IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許7030710互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体
<>
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図1
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図2
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図3
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図4
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図5
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図6
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図7
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図8
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図9
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図10
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図11
  • 特許-互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素及び汚染防止システムを備える組立体
(51)【国際特許分類】
   B63B 59/04 20060101AFI20220228BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20220228BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20220228BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
B63B59/04 C
B63B13/00 Z
B63B59/04 Z
B01D35/02 Z
C02F1/32
A61L2/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018546845
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017055441
(87)【国際公開番号】W WO2017153473
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】16159296.9
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16184450.1
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ローラント ボウデワイン
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0305597(US,A1)
【文献】特表2012-509763(JP,A)
【文献】特開2010-94645(JP,A)
【文献】特表2014-512959(JP,A)
【文献】特開平08-323117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00- 13/02
B63B 59/04
B63H 1/12- 1/28
B63H 5/07
B63H 20/00- 20/36
E02B 1/00
B01D 24/00- 24/48
B01D 35/05- 35/34
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり
前記要素が互いに対して静止位置にあるかどうかを評価し、前記静止位置にあることが見出される場合、相対的な前記静止位置の期間が所定の最大期間を超えるかどうかを評価し、前記所定の最大期間を超えることが見出される場合、前記生物汚染防止システムの前記1つ又は複数の光源の作動状態との組み合わせで前記要素の相対移動を開始する制御装置を備える、組立体。
【請求項2】
前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は、前記要素の一方に据え付けられている、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は、前記要素の相対移動の間、前記1つ又は複数の光源の区域に連続的に置かれる前記要素の少なくとも一方の表面部分に生物汚染防止光を発する、請求項1又は2に記載の組立体。
【請求項4】
前記被包囲要素は、前記包囲要素に対して回転可能であると共に前記包囲要素の軸方向に変位可能であり、前記生物汚染防止システムの前記1つ又は複数の光源は前記被包囲要素に据え付けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の組立体。
【請求項5】
前記生物汚染防止システムの前記1つ又は複数の光源は、前記包囲要素に対する前記被包囲要素の移動の間、前記1つ又は複数の光源の区域に連続的に置かれる前記包囲要素の表面部分に生物汚染防止光を発する、請求項に記載の組立体。
【請求項6】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり、
前記生物汚染防止システムは、前記要素の少なくとも一方の少なくとも表面部分に被覆を備え、前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は前記被覆に据え付けられ、前記被覆は前記1つ又は複数の光源の前記生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性である、組立体。
【請求項7】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり、
前記生物汚染防止システムは、少なくとも1つの運搬部材と、前記運搬部材に据え付けられる前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源とを備え、前記運搬部材は、前記1つ又は複数の光源の前記生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性であり、任意選択で前記要素の少なくとも一方は、少なくとも1つの凹部を備え、前記生物汚染防止システムの少なくとも1つの前記運搬部材は、前記少なくとも1つの凹部に据え付けられている、組立体。
【請求項8】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり、
前記被包囲要素は、少なくとも部分的に中空であるシャフトを備え、前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は前記シャフトの内部に据え付けられ、前記シャフトは前記1つ又は複数の光源の前記生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性である、組立体。
【請求項9】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり、
前記生物汚染防止システムの前記1つ又は複数の光源を駆動するために使用される電力を供給するための電力システムを備え、前記電力システムは、任意選択で、前記要素の少なくとも一方の移動に基づいて電力を生成する、組立体。
【請求項10】
管状のフィルタスクリーンと、前記フィルタスクリーンによって少なくとも部分的に包囲される移動可能なシャフトと、前記フィルタスクリーンの内面から細片を除去及び受入するためのフィルタ清浄化システムの担持部材とを備え、任意選択で、前記フィルタ清浄化システムの前記担持部材は、細長い形を有し、前記シャフトから前記フィルタスクリーンの前記内面に向かって突出し、前記生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が、前記フィルタスクリーンの前記内面を向く前記担持部材の端に据え付けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の組立体。
【請求項11】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素と、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムとを備える、組立体であって、前記要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、前記要素の他方は、前記包囲要素の前記内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、前記生物汚染防止作用を受ける前記領域は少なくとも前記包囲要素の表面部分を含む、組立体において、
