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特許7030786風力タービンのための自己支持ナセル構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】風力タービンのための自己支持ナセル構造体
(51)【国際特許分類】
   F03D 15/00 20160101AFI20220228BHJP
   F03D 80/80 20160101ALI20220228BHJP
【FI】
F03D15/00
F03D80/80
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019510428
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 IB2017001057
(87)【国際公開番号】W WO2018037276
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】102016000087635
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519054149
【氏名又は名称】シーウィンド オーシャン テクノロジー アイピー ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カルーゾ,シルベストロ
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0274838(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0272604(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0217238(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0219801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0267038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 15/00
F03D 80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのロータハブ及びギヤボックス(M)に接続される第1のシャフト(S)と、前記ギヤボックス(M)及び発電機(G)に接続される第2のシャフト(S)とを備えるトランスミッションアセンブリ(D)を内部に格納するように構成される、風力タービンのための自己支持ナセル構造体(1)であって、
縦軸(L)を定め、前記トランスミッションアセンブリ(D)を格納するためのスペース(3)を画定する、実質的に管状の外側金属シェル(2)と、
前記外側金属シェル(2)に接続される上端縁(B)と、タワー(T)に固定される下端縁(B’)とを備える、実質的に垂直な管状延長部(E)と、
前記外側金属シェル(2)に固定され、複数の横方向リブ(6)と、前記横方向リブ(6)を一緒に接合するように適合された複数の縦方向リブ(7)とを有する、内側金属フレーム(4)と、
を備え、
前記横方向リブ(6)のそれぞれが、前記トランスミッションアセンブリ(D)を完全に取り囲む閉路に延びていることと、
前記外側金属シェル(2)が、閉鎖断面区域を備える少なくとも1つの部分(8)を有し、前記構造体(1)に高いねじれ及び曲げ剛性を全体的に及び局所的に付与するべく前記少なくとも1つの部分(8)に前記少なくとも1つの横方向リブ(6)が固定されることと、
前記内側金属フレーム(4)は、ギヤボックス(M)を支持するための支持構造体(42)を有し、前記支持構造体(42)は、前記横方向リブ(6)、前記縦方向リブ(7)及び前記外側金属シェル(2)と構造的にシームレスとなるように設計されることと、
を特徴とする、自己支持ナセル構造体(1)。
【請求項2】
