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特許7030771エアロゾル化装置及びエアロゾル薬物送達装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】エアロゾル化装置及びエアロゾル薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019500890
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2017067771
(87)【国際公開番号】W WO2018011374
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-05-27
(31)【優先権主張番号】62/362,883
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ショウヴァー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ライアン パットン
(72)【発明者】
【氏名】モロイ リサ
(72)【発明者】
【氏名】サンダー マット
(72)【発明者】
【氏名】ステッドマン ベン
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0001019(US,A1)
【文献】特表2006-528025(JP,A)
【文献】特表2004-523294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにエアロゾル化した薬剤を供給するためのエアロゾル化装置であり、前記エアロゾル化装置は、
ユーザが導管を通る吸気流を生じさせるためのマウスピース端、
振動可能なメッシュを含む、前記導管に通じているエアロゾル発生器
多量の液体薬剤の受け入れるための、前記エアロゾル発生器に通じている流体収容チャンバであり、液体薬剤をエアロゾル化のための前記振動可能なメッシュに誘導するために、頂部開口及びより小さい底部開口を持つ先細のチャンバを有する前記流体収容チャンバ、
外部ハウジング、並びに
前記流体収容チャンバの前記頂部開口の上にある頂部キャップであり、前記頂部キャップは、流体が前記流体収容チャンバにアクセスするための開口を有する、並びに前記頂部キャップは、前記開口から外向きに延在している及び前記頂部開口を超えて延在し、それにより前記頂部キャップを前記頂部開口の周囲にある前記外部ハウジングの上に設置する一組のアームを有する、前記頂部キャップ
を有するエアロゾル化装置。
【請求項2】
前記頂部キャップは、前記導管の開口を有する環状部を有し、前記一組のアームは前記環状部から外向きに延在している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アームは、各々が半径方向外向きに延在している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記導管の開口の周りに均等に角度方向に離間されている、4個から8個の間のアームが存在している、請求項1乃至3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記流体収容チャンバは、前記頂部開口から前記底部開口に向けて延在している一組のリブを有し、各アームの下にある位置に少なくとも1つのリブを備えている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
各リブは、前記頂部開口から前記底部開口まで完全に延在している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
アームに対し厳密に1つのリブが存在している、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体収容チャンバは、前記頂部開口から前記底部開口に向けて延在している一組の溝を有し、各アームの下にある位置に少なくとも1つの溝を備えている、請求項1乃至4の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
各溝は、前記頂部開口から前記底部開口まで完全に延在している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
