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特許7030798磁気共鳴像形成(MRI:magnetic resonance imaging)システムにおけるデータ通信リンク効率及びロバスト性を改善するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】磁気共鳴像形成(MRI:magnetic resonance imaging)システムにおけるデータ通信リンク効率及びロバスト性を改善するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A61B5/055 372
A61B5/055 355
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019516629
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017074790
(87)【国際公開番号】W WO2018060432
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/401,352
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】レッダー パウル フランツ
(72)【発明者】
【氏名】レイコウスキー アーネ
(72)【発明者】
【氏名】ファン リエル フィリップス
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0021032(US,A1)
【文献】特開2009-268901(JP,A)
【文献】特表2014-508023(JP,A)
【文献】特開2014-039795(JP,A)
【文献】特開平05-261083(JP,A)
【文献】米国特許第05384536(US,A)
【文献】特表2011-524190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0103491(US,A1)
【文献】特開2001-224572(JP,A)
【文献】特開2004-260801(JP,A)
【文献】特表2011-505948(JP,A)
【文献】特開2005-245922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRIシステムにおける使用のためのデータ獲得システムであって、前記データ獲得システムが、
前記MRIシステムの少なくとも第1のRFコイルにより検出されたRF信号を受信する第1のRF受信器であって、前記RF信号が、像データを表すアナログ信号である、第1のRF受信器と、
受信された前記RF信号の第1の組をk空間値である第1のデジタルMR信号の組に変換し、前記第1のデジタルMR信号の組を出力する第1のアナログ・デジタル変換器と、
第1のプロセッサであって、前記MRIシステムのコンピュータに前記第1のデジタルMR信号の組の正確さを確認するための冗長性を提供するために、第1の通信リンクを介した前記第1のデジタルMR信号の組の送信中における通信リンクエラーの発生が、前記第1のデジタルMR信号の組を使用して再現される再現されたMRI像に、それぞれ、より大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する前記第1のプロセッサによる判定に基づいて、k空間の中心領域内の前記k空間値に対して、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用し、前記k空間の前記中心領域外の前記k空間値に対して、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化する符号化アルゴリズムを実施する第1のプロセッサと、
符号化された前記第1のデジタルMR信号の組を、前記第1の通信リンクを介して、前記第1のデジタルMR信号の組から前記MRI像を再現するために、前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する第1の送信器と、
を備える、データ獲得システム。
【請求項2】
前記第1のプロセッサが、
前記第1のデジタルMR信号の組に関係した少なくとも第1の信号特性を特定するために前記第1のデジタルMR信号の組を分析することと、
前記第1の信号特性が第1の所定の閾値以上である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第1の信号特性が前記第1の所定の閾値未満である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、
請求項1に記載のデータ獲得システム。
【請求項3】
前記少なくとも第1の信号特性が、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した信号振幅である、
請求項2に記載のデータ獲得システム。
【請求項4】
前記少なくとも第1の信号特性が、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した信号対ノイズ比である、
請求項2に記載のデータ獲得システム。
【請求項5】
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、前記第1のデジタルMR信号の組に変換を実施して、前記第1のデジタルMR信号の組のまばらさを高め、前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することが、変換された前記第1のデジタルMR信号の組を分析して、前記信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値より大きいか、前記第1の所定の閾値に等しいか、又は、前記第1の所定の閾値未満であるかを判定することにより実施される、
請求項4に記載のデータ獲得システム。
【請求項6】
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、変換であって、前記変換中に前記第1のデジタルMR信号の組が時間領域表現から周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記第1のデジタルMR信号の組の前記分析が、前記周波数領域表現を分析して、前記信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値より大きいか、前記第1の所定の閾値に等しいか、又は、前記第1の所定の閾値未満であるかを判定することにより実施される、
請求項4に記載のデータ獲得システム。
【請求項7】
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、変換であって、前記変換中に前記第1のデジタルMR信号の組が時間領域表現からk空間における空間周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記第1のデジタルMR信号の組の前記分析が、k空間における前記空間周波数領域表現を分析して、前記信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値より大きいか、前記第1の所定の閾値に等しいか、又は、前記第1の所定の閾値未満であるかを判定することにより実施される、
請求項4に記載のデータ獲得システム。
【請求項8】
前記第1のRF受信器が、前記MRIシステムの少なくとも第2のRFコイルにより検出されたRF信号を受信し、前記第2のRFコイルにより検出された前記RF信号が、像データを表すアナログ信号であり、前記第1のアナログ・デジタル変換器が、前記第2のRFコイルにより検出された前記RF信号を第2のデジタルMR信号の組に変換して、前記第2のデジタルMR信号の組を出力し、前記第1のプロセッサが、
前記第2のデジタルMR信号の組を分析して、前記第2のデジタルMR信号の組に関係した第2の信号対ノイズ比を特定することと、
前記第2の信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値以上である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第2の信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値未満である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
選択されたレベルの前記符号化を使用して前記第2のデジタルMR信号の組を符号化することであって、前記第1の送信器が、符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、第2の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する、符号化することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、
請求項4に記載のデータ獲得システム。
【請求項9】
前記MRIシステムの第2のコイルにより検出されたRF信号を受信する第2のRF受信器であって、前記第2のRF受信器により受信された前記RF信号が、前記像データを表すアナログ信号である、第2のRF受信器と、
前記第2のRF受信器により受信された前記RF信号を第2のデジタルMR信号の組に変換して、前記第2のデジタルMR信号の組を出力する第2のアナログ・デジタル変換器と、
第2のプロセッサであって、
前記第2のデジタルMR信号の組を分析して前記第2のデジタルMR信号の組に関係した第2の信号対ノイズ比を特定することと、
前記第2の信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値以上である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第2の信号対ノイズ比が前記第1の所定の閾値未満である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
選択されたレベルの前記符号化を使用して前記第2のデジタルMR信号の組を符号化することであって、前記第1の送信器が、符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、第2の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する、符号化することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、第2のプロセッサと、
符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、前記第2の通信リンクを介して、前記像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する第2の送信器と、
をさらに備える、請求項4に記載のデータ獲得システム。
【請求項10】
前記第1の送信器と前記第2の送信器とが、符号化されたデジタルデータ信号をそれぞれのシリアルデータストリームに変換し、前記それぞれのシリアルデータストリームが前記第1の通信リンクと前記第2の通信リンクとを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに連続的に送信されることをもたらすシリアライゼーション論理部を含む、
