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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20220228BHJP
   H02M 9/04 20060101ALI20220228BHJP
   H03K 4/06 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H02M1/08 311
H02M9/04
H03K4/06 063
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020057648
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158817
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】人見 基久
(72)【発明者】
【氏名】峰 陽介
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/040949(WO,A1)
【文献】特開平10-256881(JP,A)
【文献】特開2009-176749(JP,A)
【文献】米国特許第4275438(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H02M 9/04
H03K 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧供給先と前記電圧供給先に対して直列の負荷容量成分とを有する負荷が接続される出力端に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路、バイアス重畳回路及び制御回路を備え、
前記三角波発生回路は、
電圧源が接続される入力端側と前記バイアス重畳回路が接続される接続端側とに接続され、2つのスイッチ素子、2つのインダクタ及び1つの出力コンデンサを組み合わせ、前記出力コンデンサの両端電圧を前記接続端に出力するスイッチング回路を有し、
前記バイアス重畳回路は、
前記接続端側と前記出力端側とに接続され、前記三角波発生回路の前記接続端に出力される前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳する又は重畳しないの切り替えを行い、前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳した電圧又は重畳していない電圧を前記出力端に出力する回路構成であり、
前記制御回路は、
前記電圧供給先に前記印加電圧を供給する時に、前記出力コンデンサの両端電圧に前記一定電圧を重畳するように前記バイアス重畳回路を制御する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記三角波発生回路は、
前記2つのスイッチ素子を直列接続したスイッチング経路と前記出力コンデンサとが並列に接続されていること、
前記入力端の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の両端に接続されていること、
前記入力端の両端と前記スイッチング経路の両端との接続の一方が前記2つのインダクタの一方で接続されていること、及び
前記2つのスイッチ素子のいずれかに前記2つのインダクタの他方が接続されること
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記三角波発生回路は、
前記接続端側に対して、前記出力コンデンサ、前記2つのインダクタの一方、及び前記2つのスイッチ素子を直列接続したスイッチング経路がそれぞれ並列に接続されていること、
前記入力端の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の一端と前記2つのスイッチ素子の接続点に接続されていること、及び
前記入力端の一方と前記スイッチング経路の一端との接続、又は前記入力端の他方と前記2つのスイッチ素子の接続点との接続が前記2つのインダクタの他方で接続されていること
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記スイッチング経路は、前記2つのスイッチ素子のそれぞれに直列に接続する2つのダイオードを有しており、
前記制御回路は、
前記2つのスイッチ素子の一方を導通して、前記2つのインダクタの他方の電流を前記2つのスイッチ素子の一方と前記2つのダイオードの一方とを介して流し、
前記2つのスイッチ素子の他方を導通して、前記2つのインダクタの他方の電流を前記2つのスイッチ素子の他方と前記2つのダイオードの他方とを介して前記出力コンデンサに流す
