(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】患者監視システム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20220228BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
G16H80/00
A61B5/00 102
(21)【出願番号】P 2019500888
(86)(22)【出願日】2017-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2017069018
(87)【国際公開番号】W WO2018019942
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-05-28
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】シャン カイフェン
(72)【発明者】
【氏名】キレンコ イホール オレホヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アーツ ロナルドゥス マリア
(72)【発明者】
【氏名】フェルティッグ アンドレアス
【審査官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-090722(JP,A)
【文献】特表2012-519547(JP,A)
【文献】特表2004-536652(JP,A)
【文献】特表2014-514049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0018650(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103477340(CN,A)
【文献】特開2013-156919(JP,A)
【文献】特開2013-250681(JP,A)
【文献】特表2007-507046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者監視システムであって、
患者を監視し、患者監視データを生成する患者監視デバイスと、
ユーザを識別するユーザ識別ユニットと、
前記識別されたユーザに基づき、前記患者監視デバイスを制御する制御インタフェースの提供を規定する制御ルールを提供するルール提供ユニットと、
前記提供された制御ルールに基づき、前記ユーザが前記患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースを前記ユーザに提供する出力デバイスとを有し、
前記出力デバイスが、前記患者監視デバイスから分離され、検出領域を備える検出器を含むモバイルデバイスであり、前記検出器は、識別インジケーションが前記検出領域内にある場合、前記患者監視デバイスの前記識別インジケーションを検出し、前記患者監視デバイスが、前記識別インジケーションを提供し、前記検出器が前記検出領域内の前記識別インジケーションを検出する場合、前記出力デバイスが、前記提供された制御ルールに基づき前記患者監視デバイスを制御するための前記制御インタフェースを前記ユーザに提供する、患者監視システム。
【請求項2】
前記出力デバイス及び前記患者監視デバイスが、直接データ接続を確立する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項3】
前記患者監視デバイスが、前記患者監視データを表示するディスプレイを有し、前記出力デバイスと前記患者監視デバイスとの間に直接データ接続が確立されない場合、前記患者監視デバイスは、前記ディスプレイ上に前記患者監視データを表示しない、請求項2に記載の患者監視システム。
【請求項4】
前記患者監視デバイスが、ディスプレイを有し、前記出力デバイスと前記患者監視デバイスとの間に直接データ接続が確立されない場合、前記患者監視データではないデータを前記ディスプレイ上に表示する、請求項2に記載の患者監視システム。
【請求項5】
前記検出器が、前記検出領域を規定する撮像野を持つ光検出器であり、前記識別インジケーションは、視覚的インジケーションである、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項6】
前記出力デバイス及び前記患者監視デバイスが、可視光通信及び近距離通信の少なくとも1つを用いて、データ接続を確立する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項7】
前記出力デバイス及び前記患者監視デバイスが、双方向データ接続を確立する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項8】