アームに対し厳密に1つの溝が存在している、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記流体収容チャンバの上に蓋をさらに有する、請求項1乃至10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記頂部キャップはさらに、前記アームを半径方向に超えている及び前記頂部開口を半径方向に超えている、前記アーム同士を結合する接続バンドを有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
第1の開口及び第の開口を持つ本体、
前記第1の開口に取り外し可能で収容される、請求項1乃至12の何れか一項に記載のエアロゾル化装置であり、前記エアロゾル化装置が前記第1の開口に収容されるとき、前記第2の開口は前記導管の開口と位置合わせされる、前記エアロゾル化装置、
前記本体内にある1つ又は複数のバッテリー、並びに
前記本体内にある制御器
を有するエアロゾル薬物送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル化システムは、様々な薬剤、例えばインスリン及び喘息治療薬に対し効果的な送達を提供する。そのようなシステムは、液体形式の薬剤の計量された用量をエアロゾル化することにより、直にユーザの呼吸器系に前記薬剤を送達する。ユーザは次いで、エアロゾル化された薬剤を直に呼吸器系内に吸入し、様々な病状のより早い治療を可能にする。
【0003】
エアロゾル化された薬剤の一定及び適切に計量された用量の送達は、非常に重要である。現在のエアロゾル化システムはしばしば、エアロゾル化処理の後、前記薬剤の幾らかが液体形式でリザーバ内に残ることにより、一貫性のない用量を供給している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの特定な問題は、リザーバの主要な容積とリザーバのキャップとの間に規定されるエッジ部に液体が閉じ込められたままであることがある。例えば50マイクロリットルから1ミリリットルが残り、これは用量の30%である。
【0005】
もう1つの問題は、エアロゾル発生器に到達する薬剤を妨げるメッシュ上の気泡の形成である。
【0006】
故に、液体薬剤が流体収容チャンバに閉じ込められるのを防ぐエアロゾル化装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従う例は、ユーザにエアロゾル化された薬剤を供給するためのエアロゾル化装置を提供し、このエアロゾル化装置は、
ユーザが導管を通る吸気流を生じさせるためのマウスピース端、
振動可能なメッシュを含む、前記導管に通じているエアロゾル発生器、
多量の液体薬剤を収容するための、前記エアロゾル発生器に通じている流体収容チャンバであり、液体薬剤をエアロゾル化のための振動可能なメッシュに誘導するための頂部開口及びより小さな底部開口を持つ先細の(tapered)チャンバを有する流体収容チャンバ、
外部ハウジング、並びに
前記流体収容チャンバの前記頂部開口の上にある頂部キャップであり、前記頂部キャップは、前記流体収容チャンバへの流体のアクセスを提供する開口を規定している並びに前記頂部キャップは、前記開口から外向きに延在している及び前記頂部開口を超えて延在している一組のスポーク(spoke)を有し、それにより前記頂部キャップを前記外部ハウジングの上に設置する、前記頂部キャップ
を有する。
【0008】
この配置において、流体収容チャンバの頂部キャップは、スポークの設計を持つ。この頂部キャップは、流体収容チャンバの頂部開口よりも小さい開口を規定している。しかしながら、開口の周りに連続するリングを形成する代わりに、スポークは液体薬剤が閉じ込められたままとなる領域を減らす。
【0009】
頂部キャップは例えば、前記開口を規定する環状部と、この環状部から外向きに延在している一組のスポークを有する。環状部は、薬剤がそれを介して供給される硬質な開口を形成する。スポークは、環状部に十分な支持を提供するのに対し、流体収容チャンバの頂部との接触領域も減らす。
【0010】
スポークは、各々が半径方向外向きに延在している。これは、簡単な設計を提供する。導管の開口の周りに均等に角度方向に離間されている、4個から8個の間のスポークが存在している。
【0011】
流体収容チャンバは、頂部開口から底部開口に向けて延在している一組のリブを有し、各スポークの角位置に少なくとも1つのリブを備える。
【0012】
これらリブはさらに、スポークの下にある角領域からの流路を提供することにより、閉じ込められた液体を減らすのに役立つ。
