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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】スライドレール機構
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/40 20170101AFI20220228BHJP
【FI】
A47B88/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020101550
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021079077
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】108142244
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】張 維成
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114263(JP,A)
【文献】米国特許第09328769(US,B1)
【文献】登録実用新案第3200963(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁と、下壁と、前記上壁及び前記下壁の間に接続されている長手方向壁とを有するレール部材と、
支持部材と前記レール部材とが相互に長手方向に移動可能となっている支持部材であり、上支持部と、下支持部と、前記上支持部及び前記下支持部の間に接続されている長手方向部分とを有する支持部材と、
第1ブラケットと前記支持部材とが相互に前記長手方向に移動可能となっている第1ブラケットと、
前記第1ブラケットに対して第1状態及び第2状態のうち一つにあることが可能であり、前記第1状態に位置するときに前記第1ブラケットから離れ、前記第2状態に位置するときに前記第1ブラケットに隣接する締結部材と、
前記レール部材の前記長手方向壁の一方の面に接続されている補強部材と、
前記補強部材に取り付けられている第2ブラケットとを備え、
前記支持部材の前記上支持部は、前記レール部材の前記上壁の一部分を覆い、前記支持部材の前記下支持部は、前記レール部材の前記下壁の一部分を覆い、
前記支持部材が前記第1ブラケットに対して第1位置から第2位置に移動されたときに、前記支持部材は、前記第1状態から前記第2状態に変化するように前記締結部材を駆動することが可能であり、
さらに、前記支持部材に接続されている補助部材を備え、前記第1ブラケットは、前記補助部材に可動に取り付けられ、
前記補助部材と前記第1ブラケットとのうち一方には第1構造が設けられ、前記補助部材と前記第1ブラケットとのうち他の一方には第2構造が設けられ、
前記支持部材が前記第2位置にあるときに、前記支持部材は、前記第1及び第2構造の間の係合により前記第2位置に保持可能であり、
前記補助部材と前記第1ブラケットとのうち一方には第3構造が設けられ、前記補助部材と前記第1ブラケットとのうち他の一方には第4構造が設けられ、
前記支持部材が前記第2位置にあるときに、前記支持部材は、前記第3及び第4構造の間の係合により前記第2位置に保持可能である、スライドレール機構。
【請求項2】
前記第1ブラケットはさらに、凸の構造を備え、前記凸の構造は、前記第2構造と、前記第4構造と、支持機能部とを含み、前記支持機能部は前記第4構造に隣接し、
前記補助部材はさらに、第1ロック部材を備え、前記第1ロック部材は、第1弾性区間と前記第1構造とを含み、前記第1構造は前記第1弾性区間に設けられ、前記第1ブラケットに対向する請求項記載のスライドレール機構。
【請求項3】
前記補助部材はさらに、第2ロック部材を備え、前記第2ロック部材は、第2弾性区間と、前記第3構造と、固着区間と、第3弾性区間とを備え、
前記第3構造は前記第2弾性区間の側部に配置され、前記第2弾性区間から横断方向に延び、前記第2弾性区間と前記第3弾性区間とは前記固着区間から延び、前記第2弾性区間と前記第3弾性区間とは相互に近接すること、又は相互に離れるように動くことが可能であり、
前記支持部材が前記第1位置にあるときに、前記第2弾性区間と前記第3弾性区間とは相互に近接し、
前記支持部材が前記第2位置にあるときに、前記第3弾性区間は前記第2弾性区間に近接しなくなる請求項記載のスライドレール機構。
【請求項4】
前記第3弾性区間には解除機能部及び傾斜付きの機能部が設けられ、前記解除機能部は、前記第3弾性区間から前記横断方向に延び、前記第3弾性区間に対して曲がり、前記傾斜付きの機能部は、前記第3弾性区間から前記長手方向に延び、前記第3弾性区間に対して曲がり、