前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現するものであり、
軸受シェルによって少なくとも部分的に包囲される移動可能なシャフトを備える水軸受であり、前記軸受シェルは任意選択でその内面に溝を有する、組立体。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の組立体を少なくとも1つ備える、船舶。
【請求項13】
1つ又は複数のバラストタンクと、バラスト水として供する水を処理するための水濾過システムとを有するバラスト水システムを備え、前記少なくとも1つの組立体は前記バラスト水システムの前記水濾過システムの一部分である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組立体を少なくとも1つ備える、船舶。
【請求項14】
組立体の一部である生物汚染防止システムの動作を制御するための方法であって、前記組立体は、前記組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素を備え、前記生物汚染防止システムは、前記組立体の前記第1の機能とは異なる前記組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせ、前記生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、前記組立体の前記第1の機能を実施するために互いに対して前記少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、前記生物汚染防止光での前記領域の適用範囲を実現することを特徴とする、方法において、前記少なくとも2つの要素が互いに対して静止位置にあるかどうかを評価するステップと、前記静止位置にあることが見出される場合、相対的な前記静止位置の期間が所定の最大期間を超えるかどうかを評価するステップと、前記所定の最大期間を超えることが見出される場合、前記生物汚染防止システムの前記1つ又は複数の光源の作動状態との組み合わせで前記少なくとも2つの要素の相対移動を開始するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素を備える組立体に関する。本発明が実施されるとき、言及したような組立体には、組立体の第1の機能と異なる組立体の追加の機能として、その耐用期間の少なくとも一部の間に少なくとも部分的に水に曝される組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムが搭載される。詳細には、要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、要素の他方は、包囲要素の内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素である。本発明は、生物汚染防止システムの動作を言及したように制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐用期間の少なくとも一部の間に水に曝される表面の生物汚染は、良く知られている現象であり、水軸受、及び、フィルタ清浄化システムを備えるフィルタ組立体など、包囲要素と被包囲要素とを互いに対して移動可能な構成で備える組立体の分野を含む多くの分野で問題を引き起こす。
【0003】
一般的な意味において、水軸受は、軸受シェルによって少なくとも部分的に包囲される移動可能シャフトを備える。具体的には、シャフトは、回転可能である、及び/又は、軸方向において線形で変位可能である。移動可能シャフトが船舶のスクリューを支持するのに供する用途を含め、水軸受の多くの用途が知られている。水軸受は、水軸受における所定の場所において、軸受シェルとシャフトとの間に小さい水柱を存在させることができるように、軸受シェルがその内面において溝を有する実施形態を含む、様々な実施形態で現れる。いずれの場合でも、水軸受の動作は、軸受シェルの内面とシャフトとの間に水の薄い膜を有することに依拠する。シャフトと軸受シェルの内面とを水に曝すため、シャフトと軸受シェルの内面との少なくとも一方の生物汚染が起こる可能性があり、その結果として、シャフトと軸受シェルの内面との狭い空間が塞がれ、最終的に水軸受の動作に否定的な結果を有する。
【0004】
WO2012/153117A1は、管状のフィルタスクリーンと移動可能なシャフトとを備えるフィルタ組立体を開示しており、そこでは、移動可能なシャフトが、フィルタスクリーンの内面の側で細片をフィルタスクリーンから除去するための逆流洗浄機構の細片受入部分を支持するように供する。フィルタスクリーンの浸透性は、ミクロンの大きさの程度となるように選択され、その場合、フィルタメッシュの大きさは非常に小さくなる必要がある。通常、濾過される水は、フィルタスクリーンの内側からフィルタスクリーンの外側まで流れるように強制される。逆流洗浄システムによって実施される清浄化作用の間、水は、反対に、したがって、フィルタスクリーンの外側からフィルタスクリーンの内側へと流れるように強制される。
【0005】
実施形態では、逆流洗浄機構はシャフトの線形の移動だけ伴い、シャフトは、特別に設計された細片受入部分のセットをそれ自体からフィルタスクリーンの内面まで外向きに延びる円板形状とされた構成部品の形態で担持する中央の中空の管から構築されている。円板形状とされた構成部品の外周は、フィルタスクリーンにおける不規則性を補償する封止ヘッド又は封止構成で終端し、濾過されていない流体の漏れを最小限とするために、円板形状とされた構成部品とフィルタスクリーンの内面との間に効果的な封止を提供する。言及したような封止ヘッド又は封止構成は、細片をフィルタスクリーンの内面からそれぞれの細片受入部分へと通過させるための細長い穴又は通路を備える。具体的には、スロット又は通路は、フィルタスクリーンの内面の周囲全体の周りに存在し、360°の適用範囲を提供する。中央の中空の管は、逆流洗浄機構への線形の動きを提供する線形アクチュエータによって外部で駆動される。中央の中空の管は、逆流洗浄機構の動作の間、フィルタスクリーンの内面から除去された細片を受け入れるための細片回収室と連通している。
【0006】
円板形状とされた構成部品の知られている代替品は、中央の中空の管から延びる径方向のアームを伴い、管は、線形の動きだけでなく、フィルタスクリーンの内面の周囲の360°の適用範囲を有するために、回転の動きも提供される。
【0007】
WO2012/153117A1から知られているような、管状のフィルタスクリーンとの使用のための逆流洗浄機構は、細片をフィルタスクリーンから除去するときに良好な結果をもたらすことが実際的と思われる。それにも拘らず、知られている逆流洗浄機構は、フィルタスクリーンを清潔に保つことと、フィルタスクリーンが塞がれるのを回避することとにおいて効果的ではないとも思われる。その理由は、機械的技術を用いて生物汚染をフィルタスクリーンから除去することが実際には不可能であるという事実に見出されている。例えば、イガイ幼生がフィルタスクリーンに詰まる可能性があり、これは、逆流洗浄機構によって実施される規則的な清浄化作用にも拘らず、幼生をフィルタスクリーンにおいて成長させてしまう。結果として、フィルタ組立体を用いて実施される清浄化処理の効果は、最終的に低減される、及び/又は、濾過処理は高圧で実施されるだけであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のことから、フィルタスクリーンと、フィルタ清浄化システムの一部である移動可能なシャフトと、互いに対して移動可能な構成にある少なくとも2つの要素、特には、包囲要素及び被包囲要素を備える他の組立体とを備える水軸受のフィルタ組立体において、適切で効果的な生物汚染防止作用を実現することを目指した永続的な解決策への要求があることになる。このような解決策が、組立体の元の設計、つまり、適切な生物汚染防止システムを伴わない組立体の設計を変更する必要性を導入しないことは、非常に好ましいとされ、その設計は、水軸受の場合には軸受機能であり、前述したような種類のフィルタ組立体の場合には細片除去機能である組立体の第1の機能を、移動可能な構成における要素に実施させるために、最適化される。
【0009】
概して、生物汚染は、表面における微生物、植物、藻、小動物などの堆積である。ある推計によれば、4,000を超える有機体を含む1,800を超える種が、生物汚染の原因となる。したがって、生物汚染が幅広い様々な有機体によって引き起こされ、表面へのフジツボ及び海藻の付着よりはるかに上回る。生物汚染は、生物膜形成及びバクテリア付着を含むミクロ汚染と、より大きい有機体の付着を含むマクロ汚染とに分けられる。それら汚染が定着するのを何が防止するかを決定する特徴的な化学性及び生物性のため、有機体は硬い又は柔らかいとしても分類される。硬い汚染有機体は、フジツボ、殻で覆ったコケムシ、軟体動物、多毛類及び他のチューブワーム、並びにゼブライガイなど、石灰質の有機体を含む。柔らかい汚染有機体は、海藻、ヒドロ虫、藻類、及び生物膜「ヘドロ」など、石灰質でない有機体を含む。一緒に、これらの有機体は汚染の群生を形成する。