【0013】
各リブは、頂部開口から底部開口まで完全に延在している。各スポークに対し厳密に1つのリブが存在している。
【0014】
これらリブはさらに、メッシュより上にある領域から底部開口の側面に沿った流路を提供することにより、メッシュより上にある閉じ込められた空気を減らすのに役立つ。
【0015】
代替の設計において、流体収容チャンバは、頂部開口から底部開口に向けて延在している一組の溝を有し、各スポークの角位置に少なくとも1つの溝を備える。
【0016】
再び、各溝は、頂部開口から底部開口まで完全に延在している。各スポークに対し厳密に1つの溝が存在している。
【0017】
前記装置は、大きな粒子を入れさせないために、流体収容チャンバ及び振動可能なメッシュの上に蓋を有する。
【0018】
頂部キャップはさらに、スポークを半径方向に超えている及び頂部開口を半径方向に超えている接続バンドを有する。これは、機能性を変えることなくより強い構造を提供する。
【0019】
本発明のもう1つの態様は、エアロゾル薬物送達装置を提供し。この装置は、
第1の開口及び第2の開口を持つ本体、
前記第1の開口に取り外し可能で収容される、上に規定されるようなエアロゾル化装置であり、前記エアロゾル化装置が前記第1の開口に収容されるとき、前記第2の開口は、導管の開口と位置合わせされる、エアロゾル化装置、
前記本体内にある1つ又は複数のバッテリー、及び
前記本体内にある制御器
を有する。
【0020】
これは、マウスピースのカートリッジである上に規定される装置と、前記制御器及びバッテリーを含む収容部分との組み合わせを規定している。本体は、外部のマウスピースのカバーも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の例は、付随する図面を参照して詳細に説明される。
図1】エアロゾル化装置の内部を示す。
図2図1の断面図を示す。
図3図1のエアロゾル化装置の頂部を示す。
図4】導管及びエアロゾル発生器が取り外されている図1のエアロゾル化装置の本体を示す。
図5図1のエアロゾル化装置の導管及びエアロゾル発生器を前から示す。
図6図1のエアロゾル化装置の導管及びエアロゾル発生器を後ろから示す。
図7】本発明の例に従う導管及びエアロゾル発生器を示す。
図8図7の導管及びエアロゾル発生器を平面図で示す。
図9】上面図をより詳細に示す。
図10図8で特定される第1の断面図を示す。
図11図10の断面図の拡大図を示す。
図12図8で特定される第2の断面図を示す。
図13図12の断面図の拡大図を示す。
図14】ある代替のリブの設計を示す。
図15】上蓋に対する第1の代替のスポークの設計を示す。
図16】上蓋に対する第2の代替のスポークの設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ユーザにエアロゾル化された薬剤を供給するエアロゾル化装置を提供する。この装置は、流体収容チャンバの底部にエアロゾル発生器を持つ。この流体収容チャンバの頂部開口の上に頂部キャップが設けられ、この頂部キャップは、その中心オリフィスを介して流体収容チャンバへの流体のアクセスを供給する開口を規定している。頂部キャップは、導管の開口から外向きに延在する及び前記頂部開口を超えて延在する一組のスポークを有し、それにより外部ハウジングの上に前記上蓋を設置する。この頂部キャップは、液体薬剤が閉じ込められる領域を減らす設計を持つ。
【0023】
本発明は、既知のエアロゾル化装置に応用され得る変更例を提供する。既知の装置の一例は最初に、国際特許出願公開番号第WO 2016/003738号の開示に基づいて説明される。図1から図6はWO 2016/003738から繰り返される。
【0024】
図1及び2は、エアロゾル化装置100を示し、この装置は、導管102及びこの導管102と連絡しているエアロゾル発生器104を含む。エアロゾル化装置100は、図面では表示灯として示される1つ以上のインジケータ機構106も含む。1つ以上のインジケータ機構は、ハウジング108又は装置100の他の何らかの部分と結合される。導管102及びエアロゾル発生器104も任意でハウジング108と結合されてよい。
【0025】
導管102は、マウスピース端110を含み、ユーザは、このマウスピース端を介して息を吸い込み、自分の呼吸器系にエアロゾル化された薬剤を送達するための吸気流を生じさせる。図2に見られるように、導管102は、内壁120を規定する。エアロゾル発生器は、振動可能なメッシュ112を含む。液体薬剤は、液体薬剤の瓶から直接、又は流体収容チャンバ114の先細の壁部により、振動可能なメッシュ112に注がれることによる間接的にの何れか一方により、振動可能なメッシュ112上に供給されることができる。