前記横方向リブ(6)が、前記外側金属シェル(2)の内面(10)と実質的に同じ形状を有する外側の閉鎖縁(9)を有することを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記横方向リブ(6)及び/又は前記縦方向リブ(7)が、前記内側金属フレーム(4)の変形を最小にするように構成される所定の構造的剛性をもって前記トランスミッションアセンブリ(D)を支持するために、前記外側金属シェル(2)にその内面(10)で接合されることを特徴とする、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記閉鎖される複数の横方向リブ(6)が、縦方向にオフセットされ、円形又は半円形の形状を有し、前記縦方向リブ(7)が、前記横方向リブ(6)の周方向の広がりに沿って配列されていることを特徴とする、請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記外側金属シェル(2)が、半円形の下部(11)と、ルーフ(20)を画定するように設計され、着陸するヘリコプターを受けるためのディスク形プラットフォーム(13)を画定するように適合される平坦な上部(12)を有することを特徴とする、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
記横方向リブ(6)のそれぞれが、前記外側金属シェル(2)の前記半円形の下部(11)に接合される実質的に半円形の下側区域(19)と、前記外側金属シェル(2)の前記平坦な上部(12)に接合される実質的に直線形の上側区域(18)とを有することを特徴とする、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記トランスミッションアセンブリ(D)の第1のシャフト(S)にマウントされるそれぞれのベアリング(28、28’)のための少なくとも一対の支持体(14、14’)を備え、対の各支持体(14、14’)がそれぞれの横方向リブ(6)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
各支持体(14、14’)が、それぞれのベアリング(28、28’)を内部に格納するためのキャビティ(41)を画定する一対のハーフシェル(36、37)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
支持体(14、14’)が、それぞれの横方向リブ(6)から実質的に半径方向に延びる横方向アーム(29、30)の対を介して前記内側金属フレーム(4)に固定されることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
支持体(14、14’)が、対応する横方向リブ(6)の半円形の下側区域(19)から延びる半径方向の補強部(34)を介して前記内側金属フレーム(4)に固定されることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の構造体。
【請求項11】
着陸するヘリコプターを受け入れるための前記ディスク形プラットフォーム(13)を形成するべく前記平坦なルーフ(20)に接続される一対のサイドウィング(21、22)を備え、前記サイドウィング(21、22)が複数の支持ロッド(23)を介して前記シェル(2)にも固定されることを特徴とする、請求項5に記載の構造体。
【請求項12】
前記外側金属シェル(2)の外部にあり、前記発電機(G)及び前記ギヤボックス(M)の冷却手段(H)を格納するように適合される、少なくとも1つの区画(46)を備え、前記少なくとも1つの区画(46)を前記外側金属シェル(2)の外面(24)に固定するための接続手段(47)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項13】
組み立て作業中に前記トランスミッションアセンブリ(D)を組み立てるために、及び/又はメンテナンス作業中に前記スペース(3)に及び前記区画(46)にアクセスするために、前記外側金属シェル(2)のルーフ(20)上に複数の再閉鎖可能な開口部(48、48’、48’’、48’’’)を備えることを特徴とする、請求項12に記載の構造体。
【請求項14】
前記外側金属シェル(2)が、前記外側金属シェル(2)のルーフ(20)上に存在する適切な昇降手段を用いてトランスミッションアセンブリ(D)の部品を交換するための下向きの通路(49)を有することを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項15】
前記外側金属シェル(2)が、溶接などにより一緒に接合される複数の適切に形状設定された金属シート(15)により作製されることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能資源からの発電の分野に対応し、風力タービンのための、特に、間接駆動の発電機を有する風力タービンのためのナセル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンを用いる主要な発電システムは、1つ以上のブレードを有するロータと、このようなロータを発電機を備えるトランスミッションアセンブリに接続するためのハブとを備えることが知られている。
