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特許7030714リフレクタマーカ、及びそれを認識し位置を特定するシステムと方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】リフレクタマーカ、及びそれを認識し位置を特定するシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220228BHJP
【FI】
A61B34/20
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018552058
(86)(22)【出願日】2017-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2017026468
(87)【国際公開番号】W WO2017177074
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】62/319,225
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/474,085
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509097404
【氏名又は名称】シアナ メディカル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グリーネ,ジョン,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ルルコフ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ジョナサン
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/149183(WO,A2)
【文献】特表2012-517256(JP,A)
【文献】特表2018-524059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 90/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の標的組織領域内でマーカの位置を特定するシステムにおいて:
患者の体内に前記マーカにむけてレーダ信号を送信し、前記マーカからの反射信号を受信する一又はそれ以上のアンテナと、前記患者の体内に赤外光パルスを送達して前記マーカにその反射特性を変化させる光源とを具えるプローブと;
連続波を生成する信号発生器と、
前記信号発生器に接続され、前記連続波を第1及び第2の信号に分割する分割器であって、前記第1の信号が一又はそれ以上のアンテナに送達され、連続した送信信号を送信する分割器と、
前記分割器に接続されて前記第2の信号を受信し、前記一又はそれ以上のアンテナに接続されて前記反射信号を受信する混合器であって、前記第2の信号と前記反射信号とを混合して、マーカの反射特性を変化させる光パルスによって生じる反射信号の振幅と位相の変調に関連する成分を含むIF信号を生成する混合器と;
前記混合器に接続され、前記IF信号を処理して、前記光源によって送達された光パルスに同期した振幅と位相の前記変調に少なくとも部分的に基づいて、前記一又はそれ以上のアンテナから前記マーカへの範囲を表わす出力を提供する同期変調検出器を具えるプロセッサと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムが更に、前記プロセッサに接続され、前記範囲に対応する出力をユーザに提供する出力デバイスを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記出力デバイスが、スピーカ及びディスプレイのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステムが更に、前記分割器からの第1の信号を増幅して、前記一又はそれ以上のアンテナによって送信される送信信号を生成する第1の増幅器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムが更に、前記一又はそれ以上のアンテナと前記混合器との間に接続され、前記混合器に送達される反射信号を増幅する第2の増幅器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記一又はそれ以上のアンテナが、前記分割器に接続され、前記第1の信号を受信して前記送信信号を送信する送信アンテナと、前記混合器に接続され前記反射信号を受信する受信アンテナとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記一又はそれ以上のアンテナが、送信/受信アンテナを具え前記システムがさらに、サーキュレータ回路であって、前記信号発生器に接続され、前記第1の信号を前記送信/受信アンテナに送達するとともに、前記混合器に接続され、前記送信/受信アンテナから前記混合器へリターン信号を送達するサーキュレータ回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステムが更に、前記混合器に接続されて、前記混合器から前記プロセッサに送達された前記IF信号をフィルタリングして増幅する一又はそれ以上のフィルタ及び増幅器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムが更に、前記同期変調検出器によって処理される前に、前記混合器からの前記IF信号をデジタル化するアナログ/デジタル変換器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記混合器が、前記連続波に対応するリターン信号から高周波成分を除去して前記IF信号を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
患者の体内の標的組織領域内でマーカの位置を特定するシステムにおいて:
患者の体内にマーカに向けてレーダ信号を送信し、マーカからの反射信号を受信する一又はそれ以上のアンテナと、赤外光パルスを前記患者の体内に送達して前記マーカにその反射特性を変化させる光源と、を具えるプローブと;
連続波を生成する信号発生器と、
前記信号発生器に接続され、前記連続波を第1及び第2の信号に分割する分割器であって、前記第1の信号が前記一又はそれ以上のアンテナに送達されて連続した送信信号を送信する分割器と;
前記分割器に接続され、前記第2信号を受信して当該第2信号と位相が異なるレプリカ信号を生成する位相スプリッタと;
前記位相スプリッタに接続されて前記第2の信号及び前記レプリカ信号をそれぞれ受信する第1及び第2の混合器であって、前記一又はそれ以上のアンテナに接続されて前記反射信号を受信し、前記第1の混合器が前記第2の信号と前記反射信号を混合し、前記第2の混合器が前記レプリカ信号と前記反射信号を混合して、マーカの反射特性を変化させる光パルスによって生じる前記反射信号の振幅と位相の変調に関連する成分を含むIF信号を生成する、第1及び第2の混合器と;
前記第1及び第2の混合器に接続されたプロセッサであって、前記IF信号を処理して、前記光源によって送達された光パルスと同期する振幅と位相の変調に少なくとも部分的に基づいて、前記一又はそれ以上のアンテナから前記マーカへの範囲を表わす出力を提供する同期変調検出器を具えるプロセッサと;
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記第1及び第2の混合器が、前記連続波に対応するリターン信号から高周波成分を除去して前記IF信号を生成するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のシステムが更に、前記第1及び第2の混合器及び前記プロセッサに接続された一又はそれ以上のフィルタ及び増幅器を具え、前記第1及び第2の混合器から前記プロセッサに送達されたIF信号をフィルタリングして増幅することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムが更に、前記同期変調検出器によって処理される前に、前記第1及び第2の混合器からのIF信号を同時にデジタル化するアナログ/デジタル変換器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか一項に記載のシステムが更に、前記プロセッサに接続された出力デバイスを具え、前記範囲に対応する出力をユーザに提供することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか一項に記載のシステムが更に、前記分割器からの前記第1の信号を増幅して、前記一又はそれ以上のアンテナによって送信された前記送信信号を生成する第1の増幅器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムが更に、前記一又はそれ以上のアンテナと前記第1及び第2の混合器との間に接続され、前記第1及び第2の混合器に送達される反射信号を増幅する第2の増幅器を具えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記一又はそれ以上のアンテナが、前記分割器に接続され、前記第1の信号を受信して前記送信信号を送信する送信アンテナと、前記第1及び第2の混合器に接続され、前記反射信号を受信する受信アンテナとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項11乃至17のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記一又はそれ以上のアンテナが、送信/受信アンテナを具え前記システムがさらに、サーキュレータ回路であって、前記信号発生器に接続され、前記第1の信号を当該送信/受信アンテナに送り、前記第1及び第2の混合器に接続されて送信/受信アンテナからのリターン信号を前記第1及び第2の混合器に送達するサーキュレータ回路を具えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項12または請求項12を引用する請求項13乃至19のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記プロセッサが、前記IF信号を処理して、a)最初に、前記リターン信号における振幅の変調に基づいて前記マーカを認識し、b)前記マーカを認識した後、前記リターン信号の振幅と位相の変調に基づいて、前記プローブからマーカまでの距離を推定する、ように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のデータ