請求項9に記載のデータ獲得システム。
【請求項11】
MRIシステムにおける使用のためのデータ獲得システムであって、前記データ獲得システムが、
前記MRIシステムのN個のRF受信器であって、Nが1以上の正の整数であり、前記N個のRF受信器が、それぞれ、N個のRFコイルにより検出された、N組のRF信号の組を受信し、前記N組のRF信号の組が、それぞれ、N組の像データの組を表すアナログ信号である、N個のRF受信器と、
受信された前記N組のRF信号の組をそれぞれN組のk空間値であるデジタルMR信号の組にそれぞれ変換し、前記N組のデジタルMR信号の組をそれぞれ出力するP個のアナログ・デジタル変換器であって、Pが1以上の正の整数である、P個のアナログ・デジタル変換器と、
少なくとも1つのプロセッサであって、前記MRIシステムのコンピュータに前記第1のデジタルMR信号の組の正確さを確認するための冗長性を提供するために、通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを使用して再現される再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する前記プロセッサによる判定に基づいて、k空間の中心領域内の前記k空間値に対して、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用し、前記k空間の前記中心領域外の前記k空間値に対して、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して前記デジタルMR信号の組の各々を符号化する符号化アルゴリズムを実施する少なくとも1つのプロセッサと、
符号化された前記デジタルMR信号の組のそれぞれを、それぞれ、M個の通信リンクを介して、像再現を実施するために、前記MRIシステムの前記コンピュータに送信するM個の送信器であって、Mが1以上の正の整数である、M個の送信器と、
を備える、データ獲得システム。
【請求項12】
前記データ獲得システムが、N個のプロセッサを備え、各プロセッサが、前記N組のデジタルMR信号の組の1つ1つに前記符号化アルゴリズムを実施する、
請求項11に記載のデータ獲得システム。
【請求項13】
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、前記N組のデジタルMR信号の組に変換を実施して、前記N組のデジタルMR信号の組のまばらさを高め、前記プロセッサが、変換された前記N組のデジタルMR信号の組を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比のそれぞれが所定の閾値未満であるか、又は、前記所定の閾値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
請求項11に記載のデータ獲得システム。
【請求項14】
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、変換であって、前記変換中に前記N組のデジタルMR信号の組が時間領域表現から周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記プロセッサが、変換された前記N組のデジタルMR信号の組を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比のそれぞれが所定の閾値未満であるか、又は、前記所定の閾値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
請求項11に記載のデータ獲得システム。
【請求項15】
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、変換であって、前記変換中に前記N組のデジタルMR信号の組が時間領域表現からk空間における空間周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記プロセッサが、k空間における前記空間周波数領域表現を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比のそれぞれが所定の閾値未満であるか、又は、前記所定の閾値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個の信号対ノイズ比のうちの任意のものが前記所定の閾値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
請求項11に記載のデータ獲得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] MRIは、従来にない組織コントラストをもたらす、人体において観測されるものなどの物体の断面の視認を可能にするイメージング技術である。MRIは、核磁気共鳴(NMR)、すなわち、非ゼロのスピンをともなう原子核が磁気モーメントをもつ核磁気共鳴(NMR)の原理に基づく。医療像形成において、それは、通常、人体内に高濃度で存在する水素原子の原子核である。ラジオ周波数(RF)波が、強い外部磁場内において原子核に向けられて、プロトンの励起とプロトンの緩和とをもたらす。プロトンの緩和は、RF信号が原子核により放出されることをもたらし、RF信号が検出されて像を形成するために処理され得る。
【背景技術】
【0002】
[0002] MRIシステムのRF受信コイルが、原子核により放出されたRF信号を検出する。RF受信コイルは、走査される人体に、又は人体の非常に近くに位置する。典型的にはRFコイルに、又は非常に近くに位置するRF受信器が、RFコイルにより検出されたRF信号を受信し、受信されたRF信号をアナログ電気信号に変換する。RF受信器は、典型的には、アナログ電気信号をサンプリングして、アナログ電気信号をデジタルサンプルに変換するアナログ・デジタル変換器(ADC)を含む。次に、デジタルサンプルが符号化(すなわち、データ圧縮及びエラー訂正符号化)され、電気的な領域から光学的な領域に変換され、光ファイバーデータ通信リンクを介して、患者が中に位置する検査室から物理的に離れた技術室に位置する遠隔の機器に送信される。遠隔の機器は、リンクを介して送信された情報を、光学的な領域から電気的な領域に変換し、像データを復元するために情報を復号する(すなわち、符号化処理を逆にたどる)。遠隔の機器の再現コンピュータが、像データを処理して像を再現する再現アルゴリズムを実施する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,575,935号(以下‘935特許)は、このような構成を開示する。
【0003】
[0003] いくつかのMRIシステムにおいて、RF受信器のADCによるのではなく遠隔の機器のADCにより、RF信号のデジタル化が実施される。例えば、光ファイバーデータ通信リンクを含むのではなく、いくつかの場合において、データ通信リンクは同軸ケーブルであり、その同軸ケーブルを介して、RF信号がRF受信器から遠隔の機器に通信される。遠隔の機器のネットワークハブにおいて、ADCがRF信号をサンプリングしてデジタル化を実施する。遠隔の機器の再現コンピュータが、像データを処理して像を再現する再現アルゴリズムを実施する。’935特許は、この代替的な構成をさらに開示する。
【0004】
[0004] 現代のMRIシステムは、複数のRFコイルを使用して、人体の高分解能の像を取得する。このようなシステムにおいて、高分解能像形成をサポートするために必要なデータレートは、1ギガビット/秒(Gbps)を上回り得る。データペイロードを減らすために、及び、リンクのロバスト性を改善するために、光ファイバー通信リンクを介してデータを送信する前にデータを符号化するために、圧縮及びエラー訂正符号化技術が使用される。現代のMRIシステムにおいて使用される符号化に関する現在のアプローチは、制御データに対して1つの固定レベルの符号化を適用し、像データに対して別の固定レベルの符号化を適用する。より低いデータレート要求が課される制御データに対して、より高いレベルの符号化が適用されることにより、ロバストなデータリンクがもたらされるので、それが低いビットエラーレート(BER:bit error rate)を得ることになる。しかし、より高いレベルの符号化は、より大きなビット数がデータを符号化するために使用されることに起因して、より低いデータリンク効率をもたらす。高いデータレート要求を課す像データに対して、より低いレベルの符号化が適用されることにより、より小さなビット数がデータを符号化するために使用されることに起因して、より効率的だがより低ロバストでもある(すなわち、BERがより高い)データリンクをもたらす。従って、現在のアプローチでは、リンク効率とリンクロバスト性との間のトレードオフが存在する。
【発明の概要】
【0005】
[0005] データリンク効率とデータリンクロバスト性とを同時に改善することによりトレードオフを無くす手法により、MRIシステムにおいてデータを符号化するための方法及び装置を提供することが望まれる。
【0006】
[0006] 代表的な実施形態が添付図面と併せて読まれたときに、以下の詳細な説明からもっともよく理解される。様々な特徴が一定の縮尺で描かれるとは限らないことが強調される。実際、説明が明確となるように、寸法が任意に大きくされるか、又は小さくされる場合がある。適用可能であり実用的である場合は常に、同様の参照符号が同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007] 代表的な実施形態によるMRIシステム100の電気的な、電磁的な、磁気的な、及び光学的なコンポーネントのブロック図である。
図2】[0008] 代表的な実施形態による図1に示される統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素のサンプリング及び符号化回路のブロック図である。
図3】[0009] 図1に示されるMRIシステムのデータ通信リンクを介してデータを送信する前に、データをサンプリング及び符号化するための代表的な実施形態による方法のフロー図である。
図4】[0010] 図1に示されるMRIシステムの光ファイバーデータ通信リンクを介してデータを送信する前に、データをサンプリング、変換、及び符号化するための代表的な実施形態による方法のフロー図である。
図5】[0011] k空間内の点に関係した1つ又は複数の信号特性に基づいて符号化のレベルが割り当てられ、適用される別の代表的な実施形態による方法のフロー図である。
図6】[0012] ウェーブレット変換がフーリエ変換の代わりに使用される場合の、図4に示されるフロー図の変形例であるフロー図である。
図7】[0013] 図4から図6に示される変換ステップが取り除かれた、代表的な実施形態による方法を表すフロー図である。
図8】[0014] 代表的な実施形態によるMRIシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0015] 以下の詳細な説明において、説明を目的として、及び、限定を目的とせずに、特定の詳細事項を開示する代表的な実施形態が、本教示を十分に理解させるために記載される。しかし、本明細書に開示される具体的な詳細事項から逸脱した本教示による他の実施形態が添付の請求項の範囲内の留まることが本開示の利益を得た当業者に明らかである。さらに、よく知られた装置及び方法の説明は、代表的な実施形態の説明を不明瞭にしないために省略される場合がある。このような方法及び装置は、明らかに本教示の範囲に含まれる。
