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特許7030844露出した端子領域を有する樹脂封止パワー半導体モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】露出した端子領域を有する樹脂封止パワー半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20220228BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220228BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220228BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20220228BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20220228BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/56 R
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
H01L23/12 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019560386
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018061017
(87)【国際公開番号】W WO2018202615
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】17169008.4
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーン,ファビアン
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-187143(JP,A)
【文献】特開2014-128066(JP,A)
【文献】特開2014-143373(JP,A)
【文献】特開2015-026811(JP,A)
【文献】国際公開第2010/004802(WO,A1)
【文献】特開2016-225531(JP,A)
【文献】特開2016-197677(JP,A)
【文献】特開2000-196011(JP,A)
【文献】特開2014-022444(JP,A)
【文献】特開2004-055830(JP,A)
【文献】特開2014-013848(JP,A)
【文献】特表2016-533040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0325505(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103972198(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0062491(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102067309(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/56
H01L 23/36
H01L 23/473
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体モジュール(10)であって、
金属化層(18)を有する基板(12)と、
前記基板(12)に接着された少なくとも1つのパワー半導体チップ(14)と、
前記半導体チップ(14)および前記基板(12)を部分的に封止する成形封止部(26)とを備え、前記成形封止部(26)は、前記金属化層(18)の端子領域(38,40)を露出させる少なくとも1つの窓(36)を備え、前記パワー半導体モジュール(10)はさらに、
端部(58)が前記端子領域(40)に接着されたパワー端子(54)を備え、
前記成形封止部(26)は、前記半導体チップ(14)を封止する中央部(32)を備え、
前記窓(36)と前記基板(12)の境界(28)との間の前記成形封止部(26)の境界部(34)は、前記成形封止部(26)の前記中央部(32)の基板(12)上方最大高さよりも小さな基板(12)上方高さを有し、
前記パワー端子(54)の一部(56)は、前記基板(12)に平行な方向に前記境界部(34)の上方に突き出ていることにより、前記一部(56)の基板(12)上方垂直高さは、前記成形封止部(26)の前記中央部(32)の前記最大高さよりも小さい、パワー半導体モジュール(10)。
【請求項2】
前記境界部(34)の前記基板(12)上方高さは、導体(21)の基板(12)上方最大高さよりも小さく、前記導体(21)は、前記成形封止部(26)において封止され、前記半導体チップ(14)および前記金属化層(18)に接着される、請求項1に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項3】
前記境界部(34)は、前記基板(12)の前記境界(28)と重なり合う、請求項1または2に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項4】
前記成形封止部(26)は、少なくとも2つの窓(36)を備え、各窓(36)は、前記金属化層の端子領域(38,40)を露出させ、
前記端子領域(38)のうちの少なくとも1つは、パワー端子領域であり、
前記端子領域(40)のうちの少なくとも1つは、補助端子領域である、請求項1から3のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項5】
前記境界部(34)は、少なくとも2つの窓(36)を提供する、請求項1から4のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項6】
