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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの電極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20220228BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220228BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220228BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20220228BHJP
   H01G 11/22 20130101ALI20220228BHJP
   H01G 11/26 20130101ALI20220228BHJP
   H01G 11/70 20130101ALI20220228BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220228BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/66 A
H01M4/13
H01G11/86
H01G11/22
H01G11/26
H01G11/70
H01M4/62 Z
H01M4/80 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019220270
(22)【出願日】2019-12-05
(62)【分割の表示】P 2016249763の分割
【原出願日】2016-12-22
(65)【公開番号】P2020053400
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2019-12-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518041928
【氏名又は名称】I&Tニューマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】蓮尾 俊治
(72)【発明者】
【氏名】石原 達己
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-154955(JP,A)
【文献】特開平10-284055(JP,A)
【文献】特開平09-143510(JP,A)
【文献】特開2000-167721(JP,A)
【文献】特開2014-238944(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148970(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 4/66
H01G 11/86
H01G 11/22
H01G 11/26
H01G 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又は銅の短繊維と、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉と、導電助剤と、バインダーと、平均太さが0.5μm以下であるカーボン繊維とを含む液状又はゲル状のスラリーを作成するスラリー作成工程であって、前記カーボン繊維の平均長さは200μm以下であるが、但し、平均長さが30μm以下であるカーボン繊維を除くスラリー作成工程と、
前記スラリーを所定形状に成形する成形工程と、
前記所定形状に成形された前記スラリーを乾燥させることによって前記アルミニウム又は銅の短繊維が集電体として機能する電極を形成する乾燥工程とを有する蓄電デバイスの電極の製造方法であって、
前記短繊維の平均長さは25mm以下であるが、但し、平均長さが1mm以下である短繊維を除く、蓄電デバイスの電極の製造方法。
【請求項2】
前記短繊維の平均線径は50μm以下であるが、但し、平均線径が10μm以下である短繊維を除く、請求項1に記載の蓄電デバイスの電極の製造方法。
【請求項3】
前記短繊維が、アルミニウム又は銅の部材に切削工具を当てることにより成形される、請求項1又は2に記載の蓄電デバイスの電極の製造方法。
【請求項4】
アルミニウム又は銅の短繊維と、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉と、導電助剤と、バインダーと、平均太さが0.5μm以下であるカーボン繊維とを含む液状又はゲル状のスラリーを作成するスラリー作成工程と、
前記スラリーを所定形状に成形する成形工程と、
前記所定形状に成形された前記スラリーを乾燥させることによって前記アルミニウム又は銅の短繊維が集電体として機能する電極を形成する乾燥工程とを有する蓄電デバイスの電極の製造方法であって、
前記短繊維の平均長さは25mm以下であり、
前記短繊維が、アルミニウム又は銅の部材に切削工具を当てることにより成形される、蓄電デバイスの電極の製造方法。