前記支持部材は前記第1位置から前記第2位置へ移動し、前記第3弾性区間の前記傾斜付きの機能部は、前記第1ブラケットの前記支持機能部に接触し、前記解除機能部は、前記レール部材の前記長手方向壁に支持され、これにより前記第3弾性区間は前記第2弾性区間に近接しなくなる請求項記載のスライドレール機構。
【請求項5】
前記締結部材は前記第1ブラケットに枢軸的に接続され、締結部を備え、
前記締結部材が前記第1状態に位置するときに、前記締結部は前記第1ブラケットから離れ、
前記締結部材が前記第2状態に位置するときに、前記締結部は前記第1ブラケットに隣接する請求項ないしのいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【請求項6】
前記補助部材にはさらに、第1駆動部と、前記第1駆動部の反対側に配置された第2駆動部とが設けられ、
前記締結部材はさらに、前記第1駆動部に対応する第1接触部と、前記第2駆動部に対応する第2接触部とを備え、
前記支持部材が、前記第1ブラケットに対して前記第1位置から前記第2位置に移動したときに、前記補助部材の前記第1駆動部は、前記締結部材の前記第1接触部に接触し、これにより前記締結部材は前記第1状態から前記第2状態に変化するように揺動し、
前記支持部材が、前記第1ブラケットに対して前記第2位置から前記第1位置に移動したときに、前記補助部材の前記第2駆動部は前記締結部材の前記第2接触部に接触して押圧し、これにより前記締結部材は前記第2状態から前記第1状態に変化するように揺動する請求項記載のスライドレール機構。
【請求項7】
前記支持部材と前記レール部材との一方には第1ブロック機能部が設けられ、前記支持部材と前記レール部材との他の一方には第2ブロック機能部が設けられ、
前記支持部材が前記レール部材に対して第1所定位置から第2所定位置に移動したときに、前記第1ブロック機能部と前記第2ブロック機能部とは相互に移動を妨げることが可能である請求項1ないしのいずれか1項に記載のスライドレール機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレール機構に関し、特に、スライドレールの支持機能の改善が可能なスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に述べられているように、レール部材、第1支持フレーム、第2支持フレーム及びブラケットを備えたスライドレール機構が開示されている。レール部材、第1支持フレーム、第2支持フレーム及びブラケットは、組み合わせで三区間の伸縮するブラケット装置を構成する。スライドレール機構では、レール部材(又はレール部材に取り付けられた可動レール)が、載せる物品の重量を支持するように構成されている。異なった需要に応じて、載せる物品の重量は大きくなることがある。この場合、レール部材の支持する性能は、高くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許10306983号
【文献】米国特許10278498号
【文献】米国特許10194556号
【文献】米国特許10172458号
【発明の概要】
【0004】
従って、異なったスライドレールの製品の開発が、重要な課題となっている。
【0005】
後に記載する詳細な説明から一層明確に理解されるように、本発明に係るスライドレール機構は、レール部材と、支持部材と、第1ブラケットと、締結部材とを備えている。レール部材は、上壁と、下壁と、上壁及び下壁の間に接続されている長手方向壁とを有する。支持部材とレール部材とが相互に長手方向に移動可能となっている。支持部材は、上支持部と、下支持部と、上支持部及び下支持部の間に接続されている長手方向部分とを有する。第1ブラケットと支持部材とが相互に長手方向に移動可能となっている。締結部材は、第1ブラケットに対して第1状態及び第2状態のうち一つにあることが可能である。支持部材の上支持部は、レール部材の上壁の一部分を覆い、支持部材の下支持部は、レール部材の下壁の一部分を覆う。支持部材が第1ブラケットに対して第1位置から第2位置に移動されたときに、支持部材は、第1状態から第2状態に変化するように締結部材を駆動することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係り、第1長さを規定する第1ブラケット及び第2ブラケットを備えたスライドレール機構を示す3次元的な図である。
図2】本発明の実施形態に係り、第2長さを規定する第1ブラケット及び第2ブラケットを備えたスライドレール機構を示す3次元的な図である。
図3】本発明の実施形態に係るスライドレール機構を示す分解図である。
