTVSS(配列番号160);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPWTFGQGTKVEIK(配列番号161)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0170】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体10H10、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための10H10またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAVSGFTFDDYVVHWVRQAPGKGLEWVSGISGNSGNIGY
ADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAVPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号162);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPYTFGQGTKLEIK(配列番号163)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0171】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体1B12、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための1B12またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGDTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGRAHY
AQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARKFHFVSGSPFGMDVWGQGTTVT
VSS(配列番号164);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK(配列番号165)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0172】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体7H1、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための7H1またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKTSGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGKAHY
AQKFQGRVTITADESTTTAYMELSSLRSEDTAVYYCARKYDYVSGSPFGMDVWGQGTTVT
VSS(配列番号166);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTKVEIK(配列番号167)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0173】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体11E6、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための11E6またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAINWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGSANY
AQKFQDRVTITADESTSAAYMELSSLRSEDTAVYYCARDSSGWSRYYMDVWGQGTTVTVS
S(配列番号168);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPFGGGTKVEIK(配列番号:169)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0174】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体12B7、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための12B7またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKEPGSSVKVSCKASGGTFNSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPLFGIAHY
AQKFQGRVTITADESTNTAYMDLSSLRSEDTAVYYCARKYSYVSGSPFGMDVWGQGTTVT
VSS(配列番号170);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPTFGQGTRLEIK(配列番号171)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0175】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2013/0309250およびWO2007/005874に開示される抗PD-L1抗体13G4、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための13G4またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGITFDDYGMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNRGRIEY
ADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTALYYCAKGRFRYFDWFLDYWGQGTLVTVS
S(配列番号172);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSALAWYQQKPGKAPKLLIYDASSLESGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQFNSYPFTFGPGTKVDIK(配列番号173)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0176】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-L1抗体1E12、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための1E12またはその抗原結合フラグメントは、
EVKLQESGPS LVKPSQTLSL TCSVTGYSIT SDYWNWIRKF PGNKLEYVGY
ISYTGSTYYN PSLKSRISIT RDTSKNQYYL QLNSVTSEDT ATYYCARYGG
WLSPFDYWGQ GTTLTVSS(配列番号174);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIVMTQSHKL MSTSVGDRVS ITCKASQDVG TAVAWYQQKP GQSPKLLIYW
ASTRHTGVPD RFTGSGSGTD FTLTISNVQS EDLADYFCQQ DSSYPLTFGA
GTKVELK(配列番号175)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0177】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-L1抗体1F4、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための1F4またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLQESGPG LVAPSQSLSI TCTVSGFSLT TYSINWIRQP PGKGLEWLGV
MWAGGGTNSN SVLKSRLIIS KDNSKSQVFL KMNSLQTDDT ARYYCARYYG
NSPYYAIDYW GQGTSVTVSS(配列番号176);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIVTTQSHKL MSTSVGDRVS ITCKASQDVG TAVAWYQQKP GQSPKLLIYW
ASTRHTGVPD RFTGSGSGTD FTLTISNVQS EDLADYFCQQ DSSYPLTFGA
GTKVELK(配列番号177)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0178】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-L1抗体2G11、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2G11またはその抗原結合フラグメントは、
EVKLQESGPS LVKPSQTLSL TCSVTGYSII SDYWNWIRKF PGNKLEYLGY
ISYTGSTYYN PSLKSRISIT RDTSKNQYYL QLNSVTTEDT ATYYCARRGG
WLLPFDYWGQ GTTLTVSS(配列番号178);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIVMTQSPSS LAVSVGEKVS MGCKSSQSLL YSSNQKNSLA WYQQKPGQSP
KLLIDWASTR ESGVPDRFTG SGSGTDFTLT ISSVKAEDLA VYYCQQYYGY
PLTFGAGTKL ELK(配列番号179)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0179】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738に開示される抗PD-L1抗体3B6、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための3B6またはその抗原結合フラグメントは、
EVKLQESGPS LVKPGASVKL SCKASGYTFT SYDINWVKQR PGQGLEWIGW
IFPRDNNTKY NENFKGKATL TVDTSSTTAY MELHSLTSED SAVYFCTKEN
WVGDFDYWGQ GTTLTLSS(配列番号180);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIVMTQSPAI MSASPGEKVT MTCSASSSIR YMHWYQQKPG TSPKRWISDT
SKLTSGVPAR FSGSGSGTSY ALTISSMEAE DAATYYCHQR SSYPWTFGGG
TKLEIK(配列番号181)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0180】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2014/0044738およびWO2012/145493に開示される抗PD-L1抗体3D10、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための3D10またはその抗原結合フラグメントは、
EVQLQQSGPD LVTPGASVRI SCQASGYTFP DYYMNWVKQS HGKSLEWIGD
IDPNYGGTTY NQKFKGKAIL TVDRSSSTAY MELRSLTSED SAVYYCARGA
LTDWGQGTSL TVSS(配列番号182);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
QIVLSQSPAI LSASPGEKVT MTCRASSSVS YIYWFQQKPG SSPKPWIYAT
FNLASGVPAR FSGSGSGTSY SLTISRVETE DAATYYCQQW SNNPLTFGAG
TKLELK(配列番号183)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0181】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2011/0271358およびWO2010/036959に開示される抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2011/0271358の配列番号34~38:
US2011/0271358の配列番号34(配列番号184):
EVQLVQSGPELKKPGASVKMSCKASGYTFTSYVMHWVKQAPGQRLEWIGYVNPFNDGTKY
NEMFKGRATLTSDKSTSTAYMELSSLRSEDSAVYYCARQAWGYPWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号35(配列番号185):
EVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTSYVMHWVKQAPGQRLEWIGYVNPFNDGTKY
NEMFKGRATLTSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARQAWGYPWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号36(配列番号186):
EVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTSYVMHWVRQAPGQRLEWIGYVNPFNDGTKY
NEMFKGRATLTSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARQAWGYPWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号37(配列番号187):
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYVMHWVRQAPGQRLEWIGYVNPFNDGTKY
NEMFKGRATLTSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARQAWGYPWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号38(配列番号188):
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYVMHWVRQAPGQRLEWIGYVNPFNDGTKY
NEMFKGRATITSDKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARQAWGYPWGQGTLVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2011/0271358の配列番号39~42:
US2011/0271358の配列番号39(配列番号189):
DIVLTQSPASLALSPGERATLSCRATESVEYYGTSLVQWYQQKPGQPPKLLIYAASSVDS
GVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEEEDAAMYFCQQSRRVPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号40(配列番号190):
DIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRATESVEYYGTSLVQWYQQKPGQPPKLLIYAASSVDS
GVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAAMYFCQQSRRVPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号41(配列番号191):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRATESVEYYGTSLVQWYQQKPGQPPKLLIYAASSVDS
GVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAAMYFCQQSRRVPYTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号42(配列番号192):
DIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRATESVEYYGTSLVQWYQQKPGQPPKLLIYAASSVDS
GVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAATYFCQQSRRVPYTFGQGTKLEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0182】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.7A4、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.7A4またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号2(配列番号193):
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSTYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSGDYIYY
ADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLKAEDTAVYYCARDLVTSMVAFDYWGQGTLVTVSS;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号7(配列番号194):
SYELTQPPSVSVSPGQAARITCSGDALPQKYVFWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRPSGIPER
FSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTDRSGNHRVFGGGTRLTVL
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0183】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.9D10、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.9D10またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号12(配列番号195):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGGEQYY
VDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDWNYGYYDMDVWGQGTTVTVSS;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号17(配列番号196):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSNYLAWFQQKPGQAPRLLIFGTSSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSIFTFGPGTKVDIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0184】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.14H9、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.14H9またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号22(配列番号197):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYY
VDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGGWFGELAFDYWGQGTLVTVS
S;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号27(配列番号198):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQRVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSLPWTFGQGTEVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0185】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.20A8、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.20A8またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号32(配列番号199):
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAIRGSGGSTYY
ADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDLHYDSSGYLDYWGQGTLVTVS
S;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号37(配列番号200):
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGIRSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAISRLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQANSFPLTFGGGTKVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0186】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体3.15G8、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための3.15G8またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号42(配列番号201):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGGEKYY
VDSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARVQLYSDYFDYWGQGTLVTVSS;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号47(配列番号202):
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKSGKAPKLLIYAASGLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDLATYYCQQSHSLPPTFGQGTKVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0187】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体3.18G1、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための3.18G1またはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号52(配列番号203):
EVQLLESGGDLVQPGGSLRLSCAASGFTFNSYAMSWVRQAPGKGLEWVSTISGSGGFTFS
ADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRVEDSAVYSCAKVLVGFNNGCWDYWGQGTLVTVS
S;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号57(配列番号204):
SYVLTQPPSVSVAPGQTARITCGGNNIGSKSVHWYQQKPGQAPVLVVYDDSDRPSGIPER
FSGSNSGNTATLTISRVEAGDEADYYCQVWDSSNDHVVFGGGTKLTVL
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0188】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.7A4OPT、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.7A4OPTまたはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号62(配列番号205):
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSTYSMNWVRQAPGKGLEWVSSISSSGDYIYY
ADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLVTSMVAFDYWGQGTLVTVSS;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号67(配列番号206):
SYELTQPPSVSVSPGQTARITCSGDALPQKYVFWYQQKSGQAPVLVIYEDSKRPSGIPER
FSGSSSGTMATLTISGAQVEDEADYYCYSTDRSGNHRVFGGGTKLTVL
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0189】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2011/066389、US8,779,108、およびUS2014/0356353に開示される抗PD-L1抗体2.14H9OPT、またはそのフラグメントを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための2.14H9OPTまたはその抗原結合フラグメントは、
WO2011/066389の配列番号72(配列番号207):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLEWVANIKQDGSEKYY
VDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGGWFGELAFDYWGQGTLVTVS
S;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
WO2011/066389の配列番号77(配列番号208):
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQRVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSLPWTFGQGTKVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0190】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2016/061142に開示される抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
WO2016/061142の配列番号18、30、38、46、50、54、62、70、および78:
WO2016/061142の配列番号18(配列番号209):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMYWVRQATGQGLEWMGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号30(配列番号210):
EVQLVQSGAEVKKPGATVKISCKVSGYTFTSYWMYWVRQATGQGLEWMGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号38(配列番号211):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTSYWMYWVRQAPGQGLEWMGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号46(配列番号212):
EVQLVQSGAEVKKPGATVKISCKVSGYTFTSYWMYWIRQSPSRGLEWLGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRLTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号50(配列番号213):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTSYWMYWIRQPPGKGLEWIGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号54(配列番号214):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYWMYWIRQSPSRGLEWLGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号62(配列番号215)
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTSYWMYWVRQARGQRLEWIGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRLTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号70(配列番号216):
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFSGYTFTSYWMYWVRQAPGKGLEWVSRIDPNSGSTKY
NEKFKNRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
WO2016/061142の配列番号78(配列番号217):
EVQLVQSGAEVKKPGATVKISCKVSGYTFTSYWMYWVRQARGQRLEWIGRIDPNSGSTKY
NEKFKNRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDYRKGLYAMDYWGQGTTVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
WO2016/061142の配列番号22、26、34、42、58、66、74、82、および86:
WO2016/061142の配列番号22(配列番号218):
DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGIPA
RFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号26(配列番号219):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号34(配列番号220):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGVPD
RFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号42(配列番号221):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK
WO2016/061142の配列番号58(配列番号222):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGIPP
RFSGSGYGTDFTLTINNIESEDAAYYFCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号66(配列番号223):
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCKASQDVGTAVAWYQQKPGQAPRLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号74(配列番号224):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGTAVAWYQQKPGQAPRLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号82(配列番号225):
AIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVGTAVAWYLQKPGQSPQLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK;
WO2016/061142の配列番号86(配列番号226):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCKASQDVGTAVAWYQQKPGQAPRLLIYWASTRHTGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYPLTFGQGTKVEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0191】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2016/022630に開示される抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
WO2016/022630の配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、および46:
WO2016/022630の配列番号2(配列番号227):
EVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFIFRSYGMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGSTYYP
DSVKGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYDCARGYDSGFAYWGQGTLVTVSE;
WO2016/022630の配列番号6(配列番号228):
EVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFRSYGMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGTTYYP
DSVKGRFIISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCAKGYDSGFAYWGQGTLVIVSA;
WO2016/022630の配列番号10(配列番号229):
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTTYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWRGVTTDYN
AAFMSRLTITKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCARLGFYAMDYWGQGTSVTVSS;
WO2016/022630の配列番号14(配列番号230):
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGVTDYN
AAFISRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYYCARLGFYAMDYWGQGTSVTVSS;
WO2016/022630の配列番号18(配列番号231):
EVKLFESGGGLVQPGGSLKLSCVASGFDFSTYWMHWVRQAPGQGLEWIGQINPDSTTINY
APSLKDRFIISRDNAKNTLFLQMSKVRSEDTALYYCAKPGDYGYDFDCWGQGTTLTVSS;
WO2016/022630の配列番号22(配列番号232):
EVQLQESGPSLVKPSQTLSLTCSVTGDSITSGYWNWIRKFPGNKLEYMGYISYSGSTYYN
PSLKSRISITRDTSKNQYYLQLNSVTTEDTATYYCARSLLWFSTGFAYWGQGTLVTVSA;
WO2016/022630の配列番号26(配列番号233):
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTSYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGITDYN
AAFKSRLSISKDNSKSQVFFKMNSLQANDTAIYFCARLGFYAMDYWGQGTSVTVSS;
WO2016/022630の配列番号30(配列番号234):
EVKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFRSYGMSWARQIPEKRLEWVASISSGGTTYYL
GSVQGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCARGYDAGFAYWGQGTLVSVSE;
WO2016/022630の配列番号34(配列番号235):
EVQLQESGPSLVKPSQTLSLTCSVTGDSITSGYWTWIRKFPGNKLEYMGYISYTGSTYYN
PSLKSRISISRDTSKSQYYLQLNSVTTEDTATYYCARQRDWLGFAYWGQGTLVTVSA;
WO2016/022630の配列番号38(配列番号236):
EEKLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFSFSSYGMSWVRQTPEKRLEWVASISSGGSIYYP
DSVKGRFTISRDNARNILYLQMSSLRSEDTAMYYCARGYDAGFAFWGQGTLVTASA;
WO2016/022630の配列番号42(配列番号237):
QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTVSGFSLSTYGVHWIRQPPGKALEWLGVIWRGVTTDYN
AAFMSRLTITKDNSKNQVVLTMNNMDPVDTATYYCARLGFYAMDYWGQGTLVTVSS;
WO2016/022630の配列番号46(配列番号238):
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFIFRSYGMSWVRQAPGKGLEWVASISSGGSTYYP
DSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYDCARGYDSGFAYWGQGTLVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
WO2016/022630の配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、および48:
WO2016/022630の配列番号4(配列番号239):
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASQSVSTSSSSFMHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLES
GVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDTATYYCQHSWEIPYTFGGGTKLEIKR;
WO2016/022630の配列番号8(配列番号240):
DIVLTQSPPSLAVSLGQRATISCRASQSVSTSSSSYMHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLES
GVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDTATYYCQHSWEIPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号12(配列番号241):
SIVMTQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGQSPKLLIYYAANRYTGVPD
RFTGSGYGTDFTFTISIVQAEDLAVYFCQQDYTSPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号16(配列番号242):
SIVMTQTPKFLLVSAGDRVTITCKASQSVSNDVGWYQQKPGQSPKLLIYYASNRYSGVPD
RFTGSGYGTDFTFTISTVQAEDLAVYFCQQDYTSPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号20(配列番号243):
DVLMTQTPLYLPVSLGDQASISCRSSQIIVHSNANTYLEWFLQKPGQSPKLLIYKVSNRF
SGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号24(配列番号244):
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTLTCSASSSVSSSYLYWNQQKPGSSPKVWIYNTSNLASGVP
ARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAASYFCHQWRSYPPTLGAGTKLELK;
WO2016/022630の配列番号28(配列番号245):
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSANSSVSYMHWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAR
FSGSGSGTSYSLTISSMGAEDAATYYCQQWSSNPWTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号32(配列番号246):
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASQSVSTSSYSYMHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLES
GVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDTATYYCQNSWEIPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号36(配列番号247):
DIVMTQTPSSLAVSLGEKVTMSCKSSQSLLYSSNQKNSLAWYQQKPGQSPKLLIYWASNR
ESGVPDRFTGSSSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCQQYYSYPLTFGAGTKLELK;
WO2016/022630の配列番号40(配列番号248):
DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCRASQSVSTSSYSYVHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLES
GVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDTATYYCQHSWEIPYTFGGGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号44(配列番号249):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQSVSNDVAWYQQKPGKAPKLLIYYAANRYTGVPD
RFSGSGYGTDFTFTISSLQPEDIATYFCQQDYTSPYTFGQGTKLEIK;
WO2016/022630の配列番号48(配列番号250):
DIVLTQSPASLAVSPGQRATITCRASQSVSTSSSSFMHWYQQKPGQPPKLLIKYASNLES
GVPARFSGSGSGTDFTLTINPVEANDTANYYCQHSWEIPYTFGQGTKLEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0192】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/112900に開示される抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
WO2015/112900の配列番号38、50、82、および86:
WO2015/112900の配列番号38(配列番号251):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTTYWMHWVRQATGQGLEWMGNIYPGTGGSNF
DEKFKNRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTRWTTGTGAYWGQGTTVTVSS;
WO2015/112900の配列番号50(配列番号252):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTTYWMHWIRQSPSRGLEWLGNIYPGTGGSNF
DEKFKNRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTRWTTGTGAYWGQGTTVTVSS;
WO2015/112900の配列番号82(配列番号253):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTYWMHWIRQSPSRGLEWLGNIYPGTGGSNF
DEKFKNRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTRWTTGTGAYWGQGTTVTVSS;
WO2015/112900の配列番号86(配列番号254):
EVQLVQSGAEVKKPGESLRISCKGSGYTFTTYWMHWVRQAPGQGLEWMGNIYPGTGGSNF
DEKFKNRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTRWTTGTGAYWGQGTTVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
WO2015/112900の配列番号42、46、54、58、62、66、70、74、および78:
WO2015/112900の配列番号42(配列番号255):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGQAPRLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号46(配列番号256):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGQAPRLLIYWASTR
ESGIPPRFSGSGYGTDFTLTINNIESEDAAYYFCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号54(配列番号257):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGKAPKLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号58(配列番号258):
DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGQAPRLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号62(配列番号259):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGKAPKLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号66(配列番号260):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGQAPRLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号70(配列番号261):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGQAPRLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号74(配列番号262):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYLQKPGQSPQLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK;
WO2015/112900の配列番号78(配列番号263):
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCKSSQSLLDSGNQKNFLTWYQQKPGKAPKLLIYWASTR
ESGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLEAEDAATYYCQNDYSYPYTFGQGTKVEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0193】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2010/077634およびUS8,217,149に開示される抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントは、
