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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】電気的干渉を放電するための放電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/40 20160101AFI20220228BHJP
   H01R 39/00 20060101ALI20220228BHJP
   H02K 11/026 20160101ALI20220228BHJP
   H02K 13/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H02K11/40
H01R39/00 D
H02K11/026
H02K13/00 R
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019503998
(86)(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2017068516
(87)【国際公開番号】W WO2018019725
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】102016213653.4
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516193830
【氏名又は名称】シュンク カーボン テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーバー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー マルクス
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1997/001200(WO,A1)
【文献】実開昭63-077457(JP,U)
【文献】特開2002-315270(JP,A)
【文献】特開2015-047064(JP,A)
【文献】特開2016-019380(JP,A)
【文献】特開2009-027807(JP,A)
【文献】国際公開第2014/207047(WO,A1)
【文献】特開昭58-212346(JP,A)
【文献】特開2004-014294(JP,A)
【文献】特表2015-516797(JP,A)
【文献】特表2016-525329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/40
H01R 39/00
H02K 11/026
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械のロータ部、特にシャフト(18)から前記機械のステータ部(17)への電気的干渉、特に電流を放電するための放電装置(10,26,40,60,70,80,90)であって、
前記放電装置は、接触子(13,27,43)を含む接触装置(11,41,91)を有し、
前記接触子(13,27,43)は、長手方向に移動可能にガイド内に収容され、
前記接触子(13,27,43)のシャフト接触面(19,29,47,92)と前記シャフト(18)のロータ接触面(20,30,48,61,71,81)との電気的接触を確立するためにシャフト接触力FW を生成するための接触力装置(15,28,44)によって前記接触子(13,27,43)は動作し、
前記ガイドは、前記ステータ部(17)と電気的接触を形成するためのステータ接触面(25,36,50)を有し、
前記放電装置は、前記接触子(13,27,43)のガイド接触面(24,35,49)と、前記ステータ部(17)と電気的に接続された前記ステータ接触面(25,36,50)との間にガイド接触力FF を生成するためのガイド接触力装置(21)を有し、
前記接触力装置(15,28,44)は、前記ガイドの基部(16,32,45)に配置された予荷重装置を有し、
前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(48)と共通の接触面Eに配置されるように、前記接触装置(41)は前記シャフト(18)のロータ半径方向線Rに対して接触角βで配置されると共に、前記接触子(43)の前記シャフト接触面(47)は、前記接触子(43)の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βで傾斜しており、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置(44)の一方の力成分が前記シャフト接触力F W として前記シャフト(18)の前記ロータ接触面(48)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力F F として前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成し、
前記接触装置(41)は、前記シャフト(18)の長手方向軸L W に平行で且つシャフトカラー又はシャフト端部(82)に対して半径方向にオフセットして配置され、
