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▶ アーベーベー・シュバイツ・アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】多視点による対象検査装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219589
(22)【出願日】2019-12-04
(62)【分割の表示】P 2018510332の分割
【原出願日】2015-08-26
(65)【公開番号】P2020064066
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2019-12-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ケファー
(72)【発明者】
【氏名】ジャファン・ジャン
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】樋口 宗彦
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-181114(JP,A)
【文献】特開平5-60538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-21/958
G01B11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多視点による対象検査装置(1)であって、
画像捕捉装置(10)と、
検査部位(11)と、
前記画像捕捉装置(10)に対して、前記検査部位(11)に位置付けられた対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを同時に反射するために配置された少なくとも2つの反射装置(12)とを含み、
前記画像捕捉装置(10)は、前記反射の少なくとも2つの異なる側面ビューを含むビューの範囲を有し、
前記対象検査装置(1)は、前記検査部位(11)に位置付けられた対象を支えるための第1の表面と、前記検査部位(11)における対象の底面ビューを、前記少なくとも2つの反射装置(12)のうちの第1の反射装置(12)に対して案内するように配置されたプリズム(20)であって、前記第1の表面から離れていく角度(β)を有する第2の表面とを有するプリズム(20)をさらに含み、
前記第1の反射装置(12)は、前記対象の底面ビューを受容し、受容された前記底面ビューを前記画像捕捉装置(10)に反射するものであり、
記プリズム(20)の前記第1の表面と前記第2の表面の間の角度(β)は、前記第1の反射装置(12)のビューの範囲において前記対象の前記側面ビューと前記底面ビューとをオーバーラップせずに含むように配置される、多視点による対象検査装置(1)
【請求項2】
前記少なくとも2つの反射装置(12)は、前記対象からを案内するように配置され、
前記2つの反射装置(12)のそれぞれは、前記画像捕捉装置(10)が前記対象から反射された前記対象の側面ビューを受容するように、前記画像捕捉装置(10)の光学軸に関して予め決定された角度(α)で傾斜ている、請求項1に記載の多視点による対象検査装置(1)
【請求項3】
前記少なくとも2つの反射装置(12)は、前記画像捕捉装置(10)が前記対象から反射された前記対象の上面ビューと、前記側面ビューとを同時に受容するように配置されている、請求項2に記載の多視点による対象検査装置(1)
【請求項4】
前記側面ビューの画像について、同程度の焦点を確実にするために、前記側面ビューに対応する光学経路(13)の長さは実質的に同じである、請求項2又は3に記載の多視点による対象検査装置(1)
【請求項5】
前記少なくとも2つの反射装置(12)は、前記検査部位(11)の周囲に配置され、
前記画像捕捉装置(10)のビューの範囲は、前記検査部位(11)において位置付けられた前記対象の上面ビューをさらに含む、請求項1乃至4のいずれかに1項に記載の多視点による対象検査装置(1)
【請求項6】