【0026】
振動可能なメッシュ112は、前記吸気流の流量がエアロゾル発生器104の動作範囲内にあるとき、処理器により制御される機構を介して振動し、多量の液体薬剤をエアロゾル化する。
【0027】
振動するとき、振動可能なメッシュ112は、エアロゾル化された薬剤がユーザの肺内に吸い込まれるように導管102内にエアロゾル化された薬剤の水柱を生じさせるように動作する。
【0028】
振動可能なメッシュは、導管102の内壁120からある距離122だけ離れて配される。例えば、振動可能なメッシュ112は、内壁120から約1mmから6mmの間の距離122だけ離れて配されてよい。振動可能なメッシュ112は、エアロゾル化された薬剤がそこから導管102内に分散する複数のアパーチャを規定している。これら複数のアパーチャは、500個よりも多くのアパーチャを含み、各アパーチャは、約1から8μmまでの直径を持つ。他の例において、複数のアパーチャは、1000個よりも多くのアパーチャを含んでよい。導管102からオフセットされている振動可能なメッシュ112と連動している前記アパーチャの小さなサイズは、エアロゾル化された薬剤が汚染されないことを保証するのに役立つ。
【0029】
振動可能なメッシュ112は、ドーム形状であり、前記アパーチャを囲む環状の圧電素子(図示せず)により振動する。振動可能なメッシュ112の直径は、約5mmから約8mmまでの範囲にある。振動可能なメッシュ112も約50ミクロンから約70ミクロンまでの範囲の厚さを持つ。通例、振動可能なメッシュ112は、約50kHzから約150kHzまでの範囲にある周波数で振動し、液体薬剤の用量をエアロゾル化する。
【0030】
導管102は、流体収容チャンバ114へのアクセスを提供する開口134を含む。開口134は、流体収容チャンバ114の頂部の直径よりも小さい直径を持つ。その様な幾何学的形状は、液体薬剤の供給装置(ディスペンサー)の先端の両側が流体収容チャンバ114の壁部に触れないことを保証し、及びこの供給装置の先端が振動可能なメッシュ112に触れるのを防ぐために、供給機構の肩部に接触点も設ける。そのような接触を防ぐことにより、前記先端は、流体収容チャンバ114内にある多量の液体薬剤と接触すること、並びに流体収容チャンバ114から幾らかの用量を取り出す及び/又は液体薬剤を汚染することができない。
【0031】
開口134は、(図5に示される)頂部キャップ135に形成される。この頂部キャップは、流体収容チャンバ114の頂部に比べ減少した直径の開口134を規定するリムを備える。
【0032】
エアロゾル化装置100は、コンピュータコードの機能を制御する又はコンピュータコードを実行し、このエアロゾル化装置100の他の電子部品を制御する(図2に示される)処理ユニット又は集積回路(IC)138を含む。
【0033】
IC138を含むエアロゾル化装置100は、IC138と結合されるバッテリー140により給電される。IC138は、電子部品、例えば如何なるセンサ、インジケータ機構106及び/又はエアロゾル発生器104の圧電素子と電気結合されてよい。IC138は、如何なるセンサ、例えば導管102と流体連結している流量センサ又は圧力トランスデューサから入力される情報に基づいてインジケータ機構及び/又はエアロゾル発生器104の作動を制御する。
【0034】
IC138は、プラグ124を用いて導管102及び/又はエアロゾル発生器104と電気結合されてよい。
【0035】
導管102及び/又はエアロゾル発生器104は、ハウジング108から取り外すことが可能である。導管102及び/又はエアロゾル発生器104は、ハウジング108内に挿入され、チューブ124と適合し、吸気流量検知へのアクセスを提供する。導管102と流体連結しているセンサからの測定値に基づいて、エアロゾル発生器10に電力を供給する及びエアロゾル発生器104の作動を制御するための電気接点との接続も規定される。
【0036】
図3は、エアロゾル化装置100及びインジケータ機構106の上面図を示す。インジケータ機構106は例えば、呼吸インジケータ116及びバッテリーインジケータ118を含む。呼吸インジケータ116は、ユーザの肺へのエアロゾル化した薬剤の送達を最大にするためにいつ呼吸をするか及びどのように呼吸をするかをユーザに指示することができる。呼吸インジケータ116は、ユーザにより詳細なガイダンスを提供するために、多様なインジケータ、例えば様々な色のLEDを含むことができる。呼吸インジケータ116は、3色のLEDを含む山形(chevron)形状でもよい。