WO2010/077634の配列番号20(配列番号264):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYY
ADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA;
のアミノ酸配列を含む重鎖領域、および/または
WO2010/077634の配列番号21(配列番号265):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0194】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS20120039906に開示されるCNCM寄託番号CNCM I-4122、CNCM I-4080およびCNCM I-4081の下でアクセス可能なハイブリドーマから得られる抗PD-L1抗体の任意の1つを含む。
【0195】
一実施形態において、標的部分は、例えば開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS8,907,065およびWO2008/071447に開示されるPD-L1に対するVHHを含む。例示的な実施形態において、PD-L1に対するVHHは、
US8,907,065の配列番号394~399:
US8,907,065の配列番号394(配列番号266):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAIGWFRQAPGKEREWASS
ISSSDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVFLQMNSLKPEDTAVYSCAASQ
APITIATMMKPFYDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号395(配列番号267):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAKCWFRQAPGKEREWVSC
ISSSDGSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYFCAARH
GGPLTVEYFFDYWGQGTQVTVSS:
US8,907,065の配列番号396(配列番号268):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDYYAIGWFRQAPGKAREGVSC
ISGGDNSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCATGG
WKYCSGYDPEYIYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号397(配列番号269):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSTFSQYDVGWYRQAPGKQRELVA
FSSSGGRTIYPDSVKGRFTFSRDNTKNTVYLQMTSLKPEDTAVYYCKIDW
YLNSYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号398(配列番号270):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGVDASNSAMGWYRQAPGKQREWVAR
ITGGGLIAYTDSVKGRFTISRDNAKSTVYLQMNSLEPEDTAVYYCNTINS
RDGWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号399(配列番号271):
EVQLVESGGGLVQAGGSLTISCAASGITFSDSIVSWYRRARGKQREWVAG
ISNGGTTKYAESVLGRFTISRDNAKNNVYLQMNGLNPEDTAVYLCKVRQY
WGQGTQVTVSS
を含む。
【0196】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、PD-L2に対する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、PD-L2ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質を含む。
【0197】
一実施形態において、標的部分は、例えば開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、US8,907,065およびWO2008/071447に開示されるPD-L2に対するVHHを含む。例示的な実施形態において、PD-1に対するVHHは、
US8,907,065の配列番号449~455:
US8,907,065の配列番号449(配列番号272):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASESTVLINAMGWYRQAPGKQRELVAS
ISSGGSTNYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNADVY
PQDYGLGYVEGKVYYGHDYWGTGTLVTVSS;
US8,907,065の配列番号450(配列番号273):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSTFSNYVSNYAMGWGRQAPGTQ
RELVASISNGDTTNYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYY
CFEHQVAGLTWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号451(配列番号274):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCVASGXALKIXVMGWYRQAPGKQRELV
AAITSGGRTNYSDSVKGRFTISGDNAXNTVYLQMNSLKSEDTAVYYCRE
WNSGYPPVDYWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号452(配列番号275):
EVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSGTMGWFRRAPGKEREFV
ASIPWSGGRTYYADSVKDRFTISRDNAQNTVFLQMNSLKPEDTAVYYCAF
KERSTGWDFASWGQGIQVTVSS;
US8,907,065の配列番号453(配列番号276):
EVQLVESGGGLVQTGGSLRLSCAASGFTLDYYGIGWFRQAPGKEREGVS
FISGSDGSTYYAESVKGRFTISRDKAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAD
PWGPPSIATMTSYEYKHWGQGTQVTVSS;
US8,907,065の配列番号454(配列番号277):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYTMIWLRRAPGKGFEWV
STIDKDGNTNYVDSVKGRFAVSRDNTKNTLYLQMNSLKPEDTAMYYCTK
HGSSARGQGTRVTVSS;
US8,907,065の配列番号455(配列番号278):
EVQLVESGGGLVEPGGSLRLSCVASGFTFSSYDMSWVRQAPGKGLE
WVSTINSGGGITYRGSVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYY
CENGGSSYRRGQGTQVTVSS
を含む。
【0198】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2011/0271358およびWO2010/036959に開示される抗PD-L2抗体のいずれか1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法での使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2011/0271358の配列番号43~47:
US2011/0271358の配列番号43(配列番号279):
QVQLVQSGAELKKPGASVKMSCKASGYTFTGYTMHWVKQAPGQGLEWIGYINPRSGYTEY
NQKFKDRTTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDSAVYYCARPWFAYWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号44(配列番号280):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTGYTMHWVKQAPGQGLEWIGYINPRSGYTEY
NQKFKDRTTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPWFAYWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号45(配列番号281):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKMSCKASGYTFTGYTMHWVRQAPGQGLEWIGYINPRSGYTEY
NQKFKDRTTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPWFAYWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号46(配列番号282):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYTMHWVRQAPGQGLEWIGYINPRSGYTEY
NQKFKDRTTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPWFAYWGQGTLVTVSS;
US2011/0271358の配列番号47(配列番号283):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTGYTMHWVRQAPGQGLEWIGYINPRSGYTEY
NQKFKDRTTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARPWFAYWGQGTLVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2011/0271358の配列番号48~51:
US2011/0271358の配列番号48(配列番号284):
DIVMTQSPASLTVTPGEKVTITCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTR
ESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYSYPLTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号49(配列番号285):
DIVMTQSPASLSVTPGEKVTITCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTR
ESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYSYPLTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号50(配列番号286):
DIVMTQSPAFLSVTPGEKVTITCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTR
ESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYSYPLTFGQGTKLEIK;
US2011/0271358の配列番号51(配列番号287):
DIVMTQSPAFLSVTPGEKVTITCKSSQSLLNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTR
ESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQNDYSYPLTFGQGTKLEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む。
【0199】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される配列の任意の1つに少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である(例えば、本明細書に開示される配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%または約100%の配列同一性)、PD-1、PD-L1、および/またはPD-L2を標的とする配列を含み得る。
【0200】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される通り、PD-1、PD-L1、および/またはPD-L2を標的にする重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、相補性決定領域(CDR)、およびフレームワーク領域配列の任意の組み合わせを含み得る。
【0201】
PD-1、PD-L1、および/またはPD-L2を選択的に結合する、または標的にするさらなる抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2011/066389、US2008/0025980、US2013/0034559、US8,779,108、US2014/0356353、US8,609,089、US2010/028330、US2012/0114649、WO2010/027827、WO2011/066342、US8,907,065、WO2016/062722、WO2009/101611、WO2010/027827、WO2011/066342、WO2007/005874、WO2001/014556、US2011/0271358、WO2010/036959、WO2010/077634、US8,217,149、US2012/0039906、WO2012/145493、US2011/0318373、米国特許第8,779,108号、US20140044738、WO2009/089149、WO2007/00587、WO2016061142、WO2016,02263、WO2010/077634、およびWO2015/112900に開示される。
【0202】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD8への標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のCD8に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0203】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD4への標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のCD4に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0204】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD3、CXCR3、CCR4、CCR9、CD70、CD103または1つもしくは複数の免疫チェックポイントマーカーへの標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のCD3に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0205】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上で発現されるCD3に対する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、CD3ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の標的部分を有する。幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、CD3ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数の抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質を含む。
【0206】
一実施形態において、標的部分は、抗CD3抗体ムロモナブ-CD3(Orthoclone OKT3としても公知)、またはそのフラグメントを含む。ムロモナブ-CD3は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,361,549号およびWilde et al.(1996)51:865-894に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のためのムロモナブ-CD3またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNY
NQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSA
KTTAPSVYPLAPVCGGTTGSSVTLGCLVKGYFPEPVTLTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDL
YTLSSSVTVTSSTWPSQSITCNVAHPASSTKVDKKIEPRPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDE
LTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号288);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAH
FRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINRADTAPTVSIFPPS
SEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTL
TKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号289)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0207】
一実施形態において、標的部分は、抗CD3抗体オテリキシズマブ、またはそのフラグメントを含む。オテリキシズマブは、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20160000916号およびChatenoud et al.(2012)9:372-381に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のためのオテリキシズマブまたはその抗原結合フラグメントは、
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSFPMAWVRQAPGKGLEWVSTISTSGGRTYYRDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKFRQYSGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号290);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
DIQLTQPNSVSTSLGSTVKLSCTLSSGNIENNYVHWYQLYEGRSPTTMIYDDDKRPDGVPDRFSGSIDRSSNSAFLTIHNVAIEDEAIYFCHSYVSSFNVFGGGTKLTVLRQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS(配列番号291)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0208】
一実施形態において、標的部分は、抗CD3抗体テプリズマブ(MGA031およびhOKT3γ1(Ala-Ala)としても公知)、またはそのフラグメントを含む。テプリズマブは、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、Chatenoud et al.(2012)9:372-381に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のためのテプリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGGGVVQPGRSLRLSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNYNQKVKDRFTISRDNSKNTAFLQMDSLRPEDTGVYFCARYYDDHYCLDYWGQGTPVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号292);
のアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQTPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDYTFTISSLQPEDIATYYCQQWSSNPFTFGQGTKLQITRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号293)
のアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0209】
一実施形態において、標的部分は、抗CD3抗体ビシリズマブ(Nuvion(登録商標);HuM291としても公知)、またはそのフラグメントを含む。ビシリズマブは、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、U.S.5,834,597およびWO2004052397、ならびにCole et al.,Transplantation(1999)68:563-571に開示される。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のためのビシリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFISYTMHWVRQAPGQGLEWMGYINPRSGYTHYNQKLKDKATLTADKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSAYYDYDGFAYWGQGTLVTVSS(配列番号294);
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASSSVSYMNWYQQKPGKAPKRLIYDTSKLASGVPSR
FSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPPTFGGGTKVEIK(配列番号295)
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む。
【0210】
一実施形態において、標的部分は、抗CD3抗体フォラルマブ(NI-0401としても公知)、またはそのフラグメントを含む。様々な実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、US20140193399、US7,728,114、US20100183554、およびUS8,551,478に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。
【0211】
例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US7,728,114の配列番号2および6:
US7,728,114の配列番号2(配列番号296):
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFKFSGYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKKYY
VDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARQMGYWHFDLWGRGTLVTVSS;
US7,728,114の配列番号6(配列番号297):
QVQLVQSGGGVVQSGRSLRLSCAASGFKFSGYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSKKYY
VDSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRGEDTAVYYCARQMGYWHFDLWGRGTLVTVSS;
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに/または
US7,728,114の配列番号4および8:
US7,728,114の配列番号4(配列番号298):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPLTFGGGTKVEIK;
US7,728,114の配列番号8(配列番号299):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPA
RFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPLTFGGGTKVEIK
のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0212】
一実施形態において、標的部分は、US7,728,114の配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、US7,728,114の配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2016/0168247に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2016/0168247の配列番号6~9:
US2016/0168247の配列番号6(配列番号300):
EVKLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKSSLYLQMNNLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0168247の配列番号7(配列番号301):
EVKLVESGGGLVKPGRSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKSILYLQMNNLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0168247の配列番号8(配列番号302):
EVKLVESGGGLVKPGRSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKSILYLQMNSLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0168247の配列番号9(配列番号303):
EVKLVESGGGLVKPGRSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKSILYLQMNSLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTM
VTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2016/0168247の配列番号10~12:
US2016/0168247の配列番号10(配列番号304):
QAVVTQEPSFSVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQTPGQAFRGLIGGTNKRAPGV
PARFSGSLIGDKAALTITGAQADDESIYFCALWYSNLWVFGGGTKLTVL;
US2016/0168247の配列番号11(配列番号305):
QAVVTQEPSFSVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQTPGQAFRGLIGGTNKRAPGV
PARFSGSILGNKAALTITGAQADDESIYFCALWYSNLWVFGGGTKLTVL;
US2016/0168247の配列番号12(配列番号306):
QAVVTQEPSFSVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQTPGQAFRGLIGGTNKRAPGV
PARFSGSILGNKAALTITGAQADDESDYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0213】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2015/0175699に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2015/0175699の配列番号9:
US2015/0175699の配列番号9(配列番号307):
QVQLVQSGSELKKPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGKGLEWIGYINPSRGYTNY
NQKFKDRATLTTDKSTSTAYMQLSSLRSEDTAVYYCARYYDDHYSLDYWGQGTLVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2015/0175699の配列番号10:
US2015/0175699の配列番号10(配列番号308):
QIVLTQSPATLSLSPGERATMSCSASSSVSYMNWYQQKPGKAPKRWIYDTSKLASGVPSR
FRGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQWSSNPFTFGGGTKVEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0214】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS8,784,821に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US8,784,821の配列番号2、18、34、50、66、82、98および114:
US8,784,821の配列番号2(配列番号309):
ELQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYY
ADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRSEDTAVYYCARLSPYCTNGVCWDAFDIWGQGTM
VTVSS;
US8,784,821の配列番号18(配列番号310):
ELQLVESGGGLVKPGRSLRLSCTASGFTFGDYAMSWFRQAPGKGLEWVGFIRSKAYGGTT
EYAASVKGRFTISRDDSKSIAYLQMNSLKTEDTAVYYCTPQLWLLQDAFDIWGQGTMVTV
SS;
US8,784,821の配列番号34(配列番号311):
ELQLVESGPGLVKPSGTLSLTCAVSGGSISSRNWWSWVRQPPGKGLEWIGDIYHSGSTNY
NPSLKSRVTISVDKSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCASGYTSCRDAFDIWGQGTMVTVSS;
US8,784,821の配列番号50(配列番号312):
ELQLVEWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSGYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYN
PSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGRGRFLGWLLGGSNWFDPWGQGT
LVTVSS;
US8,784,821の配列番号66(配列番号313):
ELQLVEWGAGLLKPSETLSLTCAVYGGSFSGYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYN
PSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGPDRMGHGFDIWGQGTMVTVSS;
US8,784,821の配列番号82(配列番号314):
ELQLVESGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGRTYYRSKWY
NDYAVSVKSRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVYYCARDRRRIAARQYYGMDVWGQG
TTVTVSS;
US8,784,821の配列番号98(配列番号315):
ELQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMGWVRQAPGKGLEWVSAVSGSGGSTYY
ADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKAKFLGHYYGMDVWGQGTTVTVS
S;
US8,784,821の配列番号114(配列番号316):
ELQLVESGPVLVKPTDTLTLTCTVSGFSLNNPRMGVSWIRQPPGKTLEWLAHIFPSDAKA
HSASLKSRLTISKDTSKSQVVPTMTNMDPVDTATYYCARILGEYYPPAWFDPWGQGTLVT
VSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに/または
US8,784,821の配列番号10、26、42、58、74、90、106および122:
US8,784,821の配列番号10(配列番号317):
ELQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQTISNYLNWYQLKPGKAPKLLIYAASTLQSEVPT
RFSGSGSGTDFTLTISGLHPEDFATYYCQQFNSYPRTFGQGTKVEIK;
US8,784,821の配列番号26(配列番号318):
ELQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISNYLAWYQQKPGKVPKLLIYAASTLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPPTFGQGTKLEIK;
US8,784,821の配列番号42(配列番号319):
ELVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIGNYLAWYQQKPGQPPKMLIYWASIRESGVPD
RFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSNPQTFGQGTKVEIK;
US8,784,821の配列番号58(配列番号320):
ELVMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTPYTFGQGTKVDIK;
US8,784,821の配列番号74(配列番号321):
ELQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKSGKAPKLLIYAASSLQSGVPS
RFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSSPWTFGQGTKVEIK;
US8,784,821の配列番号90(配列番号322):
ELVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSNYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIP
DRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCQKYNSAPLTFGGGTKVEIK;
US8,784,821の配列番号106(配列番号323):
ELQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCLQHNAYPYTFGQGTKVEIK;
US8,784,821の配列番号122(配列番号324):
ELVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQSVLYSSNNKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTR
ESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYLKIPYTFGQGTKVEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0215】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS20150118252に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US20150118252の配列番号6および86:
US20150118252の配列番号6(配列番号325):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGQGLEWMGYINPSRGYTNY
NQKFKDRVTMTTDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTLVTVSS;
US20150118252の配列番号86(配列番号326):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTRYTMHWVRQAPGQGLEWMGYINPSRGYTNY
NQKFKDRVTMTTDTSISTAYMELSRLRSDDTAVYYCARYYDDHYSLDYWGQGTLVTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに/または
US2015/0175699の配列番号3:
US20150118252の配列番号3(配列番号327):
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCSASSSVSYMNWYQQKPGQAPRLLIYDTSKLASGVPAH
FRGSGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSNPFTFGQGTKVEIK
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0216】
一実施形態において、標的部分は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2016/0039934に開示される抗CD3抗体の任意の1つを含む。例示的な実施形態において、本明細書で提供される方法における使用のための抗体またはその抗原結合フラグメントは、
US2016/0039934の配列番号6~9:
US2016/0039934の配列番号6(配列番号328):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYAMNWVRQAPGKGLEWVGRIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0039934の配列番号7(配列番号329):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYAMNWVRQAPGKGLEWVGRIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0039934の配列番号8(配列番号330):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYAMNWVRQAPGKGLEWVGRIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSYFAYWGQGTL
VTVSS;
US2016/0039934の配列番号9(配列番号331):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYAMNWVRQAPGKGLEWVGRIRSKYNNYAT
YYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSHFAYWGQGTL
VTVSS;
から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または
US2016/0039934の配列番号1~4:
US2016/0039934の配列番号1(配列番号332):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGKAPKGLIGGTNKRAPG
VPSRFSGSLIGDKATLTISSLQPEDFATYYCALWYSNLWVFGQGTKVEIK;
US2016/0039934の配列番号2(配列番号333):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGKAPKGLIGGTNKRAPG
VPARFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCALWYSNLWVFGQGTKVEIK;
US2016/0039934の配列番号3(配列番号334):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGKAPKALIGGTNKRAPG
VPSRFSGSLIGDKATLTISSLQPEDFATYYCALWYSNLWVFGQGTKVEIK;
US2016/0039934の配列番号4(配列番号335):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGKAPKGLIGGTNKRAPG
VPSRFSGSLIGDKATLTISSLQPEDFATYYCALWYSNLWVFGQGTKVEIK;
から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、
を含む。
【0217】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される配列のいずれかに少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一である(例えば、本明細書に開示される配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%または約100%の配列同一性)、CD3を標的とする配列を含み得る。
【0218】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される通り、CD3を標的にする重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、相補性決定領域(CDR)、およびフレームワーク領域配列の任意の組み合わせを含み得る。様々な実施形態において、本発明の標的部分は、非限定的にX35-3、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、Fl 11-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、WT31およびF101.01を含むCD3特異性抗体の任意の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、相補性決定領域(CDR)、およびフレームワーク領域配列を含み得る。これらのCD3特異性抗体は、当技術分野で周知であり、特に、開示全体が参照により本明細書に組み入れられるTunnacliffe(1989),Int.Immunol.1,546-550に記載されている。
【0219】
CD3を選択的に結合する、または標的にするさらなる抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質は、開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2016/0000916号、米国特許第4,361,549号、同第5,834,597号、同第6,491,916号、同第6,406,696号、同第6,143,297号、同第6,750,325号および国際出願公開WO2004/052397に開示される。
【0220】
幾つかの実施形態において、CD3標的部分は、scFvである。幾つかの実施形態において、CD3標的部分は、
QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYSLDYWGQGTTLTVSSGSTGGGGSGGGGSGGGGSDIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEINR(配列番号365)
である。
【0221】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばPD-1への標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0222】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD38、CD39、CD40、CD70、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD78、CD79a/b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD89、CD98、CD126、CD127、CDw130、CD138、またはCDw150への標的化により媒介される、B細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0223】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD19、CD20またはCD70への標的化により媒介される、B細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0224】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCD20への標的化により媒介される、B細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞上のCD20に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0225】
幾つかの実施形態において、CD20標的部分は、scFvである。幾つかの実施形態において、CD20標的部分は、
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKRGSTGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSS(配列番号366)
である。