前記出力デバイス及び前記患者監視デバイスが、データネットワークを介してデータ接続を確立する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項9】
前記出力デバイスが、前記ユーザがユーザ特有データを入力することを可能にするユーザインタフェースを提供し、前記ユーザ識別ユニットは、前記入力されたユーザ特有データに基づき前記ユーザを識別する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項10】
前記モバイルデバイスが、タブレットコンピュータである、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項11】
前記ルール提供ユニットが、前記識別されたユーザに基づき、前記患者監視データの視覚化の提供を規定する視覚化ルールを提供し、前記出力デバイスは、前記提供された視覚化ルールに基づき、前記患者監視データの視覚化を提供する、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項12】
請求項1に記載の患者監視システムの出力デバイスとして使用される出力デバイスであって、
ユーザを識別する前記患者監視システムのユーザ識別ユニットと、
前記識別されたユーザに基づき、前記患者監視システムの患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースの提供を規定する制御ルールを提供する前記患者監視システムのルール提供ユニットと、
検出領域を備える検出器であって、識別インジケーションが前記検出領域内にある場合、前記患者監視デバイスの前記識別インジケーションを検出する、検出器とを有し、
前記出力デバイスは、前記提供された制御ルールに基づき、前記ユーザが前記患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースをユーザに提供し、前記出力デバイスが、前記患者監視デバイスから分離されたモバイルデバイスであり、前記検出器が前記検出領域内の前記識別インジケーションを検出する場合、前記出力デバイスが、前記提供された制御ルールに基づき前記患者監視デバイスを制御するための前記制御インタフェースを前記ユーザに提供する、出力デバイス。
【請求項13】
患者監視方法において、
患者監視デバイスにより患者を監視し、患者監視データを生成するステップと、
ユーザ識別ユニットによりユーザを識別するステップと、
前記識別されたユーザに基づき前記患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースの提供を規定する制御ルールをルール提供ユニットにより提供するステップと、
前記提供された制御ルールに基づき、前記ユーザが前記患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースを、前記患者監視デバイスから分離されたモバイルデバイスであり、検出領域を備える検出器を含む出力デバイスにより前記ユーザに提供するステップとを有し、
識別インジケーションが前記検出領域内にある場合、前記検出器が、前記患者監視デバイスの識別インジケーションを検出し、
前記患者監視デバイスは、前記識別インジケーションを提供し、
前記検出器が前記検出領域内の前記識別インジケーションを検出する場合、前記出力デバイスが、前記提供された制御ルールに基づき前記患者監視デバイスを制御するための前記制御インタフェースを前記ユーザに提供する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の患者監視システムを制御するコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムが、前記患者監視システムで実行されるとき、請求項1に記載の患者監視システムが、請求項13に記載の患者監視方法を実行することをもたらすプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者監視システム、方法、及びコンピュータプログラムに関し、患者監視システムが、出力デバイスを有する。本発明は更に、患者監視システムの出力デバイスとして使用される出力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