本出願は、同時係属中の2016年4月6日に出願された暫定出願第62/319,225号、及び2017年3月21日に出願された第62/474,085号の利益を請求するものであり、これらの出願の全開示事項は、本明細書に引用により明確に組み込まれている。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、埋め込み可能なマーカ又はタグ、及びこのようなマーカを、例えば外科手術中又は腫瘍摘出手術などのその他の手術中に、患者の身体内で位置を特定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生検の前、あるいは、例えば女性の胸部からの腫瘍摘出術中など、乳房内の病変を除去する外科手術の前には、病変の位置を特定しなければならない。例えば、マンモグラフィや超音波撮像を使用して、処置を行う前に病変の位置を認識及び/又は確認することができる。得られた画像は、例えば病変へアクセスする及び/又は除去する切開中といった、病変の位置を特定して外科医を誘導する手順を行う間に外科医が使用することができる。しかしながら、このような画像は一般に2次元であり、除去すべき乳房や病変は3次元構造であるため、これは病変の位置を特定するための限られた指針を提供するだけである。更に、このような画像は、病変周囲の適切なマージンを決定する、すなわち所望の除去すべき試料の体積の決定に、限られた指針を提供するだけである。
【0004】
位置の特定を容易にするために、処置を行う直前に、例えば針を介してワイヤを乳房に挿入し、ワイヤの先端を病変の位置に配置することができる。ワイヤが配置されると、例えば、患者の皮膚のワイヤが乳房から出てくる箇所に包帯又はテープを貼って、所定の位置にワイヤを固定することができる。ワイヤを所定の位置に配置して固定した状態で、患者は手術を開始して、例えば、生検又は腫瘍摘出術を行うことができる。
【0005】
位置の特定にワイヤを使用することの問題の一つは、配置した時間と外科的手順を行う時間との間にワイヤが移動することがあることである。例えば、ワイヤが十分に固定されていない場合、ワイヤは病変へのアクセスに使用する管に対して移動し、その結果、ワイヤ先端が病変の位置を誤って表示することがある。これが生じた場合、その位置にアクセスして、組織を除去しても、病変が完全に除去されない、及び/又は、健康な組織が不必要に除去される可能性がある。加えて、手順中に、外科医は、例えば、ワイヤが配置されている間に取得したマンモグラム又はその他の画像に基づいて、ワイヤ先端及び病変の位置を単に推定できるだけであり、更なるガイダンスなしに切除を進めることになる。また、このような画像は2次元であるため、治療又は除去している病変の位置を特定するための限定された指針を提供できるだけである。
【0006】
代替的に、放射性シードを配置して処置中に位置の特定を提供することが提案されている。例えば、乳房を通して針を病変部に導入し、次いで針からシードを展開させることができる。針を引き抜き、マンモグラフィーを用いてシードの位置を確認できる。続いて行う外科手術中に、ハンドヘルド型ガンマプローブを胸の上に置き、シードの上の位置を特定することができる。切開を行い、プローブを用いてシードと病変の切除を案内できる。
【0007】
シードはすぐに取り外せる針を通して送達されるので、配置時と外科処置を行う間にシードが患者の体内で移動する危険がある。したがって、一旦配置されたシードを安定させる外からの方法がないため、シードは位置を特定するワイヤの使用と同様に、病変の位置を正確に特定できないことがある。更に、このようなガンマプローブは、例えば3次元でシードの位置を特定する際に所望の精度を提供できないことがあり、したがって、病変の位置を特定する際に限られたガイダンスしか提供できない。
【0008】
したがって、外科手術、診断、又は他の医療処置の前及び/又はその間に、病変又は他の組織構造の位置を特定する装置及び方法は有用である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、埋め込み可能なマーカ及びタグに関し、また、例えば、腫瘍摘出手術中といった外科的手順中又はその他の手順中に、患者の身体内にこのようなマーカを位置を特定させるシステム及び方法に関する。
【0010】
一実施形態によれば、患者の体内の標的組織領域に導入するサイズのマーカが提供されており、これはマーカに当たるエネルギィパルスを電気エネルギィに変換するエネルギィ変換器と;このエネルギィ変換器に接続されて、エネルギィパルスでスイッチを開閉させるスイッチと;このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナと;を具えており、このスイッチは、開閉してマーカで反射されたレーダ信号を信号源に戻すように構成されている。アンテナは、マーカのハウジングから延在する一又はそれ以上のワイヤ素子、基板上に印刷された一又はそれ以上のアンテナ素子、又は一又はそれ以上のチップアンテナを具える。選択的に、マーカは、スイッチに接続されて静電放電事象に対する保護を提供する静電放電(ESD)保護デバイス、エネルギィ変換器に接続されてエネルギィパルス内の信号を認識するプロセッサ、一又はそれ以上のコーティング又はフィルタなどを具えていてもよい。
【0011】
別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域へ導入するマーカが提供されており、これは、光源から受け取った光パルスを変換して電圧を生成するように構成された一又はそれ以上の感光ダイオードと;スイッチと;このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナと;これらの一又はそれ以上の感光ダイオードとスイッチとに接続されたプロセッサと;を具え、このプロセッサが、一又はそれ以上の感光ダイオードで受信した光パルスを分析して光パルス中の第1の所定のビットコードを認識するように構成されており、プロセッサは一又はそれ以上の感光ダイオードからの電圧をスイッチに送達して、光パルスがこの第1の所定のビットコードを含んだ後にのみスイッチを開閉させ、スイッチが一又はそれ以上のアンテナによって反射された信号を変調して信号源に戻すように開閉するように構成されている。
【0012】
更に別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域へ導入するマーカが提供されており、これは、光源から受け取った光パルスを変換して電圧を生成するように構成された一又はそれ以上の感光ダイオードと;スイッチと;このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナと;これらの一又はそれ以上の感光ダイオードとスイッチとを収納するハウジングと;を具え、このハウジングが、一又はそれ以上の感光ダイオードの上にフィルタ又はコーティングを具え、このフィルタ又はコーティングが、赤外光の所定のセグメントのみが一又はそれ以上の感光ダイオードに当たるようにしている。
【0013】
別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域へ導入するマーカが複数提供されており、各マーカが、光源から受け取った光パルスを変換して電圧を生成するように構成された一又はそれ以上の感光ダイオードと;スイッチと;このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナと;これらの一又はそれ以上の感光ダイオードとスイッチに接続されたプロセッサと;を具える。各マーカのプロセッサは、一又はそれ以上の感光ダイオードが受け取った光パルスを分析し、光パルス中の所定のビットコードを認識するように構成されており、このプロセッサは一又はそれ以上の感光ダイオードからの電圧をスイッチに送達し、光パルスがこの所定のビットコードを含んだ後にのみスイッチを開閉させ、スイッチは一又はそれ以上のアンテナによって反射された信号を変調して信号源に戻すように開閉するように構成されており、所定のビットコードはマーカごとに異なっている。
【0014】
更に別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域へ導入するマーカが複数提供されており、各マーカが、光源から受け取った光パルスを変換して電圧を生成するように構成された一又はそれ以上の感光ダイオードと;スイッチと;このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナと;これらの一又はそれ以上の感光ダイオードとスイッチとを収納するハウジングと;を具え、このハウジングが、一又はそれ以上の感光ダイオードの上にフィルタ又はコーティングを具え、このフィルタ又はコーティングが、赤外光の所定のセグメントのみが一又はそれ以上の感光ダイオードに当たるようにしており、赤外光の所定のセグメントが、マーカごとに異なっている。
【0015】
更に別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域を位置を特定するシステムが提供されており、このシステムは、電磁信号を患者の体内に送信し、患者の身体から反射した信号を受信する一又はそれ以上のアンテナと、患者の体内にエネルギィパルスを送達するエネルギィ源を具えるプローブを具える。このシステムはまた、患者の身体内に埋め込むサイズのマーカを具え、このマーカは、エネルギィ源からのエネルギィパルスを電気エネルギィに変換するように構成されたエネルギィ変換器と、エネルギィ変換器に接続されたスイッチであって、エネルギィパルスがスイッチを開閉させてマーカで反射されたプローブからの電磁信号を変調するスイッチと、このスイッチに接続された一又はそれ以上のアンテナとを具え、スイッチが開閉して前記マーカで反射されたレーダ信号を変調して、信号源に戻すように構成されている。
【0016】
別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域の位置を特定する方法が提供されており、この方法は、スイッチ、エネルギィ変換器、及び一又はそれ以上のアンテナを具えるマーカを患者の体内に埋め込むステップと;患者の身体近傍にマーカに向けて配向したプローブを配置するステップと; このプローブを作動させて、a)患者の体内に電磁信号を送信し、b)患者の身体から反射信号を受信し、c)患者の体内にエネルギィパルスを送り、エネルギィ変換器がエネルギィパルスを電気エネルギィに変換してスイッチを開閉して、マーカで反射されたプローブからの電磁信号を変調する、ステップを具える。スイッチ及びアンテナは、例えばマーカに当たる電磁信号に応じて、マーカ及び/又はマーカが埋め込まれている組織のインピーダンスを変調することができる。例示的な実施形態では、患者の体内にエネルギィパルスを送達するステップが、赤外光を患者の体内に送達するステップを具えていてもよく、エネルギィ変換器は、この赤外光を電気エネルギィに変換してスイッチを開閉し、マーカで反射されたプローブからの電磁信号を変調する一又はそれ以上の感光ダイオードを具えていてもよい。更に、このプローブは、患者の体内の及び/又はプローブに対するマーカの位置に関する情報を提供できる。
【0017】