ロータ半径方向線Rに対して接触角βで傾斜する前記ロータ接触面(81)は、前記シャフトカラー又は前記シャフト端部(82)に設けられ、
前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(81)と共通の接触面Eに配置されるように、前記接触子(43)の前記シャフト接触面(47)は、前記接触子(43)の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βで傾斜しており、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置(44)の一方の力成分が前記シャフト接触力F W として前記シャフト(18)の前記ロータ接触面(81)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力F F として前記ガイドの前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成する、
放電装置。
【請求項2】
請求項に記載の放電装置において、
前記ガイドは、直径方向に対向する2つの壁部分を有する接触スリーブ(12,42)であり、当該2つの壁部分のうち第1の壁部分(22)には前記ガイド接触力装置が設けられ、反対側の第2の壁部分はステータ接触面(25)である、
放電装置。
【請求項3】
請求項に記載の放電装置において、
前記第1の壁部分(22)には、前記ガイド接触力装置(21)を形成するように前記接触子(13)と弾性的に接触するスプリングタブ(23)が設けられている、
放電装置。
【請求項4】
請求項に記載の放電装置において、
前記ガイドは接触スリーブ(42)であり、
前記接触力装置(44)は、前記接触子(43)の長手方向軸Lに対して角度βをなす方向の予荷重力Fで前記接触子(43)に作用し、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置の一方の力成分が前記シャフト接触力FW として前記ロータ接触面(48,61,71,81)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力FF として前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成する、
放電装置。
【請求項5】
請求項に記載の放電装置において、
前記接触力装置(28)は、前記ガイドの基部(32)に配置された一方のばね端と、前記接触子(27)に配置された他方のばね端とを有するコイルばね(31)を有し、
前記ばね端のうち少なくとも1つは、接触スリーブ(33)である前記ガイド(33)の中心軸Lから半径方向にずれている、
放電装置。
【請求項6】
請求項に記載の放電装置において、
前記接触装置(41)が前記シャフト(18)のロータ半径方向線R上に配置されており、
前記接触子(43)の前記シャフト接触面(47)は、前記接触子(43)の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βで傾斜しており、
前記ロータ接触面は、前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(61)と共通の接触面Eに配置されるように、前記接触角に対応する円錐角を持つ円錐面であり、
前記接触力装置は、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成し、
前記接触力装置(44)の一方の力成分は前記シャフト接触力FW として前記シャフトの前記ロータ接触面(61,71)に作用し、
前記接触力装置(44)の他方の力成分は前記ガイド接触力FF として前記ステータ接触面(50)に作用する、
放電装置。
【請求項7】
請求項に記載の放電装置において、
前記ロータ接触面(61)は、前記シャフト(18)上に配置された接触ハブ(62)の外面によって形成されている、
放電装置。
【請求項8】
請求項に記載の放電装置において、
前記ロータ接触面(71)は、円錐形のシャフト部分(72)によって形成されている、
放電装置。
【請求項9】
請求項に記載の放電装置において、
前記接触装置(41)は、前記シャフトの長手方向軸LW に対して接触角βを持つようにシャフトカラー又はシャフト端部(82)に配置され、
前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(81)と共通の接触面Eに配置されると共に前記接触子の法平面に対してある接触角で傾斜するように、ロータ半径方向線Rに対して接触角β+γで傾斜する前記ロータ接触面(81)は、前記シャフトカラー又は前記シャフト端部に設けられ、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置(44)の一方の力成分が前記シャフト接触力FW として前記シャフト(18)の前記ロータ接触面(81)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力FF として前記ガイドの前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成する、