US2008/0106374A1号は、部屋における1人又は複数の人の役割を自動的に識別する識別システムを有するポイントオブケア装置を開示する。ポイントオブケア装置は、識別された人の役割に関連する情報を決定するプロセッサと、情報を表示するディスプレイとを更に有する。ディスプレイに表示される情報は、特にその人が看護師又は医師である場合、患者に関する臨床情報であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改善された患者監視システム、方法、及びコンピュータプログラムを提供することである。ここで、患者監視システムが出力デバイスを有する。本発明の更なる目的は、患者監視システムの出力デバイスとして使用される改善された出力デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、患者監視システムが提示され、患者監視システムは、
患者を監視し、患者監視データを生成する患者監視デバイスと、
ユーザを識別するユーザ識別ユニットと、
上記識別されたユーザに基づき、上記患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースの提供を規定する制御ルールを提供するルール提供ユニットと、
上記提供された制御ルールに基づき、上記ユーザが上記患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースを上記ユーザに提供する出力デバイスとを有し、
上記出力デバイスが、上記患者監視デバイスから分離され、検出領域を備える検出器を含むモバイルデバイスであり、上記検出器は、識別インジケーションが上記検出領域内にある場合、上記患者監視デバイスの上記識別インジケーションを検出し、上記患者監視デバイスが、上記識別インジケーションを提供し、上記検出器が上記検出領域内の上記識別インジケーションを検出する場合、上記出力デバイスが、上記提供された制御ルールに基づき上記患者監視デバイスを制御するための上記制御インタフェースを上記ユーザに提供する。
【0005】
出力デバイスは、識別されたユーザに基づき提供される制御ルールに基づき制御インタフェースを提供するので、患者監視デバイスを制御するユーザ特有の制御インタフェースが提供されることができる。例えば、患者監視デバイスの設定は、出力デバイスにより提供される制御インタフェースを介して変更されることができ、患者監視デバイスを設定するオプションは、それぞれのユーザに依存することができる。例えば、ユーザが医師である場合、制御インタフェースは、患者監視デバイスの多くの設定を変更することを可能にすることができ、ユーザが看護師である場合、制御インタフェースは、患者監視デバイスのわずかな設定の変更だけを可能にすることができる。これは、それぞれのユーザが、そのユーザが修正することを許されるそれぞれの設定のみを変更することができることを確実にする。これにより、患者監視デバイスの不適切な設定のリスクが低減される。更に、それぞれのユーザに関連する制御オプションのみを提供することにより、ユーザは、無関係な制御情報により注意をそらされることが少なくなる。
【0006】
患者監視デバイスは好ましくは、バイタルサインを測定するよう構成される。即ち、患者監視データは好ましくは、バイタルサイン測定値を含み、このデバイスは好ましくは、ベッドサイド患者監視デバイスである。出力デバイスは、タッチ感知ディスプレイを持つタブレットコンピュータのようなモバイルデバイスである。
【0007】
出力デバイス及び患者監視デバイスは好ましくは、直接データ接続を確立するよう構成される。更に、患者監視デバイスは好ましくは、患者監視データを表示するディスプレイを有し、一実施形態では、出力デバイスと患者監視デバイスとの間に直接データ接続が確立されない場合、患者監視デバイスは、ディスプレイ上に患者監視データを表示しないよう構成されることができる。更に、一実施形態では、出力デバイスと患者監視デバイスとの間に直接データ接続が確立されない場合、患者監視デバイスは、患者監視データではないデータを表示するよう構成されることができる。患者監視データではないデータは、肯定的かつ治癒支援的気分に患者をセットするため、リラックスする穏やかな画像又は家族画像といったリラックスする鎮静効果を持つデータであり得る。出力デバイスと患者監視デバイスとの間に直接データ接続が確立されない場合、好ましくは介護者であるユーザは患者監視デバイスの近くにはなく、従って患者の近くにはないと仮定されることができ、この場合、患者監視データではなく、リラックスする穏やかなデータが、患者監視デバイスのディスプレイに表示されることができる。これは、患者の改善された治癒過程をもたらすことができる。
【0008】