【請求項5】
前記アルミニウムとして純度が99.9%以上のアルミニウムを用いる請求項1~の何れかに記載の電極の製造方法。
【請求項6】
前記成形工程の前に前記スラリーを前記バインダーが完全に硬化しない状態まで乾燥させる前乾燥工程をさらに有する請求項1~の何れかに記載の電極の製造方法。
【請求項7】
アルミニウム又は銅の短繊維と、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉と、導電助剤と、バインダーと、平均太さが0.5μm以下であるカーボン繊維とを含む液状又はゲル状であり、蓄電デバイスの電極用に所定形状に成形されたスラリーであって、
平均長さが200μm以下であるが、但し、平均長さが30μm以下であるカーボン繊維を除く前記カーボン繊維が用いられており、
前記短繊維の平均長さは25mm以下であるが、但し、平均長さが1mm以下である短繊維を除く、蓄電デバイスの電極用のスラリー。
【請求項8】
平均長さが25mm以下であるが、平均長さが1mm以下である短繊維を除くアルミニウム又は銅の短繊維から成る集電体と、
該集電体の前記アルミニウム又は銅の短繊維間に形成された隙間に入り込んでおり、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉、導電助剤、および平均太さが0.5μm以下であるカーボン繊維を備える、蓄電デバイスの電極。
【請求項9】
前記集電体の前記アルミニウム又は銅の短繊維が曲げられて存在している請求項に記載の電極。
【請求項10】
前記アルミニウムは純度が99.9%以上である請求項又はに記載の電極。
【請求項11】
アルミニウム又は銅の短繊維と、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉と、バインダーとを含む液状又はゲル状のスラリーを作成するスラリー作成工程と、
前記スラリーを所定形状に成形する成形工程と、
前記所定形状に成形された前記スラリーを乾燥させることによって前記アルミニウム又は銅の短繊維が集電体として機能する電極を形成する乾燥工程とを有するキャパシタの電極の製造方法であって、
前記短繊維の平均長さは25mm以下であるが、但し、平均長さが1mm以下である短繊維を除く、キャパシタの電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、キャパシタ等の蓄電デバイスの電極およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー削減や地球温暖化防止を目的に様々な分野でキャパシタや二次電池が使用されており、特に自動車産業においては、電気エネルギーを採用したことによりこれらを利用した技術開発が加速されている。
電気二重層キャパシタは、従来、低電圧が印加される電子回路のメモリのバックアップ用として使用されており、二次電池と比較して高い入出力の信頼性を有する。
【0003】
このため、近年では太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電や、建設機械、瞬低用電源、電車の回生用電源などに利用されている。自動車への用途としても検討されてきたが、特性、コストが要求に合わず、近年までこの分野での使用実現に至らなかった。しかし、現在では、電子制御ブレーキシステム用に電気二重層キャパシタが使用され、自動車の電装品のバックアップ電源やアイドリングストップシステムの始動用エネルギー供給、ブレーキ制御、動力アシストなどへの用途が検討されている。
【0004】
電気二重層キャパシタの構造は、正負の電極部と、電解液と、対向する正負の電極部の短絡を防止するセパレータとから構成される。電極部は、分極性電極(現在は主に活性炭)、活性炭を保持するためのバインダー、導電助剤(主にカーボンの微粒子)を混練したものを、集電体であるアルミニウム箔(厚さ約20μm)上に何層も塗布する事で形成されている。このような電気二重層キャパシタは例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
電気二重層キャパシタの充電は、電解質イオンが溶液内を移動し活性炭の微細孔表面に吸脱着する事で行われる。電気二重層は活性炭粉と電解液が接する界面に形成される。
因みに、通常の活性炭の粒径は、例として約4~8μm、比表面積は、例として1600~2500m/gである。電解液は陽イオン、陰イオン、および溶媒を有し、陽イオンとしてテトラエチルアンモニウム塩、陰イオンとして四フッ化ホウ酸イオンなどが用いられ、溶媒としてプロピレンカーボネートやエチレンカーボネートなどが使用されている。
【0006】
一方、リチウムイオン二次電池は、主に、正極、負極、セパレータから構成されている。例えば図8に示すように、一般的に正極は集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔に活物質粉、通常はコバルト酸リチウムと、添加物である導電助剤と、バインダーとを練り合わせたものを100μm程度の厚さに塗布したものであり、負極は集電体である銅箔に炭素材料を塗布したものであり、これらを例えばポリエチレンなどのセパレータで分離し、電解液に浸すことにより、リチウムイオン二次電池が構成されている。このようなリチウムイオン二次電池は例えば特許文献2に開示されている。
