(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】SiC複合材セラミックスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20220228BHJP
G21C 3/16 20060101ALI20220228BHJP
C04B 35/577 20060101ALI20220228BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20220228BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20220228BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20220228BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C04B35/80 600
G21C3/16 300
C04B35/577
C23C16/02
C23C16/42
C23C16/46
C23C16/44 F
(21)【出願番号】P 2019501544
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 US2017047263
(87)【国際公開番号】W WO2018039021
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-06-29
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ラホーダ、エドワード、ジェイ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-501977(JP,A)
【文献】特表平09-504262(JP,A)
【文献】特開2016-013950(JP,A)
【文献】特開平05-279151(JP,A)
【文献】特開2009-210266(JP,A)
【文献】特開平11-263675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B
G21C
C23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子燃料棒被覆管用のセラミック複合材構造体を製造する方法であって、
繊維の間に空隙が確定され、内側部分と外側部分を有する結晶質炭化ケイ素繊維の管体を提供するステップと、
随意的に別個の容器内で当該結晶質炭化ケイ素繊維の管体に界面被膜を施すステップと、
当該炭化ケイ素繊維の管体を800℃~1300℃の範囲内である第1の温度以下の温度に加熱することを、(i)加熱された容器の中で当該
繊維を加熱すること、(ii)当該第1の温度に加熱されたガスを当該
繊維の上に流すこと、および(iii)当該
繊維の中に加熱素子を挿入し、当該
繊維の内側部分を外側部分より高い温度に加熱することのうちの1つにより行うステップと、
第1の容器の中で、当該繊維の空隙に結晶質炭化ケイ素の析出物を均等に浸透させることを、当該第1の温度で且つ第1の圧力で、化学気相含浸法、電気泳動蒸着法およびそれらの組み合わせのうちの1つにより行うステップと、
均等に浸透済みの当該繊維を、当該第1の容器からそれとは別個の分離された第2の容器へ移送するステップとを含み、当該第1および第2の容器は、一方の容器の状態が他方の容器の状態に影響しないように、互いに分離されており、
当該方法はさらに、
当該別個の分離された第2の容器の中で、浸透済みの当該繊維に当該炭化ケイ素複合材の被膜を施すことによって、被膜付き結晶質炭化ケイ素複合材の構造体を形成するステップを含み、当該被膜は非晶質の物質が10%未満で
密度が炭化ケイ素の理論密度
の95%超である耐浸食性の緻密な結晶質の外部障壁被膜であり、
当該被膜の形成は、当該第1の温度より高くて1200℃~1800℃の範囲内である第2の温度で且つ当該第1の圧力より高い第2の圧力で化学蒸着法により、被膜形成ステップの前駆体ガスおよび被膜形成ステップのキャリアガスを浸透済みの当該繊維の上に流すことにより行われ、
浸透済みの当該繊維に被膜を施すのに先立って、当該第1の温度より高いが最高で当該第2の温度である温度に浸透済みの当該繊維を均等に加熱する
方法。
【請求項2】
前記浸透ステップに先立って、前記
繊維を前記第1の温度から25℃以内の温度に加熱する、請求項1の方法。
【請求項3】
前記結晶質炭化ケイ素繊維の管体は、少なくとも1つの型体の外部表面に結晶質炭化ケイ素繊維の上被を施し、当該上被が施された型体を加熱することにより形成される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの型体を、前記
繊維の内側部分の温度が外側部分の温度より高くなるように加熱する、請求項3の方法。
【請求項5】