図4】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の支持部材と第1ブラケットとを示す分解図である。
図5】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の補助部材、第1ロック部材及び第2ロック部材を示す分解図である。
図6】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の補助部材、第1ロック部材及び第2ロック部材を示す組み合わせ図である。
図7】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の第2ロック部材を示す3次元的な図である。
図8】本発明の実施形態に係るスライドレール機構の横断面図である。
図9】本発明の実施形態に係り、第1ブラケットに対して第1位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図10】本発明の実施形態に係り、第1ブラケットに対して第2位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図11】本発明の実施形態に係り、別の視野角で第1ブラケットに対して第1位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図12】本発明の実施形態に係り、別の視野角で第1ブラケットに対して第2位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図13】本発明の実施形態に係り、第1ブラケットの締結部材がまだラックの第1支柱に締結されていない、第1ブラケットに対して第1位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図14】本発明の実施形態に係り、第1ブラケットの締結部材がラックの第1支柱に締結された、第1ブラケットに対して第2位置にあるスライドレール機構の支持部材を示す概略図である。
図15】本発明の実施形態に係り、第1支柱と第2支柱とに取り付けられたスライドレール機構を示す概略図である。
図16】本発明の実施形態に係る付属部品を示す3次元的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
下記の説明で、「長手方向」という表現は、レール部材の伸長方向に平行な方向を言う。「横断方向」という表現は、レール部材の伸長方向に垂直な方向を言う。構成要素が別の構成要素に「取り付けられ」又は「接続され」ているときに、構成要素は別の構成要素に直接取り付けられているか、直接接続されているか、又は二つの構成要素の間に別の構成要素が存在し得ないかである。逆に、構成要素が別の構成要素に「直接取り付けられ」又は「直接接続され」ているときに、二つの構成要素の間には別の構成要素は存在しない。
【0008】
図1,2,3において、本発明のスライドレール機構20は、レール部材22と、支持部材24と、第1ブラケット26と、締結部材28とを備えている。一つの実施形態では、スライドレール機構20はさらに、補強部材30と、補助部材32と、第2ブラケット34とを備えている。
【0009】
レール部材22は、上壁36aと、下壁36bと、上壁36a及び下壁36bの間に接続されている長手方向壁38とを有する。一つの実施形態では、レール部材22の長手方向壁38には、レール部材22の端部分に隣接した解除スペース37が設けられている。ここで解除スペース37は孔であるが、これは単に例示的なものである。他の実施形態では、解除スペース37は溝であってよい。本発明はこれに限定されない。さらに、補強部材30はレール部材22の長手方向壁38に接続され(例えば固着して接続され)、レール部材22の一部とみなされてよい。補強部材30は解除スペース37から離れて配置されている。補強部材30は、補強通路40を画定する複数の壁を含む。第2ブラケット34は補強部材30とレール部材22との一方に取り付けられている。ここで第2ブラケット34は補強部材30に取り付けられているが、これは単に例示的なものである。具体的には、第2ブラケット34は、延長部材42を介して補強部材30の補強通路40に可動に取り付けられている。一つの実施形態では、延長部材42と補強部材30とはそれぞれ、第1ブロック構造44と第2ブロック構造46とを有する。第1ブロック構造44と第2ブロック構造46とは互いに共働する。ここで、第1ブロック構造44と第2ブロック構造46とは両方とも突起である。これは単に例示的なものであり、本発明はそれに限定されない。この構成で、第2ブラケット34が補強部材30に対して一つの位置にあるときに、第1ブロック構造44と第2ブロック構造46とは相互に移動を妨げることができる。具体的には、第1ブロック構造44は補強部材30に向けて突出し、第2ブロック構造46は延長部材42に向けて突出する。