【0003】
ドライブトレーンとして普通に知られているトランスミッションアセンブリは、ロータと発電機との間に介在するギヤボックス手段を用いずに、発電機を直接駆動するように構成される場合がある。
【0004】
あるいは、トランスミッションアセンブリは、ロータの速度よりも高い速度で発電機を駆動するためのギヤボックス要素を備える場合がある。
【0005】
特に、間接的なシステムでは、トランスミッションアセンブリは、ロータハブ及びギヤボックスの入力にそれぞれ接続される第1のシャフトと、ギヤボックスの出力及び発電機に接続される第2のシャフトを備える。
【0006】
間接的なシステムでは、第1のシャフトの回転速度が第2のシャフトの回転速度よりも低く、これにより、第1のシャフトは、普通は「低速シャフト」と呼ばれ、第2のシャフトは、概して「高速シャフト」と呼ばれる。
【0007】
風力タービンでは、トランスミッションアセンブリは、耐荷重性の金属ベース及び軽量のカバーからなるナセル内に格納される。
【0008】
低速シャフトは、一般に、ベースに安定して固定される支持体内に収容された1つ以上のベアリングにより支持される。他方では、ギヤボックスが、張り出している様態で低速シャフトの後端に固定される場合がある。
【0009】
ここで、動作中にギヤボックスに伝達されるトルクが、ベースに固定されギヤボックスケースに取り付けられた1つ以上のアームにより打ち消される。
【0010】
低速シャフトのリアベアリングは、ギヤボックス内に一体化される場合もあり、ギヤボックスケースは、特別なアームを介してベースに接続される。
【0011】
代替的な構成では、低速シャフトはギヤボックスを支持せず、ギヤボックスは、ベースに直接固定され、たわみ継手又はジョー継手を介して低速シャフトに接続される場合がある。
【0012】
ギヤボックスは、横力及びモーメントを受ける又はその設置位置から周期的に変位するときに故障又は誤動作を生じる特にデリケートな部品である。
【0013】
それにもかかわらず、作動時に、ロータが、低速シャフトを介して静横荷重及び周期的荷重を伝達する場合があり、疲労に起因してギヤボックスの寿命を短くする場合がある。
【0014】
ベースも、ロータにより発生しシャフトのベアリングを介して伝達される荷重の作用を受け、したがって、その構造に屈曲及び/又はねじれを生じ、作動時に、ギヤボックスの支持体又はトランスミッションアセンブリの他の部品の設置位置からの変形及び変位につながる場合がある。
【0015】
ギヤボックスがベースにマウントされるとき、低速シャフトの後端の変位が、ギヤボックスの第1の段に障害をもたらす場合がある。
【0016】
それにもかかわらず、ギヤボックスが低速シャフトにより支持されるときでさえも、ベースの変位がケースの動的振動をもたらし、その動作及びギヤボックス段の持続時間に悪影響を及ぼす。
【0017】
このタイプのナセルでは、金属ベースは、使用時に、開放又は閉鎖され得るが低減した高さを有する所定の断面区域を有する。
【0018】
このタイプのベースを用いるナセルの主な欠点は、それらがトランスミッションアセンブリの支持体を静止した状態に保つのに十分な構造的剛性を有さないことである。
【0019】
これらのベースが比較的可撓性であることは、トランスミッションアセンブリの部品、特にギヤボックスに、故障及び誤動作を生じる変位及び振動を引き起こす。
【0020】
このタイプのベースは、ロータの空気力学的荷重に起因する構造体の曲げ及びねじれ変位を最小にすることはできない。
【0021】
これらのナセルのさらなる欠点は、高出力の風力タービンの設置には、ナセルの総重量をかなり増加させる大きいベースが必要なことである。
【0022】
別の無視できない態様は、このタイプのナセルのカバーが、比較的軽い材料、通常はガラス繊維などで作製されることである。
【0023】
これらのカバーは、ハリケーンなどの特に悪天候の場合に風により発生した強い応力を支持するのにあまり適していない。
【0024】