【0009】
[0016] 本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図されないことが理解される。任意の定義される用語は、本教示の技術分野において一般的に理解され、受け入れられているような、定義される用語の技術的で科学的な意味に対する追加的なものである。
【0010】
[0017] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語の「a」、「an」、及び「the」に対応する表現は、コンテキスト上、他の意味に明示的に規定される場合を除き、単数の指示対象と複数の指示対象との両方を含む。従って、例えば、「デバイス」は、1つのデバイス及び複数のデバイスを含む。
【0011】
[0018] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、「実質的な」又は「実質的に」という用語は、本用語の通常の意味に加えて、許容可能な限度又は程度であることを意味する。例えば、「実質的に打ち消された」とは、当業者がその打ち消しを許容可能であるとみなすことを意味する。
【0012】
[0019] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合において、「概ね」という用語は、本用語の通常の意味に加えて、当業者に許容可能な限度又は量内であることを意味する。例えば、「概ね同じ」とは、比較されるものが同じであると当業者がみなすことを意味する。
【0013】
[0020] MRI走査中に獲得されたMR信号は、最終的な再現されたMRI像にMR信号が与え得る影響の観点で変動する。いくつかのMR信号は、光ファイバーデータ通信リンクを介した対応する情報の送信中にリンクエラーが発生した場合、最終的な再現されたMRI像により大きな影響を与え得る。他のMR信号は、光ファイバーデータ通信リンクを介した対応する情報の送信中にリンクエラーが発生した場合、最終的な再現されたMRI像により少ない影響を与える。本明細書において説明される代表的な実施形態によると、データ通信リンクエラーが発生した場合に最終的な再現されたMRI像の質により大きな影響を与える獲得されたMR信号は、光ファイバーデータ通信リンクを介して送信される前に、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化を使用して符号化される。逆に、データ通信リンクエラーが発生した場合に最終的な再現されたMRI像の質により少ない影響を与える獲得されたMR信号は、光ファイバーデータ通信リンクを介して送信される前に、より低い、又は、より低ロバストなレベルの符号化を使用して符号化される。全体的な結果は、データリンクロバスト性、及び、データリンクを介して送信されるデータに対する効率性の改善である。像データを符号化するための方法及び装置のいくつかの例示的な、又は代表的な実施形態が、図を参照しながら以下で説明され、図中、同様の参照符号が同様の要素、特徴、又はコンポーネントを表す。
【0014】
[0021] 「符号化のレベル」という用語は、本用語が本明細書において使用される場合、通信リンクを介して送信されるデータを符号化するために使用されるビット数に関係する。通信リンクを介して送信されるデータを符号化するために様々な符号化技術が使用されてよい。例えば、通信リンクの反対側端部の受信器が受信されたメッセージの正確さを確認するために使用し得る冗長性を提供するために、多くのパリティ又はチェックサムビットを使用してデータを符号化することがよく知られている。リンクの反対側端部の受信器がメッセージを適切に受信する尤度を高めるために、複数回にわたって同じデータビットを送信することも知られている。概して、これらの知られた符号化技術、又はその組み合わせが、通信リンクを介して送信されるビット数を、データビットの数を上回る数まで増やす。「より高いレベルの符号化」又は「より高ロバストなレベルの符号化」という用語は、それらの用語が本明細書において使用される場合、データを符号化するための、より小さなビット数ではなく、より大きなビット数の使用を表す。逆に、「より低いレベルの符号化」又は「より低ロバストなレベルの符号化」という用語は、それらの用語が本明細書において使用される場合、データを符号化するための、より大きなビット数ではなく、より小さなビット数の使用を表す。従って、より高い、より高ロバストなレベルの符号化は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化により使用される符号化ビットの数より多くの符号化ビット(例えば、パリティビット)を使用する。
【0015】
[0022] 使用される符号化ビットの数に加えて、符号化ロバスト性をさらに高くするために、又は低くするために、それぞれ、他の手法で符号化ロバスト性を高くする、又は低くする他の符号化技術が使用され得る。
【0016】
[0023] 従って、通信リンクを介して送信されるデータを符号化するために、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化が使用される場合、通信リンクを介したデータの送信中に回復不能な通信リンクエラーがより発生しにくい。逆に、通信リンクを介して送信されるデータを符号化するために、より低い、又は、より低ロバストなレベルの符号化が使用される場合、通信リンクを介したデータの送信中に回復不能なリンクエラーがより発生しやすい。
【0017】
[0024] 図1は、代表的な実施形態によるMRIシステム100の電気的な、電磁的な、磁気的な、及び光学的なコンポーネントのブロック図を示す。破線101は、MRIシステム100のコンポーネントの、技術室102内に位置するコンポーネントと、検査室104内に位置するコンポーネントとへの区分を示すために使用されるが、システム100のコンポーネントが位置する位置に関して、本開示は限定されない。区分の理由は、検査室104内に、MRI磁石がその勾配コイル126、その送信コイル要素124、及び、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120と一緒に位置するからである。MR像形成を目的とした原子核の励起の場合、高周波RFパルスが送信コイル要素124を介して適用され、原子核により放出されたRF信号が統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120により検出される。検査室104の遮蔽は、強い妨害の無い状態で、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120によるRF信号の高品質な検出を確実なものとする。
【0018】
[0025] 勾配増幅器106及びRF増幅器108は技術室102内に位置し、MRI走査を実施するために、勾配コイル126と送信コイル要素124とのそれぞれに提供される信号の振幅を大きくする。技術室102内に位置する制御及びデータ獲得システム110は、MRIシステム100の動作を制御する。制御及びデータ獲得システム110は、送信器制御ユニット116、勾配制御ユニット118、システムタイミング基準112、走査制御コンピュータ122、及び、ネットワークハブ130を含む。走査制御コンピュータ122は、送信器制御ユニット116と勾配制御ユニット118との動作を制御し、それぞれが、さらに、MRI走査を実施するために、RF増幅器108及び勾配増幅器106の動作を制御する。技術室102内に位置して、制御及びデータ獲得システム110にインターフェース接続された再現ユニット140は、ネットワークハブ130において受信された像データに対して像再現を実施する。
【0019】
[0026] 統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120は、光ファイバーデータ通信リンク150を介してネットワークハブ130に接続されている。以下でより詳しく説明されるように、代表的な実施形態によると、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120は、少なくとも1つのRF受信器、少なくとも1つの光送信器、少なくとも1つのアナログ・デジタル変換器(ADC)、及び少なくとも1つのプロセッサを含む。RF受信器は、受信コイル要素により検出されたRF信号を受信し、ADCは、受信されたRF信号をデジタル信号に変換する。プロセッサは、デジタル信号の1つ又は複数の特性に基づいて、デジタル信号を符号化するために使用される符号化のレベルを選択し、及び、選択されたレベルの符号化を使用してデジタル信号を符号化する。光送信器は、符号化されたデジタル信号を光学データ信号に変換し、光ファイバーデータ通信リンク150を介してネットワークハブ130に光学データ信号を送信する。
【0020】
[0027] ネットワークハブ130において、光学データ信号が電気データ信号に変換される。ネットワークハブ130の少なくとも1つのプロセッサが、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120において実施された符号化処理を逆にたどるようにして電気データ信号を復号する。復号された電気データ信号は再現ユニット140に提供され、再現ユニット140が、MRI走査により取得されたMRI像を再現する。
【0021】
[0028] システムタイミング基準112は、制御及びデータ獲得システム110のコンポーネント116、118、122、及び130により実施される演算のタイミングを制御するために、制御及びデータ獲得システム110のコンポーネント116、118、122、及び130に提供される主クロック信号を生成する。主クロック信号は、リンク150を介して搬送されるデータストリームにより統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120に伝送される。統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120は、主クロック信号を復元するために主クロック信号に対してロック状態になる位相ロックループ(PLL)を含む。復元された主クロック信号、又は、復元された主クロック信号に由来する異なる周波数のクロック信号が、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120のRF受信器により受信されたRF信号をサンプリングするために、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120のADCにより使用される。主クロック信号を復元するための、及び主クロック信号、又は主クロック信号に由来するクロック信号を使用してRF信号をサンプリングするための、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120の様々な構成の代表的な実施形態が、’953特許に開示され、’953特許の図2図7を参照して説明される。従って簡潔さの観点から、主クロック信号を復元するために統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120において使用される回路の詳細な説明は、本明細書において提供されない。
