(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】電子的なコンポーネントおよび電子的なコンポーネントを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20220228BHJP
H01R 4/02 20060101ALI20220228BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20220228BHJP
H01R 12/51 20110101ALI20220228BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R4/02 Z
H01R43/02 A
H01R12/51
(21)【出願番号】P 2019565466
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2018064223
(87)【国際公開番号】W WO2018220036
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】102017209278.5
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519136009
【氏名又は名称】シー・ピー・ティー ツヴァイ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】CPT Zwei GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, 30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート カラー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター フォルカート
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル タウファー
(72)【発明者】
【氏名】コンラート ヘアダー
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102007045630(DE,A1)
【文献】特表2003-530719(JP,A)
【文献】特開2010-003811(JP,A)
【文献】実開昭60-59523(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 4/02
H01R 43/02
H01R 12/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的なコンポーネント(E)であって、
少なくとも1つの回路支持体(1)を有しており、
- 前記回路支持体(1)に多数の機械的かつ/または電子的な構成部材(2~4)が装着されており、
- 前記回路支持体(1)が、各構成部材(2~4)のそれぞれ1つのコンタクト要素(4.2)との機械的かつ/または電気的な接触接続箇所(KS)を形成するための少なくとも1つのコンタクト開口(1.3)を有しており、前記構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材(4)が、
- 前記回路支持体(1)に対して間隔を置いて配置されていて、
- 少なくとも1つの導電性のハウジング(4.1)と、
- 前記ハウジング(4.1)を越えて突出した少なくとも1つの電気的なコンタクト要素(4.2)とを有しており、該電気的なコンタクト要素(4.2)が、前記ハウジング(4.1)に対して絶縁されていて、前記回路支持体(1)の前記コンタクト開口(1.3)に少なくとも材料接続的に結合されており、
- 前記接触接続箇所(KS)の領域で、特に前記回路支持体(1)と前記構成部材(4)の前記ハウジング(4
.1)との間に少なくとも1つのシール要素(5)が配置されており、
前記ハウジング(4
.1)の、前記回路支持体(1)の方向に向けられたハウジング壁部(4.1.1)が、前記コンタクト要素(4.2)を電気的に絶縁する、該コンタクト要素(4.2)を導通するための貫通開口(4.1.2)を有しており、
前記貫通開口(4.1.2)が、前記コンタクト要素(4.2)を導通することができる電気的な絶縁要素(4.1.3)を備えている、
電子的なコンポーネント(E)。
【請求項2】