【0007】
充放電は、リチウムイオンが正極と負極との間を移動することで行われ、充電時はリチウムイオンが正極から負極へ移動し、正極のリチウムイオンがなくなるか負極にリチウムイオンが収蔵できなくなったら充電が完了する。放電時はこの逆となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-086113号公報
【文献】特開2007-123156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、電気自動車、エネルギー発電等のパワーデバイス用のキャパシタの開発が進められている。高効率に大容量のエネルギーをキャパシタに出し入れするためには、静電容量を増加させ、電極部の内部抵抗を減らす方法が考えられる。簡単には、活性炭と集電体であるアルミニウム部材の距離を近くし、活性炭を出来る限り多く配置する方法が考えられる。
【0010】
一般的に、電気二重層キャパシタがリチウムイオン二次電池を主とする二次電池と違う点は、化学反応を伴わず、自己放電によって時間と共に電荷が失われ、蓄電時間が短く、電流の放出時間が短い点である。また、エネルギー密度については、リチウム電池が数百Wh/Lに対して電気二重層キャパシタは数十Wh/Lである。電気二重層キャパシタが、蓄電用ではなく、電装品のバックアップ電源やアイドリングストップシステムの始動用エネルギー、ブレーキ制御、動力アシストなどで検討されているのは、前記の相違による。
【0011】
リチウム電池を主とする二次電池は、比較的エネルギー密度が高く、長時間使用できるので、携帯機器をはじめ様々な分野で使用され、近年、自動車や重機、エネルギー分野等に利用されるようになってきた。しかしながら、依然として、性能(容量、充放電速度、寿命)や製造コストに課題が多く、特に自動車などの大型電池においてその課題が顕著である。例えば、携帯電話で使用される電流は数mAであるが、ハイブリッド車で使用される電流は数百Aとなり、両者の差は10000倍以上である。そのため容量を増やす為の大型化が必要であるが、大型化には、容量をはじめ充電速度、信頼性、製造の難しさなど多くの課題が存在する。
【0012】
リチウムイオン二次電池の反応は可逆的な化学反応であり、電極が充放電する際に、活物質の体積が膨張・収縮する。そのため、活物質が集電体から剥離し、充放電特性が劣化する。即ち、常に100%同じ充放電をすることはなく、充放電の能力低下が起こる。ハイブリッド自動車や電気自動車では電池は何年も使用されるので、上記劣化を防ぐために集電体と活物質の剥離を抑える必要がある。
【0013】
また、リチウムイオン電池の最大の課題に内部抵抗がある。内部抵抗とはリチウムイオンが電池内部の正極と負極で電解質の中を移動する際の抵抗といえるが、この移動抵抗が、容量を大きくすることができない、又は充放電速度を速くできない主な理由である。
大型化の為に集電体に多くの活物質を塗布すると容量は増加するが、移動抵抗が大きくなる。その為、現在、その厚みには限界がある。また、その抵抗により充放電速度が遅くなっている。塗布厚を薄くすると内部抵抗は低減し充放電速度は速くなるが、容量が減少する。その為、活物質を塗布した集電体を何重にも重ねたり、活物質を塗布した集電体の面積を広げたりする必要が生じる。
【0014】
充電や放電の速さは、リチウムイオンの発生量にも起因する。一度に多くのイオンが作り出され一度に移動できれば、充電速度や放電速度は速くなる。二次電池の化学反応は電解質との界面で起こるので、電極と電解質との接触面積を増やすことができれば、充放電速度も改善される。
【0015】
内部抵抗を減らすために、添加物の改良、導電助剤や活物質の改良、また集電体の上に予めカーボンの微粒子を塗布するなどの工夫が実施されている。また、集電体の形状においても、前述のように出来るだけ薄膜にする改善や、箔に細かい穴等を形成して表面積を大きくする改善が行われている。また、電気二重層キャパシタにおいても同様に活性炭や添加剤の改良、集電体との接触面積を増やすなどの研究開発が行われている。
【0016】
前述のように、蓄電デバイスである電気二重層キャパシタやリチウムイオン二次電池などの二次電池においては、電気自動車、ハイブリッド車、ハイパワーエネルギーデバイス用に、大容量化、高出力化、長寿命化、コスト低減に向けた取組みが行われている。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、蓄電デバイスの充放電速度を向上することができる蓄電デバイスの電極およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様の蓄電デバイスの電極の製造方法は、アルミニウム又は銅の短繊維と、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉と、バインダーとを含む液状又はゲル状のスラリーを作成するスラリー作成工程と、前記スラリーを所定形状に成形する成形工程と、前記所定形状に成形された前記スラリーを乾燥させることによって前記アルミニウム又は銅の短繊維が集電体として機能する電極を形成する乾燥工程とを有する。