放電装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の放電装置において、
前記接触子(13,27,43)の少なくとも前記ガイド接触面(24,35,49)上には導電性コーティングが設けられている、
放電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の放電装置において、
前記コーティングには、さらに別の容量性金属コーティング又は半金属コーティングが設けられている、
放電装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の放電装置において、
前記接触子と前記ガイドとの間にケーブル接続が設けられている、
放電装置。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の放電装置において、
前記接触子の前記導電性コーティングと前記ガイドとの間にケーブル接続が設けられている、
放電装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の放電装置において、
前記接触子(13,27,43)は、鉄、コバルト若しくはニッケル以外の強磁性若しくはフェリ磁性物質、好ましくは、酸化鉄、特にFeO、Fe2 O3 及びFe3 O4 を含む群から選択された酸化鉄、酸化ニッケル、特にNiO、酸化マンガン、特にMnO、MnO2 、Mn2 O3 及びMn3 O4 を含む群から選択された酸化マンガン、酸化クロム、特にCrO2 及びCr2 O3 を含む群から選択された酸化クロム、酸化銅、特にCuO及びCu2 Oを含む群から選択された酸化銅、若しくは酸化亜鉛、特にZnO、又は、A(二価カチオン)及びB(三価カチオン)が合計酸化数8を有する金属カチオンを表し且つXが酸素原子若しくは硫黄原子であるタイプAB2 X4 のスピネル類から選択された化合物のいずれか若しくはこれらの組合せを含む、
放電装置。
【請求項15】
請求項14に記載の放電装置において、
前記強磁性又はフェリ磁性物質は、均一に分布している、
放電装置。
【請求項16】
請求項14に記載の放電装置において、
前記強磁性又はフェリ磁性物質は、所望の配向を有するか、又は多層に配置されている、
放電装置。
【請求項17】
請求項16に記載の放電装置において、
前記接触子(13,27,43)中の前記強磁性又はフェリ磁性物質の分布は、勾配、好ましくは摩耗方向の勾配を示す、
放電装置。
【請求項18】
機械のロータ部、特にシャフト(18)から前記機械のステータ部(17)への電気的干渉、特に電流を放電するための放電装置(10,26,40,60,70,80,90)であって、
前記放電装置は、接触子(13,27,43)を含む接触装置(11,41,91)を有し、
前記接触子(13,27,43)は、長手方向に移動可能にガイド内に収容され、
前記接触子(13,27,43)のシャフト接触面(19,29,47,92)と前記シャフト(18)のロータ接触面(20,30,48,61,71,81)との電気的接触を確立するためにシャフト接触力F W を生成するための接触力装置(15,28,44)によって前記接触子(13,27,43)は動作し、
前記ガイドは、前記ステータ部(17)と電気的接触を形成するためのステータ接触面(25,36,50)を有し、
前記放電装置は、前記接触子(13,27,43)のガイド接触面(24,35,49)と、前記ステータ部(17)と電気的に接続された前記ステータ接触面(25,36,50)との間にガイド接触力F F を生成するためのガイド接触力装置(21)を有し、
前記接触力装置(15,28,44)は、前記ガイドの基部(16,32,45)に配置された予荷重装置を有し、
前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(48)と共通の接触面Eに配置されるように、前記接触装置(41)は前記シャフト(18)のロータ半径方向線Rに対して接触角βで配置されると共に、前記接触子(43)の前記シャフト接触面(47)は、前記接触子(43)の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βで傾斜しており、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置(44)の一方の力成分が前記シャフト接触力F W として前記シャフト(18)の前記ロータ接触面(48)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力F F として前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成し、
前記接触装置(41)は、前記シャフトの長手方向軸L W に対して接触角βを持つようにシャフトカラー又はシャフト端部(82)に配置され、
前記シャフト接触面(47)が前記ロータ接触面(81)と共通の接触面Eに配置されると共に前記接触子の法平面に対してある接触角で傾斜するように、ロータ半径方向線Rに対して接触角β+γで傾斜する前記ロータ接触面(81)は、前記シャフトカラー又は前記シャフト端部に設けられ、