前記接触接続箇所(KS)がはんだ付け結合部(LV)によって製作可能である、請求項1記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項3】
前記電気的なコンタクト要素(4.2)が、前記はんだ付け結合部(LV)によって前記コンタクト開口(1.3)内にかつ/または前記コンタクト開口(1.3)に対して固定されている、請求項2記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項4】
前記回路支持体(1)に形成された前記コンタクト開口(1.3)が層間接続部であり、多数のはんだ付けランド(1.4)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項5】
前記コンタクト要素(4.2)が、前記シール要素(5)によって少なくとも部分的に取り囲まれている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項6】
前記シール要素(5)が、前記構成部材(4)の前記コンタクト要素(4.2)との接触接続領域(K2)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項7】
前記シール要素(5)が、それぞれ前記回路支持体(1)および/または前記構成部材(4)の前記ハウジング(4.1)に対して間隔を置いて配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項8】
前記シール要素(5)が、前記コンタクト要素(4.2)とだけでなく、前記回路支持体(1)および/または前記構成部材(4)の前記ハウジング(4.1)とも接触接続領域(K1~K3)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項9】
前記シール要素(5)がOリングとして形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項10】
前記シール要素(5)が、少なくとも部分的にプラスチックから形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項11】
前記電気的なコンタクト要素(4.2)が電気的なコンタクトバーとして形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の電子的なコンポーネント(E)を製造するための方法において、
- 各構成部材(2~4)のそれぞれ1つのコンタクト要素(4.2)との機械的かつ/または電気的な接触接続箇所(KS)を形成するための多数のコンタクト開口(1.3)を回路支持体(1)に設け、
- 前記回路支持体(1)に多数の機械的かつ/または電子的な構成部材(2~4)を装着し、
- 前記構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材(4)を前記回路支持体(1)に対して間隔を置いて配置し、
- 前記構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材(4)が、少なくとも1つの導電性のハウジング(4.1)を有しており、
- 前記構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材(4)が、前記ハウジング(4.1)を通して外方に案内され、該ハウジング(4.1)に対して絶縁された少なくとも1つの電気的なコンタクト要素(4.2)を有しており、該電気的なコンタクト要素(4.2)に少なくとも1つのシール要素(5)を設け、
- 前記電気的なコンタクト要素(4.2)を前記回路支持体(1)の前記コンタクト開口(1.3)に少なくとも材料接続的に結合し、
- 前記シール要素(5)を前記接触接続箇所(KS)の領域で、特に前記回路支持体(1)と前記構成部材(4)の前記ハウジング(4.1)との間に配置する、
方法。
【請求項13】
前記接触接続箇所(KS)にはんだ付け材料(LM)を設ける、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記電気的なコンタクト要素(4.2)を、前記回路支持体(1)に形成された前記コンタクト開口(1.3)内にかつ/または前記コンタクト開口(1.3)に対してはんだ付けする、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記接触接続箇所(KS)を前記シール要素(5)によって前記ハウジング(4.1)に対して密封する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の電子的なコンポーネントに関する。さらに、本発明は、このような電子的なコンポーネントを製造するための方法に関する。
