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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】可搬式溶接ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/00 20060101AFI20220228BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
B23K37/00 Z
B25J19/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020076316
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021171784
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502116922
【氏名又は名称】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509202558
【氏名又は名称】JMUディフェンスシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 幸男
(72)【発明者】
【氏名】樋口 右京
(72)【発明者】
【氏名】高木 敬補
(72)【発明者】
【氏名】町原 延明
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一彰
(72)【発明者】
【氏名】山本 海人
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0033735(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0026113(KR,A)
【文献】特開平9-271946(JP,A)
【文献】特開2019-63876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/00 - 37/08
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な多関節アームを備えた溶接ロボットと、
前記溶接ロボットを載置する台座と、
前記台座の底面に配置された固定用磁石と、
前記台座の底面に配置された脚部と、
前記台座に回動可能に配置されたハンドルと、を備え、
前記ハンドルは、搬送時に折り畳まれた前記多関節アームの上方まで回動され、固定時に床面に当接した状態で固定されるように構成されている、
ことを特徴とする可搬式溶接ロボット装置。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記多関節アームが延伸する前方側に回動されて固定されるように構成されている、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記台座の両側部に回動可能に配置された腕部と、前記腕部の先端に連結された把持部と、前記腕部を回動不能に固定する固定部と、を備えている、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項4】
前記台座は、両側部に配置された把手を備える、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項5】
前記台座は、位置決め用のレーザーポインタを備える、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項6】
前記固定用磁石は、前記台座の後方側の一箇所に配置されている、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項7】
前記多関節アームは、溶接対象物の形状を計測可能なセンサを備えている、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項8】
前記センサは、前記多関節アームの上腕に配置されている、請求項7に記載の可搬式溶接ロボット装置。
【請求項9】
前記溶接ロボットの傾きを計測する加速度センサを備える、請求項1に記載の可搬式溶接ロボット装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式溶接ロボット装置に関し、特に、船舶等の大型構造物の狭隘部に持ち込んで溶接することができる可搬式溶接ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、船舶のダブルハル(二重船殻構造)内には、ロンジ、カラープレート、スティフナ等、多数の溶接箇所が存在している。ダブルハル内は、狭い場所であるだけでなく、多数の骨材や補強材が存在していることから作業スペースも狭く、溶接箇所にアクセスしにくいという問題がある。また、ダブルハルは船体の外板に近い場所にありダブルハルに辿り着くまでに作業員一人が通過できる程度の狭い空間を通り抜けなければならない。かかる事情から小型化・軽量化された可搬式溶接装置が既に提案されている。
【0003】
特許文献1には、造船等のロンジ材を溶接する際に使用される可搬式の多関節ロボットが開示されており、ワークにクランプしてロボットを固定することが記載されている。また、特許文献2には、搬送性に優れたアーク自動溶接装置が開示されており、底面に配置されたマグネットにより溶接機本体を固定することが記載されている。また、特許文献3には、可搬形溶接ロボットと、この可搬形溶接ロボットを載置した台車と、台車を走行するレールとから形成される走行装置を利用して、この台車をレールに沿って移動させながら溶接を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭60-4397号公報