【0226】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えば2B4/SLAMF4、KIR2DS4、CD155/PVR、KIR3DL1、CD94、LMIR1/CD300A、CD69、LMIR2/CD300c、CRACC/SLAMF7、LMIR3/CD300LF、DNAM-1、LMIR5/CD300LB、Fc-イプシロン RII、LMIR6/CD300LE、Fc-γ Rl/CD64、MICA、Fc-γ RIIB/CD32b、MICB、Fc-γ RIIC/CD32c、MULT-1、Fc-γ RIIA/CD32a、ネクチン-2/CD112、Fc-γ RIII/CD16、NKG2A、FcRH1/IRTA5、NKG2C、FcRH2/IRTA4、NKG2D、FcRH4/IRTA1、NKp30、FcRH5/IRTA2、NKp44、Fc受容体様3/CD16-2、NKp46/NCR1、NKp80/KLRF1、NTB-A/SLAMF6、Rae-1、Rae-1 α、Rae-1 β、Rae-1 デルタ、H60、Rae-1 イプシロン、ILT2/CD85j、Rae-1 γ、ILT3/CD85k、TREM-1、ILT4/CD85d、TREM-2、ILT5/CD85a、TREM-3、KIR/CD158、TREML1/TLT-1、KIR2DL1、ULBP-1、KIR2DL3、ULBP-2、KIR2DL4/CD158d、またはULBP-3への標的化により媒介される、NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0227】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばKir1アルファ、DNAM-1またはCD64への標的化により媒介される、NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0228】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばKIR1への標的化により媒介される、NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞上のKIR1に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0229】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばTIGITまたはKIR1への標的化により媒介される、NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞上のTIGITに対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0230】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCLEC-9A、XCR1、RANK、CD36/SRB3、LOX-1/SR-E1、CD68、MARCO、CD163、SR-A1/MSR、CD5L、SREC-1、CL-Pl/COLEC12、SREC-II、LIMPIIISRB2、RP105、TLR4、TLR1、TLR5、TLR2、TLR6、TLR3、TLR9、4-IBBリガンド/TNFSF9、IL-12/IL-23 p40、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、ILT2/CD85j、CCL21/6Ckine、ILT3/CD85k、8-オキソ-dG、ILT4/CD85d、8D6A、ILT5/CD85a、A2B5、インテグリンα 4/CD49d、Aag、インテグリンβ 2/CD18、AMICA、ランゲリン、B7-2/CD86、ロイコトリエン B4 Rl、B7-H3、LMIR1/CD300A、BLAME/SLAMF8、LMIR2/CD300c、Clq R1/CD93、LMIR3/CD300LF、CCR6、LMIR5/CD300LB CCR7、LMIR6/CD300LE、CD40/TNFRSF5、MAG/シグレック-4-a、CD43、MCAM、CD45、MD-1、CD68、MD-2、CD83、MDL-1/CLEC5A、CD84/SLAMF5、MMR、CD97、NCAMLl、CD2F-10/SLAMF9、オステオアクチビンGPNMB、Chern23、PD-L2、CLEC-1、RP105、CLEC-2、シグレック-2/CD22、CRACC/SLAMF7、シグレック-3/CD33、DC-SIGN、シグレック-5、DC-SIGNR/CD299、シグレック-6、DCAR、シグレック-7、DCIR/CLEC4A、シグレック-9、DEC-205、シグレック-10、デクチン-1/CLEC7A、シグレック-F、デクチン-2/CLEC6A、SIGNR1/CD209、DEP-1/CD148、SIGNR4、DLEC、SLAM、EMMPRIN/CD147、TCCR/WSX-1、Fc-γ R1/CD64、TLR3、Fc-γ RIIB/CD32b、TREM-1、Fc-γ RIIC/CD32c、TREM-2、Fc-γ RIIA/CD32a、TREM-3、Fc-γ RIII/CD16、TREML1/TLT-1、ICAM-2/CD102、またはバニロイド R1への標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0231】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCLEC-9A、DC-SIGN、CD64、CLEC4A、またはDEC205への標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞上のCLEC9Aに対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0232】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばCLEC9Aへの標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞上のCLEC9Aに対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0233】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばXCR1への標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞上のXCR1に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0234】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばRANKへの標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞上のRANKに対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0235】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばSIRP1a、B7-1/CD80、ILT4/CD85d、B7-H1、ILT5/CD85a、共通β鎖、インテグリンα 4/CD49d、BLAME/SLAMF8、インテグリンα X/CDIIc、CCL6/C10、インテグリンβ 2/CD18、CD155/PVR、インテグリンβ 3/CD61、CD31/PECAM-1、ラテキシン、CD36/SR-B3、ロイコトリエン B4 R1、CD40/TNFRSF5、LIMPIIISR-B2、CD43、LMIR1/CD300A、CD45、LMIR2/CD300c、CD68、LMIR3/CD300LF、CD84/SLAMF5、LMIR5/CD300LB、CD97、LMIR6/CD300LE、CD163、LRP-1、CD2F-10/SLAMF9、MARCO、CRACC/SLAMF7、MD-1、ECF-L、MD-2、EMMPRIN/CD147、MGL2、エンドグリン/CD105、オステオアクチビン/GPNMB、Fc-γ RI/CD64、オステオポンチン、Fc-γ RIIB/CD32b、PD-L2、Fc-γ RIIC/CD32c、シグレック-3/CD33、Fc-γ RIIA/CD32a、SIGNR1/CD209、Fc-γ RIII/CD16、SLAM、GM-CSF Rα、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TLR3、IFN-γ Rl、TLR4、IFN-ガンマ R2、TREM-l、IL-l RII、TREM-2、ILT2/CD85j、TREM-3、ILT3/CD85k、TREML1/TLT-1、2B4/SLAMF 4、IL-10 Rα、ALCAM、IL-10 Rβ、アミノペプチダーゼN/ANPEP、ILT2/CD85j、共通β鎖、ILT3/CD85k、Clq R1/CD93、ILT4/CD85d、CCR1、ILT5/CD85a、CCR2、CD206、インテグリンα 4/CD49d、CCR5、インテグリンα M/CDll b、CCR8、インテグリンα X/CDllc、CD155/PVR、インテグリンβ 2/CD18、CD14、インテグリンβ 3/CD61、CD36/SR-B3、LAIR1、CD43、LAIR2、CD45、ロイコトリエン B4-R1、CD68、LIMPIIISR-B2、CD84/SLAMF5、LMIR1/CD300A、CD97、LMIR2/CD300c、CD163、LMIR3/CD300LF、凝固因子III/組織因子、LMIR5/CD300LB、CX3CR1、CX3CL1、LMIR6/CD300LE、CXCR4、LRP-1、CXCR6、M-CSF R、DEP-1/CD148、MD-1、DNAM-1、MD-2、EMMPRIN/CD147、MMR、エンドグリン/CD105、NCAM-L1、Fc-γ RI/CD64、PSGL-1、Fc-γ RIIIICD16、RP105、G-CSF R、L-セレクチン、GM-CSF Rα、シグレック-3/CD33、HVEM/TNFRSF14、SLAM、ICAM-1/CD54、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TREM-l、IL-6 R、TREM-2、CXCRl/IL-8 RA、TREM-3、またはTREMLl/TLT-1への標的化により媒介される、単球/マクロファージに対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0236】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばB7-H1、CD31/PECAM-1、CD163、CCR2、またはマクロファージマンノース受容体CD206への標的化により媒介される、単球/マクロファージに対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。
【0237】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)例えばSIRP1aへの標的化により媒介される、単球/マクロファージに対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージ細胞上のSIRP1aに対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0238】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、チェックポイントマーカー、例えばPD-1/PD-L1またはPD-L2、CD28/CD80またはCD86、CTLA4/CD80またはCD86、ICOS/ICOSLまたはB7RP1、BTLA/HVEM、KIR、LAG3、CD137/CD137L、OX40/OX40L、CD27、CD40L、TIM3/Gal9、およびA2aRの1つまたは複数に対する1つまたは複数の標的部分を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれかと共に、(i)T細胞上のチェックポイントマーカー、例えばPD-1に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分、例えばPD-L1またはPD-L2を有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のPD-1に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L1に対する第二の標的部分と、を有する。別の実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のPD-1に対する標的部分と、腫瘍細胞上のPD-L2に対する第二の標的部分と、を有する。
【0239】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、同一または異なる免疫細胞に対する2つ以上の標的部分を含む。幾つか実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異された)シグナル伝達物質のいずれか(例えば、修飾IFN-β)と共に、(i)T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、またはそれらのサブセットから選択される免疫細胞に対する1つまたは複数の標的部分と(ii)T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、またはそれらのサブセットから選択される同一のまたは別の免疫細胞に対する1つまたは複数の標的部分を有する。
【0240】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、同一のまたは別のT細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。例えば、例示的な実施形態において、キメラタンパク質は、CD8に対する標的部分と、CLec9Aに対する標的部分と、を含み得る。別の例示的な実施形態において、キメラタンパク質は、CD8に対する標的部分と、CD3に対する標的部分と、を含み得る。別の例示的な実施形態において、キメラタンパク質は、CD8に対する標的部分と、PD-1に対する標的部分と、を含み得る。
【0241】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、同一のまたは別のB細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。
【0242】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、同一のまたは別の樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。
【0243】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、同一のまたは別のマクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。
【0244】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、同一のまたは別のNK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、T細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、B細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、マクロファージに対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、NK細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、樹状細胞に対する1つまたは複数の標的部分と、を含む。
【0245】
一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍細胞に対する標的部分と、同一のまたは異なる腫瘍細胞に対する第二の標的部分と、を含む。そのような実施形態において、標的部分は、本明細書に記載される腫瘍抗原のいずれかに結合し得る。
【0246】
様々な実施形態において、本発明の標的部分は、本明細書に開示される配列の任意の1つに関して1つまたは複数のアミノ酸突然変異を有する配列を含み得る。様々な実施形態において、標的部分は、本明細書に開示される標的部分のアミノ酸配列の任意の1つに関して約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100またはより多くのアミノ酸突然変異を有する配列を含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数のアミノ酸突然変異は、独立して置換、挿入、欠失、およびトランケーションから選択され得る。
【0247】
幾つかの実施形態において、アミノ酸突然変異は、アミノ酸置換であり、保存的置換および/または非保存的置換を包含し得る。
【0248】
「保存的置換」は、例えば、含まれるアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性における類似性に基づいて、行われ得る。20の天然由来アミノ酸は、以下の6つの標準的アミノ酸群に群分けされ得る:(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0249】
本明細書で用いられる「保存的置換」は、先に示された6つの標準的アミノ酸群の同じ群内に列挙される別のアミノ酸による、あるアミノ酸の交換として定義される。例えばGluによるAspの交換は、そのように修飾されたポリペプチド中で1つの負電荷を保持する。加えて、グリシンおよびプロリンは、αヘリックスを破壊するそれらの能力に基づいて互いに置換され得る。
【0250】
本明細書で用いられる「非保存的置換」は、先に示された6つの標準的アミノ酸群(1)~(6)の異なる群内に列挙される別のアミノ酸による、あるアミノ酸の交換として定義される。
【0251】
様々な実施形態において、置換はまた、非古典的アミノ酸(例えば、セレノシステイン、ピロリジン、N-ホルミルメチオニン、β-アラニン、GABAおよびδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、共通アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコソーム(sarcosme)、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβメチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸、および一般のアミノ酸類似体)を包含し得る。
【0252】
様々な実施形態において、アミノ酸突然変異は、標的部分のCDR(例えば、CDR1、CDR2またはCDR3領域)中であり得る。別の実施形態において、アミノ酸改変は、標的部分のフレームワーク領域(FR)(例えば、FR1、FR2、FR3、またはFR4領域)中であり得る。
【0253】
アミノ酸配列の修飾は、当該技術分野の任意の公知技術、例えば部位特異的突然変異誘発またはPCRに基づく突然変異誘発を利用して実現され得る。そのような技術は、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,1989、およびAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1989に記載される。
【0254】
標的部分のフォーマット
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の標的部分は、特異的結合が可能なタンパク質系物質、例えば抗体またはその誘導体である。一実施形態において、標的部分は、抗体を含む。様々な実施形態において、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む完全長多量体タンパク質である。各重鎖は1つの可変領域(例えば、V)および少なくとも3つの定常領域(例えば、CH、CHおよびCH)を含み、各軽鎖は1つの可変領域(V)および1つの定常領域(C)を含む。可変領域は、抗体の特異性を決定する。各可変領域は、4つの相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)に隣接される相補性決定領域(CDR)としても知られる3つの超可変領域を含む。CDR1、CDR2、およびCDR3と称される3つのCDRは、抗体結合特異性に寄与する。幾つかの実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。幾つかの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。
【0255】
幾つかの実施形態において、標的部分は、抗体誘導体またはフォーマットを含む。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質の標的部分は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許または米国特許出願のUS7,417,130、US2004/132094、US5,831,012、US2004/023334、US7,250,297、US6,818,418、US2004/209243、US7,838,629、US7,186,524、US6,004,746、US5,475,096、US2004/146938、US2004/157209、US6,994,982、US6,794,144、US2010/239633、US7,803,907、US2010/119446、および/またはUS7,166,697に記載される、単一ドメイン抗体、組換えの重鎖のみの抗体(VHH)、一本鎖抗体(scFv)、シャーク重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質(システインノットタンパク質、ノッティン)、DARPin;テトラネクチン;Affibody;Transbody;Anticalin;AdNectin;Affilin;Microbody;ペプチドアプタマー;アルテラーゼ;プラスチック抗体;Phylomer;Stradobody;マキシボディ(maxibody);Evibody;Fynomer、アルマジロリピートタンパク質、クニッツドメイン、アビマー、アトリマー、Probody、Immunobody、Triomab、トロイボディ(troybody);ペプボディ(pepbody);Vaccibody、UniBody;Affimer、DuoBody、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ペプチド模倣分子、または合成分子である。Storz MAbs.2011 May-Jun;3(3):310-317も参照されたい。
【0256】
一実施形態において、標的部分は、例えばラクダ、サメなどのVHH抗体を生成する生物体に由来のVHH、または設計されたVHHなどの、単一ドメイン抗体を含む。VHHは、天然由来重鎖抗体の特有の構造的および機能的特性を含む抗体由来治療性タンパク質である。VHH技術は、軽鎖が欠如するラクダからの完全に機能的な抗体に基づく。これらの重鎖抗体は、1つの可変ドメイン(VHH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。VHHは、商標:NANOBODIESとして市販される。
【0257】
幾つかの実施形態において、VHHは、ヒト化VHHまたはラクダ化VHHである。
【0258】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の標的部分は、細胞受容体に対する天然リガンドなど、細胞受容体への特異的結合が可能なタンパク質系物質である。様々な実施形態において、細胞受容体は、非限定的にT細胞、細胞障害性Tリンパ球、Tヘルパー細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、樹状細胞、またはそれらのサブセットを含む、1つまたは複数の免疫細胞上で見出される。幾つかの実施形態において、細胞受容体は、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、またはそれらのサブセット上で見出される。
【0259】
幾つかの実施形態において、標的部分は、ケモカインなどの天然リガンドである。本発明のキメラタンパク質中に含まれ得る模範的なケモカインとしては、CCL1、CCL2、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CLL25、CCL26、CCL27、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、XCL1、XCL2、CX3CL1、HCC-4、およびLDGF-PBPが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態において、標的部分は、樹状細胞受容体XCR1を認識しそれに結合するケモカインであるXCL1であり得る。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR8を認識しそれに結合するケモカインであるCCL1である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR2またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL2である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1、CCR5、またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL3である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1、CCR5またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL4である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1またはCCR3またはCCR4またはCCR5を認識しそれに結合するケモカインであるCCL5である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1を認識しそれに結合するケモカインであるCCL6である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR2またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL7である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1またはCCR2またはCCR3またはCCR5またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL8である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1を認識しそれに結合するケモカインであるCCL9である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1を認識しそれに結合するケモカインであるCCL10である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR2またはCCR3またはCCR5またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL11である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR2またはCCR3またはCCR5またはCCR9を認識してそれに結合するケモカインであるCCL13である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1またはCCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL14である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1またはCCR3を認識しそれに結合するケモカインであるCCL15である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1、CCR2、CCR5、またはCCR8を認識しそれに結合するケモカインであるCCL16である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR4を認識しそれに結合するケモカインであるCCL17である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR7を認識しそれに結合するケモカインであるCCL19である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR6を認識しそれに結合するケモカインであるCCL20である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR7を認識しそれに結合するケモカインであるCCL21である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR4を認識しそれに結合するケモカインであるCCL22である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR1を認識しそれに結合するケモカインであるCCL23である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR3を認識しそれに結合するケモカインであるCCL24である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR9を認識しそれに結合するケモカインであるCCL25である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR3を認識しそれに結合するケモカインであるCCL26である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR10を認識しそれに結合するケモカインであるCCL27である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CCR3またはCCR10を認識しそれに結合するケモカインであるCCL28である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR1またはCXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL1である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL2である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL3である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR3Bを認識しそれに結合するケモカインであるCXCL4である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL5である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR1またはCXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL6である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR1またはCXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL8である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR3を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL9である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR3を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL10である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR3またはCXCR7を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL11である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR4またはCXCR7を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL12である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR5を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL13である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR6を認識しそれに結合するケモカインであるCXCL16である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CXCR2を認識しそれに結合するケモカインであるLDGF-PBPである。別の例示的な実施形態において、標的部分は、XCR1を認識しそれに結合するケモカインであるXCL2である。別の例示的な実施形態において、標的部分は、CX3CR1を認識しそれに結合するケモカインであるCX3CL1である。
【0260】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、様々な組み合わせで標的部分を含む。例示的な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、2つの標的部分を含み得、両者の標的部分は抗体またはその誘導体である。別の例示的な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、2つの標的部分を含み得、両者の標的部分は細胞受容体に対する天然リガンドである。さらなる例示的な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、2つの標的部分を含み得、それらの標的部分の一方は抗体またはその誘導体であり、他方の標的部分は細胞受容体に対する天然リガンドである。
【0261】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)を機能的にモジュレートし(非限定的に、部分的または完全に中和する)、例えば抗原が有する生物学的効果を実質的に阻害、低減、または中和する。例えば、様々な認識ドメインが、例えば患者が担持する腫瘍の、免疫系を能動的に抑制している、または抑制する能力を有する、1つまたは複数の腫瘍抗原を対象とし得る。例えば、幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害シグナル(例えば、チェックポイント阻害剤)、例えばTIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、およびTMIGD2の1つまたは複数を機能的にモジュレートする。例えば、幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、免疫阻害シグナルの伝達、非限定的例としてPD-1とPD-L1もしくはPD-L2の結合ならびに/またはCTLA-4とAP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの1つもしくは複数との結合、を破壊、遮断、低減、および/または阻害するように操作される。
【0262】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)を結合するが機能的にモジュレートせず、例えば認識ドメインは、結合抗体である、またはそれに類似している。例えば、様々な実施形態において、認識ドメインは、抗原または受容体を単に標的とするが、抗原または受容体が有する生物学的効果を実質的に阻害、低減、または機能的にモジュレートしない。例えば、先に定義されたより小さな抗体の幾つか(例えば、例として完全な抗体、に比較して)は、接近するのが困難なエピトープを標的とする能力を有し、より広範囲の特異的結合場所を提供する。様々な実施形態において、認識ドメインは、その生物活性にとって重要である抗原または受容体部位(例えば、抗原活性部位)から物理的に離れているエピトープを結合する。
【0263】
そのような非中和の結合は、本発明のキメラタンパク質が、本明細書に記載されるもののいずれかなどのエフェクター抗原を介して必要な部位に活性免疫細胞を直接的または間接的に動員するために用いられる方法を含む、本発明の様々な実施形態で用途を見出す。例えば、様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、腫瘍を低減または排除する方法において、CD8を介して腫瘍細胞へ細胞障害性T細胞を直接的または間接的に動員するために用いられ得る(例えば、キメラタンパク質は、抗CD8抗原認識ドメインと、腫瘍抗原に対する認識ドメインと、を含み得る)。そのような実施形態において、CD8を発現する細胞障害性T細胞を直接的または間接的に動員するがCD8活性を機能的にモジュレートしないことが、望ましい。反対に、これらの実施形態において、CD8シグナル伝達は、腫瘍の低減または排除効果の重要な部分である。さらなる例として、腫瘍を低減または排除する様々な方法において、本発明のキメラタンパク質は、CLEC9Aを介して樹状細胞(DC)を直接的または間接的に動員するために用いられ得る(例えば、キメラタンパク質は、抗CLEC9A認識ドメインと、腫瘍抗原に対する認識ドメインと、を含み得る)。そのような実施形態において、CLEC9Aを発現するDCを直接的または間接的に動員するがCLEC9A活性を機能的にモジュレートしないことが、望ましい。反対に、これらの実施形態において、CLEC9Aシグナル伝達は、腫瘍の低減または排除効果の重要な部分である。
【0264】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、例えば樹状細胞上の、XCR1に結合する。例えば、認識ドメインは、幾つかの実施形態において、XCL1または非中和抗XCR1物質の全てまたは一部を含む。
【0265】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、免疫調整抗原(例えば、免疫刺激性または免疫阻害性)に結合する。様々な実施形態において、免疫調整抗原は、4-1BB、OX-40、HVEM、GITR、CD27、CD28、CD30、CD40、ICOSリガンド;OX-40リガンド、LIGHT(CD258)、GITRリガンド、CD70、B7-1、B7-2、CD30リガンド、CD40リガンド、ICOS、ICOSリガンド、CD137リガンドおよびTL1Aの1つまたは複数である。様々な実施形態において、そのような免疫刺激性抗原は、腫瘍細胞上で発現される。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、そのような免疫刺激性抗原を結合するが機能的にモジュレートせずそれゆえ、それらの潜在的な腫瘍低減または排除能力の減少または喪失なしに、これらの物質を発現する細胞の動員を可能にする。
【0266】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質の認識ドメインは、中和活性を有する2つの認識ドメインを含むか、または非中和(例えば、結合)活性を有する2つの認識ドメインを含むか、または中和活性を有する1つの認識ドメインと非中和(例えば、結合)活性を有する1つの認識ドメインとを含む、キメラタンパク質の状況下にあり得る。
【0267】
シグナル伝達物質
一態様において、本発明は、シグナル伝達物質(例えば、免疫調整物質)を含むキメラタンパク質を提供する。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、受容体の1つまたは複数に対して低い親和性または活性を有するように修飾され、これは活性の弱化(作動性または拮抗性を含む)を可能にし、かつ/またはキメラタンパク質の非特異的シグナル伝達もしくは望まない封鎖を予防する。
【0268】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、その野生型形態で拮抗性であり、その拮抗活性を弱化する1つまたは複数の突然変異を担持する。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つまたは複数の突然変異により拮抗性であり、例えば作動性シグナル伝達物質が拮抗性シグナル伝達物質に変換され、そのように変換されたシグナル伝達物質は、場合により、その拮抗活性を弱化する1つまたは複数の突然変異も担持する(例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520に記載される通り)。
【0269】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、サイトカイン、成長因子、およびホルモンの修飾型から選択される。そのようなサイトカイン、成長因子、およびホルモンの例示としては、リンホカイン、モノカイン、伝統的なポリペプチドホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-αおよび腫瘍壊死因子-β;ミューラー阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-αなどの神経成長因子;血小板増殖因子;TGF-αおよびTGF-βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子-IおよびII;骨誘発因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-α、インターフェロン-β、およびインターフェロン-γ(およびインターフェロンI型、II型およびIII型)など;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13およびIL-18など;腫瘍壊死因子、例えばTNF-αおよびTNF-β;ならびに他のポリペプチド因子、例えばLIFおよびkitリガンド(KL)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いられるサイトカイン、成長因子、およびホルモンとしては、天然供給源から得られる、またはネイティブ配列サイトカインの組換え細菌、真核細胞もしくは哺乳動物細胞培養系から産生されるタンパク質、および生物学的活性均等物が挙げられる。
【0270】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、非限定的にTGF-αおよびTGF-βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子-IおよびIIなどのインスリン様成長因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ヘレグリン、血小板由来因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)から選択される成長因子の修飾型である。
【0271】
一実施形態において、成長因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)の修飾型である。例示的なFGFとしては、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、ネズミFGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、およびFGF23が挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
一実施形態において、成長因子は、血管内皮成長因子(VEGF)の修飾型である。例示的なVEGFとしては、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、およびPGF、ならびにそれらのアイソフォーム、例えばVEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、およびVEGF206を含むVEGF-Aの様々なアイソフォームが挙げられるが、これらに限定されない。
【0273】
一実施形態において、成長因子は、トランスフォーミング成長因子(TGF)の修飾型である。例示的なTGFとしては、TGF-αおよびTGF-β、ならびにそれらのサブタイプ、例えばTGFβ1、TGFβ2、およびTGFβ3を含むTGF-βの様々なサブタイプが挙げられるが、これらに限定されない。
【0274】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、非限定的にヒト絨毛膜ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、オキシトシン、サイロトロピン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、コルチコトロピン放出ホルモン、ソマトスタチン、ドーパミン、メラトニン、チロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、アドレナリン、ノルアドレナリン、プロゲステロン、インスリン、グルカゴン、アミリン、カルシトリオール、カルシフェロール、心房性ナトリウム利尿性ペプチド、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、神経ペプチドY、グレリン、PYY3-36、インスリン様成長因子(IGF)、レプチン、トロンボポエチン、エリスロポエチン(EPO)、およびアンギオテンシノーゲンから選択されるホルモンの修飾型である。幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、EPOである。
【0275】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、免疫調整剤、例えばインターロイキン、インターフェロン、および腫瘍壊死因子の1つまたは複数である。
【0276】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、例えばIL-1;IL-2;IL-3;IL-4;IL-5;IL-6;IL-7;IL-8;IL-9;IL-10;IL-11;IL-12;IL-13;IL-14;IL-15;IL-16;IL-17;IL-18;IL-19;IL-20;IL-21;IL-22;IL-23;IL-24;IL-25;IL-26;IL-27;IL-28;IL-29;IL-30;IL-31;IL-32;IL-33;IL-35;IL-36、またはそのフラグメント、バリアント、類似体、もしくはファミリーメンバーを含む、インターロイキンまたは修飾されたインターロイキンである。インターロイキンは、リンパ球、単球、およびマクロファージにより合成される多機能サイトカインの一群である。公知の機能としては、免疫細胞(例えば、Tヘルパー細胞、B細胞、好酸球およびリンパ球)の増殖刺激、好中球およびTリンパ球のケモタクシス、ならびに/またはインターフェロンの阻害が挙げられる。インターロイキン活性は、当該技術分野で公知のアッセイを利用して計測され得る:MatthewsらのLymphokines and Interferens:A Practical Approach,Clemens et al.,eds,IRL Press,Washington,D.C.1987,pp.221-225;およびOrencole & Dinarello(1989) Cytokine 1,14-20。
【0277】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、インターフェロンI、II、およびIII型などのインターフェロン、またはインターフェロンの修飾型である。例示的なインターフェロンとしては、例えばインターフェロン-α-1、2、4、5、6、7、8、10、13、14、16、17、および21、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターフェロン-κ、インターフェロン-ε、インターフェロン-τ、ならびにインターフェロン-ωが挙げられる。
【0278】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、腫瘍壊死因子(TNF)または腫瘍壊死因子(TNF)の修飾型、またはTNFファミリー中のタンパク質であり、例えば非限定的にTNF-α、TNF-β、LT-β、CD40L、CD27L、CD30L、FASL、4-1BBL、OX40L、およびTRAILを含む。
【0279】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つまたは複数の突然変異を有するシグナル伝達物質の修飾(例えば、突然変異)形態である。様々な実施形態において、突然変異は、修飾されたシグナル伝達物質が、シグナル伝達物質の非修飾または非突然変異形態、即ち野生型形態に対して(例えば、同じシグナル伝達物質を野生型形態対修飾(例えば、突然変異)形態で比較して)、結合親和性の低減、内因活性の低減、および特異的生物活性の低減の1つまたは複数などの弱化された活性の1つまたは複数を有することを可能にする。幾つかの実施形態において、結合または親和性を弱化または低減する突然変異は、結合または活性を実質的に弱化または除去するそのような突然変異を含む。幾つかの実施形態において、結合または親和性を弱化または低減する突然変異は、結合または活性を実質的に弱化または除去するそのような突然変異と異なる。結論として、様々な実施形態において、突然変異は、シグナル伝達物質が、改善された安全性を有する、例えば非変異の、即ち野生型の、シグナル伝達物質に対して(例えば、同じシグナル伝達物質を野生型形態対修飾(例えば、突然変異)形態で比較して)低減された全身毒性、低減された副作用、および低減されたオフターゲット効果を有することを可能にする。
【0280】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、その受容体の1つまたは複数に対する結合親和性または活性を低減する1つまたは複数の突然変異を有するように修飾される。幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、受容体に対する結合親和性または活性を実質的に低減または除去する1つまたは複数の突然変異を有するように修飾される。幾つかの実施形態において、野生型シグナル伝達物質により提供される活性は、受容体で作動性である(例えば、治療の部位での細胞効果の活性化)。例えば、野生型シグナル伝達物質は、受容体を活性化し得る。そのような実施形態において、突然変異は、受容体で低減または除去された活性化活性を有するように修飾されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば突然変異は、標的細胞に低減された活性化シグナルを送達するように修飾されたシグナル伝達物質をもたらし得るか、または活性化シグナルが、除去され得る。幾つかの実施形態において、野生型シグナル伝達物質により提供される活性は、受容体で拮抗性である(例えば、治療の部位での細胞効果の遮断または減衰)。例えば、野生型シグナル伝達物質は、受容体を拮抗または阻害し得る。これらの実施形態において、突然変異は、受容体で低減または除去された拮抗活性を有するように修飾されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば突然変異は、標的細胞に低減された阻害性シグナルを送達するように修飾されたシグナル伝達物質をもたらし得るか、または阻害性シグナルが、除去され得る。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つまたは複数の突然変異により拮抗性であり、例えば作動性シグナル伝達物質が、拮抗性シグナル伝達物質に変換され(例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520に記載される通り)、そのような変換されたシグナル伝達物質は、場合によりその受容体の1つまたは複数に対する結合親和性もしくは活性を低減する、またはその受容体の1つまたは複数に対する結合親和性を実質的に低減もしくは除去する、1つまたは複数の突然変異も担持する。
【0281】
幾つかの実施形態において、受容体で低減された親和性または活性は、標的部分の1つまたは複数の付着により回復可能である。他の実施形態において、受容体で低減された親和性または活性は、標的部分の1つまたは複数の活性により実質的に回復可能でない。