2つの共面導体ストリップ(74)を有する2つのパワー端子(54)をさらに備え、
各パワー端子(54)は、それぞれの前記導体ストリップ(74)から突き出る少なくとも2つの足部(76)を、一方の前記パワー端子(54)からの足部(76)が他方の前記パワー端子(54)からの足部(76)と交互になるように備え、
前記パワー端子(54)からの前記足部(76)は、端子領域(40)の列(72)に接着され、前記端子領域(40)の各々は、前記成形封止部(26)の専用の窓(36)によって設けられる、請求項1から5のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項7】
第1の端部(50)が前記成形封止部(26)の窓(36)における端子領域(38)に接着され、第2の端部(52)が前記中央部(32)の上方に突き出ている補助端子(48)をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項8】
前記成形封止部(26)の前記中央部(32)に取り付けられた回路基板(64)と、
窓(36)における端子領域(38)に接着され、前記回路基板(64)に接着されたボンドワイヤ(66)、および、前記印刷回路基板(64)に接続され、窓(36)における端子領域(38)に押し付けられた導電性ばね要素(68)のうちの少なくとも1つとをさらに備える、請求項1から7のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項9】
前記成形封止部(26)の窓(36)における端子領域(38,40)に接着された端子(48,54)の端部(50,58)は、前記窓(36)に充填された鋳造材料(62)に埋設される、請求項1から8のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項10】
前記パワー半導体チップ(14)に対向して前記基板(12)に取り付けられた冷却プレート(22)をさらに備え、
前記成形封止部(26)は、前記冷却プレート(22)の一方の側のみに設けられ、
前記成形封止部(26)の前記境界部(34)は、前記基板(12)の前記境界(28)の上方に延在しており、前記冷却プレート(22)上に配設される、請求項1から9のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項11】
冷却空洞(43)を有する冷却体(42)をさらに備え、前記冷却空洞(43)は、前記冷却体(42)に挿入された前記冷却プレート(22)によって閉じられ、
前記冷却プレート(22)は、前記冷却プレート(22)の境界(30)に沿って前記冷却体(42)に溶接される、請求項10に記載のパワー半導体モジュール(10)。
【請求項12】
パワー半導体モジュールアセンブリ(44)であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載のパワー半導体モジュール(10)と、
パワー電気素子(46)とを備え、
前記パワー端子(54)は、前記パワー電気素子(46)と前記パワー半導体モジュール(10)とを直接相互接続する、パワー半導体モジュールアセンブリ(44)。
【請求項13】
パワー半導体モジュール(10)の製造方法であって、
金属化層(18)を有する基板(12)を設けるステップを備え、前記基板(12)には少なくとも1つのパワー半導体チップ(14)が接着され、前記方法はさらに、
前記半導体チップ(14)および前記基板(12)を成形封止部(26)に成形するステップを備え、前記成形封止部(26)は、前記半導体チップ(14)を封止する中央部(32)を備え、前記成形封止部(26)は、前記金属化層(18)の端子領域(38,40)を露出させる少なくとも1つの窓(36)を備え、前記窓(36)と前記基板(12)の境界(28)との間の前記成形封止部の境界部(34)は、前記成形封止部(26)の前記中央部(32)の最大高さよりも小さな基板(12)上方高さを有し、前記方法はさらに、
パワー端子(54)の端部(58)を前記端子領域(40)に接着するステップを備え、
前記パワー端子(5)の一部(56)は、前記基板(12)に平行な方向に前記境界部(34)の上方に突き出ていることにより、前記一部(56)の基板(12)上方垂直高さは、前記成形封止部(26)の前記中央部(32)の前記最大高さよりも小さい、方法。
【請求項14】
前記基板(12)に取り付けられた冷却プレート(22)を冷却体(42)に溶接するステップと、
補助端子(48)を前記成形封止部(26)の窓(36)に設けられた端子領域(38,40)に接着するステップと、
導体ストリップ(54)を前記成形封止部(26)の窓(36)に設けられた端子領域(40)およびパワー電気素子(46)に接着するステップとをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、パワー半導体モジュール、パワー半導体モジュールアセンブリ、およびパワー半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
電流を切り換えるまたは整流するために、IGBTまたはMOSFETなどのソリッドステート半導体スイッチを含むパワー半導体モジュールがさまざまなパワーエレクトロニクス用途で使用されている。重要かつ急成長している用途は、電気自動車またはハイブリッド電気自動車のためのコンバータシステムである。このような用途のための一般的なモジュールは、1200Vまでの電圧定格および数百アンペアの電流定格を有し得る。
【発明の概要】
【0003】
通常、パワー半導体モジュールは複数の電気端子を必要とし、これらの電気端子によってDCおよびAC負荷電流が外部バスバーに接続される。モジュールにおける半導体チップのゲートの制御などのための補助信号端子が外部ゲートドライバ回路基板に接続されている。
【0004】
