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特許7030741微量検体採取スワブ、微量検体を採取する方法、及び微量検体採取スワブ分配システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】微量検体採取スワブ、微量検体を採取する方法、及び微量検体採取スワブ分配システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
G01N1/04 V
【請求項の数】 30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019087252
(22)【出願日】2019-05-07
(62)【分割の表示】P 2016503498の分割
【原出願日】2014-03-10
(65)【公開番号】P2019179032
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2019-06-05
(31)【優先権主張番号】61/802,890
(32)【優先日】2013-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513170164
【氏名又は名称】スミスズ ディテクション モントリオール インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】ポール クリストファー ピーター トムソン
(72)【発明者】
【氏名】アーティン ジェイ パテル
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-003413(JP,A)
【文献】特開2004-212073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0113906(US,A1)
【文献】特開2004-028698(JP,A)
【文献】特開2005-341870(JP,A)
【文献】特開2008-064618(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01022554(EP,A1)
【文献】特表2008-546715(JP,A)
【文献】米国特許第05741984(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微量検体採取スワブであって:
紙を含む基板であって、微量検体が採取される対象の表面に押し当てられる微量検体採取領域を有する表面をなす基板と;及び
前記微量検体採取領域内で前記基板の前記表面に配置したコーティングパターン部であって、前記コーティングパターン部は、前記微量検体採取領域を前記対象の表面に押し当てられたときに前記対象の表面から前記微量検体の粒子を採取するためのポリイソブチレンを含むコーティングが塗布される第1領域と、前記コーティングが塗布されない第2領域とを含む、コーティングパターン部と、
を備える、微量検体採取スワブ。
【請求項2】
微量検体採取スワブであって:
アラミドポリマーを含む基板であって、微量検体が採取される対象の表面に押し当てられる微量検体採取領域を有する表面をなす基板と;及び
前記微量検体採取領域内で前記基板の前記表面に配置したコーティングパターン部であって、前記コーティングパターン部は、前記微量検体採取領域を前記対象の表面に押し当てられたときに前記対象の表面から前記微量検体の粒子を採取するためのポリイソブチレンを含むコーティングが塗布される第1領域と、前記コーティングが塗布されない第2領域とを含む、コーティングパターン部と、
を備える、微量検体採取スワブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の微量検体採取スワブであって、
前記基板は、第1色彩を有し、
前記コーティングパターン部は、第2色彩を有し、
該第2色彩は前記第1色彩と異なるものである、微量検体採取スワブ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の微量検体採取スワブであって、
前記コーティングは、ドーパントを含む、微量検体採取スワブ。
【請求項5】
請求項4に記載の微量検体採取スワブであって、
前記ドーパントは、較正材料を含む、微量検体採取スワブ。
【請求項6】
請求項4に記載の微量検体採取スワブであって、
前記ドーパントは、前記微量検体の前記粒子と結合するよう構成された反応材料を含む、微量検体採取スワブ。
【請求項7】
請求項4に記載の微量検体採取スワブであって、
前記ドーパントは、トレーサー材料を含む、微量検体採取スワブ。
【請求項8】
請求項4に記載の微量検体採取スワブであって、
前記ドーパントは、蒸気採取材料を含み、
該蒸気採取材料は、蒸気の形態として前記微量検体の粒子を採取するよう構成する、微量検体採取スワブ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の微量検体採取スワブであって、
前記基板は、前記微量検体採取スワブの識別を行うように構成した識別子を備える、微量検体採取スワブ。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の微量検体採取スワブであって、
前記基板は、搭乗券をなし、
該搭乗券は、バーコードを含み、
該バーコードは、前記コーティングが採取した前記微量検体の前記粒子を、前記搭乗券の所持者と関連付けるよう構成する、微量検体採取スワブ。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の微量検体採取スワブであって、
前記基板は、バーコードを含むパッケージをなし、
前記バーコードは、前記コーティングが採取された前記微量検体の前記粒子を、前記パッケージの郵送者と関連付けるよう構成する、微量検体採取スワブ。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の微量検体採取スワブであって、