【0022】
[0029] 図2は、RF信号をサンプリングしてRF信号をデジタルサンプルに変換し、デジタルサンプルに関係した少なくとも1つの信号特性に基づいて、デジタルサンプルに適用される符号化のレベルを割り当て、割り当てられた符号化レベルを使用してサンプルを符号化し、符号化されたサンプルを光学データ信号に変換し、光ファイバーデータ通信リンク150を介して制御及びデータ獲得システム110のネットワークハブ130に光学データ信号を送信する図1に示される統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120のサンプリング及び符号化回路200のブロック図を示す。図3図7のフロー図を参照しながら以下でより詳しく説明されるように適用される符号化のレベルを決定するために使用される信号特性として、例えば、サンプルのうちの1つ又は複数に関係した信号対ノイズ比(SNR)、サンプルのうちの1つ又は複数の振幅、又は、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120から光ファイバーデータ通信リンク150を介したネットワークハブ130へのサンプルの送信中にリンクエラーが発生した場合に対応するサンプルが最終的な再現された像に与える影響を表す任意の他の信号特性又はパラメータのうちの1つ又は複数が挙げられる。例えば、サンプルのうちの1つ又は複数に関係した比較的大きなSNRは、光ファイバーデータ通信リンク150を介したサンプルの送信中に発生するリンクエラーに起因したサンプルの欠落が最終的な再現体に大きな影響を与えることを表すものであり得る。
【0023】
[0030] この実施形態によると、サンプリング及び符号化回路200は、少なくとも1つのADC210、少なくとも1つのプロセッサ220、少なくとも1つの符号化器230、少なくとも1つの光送信器240、及び、少なくとも1つのメモリデバイス250を含む。他の代表的な実施形態において、サンプリング及び符号化回路200は、Pが1以上の正の整数であるP個のADC210、少なくとも1つのプロセッサ220、少なくとも1つの符号化器230、Mが1以上の正の整数であるM個の光送信器240、及び、少なくとも1つのメモリデバイス250を含む。PとMとは互いに等しいが、必ずそうである必要はない。メモリデバイス250は、プロセッサ220により実行されるコンピュータコード、又は命令を記憶する。メモリデバイス250は、ADC210から出力されたデジタルサンプルをさらに記憶する。統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120の統合されたデジタイザーを備えるADC210は、サンプリングクロック信号を使用して、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120により受信されたRF信号をサンプリングする。RF受信器により獲得された、及び、ADC210によりサンプリングされたRF信号は、典型的にはMR信号と呼ばれるので、以下でMR信号と呼ばれる。サンプリングクロック信号は、システムタイミング基準112により生成された復元された主クロック信号に由来し、リンク150を介して統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120に送信される。ADC210は、デジタルMR信号サンプルをプロセッサ220と符号化器230とに出力する。
【0024】
[0031] MRIシステムにおいて、デジタル化されたMR信号サンプルは、典型的には、高速フーリエ変換(FFT)処理を使用して時間領域から周波数領域に変換される。変換された信号サンプルは、典型的にはk空間と呼ばれる座標空間において表される像を含む。k空間表現は、典型的には、主軸kx及びkyを使用した長方形グリッドとして表示される。kx軸及びky軸は、それぞれk空間表現の横(x)軸及び縦(y)軸に対応する。これらの軸は、x方向及びy方向における空間周波数を表す。(kx,ky)の座標ペアにより規定されたk空間内の各点は、最終的な再現された像における各ピクセルに関する空間周波数と位相情報とを含む。逆に、最終的な再現された像における各ピクセルは、k空間内の各点にマッピングされる。行列のk空間値は、通常、MRI技術の当業者により生データと呼ばれる。
【0025】
[0032] 最終的な再現されたMRI像の像コンテンツがk空間内の点により影響を受ける程度は、k空間内のその点に対応したMR信号の振幅に比例する。k空間の中心付近の点は、最終的な再現されたMRI像に対して低周波の影響を与えk空間の周辺付近の点は、最終的な再現されたMRI像に対して高周波の影響を与える。k空間の中心は、すべてのMR信号の和を表す値である。MRIシステムにおいて生成された像の性質に起因して、k空間の中心付近の点に対応したMR信号は、k空間の周辺付近の点に対応したMR信号に比べて、振幅がはるかに大きい。その結果、k空間の中心付近の点に対応したMR信号に関係してリンクエラーが発生した場合、像全体が、大幅に影響を受け得る。その一方で、k空間の周辺付近の点に対応したMR信号に関係してリンクエラーが発生した場合、取るに足らない程度しか像解像度が低下しないので、像全体が大幅に影響を受けない。
【0026】
[0033] これらの理由により、代表的な実施形態では、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化がk空間の中心により近いk空間点に適用され、より低い、又は、より低ロバストなレベルの符号化が、k空間の中心からより遠いk空間点に適用される。この代表的な実施形態によると、プロセッサ220は、MRI像のk空間表現を生成するために、MRI走査中にADC210から出力されたデジタルサンプルに対してFFT処理を実施するように構成されるか、又はプログラムされる。k空間表現は、メモリデバイス250に記憶された値の行列である。プロセッサ220は、k空間行列の値に対して実施される符号化のレベルを、k空間内においてそれらの値に対応した点が位置する場所に基づいて割り当てるようにさらに構成されるか、又はプログラムされる。点の(k,k)の座標ペアがプロセッサ220に知られているので、k空間の中央領域内にある、又は中央領域の外側にある点に、k空間行列値が関係するか否かを、プロセッサ220が簡単に判定し得る。代表的な実施形態によると、プロセッサ220が対応するk空間座標に基づいて、適用される符号化のレベルを簡単に決定し得るように、k空間の中央領域の境界を規定するk空間座標が予め規定される。
【0027】
[0034] 符号化器230において符号化処理を実施するために、プロセッサ220は、プロセッサ220によりメモリデバイス250から読み出されたk空間行列値に対して実施される符号化のレベルを割り当て、符号化器230が割り当てられたレベルの符号化を使用してk空間行列値を符号化することをもたらす。代表的な実施形態によると、プロセッサ220は、k空間の中央領域内にあるk空間内の点に対応したk空間行列値に対して、第1の、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化を割り当て、k空間の中央領域の外側にあるk空間内の点に対応したk空間行列値に対して、第2の、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を割り当てる。符号化器は、プロセッサ220により割り当てられた符号化レベルに従って、第1の、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化を適用するように、又は、第2の、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を適用するように構成されている。
【0028】
[0035] 符号化器230から出力された符号化された値は、光送信器240に入力される。光送信器240は、レーザーダイオード又は発光ダイオード(LED)などの電気・光変換器(EOC:electrical-to-optical converter)デバイス(図示されない)とEOCドライバ(図示されない)とを含む。EOCドライバは、符号化器230から出力された符号化された値を受信して、符号化された値に従ってEOCデバイスを駆動し、光ファイバーデータ通信リンク150の端部に結合された、及び、リンク150を介してリンクの反対側端部150に接続されたネットワークハブ130に送信される光学データ信号を生成する。ネットワークハブ130は、光学データ信号を電気データ信号に変換する、p型-真性-n型(PIN)ダイオードなどの光・電気変換器(OEC:optical-to-electrical converter)デバイス(図示されない)を含む。ネットワークハブ130は、電気データ信号を復号する、及び、次に復号されたデータ信号に対して逆フーリエ変換(FT:Fourier Transform)演算を実施して、データ信号をメモリデバイス250に当初生データとして記憶されたk空間値に戻す1つ又は複数のプロセッサを含む。再現ユニット140は、ネットワークハブ130から生データを受信し、生データを処理して最終的な再現されたMRI像を生成する知られた再現処理を実施する。
【0029】
[0036] デジタル化、変換、及び符号化処理を実施する図2に示されるサンプリング及び符号化回路200は、ここまでに、統合されたデジタイザーを含むRFコイル要素120と同じ位置にあると説明されるが、これは必須ではないことが留意されなければならない。サンプリング及び符号化回路200は、ネットワークハブ130からリンク150の反対側端部に位置するが、サンプリング及び符号化回路200はコンポーネント120の一部である必要はなく、しかし、サンプリング及び符号化回路200は、コンポーネント120により獲得されたRF信号を処理するために、コンポーネント120になんらかの手法で電気的に結合されている。
【0030】
[0037] プロセッサ220、符号化器230、及びメモリデバイス250の組み合わせはコンピューティングシステム300を備え、本明細書において説明される代表的な実施形態による符号化方法は本コンピューティングシステム300において実施され得る。コンピューティングシステム300は、コンピューティングシステム300が、本明細書において開示される方法又はコンピュータベースの機能のうちの任意の1つ又は複数を実施することをもたらすように実行され得る命令のセットを含み得る。コンピューティングシステム300は、独立型デバイスとして動作するか、又は、有線、無線、及び/又は、光ネットワークを介して他のコンピューティングシステム又は周辺デバイスに接続されてよい。
【0031】