【0010】
先に言及したように、生物汚染は実質的な問題を作り出す。生物汚染は、2つだけ否定的な結果を挙げれば、機械の操業を停止させ、水入口を塞いでしまう可能性がある。したがって、生物汚染防止の主題、つまり、生物汚染を除去又は防止する処理が良く知られている。濡れた表面を伴う産業の処理では、生物分散剤が生物汚染を制御するために使用され得る。より制御されていない環境では、汚染有機体は、殺生物剤、熱処理、又はエネルギーのパルスを用いた被膜で殺されるか、又は遠ざけられる。有機体が表面に付着するのを防止する毒性のない機械的な方策には、表面を滑りやすくするための材料又は被膜を選択すること、又は、脆弱な固定位置を提供するだけのサメ及びイルカの皮膚と同様のナノスケールの表面トポロジを作り出すことがある。本発明は、様々な利用可能な生物汚染防止の解決策に新たな貢献を行うように意図されており、特に、互いに対して移動可能な構成にある包囲要素及び被包囲要素などの少なくとも2つの要素を含む組立体の領域であって、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される領域だけには、生物汚染防止作用を受けさせることが目的とされている。
【0011】
生物汚染防止システムの例は、WO2016/107829A1から知られている。具体的には、知られている生物汚染防止システムは、物体の生物汚染要素における生物汚染を防止又は低減するように構成されている。汚染は、生物汚染防止光を汚染要素に照射することによって防止される。そのために、生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を生成するように、及び、使用の間に生物汚染防止光を汚染要素に提供するように構成された少なくとも1つのレーザー光源を備え、使用中に汚染要素がレーザー光源に対して少なくとも部分的に移動するように構成されている。移動可能な汚染要素の実用的な例は、船のプロペラ(翼)である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素を備える組立体に、組立体の第1の機能とは異なる組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される前記組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるための生物汚染防止システムが設けられ、生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、生物汚染防止システムは、組立体の第1の機能を実施するために互いに対して少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、生物汚染防止光での領域の適用範囲を実現するように適合され、要素の一方は内部空間を有する包囲要素であり、要素の他方は、包囲要素の内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素であり、生物汚染防止作用を受ける領域は少なくとも包囲要素の表面部分を含む。
【0013】
前述の定義から、本発明は、生物汚染防止システムによって生物汚染防止効果を実現することが望まれる組立体を搭載するだけではないということになる。具体的には、本発明の主題である組立体の種類では、移動可能な構成における少なくとも2つの要素が存在することを巧みに使用する。本発明の根底にある洞察によれば、要素の互いに対する移動可能な構成は、生物汚染防止システムの動作の間に生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源から発せられる生物汚染防止光での組立体の領域の適用範囲を実現する処理において使用でき、これは、組立体において最低限の光源だけを有することを可能にする。したがって、本発明による組立体では、少なくとも2つの要素の移動可能な構成は、任意の機能であり得る組立体の第1の機能を実現することを目指しており、少なくとも2つの要素の移動可能な構成は、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源の生物汚染防止光による生物汚染防止作用を受けさせる組立体の領域の適用範囲を実現するためにさらに使用され、領域に生物汚染防止作用を受けさせることは、組立体の追加の機能を構成する。これは、生物汚染防止光による領域の適用範囲が、全体領域が1つの光源又は光源の組み合わせの区域にあることを確保することを伴い、そのため領域が全体で生物汚染防止光に曝される従来の手法とは、異なる手法である。明確性のために、ここで使用されているような「1つ又は複数の光源の生物汚染防止光」という表現は、「生物汚染防止システムの動作の間に1つ又は複数の光源から発せられる生物汚染防止光」を意味するように理解されるべきであることに留意されたい。さらに、生物汚染防止作用であるという作用の指示は、作用が生物汚染を防止すること、生物汚染を除去すること、又はそれら両方のことを目指していることを意味するように理解されるべきであることに留意されたい。
【0014】
生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が、特には、生物汚染防止システムの作動の間に紫外線光を発するように適合されることは、実用的である。生物汚染防止を実現するために紫外線光を使用することの一般的な利点は、有害な副作用、又は、容易に緩和させることができない副作用なく、微生物が清潔に保たれる表面に付着及び発根することが防止されることである。
【0015】
完全性のために、以下のことは、紫外線光を使用することで生物汚染防止に関することに留意されたい。生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は、明確にはUVC光としても知られているcの種類の紫外線光を発し、さらにより明確には、大まかに250nmから300nmの間の波長の光を発するように選択できる。ほとんどの汚染の有機体が、それら有機体を紫外線光の特定の投与に曝すことによって、殺され、不活発にさせられ、又は、再生することができなくさせられることが、見出されている。生物汚染防止を実現するのに適していると思われる典型的な強度は、1平方メートルあたり10mWである。光は、特には所与の光強度において、所与の状況で適切であれば何であれ、連続的に、又は、適切な周波数で適用され得る。UVC光を生成するための非常に効率的な発生源は、入力電力の平均で35%がUVC出力に変換される低圧水銀放電ランプである。別の有用な種類のランプは中圧水銀放電ランプである。ランプは、オゾン形成放射を濾過するための特別なガラスの外被が搭載されてもよい。さらに、そのように望まれる場合、調光器がランプと共に使用されてもよい。他の種類の有用なUVCランプは、誘電バリア放電ランプ、レーザー、及びLEDであり、誘電バリア放電ランプは、様々な波長において、並びに、電気から光への大きな出力効率において、非常に強力な紫外線光を提供することで知られている。LEDについては、LEDが概して比較的小さい包装に含めることができ、他の種類の光源より少ない電力を消費することに留意されたい。LEDは様々な望ましい波長の(紫外線)光を発するように製造でき、最も顕著には出力であるそれらの動作パラメータは高度に制御される。
【0016】
紫外線光を発するための光源が、良く知られているTL(管状の発光/蛍光)ランプにおおよそ相当する管状ランプの形態で提供されてもよい。様々な知られている殺菌管状UVCランプについて、電気的及び機械的な特性が、可視光を生成するための管状のランプの電気的及び機械的な特性に相当する。これは、UVCランプをよく知られているランプと同じやり方で動作させることができ、例えば、電気的又は磁気的な安定器/始動の回路が使用されてもよい。
【0017】
本発明による組立体では、生物汚染防止作用を受けさせる領域は、要素の少なくとも一方の表面部分を少なくとも含んでもよい。さらに、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が、生物汚染防止光を要素の他方へと発するために、要素の一方に据え付けられてもよい。より一般的な感覚では、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は、組立体の少なくとも2つの要素の互いに対して移動可能な構成に基づいて、生物汚染防止光で生物汚染防止作用を受けさせる領域の適用範囲を実現するために据え付けられてもよい。本発明の枠組みに存在する選択肢には、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が要素の一方のみに据え付けられるという選択肢と、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が両方の要素に据え付けられる選択肢とがある。互いに対する要素の移動可能な構成に関して、このような構成を有することは、要素の一方だけが移動可能であること、及び、要素の他方が静止していること、又は、両方の要素が移動可能であることを意味し得ることに留意されたい。一番目の場合には、要素の一方又は両方に生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源を据え付けることが望ましい状況の詳細に依存して、それらの光源を移動可能な要素のみに据え付けることが可能である状況の詳細に依存して、それらの光源を、移動可能な要素のみに据え付ける、静止要素のみに据え付ける、又は、両方の要素にわたってそれらの光源を分配することが可能である。