出力デバイスは、検出領域を備える検出器を有し、上記検出器は、識別インジケーションが上記検出領域内にある場合、上記患者監視デバイスの上記識別インジケーションを検出し、上記患者監視デバイスが、上記識別インジケーションを提供し、上記検出器が上記検出領域内の上記識別インジケーションを検出する場合、上記出力デバイスが、上記提供された制御ルールに基づき上記患者監視デバイスを制御するための上記制御インタフェースを上記ユーザに提供する。こうして、出力デバイスは、検出器が検出領域内の識別インジケーションを検出する場合、提供された制御ルールに基づき患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースをユーザに提供する。識別インジケーションは、識別インジケーションが検出器の検出領域内にある場合、検出器により検出可能な任意のインジケーションとすることができる。従って、識別インジケーションは、物理的要素であり、これは、患者監視デバイスの識別を示し、物理的要素が空間的検出領域内にある場合、検出器により検出可能である。異なる患者監視デバイスは、異なる識別を提供するために異なる識別インジケーションを持つことができる。検出器は好ましくは、検出領域を規定する撮像野を持つカメラのような光検出器であり、識別インジケーションは好ましくは視覚インジケーション、即ち例えば視覚的サイン又はマーカ、点滅ライトなどである。識別インジケーションは、それぞれの患者監視デバイスを示す。従って、識別情報は、識別インジケーションでエンコードされることができる。複数の患者監視デバイスが部屋にあり、各患者監視デバイスがそれぞれの識別インジケーションを含む場合、選択された患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースを出力デバイスがユーザに提供することを可能にするため、選択される患者監視デバイスの識別インジケーションが検出領域内にあるよう出力デバイスを保持することにより、出力デバイスがどの患者監視デバイスに接続されるべきかが選択されることができる。これは、出力デバイスをそれに応じて保持するだけで、出力デバイスに接続されるべきである患者監視デバイスをユーザが比較的容易に選択することを可能にする。
【0009】
出力デバイス及び患者監視デバイスは、可視光通信(VLC)及び近距離通信(NFC)の少なくとも1つを使用することによりデータ接続を確立するよう構成されることができる。データ接続を確立するためにVLC又はNFCを使用することは、信頼性が高く高速な直接データ接続を可能にし、これにより、患者監視システムが更に改善される。
【0010】
出力デバイスと患者監視デバイスとの間のデータ接続は好ましくは、双方向データ接続である。これは、出力デバイスを介して患者監視デバイスへの完全に機能的な遠隔アクセスを可能にすることができる。
【0011】
一実施形態では、出力デバイス及び患者監視デバイスは、データネットワークを介してデータ接続を確立するよう構成される。データネットワークは、例えば、有線又は無線ローカルエリアネットワークである。これは例えば、出力デバイスを保持するユーザが、患者及び患者監視デバイスが位置するかもしれない患者室ではなく別の部屋にいる場合でさえ、出力デバイスを介して患者監視デバイスを制御することを可能にする。こうして、患者監視デバイス用のユーザ特有の遠隔制御が提供されることができ、これは、たとえユーザが患者が位置する部屋ではなく別の部屋にいても、患者監視デバイスを制御することを可能にする。
【0012】
出力デバイスは好ましくは、ユーザがユーザ特有のデータを入力することを可能にするユーザインタフェースを提供するよう構成され、ユーザ識別ユニットは、入力されたユーザ特有データに基づきユーザを識別するよう構成される。従って、例えば、無線周波数識別(RFID)技術を使用することは要求されず、ユーザを識別するため、ユーザが自分の名前及びパスワードのようなユーザ特有のデータを入力するだけでよい。入力されたユーザ特有のデータは、指紋、網膜血管などのバイオメトリックデータであってもよい。
【0013】
ルール提供ユニットは、識別されたユーザに基づき、患者監視データの視覚化の提供を規定する視覚化ルールを提供するよう構成され、出力デバイスは、提供された視覚化ルールに基づき患者監視データの視覚化を提供するよう構成されることが好ましい。従って、患者監視システムは、ユーザ特有の患者監視データを提供するよう構成されることもできる。例えば、より多くの患者監視データが、看護師よりも医師に示されてもよい。患者監視データのこのより焦点を当てられた視覚化により、ユーザは、無関係な患者監視データにより気を散らされることが少なくなり、これにより患者監視システムが更に改善されることができる。
【0014】
本発明の更なる態様では、患者監視方法が提示され、患者監視方法は、
患者監視デバイスにより患者を監視し、患者監視データを生成するステップと、
ユーザ識別ユニットによりユーザを識別するステップと、