[0038] ネットワーク接続された構成において、コンピューティングシステム300は、サーバー・クライアントユーザーネットワーク環境におけるサーバーの立場において、若しくは、クライアントユーザーコンピュータとして、又は、ピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境におけるピアコンピューティングシステムとして動作してよい。コンピューティングシステム300は、また、据置型コンピュータ、モバイルコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、無線スマートフォン、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、全地球測位衛星(GPS)デバイス、通信デバイス、制御システム、カメラ、インターネット端末、ネットワークルーター、スイッチ若しくはブリッジ、又は機械により実行される動作を指定する(逐次的に、又は別様に)命令のセットを実行することが可能な任意の他の機械などの様々なデバイスとして実施され、又は様々なデバイスに組み込まれ得る。コンピューティングシステム300は、特定のデバイスとして、又は特定のデバイスに組み込まれ得、さらに、その特定のデバイスが、追加的なデバイスを含む統合されたシステムに組み込まれ得る。コンピューティングシステム300は、例えば、声、ビデオ、又はデータ通信を提供する電子デバイスを使用して実施され得る。さらに、単一のコンピューティングシステム300が示されるが、「システム」という用語は、1つ又は複数のコンピュータ機能を実施するために命令の1つのセット又は複数のセットを個々に、又は連携させて実行するシステム又はサブシステムの任意の集合体を含むようにさらに解釈される。
【0032】
[0039] コンピューティングシステム300のプロセッサ220及びメモリデバイス250は、両方とも、有形かつ非一時的なデバイスである。本明細書において使用される場合、「非一時的」という用語は、状態の永久的な特性としてではなく、ある期間にわたって続く状態の特性として解釈され、特に、特定の搬送波若しくは信号、又は、任意の時点で任意の場所に一時的にしか存在しない他の形態の特性などの、つかの間の特性ではない。「プロセッサ」は、本用語が本明細書において使用される場合、本明細書の様々な実施形態に説明されるように機能を実施するためにソフトウェア及び/又はファームウェア命令を実行するように構成された製品及び/又は機械コンポーネントである。プロセッサ220は、汎用プロセッサであるか、又は、特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であってよい。プロセッサ220は、また、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサチップ、制御装置、マイクロ制御装置、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ステートマシン、又はプログラム可能論理デバイスであってよい。プロセッサ220は、また、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、又は、ディスクリート型ゲート及び/又はトランジスタ論理回路を含む別の種類の回路などの、プログラム可能ゲートアレイ(PGA)を含む論理回路であってよい。プロセッサ220は、中央処理ユニット(CPU)、画像処理ユニット(GPU)、又はそれらの組み合わせであってよい。さらに、本明細書において説明される任意のプロセッサは、複数のプロセッサ、並列プロセッサ、複数の処理コアを含むプロセッサ、又はそれらの組み合わせを含んでよい。複数のプロセッサ及び/又は処理コアは、単一のデバイス又は複数のデバイスに含まれるか、又は、単一のデバイス又は複数のデバイスに結合されてよい。
【0033】
[0040] メモリデバイス250は、1つ又は複数のメモリデバイスであり、異なる種類のメモリデバイスを含んでよい。「メモリデバイス」は、本用語が本明細書において使用される場合、データ及び実行可能命令を記憶し得る有形な記憶媒体を表し、その中に命令が記憶されている期間中、非一時的である。「メモリデバイス」は、本用語が本明細書において使用される場合、コンピュータ可読媒体である製品及び/又は機械コンポーネントを表し、そのコンピュータ可読媒体から、例えばプロセッサ220などのコンピュータによりデータ及び実行可能命令が読み取られ得る。「メモリデバイス」は、本用語が本明細書において使用される場合、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、読み出し専用メモリ(ROM)デバイス、フラッシュメモリデバイス、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)デバイス、電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)デバイス、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能なディスク、磁気テープ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)デバイス、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、ブルーレイディスク、光記憶デバイス、又は当技術分野において知られた任意の他の形態の記憶媒体であってよい。「メモリデバイス」は、本用語が本明細書において使用される場合、揮発性メモリデバイス、不揮発性のセキュアメモリデバイス、非セキュアメモリデバイス、暗号化されたメモリデバイス、及び/又は、暗号化されていないメモリデバイスを表す。
【0034】
[0041] 図8を参照して以下でより詳しく説明されるように、コンピューティングシステム300は、ビデオディスプレイユニット、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フラットパネルディスプレイ、ソリッドステートディスプレイ、又はブラウン管(CRT)などをさらに含んでよく、及び、入力デバイス、例えば、キーボード/仮想キーボード若しくはタッチ感応式入力スクリーン、又は、音声認識を使用した発話入力、及び、カーソル制御デバイス、例えば、マウス、又は、タッチ感応式入力スクリーン若しくはパッドなどを含んでよい。
【0035】
[0042] さらに、代表的な非限定的な実施形態において、本明細書において説明される方法は、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、及び/又は、並列処理により実施され得る。仮想コンピュータシステム処理が、本明細書において説明される方法又は機能のうちの1つ又は複数を実装するように構築され得、本明細書において説明されるプロセッサは、仮想処理環境をサポートするために使用されてよい。
【0036】
[0043] 図3は、光ファイバーデータ通信リンク150を介してネットワークハブ130にデータを送信する前にデータをサンプリング及び符号化するための代表的な実施形態による方法のフロー図を示す。ブロック301を参照すると、RF受信器により受信されたRF信号は、ADCによりMRデジタルサンプルに変換される。ブロック302により示されるように、通信リンクを介したサンプルの送信中における通信リンクエラーの発生が、それぞれ、最終的な再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、より少ない影響を与えるかに関する判定に基づいて、より高い、より高ロバストなレベルの符号化、又は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化がデジタルサンプルに割り当てられる。ブロック304により示されるように、サンプルに割り当てられた符号化のレベルに基づいて、サンプルが符号化される。ブロック305により示されるように、符号化されたサンプルは、データ通信リンクを介してリンクの反対側端部に接続されたネットワークハブに送信される。ブロック306により示されるように、ネットワークハブにおいてサンプルが符号化処理を逆にたどる処理により復号される。次に、ブロック307により示されるように、再現されたMRI像が、復号されたサンプルから生成される。
【0037】
[0044] 図4は、光ファイバーデータ通信リンク150を介してネットワークハブ130にデータを送信する前にデータをサンプリング、変換、及び符号化するための代表的な実施形態による方法のフロー図を示す。ブロック311を参照すると、RF受信器により受信されたRF信号が、ADCによりMRデジタルサンプルに変換される。ブロック312により示されるように、MRデジタルサンプルをk空間内の点に対応した値に変換するために、フーリエ変換処理(例えばFFT処理)が実施される。ブロック313により示されるように、k空間の既定の中央領域内にあるk空間値に、第1の、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化が割り当てられ、k空間の中央領域の外側にあるk空間値に、第2の、より低い、より低ロバストなレベルの符号化が割り当てられる。
【0038】
[0045] ブロック314により示されるように、k空間値に割り当てられた符号化のレベルに基づいて、k空間値が符号化される。ブロック315により示されるように、符号化されたk空間値が光学データ信号に変換されて、光ファイバーデータ通信リンクを介してリンクの反対側端部に接続されたネットワークハブに送信される。ブロック316により示されるように、ネットワークハブにおいて、光学データ信号が電気データ信号に変換され、符号化処理を逆にたどる処理により復号され、データ信号を時間領域データ信号に戻すように変換する逆FT処理を受ける。次に、ブロック317により示されるように、再現されたMRI像が時間領域データ信号から生成される。
【0039】
[0046] 図4を参照して説明される代表的な実施形態によると、k空間の中央領域は、k空間の中央領域の境界を規定するk空間座標ペアにより既定される。これらの境界が予め規定されているので、プロセッサ220は、k空間値が中央内に入っているか、又は、中央の外側にあるかを簡単に認識するので、この情報に基づいて符号化レベルを割り当てる。別の代表的な実施形態によると、図2に示されるプロセッサ220は、k空間の中央領域の境界の情報に基づいて符号化レベルを割り当てるのではなく、k空間内の点に関係した1つ又は複数の信号特性又はパラメータ(例えばSNR値)を分析して、分析された信号特性に基づいて符号化レベルを割り当てる。
【0040】
[0047] 図5は、k空間内の点に関係した1つ又は複数の信号特性又はパラメータに基づいて符号化のレベルが割り当てられ、及び適用される別の代表的な実施形態による方法のフロー図を示す。k空間の中心により近いk空間内の点は、大きさがより大きく、SNR値がより高いMR信号に関係する。逆に、k空間の中心からより遠く離れたk空間内の点は、大きさがより小さく、SNR値がより低いMR信号に関係する。この実施形態によると、SNR値及び/又は信号振幅などの信号特性が、k空間内の点がk空間の中心により近いか、k空間の中心からより遠く離れているかを判定するために使用される。
【0041】
[0048] 図5のブロック401を参照すると、RF受信器により受信されたRF信号が、ADCによりMRデジタルサンプルに変換される。ブロック402により示されるように、MRデジタルサンプルをk空間内の点に対応した値に変換するために、フーリエ変換処理(例えばFFT処理)が実施される。ブロック403により示されるように、所定の閾(TH)値以上である、それらに関係した信号特性(例えばSNR値及び/又は振幅)をもつk空間値に、第1の、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化が割り当てられ、所定のTH値未満である、それらに関係した信号特性(例えばSNR値及び/又は振幅)をもつk空間値に、第2の、より低い、より低ロバストなレベルの符号化が割り当てられる。