【0010】
支持部材24とレール部材22とは、相互に長手方向に移動できる。支持部材24は、上支持部48aと、下支持部48bと、上支持部48a及び下支持部48bの間に接続された長手方向部分50とを備えている。一つの実施形態では、補助部材32は支持部材24に接続されている。ここで補助部材32は、支持部材24に固着して接続されるので、支持部材24の一部分とみなされてよい。他の実施形態では、補助部材32は支持部材24に一体に形成されてもよい。
【0011】
第1ブラケット26と支持部材24とは、相互に長手方向に移動できる。ここで第1ブラケット26は、補助部材32に可動に取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。さらに、締結部材28は第1ブラケット26に対して可動である。
【0012】
一つの実施形態では、支持部材24には第1ブロック機能部(block feature)52が設けられ、レール部材22には第2ブロック機能部54が設けられている。ここで第1ブロック機能部52と第2ブロック機能部54とは、支持部材24とレール部材22とにそれぞれ接続されている付加的な構成要素である。他の実施形態では、第1ブロック機能部52は支持部材24に一体に形成されてよく、第2ブロック機能部54はレール部材22に一体に形成されてよい。本発明はこれに限定されない。支持部材24が、レール部材22に対して(図1に示した)第1所定位置X1から(図2に示した)第2所定位置X2へ移動したときに、第1ブロック機能部52と第2ブロック機能部54とは相互に移動を妨げることができる。支持部材24が第1所定位置X1にあるときに、第1長さA1が、第1ブラケット26と第2ブラケット34との間に規定される。支持部材24が第2所定位置X2にあるときに、第2ブロック機能部54は第1ブロック機能部52の移動を妨げる。第2長さA2が、第1ブラケット26と第2ブラケット34との間に規定される。第2長さA2は、第1長さA1よりも長い。
【0013】
図3,4に示すように、補助部材32は、固着部60を介して支持部材24に固着して接続されている。さらに、補助部材32には規制機能部62(例えば、境界を有する長手方向の孔又は溝であるが、本発明はこれに限定されない)が設けられている。第1ブラケット26には、規制機能部62の一部を貫通する接続部材64が設けられている。これにより、第1ブラケット26と補助部材32とは相互に可動である。具体的には、接続部材64は挿入部64aを有し、挿入部64aは規制機能部62に挿入され、挿入部64aの全体の大きさは規制機能部62の全長より短い。これにより、挿入部64aは規制機能部62内で長手方向に可動であり、第1ブラケット26は補助部材32/支持部材24に対して長手方向に可動であるようになっている。より具体的には、規制機能部62は第1端62aと第2端62bとを有し、挿入部64aは第1端62aと第2端62bとの間で切り替え可能である。即ち、接続部材64の挿入部64aは、第1端62aと第2端62bとの間で規制機能部62に沿って長手方向に移動できる。
【0014】
一つの実施形態では、締結部材28は、軸部材66を介して第1ブラケット26に枢軸的に接続されている。具体的には、締結部材28は、本体65と、本体65に接続された締結部67とを有する。本体65は、第1接触部68と第2接触部70とを有する。軸部材66は、実質的に第1接触部68と第2接触部70との間に位置する。
【0015】
さらに具体的には、第1ブラケット26は延長部26aを有する。延長部26aは、第1ブラケット26の下部から横断方向に延びている。延長部26aには、揺動孔26bが形成されている。軸部材66が揺動孔26bに貫通され、第1ブラケット26に枢軸的に接続されている。締結部材28は、第1ブラケット26の下部に配置されている。締結部材28の第1接触部68と第2接触部70とは、第1ブラケット26の片側に配置され、この片側は、第1ブラケット26の延長部26aが配置される片側と同じである。締結部材28の締結部67は、第1ブラケット26の他の一方の側に配置され、この他の一方の側は、第1ブラケット26の延長部26aが配置される片側と異なる。
【0016】
さらに補助部材32には、第1駆動部72と第2駆動部74とが設けられている。第1駆動部72と第2駆動部74とは、付属部品71に一体に形成されてよい。付属部品71は、補助部材32に固着して接続されてよく、補助部材32の一部分とみなされてよい。これに代えて他の実施形態では、第1駆動部72と第2駆動部74とは補助部材32に一体に形成されてよい。ただし本発明はこれに限定されない。