【0018】
典型的には、本発明の枠組みにおいて、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が、要素の相対移動の間、1つ又は複数の光源の区域に連続的に置かれる要素の少なくとも一方の表面部分に生物汚染防止光を発するために配置される構成を有することができる。例として、例えば被包囲要素といった要素の一方は回転可能シャフトのように成形され、例えば包囲要素といった要素の他方は、シャフトの一部分を包囲する静止シェルであるとき、シェルによって包囲されるシャフトの全体部分に生物汚染防止作用を受けさせることが望まれるとすれば、シャフト-シェルの組み合わせの軸方向である方向においてシェルの一方の側から他方の側へとシェルの内面に沿って延びる1つの細長い光源のみを有すれば十分である。このような場合では、軸方向におけるシャフトの部分の適用範囲が軸方向におけるシェルの一方の側から他方の側へと延びる光源に基づいて実現され、シャフトが回転するにつれて、シャフトの部分の周囲の360°の適用範囲が実現される。
【0019】
少なくとも2つの要素の互いに対する移動可能な構成に基づいて生物汚染防止光での領域の適用範囲を実現することは、少なくとも時々互いに対して要素を実際に移動する必要があることを意味する。それを考慮して、要素が互いに対して静止位置にあるかどうかを評価し、静止位置にあることが見出される場合、相対的な静止位置の期間が所定の最大期間を超えるかどうかを評価し、所定の最大期間を超えることが見出される場合、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源の作動状態との組み合わせで要素の相対移動を開始するように適合される制御装置を備える。そのやり方では、組立体の第1の機能を実施し、要素を互いに対して移動する必要がない状況においても、所定の最大期間の適切な値が選択されるならば、組立体において効果的な生物汚染防止作用を有することがなおも可能である。
【0020】
前述したような制御装置を備える本発明による組立体の可能性に関して、本発明は、組立体の一部である生物汚染防止システムの動作を制御するための方法であって、組立体は、組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成での少なくとも2つの要素を備え、生物汚染防止システムは、組立体の第1の機能とは異なる組立体の追加の機能として、耐用期間の少なくとも一部の間に水に少なくとも部分的に曝される組立体の領域だけには生物汚染防止作用を受けさせるように適合され、生物汚染防止システムは、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源を備え、生物汚染防止システムは、組立体の第1の機能を実施するために互いに対して少なくとも2つの要素の移動可能な構成に基づいて、生物汚染防止光での領域の適用範囲を実現するように適合され、要素が互いに対して静止位置にあるかどうかを評価するステップと、静止位置にあることが見出される場合、相対的な静止位置の期間が所定の最大期間を超えるかどうかを評価するステップと、所定の最大期間を超えることが見出される場合、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源の作動状態との組み合わせで要素の相対移動を開始するステップとを含む方法にも関することに留意されたい。
【0021】
組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成にある組立体の要素は、同じ形を有してもよく、互いに対して任意の位置決めにあってもよい。いずれの場合でも、フィルタ清浄化システムの管状のフィルタスクリーン及び移動可能なシャフト担持部材を備える水軸受及びフィルタ組立体と同様に、要素の一方が、内部空間を有する包囲要素であり、要素の他方が、包囲要素の内部空間を少なくとも部分的に通って延びる被包囲要素である。組立体の実施形態は、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が、包囲要素のみに、被包囲要素のみに、又は、包囲要素と被包囲要素との両方に、存在する。さらに、包囲要素が静止して被包囲要素が移動可能であるように、被包囲要素が静止して包囲要素が移動可能であるように、又は、両方の要素が移動可能であるようになる。いずれの場合でも、このような構成において可能である要素の相対移動は、回転移動と線形移動とを伴う。
【0022】
前述した包囲要素及び被包囲要素を備える組立体の1つの実現可能な実施形態では、被包囲要素は、包囲要素に対して回転可能及び線形に変位可能の両方であり、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が被包囲要素に据え付けられる。被包囲要素において組み合わされる様々な種類の移動を有することで、包囲要素の内面を1つ又は複数の光源の生物汚染防止光によって覆う有利な選択肢が、任意の適切な設計において、及び、1つ又は複数の光源の位置決めにおいて、利用可能である。
【0023】
本発明の枠組みでは、生物汚染防止システムの設計になるとき、数多くの選択肢が存在する。いくつかの選択肢がここで言及されるが、言及されるこれらの選択肢は別々に適用できるが、2つ以上のこれらの選択肢の組み合わせを1つの同じ組立体に有することも可能であることに留意されたい。第1の選択肢によれば、生物汚染防止システムは、要素の少なくとも一方の少なくとも表面部分の被覆を備え、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は被覆に据え付けられ、被覆は、生物汚染防止光を被覆から実際に輝かせるように、1つ又は複数の光源の生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性である。第2の選択肢によれば、生物汚染防止システムは少なくとも1つの運搬部材を備え、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源は運搬部材に据え付けられ、運搬部材は、1つ又は複数の光源の生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性である。有利には、要素の少なくとも1つは少なくとも1つの凹部を備え、そのため、生物汚染防止システムの少なくとも1つの運搬部材が、その要素の少なくとも1つの凹部に据え付けられることで要素に確実に取り付けられることが可能となる。第3の選択肢によれば、生物汚染防止システムは、要素のうちの1つに取り付けられる1つ又は複数の光源を備える。例えば、1つ又は複数の光源は、要素のうちの1つに直接的に配置され得る、又は、所与の状況で適切であれば何であれ、剛体若しくは少なくとも部分的に柔軟であり得る適切な連結部材を通じて、要素の一方に取り付けられ得る。第4の選択肢によれば、被包囲要素は、少なくとも部分的に中空であるシャフトを備え、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源はシャフトの内部に据え付けられ、シャフトは1つ又は複数の光源の生物汚染防止光に対して少なくとも部分的に透過性である。例えば、生物汚染防止システムは、生物汚染防止光に対して透過性である材料から作られる移動可能なシャフト、又は、このような材料から作られる窓を備える移動可能なシャフトを通って延びるように配置される管状のランプを備え得る。言及したような第4の選択肢の利点は、生物汚染防止システムの少なくとも1つの光源の容易な交換、特には、組立体を何らかのやり方で分解する必要性を伴わない交換を可能にする構成を有することが可能なことである。
【0024】
先に言及したように、本発明による組立体は、軸受シェルによって少なくとも部分的に包囲される移動可能なシャフトを備える水軸受であり、軸受シェルは任意選択でその内面に溝を有する。このような場合、移動可能なシャフト及び軸受シェルは、軸受機能である組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成において2つの要素を構成する。水軸受の性質及び意図された用途に依存して、シャフトは、軸受シェルに対して回転可能又は線形で変位可能などであるように構成されてもよい。
【0025】