【0037】
例えば液体のインスリンのような薬剤の最適な肺送達は、特定の流量及び吸気時間で起こる。例えば、適切な流量は、約5から14L/minまでの間、又はより多くは約7から14L/minまでの間である。高過ぎる又は低過ぎる流量は、ユーザの呼吸器系の適切な場所に送達されるエアロゾル化された薬剤の量の損失をもたらす。最適な吸気時間は、6から24秒までの間である。呼吸インジケータ116は、吸気をこれらのパラメータ内で維持するようユーザに指示するのに使用されることができる。
【0038】
呼吸インジケータ116は、薬剤の用量の略全てが送達されたことを示すために、異なる色の光を"投与量の終了"のインジケータとして生じさせてよい。例えば、青色の光は、ある時間期間、例えば約1秒から10秒までの間で発生し、用量の略全てがエアロゾル化及び吸入されたことをユーザに警告する。全用量の送達は、少なくとも用量の約95%が送達されるとき、より好ましくは用量の98%が送達されるとき、及び最も好ましくは用量の99%を超える量がエアロゾル化されるときであると事前に規定される。前記用量を受け取るために、ユーザは、送達される液状薬の量及びユーザの呼吸能力に依存して、数回の吸気又は1回の吸気を行う。
【0039】
各吸気は、肺への適切な送達を保証するために、インジケータ116を介してユーザに提供されるフィードバックを用いて、前記装置により監視される。用量の終了のインジケータの動作は、用量の略全てが送達された後のある期間だけ、例えば最大で約5秒遅れてもよく、従って肺に入る空気のチェイサー(chaser)を提供する。このチェイサーは、上気道をきれいにする、及びユーザの肺に運ばれる用量を最大にするのに役立つ。
【0040】
蓋126は、閉じた位置にあるとき、流体収容チャンバ114及び振動可能なメッシュ112を密封するために、流体収容チャンバ114及び/又はハウジング108と結合される。蓋126は、病原体又は他の汚染物質が流体収容チャンバ114内に入るのを防ぐように動作する。蓋126は、開いた位置にあるとき、流体収容チャンバ114及び振動可能なメッシュ112を露出するように動作する。蓋126は、蓋126をトラック内又はトラック上をスライドすることにより、蓋126が開いた位置から閉じた位置に及び戻るように移動するスライド機構(図示せず)を含んでもよい。
【0041】
その代わりに、蓋126は例えば、蓋126がフリップ式で開いたり、閉じたりするようにヒンジで動くようにされる。蓋126を閉じた位置に保つためのラッチ機構(図示せず)が含まれてよい。
【0042】
導管102及びエアロゾル発生器104の一方又は両方がハウジング108と取り外し可能で結合される。図4は、導管102及びエアロゾル発生器104がハウジング108内にある開口128から取り外されているエアロゾル化装置100の等角図を示す。開口128は、導管102及びエアロゾル発生器104の一方又は両方をスライドして収容し、固定するように構成される。
【0043】
エアロゾル化装置100を稼働させる電源ボタン130が示される。
【0044】
導管102及び/又はエアロゾル発生器104をIC138と結合するために、プラグ124が開口128内に位置決められる。(図1にも示される)プラグ124のオスコネクタ144は、(図1に示される)導管102のメスコネクタ146と連結する。
【0045】
図5及び図6は、ハウジング108から取り外された導管120及びエアロゾル発生器104を示す。導管120及びエアロゾル発生器104は、別々の構成要素でもよい及び/又は外部ハウジング132を共有してもよい。外部ハウジング132は、ハウジング108の開口128内にスライドするように構成されてよい。
【0046】
外部ハウジング132は、図6に示されるように、電気コネクタ142を含む。この電気コネクタ142は、導管102及び/又はエアロゾル発生器104をIC183に結合するために、図1及び図2に見られるようにプラグ124と結合する。電気接続部142は、プラグ124上の対応する接続部とのメス又はオス接続及び結合を含むことができる。例えば、メスコネクタ146は、プラグ124のオスコネクタ144と連結してよい。このように、外部ハウジング132、エアロゾル発生器104及び/又は導管102は、交換のために取り外される一方、ハウジング108、IC138及び他の部品は再利用される。
【0047】