前記基板は、1つ又は複数のブラシュの剛毛を備える微量検体採取スワブ。
【請求項13】
分析のために微量検体を採取する方法であって、
微量検体が採取される対象の表面から微量検体を採取するために、スワブの微量検体採取領域に前記対象の表面を接触させるステップであって、前記微量検体採取領域は、前記対象の表面から前記微量検体を採取するためのポリイソブチレンを含むコーティングを有する、ステップと、
分析のために前記微量検体を脱離させるよう前記スワブを加熱するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記微量検体を分析するステップをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記微量検体を分析するステップは、イオン移動度分光分析、質量分析、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、及び高性能液体クロマトグラフィの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載の方法であって、
前記加熱するステップは、前記スワブを抵抗加熱するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか一項に記載の方法であって、
前記コーティングは、微量検体採取領域内の基板上のパターンとして塗布される、方法。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記コーティングはドーパントを含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記ドーパントは、較正材料を含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記ドーパントは、前記微量検体の粒子と結合するよう構成された反応材料を含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記ドーパントは、トレーサー材料を含む、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、
前記ドーパントは、蒸気採取材を含み、前記蒸気採取材は、蒸気の形態として前記微量検体の粒子を採取するよう構成される、方法。
【請求項23】
請求項13~22のいずれか一項に記載の方法であって、
前記スワブ上の識別子を用いて前記スワブを識別するステップをさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項13~23のいずれか一項に記載の方法であって、
前記スワブは、搭乗券に取付けられ、前記搭乗券は、バーコードを含み、前記バーコードは、前記コーティングにより採取される前記微量検体を前記搭乗券の所持者と関連付けるよう構成される、方法。
【請求項25】
請求項13~24のいずれか一項に記載の方法であって、
前記スワブは、バーコードを含む郵送物に取付けられ、前記バーコードは、前記コーティングによって採取される前記微量検体を前記郵送物の郵送者と関連付けるよう構成される、方法。
【請求項26】
微量検体採取スワブであって:
微量検体が採取される対象の表面に押し当てられる微量検体採取領域を有する表面を含む基板と;及び
前記微量検体採取領域内で前記基板の前記表面に配置したポリイソブチレンのコーティングであり、前記微量検体採取領域を前記対象の表面に押し当てられたときに前記対象の表面から前記微量検体の粒子を採取するために微視的粘着性を有するよう構成する、該コーティングと、
を備え;
前記コーティングは、前記微量検体採取領域内で前記基板上のパターンとして塗布し、前記パターンは、前記コーティングを塗布しない少なくとも1つの第1領域と、前記コーティングを塗布した少なくとも1つの第2領域とを備え、前記少なくとも1つの第1領域は、第1タイプの微量検体の粒子を採取するよう構成し、前記少なくとも1つの第2領域は、前記少なくとも1つの第1領域により効率的に採取されない第2タイプの微量検体の粒子を採取するよう構成する、微量検体採取スワブ。
【請求項27】
微量検体採取スワブであって:
微量検体が採取される対象の表面に押しあてられる微量検体採取領域を有する表面を含むスワブ基板と、
前記微量検体採取領域内で前記スワブ基板の前記表面に配置した、ポリイソブチレンを含むコーティングであり、前記コーティングは、乾いた感触に構成され、知覚できるほどの粘着性はないが、前記微量検体採取領域が前記対象の表面に押し当てられたときに前記対象の表面から前記微量検体の粒子を採取する微視的粘着性を呈し、前記微量検体採取領域内の基板上のパターンとして塗布される、微量検体採取スワブ。
【請求項28】
微量検体採取スワブ分配システムであって
請求項1~12、26、及び27のいずれか一項に記載の、複数の基板は、取外し可能にともに結合される、微量検体採取スワブ分配システム。
【請求項29】
請求項28に記載の微量検体採取スワブ分配システムであって、
前記基板それぞれの表面に配置された剥離可能な粘着剤をさらに備え、前記剥離可能な粘着剤は、基板それぞれを隣接基板に取外し可能に結合するよう構成される、微量検体採取スワブ分配システム。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の微量検体採取スワブ分配システムであって、
前記複数の基板は、ロール状に取り付けられ、前記複数の基板の各1つはロールにおけるミシン目区域を介して順次に端部を突合せて結合される、微量検体採取スワブ分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
この出願は、2013年3月18日に出願された、発明名称「微量検体採取スワブ」の
米国仮出願第61/802,890号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書
に組み入れられるものとする。
【背景技術】
【0002】
微量検体検出とは、多くの場合ナノグラムからピコグラムレベルでの僅かな量の検体検