【0282】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、それらのシグナル伝達物質が受容体で結合親和性または活性を減弱または除去する突然変異を有するため、オフターゲット効果を低減する。様々な実施形態において、副作用のこの低減は、例えば野生型シグナル伝達物質に相対的に、観察される。様々な実施形態において、標的部分(複数可)が、実質的な活性化に必要とされる消失した/不充分な結合(例えば、限定なしにおよび/または親和性)を補填するため、シグナル伝達物質は、標的細胞上で活性である。様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、治療活性部位への途中では実質的に不活性であり、特異的に標的にされる細胞型上では実質的に効果を有し、これは望ましくない副作用を大きく低減する。
【0283】
幾つかの実施形態において、シグナル伝達物質は、1つの受容体(即ち、治療性受容体)への結合および親和性を弱化または低減する1つまたは複数の突然変異と、第二の受容体で結合または活性を実質的に低減または除去する1つまたは複数の突然変異と、を含み得る。そのような実施形態において、これらの突然変異は、同一のまたは異なる位置(即ち、同一の突然変異または複数の突然変異)であり得る。幾つかの実施形態において、1つの受容体での結合および/または活性を低減する突然変異(複数可)は、別の受容体で実質的に低減または除去する突然変異(複数可)と異なる。幾つかの実施形態において、1つの受容体での結合および/または活性を低減する突然変異(複数可)は、別の受容体で実質的に低減または除去する突然変異(複数可)と同一である。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、治療性受容体で結合および/または活性を弱化し、それゆえより制御されたオンターゲット治療効果(例えば、相対的な野生型シグナル伝達物質)を可能にする突然変異と、別の受容体で結合および/または活性を実質的に低減または除去し、それゆえ副作用を低減する(例えば、野生型シグナル伝達物質に対して)突然変異と、の両方を有する修飾されたシグナル伝達物質を有する。
【0284】
幾つかの実施形態において、結合または活性の実質的な低減または除去は、標的部分で実質的に回復可能でない。幾つかの実施形態において、結合または活性の実質的な低減または除去は、標的部分で回復可能である。様々な実施形態において、第二の受容体で結合または活性を実質的に低減または除去することは、他の受容体により媒介される有害作用も予防し得る。代わりまたは追加として、別の受容体で結合または活性を実質的に低減または除去することは、治療作用部位から離れた治療性キメラタンパク質の低減または排除される封鎖があるため、治療効果を改善させる。例えば、幾つかの実施形態において、これは、他の受容体での損失を補填する本発明のキメラタンパク質の高用量の要件を不要にする。用量を低減するそのような能力がさらに、副作用のより低い可能性をもたらす。
【0285】
様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が受容体の1つまたは複数について、低減れた、実質的に低減された、または除去された親和性、例えば結合(例えば、K)および/または活性化(例えば、修飾されたシグナル伝達物質が、その受容体のアゴニストであれば、例えばKおよび/またはEC50として測定できる)および/または阻害(例えば、修飾されたシグナル伝達物質が、その受容体のアンタゴニストであれば、例えばKおよび/またはIC50として測定できる)を有するようにさせる1つまたは複数の突然変異を含む。様々な実施形態において、免疫調整剤の受容体で低減された親和性は、活性(作動または拮抗を含む)の弱化を可能にする。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、野生型シグナル伝達物質に対して、受容体への約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約10%~20%、約20%~40%、約50%、約40%~60%、約60%~80%、約80%~100%の親和性を有する。幾つかの実施形態において、結合親和性は、野生型シグナル伝達物質に対して、少なくとも約2倍低い、約3倍低い、約4倍低い、約5倍低い、約6倍低い、約7倍低い、約8倍低い、約9倍低い、少なくとも約10倍低い、少なくとも約15倍低い、少なくとも約20倍低い、少なくとも約25倍低い、少なくとも約30倍低い、少なくとも約35倍低い、少なくとも約40倍低い、少なくとも約45倍低い、少なくとも約50倍低い、少なくとも約100倍低い、少なくとも約150倍低い、または約10~50倍低い、約50~100倍低い、約100~150倍低い、約150~200倍低い、または200倍よりもさらに低い。
【0286】
キメラタンパク質が、1つの受容体で結合を低下させ、かつ第二の受容体で結合を実質的に低下または弱化させる突然変異を有する実施形態において、1つの受容体に対する修飾されたシグナル伝達物質の結合親和性の弱化または低減は、他の受容体に対する親和性の実質的な弱化または除去よりも低い。幾つかの実施形態において、1つの受容体に対する修飾されたシグナル伝達物質の結合親和性における弱化または低減は、他の受容体に対する親和性の実質的な弱化または除去よりも約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%低い。様々な実施形態において、実質的な低減または除去は、弱化または低減よりも大きな、結合親和性および/または活性の低減を指す。
【0287】
様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達物質の内因性活性を、例えば、野生型シグナル伝達物質に対して、約75%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約10%、または約5%、または約3%、または約1%に低減する1つまたは複数の突然変異を含む。
【0288】
様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が、本明細書に記載されるサイトカイン、成長因子、およびホルモンの任意の1つの受容体に対する低減された親和性および/または活性を有するようにさせる、1つまたは複数の突然変異を含む。
【0289】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が、その受容体(複数可)に対する標的部分(複数可)の結合親和性よりも低い、その受容体に対する低減された親和性を有するようにさせる、1つまたは複数の突然変異を含む。幾つかの実施形態において、この結合親和性の差異は、同じ細胞上でのシグナル伝達物質/受容体と標的部分/受容体の間にある。幾つかの実施形態において、この結合親和性の差異は、シグナル伝達物質、例えば突然変異されたシグナル伝達物質が、局在化されたオンターゲット効果を有し、および野生型シグナル伝達物質で観察される副作用の根底にあるオフターゲット効果を最小限にすることを可能にする。幾つかの実施形態において、この結合親和性は、少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍低い、または少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍低い、または少なくとも約100倍、または少なくとも約150倍である。
【0290】
受容体結合活性は、当該技術分野で公知の方法を利用して測定され得る。例えば親和性および/または結合活性は、結合データのスキャッチャードプロット分析とコンピュータフィッティング(例えば、Scatchard,1949)により、またはBrecht ら(1993)により記載される通りフロースルー条件下での反射干渉分光法により、評定され得る(それらの全ての全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる)。
【0291】
本明細書に記載される野生型シグナル伝達物質は、当該技術分野で周知である。したがって様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、本明細書に記載されるシグナル伝達物質の公知の野生型アミノ酸配列と少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、本明細書に開示される配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0292】
様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、本明細書に開示されるシグナル伝達物質のアミノ酸配列のいずれかと少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、本明細書に開示される配列の任意の1つと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0293】
様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、1つまたは複数のアミノ酸突然変異を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数のアミノ酸突然変異は、独立して、置換、挿入、欠失、およびトランケーションから選択され得る。
【0294】
幾つかの実施形態において、アミノ酸突然変異は、アミノ酸置換であり、本明細書の他の箇所に記載される通り、保存的置換および/または非保存的置換を包含し得る。
【0295】
本明細書に記載される通り、修飾されたシグナル伝達物質は、1つまたは複数の受容体で親和性および/または活性に影響を及ぼす突然変異を担持する。様々な実施形態において、治療性受容体、例えばそれを介して所望の治療効果が媒介される(例えば、作動または拮抗)受容体で親和性および/または活性が低減される。様々な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、受容体、例えばそれを介して所望の治療効果が媒介されない(例えば、結合の無差別性の結果として)受容体で親和性および/または活性を実質的に低減または除去する突然変異を担持する。本明細書に記載される通り、任意の修飾されたシグナル伝達物質、例えばサイトカイン、成長因子、およびホルモンの1つ、の受容体は、当該技術分野で公知である。
【0296】
受容体で低減された親和性および/または活性(例えば、作動性)を提供する例示的な突然変異は、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2013/107791(例えば、インターフェロンに関する)WO2015/007542(例えば、インターロイキンに関する)、およびWO2015/007903(例えば、TNFに関する)に見出される。治療性受容体で低減された親和性および/または活性(例えば、拮抗性)を提供する例示的な突然変異は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520に見出される。
【0297】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が、I型サイトカイン受容体、II型サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーにおける受容体、TGF-β受容体、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーにおける受容体、および/またはチロシンキナーゼスーパーファミリーにおける受容体に対する低減された親和性および/または活性を有するようにさせる、1つまたは複数の突然変異を含む。
【0298】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、I型サイトカイン受容体である。I型サイトカイン受容体は、当該技術分野で公知であり、IL2(ベータサブユニット)、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、IL11、IL12、GM-CSF、G-CSF、LIF、CNTFに対する受容体、ならびにトロンボポエチン(TPO)、プロラクチン、および成長ホルモンに対する受容体も挙げられるが、これらに限定されない。例示的なI型サイトカイン受容体としては、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、LIF受容体、CNTF受容体、TPO受容体、およびI型IL受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、II型サイトカイン受容体である。II型サイトカイン受容体は、異種性サブユニット(heterologous subunits)で構成される多量体受容体であり、主にインターフェロンのための受容体である。この受容体ファミリーとしては、インターフェロン-α、インターフェロン-β、およびインターフェロン-γ、IL10、IL22、および組織因子に対する受容体が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なII型サイトカイン受容体としては、IFN-α受容体(例えば、IFNAR1およびIFNAR2)、IFN-β受容体、およびIFN-γ受容体(例えば、IFNGR1およびIFNGR2)、およびII型IL受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0300】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、Gタンパク質共役受容体である。ケモカイン受容体は、7つの膜貫通構造を有しシグナル伝達のためにGタンパク質に共役される、Gタンパク質共役受容体である。ケモカイン受容体としては、CCケモカイン受容体、CXCケモカイン受容体、CX3Cケモカイン受容体、およびXCケモカイン受容体(XCR1)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なケモカイン受容体としては、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR3b、CXCR4、CXCR5、CSCR6、CXCR7、XCR1、およびCX3CR1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、TNFRファミリーメンバーである。腫瘍壊死因子(TNFR)ファミリーメンバーは、細長い分子を生成するCXXCXXCのコアモチーフを取り囲む3つのジスルフィド結合で形成されるシステインリッチドメイン(CRD)を共有する。例示的な腫瘍壊死因子受容体ファミリーとしては、CDI 20a(TNFRSFIA)、CD 120b(TNFRSFIB)、リンホカインベータ受容体(LTBR、TNFRSF3)、CD134(TNFRSF4)、CD40(CD40、TNFRSF5)、FAS(FAS、TNFRSF6)、TNFRSF6B(TNFRSF6B)、CD27(CD27、TNFRSF7)、CD30(TNFRSF8)、CD137(TNFRSF9)、TNFRSFIOA(TNFRSFIOA)、TNFRSFIOB、(TNFRSFIOB)、TNFRSFIOC(TNFRSFIOC)、TNFRSFIOD(TNFRSFIOD)、RANK(TNFRSFI lA)、オステオプロテゲリン(TNFRSFI IB)、TNFRSF12A(TNFRSF12A)、TNFRSF13B(TNFRSF13B)、TNFRSF13C(TNFRSF13C)、TNFRSF14(TNFRSF14)、神経成長因子受容体(NGFR、TNFRSF16)、TNFRSF17(TNFRSF17)、TNFRSF18(TNFRSF18)、TNFRSF19(TNFRSF19)、TNFRSF21(TNFRSF21)、およびTNFRSF25(TNFRSF25)が挙げられる。
【0302】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、TGF-ベータ受容体である。TGF-ベータ受容体は、シングルパスセリン/トレオニンキナーゼ受容体である。TGF-ベータ受容体としては、TGFBR1、TGFBR2、およびTGFBR3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、Igスーパーファミリー受容体である、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーにおける受容体は、免疫グロブリンと構造的相同性を共有する。Igスーパーファミリーにおける受容体としては、インターロイキン-1受容体、CSF-1R、PDGFR(例えば、PDGFRAおよびPDGFRB)、およびSCFRが挙げられるが、これらに限定されない。
【0304】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体は、チロシンキナーゼスーパーファミリー受容体である。チロシンキナーゼスーパーファミリーにおける受容体は、当該技術分野で周知である。約58の公知の受容体チロシンキナーゼ(RTK)が存在し、それらは20のサブファミリーに群分けされる。チロシンキナーゼスーパーファミリーにおける受容体としては、FGF受容体、ならびにそれらの様々なアイソフォーム、例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、およびFGFR5が挙げられるが、これらに限定されない。
【0305】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インターフェロンαである。そのような実施形態において、修飾されたIFN-α剤は、IFNα/β受容体(IFNAR)、即ちIFNAR1および/またはIFNR2鎖に対し低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたIFN-α剤は、IFNα/β受容体(IFNAR)、即ちIFNAR1および/またはIFNR2鎖に対し実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0306】
インターフェロンαの突然変異形態は、当業者に公知である。例示的な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、
IFN-α2a(配列番号336):
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRKISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE
のアミノ酸配列を有する対立遺伝子形態IFN-α2aである。
【0307】
例示的な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、
IFN-α2b(配列番号337):
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE
(これはアミノ酸位置23でIFN-α2aと異なる)のアミノ酸配列を有する対立遺伝子形態IFN-α2bである。
【0308】
幾つかの実施形態において、上記IFN-α2突然変異体(IFN-α2aまたはIFN-α2b)は、アミノ酸位置148、149および/または153などの、144~154位置の1つまたは複数のアミノ酸で突然変異されている。幾つかの実施形態において、IFN-α2突然変異体は、L153A、R149A、およびM148Aから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。そのような突然変異体は、例えば全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2013/107791およびPiehler et al.,(2000)J.Biol.Chem,275:40425-33に記載される。
【0309】
幾つかの実施形態において、IFN-α2突然変異体は、IFNAR1に対し低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、IFN-α2突然変異体は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2010/030671に記載される、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、およびY89Aから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。
【0310】
幾つかの実施形態において、IFN-α2突然変異体は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2008/124086に記載されるK133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。
【0311】
幾つかの実施形態において、IFN-α2突然変異体は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520およびWO2010/030671に記載される、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。そのような実施形態において、上記IFN-α2突然変異体は、野生型IFN-α2活性と拮抗する。そのような実施形態において、上記突然変異体IFN-α2は、IFNAR1に対し低減された親和性および/または活性を有するが、IFNR2の親和性および/または活性は、保持される。
【0312】
幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、(1)理論に結びつけるのを望むものではないが、拮抗効果を生じる、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1つまたは複数の突然変異と、(2)理論に結びつけるのを望むものではないが、例えばIFNR2で、弱化された効果を可能にする、K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の突然変異と、を含む。一実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、R120EおよびL153Aを含む。
【0313】
幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2013/059885に開示されるL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、D114R、L117A、R120A、R125A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aから選択される1つまたは複数の突然変異を含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL30Aを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはR33Aを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはM148Aを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL153Aを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異N65A、L80A、Y85A、および/またはY89Aを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIFN-α2突然変異体は、WO2013/059885に開示される突然変異N65A、L80A、Y85A、Y89A、および/またはD114Aを含む。
【0314】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インターフェロンβである。そのような実施形態において、修飾されたインターフェロンβ剤は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、即ち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたインターフェロンβ剤は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、即ち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0315】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インターフェロンγである。そのような実施形態において、修飾されたインターフェロンγ剤は、IFN-ガンマ受容体(IFNGR)、即ち、IFNGR1およびIFNGR2鎖に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたインターフェロンγ剤は、IFN-ガンマ受容体(IFNGR)、即ち、IFNGR1および/またはIFNGR2鎖に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0316】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、血管内皮成長因子(VEGF)である。VEGFは、生理学的だけでなく病理学的な血管新生において主要な役割を担い、血管透過性を調節し、かつVEGF受容体を発現する細胞上で成長因子として作用し得る強力な成長因子である。さらなる機能としては、特に、マクロファージ系列および内皮細胞における細胞遊走の刺激が挙げられる。成長因子のVEGFファミリーの複数のメンバー、ならびに少なくとも3種の受容体(VEGFR-1、VEGFR-2、およびVEGFR-3)が、存在する。VEGFファミリーのメンバーは、1つよりも多くのVEGFRタイプを結合し活性化できる。例えば、VEGF-Aは、VEGFR-1および-2を結合し、一方でVEGF-Cは、VEGFR-2および-3を結合し得る。VEGFR-1および-2の活性化は、血管新生を調節し、一方でVEGFR-3活性化は、リンパ管新生と関連する。主要な血管新生促進シグナルは、VEGFR-2の活性化から発生する。VEGFR-1の活性化は、血管新生における負の役割とおそらく関連することが報告されている。VEGFR-1シグナル伝達は、骨髄由来VEGFR-1陽性細胞を介するインビボでの腫瘍の進行に重要である(骨における前転移ニッチの形成に寄与する)ことも報告されている。VEGF-Aに向けられる/中和する治療抗体に基づく複数の治療が、主に、血管新生に依存する様々なヒト腫瘍の処置における使用のために、開発されている。これらはしかし、副作用なしではない。これは、これらが一般的な非細胞/組織特異的VEGF/VEGFR相互作用阻害剤として動作することを思えば、驚くことではなかろう。こうして、VEGF(例えば、VEGF-A)/VEGFR-2阻害を特異的な標的細胞(例えば、腫瘍血管構造の内皮細胞)に制限することが望ましいであろう。
【0317】
幾つかの実施形態において、VEGFは、VEGF-A、VEGF-B、VEFG-C、VEGF-D、またはVEGF-Eおよびそれらのアイソフォームであり、VEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、およびVEGF206などのVEGF-Aの様々なアイソフォームを含む。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)および/またはVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)および/またはVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-2(KDR/Flt-1)に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはVEGFR-1(Flt-1)に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。そのような実施形態は、例えば、創傷治癒法または虚血関連疾患の処置(理論に結びつけるのを望むものではないが、内皮細胞の機能および血管新生に及ぼすVEGFR-2の影響により媒介される)において、用途を見出す。様々な実施形態において、癌および炎症促進活性に結び付けられる、VEGFR-1(Flt-1)への結合が、回避される。様々な実施形態において、VEGFR-1(Flt-1)は、デコイ受容体として作用し、それゆえこの受容体での親和性を実質的に低減または除去し、治療薬の封鎖を回避する。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはVEGFR-2(KDR/Flt-1)に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。幾つかの実施形態において、VEGFは、VEGF-CまたはVEGF-Dである。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-3に対する低減された親和性および/または活性を有する。あるいは修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-3に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0318】
血管新生促進療法もまた、様々な疾患(例えば、虚血性心疾患、出血など)において重要であり、VEGFに基づく治療を包含する。VEGFR-2の活性化は、血管新生促進性である(内皮細胞上で作用する)。VEGFR-1の活性化は、炎症細胞(例えば、マクロファージなど)の遊走の刺激を誘起し、炎症関連の高度血管透過性(hypervascular permeability)をもたらし得る。VEGFR-1の活性化は、骨髄関連腫瘍ニッチ形成も促進できる。したがって、VEGFR-2に選択的なVEGFに基づく治療が、この場合に望ましいであろう。加えて、例えば内皮細胞への、細胞特異的標的化が、望ましいであろう。
【0319】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する低減された親和性および/もしくは活性(例えば、拮抗性)を有し、および/またはVEGFR-1に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。そのような構築物は、腫瘍内皮細胞マーカー(例えば、PSMAその他)に結合する標的部分を介して腫瘍血管構造の内皮細胞に標的されると、そのようなマーカー陽性細胞上でVEGFR-2活性化を特異的に阻害するが、標的細胞への途中および標的細胞上ではVEGFR-1を活性化せず(活性が除去されるとしても)、したがって例えば、炎症応答の誘発を排除する。これは、VEGF-A中和療法に比較して、多くの腫瘍タイプに対しより選択的でかつ安全な血管新生抑制療法を提供するであろう。
【0320】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する低減された親和性および/もしくは活性(例えば、作動性)を有し、および/またはVEGFR-1に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。そのような構築物は、血管内皮細胞への標的化を通して、幾つかの実施形態において、VEGFR-1関連の炎症応答の誘発を引き起こすことなく、血管新生を促進する。つまり、そのような構築物は、標的化された血管新生促進作用を有し、VEGFR-2およびVEGR-1の全身活性化により誘発される副作用のリスクを実質的に低減するであろう。
【0321】
例示的な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGF165であり、それはアミノ酸配列:
VEGF 165(野生型)(配列番号338)
APMAEGGGQNHHEVVKFMDVYQRSYCHPIETLVDIFQEYPDEIEYIFKPSCVPLMRCGGCCNDEGLECVPTEESNITMQIMRIKPHQGQHIGEMSFLQHNKCECRPKKDRARQENPCGPCSERRKHLFVQDPQTCKCSCKNTDSRCKARQLELNERTCRCDKPRR
を有する。
【0322】
例示的な実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、VEGF165bであり、それはアミノ酸配列:
VEGF 165b(野生型)(配列番号339)
APMAEGGGQNHHEVVKFMDVYQRSYCHPIETLVDIFQEYPDEIEYIFKPSCVPLMRCGGCCNDEGLECVPTEESNITMQIMRIKPHQGQHIGEMSFLQHNKCECRPKKDRARQENPCGPCSERRKHLFVQDPQTCKCSCKNTDSRCKARQLELNERTCRSLTRKD
を有する。
【0323】
これらの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、アミノ酸I83で突然変異(例えば、I83での置換突然変異、例えばI83K、I83R、またはI83H)を有する。理論に結びつけるのを望むものではないが、そのような突然変異は、低減された受容体結合親和性をもたらし得ると考えられる。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,078,860号を参照されたい。
【0324】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNF-αである。TNFは、細胞増殖、分化、アポトーシス、腫瘍化、ウイルス複製、自己免疫性、免疫細胞の機能および輸送の調節、炎症、ならびに敗血症性ショックを含む、多くの多様な機能を有する多面発現性サイトカインである。それは、標的細胞上の2つの異なる膜受容体TNFR1(p55)およびTNFR2(p75)に結合する。TNFR1は、非常に広い発現パターンを示すが、TNFR2は、主にリンパ球、Treg、内皮細胞、特定の神経細胞、ミクログリア、心筋細胞および間葉系幹細胞の表面で、発現される。非常に異なる生物学的経路が、受容体活性化に応答して活性化されるが、幾つかのオーバーラップも存在する。概して言うと、理論に結びつけるのを望むものではないが、TNFR1シグナル伝達は、アポトーシス(細胞死)の誘導と関連し、TNFR2シグナル伝達は、細胞生存シグナルの活性化(例えば、NFkB経路の活性化)と関連する。TNFの投与は、全身毒性であり、これは、TNFR1エンゲージメントによるものが大きい。しかし、TNFR2の活性化も広範囲の活性と関連し、TNFR1と同様に、TNFに基づく治療を開発する際に、TNF標的化および活性に対する制御が重要であることを、留意すべきである。
【0325】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。TNFR1は、ほとんどの組織中で発現され、細胞死シグナル伝達に関与するが、対照的にTNFR2は、細胞生存シグナル伝達に関与する。したがって、癌を処置する方法に向けられる実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNFR1に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR2に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。これらの実施形態において、キメラタンパク質は、アポトーシスが望ましい細胞、例えば腫瘍細胞または腫瘍血管構造の内皮細胞へ標的され得る。細胞生存を促進する方法に向けられる実施形態において、例えば神経変性障害の処置のための神経形成において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNFR2に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR1に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。別の言い方では、本発明のキメラタンパク質は、幾つかの実施形態において、死亡または生存のいずれかのシグナルを優先させる修飾されたTNF-α剤を含む。
【0326】
幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、TNFR1に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR2に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する修飾されたTNFを有する。そのようなキメラは、幾つかの実施形態において、野生型TNF、および/またはTNFR1に対する親和性および/または活性を低減させる突然変異(複数可)のみを担持するキメラに比較して、強力なアポトーシス誘導物質である。そのようなキメラは、幾つかの実施形態において、腫瘍細胞死または腫瘍血管構造の内皮細胞死を誘導すること(例えば、癌の処置において)に用途を見出す。同じく幾つかの実施形態において、これらのキメラは、例えばTNFR2を介してTreg細胞の活性化を回避または低減し、したがってインビボでTNFR1を介する抗腫瘍活性を支援する。
【0327】
幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、TNFR2に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR1に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する修飾されたTNFを有する。そのようなキメラは、幾つかの実施形態において、幾つかの細胞型における細胞生存のより強力な活性化物質であり、それは、非限定的に神経形成の刺激を含む、様々な疾患状況における特定の治療目的であり得る。加えて、そのようなTNFR2に好都合なキメラはまた、自己免疫性疾患(例えば、クローン病、糖尿病、MS、大腸炎など、および本明細書に記載される多くの他のもの)の処置に有用である。幾つかの実施形態において、キメラは、自己反応性T細胞に標的される。幾つかの実施形態において、キメラは、Treg細胞活性化および細胞障害性T細胞の間接的抑制を促進する。
【0328】
幾つかの実施形態において、キメラは、例えばTNFR2の活性化および/またはTNFR1の回避により(例えば、TNFR2に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/またはTNFR1に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する修飾されたTNF)、自己反応性T細胞の死を引き起こす。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの自己反応性T細胞は、例えばNFkB経路の活性/シグナル伝達の改変により、改変されたそれらのアポトーシス/生存シグナルを有する。幾つかの実施形態において、キメラは、それらの細胞死(アポトーシス)/生存シグナル伝達特性の不均衡および、場合により特定の死亡誘導シグナル(例えば、TNFR2活性化)への改変された感受性の根底にある、NFkB経路における病変または修飾を有する自己反応性T細胞の死を引き起こす。
【0329】
幾つかの実施形態において、TNFR2に基づくキメラは、とりわけ、様々な自己免疫性疾患、心疾患、脱髄および神経変性障害、ならびに感染性疾患を含む、疾患におけるさらなる治療適用を有する。
【0330】
一実施形態において、野生型TNF-αは、
TNF-α(配列番号340)
VRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL
のアミノ酸配列を有する。
【0331】
そのような実施形態において、修飾されたTNF-α剤は、低減された受容体結合親和性を有する修飾されたTNF-αを生成する1つまたは複数のアミノ酸位置29、31、32、84、85、86、87、88、89、145、146および147で突然変異を有する。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第7,993,636号を参照されたい。
【0332】
幾つかの実施形態において、修飾されたTNF-α部分は、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO/2015/007903に記載される通り、1つまたは複数のアミノ酸位置R32、N34、Q67、H73、L75、T77、S86、Y87、V91、I97、T105、P106、A109、P113、Y115、E127、N137、D143、およびA145(ヒトTNF配列Genbankアクセション番号BAG70306、バージョンBAG70306.1 Gl:197692685に従ってナンバリング)で突然変異を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたTNF-α部分は、R32G、N34G、Q67G、H73G、L75G、L75A、L75S、T77A、S86G、Y87Q、Y87L、Y87A、Y87F、V91G、V91A、I97A、I97Q、I97S、T105G、P106G、A109Y、P113G、Y115G、Y115A、E127G、N137G、D143N、A145GおよびA145Tから選択される置換変異を有する。一実施形態において、ヒトTNF-α部分は、Y87Q、Y87L、Y87A、およびY87Fから選択される突然変異を有する。別の実施形態において、ヒトTNF-α部分は、I97A、I97Q、およびI97Sから選択される突然変異を有する。さらなる実施形態において、ヒトTNF-α部分は、Y115AおよびY115Gから選択される突然変異を有する。
【0333】
幾つかの実施形態において、修飾されたTNF-α部分は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2008/124086に記載される通り、N39Y、S147Y、およびY87Hから選択される1つまたは複数の突然変異を有する。
【0334】
幾つかの実施形態において、修飾されたヒトTNF-α部分は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/IB2016/001668に記載される通り、受容体選択性を提供する突然変異を有する。幾つかの実施形態において、TNFへの突然変異は、TNF-R1選択的である。幾つかの実施形態において、TNF-R1選択的であるTNFへの突然変異は、位置R32、S86、およびE146の1つまたは複数においてである。幾つかの実施形態において、TNF-R1選択的であるTNFへの突然変異は、R32W、S86T、およびE146Kの1つまたは複数である。幾つかの実施形態において、TNF-R1選択的であるTNFへの突然変異は、R32W、R32W/S86T、R32W/E146KおよびE146Kの1つまたは複数である。幾つかの実施形態において、TNFへの突然変異は、TNF-R2選択的である。幾つかの実施形態において、TNF-R2選択的であるTNFへの突然変異は、位置A145、E146、およびS147の1つまたは複数においてである。幾つかの実施形態において、TNF-R2選択的であるTNFへの突然変異は、A145T、A145R、E146D、およびS147Dの1つまたは複数である。幾つかの実施形態において、TNF-R2選択的であるTNFへの突然変異は、A145R、A145T/S147D、およびA145T/E146D/S147Dの1つまたは複数である。
【0335】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNF-βである。TNF-βは、ホモ三量体またはLT-β(LT-α1β2)とヘテロ三量体を形成し得る。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2および/またはヘルペスウイルスエントリーメディエータ(HEVM)および/またはLT-βRに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0336】
一実施形態において、野生型TNF-βは、
TNF-β(配列番号341)
LPGVGLTPSAAQTARQHPKMHLAHSNLKPAAHLIGDPSKQNSLLWRANTDRAFLQDGFSLSNNSLLVPTSGIYFVYSQVVFSGKAYSPKATSSPLYLAHEVQLFSSQYPFHVPLLSSQKMVYPGLQEPWLHSMYHGAAFQLTQGDQLSTHTDGIPHLVLSPSTVFFGAFAL
のアミノ酸配列を有する。
【0337】
そのような実施形態において、修飾されたTNF-β剤は、TNFR2への低減された受容体結合親和性を有する修飾されたTNF-βを生成する、1つまたは複数のアミノ酸位置106~113で突然変異を有する。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、アミノ酸位置106~113に1つまたは複数の置換突然変異を有する。例示的な実施形態において、置換突然変異は、Q107E、Q107D、S106E、S106D、Q107R、Q107N、Q107E/S106E、Q107E/S106D、Q107D/S106E、およびQ107D/S106Dから選択される。別の実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、位置106~113で約1~約3のアミノ酸の挿入を有する。
【0338】
幾つかの実施形態において、修飾された物質は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007903に記載される通り一本鎖三量体型であり得るTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。
【0339】
幾つかの実施形態において、修飾された物質は、TNFR1で低減された親和性および/または活性、即ち拮抗活性(例えば、天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)を有するTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。これらの実施形態において、修飾された物質は、場合によりTNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性も有する、TNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。幾つかの実施形態において、修飾された物質は、TNFR2で低減された親和性および/または活性、即ち拮抗活性(例えば、天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)を有するTNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。これらの実施形態において、修飾された物質は、場合によりTNFR1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性も有する、TNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)である。そのような実施形態の構築物は、例えば細胞特異的な様式でTNF応答を減衰させる方法で、用途を見出す。幾つかの実施形態において、拮抗性TNFファミリーメンバー(例えば、TNF-アルファ、TNF-ベータ)は、WO2015/007903に記載される通り一本鎖三量体型である。
【0340】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TRAILである。幾つかの実施形態において、修飾されたTRAIL剤は、DR4(TRAIL-RI)および/またはDR5(TRAIL-RII)および/またはDcR1および/またはDcR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたTRAIL剤は、DR4(TRAIL-RI)および/またはDR5(TRAIL-RII)および/またはDcR1および/またはDcR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0341】
一実施形態において、野生型TRAILは、
TRAIL(配列番号342)
MAMMEVQGGPSLGQTCVLIVIFTVLLQSLCVAVTYVYFTNELKQMQDKYSKSGIACFLKEDDSYWDPNDEESMNSPCWQVKWQLRQLVRKMILRTSEETISTVQEKQQNISPLVRERGPQRVAAHITGTRGRSNTLSSPNSKNEKALGRKINSWESSRSGHSFLSNLHLRNGELVIHEKGFYYIYSQTYFRFQEEIKENTKNDKQMVQYIYKYTSYPDPILLMKSARNSCWSKDAEYGLYSIYQGGIFELKENDRIFVSVTNEHLIDMDHEASFFGAFLVG
のアミノ酸配列を有する。
【0342】
そのような実施形態において、修飾されたTRAIL剤は、アミノ酸位置T127-R132、E144-R149、E155-H161、Y189-Y209、T214-1220、K224-A226、W231、E236-L239、E249-K251、T261-H264およびH270-E271(ヒト配列Genbankアクセション番号NP_003801、バージョン10NP_00301.1、Gl:4507593に基づいてナンバリング;上記参照)で突然変異を含み得る。
【0343】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TGFαである。そのような実施形態において、修飾されたTGFα剤は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたTGFα剤は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0344】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TGFβである。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TGFBR1および/またはTGFBR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたTGFα剤は、TGFBR1および/またはTGFBR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、理論に結びつけるのを望むものではないが、TGF-β受容体に対するリガンドのリザーバーとして作用し得るTGFBR3に対する低減された、または実質的に低減もしくは除去された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、TGFβは、TGFBR2よりもTGFBR1が、またはTGFBR1よりもTGFBR2が好適であり得る。同様にLAPは、理論に結びつけるのを望むものではないが、TGF-ベータ受容体に対するリガンドのリザーバーとして作用し得る。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、TGFBR1および/もしくはTGFBR2に対する低減された親和性および/もしくは活性、ならびに/または潜在関連ペプチド(LAP)2に対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。幾つかの実施形態において、そのようなキメラは、カムラチ・エンゲルマン病、または不適切なTGFβシグナル伝達に関連する他の疾患で用途を見出す。