更に別の実施形態によれば、標的組織領域内に埋め込まれたマーカを認識するシステムが提供されており、このシステムは、レーダ信号を患者の体内へマーカに向かって送信し、マーカからの反射信号を受信する一又はそれ以上のアンテナを具えるプローブと、患者の体内へ赤外光を送達し、マーカの反射特性を変化させる光源と;実質的に連続した波を生成する波発生器と;この波発生器に接続されて、この波を第1及び第2の信号に分割するデバイダであって、第1信号が一又はそれ以上のアンテナに送達されて、実質的に連続した送信信号を送信するステップと;このパワーデバイダに接続されて第2の信号を受信し、一又はそれ以上のアンテナに接続されて反射された信号を受信する混合器であって、第2信号と反射信号を混合して、光パルスによって生じる反射信号の振幅と位相を変調して、マーカの反射特性を変化させる成分を具えるIF信号を生成する混合器と;前記混合器に接続され、IF信号を処理して、光源によって送達された光パルスを用いて、振幅と位相の同期の変調に少なくとも部分的に基づいて、一又はそれ以上のアンテナから前記マーカまでの範囲を特定及び/又は表わす出力を提供する同期変調検出器を具えるプロセッサと;を具える。
【0018】
更に別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域内でマーカの位置を特定する方法が提供されており、この方法は、患者の身体に隣接するプローブの先端をマーカに向けて配置するステップと;プローブを駆動させて、a)患者の体内に実質的に連続したレーダ信号を送信し、b)患者の体から反射信号を受信し、c)レーダ信号の送信と同期して、患者の体内に光パルスを送達し、マーカが光パルスを電気的エネルギィに変換してマーカ内のスイッチを開閉し、マーカで反射された反射信号を変調し、d)同期検出器を用いて反射信号を処理して、光パルスによって生じた変調の振幅を測定し、プローブの先端からマーカまでの範囲を特定及び/又は表わす出力を提供するステップと;を具える。
【0019】
もう一つの実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域内のマーカの位置を特定するシステムが提供されており、このシステムは、患者の体内にマーカに向けてレーダ信号を送信し、マーカからの反射位信号を受信する一又はそれ以上のアンテナと、前記患者の体内に赤外光パルスを送出して、マーカの反射特性を変化させる光源とを具えるプローブと;実質的に連続した波を生成する信号発生器と;この信号発生器に接続され、波を第1及び第2の信号に分割するデバイダであって、一又はそれ以上のアンテナに送達された第1の信号が実質的に連続する送信信号を送信するデバイダと;このデバイダに接続され、第2信号を受信して第2信号と位相が異なるレプリカ信号を生成する位相スプリッタと;この位相スプリッタに接続され、第2の信号とレプリカ信号をそれぞれ受信するとともに、一又はそれ以上のアンテナに接続して反射信号を受信する第1及び第2の混合器であって、第1の混合器が第2の信号と反射信号と混合し、第2の混合器がレプリカ信号と反射信号を混合して、マーカの反射特性を変化させる光パルスによって生じた反射信号の振幅と位相の変調に関連する成分を含むIF信号を生成する、第1及び第2の混合器と;これらの混合器に接続され、このIF信号を処理して、光源によって送達された光パルスに同期した振幅と位相の同期の変調に少なくとも部分的に基づいて、一又はそれ以上のアンテナからマーカへの範囲を表わす出力を提供する同期変調検出器を具えるプロセッサと;を具える。
【0020】
更に別の実施形態によれば、患者の身体内の標的組織領域内に埋め込んだマーカを位置を特定する方法が提供されており、この方法は、患者の身体近傍のプローブ先端をマーカに向けて配置するステップと;このプローブを作動させて、実質的に連続するレーダ信号を患者の体内に送信し、患者の体からの反射信号を受信し、レーダ信号の送信と同期して患者の体内に光パルスを送達し、マーカがこの光パルスを電気エネルギィに変換して、マーカ内のスイッチを開閉させてマーカで反射された反射信号を変調するステップと;リターン信号を、実質的に連続的なレーダ信号を生成するのに使用するソース信号及びソース信号の位相シフトされたレプリカと混合して、マーカの反射特性を変える光パルスによって生じる反射信号の振幅と位相の変調に関連する成分を含むIF信号を生成するステップと;このIF信号を処理して、光源によって送達された光パルスに同期する振幅と位相の変調に少なくとも部分的に基づいて、一又はそれ以上のアンテナからマーカまでの範囲を表わす出力を提供するステップと;を具える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、特許請求の範囲及び添付の図面により、よりよく理解されるであろう。
【0022】
図1図1A乃至1Cは、それぞれ、患者の体内に埋め込むマーカの例示的な実施形態の平面図、側面図、及び端面図である。
図2図2は、図1に示すマーカに含まれ得る回路の実施例の概略図である。
図3図3A及び3Bは、図2の回路のスイッチの動作を示す概略図である。
図4図4A及び4Bは、それぞれ、患者の体内に埋め込むマーカの別の例示的な実施形態の斜視図及び平面図である。
図5図5A及び5Bは、それぞれ、患者の体内に埋め込むマーカの更に別の例示的な実施形態の斜視図及び平面図である。
図6図6は、プローブと乳房に埋め込まれたマーカの例示的な実施形態の側面図である。
図7図7は、図6に示すプローブの遠位端の端面図である。
図8図8は、マーカの位置を特定するシステムの例示的な構成要素の概略図である。
図9図9は、図8に示すプローブの例示的な構成要素を示すブロック図である。
図10図10A及び10Bは、それぞれ図7乃至9に示すようなシステムに含まれ得るアンテナプローブの別の例を示す斜視図及び側面図である。図10Cは、図10Aに示すプローブの部分分解図である。図10Dは、図10Aに示すプローブ先端の線10D-10Dに沿った断面図である。
図11図11は、図10Aのプローブに含まれ得るアンテナサブアセンブリの斜視図である。
図12図12A乃至12Cは、それぞれ、図11に示すアンテナサブアセンブリのアンテナ素子の斜視図、上面図、及び底面図である。
図13図13A及び13Bは、それぞれ、患者の体内に埋め込むマーカの更に別の例示的な実施形態の斜視図及び平面図である。
図14図14は、患者の体内に埋め込まれたマーカを認識及び/又は位置を特定するシステムの別の例示的な実施形態の構成要素を示す概略図である。
図15図15は、患者の体内に埋め込まれたマーカを認識及び/又は位置を特定するシステムの更に別の例示的な実施形態の構成要素を示す概略図である。
図16図16は、図14及び15に示すような患者の身体内に埋め込まれたマーカを認識するシステムで送信及び受信することができる例示的な信号を示すグラフである
図17図17は、患者の体内に埋め込まれたマーカを検出及び位置を特定するシステムの更に別の例示的な実施形態の構成要素の概略図である。
図18図18は、患者の体内に埋め込まれたマーカの範囲の検出を認識して提供するシステムの代替の実施形態の構成要素を示す概略図である。
図19図19は、図17のシステムを用いたマーカの範囲を検出する例示的な方法を示す概略図である。
図20図20A及び20Bは、図19に示す方法で使用できる例示的なI-Q出力ベクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、多くの詳細が説明されており、システムのより完全な説明を提供している。しかしながら、当業者には明らかなように、開示されたシステムは、これらの特定の詳細がなくても実施することができる。他の例では、システムを不必要に不明瞭にしないように、周知の特徴は詳細には説明されていない。
【0024】
図面を参照すると、図1A乃至1Cは、例えば図6に示すように、乳房90内などの、患者の体内に埋め込むことができる反射マーカ又はタグ40の例示的な実施形態を示す。一般に、マーカ40は、一又はそれ以上のワイヤ又はその他のアンテナ44に接続された電子機器パッケージ42を具える。マーカ40は、例えば、管腔切開手順などの手順を実行するシステム1010内に設けられており、例えば、一又はそれ以上のマーカを組織内に送達する送達装置(図示せず、例えば、図8を参照)と、図6乃至8に示されており、以下に更に説明する組織内に埋め込まれたマーカ及び/又はその他の部品の位置を特定するプローブ1020を具える。
【0025】
例示的な実施形態では、各アンテナ44は、細長部材、例えば、約0.5~2mmの直径又は他の最大断面を有する中実又は中空構造体であり、長さは約1乃至10ミリメートル(1.0乃至10ミリメートル)である。アンテナ44は、弾性又は超弾性材料で、及び/又は、例えば、ステンレス鋼、ニチノールなどの形状記憶材料で形成されており、アンテナ44は、組織内で展開したときに所定の形状にバイアスされるが、本明細書の他所で説明されているように、例えば弾性的に変形されて送達を容易にする。本明細書の他所に記載されているように、アンテナ44は、例えばマーカ40に当たるレーダ又はその他の電磁信号に応答して、マーカ及び/又はマーカ40が埋め込まれている組織の共鳴インピーダンスを変えて、患者の体内のマーカ40の検出及び/又は位置の特定を強化する。
【0026】
選択的に、アンテナ44は、例えば、本明細書に参照により組み込まれている出願に記載された実施形態と同様に、一又はそれ以上のビーズ又は他の要素(図示せず)を担持することができる。例えば、アンテナ44は、複数の表面、角度、及び/又はエッジを具える複数のビーズ又はセグメント(図示せず)を担持するコアワイヤを具えており、マーカ40の検出を強化することができる。例示的実施形態では、例えば、各々が略円筒形又は球形の一部を画定する複数の個別の環状体を具えていてもよい。
【0027】
図1A乃至1Cに示すように、アンテナ44は、例えば、ほぼ線形の構成をとなるようにバイアスされて、例えば、アンテナ44がマーカ40の長手方向軸48とほぼ平行に延在するようにしてもよい。代替的に、アンテナ44は実質的に剛性であり、マーカ40が、実質的に固定されて、例えば直線形状又は湾曲形状のままであってもよい。選択的に、一方の又は両方のアンテナ44を、本明細書の他の箇所又は本明細書に参照により組み込まれている出願に記載されているように、長手方向軸48からオフセットさせて、マーカ40の送達装置(図示せず)への装填を強化することができる。
【0028】
図1Aに最もよく見られるように、各アンテナ44は、パッケージ42内のプリント回路基板(PCB)又は他の基板50に接続された第1の端部44aと、拡大された及び/又は丸みのある先端45で終端する第2の自由端44bを具えていてもよい。選択的に、第1端部44aは、例えば、図1Aに最もよく示されているように、例えば、第1の端部44aの基板50への接続を容易にする、及び/又はアンテナ44がパッケージ42の反対側から接線方向に延在するように、一又はそれ以上の曲げ部を具えていてもよい。
【0029】
