(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】糸群を仕掛けるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
D01D 7/00 20060101AFI20220228BHJP
B65H 54/88 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
D01D7/00 C
B65H54/88
(21)【出願番号】P 2019531821
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2017082517
(87)【国際公開番号】W WO2018108964
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】102016014859.4
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュトレーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】マーク-アンドレ ヘアンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ミュンスターマン
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-041536(JP,A)
【文献】特開昭58-224965(JP,A)
【文献】特開平01-028169(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011016786(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00-13/02
B65H 54/56-54/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための方法であって、複数のゴデットと、前記ゴデットの下流に配置された複数の巻取り箇所と、を備えた少なくとも1つの巻取り装置が設けられており、前記糸群を吸込み流によって、吸込み装置の管片内において吸い込み、かつ連続的に排出し、前記糸群を、前記管片
の移動によって重畳させて案内し、かつ前記管片内における前記吸込み流を、前記吸込み装置に供給される圧縮空気の作動圧によって制御する、方法において、
前記圧縮空気の前記作動圧を、前記吸込み流を変化させるために、複数の作動サイクルのうちの1つの作動サイクルに関連して変化させ
、前記作動サイクルのうちのそれぞれの作動サイクルに、前記圧縮空気の異なる設定された作動圧を対応付け、かつ前記作動サイクルの前記作動圧を、制御プログラムによって調節し、
前記作動サイクルのうちの最初の作動サイクルにおいて前記吸込み装置による前記糸群の引受けを行い、前記作動サイクルのうちの他の1つの作動サイクルにおいて前記糸群を前記ゴデットに仕掛け、前記作動サイクルのうちの他の1つの作動サイクルにおいて前記糸群を前記巻取り箇所に仕掛ける
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記圧縮空気の前記作動圧を変化させるための前記制御プログラムを、制御ユニットによって入力信号に関連して開始する、
請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記糸群の前記糸のうちの1つの糸の糸張力を、前記作動サイクルのうちの少なくとも1つの作動サイクル中に測定し、かつ前記圧縮空気の前記作動圧を、糸張力測定値に関連して変化させる、
請求項1
または2記載の方法。
【請求項4】
前記吸込み管片を、前記作動サイクルのうちの少なくとも1つの作動サイクル中に定置に保持する、
請求項1から
3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための装置であって、
複数のゴデット(11.1~11.3)と、前記ゴデット(11.1~11.3)の下流に配置された複数の巻取り箇所(3.1~3.4)と、を備えた少なくとも1つの巻取り装置(2)と、
吸込み開口(18)を備えた管片(14)を有している吸込み装置(1)であって、前記吸込み開口(18)が、吸込み流を発生させるために圧縮空気管路(16)に接続されていて、かつ廃棄管路(19)を通して廃棄容器(20)に接続されている、吸込み装置(1)と、
圧縮空気の作動圧を調節することができる制御弁(17)と、
を備えた装置において、
前記制御弁(17)と共働する制御ユニット(23)が設けられており、前記制御弁(17)によって、前記圧縮空気の前記作動圧が、前記吸込み流を変化させるために、複数の作動サイクルのうちの1つの作動サイクルに関連して変化させられ
、
前記制御ユニット(23)は、制御プログラムを記憶しかつ実行するためのプロセッサを有しており、前記制御プログラムによって、前記作動サイクルのうちのそれぞれの作動サイクルに複数の異なる作動圧のうちの1つの作動圧が対応付けられており、