前記接触力装置(44)は、当該接触力装置(44)の一方の力成分が前記シャフト接触力F W として前記シャフト(18)の前記ロータ接触面(81)に作用すると共に他方の力成分が前記ガイド接触力F F として前記ガイドの前記ステータ接触面(50)に作用するように、シャフト接触力装置及び前記ガイド接触力装置の両方を形成する、
放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械のロータ部、特にシャフトから機械のステータ部への電気的干渉、特に電流を放電するための放電装置に関する。放電装置は、接触子を含む接触装置を有する。接触子は、軸方向に移動可能にガイド内に収容されている。接触子のシャフト接触面とシャフトのロータ接触面との電気的接触を確立するためにシャフト接触力を生成するための接触力装置によって接触子は動作する。
【背景技術】
【0002】
前述の種類の放電装置は、最新技術からの様々な実施形態において知られている。特に、リング上に配置され、シャフト周りに半径方向に設けられ、接続ワイヤを介してステータと接触するカーボンブラシの使用によって、低周波の直流電流を放電することが知られている。ガイド内に収容されているカーボンブラシは、その低い電気抵抗のために、電流の直接放電を可能にすると共に、シャフトのベアリングポイントを介して電流を通すことを避けるのに役立つ。シャフトのベアリングポイントを介して電流を通すと、溶接スポットに起因して局所的に高い電流密度が発生した場合にベアリング本体又はベアリングリングに表面損傷を引き起こす恐れがある。
【0003】
以上の説明及び以下の説明において、「シャフト」という用語は、「ロータ部」という用語の同義語として使用する。従って、「シャフト」という用語は、それを介してステータ部に電流を放出することができる全ての回転機械部品を意味する。
【0004】
公知の放電装置は、主に導入された低周波交流又は整流された作動電流を車輪及び車軸を介して流出させる鉄道技術において典型的に使用されている。自動車分野においても、ハイブリッド自動車又は真正の電気自動車のための電気駆動モーターのような電化の進展のために、電流を放電させることを可能にする同様の対策が必要とされる。鉄道技術とは異なり、連続的に変動する交流電圧又は交流電流が、モータ駆動軸、それに接続されたギアユニット又は他の機能部品と、自動車の静止部品との間で発生する。金属部品に軸方向に誘導される渦電流に加えて、自動車の回転部品と静止部品との間には、1kHzから約100MHzまでの非常に広い周波数範囲での高周波電位変動がしばしば発生する。これに伴い、シャフトや車軸を介してこれらの周波数の電磁波が放射されるため、近くに存在するラジオ受信機などの電子機器への干渉が生じる(アンテナ効果)。また、自動車製造業者は、電磁波放射の許容放出に関する対応法規定を遵守することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、機械の回転部品から静止部品に渦電流及び電磁波放射を放電するのに特に適した放電装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る放電装置のガイドは、ステータ部との電気的接続を形成するためのステータ接触面を有し、放電装置は、接触子のガイド接触面とガイドのステータ接触面との間にガイド接触力を発生させるためのガイド接触力装置を有する。
【0007】
従って、好ましくは成形カーボン体である接触子は、軸方向に変位可能な方法で接触装置のガイド内に収容され、接触力装置は、バネによって形成されたカーボンブラシ製の予荷重装置と同様に、接触子のシャフト接触面をシャフトのローター接触面に押し付ける。本発明に係る放電装置の場合、シャフトとの電気的接触を確立するためのシャフト接触力が接触力装置によって生成されるだけではなく、接触子のガイド接触面と、ステータ部と電気的に接続されるステータ接触面との間に電気的接触を確立することを保証するガイド接触力も確実に生成される。
【0008】
接触力装置は、2つの異なる接触面、つまり、接触子のシャフト接触面及びガイド接触面とが接触子上に形成されることを確実にする。これは、接触子の円周方向面と、ステータと電気的に接続されるガイドのステータ接触面との間に、シャフトとの接触と平行に電気的接触が確立されることを意味する。
【0009】
本発明では、電気が流れる導体内の交流は、周波数が高くなるにつれて導体の容積を通って伝達されることが少なくなり、代わりに、交流は、導体の表面に隣接する導体端部領域に集中する傾向があるという知識を利用している。この現象は表皮効果とも呼ばれ、特に電気エネルギーが電磁波によって伝達されるときに発生する。これは、前述の端部領域集中によれば、電磁エネルギーのごく一部のみが電場及び磁場の形態で導体容積に入り、エネルギーの最大値は端部領域で発生することを意味する。ガイド接触面が端部領域つまり接触子の円周面に形成されるということは、接触子がガイド接触力装置によって適切に作動して接触子のガイド接触面又は円周面とガイドとの間に電気的接触を確立することによって、シャフトからステータつまり電気的システムのグランドへの、電気的干渉の可能な最短の放電経路の形成をもたらす。このように、一方では渦電流、他方では高周波干渉が接触子を直接介してステータに導入される。これにより、特に電磁放射効果つまり電磁波の放射が防止されるか、又は、その程度が少なくとも大幅に削減される。
