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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 5/28 20060101AFI20220228BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20220228BHJP
   A47L 9/32 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
A47L5/28
A47L9/16
A47L9/32 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019527790
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2017079982
(87)【国際公開番号】W WO2018099771
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2019-05-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】16202085.3
(32)【優先日】2016-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ルベールス マティアス ヘンドリクス
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
【審判官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-269294(JP,A)
【文献】特表2016-511671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/28
A47L 9/16
A47L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面を清掃するためのノズルと、
前記ノズルから入力空気を受けるための直線チャネルの吸引管と、
イクロン部及び埃容器を持つサイクロン装置であって、前記吸引管に結合されたサイクロン装置入口を持ち、前記サイクロン装置入口から、前記吸引管に略垂直な第1の方向において、中心の周りの螺旋に追従して、前記入力空気が移送され、前記入力空気から埃が分離されてサイクロン出力空気が得られるステージに到達し、前記ステージから、前記サイクロン出力空気が、前記吸引管に略垂直であり且つ前記第1の方向とは反対である第2の方向に、導管を通して運ばれて、サイクロン装置出口に到達し、前記第2の方向に、前記サイクロン装置出口から排出される、サイクロン装置と、
前記サイクロン出力空気をフィルタリングするためのフィルタと、
前記吸引管、前記サイクロン部及び前記フィルタを通る空気流を生成するための空気流生成器と、
を有し
前記サイクロン部、前記埃容器及びハンドル部は、前記吸引管に垂直な線に対して、15乃至35度の角度だけ、前記吸引管に向けて傾けられた電気掃除機。
【請求項2】
前記吸引管が前記面に接触し略水平位置にあるときに、前記サイクロン装置、前記フィルタ及び前記空気流生成器は、前記吸引管の延長線の下に略延在しない、請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記空気流生成器は、ハンドル部の下に配置された、請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
記サイクロン装置入口の前から前記吸引管への少なくとも25mmの長さに亘って直線の流れチャネルがある、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特にハンドヘルド型電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開US2016/0015228は、吸引モータ及びサイクロンビンアセンブリを収容する本体部を有する可搬型面清掃機器を記載している。該吸引モータは、垂直軸及び水平軸に対して或る角度に向けられる。
【0003】
欧州特許出願公開EP1136029は、電気掃除機を開示している。埃吸引空気流は、入口を通してサイクロン型埃収集部に導かれ、該サイクロン型埃収集部が、埃吸引空気流を渦空気流に変えて、その結果の遠心力によって埃を分離する。その後、埃吸引空気流は、出口を通して本体から排気される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、数あるなかでも、改善された電気掃除機を提供することにある。本発明は、独立請求項により定義される。