【0017】
一つの実施形態では、第1駆動部72と第2駆動部74とは(図4に示した)補助部材32の片側に配置されてよい。ここで第1駆動部72と第2駆動部74とは、補助部材32の下部に配置されている。第1駆動部72と第2駆動部74とは、第1ブラケット26から離れた方の補助部材32の片側に配置されている。第1駆動部72と第2駆動部74とは、第1ブラケット26に向けて延びている。第1駆動部72は第1接触部68に対応する。第2駆動部74は第2接触部70に対応する。
【0018】
さらに、第1構造76が(図5,6に示した)補助部材32の他の一方の側に配置され、第1ブラケット26には(図4に示した)第2構造78が配置されている。第2構造78は、第1構造76と共働する構成である。第1構造76及び第2構造78の一方は、凸の構造であってよく、第1構造76及び第2構造78の他の一方は、凹の構造(例えば孔や溝など)であってよい。ここでは、第1構造76は凸の構造であり、第1ブラケット26に対面する補助部材32の片側に配置されている。第2構造78は凹の構造であり、第1構造76は第2構造78に係合可能である。他の実施形態では、第1構造76は凹の構造であってよく、第2構造78は凸の構造であってよく、第2構造78は、補助部材32に対面する第1ブラケット26の片側に配置されてよい。第2構造78は第1構造76に係合可能である。ここで、第1構造76は第1ロック部材80に配置され、第1ロック部材80は補助部材32(又は支持部材24)に固着されている。これは単に例示的なものである。これに代えて、他の実施形態では、第1構造76は補助部材32に直接、一体に形成されてよい。本発明はこれに限定されない。ここで、第2構造78は、対応する構造79に配置されている。対応する構造79は、第1ブラケット26に形成された凸の構造であり、この凸の構造(即ち対応する構造79)は、打ち抜き(stamping)によって形成され、かつ第1ブラケット26に一体に形成されている。
【0019】
一つの実施形態では、第1構造76は少なくとも一つのガイド部77を備え、ガイド部77は傾斜面又は湾曲面を有する。
【0020】
一つの実施形態では、第1ロック部材80は第1弾性区間81を備え、第1構造76は第1弾性区間81に配置されている。ここで第1弾性区間81には、第1弾性区間81の弾力性を調節する(例えば増加させる)ための長孔83が設けられている。
【0021】
一つの実施形態では、補助部材32には(図5,6に示した)第3構造82が配置され、第1ブラケット26には(図4に示した)第4構造84が配置されている。第4構造84は、第3構造82と共働する構成である。第3構造82及び第4構造84の一方は、凸の構造であってよく、第3構造82及び第4構造84の他の一方は、凹の構造(例えば孔や溝など)であってよい。ここで第3構造82は第2ロック部材86に配置され、第2ロック部材86は補助部材32(又は支持部材24)に固着されている。またここで、第4構造84は対応する構造79に配置されている。第3構造82は突出する構成であり、第4構造84はスロットの構成であり、第3構造82は第4構造84に係合が可能である。他の実施形態では、第3構造82はスロットの構成であってよく、第4構造84は突出する構成であってよく、第4構造84は第3構造82に係合が可能である。
【0022】
一つの実施形態では、第1ブラケット26にはさらに、第4構造84に隣接して支持機能部85が設けられている。支持機能部85は、傾斜面又は湾曲面を有する。ここで支持機能部85は、対応する構造79に配置されている。これは単に例示的なものである。
【0023】
一つの実施形態では、第2ロック部材86は第2弾性区間88を有する。第3構造82は第2弾性区間88に配置されている。第3構造82の数は二つであり、二つの第3構造82が第2弾性区間88の二つの反対の側にあり、第2弾性区間88から横断方向に延びている。ここで第3構造82は、打ち抜きによって形成され、第2弾性区間88に対して曲がっている。これは単に例示的なものであり、本発明は限定されない。
【0024】