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記スイッチング経路は、前記2つのダイオードの他方に追加コンデンサを並列に接続していることを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記バイアス重畳回路が前記出力コンデンサの両端電圧に前記一定電圧を重畳するとき、
前記一定電圧が前記電圧供給先に印加される電圧であり、
前記負荷容量成分の両端に発生する電圧波形の電圧変化率が前記入力端に入力される前記電圧源の電圧で調整される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記バイアス重畳回路は、
2つのバイアススイッチが並列し、前記バイアススイッチの一方に前記一定電圧を発生する直流電源が直列に接続されており、前記2つのバイアススイッチの他方がバイパス経路となる回路構成であり、
前記制御回路からの指示で、前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳するときに前記2つのバイアススイッチの一方を導通状態且つ前記2つのバイアススイッチの他方を非導通状態とし、前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳しないときに前記2つのバイアススイッチの一方を非導通状態且つ前記2つのバイアススイッチの他方を導通状態とし、
前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳することの終了時に、前記2つのバイアススイッチの一方を非導通状態した後、前記2つのバイアススイッチの他方を導通状態とする前に、前記バイパス経路を流れる電流を通過させるダイオードが他方の前記バイアススイッチに並列されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電源装置。
【請求項8】
前記バイアス重畳回路は、
2つのバイアススイッチが並列し、前記2つのバイアススイッチの一方に前記一定電圧を発生する直流電源が直列に接続されており、前記2つのバイアススイッチの他方がバイパス経路となる回路構成であり、
前記制御回路からの指示で、常に前記2つのバイアススイッチの一方を非導通状態且つ前記2つのバイアススイッチの他方を導通状態とすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電源装置。
【請求項9】
電圧供給先と前記電圧供給先に対して直列の負荷容量成分とを有する負荷が接続される出力端に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路及び制御回路を備え、
前記三角波発生回路は、
電圧源が接続される入力端側と前記出力端側とに接続され、2つのスイッチ素子及び2つのインダクタを組み合わせたスイッチング回路を有し、
前記制御回路は、
前記2つのインダクタの一方に流れる電流を前記出力端側に供給するとともに前記2つのスイッチ素子の一方を導通することで前記2つのインダクタの他方を短絡した閉回路を形成し、前記2つのスイッチ素子の他方を導通することで前記2つのインダクタの他方を流れる、前記2つのインダクタの一方に流れる電流とは逆向きの電流を前記出力端側に供給するように前記三角波発生回路を制御する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項10】
前記三角波発生回路は、
前記2つのスイッチ素子を直列接続したスイッチング経路を有すること、
前記入力端の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の両端に接続されていること、
前記入力端の両端と前記スイッチング経路の両端との接続の一方が前記2つのインダクタの一方で接続されていること、及び
前記2つのスイッチ素子のいずれかに前記2つのインダクタの他方が接続されること
を特徴とする請求項9に記載の電源装置。
【請求項11】
前記三角波発生回路は、
前記出力端側に対して、前記2つのインダクタの一方、及び前記2つのスイッチ素子を直列接続したスイッチング経路がそれぞれ並列に接続されていること、
前記入力端の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の一端と前記2つのスイッチ素子の接続点に接続されていること、及び
前記入力端の一方と前記スイッチング経路の一端との接続、又は前記入力端の他方と前記2つのスイッチ素子の接続点との接続が前記2つのインダクタの他方で接続されていること
を特徴とする請求項9に記載の電源装置。