前記浸透ステップが、浸透ステップのキャリアガスに同伴される浸透ステップの前駆体ガスを前記第1の容器に注入し、当該前駆体ガスおよび当該キャリアガスを加熱されている前記繊維の上に流すことから成る、請求項1の方法。
【請求項6】
前記浸透ステップの前駆体ガスはメチルトリクロロシランであり、前記浸透ステップのキャリアガスは水素である、請求項5の方法。
【請求項7】
前記第1の温度が1000℃~1200℃の範囲内である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記浸透ステップの前に別個の容器内で界面被膜を施すステップは随意的ではない、請求項1の方法。
【請求項9】
浸透済みの前記繊維を前記第2の容器へ移送する前記ステップが中間容器へ移送することを含む、請求項1の方法。
【請求項10】
浸透済みの前記繊維を、前記中間容器の中で、前記第1の温度より高いが最高で前記第2の温度である温度に加熱する、請求項9の方法。
【請求項11】
前記被膜形成ステップの前駆体ガスはメチルトリクロロシランであり、前記被膜形成ステップのキャリアガスは水素である、請求項1の方法。
【請求項12】
前記被膜形成プロセスの後に被膜付きの前記複合材構造体を冷却する、請求項1の方法。
【請求項13】
前記第2の温度が1300℃~1500℃の範囲内である、請求項1の方法。
【請求項14】
前記上被を施すステップが、前記型体の周りへのセラミック繊維の編組みおよび巻回のうちから選択される、請求項3の方法。
【請求項15】
複数の炭化ケイ素繊維の管体が一括処理される、請求項1の方法。
【請求項16】
前記型体が、前記浸透ステップの後に取り外される取外し可能な型体である、請求項14の方法。
【請求項17】
前記型体が、前記
繊維の内側部分を気密封止するSiC管である、請求項14の方法。
【請求項18】
原子燃料棒被覆管用のセラミック複合材構造体を製造する方法であって、
少なくとも1つの型体の外部表面に、繊維の間に空隙が確定される結晶質炭化ケイ素繊維の上被
である繊維上被を施すステップと、
随意的に別個の容器内で当該結晶質炭化ケイ素繊維の管体に界面被膜を施すステップと、
当該炭化ケイ素繊維の管体を800℃~1300℃の範囲内である第1の温度から25℃以内の低さにある温度に加熱することを、加熱された容器の中で当該繊維上被を加熱すること、当該第1の温度に加熱されたガスを当該繊維上被の上に流すこと、および当該繊維上被の中に加熱素子を挿入し、当該繊維上被の内側部分を外側部分より高い温度に加熱することのうちの1つにより行うステップと、
第1の容器に、第1のキャリアガスに同伴される第1の前駆体ガスを当該第1の温度で且つ第1の圧力で注入し、当該前駆体ガスおよび当該キャリアガスを当該加熱された繊維上被の上に流すことにより、当該繊維上被の空隙に結晶質炭化ケイ素の析出物を浸透させるステップと、
当該第1の容器とは別個の分離された第2の容器の壁を冷却するステップとを含み、当該第1および第2の容器は、一方の容器の状態が他方の容器の状態に影響しないように、互いに分離されており、
当該方法はさらに、
浸透済みの当該繊維上被を、当該第1の容器から当該第2の容器へ移送するステップと、
当該別個の分離された第2の容器の中で、浸透済みの当該繊維上被を当該第1の温度より高いが1200℃~1800℃の範囲内である第2の温度以下である温度に均等に加熱するステップと、
加熱された浸透済みの当該繊維上被の上に第2の前駆体ガスおよび第2のキャリアガスを流して、当該繊維上被の上に緻密で結晶質の外部障壁被膜を析出させることにより、被膜が施された結晶質炭化ケイ素複合材の構造体を形成するステップとを含み、当該緻密で結晶質の外部障壁被膜は非晶質の物質が10%未満で
密度が炭化ケイ素の理論密度
の95%超である
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利に関する陳述
本発明は、エネルギー省との契約第DE-NE0008222号の下で政府支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有している。
【0002】
本発明はSiC複合材料の製造に関し、具体的には、SiC複合材製燃料棒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的な原子炉の炉心には、各々が複数の細長い燃料棒または燃料となる核分裂性物質を入れた同様な要素から成る多数の燃料集合体が収容されている。燃料棒は、被覆管内に核分裂性物質を封じ込めたものである。被覆材は、例えば、ジルコニウム合金およびセラミック複合材料から成る。例示的なZr合金は、米国特許第3,427,222号、第5,075,075号および第7,139,360号に開示されている。燃料棒は、事故時には高温蒸気環境で機能することになり、被覆管が腐食作用に晒されるため、その対策として、燃料棒被覆管に外部腐食を防ぐための被膜を施すことが行われてきた。炭化ケイ素(SiC)のようなセラミック含有被膜材は、安全上望ましい特性を有することがわかっている。SiCモノリス、SiC繊維およびそれらを組み合わせたような試験的なセラミック材料は、米国特許第6,246,740号、第5,391,428号、第5,338,576号および第5,182,077号、ならびに米国特許出願公開第2006/0039524号、第2007/0189952号および第2015/0078505号に教示されており、それらの関連部分は参照により本願に組み込まれている。