ルール提供ユニットにより識別されたユーザに基づき、患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースのユーザへの提供を規定する制御ルールを提供するステップと、
患者監視デバイスから分離されたモバイルデバイスであり、検出領域を備える検出器を含む出力デバイスにより、提供された制御ルールに基づき、ユーザが患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースを提供するステップとを有し、
上記識別インジケーションが上記検出領域内にある場合、上記検出器が、上記患者監視デバイスの識別インジケーションを検出し、上記患者監視デバイスは、上記識別インジケーションを提供し、上記検出器が上記検出領域内の上記識別インジケーションを検出する場合、上記出力デバイスが、上記提供された制御ルールに基づき上記患者監視デバイスを制御するための上記制御インタフェースを上記ユーザに提供する。
【0015】
本発明の更なる態様では、請求項1に記載の患者監視システムの出力デバイスとして使用される出力デバイスが提示され、この出力デバイスは、a)ユーザを識別する患者監視システムのユーザ識別ユニットと、b)識別されたユーザに基づき、患者監視システムの患者監視デバイスを制御するための制御インタフェースの提供を規定する制御ルールを提供する患者監視システムのルール提供ユニットと、c)検出領域を備える検出器とを有し、上記検出器が、上記識別インジケーションが上記検出領域内にある場合、上記患者監視デバイスの上記識別インジケーションを検出するよう構成され、上記出力デバイスは、上記提供された制御ルールに基づき、上記ユーザが上記患者監視デバイスを制御することを可能にする制御インタフェースをユーザに提供し、上記出力デバイスが、上記患者監視デバイスから分離されたモバイルデバイスであり、上記検出器が上記検出領域内の上記識別インジケーションを検出する場合、上記出力デバイスが、上記提供された制御ルールに基づき上記患者監視デバイスを制御するための上記制御インタフェースを上記ユーザに提供する。
【0016】
こうして、本発明のこの態様では、請求項1の患者監視システムの出力デバイスとして使用される出力デバイスは、ユーザ識別ユニットとルール提供ユニットとを含む。
【0017】
本発明の別の態様では、請求項1に記載の患者監視システムを制御するコンピュータプログラムが提示され、上記コンピュータプログラムが上記患者監視システムで実行されるとき、請求項1に記載の患者監視システムが請求項13に記載の患者監視方法を実行することをもたらすプログラムコード手段を有する。
【0018】
請求項1に記載の患者監視システム、請求項12に記載の出力デバイス、請求項13に記載の患者監視方法、及び請求項14に記載の患者監視システムを制御するコンピュータプログラムは、特に従属請求項に規定されるのと同様の及び/又は同一の好ましい実施形態を持つ点を理解されたい。
【0019】
本発明の好ましい実施形態は、個別の独立請求項と従属請求項又は前述の実施形態との任意の組み合わせとすることもできる点を理解されたい。
【0020】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に説明される実施形態から明らかとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】患者監視システムの一実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図2】患者監視システムの出力デバイスの一実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【
図3】患者監視方法の一実施形態を例示的に説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
患者監視システム1の実施形態が、
図1に概略的かつ例示的に示される。患者監視システム1は、患者ベッド3に横たわる患者2を監視する患者監視デバイス5を有する。ここで、患者監視デバイス5は、患者監視データを生成するよう構成される。特に、患者監視デバイス5は、患者2に取り付けられたセンサ4に接続された測定ユニット6を有し、測定ユニット6及びセンサ4は、患者2を監視し患者監視データを生成するため、バイタルサインを測定するよう構成される。例えば、測定ユニット6及びセンサ4は、心拍数、呼吸数、血中酸素飽和度、体温、血圧などを測定するよう構成されてもよい。患者監視デバイス5は更に、患者監視データの少なくとも一部を表示し、かつ患者監視データではないデータ、例えば、患者を肯定的かつ治癒支援的な気分にするため、リラックスする穏やかな画像又は家族の写真を表示するディスプレイ7を有する。
【0023】