パワー端子は、好ましくはCuからなっており、数百アンペアほどの電流を流すのに十分な断面を設ける必要があるであろう。パワー端子の一般的な解決策は、外部バスバーまたは外部バスバーに溶接されるリードフレーム端子へのねじ込み接続を含む。低電力モジュールの負荷接続および補助接続では、回路基板の貫通孔にはんだ付けされたピン、プレスフィットピン、またはばね接続が使用されてもよい。
【0005】
これら全ての解決策には、金属コネクタがパワー半導体モジュールから突き出ているという共通点がある。このため、リードフレーム端子を有するトランスファー成形パワー半導体モジュールにはいくつかの制約が課される可能性がある。
【0006】
通常、リードフレーム端子は、型の2つの部分の封止面である1つの面にしかない可能性があり、パワー半導体モジュールの基板の外縁に取り付けられるだけでよい。これにより、端子および基板設計に関する自由が制限される可能性があり、多くの端子を必要とする場合にはモジュールのサイズをさらに小さくすることもできなくなる可能性がある。
【0007】
さらに、さまざまな厚みおよび/または材料の複数のリードフレームを使用することは、型の封止の点で困難であろう。しかし、パワー端子の十分な断面および補助端子のプレスフィット接続を実現するために、電力接続および補助接続にはさまざまなリードフレームが必要であろう。
【0008】
パワー半導体モジュールの側面において端子が突き出ていることにより、冷却器へのモジュールの取り付けに対して制約が課される可能性がある。ベースプレートと冷却器との間の境界面へのアクセスは、上から行う必要があり、リードフレーム端子によって邪魔される可能性がある。
【0009】
さらに、端子には通常2つのボンディングプロセス、すなわち、第一に基板への端子のボンディング、および第二に外部バスバーへの端子のボンディングが必要である。
【0010】
US 2015/0145123 A1は、パワー半導体モジュールであって、基板に搭載されたピンを有し、この基板は、ピン挿入開口を有する成形部によって被覆される、パワー半導体モジュールを示す。
【0011】
US 2015/0103498 A1は、パワーモジュールパッケージであって、モジュールに取り付けられた電極を有し、このモジュールは、封止部材の開口に配置される、パワーモジュールパッケージを示す。
【0012】
DE 10 2015 112 451 A1は、パワーモジュールであって、基板上の半導体チップの電極および基板上の金属化層へのアクセスを提供する開口を備えたハウジングを有するパワーモジュールを示す。
【0013】
DE 10 2008 001 413 A1は、成形材料からなるハウジングを有するパワーモジュールを示す。半導体チップを有する基板上方の成形材料の厚みは、基板上のパワーモジュールの導電部の高さに適合される。
【0014】
DE 10 2008 045 615 A1は、成形されたハウジングにおける窓を有するパワーモジュールを示す。導電性プレートがハウジングの最上部に取り付けられ、窓における端子がパワーモジュールの金属化層と導電性プレートとを相互接続する。
【0015】
EP 3 089 209 A1は、空洞に設けられた冷却体を有するパワーモジュールを示す。
【0016】
発明の説明
本発明の目的は、製造が容易でありかつ組み立てが容易であるパワー半導体モジュールを提供すること、および/または、浮遊インダクタンスが低い電気的接続部を有するパワー半導体モジュールを提供することである。
【0017】
これらの目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる例示的な実施形態は、従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0018】
本発明の第1の局面は、パワー半導体モジュールに関する。半導体モジュールは、1つ以上の半導体チップ、それらの電気的および機械的相互接続部、ならびにこれらの部品のためのハウジングからなる任意の素子であってもよい。ここではおよび以下では、「パワー」という語は、100V以上および/または10A以上の電流を処理することに適合されたモジュールおよび/または半導体チップを指してもよい。たとえば、パワー半導体モジュールは、電気自動車、ハイブリッド自動車、モーターバイク、バス、トラック、オフロード建設車両および充電ステーションなどの自動車用途で使用されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、金属化層を有する基板と、基板に接着された少なくとも1つのパワー半導体チップと、半導体チップおよび基板を部分的に封止する成形封止部とを備える。基板は、一方の側が金属化層で被覆された、プラスチックまたはセラミックなどの電気絶縁材料からなるプレートであってもよい。基板が他方の側にさらなる金属化層を有することも可能であり得る。また、基板がもっぱら1つ以上の金属化層によって設けられることもあり得る。たとえば、基板は、リードフレームであってもよく、またはリードフレームを備えてもよい。金属化層は、半導体チップが接続される導電体を提供するように構成されてもよい。
【0020】
パワー半導体チップは、SiまたはSiCに基づいてもよく、および/または、ダイオードおよび/または半導体スイッチなどの1つ以上の半導体要素を提供してもよい。このようなスイッチは、トランジスタ、サイリスタ、IGBTおよび/またはMOSFETであってもよい。パワー半導体モジュールが、スイッチを有する半導体チップと、金属化層の導体を介してスイッチに逆並列に接続されたダイオードを有する半導体チップとを備えることもあり得る。さらに、パワー半導体モジュールは、このようなスイッチとダイオードとの組み合わせで構成された1つ以上のハーフブリッジを備えてもよい。
【0021】
1つ以上のパワー半導体チップは、金属化層に接着される。接着は、はんだ付け、焼結および溶接を指してもよい。さらに、1つ以上のパワー半導体チップは、ボンドワイヤを介して互いにおよび金属化層と接続されてもよい。
【0022】