【0345】
幾つかの実施形態において、修飾された物質は、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3の1つまたは複数で、低減された親和性および/または活性、即ち拮抗活性(例えば、天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)を有するTGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)である。これらの実施形態において、修飾された物質は、場合によりTGFBR1、TGFBR2、TGFBR3の1つまたは複数で実質的に低減または除去された親和性および/または活性も有する、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)である。
【0346】
幾つかの実施形態において、修飾された物質は、TGFBR1および/またはTGFBR2で、低減された親和性および/または活性、即ち拮抗活性(例えば、天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)を有するTGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)である。これらの実施形態において、修飾された物質は、場合によりTGFBR3で実質的に低減または除去された親和性および/または活性も有する、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)である。
【0347】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インターロイキンである。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1である。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1αまたはIL-1βである。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1R2に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。例えば、幾つかの実施形態において、本発明の修飾されたIL-1剤は、IL-1R2での相互作用を回避し、それゆえ治療薬のためのデコイおよび/またはシンクとしてのその機能を実質的に低減する。
【0348】
一実施形態において、野生型IL-1βは、
IL-1ベータ(成熟形態、野生型)(配列番号343)
APVRSLNCTLRDSQQKSLVMSGPYELKALHLQGQDMEQQVVFSMSFVQGEESNDKIPVALGLKEKNLYLSCVLKDDKPTLQLESVDPKNYPKKKMEKRFVFNKIEINNKLEFESAQFPNWYISTSQAENMPVFLGGTKGGQDITDFTMQFVSS
のアミノ酸配列を有する。
【0349】
IL1は、炎症促進性サイトカインであり、重要な免疫系調節物質である。それは、CD4 T細胞応答の強力な活性化因子であり、Th17細胞の割合、ならびにIFNγおよびIL-4産生細胞の増大を増加させる。IL-1は、CD8 T細胞の強力な調節物質でもあり、抗原特異性CD8 T細胞増大、分化、末梢への遊走、およびメモリーを増進する。IL-1受容体は、IL-1R1およびIL-1R2を含む。IL-1R1への結合、およびそれを介するシグナル伝達は、それによりIL-1がその生物学的(および病理学的)活性の多くを媒介するメカニズムを構成する。IL1-R2は、デコイ受容体として機能し、それによりIL-1R1を介する相互作用およびシグナル伝達に関するIL-1利用可能性を低減できる。
【0350】
幾つかの実施形態において、修飾されたIL-1は、IL-1R1に対する低減された親和性および/または活性(例えば、作動性活性)を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたIL-1は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態において、回復可能なIL-1/IL-1R1シグナル伝達、およびIL-R2での治療性キメラの損失の予防かつ、それによる必要とされるIL-1用量の低下(例えば、野生型、またはIL-R1について弱化突然変異のみを担持するキメラに対して)がある。そのような構築物は、例えば、免疫系を刺激して抗癌応答を開始することを含む、例えば癌を処置する方法で、用途を見出す。
【0351】
幾つかの実施形態において、修飾されたIL-1は、IL-1R1に対する低減された親和性および/または活性(例えば、拮抗活性、例えば天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたIL-1は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態において、IL-1/IL-1R1シグナル伝達は回復可能でなく、IL-R2での治療性キメラの損失の予防かつ、それによる必要とされるIL-1用量の低下(例えば、野生型、またはIL-R1に対する弱化突然変異(attenuation mutation)のみを担持するキメラに対して)が存在する。そのような構築物は、例えば、免疫系を抑制することを含む、例えば自己免疫性疾患を処置する方法で、用途を見出す。
【0352】
そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、I型IL-1Rに対する低減された結合親和性および低減された生物活性を有する修飾されたヒトIL-1βを生成する、アミノ酸52~54の欠失を有する。例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO1994/000491を参照されたい。幾つかの実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007542およびWO/2015/007536に記載される通り、IL-1Rへの低減された結合を示す、A117G/P118G、R120X、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130X、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146X、L145A/L147A、Q148X、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209X、K209A/K210A、K219X、E221X、E221 S/N224A、N224S/K225S、E244K、N245Q(ここで、Xは、アミノ酸中の任意の変化、例えば非保存的変化であり得る)(ヒト配列IL-1β配列、Genbankアクセション番号NP_000567、バージョンNP_000567.1、Gl:10835145を基にしてナンバリング)から選択される1つまたは複数の置換突然変異を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、R120A、R120G、Q130A、Q130W、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、Q148E、Q148G、Q148L、K209A、K209D、K219S、K219Q、E221SおよびE221Kから選択される1つまたは複数の突然変異を有し得る。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異Q131GおよびQ148Gを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異Q148GおよびK208Eを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびQ131Gを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびH146Aを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびH146Nを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびH146Rを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびH146Eを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびH146Gを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120GおよびK208Eを含む。一実施形態において、修飾されたヒトIL-1βは、突然変異R120G、F162A、およびQ164Eを含む。
【0353】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-2である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-2Rαおよび/またはIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-2Rαに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。例えば修飾されたIL-2がIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγで作動性である場合には、そのような実施形態は、癌の処置に関連し得る。例えば、本発明の構築物は、IL2受容体βおよびγを有するCD8T細胞(これは抗腫瘍効果を提供し得る)の弱化された活性化に好適であり、IL2受容体α、β、およびγを有するTreg(これは免疫抑制性腫瘍促進効果を提供し得る)に非好適であり得る。さらに、幾つかの実施形態において、IL-2RαよりもIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する優先性は、肺浮腫などのIL-2の副作用を回避する。また、例えば修飾されたIL-2がIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγで拮抗性(例えば、天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007520参照)である場合には、IL-2に基づくキメラは、自己免疫性疾患の処置に有用である。例えば、本発明の構築物は、IL2受容体βを有するCD8T細胞の弱化された抑制(そしてそれゆえ免疫応答を減衰する)に好適であり、IL-2受容体α、β、およびγを有するTregに非好適であり得る。あるいは、幾つかの実施形態において、IL-2を担持するキメラは、Tregの活性化、およびそれゆえ免疫抑制、かつCD8T細胞の非好適性の活性化に好適である。例えば、これらの構築物は、疾患、または免疫抑制から利益を享受する疾患、例えば自己免疫障害の処置で用途を見出す。
【0354】
幾つかの実施形態において、キメラタンパク質は、CD8T細胞に向けられる本明細書に記載される標的部分ならびに、IL-2Rβおよび/もしくはIL-2Rγに対する低減された親和性および/もしくは活性ならびに/またはIL-2Rαに対する実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する修飾されたIL-2剤を有する。幾つかの実施形態において、これらの構築物は、標的化されたCD8T細胞活性を提供し、Treg細胞に対して一般に不活性である(または実質的に低減された活性を有する)。幾つかの実施形態において、そのような構築物は、野生型IL-2に比較して増強された免疫刺激効果を有する(例えば、理論に結びつけるのを望むものではないが、Tregを刺激しないことにより)が、IL-2と関連する全身毒性を排除または低減する。
【0355】
一実施形態において、野生型IL-2は、
IL-2(成熟形態、野生型)(配列番号344)
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
のアミノ酸配列を有する。
【0356】
そのような実施形態において、修飾されたIL-2剤は、アミノ酸L72(L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、またはL72K)、F42(F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、またはF42K)およびY45(Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45RまたはY45K)で1つまたは複数の突然変異を有する。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの修飾されたIL-2剤は、野生型IL-2に比較して、高親和性IL-2受容体に対する低減された親和性を有し、中等度の親和性のIL-2受容体への親和性を保持すると考えられる。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2012/0244112号を参照されたい。
【0357】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-3である。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-3受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、これは共通のベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対合される特有のアルファ鎖を有するヘテロ二量体である。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-3受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有し、これは共通のベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対合される特有のアルファ鎖のヘテロ二量体である。
【0358】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-4である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、1型および/または2型IL-4受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、1型および/または2型IL-4受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。1型IL-4受容体は、IL-4Rαサブユニットと共通γ鎖で構成され、IL-4を特異的に結合する。2型IL-4受容体は、IL-13Rα1として公知の異なるサブユニットに結合されるIL-4Rαを包含する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、2型IL-4受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0359】
一実施形態において、野生型IL-4は、
IL-4(成熟形態、野生型)(配列番号345)
HKCDITLQEIIKTLNSLTEQKTLCTELTVTDIFAASKNTTEKETFCRAATVLRQFYSHHEKDTRCLGATAQQFHRHKQLIRFLKRLDRNLWGLAGLNSCPVKEANQSTLENFLERLKTIMREKYSKCSS
のアミノ酸配列を有する。
【0360】
そのような実施形態において、修飾されたIL-4剤は、アミノ酸R121(R121A、R121D、R121E、R121F、R121H、R121I、R121K、R121N、R121P、R121T、R121W)、E122(E122F)、Y124(Y124A、Y124Q、Y124R、Y124S、Y124T)およびS125(S125A)で1つまたは複数の突然変異を有する。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの修飾されたIL-4剤はI型受容体により媒介される活性を維持するが、他の受容体により媒介される生物活性を有意に低減すると考えられる。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,433,157号を参照されたい。
【0361】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-6である。IL-6は、リガンド結合IL-6R鎖(CD126)およびシグナル伝達成分gp130を含む細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を通してシグナル伝達する。IL-6はまた、IL-6Rの細胞外部分であるIL-6Rの可溶性形態(sIL-6R)に結合し得る。sIL-6R/IL-6複合体は、神経突起伸展および神経細胞の生存に関与し得、したがって再ミエリン化を介する神経再生において重要であり得る。したがって、幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-6R/gp130および/またはsIL-6Rに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-6R/gp130および/またはsIL-6Rに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0362】
一実施形態において、野生型IL-6は、IL-6(成熟形態、野生型)(配列番号346):
APVPPGEDSKDVAAPHRQPLTSSERIDKQIRYILDGISALRKETCNKSNMCESSKEALAENNLNLPKMAEKDGCFQSGFNEETCLVKIITGLLEFEVYLEYLQNRFESSEEQARAVQMSTKVLIQFLQKKAKNLDAITTPDPTTNASLTTKLQAQNQWLQDMTTHLILRSFKEFLQSSLRALRQM
のアミノ酸配列を有する。
【0363】
そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、アミノ酸配列58、160、163、171または177で1つまたは複数の突然変異を有する。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの修飾されたIL-6剤はIL-6Rアルファへの低減された結合親和性および低減された生物活性を示すと考えられる。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO97/10338を参照されたい。
【0364】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-10である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-10受容体-1およびIL-10受容体-2に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-10受容体-1およびIL-10受容体-2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0365】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-11である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対する低減された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0366】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-12である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-12Rβ1および/またはIL-12Rβ2に対する低減された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-12Rβ1および/またはIL-12Rβ2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0367】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-13である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-4受容体(IL-4Rα)およびIL-13Rα1に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-4受容体(IL-4Rα)またはIL-13Rα1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0368】
一実施形態において、野生型IL-13は、IL-13(成熟形態、野生型)(配列番号347):
SPGPVPPSTALRELIEELVNITQNQKAPLCNGSMVWSINLTAGMYCAALESLINVSGCSAIEKTQRMLSGFCPHKVSAGQFSSLHVRDTKIEVAQFVKDLLLHLKKLFREGRFN
のアミノ酸配列を有する。
【0369】
そのような実施形態において、修飾されたIL-13剤は、アミノ酸13、16、17、66、69、99、102、104、105、106、107、108、109、112、113および114で1つまたは複数の突然変異を有する。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの修飾されたIL-13剤は、低減された生物活性を有すると考えられる。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2002/018422を参照されたい。
【0370】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-18である。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、シグナル伝達に必要とされるTIRドメインが欠如したIL-18RαのアイソフォームであるIL-18Rα II型に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0371】
一実施形態において、野生型IL-18は、IL-18(野生型)(配列番号348):
MAAEPVEDNCINFVAMKFIDNTLYFIAEDDENLESDYFGKLESKLSVIRNLNDQVLFIDQGNRPLFEDMTDSDCRDNAPRTIFIISMYKDSQPRGMAVTISVKCEKISTLSCENKIISFKEMNPPDNIKDTKSDIIFFQRSVPGHDNKMQFESSSYEGYFLACEKERDLFKLILKKEDELGDRSIMFTVQNEDL
のアミノ酸配列を有する。
【0372】
そのような実施形態において、修飾されたIL-18剤は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2015/007542に記載される通り、Y37-K44、R49-Q54、D59-R63、E67-C74、R80、M87-A97、N127-K129、Q139-M149、K165-K171、R183およびQ190-N191から選択されるアミノ酸またはアミノ酸領域に1つまたは複数の突然変異を含み得る(ヒトIL-18配列Genbankアクセション番号AAV38697、バージョンAAV38697.1、Gl:54696650に基づいてナンバリング)。
【0373】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IL-33である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ST-2受容体およびIL-1RAcPに対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ST-2受容体およびIL-1RAcPに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0374】
一実施形態において、野生型IL-33は、
MKPKMKYSTNKISTAKWKNTASKALCFKLGKSQQKAKEVCPMYFMKLRSGLMIKKEACYFRRETTKRPSLKTGRKHKRHLVLAACQQQSTVECFAFGISGVQKYTRALHDSSITGISPITEYLASLSTYNDQSITFALEDESYEIYVEDLKKDEKKDKVLLSYYESQHPSNESGDGVDGKMLMVTLSPTKDFWLHANNKEHSVELHKCEKPLPDQAFFVLHNMHSNCVSFECKTDPGVFIGVKDNHLALIKVDSSENLCTENILFKLSET(配列番号349)
のアミノ酸配列を有する。
【0375】
そのような実施形態において、修飾されたIL-33剤は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるWO/2015/007542に記載される通り、I113-Y122、S127-E139、E144-D157、Y163-M183、E200、Q215、L220-C227およびT260-E269から選択されるアミノ酸またはアミノ酸領域に1つまたは複数の突然変異を含み得る(ヒト配列Genbankアクセション番号NP_254274、バージョンNP_254274.1、Gl:15559209に基づいてナンバリング)。
【0376】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、上皮成長因子(EGF)である。EGFは、強力な成長因子のファミリーのメンバーである。メンバーとしては、EGF、HB-EGF、および他のもの、例えばTGFアルファ、アンフィレグリン、ニューレグリン、エピレグリン、ベータセルリンが挙げられる。EGFファミリー受容体としては、EGFR(ErbB1)、ErbB2、ErbB3およびErbB4が挙げられる。これらは、ホモ二量体および/またはヘテロ二量体受容体サブタイプとして機能し得る。異なるEGFファミリーメンバーは、様々な受容体サブタイプに対して差示的な選択性を示す。例えば、EGFは、ErbB1/ErbB1、ErbB1/ErbB2、ErbB4/ErbB2および他のヘテロ二量体サブタイプと関連する。HB-EGFは、類似のパターンを有するが、ErbB4/4にも関連する。EGF(EGF様)成長因子シグナル伝達の正または負のモジュレーションは、大きな治療的関心である。例えば、EGFRシグナル伝達の阻害は、EGFRシグナル伝達が主な成長促進シグナルを構成する様々な癌の処置で関心が持たれる。あるいはEGFRシグナル伝達の刺激は、例えば、創傷治癒の促進(急性および慢性)、口腔粘膜炎(非限定的に放射線療法を含む、様々な癌治療の主な副作用)において、治療的関心である。
【0377】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、および/またはErbB4に対する低減された親和性および/または活性を有する。そのような実施形態は、例えば創傷を処置する方法で、用途を見出す。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、1つまたは複数のErbB1、ErbB2、ErbB3、およびErbB4に結合し、受容体の活性と拮抗する。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、および/またはErbB4に対する低減された親和性および/または活性を有し、これは受容体の活性が弱化される方式で拮抗されるようにする。そのような実施形態は、例えば癌の処置で用途を見出す。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ErbB1に対する低減された親和性および/または活性を有する。ErbB1はキナーゼ阻害剤の治療ターゲットであり、キナーゼ阻害剤は、それらがあまり選択的でないため、ほとんどが副作用を有する(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ブリガチニブおよびイコチニブ)。幾つかの実施形態において、弱化された拮抗性ErbB1シグナル伝達は、よりオンターゲットであり、EGFに対する受容体を標的とする他の薬剤よりも少ない副作用を有する。
【0378】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ErbB1に対する低減された親和性および/もしくは活性(例えば、拮抗性、例えば天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2015/007520参照)、ならびに/またはErbB4もしくはそれが相互作用し得る他のサブタイプに対する、実質的に低減もしくは除去された親和性および/もしくは活性を有する。標的部分を介する特異的標的化により、ErbB1/ErbB1受容体活性化の細胞選択性の抑制(拮抗性、例えば天然の拮抗活性、または1つもしくは複数の突然変異の結果である拮抗活性、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2015/007520参照)が実現される(阻害関連の副作用と潜在的に関連する他の受容体サブタイプを関わらせずに)。したがってそのような構築物は、体内の全ての細胞型でEGFR活性を阻害するEGFRキナーゼ阻害剤とは対照的に、細胞選択的な(例えば、受容体の増幅、過剰発現などによりEGFRシグナル伝達が活性化された腫瘍細胞)抗EGFR(ErbB1)薬物効果を低減された副作用で提供する。
【0379】
幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、ErbB4および/またはそれが相互作用し得る他のサブタイプに対する低減された親和性および/または活性(例えば、拮抗性)を有する。標的部分を介する特異的標的細胞への標的により、ErbB1シグナル伝達の選択的活性化が実現される(例えば、上皮細胞)。そのような構築物は、幾つかの実施形態において、特に慢性状態での処置および治療薬の外用以外の適用(例えば、全身創傷治癒)のために、副作用が低減された創傷の処置(創傷治癒を促進する)で用途を見出す。
【0380】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インスリンまたはインスリン類似体である。幾つかの実施形態において、修飾されたインスリンまたはインスリン類似体は、インスリン受容体および/またはIGF1もしくはIGF2受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたインスリンまたはインスリン類似体は、インスリン受容体および/またはIGF1もしくはIGF2受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。インスリン受容体での弱化された応答は、糖尿病、肥満、代謝障害などのコントロールを可能にしながら、IGF1またはIGF2受容体から離れる方向づけが癌促進作用(procancer effects)を回避する。
【0381】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インスリン様成長因子Iまたはインスリン様成長因子II(IGF-1またはIGF-2)である。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IGF-1である。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インスリン受容体および/またはIGF1受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IGF1受容体に結合し、受容体の活性に拮抗し得る。そのような実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IGF1受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、これは受容体の活性が弱化される方式で拮抗されるようにする。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インスリン受容体および/またはIGF1受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、IGF2受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、これは受容体の活性が弱化される方式で拮抗されるようにする。一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、インスリン受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有し、したがってインスリンシグナル伝達を妨害しない。様々な実施形態において、これは、癌処置に適用される。様々な実施形態において、本発明の薬剤は、IRアイソフォームAが癌処置への抵抗性を誘発するのを予防し得る。
【0382】
一実施形態において、修飾されたシグナル伝達物質は、EPOである。様々な実施形態において、修飾されたEPO剤は、野生型EPOまたは本明細書に記載される他のEPOに基づく物質に比較して、EPO受容体(EPOR)および/またはエフリン受容体(EphR)に対する低減された親和性および/または活性を有する。幾つかの実施形態において、修飾されたEPO剤は、EPO受容体(EPOR)および/またはEph受容体(EphR)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。例示的なEPO受容体としては、EPORホモ二量体またはEPOR/CD131ヘテロ二量体が挙げられるが、これらに限定されない。またEPO受容体として挙げられるのは、ベータ共通受容体(βcR)である。例示的なEph受容体としては、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、およびEPHB6が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、1つまたは複数の異なるEPO受容体またはEph受容体(例えば、非限定的にEPOR-EPHB4、EPOR-βcR-EPORを含む、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体など)を含む受容体についてEPOタンパク質が低減された親和性を持つようにさせる1つまたは複数の突然変異を含む。また提供されるのは、非限定的にNEPORを含む、内容全体が本明細書に組み入れられる欧州特許出願第2492355号の受容体である。
【0383】
一実施形態において、ヒトEPOは、
【化2】
【0384】
一実施形態において、ヒトEPOタンパク質は、
APPRLICDSRVLERYLLEAKEAENITTGCAEHCSLNENITVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEAVLRGQALLVNSSQPWEPLQLHVDKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLYTGEACRTGDR(配列番号351)
の配列を有する166アミノ酸残基の糖タンパク質であるEPO(シグナルペプチドが切除された)の成熟形態である。
【0385】
ヒトEPOタンパク質の構造は、ヘリックスA、B、C、およびDを含む4ヘリックスバンドルを含むと予測される。様々な実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、生物活性にとって重要であるEPOタンパク質の4つの領域:即ちアミノ酸残基10-20、44-51、96-108、および142-156に位置する1つまたは複数の突然変異を含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の突然変異は、残基11-15、44-51、100-108、および147-151に位置する。これらの残基は、ヘリックスA(Val11、Arg14、およびTyr15)、ヘリックスC(Ser100、Arg103、Ser104、およびLeu108)、ヘリックスD(Asn147、Arg150、Gly151、およびLeu155)、およびA/B連結ループ(残基42-51)に位置する。幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、アミノ酸41-52とアミノ酸147、150、151、および155の間の残基に突然変異を含む。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの残基の突然変異は、受容体結合とインビトロ生物活性の両方に実質的な影響を有すると考えられる。幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、残基11、14、15、100、103、104、および108で突然変異を含む。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの残基の突然変異は、受容体結合活性への軽度の影響と、インビトロ生物活性へのかなり大きな影響を有すると考えられる。例示的な置換としては、Val11Ser、Arg14Ala、Arg14Gln、Tyr15lle、Pro42Asn、Thr44lle、Lys45Asp、Val46Ala、Tyr51Phe、Ser100Glu、Ser100Thr、Arg103Ala、Ser104lle、Ser104Ala、Leu108Lys、Asn147Lys、Arg150Ala、Gly151Ala、およびLeu155Alaが挙げられるが、これらに限定されない。
【0386】
幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるEliot,et al.Mapping of the Active Site of Recombinant Human Erythropoietin January 15,1997;Blood:89(2)に列挙されたものなど、生物活性に影響を及ぼし結合に影響を及ぼさない突然変異を含む。
【0387】
幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、受容体の接触に関与するEPOタンパク質の表面残基を含む1つまたは複数の突然変異を含む。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの表面残基の突然変異は、タンパク質フォールディングに影響を及ぼす可能性は低くしたがっていくらかの生物活性を保持すると考えられる。変異され得る例示的な表面残基としては、残基147および150が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態において、突然変異は、N147A、N147K、R150AおよびR150Eの1つまたは複数を含む置換である。
【0388】
幾つかの実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、残基N59、E62、L67、およびL70での1つまたは複数の突然変異と、ジスルフィド結合に影響を及ぼす1つまたは複数の突然変異と、を含む。理論に結びつけるのを望むものではないが、これらの突然変異は、フォールディングに影響を及ぼし、かつ/または埋もれた位置にあると予測され、したがって生物活性に間接的に影響を及ぼすと考えられる。
【0389】
一実施形態において、修飾されたEPOタンパク質は、受容体結合を有意に低減するK20E置換を含む。内容全体が参照により本明細書に組み入れられるElliott,et al.,(1997)Blood,89:493-502を参照されたい。
【0390】
本発明のキメラEPOタンパク質に組み込まれ得る追加のEPO突然変異は、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられるElliott,et al.,(1997)Blood,89:493-502および内容全体が参照により本明細書に組み入れられるTaylor et al.,(2010)PEDS,23(4):251-260に開示される。
【0391】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-1(例えば、IL-1αおよび/またはIL-1β)を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、Tヘルパー細胞(例えば、共刺激および活性化のため)などのT細胞、および/またはB細胞(例えば、成熟、増殖のため)、および/またはNK細胞(例えば、活性化のため)、および/またはマクロファージ(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0392】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-2を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、成長および分化のため)、および/またはB細胞(例えば、成長のため)、および/またはNK細胞(例えば、成長のため)、および/またはマクロファージに対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0393】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-3を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、造血幹細胞(例えば、成長、分化および増殖のため)、および/または骨髄前駆細胞(例えば、分化および増殖のため)、および/または肥満細胞(例えば、成長のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0394】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-4を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、成長、増殖および生存のため)、および/またはB細胞(例えば、活性化、成長、分化、および増殖のため)、および/または肥満細胞(例えば、成長のため)、および/またはマクロファージ(例えば、活性化の阻害のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0395】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-5を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、好酸球(例えば、成長および分化のため)、および/またはB細胞(例えば、分化および生成のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0396】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-6を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、B細胞(例えば、成長および分化のため)、および/または形質細胞(例えば、抗体分泌のため)、および/または造血幹細胞(例えば、分化のため)、および/またはT細胞(例えば、成長および分化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0397】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-7を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、成長および分化および生存のため)、および/またはB細胞(例えば、成長および分化および生存のため)、および/またはNK細胞(例えば、成長および分化および生存のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0398】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-8を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、好中球および/または好塩基球および/またはB細胞および/またはT細胞および/またはNK細胞に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0399】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-9を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞および/またはB細胞(例えば、活性化のため)、および/または肥満細胞(例えば、刺激のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0400】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-10を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、マクロファージ(例えば、阻害のため)、および/またはB細胞(例えば、活性化のため)、および/または肥満細胞(例えば、成長の共刺激ため)、および/またはTh細胞(例えば、阻害のため)および/またはTh細胞(例えば、刺激のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0401】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-12を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、分化のため)、および/またはNK細胞(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0402】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-13を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、ThおよびTh細胞、例えばTh細胞の阻害のため)、および/またはB細胞(例えば、成長および分化のため)、および/またはマクロファージ(例えば、阻害のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0403】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-14を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、B細胞(例えば、成長および増殖のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0404】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-15を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、成長ため)、および/またはB細胞および/またはNK細胞(例えば、成長のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0405】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-16を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、CD4+T細胞;例えば、生存のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0406】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-18を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、Th細胞(例えば、導入のため)、および/またはNK細胞(例えば、IFNγ生成の導入のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0407】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-21を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、活性化および増殖および/または分化のため)、および/またはB細胞(例えば、増殖および分化のため)、および/またはNK細胞、および/または樹状細胞に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0408】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-27を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞および/またはB細胞に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0409】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-32を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、単球および/またはマクロファージに対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0410】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-33を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、Tヘルパー細胞)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0411】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-35を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、Tヘルパー細胞)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0412】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIL-36を含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞および/または樹状細胞に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0413】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたTNF-αを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、マクロファージ(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0414】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたTNF-βを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、殺傷のため)および/またはB細胞(例えば、阻害のため)および/またはマクロファージ(例えば、活性化のため)および/または好中球(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0415】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたCD40Lを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、B細胞(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0416】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたCD27Lを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、増殖のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0417】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたCD30Lを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、増殖のため)および/またはB細胞(例えば、増殖のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0418】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾された4-1BBLを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、共刺激のため)および/またはB細胞(例えば、共刺激のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0419】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたTGF-βを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、B細胞(例えば、成長の阻害のため)および/またはマクロファージ(例えば、活性化の阻害のため)および/または好中球(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0420】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたIFN-γを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、Th成長の阻害のため)および/またはB細胞(例えば、分化のため)および/またはNK細胞(例えば、活性化のため)および/またはマクロファージ(例えば、活性化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0421】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたGM-CSFを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、T細胞(例えば、成長の阻害のため)および/またはB細胞(例えば、分化のため)および/またはマクロファージ(例えば、活性化および分化のため)および/または造血幹細胞(例えば、分化のため)および/または骨髄前駆細胞(例えば、成長および分化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0422】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたG-CSFを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、好中球(例えば、発生および分化のため)に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0423】