前記作動サイクルのうちの最初の作動サイクルは、前記吸込み装置(1)による前記糸群の引受けのために構成されており、前記作動サイクルのうちの他の1つの作動サイクルは、前記糸群の前記ゴデット(11.1~11.3)への仕掛けのために構成されており、前記作動サイクルのうちの他の1つの作動サイクルは、前記糸群の前記巻取り箇所(3.1~3.4)への仕掛けのために構成されている
ことを特徴とする、装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(23)は、前記制御プログラムの開始をトリガすることができる少なくとも1つのコントロールキー(30)に接続されている、
請求項
5記載の装置。
【請求項7】
前記制御弁(17)は、無線で前記制御ユニット(23)に接続されており、かつ前記制御弁(17)は、前記吸込み装置(1)または前記圧縮空気管路(16)に対応配置されている、
請求項
5または6記載の装置。
【請求項8】
測定装置(27)が、前記糸群(21)の前記糸のうちの1つの糸の糸張力を測定するために設けられており、前記測定装置(27)は、前記制御ユニット(23)に接続されている、
請求項
5から
7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記吸込み装置(1)は、手動でまたは自動化されて案内されている可動のサクションガン(15)として構成されている、
請求項
5から
7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記吸込み装置(1)は、前記巻取り装置に対応配置されている定置の吸込みユニットとして構成されている、
請求項
5から
7までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載された、少なくとも1つの巻取り装置を備えた溶融紡糸プロセスにおいて、糸群を仕掛けるための方法、および請求項6の上位概念部に記載された、少なくとも1つの巻取り装置を備えた溶融紡糸プロセスにおいて、糸群を仕掛けるための装置に関する。
【0002】
少なくとも1つの巻取り装置を備えた溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための、このような形式の方法およびこのような形式の装置は、例えば独国特許出願公開第102011016786号明細書(DE 102011016786 A1)に基づいて公知である。
【0003】
溶融紡糸設備において糸を製造または加工する場合、一般的に、プロセス開始時に糸群がまず吸込み装置によって収容され、かつ連続的に廃棄容器に案内される。このとき吸込み装置は、好ましくは手動で案内されるサクションガンとして形成されており、その結果吸込み装置の重畳された移動によって、糸群の手動による案内が可能である。これによって糸群は、プロセス順序に相応して、巻取り装置のゴデットおよび巻取り箇所に仕掛けることができる。そのために操作員は、支障のないプロセス実行を達成するために、プロセスにおいて設定された糸案内を考慮しなくてはならない。特に、仕掛け動作のそれぞれの時点において、糸群を連続的に引き出し、かつ吸い込むことが必要である。したがって巻取り装置の操作の他に、吸込み装置における所望の糸案内を維持するための制御処置も必要である。
【0004】
ゆえに本発明の課題は、少なくとも1つの巻取り装置を備えた溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための、冒頭に述べた形式の方法および冒頭に述べた形式の装置を改良して、糸群が仕掛け動作のそれぞれの状況において吸込み装置によって確実に引き出され、かつ廃棄容器に案内されるようにすることである。
【0005】
本発明の別の目的は、糸群を仕掛けるための、冒頭に述べた形式の方法および冒頭に述べた形式の装置を、繰返し確実に、かつ再現可能に構成することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する方法によって、かつ請求項6に記載の特徴を有する装置によって解決される。
【0007】
好適な発展形態は、それぞれの従属請求項の特徴および特徴の組合せによって定義されている。
【0008】
本発明は、仕掛け動作中には種々様々な作動サイクルが実施され、これらの作動サイクルは、特に吸込み装置の異なった吸込み出力を必要とするという認識に基づいている。したがって仕掛け時に回転するゴデットに設置される糸群は、糸案内において静的に変向される糸群に比べて、高い吸込み出力を必要とする。小さすぎる糸張力は、ゴデットの回転時に、不所望のリボン形成を生ぜしめる。それぞれの作動サイクルに対して、糸案内のために所望の吸込み流もしくは吸込み力を得るために、圧縮空気の作動圧は、それぞれの作動サイクルに関連して変化させられる。そのために制御ユニットは、吸込み装置の制御弁と共働し、これによって、糸群の仕掛け時におけるそれぞれの作動サイクルを、糸群における所望の吸込み力で実施することができる。
【0009】