【0002】
例えば変速機制御装置として車両に使用される電子的なコンポーネントが一般的に知られている。この電子的なコンポーネントは、通常、プリント基板に配置された、回路装置を形成する複数の電子的な構成部材を有している。電圧供給ならびに例えば電子的または電気機械的な構成部材へのまたは構成部材からの制御信号または測定信号の信号案内のためには、電子的な構成部材が、例えば打抜き格子体を介してセンサおよび/またはアクチュエータにかつ/または接続コネクタに導電接続されている。
【0003】
このような形態の電子的なコンポーネントを製造するためには、特にプリント基板の一方または両方の外側層に電子的な構成部材が装着される。これは、例えばはんだ付けによって行われる。さらに、電子的な構成部材をプリント基板内に埋め込むことが知られている。電子的な構成部材および/または結合箇所、例えばはんだ箇所は、外的な影響および老化プロセスから保護するために、規定された塗工プロセスおよび/または封止プロセスによって保護することができる。
【0004】
本発明の課題は、先行技術に比べて改善された電子的なコンポーネントおよび改善された方法を提供することである。
【0005】
電子的なコンポーネントに関して、この課題は、本発明によれば、請求項1に記載した特徴によって解決される。方法に関して、この課題は、本発明によれば、請求項14に記載した特徴によって解決される。
【0006】
本発明の有利な構成は従属請求項の対象である。
【0007】
本発明に係る電子的なコンポーネントは、少なくとも1つの回路支持体を有している。この回路支持体には、多数の機械的かつ/または電子的な構成部材が装着されている。また、回路支持体は、各構成部材のそれぞれ1つのコンタクト要素との機械的かつ/または電気的な接触接続箇所を形成するための少なくとも1つのコンタクト開口を有している。少なくとも1つの構成部材は、回路支持体に対して間隔を置いて配置されていて、少なくとも1つの導電性のハウジングと、このハウジングを越えて突出した少なくとも1つの電気的なコンタクト要素とを有している。この電気的なコンタクト要素はハウジングに対して絶縁されていて、回路支持体のコンタクト開口に少なくとも材料接続的に結合されている。さらに、特にコンタクト要素とコンタクト開口との接触接続箇所の領域で、回路支持体と構成部材のハウジングとの間に少なくとも1つのシール要素が配置されている。
【0008】
例えば、回路支持体は2つの表面側を有している。両表面側には、それぞれ少なくとも1つの電子的な構成部材が装着可能である。両表面側のうちの一方の表面側、例えば下側の表面側に1つの電子的な構成部材を配置することができるのに対して、他方の表面側、例えば上側の表面側は、車両の構成スペース内に配置かつ固定されている。
【0009】
シール要素によって、接触接続箇所、特にはんだ付け箇所が、材料接続的(stoffschluessig)な、特に熱的な結合プロセス時に密封されている。さらに、導電性のハウジングが、回路支持体から予め設定された間隔を置いて配置可能である。これによって、特にハウジングと回路支持体との間の望ましくない導電性の接触接続領域を簡単に阻止することができる。特に構成部材のハウジングが、コンタクト開口ひいては電気的なコンタクト要素の領域において、例えばコンタクト開口へのコンタクト要素の材料接続的な結合のために供給される熱から保護されている。さらに、ハウジングを越えて突出したコンタクト要素の領域が外的な影響から保護されていて、外部に対して実質的に絶縁されている。
【0010】
例えば、コンタクト要素とコンタクト開口とは、熱的な結合プロセス、例えば溶接結合またははんだ付け結合によって互いに結合可能である。特に接触接続箇所ははんだ付け結合部によって製作可能である。
【0011】
いま、電気的なコンタクト要素が、はんだ付け結合部によってコンタクト開口内にかつコンタクト開口に対して固定されている場合には、シール要素によって、はんだ付け結合プロセス中の電気的な短絡の阻止が可能となる。特に接触接続箇所、特にはんだ付け箇所の密封が達成され、電気的なコンタクト要素と導電性のハウジングとの間に電気的な短絡が生じることが阻止される。電気的なコンタクト要素は、確かに、ハウジングに対して絶縁されている。しかしながら、はんだ付け時には、例えばはんだ付け材料、特にはんだ付けスズによって、コンタクト要素から電気的に絶縁されたハウジング領域の橋絡が生じてしまう。