【請求項12】
前記スイッチング経路は、前記2つのスイッチ素子のそれぞれに直列に接続する2つのダイオードを有しており、
前記制御回路は、
前記2つのスイッチ素子の一方を導通して、前記2つのインダクタの他方の電流を前記2つのスイッチ素子の一方と前記2つのダイオードの一方とを介して流し、
前記2つのスイッチ素子の他方を導通して、前記2つのインダクタの他方の電流を前記2つのスイッチ素子の他方と前記2つのダイオードの他方とを介して前記出力端側に供給する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電源装置。
【請求項13】
前記スイッチング経路は、前記2つのダイオードの他方に追加コンデンサを並列に接続していることを特徴とする請求項12に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電容量を有する負荷に電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧供給先と静電容量とが直列に接続された構成の負荷が存在する。当該電圧供給先に矩形波の電圧を供給しようとする場合、静電容量の存在のため当該負荷に印加する電圧は三角波(台形波)とする必要がある。このような三角波電圧を発生する電源装置が特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-208842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記負荷には比較的大きな電力が求められており、特許文献1の電源装置は、比較的大きな電力の三角波電圧を生成するためにオペアンプ(パワーアンプ)を使用する回路を有する。しかし、オペアンプを使用する電源装置は高価であり、電力損失も大きいという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、低価格で電力損失が小さい電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電源装置は、オペアンプを使用せず、リアクトル値が大きなチョークを定電流源とし、スイッチ素子によるスイッチングによって三角波電圧を生成することとした。
【0007】
具体的には、本発明に係る電源装置は、電圧供給先と電圧供給先に対して直列の負荷容量成分とを有する負荷が接続される出力端に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路、バイアス重畳回路及び制御回路を備え、
前記三角波発生回路は、
電圧源が接続される入力端側と前記バイアス重畳回路が接続される接続端側とに接続され、2つのスイッチ素子、2つのインダクタ及び1つの出力コンデンサを組み合わせ、前記出力コンデンサの両端電圧を前記接続端に出力するスイッチング回路を有し、
前記バイアス重畳回路は、
前記接続端側と前記出力端側とに接続され、前記三角波発生回路の前記接続端に出力される前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳する又は重畳しないの切り替えを行い、前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳した電圧又は重畳していない電圧を前記出力端に出力する回路構成であり、
前記制御回路は、
前記電圧供給先に前記印加電圧を供給する時に、前記出力コンデンサの両端電圧に前記一定電圧を重畳するように前記バイアス重畳回路を制御する
ことを特徴とする。
【0008】
本電源装置は、オペアンプを使用せず、スイッチ素子の切り替えで三角波電圧を生成する。従って、本発明は、低価格で電力損失が小さい電源装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、低価格で電力損失が小さい電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電源装置を説明する図である。
図2】本発明に係る電源装置を説明する図である。
図3】本発明に係る電源装置の動作を説明する図である。
図4】本発明に係る電源装置の動作を説明する図である。
図5】負荷の等価回路を説明する図である。
図6】本発明に係る電源装置を説明する図である。
図7】本発明に係る電源装置を説明する図である。
図8】本発明に係る電源装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の電源装置301を説明する図である。電源装置301は、電圧供給先Xと負荷コンデンサC7が直列に接続されている負荷50に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路10、バイアス重畳回路20及び制御回路40を備え、