【文献】実開昭60-190491号公報
【文献】特開2003-95087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明のように、溶接箇所の近傍のワークに溶接ロボットを固定する方法では、溶接ロボットを固定する場所に制約が多く、溶接ロボットを溶接に適した姿勢に制御することが難しいという問題がある。
【0006】
また、多関節アームを備えた溶接ロボットの場合には、多関節アームの移動により重心の位置が変動することから、特許文献2に記載された発明のようにマグネットを利用して固定する方法では、設置面積を大きくしなければならず、装置の小型化が難しいという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に記載された発明のように、移動台車に溶接ロボットを載置した場合には、レールを溶接箇所に設置しなければならず、溶接箇所に搬送する荷物が増える、レールの設置作業が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、装置の小型化を図ることができ、装置を容易に設置することができ、装置の傾倒を抑制することができる、可搬式溶接ロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、折り畳み可能な多関節アームを備えた溶接ロボットと、前記溶接ロボットを載置する台座と、前記台座の底面に配置された固定用磁石と、前記台座の底面に配置された脚部と、前記台座に回動可能に配置されたハンドルと、を備え、前記ハンドルは、搬送時に折り畳まれた前記多関節アームの上方まで回動され、固定時に床面に当接した状態で固定されるように構成されている、ことを特徴とする可搬式溶接ロボット装置が提供される。
【0010】
前記ハンドルは、前記多関節アームが延伸する前方側に回動されて固定されるように構成されていてもよい。
【0011】
前記ハンドルは、前記台座の両側部に回動可能に配置された腕部と、前記腕部の先端に連結された把持部と、前記腕部を回動不能に固定する固定部と、を備えていてもよい。
【0012】
前記台座は、両側部に配置された把手を備えていてもよい。
【0013】
前記台座は、位置決め用のレーザーポインタを備えていてもよい。
【0014】
前記固定用磁石は、前記台座の後方側の一箇所に配置されていてもよい。
【0015】
前記多関節アームは、溶接対象物までの距離を計測可能なセンサを備えていてもよい。
【0016】
前記センサは、前記多関節アームの上腕に配置されていてもよい。
【0017】
前記可搬式溶接ロボット装置は、前記溶接ロボットの傾きを計測する加速度センサを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明に係る可搬式溶接ロボット装置によれば、搬送時に折り畳まれた多関節アームの上方に位置するハンドルを回動させて床面に当接した状態で固定することができるようにしたことから、ハンドルを装置の傾倒を抑制するストッパーとして使用することができ、台座の小型化を図ることができる。また、固定用磁石で台座を床面に固定し、脚部及びハンドルで脚部を支持するようにしたことから、レールや移動台車を用いることなく装置を容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る可搬式溶接ロボット装置の使用状態を示す斜視図である。
図2】使用状態における可搬式溶接ロボット装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、である。
図3図1に示した可搬式溶接ロボット装置の搬送状態を示す斜視図である。
図4】搬送状態における可搬式溶接ロボット装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1図4(B)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る可搬式溶接ロボット装置の使用状態を示す斜視図である。図2は、使用状態における可搬式溶接ロボット装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、である。図3は、図1に示した可搬式溶接ロボット装置の搬送状態を示す斜視図である。図4は、搬送状態における可搬式溶接ロボット装置を示す図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、である。
【0021】
本発明の一実施形態に係る可搬式溶接ロボット装置1は、例えば、図1に示したように、折り畳み可能な多関節アーム2aを備えた溶接ロボット2と、溶接ロボット2を載置する台座3と、台座3の底面に配置された固定用磁石4と、台座3の底面に配置された脚部5と、台座3に配置された溶接ロボット2の制御装置6と、台座3に回動可能に配置されたハンドル7と、を備えている。
【0022】
溶接ロボット2は、例えば、台座3に固定される回転台2tと、回転台2tに配置される多関節アーム2aと、多関節アーム2aの先端に配置される溶接トーチ2wと、を備えている。回転台2tは、台座3の平面に対して垂直な軸(Z軸)を中心に回転可能な回転軸2uを備えている。