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質として修飾されたEPOを含む。そのような実施形態において、キメラタンパク質は、造血前駆体および/もしくは前駆細胞、ならびに/または赤血球前駆体および/もしくは前駆細胞(例えば、BFU-E(赤血球バースト形成細胞)および/またはCFU-E(赤血球コロニー形成単位))に対する影響を有する(および1つの標的部分がそれを標的にする)。
【0424】
非限定的例として、一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(i)例えばCD8、CD4、およびCD3の1つへの標的化により媒介される、T細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分(例えば、非限定的にチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、へ標的することにより媒介される)を、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質のいずれか、例えばT細胞の活性を改変し得る修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質、例えば非限定的に以下の突然変異F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、R120E、R120E/K121E、K133A、R144A、M148A、R149A、およびL153Aの1つまたは複数を含む、インターフェロンアルファ、と共に有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、T細胞上のCD8に対する標的部分と、腫瘍細胞上のチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、に対する第二の標的部分と、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)インターフェロン剤とを有する。
【0425】
非限定的例として、一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(i)例えばCD20への標的化により媒介される、B細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分(例えば、非限定的にチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、へ標的することにより媒介される)を、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質のいずれか、例えばB細胞の活性を改変し得る修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質、例えば非限定的に以下の突然変異F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、R120E、R120E/K121E、K133A、R144A、M148A、R149A、およびL153Aの1つまたは複数を含む、インターフェロンアルファ、と共に有する。
【0426】
非限定的例として、一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(i)例えばCLEC9A、XCR1、およびRANKの1つへの標的化により媒介される、樹状細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分(例えば、非限定的にチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、へ標的することにより媒介される)を、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質のいずれか、例えば樹状細胞の活性を改変し得る修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質、例えば非限定的に以下の突然変異F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、R120E、R120E/K121E、K133A、R144A、M148A、R149A、およびL153Aの1つまたは複数を含む、インターフェロンアルファ、と共に有する。一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、樹状細胞上のCLEC9Aに対する標的部分と、チェックポイント阻害剤、例えば非限定的に腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2、に対する第二の標的部分と、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)インターフェロン剤とを有する。
【0427】
非限定的例として、一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(i)例えばSIRP1aへの標的化により媒介される、マクロファージに対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分(例えば、非限定的にチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、へ標的することにより媒介される)を、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質のいずれか、例えばマクロファージの活性を改変し得る修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質、例えば非限定的に以下の突然変異F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、R120E、R120E/K121E、K133A、R144A、M148A、R149A、およびL153Aの1つまたは複数を含む、インターフェロンアルファ、と共に有する。
【0428】
非限定的例として、一実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(i)例えばTIGITまたはKIR1への標的化により媒介される、NK細胞に対する標的部分と(ii)腫瘍細胞に対する標的部分(例えば、非限定的にチェックポイント阻害剤、例えば非限定的にPD-L1またはPD-L2、へ標的することにより媒介される)を、本明細書に記載される修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質のいずれか、例えばNK細胞の活性を改変し得る修飾された(例えば、変異体の)シグナル伝達物質、例えば非限定的に以下の突然変異F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、R120E、R120E/K121E、K133A、R144A、M148A、R149A、およびL153Aの1つまたは複数を含む、インターフェロンアルファ、と共に有する。
【0429】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、毒素または毒性酵素である。幾つかの実施形態において、毒素または毒性酵素は、植物および細菌に由来する。例示的な毒素または毒性酵素としては、ジフテリア毒素、緑膿菌毒素、炭疽毒素、リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、例えばリシンおよびサポリン、モデクシン、アブリン、ゲロニン、およびポークウィード抗ウイルス性タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる毒素としては、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるMathew et al.,(2009) Cancer Sci 100(8):1359-65に開示されるものが挙げられる。そのような実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、細胞死を細胞型特異的な様式で誘導するために用いられ得る。そのような実施形態において、毒素は、例えば本明細書の他のシグナル伝達物質に記載される通り、弱化された効果のために毒素の親和性および/または活性を低減するように修飾、例えば変異され得る。
【0430】
リンカー
幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は場合により、1種または複数のリンカーを含む。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、標的部分およびシグナル伝達物質を連結するリンカーを含む。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質内にリンカーを含む(例えば、一本鎖TNFの場合、それは三量体を生成するように2つのリンカーを含み得る)。
【0431】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるリンカーのいずれかに単一ヌクレオチド配列として連結される本発明のキメラタンパク質をコードするベクターが提供され、そのようなキメラタンパク質を調製するために用いられ得る。
【0432】
幾つかの実施形態において、リンカーの長さは、標的部分およびシグナル伝達物質の、それらの受容体への効率的な結合を可能にする。例えば、幾つかの実施形態において、リンカーの長さは、標的部分の1つおよびシグナル伝達物質の、同じ細胞上のそれらの受容体への効率的な結合、ならびに他の標的部分の、別の細胞への効率的な結合を可能にする。例示的な細胞の対が、本明細書の他の箇所に提供される。
【0433】
幾つかの実施形態において、リンカーの長さは、標的部分の1つおよびシグナル伝達物質の同じ細胞上の受容体への結合部位間の最小距離に少なくとも等しい。幾つかの実施形態において、リンカーの長さは、標的部分の1つおよびシグナル伝達物質の同じ細胞上の受容体への結合部位間の最小距離の少なくとも2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または20倍、または25倍、または50倍、または100倍である、またはより大きい。
【0434】
本明細書に記載される通り、リンカーの長さは、標的部分の1つおよびシグナル伝達物質の同じ細胞上の受容体への効率的な結合を可能にし、結合は連続的であり、例えば標的部分/受容体結合がシグナル伝達物質/受容体結合に先行する。
【0435】
幾つかの実施形態において、単一キメラ中に2つのリンカーが存在し、それぞれがシグナル伝達物質を標的部分に連結する。様々な実施形態において、リンカーは、疾患細胞およびエフェクター細胞を有する部位の形成を、いずれかの細胞のモジュレーションを妨害する立体障害を含まずに可能にする長さを有する。
【0436】
本発明は、多様なリンカー配列の使用を企図する。様々な実施形態において、リンカーは、天然由来のマルチドメインタンパク質に由来し得るか、または例えば、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるChichili et al.,(2013),Protein Sci.22(2):153-167、Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載される通り経験的なリンカーである。幾つかの実施形態において、リンカーは、内容全体が参照により本明細書に組み入れられるChen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369、およびCrasto et al.,(2000),Protein Eng.13(5):309-312に記載されるものなどのリンカー設計データベースおよびコンピュータプログラムを利用して設計され得る。様々な実施形態において、リンカーは、機能的であり得る。例えば、非限定的に、リンカーは、本発明のキメラタンパク質のフォールディングおよび/もしくは安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態を改善するように、および/または生物活性を改善するように機能し得る。
【0437】
幾つかの実施形態において、リンカーは、ポリペプチドである。幾つかの実施形態において、リンカーは、約100アミノ酸長未満である。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。幾つかの実施形態において、リンカーは、ポリペプチドである。幾つかの実施形態において、リンカーは、約100アミノ酸長を超える。例えば、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長を超え得る。幾つかの実施形態において、リンカーは、柔軟である。別の実施形態において、リンカーは、剛性である。
【0438】
幾つかの実施形態において、1つのリンカーは、2つの標的部分を互いに連結し、このリンカーは、短い長さを有し、1つのリンカーは、標的部分およびシグナル伝達物質を連結し、このリンカーは、2つの標的部分を連結するリンカーよりも長い。例えば、2つの標的部分を連結するリンカーと、標的部分とシグナル伝達物質を連結するリンカーとの間でアミノ酸長の差異は、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長であり得る。
【0439】
様々な実施形態において、リンカーは、実質的にグリシンおよびセリン残基で構成される(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%のグリシンおよびセリン)。例えば、幾つかの実施形態において、リンカーは、(GlySer)であり、ここで、nは、約1~約8、例えば1、2、3、4、5、6、7、または8である。一実施形態において、リンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号352)である。さらなる例示的なリンカーとしては、配列LE、GGGGS(配列番号353)、(GGGGS)(n=1~4)(配列番号354)、(Gly)(配列番号355)、(Gly)(配列番号356)、(EAAAK)(n=1~3)(配列番号357)、A(EAAAK)A(n=2~5)(配列番号358)、AEAAAKEAAAKA(配列番号359)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)A(配列番号360)、PAPAP(配列番号361)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号362)、EGKSSGSGSESKST(配列番号363)、GSAGSAAGSGEF(配列番号364)、および(XP)(ここで、Xは、任意のアミノ酸、例えばAla、LysまたはGluを表す)を有するリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、リンカーは、GGSである。
【0440】
幾つかの実施形態において、リンカーは、抗体の(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgEの)ヒンジ領域である。様々な実施形態において、リンカーは、抗体の(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgEの)ヒンジ領域である。IgG、IgA、IgD、およびIgEクラスの抗体に見出されるヒンジ領域は、柔軟なスペーサとして作用し、Fab部分を空間中で自由に移動させる。定常領域とは対照的に、ヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンクラスおよびサブクラスの間で配列および長さの両方が変動する。例えば、ヒンジ領域の長さおよび柔軟性は、IgGサブクラスの間で変動する。IgG1のヒンジ領域はアミノ酸216-231を含み、それが自由に柔軟であるために、Fabフラgメントは、それらの対称軸の周りを回転でき、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の第一を中心として1つの球内で運動できる。IgG2はIgG1よりも短いヒンジを有し、12のアミノ酸残基および4つのジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ領域はグリシン残基が欠如し、比較的短く、剛性のポリ-プロリン二重らせんを含み、余分の重鎖間ジスルフィド架橋により安定化される。これらの特性が、IgG2分子の柔軟性を制限する。IgG3は、その特有の伸長したヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍もの長さ)により他のサブクラスと異なり、62アミノ酸を含み(21プロリンおよび11システインを含む)、柔軟でないポリ-プロリン二重らせんを形成する。IgG3では、FabフラグメントはFcフラグメントから比較的遠く離れており、分子により大きな柔軟性を与える。IgG3中の延長されたヒンジはまた、他のサブクラスに比較して、より高いその分子量の原因である。IgG4のヒンジ領域は、IgG1のものよりも短く、その柔軟性は、IgG1とIgG2のものの中間である。ヒンジ領域の柔軟性は、報告ではIgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順に低下する。
【0441】
結晶学的研究によれば、免疫グロブリンのヒンジ領域はさらに、3つの領域:つまり上部ヒンジ領域、コア領域、および下部ヒンジ領域に機能的に分別され得る。Shin et al.,1992 Immunological Reviews 130:87を参照されたい。上部ヒンジ領域は、CH1のカルボキシル末端~運動を制限するヒンジ中の第一の残基、一般には2つの重鎖の間で鎖間ジスルフィド結合を形成する第一のシステイン残基、のアミノ酸を含む。上部ヒンジ領域の長さは、抗体の区分的な柔軟性と相関する。コアヒンジ領域は重鎖間ジスルフィド架橋を含み、下部ヒンジ領域はCH2ドメインのアミノ末端に接続し、CH2中の残基を含む(同著者)。野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は配列Cys-Pro-Pro-Cysを含み、これは、ジスルフィド結合の形成により二量体化されると、ピボットとして作用すると考えられる環状オクタペプチドを生じ、これにより柔軟性を付与する。様々な実施形態において、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにIgA1およびIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、およびIgEの)の上部ヒンジ領域、コア領域および下部ヒンジ領域の1つ、または2つ、または3つを含む。ヒンジ領域はまた、炭水化物の付着のための複数の構造的に異なるタイプの部位を含む、1つまたは複数のグリコシル化部位を含み得る。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17アミノ酸区分内に5つのグリコシル化部位を含み、分泌性免疫グロブリンにとって有利な特性と見なされる、腸内プロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの抵抗性を付与する。様々な実施形態において、本発明のリンカーは、1つまたは複数のグリコシル化部位を含む。様々な実施形態において、リンカーは、ヒトIgG4抗体のヒンジCH2-CH3ドメインである。
【0442】
所望なら、本発明のキメラタンパク質は、C2およびC3ドメインの一方または両方、および場合によりヒンジ領域を含む、抗体Fc領域に連結され得る。例えば、Fc領域に単一ヌクレオチド配列として連結される本発明のキメラタンパク質をコードするベクターは、そのようなポリペプチドを調製するために用いられ得る。
【0443】
幾つかの実施形態において、リンカーは、PEGなどの合成リンカーである。
【0444】
様々な実施形態において、リンカーは、機能的であり得る。例えば非限定的に、リンカーは、本発明のキメラタンパク質のフォールディングおよび/もしくは安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態を改善するように、および/または生物活性を改善するように機能し得る。別の例において、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または位置に標的させるように機能し得る。
【0445】
キメラタンパク質の生成
本発明のキメラタンパク質を生成するための方法が、本明細書に記載される。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードするDNA配列(例えば、修飾されたシグナル伝達物質および標的部分およびリンカーをコードするDNA配列)が、当該技術分野で公知の方法を利用して化学合成され得る。合成DNA配列を、例えば発現制御配列を含む、他の適当なヌクレオチド配列にライゲートして、所望のキメラタンパク質をコードする遺伝子発現構築物を生成できる。したがって、様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。
【0446】
本発明のキメラタンパク質をコードする核酸は、発現ベクター中に組み入れられ得(ライゲートされ得)、トランスフェクション、形質転換、または形質導入技術を介して宿主細胞中に導入され得る。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸は、レトロウイルス形質導入により宿主細胞中に導入され得る。例示的な宿主細胞は、大腸菌細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎293(HEK293)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌の細胞(例えば、Hep G2)、および骨髄腫細胞である。形質転換された宿主細胞は、本発明のキメラタンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞に発現させる条件下で成長し得る。したがって様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。様々な実施形態において、本発明はさらに、そのような発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0447】
特異的発現および精製条件は、用いられる発現系に応じて変動するであろう。例えば、遺伝子が大腸菌で発現される場合、それは最初、操作された遺伝子を適切な細菌プロモーター、例えば、TrpまたはTac、および原核生物シグナル配列から下流に配置することにより、発現ベクター中にクローニングされる。別の例において、操作された遺伝子が真核生物宿主細胞、例えばCHO細胞で発現される場合、それは最初、例えば、適切な真核生物プロモーター、分泌シグナル、エンハンサー、および様々なイントロンを含む発現ベクター中に挿入される。遺伝子構築物は、トランスフェクション、形質転換、または形質導入技術を利用して宿主細胞中に導入され得る。
【0448】
本発明のキメラタンパク質は、キメラタンパク質をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、タンパク質の発現を可能にする条件下で成長させることにより、生成され得る。発現に続いて、タンパク質は、当該技術分野で周知の技術、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジンタグなどのアフィニティータグを利用して、またはクロマトグラフィーにより、回収および精製され得る。
【0449】
したがって、様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を提供する。様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0450】
医薬的に許容できる塩および賦形剤
本明細書に記載されたキメラタンパク質は、医薬的に許容できる塩を形成するために、無機もしくは有機酸と反応し得る充分に塩基性の官能基、または無機もしくは有機塩基と反応し得るカルボキシル基を有し得る。医薬的に許容できる酸付加塩は、当該技術分野で周知の通り、医薬的に許容できる酸から形成される。そのような塩としては、例えば全体として参照により本明細書に組み入れられるJournal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)およびThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002に列挙される医薬的に許容できる塩が挙げられる。
【0451】
医薬的に許容できる塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモフェニルスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、および酒石酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0452】
用語「医薬的に許容できる塩」はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基および塩基を有する本発明の組成物の塩を指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、および非置換またはヒドロキシ置換のモノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ-、ビス-、またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン);N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0453】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、医薬的に許容できる塩の形態である。
【0454】
医薬組成物および配合剤
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるキメラタンパク質と、医薬的に許容できる担体または賦形剤と、を含む医薬組成物に関係する。本明細書に記載される任意の医薬組成物は、医薬的に許容できる担体またはビヒクルを含む組成物の成分として、対象に投与され得る。そのような組成物は場合により、適当な投与のための形態を提供するように、適切な量の医薬的に許容できる賦形剤を含み得る。
【0455】
様々な実施形態において、医薬賦形剤は、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油など、石油、動物起源、植物起源、または合成起源のものを含む、水および油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤、および着色剤が、用いられ得る。一実施形態において、医薬的に許容できる賦形剤は、対象に投与される時に無菌である。本明細書に記載される任意の薬剤が静脈内投与される場合、水は有用な賦形剤である。生理食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、特に注射可能溶液のための、液体賦形剤として用いられ得る。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども挙げられる。本明細書に記載される任意の薬剤はまた、所望なら、微量の湿潤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。適切な医薬賦形剤の他の例は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載される。
【0456】
本発明は、様々な配合剤中の記載される医薬組成物(および/またはさらなる治療薬)をを含む。本明細書に記載される任意の本発明の医薬組成物(および/またはさらなる治療薬)は、溶液、懸濁液、エマルジョン、点滴薬、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、ゼラチンカプセル、粉末、持続放出性配合剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液、凍結乾燥粉末、凍結懸濁液、乾燥粉末の形態、または使用に適した任意の他の形態をとり得る。一実施形態において、組成物は、カプセルの形態である。別の実施形態において、組成物は、錠剤の形態である。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、ソフトゲルカプセルの形態で配合される。さらなる実施形態において、医薬組成物は、ゼラチンカプセルの形態で配合される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、液体として配合される。
【0457】
必要ならば、本発明の医薬組成物(および/またはさらなる薬剤)はまた、可溶化剤を含み得る。また、薬剤は、当該技術分野で公知の通り、適切なビヒクルまたは送達デバイスで送達され得る。本明細書に概説される併用療法剤は、単一の送達ビヒクルまたは送達デバイスで同時送達され得る。
【0458】
本発明の医薬組成物(および/またはさらなる薬剤)を含む配合剤は、単位投与剤形で簡便に提供され得、薬局業界で周知の方法のいずれかにより調製され得る。そのような方法は一般に、治療薬を、1種または複数の補助成分を構成する担体と会合させるステップを含む。典型的には、配合剤は、治療薬を、液体担体、微粉砕固体担体、またはその両方と均一かつ緊密に会合させ、その後、必要に応じて、生成物を所望の配合剤(例えば、当該技術分野で公知の従来法を利用する、湿式または乾式造粒、粉末ブレンドなど、その後の打錠)の投与剤形に成形することにより調製される。
【0459】
様々な実施形態において、本明細書に記載される任意の医薬組成物(および/またはさらなる薬剤)は、本明細書に記載される投与方式に適合する組成物として、日常的手順に従って配合される。
【0460】
投与経路としては、例えば経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、舌下、鼻内、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入による、または外用が挙げられる。投与は、局所または全身であり得る。幾つかの実施形態において、投与は、経口で実行される。別の実施形態において、投与は、非経口注射による。投与方式は、実施者の裁量に委ねることができ、ある程度は医学的病状の部位に依存する。ほとんどの例で、投与は、本明細書に記載される任意の薬剤の血流中への放出をもたらす。
【0461】
一実施形態において、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、経口投与に適合された組成物として日常的手順に従って配合される。経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップ、またはエリキシルの形態であり得る。経口投与される組成物は、医薬品として味の良い調製剤を提供するために、1種または複数の薬剤、例えばフルクトース、アスパルテーム、またはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、冬緑油またはチェリーなどの香味剤;着色剤;および防腐剤を含み得る。さらに、錠剤または丸薬の形態では、組成物は、胃腸管における崩壊および吸収を遅延するようにコーティングされ、それにより長時間にわたる持続的作用を提供できる。浸透圧で能動的に移動する本明細書に記載される任意のキメラタンパク質を取り囲む選択的に透過性の膜もまた、経口投与される組成物に適する。これらの後者の状況では、カプセル周辺の環境からの液体が、移動する化合物に吸収され、化合物が膨張して、薬剤または薬剤組成物を開口部から排出する。これらの送達状況では、即時放出配合剤の急上昇性プロファイルに反して、本質的に零次の送達プロファイルを提供し得る。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料もまた、有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムなどの標準的賦形剤を含み得る。一実施形態において、賦形剤は、医薬品グレードのものである。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントなどの懸濁剤、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0462】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、および動脈内注射および輸液)に適した投与剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョンなどが挙げられる。それらはまた、使用の直前に滅菌注射可能媒体に溶解または懸濁され得る、滅菌固形組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造され得る。それらは、例えば、当該技術分野で公知の懸濁または分散剤を含有し得る。非経口投与に適した配合成分としては、注射用の水、生理食塩溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度(tonicity)を調整するための薬剤が挙げられる。
【0463】
静脈内投与の場合、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、ニュージャージー州パーシッパニー所在)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、かつ微生物から防御されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0464】
単独で、または他の適切な成分と組み合わせて、本明細書で提供される組成物は、吸入を介して投与されるエアロゾル(即ち、「噴霧される」)配合剤に作製され得る。エアロゾル配合剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの圧縮された許容できる噴射剤の中に入れることができる。
【0465】
本明細書に記載される任意の本発明の医薬組成物(および/またはさらなる薬剤)は、制御放出もしくは持続放出手段により、または当業者に周知の送達デバイスにより、投与され得る。例としては、それぞれ、全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号;同第5,674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,556;および同第5,733,556号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような投与剤形は、所望の放出プロファイルを多様な割合で提供するために、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを用いて1種または複数の有効成分の制御放出または持続放出を提供するのに有用であり得る。本明細書に記載されるものを含む、当業者に公知の適切な制御放出または持続放出配合剤は、本明細書に記載される薬剤の有効成分との使用のために即座に選択され得る。したがって本発明は、非限定的に制御放出または持続放出に適合された錠剤、カプセル、ジェルカプセル、およびカプレットなどの経口投与に適した単一の単位投与剤形を提供する。
【0466】
有効成分の制御放出または持続放出は、非限定的にpHの変更、温度の変更、適当な光波長による刺激、酵素の濃度もしくは利用可能性、水の濃度もしくは利用可能性、または他の生理学的条件もしくは化合物を含む、様々な条件により刺激され得る。
【0467】
別の実施形態において、制御放出システムは、処置される標的エリアの付近に配置され得、それによりわずかな量の全身用量のみを必要とする(例えば、Goodson,in Medical Applications of Controlled Release,supra,vol.2,pp.115-138(1984)参照)。Langer,1990(Science 249:1527-1533)によるレビューで議論される他の制御放出システムを、用いることもできる。
【0468】
医薬配合剤は、好ましくは無菌である。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過により、実現され得る。組成物が凍結乾燥される場合、フィルター滅菌は、凍結乾燥および再構成の前、または後に実行され得る。
【0469】
投与および投与量
本発明により投与されるキメラタンパク質の実際の用量が、詳細な投与形態および投与方式により変動することは、理解されよう。キメラタンパク質の作用を修飾し得る多くの因子(例えば、体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄率、対象の状態、薬物併用、遺伝的性質、および反応の感度)が、当業者により考慮され得る。投与は、最大耐容用量内で連続して、または1回もしくは複数回の別個の投与で実施され得る。条件の所与の設定のための最適投与速度は、従来の投薬投与テストを利用して当業者により確定され得る。
【0470】
幾つかの実施形態において、キメラタンパク質の適切な投与量は、約0.01mg/kg~約10g/kg対象体重、約0.01mg/kg~約1g/kg対象体重、約0.01mg/kg~約100mg/kg対象体重、約0.01mg/kg~約10mg/kg対象体重、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重、約100mg/kg体重、約1g/kg体重、約10g/kg体重(それらの全ての値および範囲を含む)の範囲である。
【0471】
キメラタンパク質の個々の用量は、例えば、約0.01mg~約100g、約0.01mg~約75g、約0.01mg~約50g、約0.01mg~約25g、約0.01mg~約10g、約0.01mg~約7.5g、約0.01mg~約5g、約0.01mg~約2.5g、約0.01mg~約1g、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg有効成分、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mg/単位投与剤形、または約5mg~約80mg/単位投与剤形を含む単位投与剤形(例えば、錠剤またはカプセル)で投与され得る。例えば、単位投与剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100g(それらの全ての値および範囲を含む)であり得る。
【0472】
一実施形態において、キメラタンパク質は、約0.01mg~約100g/日、約0.01mg~約75g/日、約0.01mg~約50g/日、約0.01mg~約25g/日、約0.01mg~約10g/日、約0.01mg~約7.5g/日、約0.01mg~約5g/日、約0.01mg~約2.5g/日、約0.01mg~約1g/日、約0.01mg~約100mg/日、約0.1mg~約100mg/日、約0.1mg~約95mg/日、約0.1mg~約90mg/日、約0.1mg~約85mg/日、約0.1mg~約80mg/日、約0.1mg~約75mg/日、約0.1mg~約70mg/日、約0.1mg~約65mg/日、約0.1mg~約60mg/日、約0.1mg~約55mg/日、約0.1mg~約50mg/日、約0.1mg~約45mg/日、約0.1mg~約40mg/日、約0.1mg~約35mg/日、約0.1mg~約30mg/日、約0.1mg~約25mg/日、約0.1mg~約20mg/日、約0.1mg~約15mg/日、約0.1mg~約10mg/日、約0.1mg~約5mg/日、約0.1mg~約3mg/日、約0.1mg~約1 mg/日、または約5mg~約80mg/日の量で投与される。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約7.5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100g(それらの全ての値および範囲を含む)の日用量で投与される。
【0473】
本発明の特定の実施形態によれば、キメラタンパク質を含む医薬組成物は、例えば、1日あたり1回よりも多く(例えば、1日に約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、または約10回)、約1日に1回、約1日おき、約2日おき、約1週間に1回、約2週間に1回、約1ヶ月に1回、約2ヶ月に1回、約3ヶ月に1回、約6ヶ月に1回、または約1年に1回投与され得る。
【0474】
併用療法およびさらなる治療薬
様々な実施形態において、本発明の医薬組成物は、さらなる治療薬(複数可)と併せて共投与され得る。共投与は、同時または連続であり得る。
【0475】
一実施形態において、さらなる治療薬および本発明のキメラタンパク質は、対象に同時に投与される。本明細書で用いられる用語「同時に」は、さらなる治療薬とキメラタンパク質が、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下などの、約60分以下の時間的分離を有して投与される。さらなる治療薬とキメラタンパク質の投与は、単一配合剤(例えば、さらなる治療薬とキメラタンパク質とを含む配合剤)の、または別個の配合剤(例えば、さらなる治療薬を含む第一の配合剤、およびキメラタンパク質を含む第二の配合剤)の同時投与により得る。
【0476】
さらなる治療薬とキメラタンパク質の薬理学的活性が時間的に重なっており、それにより複合的な治療効果を発揮するような投与のタイミングであれば、共投与は、治療薬が同時に投与されることを必要としない。例えば、さらなる治療薬とキメラタンパク質は、連続で投与され得る。本明細書で用いられる用語「連続で」は、さらなる治療薬とキメラタンパク質が約60分よりも長い時間的分離を有して投与されることを意味する。例えば、さらなる治療薬とキメラタンパク質の連続投与の間の時間は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超であってよく、約1週間超離れて、約2週間超離れて、または約1ヶ月超離れていてよい。より長く空けることができる。最適な投与回数は、投与されるさらなる治療薬およびキメラタンパク質の代謝、排泄の速度、および/または薬力学的活性に依存するであろう。さらなる治療薬またはキメラタンパク質細胞のいずれかが、最初に投与され得る。
【0477】
共投与はまた、治療薬が同じ投与経路により対象に投与される必要はない。むしろ各治療薬は、任意の適切な経路により、例えば非経口で、または非経口でない方法で(non-parenterally)、投与され得る。
【0478】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、別の治療薬と共投与されると、相乗的に作用する。そのような実施形態において、キメラタンパク質とさらなる治療薬は、薬剤が単剤療法の状況で使用される場合に用いられる用量よりも低い用量で投与され得る。
【0479】
幾つかの実施形態において、本発明は、さらなる治療薬としての化学療法剤に関係する。例えば、非限定的に、本発明のキメラタンパク質と化学療法剤のそのような併用は、本明細書の他の箇所に記載される通り、癌の処置で用途を見出す。化学療法剤の例としては、チオテパおよびCYTOXANシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa)などのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類およびメチラメラミン類(methylamelamines);アセトゲニン類(例えば、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCB1-TM1を含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(chlorophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの窒素マスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムヌスチンなどのニトロソウレア類;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例えば、Angew Chem.Intl.Ed.Engl.,183-186(1994)参照);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスフォスフォネート類;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン/ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、プロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクシウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;アミノグルテチミド(minoglutethimide)、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート(edatraxate);デメコルチン;ジアジコン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサマイトシンなどのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体(JHS Natural Products、オレゴン州ユージーン所在);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン(sizofuran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えば、TAXOLパクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン所在)、クレモホール不含、パクリタキセルのアルブミン改変ナノ粒子製剤であるABRAXANE(American Pharmaceutical Partners、イリノイ州ショームバーグ所在)、およびTAXOTEREドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer、フランス、アントニー所在);クロラムブシル;GEMZARゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;XELODA;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(イリノテカンと5-FUおよびロイコボリンとの処置レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン処置レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);細胞増殖を低減するPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(Tarceva))およびVEGF-Aの阻害剤;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、処置の方法は、放射線の使用をさらに含み得る。加えて、処置の方法は、光線力学療法の使用をさらに含み得る。