欠陥のない対象のビューが捕捉された画像を、検査中の前記対象の画像と比較するために適応されたプロセッサをさらに含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多視点による対象検査装置(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的手段の使用によって対象を調査して分析することに関し、さらに特に、そのための光学的手段と方法で、多視点から対象を検査するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚による表面的な検査は普通、品質制御、データ取得、及びデータ分析のために使用される。これは、重要な商業上の機能であり、例えば、3C産業の製品/製作/組立プロセスから、傷付いた製品と傷の無い製品を視覚的に区別するために使用され得る。
【0003】
従来のアプローチは、表面毎に製品サンプルを分析することであり、これは結局長い時間がかかる。どの製造プロセスでも、一定のスループット率の条件下では、少数のサンプルが検査されるにすぎない。言い換えれば、何らかの欠陥製品が、検査なしで、傷が無いと識別される可能性があり、製品ラインの終端に到達してしまう。したがって、操作者は、生産率と製品品質率との間で妥協しなければならない。例えば、視覚による表面検査装置は、複数の視点から対象の視覚的検査を実行するための米国特許出願公開第2008/0239301号で開示され、これは観察光学システム、第1の鏡、及び2つの第2の鏡を使用している。第1の鏡を回転させることによる一方で、それを観察光学システムと一体的に移動することによって、ウェハのような対象の側面表面の観察がなされる。さらに、上面と面のビューは、第1の鏡と2つの第2の鏡を観察光学システムと一体的に移動して、回転することによって取得され得る。したがって、検査周期時間の期間は、多視点検査のための鏡の再位置付けの完了を可能にするように十分長く設定されなければならず、このことは、検査率を低下させる。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、画像捕捉装置、検査部位、及び検査部位において位置付けられた対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを、画像捕捉装置に対して同時に反射するために配置された少なくとも2つの反射装置を含む多視点による対象検査装置を提供することであり、ここにおいて、画像捕捉装置は、反射の少なくとも2つの異なる側面ビューを含むビューの範囲を有する。
【0005】
本発明の別の態様にしたがうと、これは、対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを同時に反射すること、反射の少なくとも2つの異なる側面ビューの画像を捕捉すること、欠陥の無い対象のビューの捕捉された画像を、検査中の対象のものと比較することを含む対象検査の方法を提供する。
画像捕捉装置が、複数のビューからの部分を一度に「見る」のを可能にするために、反射装置を検査装置に導入することによって、多数の表面が、各単一表面について反射装置、カメラ及び/又は対象を再位置付けする必要なく、1つの画像枠において一度に検査され得る。本装置でなければ任意の所定の固体対象の隠れてしまう表面を利用することによって、検査プロセスを支援するため、カメラのビューの範囲に置かれた1つより多くの数の反射装置がある。複数の側面から各単一部分を検査する労力は低減される。したがって、検査周期時間の期間は低減され得、多表面のレベルへの検査は、全体として品質を高めることを可能にする。
【0006】
好ましくは、対象から直接光を案内するように、少なくとも2つの反射装置が配置され、2つの反射装置のそれぞれは、画像捕捉装置がそこから直接反射された対象の側面ビューを受容するように、画像捕捉装置の光学軸に関して予め決定された角度で傾斜される。観察角度のこのような配置は、画像捕捉装置の視野に直線的に反射装置を置くことを可能にする。したがって余分な反射装置を用いることなく、経済的な解決策を提供する。
【0007】
少なくとも2つの反射装置は、画像捕捉装置がそこから直接反射された対象の上面ビューを受容するように、検査部分において位置付けられた対象の画像捕捉装置上面ビューに対して同時に反射するように配置されるのが好ましい。したがって、反射装置のビューの範囲は、対象の上面ビューを覆うために引き伸ばされ得、制御装置は、上面ビューと側面ビューについての画像において現れる対象の上面図に関連した部分に関する比較を実行し得る。これは、1側面から表面に当たる光が一定の欠陥のセットのみを明らかにできるので、有利である。鏡を通して提供されると、光は一方向で表面上に当たらないが、少なくとももう一つの角度で当たる。これらの異なるビューの1つと、同じ表面は、鏡において見られ得、1つの画像枠においてのみさらに完全な調査を導く。