【0019】
当該態様では、所定形状に成形したスラリーを乾燥させると、アルミニウム又は銅の短繊維同士が電気的に接続され、短繊維により不織布状集電体又は分散した短繊維同士が接続された集電体が形成される。また、スラリー内では短繊維と吸着物質粉又は活物質粉とが混ぜられているので、スラリーを乾燥させると、集電体の短繊維の間に形成された隙間に吸着物質粉又は活物質粉が入り込む。このため、吸着物質粉又は活物質粉が短繊維に直接接触し、又は、短繊維の近傍に配置され、吸着物質粉又は活物質粉とアルミニウム又は銅の短繊維との間で電子の授受が行われる際に、その移動抵抗を小さくすることができる。
【0020】
上記態様のスラリー作成工程において、前記アルミニウム又は銅の短繊維と、前記吸着物質粉又は前記活物質粉と、前記バインダーと、平均太さが0.5μm以下であるカーボン繊維とを含む前記スラリーを作成することも可能である。
この場合、電極となった際に、吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とが直接接触していない場合でも、当該吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とがカーボン繊維を介して電気的に接続される。また、吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とが直接接触している場合でも、カーボン繊維による接続があることによって、当該吸着物質粉又は活物質粉と短繊維との間の電気抵抗が更に低減される。
【0021】
また、上記態様において、前記成形工程の前に前記スラリーを前記バインダーが完全に硬化しない状態まで乾燥させる前乾燥をさらに行うことも可能である。この場合、成形工程前のスラリーを成形し易くなるので、製造される電極の品質向上や製造コストの低減を行う上で有利である。
【0022】
本発明の第2の態様の蓄電デバイスの電極は、平均長さが25mm以下であるアルミニウム又は銅の短繊維から成る集電体と、該集電体の前記アルミニウム又は銅の短繊維間に形成された隙間に入り込んでおり、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉又は充放電時に化学反応する活物質粉とを備える。
【0023】
当該態様では、集電体の短繊維の間に形成された隙間に吸着物質粉又は活物質粉が入り込んでいるので、吸着物質粉又は活物質粉が短繊維に直接接触し、又は、短繊維の近傍に配置され、吸着物質粉又は活物質粉と各アルミニウム又は銅の短繊維との間で電子の授受が行われる際に、その移動抵抗を小さくすることができる。
【0024】
上記態様において、前記集電体の隙間に入り込んだ平均太さが0.5μm以下のカーボン繊維をさらに備えていても良い。
この場合、吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とが直接接触していない場合でも、当該吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とがカーボン繊維を介して電気的に接続される。また、吸着物質粉又は活物質粉と短繊維とが直接接触している場合でも、カーボン繊維による接続があることによって、当該吸着物質粉又は活物質粉と短繊維との間の電気抵抗が更に低減される。
【0025】
上記態様において、前記集電体が、2本の前記アルミニウム又は銅の短繊維が交差するように接触している部分を少なくとも1箇所有し、該交差部分において前記2本のアルミニウム又は銅の繊維が互いに食い込んでいても良い。
この場合、短繊維同士の接触部における電子の移動抵抗を低減することができ、電子が入出力端子に移動する抵抗を小さくする上で有利である。
また、上記態様において、前記アルミニウムとして純度が99.9%以上のアルミニウムを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓄電デバイスの充放電速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る電極の断面イメージ図である。
図2】本実施形態のスラリーの製造方法の概略図である。
図3】本実施形態のスラリーを所定の形状に成形する方法の概略図である。
図4】本実施形態のスラリーを所定の形状に成形する他の方法の概略図である。
図5】本実施形態の第1の変形例に係る電極の断面イメージ図である。
図6】本実施形態の第2の変形例に係る電極の断面イメージ図である。
図7】本実施形態の電極を用いたコイン型二次電池の断面図である。
図8】従来のコイン型二次電池の断面図である。