複数のゴデットを備えた巻取り装置における糸群の仕掛けは、設定された順序で行われるので、本発明に係る方法の、特に好適な発展形態では、作動サイクルのうちのそれぞれの作動サイクルに、圧縮空気の設定された作動圧を対応付け、かつ作動サイクルの作動圧を、制御プログラムによって調節する。このようにすると、吸込み装置において、仕掛け動作のそれぞれの時点において、糸群を引き出し、かつ排出するための所望の吸込み流および吸込み力が調節される。
【0010】
それぞれのプロセス中断後、または1つのプロセス開始後に、仕掛け動作を開始するために、特に好適であることが判明している方法変化形態では、圧縮空気の作動圧を変化させるための制御プログラムを、制御ユニットによって入力信号に関連して開始する。このようにすると、糸群を案内するためにその都度所望の吸込み流を得るために、吸込み装置における圧縮空気形態を自動化して設定することができる。
【0011】
作動サイクル中に、可能な限り等しい引出し条件を糸群において維持するために、本発明の好適な発展形態では、糸群の糸のうちの1つの糸の糸張力を、作動サイクルのうちの少なくとも1つの作動サイクル中に測定し、かつ圧縮空気の作動圧を、糸張力測定値に関連して変化させる。このようにすると、例えば糸群をほぼ一定の糸張力で案内することができる。
【0012】
これによって、仕掛け動作を、糸群の変向を生ぜしめる補助装置によって実施するという可能性も得られる。したがって、吸込み管片を、作動サイクルのうちの少なくとも1つの作動サイクル中に定置に保持するという方法変化形態が提案されている。
【0013】
したがって本発明に係る方法は、可動の、または定置の吸込み装置のために特に適している。
【0014】
糸群を仕掛けるための本発明に係る装置は、これによって手動で制御される、または自動化された仕掛け動作を確実に実施することができる、という特別な利点を有している。糸群を収容しかつ搬出するための、それぞれの作動サイクルに合わせられた吸込み力によって、仕掛け動作中における異なった糸案内を実現することができる。
【0015】
プロセス開始時またはプロセス中断後における、糸群の仕掛けは、主として、巻取り装置のゴデットおよび巻取り箇所における不変の経過に従って行われるので、本発明に係る装置の、好適な発展形態では、制御ユニットは、制御プログラムを記憶しかつ実行するためのプロセッサを有しており、制御プログラムによって、作動サイクルのうちのそれぞれの作動サイクルに、圧縮空気の複数の作動圧のうちの1つの作動圧が対応付けられている。このように構成されていると、それぞれ該当する作動サイクルのために吸込み装置における所望の吸込み力が存在するように、制御弁を制御プログラムによって駆動制御することができる。
【0016】
仕掛け動作がオペレータによって実行されるか、または自動化されて実行されるかとは無関係に、制御プログラムの開始をトリガするために、制御ユニットは、好ましくはコントロールキーを介して駆動制御することができる。
【0017】
制御弁が吸込み装置に対応配置されている場合に対して、本発明の好適な発展形態では、制御弁は、無線で制御ユニットに接続されている。しかしながらまた基本的には、制御弁を圧縮空気管路に定置に対応配置することも可能である。このような場合には、配線を設けることも可能ではある。
【0018】
可能な限り所望の糸張力を、吸込み装置の吸込み出力および吸込み力を介して得るために、本発明に係る装置の特に好適な発展形態では、糸張力を測定するための測定装置が、糸群の糸のうちの1つの糸に設けられており、測定装置は、制御ユニットに接続されている。このように構成されていると、糸群において可能な限り一定の糸張力を生ぜしめるために、吸込み装置の吸込み力の調整を実現することができる。このとき糸群の糸張力を検出する測定装置が、吸込み装置内に組み込まれている構成も可能である。
【0019】
フレキシブルな使用可能性は、特に、吸込み装置が、手動で操作員によって案内されているか、または自動化されてロボットによって案内されている可動のサクションガンとして形成されている、本発明に係る装置の発展形態によって得られる。
【0020】
しかしながらまた基本的には、吸込み装置を、巻取り装置に対応配置されている定置の吸込みユニットとして形成することも可能である。このとき重要なことは、ゴデットおよび巻取り箇所における異なった仕掛け動作中に、糸群を引き出し、かつ収容するための所望の吸込み力が調節されていることである。
【0021】
以下においては本発明に係る方法を、溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための本発明に係る装置の1実施形態について、添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための本発明に係る装置の1実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示された装置のための吸込み装置の1実施形態を概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示された吸込み装置の、仕掛け時における作動圧の時間的な変化を概略的に示す図である。
【0023】