【0480】
幾つかの実施形態において、本発明の二重特異性キメラは、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)と組み合わされ、例えば抗ヒトClec9a VHH/抗ヒトPDL1 VHH/ヒトIFN-R149A二重特異性キメラが、FLT3Lと組み合わされ得る。
【0481】
非限定的に感染性疾患の適用を含む幾つかの実施形態において、本発明は、さらなる治療薬としての抗感染薬に関係する。幾つかの実施形態において、抗感染薬は、非限定的にアバカビル、アシクロビル、アデフォビル、アンプレナビル、アタザナビル、シドフォビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エトラビリン、ファムシクロビル、およびホスカルネットを含む抗ウイルス薬である。幾つかの実施形態において、抗感染薬は、非限定的にセファロスポリン系抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール);フルオロキノロン系抗生物質(シプロ、Levaquin、フロキシン、Tequin、アベロックス、およびノルフロックス);テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン);ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン);モノバクタム系抗生物質(アズトレオナム);およびカルバペネム系抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)を含む抗菌剤である。幾つかの実施形態において、抗感染薬としては、抗マラリア薬(例えば、クロロキン、キニン、メフロキン、プリマキン、ドキシサイクリン、アルテメーテル/ルメファントリン、アトバコン/プログアニルおよびスルファドキシン/ピリメタミン)、メトロニダゾール、チニダゾール、イベルメクチン、パモ酸ピランテル、およびアルベンダゾールが挙げられる。
【0482】
非限定的に自己免疫適用を含む幾つかの実施形態において、さらなる治療薬は、免疫抑制剤である。幾つかの実施形態において、免疫抑制剤は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎皮質ステロイドおよびその合成類似体は、当該技術分野で周知である。本発明に有用な副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、ベータメチルベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチン(flucortine)ブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロン(fluradrenolone)アセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルのバランス(balance)、クロロプレドニゾン、クロコルトロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で用いられ得る(NSAIDS)としては、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチルミド(salicylmide)、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フリンダク(fulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナマート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、免疫抑制剤は、アルキル化剤、代謝抑制剤(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート)、細胞障害性抗生物質、抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブおよびムロモナブ)、抗イムノフィリン剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インテフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノラート、および低分子生物製剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)などの細胞増殖阻害薬であり得る。さらなる抗炎症剤は、例えば内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,537,776号に記載されている。
【0483】
幾つかの実施形態において、本発明は、さらなる治療薬として肥満を処置するために用いられる様々な薬剤に関係する。肥満を処置するために用いられる例示的な薬剤としては、オルリスタット(例えば、ALL1、XENICAL)、ロラカセリン(例えば、BELVIQ)、フェンテルミン-トピラマート(例えば、QSYMIA)、シブトラメ(sibutramme)(例えば、REDUCTILまたはMERJDIA)、リモナバント(ACOMPLLA)、エキセナチド(例えば、BYETTA)、プラムリンチド(例えば、SYMLIN)フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラズム(phendimetrazme)、ブプロピオン、およびメトホルミンが挙げられるが、これらに限定されない。食物中の特異的栄養素を吸収する身体能力を妨害する薬剤、例えばオルリスタット(例えば、ALU、XENICAL)、グルコマンナン、およびグアーガムは、さらなる薬剤である。食欲を抑制する薬剤、例えばカテコールアミンおよびその誘導体(フェンテルミンおよび他のアンフェタミン系薬物など)、様々な抗うつ剤および気分安定剤(例えば、ブプロピオンおよびトピラマート)、食欲減退薬(例えば、デキセドリン、ジゴキシン)もまた、さらなる薬剤である。身体の代謝を上昇させる薬剤もまた、さらなる薬剤である。
【0484】
幾つかの実施形態において、さらなる治療薬が、食欲抑制剤、神経伝達物質再取り込み阻害剤、ドーパミン作動性アゴニスト、セロトニン作動性アゴニスト、GABA作動性シグナル伝達のモジュレーター、抗けいれん薬、抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、サブスタンスP(NK1)受容体アンタゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、脂肪吸収の阻害剤、エネルギー取込みまたは代謝の調節物質、カンナビノイド受容体モジュレーター、依存症を処置する薬剤、メタボリックシンドロームを処置する薬剤、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)モジュレーター、ジペプチジル(dipcptidyl)ペプチダーゼ4(DPP-4)アンタゴニスト、心臓血管疾患を処置するための薬剤、トリグリセリドレベル上昇を処置するための薬剤、低HDLを処置するための薬剤、高コレステロール血症を処置するための薬剤、ならびに高血圧を処置するための薬剤の中から選択され得る。心臓血管疾患のための幾つかの薬剤としては、スタチン(例えば、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン)およびオメガ-3剤(例えば、LOVAZA、EPANQVA、VASCEPA、エステル化オメガ-3、一般には魚油、オキアミ油、藻類オイル)が挙げられる。幾つかの実施形態において、さらなる薬剤は、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、スルホニルウレア(suifonyl ureas)、メグリチニド、チアゾリジンジオン、ビグアニド、ベータブロッカー、XCE阻害剤、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャネルブロッカー、フェンテルミン(phenlermine)、シブトラミン、ロルカセリン(iorcaserin)、セチリスタット、リモナバント、タラナバント、トピラマート、ガバペンチン、バルプロ酸塩、ビガバトリン、ブプロピオン、チアガビン、セルトラリン、フルオキセチン、トラゾドン、ゾニサミド、メチルフェニデート、バレニクリン、ナルトレキソン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、レパグリニド(rcpaglini.de)、ナテグリニド、グリメピリド、メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびシタグリプチンの中から選択され得る。
【0485】
幾つかの実施形態において、本発明は、さらなる治療薬として糖尿病を処置するために用いられる薬剤に関係する。例示的な抗糖尿病薬としては、スルホニルウレア(例えば、DYMELOR(アセトヘキサミド)、DIABINESE(クロルプロパミド)、ORINASE(トルブタミド)、およびTOLINASE(トラザミド)、GLUCOTROL(グリピジド)、GLUCOTROL XL(長期放出性)、DIABETA(グリブリド)、MICRONASE(グリブリド)、GLYNASE PRESTAB(グリブリド)、およびAMARYL(グリメピリド));ビアグニド(例えば、メトホルミン(GLUCOPHAGE、GLUCOPHAGE XR、RIOMET、FORTAMET、およびGLUMETZA));チアゾリジンジオン(例えば、ACTOS(ピオグリタゾン)およびAVANDIA(ロシグリタゾン);アルファグルコシダーゼ阻害剤(例えば、PRECOSE(アカルボース)およびGLYSET(ミグリトール);メグリチニド(例えば、PRANDIN(レパグリニド)およびSTARLIX(ナテグリニド));ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤(例えば、JANUVIA(シタグリプチン)、NESINA(アログリプチン)、ONGLYZA(サキサグリプチン)、およびTRADJENTA(リナグリプチン));ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、INVOKANA(カナグリフロジン(canaglifozin));および混合丸薬(例えば、グリブリド(スルホニルウレア)とメトホルミンを組み合わせたGLUCOVANCE、グリピジド(スルホニルウレア)とメトホルミンを組み合わせたMETAGLIP、およびメトホルミンとロシグリタゾン(AVANDIA)の両方を1つの丸薬中で使用するAVANDAMET、KAZANO(アログリプチンおよびメトホルミン)、OSENI(アログリプチン+ピオグリタゾン)、METFORMIN経口薬、ACTOS経口薬、BYETTA皮下薬、JANUVIA経口薬、WELCHOL経口薬、JANUMET経口薬、グリピジド経口薬、グリメピリド経口薬、GLUCOPHAGE経口薬、LANTUS皮下薬、グリブリド経口薬、ONGLYZA経口薬、AMARYl経口薬、LANTUS SOLOSTAR皮下薬、BYDUREON皮下薬、LEVEMIR FLEXPEN皮下薬、ACTOPLUS MET経口薬、GLUMETZA経口薬、TRADJENTA経口薬、ブロモクリプチン経口薬、KOMBIGLYZE XR経口薬、INVOKANA経口薬、PRANDIN経口薬、LEVEMIR皮下薬、PARLODEL経口薬、ピオグリタゾン経口薬、NOVOLOG皮下薬、NOVOLOG FLEXPEN皮下薬、VICTOZA 2-PAK皮下薬、HUMALOG皮下薬、STARLIX経口薬、FORTAMET経口薬、GLUCOVANCE経口薬、GLUCOPHAGE XR経口薬、NOVOLOG Mix 70-30 FLEXPEN皮下薬、GLYBURIDE-METFORMIN経口薬、アカルボース経口薬、SYMLINPEN 60皮下薬、GLUCOTROl XL経口薬、NOVOLIN R注射薬、GLUCOTROL経口薬、DUETACT経口薬、シタグリプチン経口薬、SYMLINPEN 120皮下薬、HUMALOG KWIKPEN皮下薬、JANUMET XR経口薬、GLIPIZIDE-METFORMIN経口薬、CYCLOSET経口薬、HUMALOG MIX 75-25皮下薬、ナテグリニド経口薬、HUMALOG Mix 75-25 KWIKPEN皮下薬、HUMULIN 70/30皮下薬、PRECOSE経口薬、APIDRA皮下薬、Humulin R注、Jentadueto経口薬、Victoza 3-Pak皮下薬、Novolin 70/30皮下薬、NOVOLIN N皮下薬、インスリン・デテミル皮下薬、グリブリド・マイクロナイズド経口薬、GLYNASE経口薬、HUMULIN N皮下薬、インスリン・グラルギン皮下薬、RIOMET経口薬、ピオグリタゾン-メトホルミン経口薬、APIDRA SOLOSTAR皮下薬、インスリン・リスプロ皮下薬、GLYSET経口薬、HUMULIN 70/30 Pen皮下薬、コレセベラム経口薬、シタグリプチン-メトホルミン経口薬、DIABETA経口薬、レギュラーヒトインスリン注、HUMULIN N Pen皮下薬、エキセナチド皮下薬、HUMALOG Mix 50-50 KWIKPEN皮下薬、リラグチド皮下薬、KAZANO経口薬、レパグリニド経口薬、クロルプロパミド経口薬、インスリン・アスパルト皮下薬、NOVOLOG Mix 70-30皮下薬、HUMALOG Mix 50-50皮下薬、サキサグリプチン経口薬、ACTOPLUS Met XR経口薬、ミグリトール経口薬、NPH ヒト組換え体インスリン皮下薬、インスリンNPHおよびレギュラーヒト皮下薬、トラザミド経口薬、ミフェプリストン経口薬、インスリン・アスパルト プロタム-インスリン・アスパルト皮下薬、レパグリニド-メトホルミン経口薬、サキサグリプチン-メトホルミン経口薬、リナグリプチン-メトホルミン経口薬、NESINA経口薬、OSENI経口薬、トルブタミド経口薬、インスリン・リスプロ・プロタミンおよびリスプロ皮下薬、プラムリンチド皮下薬、インスリン・グルリシン皮下薬、ピオグリタゾン-グリメピリド経口薬、PRANDIMET経口薬、NOVOLOG PenFill皮下薬、リナグリプチン経口薬、エキセナチド・ミクロスフェア皮下薬、KORLYM経口薬、アログリプチン経口薬、アログリプチン-ピオグリタゾン経口薬、アログリプチン-メトホルミン経口薬、カナグリフロジン経口薬、Lispro(HUMALOG);アスパルト(NOVOLOG);グルリジン(APIDRA);レギュラー(NOVOLIN RまたはHUMULIN R);NPH(NOVOLIN NまたはHUMULIN N);グラルギン(LANTUS);デテミル(LEVEMIR);HUMULINまたはNOVOLIN70/30;ならびにNOVOLOG Mix70/30 HUMALOG Mix75/25または50/50が挙げられるが、これらに限定されない。
【0486】
幾つかの実施形態において、本発明は、輸血との併用療法に関する。例えば、本発明の組成物は、輸血を補足し得る。幾つかの実施形態において、本発明は、鉄補給剤との併用療法に関する。
【0487】
幾つかの実施形態において、本発明は、1種または複数のEPO系薬剤との併用療法に関する。例えば本発明の組成物は、他のEPO系薬剤へのアジュバントとして用いられ得る。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、他のEPO系薬剤への維持療法として用いられる。他のEPO系薬剤としては、以下のものが挙げられる:非限定的に、ダルベポエチン(ARANESP)、EPOCEPT(LUPIN PHARMA)、NANOKINE(NANOGEN PHARMACEUTICAL)、EPOFIT(INTAS PHARMA)、EPOGEN(AMGEN)、EPOGIN、EPREX、(JANSSEN-CILAG)、BINOCRIT(SANDOZ)、PROCRITを含むエポエチンアルファ;非限定的に、NEORECORMON(HOFFMANN-LA ROCHE)、RECORMON、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ(MIRCERA、ROCHE)を含むエポエチンベータ;非限定的に、DYNEPO(赤血球生成刺激タンパク質、SHIRE PLC)を含むエポエチンデルタ;非限定的にEPOMAXを含むエポエチンオメガ;非限定的に、SILAPO(STADA)およびRETACRIT(HOSPIRA)を含むエポエチンゼッタ、ならびに他のEPO、例えば非限定的にEPOCEPT(LUPIN PHARMACEUTICALS)、EPOTRUST(PANACEA BIOTEC LTD)、ERYPRO SAFE(BIOCON LTD.)、REPOITIN(SERUM INSTITUTE OF INDIA LIMITED)、VINTOR(EMCURE PHARMACEUTICALS)、EPOFIT(INTAS PHARMA)、ERYKINE(INTAS BIOPHARMACEUTICA)、WEPOX(WOCKHARDT BIOTECH)、ESPOGEN(LG LIFE SCIENCES)、RELIPOIETIN(RELIANCE LIFE SCIENCES)、SHANPOIETIN(SHANTHA BIOTECHNICS LTD)、ZYROP(CADILA HEALTHCARE LTD.)、EPIAO(RHUEPO)(SHENYANG SUNSHINE PHARMACEUTICAL CO. LTD)、CINNAPOIETIN(CINNAGEN)。
【0488】
幾つかの実施形態において、本発明は、1つまたは複数の免疫調整剤、例えば、非限定的に、免疫チェックポイントをモジュレートする薬剤、との併用療法に関する。様々な実施形態において、免疫調整剤は、PD-1、PD-L1、およびPD-L2の1つまたは複数を標的とする。様々な実施形態において、免疫調整剤は、PD-1阻害剤である。様々な実施形態において、免疫調整剤は、PD-1、PD-L1、およびPD-L2の1つまたは複数に特異的な抗体である。例えば、幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、非限定的に、ニボルマブ、(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA、MERCK)、ピジリズマブ(CT-011、CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS 936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL328OA(ROCHE)などの抗体である。幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、CD137またはCD137Lの1つまたは複数を標的とする。様々な実施形態において、免疫調整剤は、CD137またはCD137Lの1つまたは複数に特異的な抗体である。例えば、幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、非限定的にウレルマブ(BMS-663513および抗4-1BB抗体としても公知)などの抗体である。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、固形腫瘍および/またはB細胞非ホジキンリンパ腫および/または頭頸部癌および/または多発性骨髄腫の処置のためにウレルマブと(場合によりニボルマブ、リリルマブおよびウレルマブのうちの1つまたは複数と)組み合わされる。幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの1つまたは複数を標的とする薬剤である。様々な実施形態において、免疫調整剤は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの1つまたは複数に特異的な抗体である。例えば、幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、非限定的にイピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Yervoy、BMS)および/またはトレメリムマブ(Pfizer)などの抗体である。幾つかの実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、黒色腫、前立腺癌、および肺癌の1つまたは複数の処置のためにイピリムマブと(場合によりバビツキシマブと)組み合わされる。様々な実施形態において、免疫調整剤は、CD20を標的とする。様々な実施形態において、免疫調整剤は、CD20に特異的な抗体である。例えば、幾つかの実施形態において、免疫調整剤は、非限定的にオファツムマブ(GENMAB)、オビヌツズマブ(GAZYVA)、AME-133v(APPLIED MOLECULAR EVOLUTION)、オクレリズマブ(GENENTECH)、TRU-015(TRUBION/EMERGENT)、ベルツズマブ(IMMU-106)などの抗体である。
【0489】
幾つかの実施形態において、本発明は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2013/10779、WO2015/007536、WO2015/007520、WO2015/007542、およびWO2015/007903に記載される1種または複数のキメラ物質との併用療法に関する。
【0490】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、修飾された誘導体、即ち共有結合が組成物の活性を妨害しないような、組成物への任意のタイプの分子の共有結合による誘導体を包含する。例えば、非限定的に、誘導体は、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などにより修飾されている組成物を含む。数多くの化学的修飾のいずれかが、非限定的に特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などの公知の技術により実施され得る。
【0491】
さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、例示的実施形態において、毒素、化学療法剤、放射性同位体、およびアポトーシスまたは細胞死を誘発する薬剤を含む、細胞障害剤をさらに含む。そのような薬剤は、本明細書に記載される組成物にコンジュゲートされ得る。
【0492】
したがって本明細書に記載されるキメラタンパク質は、翻訳後修飾されて、化学的リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光色素、酵素、基質、生物発光材料、放射性材料、および化学発光部分などの検出可能な部分、または例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒、細胞障害剤、および放射性材料などの機能的部分を付加し得る。
【0493】
例示的な細胞障害剤としては、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;メクロレタミン、チオエパ(thioepa)・クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチンおよびカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンおよびビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ならびにビンカアルカロイド、ビンクリスチン、およびビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の細胞障害剤としては、パクリタキセル(Taxol)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(O,P’-(DDD))、インターフェロン、およびこれらの細胞障害剤の混合物が挙げられる。
【0494】
さらなる細胞障害剤としては、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン(platins)、Taxol、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン、ステロイド類、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法剤、性ホルモンアンタゴニスト、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL-12またはIL-2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素結合モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、Erbitux、Avastin、ペルツズマブ、抗CD20抗体、Rituxan、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、HERCEPTIN(登録商標)などの化学療法剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素、および緑膿菌毒素などの植物および細菌からの毒性酵素を、治療薬(例えば、抗体)にコンジュゲートして、細胞型に特異的な殺傷試薬を生成できる(Youle,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483 1980);Gilliland,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980);Krolick,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980))。
【0495】
他の細胞障害剤としては、Goldenbergによる米国特許第6,653,104号に記載される細胞障害性リボヌクレアーゼが挙げられる。本発明の実施形態はまた、アルファまたはベータ粒子を放出する放射性核種が錯体形成剤の使用により、またはその使用によらず、キメラタンパク質に安定してカップリングされる、放射性イムノコンジュゲートに関する。そのような放射性核種としては、リン-32、スカンジウム-47、銅-67、ガリウム-67、イットリウム-88、イットリウム-90、ヨウ素-125、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、レニウム-186またはレニウム-188などのベータ放射体、およびアスタチン-211、鉛-212、ビスマス-212、ビスマス-213またはアクチニウム-225などのアルファ放射体が挙げられる。
【0496】
例示的な検出可能部分としてはさらに、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な蛍光材料としては、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリスリンおよび塩化ダンシルが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な化学発光部分としては、ルミノールが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な生物発光材料としては、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な放射性材料としては、ヨウ素-125、炭素-14、硫黄-35、トリチウムおよびリン-32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0497】
処置の方法
本明細書に記載される方法および組成物は、非限定的に、癌、感染症、免疫障害、貧血、自己免疫性疾患、心臓血管疾患、創傷治癒、虚血関連疾患、神経変性疾患、代謝疾患、ならびに多くの他の疾患および障害を含む、様々な疾患および障害を処置することへの適用を有する。
【0498】
さらに本発明の薬剤のいずれも、非限定的に、癌、感染症、免疫障害、炎症性疾患または状態、および自己免疫性疾患を含む、様々な疾患および障害の処置における、または処置のための薬剤の製造における、使用のためであり得る。
【0499】
幾つかの実施形態において、本発明は、癌、心不全、自己免疫性疾患、鎌形赤血球病、地中海貧血、失血、輸血反応、糖尿病、ビタミンB12欠乏症、膠原血管病、シュワッハマン症候群、血小板減少性紫斑病、セリアック病、甲状腺機能低下症またはアジソン病などの内分泌腺不全症、クローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチまたは若年性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの自己免疫性疾患、好酸球性筋膜炎、低免疫グロブリン血症、または胸腺腫/胸腺癌、移植片対宿主病などの免疫障害、前白血病、非造血系症候群(例えば、ダウン、デュボヴィッツ、セッケル)、フェルティ症候群、溶血性尿毒症症候群、骨髄異形成症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨髄線維症、汎血球減少症、赤芽球ろう、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、マラリア、タンパク質欠乏、月経過多、全身性硬化症、肝硬変、低代謝状態、およびうっ血性心不全の1つまたは複数の処置、またはそれらを有する患者に関する。
【0500】
幾つかの実施形態において、本発明は、癌の処置、または癌を有する患者に関する。本明細書で用いられる癌は、身体臓器および系の正常な機能を妨害し得る任意の非制御の細胞増殖を指し、原発性および転移性腫瘍の両方を包含する。発生場所および根源の重要臓器から遊走した原発性腫瘍または癌は最終的に、罹患した臓器の機能的悪化を通して対象の死亡を導く可能性がある。転移は、原発腫瘍から他の身体部分への播種により生じる、原発腫瘍の場所から離れた、癌細胞または癌細胞群である。転移は最終的に、対象の死亡をもたらし得る。例えば、癌は、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠状態の腫瘍または微小転移を包含し得る。
【0501】
処置され得る例示的な癌としては、癌腫、例えば腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、および移行細胞癌、肉腫(例えば、骨および軟組織など)、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ球性およびヘアリー細胞など)、リンパ腫および骨髄腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、軽鎖、非分泌、MGUS、ならびに形質細胞腫など)、および中枢神経系癌(例えば、脳(例えば、グリオーマ(例えば、星細胞腫、乏突起神経膠腫、および上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、および神経腫)、および脊髄腫瘍(例えば、髄膜腫および神経線維腫)など)を含む、様々なサブタイプが挙げられるが、これらに限定されない。
【0502】
処置され得る例示的な癌としては、基底細胞癌;胆管癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;大腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;肝細胞癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌(唇、下、口、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌;肉腫;皮膚癌;扁平上皮癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌、外陰癌;ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、およびB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む;小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度非分割小細胞NHL;巨大病変を有するNHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含むリンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;他の癌腫および肉腫;ならびに移植後リンパ球増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するものなど)、およびメイグス症候群と関連する異常な脈管増殖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0503】
幾つかの実施形態において、本発明は、微小生物への感染および/または慢性感染の処置、またはそれを有する患者に関する。例示的な感染としては、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バーウイルスまたはパルボウイルス、T細胞白血病ウイルス、細菌過剰症候群、真菌または寄生虫感染が挙げられるが、これらに限定されない。
【0504】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症性ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、骨盤炎症性疾患(inflammatory pelvic disease)、疼痛、炎症性眼疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損症、家族性好酸球増多症(FE)、常染色体劣性遺伝性痙性失調症、喉頭の炎症性疾患、結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、ケイ肺症および他の塵肺症などの、1種または複数の炎症性疾患または状態を処置または予防するために用いられる。
【0505】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、多発性硬化症、糖尿病、狼瘡、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維性筋痛症、メニエール症候群、移植片拒絶(例えば、同種移植片拒絶の予防)、悪性貧血、関節リウマチ、全身エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、および他の自己免疫性疾患などの、1種または複数の自己免疫性疾患または状態を処置または予防するために用いられる。
【0506】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、非限定的に、冠動脈心疾患(CHD)、脳血管疾患(CVD)、大動脈狭窄、末梢血管疾患、アテローム性硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管疾患(卒中)、一過性虚血発作(TIA)、狭心症(安定および不安定)、心房細動、不整脈、弁膜症、および/またはうっ血性心不全を含む、心臓および血管構造に影響を及ぼす疾患または状態などの、心臓血管疾患を処置、制御または予防するために用いられる。
【0507】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、1種または複数の代謝関連障害を処置または予防するために用いられる。様々な実施形態において、本発明は、1型および2型糖尿病、ならびに肥満と関連する糖尿病を含む、糖尿病の処置、制御または予防に有用である。本発明の組成物および方法は、非限定的に糖尿病成人症、高血糖、耐糖能障害、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性硬化症およびその後遺症、血管再狭窄、過敏性腸症候群、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、他の炎症状態、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、新生物病、脂肪細胞腫瘍、脂肪肉腫などの脂肪細胞癌、前立腺癌および他の癌、例えば胃癌、乳癌、膀胱癌および結腸癌、血管新生、アルツハイマー病、乾癬、高血圧、メタボリックシンドローム(例えば、ヒトが以下の障害の3つ以上を有する:腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧、および高い空腹時血漿グルコース値)、卵巣内アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、および睡眠時無呼吸などの、インスリン抵抗性が要素である他の障害を含む、糖尿病関連障害の処置または予防に有用である。本発明の組成物および方法は、遺伝的または環境的な、および肥満関連の障害を含む、肥満の処置、制御、または予防に有用である。本明細書の肥満関連障害は、肥満と関連する、肥満により誘起される、または肥満から生じる。肥満関連障害の例としては、肥満、糖尿病、暴食、過食、および大食、高血圧、血漿インスリン濃度の上昇およびインスリン抵抗性、脂質異常症、高脂血症、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、結腸癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石、心臓疾患、異常な心拍リズムおよび不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠動脈性心疾患、突然死、卒中、多嚢胞性卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠損対象、正常変異型低身長、ターナー症候群、および低下した代謝活性または総除脂肪体重の割合としての安静時エネルギー消費量の減少を示す他の病的状態、例えば急性リンパ芽球性白血病の小児などが挙げられる。肥満関連障害のさらなる例は、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症候群、生殖ホルモン異常、性機能および生殖機能不全、例えば受精能力の障害、不妊、男性の性腺機能低下症および女性の多毛症、母体肥満症と関連する胎児障害、肥満関連の胃食道逆流などの胃腸運動障害、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)などの呼吸器障害、息切れ、心臓血管障害、血管構造の全身炎症などの炎症、動脈硬化、高コレステロール血症、腰痛、胆嚢疾患、高尿酸血症、痛風、および腎臓癌、および麻酔危険度の上昇である。本発明の組成物および方法はまた、アルツハイマー病を処置するのに有用である。
【0508】
様々な実施形態において、本発明の組成物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸の阻害(impeded respiration)、呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、肺気腫、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、レフラー症候群、グッドパスチャー症候群、胸膜炎、肺炎、肺水腫、肺線維症、サルコイドーシス、呼吸器合胞体ウイルス感染に関連する合併症、および他の呼吸器疾患などの、1種または複数の呼吸器疾患を処置または予防するために用いられる。
【0509】
幾つかの実施形態において、本発明は、1種または複数の神経変性疾患を処置または予防するために用いられる。例示的な神経変性疾患としては、多発性硬化症(非限定的に、良性多発性硬化症;再発緩解型多発性硬化症(RRMS);二次進行型多発性硬化症(SPMS);進行再発型多発性硬化症(PRMS);および原発進行型多発性硬化症(PPMS)など)、アルツハイマー病(非限定的に、早発性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、および家族性アルツハイマー病(FAD)など)、パーキンソン病およびパーキンソニズム(非限定的に、特発性パーキンソン病、血管型パーキンソニズム、薬物誘発性パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病など)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、非限定的に、孤発性ALS、家族性ALS、西太平洋地域のALS、若年性ALS、平山病(Hiramaya Disease)など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0510】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、創傷、例えば非治癒創傷、潰瘍、熱傷または凍傷、慢性または急性創傷、開放性または閉鎖性の創傷、内部または外部創傷(例示的な外部創傷は、透過および非透過創傷である)を処置することに用途を見出す。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、虚血、非限定的例として急性冠動脈症候群、急性肺傷害(ALI)、急性心筋梗塞(AMI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、動脈閉塞性疾患、動脈硬化、関節軟骨欠損、無菌性全身炎症、アテローム性心臓血管疾患、自己免疫性疾患、骨折、脳浮腫、脳低灌流、バージャー病、熱傷、癌、心臓血管疾患、軟骨損傷、脳梗塞、脳虚血、脳卒中、脳血管疾患、化学療法誘発性神経障害、慢性感染、慢性腸間膜虚血、跛行、うっ血性心不全、結合組織損傷、挫傷、冠動脈疾患(CAD)、重症下肢虚血(CLI)、クローン病、深部静脈血栓症、深創傷、潰瘍治癒の遅滞、創傷治癒の遅滞、糖尿病(I型およびII型)、糖尿病性神経障害、糖尿病誘発性虚血、播種性血管内凝固(DIC)、閉栓性脳虚血、凍傷、移植片対宿主病、遺伝性出血性毛細血管拡張性虚血性血管疾患(hereditary hemorrhagic telengiectasiaischemic vascular disease)、高酸素傷害、低酸素症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性疾患、腱損傷、間欠性跛行、腸管虚血、虚血、虚血性脳疾患、虚血性心疾患、虚血性末梢血管疾患、虚血性胎盤、虚血性腎疾患、虚血性血管疾患、虚血性再灌流傷害、裂傷、左主幹冠動脈疾患、肢虚血、下肢虚血、心筋梗塞、心筋虚血、臓器虚血、骨関節炎、骨粗鬆症、骨肉腫、パーキンソン病、末梢動脈性疾患(PAD)、末梢動脈疾患、末梢性虚血、末梢神経障害、末梢血管疾患、前癌状態、肺浮腫、肺閉塞症、リモデリング障害、腎虚血、網膜虚血、網膜症、敗血症、皮膚潰瘍、固形臓器移植、脊髄損傷、発作、軟骨下骨嚢胞、血栓症、血栓性脳虚血、組織虚血、一過性脳虚血発作(TIA)、外傷性脳損傷、潰瘍性大腸炎、腎臓の血管疾患、血管炎症状態、フォンヒッペル-リンドウ症候群、または組織もしくは臓器の創傷と関連する虚血、を処置することに用途を見出す。
【0511】
様々な実施形態において、本発明は、慢性腎疾患(例えば、透析から)および/または抗癌剤(例えば、化学療法剤)および/またはHIV処置(例えば、ジドブジン(INN)またはアジドチミジン(AZT))から生じる貧血、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、炎症状態に関連する貧血(例えば、関節炎、狼瘡、IBD)、糖尿病関連の貧血、統合失調症、脳性マラリア、再生不良性貧血として、および癌の処置(例えば、化学療法および/または放射線照射)から生じる脊髄形成異常、ならびに様々な脊髄形成異常症候群疾患(例えば、鎌形赤血球性貧血、ヘモグロビンSC病、ヘモグロビンC病、アルファ-およびベータ-地中海貧血、早産後の新生児貧血、および同等の状態)を含む、貧血の1種または複数の処置に関する。
【0512】
幾つかの実施形態において、本発明は、貧血、即ち赤血球細胞の数および/もしくは赤血球細胞中に見出されるヘモグロビンの量が正常未満である状態の処置、または貧血を有する患者に関する。様々な実施形態において、貧血は、急性または慢性であり得る。例えば、本発明の貧血としては、鉄欠乏性貧血、腎性貧血、慢性疾患/炎症の貧血、大球性胃酸欠乏性貧血(macrocytic achylic anemia)、若年性悪性貧血および先天性悪性貧血などの悪性貧血、癌関連の貧血、抗癌関連貧血(例えば、化学療法関連の貧血、放射線療法関連の貧血)、赤芽球ろう、芽球が過剰な難治性貧血、再生不良性貧血、X連鎖製鉄芽球性貧血、溶血性貧血、鎌形赤血球性貧血、ESAの産生障害による貧血、骨髄異形成症候群、低色素性貧血、小球性貧血、鉄芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、クーリー貧血、地中海貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、ファンコニ貧血および薬物誘発性免疫溶血性貧血が挙げられるが、これらに限定されない。貧血は、低酸素症、慢性疲労、集中力の欠如、肌色の不良、低血圧、めまいおよび心不全を含む、重篤な症状を引き起こし得る。
【0513】
幾つかの実施形態において、本発明は、慢性腎不全から生じる貧血の処置に関する。幾つかの実施形態において、本発明は、透析、血液透析、腹膜透析、血液濾過、血液濾過透析、および腎移植を含む、1種または複数の腎臓代替療法の利用から生じる貧血に関する。
【0514】
幾つかの実施形態において、本発明は、透析を受けていない慢性腎疾患の患者における貧血の処置に関する。例えば、本発明は、ステージ1 CKD、またはステージ2 CKD、またはステージ3 CKD、またはステージ4 CKD、またはステージ5 CKDの患者に関する。幾つかの実施形態において、本発明の患者は、ステージ4 CKD、またはステージ5 CKDである。幾つかの実施形態において、本発明の患者は、腎移植を受けた。幾つかの実施形態において、本発明は、急性腎障害(AKI)を有する患者の貧血の処置に関する。
【0515】
幾つかの実施形態において、貧血は、化学療法により誘発される。例えば、化学療法は、任意の骨髄抑制化学療法であり得る。幾つかの実施形態において、化学療法は、Revlimid、Thalomid、デキサメタゾン、アドリアマイシンおよびDoxilの1つまたは複数である。幾つかの実施形態において、化学療法は、シスプラチン(例えば、PLATINOL)およびカルボプラチン(例えば、PARAPLATIN)を含む1種または複数の白金系の薬物である。幾つかの実施形態において、化学療法は、本明細書に記載される化学療法剤の任意の1つである。幾つかの実施形態において、化学療法は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられるGroopman et al.J Natl Cancer Inst(1999) 91(19):1616-1634に記載される任意の薬剤である。幾つかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、後期ステージの癌患者(例えば、ステージIV、またはステージIII、またはステージIIの癌)における化学療法関連の貧血の処置で用いられる。幾つかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、ドーズデンス化学療法または他のアグレッシブな化学療法レジメンを受けている癌患者における化学療法関連の貧血の処置で用いられる。
【0516】
幾つかの実施形態において、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫などの、1種または複数の血液系の癌を有する患者における貧血の処置に関する。そのような癌は、骨髄に直接影響を及ぼし得る。さらに、本発明は、骨または骨髄に播種した転移癌に関する。幾つかの実施形態において、本発明は、放射線療法を受けている患者における貧血の処置に関する。そのような放射線療法は、骨髄を損傷し、赤血球細胞を生成するその能力を低下させ得る。さらなる実施形態において、本発明は、鉄、ビタミンB12および葉酸の1つまたは複数の減少または欠如を有する患者における貧血の処置に関する。さらなる実施形態において、本発明は、非限定的に、手術後または、内部出血を引き起こしている腫瘍からを含む過剰な出血を有する患者における貧血の処置に関する。さらなる実施形態において、本発明は、慢性疾患の貧血を有する患者における貧血の処置に関する。
【0517】
幾つかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、赤血球細胞の生成を刺激する。幾つかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、骨髄中のコミットされた(committed)赤血球前駆体の分裂および分化を刺激する。
【0518】
本発明の特定の実施形態は、癌患者における化学療法誘発性貧血を処置するのに特に有用である。幾つかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、癌患者の化学療法が終了した後のキメラタンパク質の連続投与を可能にする。幾つかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、非癌患者に比較して用量を低減せずに癌患者の処置を可能にする。幾つかの実施形態において、本発明の方法および組成物は、化学療法を受けており治癒可能と見なされる癌患者の処置を可能にする。様々な実施形態において、癌患者は、血栓の病歴、最近の手術、長期間の安静または活動制限、および化学療法剤での処置の1つまたは複数を有する。
【0519】
キット
本発明はまた、本明細書に記載される任意の薬剤の投与のためのキットを提供する(例えば、様々なさらなる治療薬を伴う、または伴わないキメラタンパク質)。キットは、本明細書に記載される本発明の医薬組成物の少なくとも1種を含む、材料または成分の集合体である。したがって幾つかの実施形態において、キットは、本明細書に記載される医薬組成物の少なくとも1種を含有する。