三角波発生回路10は、
例えば、定電圧源(直流電源)V1などの電圧源が接続される入力端T1側とバイアス重畳回路20が接続される接続端T2側とに接続され、2つのスイッチ素子、2つのインダクタ及び1つの出力コンデンサを組み合わせ、前記出力コンデンサの両端電圧を接続端T2に出力するスイッチング回路を有し、
バイアス重畳回路20は、
接続端T2側と出力端T3側とに接続され、三角波発生回路10の接続端T2に出力される前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳する又は重畳しないの切り替えを行い、前記出力コンデンサの両端電圧に一定電圧を重畳した電圧又は重畳していない電圧を出力端T3に出力する回路構成であり、
制御回路40は、
電圧供給先Xに前記印加電圧を供給する時に、前記出力コンデンサの両端電圧に前記一定電圧を重畳するようにバイアス重畳回路20を制御することを特徴とする。
なお、電圧供給先Xに印加電圧を供給する期間全てにわたって前記一定電圧を重畳することだけでなく、電圧供給先Xに印加電圧を供給する期間の一部だけ前記一定電圧を重畳することでもよい。
【0013】
電源装置301は、三角波発生回路が生成した所定周波数の三角波(台形波)の電圧に対し、バイアス重畳回路20が当該三角波(台形波)の周期内であって電圧値が一様に変動する時間に一定電圧を重畳する。このような一定電圧が重畳した三角波(台形波)の出力電圧を負荷50に供給することで、当該出力電圧のうち三角波(台形波)成分が負荷コンデンサC7に、一定電圧成分が電圧供給先Xに分圧される。負荷50は、電圧供給先Xに対して直列の負荷容量成分(負荷コンデンサC7)を有している。
【0014】
図2は、三角波発生回路10とバイアス重畳回路20の具体的な回路構成を説明する図である。三角波発生回路10は、
2つのスイッチ素子(SW1、SW2)を直列接続したスイッチング経路と出力コンデンサC6とが並列に接続されていること、
入力端T1の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の両端に接続されていること、
入力端T1の両端と前記スイッチング経路の両端との接続の一方がインダクタL1で接続されていること、及び
2つのスイッチ素子(SW1、SW2)のいずれかにインダクタL2が接続されること
を特徴とする。
図2の三角波発生回路10aは、三角波発生回路10の一例であり、
入力端T1と接続端T2とに接続され、出力コンデンサC6の入力端T1側に2つのスイッチ素子(SW1、SW2)を直列接続したスイッチング経路を出力コンデンサC6と並列に接続し、
入力端T1と出力端T3との経路上であって、前記スイッチング経路の入力端T1側にインダクタL1を接続し、
前記スイッチング経路のスイッチ素子SW1に並列にインダクタL2を接続している
ことを特徴とする。
また、バイアス重畳回路20は、2つのバイアススイッチ(SW3、SW4)が並列し、バイアススイッチSW4に一定電圧を発生する直流電源V2が直列に接続されており、バイアススイッチSW3がバイパス経路となる回路構成である。
【0015】
図2において、V1とV2は直流電源、SW1~SW4はスイッチ素子である。ここでは寄生ダイオードや寄生容量のない理想的なスイッチ素子として説明する。また、負荷コンデンサC7はブロッキングコンデンサである。インダクタL1とL2はチョークコイルである。
【0016】
インダクタL1のインダクタンスを大きく(例えば、10mH)することで、リップル電流を抑えることができ、インダクタL1を定電流源とみなすことができる。後述するようにインダクタL1からの電流が負荷50に流れるので、リップル電流を制限する能力(インダクタL1のインダクタンス)が電圧供給先Xに印加される電圧Vxの精度に反映する。また、インダクタL2は、負荷50側に対して、インダクタL1とは逆向きの電流を供給することができるように接続し、動作させる。
【0017】
[定電流負荷時の動作]
電圧供給先Xが印加電圧に関わらず一定の電流が流れる定電流負荷(図5(A)参照、ダイオード側のときは抵抗値ゼロで電流が流れる)のとき、具体的な電源装置301の動作を図3を用いて説明する。
図3は、各スイッチ素子SWの駆動信号(信号がある時がオン、すなわち導通状態)、負荷コンデンサC7の両端電圧VC7及び電圧供給先Xに印加される電圧Vの波形を説明する図である。制御回路40から各スイッチ素子SWに駆動信号が入力される。
【0018】
期間aでは、スイッチ素子SW1のみがオンし、導通状態である。このとき、インダクタL1の電流は、インダクタL1、直流電源V1、出力コンデンサC6、インダクタL1の順で流れる。後述する期間hで蓄電された出力コンデンサC6は放電するので、期間aで出力コンデンサC6の両端電圧VC6が低下する。