出のことである。微量検体検出には数多くの適用例がある。例えば、微量検体検出は、特
にセキュリティ用途、例えば、爆発物、麻薬、若しくは生物的汚染物質における成分であ
って、これら成分の僅かな量が個人(個体)またはパッケージ若しくはバックの外側に堆
積しているような成分に関して個人(個体)または物品をスクーリングする用途に有用で
ある。微量検体検出には様々な異なる技術を使用することができる。これらの方法には、
イオン移動度分光分析(IMS: ion mobility spectrometry)、質量分析、ガスクロマ
トグラフィ、液体クロマトグラフィ及び高性能液体クロマトグラフィ(HPLC:high pe
rformance liquid chromatography)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
微量検体採取スワブの採取(または収穫)効率は、採取される異なる化学物質、使用す
るスワブの材質、及びスワブ採取される異なる表面ごとに変動する。いくつかの実例では
、従来の採取スワブを使用する表面からの微量検体の採取効率は、いくつかの化学物質に
対して極めて低いかゼロとなることがある。例えば、ビニール(例えば、「レザーレット
」)の表面から、粉末化学物質である、トリニトロトルエン(TNT:Trinitrotoluene
)を採取するのに、NOMEX(登録商標)またはシャークスキン材料から形成したスワブを
使用する場合、採取または収穫効率は、従来の検出器の最小アラームレベル能力の50倍
でさえも、事実上ゼロ(0)である。
【0004】
その結果、従来のスワブの採取効率の向上が望まれている。国立科学技術研究所(NI
ST:National Institute for Science Technology)は、1/2パーセント(0.5%
)の爆発物をドープした、24マイクロメートル(24μm)のポリマー球体の採取効率
を向上する方法を記載している。記載された方法は、ヌシル(NuSil)社製の粘着性のあ
る(手触りが)シリコーン材料CV3-1161を使用した。NISTは、シリコーン粘
着性材料を使用してポリマー球体に対する捕集効率を著しく向上させた。しかしながら、
スワブ表面にヌシル社のCV3-1161シリコーンを5%装荷して使用すると、拭き取
り後の基板表面にシリコーンの識別可能な筋が残る。コーティング材料が採取基板に残存
すると、採取された爆発物もまた表面に残ることがある。加えて、ヌシル社のCV3-1
161及び同様の二液タイプ粘着剤を使用するのは、そのような二液タイプ粘着剤では、
適用に先立ち正確な量のポリマー基材及び触媒が十分に混合される必要がある点で困難で
ある。更に、触媒は凍結温度未満(<0℃)で保存しなければならない。更に、混合シリ
コーン粘着剤のポットライフは短く、数時間の程度である。また更に、粘着剤の最終コー
ティングは高温で硬化されなければならない。また、ヌシル社のCV3-1161及び他
の二液タイプ粘着剤は有害物質である過酸化物触媒を含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、採取効率を高めるために、微視的粘着性物質で少なくとも部分的にコーテ
ィングされた採取表面を有する微量検体採取スワブを記載する。実施形態では、微量検体
採取スワブは、微量検体採取領域を有する表面をなす基板と、この微量検体採取領域内で
基板の表面に配置したコーティングとを備える。このコーティングは、微量検体採取領域
を表面に当てつけるときに、表面から微量検体の粒子を採取するために微視的粘着性を呈
するように構成する。
【0006】
実施形態では、コーティングはポリイソブチレン(PIB)を含む。コーティングは微
量粒子採取領域内の基板上のパターンとして塗布することができる。このパターンは、コ
ーティングを塗布する1つ又は複数の第1領域、及びコーティングを塗布しない1つ又は
複数の第2領域を備えることができる。1つ又は複数の第1領域は第1タイプの微量検体
の粒子を採取するよう構成し、一方、1つ又は複数の第2領域は、少なくとも1つの第1
領域では低い採取効率でしか採取されない、あるいは採取されない、第2タイプの微量検
体の粒子を採取するよう構成する。実施形態では、基板は第1色彩を有し、コーティング
は第2色彩を有し、この第2色彩はこの第1色彩と異なるものとする。
【0007】
実施形態では、コーティングはドーパントを含む。ドーパントは検出器の較正のための
較正材料とすることができる。ドーパントは、スワブを表面に当てつけるとき、微量検体
と結合するよう構成した反応材料を含むことができる。ドーパントはスワブの特徴を示す
ように使用することができるトレーサー材料を含むことができる。ドーパントは、蒸気の
形態として微量検体の粒子を採取するよう構成した蒸気採取材を含むことができる。
【0008】
実施形態では、基板は、紙、フィルター紙(例えば、ワットマン社製のシャークスキン
フィルター紙)、アラミドポリマー材料(例えば、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール
・アンド・カンパニー製のNOMEX材料)、等を含む。基板は採取棒に取り付けることがで
きる。他の実施形態では、基板は、1つ又は複数のブラシ剛毛を備える。基板は、スワブ
の識別を行うために、バーコード、RFIDタグ、等のような識別子を設けることができ
る。例えば、ある実施形態では、基板は、搭乗券、チケット、等のような書面の一部をな
す。搭乗券は、コーティングにより採取される微量検体の粒子を搭乗券の所持者と関連付
けるように構成したバーコードのような識別子を含むことができる。同様に、別の実施形
態では、基板はパッケージの一部をなす。パッケージは、コーティングにより採取される
微量検体をパッケージの郵送者及びまたは受取り者と関連付けるように構成したバーコー
ドを含むことができる。
【0009】
実施形態では、複数の基板は、個々のスワブを分配するように構成された微量検体採取
スワブ分配システムで互いに取外し可能に結合することができる。
【0010】