図9】本実施形態の電極を用いた電気二重層キャパシタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態に係る電極について図面を参照して以下に説明する。
この電極は、図1に示すように、平均線径が100μm以下であるアルミニウム又は銅の短繊維Aから成る不織布状、又は、短繊維Aが互いに接触するように配置された集電体10と、集電体10にバインダーBにより保持されて充放電時に化学反応する活物質粉20とを備え、必要に応じて集電体10にバインダーBにより保持された導電助剤30を備えている。
【0029】
なお、図1は本実施形態の構成をわかりやすく示すための図であり、短繊維A、活物質粉20、導電助剤30、カーボン繊維CF等の大きさ、太さ、長さ等は実際と異なる。また、図1において、集電体10に、活物質粉20の代わりに、充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉を保持させることも可能である。
【0030】
[集電体となるアルミニウムの短繊維の成形]
アルミニウム又は銅の短繊維Aは、一例として、平均長さが25mm以下、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下であり、平均線径が50μm以下、好ましくは25μm以下である。アルミニウム又は銅の短繊維Aは、例えば、断面円形のアルミニウム又は銅の柱状部材に切削工具を当てるビビリ振動切削法や、フライス切削法により成形される。前記線径や長さを有するアルミニウム又は銅の短繊維を他の方法で成形することも可能である。
【0031】
[電極の成形]
先ず、アルミニウム又は銅の短繊維Aと、充放電時に化学反応する活物質粉20と、導電助剤30と、バインダーBとを含む液状又はゲル状のスラリーSを作成する。当該スラリーSはアルミニウム又は銅の短繊維Aと、活物質粉20と、導電助剤30と、希釈したバインダーBとの混合物を混練することにより作成される。アルミニウム又は銅の短繊維Aは平均長さが25mm以下であることから、スラリーS中においてアルミニウム又は銅の短繊維A、活物質粉20、および導電助剤30が混ざり易い。短繊維Aの平均長さが15mm以下になると、より混ざり易くなる傾向がある。
【0032】
続いて、スラリーSの粘度を上げるために前乾燥を行う。前乾燥は、バインダーBが完全に硬化しない状態まで乾燥させ、これによりスラリーSを所定の形状に成形し易くするものであるため、バインダーBの粘度に応じて省くことができる。
続いて、図3のようにスラリーSを型内に入れると共にスラリーSを加圧する。これにより、スラリーSを電極のサイズに応じた所定の厚さ等に成形する。なお、図4に示すように、一対のローラの間にスラリーSを通すことによりスラリーSを加圧し、これによりスラリーSを電極のサイズに応じた所定の厚さに成形することも可能である。型やローラによりスラリーSの厚さを調整した後に、スラリーSを切断して所定の形状(大きさ)に成形することも可能である。
【0033】
続いて、成形されたスラリーSを真空乾燥等により乾燥させる乾燥工程を行う。これにより、スラリーS中のバインダーBを硬化させ、バインダーBによりスラリーS中の活物質粉20と導電助剤30を集電体10の短繊維Aに保持させる。なお、スラリーS中の短繊維Aの量によっては、スラリーSを乾燥させた後に、乾燥させたスラリーSの中に短繊維Aが分散すると共に互いに近傍に配置された短繊維A同士が直接接触し、又は、互いに近傍に配置された短繊維A同士が活物質粉20や導電助剤30を介して電気的に接続され、これによりスラリーS中に分散した短繊維Aによって集電体10が形成されることもある。この場合でも、スラリーS中の活物質粉20と導電助剤30の少なくとも一部が短繊維Aに保持される。
【0034】
なお、乾燥工程後の集電体10を加圧する加圧工程を行うことも可能である。加圧工程としては、集電体10を一対のローラ間に通す処理、集電体10を一対の平面で挟む処理、又は型によって集電体10を加圧する処理等を行うことが可能である。
【0035】
アルミニウム又は銅を用いることにより、特に好ましくは純度が99.9%以上、より好ましくは純度が99.99%以上のアルミニウムを用いることにより、図3図4の加圧や、乾燥工程後の集電体10の加圧を行う際に、加圧力を調整することにより、短繊維A同士が交差するように接触している部分において、交差している2本の端繊維Aを互いに食い込むように変形させることが可能である。つまり、前記接触している部分で短繊維Aが偏平し、これにより、交差している2本の端繊維Aが互いに食い込んでいるように見える。
【0036】
この場合、短繊維A同士の接触部における電子の移動抵抗を低減することができ、電子が入出力端子に移動する抵抗を小さくする上で有利である。
なお、活物質粉20を含むスラリーSではなく、活物質粉20の代わりに充電時に電解質イオンが吸着する吸着物質粉を含むスラリーSを作成することも可能である。この場合、前記乾燥工程後の集電体10の短繊維Aに活物質粉20の代わりに吸着物質粉が保持される。
【0037】