【0042】
[0049] ブロック404により示されるように、それらに割り当てられた符号化のレベルに基づいて、k空間値が符号化される。ブロック405により示されるように、符号化されたk空間値は、光学データ信号に変換されて、光ファイバーデータ通信リンクを介してリンクの反対側端部に接続されたネットワークハブに送信される。ブロック406により示されるように、ネットワークハブにおいて、光学データ信号が電気データ信号に変換され、符号化処理を逆にたどる処理により復号され、データ信号を時間領域データ信号に戻すように変換するために逆FT処理を受ける。次に、ブロック407により示されるように、再現されたMRI像が、時間領域データ信号から生成される。
【0043】
[0050] 本開示は、どの符号化のレベルが割り当てられなければならないか、及びどの符号化のレベルが適用されなければならないかを決定するために、k空間表現を評価することに限定されない。獲得されたMR信号のまばらさを利用するために、フーリエ変換以外の変換が使用され得る。フーリエ変換と同様に、ウェーブレット変換は、時間領域データから周波数領域データにデータを変換する。しかし、ウェーブレット変換を通して取得された周波数領域データは、k空間に表されない。それにもかかわらず、MRIデータに関係して、リンク150を介した送信中にリンクエラーが発生した場合に最終的な再現されたMRI像に他より大きな影響を与える領域が、ウェーブレット変換されたデータに存在する。従って、図3及び図4を参照してここまでに説明される方法は、獲得されたMR信号のまばらさを利用した異なる種類の変換処理が使用される例に対して変形され得る。
【0044】
[0051] 例えば、図6は、ウェーブレット変換が使用される例に関する、図4のフロー図の変形例であるフロー図を示す。ブロック501を参照すると、RF受信器により受信されたRF信号が、ADCによりMRデジタルサンプルに変換される。ブロック502により示されるように、時間領域におけるMRデジタルサンプルをウェーブレット周波数領域表現に変換するために、ウェーブレット変換処理が実施される。MRIデータの場合、リンクエラーが発生したとき、ウェーブレット周波数領域表現における特定の領域が、最終的な再現されたMRI像の像品質により大きな影響を与える。ブロック503により示されるように、それらの領域が識別されて、それらの領域に、より高い、より高ロバストなレベルの符号化が割り当てられ、すべての他の領域に、より低い、より低ロバストなレベルの符号化が割り当てられる。
【0045】
[0052] ブロック504により示されるように、周波数領域値に割り当てられた符号化のレベルに基づいて、周波数領域値が符号化される。ブロック505により示されるように、符号化された値が光学データ信号に変換されて、光ファイバーデータ通信リンクを介してリンクの反対側端部に接続されたネットワークハブに送信される。ブロック506により示されるように、ネットワークハブにおいて、光学データ信号が電気データ信号に変換され、符号化処理を逆にたどる処理により復号され、データ信号を時間領域データ信号に戻すように変換するために逆ウェーブレット変換処理を受ける。次に、ブロック507により示されるように、再現されたMRI像が時間領域データ信号から生成される。
【0046】
[0053] 図7は、図4から図6を参照して説明される変換ステップが省略された、代表的な実施形態による符号化方法を表すフロー図を示す。ブロック601を参照すると、RF受信器により受信されたRF信号が、ADCによりMRデジタルサンプルに変換される。次に、ブロック602により示されるように、デジタルデータサンプルに関係したSNR値を特定するために、デジタルデータサンプルが処理される。MRIデータを使用すると、リンクエラーが発生した場合、より高いSNRをもつデータが、最終的な再現されたMRI像の像品質により大きな影響を与え、逆も同様である。デジタルデータサンプルに、それらのサンプルに関係したSNRに基づいて符号化のレベルが割り当てられる。典型的には、サンプルに関係した単一のSNR値を特定するために、複数のデジタルデータサンプルが一緒に処理される。各ブロックに関係したSNR値を特定するために、適切なサイズのブロックが処理され得る。さらに、SNR値は、サンプルからの直接的な手法以外の手法で特定され得る。
【0047】
[0054] ブロック603により示されるように、デジタルデータサンプルの異なる部分に対してSNR値が特定された後、所定のTH値以上のSNR値をもつデジタルデータサンプルの一部に、第1の、より高い、又は、より高ロバストなレベルの符号化が割り当てられ、所定のTH値未満のSNR値をもつデジタルデータサンプルに、より低い、より低ロバストなレベルの符号化が適用される。
【0048】
[0055] ブロック604により示されるように、デジタルデータサンプルは、それらに割り当てられた符号化のレベルに基づいて符号化される。ブロック605により示されるように、符号化されたサンプルは、光学データ信号に変換されて、光ファイバーデータ通信リンクを介してリンクの反対側端部に接続されたネットワークハブに送信される。ブロック606により示されるように、ネットワークハブにおいて、光学データ信号は、電気データ信号に変換されて、符号化処理を逆にたどる処理により復号される。次に、ブロック607により示されるように、再現されたMRI像は、電気データ信号から生成される。
【0049】
[0056] 図7のフロー図は、SNRではなく信号の大きさに基づいて符号化のレベルを選択するように変更され得る。MRIデータを使用する場合、より大きな振幅をもつMR信号が、典型的には、対応するデータが光ファイバーデータ通信リンク150を介して送信されるときにリンクエラーが発生した場合、最終的な再現されたMRI像の像品質により大きな影響を与える。逆に、より小さな振幅をもつMR信号が、典型的には、対応するデータが光ファイバーデータ通信リンク150を介して送信されるときにリンクエラーが発生した場合、最終的な再現されたMRI像の像品質により少ない影響を与える。図7のブロック602及びブロック603は、SNRではなく信号振幅を使用して符号化のレベルを選択するように変更され得る。例えば、ブロック602において、デジタルサンプルに関係したMR信号が、MR信号の振幅を特定するために処理される。ブロック603において、サンプルは、振幅が所定のTH値以上の場合、より高ロバストなレベルの符号化を使用して符号化され、振幅が所定のTH値未満の場合、より低ロバストなレベルの符号化を使用して符号化される。ブロック604~607により表されるステップは変わらない。
【0050】
[0057] 図8は、図1及び図2との関連において説明されるコンポーネントと、図1及び図2に示されない追加的なコンポーネントとを含む例示的な実施形態によるMRIシステム700のブロック図を示す。MRIシステム700は、1組の主コイル701、勾配増幅器106(図1)と勾配制御ユニット118(図1)とを備える勾配ドライバユニット702に接続された複数の勾配コイル126(図1)、及び、RF増幅器108(図1)と送信器制御ユニット116(図1)とを備えるRFコイルドライバユニット704に接続された送信コイル要素124(図1)を備えるRFコイルシステム703を備える。RFコイルシステム703の機能は、さらに、送信/離調(T/D)スイッチ705により制御される。図1に示される統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120は、図7に示される受信コイル要素120aとRF受信器120bとを備える。RF受信器120bは、図2に示されるサンプリング及び符号化回路200を備える。単一のRF受信器120bが図8に示されるがMRIシステム700は、N個のRF受信器120bを含み、ここで、Nは1以上の正の整数である。
【0051】
[0058] 受信コイル要素120aは、RFコイルシステム703の送信コイル要素124(図1)により励起された領域の少なくとも一部からMR信号を獲得する。獲得されたMR信号は、統合されたデジタイザーを含む受信コイル要素120のサンプリング及び符号化回路200(図2)により処理される。処理されたMR信号は、RF受信器120bの光送信器240(図2)から光ファイバーデータ通信リンク150を介してネットワークハブ130(図1)に光信号として伝達される。勾配コイル126及び送信コイル要素124は、電源ユニット706により給電される。移送システム707、例えば、患者用テーブルなどが、MRIシステム700内に対象者708、例えば、患者などを配置するために使用される。制御及びデータ獲得システム110は、最終的なMRI像を再現するための再現ユニット140、例えば、再現された像を表示するためのモニタースクリーン又は投影器などのディスプレイユニット712、データ及びコンピュータ命令を記憶するための記憶ユニット713、及び、例えば、キーボード、マウス、トラックボールなどのユーザー入力デバイス711の動作を制御する。
【0052】
[0059] 主コイル701は、定常磁場及び一様な静磁場を生成する。主コイル701は、それらが典型的にはトンネル形検査空間(図示されない)を囲むように配置され、そのトンネル形検査空間内に、対象者708が搬入される。別の共通の構成は、対向するポール面を備え、対向するポール面が対向するポール面の間に空隙を含み、移送システム707を使用することにより、その空隙内に対象者708が搬入される。MR像形成を可能にするために、勾配ドライバユニット702により供給される電流に応答して、静磁場に重ね合わされた時間的に変化する磁場勾配が複数の勾配コイル126により生成される。電源ユニット706が複数の勾配コイル126に電流を供給し、その結果、勾配パルス(勾配パルス波形とも呼ばれる)が生成される。
【0053】
[0060] 制御及びデータ獲得システム110の勾配制御ユニット118は、適切な勾配波形を生成するために、勾配コイル126を通って流れる電流の特性、特に電流の強度、持続期間、及び方向を制御する。RFコイルシステム703の送信コイル要素124(図1)が対象者708内にRF励起パルスを生成すると同時に、受信コイル要素120aがRF励起パルスに応答して対象者708により生成されたMR信号を受信する。RFコイルドライバユニット704は、RFコイルシステム703の送信コイル要素124に電流を供給して、RF励起パルスを送信する。
【0054】
[0061] 送信されるRF励起パルスの特性、特に送信されるRF励起パルスの強度及び持続期間は、制御及びデータ獲得システム110により制御される。RFコイルシステム703の送信コイル要素124(図1)は、典型的には、T/Dスイッチ705を介して制御及びデータ獲得システム110により、2つのモード、すなわち、送信モードと離調モードとのうちの1つで動作するようにされる。T/Dスイッチ705は、2つのモード間で送信コイル要素124をスイッチングする、及び、送信コイル要素124が受信コイル要素120aによる信号獲得中にノイズと結合することを防ぐ、電子回路を備える。T/Dスイッチ705は、さらに、動作中に2つのモード間で、すなわち、受信モードと離調又はデカップリングモードとの間で受信コイル要素120aをスイッチングする。受信コイル要素120aは、送信コイル要素124の送信モード中にデカップリングモードにスイッチングされ、送信コイル要素124のデカップリングモード中に受信モードにスイッチングされる。送信コイル要素124と受信コイル要素120aとの両方の2つのモード間におけるスイッチングは、典型的には、制御及びデータ獲得システム110の1つ又は複数のプロセッサにより実行されるソフトウェア及び/又はファームウェアの制御下で、制御及びデータ獲得システム110により連動させられる。