【0012】
コンタクト開口の領域で回路支持体とハウジングとの間に配置されたシール要素によって、特にはんだ付けスズがハウジングにまで達してしまうことが阻止される。
【0013】
さらに、シール要素によって、例えば車両運転中に生じて、電子的なコンポーネントもしくは回路支持体および/または構成部材に作用する振動による少なくとも一種類の機械的な負荷が大幅に改善されている。
【0014】
電子的なコンポーネントの1つの可能な構成は、回路支持体に形成されたコンタクト開口が層間接続部であり、はんだ付けランドとして形成されていることを提案している。1つの改良形態では、コンタクト開口が多数のはんだ付けランドを有することができる。回路支持体の両表面側は、コンタクト開口の領域にそれぞれ1つのはんだ付けランドを備えている。これによって、回路支持体へのコンタクト要素の簡単に実施可能な機械的な固定および電気的な接触接続が可能となる。
【0015】
電子的なコンポーネントの別の構成は、コンタクト要素が、シール要素によって部分的にまたは完全に取り囲まれていることを提案している。特にシール要素は回路支持体の下側の表面側に配置されていて、構成部材のコンタクト要素との接触接続領域を有している。したがって、コンタクト開口とコンタクト要素との予め設定された結合領域におけるはんだ付け材料の望ましくない貫通が回避可能となる。
【0016】
電子的なコンポーネントの別の実施例によれば、シール要素が、それぞれ回路支持体および/または構成部材のハウジングに対して間隔を置いて配置されている。シール要素が、例えば回路支持体、特に下側の表面側に対して間隔を置いて配置されている場合には、はんだ付け材料をシール要素にまで拡張させることができる。これによって、例えば比較的大きなはんだ付け結合部を得ることができる。構成部材、特に構成部材のハウジングから間隔を置いて配置されたシール要素によって、例えば構成部材への熱影響または熱伝達の低減または回避すら可能となる。
【0017】
電子的なコンポーネントの別の可能な実施の形態では、シール要素が、回路支持体とだけでなく、コンタクト要素および構成部材のハウジングとも接触接続領域を有している。回路支持体と構成部材との間に配置されたシール要素は、例えばスペーサとして使用可能である。
【0018】
電子的なコンポーネントの別の実施例によれば、シール要素がOリングとして形成されている。このようなシール要素は、十分廉価に製造可能であるかまたは購入可能であり、簡単に使用可能である。さらに、シール要素の簡単な交換可能性、取外しおよび組付けが可能となる。
【0019】
電子的なコンポーネントの1つの可能な改良形態によれば、シール要素が、少なくとも部分的にプラスチックから形成されている。さらに、シール要素は、例えば変形加工法によって製造することができる。例えば、シール要素は射出成形法によって製造可能である。シール要素は、電気的なコンタクト要素、特に電気的なコンタクト要素の寸法および/または形状と、回路支持体および/または構成部材ハウジングの構成とに適合可能である。
【0020】
電子的なコンポーネントの別の実施の形態は、ハウジングの、回路支持体の方向に向けられたハウジング壁部が、コンタクト要素を電気的に絶縁する、このコンタクト要素を導通するための貫通開口を有していることを提案している。例えば、この貫通開口は、コンタクト要素を導通することができる電気的な絶縁要素を備えている。電気的なコンタクト要素は、導電性のハウジングから実質的に絶縁されている。例えば、ハウジングは金属から形成されている。電気的な絶縁要素は、例えば、貫通開口に配置されて、この貫通開口に材料接続的、力接続的かつ/または形状接続的に結合された絶縁体である。特に絶縁要素は、ガラス導通体またはプラスチック導通体として形成されている。例えば、貫通開口は、電気的に絶縁性の材料でコーティングすることができる。
【0021】
電子的なコンポーネントの別の実施例では、電気的なコンタクト要素が、コンタクトバー、特にコンタクトピンおよび/または接続バーとして形成されている。
【0022】