【0008】
さらに、画像枠において静的な場面は容易にマスクされ得るので、関心のある領域のみが分析される。
【0009】
好ましくは、少なくとも1つの反射装置によって反射された対象のビューから捕捉された画像について、同程度の焦点を確実にするために、光の光学経路の長さは実質的に同じである。
【0010】
好ましくは、多視点による対象検査装置は、検査部位に位置付けられた対象を支えるための第1の表面と、検査部位における対象の底面ビューを、少なくとも2つの反射装置のうちの第1のものに対して屈折するように配置された、第1の表面から離れていく角度を有する第2の表面とを有する屈折装置をさらに含み、ここにおいて、第1の反射装置は、対象の屈折された底面ビューを受容し、受容されたものを画像捕捉装置に反射する。対象の機械的サポートと、反射装置のうちの1つへのその底面ビューを偏向することの両方のために、屈折装置が使用されるので、多視点検査装置のための費用は低減され得、この互換性は高められ得る。さらに、反射装置のうちの1つは、対象の側面ビュー及び/又は上面ビューに加えて、対象底面ビューを画像捕捉装置に反射するために使用され、これはさらに費用を低減し、多視点による対象検査装置の互換性を高める。
【0011】
多視点による対象検査装置は、欠陥の無い対象のビューの捕捉された画像と、検査中の対象のものとを比較するために適応されたプロセッサをさらに含むのが好ましい。検査されることになる対象に関するテンプレート画像と画像の両方は、同じレベルの歪みによって影響されるので、歪みの否定的な影響は補償され、したがって識別結果は正確である。表面分析は、テンプレートベース、又は機械学習ベースのアルゴリズムのいずれかを使用して行われ得る。任意の種類の較正は、任意の場合において、良い部分との差異が調査されるので必要とされない。テンプレートとして、又は学習手順のためのベースとして担う良い部分からの画像は、後に実際の検査プロセスにおいて、正確な同じ仕組みを使用して取得される。
【0012】
本発明の主題事項は、さらに詳細に以下の文書において、図面において説明される好ましい例示的な実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、本発明の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置を示す。
図1B図1Bは、本発明の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置図1Aの線A-Aに沿った断面図である。
図2A図2Aは、本発明の別の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置を示す。
図2B図2Bは、本発明の別の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置の図2Aの線B-Bに沿った断面図である。
図3A図3Aは、テンプレートとしての対象の側面ビューの画像を示す。
図3B図3Bは、画像取得装置によって取得されたテンプレートとしての対象の側面ビューの画像を示す。
図3C図3Cは、画像取得装置によって取得された検査中の傷の無い対象の側面ビューの画像を示す。
図3D図3Dは、画像取得装置によって取得された検査中の傷付いた対象の側面ビューの画像を示す。
図4A図4Aは、画像取得装置によって取得されたテンプレートとしての対象の上面ビューの画像を示す。
図4B図4Bは、画像取得装置によって取得された検査中の傷の無い対象の上面ビューの画像を示す。
図4C図4Cは、画像取得装置によって取得された検査中の傷付いた対象の上面ビューの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において使用される参照記号とそれらの意味は、参照記号のリストにおける概要の形態でリストにあげられる。原則的に、同一の部分は、図面において同じ参照記号で提供される。
【0015】
以下の記述において、本発明の完全な理解を提供するために、説明の目的であるが限定ではなく、特定の回路、回路構成要素、インターフェース、技術等のような特有の詳細が明らかにされる。しかしながら、当業者にとって、本発明が、これらの特有の詳細から逸脱する他の実施形態において実施され得ることは明らかである。他の例において、よく知られた方法とプログラミング手順、装置、及び回路の詳細な記述は、本発明の記述を不必要な詳細で曖昧にしないように省略される。