数多くの他の選択肢が、組立体の種類と、互いに対して移動可能な構成において組立体の少なくとも2つの要素によって実施される第1の機能とに関して存在する。例えば、本発明による組立体が、管状のフィルタスクリーンと、フィルタスクリーンの内面から細片を除去及び受入するためのフィルタ清浄化システムのフィルタスクリーン及び担持部材によって少なくとも部分的に包囲される移動可能なシャフトとを備えるフィルタ組立体となること、つまり、WO2012/153117A1から知られている種類のフィルタ組立体となることが、可能である。このような場合、フィルタスクリーンと、シャフト、及び、シャフトによって担持される部材の組み合わせとは、細片をフィルタスクリーンから除去する機能である組立体の第1の機能を実施するために互いに対して移動可能な構成における2つの要素を構成する。生物汚染防止作用をフィルタスクリーンにおいて実施することは特に望ましくなるようになってもよい。その場合、移動可能なシャフト部材の組み合わせに生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源が搭載される場合に有利であり、1つ又は複数の光源は、生物汚染防止光をフィルタスクリーンへと発するように配置される。フィルタ清浄化システムの部材は、細長い形を有し、シャフトからフィルタスクリーンの内面に向かって突出し、その場合、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源を、フィルタスクリーンの内面を向く部材の端に据え付けさせる、つまり、このような端又はその端のすぐ近くに位置決めさせることは、非常に効果的であり得る。移動可能なシャフト部材の組み合わせは、細片をフィルタスクリーンから除去する機能を実施するのに適切であれば何であれ、回転可能及び/又は線形に変形可能とできる。
【0026】
別の例では、本発明による組立体が、回転可能なスクリューと、スクリューのシャフト及び関連する歯車を収容するように供するスクリューシャフト筐体から下向きに延びるフィンとを備える船の駆動及び操縦の組立体であることは、可能である。このような場合、生物汚染防止システムの少なくとも1つの生物汚染防止光源は、スクリューが回転するときにスクリューの表面の適用範囲を実現するための位置において、船の駆動及び操縦の組立体に配置されてもよい。スクリューシャフトに関して、船の駆動及び操縦の組立体のこの構成部品は中空であってもよく、その場合、生物汚染防止光に対して透過性である材料がスクリューシャフトにおいて適用される場合、及び、生物汚染防止システムが、中空のスクリューシャフトを通って延びるように配置される細長い光源を備える場合、有利である。このような構成では、光源はスクリューシャフトの内側で良好に保護され、光源が交換される必要がある場合、光源を取り外して新たな光源を所定位置に置くことが比較的容易である。
【0027】
実用的な実施形態では、本発明による組立体は、生物汚染防止システムの1つ又は複数の光源を駆動するために使用される電力を供給するための電力システムを備える。電力供給部は有線及び/又は無線であり得る。有利な選択肢によれば、電力システムは、要素の少なくとも一方の移動に基づいて電力を生成するように適合される。
【0028】
本発明は様々なコンテキストにおいて適用可能である。例えば、本発明による1つ又は複数の組立体は、海洋船舶のコンテキストにおいて適用されてもよい。1つ又は複数のバラストタンクと、前記船舶の環境から入ってきてバラスト水として供するように目的の定められる水を処理するための水濾過システムとを有するバラスト水システムを備える様々な種類の船舶が知られている。このような種類の船舶では、本発明による1つ又は複数の組立体が、特には、バラスト水システムの水濾過システムの1つ又は複数のフィルタ組立体として使用され得る。
【0029】
本発明の前述及び他の態様は、管状のフィルタスクリーン、フィルタ清浄化システム、及び生物汚染防止システムを備えるフィルタ組立体のいくつかの実施形態の以下の詳細な記載から分かると共に明らかにされ、フィルタ清浄化システムは、フィルタスクリーンを通って延びる移動可能なシャフトと、細片をフィルタスクリーンの内面から除去及び受入するための担持部材とを備え、生物汚染防止システムは、生物汚染防止光をフィルタスクリーンの内面へと発するための1つ又は複数の光源を備える。
【0030】
ここで、本発明が、同一又は同様の部品が同じ引用」符号によって指示されている図を参照して、より詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】管状のフィルタスクリーン及びフィルタ清浄化システムを備えるフィルタ組立体の一般的な設計を示し、フィルタスクリーンの一部分が除去された状態でのフィルタ組立体の概略的な斜視図である。
図2】管状のフィルタスクリーン、フィルタ清浄化システム、及び生物汚染防止システムを備える本発明の第1の実施形態によるフィルタ組立体の、フィルタスクリーンの一部分が除去された状態での概略的な斜視図である。
図3図2に示したフィルタ組立体の概略的な断面図である。
図4】管状のフィルタスクリーン、フィルタ清浄化システム、及び生物汚染防止システムを備える本発明の第2の実施形態によるフィルタ組立体の、フィルタスクリーンの一部分が除去された状態でのフィルタ組立体の概略的な斜視図である。
図5図4に示したフィルタ組立体の概略的な断面図である。
図6図4に示したフィルタ組立体の詳細の代替の図である。
図7】管状のフィルタスクリーン、フィルタ清浄化システム、及び生物汚染防止システムを備える本発明の第3の実施形態によるフィルタ組立体の一部分の概略的な斜視図である。
図8】管状のフィルタスクリーン、フィルタ清浄化システム、及び生物汚染防止システムを備える本発明の第4の実施形態によるフィルタ組立体の一部分の概略的な斜視図である。
図9図8に示したフィルタ組立体の概略的な断面図である。
図10】スクリュー及びフィンを備え、生物汚染防止システムが搭載された船の駆動及び操縦の組立体の概略的な側面図である。
図11】スクリュー及びフィンを備え、生物汚染防止システムが搭載された船の駆動及び操縦の組立体の概略的な後面図である。
図12】スクリュー及びフィンを備え、生物汚染防止システムが搭載された船の駆動及び操縦の組立体の、生物汚染防止システムの光源が図10及び図11に示したものと異なる位置決めとされた状態での概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、本発明は、管状のフィルタスクリーンとフィルタ清浄化システムとを備えるフィルタ組立体の関連において明らかにされる。ここで記載されているすべての実施形態が、このコンテキストにおいてであるが、本発明が形はどうあれこのコンテキストに限定されることを意味するように理解されるべきではない。
【0033】
図1は、管状のフィルタスクリーン10とフィルタ清浄化システム20とを備えるフィルタ組立体100の大まかな設計を示すように供する。フィルタ組立体100は、いくつかのフィルタ組立体を備えるより大きい実体の一部分であり、フィルタ組立体の各々は別の種類のフィルタスクリーンを備え得る。フィルタ組立体100は様々な状況で適用されるのに適している。例えば、フィルタ組立体100は、多くの可能性のうちのいくつかだけに言及すると、携帯式の水の生成の目的、発電所の水取り込みの目的、又は、船舶のバラスト水管理の目的のために使用されてもよい。
【0034】
フィルタスクリーン10は全体的に金属から作られてもよいが、他の材料又は材料の組み合わせも可能である。フィルタスクリーン10のメッシュの大きさは、フィルタ組立体の意図された使用に適するように選択され、ミクロの範囲であってもよい。通常、濾過される水は、管状のフィルタスクリーン10を通って内側から外側へと流れるようにさせられる。水がフィルタスクリーン10を通過するとき、水と共にフィルタスクリーン10を通過するには大きすぎるあらゆる粒子が、主にフィルタスクリーン10の内面11において、フィルタスクリーン10に捕捉される。時間が経過してフィルタ組立体100が作動させられるとき、このような粒子の数は増加し、それによって濾過された物質の細片が形成される。細片の量の増加は、フィルタスクリーン10にわたる圧力損失の増加を伴う。フィルタ組立体100がこれ以上適切に機能できないほど細片の量が多くなるのを回避するために、フィルタ組立体100には、細片をフィルタスクリーン10の内面11から除去するように設計されている前述したようなフィルタ清浄化システム20が搭載されている。
【0035】
必要な清浄化の処理は、連続的な清浄化のために構成され得る、又は、圧力損失が所定の値に達するときのみ、所定の間隔においてのみ、及び/又は、要求に応じて手作業でのみ作動させられ得る逆流洗浄機構を通じて達成され得る。フィルタ組立体100には、フィルタスクリーン10の内面11から除去される細片が回収される破片回収室(図示されていない)が搭載されてもよい。また、排出管が、細片を破片回収室から排出するために使用されてもよい。逆流洗浄機構の使用は、フィルタスクリーン10を通る逆水流、つまり、外側から内側への水流を有することで、フィルタスクリーン10を清浄化することを伴ってもよい。
