(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】燃料電池スタック電圧監視用の電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20220228BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20220228BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220228BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/04537
H01M8/04 Z
H01M8/04 N
H01R25/00 M
(21)【出願番号】P 2019570499
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 SE2018050598
(87)【国際公開番号】W WO2018236266
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-01-22
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511002250
【氏名又は名称】パワーセル スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】ムンテ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホルムバリ,マティアス
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277953(JP,A)
【文献】特表2005-502996(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148433(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0316560(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0037644(KR,A)
【文献】特表2007-522611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2465-2485
H01M 8/04313-04664
H01M 8/04
H01R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの別個のユニット(11,12,13)からなり、各ユニット(11,12,13)は複数のピン(1,2,3)からなり、各ピン(1,2,3)は燃料電池スタック電圧を監視するために燃料電池スタック(20)のプレートに接触するように構成されている、燃料電池スタック電圧監視用の電気コネクタ(10)であって、
各ユニット(11,12,13)の第1のピン(1)は、
別のユニットの基準電圧を参照することなく、基準電圧の測定を行うように構成され、前記第1のピン(1)を除く各ピン(2、3)は、各ユニット(11、12、13)の前記第1のピン(1)によって測定された基準電圧に対する電圧の測定を行うように構成されることを特徴とする、電気コネクタ(10)。
【請求項2】
各ユニット(11,12,13)は摩擦嵌合接続を用いて前記燃料電池スタック(20)に取り付けられるように構成される、請求項1に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項3】
前記少なくとも2つのユニット(11,12,13)に接続され、前記電気コネクタ(10)をセル電圧測定システムと接続するように構成されたプラグ(7)をさらに備えている、請求項1または2に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項4】
少なくとも2つのプラグ(7)であって、各々が前記少なくとも2つのユニット(11,12,13)の1つに接続されており、前記電気コネクタ(10)をセル電圧測定システムと接続するように構成されているプラグ(7)をさらに備えている、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気コネクタ(10)。
【請求項5】
各ユニット(11,12,13)および/または前記プラグ(7)は
、剛性保持要素上に設けられる、
請求項3又は4に記載の電気コネクタ(10)。
【請求項6】
前記プラグ(7)と前記少なくとも2つのユニット(11,12,13)は、可撓性プラスチック材料に結合された導電路(4,5,6)を介して接続される、請求項3乃至5のいずれかに記載の電気コネクタ(10)。
【請求項7】
前記プラグ(7)は、前記プラグ(7)の位置決めを可変的にする取り付け要素(28)を用いて、前記燃料電池スタック(20)の保持要素
(26)に取り付け可能である、請求項3乃至6のいずれかに記載の電気コネクタ(10)。
【請求項8】