採取効率を高めるために、微視的粘着性物質で少なくとも部分的にコーティングした採
取表面を有する微量検体採取スワブを記載する。実施形態では、微量検体採取スワブは、
微量検体採取領域を有する表面をなす基板と、及びこの微量検体採取領域内で基板の表面
に配置したコーティングとを備える。このコーティングは、微量検体採取領域を表面に当
てつけるときに、表面から微量検体の粒子を採取するために微視的粘着性を呈するように
構成する。一実施形態では、コーティングはポリイソブチレンを含む。
【0011】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記載する概念を簡略化した形式で概念選択を導
入するために提供するものである。この概要は、特許請求の範囲に記載した主題の主要な
構成や本質的な構成を特定することを意図したものではなく、特許請求の範囲に記載した
主題の範囲を決定する目的として使われることを意図したものでもない。
【0012】
詳細な説明は添付図面を参照して記載する。説明及び図面中異なる例で同一参照符号の
使用は、類似または同一の事物を示す。
【0013】
微量検体検出スワブの例示的実施形態を添付図面につき以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す頂面図である。
図2図1に示す微量検体採取スワブの側面図である。
図3】コーティングをパターン形成した本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す部分頂面図である。
図4】コーティングをパターン形成した本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す部分頂面図である。
図5】コーティングをパターン形成した本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す部分頂面図である。
図6】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す部分頂面図であり、基板は第1色彩を有し、コーティングは第1色彩と異なる第2色彩を有している。
図7】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す部分頂面図であり、基板は第1色彩を有し、コーティングは第1色彩と異なる第2色彩を有している。
図8】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブ分配システムを示す等角図であり、基板それぞれを隣接基板に積層形態にして取外し可能に結合するよう、剥離可能な粘着剤が基板それぞれの表面に配置する。
図9】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブ分配システムを示す等角図であり、複数の基板をロール状に取り付け、複数の基板の各1つをロールにおけるミシン目区域を介して順次に端部を突合せて結合する。
図10】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す等角図であり、微量検体採取スワブの基板が、航空機搭乗券、チケット、等のような書面の一部を構成する。
図11】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す等角図であり、微量検体採取スワブの基板がパッケージの一部を構成する。
図12】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す頂面図であり、基板は、使用の前に円錐形状に巻かれてほぼ三角形状を有する3次元的基板を構成する。
図13】本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブを示す頂面図であり、スワブはブラシを構成する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的実施形態
図1図9は、本発明の例示的実施形態による微量検体採取スワブ100を示す。図示
のように、微量検体採取スワブ100は、微量検体採取領域104を有する表面をなす基
板102と、及びこの微量検体採取領域104内で基板102の表面に配置したコーティ
ング106とを備える。実施形態では、コーティング106を基板102の表面に配置す
ることができ、この配置は、表面にコーティング材料を被覆する、表面にコーティング材
料を堆積する、表面にコーティング材料をスプレーする、表面を通して基板102にコー
ティング材料を染み込ませる、これらを組み合わせる、等々により行うことができる。こ
のようにして、微量検体採取スワブ100の基板102の表面に配置したコーティング1
06は、基板102の表面に配置することができる、及び/又は基板102の表面に染み
込ませることができる。
【0016】
実施形態では、基板102は、紙、フィルター紙(例えば、ワットマン社製のシャーク
スキンフィルター紙)、アラミドポリマー材料(例えば、イー・アイ・デュポン・ド・ヌ
ムール・アンド・カンパニー製のNOMEX材料)、等のような適切な基板材料を含む。基板
102は、イオン移動度分光分析(IMS)、質量分析、ガスクロマトグラフィ、液体ク
ロマトグラフィ、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、それらの組み合わせ等を含
む様々な検出技術のいずれかを用いることができる化学物質/爆発物の検出器が受け取る
ように構成することができる。例えば、図示の実施形態では、基板102は、1つ又はそ
れ以上の微量検体の粒子を採取するよう表面に当てつけ、次に採取した粒子が脱離する検
出器に挿入することができるほぼ長方形状の一片の基板材料(例えば、紙、フィルター紙
、アラミドポリマー材料等)から構成することができる。この実施形態の特定の例では、
基板102は、6.35cm(2.5インチ)の長さ及び2.54cm(1インチ)の幅
を有する一片の基板材料から構成することができる。この例では、基板材料は1平方メー