【0036】
示した例では、フィルタ清浄化システム20は、フィルタスクリーン10の内部空間12を通って、フィルタスクリーン10と同軸に延びる中空のシャフト21と、シャフト21からフィルタスクリーン10の内面11に向かって延びる中空の径方向腕部22とを備える。具体的には、径方向腕部22の長さは、径方向腕部22をシャフト21とフィルタスクリーン10との間の径方向の距離で架け渡せるように選択され、径方向腕部22の細片受入端23がフィルタスクリーン10の内面11から最小の距離のみにある。径方向腕部22は、任意の適切なパターンでシャフト21に配置できる。例えば、図1に示されているように、径方向腕部22は、規則的な相互の距離において、シャフト21の長さにわたって分布でき、連続する腕部22は、隣接する連続的な腕部22の間の差が90°である異なる角度位置において、シャフト21から延びる。シャフト21及び腕部22の両方は金属から作られてもよいが、他の材料又は材料の組み合わせも可能である。以下において、シャフト21及び径方向腕部22の全体はシャフト-腕部組み合わせ24と称される。
【0037】
フィルタスクリーン10からの細片の除去はフィルタ清浄化システム20の作動を伴い、それを用いることで、フィルタスクリーン10の前後の差圧が作り出される。フィルタ組立体100の通常の動作では、フィルタスクリーン10の内側で広がっている圧力は、フィルタスクリーン10の外側で広がっている圧力より高く、それに基づいて、濾過処理を受けさせられる水の外側への流れが作り出される。フィルタスクリーン10の前後の圧力を逆にすることで、水の反転又は逆流が実現され、それによって細片がフィルタスクリーン10から除去される。フィルタスクリーン10の前後の反転された差圧が任意の適切なやり方で達成され、中空のシャフト21と連通している真空引き又は吸込みの装置が、径方向腕部22の細片受入端23における比較的低い圧力を作り出すために使用され得る。特定の径方向腕部22の細片受入端23によって作用されるフィルタスクリーン10の一部分から除去される細片は、その径方向腕部22を通ってシャフト21に向かって流れ、さらにシャフト21を通って、先に言及したような細片回収室であり得る所定の行き先に向かって流れる。
【0038】
先に記載されているようなフィルタ清浄化システム20にフィルタスクリーン10全体を清浄化させることができるようにするために、シャフト-腕部組み合わせ24は、フィルタスクリーン10の内面11のすべての部分がある位置において径方向腕部22の細片受入端23によって到達され得るようなやり方で、フィルタスクリーン10に移動可能に配置される。具体的には、シャフト-腕部組み合わせ24は、回転可能であり、軸方向、つまり、シャフト21及び管状のフィルタスクリーン10の両方の長手方向軸に沿う方向において線形で移動可能である。シャフト-腕部組み合わせ24を回転させることで、フィルタスクリーン10の内面11の周囲の360°の適用範囲を達成することが可能である。軸方向においてシャフト-腕部組み合わせ24を線形で移動することで、フィルタスクリーン10の全長に沿ってフィルタスクリーン10の内面11の適用範囲を達成することが可能である。任意の適切な手段は、シャフト-腕部組み合わせ24を駆動するために使用されてもよい。また、任意の適切な制御装置が、シャフト-腕部組み合わせ24の移動を制御するために使用されてもよい。
【0039】
先に記載したようなフィルタ清浄化システム20を用いての細片の除去は、フィルタ組立体100の適切な機能を維持することを助けるが、フィルタ清浄化システム20によって実施される清浄化作用がフィルタスクリーン10からの生物汚染を除去するときに効果的ではないことが明らかとなるため、さらなる対策への必要性があり、この効果的ではないという現象は、フィルタスクリーン10がそれらの作用の間に水によって激しく接触されるという事実に基づいて、フィルタ組立体100によって実施される濾過作用の結果として起こる。それを考慮して、本発明はフィルタ組立体に生物汚染防止システム30を提供している。ここで、生物汚染防止システム30がさらに搭載されているフィルタ組立体の様々な可及的な実施形態が、図2図9を参照して記載されている。これらの実施形態のすべてが、図1を参照して記載したようなフィルタ組立体100に基づかれており、したがって、そのフィルタ組立体100に関して、特には、管状のフィルタスクリーン10に関して説明されているすべてのことと、フィルタ組立体100の一部であるフィルタ清浄化システム20とは、これらの実施形態に対して同じように適用可能である。
【0040】
本発明によれば、フィルタ組立体の実施形態のすべてが共通して、生物汚染防止システム30が、生物汚染防止光を発するための1つ又は複数の光源32を備えることと、生物汚染防止システム30が、細片除去機能をフィルタ組立体の第1の機能として実施するためにフィルタスクリーン10に対してシャフト-腕部組み合わせ24の移動可能な構成に基づいて、生物汚染防止光でのフィルタスクリーン10の内面11の適用範囲を実現するために適合されていることとを有し、生物汚染防止システム30によってその動作の間に実現される生物汚染防止機能は、細片除去機能と異なるフィルタ組立体の追加の機能として解釈されることに留意されたい。生物汚染防止システム30の1つ又は複数の光源32は、特には、その作動の間に紫外線光を発するように適合され得る。示した例では、1つ又は複数の光源32は、特には、光をフィルタスクリーン10の内面11へと発するために使用され、これは、本発明がフィルタ組立体のコンテキストにおいて示したように適用されるとき、生物汚染防止システム30がフィルタ組立体の1つ又は複数の他の領域に生物汚染防止作用を受けさせるように設計されることも可能である。この点において、図2図9に示した実施形態のすべてにおいて、生物汚染防止システム30の1つ又は複数の光源32のすべてがフィルタ清浄化システム20のシャフト-腕部組み合わせ24と関連付けられることと、しかし、これが本発明の枠組みにおいて必要とは限らないことと、1つ又は複数の光源32の代替の位置決めの可能性が排除されてはいないこととに留意されたい。
【0041】
図2及び図3は、先に言及したように、フィルタ清浄化システム20だけでなく生物汚染防止システム30も備える本発明の第1の実施形態によるフィルタ組立体1に関連しており、生物汚染防止システム30はフィルタスクリーン10の内面11に生物汚染防止作用を受けさせる機能を有する。そのため、生物汚染防止システム30はシャフト21の被覆31を備え、被覆31は、シャフト21を包囲してシャフト21の長さに沿って延びるシリコーンのスリーブの形態で提供できる。被覆31は、ランプ32と、生物汚染防止システム30の動作の間にランプ32に動力供給するための配線とを含む。フィルタ組立体1の製造過程の間、径方向腕部22がシャフト21において所定位置に置かれる前に、被覆31がシャフト21に適用されることが最も実用的である。シリコーンは、紫外線光の形態での生物汚染防止光に対して透過性である材料の例である。追加又は代替で、被覆31は少なくとも1つの他の材料を備えてもよい。
【0042】
フィルタスクリーン10の内面11における生物汚染防止作用は、生物汚染防止システム30のランプ32が切り換えられるときに実現される。ランプ32は、任意の適切な種類のものとでき、任意の適切な形及び大きさのものであり得る。シャフト-腕部組み合わせ24を回転させ、シャフト-腕部組み合わせ24を軸方向において変位させることで、ランプ32の動作の間にランプ32により発せられる生物汚染防止光でのフィルタスクリーン10の内面11の全体の適用範囲を達成することが可能である。フィルタスクリーン10全体の生物汚染を回避するためには、シャフト-腕部組み合わせ24が少なくともある間隔で移動されることが重要である。ランプ32がシャフト-腕部組み合わせ24の移動の間に切り替えられるだけであるようになっていてもよいが、ランプ32を動作させるための他の選択肢も本発明の枠組みにおいて利用可能でもある。ランプ32の動作がシャフト-腕部組み合わせの移動に結合される場合、シャフトの静止状態の許容可能な間隔の期間を決定するシャフト-腕部組み合わせ24の移動についての全体的な必要性は、水の質、フィルタスクリーン10の直径、及びランプ32の出力などの態様を考慮することで見出すことができる。先に言及したように、任意の適切な制御装置が、シャフト-腕部組み合わせ24の移動を制御するために使用されてもよく、このような制御装置は、シャフト-腕部組み合わせ24の移動がフィルタスクリーン10の生物汚染を回避するのにしばしば十分であることを思い起こさせることを保証するために使用されてもよい。これは、以下において詳述される本発明によるフィルタ組立体2、3、4の他の実施形態に同じく適用可能である。
【0043】