1つのユニット(11,12,13)の前記ピン(1,2,3)は少なくとも2列に配置される、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気コネクタ(10)。
【請求項9】
少なくとも
前記ユニット(11,12,13)の第1のユニット(11)は、前記第1のピン(1)がその上に配置される突出部(14)を備えており、少なくとも
前記ユニット(11,12,13)の第2のユニット(13)は、前記突出部(14)に対して合致するように形成されている凹部(15)を備えており、前記第1のユニット(11)の前記突出部(14)と前記第2のユニット(13)の前記凹部(15)が合致している、請求項1乃至8のいずれかに記載の電気コネクタ(10)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の少なくとも2つの電気コネクタ(10)からなる電気コネクタ配置構造。
【請求項11】
流体流動フィールドプレート(21,22,23)と、膜電極接合体とからなる少なくとも2つの燃料電池ユニットと、請求項1乃至8のいずれかに記載の少なくとも1つの電気コネクタ(10)とを備えた燃料電池スタック(20)からなる燃料電池スタック配置構造であって、組み立てられた状態では、前記少なくとも2つのユニット(11,12,13)の前記ピン(1,2,3)は、燃料電池スタック電圧を監視するために前記少なくとも2つの燃料電池ユニットの前記流体流動フィールドプレート(21,22,23)と接触するように配置される、燃料電池スタック配置構造。
【請求項12】
前記少なくとも2つのユニット(11,12,13)の前記ピン(1,2,3)を燃料電池スタック(20)
の流体流動フィールドプレート(21,22,23)に接触させることによって請求項1乃至9のいずれかに記載の電気コネクタ(10)を前記燃料電池スタック(20)に配置するステップであって、前記ユニット(11,12,13)のうちの1つの前記ピン(1,2,3)は続いて配置された前記流体流動フィールドプレート(21,22,23)を接続するステップと;
前記ユニット(11,12,13)の前記第1のピン(1)を使用して、前記ユニット(11,12,13)によって接続された前記流体流動フィールドプレート(21,22,23)の電圧監視用の基準電圧を決定するステップとからなる、燃料電池スタック電圧監視の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック電圧監視用の電気コネクタに関する。さらに、本発明は、少なくとも2つのそれらの電気コネクタからなる電気コネクタ配置に関する。さらに、本発明は、そのような電気コネクタからなる燃料電池スタック配置に関する。さらにまた、本発明は、燃料電池スタック電圧監視の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、通常、多数の単位セルを多数の層に積み重ねることによって形成される。単位セルの各々は、陽極と陰極の間に挟み込まれたイオン交換膜を有する少なくとも1つの膜電極接合体(MEA)と、MEAの両外側の流体流動フィールドプレートとからなる。流体流動フィールドプレートを通って、水素燃料および酸化剤がMEAに供給されて、電力が発生する。
【0003】
そのような燃料電池スタックでは、供給される水素および酸素の量を制御する、および/または壊れたり故障したりした単位燃料電池を発見するために、各単位セルの発電状態の管理が必要である。そのような管理を可能にするために、各単位セルの発生電圧が監視され、監視された電圧に基づいて制御が行われる。
【0004】
燃料電池スタック電圧を監視するために、流体流動フィールドプレートは、流体流動フィールドプレートと電気的に接触するように構成された電気コネクタによって接続される。
【0005】
先行技術、例えば特許文献1から、支持構造上に支持されて、その歯がバイポーラプレートに当接するように構成されることによって、電気接点が確立される、櫛形電気接触素子が知られている。そのようなコネクタの不都合な点は、多種多様である。第一に、使用するバイポーラプレートは、隣接するバイポーラプレートと電気接触素子とによって電気接点が確立され得るように一定の最小肉厚を有していなければならない。第二に、電気コネクタはバイポーラプレートから容易に外れるので、電気コネクタを燃料電池スタックに固定するために追加の固定要素が必要とされる。さらなる問題は、電気接点の歯の間の距離は、燃料電池スタックに嵌合するように慎重に設計しなければならないことである。このことにより、最小の製造上の公差のみが許容され、ひいては製造工程のコストと時間がかかることになる。
【0006】