代替的に、アンテナ44は、長手方向軸48の周りに、例えば螺旋状、蛇行状又はその他の湾曲形状といった、曲線状又はその他の構成をとるようにバイアスされている。例えば、アンテナ44は、弾性又は超弾性材料で形成されていてもよく、その形状は、アンテナ44がヘリカル形状(図示せず)にバイアスされるように設定されているが、例えば、マーカ40の送達装置への装填、及び/又は、マーカ40の患者の身体への導入を容易にするため、ほぼ直線的な構成になるよう弾性的にまっすぐに整えるようにしてもよい。これは、例えば、2014年1月27日に出願された米国特許出願第14/165,253号、2011年3月21日に出願された第13/053,197号、及び2010年6月25日に出願された第12/824,139号に記載されており、これらは参照により本明細書に明確に組み込まれている。
【0030】
図2を更に参照すると、マーカ40は、電子パッケージ42内に収容され又は埋め込まれており、本明細書の他の箇所に記載されているマーカ40を位置決めするのに使用されるプローブ(図示しないが、図6に示されており、本明細書の他の箇所に記載されているようなプローブ1020)からの入射信号を変調するように構成されている一又はそれ以上の回路又はその他の電気部品を具えていてもよい。例えば、この部品は、パッケージ42に搭載された、半導体チップ、プリント回路基板(PCB)、及び/又は他の基板50上に設けることができる。例示的な実施形態では、この部品は、電圧源又は電源、又はその他の電力又はエネルギィ変換器52と、エネルギィ変換器52での電気エネルギィ生成時に開閉可能なスイッチ54と、例えば基板51上に装着された静電放電(ESD)保護装置58とを具える。
【0031】
これらの部品は、パッケージ42を確定している一又はそれ以上の部品内に入っている。例示的な実施形態では、これらの部品は、基板50の表面上に半田付け、糊付け、又は他の方法で装着され、エポキシ又は他の絶縁及び/又は保護材料(図示せず)内に封入されている。例えば、これらの部品はパッケージ42内に装着することができ、これらの部品は図2に示す回路図に接続されている以外は互いに電気的に絶縁されている。選択的に、収縮チューブ又はその他の外側本体をエポキシ材料の周りに適用して、例えばマーカ40の所望する仕上げ及び/又は外側面を提供するようにしてもよい。
【0032】
例示的な実施形態では、エネルギィ変換器52は、複数の感光ダイオードであって、これらのダイオードに当たる入射光(例えば、赤外光)を電気的エネルギィ(例えば、所定の最小電圧)に変換できるダイオードを具えている。図に示すように、複数対のダイオード52が直列に接続されており、これらは、パッケージ42内で空間的に互いに直交して配置されている。例えば、感光ダイオードが指向性であるとすると、少なくとも2対のダイオード52が、パッケージ42内に互いに180°オフセットされるか、又は他の方法で互いに対してオフセットして装着されている。例えば図1Aに最もよく示されているように、少なくとも1対のダイオード52は、埋め込んだ後のプローブ1020に対するマーカ40の向きに関係なく、プローブ1020の光送信器から光を受け取ることができる。パッケージ42は、少なくとも部分的に透明であってもよく、あるいは、ダイオード52を露出させて、パッケージ42に向けられた光をダイオード52が受け取るようにしてもよい。
【0033】
選択的に、ダイオード52及び/又はダイオード52の上にあるパッケージ42の任意の表面は、例えば、パッケージ42の収縮チューブ又はその他の部品の上に形成された一又はそれ以上のコーティング、フィルタ、及び類似のもの(図示せず)を具えており、ダイオード52に当たる光を所望の態様で制限するようにしてもよい。例えば、所望のバンド幅の赤外光のみがダイオード52に当たるようにする一又はそれ以上のコーティングを設けることができる。このように、異なるバンド幅でそれぞれのマーカを作動させることができる複数のマーカを設けて、例えば、所望のマーカの特定のバンド幅に限定された赤外光を透過させることによって、プローブは所望のマーカを作動させることができる。
【0034】
代替の実施形態では、エネルギィ変換器52が、外部エネルギィを所望の電圧に変換できるその他の構成要素を具えていてもよい。例えば、プローブ1020が、例えばEMF源、RF源、又は振動エネルギィ源など、別の電源を具えている場合、エネルギィ変換器52は、ピックアップコイル、アンテナ、又は入射エネルギィを所望の電圧に変換できるその他のデバイスを具えていてもよい。これには、例えば、コンデンサ及び/又はスイッチ54に所望の電圧を送達するように構成されたその他の構成要素が含まれる。赤外光エネルギィの1つの利点は、赤外光が組織を十分に通過し、患者の皮膚に対して配置されたプローブ1020が十分なエネルギィを送達して、例えば、図6に示すように、乳房90内といった、患者の体内から数インチ離れて埋め込まれた比較的小さいマーカ40を作動させることができることである。
【0035】
図2に示す実施形態では、スイッチ54が、例えば、接合型電界効果トランジスタ(JFET)などの電界効果トランジスタ(FET)であり、ダイオード52の一端がゲート(G)に、他端がソース(S)に接続されており、このゲート(G)とソース(S)との間には抵抗56が接続されており、例えば、IR光がないときにダイオード52を放電させる。例示的な実施形態では、スイッチ54は、Avago Technologies US Inc.で製造されたVMMK-1225などの、エンハンスメントモード疑似多形高電子移動度トランジスタ(E-pHEMT)を具えており、抵抗56は3メガオーム(3MΩ)の抵抗器であってもよい。代替の実施形態では、スイッチ54は、ダイオード52(又はその他の電圧源)に接続されたショットキーダイオードであってもよく、例えばダイオードの両端はアンテナ44に接続されている。
【0036】
また、図に示すように、スイッチ54のソース(S)は一のアンテナ44に電気的に接続されており、ドレイン(D)はその他のアンテナ44に接続されている。これらのアンテナ44は、図に示すように、パッケージ42に結合あるいは取り付けられており、アンテナ44の端部がスイッチ54に電気的に接続されている。
【0037】
各ダイオード52は、負荷が殆どない又は全くない(即ち、電流が引き込まれる)場合、光に露出すると、スイッチ54の開閉に十分な電圧(例えば、約0.5ボルト)を生成できる。結果として得られる回路はプローブ1020からの信号の変調用であるため、電流はほとんど又は全く必要なく、ダイオード52(したがってプローブ1020)から要求される電力は最小限であり、それによってマーカ40とプローブ1020の電力需要が低減する。
【0038】
更に、図3A及び3Bを参照すると、ダイオード52に断続的に当たる光が、ゲート(G)及びソース(S)に電圧を発生させて、スイッチ54を開閉する制御信号を提供している。例えば、図3Aは、赤外光が存在しない場合の開放されたスイッチ54を示しており、図3Bは、赤外光70がダイオード52に当たって閉じているスイッチ54でって、これによって両アンテナ44を互いに接続しているスイッチを示している。したがって、結果として、マーカ40は、マーカ40の中央に高周波スイッチに相当するものを具える、受動的な反射器タグを提供している。スイッチ54を閉じた状態から開いた状態に変更できることにより、アンテナ44によって提供される有効なアンテナの反射特性を大幅に変えることができる。例えば、スイッチ54は、スイッチ54が開閉されるときにマーカ40から反射された信号の極性を変更したり、変調したりすることができ、及び/又は、マーカ40及び/又はマーカ40が埋め込まれている組織の共振インピーダンスを変えることができる。
【0039】
乳房組織内(又は患者の身体の他の場所)に埋め込まれたマーカの検出に伴ういくつかの課題には、このようなマーカの比較的小さいレーダ断面(RCS)や、受信した反射信号の汚染があり、これは例えば、(a)組織の不均一性によって生じる散乱;(b)プローブの送信アンテナと受信アンテナの間のクロストーク;及び(c)近接場効果やその他の要因による信号歪みなどである。これらの複雑な要因に対処し、プローブで受信し汚染信号から反射されたマーカ信号を区別するために、スイッチ54は、マーカ40の反射特性の周期的な変調を提供している。
【0040】
具体的には、マーカ40を、二つのフォームファクタ、例えば、図3A及び3Bに示す反射器の間でその構造を周期的に変化させるように作る。例えば、本明細書の他の箇所で更に説明するように、超広帯域(UWB)レーダを使用した受信信号のデジタル信号処理は、マーカのスイッチング周波数で変調した信号の同期検出を使用する。これは、他の汚染信号が変調期間内に不変のままであるため、マーカ信号上の信号対雑音比(SNR)を著しく上げる。同期検出器の機構を提供するために、マーカ40によって受信した近赤外(IR)光パルスで乳房組織を照射することによって、プローブ1020内でマーカのスイッチングプロセスが制御される。
【0041】
マーカ反射フォームファクタのスイッチングは、光起電モードで作動するダイオード52のセットで制御される。ダイオード52がプローブ102(図3Bの矢印70で表される)から光を受け取ると、ダイオード52は、スイッチ54のゲート(G)とソース(S)間に印加される電圧を生成し、図3Bに示すようにドレイン(D)とソース(S)は、両方のアンテナワイヤ44を共に接続する。光がオフになると、スイッチ54が開いて、図3Aに示すように、ドレイン(D)とソース(S)が電気的に遮断される。
【0042】
更に、ESDデバイス58は、スイッチ54を横切って、例えばドレイン(D)とソース(S)との間に並列に接続され、静電放電事象に対する保護を提供している。例えば、E-pHEMT装置をスイッチ54として使用すると、ドレイン(D)とソース(S)の間の絶対最大電圧に、したがってマーカのアンテナにわたって絶対最大電圧に対する制限が設定される。VMMK-1225 E-pHEMTの例示的な実施形態では、スイッチ54の両端の最大電圧は、約5ボルト(5V)以下でもよい。モデム乳房手術は、しばしば、電気切断ツール、電気焼灼ツール及び/又は数kVの電気パルスを発生できるその他のツール(図示せず)の使用を伴う。このようなツールがマーカ40に近づくと、ツールはアンテナワイヤ44で非常に大きな電圧を生じさせ、スイッチ54を破壊する可能性がある。
【0043】
このようなツールの作動中のマーカ40の残存可能性を高めるために、ESD保護デバイス58は電圧が最大値に近づくとスイッチ58デバイスの電圧を切る。一般に、マーカ40内のESD保護デバイス58を低容量にして、プローブ1020からの信号からの小振幅USB信号の周波数範囲に対してアンテナ44を短絡させないようにするべきである。例示的な実施形態では、ESD保護デバイス58は、ツェナーダイオード、低容量バリスタなどの過渡電圧抑制器であってもよい。
【0044】
図4A及び4Bを参照すると、反射器マーカ140の代替実施形態が示されており、これは、一又はそれ以上のアンテナ144が印刷又は他の方法で形成された上面及び底面(又は第1の面及び第2の面)を具え、その上に印刷された又は他の方法で直接形成された一又はそれ以上のアンテナ144を有する回路基板又はその他の基板150を担持する電子パッケージ142を具える。図に示すように、マーカ140も、例えばダイオード152といったエネルギィ変換器と、ダイオード152に接続された、例えばFET154などのスイッチ及び上面及び下面の一方に取り付けた静電放電(ESD)保護デバイス158を具える。これは本明細書の他の実施形態と同様である。