生物汚染防止システム30の動作の間、ランプ32は配線を通じて電力供給される。処理において必要とされる電力は、任意の適切なやり方で配線に供給されてもよい。配線は、シャフト-腕部組み合わせ24の外部に配置されるエネルギー源に連結され得るが、シャフト-腕部組み合わせ24が動くときに電力を生成するためのコイル及び磁石のシステムを適用することも可能であり、その場合、多くの実用的な可能性のうちの2つの例だけに言及すると、コイルは径方向腕部22の各々の細片受入端23に配置でき、磁石はフィルタスクリーン10の外面13における適切な位置に配置できる。
【0044】
図4及び図5は、本発明の第2の実施形態によるフィルタ組立体2に関連している。この実施形態では、生物汚染防止システム30はいくつかのランプ32を備え、各々のランプ32は運搬片33に据え付けられている。実際、第2の実施形態は、ランプ32を収容する運搬片33の回収が、ランプ32を収容する被覆31の一部分と比較可能であるという意味において、第1の実施形態と比較可能である。単一の被覆31の代わりにシャフト21にいくつかの運搬片33を適用する利点は、1つ又は複数のランプ32を、シャフト-腕部組み合わせ24を取り外す必要なく交換することができることであり、ランプ32の交換は、比較的小さい物体、つまり、ランプ32を受け入れる運搬片33の取り扱いだけを伴うため、はるかにより簡単である。第1の実施形態の被覆31と同様に、運搬片33はシリコーンから作られてもよい。概して、ランプ32の生物汚染防止光にとって透過性である少なくとも1つの材料を運搬片33が含むことが実用的である。
【0045】
シャフト21には楕円形の外周が提供され、そのため、図5で最も良く分かるように、ランプ32を受け入れる運搬片33を具現化することに向けた十分な空間をシャフト21に有している。図示した例では、シャフト21には、シャフト21の長さに沿って延びる2つの凹部25が設けられ、凹部25はいくつかの運搬片33を収容するのに適しており、ここで、運搬片33の各々が凹部の部分において正確に嵌まるように運搬片33の形が凹部25の形に適合されることは有利である。凹部25は、図6に示しているように、径方向において解放することのないような形とされてもよい。このような場合では、ランプ32をシャフト21における所定位置で受け入れる運搬片33を置くことは、運搬片33をシャフト21の一端において凹部25のうちの1つに導入することと、運搬片33をシャフト21における軸方向位置へと望むように滑らせることとを伴う。形態閉止に基づいて運搬片33が凹部25において所定位置で維持されない場合、運搬片33を凹部25において固定するための任意の適切な手段が用いられてもよい。
【0046】
生物汚染防止システム30の動作の間、ランプ32は電力供給され、それによって生物汚染防止作用がフィルタスクリーン10の内面11において実施される。処理において必要とされる電力は、任意の適切なやり方でランプ32に供給されてもよい。ランプ32は、任意の適切な種類のものとでき、任意の適切な形及び大きさのものであり得る。シャフト-腕部組み合わせ24を回転させ、シャフト-腕部組み合わせ24を軸方向において変位させることで、ランプ32の動作の間にランプ32により発せられる生物汚染防止光でのフィルタスクリーン10の内面11の全体の適用範囲を達成することが可能である。運搬片33には、光の出力を増加させるために、及び/又は、光の分配を最適化するために、反射性の背面が設けられてもよい。この点において、明確性のために、シャフト21を向いてシャフト21に接触する運搬片33の側が、運搬片33の背面であるとして解釈されることに留意されたい。
【0047】
図7は、本発明の第3の実施形態によるフィルタ組立体3に関連している。この実施形態では、生物汚染防止システム30はいくつかのランプ32を備え、径方向腕部22の各々の細片受入端23にはそれらのランプ32のうちの少なくとも1つが設けられる。示した例では、径方向腕部22の各々の細片受入端23に据え付けられたランプ32の数は2つである。生物汚染防止システム30の動作の間、ランプ32は電力供給され、それによって生物汚染防止作用がフィルタスクリーン10の内面11において実施される。処理において必要とされる電力は、シャフト21及び径方向腕部22を通って延びる配線を通じてなど、任意の適切なやり方でランプ32に供給できる。シャフト-腕部組み合わせ24を回転させ、シャフト-腕部組み合わせ24を軸方向において変位させることで、ランプ32の動作の間にランプ32により発せられる生物汚染防止光でのフィルタスクリーン10の内面11の全体の適用範囲を達成することが可能である。ランプ32が径方向腕部22の各々の細片受入端23に据え付けられるため、全体の適用範囲は、フィルタスクリーン10の内面11のすべての部分における細片除去作用を実施するために必要とされるのと同じ移動を軸21にさせることで達成され得る。したがって、この実施形態では、生物汚染防止作用を細片除去作用と組み合わせることは特に有利である。
【0048】
ランプ32は、任意の適切な種類のものとでき、任意の適切な形及び大きさのものであり得る。ランプ32がフィルタスクリーン10の内面11の非常に近くの位置にあるという事実を考慮して、ランプ32の動作の間にランプ32によって発せられる生物汚染防止光は、水を通って最小距離で進む必要があるだけである。結果として、ランプ32が、特にはLEDといった低出力のランプであることは可能である。LEDを使用することの利点はLEDの長い耐用期間にあり、それに基づいて、フィルタ組立体3の耐用期間の間、ランプ32の交換の必要の手間を省くことが可能となる。
【0049】
図8及び図9は、本発明の第4の実施形態によるフィルタ組立体4に関連している。この実施形態では、生物汚染防止システム30は単一のランプ32を備えている。具体的には、ランプ32は管状の形を有し、シャフト21を通って延びており、シャフト21には、ランプ32の動作の間にランプ32によって発せられる生物汚染防止光を、所定の位置においてシャフト21から輝かせるための窓26が設けられている。窓26は、例えば石英ガラスから作られ得る。さらに、フィルタ組立体4は、生物汚染防止システム30のランプ32を包囲するための、シャフト21を通って延びる保護スリーブ27を備えることができ、そのスリーブ27は石英ガラスから作られてもよい。シャフト21を通った水を含む細片の放出を邪魔しないようにするために、シャフト21の内部空間14の必ずしもすべてがランプ32及び保護スリーブ27によって占められることのないようにランプ32及び保護スリーブ27の寸法が選択される場合、実用的である。
【0050】
生物汚染防止システム30の動作の間、ランプ32は電力供給され、それによって、生物汚染防止作用がフィルタスクリーン10の内面11において実施され、シャフト-腕部組み合わせ24が回転するとき、及び/又は、シャフト-腕部組み合わせ24が軸方向において交換されるとき、フィルタスクリーン10の内面11に対する窓26の位置が連続的に変化する処理が行われ、そのため、生物汚染防止作用を受けさせられる表面部分が連続的に変化する。窓26の大きさ及び形は、シャフト-腕部組み合わせ24の可動性との組み合わせで、フィルタスクリーン10の内面11の全体の適用範囲を実現することが可能であるように選択される。
【0051】
第4の実施形態の利点は、ランプ32がシャフト-腕部組み合わせ24と共に移動する必要がないことであり、そのためランプ32への電力の供給が容易にされる。さらに、ランプ32は、ランプ32を第1の軸方向においてシャフト21から引っ張り、新たなランプ32を反対の軸方向でシャフト21に挿入するだけで簡単に交換できる。
【0052】
本発明の範囲が先に詳述した例に限定されないことと、本発明のいくつかの補正及び変更が、添付の請求項に定められているような本発明の範囲から逸脱することなく可能であることとは、当業者には明らかである。本発明が、請求項又はその均等の範囲内にある限りにおいて、すべてのこのような補正及び変更を含むとして解釈されることが、意図されている。本発明は図面及び記載において詳細に図示及び記載されてきたが、このような図示及び記載は、単なる図示又は例示と見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではない。本発明は、開示されている実施形態に限定されない。図面は概略的であり、本発明を理解するために必要とされない詳細は、省略されている可能性があり、必ずしも一定の縮尺でない。
【0053】
開示した実施形態に対する変形が、請求された発明を実施するときに、図、記載、及び添付の請求項の検討から、当業者によって理解されてもたらされ得る。請求項では、「備える」という言葉は、他のステップ又は要素を排除せず、「1つ(a、an)」という不定冠詞は複数を排除しない。ここでのコンテキストで使用される「~を備える」という用語は、「~から成る」という用語を網羅するとして当業者によって理解されるものである。したがって、「備える」という用語は、実施形態に関して、「~から成る」という用語を意味し、別の実施形態では、「定められた種を少なくとも包含する/含む、及び、任意選択で1つ又は複数の他の種を包含する/含む」ことを意味する。請求項におけるあらゆる引用符号は、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【0054】
