(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】手提げバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/04 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
A45C3/04 D
(21)【出願番号】P 2020067891
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2020-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】515215128
【氏名又は名称】田中 容子
(72)【発明者】
【氏名】田中 容子
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-028120(JP,U)
【文献】実開昭61-166987(JP,U)
【文献】特開2002-238635(JP,A)
【文献】特開2005-132456(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204534(JP,U)
【文献】実開昭54-106908(JP,U)
【文献】特開2008-133047(JP,A)
【文献】特開平09-310207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/04
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
前記袋部の内側に非透水性の表面加工を施したことを特徴とする請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載の手提げバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生花、造花の花束やフラワーアレンジメントされた花などを損なうことなく、携帯して運搬するための手提げバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
切り花、枝物等の生花は、水気を含み、またわずかな接触によっても花弁が痛むなど極めて損傷を受けやすいデリケートなものであることから、従来から、包み紙やフィルムなどにより包装し、下方の部分(グリップ部)を紐などで束ね、特許文献1に記載される手提げ袋や、特許文献2に記載される手提げ袋のサイドに形成されたポケットに入れて、持ち運ぶことが行われている。
【0003】
一方、特許文献3に記載されているように、長方形の2枚の防水性布片を重ね合わせて一方の長編において接合し、他方の長辺をファスナーにより開閉自在な接合した袋状の生花運搬専用バッグで、持ち運ぶことが行われている。
【先行技術文献】
【0004】
【文献】実用新案第3000307号公報
【文献】特開平11-334744号公報
【文献】実用新案第3014636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常の花束は、重心が上部にあるため、特許文献1に記載されている一般的な生花用の手提げバッグでは、バランスが取りづらく、花束が大きく傾いたり、転がり出たりして不便であった。また持ち手部分に花束の一番花が多い美しい部分が当たり、花の部分を痛めてしまうという不具合があるという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載されている包装用袋の側部に形成されたポケットに花束を入れる場合、数が多い花束の収納には限界があり、またポケット上部に出た花の部分が痛むという課題があった。またフラワーアレンジメントのように平面的に広いものは、収納することができない課題があった。
【0007】
また、特許文献3に記載されている生花運搬用バッグは、横向きに使用するものであり、運搬時に人にぶつかるという不都合が発生したり、またフラワーアレンジメントのように平面的に広いものは、収納することができない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の手提げバッグは、矩形の上部開口部と矩形の底部とを有する袋体を備えた手提げバッグにおいて、前記底部に開口部を有するとともに、花束のグリップを挿入することができる前記開口部に連通する袋部を備えており、前記袋部の前記開口部は、前記底部の長辺の長手方向に偏在しているとともに、前記袋部の前記開口部の中心位置と袋部の下端部の中心位置とを結ぶ線分の方向が前記底部に対して斜めになっており、前記底部に着脱自在であり、かつ、折り畳み自在な底板であって、当該底板の長手方向と直交する折線が当該底板の長手方向の中央よりも端部に偏在している底板を有することに特徴を有する手提げバッグである。
【0009】
また請求項2の発明は、矩形の上部開口部と矩形の底部とを有する袋体を備えた手提げバッグにおいて、前記底部に開口部を有するとともに、花束のグリップを挿入することができる袋部を備えており、前記底部に着脱自在であり、かつ、折り畳み自在な底板であって、折線が当該底板の長手方向の中央から端部に偏在している底板を有することを特徴とするものである。
【0010】
また請求項2の発明は、前記袋部は前記開口部を通して反転し、前記底部上に折り畳むことが可能なように形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項3の発明は、前記袋部の前記開口部は、円形または多角形を形成することを特徴とするものである。
【0012】
また請求項4の発明は、前記袋部の前記開口部は、下方に向けて先細りに形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項5の発明は、前記袋部の内側に非透水性の表面加工を施したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の手提げバッグにより、花束の飛び出しや落下、花自体を痛めることなく花束やフラワーアレンジメントを持ち運ぶことができる。花以外でも通常の手提げバッグとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の手提げバッグを示す斜視図である。
【
図2】(a)は袋部を内側に畳んだ状態を示す上面図である。[底
部開口部の形状が四角形] (b)は袋部の開口部の斜視図である。[底
部開口部の形状が三角形] (c)は袋部の開口部の斜視図である。[底
部開口部の形状が六角形] (d)は袋部の開口部の斜視図である。[底