【0016】
図1A図Bはそれぞれ、本発明の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置を示し、その断面図は、図1Aの線A-Aに沿ってとられる。図1A図1Bにおいて示されるように、多視点による対象検査装置1は、画像捕捉装置10、検査部位11、及び少なくとも2つの反射装置12を含む。画像捕捉装置10は、検査され、さまざまな光学経路を通して反射されるか、又は屈折されるかのいずれかである対象からの光を受容するためのカメラであり得る。画像捕捉装置10はしたがって、視野(FOV)の範囲の外側の物品のビューは見えないものの、画像捕捉装置10を通して可視であるフィールドの一部をカバーする視野の範囲を有する。反射装置12は、対象からの光を画像捕捉装置10に対して案内するための鏡であり得る。鏡は、平面鏡、凹面鏡、又は凸面鏡として選択され得る。反射装置12は、平面鏡を使用するのが好ましい。光の並行ビームは、その方向を依然として並行のままにする一方で、全体として変更する。平面鏡によって形成された画像は、元の対象と同じ寸法の虚像である。
【0017】
どの位多くの対象の側面ビューが検査されることになるかの要件に依存して、反射装置の数は、多視点観察の目的で1つより多くを数える限り、2つ乃至4つから選択され得る。図1A図1Bにしたがったこの実施形態において、少なくとも2つの反射装置12は、検査部位11において位置付けられた対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを、画像捕捉装置10に対して同時に反射するように使用される。例えば、対象の4つの側面ビューは、4つの側面ビューに対応する光学経路13とともに、4つの鏡12を使用するために、カメラ10に対して同時に提供される。画像捕捉装置10は、反射の少なくとも2つの異なる側面ビューを含む視野の範囲を有する。この例において、側面ビューが鏡12によって反射されて検査部位11を通過するとき、対象の4つの側面ビューの画像は、カメラ10によって捕捉され、それらはカメラ10のビューの範囲が反射の側面ビューをカバーするので、上述されたようにカメラ10の視界において互いにオーバーラップせず、ここにおいて、対象の4つの側面ビューに対応する4つの鏡12から反射された光学経路13は、延びてカメラ10に到達する。これは、カメラの視点から、異なる側面ビューに対応する異なる画像の外形間で区別することを可能にする。
【0018】
カメラが複数のビューからの部分を一度に「見る」のを可能にするための反射装置を検査装置に導入することによって、複数の表面は1つの画像枠において、反射装置、カメラ及び/又は対象を各単一の表面について再位置付けする必要なく、一度に検査され得る。本装置でなければ任意の所定の固体対象の隠れているであろう表面を利用することによって検査プロセスを支援するために、カメラのビューの範囲に置かれた1つより多い数の反射装置がある。複数の側面からの全ての単一部分を検査する労力は低減される。したがって、高品質の完全な同時多表面検査を確実にする一方で、検査周期時間の期間は低減され得る。
【0019】
図1Bにおいて示されるように、少なくとも2つの反射装置12は、対象から直接光を案内するように配置されるのが好ましく、2つの反射装置12のうちのそれぞれは、画像捕捉装置10の光学軸OAに関して、予め決定された傾斜角度αで傾斜されるので、反射装置12の反射表面は、画像捕捉装置10に向き合って位置付けされ得、したがって画像捕捉装置10の視野の範囲は、動作可能なカバレッジを有し得、画像捕捉装置10は、対象の反射された側面ビューを反射装置12から直接受容し得る。例えば、鏡12の平面が、カメラ10の光学軸に関して外側に30度だけ傾斜されるように位置付けされ得る場合、対象の側面ビューは、検査部位11を通過する光学経路13で、カメラ10によって観察され得る。観察角度のこのような設定は、画像捕捉装置の視野に直線的に反射装置を置くのを可能にする。したがって、これは余分な反射装置を用いることなく、経済的解決策も提供する。例えば、複数のカメラと比較されると、複数のビュー分析のためにいくつかの反射装置を有する1つのカメラのみが要求されるので、このアプローチは費用効率が良い。
【0020】