[活物質粉]
活物質粉20としては、バインダーB等によって集電体10に保持可能なものや、集電体10と共に硬化したバインダーBに保持されるものであれば良く、サイクル特性に優れたものが好ましい。活物質の例としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)やリン酸鉄系の活物質、グラファイト等の炭素材が挙げられる。なお、二次電池の正極および負極に用いられる公知の活物質を使用することが可能である。
【0038】
[吸着物質粉]
活物質粉20の代わりに用いる上記吸着物質粉としては、バインダーB等によって集電体10に保持可能なものや、集電体10と共に硬化したバインダーBに保持されるものであれば良く、サイクル特性に優れたものが好ましい。吸着物質粉の例としてはポリアセン(PAS)、ポリアニリン(PAN)、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等が挙げられる。なお、電気二重層キャパシタの正極および負極に用いられる公知の物質を用いることが可能である。
【0039】
活物質粉20や吸着物質粉は乳鉢、ボールミル、振動ボールミル等を用いて粉砕し、平均粒径を所定値以下にすることが好ましい。所定値としては、集電体10の短繊維Aの平均線径に10μmを加えた値などが考えられる。例えば、短繊維Aの平均線径が20μmの場合は、活物質粉20や吸着物質粉の平均粒径は30μm以下にすることが好ましい。これにより、集電体10の短繊維Aと活物質粉20又は吸着物質粉との接触面積が増加し、充放電速度の向上に貢献し得る。
【0040】
[バインダー]
バインダーBとしては、熱可塑性樹脂や多糖類高分子材料等を用いることが可能である。バインダーの材質の例としては、ポリアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体等が挙げられる。なお、二次電池や電気二重層キャパシタの電極に用いられる公知のバインダーを用いることが可能である。
【0041】
[導電助剤]
導電助剤30としては、導電性を有する材質であれば良く、電解質や溶媒によって化学変化しない材質であることが好ましい。導電助剤30の例としては、黒鉛やカーボンブラックが挙げられる。なお、二次電池や電気二重層キャパシタの電極に用いられる公知の導電助剤を用いることが可能である。
【0042】
上記のように作られた電極は、電気二重層キャパシタ、二次電池、リチウムイオンキャパシタを含むハイブリットキャパシタ等の蓄電デバイスの電極として用いることが可能である。例えば、電気二重層キャパシタの正極および負極に用いることが可能であり、二次電池の例としてリチウムイオン二次電池の正極および負極に用いることが可能であり、リチウムイオンキャパシタの正極および負極に用いることが可能である。その適用例は後述する。
【0043】
なお、前記スラリーSとして、活物質粉20と、導電助剤30と、バインダーBに加えて、平均太さが0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下であるカーボン繊維CFの粉末を含むスラリーを用いることも可能である。この場合、図5に示すように、集電体10内に形成されている隙間にカーボン繊維CFが配置される。
【0044】
カーボン繊維CFは、短繊維Aや、活物質粉20や、導電助剤30や、他のカーボン繊維CFに接触する。本実施形態では、平均太さが0.1~0.2μm、長さ20~200μm程度のカーボン繊維CFを用いる。なお、カーボン系導電助剤30の抵抗率は0.1~0.3Ω・cmであるのに対し、カーボン繊維CFの抵抗率は例えば5×10-5Ω・cmである。
【0045】
例えば、活物質粉20と短繊維Aとが直接接触していない場合でも、当該活物質粉20と短繊維Aとがカーボン繊維CFを介して電気的に接続される。また、活物質粉20と短繊維Aとが直接接触している場合でも、カーボン繊維CFによる接続があることによって、当該活物質粉20と短繊維Aとの間の電気抵抗が更に低減される。
このように、導電性が良いカーボン繊維CFにより、活物質粉20と短繊維Aとの間の電子の移動抵抗を低減することができ、電子が入出力端子に移動する抵抗を小さくする上で有利である。
【0046】
なお、導電助剤30を含まずカーボン繊維CFを含むスラリーを用いて電極を製造することも可能である。この場合も、図6に示すように、集電体10内に形成されている隙間にカーボン繊維CFが配置され、当該構成は活物質粉20と短繊維Aとの間の電気抵抗を低減する上で有利である。なお、図5および図6は本実施形態の構成をわかりやすく示すための図であり、短繊維A、活物質粉20、導電助剤30、カーボン繊維CF等の大きさ、太さ、長さは実際と異なる場合がある。
なお、電気抵抗の低減を効率的に行うために、カーボン繊維CFの平均長さは、活物質粉20や吸着物質粉の平均粒径の半分以上であることが好ましく、当該平均粒径の2/3以上であることがより好ましい。
【0047】
[コイン型二次電池への適用]