患者監視システム1は、患者監視デバイス5を制御する制御インタフェースを提供する出力デバイス9を更に有する。この実施形態では、患者監視デバイス5は、ベッドサイドデバイスであり、出力デバイス9は、制御インタフェースを提供し、ユーザ10からの入力を受信するタッチ感知ディスプレイを持つモバイルタブレットコンピュータである。ユーザは好ましくは、看護師又は医師といった介護者である。出力デバイス9は更に、患者監視データの視覚化を提供するよう構成される。従って、出力デバイス9を介して、患者監視デバイス5が、制御されることができ、患者監視データは、ユーザ10に示されることができる。
【0024】
出力デバイス9は、
図2に概略的かつ例示的に示される。出力デバイス9は、ユーザ10を識別するユーザ識別ユニット11と、制御ルールを提供するルール提供ユニット12とを有する。これは、識別されたユーザ10に基づき、患者監視デバイス5を制御するための制御インタフェースの提供を規定する。この実施形態では、ルール提供ユニット12は、視覚化ルールも提供するよう構成される。これは、識別されたユーザ10に基づき、患者監視データの視覚化の提供を規定する。出力デバイス9は、提供された制御ルールに基づき患者監視デバイスを制御する制御インタフェースを提供し、提供された視覚化ルールに基づき患者監視データの視覚化を提供するよう構成される。視覚化ルールは好ましくは、どの患者監視データが出力デバイス9に表示されるべきかを規定し、この場合、表示される患者監視データの選択は、識別されたユーザ10に依存する。制御ルールは好ましくは、ユーザ10が患者監視デバイスのどの設定を修正することができるかを規定する。即ち、制御ルールは、ユーザ10により使用可能な制御の選択を規定することができる。
【0025】
出力デバイス9は、情報を表示し入力を受信するタッチ感知ディスプレイ13を有する。もちろん、
図2は概略的な図に過ぎない点に留意されたい。即ち、タッチ感知ディスプレイ13は好ましくは、出力デバイス9の全面を覆い、ユーザ識別ユニット11、ルール提供ユニット12、後述の検出器14は、出力デバイス9の筐体内に一体化される。
【0026】
この実施形態では、出力デバイス9及び患者監視デバイス5は、直接データ接続8を確立するよう構成され、直接データ接続8は好ましくは、VLC又はNFC技術を使用することにより確立される。直接データ接続8は、双方向データ接続である。その結果、例えば、患者監視デバイス5から出力デバイス9に患者監視データが送信されることができ、患者監視デバイス5を制御するための制御情報が、出力デバイス9から患者監視デバイス5に送信されることができる。
【0027】
患者監視デバイス5は、患者監視デバイス5の識別を示す識別インジケーション15を有する。識別インジケーション15は、光学的に検出可能なマーカである。この光学的に検出可能なマーカは、一連の数字及び/又は文字、バーコードなどの一連の標識であり得る。出力デバイス9は、検出領域を備えた検出器14を有する。ここで、識別インジケーション15が検出領域内にある場合、検出器14は、患者監視デバイス5の識別インジケーション15を検出するよう構成される。この実施形態では、検出器14は、タブレットコンピュータ9のカメラであり、検出領域は、カメラ14の撮像野である。タブレットコンピュータ9及び患者監視デバイス5は、識別インジケーション15がカメラ14の撮像野内にある場合、データ接続8がタブレットコンピュータ9と患者監視デバイス5との間で確立されるよう構成される。従って、タブレットコンピュータ9は、カメラ14により取得された画像内の識別インジケーション15を検出するよう構成されており、識別インジケーション15が画像内で検出される場合、データ接続8が確立される。複数の患者監視デバイスが同じ患者室にある場合、ユーザ10は、選択されるべき患者監視デバイスにタブレットコンピュータ9を向けることにより、タブレットコンピュータ9に接続される所望の患者監視デバイスを選択することができる。複数の患者監視デバイスのいくつかの識別インジケーションが、出力デバイスの検出器の検出領域内にある場合、出力デバイスは、検出領域内の識別インジケーションを備える患者監視デバイスを示し、これらの患者監視デバイスの1つをユーザが選択することを可能にするグラフィカルユーザインタフェースを提供する。選択された患者監視デバイスと出力デバイスとの間でデータ接続が確立されることができる。
【0028】
直接データ接続8が出力デバイス9と患者監視デバイス5との間に確立されない場合、患者監視デバイス5は、患者監視データではないデータ、例えばリラックスする穏やかな画像又は家族の写真を表示するよう構成されることができる。従って、出力デバイス9を運ぶ介護者が患者2の近くにいない場合、患者監視デバイス5は、そのディスプレイ7にリラックスする穏やかな情報を自動的に示すことができる。
【0029】