さらに、反射装置12は、反射対象の少なくとも2つの異なる側面ビューから捕捉された画像について同程度の焦点を確実にするために、光の光学経路13の長さが実質的に同じであるように配置され得る。例えば、図1A図1Bにおいて示されるように、4つの鏡12のそれぞれは、参照記号120によって示された検査部位11の底面の側面と整列された側面のうちの1つに置かれ、検査部位11の底面で傾斜角度αを有し得る。
【0021】
前述の部分に記述されように、多視点による対象検査装置1は、上面ビューを伴わないままにして、対象の1つより多い側面ビューを一度に観察し得る。対象の上面を同時に検査するために、少なくとも2つの反射装置12は、検査部位11の周囲に配置され得、画像捕捉装置10の視野の範囲は、検査部位において位置付けられた対象の上面ビューをさらに含む。例えば、図1Bにおいて示されるように、鏡12が、カメラ10に向かい合うその反射表面を可能にする傾斜角度αで検査部位11を囲むように置かれる場合、対象とカメラ10の上面表面から開始する光学経路をじゃまする物品はない。さらに、カメラ10の視野の範囲は、対象が置かれるべき検査部位11を囲む鏡12の動作可能なカバレッジを有するので、これは対象の上面ビューを同様にカバーしなければならない。再び、画像捕捉装置10の視野のこのような動作可能な範囲に起因して、対象の上面ビューと側面ビューから取得された画像は、互いに区別可能である。本装置でなければ側面ビューのための装置において取得されない対象の上面ビューの画像を捕捉することによって、画像捕捉装置の視野の動作可能な範囲は、多視点同時検査について、その完全な程度まで利用され得る。したがって、上面ビューを画像化するための付加的なカメラの必要性や、カメラをその視界を対象の上面ビューに向けるために再位置付けするための機構の必要性はない。
【0022】
図2A図2Bは、それぞれ、本発明の別の実施形態にしたがった多視点による対象検査装置と、図2Aの線B-Bに沿ってとられたその断面図を示す。図2A図2Bにしたがった実施形態は、図2が屈折装置20をさらに含むことを除いて、図1A図1Bにしたがったものと実質的に類似している。重複を避けるために、それらの共通部分に関する記述はここでは省略される。同じ参照記号は、同じ部分を示す。図2A図2Bにおいて示されるように、多視点による対象検査装置2は、対象を支持する機能を有する屈折装置20を有する。屈折装置20は、検査部位11において位置付けられた対象を支えるための第1の表面200と、検査部位11における対象の底面を、少なくとも2つの反射装置12のうちの第1のものに反射するように配置された、偏向角度βを有する第1の表面200から外れる第2の表面201を有する。例えば、屈折装置20は、ガラス、プラスチック及び蛍石のような予め決められた機械的強度を有する透明な材料から作られた偏向プリズムであり得る。偏向プリズム20は、検査部位11において固定され、その第1の表面200が、検査部位11における対象の底面を機械的に支える場合、したがって対象は、偏向プリズム20の第1の表面200上に据え付けられ得る。第1の表面200と第2の表面201の間の偏向角度βは、対象の面からの光ビームが屈折プリズム20に入って、その後第2の表面201によって鏡12のうちの1つに、例えば鏡12から検査部位11(第1の反射装置)の左に屈折され得るように、予め決定され得る。第1の反射装置12は、対象の屈折された底面ビューを受容して、画像捕捉装置10に対して受容されたものを反映し得る。このような配置において、屈折装置は、多視点同時検査のために、対象を支えることと、その底面ビューを画像捕捉装置に向けることを含む一体化された機能を提供する。
【0023】
好ましくは、屈折装置20の、第1の表面200と第2の表面201の間の偏向角度βは、第1の反射装置のビュー範囲が、反射の対象の側面ビューと底面ビューを含むように配置される。側面と底面のビューが画像においてオーバーラップすることは、これらの2つのビューの間の対象の端が、反射装置の側面ビューの虚像に当たるように対象の底面からの光反射を遮るので、物理的に不可能である。反射装置のうちの1つは、対象底面ビューを画像捕捉装置に反射するために使用されるので、本発明にしたがった多視点検査装置について、費用は低減され得る。