【0010】
好ましい実施形態によれば、接触力装置は、ガイドの基部に配置された予荷重装置を有し、カーボンブラシアセンブリに一般的に設けられた接触力装置に対応する。これにより、本発明に係る放電装置を設計する場合に、接触子とガイドの基部との間に予荷重装置が支持された従来構成のガイドを使用することも可能になる。基部は、ガイド上に直接形成することもできるし、あるいは、ガイドが形成又は取り付けられる基部プレート等によって形成することもできる。
【0011】
ガイドが、直径方向に対向する2つの壁部分を有する接触スリーブであり、第1の壁部分がガイド接触装置を備え、反対側の第2の壁部分がステータ接触面である場合、ガイド接触力装置を付加した従来のガイドに基づいて、本発明に係る放電装置のガイドを製造することができる。
【0012】
この目的のために、ガイド接触力装置の一実施形態では、第1の壁部分は、好ましくは、接触子と弾性的に接触するスプリングタブを備えることができる。従って、接触スリーブを形成するための適切な材料を選択する場合に、略U字形の穿孔を第1の壁部に設け、当該壁部から突出する突出部が形成されるように当該壁部に形成されたタブを曲げることによって、ガイド接触力装置を簡単に実現できる。
【0013】
前述のガイド接触力装置の構造は、ガイド接触力装置が接触力装置から独立するようにガイドスリーブの壁部分に形成されている。この場合、接触力装置は単に、接触子のシャフト接触面とシャフトとの間にシャフト接触力を生成することに役立つ。それにもかかわらず、ガイド接触力装置は、ガイドを接触スリーブとして実現し、接触子の長手方向軸に対して角度をなす方向の予荷重力で接触力装置を接触子に作用させることによって形成することができる。接触力装置は、当該接触力装置の一方の力成分がシャフト接触力としてシャフトのロータ接触面に作用すると共に他方の力成分がガイド接触力としてステータ接触面に作用するように、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成する。
【0014】
本発明のこの実施形態では、接触力装置は、シャフト接触力装置としてだけでなくガイド接触力装置としても働く。なぜなら、接触力装置によって接触子の長手方向軸に対してある角度で接触子に加えられる予荷重力は、接触子とシャフト及びガイドのそれぞれとの接触を確立するのに役立つ2つの力成分に分割されるからである。
【0015】
好ましい実施形態によれば、接触力装置が、ガイドの基部に配置された一方のばね端と接触子に配置された他方のばね端とを有するコイルばねを有し、少なくとも一方のばね端が、ガイドの中心軸から半径方向にずれていることによって、前述の予荷重力の2つの異なる力成分への分割は、最小努力で達成することができる。
【0016】
本発明の別の実施形態では、シャフト接触面がロータ接触面と共通の接触面に配置されるように、接触装置はシャフトのロータ半径方向線に対して接触角を持つように配置され、接触子のシャフト接触面は、接触子の長手方向軸と直交する法平面に対して接触角で傾斜する。接触力装置は、当該接触力装置の一方の力成分がシャフト接触力としてシャフトのロータ接触面に作用すると共に他方の力成分がガイド接触力としてガイドのステータ接触面に作用するように、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成する。
【0017】
従って、この有利な実施形態では、ブラシアセンブリの成形カーボン体の端面にシャフト接触面を形成することによって、従来のカーボンブラシアセンブリに基づいて簡単な方法で放電装置の接触装置を製造することができる。シャフト接触面は、接触子の長手方向軸に対して傾斜しており、シャフトと平坦に接触している。
【0018】
他の実施形態では、接触装置はシャフトのロータ半径方向線上に配置されており、接触子のシャフト接触面は、接触子の長手方向軸と直交する法平面に対して接触角で傾斜しており、ロータ接触面は、シャフト接触面がロータ接触面と共通の接触面に配置されるように、接触角に対応する円錐角を持つ円錐面である。これにより、接触力装置は、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成し、接触力装置の一方の力成分はシャフト接触力としてシャフトのロータ接触面に作用し、接触力装置の他方の力成分はガイド接触力としてガイドのステータ接触面に作用する。
【0019】
このように、接触装置をシャフトの長手方向軸に対して垂直に配置することが可能となる。接触子のガイド接触面とステータ接触面との間に電気的接触を確立するための接触力成分は、接触角に対応する円錐角を有するロータ接触面との組み合わせにより生じる。
【0020】
ロータ接触面は、円錐形のシャフト部分によって、又は、シャフト上に配置された接触ハブの外面によって、シャフトの表面に直接形成することができる。後者の場合、特に、接触ハブ及び接触子の材料を調整することができるという利点がある。
【0021】