図1には、溶融紡糸プロセスにおいて糸群を仕掛けるための本発明に係る装置の第1実施形態が、概略的に示されている。このとき複数のゴデットを備えたただ1つの巻取り装置が示されており、この巻取り装置は、通常、糸群を押し出すための紡糸装置の紡出位置の下に配置されている。
【0024】
このような紡糸装置では、通常、紡糸されたばかりの糸は、ゴデットによって引き出され、かつ延伸後に複数の巻取り箇所において平行にボビンに巻き取られる。したがって
図1においては、複数の巻取り箇所3.1~3.4と、巻取り箇所3.1~3.4の上に配置された複数のゴデット11.1~11.3と、を備えた1つの巻取り装置2が、概略的に示されている。
【0025】
ゴデット11.1~11.3は、ゴデット保持体12に片持ち式に保持されており、このときゴデット保持体12は、巻取り装置2の機械フレーム13に支持されている。ゴデット11.1~11.3は、ここには詳しく示されていない駆動装置に連結されている。
【0026】
巻取り装置2は、本実施形態では、4本の糸によって形成された糸群21をボビンに巻き取るために、4つの巻取り箇所3.1~3.4を有している。糸の数および巻取り箇所の数は、一例である。例えば1つの糸群の内部において10、12、または16の糸を、互いに平行に並べてボビンに巻き取ることが可能である。そのために2つの巻取りスピンドル4.1,4.2が、ボビンタレット6に片持ち式に保持されている。巻取りスピンドル4.1,4.2は、別体のスピンドル駆動装置5.1,5.2を介して駆動される。ボビンタレット6は、タレット駆動装置6.1に連結されており、これによって巻取りスピンドル4.1,4.2を、交互に作動領域および交換領域に案内することができる。作動領域において巻取りスピンドル4.1,4.2は、圧着ローラ7と共働する。
【0027】
糸を仕掛けるために、それぞれの巻取り箇所3.1~3.4に対して1つの綾振りユニットを有している綾振り装置8が設けられている。
【0028】
綾振り装置8の上流には、それぞれの巻取り箇所3.1~3.4に対して、それぞれ1つの別体の変向ローラ9.1~9.4が配置されている。変向ローラ9.1~9.4は、シフト可能なローラ保持体10に自由回転可能に保持されている。変向ローラ9.1~9.4は、作動時にゴデット11.1~11.3における1回の巻掛けによって案内されている糸群21を分離するために用いられる。
【0029】
糸群21の糸を仕掛けかつ挿通するために、可動の吸込み装置1が設けられており、この吸込み装置1によって、ここには図示されていない操作員が、走行する糸を、ゴデット11.1~11.3および巻取り箇所3.1~3.4に仕掛けかつ挿通するために案内する。吸込み装置1についてさらに説明するために、追加的に
図2おける図面が参照される。
図2には、吸込み装置1の1実施形態が示されている。
【0030】
このとき吸込み装置1は、サクションガン15として形成されていて、かつ接続体28を有しており、この接続体28には、管片14が保持されている。管片14は、その自由端部において吸込み開口18を形成している。接続部材28の内部において管片14は、廃棄管路19に接続されており、これによって連続するサクション通路が形成されている。管片14において吸込み流を発生させるために、圧縮空気管路16が接続体28に接続されており、このとき圧縮空気管路16は、ここには詳しく図示されていない噴射孔を介して吸込み通路内に開口している。本実施形態では、接続体28に制御弁17が組み込まれており、この制御弁17は、供給される圧縮空気の作動圧を変化させるために、圧縮空気管路16に対応配置されている。
【0031】
図1における図面から分かるように、制御弁17は、無線で制御ユニット23に接続されている。そのために制御ユニット23は、送信機24を有していて、かつ制御弁17は、受信器25を有している。
【0032】
吸込み装置1は、廃棄管路19を介して廃棄容器20に接続されている。圧縮空気管路16は、吸込み装置1を圧縮空気源22に接続している。
【0033】
図1に示された状況では、吸込み装置1は、糸群21を変向ローラ9.1~9.4に仕掛けるための作動サイクルにある。そのために吸込み装置1は、可動のサクションガン15として形成されており、このサクションガン15は、本実施形態では操作員によって操作される。このとき吸込み装置1は、糸群を溶融紡糸設備のプロセス開始前に仕掛けるために、異なった作動サイクルにおいて使用される。このような作動サイクルを、糸群を仕掛ける間、糸群の引出しおよび排出のために必要な吸込み力によって実施できるようにするために、制御ユニット23を介して制御プログラムが開始される。制御ユニット23は、そのためにプロセッサを有しており、このプロセッサ内には、吸込み装置1の、作動サイクルに対応付けされた作業圧が記憶され、かつ制御プログラムに相応して実行される。制御プログラムを吸込み装置1の駆動制御のために開始するために、操作パネル29にはコントロールキー30が設けられている。このコントロールキー30を介して操作員は、仕掛けプロセスを開始することができる。このとき制御プログラムによって設定された、吸込み装置1の作動サイクル毎の作動圧が、提供される。
【0034】