電子的なコンポーネントを製造するための本発明に係る方法では、機械的かつ/または電子的な各構成部材のそれぞれ1つのコンタクト要素に機械的かつ/または電気的に接触接続するための多数のコンタクト開口が回路支持体に設けられる。この回路支持体には、多数の機械的かつ/または電子的な構成部材が装着される。これらの構成部材のうちの少なくとも1つの構成部材が、回路支持体に対して間隔を置いて配置され、少なくとも1つの導電性のハウジングと、このハウジングを通して外方に案内され、ハウジングに対して絶縁された少なくとも1つの電気的なコンタクト要素とを有している。この電気的なコンタクト要素には、回路支持体に形成されたコンタクト開口との接触接続箇所の領域で少なくとも1つのシール要素が設けられ、これによって、このシール要素が、回路支持体と構成部材のハウジングとの間に配置される。また、電気的なコンタクト要素は、コンタクト開口内に案内され、このコンタクト開口に少なくとも材料接続的に結合される。この方法によって、特にコンタクト開口内でのかつ/またはコンタクト開口に対するコンタクト要素の材料接続的な結合時、特に熱的な結合時に、コンタクト要素とコンタクト開口との間の結合領域の密封が可能となる。
【0023】
方法の1つの可能な実施の形態は、電気的なコンタクト要素が、回路支持体に形成されたコンタクト開口内にかつ/またはコンタクト開口に対してはんだ付けされることを提案している。特に電子的な構成部材と回路支持体との間の安定した簡単な結合が達成可能となる。
【0024】
方法の別の可能な構成では、接触接続箇所が、シール要素によってハウジングに対して密封される。特に例えばはんだ付け箇所が密封され、これによって、はんだ付け材料が、コンタクト開口およびコンタクト要素の領域で、ハウジングの電気的に絶縁された領域に接触しないようになっている。その際、結合プロセス時の電気的な短絡が阻止される。
【0025】
以下に、本発明の実施例を図面に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】電子的なコンポーネントの断面を側方から見た概略図である。
【
図2】回路支持体に結合された電子的な構成部材の断面を側方から見た概略図である。
【
図3】回路支持体に結合された、
図2に示した電子的な構成部材の1つの実施例を概略的に示す図である。
【
図4】回路支持体に結合された、
図2に示した電子的な構成部材の別の実施例を概略的に示す図である。
【
図5】回路支持体に結合された、
図2に示した電子的な構成部材のさらに別の実施例を概略的に示す図である。
【0027】
図1には、電子的なコンポーネントE、例えば車両(図示せず)用の変速機制御装置または原動機制御装置の断面図が示してある。したがって、電子的なコンポーネントEは、特に電気機械的なコンポーネントとして形成されている。代替的には、電子的なコンポーネントEは、任意の別の電子的な回路装置を有していてもよいし、成していてもよい。
【0028】
電子的なコンポーネントEは回路支持体1を有している。この回路支持体1には、多数の機械的かつ/または電子的な構成部材2~4が装着されている。例えば、電子的な構成部材2~4は、電圧供給ならびに例えば電子的または電気機械的な構成部材2~4へのまたは構成部材2~4からの制御信号または測定信号の信号案内のために、例えば打抜き格子体を介してセンサおよび/またはアクチュエータにかつ/または接続コネクタに導電接続されている。
【0029】
回路支持体1は、例えばプリント基板または基材として形成されていて、電子的な構成部材2~4を機械的に固定しかつ電気的に接続するために用いられる。例えば、回路支持体1は、電気的に絶縁性の繊維強化プラスチックまたはセラミックスから形成されている。1つの改良形態では、回路支持体1を使用に応じて一層または多層で形成することができる。回路支持体1は機械的にリジッドまたはフレキシブルに形成することができる。
【0030】
さらに、回路支持体1は2つの表面側1.1,1.2を有している。両表面側1.1,1.2には、それぞれ少なくとも1つの電子的な構成部材2~4が装着可能である。
【0031】
代替的には、両表面側1.1,1.2の一方にだけ、例えば下側の表面側1.2にだけ、1つの電子的な構成部材4が配置されているのに対して、両表面側1.1,1.2の他方、例えば上側の表面側1.1は、車両の構成スペース内に配置かつ固定されている。
【0032】
図2には、下側の表面側1.2に配置された電子的な構成部材4の実施例が示してある。
【0033】