【0019】
また、期間aでは、スイッチ素子SW2がオフ(信号がない時、すなわち非導通状態)、スイッチ素子SW1がオンなので、インダクタL2がスイッチ素子SW1で短絡された閉回路が形成される。
【0020】
期間b以降では、スイッチ素子SW3とSW4のオンオフの制御がなされる。図2の場合、制御回路40は、出力コンデンサC6の両端電圧VC6に一定電圧を重畳するときに一方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW4)をオン且つ他方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW3)をオフとし、出力コンデンサC6の両端電圧VC6に一定電圧を重畳しないときに一方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW4)をオフ且つ他方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW3)をオンとする。
【0021】
期間bでは、スイッチ素子4がオンとなる。インダクタL1の電流は出力コンデンサC6と負荷50の双方に流れ、いずれの電流も定電流となる。電圧供給先Xに流れる電流値をIxとする。電圧供給先Xに流れる電流は負荷コンデンサC7にも流れる。このため、負荷コンデンサC7の両端電圧VC7は時間とともに一定の割合で変化していく。
【0022】
ここで、インダクタL1の電流IL1
L1=Ix(1+CC6/CC7
となるように直流電源V1の電圧を設定することで、出力コンデンサC6の両端電圧と負荷コンデンサC7の両端電圧の傾き(電圧の時間変動の傾き)が同じになる。なお、CC6とCC7は出力コンデンサC6と負荷コンデンサC7の静電容量を表す。
【0023】
この期間に、スイッチ素子SW4をオンすると、出力コンデンサC6と直列に直流電源V2が接続することになるので、出力端T3には出力コンデンサC6の両端電圧と直流電源V2の電圧VV2の合算値が出力される。出力端T3の電圧は負荷50の負荷コンデンサC7と電圧供給先Xに分圧される。出力コンデンサC6の両端電圧と負荷コンデンサC7の両端電圧とは同じ比率なので、電圧供給先Xには直流電源V2の電圧VV2で決定される電圧が印加されることになる。つまり、電圧供給先Xに印加したい電圧を直流電源V2の電圧VV2で設定することができる。
【0024】
ここで、スイッチ素子SW4をオンするタイミングは、期間aで低下してきた出力コンデンサC6の両端電圧VC6が、負荷コンデンサC7の両端電圧VC7と略同じ電圧となったときが好ましい。両端電圧VC6と両端電圧VC7とが略同じであれば、電圧供給先Xに印加される電圧は直流電源V2の電圧に略等しくなるため、電源装置301の設定が容易になる。
【0025】
なお、期間bでも、スイッチ素子SW2がオフ、スイッチ素子SW1がオンなので、インダクタL2がスイッチ素子SW1で短絡された閉回路が形成される。
【0026】
続いて、期間cにてスイッチ素子SW4がオフ、スイッチ素子SW3がオンとなる。このとき、インダクタL1の電流は、インダクタL1、直流電源V1、出力コンデンサC6、インダクタL1の順で流れる電流と、インダクタL1、直流電源V1、電圧供給先X、負荷コンデンサC7、スイッチ素子SW3、インダクタL1の順で流れる電流とがある。
【0027】
このとき、スイッチ素子SW3に並列にダイオードが接続されているもしくは寄生ダイオードがある場合、スイッチ素子SW3とSW4の双方を同時にオフの状態を作ることが好ましい。つまり、出力コンデンサC6の両端電圧VC6に一定電圧を重畳することの終了時に、一方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW4)をオフした後、他方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW3)をオンとする前に、前記バイパス経路を流れる電流を通過させるダイオード(不図示)が他方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW3)に並列されている。
【0028】
スイッチ素子SW4をオフすることで、負荷50を流れていた電流がスイッチ素子SW3の並列ダイオードもしくは寄生ダイオードを経由して流れることになる。その間にスイッチ素子SW3をオンするとゼロボルトスイッチング(ZVS)をすることができ、スイッチング損失を低減できる。
一方、直流電源V2が短絡しないように、スイッチ素子SW3とSW4の双方が同時にオンとしないようにスイッチングする必要がある。
【0029】