さらに、燃料電池スタックの電圧を監視するためには、1枚のプレートの電圧が前のプレートの電圧と比較して測定されるように、各プレートは接触している必要がある。したがって、プレートは容易に省くことができない。プレートが省かれる場合(2つ以上の電気コネクタを用いることにより実現する可能性があり、その場合1枚のプレートのみが省かれることになる)、またはプレートを省くことなく2つの電気コネクタが使用される場合、前のプレートの参照が確立されたままであるように、第2の電気コネクタはジャンパーを介して第1の電気コネクタに連結されなければならない。1枚以上のプレートが省かれた場合、電圧はより多くのプレートで測定される。しかしながら、正しい電圧は前のプレートを参照することによってのみ測定することができるので、このことが誤った測定の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2003/0054220号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、燃料電池スタックに容易に固定することができ、燃料電池スタック電圧の柔軟な監視を可能にする電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1に係る燃料電池スタック電圧監視用の電気コネクタによって解決される。
【0010】
以下に、電気コネクタを開示する。電気コネクタは、少なくとも2つの別個のユニットからなり、各ユニットは複数のピンからなり、各ピンは燃料電池スタック電圧を監視するために燃料電池スタックのプレートに接触するように構成されている。各ユニットの第1のピンは、基準電圧の測定を行うように構成される。
【0011】
電気コネクタの各ユニットは、複数のピン(接続ピンとも呼ばれる)からなり、それらのピンのうちの1つは基準電圧を生成するために使用される。これは、第1のピン以外の各ピンは各ユニットの第1のピンによって生成される基準電圧に対する電圧を測定することになることを意味する。したがって、それによって各ユニットはそれ自体の基準電圧を生成するので要求するだけの数のセルまたはプレートを省くことが可能であり、ひいては基準電圧は燃料電池スタックの第1のプレートのみならず、第1のピンが接触したその他のプレートにおいても生成することができる。これにより、2枚以上のプレートも省くことができるので、電気コネクタの使用法が非常に可変的になる。
【0012】
第2のユニットの第1のピンと第1のユニットの最後のピンが同じプレートと接触する場合、第2のユニットの、第1のピン以外の各ピンは、第1のユニットの第1のピンによって生成される基準電圧に対する電圧を測定することができる。これは、この場合、第1のユニットの第1のピンおよび第2のユニットの第1のピン以外の各ユニットの各ピンは、ジャンパーを使用する必要なく第1のユニットの第1のピンによって生成される基準電圧に対する電圧を測定することができることを意味する。
【0013】
電気コネクタの可変的な使用法は、各ユニットが調整可能な数のピンからなる場合にさらに向上し得る。そのような実施形態では、ピンの個数はプレートの枚数に適応させてもよい。各ユニットは、異なる数のピンからなっていてもよい。
【0014】
一実施形態では、各ユニットは摩擦嵌合接続を用いて燃料電池スタックに取り付けられるように構成される。これは、ピンが燃料電池スタックに挿入され、電気コネクタをピンとプレートの摩擦によって燃料電池スタック内に保持することができることを意味する。追加の保持手段は必要ない。
【0015】
さらなる実施形態では、電気コネクタは、少なくとも2つのユニットに接続され、電気コネクタをセル電圧測定システムと接続するように構成されたプラグを備える。プラグは、片側がセル電圧測定システムに、反対側が電気コネクタのユニットに接続されるのに適したあらゆる種類の標準プラグであってよい。本実施形態では、少なくとも2つのユニットが同じプラグに接続される。
【0016】
別の実施形態では、電気コネクタは、少なくとも2つのプラグであって、各々が少なくとも2つのユニットの一方に接続されているプラグを備える。これは、各プラグが、片側がユニットの一方に、反対側がセル電圧測定システムに接続されることを意味する。
【0017】
さらなる実施形態では、各ユニットおよび/またはプラグは、プラスチック基板または印刷配線板等の剛性保持要素上に設けられる。これは、各ユニットのピンは剛性保持要素に取り付けられることを意味する。各ユニットの長さは、したがってピンの数もまた、剛性保持要素を切る長さによって調整することができる。したがって、電気コネクタおよび印刷回路板のアセンブリ全体は精密な公差に影響を受けないことになる。さらに、印刷配線板は熱膨張を支えることができる。
【0018】
各ユニットの第1のピンを定めることができ、したがってどのピンが基準電圧を生成するかを決めることができるので、剛性保持要素を2つ以上の部分に切ることによって1つのユニットを2つ以上のサブユニットに分けることさえも可能である。これにより、可能な限り細かな総セル数への分解が可能になる。この場合には、各サブユニットの第1のピンは基準電圧を生成するように決めることができる。
【0019】
さらなる実施形態では、プラグと少なくとも2つのユニットは、可撓性プラスチック材料に結合された導電路を介して接続される。可撓性プラスチック材料が使用されているので、接続部が容易に曲げられるようにユニットとプラグの互いに対する可変的な位置決めを達成することができる。
【0020】
さらに、ユニットがいくつかのサブユニットに切られて分けられる時、可撓性プラスチック材料は、1つのサブユニットに通じる導電路が別のサブユニットに通じる導電路から分離されるようにいくつかの接続部に切り分けることもできる。可撓性プラスチック材料により、接続ピンの場所を切り替えてスタックサイズを容易に変化させることが可能になる。