電気及び/又は制御部品はしばしば、外部ハウジング132、エアロゾル発生器104及び/又は導管102よりも交換にお金がかかるので、そのような再利用は、幾つかの部品が交換される必要があるとき費用対効果のよい解決法を提供する。
【0048】
上述した範囲内で、エアロゾル化装置は知られている。
【0049】
図7は、導管102及びエアロゾル発生器104の組立体の変更例を示す。
【0050】
上に説明したように、流体収容チャンバ114は、頂部キャップ135を持ち、これは次いでさらに(例えば図3に示されるような)蓋126により閉じられる。注入されている間、頂部キャップ135にある導管の開口134のリム上に位置合わせる及び置かれる滴下供給装置(ドロップディスペンサー)を介してインスリンが流体収容チャンバ114内に手押しで注入される。
【0051】
流体収容チャンバ114は、凹形のボウル(bowl)を有し、既知の装置の頂部キャップ135は、一般的に図5に示されるように平坦である。インスリン(又は他の薬剤)は、振動するメッシュのエアロゾル発生器の動作を介して流体収容チャンバ114の底部から排出される。
【0052】
流体収容チャンバ114が一杯になった後、相当量の流体が流体収容チャンバの外縁と頂部キャップとの間にある角領域に付着することがあり、それは治療サイクル中ずっと残っている。これは、閉じ込められたインスリン(又は他の薬剤)の量が使用されないままにされ、これは予定される用量の一部であり、それにより効果を減らす。
【0053】
第1の態様は、頂部キャップ135の設計に関する。
【0054】
図7は、スポークの設計を持つ頂部キャップを示す。故に、環状形状を持つ頂部キャップに代わり、導管の開口134から半径方向外向きに延在する一組のスポーク150が存在している。これらスポークが外部ハウジング132の上に設置するように、スポークは、流体収容チャンバ114の頂部開口の外縁を超えて延在している。スポークの設計は実質的に、頂部キャップ135の外縁から半径方向内側に延在するノッチ152を持つ。これは、頂部キャップの外周の周りの表面領域を減らすが、頂部キャップ135を固定する及び支持するのに使用されるスポークをそのままにする。
【0055】
スポークは、頂部キャップ135と流体収容チャンバ114の壁部との間における接触の継ぎ目を断ち切り、付着が起こる利用可能な表面領域を減らす。
【0056】
図8は、図7の設計を平面図で示し、図9、10及び11の画像がどのように形成されるかを示すのに使用される。
【0057】
図9は、頂部キャップ135の詳細図を示し、スポーク150及びノッチ152を示す。示される例において、頂部キャップの周りに均等に離間した、故にスポークの間が90°である4本のスポークがある。スポークが始まる前に、導管の開口134の周りに環状のリム154がある。言い換えれば、導管の開口が周囲リム154により完全に形成されるように、ノッチが半径方向内側に延在しているが、導管の開口134まで完全に延在していない。
【0058】
3個のスポークだけが存在してもよいし、又は実際に4個より多いスポークが存在してもよい。例えば、3から10個までのスポークが存在してよい。これらのスポークは好ましくは、均等に角度方向に離間されるが、これは必須ではない。
【0059】
図10は、導管102及びエアロゾル発生器104の組立体の長さ方向に沿った断面を示す。この断面は、一対の正反対のノッチに沿って通っている。図11は、図10の詳細図である。
【0060】
ノッチ152は、環状リム154の外側にあり、環状リムの内側が導管の開口134を規定している。頂部キャップ135の頂部は、外部ハウジング132の頂部と同一平面にある。
【0061】
ノッチにより残される間隙は、蓋126が閉じられるとき、この蓋126により閉じられる。
【0062】
図12は、導管102及びエアロゾル発生器104の組立体の長さ方向に対しある角度での断面を示す。この断面は、一対の正反対のスポーク150に沿って通っている。図13図12の詳細図である。
【0063】
スポーク150は、上に説明したように頂部キャップ135の頂部が外部ハウジング132と同一平面にあるように、流体収容チャンバ114の外壁にある窪んだ階段156上に位置する。
【0064】
第2の態様は、流体収容チャンバ114の設計に関する。
【0065】
各スポーク150と流体収容チャンバ114の頂部との間の接合部に斜めの閉じ込め部(トラップ)が残っている。このトラップは例えば図13に158として示される。
【0066】