制御装置は、(図面において示されていない)傷識別のために使用され得る。これは、欠陥の無い対象のビューの捕捉された画像を、検査中の対象のものと比較するために使用され得る。対象の側面ビュー及び/又は底面ビューの反射は、画像捕捉装置の光学軸に関する反射装置の傾斜角度αと、屈折装置の第1の表面と第2の表面の間の偏向角度βのために、画像捕捉装置10によって取得された画像の歪みを導き得る。制御装置は、画像捕捉装置10に、傷の無い対象の異なるビュー画像をテンプレートとして取得して、それらをテンプレートとしてメモリ中で記憶するように命令し得る。制御装置は、後者が傷付いているか否かを判断するために、テンプレートを、検査されることになる対象のビューの画像とさらに比較し得る。テンプレート画像と、検査されることになる対象に関する画像の両方は、同じレベルの歪みによって影響されるので、歪みの負の影響が補償され得、したがって識別結果は正確である。表面分析は、テンプレートベース又は機械学習ベースのアルゴリズムいずれかを使用して行われ得る。任意の種類の較正は、任意のケースにおいて品物部品からの差異が調査されるので必要とされない。テンプレート又は学習手順のベースとして担う品物部分からの画像は、後に実際の検査プロセスにおいて正確な同じセットアップを使用して得られる。
【0024】
例えば、図3A図3B図3C及び図3Dはそれぞれ、テンプレートとしての対象の側面ビュー、画像取得装置によって取得されたテンプレートとしての対象の側面ビューの画像、画像取得装置によって取得された検査中の傷の無い対象の側面ビューの画像、傷付いた対象のものを示す。図3Aにおいて示されているように、テンプレートの側面ビューの外形は、矩形形状である。対照的に、歪みの影響に起因して、図3Bのテンプレートの画像のための外形、図3Cの傷の無い対象側面ビューの画像、及び図3Dの傷付いた対象側面ビューの画像は、全て台形のように見える。図3B図3Cにおいて示されたテンプレートと傷の無いものについての画像が、互いにより類似する欠陥を示さない一方、点やひっかき傷のようないくつかの欠陥は、図3Dにしたがうと、傷付いたものの画像において現れる。したがって、制御装置は、側面ビューの反射によって誘導された歪みの影響にも関わらず、テンプレートベースのアルゴリズムを使用することによって、検査中の対象が欠点を有するか否かを決定し得る。当業者は、テンプレートベースアルゴリズムが、その底面ビューが上述された解決策にしたがって画像捕捉装置に反射され得るので、対象の底面についての欠陥検出に適用され得ることを理解するはずである。
【0025】
図4A図4B及び図4Cはそれぞれ対象の上面ビューの画像を、画像取得装置によって取得されたテンプレート、画像取得装置によって取得された検査中の傷の無い対象の上面ビューの画像、及び傷付いた対象のものとして示す。画像捕捉装置が対象の上面ビューに向き合って置かれるので、投射歪みが、図4A図4B及び図4Cにしたがった画像に導かれることはない。図4A図4B及び図4Cにおいて示されるように、テンプレートの上面ビューの画像についての外形、傷の無い上面ビューの画像、及び傷付いた上面ビューの画像全ては、矩形形状である。点や引っかき傷のようないくつかの欠陥は、テンプレートと図4A図4Bにおいて示された傷の無いものについての画像が、互いにさらに類似する欠陥を示さない一方で、図4Cにしたがった傷付いたものの画像において現れる。したがって、制御装置はテンプレートベースのアルゴリズムを使用して、検査中の対象が欠陥を有するか否かを決定し得る。
【0026】
代替的に、少なくとも2つの反射装置12は、画像捕捉装置10に対して検査部位において位置付けられた対象の上面ビューを同時に反射するために配置され得るので、画像捕捉装置10は、対象の反射された上面ビューをそこから直接受容し得る。したがって、反射装置のビューの範囲は、対象の上面ビューをカバーするように事実上引き伸ばされ得る。例えば、図1A図1Bにおいて示されるように、角において十字で印付けされた上面は、画像捕捉装置10に対して上面ビューと側面ビューについての画像において見られ得る。制御装置が、上面ビューと側面ビューについての画像において現れる対象の上面ビューに関連した部分に関して比較を行うことができる。一側面から表面にあたる光が一定のセットの欠陥のみを明らかにするので、これは有利である。鏡が全体に設けられているので、光は、一方向でだけでなく、少なくとももう1つの角度で表面に当たる。1つの同じ表面が、これらの異なるビューの鏡において見ることができ、1つの画像フレームのみで、より完全な調査に導ける。さらに、画像枠において、静的な場面が容易に覆われ得るので、興味のある領域のみが分析される。さらに、反射装置12は、反射の対象の上面ビューから捕捉された画像に対する同程度の焦点を確実にするように、光の光学経路13の長さが実質的に同じであるように配置され得る。
【0027】