【0055】
[0062] ユーザー入力インターフェースデバイス711、例えば、キーボード、マウス、タッチ感応式スクリーン、トラックボールなどが、オペレーターがMRIシステム700と対話することを可能にする。ネットワークハブ130において受信された光学データ信号は、像形成される対象者708の関心領域内における局所スピン密度に関する実際の情報を含む。受信された信号は、光学的な領域から電気的な領域に変換されて復号される。復号された信号は、再現ユニットにより140再現されて、MRI像としてディスプレイユニット712に表示される。再現ユニット140からの信号を、後の時点でのさらなる処理のために記憶ユニット713に記憶することが可能である。
【0056】
[0063] 本明細書において説明される代表的な実施形態は、データ通信リンク150が光ファイバーデータ通信リンクであると説明しているが、リンクが代替的に有線又は無線データ通信リンクであり得ることが留意されなければならない。リンクが有線又は無線データ通信リンクである場合、デジタルデータ信号を電気的な領域から光学的な領域に変換する必要がなく、逆も同様である。しかし、この目的において有線又は無線通信リンクが使用される場合、MRIシステム700の磁場がリンクエラーを生成しないことを確実にするために、又はリンクエラーを最小化するために、他の予防策が取られることを必要とする。
【0057】
[0064] しかし、本教示の原理及び概念を実証する目的で、例示的な実施形態がいくつかの例示的な実施形態を参照しながら説明されることが留意されなければならない。当業者は本教示の原理及び概念が本明細書において明示的に説明されない他の実施形態に適用され得ることを理解する。図1図8を参照してここまでに説明される回路及び方法は、本発明の原理及び概念を実証する適切な構成及び方法の例示にすぎないことにも留意しなければならない。本明細書において提供される説明を参照して当業者により理解されるように、依然として本教示の目標を達成しながら、本明細書において説明される実施形態に多くの変形がなされてよく、このような変更のすべてが本発明の範囲に含まれる。
(付記1)
磁気共鳴像形成(MRI)システムにおける使用のためのデータ獲得システムであって、前記データ獲得システムが、
前記MRIシステムの少なくとも第1のRFコイルにより検出されたRF信号を受信する第1のラジオ周波数(RF)受信器であって、前記RF信号が、像データを表すアナログ信号である、第1のラジオ周波数(RF)受信器と、
受信された前記RF信号の第1の組を第1のデジタル磁気共鳴(MR)信号の組に変換し、前記第1のデジタルMR信号の組を出力する第1のアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
第1のプロセッサであって、第1の通信リンクを介した前記第1のデジタルMR信号の組の送信中における通信リンクエラーの発生が、前記第1のデジタルMR信号の組を使用して再現される再現されたMRI像に、それぞれ、より大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する前記第1のプロセッサによる判定に基づいて、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して、又は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化する符号化アルゴリズムを実施する第1のプロセッサと、
符号化された前記第1のデジタルMR信号の組を、前記第1の通信リンクを介して、前記第1のデジタルMR信号の組から前記MRI像を再現する前記MRIシステムのコンピュータに送信する第1の送信器と、
を備える、データ獲得システム。
(付記2)
前記第1のプロセッサが、
前記第1のデジタルMR信号の組に関係した少なくとも第1の信号特性を特定するために前記第1のデジタルMR信号の組を分析することと、
前記第1の信号特性が第1の所定の閾(TH)値以上である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第1の信号特性が前記第1の所定のTH値未満である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、
付記1に記載のデータ獲得システム。
(付記3)
前記少なくとも第1の信号特性が、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した信号振幅である、
付記2に記載のデータ獲得システム。
(付記4)
前記少なくとも第1の信号特性が、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した信号対ノイズ比(SNR)である、
付記2に記載のデータ獲得システム。
(付記5)
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、前記第1のデジタルMR信号の組に変換を実施して、前記第1のデジタルMR信号の組のまばらさを高め、前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することが、変換された前記第1のデジタルMR信号の組を分析して、前記SNRが前記第1の所定のTH値より大きいか、前記第1の所定のTH値に等しいか、又は、前記第1の所定のTH値未満であるかを判定することにより実施される、
付記4に記載のデータ獲得システム。
(付記6)
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、変換であって、前記変換中に前記第1のデジタルMR信号の組が時間領域表現から周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記第1のデジタルMR信号の組の前記分析が、前記周波数領域表現を分析して、前記SNRが前記第1の所定のTH値より大きいか、前記第1の所定のTH値に等しいか、又は、前記第1の所定のTH値未満であるかを判定することにより実施される、
付記4に記載のデータ獲得システム。
(付記7)
前記第1のデジタルMR信号の組を前記分析することの前に、前記第1のプロセッサが、変換であって、前記変換中に前記第1のデジタルMR信号の組が時間領域表現からk空間における空間周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記第1のデジタルMR信号の組の前記分析が、k空間における前記空間周波数領域表現を分析して、前記SNRが前記第1の所定のTH値より大きいか、前記第1の所定のTH値に等しいか、又は、前記第1の所定のTH値未満であるかを判定することにより実施される、
付記4に記載のデータ獲得システム。
(付記8)
前記第1のRF受信器が、第1のコイルに位置する、
付記1に記載のデータ獲得システム。
(付記9)
前記第1のRF受信器が、前記MRIシステムの少なくとも第2のRFコイルにより検出されたRF信号を受信し、前記第2のRFコイルにより検出された前記RF信号が、像データを表すアナログ信号であり、前記第1のADCが、前記第2のRFコイルにより検出された前記RF信号を第2のデジタルMR信号の組に変換して、前記第2のデジタルMR信号の組を出力し、前記第1のプロセッサが、
前記第2のデジタルMR信号の組を分析して、前記第2のデジタルMR信号の組に関係した第2のSNRを特定することと、
前記第2のSNRが前記第1の所定のTH値以上である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第2のSNRが前記第1の所定のTH値未満である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
選択されたレベルの前記符号化を使用して前記第2のデジタルMR信号の組を符号化することであって、前記第1の送信器が、符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、第2の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する、符号化することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、
付記4に記載のデータ獲得システム。
(付記10)
前記MRIシステムの第2のコイルにより検出されたRF信号を受信する第2のラジオ周波数(RF)受信器であって、前記第2のRF受信器により受信された前記RF信号が、前記像データを表すアナログ信号である、第2のRF受信器と、
前記第2のRF受信器により受信された前記RF信号を第2のデジタルMR信号の組に変換して、前記第2のデジタルMR信号の組を出力する第2のADCと、
第2のプロセッサであって、
前記第2のデジタルMR信号の組を分析して前記第2のデジタルMR信号の組に関係した第2のSNRを特定することと、
前記第2のSNRが前記第1の所定のTH値以上である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、前記第2のSNRが前記第1の所定のTH値未満である場合、前記第2のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
選択されたレベルの前記符号化を使用して前記第2のデジタルMR信号の組を符号化することであって、前記第1の送信器が、符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、第2の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する、符号化することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、第2のプロセッサと、
符号化された前記第2のデジタルMR信号の組を、前記第2の通信リンクを介して、前記像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに送信する第2の送信器と、
をさらに備える、付記4に記載のデータ獲得システム。
(付記11)
前記第1の送信器と前記第2の送信器とが、符号化されたデジタルデータ信号をそれぞれのシリアルデータストリームに変換し、前記それぞれのシリアルデータストリームが前記第1の通信リンクと前記第2の通信リンクとを介して、像再現を実施する前記MRIシステムの前記コンピュータに連続的に送信されることをもたらすシリアライゼーション論理部を含む、
付記10に記載のデータ獲得システム。
(付記12)
磁気共鳴像形成(MRI)システムにおける使用のためのデータ獲得システムであって、前記データ獲得システムが、
前記MRIシステムのN個のラジオ周波数(RF)受信器であって、Nが1以上の正の整数であり、前記N個のRF受信器が、それぞれ、N個のRFコイルにより検出された、N組のRF信号の組を受信し、前記N組のRF信号の組が、それぞれ、N組の像データの組を表すアナログ信号である、N個のRF受信器と、