成形封止部は、たとえば熱可塑性材料または化学硬化材料を用いて、トランスファー成形によって生成されてもよい。成形材料は、エポキシ樹脂であってもよい。成形封止部は、1つ以上のパワー半導体チップおよび1つ以上のパワー半導体チップに直接取り付けられた導電体の一部を完全に密封してもよい。さらに、基板および金属化層は、成形封止部によって部分的に被覆されてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、成形封止部は、金属化層の端子領域を露出させる少なくとも1つの窓を備える。言い換えれば、成形封止部は、端子領域として、すなわち外部導体を相互接続するために使用され得る金属化層の一部に直接アクセスするための開口または窓を設けてもよい。1つ以上の端子領域は、パワー半導体モジュールの外側に露出した金属化層の唯一の部分であってもよい。端子領域は、成形封止部の外側に露出した平板導体であってもよい。
【0024】
端子領域のために、パワー半導体モジュールは、1つの一体型導体を有する他の素子に電気的に接続されてもよい。端子は省略されてもよく、端子をバスバーのようなさらなる導体に接続するためのさらなる取り付けプロセスは省略されてもよい。パワー半導体モジュールは、パワー半導体チップを担持する基板の部分を直接露出させる成形封止部における開口または窓を有するトランスファー成形パワー半導体モジュールであってもよい。
【0025】
さらに、窓と基板の境界との間の成形封止部の境界部は、成形封止部の中央部の最大高さよりも小さな基板上方高さを有する。なお、高さおよび最大高さは、金属化層によって規定される面に直交する方向に決定されてもよい。さらに、高さおよび/または最大高さは、基板および/または基板の上側に対して規定されてもよい。基板の境界が成形封止部の境界部に埋設されることもあり得る。この場合、基板の上方の境界部のみが基板上方高さに寄与する。
【0026】
パワー半導体チップおよびその電気的接続部を封止する成形封止部の中央部は、境界部よりも高くてもよい。逆に、境界部は、中央部よりも低くてもよい。このようにして、導体ストリップ、導電性リボンまたはボンドワイヤなどの導体を端子領域に取り付けてもよく、中央部の上側よりも低い高さで端子領域から離れるように導いてもよい、ということが可能である。これにより、パワーモジュールの電気的接続部をよりコンパクトにすることができる。
【0027】
なお、「高い」、「低い」、「上部」、「最上部」、「下部」のような語は、空間内のパワー半導体モジュールの向きに対して規定されるのではなく、基板によって規定される面に対して規定されてもよい。
【0028】
パワー半導体モジュールは、端部が成形封止部の窓における端子領域に接着されたパワー端子をさらに備える。パワー端子の第2の端部などのパワー端子の端子部は、基板に平行な方向に境界部の上方に突き出ていることにより、端子部の基板上方垂直高さは、成形封止部の中央部の最大高さよりも小さい。パワー半導体モジュールは、成形封止部の中央部の上側よりも低い高さでモジュールから突き出る電気相互接続部を有してもよい。たとえば、パワー端子は、2つの平行な端部を有する折り曲げられた金属ストリップであってもよい。
【0029】
要約すると、パワー半導体モジュールは、以下の利点を提供することができる。
パワー半導体モジュールは、基板および端子設計に関してより自由であるために、電気的性能を向上させることができる。トランスファー成形アプローチと組み合わせてリードフレームによって課される要件によって端子位置が制限されることはない。たとえば、DCリンクキャパシタへの接続部をより短くすることができる。なぜなら、端子溶接のためのバスバーの空間が不要であるからである。接続部がより短くなることにより、転流ループインダクタンスを低くすることができる。さらに、補助接続部を短くすることにより、ゲートインダクタンスを小さくすることができる。
【0030】
このパワー半導体モジュールの製造および搭載は、コスト削減をもたらすことができる。なぜなら、端子および端子取り付けプロセスがもはや不要であるからである。たとえば、端子接続の点で柔軟性を向上させることができる。さまざまな用途でさまざまな接続技術が使用されてもよい。端子領域へのバスバーの直接溶接に要する労力は、少なくとも、端子へのバスバーの溶接に要する労力よりも少ない。
【0031】
このパワー半導体モジュールは、製造性を向上させることができる。成形後に行われ得る端子領域への導体の超音波溶接プロセス中に1つ以上のパワー半導体チップを粒子汚染から保護することができる。また、成形プロセスを簡略化することができ、さまざまな厚みを有する複数のリードフレームの封止が困難であることに起因するリスクが回避される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、境界部の基板上方高さは、導体の基板上方最大高さよりも小さく、導体は、成形封止部において封止され、半導体チップおよび金属化層に接着される。言い換えれば、端子領域に取り付けられた端子または導体は、成形封止部内の導電体の最大高さ未満の高さにパワー半導体モジュールを置いておくことができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、境界部は、成形封止部の中央部を少なくとも部分的に密封する成形封止部の境界である。たとえば、境界部は、中央部よりも薄い、中央部のそばの成形封止部のストリップであってもよい。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、境界部は、窓の周囲および/または窓の全ての側の中央部の最大高さよりも小さな基板上方高さを有する。言い換えれば、窓は、中央部よりも小さな高さを有する成形封止部の一部に設けられてもよい。また、境界部が中央部に向かって小さくなる高さを有することも可能であり得る。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、境界部は、基板の境界に重なり合う。たとえば、成形封止部は、基板の両側に設けられてもよく、1つ以上の端子領域を除いて基板全体を密封してもよい。
【0036】