第2の態様は、流体収容チャンバ114の内面から突出し、頂部キャップ135から振動可能なメッシュ112に向けて下方に延在している薄いリブの追加を提供する。これらリブは、複数のスポークのアームが流体収容チャンバ114の頂部の上に位置しているコーナーウェッジの残りの部分に付着する僅かな量の流体(インスリン又は他の薬剤)を下に逃がすように作用する。
【0067】
これらのリブは図13に示される。各スポークは、流体収容チャンバ114の側面を下向きに延在する、及び流体収容チャンバ114の表面が盛り上がっている突起部を形成する1つのリブと関連付けられる。図11には2つのリブ160も見られる。
【0068】
リブは、流体収容チャンバ114の底部に到達する前に先細り終わってもよいし、又はリブは、排出口が形成される底部まで完全に下向きに延在してもよい。その上、1つより多くのリブが各スポーク150と関連付けられてよい。各スポークに対し、1つのリブが使用されるとき、例えば各スポークの中心において角度方向に離間される。
【0069】
上記の例は、流体収容チャンバの側面を下向きに走る隆起したリブを利用している。1スポーク当たり1つのリブ又は1スポーク当たり複数(例えば2つ)のリブが存在してよい。図14に示されるように他の設計も可能である。図14は、スポーク状の頂部キャップを示してなく、単に代替のリブの設計を示していることに注意されたい。
【0070】
図14Aは、リブ162が頂部キャップの一部であり、頂部キャップから垂れ下がっている図を示す。
【0071】
図14Bは、頂部キャップから下向きに延在している垂下ピン164を用いた変形例を示す。
【0072】
図14Cは、流体収容チャンバの側壁に形成される目立った盛り上がりリブ166を示す。
【0073】
図14Dは、リブの代わりに、流体収容チャンバの側壁に溝として形成される窪み168を用いた変形例を示す。これら溝は、図14Dのチャンバの底部に向けて単に部分的に延在している。図14Eにおいて、これらの溝169は、流体収容チャンバの底部まで完全に延在している。
【0074】
他のスポークの設計も存在している。図15は、6個のスポークを用いた変形例を示す。これらスポークは、上記の例よりも一様ではない幅を持ち、外周内にU字形状の切り抜きにより規定される。外縁において、組み合わされる隙間の円周は組み合わされるスポークの円周に略等しいが、より一般的には、スポークの総円周は、全円周の20%から60%の間である。図15の例において、スポークの外端はノッチに設置され、1つのリブは、各ノッチから流体収容チャンバの底部へ下向きに走っている。
【0075】
スポークは別々であり、これらは流体収容チャンバの頂部の半径方向の外縁の上に設置する。しかしながら、図16に示されるように、これらは、さらに半径方向に再び接続されてよい。
【0076】
図16は、頂部キャップに対する2つの可能な設計135a、135bを示す。各々の場合において、スポークが開口172により形成されるように、これらスポークは外側バンド170により一つに結合される。頂部キャップは、この外側バンドの半径方向幅よりも(半径方向に)広いリム174の上に設置する。従って、スポークの設計は、流体収容チャンバの頂部開口の真上に存在し、閉じ込められる液体の領域はそれに応じて減少する。スポークは故に、依然として頂部開口を超えて延在し、これらスポークはさらに再結合される。これは構造上さらに強い頂部キャップの設計を与える。これら2つの設計135a、135bは、開口の大きさが異なり、それによりスポークの大きさも異なる。
【0077】
4個及び6個のスポークを用いた設計が示される。4個から8個の間のスポークが一般的であっても、如何なる数のスポークでもよい。
【0078】
エアロゾル発生器の他の様々な特定の設計は、そのようなエアロゾル発生器を製造する方法及びエアロゾル発生器に液体を供給する方法と同じく知られている。
【0079】
開示される実施例に対する他の変更例は、図面、本開示及び付随する特許請求の範囲を学ぶことにより、請求する本発明を実施する当業者により理解される及びもたらされ得る。請求項において、"有する"という言葉は、他の要素又はステップを排除していない、及び複数あることを述べなくても、それらが複数あることを排除していない。ある方法が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用されることができないことを示していない。請求項における如何なる参照符号もその範囲を限定すると考えるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15
図16