別の有利な実施形態では、接触装置は、シャフトの長手方向軸LW に平行で且つシャフトカラー又はシャフト端部に対して半径方向にオフセットして配置され、ロータ半径方向線に対して接触角で傾斜するロータ接触面は、シャフトカラー又はシャフト端部に設けられ、シャフト接触面がロータ接触面と共通の接触面に配置されるように、接触子のシャフト接触面は、接触子の長手方向軸と直交する法平面に対して接触角で傾斜している。接触力装置は、当該接触力装置の一方の力成分がシャフト接触力としてシャフトのロータ接触面に作用すると共に他方の力成分がガイド接触力としてガイドのステータ接触面に作用するように、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成する。
【0022】
別の実施形態では、接触装置は、シャフトの長手方向軸に対して接触角を持つようにシャフトカラー又はシャフト端部に配置され、シャフト接触面がロータ接触面と共通の接触面に配置されると共にシャフト接触面が接触子の法平面に対して接触角で傾斜するように、ロータ半径方向線に対して接触角で傾斜するロータ接触面は、シャフトカラー又はシャフト端部に設けられる。接触力装置は、当該接触力装置の一方の力成分がシャフト接触力としてシャフトのロータ接触面に作用すると共に他方の力成分がガイド接触力としてガイドのステータ接触面に作用するように、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成する。
【0023】
基本的に放電装置の全ての実施形態において、接触子の周囲に形成されたガイド接触面とガイドのステータ接触面との間の接触抵抗を最小にするために、接触子の少なくともガイド接触面上には導電性コーティングが設けられていてもよい。
【0024】
同様に、基本的に放電装置の全ての実施形態において、この接触抵抗を最小にするために、ガイドの少なくともステータ接触面の領域には導電性コーティングが設けられていてもよい。
【0025】
コーティングが別の容量性金属コーティング又は半金属コーティングを備える場合もまた特に有利である。さらに、接触子とガイドとの間にケーブル接続が設けられている場合、あるいは、ガイド接触面を介して形成された接触とは別に、接触子とガイドとの間の追加の接触が、ガイド接触面又はガイド接触面上に形成された導電性コーティングとガイドとの間にケーブル接続によって設けられる場合も有利である。このケーブル接続は主に低周波電流又は直流電流を放電するのに役立つ。アンテナ効果を最大限に抑制するために交流電流を放電する場合は、特に高周波電流を放電するのに適した高周波ワイヤを使用すべきである。
【0026】
本発明の有利な実施形態は他の従属請求項の主題である。
【0027】
導電性コーティングが、導電性金属として、銅、銀、金、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、亜鉛、錫、アンチモン又はビスマスを含む金属の群から選ばれた金属を有する場合、特に有利であることが示される。
【0028】
好ましくは、導電性コーティングは多層であり、他の層は容量性金属層又は半金属層である。
【0029】
成形カーボン体である接触子が、鉄、コバルト及びニッケル以外の強磁性又はフェリ磁性物質、好ましくは、鉄、ニッケル、マンガン、銅、亜鉛又はクロムの金属を含む群の酸化物、及び、A(二価カチオン)及びB(三価カチオン)が合計酸化数8を有する金属カチオンを表し且つXが酸素原子又は硫黄原子であるAB2 4 タイプのスピネル類のいずれか又はこれらの組合せの粒子を有する場合も特に好ましい。
【0030】
放電装置の接触装置の特定の設計に関係なく、放電装置が複数の接触装置、具体的には、シャフトの円周にわたって且つシャフトの長手方向軸に対して半径方向に分布するように配置された複数の接触装置を有する場合、有利であることが示される。
【0031】
以下、放電装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】放電装置の第1の実施形態を示す等測図である。
図2図1のII-II線に沿った図1の放電装置の断面図である。
図3】放電装置の第2の実施形態を示す図である。
図4】放電装置の第3の実施形態を示す図である。
図5】放電装置の第4の実施形態を示す図である。
図6】放電装置の第5の実施形態を示す図である。
図7】放電装置の第6の実施形態を示す図である。
図8】放電装置の第7の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、ガイドスリーブ12として形成されたガイドと、ガイドスリーブ12内に収容され且つケース内の成形カーボン体によって形成された接触子13とを有する接触装置11を備えた放電装置10を示す。
【0034】
接触子13は、ガイドスリーブ12内に軸方向に変位可能に収容され、ガイドスリーブ12内に位置し且つ接触力装置15によって軸方向に発生する予荷重力Fの作用を受ける前端面14を有する。この場合、接触力装置15はコイルばね31を有する。コイルばね31は、予荷重力Fを発生させるように作用し、予荷重の下で接触子13の端面14とガイドスリーブ12の基部16との間に配置される。基部16は、突出した支持タブである。コイルばね31の予荷重は、機械(図示省略)のステータ部17とシャフト18との間における接触装置11の適切な相対配置によって発生する。ステータ部17は回路的にグランドを構成する。シャフト18は機械のロータ部を形成し、回路的に導体を構成する。交流電流は、接触装置11を介してシャフト18からグランド又は機械のステータ部17に放電することができる。