さらに、これらのタイプのカバーは、トランスミッションアセンブリの部品の冷却手段などの補助部品を支持するのに十分なだけ強くはなく、支持することはできず、特に、メンテナンス中に資材及び人員を輸送する際に用いられるヘリコプターを受け入れるためにナセルルーフ上に着陸面を設けることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、高い全体的及び局所的な構造的剛性を有する風力タービンのためのナセル構造体を提供することにより、前述の技術的問題を未然に防ぐために考え出された。
【0026】
本発明のさらなる目的は、トランスミッションアセンブリを安定して収容することができ、これにより、外部荷重に起因する変位及びそれに作用し得る応力を最小にする、風力タービンのためのナセル構造体を提供することである。
【0027】
また、本発明のさらなる目的は、高い強度及び耐風性を有する、風力タービンのためのナセル構造体を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、ナセルの外部に存在する部品も支持し、構造体のルーフ上に着陸するヘリコプターの重量及び動的作用に耐えることができる剛性の自己支持筐体を有する、風力タービンのためのナセル構造体を提供することである。
【0029】
本発明の別の目的は、従来技術のナセルに比べてかなり低い重量を有し、簡単に製造することができる、風力タービンのためのナセル構造体を提供することである。
【0030】
本発明のまた別の目的は、比較的低い製造コストを有し、様々な風力タービンに用いられるように容易にスケール変更可能な、風力タービンのためのナセル構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
これらの目的は、風力タービンのロータハブ及びギヤボックスに接続される第1のシャフトと、ギヤボックス及び発電機に接続される第2のシャフトとを備えるトランスミッションアセンブリを内部に格納するように構成される、請求項1に記載の風力タービンのためのナセル構造体であって、縦軸を定め、トランスミッションアセンブリを格納するためのスペースを画定する、実質的に管状の外側金属シェルと、前記外側金属シェルに接続される上端縁及びタワーに固定される下端縁を有する実質的に垂直な管状延長部と、前記外側金属シェルに固定され、複数の横方向リブと前記横方向リブを一緒に接合するための複数の縦方向リブとを有する、内側金属フレームと、を備える構造体により果たされる。
【0032】
各横方向リブは、前記トランスミッションアセンブリを完全に取り囲む閉路に延びており、前記シェルは、閉鎖断面区域を備える少なくとも1つの部分を有し、前記構造体に高いねじれ及び曲げ剛性を全体的に及び局所的に付与するべく少なくとも1つの部分に少なくとも1つの横方向リブが固定される。
【0033】
さらに、1つ以上の横方向リブは、構造体に高いねじれ及び曲げ剛性を全体的に及び局所的に付与するため、受けた荷重をシェルに伝達することができるように、トランスミッションアセンブリの支持体を支えるシェルの閉鎖区域部分に固定される。
【0034】
これらの特徴は、その構造に沿って曲げ及びねじれ荷重を一様に分散させ、これにより、動作時のトランスミッションアセンブリの支持体の変位を最小にすることができる、非常に軽量な耐久性のあるナセルを提供するであろう。
【0035】
さらに、金属シェルを設けることは、ナセルを洋上又は非常に難しい環境条件の場所に設置される風力発電所に用いるのに特に適したものにする。
【0036】
以下でよりよく説明されるさらなる目的は、付属の請求項に記載の風力タービンのためのナセル構造体により果たされる。
【0037】
本発明の特徴及び利点は、特に以下の図面を参照する、風力タービンのためのナセル構造体の好ましい限定ではない構成の以下の詳細な説明から明瞭に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ベースに固定されるギヤボックスを有する、間接的な風力タービンに用いられる場合のトランスミッションアセンブリの単独の斜視図である。
図2】風力タービンのためのナセル構造体の第1の構成の頂部斜視図である。
図3】風力タービンのためのナセル構造体の第1の構成の底部斜視図である。
図4図2及び図3の構造体の第1の部分断面図である。
図5図2及び図3の構造体の第2の部分断面図である。
図6】トランスミッションアセンブリの第1のシャフトのフロントベアリングに位置する断面である、本発明のナセル構造体の第2の構成の断面図である。
図7】トランスミッションアセンブリの第1のシャフトのリアベアリングに位置する断面である、図6のナセル構造体の切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、添付図において1で参照されることになる風力タービンのためのナセル構造体に関する。