トル当たり約80グラム(20ポンド)の紙重量を有する紙から構成することができる。
しかし、基板材料が1平方メートル当たり80グラム(20ポンド)より重いまたは軽い
紙重量を有する紙から構成することも考えられる。更に、基板材料は、また、フィルター
紙、アラミドポリマー材料、それらの組み合わせ、等から構成することができるも考えら
れる。その上、基板102は他の形状(例えば、正方形、楕円形、三角形、円形、不規則
形、等)を有することができると考えられる。基板102の表面は、平滑面とすることが
でき、粗面とすることができる。
【0017】
実施形態では、基板102は採取棒に取り付けるように構成することができる。例えば
、粘着剤は、コーティング106と反対側の基板の表面に(例えば、基板102の微量検
体採取領域104の裏面に)配置することができ、これにより採取棒(図示せず)へのス
ワブ100の取り付け及び/又は採取棒からのスワブ100の取り外しを容易にする。
【0018】
コーティング106は、微量検体採取領域104を表面に当てつける(例えば、圧着さ
せる)とき、表面から微量検体の粒子を採取するのに微視的粘着性を呈するように構成す
る。実施形態では、コーティングは、PIB 4Tまたは他のPIB製剤のような製剤を
有するポリイソブチレン(PIB)を含む。PIBは、約59,000のゲル浸透クロマ
トグラフィ(Gel Permeation Chromatography:GPC)の分子量を有するものとするこ
とができる。PIB(例えば、PIB 4Tまたは他のPIB製剤)は、人間または動物
に対して有害なものではなく、室温で無期限に保存でき、容易にヘキサンに溶解し、溶液
中で安定であり、ほぼポットライフを持たないものである。
【0019】
コーティング106は、実施形態では、PIB(例えば、PIB 4Tまたは他のPI
B製剤)を含むものであり、知覚できるほどの粘着性又は付着性はなく(例えば、コーテ
ィング106は乾いた感触である)、サンプル採取している表面に粘着せず、微量検体の
粒子に対する微視的粘着性を呈する(例えば、微視的に見て粘着性又は付着性がある)。
これに加えて、コーティング106は、微量検体採取領域104がスワブ採取すべき表面
に当てつけるとき、残留物を残さない。乾燥粒子にとって、コーティング106は、コー
ティング106を設けていないスワブと比較して、スワブ採取されている表面からのスワ
ブ100の採取(採取または「収穫」)効率を向上させる。コーティング106は微視的
に見て微量検体である採取した粒子をスワブ100に粘着し、その結果検出中に採取した
粒子が遊離してスワブ100から落下しない。更に、コーティング106は、普通なら急
速に蒸発する揮発性微量化学物質を保持することができる。コーティング106は、劣化
せずに高温被曝に対する耐性を有し、加熱された検出器で微量検体採取スワブ100の使
用を可能とする。その上、コーティングは、加熱されたとき、普通なら採取した検体を汚
染し得る揮発性物質のガス放出を制限するか、またはなくするものである。
【0020】
実施形態では、コーティング106は微量化学物質のようなドーパントを含み、このド
ーパントは、その後検出器による脱離中放出されることになる。様々なドーパントをコー
ティング106に適用することができると考えられる。例えば、実施形態では、ドーパン
トは検出器の較正のための較正材料を含むことができる。別の実施形態では、スワブ10
0を採取される表面に当てつけるとき、ドーパントは微量検体の粒子と結合するよう構成
した反応材料を含むことができる。反応材料は、例えば、表面から微量検体の粒子を採取
するのに役立てる、スワブ100に微量検体の粒子を粘着するのに役立てる、及び/又は
スワブ100から微量検体の粒子を脱離するのに役立てることができる。別の実施形態で
は、ドーパントは、その後に加熱または脱離の際に放出される蒸気の形態として、微量検
体の粒子を採取するよう構成した蒸気採取材を含むことができる。蒸気吸着材の例には、
木炭、TENAX(登録商標)のようなクロマトグラフィ吸収材、等が含まれる。別の実
施形態では、ドーパントは、脱離するとき、スワブ100の特徴を示すのに使用すること
ができるトレーサー材料を含むことができる。例えば、コーティング106には、スワブ
100の信ぴょう性を立証するトレーサー材料をドープすることができる。また、コーテ
ィング106は、微量検体を採取するためのスワブの適切性を示すトレーサー材料をドー
プすることもできる。その上、コーティングには、複数の用途でスワブ100の寿命を示
す(例えば、スワブ100がその耐用寿命を超えたときを示す)トレーサー材料をドープ
することができる。また、コーティング106には、検出器と組み合わせて使用するとき
、検出器の適正動作を示すために、有効最小応答性を与えるトレーサー材料をドープする
こともできる。
【0021】
実施形態では、コーティング106は、微量検体採取領域104の制限された部分(例
えば、領域)の上方に塗布し、その結果、微量検体の採取された粒子は、微量検体の脱離
のため検出器に送るように一ケ所に集める。例えば、コーティング106によりカバーさ
れる位置及び領域を、スワブ100が使用される検出器の入口開口の位置及び領域と、少
なくともほぼ一致させることができる。図1に示す実施形態では、コーティング106は
、基板102の微量検体採取領域104の円形の領域の上方に塗布する。一特定の例では
、円形の領域は約1.905cm(0.75インチ)の直径を有する。しかし、コーティ
ング106が上方に塗布する基板102の一部は、他の形状及び面積を有することもでき
ると考えられる。
【0022】
実施形態では、コーティング106は、微量粒子採取領域104内の基板102上のパ
ターン108として塗布する。図3、4及び5は、微量検体採取スワブ100の例を示し
、コーティング106をパターン形成する。これら図面に示すように、パターン108は
、コーティング106が塗布される1つ又は複数の第1領域110と、コーティングを塗
布しない1つ又は複数の第2領域112とを備えることができる。1つ又は複数の第1領