また、冷却体が基板の裏面、すなわち1つ以上のパワー半導体チップが接着される側に対向する基板の側、に取り付けられることも可能であり得る。この場合、境界部は、基板の境界に重なり合ってもよく、冷却体と接触してもよい。この場合、パワー半導体モジュールの一方の側のみが成形封止部を備えてもよい。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、成形封止部は、少なくとも2つの窓を備え、各窓は、金属化層の端子領域を露出させる。パワー半導体モジュールの端子のうちのいくつかまたは全てが端子領域によって設けられることもあり得る。
【0038】
また、パワー半導体モジュールのいくつかの端子が、成形封止部によって部分的に密封され得るリードフレーム端子によって設けられることもあり得る。
【0039】
本発明の実施形態によれば、端子領域のうちの少なくとも1つは、パワー端子領域であり、すなわちコレクタまたはエミッタなどのパワー半導体チップの負荷電極またはパワー電極に電気的に接続されてもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、端子領域のうちの少なくとも1つは、補助端子領域である。補助端子領域の面積は、パワー端子領域の面積よりも小さくてもよい。たとえば、補助端子領域は、パワー電子チップのゲート電極に電気的に接続されてもよい。
【0041】
一般に、露出した端子領域と組み合わせて従来のリードフレームアプローチを使用してもよい。リードフレームは、補助接続部および/または補助端子に使用されてもよい。端子領域は、パワー端子領域であってもよく、および/または、直接的なバスバー取り付けに使用されてもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、中央部の最大高さよりも小さな基板上方高さを有する境界部が少なくとも2つの窓を提供する。パワー半導体モジュールが2つ以上の端子領域を有する場合、これらの端子領域は、中央部よりも小さな基板上方高さを有する成形封止部の一部に設けられてもよい。たとえば、2つ以上の端子領域が基板の境界に沿った中央部の側に設けられてもよい。
【0043】
なお、境界部および/または中央部は、均一な高さおよび/または厚みを有してもよい。端子領域は、均一な高さを有する境界部に設けられてもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、2つの共面導体ストリップを有する2つのパワー端子をさらに備え、各パワー端子は、それぞれの導体ストリップから突き出る少なくとも2つの足部を、一方のパワー端子からの足部が他方のパワー端子からの足部と交互になるように備え、パワー端子からの足部は、端子領域の列に接着され、端子領域の各々は、成形封止部の専用の窓によって設けられる。
【0045】
パワーモジュールによって、キャパシタなどの電気素子への低インダクタンス共面バスバー接続が可能になる。共面および/または平行配置された導体ストリップのために、電気的相互接続部は、低インダクタンスを有し得る。端子領域は、交互の端子領域が同一の電位に接続されるように配置され、1つ以上のパワー半導体チップと相互接続されてもよい。共面導体ストリップは、このような端子領域の列に接続されてもよい。これは、それぞれの端子領域に至るまで曲げられた導体ストリップの曲げ部、すなわち足部によってなされてもよい。
【0046】
たとえば、キャパシタリード線が端子領域に直接接着されて、たとえば交互の+/-パターンで配置され得る低誘導接続部を形成してもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、第1の端部が成形封止部の窓における端子領域に接着され、第2の端部が中央部の上方に突き出ている補助端子をさらに備える。たとえば、補助端子は、その上部の第2の端部、すなわち端子領域に接着される端部とは反対側の端部上にプレスフィット接続部を任意に有し得るピンであってもよい。回路基板を中央部に取り付けて第2の端部に貼り付けることができるように、第2の端部は中央部よりも高くてもよい。
【0048】
一般に、外部回路への接続は、ピン構造を1つ以上の端子領域に接着することによって実現されてもよい。このような構造は、たとえば溶接またははんだ付けによって、端子領域に接着され、その後ゲートドライバ回路基板などの回路基板に接続され得るプレスフィットおよび/またははんだピンを備えてもよい。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、成形封止部の中央部に取り付けられた回路基板をさらに備える。ゲートドライバ回路基板などの回路基板は、印刷回路基板であってもよく、またはセラミック基板などの別のタイプの基板に基づいてもよい。たとえば、回路基板は、成形封止部に貼り付けられてもよく、および/または、ねじ留めされてもよい。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、窓における端子領域に接着され、回路基板に接着されたボンドワイヤをさらに備える。回路基板への接続は、端子領域と回路基板上のパッドとの間のワイヤボンディングプロセスによって実現されてもよい。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、印刷回路基板に接続され、窓における端子領域に押し付けられた導電性ばね要素をさらに備える。端子領域への接続部を形成するために、回路基板に一体化されたピンおよび/またはばね要素が使用されてもよいということも可能である。ばね要素は、単に端子領域上に押し付けられるだけであってもよく、任意にたとえばボンディングプロセスによって端子領域に取り付けられてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、成形封止部の窓における端子領域に接着された端子の端部は、窓に充填された成形材料に埋設される。