【0023】
多関節アーム2aは、例えば、回転台2tの回転軸2uに固定されるベース21と、ベース21の先端に回動可能に接続された上腕22と、上腕22の先端に回動可能に接続された下腕23と、下腕23の先端に回動可能に接続された手首部24と、手首部24の先端に回転可能に接続されたツール部25と、を備えている。回転軸2uの駆動モータは、例えば、ベース21内に収容される。
【0024】
ベース21は、例えば、回転軸2uに固定される接続部21aと、折り畳まれた多関節アーム2aを載置可能なベッド部21bと、ベッド部21bの側部から斜め上方に延設されたリンク部21cと、を備えている。
【0025】
上腕22は、例えば、略直方体形状のリンクである。上腕22の後端は、リンク部21cの先端に回動可能に接続されている。上腕22は、図1に示した状態で、後端を軸に先端が前後方向に回動できるように構成されている。上腕22の駆動モータは、例えば、ベッド部21b内に収容される。また、上腕22は、台座3の略中心線上に配置されるように、リンク部21cの内側に接続される。
【0026】
また、上腕22の前面には、溶接対象物の形状を計測可能な第一センサ26が配置されている。第一センサ26は、例えば、溶接対象物までの距離画像を取得可能な3Dセンサである。ただし、第一センサ26は、3Dセンサに限定されるものではない。この位置に第一センサ26を配置することにより、溶接スパッタやヒュームによる影響を低減することができる。なお、第一センサ26は、可搬式溶接ロボット装置1の前方に存在する構造物(溶接対象物を含む)の位置及び形状を計測し、溶接箇所を特定する際に使用される。
【0027】
下腕23は、例えば、略直方体形状のリンクである。下腕23の後端は、上腕22の先端に回動可能に接続されている。下腕23は、図1に示した状態で、後端を軸に先端が前後方向に回動できるように構成されている。下腕23の駆動モータは、例えば、下腕23内に収容される。また、下腕23は、例えば、図2(A)に示したように、リンク部21cと反対側に配置されるように上腕22に接続される。
【0028】
手首部24は、例えば、略直方体形状のリンクである。手首部24の後端は、下腕23の先端に回動可能に接続されている。手首部24は、図1に示した状態で、後端を軸に先端が前後方向に回動できるように構成されている。手首部24の駆動モータは、例えば、下腕23内に収容される。また、手首部24は、例えば、図2(A)に示したように、上腕22と同じ側に配置されるように下腕23に接続される。
【0029】
ツール部25は、溶接トーチ2wを把持する部品である。ツール部25は、回転軸2u と同一平面上の手首部24の延伸軸を中心に回転できるように接続されている。ツール部25の駆動モータは、例えば、手首部24内に収容される。また、ツール部25には、溶接継手を計測する第二センサ27が配置されていてもよい。第二センサ27は、例えば、レーザーセンサである。
【0030】
上述した多関節アーム2aは、図1に示した状態において、XYZの三軸直交座標で表現すれば、ベース21のZ軸周り、上腕22のX軸周り、下腕23のX軸周り、手首部24のX軸周り、ツール部25のY軸周りの合計5自由度を有している。
【0031】
なお、上述した多関節アーム2aの構成は単なる一例であり、図示した構成に限定されるものではない。すなわち、多関節アーム2aは、ベース21上に折り畳むことができ、溶接に必要な姿勢を取ることができる構成であれば、他の構成であってもよい。
【0032】
台座3は、溶接ロボット2及び制御装置6を載置可能な形状であり、例えば、板材である。台座3の横幅(X軸方向の幅)は、例えば、作業員が通過する通路(例えば、幅400mm×高さ600mm程度の開口部を含む)を通り抜けることができる大きさに構成される。台座3の上面の前方側には回転台2tが配置され、後方側には制御装置6が配置される。
【0033】
また、台座3の両側部には床面8に載置された可搬式溶接ロボット装置1を持ち上げるための把手31が配置されている。具体的には、把手31は、台座3の上面の制御装置6の両脇に配置される。かかる把手31を設けることにより、床面8に下ろした可搬式溶接ロボット装置1の向きを調整したり、位置を調整したりする際に、ハンドル7を操作することなく、容易に可搬式溶接ロボット装置1を持ち上げることができる。
【0034】
また、台座3の前方には、可搬式溶接ロボット装置1の位置決めを行うためのレーザーポインタ32が配置されていてもよい。レーザーポインタ32は、図1に示したように、台座3の前方の左右二箇所に互いに内側に僅かに傾けた状態で配置される。かかるレーザーポインタ32を用いて前方に存在する構造物に赤外線レーザーを照射することにより、構造物に投影された二つのポイントの位置により、可搬式溶接ロボット装置1の大まかな位置決めを行うことができる。
【0035】
固定用磁石4は、永久磁石又は電磁石である。また、固定用磁石4は、例えば、台座3の後方側の中心部の一箇所に配置される。この位置に固定用磁石4を配置することにより、固定用磁石4を軸にして台座3の向きを容易に変更することができる。なお、固定用磁石4を電磁石で構成した場合には、ハンドル7を床面8に向かって倒した際に電源が投入されるようにスイッチを設けるようにしてもよい。
【0036】
また、固定用磁石4は、吸着力を50~150Kg程度に設定することにより、多関節アーム2aが他の構造物等に接触した場合でも台座3を床面8上で滑らせることができ、多関節アーム2a及び接触した構造物の破損を抑制することができる。また、固定用磁石4を台座3の後方側に配置することにより、溶接時の輻射熱による磁力低下を抑制することもできる。