【0021】
プラグは、アナログ信号、すなわち接続ピンからの信号をセル電圧測定システムに提供するように構成してもよい。セル電圧測定システムでは、アナログ信号を解析することができ、解析の結果はデジタル信号として任意のさらなる処理または演算装置に提供することができる。プラグを介して提供されたアナログ信号は、バス等を介してセル電圧測定システムに送信することができる。したがって、解析とセル電圧測定システム内で実行されるさらなる処理は、遠く離れて位置していてもよい。これにより、燃料電池スタック内でセル電圧測定システム用のスペースが要求されることがないという利点がもたらされる。さらに、燃料電池スタックでの熱発生を減少させることができる。
【0022】
さらなる実施形態では、プラグは、プラグの位置決めを可変的にする取り付け要素を用いて、燃料電池スタックの保持要素、特に燃料電池スタックのハウジング要素に取り付け可能である。取り付け要素は、スクリューおよび/またはクリップであってよい。ハウジングは、例えば、燃料電池スタックの接触保護物または接触保護物のホルダであってよい。接触保護物は、押出成形プラスチックプロファイルまたはプロファイル保持ボードであってよい。ハウジングに使用される材料は、プラスチック、特に繊維強化プラスチック等の強化プラスチック製であってよい。
【0023】
取り付け要素は、様々な位置で保持要素に取り付けられるので、プラグの位置決めを可変的にすることができる。これは、例えば、穴を必要とせずにハウジングに取り付けることができるセルフタッピングスクリューを用いて実現することができる。
【0024】
さらなる実施形態では、1つのユニットのピンは少なくとも2列に配置される。これは、2つの連続的なピンは、2つの異なる列に配置され、したがって互いにオフセットされることを意味する。これにより、セルを非常に薄く設計することができるという利点がもたらされる。ピンは互いにオフセットされるので、互いに接触することなくセルと接触することになる。したがって、短絡を回避することができる。
【0025】
好ましくは、1つのユニットのピンは3列に配置される。そのため、3つの連続的なピンは3つの異なる列に配置され、したがって互いにオフセットされる。これにより、さらに薄いプレートが可能になる。
【0026】
さらなる実施形態によれば、少なくとも第1のユニットは、第1のピンがその上に配置される突出部を備えており、少なくとも第2のユニットは、突出部に対して合致するように形成されている凹部を備えているので、第1のユニットの突出部と第2のユニットの凹部が互いに嵌合する。この具体的な配置によって、1つの電気コネクタの第1のユニットの第1のピンは上記のように第2の電気コネクタの第2のユニットの最後のピンと同じプレートと接触することができるので、2つの電気コネクタによる1つのセルに対するデュアル接続が可能である。これは、デュアル接続性能と呼ぶこともできる。したがって、基準電圧は第1のユニットの第1のピンによって生成され、他のすべてのピンは、電気コネクタが接触する一番最初のプレートの電圧を参照して電圧を測定する。
【0027】
さらなる態様によれば、上記のような少なくとも2つの電気コネクタからなる電気コネクタ配置が提案される。
【0028】
そのような電気コネクタ配置では、各コネクタは1つのプラグを介してセル電圧測定システムと接続可能となる。したがって、電気コネクタの少なくとも2つのユニットが1つのプラグと接続される。
【0029】
1つの電気コネクタの各ユニットが1つのプラグを介してセル電圧測定システムと接続される場合、それぞれの電気コネクタは複数のプラグを用いてセル電圧測定システムと接続されることになる。
【0030】
また、それらの配置の組み合わせを使用してもよい。例えば、1つのプラグが2つ以上のユニットに接続されてもよく、さらなるプラグが単一ユニットのみに接続されてもよい。
【0031】
さらなる態様では、流体流動フィールドプレート、特にバイポーラプレートと、膜電極接合体からなる少なくとも2つの燃料電池ユニットと、上記のような少なくとも1つの電気コネクタとを備えた燃料電池スタックからなる燃料電池スタック配置が提案される。組み立てられた状態では、少なくとも2つのユニットのピンは、燃料電池スタック電圧を監視するために少なくとも2つの燃料電池ユニットの流体流動フィールドプレートと接触するように配置される。
【0032】
さらなる態様では、以下のステップ:少なくとも2つのユニットのピンを燃料電池スタックの流体流動フィールドプレートに接触させることによって上記の電気コネクタを燃料電池スタックに配置するステップであって、一方のユニットのピンは続いて配置された流体流動フィールドプレートを接続するステップと;各ユニットの第1のピンを使用して、ユニットによって接続された流体流動フィールドプレートの電圧監視用の基準電圧を決定するステップとからなる、燃料電池スタック電圧監視の方法が提案される。
【0033】