【0520】
キットを構成する成分の厳密な性質は、その意図される目的に依存する。一実施形態において、キットは、ヒト対象を処置する目的のために構成される。
【0521】
使用説明書が、キットに含まれ得る。使用説明書は典型的に、貧血を処置するなどの、所望の転帰を実行するためにキットの成分を利用することに用いられる技術を記載する有形の表示を含む。場合により、キットはまた、希釈剤、緩衝剤、医薬的に許容できる担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペッティングもしくは測定ツール、包帯材料、または当業者に即座に認識される他の有用な装備などの、他の有用な成分も含有する。
【0522】
キット中に集められた材料および成分は、担当者に提供され、それらの操作可能性および有用性を保持する任意の簡便かつ適切な方法で貯蔵され得る。例えば、成分は、室温で、冷蔵温度で、または凍結温度で提供され得る。成分は典型的に、適切な梱包材に含まれる。様々な実施形態において、梱包材は、周知の方法により構成されて、好ましくは無菌の、汚染物不含環境を提供する。梱包材は、キットおよび/またはその成分の内容物および/または目的を示す、外部ラベルを有し得る。
【0523】
定義
本明細書で用いられる「a」、「an」または「the」は、1つまたは1つより多くを意味し得る。
【0524】
さらに、参照された数字表示に関連して用いられる場合の用語「約」は、参照された数字表示の最大で±10%の参照数字表示を意味する。例えば、言語「約50」は、45~55の範囲に及ぶ。
【0525】
医学的利用に関連して用いられる場合の「有効量」は、目的の疾患の測定可能な処置、予防、または発病率低下を提供するのに有効な量である。
【0526】
本明細書で用いられる場合、薬剤または刺激の存在下で、そのようなモジュレーションの非存在下に比較して、活性および/または効果の読み出しが少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはより多く、少なくとも最大で約100%、およびそれを含む量でなど、有意な量だけ減少される場合に、あるものは「減少され」る。当業者に理解されるであろうが、幾つかの実施形態において、活性が減少され、およびいくらかの下流の読み出しが減少するであろうが、他のものは上昇する可能性がある。
【0527】
反対に、薬剤または刺激の存在下で、そのような薬剤または刺激の非存在下に比較して、活性および/または効果の読み出しが有意な量だけ、例えば少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはより多く、少なくとも最大で約100%およびそれを含みまたはより大きく、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増加される場合に、あるものは「増加され」る。
【0528】
本明細書で参照される全ての組成の割合%は、他に断りがなければ、全組成物重量による。本明細書で用いられる言語「包含する」およびその変形は、非限定的であることを意図するため、あるリストの項目の詳述は、この技術の組成および方法において有用になり得る他の類似項目を除外しない。同様に用語「可能性がある」または「場合がある」およびそれらの変形は、非限定的であることを意図するため、実施形態が特定の要素または特色を含む可能性がある、または含む場合があるという詳述は、それらの要素または特色を含まない本発明の技術の他の実施形態を除外しない。
【0529】
包含する、含有する、または有するなどの用語の同義語としての制限のない用語「含む」が、本発明を説明および特許請求するために本明細書で用いられるが、本発明またはその実施形態は、代わりに「からなる」または「から本質的になる」などの別の用語を用いて記載される場合がある。
【0530】
本明細書で用いられる言語「好ましい」および「好ましくは」は、特定の状況下で特定の利益を与える技術の実施形態を指す。しかし他の実施形態が、同じまたは別の状況下で好ましい場合もある。さらに1つまたは複数の好ましい実施形態の詳述は、他の実施形態が有用でないことを示唆しておらず、本発明の技術範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0531】
治療効果を実現するために必要とされる本明細書に記載される組成物の量は、特定の目的のための従来の手順に従って経験的に決定され得る。一般に、治療目的で治療薬を投与するためには、治療薬は、薬理学的有効用量で与えられる。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」または「有効量」は、特に障害または疾患を処置するために、所望の生理学的効果を生じるのに充分な量、または所望の結果を実現できる量を指す。本明細書で用いられる有効量は、例えば、障害または疾患の症状の発生を遅延させるため、障害または疾患の症状の経過を改変するため(例えば、疾患の症状の進行を緩徐にするため)、障害または疾患の1つまたは複数の症状または症状発現を低減または排除するため、および障害または疾患の症状を回復させるための、充分量を包含する。治療上の利益はまた、改善が実現されるか否かにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を停止させる、または緩徐にすることを包含する。
【0532】
有効量、毒性、および治療有効性は、例えばLD50(人口の約50%に対する致死用量)およびED50(人口の約50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的医薬手順により決定され得る。投与量は、用いられる投与剤形、および利用される投与経路に応じて変動し得る。毒性作用と治療効果の間の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比として表現され得る。幾つかの実施形態において、大きな治療指数を示す組成物および方法が好ましい。治療有効用量は、最初に、例えば細胞培養アッセイを含む、インビトロアッセイから推定され得る。また、用量は、動物モデルで配合されて、細胞培養または適当な動物モデルで決定されたIC50を含む、循環血漿濃度範囲を実現できる。血漿中の記載される組成物のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより、測定され得る。任意の特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイによりモニタリングされ得る。投与量は、医師により決定され、必要に応じて、処置の観察される効果に適合するように調整され得る。
【0533】
特定の実施形態において、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約90%の定量可能な変化をもたらす。幾つかの実施形態において、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、もしくはさらに約90%またはより多くの定量可能な変化をもたらす。治療上の利益はまた、改善が実現されるか否かにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を停止させる、または緩徐にすることを包含する。
【0534】
本明細書で用いられる「処置の方法」は、本明細書に記載される疾患もしくは障害を処置するための組成物の使用、ならびに/または本明細書に記載される疾患もしくは障害を処置するための薬剤の製造で使用するための組成物および/もしくは製造における使用に等しく適用可能である。本発明を、以下の非限定的実施例によりさらに例示する。
【0535】
実施例
用語「AcTaferon」が、インターフェロン系キメラを参照するために本明細書で用いられる場合がある。
【0536】
以下の実施例において、断りがなければ、IFNへの突然変異は、ヒトIFN-α2 配列番号336に対するものである。
【0537】
Q124R突然変異体は、ネズミモデルにおいてインビボでアッセイされ得る弱化されたヒトIFNアルファ2突然変異体の代表である。詳細には、Q124Rは、マウスにおける使用に適したヒトIFN突然変異である(即ちそれは、マウスで機能するヒト突然変異体IFNである)。内容全体が参照により本明細書に組み入れられるNat. Comm. 2014;5:3016. doi:10.1038/ncomms4016を参照されたい。
【0538】
R33A/E120R突然変異体は、非機能性の(かつ対照として用いられる)ヒトIFNアルファ2突然変異体の代表である。
【0539】
これらの実施例で用いられる抗ヒトPD-1 VHHは、配列番号132である。
【0540】
これらの実施例で用いられる抗ヒトPD-L1 VHHは、配列番号267である。
【0541】
これらの実施例で用いられる抗ヒトCLEC9A VHHは、R2CHCL24(配列番号87)である。
【0542】
これらの実施例で用いられる抗ヒトCD3 scFVは、配列番号365である。
【0543】
これらの実施例で用いられる抗ヒトCD20 scFVは、配列番号366である。
【0544】
これらの実施例で用いられる抗ヒトCD8 VHHは、R2HCD26(配列番号21)である。
【0545】
抗BcII10 VHHは、これらの実施例で対照として用いられる(無関係な抗原を標的にする、即ち「標的にされない」)。
【0546】
実施例1:インビボB16黒色腫モデルを用いる二重特異性キメラの特徴づけ
様々な二重特異性キメラ構築物は、抗マウスPD-L1、抗マウスCD20、抗マウスClec9A、および/または抗マウスCD8標的部分ならびに修飾されたインターフェロンシグナル伝達ドメインで操作された(即ち、突然変異体ヒトインターフェロン(IFN)α2-Q124RまたはR149A)。キメラ構築物のリストを、以下に提供する。キメラのインビボ活性を、インビボB16黒色腫モデルを利用して特徴づけた。
【0547】
【化3】
【0548】
図1は、B16腫瘍モデルを利用する抗CD20 VHH-ヒトIFNアルファ(Q124R)突然変異体-抗PD-L1 VHH二重特異性構築物の抗腫瘍活性を示す。この実験では、C57BL/6マウスにB16mCD20cl1黒色腫細胞(マウスCD20を安定発現するマウス黒色腫細胞株)6×10個を皮下接種した(50μl)。カリパスによる測定で腫瘍が±10mmのサイズに達したら、様々な構築物(100μl)30μgでの病変周辺処置を開始した。テストされた構築物は、一重特異性抗PD-L1 VHH、一重特異性抗PD-L1 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体構築物、一重特異性抗CD20 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体構築物、および二重特異性抗CD20 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体-抗PD-L1 VHH構築物を含んだ。図1のパネルAは、抗PD-L1はB16腫瘍モデルにおいて効果を有さず、一重特異性PD-L1-Q124R構築物は若干の抗腫瘍活性を示し、腫瘍サイズを低減したことを示す。パネルBは、CD20およびPD-L1の両方を標的とする二重特異性キメラ(「mCD20-Q124R-PD-L1」)が、抗腫瘍活性に関して、CD20のみを標的とする一重特異性キメラ(「mCD20-Q124R」)よりも優れていたことを示す(パネルB)。二重特異性および一重特異性の両構築物において、修飾されたインターフェロンシグナル伝達ドメインが、存在した(Q124R)。
【0549】
図2は、上記のB16腫瘍モデルを用いる二重特異性キメラ(「Clec9A-Q124R-PD-L1」)の抗腫瘍活性を示す。図2に示される通り、二重特異性キメラClec9A-Q124R-PD-L1は、一重特異性抗CLEC9Aキメラ(「Clec9A-Q124R」)およびPD-L1(「PD-L1-Q124R」)キメラよりも優れていた。キメラは全て、修飾されたインターフェロン:Q124Rに融合された。
【0550】
mCD20-Q124R-PD-L1およびClec9A-Q124R-PD-L1の両方の二重特異性構築物は、安全であることが示された(図3および図4)。各図において、パネルA~Gは、上記の腫瘍試験におけるマウスの体重変動(パネルA)、白血球細胞カウント(「wbc」)およびリンパ球カウント(「ly」)(パネルB)、好中球カウント(「ne」)および単球カウント(「mo」)(パネルC);赤血球細胞カウント(「rbc」)、そして図4では、ヘモグロビン(「hb」)(パネルD);ヘモクリット(hemocrit)(「hct」)、平均血球体積(「mcv」)、平均血球ヘモグロビン(「mch」)、平均血球ヘモグロビン濃度(「mchc」)(パネルE);窪みのある赤血球細胞(pitted-red-blood-cells)(「pit」)(パネルF);および平均血小板体積(「mpv」)(パネルG)を示す。
【0551】
図5は、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体が、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗Clec9Aの融合体と修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗PD-L1の融合体の共投与、または修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗Clec9Aの融合体と抗PD-L1 VHHの共投与に比較して、より良好な抗腫瘍活性を提供した、B16腫瘍モデル試験を示す。
【0552】
二重特異性キメラ(「CD8-Q124R-PD-L1」)の抗腫瘍活性もまた、B16黒色腫モデルを利用して分析した。図6に示される通り、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗CD8および抗PD-L1)融合体は、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗CD8の融合体に比較して、より良好な抗腫瘍活性を提供した。
【0553】
Batf3ノックアウト(Batf3-/-)マウスモデルを用いて、二重特異性構築物の腫瘍発生および抗腫瘍活性における交差提示樹状細胞の役割を研究した。Batf3-/-C57BL6マウスは、Batf3遺伝子が欠如しており、したがってCD8α+交差提示樹状細胞をもたない。この実験では、Batf3-/-マウスに、B16mCD20cl1黒色腫細胞を皮下接種した。腫瘍が特定のサイズに達したら、マウスをその後、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体で処置した。図7に示される通り、Batf3-/-マウスは、野生型C57BL6マウスよりも腫瘍形成を受け易く、かつより大きな腫瘍を形成した。修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体の投与は、Batf3-/-および野生型C57BL6マウスの両方で腫瘍サイズを低減した。さらに、理論に結びつけるのを望むものではないが、2種の遺伝的バックグランドにおいて修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体の有効性を比較することは、Clec9A標的化についての樹状細胞の重要性を強調する。
【0554】
実施例2:インビボ4T1乳房腫瘍モデルを用いる二重特異性キメラの特徴づけ
様々な一重特異性および二重特異性キメラ構築物の抗腫瘍活性も、4T1乳房腫瘍モデルを用いてテストした。この実験では、マウスに4T1乳房腫瘍細胞を接種した。腫瘍が特定のサイズに達したら、マウスを一重特異性抗PD-L1 VHHまたは一重特異性抗PD-L1 VHH-ヒトIFNアルファ,Q124R突然変異体構築物で処置した。図8のパネルAに示される通り、抗PD-L1は、4T1乳房腫瘍モデルで効果がなかったが、一重特異性抗PD-L1-Q124R構築物は、抗腫瘍活性を有した。
【0555】
図8のパネルBは、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体が、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗Clec9Aの融合体と修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗PD-L1の融合体の共投与、または修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗Clec9Aの融合体と抗PD-L1 VHHの共投与に比較して、より良好な抗腫瘍活性を提供した、4T1乳房腫瘍モデル試験を示す。
【0556】
図8のパネルCは、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗CD8および抗PD-L1)融合体が、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗CD8の融合体と修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗PD-L1の融合体の共投与、または修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗CD8融合体と抗PD-L1 VHHの共投与に比較して、より良好な抗腫瘍活性を提供した、4T1乳房腫瘍モデル試験を示す。
【0557】
実施例3:B16黒色腫および4T1乳房腫瘍モデルにおける二重特異性キメラおよびドキソルビシンを用いる併用療法
ドキソルビシンおよび二重特異性構築物を用いる併用療法の抗腫瘍効果をテストした。一組の実験で、マウスにB16細胞(マウスCD20を安定発現するマウス黒色腫細胞株)を移植して、腫瘍を誘導した。2組目の実験では、マウスに4T1乳房腫瘍細胞を移植した。マウスを次に、ドキソルビシンを伴って、または伴わずに、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗マウスClec9Aおよび抗PD-L1)融合体で処置した。3組目の実験では、マウスに4T1乳房腫瘍細胞を移植し、マウスを次にドキソルビシンを伴って、または伴わずに、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗CD8および抗PD-L1)融合体で処置した。図9のパネルA-Cに示される通り、3種の腫瘍モデルの全てで、二重特異性キメラをドキソルビシンと組み合わせることは、二重特異性キメラのみまたはドキソルビシンのみを用いる処置に比較して、腫瘍サイズを有意に低減した。とりわけ図9のパネルBに示される通り、4T1乳房腫瘍モデルにおいて、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体とドキソルビシンとの使用は、マウス6匹中5匹で治癒的効果をもたらした(即ち、それらのマウスは、腫瘍が完全に消失した)。同様に、図9のパネルCに示される通り、4T1乳房腫瘍モデルにおいて、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗CD8および抗PD-L1)融合体とドキソルビシンとの使用もまた、マウス6匹中3匹で治癒的効果をもたらした(即ち、それらのマウスは、腫瘍が完全に消失した)。理論に結びつけるのを望むものではないが、二重特異性薬剤とドキソルビシンとの組み合わせが、個別でのそれらの薬剤の使用に比較して、相乗効果(即ち、腫瘍の完全な根絶)をもたらすと考えられた。
【0558】
4T1腫瘍モデルを用いて腫瘍再チャレンジ実験を実施し、腫瘍を含まないままのマウス(即ち、図9のパネルBで実証された腫瘍を含まないマウス5匹)にさらなる4T1腫瘍細胞を再チャレンジした。具体的には、この実験で、マウスに最初、4T1腫瘍細胞を接種し、マウスをドキソルビシンと、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への抗Clec9Aの融合体、または前に記載された(例えば、図9)修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体との組み合わせで処置した。腫瘍を含まないままのマウスにその後、4T1腫瘍細胞10個を再チャレンジし、任意のさらなる処置を行わずに腫瘍の成長をモニタリングした。
【0559】
理論に結びつけるのを望むものではないが、図10は、修飾されたヒトIFNアルファ(Q124R)への本発明の二重特異性(抗Clec9Aおよび抗PD-L1)融合体が、抗腫瘍記憶効果を提供したことを示す。
【0560】
実施例4:多発性硬化症のマウスモデルにおける二重特異性キメラの有効性
多発性硬化症を処置する際の二重特異性構築物の有効性を、確定されたマウス実験自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを用いてテストした。具体的には、死滅されたマイコバクテリウム結核菌(Mtb)に由来する完全フロイントアジュバント(CFA)中に懸濁されたMOG(MOG35-55)の免疫優性エピトープに対応するペプチドを、マウスに皮下投与した。百日咳毒素もまた、その日および2日後に腹腔内注射によりマウスに投与した。マウスをその後、100IUまたは1000IUのいずれかの、修飾されたヒトIFNアルファQ124Rへの抗マウスClec9Aの一重特異性融合体(「Clec9A-Q124R」)または修飾されたヒトIFNアルファQ124Rへの抗マウスmCD20の一重特異性融合体(「mCD20-Q124R」)キメラ、または両方の一重特異性キメラの組み合わせで7~25日目に処置した。あるいはマウスを、標的部分(即ち、抗Clec9Aおよび抗mCD20 VHH)およびシグナル伝達物質(即ち、IFNアルファ,Q124R突然変異体)の構成が異なる、100IUまたは1000IUのいずれかのClec9A-Q124R-mCD20(即ち、bi1)またはClec-9A-mCD20-Q124R(即ち、bi2)の二重特異性キメラで処置した。マウスを、図11のパネルAに示される通り、表現型で1日1回スコア付けした。
【0561】
図11のパネルBに示される通り、100IU投与量では、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラは、一重特異性キメラまたは一重特異性キメラの組み合わせのいずれかでの処置に比較して、臨床スコアを有意に改善した。Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラはまた、Clec9A-Q124R-mCD20二重特異性キメラに比較して、優れた活性を示した。同様に、1000IU投与レベルでは、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラは、一重特異性キメラまたは一重特異性キメラの組み合わせのいずれかでの処置に比較して、臨床スコアを有意に改善した(図11のパネルC)。この投与レベルでは、Clec9A-Q124R-mCD20二重特異性キメラはまた、一重特異性キメラまたは一重特異性キメラの組み合わせのいずれかでの処置に比較して優れた活性を示した(図11のパネルC)。加えて、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラは、1000IU投与レベルでの使用で安全であることが示された。図11のパネルDに示される通り、この投与量では、二重特異性キメラは、処置マウスにおいてリンパ球減少症を誘発しなかった。
【0562】
要約すると、図11のパネルEにさらに示される通り、Clec9A-Q124R-mCD20二重特異性キメラは、1000IUの投与量でEAEモデルにおける多発性硬化症に対し優れた保護を提供した。比較すると、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラは、100IUおよび1000IU投与レベルの両方でEAEモデルでの多発性硬化症に対し優れた保護を提供し、かつ処置マウスにおいてリンパ球減少症を誘発しなかった(図11のパネルF)。とりわけ、100IUのClec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラ(即ち、bi2)で処置されたマウスでは、マウス5匹中1匹が、いずれの疾患症状も示さなかった。
【0563】
5000IU投与レベルでのClec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラの有効性を評価するためにまた、実験を実施した。これらの実験において、対照のClec-9A-mCD20-R149A二重特異性キメラも、用いた。これらの実験では、二重特異性キメラを、7日目または12日目に開始して、25日目まで続けて投与した。
【0564】
図12のパネルAに示される通り、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラは、5000IUの投与レベルで7日目または12日目に投与された場合に、対照と比較して臨床スコアを有意に改善した。より具体的には、二重特異性キメラが、疾患発症前に、即ち7日目に投与されると、疾患発症は遅延されるか、または完全に停止された。重要なこととして、二重特異性キメラが、疾患発症後に、即ち12日目に投与されると、疾患進行は緩徐化した。理論に結びつけるのを望むものではないが、二重特異性キメラの投与は、多発性硬化症の予防および処置(例えば、進行の緩徐化)の両方に用いられ得る。処置マウスは、処置の20日目まで有意な体重減少を示さなかったため、二重特異性キメラはまた、この投与レベルで使用するのに安全であると思われた(図12のパネルB)。図12のパネルCに示される通り、Clec-9A-mCD20-Q124R二重特異性キメラはまた、対照に比較して、発病および罹病率(incidence)を有意に遅延させた。
【0565】
実施例5.二重特異性キメラでの腫瘍抗原特異性CD8T細胞増殖および活性化
図13は、抗腫瘍免疫の誘導における2つの主要臓器:腫瘍流入リンパ節および脾臓の両方における腫瘍抗原特異性CD8T細胞増殖および活性化の評価を示す。
【0566】
腫瘍抗原特異性T細胞の増殖
腫瘍抗原特異性T細胞の増殖を評価するために、B16-オボアルブミン(OVA)腫瘍細胞上に存在するモデル抗原OVAを特異的に認識するT細胞受容体トランスジェニックCD8T細胞(OT-I細胞)を用いた。CD8T細胞を、CD8α T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いてC57BL/6 OT-Iマウスの脾臓から単離し、5μMカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE、Thermo Fisher)で標識した。CFSE標識CD8精製OT-I細胞100万個を、オボアルブミンを発現するB16-OVA黒色腫細胞6×10個を9日前に接種されたC57BL/6マウスに、養子移入した。OT-I移入後1日目に、マウスの病変周辺をPBSまたは30μgの抗Clec9A VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124Rの二重特異性キメラで処置した。一部のマウスにさらに、ドキソルビシン(3mg/kg、Sigma)を病変周辺に注射した。養子OT-I移入の5日後に、腫瘍流入リンパ節および脾臓を単離し、OT-I CD8 T細胞増殖を、フローサイトメトリーにより評定した(図13のパネルAおよびC)。試料を、Attune Nxt Acoustic Focusing Cytometer(Life Technologies)で獲得して、FlowJoソフトウエアを用いて解析した。
【0567】
腫瘍抗原特異性T細胞の活性化
増殖されたOT-I CD8 T細胞の表現型を解析するために、腫瘍流入リンパ節および脾臓の単一細胞懸濁液を、異なるT細胞活性化マーカーについて染色した。したがって、Fc受容体を、CD16/CD32抗体(eBioscience)を用いてブロックした後、CD8-APC(クローン53-6.7、BD Pharmingen)、CD44-PercP-Cy5.5(クローンIMF7、Biolegend)およびCD62L-APC-Cy7(クローンMEL-14、Biolegend)で染色した。ゲーティング方策を最初にCD8細胞で実施して、そのCFSE希釈(増殖)T細胞を選択した。ネイティブT細胞は、CD44low CD62Lhigh表現型に基づき、エフェクターT細胞は、CD44high CD62Llow表現型に、およびメモリーT細胞は、CD44high CD62Lhigh表現型に基づいた(図13のパネルBおよびD)。試料を、Attune Nxt Acoustic Focusing Cytometer(Life Technologies)で獲得し、FlowJoソフトウエアを用いて解析した。
【0568】
CD8細胞障害性Tリンパ球が腫瘍細胞根絶において不可欠の役割を担うことは、充分に確定されている。この実施例のデータは、特に、抗Clec9A VHH/抗PD-L1 VHH/ヒトIFN Q124Rの二重特異性キメラが、腫瘍流入リンパ節(図13のパネルAおよびB)および脾臓(図13のパネルCおよびD)の両方において、腫瘍抗原特異性CD8T細胞の増殖および活性化を誘導したことを示す。
【0569】
実施例6.Sirp1αおよびDNAM二重特異性キメラ
様々な二重特異性マウスキメラによるマウスPD-L1標的化の効率を評定した。具体的には、FACS解析を実施して、マウスPD-L1陽性B16細胞株中のSTAT1リン酸化を定量した。
【0570】
B16細胞を、10%FBSを補充したDMEM培地中で様々な二重特異性キメラにより、37℃で15分間刺激した。刺激後に、細胞を、1容量のFix Buffer I(BD Biosciences)を37℃で10分間添加することにより固定し、氷上で30分間、2容量のPerm III Buffer I(BD Biosciences)中の再懸濁により透過させた。試料を抗STAT1 pY701抗体(BD Biosciences)により4℃で20分間染色して、FACSCalibur(BD Biosciences)およびCellQuest Pro Version 4.0.2ソフトウエア(BD Biosciences)で解析した。
【0571】
図14に示される通り、B16細胞を、100ng/mlの抗マウスSirp1α VHH/抗マウスPD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R二重特異性キメラ、BcII10 VHH-ヒトQ124R IFNの、抗マウスDNAM VHH/抗マウスPD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R二重特異性キメラにより37℃で15分間刺激するか、または刺激せずに放置した。固定および透過後に、細胞をphospho STAT1について染色し、FACSで解析した。データは、PD-L1標的化が、非標的化(BcII10 VHH)キメラに比較して二重特異性キメラにより、STAT1リン酸化を有意に増加させたことを明確に示す。
【0572】
実施例7.一重特異性および二重特異性キメラのヒトCD8標的化
FACSによるCD8陽性およびCD8陰性末梢血単核細胞(PBMC)中のSTAT1リン酸化の定量により、一重特異性ヒトキメラのヒトCD8標的化の効率を検査した。
【0573】
抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R149A(即ち、pmTW-SIgK-hCD8_R2HCD26(配列番号21)-(GGS)20-hIFNa2_R149A-GGS-(His)構築物)および抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R33A/E120A(即ち、pmTW-SIgK-hCD8_R2HCD26(配列番号21)-(GGS)20-hIFNa2_R33A/E120A-GGS-(His)構築物)のキメラを、Hek293F細胞中で産生した。細胞を、Freestyle培地中で0.6×10細胞/mlの密度に成長させて、標準のプロトコルに従い25K PEI(ポリエチレンイミン)でトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、新鮮な培地を培養物に添加し、細胞をさらに2または3日間成長させた。培地を回収し、細胞を遠心分離により除去し濾過滅菌した。組換えタンパク質を、製造業者の使用説明書に従ってNi Excel樹脂(GE Healthcare)を用いて精製し、イミダゾールをPD10カラム(GE Healthcare)で試料から除去した。
【0574】
健常ドナーのバフィーコート由来のPBMCを、Ficoll-Paque(GE Healthcare)での密度勾配遠心分離を利用して単離した。細胞をFACS緩衝液(PBS中の2%FBS、1mM EDTA)で2回洗浄し、抗ヒトCD8 APC(クローンRPE-T8;BD Pharmingen)により4℃で20分間染色した。2回洗浄した後、細胞をCD8標的化キメラの系列希釈により37℃で15分間刺激した。固定(10分間、37℃、Fix Buffer I;BD Biosciences)および透過(30分間、氷上、Perm III Buffer I;BD Biosciences)および洗浄の後、細胞を抗STAT1 pY701 Ab(BD Biosciences)で染色した。試料を、CellQuest Pro Version4.0.2ソフトウエア(BD Biosciences)を用いて、FACSCalibur(BD Biosciences)で獲得した。
【0575】
単離したPBMCを、CD8標的化キメラ(抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R149A、抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R33A/E120A、または抗BcII10 VHH/ヒトIFN R149A)の系列希釈で刺激し、CD8(APC)およびpSTAT1(PE)について染色した。データは、抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R149Aおよび抗BcII10 VHH-ヒトIFN R149Aの生物活性はCD8陰性細胞と同等であった(図15のパネルC)が、CD8標的化が抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R149AによりSTAT1リン酸化の明確かつ顕著な増加(少なくとも500倍)をもたらしたことを明確に示した(図15のパネルAおよびB)。抗ヒトCD8 VHH/ヒトIFN R33A/E120Aキメラ中の組み合わされたIFN突然変異は、STAT1リン酸化を完全に遮断し、CD8標的化は、生物活性を救済しなかった。これは、STAT1リン酸化を維持したIFN R149A突然変異と対照的であった。
【0576】
二重特異性ヒトキメラ(抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A)のヒトCD8標的化の効率も、FACSでのCD8陽性およびCD8陰性末梢血単核細胞(PBMC)中のSTAT1リン酸化の定量により、検査した。
【0577】
抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラ(即ち、pmTW-SIgK-hCD8_R2HCD26-(GGS)10-hPD-L1 VHH-(GGS)20-hIFNa2_R149A-GGS-(His)構築物)および抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120A二重特異性キメラ(即ち、pmTW-SIgK-hCD8_R2HCD26-(GGS)10-hPD-L1 VHH-(GGS)20-hIFNa2_R33A/E120A-GGS-(His)構築物)を、Hek293F細胞中で産生した。細胞を、Freestyle培地中で0.6×10細胞/mlの密度に成長させ、標準のプロトコルに従い25K PEI(ポリエチレンイミン)でトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後に、新鮮な培地を培養物に添加し、細胞をさらに2または3日間成長させた。培地を回収し、細胞を遠心分離により除去し、濾過滅菌した。組換えタンパク質を、製造業者の使用説明書に従ってNi Excel樹脂(GE Healthcare)を用いて精製し、イミダゾールをPD10カラム(GE Healthcare)で試料から除去した。
【0578】
健常ドナーのバフィーコート由来のPBMCを、Ficoll-Paque(GE Healthcare)での密度勾配遠心分離を利用して単離した。細胞をFACS緩衝液(PBS中の2%FBS、1mM EDTA)で2回洗浄し、抗ヒトCD8 APC(クローンRPE-T8;BD Pharmingen)により4℃で20分間染色した。2回洗浄した後、細胞をCD8/PD-L1二重特異性キメラの系列希釈により37℃で15分間刺激した。固定(10分間、37℃、Fix Buffer I;BD Biosciences)および透過(30分間、氷上、Perm III Buffer I;BD Biosciences)および洗浄の後、細胞を抗STAT1 pY701 Ab(BD Biosciences)で染色した。試料を、CellQuest Pro Version4.0.2ソフトウエア(BD Biosciences)を用いて、FACSCalibur(BD Biosciences)で獲得した。
【0579】
単離したPBMCを二重特異性キメラ(抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラ、抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120E二重特異性キメラ、または抗ヒトBcII10 VHH/ヒトIFN R149A)の系列希釈で刺激し、CD8(APC)およびpSTAT1(PE)について染色した。抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラは、CD8陰性細胞中の抗ヒトBcII10 VHH/ヒトIFN R149AよりもSTAT1リン酸化においておよそ100倍効果的であり(パネルDおよびF)、PD-L1発現細胞に及ぼすPD-L1標的化の影響を示す。CD8標的化の影響は、抗ヒトCD8 VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A二重特異性キメラによる刺激の際の、CD8陽性細胞(図15のパネルE)対CD8陰性細胞(図15のパネルF)でのpSTAT1レベルの差異により明確に示された。組み合わされたヒトIFN R33A/E120A突然変異は、STAT1リン酸化を完全に遮断し、CD8および/またはPD-L1標的化は、生物活性を救済しなかった。これは、STAT1リン酸化を維持したIFN R149A突然変異と対照的であった。
【0580】
実施例8.一重および二重特異性キメラのヒトPD-L1標的化
(二重特異性)ヒトキメラのヒトPD-L1標的化の効率を、FACS解析によるヒトPD-L1陽性MDA-MB-321細胞株中でのSTAT1リン酸化の定量により検査した。試験されたキメラは、抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A;抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120R;抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149A;抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120R;および抗ヒトBcl10 VHH/ヒトIFN R149Aであった。
【0581】
MDA-MB-321細胞を、10%FBSを補充したDMEM中で示されたヒトキメラにより、37℃で15分間刺激した。刺激後に、細胞を、1容量のFix Buffer I(BD Biosciences)を37℃で10分間添加することにより固定し、氷上で30分間、2容量のPerm III Buffer I(BD Biosciences)中の再懸濁により透過させた。試料を抗STAT1 pY701抗体(BD Biosciences)により4℃で20、染色し、FACSCalibur(BD Biosciences)およびCellQuest Pro Version 4.0.2ソフトウエア(BD Biosciences)で解析した。
【0582】
MDA-MB-321を、一重特異性(PD-L1 VHH)および二重特異性(Clec9AおよびPD-L1 VHH)キメラの系列希釈(100ng/ml;5分の1)により37℃で15分間刺激した。固定および透過の後、細胞をphospho STAT1について染色し、FACSで解析した。データは、PD-L1標的化(一重または二重特異性形式)が、IFN R149A突然変異を有するキメラによりSTAT1リン酸化を強く増加させたが、IFN R33A/E120R突然変異では増加させなかったことを示す。非標的化(BcII10 VHH)キメラは、100ng/mlでもシグナル伝達できなかった。図16参照。
【0583】
実施例9 scFv標的部分を有する二重特異性構築物
VHHを超える二重特異性コンセプトの拡張を実施した。以下の配列の抗ヒトCD20scFv/抗ヒトCD3 scFv/IFN R149Aを作製した:
【化4】
【0584】
シグナルペプチドに下線が引かれており、scFvCD3は太字であり、scFvCD20は太字で下線が引かれており、hIFNa2(R149A)には陰影が付けられ、リンカーは標的部分およびシグナル伝達物質を連結する。
【0585】
ヒトscFVに基づく二重特異性キメラによる標的化の効率を、Daudi(CD20陽性)、Jurkat(CD3)またはWish(陰性対照)細胞中でのSTAT1リン酸化の定量により検査した。図17参照。
【0586】
細胞を、10%FBSを補充したDMEM中で示された二重特異性キメラにより、37℃で15分間刺激した。刺激後、細胞を、1容量のFix Buffer I(BD Biosciences)を37℃で10分間添加することにより固定し、氷上で30分間、2容量のPerm III Buffer I(BD Biosciences)中の再懸濁により透過させた。試料を抗STAT1 pY701抗体(BD Biosciences)により4℃で20分間染色し、FACSCalibur(BD Biosciences)およびCellQuest Pro Version 4.0.2ソフトウエア(BD Biosciences)で解析した。
【0587】
図17に示される通り、Daudi、JurkatおよびWish細胞を、scFvキメラの系列希釈(5000ng/ml;5分の1)により37℃で15分間刺激した。固定および透過の後、細胞をphospho STAT1について染色し、FACS解析により解析した。データは、STAT1リン酸化は、それぞれCD3およびCD20標的化により、Wish細胞に比較してJurkat(CD3発現)およびDaudi(CD20発現)細胞でより効率的であったことを明確に示した。
【0588】
実施例10.モデル化されたヒト抗腫瘍効果
ヒト臍帯血の選択
幹細胞は、実験中に用いられた腫瘍細胞によるHLA-A2の発現と一致するHLA型であった。この目的のために、HLA-A2陽性臍帯血のみを選択して、CD34幹細胞精製を進めた。細胞をHLA-A2-FITC(BD Pharmingen)またはHLA-ABC-PE(BD Pharmingen)で染色し、後者を陽性対照とした。試料をAttune Nxt Acoustic Focusing Cytometer(Life Technologies)で獲得した。
【0589】
ヒト臍帯血からのCD34幹細胞の精製
ヒト臍帯血からの生存可能な単核細胞を、Fycoll(Lymphoprep、Stemcell technologies)勾配分離を利用して単離し、その後、直接CD34前駆細胞単離キット(Miltenyi)を用いてCD34 MACSを単離した。ヒトCD3-PE(BD Phamringen)/ヒトCD34-APC(BD Pharmingen)を用いるフローサイトメトリー染色を利用して、単離された幹細胞の純度を評価した。試料を、Attune Nxt Acoustic Focusing Cytometer(Life Technologies)で獲得した。注入された細胞の純度は、95~98%に達した。
【0590】
ヒト化マウスの作製
新生仔NSGマウス(1~2日齢)に、100cGyを致死量以下で照射した後、CD34ヒト幹細胞10個を肝内送達した。CD34移入後6週目に、末梢血を、ヒトおよびマウスの両方のCD45(両者ともBD)の存在について分析して、生着の効果を分析した。試料をLSRフローサイトメトリー(BD)で獲得し、FACS Divaソフトウエア(BD)により解析した。
【0591】
キメラの抗腫瘍能力を、腫瘍担持ヒト化マウスモデルで評定した。新生仔NSGマウス(1~2日齢)に、100cGyを致死量以下で照射した後、CD34ヒト幹細胞(HLA-A2陽性臍帯血から)10個を肝内送達した。幹細胞移入後13週目に、マウスにヒトRL濾胞性リンパ腫細胞2.5×10個をs.c.接種した。マウスを、Flt3Lタンパク質30μlで、腫瘍接種後6日目に開始して1日1回処置した。1日1回の病変周辺キメラ送達(30μg)を、触知可能な腫瘍に至った、腫瘍接種後10日目に開始した。抗ヒトClec9a VHH/抗ヒトPDL1 VHH/ヒトIFN-R149A二重特異性キメラでの処置は、腫瘍成長の安定化をもたらし、それはPBSの注射とは対照的に、Flt3L注射と組み合わせた場合により顕著であった。グラフは、腫瘍の成長を平均±SEMで示す。
【0592】
重要なこととして、抗ヒトClec9a VHH/抗ヒトPDL1 VHH/ヒトIFN-R149A二重特異性キメラは、ヒト化マウス(再構成されたヒト免疫系を有するマウス)内で成長したヒト腫瘍(RL)に対する明確な抗腫瘍効果を示した。図18参照。
【0593】
実施例11.抗ヒト二重特異性VHHキメラにより誘発される樹状細胞シグナル伝達
樹状細胞のpSTATシグナル伝達アッセイを、実施した。試験されたキメラは、抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R149Aおよび抗ヒトClec9A VHH/抗ヒトPD-L1 VHH/ヒトIFN R33A/E120Rであった。物質の2用量:100ng/mlおよび500ng/mlを試験した。
【0594】
手短に述べると、ヒトPBMCを、健常ドナーから得られた血液から単離した。およそ120mlの血液を、ヘパリンコーティングチューブ(21本)を用いて各ドナーから採取した。血液を室温で保持し、直ちに処理した。手短に述べると、血液をDPBSで1:1に希釈し、25mlをLympholyte L 15mlの上に穏やかに載せた。遠心分離後、単核細胞の環を採取し、細胞をDPBS(PBSダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、Wisent、カタログ#311-425-LL)で3回洗浄しカウントした。樹状細胞を、製造業者の使用説明書に従って、PBS中の系列特異性モノクローナル抗体と磁気粒子(STEMCELL Technologies、カタログ番号19251)の懸濁物との組み合わせを含む「DC濃縮キット」を用いてPBMC集団から濃縮した。
【0595】
樹状細胞(DC)を、テスト項目および対照(PBS)の存在下または非存在下で15分間刺激し、リン酸化STAT1(pSTAT1、具体的にはpY701-STAT1)のレベルを、フローサイトメトリーにより単離されたDC細胞集団(Lin-(CD14/CD16/CD20/CD56/CD3)/HLA-DR+)で決定した。刺激後に、細胞を固定し(BD Cytofix固定緩衝液、BD Bioscience、カタログ#554655)、その後Perm buffer II(BD PhosFlow Perm Buffer、BD Bioscience、カタログ#558052)で透過した。細胞をその後phospho STAT1およびDC表面マーカー(Lin-/HLA-DR+)について染色した(以下の表参照)。細胞内および表面の両方の染色を、同時に実施した。フローサイトメトリーおよびデータの取得を、DPBSでの細胞洗浄後に実施した。
【表1】
【0596】
図19は、pSTAT樹状細胞の割合%の倍率変化として表されたデータを示す。
【0597】
この試験は、細胞標的化の際にその活性が回復可能であるIFNシグナル伝達物質(IFN R149A)を含む二重(二重特異性)ヒトCLEC9A/PD-L1抗原標的化構築物が、ヒト樹状細胞におけるIFNシグナル伝達を促進することを明白に示す(pSTAT1誘発により決定)。対照的に、IFNシグナル伝達活性化は、その活性化が回復可能でないIFNシグナル伝達物質(IFN R33A/E120R)を組み込んだ二重特異性CLEC9A/PD-L1抗原標的化構築物では観察されない。したがって、マウスCLEC9AおよびPD-L1抗原を標的とする同等のIFN融合構築物で観察される通り、ヒトCLEC9A抗原に対する標的化部分を用いてIFNをヒト樹状細胞に標的化させると、顕著なIFNシグナル伝達の惹起が得られる。
【0598】
均等物
本発明を具体的な実施形態と組み合わせて記載したが、さらなる修飾が可能であること、およびこの適用が、本発明の原理に概ね従う本発明の任意の変更、使用または適合を包含するものとし、本開示からのそのような逸脱が、本発明が属する技術分野で公知の、または慣用的実務内に含まれており、本明細書の先に示され、添付の特許請求の範囲の中の本質的特色に適用され得ることは、理解されよう。
【0599】
当業者は、日常的実験を利用するだけで、本明細書に具体的に記載された具体的実施形態との数多くの均等物を認識し、または確認することが可能であろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0600】
参照による組み入れ
本明細書で参照される全ての特許および発行物は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0601】
本明細書で議論される発行物は、単に本出願の提出日より以前のそれらの開示のために提供される。本明細書には、本発明が先行の発明のせいでそのような発行物を前の日付にする資格を与えられることの承認と解釈されるべきものはない。
【0602】
本明細書で用いられる全ての表題は、単に構成のためのものであり、本開示を限定する意図はない。任意の各節の内容は、全ての節に均等に適用可能であり得る。
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図3-7】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図4-7】
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
図11-5】
図11-6】
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図13-4】
図14
図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18
図19
【配列表】
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