【0004】
SiC複合材により燃料棒被覆管を形成するには、SiC繊維を心棒またはSiC管に巻回するか編組みすることが多い。次に、SiC繊維を巻回または編組みした上被にSiC粒子を浸透させて、繊維中および繊維間の空隙を充填したあと、化学気相含浸法(CVI)によりSiCを浸透させる。別法として、CVIにおけるような一連の低温条件を用いて、浸透のみを行うこともできる。SiCの上被への浸透ステップの後に、化学蒸着法(CVD)のような高温プロセスにより、浸透済みの繊維に保護層として被膜を形成してもよい。手間をかけ過ぎないように、また、費用と製造時間を節減するために、CVIとCVDの両プロセスを単一の容器または装置内で順次行うのが普通である。しかし、低温のCVIプロセスから高温のCVDプロセスへ温度が変化する間、SiC繊維の中および周囲に非晶質の物質が析出することがわかっており、これは、CVIとCVDのいずれのプロセスにとっても最適とはいえない。
【発明の概要】
【0005】
本願で説明する改良された方法は、CVIとCVDを同じ容器内で実施する従来法が直面する問題に対処する。本願で詳しく説明するように、この方法は浸透プロセスと被膜形成プロセスを分離して行う。浸透は、第1の容器内で第1の温度で行い、被膜の形成は、第2の容器内で当該第1の温度より高い第2の温度で行う。
【0006】
本願では、セラミック複合構造体を製造する方法を説明する。この方法はさまざまな局面において、少なくとも1つの型体の外部表面にセラミック複合材の繊維を例えば編組みまたは巻回してセラミック複合材の上被を形成するステップから成り、当該上被は繊維の間に画定される空隙を有する。この方法は、当該上被の繊維を第1の温度を超えない温度に加熱するステップと、第1の容器の中で当該第1の温度で当該上被の繊維間の空隙に当該セラミック複合材を浸透させるステップと、浸透済みの当該繊維上被を当該第1の容器から当該第1の容器とは別個の第2の容器へ移送するステップと、当該第2の容器の中で当該第1の温度より高い第2の温度で浸透済みの当該繊維上被に当該セラミック複合材の被膜を施すステップとをさらに含む。この方法はさまざまな局面において、当該上被の繊維間の空隙にセラミック複合材を浸透させる前に、別個の容器内で、加熱した当該繊維上被に炭素または窒化ホウ素のような界面被膜を施すステップをさらに含んでもよい。
【0007】
繊維上被が付いた型体は、複合材構造体の一体的部分を構成することもあるが、その場合、型体をSiCのようなセラミック複合材で作製するのが好ましい。当該型体は、さまざまな局面において、例えば取外し可能な黒鉛製のもので代替してもよい。当該繊維上被が頑丈であり、型体による構造的支持がなくてもプロセスを継続できる場合は、本願の方法のいずれの段階でも当該取外し可能な型体を取り外すことができる。例えば、浸透ステップの前か後、若しくは被膜形成ステップの後に、当該型体を取り外すことができる。
【0008】
浸透ステップは、第1のキャリアガスに同伴される第1の前駆体ガスを第1の容器に注入し、当該前駆体ガスおよび当該キャリアガスを加熱した当該繊維上被上に流すことより成る。第1の前駆体ガスは、当該上被の繊維間の空隙全体にセラミック浸透物(好ましくはSiC)を析出させる。浸透ステップは、化学気相含浸プロセス、電気泳動蒸着プロセスまたはそれらを組み合わせたものでよい。第1の温度は、800℃~1300℃の範囲内でよい。
【0009】
この方法のさまざまな局面において、被膜形成ステップに先立ち、浸透済みの繊維上被を、第1の温度より高い温度であって、最高で第2の温度に加熱してもよい。さまざまな局面において、被膜ステップは、第2の容器の壁を冷却するステップと、第2の前駆体ガスおよび第2のキャリアガスを好ましくは第2の温度で浸透済みの繊維上被の上に流して、当該繊維上被上に緻密で結晶質の被膜を析出させることにより、被膜が施されたセラミック複合材構造体を形成するステップとを含んでもよい。第2の前駆体ガスは、浸透済みの繊維上被上にセラミック被膜(好ましくはSiC)を析出させる。被膜形成ステップは、化学蒸着法プロセスでもよい。この方法のさまざまな局面において、第2の温度は1200℃~1800℃の範囲内でよい。
【0010】
この方法によって製造されるセラミック複合材構造体は、さまざまな局面において、SiC繊維上被にSiCが均等に浸透し、外部表面が緻密で結晶質のSiC被膜に覆われた原子燃料棒として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面を参照することにより、本発明の特徴と利点の理解が深まるであろう。
【0012】
【
図1A】CVI法による粒子浸透前の繊維上被の部分断面図であり、繊維間の空隙を示す。
【