域110は、第1タイプの微量検体の粒子を採取するよう構成し、一方、1つ又は複数の
第2領域112は、第2タイプの微量検体の粒子を採取するよう構成する。このようにし
て、例えば、コーティング106は、コーティングされていないスワブ表面には効率的に
粘着しないTNTのような粉末化学物質の粒子を採取するために、1つ又は複数の第1領
域110に塗布することができ、一方、コーティングが塗布されていない第2領域112
は、コーティング106に対してよりもコーティングされていないスワブ表面に効率的に
粘着する、またはコーティング106には粘着しない、付着性微量化学物質の粒子を採取
することができる。加えて、第2領域112は、スワブ表面を露出させることができ、そ
の結果、吸収材とすることができるスワブ材料は、普通なら微量検体を汚染する、または
微量検体の採取を抑止する可能性のある微量の水分を逃がすことができる。更に、コーテ
ィング106のパターン形成により、スワブの使用説明、バーコード、ロゴ、またはその
他の市場情報等のような標章印刷を容易にすることができる。図3、4及び5は、異なる
コーティングパターン108を示す。図3では、コーティング106は、第1領域110
及び第2領域112が散在的な同心状のリングを備えるようにパターン形成される(例え
ば、基板102は「標的」パターンでパターン形成される)。図4では、第1領域110
及び第2領域112が、交互の正方形に配列される(例えば、コーティング106は「市
松模様」パターン108でパターン形成される)。図5では、第1領域110及び第2領
域112は交互ストライプとしてパターン形成される(例えば、コーティング106は互
いに離間した棒状パターン108としてパターン形成される)。また、その他のパターン
108も用いることができる。
【0023】
実施形態では、コーティング106は透明または半透明とすることができる。他の実施
形態では、コーティング106は着色することができ、その結果、基板102が第1色彩
を有し、コーティング106が第2色彩を有し、第2色彩は第1色彩と異なるものとする
ことができる。このようにして、スワブ100のコーティング106は、スワブ100の
いずれの側を使用してサンプルを採取するか、拭き取り圧力を適用する基板102上(例
えば、微量検体採取領域104の背後のコーティング106とは反対側の表面上)の場所
、サンプル採取棒におけるスワブ100の適正場所、等を示すように機能することができ
る。図6及び7は、微量検体採取スワブ100の例を示し、基板102は第1色彩を有し
、コーティング106は第1色彩と異なる第2色彩を有する。図6では、コーティング1
06は、円形領域の上に塗布され、白色の基板102に対して青色で着色されるように示
される。図7では、コーティング106は、コーティング106を設ける第1領域110
と、及びコーティング106を設けない第2領域112とを有する市松模様パターン10
8でパターン形成する。第2領域112に塗布されるコーティング106は、第1領域1
10における白色の基板102に対して赤色で着色されるように示される。しかし、コー
ティング106は別の色、色の組み合わせ(例えば、緑色と黄色、赤色と青色、色とりど
りのロゴ等)、等で着色することもできると考えられる。
【0024】
実施形態では、スワブ100の識別を行うために、微量検体採取スワブ100の基板1
02には識別子114を設けることができ、この識別子114は、バーコード、無線自動
識別(RFID)タグまたはパッチ、識別標章、それらの組み合わせ、等のように機械可
読式とすることができる。例えば、図1で、基板102は、2次元(2D)バーコードに
より構成される識別子114を備えるように示される。実施形態では、識別子114は、
スワブ100の信ぴょう性を立証するため、微量検体を採取するためのスワブの適切性を
示すため、複数の用途でのスワブ100の寿命を示すため(例えば、スワブ100がその
耐用寿命を超えたときを表示する)、等に使用することができる。
【0025】
実施形態では、複数の基板102は、個々のスワブ100を分配するように構成された
微量検体採取スワブ分配システムで共に着脱可能に結合することができる。図8及び9は
、本発明の例示的実施形態に係る微量検体採取スワブ分配システム800、900を示す
【0026】
図8に示す実施形態では、微量検体採取スワブ分配システム800は、積層配列で共に
着脱可能に結合された複数の基板102を備える。例えば、剥離可能な粘着剤802は、
微量検体採取領域104及びコーティング106(例えば、スワブ100の裏側)と反対
側の基板102それぞれの表面における端部部分に塗布することができる。しかし、実施
形態では、コーティング106は、追加の剥離可能な粘着剤802を使わずに基板102
を共に結合するために、十分な付着性を呈するよう形成することも考えられる。剥離可能
な粘着剤802(または付着性コーティング106)は、積層配列で基板102それぞれ
の底面を隣接する基板102の上面に着脱可能に結合するように構成する。このようにし
て、コーティング106が配置される基板102の表面は閉塞され、したがって、汚染か
ら保護される。コーティング106を含む基板102の表面を閉塞または保護することに
より、原材料スワブを微量検出スワブとして使用するのに適切となるようにするために、
原材料スワブの洗浄用に一般的に用いられる洗浄工程を軽減または省略することができる
【0027】
図8に示すように、スワブ100の識別を行うために、微量検体採取スワブ100それ
ぞれの基板102には識別子114を設けることができ、この識別子114は、バーコー
ド、RFIDタグまたはパッチ、識別標章、それらの組み合わせ、等のように機械可読式
とすることができる。実施形態では、分配されたとき、識別子114はスワブ100の信
ぴょう性を立証するため、微量検体を採取するためのスワブの適切性を示すため、等に使
用することができる。実施形態では、それぞれの微量検体採取スワブ100の基板102
は、採取棒に取り付けるように構成することができる。例えば、粘着剤は、コーティング