さらなる利点および好適な実施形態は、特許請求の範囲、明細書および図面において開示される。当業者であれば、示唆される特徴以外に提示される特徴を発明の範囲を拡張することなく組み合わせることが可能であることにさらに留意されたい。
【0034】
以下に、図に示される実施形態を用いて本発明を説明する。示される実施形態は、例示に過ぎず、保護範囲を限定することを意図したものではない。保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、2つの電気コネクタを備えた燃料電池スタックの第1概略図である。
【
図2】
図2は、2つの電気コネクタを備えた燃料電池スタックの第2概略図である。
【
図3】
図3は、3つの電気コネクタを備えた燃料電池スタックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下において、同一および同様の機能要素は同一参照番号で示されている。
【0037】
図1および
図2は、2つの電気コネクタ10(10-1,10-2)を備えた燃料電池スタック20の2つの概略図を示す。燃料電池スタック20は、2枚のモノポーラプレート21(陽極)および22(陰極)に挟まれた複数枚のバイポーラプレート23からなっている。プレート21,22,23は、流体流動フィールドプレートとも呼ばれる。
【0038】
燃料電池スタック20のプレート21,22,23を電気的に接触させるために、電気コネクタ10が設けられている。
図1および
図2に示す実施形態では、各電気コネクタ10-1,10-2が25枚のプレートと接触する。しかしながら、他のいかなる枚数のプレートであっても可能である。
【0039】
各電気コネクタ10-1,10-2は、3つのユニット11,12,13からなっている。各ユニット11,12,13は、プレート21,22,23に接触する複数の接続ピン1,2,3からなっている。各ユニット11,12,13は、導電路4,5,6を介してプラグ7に接続される。
【0040】
ユニット11,12,13の各々の第1のピン1は、基準電圧を生成するように構成されている。
図1において、ユニット11,12,13がいかなるプレートも省かずに配置され、2つの電気コネクタ10がいかなるプレートも省かずに配置されるので、下側の電気コネクタ10-1の第1のユニット11の第1のピン1以外の、ユニット11,12,13のピン1,2および3によって監視されている燃料電池スタックの電圧は、第1の電気コネクタ10-1の第1のピン1によって生成されている基準電圧に対して、すなわちモノポーラプレート21を参照して監視することができる。上側の電気コネクタ10-2の第1のピン1と下側の電気コネクタ10-1の最後のピン3は同じプレート24に接続されているので、この接続は一種のジャンパーとして機能する。
【0041】
これは、各電気コネクタ10の第1のユニット11が、第1のピン1がその上に配置される突出部14を備えているので容易になる。第3のユニット13は、突出部14に対して合致して形成されている凹部15を備えている。突出部14および凹部15は合致している。これは、
図4~
図7においても示されている。
【0042】
この配置により、
図1に示すように、上側の電気コネクタ10-2の第1のユニット11の第1のピンが燃料電池スタック20のプレート24の陽極と接触することができる、および下側の電気コネクタ10-1の第3のユニット13の最後のピン3が燃料電池スタック20の同じ流体流動フィールドプレート24の陰極と接触することができるという利点がもたらされる。前述したように、各プレート22,23,24の電圧は、下側の電気コネクタ10-1の第1のユニット11の第1のピン1によって生成されるモノポーラプレート21の電圧を参照して測定される。
【0043】
図2において、1枚のプレート24が電気コネクタ10間で省かれている。この場合、下側の電気コネクタ10-1の第1のユニット11の第1のピン1以外の、下側の電気コネクタ10-1のユニット11,12,13のピン1,2および3によって監視されている燃料電池スタックの電圧は、第1の電気コネクタ10-1の第1のピン1によって生成されている基準電圧に対して、すなわちモノポーラプレート21を参照して監視することができる。上側の電気コネクタ10-2の第1のユニット11の第1のピン1以外の、上側の電気コネクタ10-2のユニット11,12,13のピン1,2および3によって監視されている燃料電池スタックの電圧は、上側の電気コネクタ10-2の第1のユニット11の第1のピン1によって生成されている基準電圧に対して、すなわちプレート25を参照して監視することができる。したがって、電気コネクタ10間で流体流動フィールドプレートを省くことができる。
【0044】
図1および
図2でわかるように、接続ピン1,2,3は3列に配置され、したがって互いに変位またはオフセットされる。これにより、それらは互いに接触せずにプレート21,22,23と接触することができるという利点がもたらされる。したがって、短絡を回避することができる。しかしながら、他のいかなる数の列であっても可能である。
【0045】
各電気コネクタ10は3つのユニット11,12,13を有するように示されているが、他のいかなる数のユニットを使用してもよい。さらに、電気コネクタ10は、各々が異なる数のユニットおよび/または異なる数の接続ピンを有してもよい。