有利な実施例は、従属請求項において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な実施例によれば、電気掃除機は、面を清掃するためのノズルと、前記ノズルから入力空気を受けるための吸引管と、ともに前記吸引管に略垂直に向けられたサイクロン部及び埃容器を持つサイクロン装置であって、前記吸引管に結合されたサイクロン装置入口を持ち、前記サイクロン装置入口から、前記吸引管に略垂直な第1の方向において、中心の周りの螺旋に追従して、前記入力空気が移送され、前記吸入空気から埃が分離されてサイクロン出力空気が得られるステージに到達し、前記ステージから、前記サイクロン出力空気が、前記吸引管に略垂直であり且つ前記第1の方向とは反対である第2の方向に、導管を通して運ばれて、サイクロン装置出口に到達する、サイクロン装置と、前記サイクロン出力空気をフィルタリングするためのフィルタと、前記吸引管、前記サイクロン及び前記フィルタを通る空気流を生成するための空気流生成器と、を有し、前記ノズルは、前記面に接触し、前記吸引管は、略水平位置に置かれ、前記第1の方向及び前記第2の方向は、前記面に略垂直であり、ここで略垂直とは35度以下の逸脱を許容する。
【0006】
ここで、吸引管は、ノズルと、サイクロン装置入口の直前のいずれかの湾曲部と、の間の直線チャネルとして定義される。サイクロン部及び埃容器は吸引管に略垂直に向けられるため、吸引管が略水平である場合には、埃は埃容器から落ちない。ここで、略垂直とは、サイクロン部が15乃至35度だけ傾けられた実施例を許容し、空気流生成器が、サイクロン装置及びフィルタと非常に近くに配置される、コンパクトな構成を実現する。好適な重量分布を持つコンパクトな構成は、空気流生成器がハンドル部の下に配置される実施例において得られる。
【0007】
有利にも、前記吸引管が略水平位置にあるときに、前記サイクロン装置、前記フィルタ及び前記空気流生成器は、前記吸引管の下に略延在しない。好適には、空気チャネルは、前記サイクロン装置入口の前の少なくとも25mmの長さに亘って湾曲部を持たない。
【0008】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施例を参照しながら説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ソファの下を清掃するために使用されるときの本発明による電気掃除機の第1の実施例の模式的な図を示す。
図2】本発明による電気掃除機の第2の実施例の模式図を示す。
図3】本発明による電気掃除機の第3の実施例の模式図を示す。
図4】本発明による電気掃除機の第4の実施例の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図に示された実施例において、電気掃除機における使用のための空気から埃を分離するための単一のサイクロン部Cは、以下の設定を持つ。空気がシリンダに入り、中心の円錐の周りの螺旋に沿って進む。G力により、埃は円筒形の壁の外に移送される。壁の外側における開口において、埃は埃容器DCに移送される。空気は、中心の円錐Vを介してサイクロン部Cから出る。空気は次いで、フィルタFによりフィルタリングされ、幾分かの細かな埃が取り除かれる。この目的のため、種々の従来のフィルタが利用され得る。清浄な空気は、該機器の外部の空気流生成器Aを介して進む。種々の従来の電気掃除機もモータファンの集合体が、吸引管T、サイクロン部C及びフィルタFを通る空気流を生成するための空気流生成器Aとして利用され得る。
【0011】
バケット、サイクロン部及びフィルタを有する埃管理システムのための設計の制約は、コンパクトでハンドル部Hに近いものであること、及び空気チャネルを介して空気流生成器Aに接続される必要があることである。圧力の損失を低減させるため、当該空気チャネルは、最小限の湾曲を伴う、短く太いものであるべきである。このことは、空気入口チャネルにも当てはまる。
【0012】
よりコンパクトな埃管理システムをつくり、ハンドル部Hに近い質量中心を持ち、サイクロン部Cの前方における湾曲を最小化するため
サイクロン部C及び埃区画DCは、互いに隣接して、吸引管Tに垂直に配置される。完全なリーチを持つ高性能の電気掃除機を得るための要件は、吸引管が床に対して平面に置かれることができること、コンパクトな設計(ハンドル部に近い質量中心)、サイクロン入口における急な湾曲がないこと、及びサイクロン出口における急な湾曲がないことである。サイクロン部C及び空気流生成器Aは、ハンドル部Hの近くに配置されるが、このことは、質量の中心について最も好適な配置であり、吸引管Tの他方の端におけるノズルNから、可能な限り離れた厚い構成要素を持つことが、ソファSのような椅子及びカウチの下を清掃する機能を最大化するためである。吸引管TとノズルNとの接続は、吸引管Tが床面上に略平坦に配置されることを可能とする。
【0013】
好適な実施例によれば、コンパクトな高性能の機器による最適なリーチを実現するための構成要素の最適な設定は、以下のとおりである。吸引管Tは、水平に配置されたときに該機器における最も低い構成要素である。サイクロン部Cは、吸引管Tと略垂直であり、これにより該サイクロン部の入口に向かう湾曲を最小化し、更にコンパクトなものとする。管Tは、該サイクロン装置に底側において該サイクロン装置に入り、埃が分離された空気が、サイクロン部Cの底側を介して出ていく。空気流生成器Aは、該サイクロン部の背後に配置される。図面は、フィルタFを配置するための2つの選択肢を示し、例えば図1、3及び4に示されるようにサイクロン部Cの下に、又は図2に示されるようにサイクロン部Cの背後にフィルタFが配置される。