部開口部の形状が円形]
【
図3】本発明に使用される底板を示す上面図である。
【
図4】本発明の花束の使用状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明のフワラーアレンジメントの使用状態を示す斜視図である。
【
図6】従来の手提げバッグの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好適な一実施例について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本実施形態の手提げバッグを示す斜視図である。手提げバッグ1は完全に拡開した状態では上方に開いた箱状となる形状である袋体4であり、上部開口部2と底部3を備える。底部には、花束の下方の茎の部分[グリップ部]を収納するための袋部5が具備されている。
【0019】
袋体4の大きさは、花束などの大きさによって異なるが、一般的な花束およびフラワーアレンジメントの大きさを考慮して、横32cm~40cm、縦20cm~22cm、高さ30cm~33cm程度の大きさの手提げバッグが好適である。また上部開口部には、持ち手7を設けることにより、手提げバッグの持ち運びが便利になる。持ち手の長さを肩にかけることができる長さを40cm~50cmとすることにより、さらに手提げバッグの持ち運びを簡便にすることができる。
【0020】
本発明による手提げバッグの材料としては、収納された花に大きなダメージが及ばないようにするため、さらに手提げバッグを使用しない時には各壁部分を自由に折り畳むことにより手提げバッグ自体の容積を最小化できるようにするため、不織布や樹脂シートなどが使用されるが、耐久性や色彩(印刷性)などの観点から不織布が好適である。
【0021】
不織布としては、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ビニロン、ナイロン、ポリエチレンなどが使用されるが、加工性、機能性、装飾性やコストの観点から、ポリプロピレンが好適である。紙としては、上質紙や中質紙の表面をコーティングしたコート紙やクラフト紙が使用される。コート紙は、表面に微光沢があるのが特徴であり、印刷特性に優れており写真など画質を求められる内容もきれいに印刷することができる。シートとしては、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンやポリプロピレンなどが使用される。また、紙と樹脂シートを組み合わせて使用することもできる。
【0022】
袋部5は、花束の下方の茎の部分を収納するためのものであり、花束を袋体4に斜めに配置するために、袋部5の底
部開口部6の中心の位置は、袋体4の底部の長辺の長手方向に偏在させている。また、袋部5は、手提げバッグの運搬中に花束のグリップ部の動きが少なくなるように、また、
図2に示すように袋部5を底部3に折り畳みしやすいようにするために、底部下方に向けて、花束のグリップが下方に向けて先細りになっている形状に合わせて、先細りに形成されている。一方、袋部5の底
部開口部6の形状は、袋部5の底部3に形成する方法によって、四角形(a)、三角形(b)、六角形(c)などの多角形や円形(d)が採用される。袋部5は、基本的に細長台形状の2枚の不織布を縫製してなり、袋部5の上部は底
部開口部6の形状に合わせて底部3に縫製され、2つの側辺部は重ねて縫製され、2つの底辺も重ねて縫製される。
【0023】
袋部5の接着加工する方法は、縫製に限らず色々な方法がある。例えば、接着剤として樹脂を使って化学的に接着する方法(ケミカルボンド)、両面テープで貼り付ける方法、加熱して融着させる方法、(サーマルボンド)、ホッチキスで止める方法、カギ付きの針で機械的に絡ませる方法(ニードルパンチ)などがあるが、手提げバッグの仕様やコストなどによって、適時選択することができる。
【0024】
花束の茎の先端部から水分が流出する場合や逆に積極的に水を貯水する場合もあることから、袋部5の内側に非透水性の表面加工を施す場合がある。不織布の表面加工処理方法としては、不織布にポリエチレンなどの樹脂シートを熱コーティングする方法等がある。また、袋部5の素材として樹脂シートを使用する方法もある。
【0025】
花束を袋体4に収納しない場合は、袋部5を底部上で折り畳み、さらに底板9を配置することによって、フラワーアレンジメントを安定して収納することができる。また、通常の手提げバッグとして使用することもできる。底板9の材質は、樹脂の薄板、プラスチックダンボールや厚紙等が使用できるが、強度や耐久性の観点から、樹脂の薄板やプラスチックダンボールが好適に使用される。
【0026】
図3に示すように底板9に折線10を底板9の長手方向の中央若しくは端部方向に偏在する位置に入れることによって、折り畳むことできる。
図4に示すように花束を袋体4に収納する場合は、底
部開口部6の反対側に向けて底板9を折れ線10に沿って折り畳むことによって、底
部開口部6から花束のグリップを袋部5に収納することができることから、花束を安定的に収納し、かつ、花を傷つけることがなく、美しい状態のまま持ち運ぶことができる。
【実施例2】
【0027】
図5はフラワーアレンジメントの使用状態を示す斜視図である。底板9を伸ばして底部3に配置することによって、底部3の強度が向上することができ、フラワーアレンジメントを安定的に収納し、かつ、花を傷つけることなく、美しい状態のままで持ち運ぶことができる。また、フラワーアレンジメントを使用しない場合は、普通の手提げバッグとして多目的に使用することができる。
【0028】
以上は,本発明の好ましい実現可能な実施例にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【比較例1】
【0029】
図6は、従来の手提げバッグの使用状態を示す斜視図である。通常の花束は、重心が上部にあるため、一般的な生花用の手提げバッグでは、バランスが取りづらく、花束が大きく傾いたり、転がり出たりして不便であった。また、持ち手部分に花束の一番花が多い美しい部分が当たり、花の部分を傷めてしまうという課題がある。手提げバッグの縦方向の長さを大きくすればよいが、手提げ袋が大きくなり、持ち運びが不便になる欠点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 手提げバッグ
2 上部開口部
3 底部
4 袋体
5 袋部
6 底部開口部
6-1 袋部 四角形
6-2 袋部 三角形
6-3 袋部 六角形
6-4 袋部 円形
7 持ち手
8 畳まれた袋部
9 底板
9-1 折り曲げた底板
9-2 伸ばした底板
10 折線
11 花束
12 フラワーアレンジメント