出力デバイス9は好ましくは、ユーザ10がユーザ特有のデータを入力することを可能にするユーザインタフェースを提供するよう構成され、ユーザ識別ユニット11は、入力されたユーザ特有データに基づきユーザ10を識別するよう構成される。ユーザ特有データは例えば、ユーザ名及びパスワードのようなログインデータであってもよく、ユーザ識別ユニット11は、ユーザ名及びパスワードに基づきユーザを識別するよう構成され得る。ユーザ特有データは、バイオメトリックデータのような他の種類のデータであってもよい。
【0030】
以下では、患者監視方法の実施形態が、
図3に示されるフローチャートを参照して例示的に説明される。
【0031】
患者監視デバイス5が継続的に患者2を監視している間、患者監視データを生成するため、ステップ101において、ユーザ識別ユニット11によりユーザ10が識別される。ステップ102において、患者監視デバイス5を制御するための制御インタフェースの提供を規定する制御ルールが、識別されたユーザ10に基づきルール提供ユニット12により提供される。更に、患者監視データの視覚化の提供を規定する視覚化ルールが、識別されたユーザ10に基づき、ルール提供ユニット12により提供される。ステップ103において、出力デバイス9は、提供された制御ルールに基づき患者監視デバイスを制御し、提供された視覚化ルールに基づき患者監視データの視覚化を制御する制御インタフェースを提供する。ステップ104において、患者監視デバイス5は、提供された制御インタフェースを介してユーザ10により入力された制御情報に基づき制御される。ステップ101及び102は交換されることができる。即ち、最初にステップ102が実行され、次にステップ101が実行されることも可能である。
【0032】
上述の実施形態では、出力デバイスと患者監視デバイスとの間のデータ接続を確立するためにVLC又はNFCが使用されるが、データ接続は、Bluetoothなどの別のデータ接続技術を用いて確立されることもできる。
【0033】
上記の実施形態では、NFC又はVLCを介して患者監視デバイスと出力デバイスとの間に直接データ接続が確立されるが、出力デバイス及び患者監視デバイスは、有線又は無線ローカルエリアネットワークのようなデータネットワークを介してデータ接続を確立するよう構成されることもできる。これは、出力デバイスを備えるユーザが患者監視デバイスが位置する患者室にいなくても、出力デバイスを介して患者監視デバイスの制御及び患者監視データの提供を可能にすることができる。
【0034】
医学において監視は、疾患、状態、又は1つ若しくは複数の医学的パラメータの経時的な観察であるとみなされることができる。それは、医療モニタを用いて特定のパラメータを連続的に測定することにより実行されることができる。医療モニタは即ち、ベッドサイドでバイタルサインを連続的に測定するよう構成された患者監視デバイスである。患者監視デバイスが常に全ての種類のユーザに対して実質的に同じ固定患者監視データを示す場合、これは必ずしも有用ではない。なぜなら、医師、専門家、上級看護師、看護師、患者などの異なる種類のユーザは、異なるパラメータ、より多くの詳細又はより少ない詳細のような患者監視データを表示する必要性が異なり、患者監視デバイスの異なるレベルの制御を必要とするからである。従って、上述の患者監視システム及び方法は、介護者がディスプレイ上で見たいものを見て、ディスプレイ上のそれぞれの情報の見たい場所を見ることを可能にする。ディスプレイは必ずしも患者の近くにあるわけではなく、従ってこの情報は、出力デバイスの追加のディスプレイ上に示される。出力デバイスを保持し及び見ている人に基づき、患者監視デバイスからの異なる患者監視データが、出力デバイスのディスプレイ上に示されることができる。また、患者監視デバイスのユーザ依存レベルの制御が提供される。従って、患者監視データの1つのソースは、それぞれのユーザに基づく異なる視覚化、即ち特に可視性、及び異なる制御に関連付けられることができる。これは、例えば、患者中心のディスプレイの代わりに介護者中心のディスプレイを可能にする。
【0035】
好ましくは、患者監視デバイスは、患者の隣に位置し、患者の多くのバイタルサインを収集するが、患者監視デバイスの小さなディスプレイに限られた情報のみを表示する。この限定された情報は、血中酸素飽和度、心拍数、呼吸数、及び測定された値が予想される許容可能な所定の範囲内にない場合に特に開始される警報を含むことができる。すべての介護者は、自身のモニタ、即ちタブレットコンピュータのような出力デバイスを持つ。これは、それぞれの特定の介護者に必要な情報を患者監視デバイスから抽出するために使用される。例えば、看護師には限られた情報のみが示され、医師には以前の測定の履歴及び追加情報が提供されることもある。各介護者は、例えば患者監視デバイスで異なる警報を異なるレベルに設定するため、自身のモニタ上で異なる制御を行うことができる。モニタを保持するそれぞれの人、即ち例えば看護師又は医師に基づき、異なる詳細レベルにある、バイタルサイン、心電図データなどのような異なるタイプの患者監視データがモニタ上に見える。