【0037】
脚部5は、例えば、台座3の底面の前方二箇所に配置される。固定用磁石4が台座3の底面の後方側の一箇所に配置されていることから、少なくとも台座3を三点支持するための脚部5が必要である。なお、脚部5は、三本以上配置されていてもよい。
【0038】
制御装置6は、溶接ロボット2の操作を制御する装置である。制御装置6の後端部には、スイッチ61、コネクタ62等が配置されている。スイッチ61は、可搬式溶接ロボット装置1に電源を投入するスイッチである。コネクタ62は、電源ケーブル、制御ケーブル、操作ボックス等を接続するための端子である。
【0039】
また、回転台2tの内部には、溶接ロボット2の傾きを計測する加速度センサ(図示せず)が配置されていてもよい。かかる加速度センサを配置することにより、溶接ロボット2が傾いている場合には、その傾き角度を考慮して溶接条件を算出することができる。なお、加速度センサは、台座3に配置されていてもよいし、制御装置6内に配置されていてもよい。
【0040】
また、加速度センサにより、可搬式溶接ロボット装置1の位置ずれや傾倒等の姿勢の変化を検知することができ、必要に応じて、溶接作業の停止や多関節アーム2aの各軸のトルクオフ等の措置をとることができる。
【0041】
ハンドル7は、例えば、台座3の両側部に回動可能に配置された一対の腕部71と、一対の腕部71の先端に連結された把持部72と、腕部71を回動不能に固定する固定部73と、を備えている。ハンドル7は、腕部71及び把持部72により略角型U字形状に構成されている。
【0042】
腕部71は、図3に示したように、多関節アーム2aを折り畳んだ状態で、把持部72が多関節アーム2aの上方まで移動できるように構成されている。把持部72は、作業員が持ちやすい太さに形成されている。なお、腕部71は、必ずしも一対である必要はなく、一本であってもよい。
【0043】
固定部73は、例えば、腕部71の回動部に配置されたネジ部材である。ネジ部材を緩めることにより腕部71を回動させることができ、ネジ部材を締め付けることにより腕部71を回動不能に固定することができる。なお、固定部73は、ネジ部材に限定されるものではなく、腕部71の回動部にピンを挿し込むことによって回動不能にする部材であってもよい。
【0044】
また、図示しないが、固定部73は、腕部71の先端又は把持部72に配置された磁石や吸盤等の固定手段であってもよい。かかる構成により、ハンドル7をより確実に床面8に固定することができる。なお、固定部73は、腕部71に配置されたネジ部材等と、把持部72に配置された磁石等とを併用してもよい。
【0045】
ハンドル7は、図3図4(B)に示したように、搬送時に折り畳まれた多関節アーム2aの上方まで回動され、図1図2(B)に示したように、固定時に多関節アーム2aが延伸する前方側(図のY軸方向)に回動されて床面8に当接した状態で固定されるように構成されている。
【0046】
このように、ハンドル7を床面8に当接させることにより、ストッパーとして機能させることができ、溶接時に溶接ロボット2の重心の位置が変動した場合であっても装置の傾倒を抑制することができる。なお、図示しないが、多関節アーム2aと台座3との配置関係によっては、ハンドル7を台座3の後方側に回動させて床面8に当接した状態で固定させるようにしてもよい。
【0047】
図1に示した多関節アーム2aは、搬送時には以下の操作により図3に示したように折り畳まれる。上腕22は、後方側に回動され、ベッド部21b上に載置される。下腕23は、前方側に回動され、上腕22に略隣接した状態に配置される。手首部24は、後方側に回動され、上腕22の上に配置される。
【0048】
図3に示したように、折り畳まれた多関節アーム2aは、台座3からはみ出さないようにコンパクトに変形される。なお、搬送時には溶接トーチ2wはツール部25から取り外すようにしてもよい。
【0049】
次に、ハンドル7を回動させて、図3に示したように、把持部72を折り畳まれた多関節アーム2aの上方に移動させて起立させる。このとき、例えば、固定部73によりハンドル7を固定してもよいし、ハンドル7を起立させると自動的に固定される機構を付加してもよい。作業員は、図3に示した状態でハンドル7を把持することにより、可搬式溶接ロボット装置1を容易に搬送することができる。
【0050】
本実施形態に係る可搬式溶接ロボット装置1では、ハンドル7を装置の傾倒を抑制するストッパーとして使用していることから、台座3の小型化を図ることができ、図3に示したようにコンパクトに折り畳むことができる。したがって、船舶のダブルハル内のような狭隘部であっても、手動で可搬式溶接ロボット装置1を持ち込むことができる。
【0051】
本実施形態に係る可搬式溶接ロボット装置1では、固定用磁石4で台座3を床面8に固定し、脚部5及びハンドル7で台座3を支持するようにしたことから、レールや移動台車を用いることなく装置を容易に設置することができる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1 可搬式溶接ロボット装置
2 溶接ロボット
2a 多関節アーム
2t 回転台
2u 回転軸
2w 溶接トーチ
3 台座
4 固定用磁石
5 脚部
6 制御装置
7 ハンドル
8 床面
21 ベース
21a 接続部
21b ベッド部
21c リンク部
22 上腕
23 下腕
24 手首部
25 ツール部
26 第一センサ
27 第二センサ
31 把手
32 レーザーポインタ
61 スイッチ
62 コネクタ
71 腕部
72 把持部
73 固定部
図1
図2
図3
図4