端子領域へのパワー端子および/または補助端子の接続の信頼性を向上させるために、たとえばエポキシ樹脂によるボンド端部またはボンド足部のポッティングが可能であり得る。鋳造材料は、成形封止部の成形材料とは異なっていてもよい。このようなポッティングは、電子アセンブリの耐振性および耐食性を向上させることができる。さまざまな電位の露出した領域間に必要な沿面距離を提供するために、鋳造材料によって形成されたダムまたは絶縁構造が使用されてもよい。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、金属化層およびパワー半導体チップに対向して基板に取り付けられた冷却プレートをさらに備える、冷却プレートは、基板、たとえば対向する金属化層に取り付けられてもよい。本発明の一実施形態によれば、成形封止部は、冷却プレートの一方の側のみに設けられる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、成形封止部の境界部は、基板の境界の上方に延在しており、冷却プレート上に配設される。冷却プレートは、より大きな垂直延長部を有してもよい。なぜなら、基板および/または成形封止部は、冷却プレートと接触する基板の境界の上方に突き出てもよいからである。しかし、冷却プレートの境界は、成形封止部に封止されなくてもよい。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールは、冷却空洞を有する冷却体をさらに備え、冷却空洞は、冷却体に挿入された冷却プレートによって閉じられ、冷却プレートは、冷却プレートの境界に沿って冷却に溶接される。空洞は、冷却空洞内を流れる冷却液であふれさせてもよい。
【0056】
パワー半導体モジュールの境界の上方に突き出る端子および/または電気的接続部が成形後にモジュールに取り付けられ得るので、冷却プレートの境界は、よりアクセスしやすく、溶接、たとえば摩擦攪拌溶接によって冷却体に取り付けられてもよい。
【0057】
本発明のさらなる局面は、パワー半導体モジュールアセンブリに関する。このようなアセンブリは、上記および下記の1つ以上のパワー半導体モジュールと、キャパシタおよび/または他のパワー半導体モジュールなどのさらなるパワー電気素子とを備えるデバイスであってもよい。たとえば、パワー半導体モジュールアセンブリは、電気コンバータであってもよく、または電気コンバータの一部であってもよい。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、パワー半導体モジュールアセンブリは、パワー電気素子とパワー半導体モジュールとを直接相互接続するパワー端子などの導体ストリップをさらに備え、導体ストリップは、窓における端子領域およびパワー電気素子に接着される。導体ストリップは、バスバー、たとえば本明細書に記載されている共面バスバーの一部であってもよい。導体ストリップは、折り曲げられた金属ストリップであってもよく、および/または、一体型のストリップであってもよい。このようにして、パワー半導体モジュールとパワー電気素子との間のさらなる接続部を回避することができる。
【0059】
外部パワー電気素子への接続は、たとえば溶接プロセスを用いて共面バスバーを端子領域に接着することによって実現されてもよい。DCリンクキャパシタがパワー半導体モジュールの基板に直接接続されてもよい。
【0060】
本発明のさらなる局面は、たとえば上記および下記のパワー半導体モジュールの製造方法に関する。上記および下記の方法の特徴は、上記および下記のパワー半導体モジュールおよびパワー半導体モジュールアセンブリの特徴であってもよい、ということが理解されなければならない。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、上記方法は、金属化層を有する基板を設けるステップを備え、基板には少なくとも1つのパワー半導体チップが接着され、上記方法はさらに、半導体チップおよび基板を成形封止部に成形するステップを備え、成形封止部は、半導体チップを封止する中央部を備え、成形封止部は、金属化層の端子領域を露出させる少なくとも1つの窓を備え、窓と基板の境界との間の成形封止部の境界部は、成形封止部の中央部の最大高さよりも小さな基板上方高さを有する。
【0062】
成形は、たとえば成形材料としてエポキシ樹脂を用いたトランスファー成形であってもよい。基板上の端子領域を露出させる窓を作製するために、所望の端子領域を成形材料の無い状態に保ち得るばね構造を成形ツールにおいて実現することが可能である。窒素などの不活性雰囲気下でのトランスファー成形およびその後の硬化が末端領域の酸化を回避するのに有益であろう。
【0063】
端子および/または導体を端子領域に接続するプロセスによっては、端子領域の金属化層の選択的または完全なめっきが成形前または成形後に行われてもよい。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、上記方法は、パワー端子の端部を端子領域に接着するステップをさらに備え、パワー端子の一部は、基板に平行な方向に境界部の上方に突き出ていることにより、上記一部の基板上方垂直高さは、成形封止部の中央部の最大高さよりも小さい。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、上記方法は、基板に取り付けられた冷却プレートを冷却体に溶接するステップをさらに備える。1つ以上の端子領域から外部電子素子への接続部を形成する前、および/または、端子を接着する前に、冷却プレートの境界は、たとえば摩擦攪拌溶接によって冷却体に溶接されてもよい。
【0066】