図1B】CVI法により理想的な状態で粒子が浸透した後の繊維上被を示す部分断面図である。
【
図1C】先行技術のCVI法による実際の浸透プロセス後の繊維上被の部分断面図であり、空孔の閉塞により繊維間に空隙が残っている状態を示す。
【0013】
【
図2A】本願の方法の一実施態様における、CVI法による粒子浸透前の繊維上被の部分断面図であり、繊維間の空隙および内部加熱棒の断面を示す。
【
図2B】本願の方法の一実施態様において、CVI法により繊維間の空隙に粒子を部分的に析出させる部分的処理が施された繊維上被を示す部分断面図である。
【
図2C】本願の方法の一実施態様において、CVI法により粒子を空隙に完全に浸透させた最終的な繊維上被を示す部分断面図である。
【0014】
【
図3A】本願の方法の一実施態様において、CVI法により粒子を浸透させたあと、CVDプロセスにより被膜を施す前の状態を示す繊維上被の部分断面図である。
【
図3B】本願の方法の一実施態様における、CVDプロセス後の繊維上被の部分断面図であり、最終的な析出物を示す。
【0015】
【
図4】CVIチェンバおよびCVDチェンバが、両チェンバに接続する随意的な中間チェンバによって互いに明瞭に分離されていることを示す、本願の方法の一実施態様の処理手順の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願で使用する「a」、「an」および「the」に先導される単数形は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、複数形をも包含する。したがって、本願で使用する冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の、1つまたは複数の(すなわち、少なくとも1つの)対象物を表す。例として、「an element」は1つの要素または複数の要素を意味する。
【0017】
非限定的な例として、最上部、最下部、左、右、下方、上方、前、後ろ、およびそれらの変形例などの方向性を示す語句は、添付の図面に示す要素の方位に関連し、特段の記載がない限り、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
特許請求の範囲を含み、本願では、特段の指示がない限り、量、値または特性を表すあらゆる数字は、すべての場合において「約」という用語により修飾されると理解されたい。したがって、数字と一緒に「約」という用語が明示されていない場合でも、数字の前に「約」という語があるものと読み替えることができる。したがって、別段の指示がない限り、以下の説明で記載されるすべての数値パラメータは、本発明に基づく組成物および方法が指向する所望の特性に応じて変わる可能性がある。最低限のこととして、また均等論の適用を特許請求の範囲に限定する意図はないが、本願に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を勘案し、通常の丸め手法を適用して解釈するべきである。
【0019】
また、本願で述べるあらゆる数値範囲は、そこに内包されるすべての断片的部分を含むものとする。例えば、「1~10」という範囲は、記述された最小値1と最大値10との間(最小値と最大値を含む)のすべての断片的部分を含むことを意図している。すなわち、最小値は1以上、最大値は10以下である。
【0020】
本願で使用する「セラミック複合材」という用語は、炭化ケイ素(SiC)やSiC繊維などのさまざまなセラミック複合材料を意味する。
【0021】
繊維上被の「空隙」、「空孔」または「隙間」といった用語は、繊維および繊維トウの間ならびに繊維上被の内部に存在する非占有状態の空間領域を意味する。空隙は必然的に形状およびサイズにばらつきがあり、空隙の大部分は不規則な形状である。
【0022】
本願は、原子力発電所向け燃料棒を製造するための改良された方法を説明する。この改良された方法で形成されたセラミック複合材燃料棒は、通常運転時、過渡現象時および設計基準外事故時のいずれにおいても、原子力発電施設の耐腐食性要件を満たすと考えられる。
【0023】
図1は、従来の製造方法が直面する問題の一例を示す。
図1Aは、基材(図示せず)の外面28に施した繊維22の上被の断面図であり、繊維22間の空隙24を充填する処理を開始する前の状態を示す。高強度のセラミック複合材を形成するには、基材表面を覆う上被の繊維22の間の空隙24に、適合性のある材料を充填する必要がある。繊維22がセラミックの場合、同じセラミック材料を空隙に浸透させるのが好ましい。さまざまな実施態様において、繊維と浸透材の両方に用いるセラミック材料はSiCである。空隙24の充填にセラミック複合材を使用する目的は、空隙24を実質的に完全に、好ましくは完全に充填する、
図1Bに示すような望ましい構造を有する高密度の複合浸透材30を製造することである。しかし、従来のやり方では、