受信された前記N組のRF信号の組をそれぞれN組のデジタルMR信号の組にそれぞれ変換し、前記N組のデジタルMR信号の組をそれぞれ出力するP個のアナログ・デジタル変換器(ADC)であって、Pが1以上の正の整数である、P個のADCと、
少なくとも1つのプロセッサであって、通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを使用して再現される再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する前記プロセッサによる判定に基づいて、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して、又は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して前記デジタルMR信号の組の各々を符号化する符号化アルゴリズムを実施する少なくとも1つのプロセッサと、
符号化された前記デジタルMR信号の組のそれぞれを、それぞれ、M個の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムのコンピュータに送信するM個の送信器であって、Mが1以上の正の整数である、M個の送信器と、
を備える、データ獲得システム。
(付記13)
前記データ獲得システムが、N個のプロセッサを備え、各プロセッサが、前記N組のデジタルMR信号の組の1つ1つに前記符号化アルゴリズムを実施する、
付記12に記載のデータ獲得システム。
(付記14)
MがNに等しい、
付記13に記載のデータ獲得システム。
(付記15)
MとNとが等しくない、
付記13に記載のデータ獲得システム。
(付記16)
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、前記N組のデジタルMR信号の組に変換を実施して、前記N組のデジタルMR信号の組のまばらさを高め、前記プロセッサが、変換された前記N組のデジタルMR信号の組を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比(SNR)のそれぞれが所定の閾(TH)値未満であるか、又は、前記所定のTH値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
付記12に記載のデータ獲得システム。
(付記17)
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、変換であって、前記変換中に前記N組のデジタルMR信号の組が時間領域表現から周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記プロセッサが、変換された前記N組のデジタルMR信号の組を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比(SNR)のそれぞれが所定の閾(TH)値未満であるか、又は、前記所定のTH値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
付記12に記載のデータ獲得システム。
(付記18)
前記N組のデジタルMR信号の組を分析することの前に、前記プロセッサが、変換であって、前記変換中に前記N組のデジタルMR信号の組が時間領域表現からk空間における空間周波数領域表現に変換される、変換を実施し、前記プロセッサが、k空間における前記空間周波数領域表現を分析して、前記デジタルMR信号の組のそれぞれに関係したN個の信号対ノイズ比(SNR)のそれぞれが所定の閾(TH)値未満であるか、又は、前記所定のTH値以上であるかを判定することにより、前記通信リンクを介した前記デジタルMR信号の組のそれぞれの送信中における前記通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記再現されたMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定を行い、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値未満であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化が選択され、前記N個のSNRのうちの任意のものが前記所定のTH値以上であるという判定がなされた場合、前記デジタルMR信号の組のそれぞれを符号化することにおける使用のために、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化が選択される、
付記12に記載のデータ獲得システム。
(付記19)
前記N個のRF受信器が、それぞれ、前記N個のRFコイルに位置する、
付記12に記載のデータ獲得システム。
(付記20)
磁気共鳴像形成(MRI)システムにおける使用のためのデータ獲得システムであって、前記データ獲得システムが、
前記MRIシステムの少なくとも第1のRFコイルにより検出されたRF信号を受信する第1のラジオ周波数(RF)受信器であって、前記RF信号が、像データを表すアナログ信号である、第1のラジオ周波数(RF)受信器と、
受信された前記RF信号の前記第1の組を第1のデジタルMR信号の組に変換し、前記第1のデジタルMR信号の組を出力する第1のアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
符号化アルゴリズムを実施する第1のプロセッサであって、前記第1のプロセッサが、
前記第1のデジタルMR信号の組を分析して、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した第1の信号対ノイズ比(SNR)を特定することと、
前記第1のSNRが第1の所定の閾(TH)値以上である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を選択することと、
前記第1のSNRが前記第1の所定のTH値未満である場合、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するために使用される、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を選択することと、
選択されたレベルの前記符号化を使用して前記第1のデジタルMR信号の組を符号化することと、
により前記符号化アルゴリズムを実施する、第1のプロセッサと、
符号化された前記第1のデジタルMR信号の組を、第1の通信リンクを介して、像再現を実施する前記MRIシステムのコンピュータに送信する第1の送信器と、
を備える、データ獲得システム。
(付記21)
通信リンクを介して送信されるデータを符号化するための磁気共鳴像形成(MRI)システムにおける使用のための方法であって、前記方法が、
前記MRIシステムの少なくとも第1のRFコイルにより検出されたラジオ周波数(RF)信号を受信するステップであって、前記RF信号が、像データを表すアナログ信号である、受信するステップと、
受信された前記RF信号の第1の組を第1のデジタル磁気共鳴(MR)信号の組に変換するステップと、
前記通信リンクを介した第1のデジタルMR信号の組の送信中における通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記第1のデジタルMR信号の組を使用して再現されるMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかに関する判定に基づいて、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して、又は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化するステップと、
符号化された前記第1のデジタルMR信号の組を、前記通信リンクを介して、前記第1のデジタルMR信号の組から前記MRI像を再現する前記MRIシステムのコンピュータに送信するステップと、
を有する、方法。
(付記22)
磁気共鳴像形成(MRI)システムの1つ又は複数のラジオ周波数(RF)コイルにより獲得された像データに対応したデジタル磁気共鳴(MR)信号に実施される符号化のレベルを調節するためのMRIシステムにおける使用のためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、データ獲得システムのプロセッサによる実行のためのコンピュータ命令を含み、前記コンピュータ命令が、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されており、前記コンピュータ命令が、
前記デジタルMR信号のうちの第1のデジタルMR信号の組を分析して、第1の通信リンクを介した前記第1のデジタルMR信号の組の送信中における通信リンクエラーの発生が、それぞれ、前記第1のデジタルMR信号の組を使用して再現されるMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えるかを判定することにより、前記第1のデジタルMR信号の組を分析して、前記第1のデジタルMR信号の組を、より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して符号化するか、又は、より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して符号化するかを判定する、第1の命令の組と、
前記第1の通信リンクを介した前記第1のデジタルMR信号の組の送信中における前記通信リンクエラーが、それぞれ、前記第1のデジタルMR信号の組を使用して前記再現されるMRI像により大きな影響を与えるか、又は、より少ない影響を与えると前記第1の命令の組が判定した場合、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して、又は、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化する第2の命令の組と、
を含む、
コンピュータプログラム。
(付記23)
前記第1の命令の組が、前記第1のデジタルMR信号の組を分析して、前記第1のデジタルMR信号の組に関係した信号対ノイズ比(SNR)が所定の閾(TH)値より大きいか、前記所定のTH値に等しいか、又は、前記所定のTH値未満かを判定することにより、前記第1のデジタルMR信号の組を、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して符号化するか、又は、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して符号化するかに関する判定を行う、
付記22に記載のコンピュータプログラム。
(付記24)
前記第1の命令の組が、前記SNRが前記所定のTH値以上であると判定した場合、前記第2の命令の組が、前記より高い、より高ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化し、前記第1の命令の組が、前記SNRが前記所定のTH値未満であると判定した場合、前記第2の命令の組が、前記より低い、より低ロバストなレベルの符号化を使用して、前記第1のデジタルMR信号の組を符号化する、
付記23に記載のコンピュータプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8