構成部材4を回路支持体1に固定しかつ特に構成部材4を回路支持体1にかつ/または電子的なコンポーネントEの内側スペースおよび/または外側スペースに電気的に接続するためには、回路支持体1がコンタクト開口1.3を有している。このコンタクト開口1.3は層間接続部として形成されている。1つの改良形態(図示せず)では、回路支持体1が、複数のコンタクト開口1.3と、例えば導体路のような線路開口とを有している。
【0034】
コンタクト開口1.3は、特に例えばコンタクト開口1.3を取り囲むはんだ付けランド1.4を有している。例えば、層間接続開口が銅製リングを備えている。
【0035】
電子的な構成部材4は導電性のハウジング4.1を有している。このハウジング4.1は、例えば少なくとも部分的に金属から形成されていて、例えば、多数の電気的かつ/または電子的な構成素子(図示せず)、例えばセンサ素子、電気的な線路、発光素子をパッケージングするために設けられている。さらに、ハウジング4.1は、多数の電気的な線路と、特に電気的なコンタクト要素4.2とを収容するために形成されている。
【0036】
図示の実施例では、ハウジング4.1を越えて突出していて、このハウジング4.1に対して絶縁されている電気的なコンタクト要素4.2が示してある。例えば、この電気的なコンタクト要素4.2は、電気的なコンタクトバー、コンタクトピン、はんだ付けピンおよび/または接続バーとして形成されている。
【0037】
特に電気的なコンタクト要素4.2は、ハウジング壁部4.1.1に形成された貫通開口4.1.2を通して案内されていて、ハウジング壁部4.1.1を越えて回路支持体1の方向に突出して配置されている。ハウジング4.1、特にハウジング壁部4.1.1は、回路支持体1の方向に向けられていて、回路支持体1から間隔を置いて配置されている。
【0038】
電気的なコンタクト要素4.2を貫通開口4.1.2の領域で絶縁して導通するためには、貫通開口4.1.2が電気的に絶縁性に形成されている。貫通開口4.1.2は、例えば電気的な絶縁要素4.1.3を備えている。例えば、この電気的な絶縁要素4.1.3は、貫通開口4.1.2に材料接続的に、例えば溶接結合または接着結合によって結合されている。さらに、貫通開口4.1.2は、電気的に絶縁性の材料から形成された取囲み環状要素を備えて形成することができる。例えば、電気的な絶縁要素4.1.3は、少なくとも部分的にガラス、プラスチックおよび/または別種の非導電性の材料から形成されている。
【0039】
コンタクト要素4.2ひいては構成部材4を回路支持体1に電気的に接続しかつ機械的に結合するためには、電気的なコンタクト要素4.2が、回路支持体1のコンタクト開口1.3に少なくとも材料接続的に結合されている。特にコンタクト開口1.3は、電子的な構成部材4、特に電気的なコンタクト要素4.2を固定するための電気的かつ/または機械的な接触接続箇所KSを形成している。例えば、この接触接続箇所KSははんだ付け結合部LVによって製作可能である。電気的なコンタクト要素4.2は、はんだ付け結合部LVによってコンタクト開口1.3内にかつコンタクト開口1.3に対して固定されている。
【0040】
電気的な接続および機械的な結合を改善しかつ特にはんだ付けの際に生じうる電気的な短絡を阻止するために、回路支持体1に結合された電子的な構成部材4の本発明による実施例を
図3に提案する。
【0041】
回路支持体1は、構成部材4の電気的なコンタクト要素4.2を収容かつ導通するためのコンタクト開口1.3を有している。接触接続箇所KSを形成するために、コンタクト要素4.2がコンタクト開口1.3を通して案内され、回路支持体1の表面側1.1を越えて突出して配置される。コンタクト開口1.3は、電気的なコンタクト要素4.2よりも大きな寸法、特に大きな直径を有している。接触接続箇所KSは、熱的な結合プロセス、特に熱的な接合を実施するために、表面側1.1の範囲内にかつ表面側1.1上にはんだ付け材料LMを備える。
【0042】
構成部材4のハウジング4.1は導電性に形成されている。電気的なコンタクト要素4.2を絶縁して導通するために、貫通開口4.1.2が絶縁要素4.1.3を有している。特に貫通開口4.1.2は、例えば材料接続的、力接続的かつ/または形状接続的な結合によって、例えばガラス導通体として形成された絶縁要素4.1.3を備えている。ハウジング4.1自体は導電性の金属から形成されている。
【0043】
回路支持体1に形成されたコンタクト開口1.3は、層間接続部として形成されていて、はんだ付け結合部LVによって接触接続箇所KSを形成するために、はんだ付けランド1.4を有している。