なお、期間cでも、スイッチ素子SW2がオフ、スイッチ素子SW1がオンなので、インダクタL2がスイッチ素子SW1で短絡された閉回路が形成される。
【0030】
期間dにてスイッチ素子SW1がオフ、スイッチ素子SW2がオンとなる。この期間では、インダクタL2の電流は、インダクタL2、スイッチ素子SW2、インダクタL1、直流電源V1、インダクタL2に流れる電流と、インダクタL2、スイッチ素子SW2、出力コンデンサC6、インダクタL2に流れる電流と、インダクタL2、スイッチ素子SW2、スイッチ素子SW3、負荷コンデンサC7、電圧供給先X、インダクタL2に流れる電流とがある。
【0031】
スイッチ素子SW2がオンとなることで負荷50を流れる電流及び出力コンデンサC6を流れる電流の方向が期間b、cでの電流の方向と逆になる。負荷50に流れる電流の向きが逆になることで負荷コンデンサC7に蓄積されていたエネルギーが放電されることになる。ここで、インダクタL2は次のような効果がある。負荷50に流れる電流の経路にインダクタL2があるので、インダクタL2は、負荷コンデンサC7に蓄積されていたエネルギーが一気に放電し、回路内に大きな電流が流れることを防止できる。
負荷コンデンサC7に蓄積されていたエネルギーが放電された後も負荷50に電流が流れ続けるので、負荷コンデンサC7には逆向きにエネルギーが蓄積され、負荷コンデンサC7の両端電圧VC7が上昇し始める。
また、出力コンデンサC6を流れる電流の向きが逆になることで、出力コンデンサC6にエネルギーが蓄積され、その両端電圧VC6が上昇する。
【0032】
なお、スイッチ素子SW1及びスイッチ素子SW2の導通、非導通状態の切替時に、インダクタL2の電流の経路が無くなることを防止するために、双方のスイッチ素子が同時に非導通状態としないようにする。双方のスイッチ素子を同時に非導通状態にすることを確実に回避するため、ダイオードを回路に挿入し、スイッチ素子SW1とSW2とが同時に導通状態になってもスイッチング経路が短絡しないようにする。
【0033】
具体的には、前記スイッチング経路は、2つのスイッチ素子(SW1、SW2)のそれぞれに直列に接続する2つのダイオード(D5、D6)を有している。
図2では、ダイオードD6をアノードを接続点Tc側とし、カソードをスイッチ素子SW1に直列接続し、ダイオードD5をアノードを接続点Tc側にあるスイッチ素子SW2に直列接続していることを特徴とする。
制御回路40は、
スイッチ素子SW1を導通して、インダクタL2の電流をスイッチ素子SW1とダイオードD6とを介して流し、
スイッチ素子SW2を導通して、インダクタL2の電流をスイッチ素子SW2とダイオードD5とを介して出力コンデンサC6に流す。
【0034】
ダイオードD5は、インダクタL2を流れる電流が、スイッチ素子SW2を導通時に、ダイオードD5を順方向に流れて出力端T3側に流れるように接続する。また、ダイオードD6は、インダクタL2を流れる電流が、スイッチ素子SW1を導通時に、ダイオードD6を順方向に流れる閉回路を形成するように接続する。
【0035】
このようにダイオード(D5、D6)を挿入することで、スイッチ素子SW1とSW2が同時にオンとなってもスイッチング経路(ダイオードD5、スイッチ素子SW2、ダイオードD6、スイッチ素子SW1)の短絡を防ぐことができる。
【0036】
期間eにてスイッチ素子SW3をオフとし、接続端T2と負荷50とを電気的に切り離す。この期間では、インダクタL2の電流は、インダクタL2、スイッチ素子SW2、インダクタL1、直流電源V1、インダクタL2に流れる電流と、インダクタL2、スイッチ素子SW2、出力コンデンサC6、インダクタL2に流れる電流とがある。
【0037】
期間eの後、前述した期間aとなるが、この期間の遷移時にもスイッチ素子SW1とSW2が同時に非導通状態とならないようにする。
【0038】
前記スイッチング経路は、追加コンデンサC5をダイオードD5に並列接続していることが好ましい。追加コンデンサC5が並列に接続されるダイオードD5は、インダクタL2の電流を出力端T3側に供給するときに導通する。
スイッチ素子SW2がオフであってもダイオードD5の内部容量やスイッチ素子SW2の寄生容量により電流が流れることがある(本電流を「漏洩電流」と記載する。)。特に期間cにおいて、ダイオードD5の内部容量やスイッチ素子SW2の寄生容量に流れる電流が変動した場合、回路全体の電流が変動し、電圧供給先Xに印加する電圧Vxが変動することになるので、電圧Vxの変動を防止するためには漏洩電流を一定に保つようにする。そこで、ダイオードD5の内部容量を追加コンデンサC5で増補し、漏洩電流が変動しないようにすることができる。
【0039】
[定抵抗負荷時の動作]