【0040】
好ましい構成において、風力タービンは、図1に示すように、そのベースに固定されたギヤボックスを介して発電機Gを直接駆動するように構成されるトランスミッションアセンブリD、すなわちドライブトレーンを有する。
【0041】
図1に最もよく示されるように、トランスミッションアセンブリDは、図示していないロータハブに接続されるように適合された前端S’と、たわみ継手Fを介してギヤボックスMの入力M’に接続される後端S’’とを備える第1のシャフトSを有する。
【0042】
ギヤボックスMはまた、第2のシャフトSの一方の端Sに接続される出力M’’を有し、第2のシャフトSの他方の端Sは、発電機Gに直接接続される。
【0043】
シャフトS、Sは、共通の回転軸Rを中心として回転し、ギヤボックスM及び発電機Gの位置は、このような軸Rと実質的に位置合わせされる。
【0044】
本発明のナセル構造体1は、メガワットのオーダーの電力を発生させることができる大型の風力タービンに用いるのに特に適している。
【0045】
自己支持構造体1は、縦軸Lを定め、トランスミッションアセンブリDを格納するためのスペース3を画定する、実質的に管状の外側金属シェル2を備える。
【0046】
縦軸Lは、トランスミッションアセンブリDの共通の回転軸Rと実質的に平行であってよく又は一致していてよい。
【0047】
好ましくは、縦軸Lは、実質的に水平であるか、又はトランスミッションアセンブリDの可能性のある傾きに従うべく僅かに傾斜しているであろう。
【0048】
外側金属シェル2を支持するように適合され、実質的に垂直方向Vに下方へ向けられる、管状部Eも設けられる。
【0049】
すなわち、管状部Eは、シェル2に固定される上端縁Bと、支持面に据え付けられるタワーTに固定される下端縁B’を有する。
【0050】
シェルと管状延長部Eの上端縁Bとの交線により画定される領域におけるシェル2上に、図示していない孔又は開口部も形成される。
【0051】
ここで、管状延長部Eは、上端縁B’の近傍に存在する図示していない内側補強リングを有してよい。
【0052】
管状延長部Eの長さlは、図示していないヨーベアリングの位置に応じて変化する。
【0053】
さらに、内側金属フレーム4は、シェル2に固定され、複数の横方向リブ6及び複数の縦方向リブ7を備える。
【0054】
縦方向リブ7は、溶接シームを介して横方向リブ6に接合され、これにより、一体形の内側フレーム4を形成する。
【0055】
図6及び図7に最もよく示されるように、各横方向リブ6は、トランスミッションアセンブリDを完全に取り囲む閉路に延びる。
【0056】
したがって、トランスミッションアセンブリDは、シェル2及び複数の横方向リブ6内に全体的に取り囲まれることになる。
【0057】
さらに、金属シェル2は、構造体1に高いねじれ及び曲げ剛性を全体的に及び局所的に付与するべく1つ以上の横方向リブ6に固定される、少なくとも1つの閉鎖断面区域8を有する。
【0058】
横方向リブは、シェル2の内面10と実質的に同じ形状を有する外縁9を有してよい。シェル2は、半円形の下部11及び平坦な上部12を備えてよく、これにより、着陸するヘリコプターを受け入れるためのディスク形プラットフォーム13を形成する。
【0059】
また、図面で最もよく分かるように、横方向リブ6は、円形又は半円形の形状を有してよく、トランスミッションアセンブリDの第1のシャフトSを支える支持体14、14’のところに存在するように縦方向に配列されてよい。
【0060】
逆に、縦方向リブ7は、横方向リブ6の周方向の広がりに沿って配列されてよい。
【0061】
図6及び図7に示すように、少なくとも支持体14、14’のところに、シェル2は閉鎖断面区域8を有し、閉鎖断面区域8は、それに接続される対応する閉鎖横方向リブ6と組み合わせて、高いねじれ及び曲げ剛性を有する耐荷重性の構造体1を形成することができる。
【0062】
前述のナセル構造体では、トランスミッションアセンブリDを支持するためのスペース3内に支持プラットフォームは用いられない。
【0063】
トランスミッションアセンブリDは、横方向リブ6のところで内側フレーム1に直接固定されることになる。
【0064】
図面に示される本発明の好ましい実施形態では、シェル2は、完全溶込み溶接により一緒に接合される複数の予備成形された金属シート15によって形成されてよい。
【0065】