溶接プロセスを邪魔する可能性がある補助接続部および/またはパワー接続部は、後で取り付けられてもよい。これには、端子領域に接着される端子および/または導体の設計、基板レイアウトならびに成形封止部の自由度が高くなるなどのいくつかの利点があるだろう。また、超音波溶接中のチップ汚染のリスクも回避することができる。必要なプロセスステップが少なくてすみ、冷却体の組み込みを簡略化することができる。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、上記方法は、補助端子およびパワー端子のうちの少なくとも1つを封止部の窓に設けられた端子領域に接着するステップをさらに備える。この接着は、成形後に行われてもよく、および/または、冷却プレートを冷却体に溶接する前もしくは後に行われてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、上記方法は、導体ストリップを封止部の窓に設けられた端子領域およびパワー電気素子に接着するステップをさらに備える。1つ以上の端子領域への導体の接着は、パワー半導体モジュールをさらなる電気素子に機械的に接続した後に行われることも可能であり得る。
【0069】
本発明のこれらのおよび他の局面は、以下に記載する実施形態から明らかであり、以下に記載する実施形態を参照して説明する。
【0070】
添付の図面に示されている例示的な実施形態を参照して、本発明の主題を以下の本文でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明の実施形態に係るパワー半導体モジュールの断面を概略的に示す。
図2】本発明のさらなる実施形態に係るパワー半導体モジュールの断面を概略的に示す。
図3】本発明の実施形態に係るパワー半導体モジュールアセンブリの断面を概略的に示す。
図4】本発明のさらなる実施形態に係るパワー半導体モジュールアセンブリの断面を概略的に示す。
図5】本発明のさらなる実施形態に係るパワー半導体モジュールの断面を概略的に示す。
図6】本発明のさらなる実施形態に係るパワー半導体モジュールの断面を概略的に示す。
図7】本発明のさらなる実施形態に係るパワー半導体モジュールの一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図面で使用される参照記号およびそれらの意味は、参照記号の一覧に要約形式で記載されている。原則として、図中、同一の部分は同一の参照記号がふられている。
【0073】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、パワー半導体チップ14が接着された基板12を備えるパワー半導体モジュール10を示す。なお、上記のように、たとえば2つ以上のパワー半導体チップ14が基板に接着されてもよい。しかし、図1にはパワー半導体チップ14が1つだけ示されている。
【0074】
基板12は、絶縁性内側セラミック層16と2つの外側金属化層18,20とを有するセラミック基板である。上部金属化層18は、いくつかの導体を提供するように構造化されている。これらの導体のうちの1つの導体上で、パワー半導体チップ14は平面パワー電極と接着される。さらに、ボンドワイヤ21は、たとえばさらなる平面パワー電極および平面ゲート電極を提供するパワー半導体チップ14の他方の側を相互接続する。
【0075】
基板12が印刷回路基板またはリードフレームであり、すなわち基板12が1つ以上の金属化層のみで構成されてもよい、ということが可能であり得る。
【0076】
冷却プレート22は、基板12および金属化層20に接着される。示されているように、冷却プレート22は、基板12の下方にフィンまたはリブ24を有していてもよい。
【0077】
基板および半導体チップ14は、成形封止部26に埋設される。パワー半導体チップ14の接着後は、基板12は、金型に入れられていてもよく、成形封止部26は、たとえばエポキシ樹脂を用いたトランスファー成形によって生成されていてもよい。
【0078】
冷却プレート22は、基板12よりも大きな垂直延長部(基板の金属化層18に平行な方向の延長部)を有する。成形封止部26は、パワー半導体モジュール10の一方の側のみに設けられてもよく、基板12の境界28の上方に垂直方向に延在しているが、冷却プレート22の境界30の上方には延在していなくてもよい。
【0079】
成形封止部26は、パワー半導体チップ14およびボンドワイヤが密封される中央部32と、窓36が設けられる境界部34とを有し、境界部34は、金属化層18上の端子領域38,40を露出させる。端子領域38,40は、金属化層18の露出部分であり、モジュール10を電気的に接触させるために使用されてもよく、および/または、モジュール10の平面端子であると見なされてもよい。
【0080】
なお、成形封止部26は、1つの部品であってもよく、および/または、図7に示されるように、成形封止部26の1つ以上の境界部34は、中央部32と相互接続されてもよい。
【0081】
成形封止部26の境界部34は、基板12上方最大高さ(すなわち、境界部34が基板12の上方に延在する最大距離)が中央部32よりも小さい。中央部32は、基板12の一方の側のみに設けられてもよく、および/または、中央部32の基板12上方最大高さは、中央部32の最大厚みであってもよい。基板12の境界は、成形封止部26の境界部34に埋設されてもよい。中央部32も設けられている基板12の側の境界部34の厚みのみが、境界部34の基板12上方高さに寄与し得る。
【0082】
境界部34は、窓36と基板の境界28との間の成形封止部の一部に過ぎないということであってもよい。また、境界部は、少なくとも部分的に窓36を取り囲むということであってもよい。図1および図7にも示されるように、境界部34は、窓36を完全に取り囲んでいてもよい。図7に示されるように、2つ以上の窓36が境界部34によって設けられてもよい。窓36の各々または少なくともいくつかは、成形封止部26によって完全に取り囲まれる成形封止部の開口であってもよい。
【0083】
図2は、さらなる製造ステップ後のパワー半導体モジュールを示す。冷却プレート22は、冷却空洞43を有する冷却体42に取り付けられており、冷却空洞43は、モジュール10の動作中に冷却液で充填されてもよい。冷却プレート22は、溶接によって冷却体42に溶接されていてもよい。モジュール10から突出し得る邪魔な端子が存在しないので、成形封止部26の成形後でさえ、冷却プレートの境界30にアクセス可能である。
【0084】