電圧供給先Xが印加電圧に関わらず一定の電気抵抗を持つ定抵抗負荷(図5(B)参照、ダイオード側に電流が流れるときは抵抗値はゼロ)のとき、制御回路40は、常に一方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW4)をオフ且つ他方の前記バイアススイッチ(スイッチ素子SW3)をオンとする。
具体的な電源装置301の動作を図4を用いて説明する。
図4は、各スイッチSWの駆動信号(信号がある時がオン、すなわち導通状態)、負荷コンデンサC7の両端電圧VC7及び電圧供給先Xに印加される電圧Vの波形を説明する図である。本実施例では、スイッチ素子SW3をオン、スイッチ素子SW4をオフ(信号がない時)、すなわちオンさせずに非導通の状態を維持する。
【0040】
期間gでは、略一定とみなせるインダクタL1を流れる電流IL1が出力コンデンサC6と負荷コンデンサC7の静電容量比に分流して負荷50と出力コンデンサC6に流れる。このため、定抵抗値の電圧供給先Xに一定電流が流れるため、電圧供給先Xには定電圧V2が印加されることになる。
【0041】
なお、この期間では、スイッチ素子SW2がオフ、スイッチ素子SW1がオンなので、インダクタL2がスイッチ素子SW1で短絡された閉回路が形成される。
【0042】
期間hでは、スイッチ素子SW2がオン、スイッチ素子SW1がオフなので、インダクタL2を流れる電流が期間gとは逆向きに負荷50と出力コンデンサC6に流れる。ここで、電圧供給先Xの等価回路は図5(B)なので、この期間では電流はほぼ無抵抗のダイオードへ流れ、電圧供給先Xには定電圧は印加されない。
【0043】
なお、スイッチ素子SW1及びスイッチ素子SW2の導通、非導通状態の切替時に、インダクタL2の電流の経路が無くなることを防止するために、双方のスイッチ素子が同時に非導通状態としないようにする。双方のスイッチ素子を同時に非導通状態にすることを確実に回避するため、定電流負荷の例で説明したように、ダイオード(D5、D6)を回路に挿入し、導通状態になってもスイッチング経路が短絡しないようにする。このとき、追加コンデンサC5をダイオードD5に並列接続してもよい。
【0044】
なお、本電源装置の電力供給先が定抵抗負荷である場合、スイッチ素子SW4を導通させないので、スイッチ素子SW4と直流電源V2を装備しなくてもよい。また、出力コンデンサC6も不要であるため装備しない、あるいは容量を小さくしておくことができる。
【0045】
つまり、図7のような電源装置回路303とすることができる。電源装置回路303は、電圧供給先Xとこれに直列する負荷容量成分C7とを有する負荷50が接続される出力端T3に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路10c及び制御回路40を備え、
三角波発生回路10cは、
電圧源V1が接続される入力端T1側と出力端T3側とに接続され、2つのスイッチ素子(SW1、SW2)及び2つのインダクタ(L1、L2)を組み合わせたスイッチング回路を有し、
制御回路40は、
インダクタL1に流れる電流を出力端T3側に供給するとともにスイッチ素子SW1を導通することでインダクタL2を短絡した閉回路を形成し、スイッチ素子SW2を導通することでインダクタL2を流れる、インダクタL1に流れる電流とは逆向きの電流を出力端T3側に供給するように三角波発生回路10cを制御する。
【0046】
ここで、三角波発生回路10cは、
2つのスイッチ素子(SW1、SW2)を直列接続したスイッチング経路を有すること、
入力端T1の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の両端に接続されていること、
入力端T1の両端と前記スイッチング経路の両端との接続の一方がインダクタL1で接続されていること、及び
前記2つのスイッチ素子のいずれかにインダクタL2が接続されること
を特徴とする。
【0047】
ダイオード(D5、D6)及び追加コンデンサC5については図2の三角波発生回路10aの説明と同じである。また、三角波発生回路10cの動作は、図4の説明と同じである。
【0048】
(回路構成のバリエーション)
図2に示す回路構成は、本実施形態の一例であって、例えば、インダクタL2は端子T12側に接続されてもよく、回路Cは端子T32側に接続されてもよく、接続回路Aと回路Bとを入れ替えた構成であってもよい。又は、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0049】
(実施形態2)
図6は、本実施形態の電源装置302を説明する図である。電源装置302は三角波発生回路10の回路構成が図2の電源装置301と異なる、三角波発生回路10bを備える。三角波発生回路10は、