図1Cに示すように、化学気相含浸(CVI)法にとって典型的な低い温度で形成される浸透材の初期の析出物が、浸透材を形成する前駆体ガスのさらなる浸透を妨げる。この状況下では、前駆体ガスが繊維上被22の内部に到達しないため、CVI処理の際に空隙24が充填されないままの状態で残るかまたは非晶質の物質が形成されて、基材にとって十分な耐腐食性が得られない。
【0024】
この問題に対処するために、好ましくはやはりセラミック複合材、より好ましくはSiCの被膜34を、繊維上被22および浸透材30に施す方法があるが、良好な保護層を形成できるか否かは、高温で保護層を形成できるか否かにかかっていることが経験的にわかっている。しかしながら、化学蒸着法(CVD)にとって典型的であるような高温では、CVDプロセスを実施する容器の壁に望ましくない析出物が形成されるため、繊維上被22および浸透材30の上に形成される複合材層への浸透が非常に少なくなるという問題がある。
【0025】
本願は、型体を覆うセラミック複合材の上被22の空隙24を充填し、空隙に粒子を浸透させた繊維の上に保護層を形成する改良された方法を説明する。当該型体は任意の形状でよい。さまざまな局面において、当該型体は、最終製品が使用される環境に適した物理的特性を有することが確かめられている管体でよい。例えば、管体はSiC管でもよい。管体は、複合材構造体の内部を気密封止する。あるいは、当該型体は、巻回された繊維より成る構造体に剛性を与えて強化するための浸透ステップを行う際、さらには、耐腐食性保護層を追加する被膜形成ステップを行う際に、繊維22を定位置に保つことにより、これらのステップを施された複合材構造体が、内側に別途に管体を配置しなくてもそれ自体管体として機能できるようにする任意適当な、取外し可能な型体でよい。当該型体は、浸透および被膜形成ステップで熱に耐えられる黒鉛または同様の材料で製造してもよい。被膜形成プロセスの後、当該型体を取り外して内部に空洞が残るようにする。中実のセラミック複合材より成る管体は、核分裂性物質を内部に保持する原子燃料棒として使用することができる。当業者であれば、「管体」は断面が円形でも非円形でもよいことがわかるので、「管体」という用語は円筒形に限らないと考えるべきである。
【0026】
プロセスを開始するに当たって、所望の形状の型体または管体の外部表面に繊維トウを編組みするか巻回することによって、当該型体または管体にセラミック繊維トウ22の上被を施す。編組みおよび巻回技術は、当業者には周知である。さまざまな局面において、繊維は、SiCのようなセラミック繊維またはセラミック複合材繊維、好ましくは低酸素でSi/Cがほぼ化学量論的組成であるSiCセラミックである。管体の外側に形成されるSiC複合材は、米国特許出願公開第2015/0078505号またはY.Katohほか著「Continuous SiC fiber,CVI SiC matrix composites for nuclear applications:Properties and irradiation effects」、Journal of Nuclear Materials、第448巻、pp.448~476(2014)に開示されたような、SiC基材が連続的なSiC繊維で強化された複合材から成るものでよい。本願で説明する方法に使用できるSiC繊維のタイプとしては、例えば、Y.Katohほか著(Journal of Nuclear Materials、第448巻、450)の表1に記載されたHi-Nicalon(登録商標)タイプS繊維(日本、東京所在の日本カーボン製)またはTyranno(登録商標)SA3繊維(日本、宇部市所在の宇部興産製)が挙げられる。
【0027】
本願で説明する製造方法は、さまざまな実施態様において、緻密なSiCモノリス、SiC-SiC複合材およびSiC繊維強化複合材を含むSiC材料により複数層の複合材構造体を製造するものであり、実施例として、1層以上、好ましくは2層または3層の高純度β相またはα相化学量論的組成SiCを、β相SiCを浸透させた連続的なβ相化学量論的組成SiC繊維の中心層で覆い、さらに細粒で高い結晶度のβ相SiCの外部保護層を設けたものが製造される。さまざまな局面において、最終製品は、ほぼ化学量論的組成のSiC繊維、化学量論的組成で完全に結晶質のSiC基材、および繊維と基材との間の熱分解炭素または複層化された熱分解炭素/SiCの界面相から成る、SiC基材の複合材を連続的なSiC繊維で強化したもの(SiC/SiC複合材)である。
【0028】
編組みによるか巻回によるかに拘わらず、上被の厚さは、上被が施される管体または型体の壁厚と同程度である。例示的な実施態様において、上被の厚さは0.1~2mmの範囲である。或る特定の実施態様において、SiC繊維トウは厚さ約0.1mm~2mm、好ましくは約0.4mm~1mmに巻回される。当該型体または管体を覆う上被は、一般的に密度が約45~55%であり、本質的に多孔質で、空隙24を有している。
【0029】