一つの実施形態では、第2ロック部材86はさらに、第2弾性区間88に隣接して第3弾性区間90を備えている。第2弾性区間88及び第3弾性区間90は、第2ロック部材86の固着区間87から延びている。固着区間87は補助部材32に(例えばリベットによって)固着されて構成される。第3弾性区間90と第2弾性区間88とは、相互に近接すること、又は相互に離れるように動くこと(即ち、撓みが減少した状態に変化すること)が可能である。第3弾性区間90には、(図7に示した)解除機能部92、及び対応する機能部93が設けられている。解除機能部92は第2弾性区間88の片側に位置する。例えば、解除機能部92は延長足部又は延長アームであってよいが、本発明はこれに限定されない。対応する機能部93は、傾斜面又は湾曲面を有する。対応する機能部93は、第1ブラケット26の支持機能部85と共働するように構成されている。ここで解除機能部92は、第3弾性区間90から横断方向に延びている。解除機能部92は第3弾性区間90に対して曲がっている。対応する機能部93は、第3弾性区間90から長手方向に延び、第3弾性区間90に対して曲がっている。
【0025】
図8に示すように、レール部材22の長手方向壁38は、第1側部L1と、第1側部L1とは反対側の第2側部L2とを有する。補強部材30はレール部材22の第1側部L1に接続されている。一つの実施形態では、スライドレール機構20はさらに、レール部材22の第2側部L2に配列された第1可動レール94と第2可動レール96とを含んでよい。レール部材22,第1可動レール94及び第2可動レール96は、相互に伸縮自在に接続され、三区間のスライドレールを構成する。
【0026】
一つの実施形態では、補強部材30は、上縁壁98aと、下縁壁98bと、上縁壁98a及び下縁壁98bの間に接続された延長壁100とを備えている。補強部材30が、延長壁100を介してレール部材22の第1側部L1に接続されている。上縁壁98a、下縁壁98b、及び延長壁100は組み合わせで、補強通路40を画定する。
【0027】
支持部材24の下支持部48bは、レール部材22の下壁36bの一部分を覆う。一つの実施形態では、支持部材24の下支持部48bは第1区間K1と第2区間K2とを有する。第1区間K1は、レール部材22の下壁36bを支持する構成である。第2区間K2は、第1区間K1に対して曲がり、レール部材22の下壁36bの片側に隣接して延びている。
【0028】
支持部材24の上支持部48aは、レール部材22の上壁36aの一部分を覆う。一つの実施形態では、支持部材24の上支持部48aは第3区間K3と第4区間K4とを有する。第3区間K3は、レール部材22の上壁36aを支持する構成である。第4区間K4は、第3区間K3に対して曲がり、レール部材22の上壁36aの片側に隣接して延びている。
【0029】
一つの実施形態では、支持部材24の長手方向部分50と下支持部48bとは、少なくとも一つの第1曲げ部B1を介して接続され、支持部材24の長手方向部分50と上支持部48aとは、少なくとも一つの第2曲げ部B2を介して接続されている。
【0030】
一つの実施形態では、長手方向部分50と、支持部材24の少なくとも一つの第1曲げ部B1、及び少なくとも一つの第2曲げ部B2とは、組み合わせでスペース101を画定し、補強部材30の位置はスペース101に対応する。
【0031】
一つの実施形態では、支持部材24の少なくとも一つの第1曲げ部B1と少なくとも一つの第2曲げ部B2とのうち一つが、レール部材22の長手方向壁38の第1側部L1を支持するように構成されている。ここで支持部材24の少なくとも一つの第1曲げ部B1と少なくとも一つの第2曲げ部B2とはともに、レール部材22の長手方向壁38の第1側部L1を支持する。
【0032】
図9,10に示すように、締結部材28は、第1ブラケット26に対して第1状態S1(例えばロック解除状態)と第2状態S2(例えばロック状態)との一方に位置することができる。締結部材28が(図9に示した)第1状態S1に位置するときには、締結部材28の締結部67は第1ブラケット26の少なくとも一つの第1取り付け部材56から離れている。締結部材28が(図10に示した)第2状態S2に位置するときには、締結部材28の締結部67は第1ブラケット26の少なくとも一つの第1取り付け部材56に隣接する。具体的には、締結部材28は、軸部材66によって第1ブラケット26に対して、第1及び第2状態S1,S2の間で切り替わるように、揺動されることができる。
【0033】
一つの実施形態では、締結部材28の第1接触部68と補助部材32の第1駆動部72とのうち一つが、(例えば傾斜面又は湾曲面などの)第1ガイド機能部73を有する。さらに、締結部材28の第2接触部70と補助部材32の第2駆動部74とのうち一つが、(例えば傾斜面又は湾曲面などの)第2ガイド機能部75を有する。ここで図16に示すように、第1駆動部72は第1ガイド機能部73を含み、第2駆動部74は第2ガイド機能部75を含む。これらは単に例示的なものである。
【0034】