【0036】
患者データのみの唯一のソース、即ち患者監視デバイスを使用するが、それぞれのユーザに依存する異なる視覚化及び制御を使用することにより、プライバシー問題が解決されることができる。更に、患者監視デバイスと出力デバイスとの間のデータ接続は好ましくは、安全なデータ接続である。その結果、転送されたデータが、意図された人のためだけにアクセス可能である。
【0037】
患者監視デバイスは、プライバシー関連データを隠すため、看護師又は医師のような介護者が患者監視デバイスの近くにいない場合、何らかの種類の待機画面を表示するよう構成されることができる。空の画面は、患者に関連するデータで埋められることができる。例えば、患者監視デバイスが子ステーションで使用される場合、患者監視デバイスのディスプレイは、肯定的かつ治癒支援的気分を設定するため、リラックスする穏やかな画像又は家族の写真を示すことができる。介護者が患者室に入る場合、患者監視デバイスのディスプレイが作動され、その結果、それは、患者監視データを表示することができる。この部屋への入場は、介護者により搬送されるモバイル出力デバイスと患者監視デバイスとの間のデータ接続を確立することにより検出されることができ、患者監視デバイスのディスプレイ及び/又は出力デバイスのディスプレイは、カスタマイズされたスクリーンを得ることができる。
【0038】
上述の実施形態では、出力デバイスはタブレットコンピュータであるが、他の実施形態では、それは、ウェアラブルデバイスのような別の出力デバイス、例えば光ヘッドマウント・ディスプレイデバイスであってもよい。
【0039】
上述した実施形態では、ユーザ識別ユニットとルール提供ユニットとが出力デバイスに一体化されるが、他の実施形態では、これらのユニットの1つ又は両方のユニットが、患者監視デバイス又は別のデバイスに一体化されることもできる。この別のデバイスへは、出力デバイス及びオプションで患者監視デバイスが、データ接続を介して接続される。
【0040】
図面、開示及び添付された請求項の研究から、開示された実施形態に対する他の変形が、請求項に記載の本発明を実施する当業者により理解及び実行されることができる。
【0041】
請求項において、単語「有する」は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。
【0042】
単一のユニット又はデバイスが、請求項に記載されたいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを意味するものではない。
【0043】
1つ又は複数のユニット又はデバイスにより実行されるユーザの識別、ルールの提供、制御インタフェースの提供などの処理は、他の任意の数のユニット又はデバイスにより実行されることができる。これらの処理及び/又は患者監視方法による患者監視システムの制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実現されることができる。
【0044】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学的記憶媒体又は固体媒体といった適切な媒体において格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してといった他の形式で配布されることもできる。
【0045】
請求項における任意の参照符号は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0046】
本発明は、患者を監視する患者監視デバイスを有する患者監視システムに関し、上記患者監視デバイスは、患者監視データを生成するよう構成される。出力デバイスは、提供されたユーザ特有の制御ルールに基づき、ユーザが患者監視デバイスを制御することを可能にするよう構成される制御インタフェースを提供する。例えば、患者監視デバイスの設定は、提供された制御インタフェースを介して変更されることができ、患者監視デバイスを設定するオプションは、それぞれのユーザに依存することができる。これは、それぞれのユーザが、ユーザが修正することを許されるそれぞれの設定のみを変更することができることを確実にする。これにより、患者監視デバイスの不適切な設定のリスクが低減されることができる。更に、それぞれのユーザに関連する制御オプションのみを提供することにより、ユーザは、無関係な制御情報により注意をそらされることが少なくなる。