本願の方法では、管体または型体に繊維を巻回した後、さらに浸透および被膜形成ステップを施す。改良された方法では、浸透プロセスと被膜形成プロセスとをそれぞれ個別のチェンバまたは容器内において異なる温度で実施して、両プロセスを互いに分離する。浸透は、第1の容器内において第1の温度で行い、被膜の形成は、第2の容器内において当該第1の温度より高い第2の温度で行う。当該第1および第2の温度は任意適当な手段によって到達されるが、同一のまたは異なる加熱方法を用いることができる。当該第1および第2の容器は、互いに分離された個別の容器とするか、あるいはより大きな装置内の互いに分離された個別のチェンバとして、一方のチェンバの状態が他方のチェンバの状態に影響しないようにしてもよい。かかる状態には、例えば、1つ以上のチェンバまたは容器の壁温度、空気温度、圧力、ガス流、ならびに反応物の種類および相対濃度が含まれる。
【0030】
この方法の、繊維22の上被を管体または型体に形成した後の浸透段階では、繊維上被の隙間に残された空隙24を、改良された方法のさまざまな局面に従って、化学気相含浸法(CVI)や、電気泳動蒸着法を単独でまたはCVIと組み合わせるなど、適当な浸透手法により充填する。
【0031】
改良された方法は、さまざまな局面において、浸透プロセスに用いられる温度を超えない温度に繊維質材料22を加熱することを含む。繊維質材料22は、均等に加熱してもよいが、上被の内部を、上被の外部表面より高い温度に加熱するのが好ましい。さまざまな局面において、上被内部を高い温度にしても、浸透プロセスに用いられる温度を超えないようにする。
【0032】
繊維質材料22は、さまざまな方法で加熱することができる。例えば、容器12(すなわち容器壁と内部の空気)を浸透析出物の形成にとって望ましい温度に近い温度(例えば約25℃以内の温度)に加熱することによって、繊維質材料22を加熱してもよい。容器壁を積極的に加熱する代わりに、繊維質材料22および空隙24に浸透させる前駆体ガスを加熱することによって繊維質材料22を加熱してもよい。
【0033】
繊維質材料22を加熱する他の適当な方法には、非限定的な例として、誘導加熱、マイクロ波加熱、または
図2に示すような、浸透容器12内の加熱した状態の心棒を繊維上被の内部に配置するような内部加熱素子32による加熱方法が含まれる。さまざまな局面において、取外し可能な型体の代わりにSiC管を使用する場合、SiC管に電流を流して加熱し、繊維上被22の内部温度を高めにしてもよい。SiC管は、黒鉛の心棒に比べて密度が高いため、より多くの熱を保持する。どのような加熱器を使用するかに拘わらず、加熱器32を取り囲む内部の繊維22を繊維上被22の外側26付近の繊維より高い温度に加熱することができる。
図2Bに示すように、析出物は温度が最も高い上被(ここでは加熱器32に近い上被)の上に形成されやすく、温度が比較的低い上被の外側は析出物の形成が遅い傾向があるので、結果的に密度の高い複合材構造体が得られる。浸透プロセスが進行すると、浸透材30の析出が続いて繊維上被22の外部表面26も析出物で覆われるようになる。この温度差と、繊維上被の中心付近において析出物が高い密度で形成されることにより、従来の浸透プロセスにおいて浸透材の析出を妨げていた空隙領域24の閉塞状況が緩和される。
【0034】
加熱器32それ自体は、加熱器内での電気抵抗加熱など、任意適当な手段で加熱することができる。
【0035】
図3において、浸透プロセスは第1の容器12(
図3A)内で繊維複合材を均等に加熱して行い、被膜形成プロセスは第2の容器14(
図3B)内で行うことができる。浸透プロセスは、さまざまな局面において、800~1300℃、好ましくは1000~1200°Cの温度範囲で実施されるCVIプロセスでもよい。この温度範囲において、前駆体ガスは、繊維上被22に形成された空隙24の中へ拡散する。ガスを800~1300℃の範囲内の所望の温度に加熱するか、チェンバ内の空気を所望の温度に加熱するか、その両方を組み合わせて当該プロセスの温度を所望の温度にすることができる。
【0036】
CVIは、化学気相状態の所望の材料またはその前駆物質、または気体に同伴された所望の材料またはその前駆物質の粒子を、予め成形された多孔質の構造体(ここでは繊維上被22)の内部表面上に析出させるプロセスである。反応物は、拡散または対流の力によって、予め成形された多孔質の繊維上被22の空隙24内に導入される。前駆体ガスが繊維基材中へ拡散すると、繊維表面上で前駆体ガスの分解が連続的に生じ、浸透材30が析出される。浸透が進行すると、浸透材が厚くなって、空隙24を充填し、繊維上被22に接着する。商業的に有用な或るCVIプロセスでは、浸透材を拡散によって析出させるために、約1~10kPaという低めの圧力を用いる。低圧で処理することの利点は、SiC浸透材の析出が起こる前にガスを繊維の空隙にゆっくり浸透させることが可能なことである。別の有用なCVIプロセスは、拡散プロセスよりも有意に速い(日単位ではなく時間単位)強制流動温度勾配法である。当業者であれは、所望の浸透速度、浸透材密度、および所望の合計処理時間が得られるように温度および圧力を調節できることがわかるであろう。
【0037】
前駆体ガスは、例えば、水素ガスに同伴されるメチルトリクロロシランでよい。これらの物質は、次式で示す反応により、塩化水素および水素ガスを放出しながら、繊維の上および間に炭化ケイ素を析出させる。