図7に本実施形態の電極を用いたコイン型二次電池の一例を示す。このコイン型二次電池は、ケース本体102と蓋101とを有するケース(外装缶)100と、ケース100に収容された蓄電部とを備えている。蓄電部は、正極110として本実施形態のアルミニウムから成る短繊維Aを用いた電極を備えている。また、正極110と対抗する負極120と、正極110と負極120との間に配置されたセパレータ130とを有する。正極110がケース本体102に面接触し、負極120が蓋101に面接触し、これにより、蓋101およびケース本体102が正極110および負極120の入出力端子として機能する。
【0048】
この場合、正極110に用いられる集電体10には正極用の活物質粉20が保持されている。また、負極120は公知の二次電池の負極の構造および材質を有していれば良く、リチウムイオン二次電池の場合は活物質として例えばグラファイト等の炭素材が用いられ、集電体として銅箔が用いられる。セパレータ130は正極110と負極120とを電気的に絶縁し、イオン透過性があり、正極110および負極120との接触面で酸化・還元に対する耐性を有するものであれば良い。例えば、多孔質のポリマーや無機材料、有機と無機のハイブリット材料、ガラス繊維等を用いることが可能である。なお、二次電池に用いられる公知のセパレータを用いることが可能である。
【0049】
前記蓄電部を収容したケース100内には電解液が満たされている。電解液の電解質としてリチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等を使用可能であり、リチウムイオン二次電池の場合はリチウム塩が用いられる。電解質が溶解する溶媒としては非水系溶媒が用いられ、非水系溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エステル等を用いることが可能である。なお、二次電池に用いられる公知の電解質および溶媒を用いることが可能である。充放電が行われる際に、正極110の活物質粉20からリチウムイオン等のイオンが電解液中に放出される化学反応や、活物質粉20にリチウムイオン等のイオンが取り込まれる化学反応が起きる。
【0050】
このように構成されたコイン型二次電池において、正極110に用いられる集電体10の厚さ方向一方の面がケース本体102に接触する。また、正極110に用いられる集電体10には、その厚さ方向一方の面から他方の面までの全ての範囲に活物質粉20が充填されており、多くの活物質粉20が集電体10の短繊維Aに接触している。このため、入出力端子に電子を運ぶ短繊維Aと活物質粉20との距離が近くなり、充放電速度を向上する上で有利である。
【0051】
また、活物質粉20と短繊維Aとが直接接触し、又は、活物質粉20と短繊維Aとが近接して配置されると共に導電助剤30等を介して導通している。このため、活物質粉20と短繊維Aとの間で電子の授受が行われる際に、その電子が集電体10の端等に設けられた入出力端子に移動する抵抗を小さくすることができる。
【0052】
なお、従来のコイン型二次電池の一例を図8に示す。このコイン型二次電池は、アルミニウム箔の集電体141と、集電体141の厚さ方向一方の面に塗布された電極層142とを有する正極140を備えている。電極層142には、活物質粉、導電助剤、バインダー等が含まれている。コイン型二次電池はスペースが限られているので、従来のコイン型二次電池は集電体141の厚さ分だけ活物質粉の量が制限される。また、セパレータ130側に配置された活物質粉の電子は、集電体141との間に配置された活物質粉や導電助剤を介して集電体141に移動するので、充放電速度を向上する上で好ましくない。
【0053】
なお、前記コイン型二次電池において、負極120に本実施形態の電極の構造、特に銅から成る短繊維Aを用いた電極を用いることも可能である。この場合、この電極の集電体は集電体10となり、活物質粉20として炭素材が用いられ、電池の種類によってはチタン酸リチウム、チタン酸化物、タングステン酸化物、スズ酸化物等が用いられる場合もあり得る。
【0054】
[積層型二次電池への適用]
正極、負極およびセパレータから成る蓄電部を複数層に積層する二次電池の場合も、前記コイン型二次電池と同様に本実施形態のアルミニウム又は銅の短繊維Aを用いる電極構造を正極のみ、負極のみ、および正極と負極の両方に用いることが可能である。
【0055】
[電気二重層キャパシタへの適用]
図9に本実施形態の電極を用いた電気二重層キャパシタの一例を示す。この電気二重層キャパシタは、例えば容器200と、容器200に収容された蓄電部とを備えている。蓄電部は、正極210として本実施形態のアルミニウムの短繊維Aを用いる電極を備えている。また、正極210と対抗する負極220と、正極210と負極220との間に配置されたセパレータ230とを有する。正極210には正極入出力端子210aが接続され、負極220にも同様に負極入出力端子220aが接続され、各入出力端子は容器200の外まで延びている。
【0056】