【0046】
図1および
図2に示す実施形態では、電気コネクタ10は、各々がセル電圧測定システム(図示せず)に連結することができるプラグ7に接続されている。各ユニット11,12,13を1つの別個のプラグ7と接続することも可能である。また、この配置のユニットおよびプラグの組み合わせも可能である。
【0047】
接続ピン1,2,3およびプラグ7は、可撓性プラスチック材料に結合されている導電路を介して接続してもよい。これは、
図3~
図7を参照してより詳細に示される。
【0048】
図3は、
図1および
図2の燃料電池スタック20の斜視図を示す。
【0049】
図に示すように、電気コネクタ10の接続ピン1,2,3は印刷配線板上に設けられている。プラグ7もまた印刷配線板上に設けてもよく、可撓性プラスチック材料、例えば印刷配線板の保護層と同じ材料に結合されている導電路を介して接続ピン1,2,3に接続される。
【0050】
プラグ7は、燃料電池スタック20のハウジング26に取り付けられている。ハウジング26は、燃料電池スタックの接触保護物であってよい。
図3に示す実施形態では、ハウジング26はスロット27を備えている。好適な実施形態では、プラグ7は、スロット27と係合するセルフタッピングスクリュー28によってハウジング26に取り付けられている。これにより、ハウジング26に既製の穴が必要ないので、プラグ7を燃料電池スタック20に取り付ける方法が可変的になる。
【0051】
電気コネクタ10の接続ピン1,2,3は、硬質板、例えば印刷配線板(PWB)上に配置されるので、電気コネクタ10の燃料電池スタック20への簡単な取り付けが可能になる。それらの電気コネクタ10は、接続ピン1,2,3とプレート21,22,23,24,25の間の摩擦によって燃料電池スタック20内に保持されるので、追加の保持要素は必要ない。
【0052】
さらに、接続ピンが印刷配線板上に設けられるので、ユニット11,12,13は
図4~
図7に示すように可変的にまとめることができる。これにより、いくつかの燃料電池スタック要件に対して調整可能である電気コネクタ10が提供される。
【0053】
特に、調整可能な数のピン1,2,3とプラグ7の可変的な取り付けとの組み合わせによって、電気コネクタ10の燃料電池スタック要件への適応の向上が可能になる。特に、燃料電池スタック20の寸法、例えばプレートの枚数への電気コネクタ10の微調整ができる。
【0054】
図4の電気コネクタ10は3つのユニット11,12,13からなっており、それらの各々が導電路4,5,6を介してプラグ7に接続されている。
【0055】
図4~
図7の実施形態では、各ユニット11,12,13は突出部14と、突出部14と合致する凹部15とを備えている。したがって、ユニット11,12,13を互いに隣接して配置することができ、その場合、ユニット12の突出部14はユニット11の凹部15に係合し、ユニット13の突出部14はユニット12の凹部15に係合する。
【0056】
必要とされる接続ピンが少ない場合、一部の接続ピン、好ましくは1つのユニットを容易に省くことができる。これは
図5において行われており、第3のユニット13が対応する導電路6と共に省かれている。したがって、電気コネクタ10は、
図4よりも少ない接続ピンを備えた2つのユニット11,12のみからなっている。
【0057】
前述したように、各ユニット11,12,13は、第1のピン1を介して生成されたそれ自体の基準電圧を有する。ユニット11,12,13のうちの一つの第1のピン1が燃料電池スタック要件(例えば燃料電池スタック20のサイズ)に対する調整のため省かれる場合、第1のピンの代わりをする別のピンが基準電圧を生成する。
【0058】
これは、
図6に示すように第1のユニット11に関して繰り返してもよい。
【0059】
可撓性の導電路4,5,6により、プラグ7および接続ピン1,2,3は
図7に示すようにオフセット方式で配置することができる。したがって、燃料電池スタック20およびハウジング26上に設けられている空間は、最適に利用することができる。
【0060】
上記のような電気コネクタ10の特定の配置により、燃料電池スタック内のプレートの接触の方法が可変かつ容易になり、燃料電池スタック電圧の監視の方法が改善される。
【0061】
複数の接続ピンを印刷配線板上に設けることができるので、プレートの接触を非常に可変的な方法で行うことができる。1つのユニットの1つ以上の接続ピンを省いて、可能な総プレート枚数の細かな決定を可能にすることができる。したがって、アセンブリ全体は精密な公差に影響を受けないことになる。さらに、印刷配線板は熱膨張を支えることができる。加えて、接続ピンの場所を切り替えてスタックサイズを容易に無制限に変化させることが可能になる。
【符号の説明】
【0062】
1 第1のピン
2 接続ピン
3 最後のピン
4,5,6 導電路
7 プラグ
10 電気コネクタ
11,12,13 ユニット
14 突出部
15 凹部
20 燃料電池スタック
21,22 モノポーラプレート
23 バイポーラプレート
24 プレート
25 プレート
26 ハウジング
27 スロット
28 スクリュー