接続端T2側に対して、出力コンデンサC6、インダクタL1、及び2つのスイッチ素子(SW1、SW2)を直列接続したスイッチング経路がそれぞれ並列に接続されていること、
入力端T1の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の一端と2つのスイッチ素子(SW1、SW2)の接続点Tcに接続されていること、及び
入力端T1の一方と前記スイッチング経路の一端との接続、又は入力端T1の他方と前記2つのスイッチ素子の接続点Tcとの接続がインダクタL2で接続されていること
を特徴とする。三角波発生回路10bでは、スイッチング経路の2つのスイッチ素子(SW1、SW2)の接続点Tcと入力端T1とをインダクタL2で接続している。
【0050】
制御回路40が行うスイッチング素子SW1~SW4のスイッチング制御(オンオフのタイミング)は実施形態1の制御と同じ(図3又は図4と同じ)である。
【0051】
三角波発生回路10が三角波発生回路10bの構成であっても、電源装置302は、実施形態1の電源装置301のように動作する。また、ダイオード(D5、D6)や追加コンデンサC5を接続してもよい。
【0052】
なお、本電源装置の電力供給先が定抵抗負荷である場合、スイッチ素子SW4を導通させないので、スイッチ素子SW4と直流電源V2を装備しなくてもよい。また、出力コンデンサC6も不要であるため装備しない、あるいは容量を小さくしておくことができる。
【0053】
つまり、図8のような電源装置回路304とすることができる。電源装置304は、電圧供給先Xとこれに直列する負荷容量成分C7とを有する負荷50が接続される出力端T3に印加電圧を供給する電源装置であって、
三角波発生回路10d及び制御回路40を備え、
三角波発生回路10dは、
電圧源V1が接続される入力端T1側と出力端T3側とに接続され、2つのスイッチ素子(SW1、SW2)及び2つのインダクタ(L1、L2)を組み合わせたスイッチング回路を有し、
制御回路40は、
インダクタL1に流れる電流を出力端T3側に供給するとともにスイッチ素子SW1を導通することでインダクタL2を短絡した閉回路を形成し、スイッチ素子SW2を導通することでインダクタL2を流れる、インダクタL1に流れる電流とは逆向きの電流を出力端T3側に供給するように三角波発生回路10cを制御することを特徴とする。
【0054】
ここで、三角波発生回路10dは、
出力端T3側から順にインダクタL1、及び前記2つのスイッチ素子を直列接続したスイッチング経路が並列に接続されていること、
入力端T1の両端がそれぞれ前記スイッチング経路の一端と2つのスイッチ素子(SW1、SW2)の接続点Tcに接続されていること、及び
入力端T1の一方と前記スイッチング経路の一端との接続、又は入力端T1の他方と前記2つのスイッチ素子の接続点Tcとの接続がインダクタL2で接続されていること
を特徴とする。
【0055】
ダイオード(D5、D6)及び追加コンデンサC5については図2の三角波発生回路10aの説明と同じである。また、三角波発生回路10dの動作は、図6の説明と同じである。
【0056】
(回路構成のバリエーション)
図6に示す回路構成に示す回路構成は、本実施形態の一例であって、例えば、インダクタL2は端子T12側に接続されてもよく、回路Cは端子T32側に接続されてもよく、接続回路Aと回路Bとを入れ替えた構成であってもよい。又は、これらを組み合わせたものであってもよい。
【0057】
なお、実施形態1及び2で説明した電源装置は、定電流負荷時も定抵抗負荷時も、スイッチ素子SW1を導通させてインダクタL2をスイッチ素子SW1で短絡した閉回路を形成するとともにインダクタL1に流れる電流を出力端T3側に供給し、スイッチ素子SW2を導通させてインダクタL2に流れる前記インダクタL1に流れる電流とは逆向きの電流を出力端T3側に供給する動作が共通する。
【0058】
電源装置(301、302)は、リアクトル値が大きなチョーク(L1)を定電流源として利用することで、スイッチングによって三角波電圧を生成する。電源装置(301、302)は、定電流負荷や定抵抗負荷に対応しており、オペアンプで構成される電源装置に比べて安価かつ低損失に台形波電圧を発生可能である。
【0059】
本発明の実施の形態に係る電源装置を、一例として主に図1から図8を用いて説明したが、各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択的に採用したものも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
10、10a、10b:三角波発生回路
20:バイアス重畳回路
50:負荷
301、302:電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8