各金属シート15は、10mm~30mmの範囲の厚さsを有してよい。
【0066】
さらに、横方向リブ6の外縁9及び/又は縦方向リブ7の外縁16は、溶接によりシェル2の内面8に固定される。
【0067】
前述のように、同じく閉路に延びている対応する横方向リブ6に固定されるシェル2の1つ以上の閉鎖断面区域8の存在は、高い構造強度をもつ構造体1を提供することができる。
【0068】
この構成では、シェル2は、単純なカバー要素ではないが、リブ6、7と協働して構造的耐荷重機能をもたらすことにより、構造体1がトランスミッションアセンブリDを支持することを可能にし、構造体1に全体的及び局所的に剛性を付与し、変形を最小にする。
【0069】
以下で最もよく説明されるように、トランスミッションアセンブリDを安定して支持するために横方向リブ6、7上に強化プレート17が形成されてよい。
【0070】
この構成により、非常に強いナセル構造体1が得られる可能性があり、ロータ又は重量及び外部作用などの他の要因により発生するねじれ及び曲げ荷重に起因する応力が低減するであろう。
【0071】
これは、種々の荷重がかかることに起因する構造体1の変形及びトランスミッションアセンブリDの部品の変位を最小にするであろう。
【0072】
横方向リブ6は、T形断面、又は代替的に、ダブルT形状を有してよく、縦方向リブ7は、標準的な外形を有するビームの部品で形成されてよい。
【0073】
図6及び図7によく示されるように、各閉鎖横方向リブ6は、実質的に直線形の上側区域18と、実質的に半円形の下側区域19を有してよい。
【0074】
リブ6の半円形の下側区域9は、シェル2の下部11に接合され、一方、その直線形の上側区域18は、構造体のルーフ20も画定するシェル2の平坦な上部12に接合される。
【0075】
さらに、2つのサイドウィング21、22が、ディスク形プラットフォーム13を完成させるためにルーフ20に結合される。
【0076】
サイドウィング21、22は、ルーフ20と同一平面内にあり、シェル2に対して張り出している様態で据え付けられる。
【0077】
結果として、これらのウィング21、22は、シェル3の下部11の外面24に接続される複数の支持ロッド23、すなわちブラケットにより支持される。
【0078】
ウィング21、22には、図示していないヒンジ付きカバーにより閉鎖され、ディスク形プラットフォーム13の風の抵抗を減らすべく悪天候の場合に開放され得る、同じく図示していない複数の開口部も形成されてよい。
【0079】
都合よく、自己支持構造体1は、2つの平坦な壁25、26によりその前部で及びその後部で閉鎖されてよい。
【0080】
これらの壁25、26は、金属で又は他の非金属材料で作製されてよい。
【0081】
これらの平坦な壁25、26は、自己支持構造体1の剛性を高めるのを支援し、図示していない周辺フランジ及びボルトを介してシェル2に接続されてよい。
【0082】
図2図3に示すように、前壁25は、トランスミッションアセンブリDの第1のシャフトSを通すための中央開口部27を有する。
【0083】
さらに、図4図7に示すように、内側フレーム4は、トランスミッションアセンブリDを支持するためのプレート17を備える。
【0084】
すなわち、プレート17は、トランスミッションアセンブリDの第1のシャフトSにマウントされるそれぞれのベアリング28、28’のための少なくとも一対の支持体14、14’を支持する。
【0085】
図1図5に示す本発明の構成では、各プレート17は、それぞれの横方向リブ6に接続され、且つ、縦方向リブ7に接続するための適切な接続要素31により縦方向Lに補強される、一対の横方向アーム29、30を備える。
【0086】
支持体14、14’は、トランスミッションアセンブリDのシャフトSの対応するベアリング28、28’を支持するために、それぞれのアーム29、30の端32、33でボルト締めされる。
【0087】
一対のアーム29、30はまた、支持体14、14’の下端で下にある横方向リブ6に相互に接続される。
【0088】
或いは、図6及び図7に最もよく示されるように、プレート17は、横方向リブ6の半円形の下側区域19から延びる半径方向の補強部34を備えてよい。
【0089】
ベアリング28、28’の支持体14、14’は、適切な接続ねじ35によって半径方向の補強部34に直接固定されてよい。
【0090】
好ましくは、図4図5に示すように、各支持体14、14’は、アンカーボルト40によってアーム29、30の自由端32、33に取り付けられた又は接続ねじ35によって半径方向の補強部34に取り付けられた半径方向の延長部38、39を有する2つの相互に結合されるハーフシェル36、37を備えてよい。