【0035】
接触子13は、ガイドスリーブ12の基部16とシャフト18との間に軸方向に予荷重が与えられるように配置されているので、接触子13の前側シャフト接触面19とシャフト18のロータ接触面20との間に電気的接触が確立される。ロータ接触面20は、シャフト18の周縁に形成されている。
【0036】
接触子13とシャフト18との間の電気的接触を可能にする前述の接触力装置15に加えて、図1及び図2に示す放電装置10は、ガイド接触力装置21を備えている。ガイド接触力装置21は、ガイドスリーブ12の第1の壁部分22上に弾性スプリングタブ23を有する。スプリングタブ23は、予荷重力の下で接触子13と接触する。これにより、シャフト接触に加えて、接触子13のガイド接触面24とガイドスリーブ12のステータ接触面25との間にステータ接触が確立されるように、第1の壁部分22の反対側の壁部分38に対して接触子13がガイド接触力FF で押し付けられる。これにより、接触子13のガイド接触面24とステータ部17との間に、ステータ部17と電気的に接続されたガイドスリーブ12を介して、導電接続が形成される。
【0037】
従って、特に、シャフト18から放出され、接触子13の周縁に形成された接触子13の端部領域37に集中する交流電流は、接触子13の周縁に形成されたガイド接触面24を介して最短経路でガイドスリーブ12に伝達される。ガイドスリーブ12自体は、ステータ部17に接続されている。
【0038】
図3は、接触装置38のガイドを有する放電装置26を示す。当該ガイドはガイドスリーブ33として実現され、接触子27はガイドスリーブ33内に収容され、接触力装置28による予荷重力Fによって作用される。これにより、接触子27のシャフト接触面29がシャフト18のロータ接触面30と接触する。接触力装置28は、接触装置11の長手方向軸Lに対して角度αをなす予荷重力Fを発生する。本実施形態では、接触力装置28はコイルばね31を有し、コイルばね31は、ガイドスリーブ33の基部32(ここでは支持タブとして形成されている)と接触子27の端面34との間に予荷重を受けて配置されている。これにより、予荷重力Fは、シャフト接触力FW とガイド接触力FF とに分割される。すなわち、接触力装置28は、シャフト接触力FW を発生するシャフト接触力装置、及び、ガイド接触力FF を発生するガイド接触力装置の両方として同時に機能する。ガイド接触力は、接触子27のガイド接触面35と反対側のステータ接触面36との間にガイド接触が形成されるように、ガイドスリーブ33内の接触子27の傾斜又はくさび化をもたらす。図1及び図2に示されている放電装置10の実施形態の例によって前に示されているように、ガイド接触は、接触子27の周縁に形成された端部領域37から、ガイドスリーブ33を介してステータ部17へ交流電流を放電させることを可能にする。
【0039】
図4は、放電装置40の他の実施形態を示す。放電装置40においては、接触装置41が、コンタクトスリーブ42と、コンタクトスリーブ42内に軸方向に案内されている接触子43とを含む。接触装置41は、シャフト18のロータ半径方向線Rに対して接触角βで配置されている。本実施形態でも、接触子43に予荷重力Fを加えるために接触力装置44が設けられている。接触力装置44は、コンタクトスリーブ42の基部45と接触子43の端面46との間に予荷重を受けて配置されたコイルばね31を有する。コンタクトスリーブ42から突出する接触子43の端部にシャフト接触面47が形成されている。シャフト接触面47は、シャフト18の円周によって形成されたロータ接触面48と共通の接触面Eに配置されている。共通の接触面Eは、接触子43の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βで傾斜する。シャフト接触面47が接触子43の法平面Nに対して傾斜しているので、接触力装置44は、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方を形成する。これにより、接触力装置44により発生した予荷重力Fの第1の力成分がシャフト接触力FW として作用すると共に、予荷重力Fの第2の力成分が、ガイド接触面49とコンタクトスリーブ42のステータ接触面50との間にガイド接触力FF として作用する。
【0040】
図5は、放電装置60の別の実施形態を示す。放電装置60は、本実施形態では、図4に示す放電装置40の接触装置41と同一の接触装置41を有する。図5に示す接触装置41においては、図4の接触装置41と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0041】
図4に示す放電装置40と比べると、放電装置60の接触装置41はシャフト18のロータ半径方向線R上に配置される。従って、図5に示すように、接触装置41の長手方向軸Lは、ロータ半径方向線Rと一致する。
【0042】
図5に示す放電装置60と、図4に示す放電装置40との別の相違点は、放電装置60の場合、シャフト接触面47に接触するロータ接触面61が、シャフト18の円周によって直接形成されていないことである。その代わりに、放電装置60の場合、接触ハブ62がロータ接触面61を形成するためにシャフト18上に配置されている。接触ハブ62は円錐面を有し、これにより、ロータ接触面61は接触ハブ62の外面により形成される。