本発明は、いくつかの好ましい実施形態に基づいて記述されたが、当業者はそれらの実施形態が本発明の範囲を制限するものではないことを認識すべきである。本発明の精神及び概念から逸脱することなく、実施形態に対する任意の変形及び修正は、一般常識と当業者によるこれらの認識内にあり、したがって付随する特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲にあるべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 多視点による対象検査装置であって、
画像捕捉装置と、
検査部位と、
前記画像捕捉装置に対して、前記検査部位に位置付けられた前記対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを同時に反射するために配置された少なくとも2つの反射装置とを含み、
前記画像捕捉装置は、前記反射の少なくとも2つの異なる側面ビューを含むビューの範囲を有する、多視点による対象検査装置。
[2] 前記少なくとも2つの反射装置は、前記対象から光を直接案内するように配置され、 前記2つの反射装置のそれぞれは、前記画像捕捉装置がそこから直接反射された前記対象の側面ビューを受容するように、前記画像捕捉装置の光学軸に関して予め決定された角度で傾斜されている、[1]に記載の多視点による対象検査装置。
[3] 前記少なくとも2つの反射装置は、前記画像捕捉装置がそこから直接反射された前記対象の上面ビューを受容するように、前記検査部位に位置付けられた前記対象の前記画像捕捉装置の上面ビューに対して同時に反射するために配置されている、[2]に記載の多視点による対象検査装置。
[4] 前記反射の前記ビューから捕捉された画像について、同程度の焦点を確実にするために、前記光の光学経路の長さは実質的に同じである、[2]又は[3]に記載の多視点による対象検査装置。
[5] 前記少なくとも2つの反射装置は、前記検査部位の周囲に配置され、
前記画像捕捉装置のビューの範囲は、前記検査部位において位置付けられた前記対象の上面ビューをさらに含む、[1]乃至[4]のいずれかに1項に記載の多視点による対象検査装置。
[6] 前記検査部位に位置付けられた前記対象を支えるための第1の表面と、前記検査部位における前記対象の底面ビューを、前記少なくとも2つの反射装置のうちの第1のものに対して屈折するように配置された、前記第1の表面から離れていく角度を有する第2の表面とを有する屈折装置をさらに含み、
第1の反射装置は、前記対象の前記屈折された底面ビューを受容し、受容されたものを前記画像捕捉装置に反射する、[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の多視点による対象検査装置。
[7] 前記屈折装置の前記第1の表面と前記第2の表面の間の角度は、前記第1の反射装置のビューの範囲が前記反射の前記対象の前記側面ビューと底面ビューを含むように配置される、[6]に記載の多視点による対象検査装置。
[8] 欠陥のない対象の前記ビューの捕捉された画像を、検査中の前記対象のものと比較するために適応されたプロセッサをさらに含む、[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の多視点による対象検査装置。
[9] 対象を検査する方法であって、
前記対象の少なくとも2つの異なる側面ビューを同時に反射することと、
前記反射の前記少なくとも2つの異なる側面ビューの画像を捕捉することと、
欠陥の無い対象の前記側面ビューの前記捕捉された画像を、検査中の前記対象のものと比較することとを含む、方法。
[10] 前記対象の上面ビューを反射することと、
前記反射の前記上面ビューの画像を捕捉することとをさらに含む、[9]に記載の方法。
[11] 光は前記対象から直接案内され、
前記反射のビューから捕捉された画像について、同程度の焦点を確実にするために、前記光の光学経路の長さは、実質的に同じである、[9]又は[10]に記載の方法。
[12] 前記対象の底面ビューを屈折させることと、
前記対象の前記屈折された底面ビューを反射させることと、
前記対象の前記屈折された底面ビューの画像を捕捉することと、
欠陥の無い前記対象の前記底面ビューの前記捕捉された画像を、検査中の前記対象のものと比較することとをさらに含む、[9]乃至[11]のいずれか1項に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C