106と反対側の基板の表面に(例えば、基板102の微量検体採取領域104の裏面に
)配置することができ、これにより採取棒(図示せず)へのスワブ100の取り付け及び
/又は採取棒からのスワブ100の取り外しを容易にする。
【0028】
図9に示す実施形態では、微量検体採取スワブ分配システム900は、微量検体採取ス
ワブ100のロール904を収納する分配装置902を備え、スワブ100の基板102
それぞれは、ロール904内のミシン目区域906(ほぼV字状とすることができる)を
介して端部突合せ結合する。ミシン目区域906により、使用するために、個々のスワブ
100をロール904から切り離すことができる。やはり、コーティング106を配置し
た基板102の表面は閉塞され、したがって、汚染から保護され、その結果、原材料スワ
ブを微量検出スワブとして使用するのに適切にするよう、原材料スワブの洗浄用に一般的
に用いられる洗浄工程を軽減または省略することができる。
【0029】
微量検体採取スワブ100は、個々の残留する微量物質を取り扱うことができる別のア
イテムまたはデバイスの一部として製造することができ、または個々の残留する微量物質
を取り扱うことができる別のアイテムまたはデバイスの一部に取り付けることができる。
実施形態では、微量検体採取スワブ100は、航空機の搭乗券、チケット、等のような書
面の一部を構成することができ、または、航空機の搭乗券、チケット、等のような書面に
取り付けることができる。例えば、図10に示すように、微量検体採取スワブ100の基
板102は、航空機の搭乗券1000の一部を構成するものとして示す。図示の実施形態
では、搭乗券1000またはそれらの一部は、上述のように適切な基板材料で製造され、
航空会社、米国運輸保安庁(TSA:States Transportation Security Administration
)のような行政体、等が保有する部分1002、及び航空機への搭乗に先立ち旅行者に付
与される付与部分1004を含むことができる。以下に示すように、保有部分1002は
、旅行者が扱う可能性のある搭乗券の領域に位置決めした微量検体採取領域104と、並
びに検出及びまたは分析の目的で旅行者の手から微量検体を採取するために微量検体採取
領域104内の基板102の表面に配置したコーティング106とを含む。他の実施形態
では、微量検体採取スワブ100は、分析等のために、航空会社、行政体、等が取り外し
て保有する搭乗券1000の一部分(例えば、剥離可能なステッカー、ミシン目区域等)
を備えることができる。さらに、搭乗券1000は、バーコード、RFIDタグ若しくは
パッチ、または同様なもの等、コーティング106により採取される微量検体の粒子を搭
乗券1000のホルダーと関連付けるよう構成した識別子1006を含むことができる。
【0030】
他の実施形態では、微量検体採取スワブ100は、封筒、パッケージ、等のような郵送
物の一部を備える、又は郵送物に取り付けることができる。例えば、図11に示すように
、微量検体採取スワブ100の基板102がパッケージ1100の一部をなすものとして
示す。図示の実施形態では、パッケージ1100またはフラップ1102のようなパッケ
ージの一部を、上述したような適切な基板材料で作製する。しかし、他の実施形態では、
基板102は、パッケージ1100に(例えば、剥離可能なステッカー、宛名ラベル、ス
タンプ等を介して)付着することができ、付着した基板は分析等のために、後にパッケー
ジ1100から取り外す。図示のように、パッケージ1100は、検出及びまたは分析の
目的で郵送者の手から微量検体を採取するために、微量検体採取領域104内の基板10
2の表面に配置されたパッケージ及びコーティング106を封印するときに、郵送者(例
えば、郵送物としてパッケージを預ける人、郵送前にパッケージを扱う人、等)が扱う可
能性のあるパッケージの一部に位置決めした微量検体採取領域104(例えば、フラップ
1102)を含む。実施形態では、パッケージ1100は、さらに、バーコード、RFI
Dタグ若しくはパッチ、または同様のもの等、コーティング106によって採取される微
量検体の粒子をパッケージ1100の郵送者及びまたは受取り者と関連付けるよう構成し
た識別子1106を含むことがきできる。
【0031】
上述した実施形態では、微量検体採取スワブの基板102は、基板材料のほぼ平坦なシ
ートを含む。しかし、基板102は必ずしもこの外形因子に限定する必要はないと考えら
れる。例えば、基板102は、基板材料シートから3次元的形状(例えば、円柱形、円錐
形、等)に整形された(例えば、折りたたまれた、巻かれた、浮き出された、等)ものと
して形成することができる。3次元的形状として整形されるとき、基板102は、サンプ
ル採取棒に取り付けることができ、このサンプル採取棒は、微量検体採取スワブ100を
、表面から検体を採取するために表面に対して転動させることができるように構成するこ
とができる。
【0032】
例えば、図12は、ほぼ三角形状(例えば、分円状)とする基板1202を含む微量検
体採取スワブ1200を示す。図示のように、基板1202は、微量検体採取領域120
4と、及び微量検体採取領域1204内の基板1202(例えば、円錐の外面に)に配置
したコーティング1206とを形成する外面を有する円錐形状としてロール状にすること
ができる。
【0033】
加えて、非シート状の外形因子を有する基板102を使うこともできると考えられる。
例えば、図13に示すように、示されている微量検体採取スワブ1300はブラシ130
2をなす。この実施形態では、基板はブラシ1302の剛毛1304により構成し、剛毛
1304は、表面から微量検体の粒子の採取するよう、コーティング1304で被覆する
ことができる。コーティング1306は、ブラシの剛毛1304が表面に当てつける(例
えば、ブラッシングする)とき、表面から微量検体の粒子を採取するために微視的粘着性
を呈するよう構成する。実施形態では、コーティングは、PIB 4Tまたは他のPIB
製剤のような製剤を有するポリイソブチレン(PIB)を含む。PIBは、約59,00
0のゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography:GPC)の分子量を
有するものとすることができる。PIB(例えば、PIB 4Tまたは他のPIB製剤)
は、人間または動物に対して有害なものではなく、室温で無期限に保存でき、容易にヘキ
サンに溶解し、溶液中で安定であり、ほぼポットライフを持たないものである。
【0034】
コーティング1306は、実施形態では、PIB(例えば、PIB 4Tまたは他のP
IB製剤)を含むものであり、知覚的できるほどの粘着性又は付着性はなく(例えば、コ
ーティング106は乾いた感触である)、サンプル採取している表面に粘着せず、微量検
体の粒子に対する微視的粘着性を呈する(例えば、微視的に見て粘着性又は付着性がある
)。これに加えて、コーティング1306は、ブラシの剛毛1304がスワブ採取すべき
表面に当てつける(例えば、ブラッシングする)とき、ほぼ残留物を残さない。このよう
にして、コーティング1306は、コーティング1306が設けていないスワブと比較し
て、スワブ採取される表面からのスワブ1300の採取(採取または「収穫」)効率を向
上させる。コーティング1306は微視的に見て微量検体の採取された粒子をスワブ13
00の剛毛1304に粘着し、その結果検出中に採取した粒子が遊離してスワブ1300
から落下しない。更に、コーティング1306は、普通なら蒸発する揮発性微量化学物質
の粒子を保持することができる。コーティング1306は、劣化せずに高温被曝に対する
耐性を有し、加熱された検出器で微量検体採取スワブ1300の使用を可能とする。その
上、コーティングは、加熱されたとき、普通なら採取した検体を汚染し得る揮発性物質の
ガス放出を制限するか、またはなくするものである。
【0035】
実施形態では、コーティング1306は微量化学物質のようなドーパントを含み、この
ドーパントは、その後検出器による脱離中放出されることになる。様々なドーパントをコ
ーティング1306に適用することができると考えられる。例えば、実施形態では、ドー
パントは検出器の較正のための較正材料を含むことができる。別の実施形態では、スワブ
1300を採取される表面に当てつけるとき、ドーパントは微量検体の粒子と結合するよ
う構成した反応材料を含むことができる。反応材料は、例えば、表面から微量検体の粒子
を採取するのに役立てる、スワブ1300に微量検体の粒子を粘着するのに役立てる、及
び/又はスワブ1300から微量検体の粒子を脱離するのに役立てることができる。別の
実施形態では、ドーパントは、その後に加熱または脱離の際に放出される蒸気の形態とし
て、微量検体の粒子を採取するよう構成した蒸気採取材を含むことができる。蒸気吸着材
の例には、木炭、TENAXのようなクロマトグラフィ吸収材、等が含まれる。別の実施
形態では、ドーパントは、脱離するとき、スワブ1300の特徴を示すのに使用すること
ができるトレーサー材料を含むことができる。例えば、コーティング1306には、スワ
ブ1300の信ぴょう性を立証するトレーサー材料をドープすることができる。また、コ
ーティング1306は、微量検体を採取するためのスワブの適切性を示すトレーサー材料
をドープすることもできる。その上、コーティングには、複数の用途でスワブ100の寿
命を示す(例えば、スワブ100がその耐用寿命を超えたときを表示する)トレーサー材
料をドープすることができる。また、コーティング1306には、検出器と組み合わせて
使用するとき、検出器の適正動作を示すために、有効な最小応答性を与えるトレーサー材
料をドープすることもできる。
【0036】
実施形態では、ブラシ1302にはキャップ付けをすることができ、その結果遠隔で採
取された微量検体の粒子をその後の汚染から保護することができる。ブラシ1302は再
利用可能なものとすることができる(例えば、適切な洗浄工程に従う)。実施形態では、
ブラシ1302は検出器の入口領域に直接挿入し、放射または対流により加熱する。他の
実施形態では、ブラシ1302の剛毛1304を作製する材料は、加熱工程に対して増加
した制御を行い、コーティングした剛毛1304の抵抗加熱を可能にするため、導電性を
有するものとすることができる。このように、加熱した入口を使用することで達成するよ
りも高い温度での加熱を可能とすることができる。加えて、抵抗加熱の使用により、勾配
付けした温度または固定温度による入口の使用で達成され得るよりも、もっと大きい割合
での温度勾配を可能とすることができる。このようにして、蒸気としての微量検体の採取
された粒子の放出は、信号振幅をより大きく、従って検出器の限界をより良くすることに
より、勾配付けした温度または固定温度の入口を使用するよりも、速くなる。
【0037】
主題は、構造的特徴及び/又は方法論的な行為に特有の言語で説明してきたが、添付の
特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも、記載された特定の特徴または行為に限ら
れるものではないということは言うまでもない。様々な形態につき詳述したが、装置、シ
ステム、サブシステム、コンポーネント、等々は、本発明から逸脱することなく多様な様
態で構成することができる。むしろ、特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実現する
例示的形態として記載するものである。
【符号の説明】
【0038】
100、1200、1300 微量検体採取スワブ
102、1202 基板
104、1204 微量検体採取領域
106、1206、1306 コーティング
108 パターン
110 第1領域
112 第2領域
114、1006 識別子
800、900 微量検体採取スワブ分配システム
902 分配装置
904 ロール
906 ミシン目区域
1000 航空機搭乗券
1002 保有部分
1004 付与部分
1100 パッケージ
1102 フラップ
1302 ブラシ
1304 剛毛
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13