【0045】
更に、上述の実施形態とは異なり、アンテナ144は、基板150の上面150aに印刷するか、又は直接形成するようにしてもよい。各アンテナ144は、FET154に接続された第1の端部144aと、第2の自由端部144bを具える。図に示すように、各アンテナ144は、自由端144bの近傍に正弦曲線部分又はその他のジグザグ部分144cを具えており、例えば、基板151上の利用可能面に対するアンテナ144の有効長さ又はプロファイルを最大にしている。この実施形態では、アンテナ144は、FET154のドレインとソースとにそれぞれ接続されており、ダイオード152(直列)は、例えば上述の実施形態と同様に、ゲートとソース間に接続されている。
【0046】
更なる代替例では、図5A及び5Bに示すように、マーカ140’が、基板151’に取り付けた一又はそれ以上のチップアンテナ144’を具えている。図5Bに最も良く示されているように、単一のチップアンテナ144’がFET154’のドレインに接続され、コンデンサ(図示せず)が、例えばESD保護デバイス158’と並列にドレインとソースの間に接続されている。代替的に、前述の実施形態と同様に、一対のチップアンテナ(図示せず)をFET154’のドレイン及びソースに接続して設けることができる。例示的な実施形態では、チップアンテナ144’は、パルスエレクトロニクスコーポレーション(Pulse Electronics Corporation)社が製造したモデルW3078などのセラミックチップアンテナである。
【0047】
更に別の代替例では、アンテナ素子44又は144のうちの一つをコンデンサ(図示せず)で置き換えてもよい。例えば、図13A及び13Bは、図1A乃至1Cに示すマーカ40と同様のマーカ40’の例示的な実施形態を示している。すなわち、回路基板又はその他の基板50’を担持し、例えばダイオード52’などのエネルギィ変換器と、ダイオード52’に接続された例えばFET54’などのスイッチ、及び静電放電(ESD)保護装置(図示せず)を含む電子部品パッケージ42’を具える。マーカ40と違って、マーカ40’は、FET54’のドレインに接続された単一のアンテナ44’と、例えばESD保護デバイスと並列に、ドレインとソース間に接続されたコンデンサ59’を具える。
【0048】
図4A及び4Bに戻ってこれらを参照すると、基板150は、例えば、セラミックプレート又はボードといった一又はそれ以上の電気絶縁材料から形成され、所望の誘電特性を有している。アンテナ144及び/又はその他のリードは、例えば、蒸着又はその他の印刷方法によって、基板150の上面及び/又は底面に形成することができる。誘電体基板150の結果として、アンテナ144は空気よりも高い誘電率を有することになり、マーカ140を実際の物理的サイズよりも電気的に大きく見えるようにすることができる。アンテナ144及び基板150の構成を変更して、複合インピーダンスを提供することができ、これは、例えばプローブ1020を使用して検出及び/又は配置するときに、最後のマーカ140についての所望の検出特性を提供するように変更することができることは自明である。
【0049】
選択的に、マーカ140(又は本明細書のその他のマーカのいずれか)は、マーカ140に送信した赤外光信号に含まれるコード又はメッセージの認識用に、ダイオード152に接続されたプロセッサ(図示せず)を具えていてもよい。例えば、このプロセッサは、ダイオード152とFET154のゲートとの間に接続され、FET154が入力する赤外光信号に所定のコードが含まれている場合にのみスイッチングされる。従って、このプロセッサは、例えば、制御信号をゲートに選択的に提供して、赤外光パルスセットがダイオード152で受信される時にFET154を開閉して、例えば、FETのドレインとソース間に選択的に電圧を印加することができる。例示的な実施形態では、このコードは、時間的に分離されたパルスを伴う、及び/又は、長さの異なるパルスを有する一連の赤外光パルスを具え、プロセッサで認識できるビットコードを提供することができる。
【0050】
例えば、最初はFET154がダイオード152から絶縁されている(すなわち、アンテナ144間のスイッチが開いている状態)場合、プロセッサは、パルスがマーカ140に割り当てられた所定のビットコードを含んでいるかどうかを判断できる。この場合、プロセッサは、ダイオード152をFET154に接続して、続く赤外光パルスがアンテナ144間でスイッチを開閉し、これによって、他のところで説明したように、マーカ140の反射特性を変調することができる。選択的に、プロセッサは、別の所定のビットコードが認識されるまでFET154を開閉し続け、その後、プロセッサはダイオード152をFET154から再び絶縁することができる。代替的に、プロセッサは、所定の時間このスイッチングを行い、ついで、再起動するまでFET154を開にすることができる。
【0051】
このようにして、異なるビットコードが割り当てられたそれぞれのプロセッサを含む複数のマーカ(図示せず)を患者の体内に埋め込むことができる。図6乃至9に示すように、プローブ1020のようなプローブは、所望のビットコードで先行される赤外光パルスを送信して、個々のマーカを作動及び/又は不作動とすることができる。例えば、このプローブは、第1のコードを用いて第1のマーカを作動させ、検出、及び/又は配置し、次いで第1のマーカを不作動とし、第2のコードを用いて第2のマーカを作動させ、検出及び/又は配置し、本明細書で更に述べるように、ユーザが選択的に複数のマーカが埋め込まれた患者の身体内の領域を認識するのに役立つサイクルを繰り返す。
【0052】
図6乃至9を参照すると、乳房90又は体内の他の場所にある腫瘍、病変又は他の組織構造といった、患者の体内の標的組織領域の位置を特定するシステム1010の例示的な実施形態が示されている。図8に示すように、システム1010は、通常、一又はそれ以上のターゲット、タグ、又はマーカ40(一つが示されている)を担持する送達デバイス260と、例えば超ワイド帯域マイクロ-インパルスレーダ、狭帯域の連続レーダなどの、レーダを使用してマーカ40を検出及び/又は配置するプローブ1020と、例えば一又はそれ以上のケーブル1036を用いて、プローブ1020に接続されたコントローラ及び/又は表示ユニット1040とを具える。これらは、本明細書に参照によって組み込まれている出願に記載された実施形態と同様である。
【0053】
例えば、プローブ1020は、参照により本明細書に組み込まれている出願に記載された実施形態と同様に、例えば、マイクロパワーインパルスレーダ(MIR)プローブなどの、電磁信号を出射及び受信する能力のあるポータブルデバイスであってもよい。図6に示すように、プローブ1020は、例えば患者の皮膚又はその下の組織などの組織への接触又は近接配置用の第1の端部又は遠位端部1024と、例えば、ユーザによって保持できる、第2の端部又は近位端部1022を具える、ハンドヘルドデバイスであってもよい。一般的に、プローブ1020は、例えば、セラミックディスク1032(図7に示す)に装着した送信用アンテナと受信用アンテナ(図示せず)などの一又はそれ以上のアンテナを具え、例えば、アンテナと接触している組織との間のインターフェースを提供するようにしている。更に、プローブ1020は、例えば、複数の光ファイバ1038(図7に示す)、LED(図示せず)、その他などの光送信機を具え、これは、例えば、図6に示すように、例えば乳房組織90内など、遠位端1024が接触している組織内に、光パルス(図6で破線1038aで表されている)を送信するように構成されている。光ファイバ1038は、例えば、プローブ1020内のLED(図示せず)あるいはディスプレイユニット1040などの光源に、例えばカップリング1039によって接続されており、光源からの光が、プローブ1020の遠位端1024から遠位側へと、光ファイバ1038を通過するようにしている。
【0054】
例示的な実施形態では、光源は、例えば、800乃至950ナノメートルの近赤外光を送達できる赤外光源である。選択的に、光ファイバは、一又はそれ以上のレンズ、フィルタなど(図示せず)を具えていてもよく、必要に応じて、例えば、プローブ1020の中心軸に平行に延在する比較的狭いビームにおいて、より広いビームにおいて、などの所望の方法で、プローブ1020によって送信された光を集束させる。
【0055】
選択的に、光源は、赤外光スペクトル内の比較的狭い帯域幅を送信することができ、例えば、それぞれの狭い帯域幅に基づいてそれぞれのマーカの活性化を制限するコーティング及び/又はフィルターを具える個別のマーカを作動させることができる。例えば、光源は、それぞれが他の帯域幅より比較的狭く、明確な帯域幅の光を送信できる複数のLEDを具えていてもよい。代替的に、光源は、広帯域の赤外光(又は他のより広いスペクトル)光を送信してもよく、プローブ1020は、プローブ1020によって送信される帯域幅の部分を制限する複数のフィルタ又はその他の構成要素(図示せず)を具えていてもよい。このように、本明細書に記載されているように、プローブ1020によって狭い帯域幅の赤外光パルスを送信して個々のマーカを作動させることができる。
【0056】
代替的に、プローブ1020は、光送信器1038のに代わる他のエネルギィ源を具えていてもよい。例えば、電磁エネルギィ源、無線周波数(RF)エネルギィ源、振動エネルギィ、その他(図示せず)を、プローブ1020の遠位端1024に配置して、本明細書に記載されているように、マーカ40を作動させるエネルギィパルスを送達する。このエネルギィ源は所定の方法でパルス化して、例えばマーカ40の回路の作動及び不作動を交互に行うことができる。
【0057】
プローブ1020は、ディスプレイユニット1040内に、送信アンテナによる送信用信号の生成、及び/又は受信アンテナから受信した信号の処理に必要な一又はそれ以上のコントローラ、回路、信号発生器、ゲート、その他(図示せず)を具えるプロセッサを具えていてもよい。このプロセッサの部品は、必要に応じて、個別部品、固体デバイス、プログラマブルデバイス、ソフトウェア部品などを具えていてもよい。例えば、プローブ1020は、送信アンテナに接続して送信信号を生成するパルス発生器及び/又は疑似雑音発生器(図示せず)と、受信アンテナで検出した信号を受信するインパルス受信器を具えていてもよい。プロセッサは、マイクロコントローラとレンジゲート制御器を具えており、インパルス発生器とインパルス受信器を交互に作動させ、送信アンテナを介して電磁パルス、波又はその他の信号を送信し、本明細書の他の実施形態と同様に、受信アンテナを介して反射電磁信号を受信する。使用可能な例示的な信号には、例えば超低帯域幅領域における、マイクロインパルスレーダ信号などのマイクロ波、電波が含まれる。
【0058】