この場合、正極210に用いられる集電体10には吸着物質粉が保持されている。また、負極220は公知の電気二重層キャパシタの負極の構造および材質を有していれば良く、例えばアルミニウム箔から成る集電体221と、集電体の厚さ方向一方の面に塗布された電極層222とを有する。電極層222には吸着物質粉、導電助剤、バインダー等が含まれている。
【0057】
セパレータ230は正極210と負極220とを電気的に絶縁し、イオン透過性があり、正極210および負極220との接触面で酸化・還元に対する耐性を有するものであれば良い。例えば、多孔質のポリマーや無機材料、有機と無機のハイブリット材料、ガラス繊維等を用いることが可能である。なお、電気二重層キャパシタに用いられる公知のセパレータを用いることが可能である。
【0058】
前記蓄電部を収容した容器200内には電解液が満たされている。電解液は非水系溶媒及び電解質を含有している。電解質や非水系溶媒は電気二重層キャパシタに用いられる公知の物質であれば良い。電解質として例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩等を使用でき、非水系溶媒として例えば環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ニトリル類、含イオウ化合物等を使用できる。
【0059】
この電気二重層キャパシタは、正極210に用いられる集電体10の一端が正極入出力端子210aに接続される。また、正極210に用いられる集電体10には、その厚さ方向一方の面から他方の面までの全ての範囲に吸着物質粉が充填されており、多くの吸着物質粉が集電体10の短繊維Aに接触している。このため、正極入出力端子210aに電子を運ぶ短繊維Aと吸着物質粉との距離が近くなり、充放電速度を向上する上で有利である。従来の正極の構造は負極220と同じであるため、負極220と比べると上記利点を理解し易い。
なお、前記電気二重層キャパシタにおいて、負極220に本実施形態のアルミニウムの短繊維Aを用いる電極の構造を用いることも可能である。また、正極210および負極220に本実施形態の銅の短繊維Aを用いる電極の構造を用いることも可能である。
【0060】
本実施形態によれば、上述のように高純度のアルミニウムの短繊維Aや銅の短繊維Aの近傍に活物質粉20や吸着物質粉を配した蓄電デバイスの電極を形成することが可能である。これにより、より容量が高く、変形抵抗の少ない、充放電性に優れた蓄電デバイスの製造が可能となる。
【0061】
また、例えば、通常のキャパシタや二次電池などに使用されるアルミニウム箔の製造は、スラブと呼ばれる非常に大型の四角柱のアルミ鋳塊を造り、切断、加熱して何回も圧延し、更に表面処理等を施して製作される。このため、非常に多くのエネルギーとコストを要する。一方、本実施形態に使用するアルミニウム又は銅の短繊維Aはビビリ振動切削等により製造することが可能である。また吸着物質粉、活物質粉20、導電助剤30などを保持した集電体10を圧延し箔を形成する際に、プレス圧も小さくすることができる。このため、大型の設備を必要とせず、容易にかつ低コストで集電体箔や正極箔を製造することが可能となる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、所定形状に成形したスラリーを乾燥させると、アルミニウム又は銅の短繊維Aが互いに電気的に接続され、アルミニウム又は銅の短繊維Aにより集電体10が形成される。また、スラリーS内ではアルミニウム又は銅の短繊維Aと吸着物質粉又は活物質粉20とが混ぜられているので、スラリーSを乾燥させると、集電体10の短繊維Aの間に形成された隙間に吸着物質粉又は活物質粉20が入り込む。このため、吸着物質粉又は活物質粉20が短繊維Aに直接接触し、又は、短繊維Aの近傍に配置され、吸着物質粉又は活物質粉20と短繊維Aとの間で電子の授受が行われる際に、その移動抵抗を小さくすることができる。
【0063】
また、スラリーSにカーボン繊維CFが混ぜられているので、電極となった際に、吸着物質粉又は活物質粉20と短繊維Aとが直接接触していない場合でも、吸着物質粉又は活物質粉20と短繊維Aとがカーボン繊維CFを介して電気的に接続される。また、吸着物質粉又は活物質粉20と短繊維Aとが直接接触している場合でも、カーボン繊維CFによる接続があることによって、吸着物質粉又は活物質粉20と短繊維Aとの間の電気抵抗が更に低減される。
【0064】
また、短繊維Aから成る不織布状集電体又は分散した短繊維A同士が接続された集電体を有する電極は、アルミニウム箔等を集電体として使うものに比べ、小さな力でも容易に曲がる。このため、電極の設置スペースが限られている場合は、その設置を容易にするこも可能であり、使用時に少し変形が加わる位置に電極が設けられる場合でも、電極から生ずる反力が小さくなり、これにより機器の寿命を向上することを期待できる。
【符号の説明】
【0065】
10 集電体
20 活物質粉
30 導電助剤
A アルミニウム又は銅の短繊維
B バインダー
S スラリー
CF カーボン繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9