【数1】
浸透温度で繊維上被22に接触すると空隙24に浸透材を析出させるガスとして、他のセラミック複合材の他の前駆物質(好ましくはSiCの他の前駆物質)を用いてもよい。
【0038】
浸透プロセスに続く被膜形成プロセスは、別個の第2の容器14内において、複合材構造体を浸透プロセスで用いた第1の温度より高い第2の温度に均等に加熱して行う。この方法のさまざまな局面において、被膜形成プロセスは、浸透ステップで使用される圧力よりも高圧の条件下で行われる。繊維上被22に浸透材30を浸透させた複合材構造体を周囲の容器14より高い温度に加熱することにより、繊維上被22の外部表面上へ析出される高密度で結晶質の被膜層34の形成を促進してもよい。容器14本体上への析出をできるだけ抑えるために、容器14の壁44を冷却してもよい。CVDプロセスのような典型的な被膜形成プロセスの温度は、浸透プロセスの温度より高く、例えば、1200~1800℃、好ましくは1300~1500℃の範囲内である。この温度範囲において、環境条件に対する耐性が高く、結晶度が非常に高く(非晶質が10%未満)、非常に高密度(理論密度の95%超)のSiCが形成される。複合材構造体をマイクロ波加熱や誘導加熱のような適当な手段によって必要な処理温度に加熱しつつ、容器の壁44を複合材構造体の温度より低い温度に冷却することにより、容器14への過度の析出を回避することができる。
【0039】
この方法では、浸透プロセスと被膜形成プロセスとに異なる加熱方法を用いるのが好ましいが、同じ加熱方法により被膜形成温度を浸透温度より高くなるようにしてもよい。例えば、浸透プロセスの加熱方法として構造体中核部を抵抗加熱し、被膜形成プロセスの加熱方法として複合材構造体の外部表面を優先的に加熱するマイクロ波加熱を用いることができる。あるいは、浸透プロセスの加熱方法として誘導加熱を、被膜形成プロセスの加熱方法としてマイクロ波加熱を選択してもよい。さらに別の局面では、浸透プロセスと被膜形成プロセスの加熱方法を、それぞれ抵抗加熱および誘導加熱とするか、あるいは両プロセスとも同じ加熱方法にしてもよい。
【0040】
CVDは、広範囲の材料を付着させるために商業的に広く用いられている材料処理法である。CVDでは一般的に、加熱された被膜対象物が入ったチェンバに前駆体ガスを流入させる。本願の方法は、さまざまな局面において、浸透プロセスにより繊維上被22の浸透材の密度を最大にすることを目的とする。繊維上被22は、被膜形成ステップに先立って取外し可能な型体から分離してもよいし、型体または管体を覆う状態のままでもよい。加熱された被膜形成対象物の表面上またはその付近で化学反応が起きると、当該対象物上に被膜が形成される。前駆体ガスは、CVIステップで使用されるものと同じガス(すなわち水素に同伴されるメチルトリクロロシランまたは他のSiC前駆物質)でもよい。
【0041】
別のさまざまな局面において、本願の方法は、繊維上被を第1の容器へ移送して空隙にセラミック複合材を浸透させる前に、別個の容器内で、加熱された繊維上被に界面被膜を施すステップをさらに含んでもよい。界面被膜は、炭素または窒化ホウ素でもよく、11Bを含むのが好ましい。加熱された繊維上被を、好ましくは、加熱後に別の容器に移送して、その中で界面ガスの分解により繊維上に界面被膜が析出させる。その後、繊維上被を、加熱ステップでの温度を維持しながら第1の容器へ移送して浸透プロセスを施す。
【0042】
本願の方法は、プロセスの処理能力を最大にするために、
図4に示すシステム10内で実施することができる。さまざまな局面において、単一装置内の個別の容器12、14または個別のチェンバ12、14を、繊維22の上被を有する構造体20を一個または複数個同時に一括処理できるようなサイズにすることができる。さまざまな局面において、容器12は壁42と、繊維上被22の空隙24に浸透材30を充填して複合材構造体を形成する浸透プロセスに用いる機器(図示せず)とを備えている。そのような機器は市販されており、本願で詳述するまでもなく当業者によく知られている。さまざまな局面において、容器14は壁44と、繊維上被22の空隙24に浸透材30を析出させたあと化学蒸着法プロセスにより複合材構造体に被膜を施す機器(図示せず)とを備えている。そのような機器は市販されており、本願で詳述するまでもなく当業者によく知られている。単一の容器でCVIとCVDの両方を実施する場合は、合理的な生産量を実現するために多数の(20を超える)管体を保持できる大型の取付具の使用が考えられるが、複数の容器を使用する場合は少数の(20未満)管体を保持する取付具を使用すればよい。これらの取付具は、ローラ付きまたはローラなしの装置に装着されるが、複数のチェンバの間を押されたり引かれたりして、加工品がCVIからCVDへ移動される。管体の数が少ない場合は、管体の間でより均等な温度を達成でき、管体の数が非常に多い場合は実際的でない内部抵抗加熱器のような革新的な加熱方法を使用可能である。
【0043】