プローブ1020は、例えばケーブル1036によって表示ユニット1040のディスプレイ1042に接続して、例えばアンテナを介して得られる空間データ又は画像データといった情報をプローブ1020のユーザに表示することができる。選択的に、プローブ1020は、一又はそれ以上のユーザインターフェース、メモリ、送信機、受信機、コネクタ、ケーブル、電源(図示せず)など、その他の特徴又は構成要素を具えていてもよい。例えば、プローブ1020は、一又はそれ以上のバッテリや、その他の内部電源を具え、プローブ1020の構成要素を動作させることができる。代替的に、プローブ1020は、例えば標準AC電源などの外部電源に接続できるケーブル1036のうちの1本といったケーブルを具え、プローブ1020の構成要素を作動させるようにしてもよい。
【0059】
図6に示すように、プローブ1020の内部構成要素は、プローブ1020が内蔵されているハウジング又はケーシング内に設けられている。例えば、ケーシングは比較的小さく携帯可能であり、例えば、プローブ1020全体が使用者の手の中に入る。選択的に、例えば、遠位端1024に隣接する部分などプローブ1020の一部分は使い捨てであってもよく、使い捨てのカバー、スリーブ、その他(図示せず)が、必要に応じて設けられており、プローブ1020の少なくとも近位部分は、本明細書中に参考として援用せれている出願に記載された実施形態と同様に、再使用可能である。代替的に、プローブ1020全体が、使い捨ての単回使用デバイスであってもよいが、ディスプレイユニット1040は、新しいプローブ1020をディスプレイユニット1040に接続することによって、複数の手順で使用することができ、所望であれば、アクセス可能なまま及び/又は可視のままでもよい。プローブ1020の構造及び/又は操作に関する追加の情報は、本明細書で参照により組み込まれている出願に記載されている。
【0060】
図9は、プローブ1020の例示的な構成要素を示すブロック図600である(代替的に、構成要素のいくつかは、図8の表示装置1040内に配置してもよい)。プローブ1020は、信号発生器620、増幅器640、アナログ/デジタル(A/D)変換器650、及びデジタル信号プロセッサ(DSP)660を具えていてもよい。信号発生器620、例えば基準発振器は、矩形波信号、三角波信号、又は正弦波信号などの発振信号を生成する。
【0061】
例えば、矩形波信号625は、信号発生器620からプローブ1020のアンテナ部分532の送信アンテナに送信することができる。矩形波信号625が送信アンテナを通過するとき、送信アンテナは、バンドパスフィルタ(BPF)として作用し、矩形波信号625を一連のパルス信号630に変換する。このように、送信信号1034T(図6に示す)は、一連のパルス630を含むプローブ1020によって送信される。送信信号1034Tは組織に送信され、受信信号1034Rによって表されるようにマーカ40から反射される(図6に示す)。送信信号1034Tがマーカ40で反射されると、反射信号(すなわち、受信信号1034R)は、一連の減衰パルス635(図9に示す)を含むことになる。
【0062】
プローブ1020のアンテナ部分532の受信アンテナは、受信信号1034R(図6に示す)を受信することができる。図9に示すように、一連の減衰パルス635を含む受信信号1034Rは、増幅器640に入力されてパルス635の利得が増幅される。増幅器640の出力は、A/D変換器650に入力され、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器650から出力されたデジタル信号は、DSP660に入力されて処理が行われる。DSP660は、多くの処理機能を実行する。この機能には、限定するものではないが、参照により本明細書に組み込まれる出願に記載されているように、送信信号501が送信された時間から、受信信号502が受信された時間までの時間差を計算すること、マイクロ波アンテナプローブ531の先端からマーカ521までの距離を決定すること、プローブ1020の先端に対するマーカ40の位置を決定すること、受信信号1034Rの振幅を測定すること、及び/又はマーカ40がプローブ1020の先端に対して位置する方向を決定すること、が含まれる。DSP660の出力は、表示ユニット1040のディスプレイ1042上に表示することができる。
【0063】
図10A乃至10Dを参照すると、アンテナプローブ930の例示的な実施形態が示されており、これは本明細書に記載されたいずれかのシステムと方法に使用できる。一般的に、プローブ930は、ハウジング940、アンテナサブアセンブリ950、及びシールド980を具えている。選択的に、プローブ930は、例えば、ハウジング940の開口を囲むといった、プローブ930の一又はそれ以上の構成要素を囲む外側スリーブ又はカバー(図示せず)を具えており、汚染、曝露を低減する、及び/又は、プローブ930の内部部品を保護している。
【0064】
図11に示すように、アンテナサブアセンブリ950は、送信アンテナ960tと受信アンテナ960rを具える。これらは各々ボウタイ構造を有しており、マルタクロスアンテナを形成する。図12A乃至12Cに示すように、各アンテナ960は、誘電材料964でできたディスク又はその他の基板上に、互いに90度(90°)オフセットした一対のアンテナ素子962を具える。アンテナ素子962はそれぞれ個別に形成して、次いでディスク964に取り付ける、あるいはディスク964上に直接蒸着してもよい。例示的な実施形態では、アンテナ素子962は、セラミックディスク964の上面に蒸着した銀フィルム又はその他の材料から形成することができる。
【0065】
回路970はアンテナ960に接続されており、これは、例えば、適切なリードによってそれぞれのアンテナ素子962に接続された一又はそれ以上のトランス974とコネクタ976を設けたPCB972を具える。同軸ケーブル978をコネクタ976に接続して、本明細書に記載された他の実施形態と同様に、アンテナ960をシステムの他の構成要素に接続させる。
【0066】
図12A乃至12Cに最もよく見られるように、ディスク964は、アンテナ要素962間に複数のラジアルスロット966を具える。したがって、アンテナ要素962は、スロット966内の空気によって実質的に互いから隔離されており、これによって感度が高くなり、クロストーク、及び/又はその他のノイズ、などが低減される。代替的に、スロット966は、所望の比較的低い誘電率を有するその他の絶縁材料、例えばフォーム等(図示せず)で充填して、アンテナ素子962を互いに実質的に隔離するようにしてもよい。
【0067】
図10Dに示すように、ディスク964は、シールド980内に取り付けてもよい。これは、例えば、接着剤による接合、音波溶接、融着、協働コネクタ(図示せず)、などの一又はそれ以上により、ハウジング940の先端942に接続できる。図に示すように、シールド980は、例えば、例えば銅又は他の材料で形成した比較的薄い外側シールド984で取り囲まれ、ナイロン又はその他のポリマー材料でできたカラーで形成した内側絶縁層を具えており、ファラデーシールドを提供している。例示的な実施形態では、銅テープ層を端部を互いに固定した内部シールド982の周りに巻き付けている。代替的に、外側シールド984は、シールド材料でできたスリーブであってもよく、この中に内側シールド982を挿入して、例えば接着剤による接合、締まり嵌め、などによって取り付けることができる。
【0068】
図10Dに示すように、シールド980は、ディスク964の厚さ「t」よりも実質的に長い長さを有する。例えば、内側シールド982は、環状溝986を具えており、この中へディスク964を挿入して、例えば、締まり嵌め、接着剤による接合、その他で取り付けることができる。図に示すように、ディスク964の底面は、シールド980の遠位端とほぼ同一平面にあり、本明細書に記載されているように、インターフェースを提供して、ディスク964が使用中に組織に接触するようにしている。選択的に、マイラーフィルム又はその他の比較的薄い材料層(図示せず)をディスク964の底面及び/又はシールド980上に設け、例えば、流体又はその他の材料がチップに入り込むのを防止し、汚染を低減し、及び/又は、プローブ930の先端を保護することができる。
【0069】
続けて図10D参照すると、ディスク964の上面(その上にアンテナ素子962、図示せず)は、シールド980内の空気の領域に曝されている。空気の誘電率が低いため、送信アンテナ960tからの送信は、遠位側、すなわちディスク964と接触している組織の方向に向けて集束する。ディスク964の材料が組織の誘電率と実質的に一致するように選択されると、組織への透過深度が強化される。ディスク964後方の空気は、それがなければ組織から離れた送信アンテナ960tによって放出されるであろう損失エネルギィを最小にすることができる。同様に、ディスク964は、組織に向けられた受信アンテナ960rの感度に焦点を合わせることができる。シールド980(ならびにアンテナ素子962間のスロット966)内のディスク964後方の空気は、クロストーク、ノイズを最小限に抑えることができ、及び/又はプローブ930の動作を向上させることができる。プローブ930及び/又は代替の実施形態に関する更なる情報は、参照により本明細書に組み込まれる出願に記載されている。
【0070】
図6のシステム1010は、例えば、胸部生検又は腫瘍摘出術のような医療処置中に使用して、病変又はその他の標的組織領域の位置の特定を容易にする、及び/又は、乳房90又は他の身体構造からの検体の切除及び/又は除去を容易にする。なお、システム1010は、乳房病変の位置の特定に特に有用であると説明されているが、システム1010は、例えば、本明細書中に引用により組み込まれている出願に記載されているように、身体の他の領域にある他の物体の位置の特定に使用することもできる。
【0071】
処置の前に、標的組織領域、例えば腫瘍又は他の病変を、従来の方法を用いて認識することができる。例えば、乳房90内の病変(図示せず)を、例えばマンモグラフィー及び/又はその他の画像化を用いて認識し、病変を除去するための決定を行うことができる。マーカ40(本明細書に記載の実施形態のいずれかであり得る)を、例えば図8に示す送達装置260のような、針又はその他の送達装置を使用して、標的病変内又はその近傍で、乳房90内に埋め込むことができる。
【0072】
いったんマーカ40が埋め込まれると、図6に示すように、プローブ1020は患者の皮膚、例えば乳房90に対して配置することができる。プローブ1020のアンテナからの信号が、光源からのパルス光と共に送出され、マーカ40が、信号を受信してプローブ1020に戻すと、信号を受信してスイッチ54を開閉する。プローブ1020によって受信される実質的なクラッタ、クロストーク又はその他のノイズがある場合、例えば、プローブアンテナ、マーカ40の近くの患者の体内の組織又はその他の構造のために、二つの状態(スイッチ54の開閉)からの反射信号が互いから減算され、その他のノイズが実質的に除去されて、プローブ1020がマーカ40の認識及び/又は位置の特定を行うことができる。
【0073】