特定の実施形態について、又は、特定の実施形態に関して詳述した要素及び態様は、他に明示的に述べられていない場合、他の実施形態の要素及び態様と適切に組み合わせられ得る。したがって、特定の方策が相互に異なる従属請求項において列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に用いられ得ないということを指示しているのではない。
【0055】
フィルタ組立体のコンテキストにおける本発明の可能な適用に関して、このような適用が、管状の形を有するフィルタスクリーン10を備えるフィルタ組立体に限定されないことに留意されたい。代わりに、フィルタ組立体は任意の種類のフィルタスクリーンを備えてもよく、フィルタスクリーンは任意の形を有してもよく、フィルタスクリーンは、所与の状況で適切であれば何であれ、移動可能な構成又は静止した配置を有してもよい。
【0056】
本発明の枠組みにおいて、生物汚染防止光を発するための少なくとも1つの発生源は、生物汚染防止光を生物汚染防止作用を受けさせる領域において直接的に輝かせるための位置にあり、ランプの移動及び/又は領域の移動の結果としてその位置に置かれる少なくとも1つのランプを必ずしも備える必要はなく、例えば、ランプと連絡している少なくとも1つの導光部、又は、ランプから輝く光を案内するための1つ若しくは複数の反射部を備えてもよい。したがって、実際、本発明の枠組みにおいて、光源は、光が、ランプから輝くことで直接的な手法で、又は、導光部、反射部などを通じた間接的な手法で供給されるかに拘わらず、特には前述したような領域を被覆するために使用される光である光が発せられる位置において、又は、発せられる位置の範囲において、存在していることになっている。
【0057】
本発明による組立体1、2、3、4では、互いに対して移動可能な構成で組立体1、2、3、4に存在する少なくとも2つの要素10、24が実際に移動される限り、生物汚染防止システム30の1つ又は複数の光源32が切り替えられることが可能である。このような場合には、1つ又は複数の光源32の作動は、要素10、24の相対移動に結合されてもよい。しかしながら、本発明の枠組みにおいて、1つ又は複数の光源32が、要素10、24の相対移動の期間の1つ又は複数の間隔の間のみ作動状態に置かれることが可能でもある。また、1つ又は複数の光源32が組立体1、2、3、4の異なる静止条件のみにおいて作動状態に置かれることが可能である。
【0058】
先に説明したようなフィルタ組立体1、2、3、4の分野における適用とは別の本発明の実用的な適用は、船の駆動及び操縦の組立体の分野における適用である。図10図12は、スターンドライブとしても知られ、船の後に配置するように意図されている船の駆動及び操縦の組立体5の1つの実現可能な例に関連している。組立体5の主要構成部品は、組立体5が船に適切に固定されて船が水にあるとき、船の推進を実現するように構成されている回転可能なスクリュー51である。スクリュー51の回転可能な軸は、図10において一点鎖線を用いて概略的に描写されており、符号52を用いて指示されている。組立体5の別の主要な構成部品は、スクリュー51の前の位置に配置されているフィン53である。フィン53は、スクリュー51のシャフト55と、関連する歯車装置とを収容するように供するスクリューシャフト筐体54から下向きに延びている。スターンドライブなどの船の駆動及び操縦の組立体はよく知られており、そのため、本発明のコンテキストにおいて関係する図10図12に示した組立体5の詳細のみが説明される。
【0059】
図10及び図11は、それぞれ、本発明が、スクリュー51の表面56、57、58と、フィン53と、スクリューシャフト筐体54とを含む船の駆動及び操縦の組立体5の一部分の生物汚染防止を実現する目的のために適用できる第1の実施のやり方を示している。示した例では、スクリューシャフト筐体54の反対側に配置され、スクリュー51の回転軸52の方向において延びる2つの細長い光源32を備える生物汚染防止システム30が設けられている。光源32は、例えばLEDなど、ランプの配列の形態で設けられてもよい。動作の間、光源32によって発せられる生物汚染防止光は、スクリュー51の表面56、57、58と、フィン53と、スクリューシャフト筐体54とをそれぞれ生物汚染なく維持し、組立体5の他の表面、特には、スクリューシャフト筐体54が連結される筐体部品60の表面59など、スクリューシャフト筐体54の上方に存在する表面も生物汚染なく維持するために、使用される。
【0060】
スクリュー51の表面56における生物汚染防止効果は、スクリュー51が回転させられるときに最適であり、その場合におけるとき、スクリュー51のすべての部分は、連続的に交互となる手法で生物汚染防止システム30の影響の下に配置され、それによって、多かれ少なかれ同等の手法で処理される。したがって、スクリューシャフト筐体54に対して、又は、より一般的に言えば、組立体5の静止部品に対して、スクリュー51を回転させることで得られる船の駆動及び操縦の組立体5の駆動機能は、組立体5の第1の機能であるとして認めることができる。実際、スクリュー51が駆動機能を実施するために回転させられるとき、生物汚染防止光を伴うスクリュー51の表面56の適用範囲が処理において実現される。生物汚染防止システム30からの生物汚染防止効果を高めるために、スクリュー51の表面56において、及び/又は、船の駆動及び操縦の組立体5の1つ又は複数の他の適切な表面57、58、59において、生物汚染防止光に対して非常に反射性のある材料を適用することは、実用的な選択肢である。
【0061】
船の駆動及び操縦の組立体5において、生物汚染防止システム30は任意の適切な数の光源32を備えることができ、組立体5においてシステム30の少なくとも1つの光源32を位置決めすることになるとき、様々な可能性が利用可能である。例えば、1つ又は複数の光源32は、フィン53に、スクリューシャフト筐体54のすぐ上方に存在する筐体部品60に、及び/又は、筐体部品60がその上側において連結される板状要素61の底面62など、組立体5の1つ又は複数の他の部品に、位置決めされてもよい。この点において、図12は、スクリュー51の表面56を含め、本発明が組立体5の一部分の生物汚染防止を実現する目的のために適用できる第2の実用的なやり方を示していることに留意されたい。図12に示した構成では、2つの細長い光源32が、組立体5における左舷位置及び右舷位置のそれぞれにおいて、先に言及した板状要素61の長さの相当の部分に沿って延びる板状要素61の底面62において配置され、2つの細長い光源32は、フィン53においてその両側に配置されている。さらに、スクリューシャフト55において生物汚染防止光に対して透過性である材料を適用するために、細長い光源32を使用するために、及び、スクリュー51の表面56を生物汚染なく維持する目的に向けて、このような光源32を中空のスクリューシャフト55を通って延びるように配置するために、中空のスクリューシャフト55を提供することも可能であることに留意されたい。他方で、スクリュー51の表面56と、おそらくは組立体5の1つ又は複数の他の表面57、58、59、62との生物汚染防止の適用範囲を向上させることに関する限り有利である、1つ又は複数の光源32を所定位置で保持する目的のために、組立体5の設計に要素を加える可能性がある。
【0062】
船の駆動及び操縦の組立体5と共に使用される生物汚染防止システム30の光源32は、任意の適切な手法で制御されてもよい。例えば、生物汚染防止光の強さとスクリュー51の回転速度との間の関係を実現することが可能であり、より大きい光の強さがより低い回転速度と関連付けられる。また、システム30が停止された期間の後は、より大きい光の強さを有することが、有用であり得る。生物汚染防止システム30が搭載されている船の駆動及び操縦の組立体5のコンテキストにおいて、スクリュー51が特定の期間にわたって静止条件で維持されるとき、静止条件における生物汚染防止光のほとんどを受け入れるための位置を偶然に有する表面56の部分だけの代わりに、スクリュー51の全体表面56が生物汚染なく維持されるように、スクリュー51が、船の推進の目的のためにではなく、スクリュー51の表面56において生物汚染防止効果を達成する目的のためだけに回転するようにさせられることを確保することを目指している対策を有することは、さらに有用であり得る。例えば、このような場合、スクリュー51は、生物汚染防止システム30が動作している間、1日当たり所定の回数で回転されてもよい。そのようにするとき、回転周期の終わりにおいて、スクリュー51が回転周期の開始とは回転軸52の周りで別の位置にあることに気を付けることは、有利であり得る。概して、船の駆動及び操縦の組立体5には、システム30のオン/オフを切り替えること、及び、例えば、生物汚染防止光の強さを設定することによって、生物汚染防止システム30の制御を望むように実現するように、並びに、可及的には、スクリュー51が静止位置にあると思われるとき、スクリュー51が時々回転されることに気を付けるように、プログラムされた適切な種類の制御装置が搭載されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12