図3は、パワー半導体モジュール10とさらなる電気素子46とを備えるパワー半導体モジュールアセンブリ44を示す。アセンブリ44は、コンバータであってもよく、および/または、電気素子46は、さらなるパワー半導体モジュールおよび/またはDCリンクキャパシタであってもよい。
【0085】
端子領域38,40への端子および/または導体の接続は、成形プロセス後、場合によってはアセンブリ44へのパワー半導体モジュール10の取り付け後に、なされる。
【0086】
パワー半導体モジュール10の取り付け前または後に、端子48が端子領域38のうちの1つ以上に取り付けられてもよい。たとえば、端子48は、補助端子48であってもよく、端子領域38は、パワー半導体チップ14のゲート電極に電気的に接続され得る補助端子領域38であってもよい。
【0087】
端子48は、たとえば超音波溶接によって端子領域38に溶接され得る曲がった足部または端部50を有するピンであってもよい。プレスフィット接続部であってもよい端子48の上方の第2の端部52は、成形封止部26の中央部32の上方に突き出ていてもよい。このようにして、回路基板は、端子38上に押し付けられて、中央部32に取り付けられてもよい。
【0088】
さらに、折り曲げられた導電性ストリップ54が端子領域40を電気素子46と直接相互接続してもよい。折り曲げられたストリップ54は、銅または別の導電性金属材料からなっていてもよく、および/または、端子領域40に接着される足部または端部58よりも中間部56の高さが高くなるように曲げられてもよい。境界部34が成形封止部の中央部32よりも低いために、折り曲げられたストリップの中間部56でさえ、中央部32の上側よりも低くなり得る。
【0089】
導電性ストリップ54は、その端部58が端子領域40に溶接され、および/または、その他端60がパワー電気素子46に溶接されてもよい。たとえば、DCリンクキャパシタのリード線および/または電気モータにつながるバスバーが端子領域40に直接接着されてもよい。
【0090】
なお、導電性ストリップ54は、端子であると見なされてもよく、および/または、導電性ストリップ54として別の端子が適宜端子領域40に接着されてもよい。
【0091】
図4に示されるように、窓36のうちの1つ以上は、成形封止部34の成形材料とは異なっていてもよい鋳造材料62で充填されてもよい。鋳造材料62は、それぞれの窓の端子領域38,40、および/または、端子領域38,40に接着された端子48もしくは導体54の足部50,52を完全に被覆してもよい。
【0092】
図5および図6は、回路基板64が成形封止部26の中央部32に取り付けられてもよいことを示す。回路基板64は、印刷回路基板であってもよく、および/または、ゲートドライバなどの電子回路を担持してもよい。
【0093】
図5では、回路基板64は、ボンドワイヤ66を介して端子領域38に相互接続され、ボンドワイヤ66は、一端が端子領域38に接着され、他端が回路基板64に接着される。ボンドワイヤ66および/または回路基板64は、アセンブリ44へのモジュール10の取り付け前または後にモジュール10に取り付けられてもよい。
【0094】
図6は、回路基板64がモジュール10に取り付けられるときに端子領域38に押し付けられるばね要素68を回路基板64が備えてもよいことを示す。この取り付けも、アセンブリ44へのモジュール10の取り付け前または後に行われてもよい。
【0095】
図7は、共面端子構造70が端子領域40の列72に接続されてもよいことを示す。端子領域40は、どの第2の端子領域40も同一の電位に接続されるように半導体チップ14に接続されてもよい。
【0096】
共面端子構造70は、2つの共面導体ストリップ74を有する2つのパワー端子54を備え、共面導体ストリップ74は、それぞれの導体ストリップ74から突き出る足部76を、一方のパワー端子54からの足部76が他方のパワー端子54からの足部76と交互になるように備える。このような構造により、浮遊インダクタンスを非常に低くすることができる。
【0097】
図面および上記の説明において本発明を詳細に図示し説明してきたが、このような図示および説明は、限定的なものではなく説明的または例示的なものであると考えられるべきであり、本発明は、開示されている実施形態に限定されるものではない。開示されている実施形態に対する他の変形例は、図面、開示および添付の特許請求の範囲を検討することにより、本発明を実施する当業者が理解し、実行することができる。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサもしくはコントローラまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を実現することができる。互いに異なる従属項に特定の手段が記載されているという事実だけで、これらの手段の組み合わせを効果的に使うことができないということにはならない。特許請求の範囲におけるいずれの参照記号も範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0098】
参照記号の一覧
10 パワー半導体モジュール
12 基板
14 半導体チップ
16 セラミック層
18 上部金属化層
20 下部金属化層
21 ボンドワイヤ
22 冷却プレート
24 フィンまたはリブ
26 成形封止部
28 基板の境界
30 冷却プレートの境界
32 中央部
34 境界部
36 窓
38 補助端子領域
40 パワー端子領域
42 冷却体
43 冷却空洞
44 パワー半導体モジュールアセンブリ
46 パワー電気素子
48 補助端子
50 第1の端部
52 第2の端部
54 導電性ストリップ、パワー端子
56 中間部
58 第1の端部
60 第2の端部
62 鋳造材料
64 回路基板
66 ボンドワイヤ
68 ばね要素
70 共面端子構造
72 端子領域の列
74 導電性ストリップ
76 足部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7