したがって、プローブ1020は、変調された反射信号を使用して信号の信号対雑音比を上げることができる。例えば、マーカ40の変調は、マーカ40及び/又はマーカ40が埋め込まれた組織のインピーダンスを変調する。特に、セラミック基板150、150’に取り付けたアンテナ144、144’は、マーカ140、140’に接触しているあるいはマーカ140、140’を直接的に取り囲む組織の有効インピーダンスを変調して、減算によってプローブ1020が、このインピーダンスの変化に基づいて、マーカ140、140’を容易に検出及び/又は位置を特定することができる。したがって、アンテナ144、144’は、実際のアンテナとして作動するのではなく、隣接する組織の変調を可能にするプローブとして作動することができる。
【0074】
図8を参照すると、ディスプレイ1042は、ユーザに情報を表示して、乳房90でのマーカ40の位置の特定を容易にしている。例えば、ディスプレイ1042は、単純な読み出しであって、所定の基準、すなわち、マーカ40からプローブ1020への相対距離に基づいて、距離、角度、方向、及び/又は他のデータを提供している。距離情報は、インチ(inch)又はセンチメートル(cm)などの長さの単位で距離を表わす数値として表示される。追加で、又は代替的に、ディスプレイユニット1040上のスピーカ1044は、例えば、プローブ1020がマーカ40に近づくにつれてスピードが増加する間隔を空けたパルスといった、距離の可聴表示を生成することができる。別の代替例では、ディスプレイ1042は、マーカ40、プローブ1020、プローブ1020からマーカ40までの距離、及び/又はマーカを含む身体部分(例えば、乳房)の生理学的画像を描写したグラフィック画像(例えば、二次元又は三次元画像)を表わすことができる。
【0075】
例えば、図6に示すように、プローブ1020の遠位端1024は、患者の皮膚近傍に又は皮膚に接触して、例えば病変の上に、及び/又は病変及びマーカ40の方に概ね向けられるように配置され、駆動される。プローブ1020の送信アンテナ(図示せず)は、送信信号1034Tを発し、これが組織を通って進み、マーカ40から反射される。リターン信号1034Rは、プローブ1020内の受信アンテナ(図示せず)に戻り、これがマーカ40とプローブ1020の遠位端1024との間の空間的関係、例えば距離及び/又は配向角を決定し、外科医の切除の適切な方向の決定を容易にする。
【0076】
更に、ほぼ同時に、プローブ1020は光パルス1038aを送信し、マーカ40のダイオード52(図示せず、例えば図3A及び図3B参照)によってこれが受信される。ダイオード52は交互に電圧を発生し、スイッチ54を開閉させる。これにより、マーカ40は、プローブ1020に反射された信号の位相を変化させ、及び/又はこの信号を変調する。プローブは、この信号を例えば減算によって処理し、マーカ40ひいては標的病変の位置を認識及び/又は位置を特定することができる。
【0077】
一実施形態では、プローブ1020のプロセッサは、二つのステップで位置の特定を行うことができる。すなわち、マーカ40を認識する初期検出ステップと、プローブ1020からマーカ40までの距離を決定する範囲検出ステップである。例えば、この検出ステップにおいて、プロセッサは、単純にリターン信号の振幅を用いて、マーカ40を認識することができる。マーカ40が認識されると、時間遅れを用いて、プローブ1020からマーカ40までの距離を決定することができる。例えば、送信信号1034Tが送信アンテナによって送信される時間と、リターン信号1034Rが受信アンテナによって受信される時間との間の時間遅れは、プローブ1020からマーカ40までの距離に比例しており、プロセッサは、この時間遅れに基づいて距離を決定し、ユーザに提示することができる。
【0078】
次いで、例えば、患者の皮膚に切開部を作り、中間組織を例えば病変周辺の標的マージンに対応する所望の深さに切開することによって、組織を切除することができる。組織標本は、例えば、切除した標本1046内にマーカ40が残った状態で取り出すか、さもなければ除去することができる。
【0079】
選択的に、図8に示すシステムは、組織領域内に一緒に埋め込まれた複数のマーカを検出及び/又は位置を特定することができる。例えば、複数のマーカ(図示せず)は、例えば、病変の周囲に離間して配置された乳房90内に埋込んで、乳腺腫瘤の所望のマージンを画定することができる。プローブ1020は、各マーカに関する情報を提供することができるように、例えば、所定の配列又はその他の手順で各マーカを作動させることができる。
【0080】
例えば、上述したように、各マーカは、比較的狭い帯域幅の異なる赤外光によって作動し、プローブ1020は、異なる帯域幅のそれぞれにおいて赤外光パルスを順次送信して、マーカを作動させ、検出して、及び/又は位置の特定を行う。例えば、MIRパルスを送信する間に、プローブ1020は、第1の帯域幅を送信して、第1のマーカを作動させて検出し、その後、第2の帯域幅を送信して、第2のマーカを活性化して検出する。例えば、このサイクルを所望の態様で繰り返してマーカの位置に関する情報を提供する。代替的に、プローブ1020は、赤外光パルス中のコードを含んでいてもよく、例えば、個々のマーカを活性化及び/又は非活性化して、作動したマーカのみがスイッチを開閉してプローブ1020からのレーダ信号を変調するようにしてもよい。したがって、プローブ1020が受信した変調信号を減算すると、不作動マーカは検出可能な応答を生成しないが、作動したマーカが反射してレーダ信号を変調してプローブ1020に戻す。
【0081】
更に別の代替例では、個々のマーカが所定の周波数範囲のレーダ信号のみを反射するように、個々のマーカの特性を設定することができる。例えば、アンテナ及び/又はマーカの基板材料及び/又はその他の特性が異なっており、周波数の異なるレーダ信号に応答する異なるインピーダンス特性を提供することができる。この代替例では、プローブ1020は、第1の周波数でレーダ信号を送信して第1のマーカを活性化させて検出し、その後第2の周波数で第2のマーカを活性化して検出し、このサイクルを繰り返して、所望のようにすべてのマーカの位置を特定する。
【0082】
図14を参照すると、組織(図示せず)内に埋め込まれたマーカ540を認識及び/又は検出するシステム510の別の例示的な実施形態の概略が示されている。一般に、システム510は、送信アンテナ560t及び受信アンテナ560rなどの一又はそれ以上のアンテナと、一又はそれ以上の赤外光(IR)LEDなどのプローブ(図示せず)の遠位先端上に担持した光源536と、処理及び/又は表示ユニット(図示せず)と、例えば、図6乃至8に示すプローブ及びディスプレイユニットと同様の処理及び/又は表示ユニットと、本明細書及び本明細書中に参照により援用されている出願に記載されている他の実施形態を具える。代替的に、図15に示すように、システム510’は、本明細書に更に説明されているように、単一のアンテナ560’と、アンテナ560’を介した信号の送受信を制御するサーキュレータ562’を具える。
【0083】
前述の実施形態とは異なり、図16に示すように、作動時に、システム510(又は510’)のプローブは、送信アンテナ560t(又はアンテナ560’)を介して、例えば正弦波などの実質的に連続したの無線周波数又はマイクロ波信号570を送信することができる。広帯域マイクロインパルスレーダ信号ではなく、信号570は、例えば、周波数が約300MHz乃至と300GHz、又は約300MHz乃至1GHzの狭帯域信号であってもよい。RF信号570に同期して、光パルス572がLED536を介して送信され、それによりマーカ540から反射され、赤外光パルス572によって変調されるリターンRF信号574を生成する。図14に示すように、システム510は、例えば、図16に示すIF信号576によって表され、以下に更に説明するように、一又はそれ以上のコントローラ、プロセッサ、回路、信号発生器、ゲート、及び/又は、送信アンテナ560t及びLED536によって送信される信号570,572を生成し、及び/又は受信アンテナ560rから受信したリターン信号574を処理するその他の構成要素を具えていてもよい。システム510の構成要素は、個別部品、ソリッドステートデバイス、プログラム可能デバイス、ソフトウェアコンポーネントなどを具えていてもよい。これらは、必要に応じて、プローブとディスプレイユニットとの間に分布させることができる。
【0084】
例えば、図14を続けて参照すると、システム510は、例えば、所望の周波数の連続無線周波数又はマイクロ波正弦波信号を生成する波発生器520を具えていてもよい。この信号は、電力分割器522によって分割され、第1の信号522aは増幅器524を介して信号570(例えば、図16に示す信号570)を送信する送信アンテナ560tへ送達され、第2の信号522bは、混合器526の第1の入力526aに送信される。更に、混合器526は、リターンアンテナ560rからのリターン信号574(例えば、図16に示す574)を別の増幅器528を介して第2の入力526bで受信し、リターン信号572の振幅と位相の変調に関連する成分を含む中間周波数(IF)信号(例えば、図16に示す信号576)を生成する。例えば、混合器526は、リターン信号572中の高周波のRF成分を除去して、例えば、信号576などの、赤外光パルスによって引き起こされる変調から生じる比較的低い周波数成分のみを含む信号を生成する。
【0085】
特に、本明細書の他の実施形態と同様に、LED(s)536からのIR光は、マーカ540のアンテナに接続されたスイッチ(図示せず)を開閉するなど、2つのフォームファクタ間でマーカ540を交互に入れ替えて、例えば、図3A及び3Bに示す構成と同様に、マーカ540及び/又は周囲の組織の反射特性を、変調することができる。例えば、図16は、マーカンテナと、2つの構成に対応するIF信号576の領域の交互の構成を示す。リターン信号574におけるその他の反射はIR光変調に依存しないので、それらは変化することなく、例えばマーカ540の2つの反射状態に対応する信号部分の減算によってIF信号576から除去することができる。
【0086】
システム510は、例えば、フィルタリングされ、バンドパスフィルタ532と、例えばプログラム可能な利得増幅器(PGA)などの増幅器534によって増幅された後に、様々な構成要素を制御し、混合器526からのIF信号を制御できる、たとえばマイクロプロセッサ530といった一又はそれ以上のプロセッサ、を具える。例えば、図14に示すように、マイクロプロセッサ530は、同期変調検出器530bに接続されたアナログ-デジタル変換器(ADC)530aを具えており、これは、IRコントローラ530c及び出力コントローラ530dに接続されている。混合器526からのIF信号は、BPフィルタ532に印加され、例えば利得コントローラ530eによってマイクロプロセッサ530によって制御されるPGA534によって増幅されるLEDスイッチングの周波数に同調される。次いで、フィルタリングされて増幅された信号は、ADC530a(又は、図示されていない外部ADCを用いて)でデジタル化され、リターンアンテナ560rからのリターン信号572の同期スイッチング成分の振幅を評価する同期変調検出器530bを用いて処理される。検出器530bで計算された振幅の値は、例えば出力コントローラ530dを介してユーザに出力され、プローブからマーカ540までの位置及び/又は距離の指標として一又はそれ以上の出力装置538に出力される。