第1ブラケット26に対して第1方向D1に、支持部材24が(図9に示した)第1位置P1から(図10に示した)第2位置P2に移動されたときに、支持部材24は、補助部材32の第1駆動部72を介して締結部材28の第1接触部68に接触する。これにより、(図9に示した)第1状態S1から(図10に示した)第2状態S2に変化するように、支持部材24は締結部材28を駆動する。即ち、補助部材32の第1駆動部72を介して第1状態S1から第2状態S2に変化するように、支持部材24は締結部材28を駆動する。具体的には、第1ブラケット26に対して第1方向D1に、支持部材24が(図9に示した)第1位置P1から(図10に示した)第2位置P2に移動されたときに、補助部材32は第1方向D1に移動するように支持部材24で駆動される。これにより、規制機能部62の第2端62bは接続部材64に向けて移動され、規制機能部62の第1端62aは接続部材64から離れるように移動される。補助部材32の第1駆動部72は締結部材28の第1接触部68に接触して押圧し、これにより締結部材28は、(図9に示した)第1状態S1から(図10に示した)第2状態S2に変化するように揺動される。言い換えれば、支持部材24が第1ブラケット26に対して第1位置P1にあるときに、接続部材64は規制機能部62の第1端62aに位置し、支持部材24が第1ブラケット26に対して第2位置P2にあるときに、接続部材64は規制機能部62の第2端62bに位置する。
【0035】
逆に支持部材24が、第1ブラケット26に対して第1方向D1と逆の第2方向D2に(図10に示した)第2位置P2から第1位置P1へ移動したときに、支持部材24は、補助部材32の第2駆動部74を介して締結部材28の第2接触部70に接触し、これにより、支持部材24は締結部材28を駆動し、(図10に示した)第2状態S2から(図9に示した)第1状態S1へ復帰させる。即ち、支持部材24は締結部材28を駆動し、補助部材32の第2駆動部74を介して第2状態S2から第1状態S1へ復帰させる。具体的に、支持部材24が、第1ブラケット26に対して第1方向D1と逆の第2方向D2に第2位置P2から第1位置P1へ移動したときに、補助部材32は支持部材24で駆動されて第2方向D2に移動し、これにより規制機能部62の第1端62aは接続部材64に向けて移動され、規制機能部62の第2端62bは接続部材64から離して移動される。補助部材32の第2駆動部74は締結部材28の第2接触部70に接触して押圧し、これにより締結部材28は、(図10に示した)第2状態S2から(図9に示した)第1状態S1に変化するように揺動される。
【0036】
図11に示すように、支持部材24が第1ブラケット26に対して第1位置P1にあるときに、第1ロック部材80の第1構造76と第1ブラケット26の第2構造78との間に所定距離がある。一つの実施形態では、第3弾性区間90と第2弾性区間88とは、互いに近接している。第2弾性区間88の第3構造82と第1ブラケット26の第4構造84との間に、所定距離がある。一つの実施形態では、第2弾性区間88の第3構造82はガイド面102を有する。例えば、ガイド面102は傾斜面又は湾曲面である。一つの実施形態では、第3弾性区間90の解除機能部92はレール部材22の解除スペース37に対応していて、第3弾性区間90の対応する機能部93と第1ブラケット26の支持機能部85との間に、所定距離がある。
【0037】
図11,12に示すように、支持部材24は、第1ブラケット26に対して第1方向D1に、(図11に示した)第1位置P1から(図12に示した)第2位置P2へ移動が可能である。
【0038】
支持部材24は、第1構造76と第2構造78との共働により第2位置P2に保持されることができる。例えば、第1ロック部材80の第1構造76は第1ブラケット26の第2構造78と係合できる。これにより支持部材24が第1ブラケット26に対して第2位置P2にあるときに、第1ロック機構を提供することができる。
【0039】
一つの実施形態では、支持部材24は、第3構造82と第4構造84との共働により第2位置P2に保持されることができる。例えば、支持部材24が第1方向D1に第1位置P1から第2位置P2へ移動する過程の間に、第3弾性区間90の対応する機能部93は第1ブラケット26の支持機能部85に接触し、(図12に示した)力Fを発生させる。これにより、第3弾性区間90は力Fに応じて一つの角度だけ揺動する。第3弾性区間90の解除機能部92はもう、レール部材22の解除スペース37に対応しなくなり、レール部材22の長手方向壁38に支持される。この時点で、第3弾性区間90は弾性力が蓄積できる。第3弾性区間90はもはや第2弾性区間88に近接しなくなり(即ち、撓みが減少した状態に変化し)、第2弾性区間88の第3構造82は第1ブラケット26の第4構造84と係合できる。これにより支持部材24が第1ブラケット26に対して第2位置P2にあるときに、第2ロック機構を提供することができる。