【0014】
幾つかの空気流生成器は、依然として幾分かの埃を含む、サイクロン部Cからの空気を対処することが可能であるため、代替として、斯かる空気流生成器が使用される場合には、フィルタFを空気流生成器Aの下流に配置することも可能である。
【0015】
斯くして、本発明の一実施例は、人間工学、リーチ及び性能に関するユーザの現在の要件を満たし、全ての構成要素が前記管の上に又は管と同一線上に配置される、高性能で多用途の電気掃除機を提供する。バケット、サイクロン部及びフィルタを有する埃管理システムは、コンパクトで高性能となるよう設計され、吸引管Tは、床面に近い略水平な位置に置かれることができる。これにより、ユーザがソファSのような家具の下を清掃することが、より容易になる。
【0016】
バッテリにより動作する電気掃除機は、該機器の全体的な重量に対して大きく寄与する要因である、3つの構成要素を含む。即ち、空気流生成器A、埃管理システム(サイクロン部、バケット、フィルタ)、及び電源である。以上に説明されたように、質量の中心は、ハンドル部Hに近いべきである。質量の中心について最適な位置をとるため、重量に対して大きく寄与する要因である前記3つの構成要素は、コンパクトな態様で該ハンドル部の近くに配置されるべきである。サイズにおいて最も大きく寄与する要素は、埃管理システムである。
【0017】
更なる実施例においては、図3及び4に示されるように、サイクロン部Cは、ハンドル部Hと平行であり、ハンドル部Hは、吸引管Tに垂直な線に対して約25度だけ前方に傾けられている。このことは、非常に好適な人間工学に帰着する。サイクロン部Cを前方に傾斜させることは、急激な曲線のない広いチャネルを伴って、従って圧力降下を略伴わずに、埃管理システムに隣接して空気流生成器Aを配置することを可能とする。空気流生成器Aは、ハンドル部Hの下端に隣接して配置される。この設定は、最もコンパクトな機器をもたらし、質量の中心がハンドル部Hの近くになることに帰着する。
【0018】
サイクロン部を25度よりも傾けることは、埃容器DCが図面に示されるようにサイクロン部Cの前方に配置されたときに、埃容器DCを満たすことを妨げる。埃は、出口の反対側にあるバケットの壁に対して、サイクロン部出口から射出される。25度よりも傾けられた場合には、埃は通常の動作(管が床に対して約45度である)の間に壁を滑り降りないこととなる。このことは、埃容器DCが多くの空の空間を持ちながらも、出口がブロックされ得ることを意味する。
【0019】
克服されるべき悪影響は、サイクロン部における前方/入口における湾曲による付加的な圧力降下である。圧力降下に主に寄与するものは、湾曲により生成される乱流によるものである。図3に示されるように、湾曲がサイクロン部に近い場合には、乱流の空気がサイクロン部に入り、圧力降下の増大を引き起こす。試験は、図4に示されるように、サイクロン部入口の前の少なくとも25mmに対して、直線の流れチャネルがある場合には、付加的な圧力降下が無視でき、完全に直線の入口と同等となり得ることを示している。このことは、サイクロン部が25±10度よりも大きく前方に傾けられていない状況にのみ成り立つ。
【0020】
サイクロン部入口の前の25mmに湾曲を持つ他の利点は、サイクロン出口の下に配置されたときにフィルタFのためのより多くの空間があることである。大きなフィルタ面積は、圧力降下を低減させ、より大きな埃保持能力を持つ。この状況においては、大きなフィルタは、コンパクトさには悪影響を与えない。他の利点は、このようにすることにより、空気流生成器Aが、吸引管Tの下に略延在しないこととなり、吸引管Tの水平位置を容易化し、電気掃除機が家具の下をより容易に清掃することができるようにする。
【0021】
コンパクトで高性能な機器を持つ最適な人間工学を実現するための構成要素の最適な設定は、以下のとおりである。ハンドル部Hが約25度だけ前方に傾けられ、ハンドルHに平行な(±5度)単一のサイクロン部Cを備える。空気流生成器Aは、ハンドル部Hに隣接し、埃管理システムの出口に直接に隣接する。電源(バッテリ、図示されていない)は、空気流生成器Aとハンドル部Hとの間に配置されても良い。サイクロン部の入口の前にある空気チャネルは、少なくとも25mmに亘って直線である。
【0022】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。請求項は、フィルタFが空気流生成器Aの上流に配置されることを要件とするものとして解釈されるべきではなく、上述したように、フィルタFは代替として、空気流生成器Aの下流に配置されても良い。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する(comprising)」なる語は、請求項に記載されたもの以外の要素又は態様の存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」なる語は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4