【0087】
伝播損失があるため、リターン信号574の強度は、アンテナ560からマーカ540までの範囲に反比例する。したがって、検出器540bによって決定された振幅はプローブからマーカ540までの距離に反比例し、プローブがマーカ540が埋め込まれた組織領域の周りを移動すると、例えば、本明細書中の及び本明細書に組み込まれている出願の実施形態と同様に、プローブからマーカ540までの相対距離を表示するのに使用することができる。例えば、一実施形態では、出力デバイス538は、計算した振幅が大きくなるにつれてパルスレートが高くなる、クリック又はその他のパルス出力を生成するスピーカであってもよく、それによってプローブがマーカ540に近いことを示し、例えば、患者の皮膚から標的組織領域までの最短経路を認識する。加えて、又は代替的に、出力装置538は、ディスプレイを具えていてもよく、これは、数値、バー、又は計算された振幅の強さを表示するその他の可視出力、ひいてはプローブからマーカ540までの相対距離を示すことができる。
【0088】
図15に示すシステム510’は、概ねシステム510と同様の態様で作動する。しかしながら、この実施形態では、プローブは、信号の送信と受信の両方を行う単一のアンテナ560のみを具える。このようにするために、システム510’は、アンテナ560’に接続された入/出力端子563’を含むサーキュレータ回路562’を具える。例えば、信号発生器520’からの送信信号522a’は、増幅器524’による増幅後、サーキュレータ562’の入力に向けられ、サーキュレータ562’がこの信号を入/出力端子563’に向けて、アンテナ560’が信号570をマーカ540に向かって送信する。リターン信号574は、アンテナ560’と入力/出力端子563’で受信され、サーキュレータ562’によって、増幅器528’と混合器526’に接続されているサーキュレータ562’の出力に再度向けられる。混合器526’、マイクロプロセッサ530’、及びその他の構成要素は、次いで、上述した実施形態と同様にリターン信号を処理して、プローブからマーカ540までの範囲を示す出力を提供する。
【0089】
図17を参照すると、組織(図示せず)内に埋め込まれたマーカ540(本明細書のいずれかの実施形態である)を認識及び/又は検出する更に別の例示的なシステム610の概略図が示されている。一般的に、システム610は、本明細書のその他の実施形態と同様に、例えばサーキュレータ回路662(又は、代替的に、別の送信及び受信アンテナ、図示せず)に接続された、例えば単一の送信/受信アンテナ660などの一又はそれ以上のアンテナと、その遠位先端部又はその遠位先端内に担持した一又はそれ以上の赤外光(IR)LEDs636などの光源と、処理ユニット及び/又はディスプレイユニット(図示せず)とを有するプローブ(図示せず)と、を具える。例えば、上述の実施形態と同様に、システム610は、例えば、電力分割器622によって第1及び第2の信号622a、622bに分割される、所望の周波数での連続無線周波数又はマイクロ波正弦波信号を生成する波発生器620を具える。第1の信号622aは増幅器624を介してアンテナ660に供給され、レーダ送信信号670を送信する(例えば、図16に示す信号570と同様)。
【0090】
上述の実施形態とは異なり、システム610は、クワドラチャ検波を利用して、レーダ信号の振幅と位相の変化を評価して、マーカ540の距離を個別に特定及び/又は測定する。例えば、クワドラチャ検波を提供するために、システム610は、分割器622からの第2の信号622bを受信し、混合器6261、626Qに接続されているクワドラチャ位相スプリッタ664を具える。この位相スプリッタ664は、第2の信号622bと同じである入力信号665Iを第1の混合器626Iに送り、第2の混合器626Qに供給される90度シフトされたレプリカ665Qを生成する。混合器626I、626Qも、アンテナ660及びサーキュレータ662からのリターン信号674(例えば、図16に示す信号574と同様)を、例えば別の増幅器628を介して受信する。
【0091】
混合器626I、262Qは、入力信号665I、665Q及びリターン信号674を使用して、上述の実施形態と同様に、リターン信号672の振幅と位相の変調に関連する構成要素を含む2つの中間周波数(IF)信号I及びQを生成する。次いで、このI及びQ信号は、フィルタ632I、632Qによって帯域通過フィルタ処理され、例えば、利得制御部630eによって制御される同じ利得IF増幅器を用いて増幅器634U、634Qによって増幅され、プロセッサ630での処理のためにADC630aによって同時にデジタル化される。代替的に、図18に示すように、システム610’には、高分解能のアナログ-デジタル変換器630a’が設けられており、これによって、バンドパスフィルタ632及び増幅器634の必要性を回避することができる(さもなければ、システム610’はシステム610と同様の構成要素と機能を具える)。プロセッサ630は、一又はそれ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はその他の構成要素を具え、様々な構成要素を制御し、混合器6261、626QからのIF信号I、Qを処理することができる。
【0092】
その他の実施形態と同様に、LED(s)636からのIR光が、例えば、マーカ640のアンテナに接続されたスイッチ(図示せず)を開閉するなど、2つのフォームファクタ間でマーカ640を交互に切り替えて、マーカ640の反射特性を変調する。周期的なIR LED変調によって生じるマーカ640の反射特性の周期的な切り替えによって、両方のクワドラチャ成分(I及びQ)は変調信号を含む。I及びQデータ中のこれらの変調成分の振幅は、同期クワドラチャ変調検出器630によるアルゴリズムを用いて計算し、それぞれI及びQを得る。次いで、伝播遅延に関連するRF信号の減衰及び位相シフト(φ)に関連する振幅Aは、以下の式で計算できる。
【0093】
【0094】
これらの量を使用して、プロセッサ630は伝搬時間と減衰の相対的変化、したがって較正方法を用いて伝播速度又は範囲を知る範囲変更を計算することができる。結果として得られた値は、例えば、出力コントローラ630dを介してユーザに、プローブからマーカ640までの位置及び/又は距離の指標として、一又はそれ以上の出力装置638に出力することができる。
【0095】
例示的な方法では、システム610は、例えば、本明細書のその他の実施形態と同様に、リターン信号の振幅を最初に使用して、マーカ640を認識及び/又は検出することができる。マーカ640が認識されると、システム610は、振幅と位相シフトの両方を用いて、範囲検出、すなわちアンテナ660からマーカ640までの距離を提供することができる。図19は、システム610の概略図であり、システム610によって画定された様々な経路を使用して組織90内に埋め込まれたマーカ640の範囲検出のための例示的な方法を示す。
【0096】
図19に示すように、IQ復調器は、図17に示す位相スプリッタ664と混合器626I、626Qを具えており、信号発生器620によって生成された送信信号に対するマーカ640からのリターン信号からのクワドラチャ成分I及びQが生成される。リターン信号(SIQ)は、2つの成分を含む。
【0097】
IQ=Sinterface+Smarker
【0098】
ここで、Sinterfaceは、ほとんどが図19の経路0-1-3に沿った伝播遅延から生じる信号、すなわち、信号発生器620からアンテナ660へ送られ、サーキュレータ662を通ってIQ復調器へ戻る信号であり、Smarkerは、経路0-2-3に沿った伝搬遅延から生じる信号、すなわち、信号発生器620からアンテナ660及び組織90を介してマーカ640へ送られ、IQ復調器に戻る信号である。これらは:
【0099】
interface = Aexp(iλc D013
【0100】
marker = A exp(iλ013+iλ121)、
として規定される。
【0101】
ここで、D121は、アンテナ660のインターフェースからマーカ640までの距離又は範囲の2倍である。A及びAは、それぞれ、インターフェースとマーカ反射の複素振幅であり、それぞれ伝搬の減衰及び反射位相シフトを捕捉する。マーカ640からの比較的小さい反射のために、A>>A及びSIQの位相は主にSinterfaceの位相によって決定される。A振幅の値は、上述したように、光パルスによるマーカ反射の変調により時間的に変化し、以下のように変化する。
【0102】
IQ IR on=Aexp(iλ013+A IR onexp(iλ013+iλ121
【0103】
IQ IR off=Aexp(iλ013+A IR offexp(iλ013+iλ121
【0104】
IQ復調器は、信号発生器620から元の信号を取り込むことができ(例えば、図17に示す分割器622によって分割される)、これは図19の経路0-4に対応する。この取り込んだ信号を信号3と混合して、例えば図20A図20Bに示すように、平面I、Q内のベクトルと考えることができる2つのDC信号I及びQを生成する。このベクトルは、マーカ640の反射特性が変化するにつれて、例えば、SIQ LED onとSIQ LED offとの間で、周期的な光パルスがオン及びオフすることによって変化する。ベクトルSIQは、上述したように、送信-リターン経路内の二つの反射、すなわち、SinterfaceとSmarkerを表わす二つの主要な構成要素からなる。Sinterfaceは環境反射を含み、これは主として組織表面とのアンテナインターフェースからの寄与で一定のままであり、Smarkerはマーカ640から反射された信号を表わす。
【0105】
IQ復調器は、結果として生じるベクトル成分を取り込み、最良近似又はその他のアルゴリズムを用いて、その範囲、すなわちアンテナからマーカ640までの距離に対応する出力を提供することができる。
【0106】
本明細書の任意の実施形態と共に示された要素又は構成要素は、特定の実施形態の例示であり、本明細書に開示された他の実施形態上で、又はそれらと組み合わせて使用されてもよいことが理解されよう。
【0107】
本発明は、様々な修正及び代替形態が可能であるが、その特定の例が図面に示されており、本明細書において詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態又は方法に限定されるものではなく、逆に、本発明は、特許請求の範囲内に入るすべての修正、均等物及び代替物を包含するものであることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6-7】
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20