【0044】
はんだ付けの際にコンタクト要素4.2とハウジング4.1との間で電気的な短絡が生じないようにするために、接触接続箇所KSの領域で回路支持体1と構成部材4のハウジング4.1、特にハウジング壁部4.1.1との間にシール要素5が配置されている。特にコンタクト開口1.3とのコンタクト要素4.2の接触接続箇所KS、特にはんだ付け箇所が密封され、これによって、例えばはんだ付け材料LM、特にはんだ付けスズが、構成部材4の絶縁要素4.1.3に接触しないようになっている。これによって、はんだ付け材料LMの被着に基づく電気的な絶縁要素4.1.3の橋絡が阻止される。
【0045】
例えば、シール要素5は、コンタクト要素4.2の、ハウジング4.1を越えて突出した区分4.2.1に差し被せられる。別の実施の形態では、コンタクト要素4.2が、例えば被着可能なコーティングによってシール要素5を備えることができる。このシール要素5は、特に接触接続箇所KS、つまり、コンタクト開口1.3およびコンタクト要素4.2を完全に密封する。シール要素5は、回路支持体1とだけでなく、構成部材4のコンタクト要素4.2およびハウジング4.1とも複数の接触接続領域K1~K3を有することができる。
【0046】
コンタクト要素4.2が部分的にしかはんだ付けされない場合には、コンタクト要素4.2が、シール要素5によって少なくとも部分的にコンタクト開口1.3の領域で取り囲まれている。
【0047】
シール要素5は、例えばOリングとして形成されている。さらに、シール要素5は、少なくとも部分的にプラスチックまたは別種の非導電性の材料から形成することができる。特にシール要素5の形状はコンタクト要素4.2の形状に適合可能である。コンタクト要素4.2とシール要素5とは、少なくとも形状接続結合によって互いに固く結合されている。
【0048】
さらに、シール要素5は、回路支持体1と電子的な構成部材4のハウジング4.1との間のスペーサとして設けることができる。
【0049】
図4および
図5には、回路支持体1に結合された電子的な構成部材4のそれぞれ1つの別の実施例が示してある。
【0050】
図示の実施例では、シール要素5が、それぞれコンタクト要素4.2との接触接続領域K2を有している。さらに、シール要素5は、それぞれ下側の表面側1.2と構成部材4のハウジング4.1とに対して間隔を置いて配置されている。図示しないものの、シール要素5は、回路支持体1または構成部材4に対してのみ間隔を置いて配置することができる。
【0051】
構成部材4の電気的なコンタクト要素4.2は、回路支持体1のコンタクト開口1.3に材料接続的に結合されている。
【0052】
材料接続的な結合部、特にはんだ付け結合部LVを形成するために、コンタクト開口1.3は、例えばコンタクト開口1.3を取り囲むはんだ付けランド1.4を有している。特に回路支持体1の上側の表面側1.1と下側の表面側1.2とが、コンタクト開口1.3の領域にそれぞれ1つのはんだ付けランド1.4を備えている。例えば、コンタクト開口1.3は層間接続部として形成されている。コンタクト開口1.3と表面側1.1,1.2とははんだ付け面を形成している。例えば、コンタクト開口1.3は銅製スリーブで占められている。したがって、両表面側1.1,1.2にそれぞれコンタクト要素4.2との接触接続箇所KSをはんだ付け結合部LVによって形成することができる。
【0053】
シール要素5が、例えば回路支持体1、特に下側の表面側1.2に対して間隔を置いて配置されている場合には、はんだ付け材料LMをシール要素5にまで拡張させることができる。これによって、例えば比較的大きなはんだ付け結合部LVを得ることができる。
【0054】
構成部材4、特に構成部材4のハウジング4.1から間隔を置いて配置されたシール要素5によって、例えば、はんだ付け結合部LVに基づく構成部材4への、特に絶縁要素4.1.3の領域での熱影響または熱伝達の低減または回避すら可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 回路支持体
1.1,1.2 表面側
1.3 コンタクト開口
1.4 はんだ付けランド
2~4 構成部材
4.1 ハウジング
4.1.1 ハウジング壁部
4.1.2 貫通開口
4.1.3 絶縁要素
4.2 コンタクト要素
4.2.1 区分
5 シール要素
E 電子的なコンポーネント
K1~K3 接触接続領域
KS 接触接続箇所
LM はんだ付け材料
LV はんだ付け結合部