【0091】
ハーフシェル36、37は、第1のシャフトSにマウントされるそれぞれのベアリング28、28’を受け入れることができるキャビティ41を画定する。
【0092】
トランスミッションアセンブリDのシャフトS、S及び継手は、支持体14、14’とアーム29、30又は半径方向の補強部34との間に図示していない特別な調節シムを介在させることにより、ベアリング28、28’と位置合わせされてよい。
【0093】
内側フレーム4は、図5に最もよく示されるように、ギヤボックスMを支持するための支持構造体42を有してよい。
【0094】
この支持構造体42は、リブ6、7及びシェル2と構造的にシームレスとなるように設計されてよい。
【0095】
構造体42は、シェルの外面24と管状延長部Eの上縁Bとの交線により画定される領域内のシェル3上に形成される開口部又は孔のところに存在してよい。
【0096】
さらに、この支持構造体42は、一般にねじ又はスタッド型などの接続手段44を介してギヤボックスMに固定されることになるギヤボックスのケースIのための、そのうちの1つが図5に示される複数のクロス部材43で構成されてよい。
【0097】
トランスミッションアセンブリDはまた、ロータの回転速度を低減する又はロータが止まるとロータをロックするように第1のシャフトSに対して選択的に作用する、図示していない制動手段を備えてよい。
【0098】
これらの制動手段は、次に、概して45で参照される適切な支持部材を介して内側フレームBに固定されてよい。
【0099】
好ましくは、構造体1は、発電機G及びギヤボックスMを冷却するための冷却手段Hを収容するように適合された少なくとも1つの区画46を備えてよい。
【0100】
区画46は、適切な接続要素47を介してシェル2の外面24に固定されてよい。特に、図2図3に最もよく示されるように、接続要素47は、シェル2の下部11に固定されてよい。
【0101】
有利には、複数の再閉鎖可能な開口部48、48’、48’’、48’’’が、シェル2のルーフ20に形成されてよい。
【0102】
特に、図2に最もよく示されるように、第1の開口部48は、構造体1のルーフ20上に形成されてよく、組み立て中に第1のシャフトS及びギヤボックスMをスペース3に嵌め込むことを可能にするように適切に形状設定される。この開口部は、ルーフ12のシームレス構造が復活することを可能にする適切な機械的接続を用いて閉鎖されてよい。
【0103】
さらに、ルーフ12はまた、同じく組み立て中に発電機Gをスペース3に嵌め込むことを可能にするように形状設定される第2の再閉鎖可能な開口部48’を有してよい。この開口部も、ルーフ12のシームレス構造が復活することを可能にする機械的接続を用いて閉鎖されてよい。
【0104】
また、シェル2には、メンテナンス中のトランスミッションアセンブリDの小さい部品の交換のための小さい再閉鎖可能な開口部48’’と、メンテナンス作業員がルーフ12から構造体1にアクセスするためのマンホール48’’’が形成されてよい。
【0105】
構造体1はまた、トランスミッションアセンブリDの部品、例えば発電機Gの交換の場合の臨時のメンテナンス中に用いるための図3に示すように後壁26の近傍に存在する下方へ向けられる再閉鎖可能な通路49を有してよい。ここで、ルーフ12上に存在する図示していない適切な昇降手段が、交換されるべき部品を、通路49を通じてスペース3の内外へ垂直に移動するのに用いられてよい。
【0106】
さらに、トランスミッションアセンブリのメンテナンスに用いるための図示していないブリッジクレーンをスライド式に支持するために、図6及び図7に示すように2つの強化縦方向ガイド50がルーフ12内に固定されてよい。
【0107】
すなわち、縦方向ガイド50は、閉鎖横方向リブ6の直線形の上側区域18の内面51に固定されてよい。
【0108】
本発明は、特許請求され説明される発明的な技術的特徴の範囲内に入る他の変形で実施されてよく、これらの技術的特徴は、他の技術的に均等な要素に置き換えられてよく、その用途に適合するならば、任意の材料並びに任意の形状及びサイズが本発明において用いられてよい。
【0109】
請求項及び説明での参照番号及び符号は、文章の明快さを向上させることだけを意図しており、本明細書で特定される物体又はプロセスの技術的解釈を限定する要素とみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7