【0043】
シャフト接触面47とロータ接触面61との間に形成された傾斜接触面Eにより、接触力装置44は、シャフト接触力装置及びガイド接触力装置の両方として作用する。これにより、接触力装置44により発生した予荷重力Fの一方の力成分FW は、シャフト接触力FW としてシャフト18のロータ接触面61に作用し、他方の力成分FF はガイド接触力FF として、接触子43のガイド接触面49とコンタクトスリーブ42のステータ接触面50との間に作用する。
【0044】
図6は、放電装置70の他の実施形態を示す。放電装置70は、図4、5を参照して説明した放電装置40、60と同様に、接触装置41を有する。放電装置60と同様に、放電装置70の接触装置41は、シャフト18のロータ半径方向線R上に配置されている。これにより、長手方向軸Lはロータ半径方向線Rと一致する。
【0045】
放電装置70は、以下の点で、図5に示す放電装置60と異なる。すなわち、接触子43のシャフト接触面47に対応するロータ接触面71は、シャフト18が円錐形のシャフト部分72を有するように、シャフト18の円周面によって直接形成されている。ロータ接触面71は、シャフト18の長手方向軸LW に対して接触角βだけ傾斜する。
【0046】
図7は、接触装置41を備えた放電装置80を示す。特に図4に示す放電装置40を参照して詳細に説明したように、接触装置41の接触子43は、シャフト接触面47を有する。シャフト接触面47は、接触子43の長手方向軸Lと直交する法平面Nに対して接触角βだけ傾斜した接触面Eにおいてシャフト18のロータ接触面81と接触している。ここでは、シャフト18のシャフト軸方向切断端部82によってロータ接触面81が形成されている。接触装置41は、シャフト18の長手方向軸LW に平行に半径方向オフセットrで配置されている。
【0047】
図8は、接触装置91を有する放電装置90の別の実施形態を示す。接触装置91は、前述の接触装置41と同一であり、同一の構成要素については同一の参照符号を付している。
【0048】
ここでは、シャフト18の長手方向軸LW に対して接触角βだけ接触装置91をシャフト端部82からオフセットさせて配置することによって、且つ、接触子43の法平面Nに対して接触角γでシャフト接触面47を配置することによって、接触子43とシャフト18のシャフト端部82との間に傾斜接触面Eが形成される。これにより、接触力装置44が発生する予荷重力Fは、シャフト接触力FW としてロータ接触面81に作用する予荷重力Fの力成分と、ガイド接触力FF としてガイドスリーブ42のステータ接触面50に作用する予荷重力Fの力成分とに分割される。
【0049】
高周波電磁干渉の放電及び減衰への実質的な寄与はまた、接触子13、27、43の内部構造を、主成分としてグラファイト又は他の炭素修飾を含む成形カーボン体により構成することによってもたらされる。干渉抑制の間、接触子13、27、43は小電流のみを伝導すればよいので、接触子13、27、43は、銅又は銀のような大量の高導電性成分を含有する必要はない。また、強磁性又はフェリ磁性物質が接触子13、27、43内に分散されていることが好ましい。鉄、コバルト及びニッケルの他、そのような物質は、種々の酸化物、具体的には、鉄の酸化物(FeO、Fe2 3 及びFe3 4 )、ニッケルの酸化物(NiO)、マンガンの酸化物(MnO、MnO2 、Mn2 3 及びMn3 4 )、クロムの酸化物(CrO2 及びCr2 3 )、銅の酸化物(CuO及びCu2 O)、亜鉛の酸化物(ZnO)、又は、A(二価カチオン)及びB(三価カチオン)が合計酸化数8を有する金属カチオンを表し且つXが酸素原子若しくは硫黄原子であるタイプAB2 4 のスピネル類から選択された化合物を含む。
【0050】
接触子13、27、43内のこれらの粒子の分布に関しては様々な選択肢がある。単純な実施形態では、粒子を全体積にわたって均一に分布させることができる。多くの場合、圧縮成形による接触子13、27、43の粉末冶金製造は、粒子がプレス表面に対して平行に整列する傾向があることに起因して、テクスチャリング又は異方性をもたらす。この効果は、異方性粒子のターゲット導入によって増幅させることができる。短繊維を導入することによって、別の種類の異方性が達成される。短繊維はまた、特定の成形技術(例えば押し出し)によって配列させることができる。
【0051】
強磁性粒子又はフェリ磁性粒子を使用する場合、接触子13、27、43の成形カーボン体が2つの異なる混合物を有し、一方の混合物がこれらの粒子を全く含まないか又はごくわずかに含み、他方の混合物がこれらの粒子を非常に多く含むことは特に好ましい。このように、磁性粒子を含まない混合物は、接触子13、27、43の使用期間にわたって摩耗する摩耗領域に対して選択することができ、接触子13、27、43の非摩耗端部には、大量の磁性粒子を設けることができる。
【0052】
成形炭素体の他の実施形態では、磁性粒子の濃度は、接触子13、27、43のシャフト接触面から反対側の端部に向かって上昇する勾配を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8