加熱プロセスは、前述のように、容器12、14内において繊維上被付き構造体20に対して行うか、構造体20に沿って加熱手段を移動させるか、あるいは、前述のように容器12、14またはキャリアガスを加熱して行うことができる。例えば、トロリーまたはねじ式装置により、管体を保持する構造体の外側に沿って誘導加熱器を移動させることができる。当該誘導加熱器は管体の走査が完了すると、チェンバの入口へ迅速に引き返すが、それと同時に管体が隣のチェンバへ割り出される。
【0044】
別のシステムまたは装置10では、第1のチェンバ12と第2のチェンバ14の間に中間容器または中間チェンバ16を組み込んで、構造体20が第1のチェンバ12から出て第2のチェンバ14に入るまでの間に予熱されるようにすることにより、生産速度を高めることができる。プロセスの中に複数の中間チェンバまたは容器を適当な間隔で組み込んでもよい。例えば、以下に記す1つ以上の追加的な個別のチェンバを任意の組み合わせで使用することができる。すなわち、(a)繊維上被22を第1のチェンバ12に入れて浸透プロセスを施す前に、第1の温度範囲またはそれに近い温度に予熱するために浸透容器12の前に配置される容器またはチェンバ、(b)加熱された繊維上被に界面被膜を施すために加熱容器と浸透容器12の間に配置される容器またはチェンバ、(c)複合材構造体を第2のチェンバ14に入れて被膜形成プロセスを施す前に、より高温の第2の温度範囲またはそれに近い温度に予熱するために浸透容器と被膜容器の間に配置される容器またはチェンバ、ならびに(d)被膜が形成された複合材構造体を能動的または受動的に冷却するために被膜形成プロセスの後に配置される容器またはチェンバである。
【0045】
さまざまな局面において、容器またはチェンバ12/14は、前駆体ガス用の流入口と浸透または被膜形成プロセスの副産物用の流出口とを備えた高温または冷温壁を有する反応炉でよい。典型的な高温壁反応炉の壁は、前駆体ガスを導入する前に容器内部を所望の温度に加熱する加熱炉または他の熱源に取り囲まれている。典型的な冷温壁反応炉の容器は、水冷式の壁に取り囲まれている場合がある。いずれの場合も、前駆体ガスを導入するガス流入口と排気口とがある。
【0046】
容器12、14およびセラミック複合材の管体の完成品の製造に使用する前処理、中間処理または後処理用の任意の容器の中を介して1つまたは複数の製品を移動させるために、繊維22の上被が付いた型体または管体を、コンベヤの上または望ましい任意の種類のトロリー、スレッドまたはホルダーに垂直または水平に配置することができる。
【0047】
複合材構造体に施された被膜は、結晶度が高く、耐腐食性があり、例えば原子炉内のような過酷な環境に対して強力な保護障壁を提供する。
【0048】
本願で説明するプロセスに従うと、単一の容器またはチェンバ内での一括処理によって製造される被覆管に比べて優れた被覆管を得ることができる。浸透材は繊維上被に緻密かつ均等に分布し、また、形成される被膜は、強力な被膜が存在しない場合に浸透して下層の構造体を腐食させる湿分のような外部環境条件に対して大きな耐性を有する強力な保護障壁層を提供する。
【0049】
本願で言及したすべての特許、特許出願、刊行物または他の開示資料は、各々の参考文献が参照により明示的に本願に組み込まれるように、その全体が参照により本願に組み込まれる。ただし、本願で参照により援用されると言及されたすべての参考文献およびあらゆる資料またはそれらの一部分は、本願に明示的に記載された既存の定義、言明または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本願に組み込まれる。したがって、本願に記載された開示事項は、必要な範囲において、参照により本願に組み込まれた矛盾する資料に取って代わり、本願に明示的に記載された開示事項が有効である。
【0050】
本発明を、さまざまな例示的な実施態様を参照して説明してきた。本願に記載の実施態様は、開示された発明のさまざまな実施態様のさまざまな詳細度の例示的な特徴を示すものとして理解されたい。したがって、特に断らない限り、可能な範囲において、開示した実施態様における1つ以上の特徴、要素、構成部品、成分、構造物、モジュールおよび/または局面は、本発明の範囲から逸脱することなく、当該開示した実施態様における他の1つ以上の特徴、要素、構成部品、成分、構造物、モジュールおよび/または局面との間で、複合、分割、置換えおよび/または再構成が可能であることを理解されたい。したがって、通常の技量を有する当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施態様のいずれにおいてもさまざまな置換え、変更または組み合わせが可能であることを理解するであろう。当業者はまた、本願を検討すれば、本願に記載された本発明のさまざまな実施態様に対する多くの均等物に気付くか、あるいは単に定常的な実験を用いてかかる均等物を確認できるであろう。したがって、本発明は、さまざまな実施態様の説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定される。