【0040】
さらに、第1ロック部材80の第1構造76が第1ブラケット26の第2構造78から係合解除され、第2ロック部材86の第3構造82が第1ブラケット26の第4構造84から係合解除されたときに、支持部材24は、第1ブラケット26に対して(図11に示した)第1位置P1に(図12に示した)第2位置P2からもどることが可能である。例えば図12に示すように、第2位置P2にある支持部材24に対して第1方向D1にレール部材22が移動できると、第3弾性区間90の解除機能部92が再び、レール部材22の解除スペース37に対応することが可能にされる。第3弾性区間90は弾性力を解放して第2弾性区間88に再び近接し、これにより第2弾性区間88の第3構造82は第1ブラケット26の第4構造84から解除される。さらに、第1構造76のガイド部77により、第1ロック部材80の第1弾性区間81の第1構造76は、支持部材24が第1ブラケット26に対して第1位置P1に第2位置P2からもどる過程で、第1ブラケット26の第2構造78から解除することが可能である。これに代えて、他の動作方式では、第1構造76と第2構造78との間の係合、また第3構造82と第4構造84との間の係合は、手動操作で解除されてよい。
【0041】
図13,14に示すように、スライドレール機構20は、第1ブラケット26の少なくとも一つの第1取り付け部材56を介して、ラックの第1支柱104aに取り付けられてよい。支持部材24は、第1方向D1に(図13に示した)第1位置P1から(図14に示した)第2位置P2へ移動でき、(図13に示した)第1状態S1から(図14に示した)第2状態S2へ締結部材28を変化させるように駆動することができる。これにより、締結部材28の締結部67は、第1支柱104aへの締結が可能にされる。支持部材24が締結部材28を駆動して第1状態S1から第2状態S2に変化させる動作原理は、上述した通りであり(図9,10)、簡素化のためにここでは繰り返さない。
【0042】
図14に示すように、第1構造76が第2構造78(第1ロック機構)に係合され、第3構造82が第4構造84(第2ロック機構)に係合されると、支持部材24は、第1ブラケット26に対して第2位置P2(図10,12で参照可能)に保持することが可能である。従って、第2状態S2(例えばロック状態)での締結部材28の信頼性を大きくできる。さらに、この構成に伴って、締結部材28の締結部67が当てられてラックの第1支柱104aに締結したときに、セキュリティをさらに確実にできる。
【0043】
図15に示すように、スライドレール機構20の第1ブラケット26の少なくとも一つの第1取り付け部材56がラックの第1支柱104aに取り付けられ、第2状態S2での締結部材28が第1支柱104aに締結した後に、スライドレール機構20は、第2ブラケット34の少なくとも一つの第2取り付け部材58を介してラックの第2支柱104bに取り付けが可能である。
【0044】
要約すると、本発明の実施形態に係るスライドレール機構20は、下記の特徴を有する。
【0045】
第1に、支持部材24はレール部材22の一部分を覆う。これは、第1ブラケット26とレール部材22との間の構造的な強度を高めることができる。
【0046】
第2に、支持部材24はレール部材22に対して長手方向に移動するように、調節が可能である。これは、第1ブラケット26が、支持部材24を介してさらに長い距離だけ動くことを可能にする。
【0047】
第3に、第1ブラケット26と支持部材24とは、二区間のブラケットを形成し、レール部材22に沿って可動である。これは、特定の深さを伴うラックには、従来の三区間のブラケットよりも好適である。
【0048】
第4に、第1構造76と第2構造78と(第1ロック機構)の共働、又は第3構造82と第4構造84と(第2ロック機構)の共働によって、支持部材24が第1ブラケット26に対して第2位置P2にあるときに、第2状態S2(例えばロック状態)での締結部材28の信頼性を大きくできる。
【0049】
第5に、支持部材24が第1所定位置X1にあるときに、(図1に示した)第1距離A1が第1ブラケット26と第2ブラケット34との間に規定される。支持部材24が第2所定位置X2にあるときに、(図2に示した)第2距離A2が第1ブラケット26と第2ブラケット34との間に規定される。第2長さA2は第1長さA1よりも長い。従って、スライドレール機構20は、異なった距離だけ離れたラックの2本の支柱に適合することができる。
【0050】
第6に、スライドレール機構20は、ラックの前に立つ一人の人だけで、ラックに着脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図16