図1に示された実施形態において示された作動サイクルでは、糸群21の糸は、既にゴデット11.1~11.3に仕掛けられており、かつ糸は個々の変向ローラ9.1~9.4毎に分離されている。糸の分離は、ローラ保持体10のシフトと共働するサクションガン15の案内によって行われる。
図1にはこの状況が、破線で示されている。
【0035】
分離が行われた後で、ローラ保持体10は作動位置において固定される。いまやサクションガン15を引受け位置に位置決めすることができ、この引受け位置において、ここには図示されていない補助装置が、糸を巻取り箇所3.1~3.4に仕掛ける。このとき吸込み装置1における圧力調節が変化させられる。
図3にはそのために、仕掛け動作中における異なった圧力調節の実施形態が略示されている。
【0036】
図3に示された線図は、縦軸に圧縮空気の作動圧が示され、かつ横軸に糸群の仕掛けの作動時間が示されている。仕掛け動作は、本実施形態では全部で4つの作動サイクルに分割されている。Iで示された第1の作動サイクルにおいて、吸込み装置1による糸群の引受けが行われる。そのために糸群は、管片の吸込み開口を介して吸い込まれねばならない。管片の吸込み開口における吸込み力は、特に、小さな作動圧の範囲において特に高い。したがって圧縮空気の作動圧は、値p
1に調節される。作動サイクルIは、制御プログラムを介して、
図3においてt
1~t
2によって示された時間にわたって適応されている。
【0037】
図3に示された実施形態によれば、第2の作動サイクルは、糸群をゴデット11.1~11.3の周囲に仕掛けるために用いることができる。この段階において、可能な限り高い作動圧が吸込み装置において調節され、これによって可能な限り高い吸込み力により、相応に高い糸張力を糸群21において得ることができる。これによって糸を、十分な糸張力をもってゴデット11.1~11.3の周囲に案内することができ、その結果、リボン形成が回避される。そのために吸込み装置1における圧縮空気の作動圧は、
図3に示されているように、値p
3に調節される。
【0038】
次の作動サイクルにおいて、糸群は変向ローラ9.1~9.4に仕掛けられる。この作動時間においては、幾分低い作動圧が必要であり、この作動圧は、作動サイクルIIIにおいてp2で示されている。文字t1~t5によって示されている時間は、それぞれの仕掛け状況に関連して異なった長さを有しており、かつ制御プログラムによって設定される。作動サイクルのうちの1つの作動サイクルの時間は、操作が手動作業によって決定されている場合にも、同様に変化可能である。ゆっくりとしたオペレータと素早いオペレータとがいる。
【0039】
仕掛け動作の最後の作動サイクルにおいて、糸群は、巻取り箇所3.1~3.4に仕掛けられる。この作動時間において、吸込み装置1における作動圧を最大に調節することが必要である。したがって作動サイクルIV中には、作動圧p4が調節される。
【0040】
吸込み装置1における圧縮空気を制御するための、
図3に示された圧力変化は、一例である。このとき重要なのは、それぞれの仕掛け動作のために所望の糸張力が存在していることである。
【0041】
個々の仕掛け段階を改善するために、作動サイクル中に、糸群の糸のうちの1つの糸における糸張力を測定するという可能性もある。そのために
図1には、測定装置27が破線で示されている。測定装置27は、糸走路においてゴデット11.1~11.3の上流に配置されており、このとき糸のうちの少なくとも1つの糸において、糸張力が監視される。測定装置27は、制御ユニット23に接続されている。これによって、制御弁17を介して設定された、吸込み装置1における圧力調節を、糸張力に相応して調整することができる。
【0042】
図1および
図2に示された吸込み装置1もまた同様に一例である。例えばこのようなサクションガン15を、例えばロボットアームによって好ましくは自動化して案内することも可能である。この場合、制御弁17は、制御導線26を介して制御ユニット23に接続されている。
図2にはそのために制御導線26が破線で示されている。
【0043】
しかしながらまた基本的には、制御弁17が吸込み装置1に対応配置されておらず、圧縮空気管路16の内部に定置に構成されているという可能性もある。そのために
図1には、制御弁17の1実施形態が破線で示されている。制御弁17は、図示の実施形態では、圧縮空気源22の直ぐ下流に配置されており、その結果圧縮空気管路16は、吸込み装置1の接続体28に直接接続されている。
【0044】
さらに吸込み装置を、定置の吸込みユニットによって形成することも可能である。このような定置の吸込みユニットは、例えば巻取り装置に直接対応配置されていてよい。本発明にとって重要なのは、吸込み流を発生させるため、および糸群を引き出すための作動圧が、それぞれの作動サイクルに関連して可変であることである。
【0045】
本発明に係る方法、および本発明に係る装置は、溶融紡糸プロセスのプロセス開始時においても、溶融紡糸プロセスにおけるプロセス中断後にも使用することができる。このようにして糸群を、紡出開始直後に、吸込み装置によって引き受けることが可能である。同様に、糸群をプロセス中断後に、定置の吸込み装置によって引き受けることも可能である。